説明

アクチュエータ用伸縮メカニズム

【課題】伸縮具によって伸縮スリーブを駆動して伸縮可能であるアクチュエータ用伸縮メカニズムを提供する。
【解決手段】若干のスリーブを順次に嵌めて構成される伸縮スリーブと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ、前記伸縮スリーブの一端に固定されるモータと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ前記各スリーブと連接しており、複数のロッドから構成されるものであり、これらのロッドが二つずつ枢着されてX字形の枢着具を構成し、これらの枢着具が同じ方向に並んで枢着され、且つ前記各枢着具のロッドの一側の二つの端部が隣り合う枢着具のロッドの一側の二つの端部にそれぞれ枢着され、その一端にある二つの端部が前記モータに駆動されて対象物に近接したり離れたりすることが可能である伸縮具とを含むことを特徴とする、アクチュエータ用伸縮メカニズム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝動装置に係り、特に、アクチュエータ用伸縮メカニズムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米国特許第US6880416号に記載のアクチュエータは、三段式の伸縮スリーブの内部に、一つのモータと、三つのねじ軸とが設けてあり、前記三つのねじ軸が伸縮スリーブの各スリーブとそれぞれ連接しており、前記三つねじ軸が前記モータに駆動されて軸方向に移動可能であり、これにより伸縮スリーブは伸縮可能である。
【0003】
また、ヨーロッパ特許第EP0982018号に記載のアクチュエータは、三段式の伸縮スリーブの内部に、一つのモータと、一つのねじ軸と、一つのプーリーとが設けてあり、前記ねじ軸は、モータに駆動されて回転するようになり、プーリーを設けたスリーブを駆動して移動させ、また、前記プーリーが可能プーリー方式で別のスリーブを移動させ、これにより伸縮スリーブは伸縮可能である。
【特許文献1】米国特許第US6880416号
【特許文献2】ヨーロッパ特許第EP0982018号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の主な目的は、伸縮具によって伸縮スリーブを駆動して伸縮可能のアクチュエータ用伸縮メカニズムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた本願の発明は、若干のスリーブを順次に嵌めて構成される伸縮スリーブと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ、前記伸縮スリーブの一端に固定されるモータと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ前記各スリーブと連接しており、複数のロッドから構成されるものであり、これらのロッドが二つずつ枢着されてX字形の枢着具を構成し、これらの枢着具が同じ方向に並んで枢着され、且つ前記各枢着具のロッドの一側の二つの端部が隣り合う枢着具のロッドの一側の二つの端部にそれぞれ枢着され、その一端にある二つの端部が前記モータに駆動されて対象物に近接したり離れたりすることが可能である伸縮具とを含むことを特徴とする、アクチュエータ用伸縮メカニズムであることを要旨としている。
【0006】
本願の発明では、前記伸縮スリーブの最も外層にあるスリーブの内部にスライド通路が設けてあり、前記スライド通路の延長方向がこれらのスリーブの嵌め方向と垂直し、最も外層にあるスリーブの内部には、二つのギアと、一つの転向ギアと、二つのラックとが設けてあり、前記二つのギアが前記スリーブの内部に回転可能に枢着され、前記二つのギアにプーリーがそれぞれ同軸に設けてあり、前記転向ギアが前記スリーブの内部に回転可能に枢着され前記ギアのうちの一つと噛合っており、前記ラックは、前記スライド通路に摺動可能に設けられ、且つ前記転向ギアと噛合っている前記ギアの他のギアと、前記転向ギアとそれぞれ噛合っており、前記モータは、最も外層にあるスリーブの内部に固定され、その回転軸にプーリーが組み付けてあり、前記プーリーに二つのベルトが巻き付けてあり、前記二つのベルトが最も外層にあるスリーブの内部の二つのプーリーに巻き付けられ、且つ前記伸縮具の一端にある二つの端部が最も外層にあるスリーブの二つのラックにそれぞれ枢着されることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズムであることを要旨としている。
【0007】
本願の発明では、前記伸縮スリーブの最も内層にあるスリーブに長孔が開設してあり、前記長孔の伸び方向がこれらのスリーブの嵌め方向と垂直し、前記伸縮具の他端にある二つの端部のうちの一つが前記最も内層にあるスリーブに開設された長孔に貫入されて前記スリーブと連接することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズムであることを要旨としている。
【0008】
本願の発明では、これらのロッドは、二つずつ中央を枢着点として互いに枢着してX字形の枢着具を構成することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズムであることを要旨としている。
【0009】
本願の発明では、前記伸縮スリーブは、三つのスリーブを外から内へ順次に嵌めて構成されるものであり、前記伸縮具のこれらのロッドは、二つずつ中央を枢着点として互いに枢着してX字形の枢着具を構成し、前記伸縮具の中層にあるスリーブに対向する枢着具は、枢着点がシャフトにて前記スリーブに固定されることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズムであることを要旨としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のアクチュエータ用伸縮メカニズムによれば、伸縮具によって伸縮スリーブを駆動して伸縮可能である効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
まず、図1ないし図4を参照する。本発明のアクチュエータ用伸縮メカニズムは、一つの伸縮スリーブ10と、一つのモータ20と、一つの伸縮具30とを含む。
【0013】
前記伸縮スリーブ10は、三つのスリーブ11,12,13を外から内へ順次に嵌めて構成されるものであり、その最も外層にあるスリーブ11の内部にスライド通路111が設けてあり、前記スライド通路111の延長方向がこれらのスリーブ11,12,13の嵌め方向と垂直し、最も外層にあるスリーブ11の内部には、二つのギア112,113と、一つの転向ギア114と、二つのラック15,116とが設けてあり、前記二つのギア112,113が前記スリーブ11の内部に回転可能に枢着され、前記二つのギア112,113にプーリー112AA,113Aがそれぞれ同軸に設けてあり、前記転向ギア114が前記スリーブ11の内部に回転可能に枢着され前記ギア113と噛合っており、前記ラック115,116は、前記スライド通路111に摺動可能に設けられ、且つ前記ギア112と、前記転向ギア114とそれぞれ噛合っており、前記伸縮スリーブ10の最も内層にあるスリーブ13に長孔131が開設してあり、前記長孔131の伸び方向が三つのスリーブ11,12,13の嵌め方向と垂直する。
【0014】
前記モータ20は、伸縮スリーブ10の最も外層にあるスリーブ11の内部に固定され、その回転軸(図示せず)に一つのプーリー21が組み付けてあり、前記プーリー21に二つのベルトA1,A2が巻き付けてあり、前記二つのベルトA1,A2が最も外層にあるスリーブ11の内部の二つのプーリー112A,113Aに巻き付けられる。
【0015】
前記伸縮具30は、前記伸縮スリーブ10の内部に設けられ前記各スリーブ11,12,13と連接しており、複数のロッド31から構成されるものであり、これらのロッド31が二つずつ中央を枢着点311として互いに枢着してX字形の枢着具32を構成し、これらの枢着具32が同じ方向に並んで枢着され、且つ前記各枢着具32のロッド31の一側の二つの端部312が隣り合う枢着具32のロッド31の一側の二つの端部312にそれぞれ枢着され、その一端にある二つの端部312A,312Bが前記伸縮スリーブ10の最も外層にあるスリーブ11の内部に設けられた二つのラック115,116にそれぞれ枢着され、その他端にある二つの端部312C,312DのシャフトB1,B2がそれぞれスリーブ13にある貫通孔131に貫入されることにより、二つの端部312C,312Dがスリーブ13と連接するようになり、また、前記伸縮具30のスリーブ12に対向する枢着具32の枢着点311がシャフトB3によってスリーブ12に固定される。
【0016】
前記モータ20が運転しているときに、プーリー21が駆動されて二つのベルトA1,A2を作動して、二つのベルトA1,A2が二つのプーリー112A,113Aを連動するようになり、なお、二つのギア112,113が二つのプーリー112A,113Aと同期に回転しているときに、ギア112と噛合っているラック115が駆動されてスライド通路111を摺動し、且つギア113が転向ギア114を介してラック116を駆動してラック116がスライド通路111を摺動し、二つのベルトA1,A2が同じ方向に作動するので、二つの112A,113Aおよび二つのギア112,113も同じ方向に作動するようになるが、ギア112がラック115と噛合っており、且つギア113が転向ギア114を介してラック116と噛合っているので、ラック115とラック116との作動方向は互いに反対する。
【0017】
これにより、前記モータ20は、二つのラック115,116を駆動して対象物に近接したり離れたりすることが可能であり、且つ伸縮具30の二つの端部312A,312Bを駆動して対象物に近接したり離れたりすることが可能であり、そうすると、伸縮具30は延長または短縮することが可能であり、そして伸縮具30は、シャフトB3によりスリーブ12と連接し、二つの端部312C,312Dによりスリーブ13と連接し、だから、伸縮スリーブ10は伸縮具30と同期に伸縮可能であり、すなわち、二つの端部312A,312Bが互いに近接しているときに、伸縮スリーブ10および伸縮具30が同期に伸長し、なお、二つの端部312A,312Bが互いに離れているときに、伸縮スリーブ10および伸縮具30が同期に短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例の内部を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例の作動を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例のアクチュエータの伸縮を示す概略図である。
【符号の説明】
【0019】
10 伸縮スリーブ
11,12,13 スリーブ
111 スライド通路
112,113 ギア
112A,113A プーリー
114 転向ギア
115,116 ラック
131 貫通孔
20 モータ
21 プーリー
A1, A2 ベルト
30 伸縮具
31 ロッド
311 枢着点
312,312A,312B,312C,312D 端部
32 枢着具
B1, B2, B3 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
若干のスリーブを順次に嵌めて構成される伸縮スリーブと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ、前記伸縮スリーブの一端に固定されるモータと、前記伸縮スリーブの内部に設けられ前記各スリーブと連接しており、複数のロッドから構成されるものであり、これらのロッドが二つずつ枢着されてX字形の枢着具を構成し、これらの枢着具が同じ方向に並んで枢着され、且つ前記各枢着具のロッドの一側の二つの端部が隣り合う枢着具のロッドの一側の二つの端部にそれぞれ枢着され、その一端にある二つの端部が前記モータに駆動されて対象物に近接したり離れたりすることが可能である伸縮具とを含むことを特徴とする、アクチュエータ用伸縮メカニズム。
【請求項2】
前記伸縮スリーブの最も外層にあるスリーブの内部にスライド通路が設けてあり、前記スライド通路の延長方向がこれらのスリーブの嵌め方向と垂直し、最も外層にあるスリーブの内部には、二つのギアと、一つの転向ギアと、二つのラックとが設けてあり、前記二つのギアが前記スリーブの内部に回転可能に枢着され、前記二つのギアにプーリーがそれぞれ同軸に設けてあり、前記転向ギアが前記スリーブの内部に回転可能に枢着され前記ギアのうちの一つと噛合っており、前記ラックは、前記スライド通路に摺動可能に設けられ、且つ前記転向ギアと噛合っている前記ギアの他のギアと、前記転向ギアとそれぞれ噛合っており、前記モータは最も外層にあるスリーブの内部に固定され、その回転軸にプーリーが組み付けてあり、前記プーリーに二つのベルトが巻き付けてあり、前記二つのベルトが最も外層にあるスリーブの内部の二つのプーリーに巻き付けられ、且つ前記伸縮具の一端にある二つの端部が最も外層にあるスリーブの二つのラックにそれぞれ枢着されることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズム。
【請求項3】
前記伸縮スリーブの最も内層にあるスリーブに長孔が開設してあり、前記長孔の伸び方向がこれらのスリーブの嵌め方向と垂直し、前記伸縮具の他端にある二つの端部のうちの一つが前記最も内層にあるスリーブに開設された長孔に貫入されて前記スリーブと連接することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズム。
【請求項4】
これらのロッドは、二つずつ中央を枢着点として互いに枢着してX字形の枢着具を構成することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズム。
【請求項5】
前記伸縮スリーブは、三つのスリーブを外から内へ順次に嵌めて構成されるものであり、前記伸縮具のこれらのロッドは、二つづつ中央を枢着点として互いに枢着してX字形の枢着具を構成し、前記伸縮具の中層にあるスリーブに対向する枢着具は、枢着点がシャフトにて前記スリーブに固定されることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ用伸縮メカニズム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−92125(P2009−92125A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262842(P2007−262842)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(506171037)大銀微系統股▲ふん▼有限公司 (40)
【Fターム(参考)】