説明

アクチュエータにおけるダスト拡散防止装置

【課題】 装置全体の構造を小型化することができるアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置を提供する。
【解決手段】 アクチュエータの出力シャフトを外部に引き出すアクチュエータケースの孔から流出するダストの拡散を防止する装置において、上記アクチュエータの出力シャフト引き出し孔10bを覆うアダプタ8をアクチュエータケース2に装着し、このアダプタ8に、アダプタ8の内側空洞部15に流出したダストをアダプタ8の内部空気とともに強制的に排気する排気装置9を連結したことにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータの内部から発生するダストが、アクチュエータの外部に流出して室内空間を汚染する不具合を防止することができるアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ等のアクチュエータでは、出力シャフトを支持する軸受けがアクチュエータの内部壁面に設けられており、この軸受けが出力シャフトの回転時に磨耗粉を発生したり、軸受け部に充填されたグリスなどのオイルミストが出力シャフトの回転に伴って出力シャフトの引き出し孔から外部に流出する不具合があった。
このため、半導体工場等のクリーンルーム内での作業が必須の現場では、アクチュエータから流出するダストの拡散を極力抑制する必要がある。
【0003】
そこで、従来では、モータ全体をケース内に閉じ込めてダストの発生を抑制したり、モータ全体を入れたケースにファンを設けてモータ内から流出するダストをケース外に排気するようにしたものが知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭62−293951
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によると、モータ全体をケース内に閉じ込めるため、装置全体が大型化したり、ファンをケース内に組み込むための構造が複雑となっていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、装置全体の構造を小型化することができるアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、アクチュエータの出力シャフトを外部に引き出すアクチュエータケースの孔から流出するダストの拡散を防止する装置において、上記アクチュエータの出力シャフト引き出し孔を覆うアダプタをアクチュエータケースに装着し、このアダプタに、アダプタの内側空洞部に流出したダストをアダプタの内部空気とともに強制的に排気する排気装置を連結したことにある。
また、本発明は、アクチュエータの出力シャフトを外部に引き出すアクチュエータケースの孔から流出するダストの拡散を防止する装置において、上記出力シャフト引き出し孔が設けられたアクチュエータケース壁面に空洞部を設け、この空洞部に、空洞部の内部空気を強制的に排気する排気装置を連結したことにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、装置全体の構造を小型化することができるとともに、部品点数を最小限に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら、詳細に説明する。
図1はアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置を示す部分断面図である。
図1において、1はアクチュエータとしてのモータで、このモータ1はモータケース2の内部に、図示しないステータとともにロータ3が収納されている。このロータ3を支持する出力シャフト4がモータケース2に設けられた軸受け5を介して支持されている。
出力シャフト4は一端部をモータケース2のフランジ6に設けられた出力シャフト引き出し孔6aからモータケース2の外側に引き出されている。
【0009】
7はモータ1のフランジ6に組み付けられたダスト拡散防止装置で、このダスト拡散防止装置7はフランジ6に取り付けられるアダプタ8と、このアダプタ8の内部空気を排気する排気装置9とで構成されている。
【0010】
上記アダプタ8は、図2に示すように、モータ1のフランジ6に対応する平板状の本体10の内側に浅い円筒状の凹部10aを形成したもので、この凹部10aの底面10eの中心に出力シャフト4の引き出し孔10bが形成されている。本体10の四隅にはモータ1のフランジ6の取付穴(図示せず)に対応する孔10cが形成されている。アダプタ8は、この孔10cに図示しないねじを介してモータ1のフランジ6の取付穴に固定されている。本体10の一側には、外側に突出した、突片11が一体成形されており、この突片11の板面11aには上記本体10の肉厚部分を貫通して上記凹部10aの内壁面10dに一端12aを開口した排気通路12の他端12bが開口している。この排気通路12の他端12bには、排気装置9のホース13を連結するノズル14が設けられている。排気装置9はクリーンルームの外に設けられた吸引ポンプなどを介して凹部10aの内側を排気するものである。
【0011】
次に上記アクチュエータにおけるダスト拡散防止装置の作用を説明する。
アダプタ8をモータ1のフランジ6に取り付け、ノズル13に排気装置9のホースを接続する。そして、モータ1の作動と共に排気装置9を駆動する。排気装置9の駆動によってアダプタ8の凹部10a内がホース13を通して吸引される。こうして、モータ1の作動に伴ってモータ1内のダストが、出力シャフト4の引き出し孔10bを通してアダプタ8の凹部10aとモータ1のフランジ6との空洞部15に流出してきた場合、排気装置9の吸引力によって、ダストが空洞部15内の空気と共に室外に排気される。
【0012】
図3は、図2と同一部分は、同符号を付して示すアダプタの変形例で、この場合、アダプタ8の凹部10aの底面10eに、内壁面10dに沿って円弧状の突起部16a,16b,16cを円周方向に一定間隔を開けて連続するように形成したものである。突起部16a,16b,16cの高さは、内壁面10dの高さに合わせて形成され、突起部16a,16b,16c間の間隙17は、排気通路12の他端12bの開口位置Aからずれるように形成されている。空洞部15は、上記間隙17を通って内壁面10dと突起部16a,16b,16Cとの間に形成された通路18に連通している。
この変形例によると、出力シャフト4の引き出し孔10bから流出したダストは、空洞部15の突起部16a,16b,16cの内側に入り、各間隙17を通って内壁面10dと突起部16a,16b,16Cとの間の通路18に入り込む。そして、通路18を通って排気通路12の他端12bに達することになる。したがって、空洞部15内でダストが一箇所に集中することなく、均一に分散されて通路18を通って排気通路12から排気されることになる。
【0013】
図4は、本発明のダスト拡散防止装置の他の実施の形態で、図1と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この場合、アダプタ8は用いずに、モータ1のモータフランジ19自体にアダプタの機能を持たせたものである。
モータフランジ19は、内部に中空の空洞部20を形成したもので、この空洞部20に通じる通路21を、モータフランジ19の壁面19aに形成している。通路21の一端は、空洞部20に連通し、通路21の他端は外部に通じるモータフランジ19の壁面19bに開口している。そして、モータ1のモータフランジ19の空洞部20とモータケース2の内部とを仕切る壁面19cに軸受け5が設けられている。
【0014】
この実施の形態によると、モータフランジ19にアダプタの機能を持たせたので、部品点数の削減を図ることができる。
【0015】
本発明は、上記実施の形態のみに限定されるものではなく、例えば、モータのモータケース2内から流出するダストの排気について説明したが、油圧モータ、発電機あるいはボールねじなどの他のアクチュエータに適用できることは言うまでもない。また、アダプタは合成樹脂による一体成形でもよく、あるいは金属製でも良い。など、その他、本発明の要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施し得ることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態によるアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置を示す部分断面図である。
【図2】図1のアダプタを示す斜視図である。
【図3】図2のアダプタの変形例を示す斜視図である。
【図4】本発明の他の実施の形態によるアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置を示す部分断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 モータ(アクチュエータ)
2 モータケース
4 出力シャフト
5 軸受け
6 フランジ
7 ダスト拡散防止装置
8 アダプタ
9 排気装置
10 本体
10a 凹部
10b 引き出し孔
10c 孔
11 突片
12 排気通路
15、20 空洞部
16a,16b,16c 突起部
17 間隙
18、21 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータの出力シャフトを外部に引き出すアクチュエータケースの孔から流出するダストの拡散を防止する装置において、上記アクチュエータの出力シャフト引き出し孔を覆うアダプタをアクチュエータケースに装着し、このアダプタに、アダプタの内側空洞部に流出したダストをアダプタの内部空気とともに強制的に排気する排気装置を連結したことを特徴とするアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置。
【請求項2】
アクチュエータの出力シャフトを外部に引き出すアクチュエータケースの孔から流出するダストの拡散を防止する装置において、上記出力シャフト引き出し孔が設けられたアクチュエータケース壁面に空洞部を設け、この空洞部に、空洞部の内部空気を強制的に排気する排気装置を連結したことを特徴とするアクチュエータにおけるダスト拡散防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−187072(P2006−187072A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375735(P2004−375735)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000103792)オリエンタルモーター株式会社 (150)
【Fターム(参考)】