説明

アクティブマトリクス型表示装置用基板

【課題】耐熱性、透明性に優れ、ガラスに代替可能なアクティブマトリクス型表示装置用基板を提供する。
【解決手段】ソルベントキャスト法により製造することを特徴とする、ガラス転移温度が180℃以上であるポリカーボネート樹脂を基材としたアクティブマトリクス型表示装置用基板により達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は耐熱性、透明性に優れ、ガラスに代替可能なアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶表示素子や有機EL表示素子等の表示素子用基板(特にアクティブマトリクスタイプ)、カラーフィルター用基板、タッチパネル用基板、太陽電池用基板等としては、ガラス板が広く用いられている。しかし、割れ易い、曲げられない、比重が大きく軽量化に不向き等の問題から、近年、ガラス板の代わりにプラスチックを用いる試みが数多く行われるようになってきた。
【0003】
しかしながら、プラスチック基板は、光学特性の面においてはガラス基板に劣るといわざるを得ない。ガラスは本質的に光学等方的であるが、プラスチックの場合にはプラスチック基板の成形時に生じる分子配向や残留歪みと樹脂特有の光学弾性係数との相関から、レターデーションが生じるといった問題がある。
【0004】
このような課題を改良する為に、特許文献1では、複屈折を低減したビスフェノールAからなるポリカーボネートを用いたフィルムが提案されている。しかし、アクティブマトリクス表示素子基板等のガラス基板代替用に用いる場合、TFT素子の形成やITO電極のスパッタリングといった製造工程上、180℃以上の高温に耐える必要があるが、これら公報に記載されている材料のガラス転移温度は150℃と低いため、より耐熱性の高い樹脂基板が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−054614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は耐熱性、透明性に優れ、ガラスに代替可能なアクティブマトリクス型表示装置用基板を提供することにある。本発明のアクティブマトリクス型表示装置用基板は、アクティブマトリックスタイプを含む液晶表示パネル用基板、有機EL表示パネル用基板、タッチパネル用基板などの用途に適する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討を行った結果、高耐熱性、光学等方性を有する表示素子用基板を与えるポリカーボネートからなる基材を見出した。本発明のアクティブマトリクス型表示装置用基板はガラス基板を用いた場合と同様の表示品位を有するのみならず、ガラス基板以上の機械特性を有するものである。すなわち本発明は、ソルベントキャスト法により製造することを特徴とする、ガラス転移温度が180℃以上であるポリカーボネート樹脂を基材としたアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0008】
好ましい実施態様としては、基材において、面内レターデーション値が20nm以下であることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0009】
好ましい実施態様としては、基材において、ヘイズ値が1%以下である請求項1〜2記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0010】
好ましい実施態様としては、基材の厚みが30〜500μmであることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0011】
好ましい実施態様としては、溶媒は塩化メチレン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミドの群から選ばれる少なくとも一種の溶媒を使用したことを特徴とすることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0012】
好ましい実施態様としては、上記記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板からなることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアクティブマトリクス型表示装置用基板は、耐熱性が高くかつ十分な光学特性と機械特性を有することから、樹脂基板の特性を活かしつつ、ディスプレイの軽量化等の要求に対応可能である。従って、例えば、アクティブマトリクスタイプ(MIM型、TFT型)の液晶表示用基板、有機EL表示素子基板、タッチパネル用基板などに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、耐熱性、透明性に優れ、ガラスに代替可能なアクティブマトリクス型表示装置用基板に関する。
【0015】
(樹脂の説明)
本発明におけるアクティブマトリクス型表示装置用基板を構成するポリカーボネート系樹脂のガラス転移温度は180℃以上であり、より好ましくは190℃以上、さらに好ましくは200℃以上である。樹脂のガラス転移温度がこれより低いと、特に、アクティブマトリックス型の表示素子基板に用いた場合、TFT素子形成工程で変形やうねりが生じる恐れがある。
【0016】
ポリカーボネート樹脂とは、通常、二価フェノールとホスゲンまたはジフェニルカーボネート類等のカーボネート前駆体とを界面重縮合法、または溶融エステル交換法で反応させて得られるものであり、二価フェノールとしてビスフェノールAを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂が一般的である。この他、カーボネートプレポリマーを固相エステル交換法により重合させたもの、または環状カーボネート化合物を開環重合させたもの等も挙げられる。
【0017】
二価フェノールとしては、光学用透明樹脂としての性能を損なうものでなければ特に限定されるものではないが、たとえば、ビスフェノールA(2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン)の他にも、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4'−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル)フェニル}フルオレン、9,9−ビス{(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモ)フェニル}フルオレン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−o−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン、α,α'−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルケトン、および4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0018】
また、分子量を適切な範囲に調整したり、高分子鎖の水酸基末端を封止したりするために、一価フェノール化合物が併用されてもよい。この一価フェノールとしては、末端封止剤として機能する化合物であれば特に限定されるものではないが、たとえば、フェノール、4−tert−ブチルフェノール、および1−フェニル−1−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等が挙げられる。
【0019】
ここで用いられるポリカーボネートの粘度平均分子量は、10000以上、200000以下であれば好適に用いられる。粘度平均分子量15000〜120000が特に好ましい。粘度平均分子量が10000より低い樹脂を使用すると得られるフィルムの機械的強度が不足する場合があり,また400000以上の高分子量になるとドープの粘度が大きくなり過ぎ取扱い上問題を生じるので好ましくない。粘度平均分子量は市販の高速液体クロマトグラフィ等で測定することができる。
【0020】
ポリカーボネート系樹脂は、市販品を容易に入手することが可能であるが、ガラス転移温度180℃以上樹脂としては、たとえば、各々商品名で、「レキサン」(SABICイノベーティブプラスチックス社製)、「アペック」(以上、バイエル マテリアルサイエンス社製)等が挙げられる。
【0021】
本発明におけるアクティブマトリクス型表示装置用基板は、一般的には、溶融押出法、インフレーション法などの溶融成型法や、ソルベントキャスト法など公知のフィルム化方法により得ることができる。ソルベントキャスト法は生産性においては溶融押出し法に劣るものの、製膜されたフィルムに生ずる欠点の少なさの点では溶融押出し法に比較しはるかに優れている。ここで云う欠点とは主に外観欠点となる異物などの表面異常を云う。例えば、ダイライン、ゲル化物、フィッシュアイや炭化物は溶融押出しフィルム固有の欠点ということができ、本用途のように表示パネルの基板として使用するためには、かかる欠点が少ない事が望まれるために、ソルベントキャスト法によって製膜されたポリカーボネートフィルムを使用することが好ましい。
【0022】
ソルベントキャスト法に用いる溶剤は樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではない。例えば、ケトン類、エステル類、アミド類、アルコール類、炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類などの溶媒を用いることができる。ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが使用可能である。エステル類としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどが使用可能である。アミド類としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ホルムアミドなどが使用可能である。アルコール類としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、t−ブチルアルコールなどが使用可能である。炭化水素類として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用可能である。また環状炭化水素類としてシクロペンタン、シクロヘキサンが使用可能である。さらに芳香族炭化水素類としてベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどが使用可能である。ハロゲン化炭化水素類としてジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタンなどが使用可能である。これらの溶剤は、製膜時の溶剤蒸発挙動を制御したり、樹脂溶液の粘度を調整する目的で、2種以上を任意に組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明のフィルムをソルベントキャスト法により製造する場合、使用する溶剤は限定されないことは上述したとおりである。なかでも基材上に樹脂溶液を流延後、速やかに溶剤を除去できるという観点から沸点が100度未満の溶剤であることが好ましい。ジクロロメタンは沸点が低く、なおかつ、火災などに対する安全性も高いので好適に用いることができる。主溶剤としてジクロロメタンを使用した場合でも、溶剤の蒸発挙動を制御することや、樹脂溶液の粘度を調整する目的で2種以上の溶剤を併用することができる。
【0024】
本発明のフィルムをソルベントキャスト法にて製造する場合、用いる樹脂溶液の粘度は限定されない。樹脂溶液の25℃における粘度は、樹脂溶液を流延する際のレベリング性を良好に保つという観点から10.0Pa・s以下であり、好ましくは7.0Pa・s、更に好ましくは5.0Pa・s以下である。また樹脂溶液の粘度は、支持体上に樹脂溶液を流延した際に所定の厚みを保持するために、0.5Pa・s以上であることが好ましい。
【0025】
またアクティブマトリクス型表示装置用基板としては、例えば液晶表示パネルとして使用する場合、パネルの色相むらを少なくするために、面内のレターデーション値が20nm以下であり、好ましくは10nm以下、更に好ましくは5nm以下である。
【0026】
なおここで述べる面内レターデーション値は、可視光線の範囲である波長での測定値である事が必要であり、ポリカーボネート樹脂は屈折率の波長分散特性を有しているので、代表値として590nmの測定値とする。また面内レターデーション値および遅相軸の角度は良く知られている位相差測定装置で測定することができる。例えばシンテック社製のOPTIPRO等で簡便に測定することができる。ここで、ポリカーボネートフィルムの面内レターデーション値は、フィルムの面内の遅相軸と進相軸の屈折率の差である△nと、フィルムの厚さであるdとの積である△n・d(単位はnm)で表される。
【0027】
さらに基材のヘイズの値は1%以下が好ましい。ヘイズが大きい場合には表示品位の低下を招く場合が多い。したがってヘイズの値はより好ましくは0.5%以下である。原料とするポリマーも良く精製されたものを使用することが好ましい。さらに表面の微細な凹凸などもヘイズを高める作用があるため、平坦性が良く微細な表面粗れのないフィルムであることが好ましい。そしてこれらの処置によってポリマーフィルムのヘイズ値を、0.5%以下にすることが好ましい。
【0028】
本発明のアクティブマトリクス型表示装置用基板を構成する基材の厚みは30〜500μmが好ましい。30μmより薄い場合は基材の作製プロセスにおいてハンドリングが困難となるといった問題がある。500μmより厚い場合は、軽量であるという樹脂基材の特徴が失われるのみならず、視差が大きくなることによる表示品位の低下が生じ好ましくない。基材の厚みはより好ましくは70〜500μmである。
【0029】
本発明の複合体組成物中には、必要に応じ、透明性、耐溶剤性、耐熱性等の特性を損なわない範囲で、熱可塑性又は熱硬化性のオリゴマーやポリマー又は可塑剤を併用してよい。
【0030】
また、本発明のプラスチック基板など複合体組成物中には、必要に応じて、透明性、耐溶剤性、耐熱性等の特性を損なわない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、他の無機フィラー等の充填剤等を配合してもよい。
【0031】
本発明の表示パネル用基板フィルムは、耐熱性が高くかつ十分な光学特性を有する。従って樹脂基板の特徴を生かしつつ、アクティブマトリックスタイプを含む液晶表示パネル用基板、有機EL表示パネル用基板、タッチパネル用基板などの用途に適する。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0033】
(フィルム厚み)
アンリツ社製の接触式厚み測定機により、0.1μm単位まで測定した。
【0034】
(ガラス転移温度)
セイコーインスツル社製、示査走査計DSC220Cにより、JIS K−7121に記載の方法により、窒素フロー下、昇温速度10℃/分の条件にて測定した。
【0035】
(面内レターデーション値:Reおよび厚み方向レターデーション値:Rthの測定)
4cm×4cmの試験片を切り出し、この試験片を自動複屈折計(シンテック社製のOPTIPRO)を用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0°で面内位相差:Reを測定した。接触式厚み計(アンリツ社製)を用いて測定した試験片の厚みd、及び、アッベ屈折計(アタゴ社製 3T)で測定した屈折率n、自動複屈折計で測定した波長590nm、面内レターデーション値:Reおよび40°傾斜方向の位相差値から3次元屈折率nx、ny、nzを求め、厚み方向レターデーション値:Rth={(nx+ny)/2−nz}×dを計算した。
【0036】
(ヘイズならびに全光線透過率)
日本電色工業製積分球式ヘイズメーター300Aにより、JIS K−710 5
記載の方法により測定した。
【0037】
(線膨張係数)
ダイヤモンドカッターで、5×5mmにカットした硬化物をセイコーインスツル社製TMA120Cを用いて、圧縮モード、3gf荷重、昇温速度10℃/分にて、1st−Scanは20℃〜220℃、2nd−Scanは0℃〜220℃にて線膨張係数の測定を2回行い、2nd−Scanでの20℃−180℃における線膨張係数の平均値を平均線膨張係数とした。
【0038】
(熱分解温度)
質量分析装置(セイコーインスツル社製、TG/DTA220)を用い、得られたフィルムサンプルを試料容器に入れ、下記条件にて重量変化を測定し、JIS K7120で定義される開始温度を熱分解温度とした。
測定温度範囲:30℃〜600℃
昇温速度 :20℃/分
測定雰囲気 :窒素、流量200mL/分
試料容器 :アルミパン
試料量 :10mg
(加熱重量減少)
質量分析装置(セイコーインスツル社製、TG/DTA220)を用い、得られたフィルムサンプルを資料容器に入れ、180℃、1時間保持した際の質量減少率を算出した。
【0039】
(表面粗さの測定)
JIS B0601:2001に準拠し、走査型プローブ顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製SPA−400)及びデータ解析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製NanoNaviステーション)を用いて、表面粗さを測定した。測定モードはダイナミック・フォース・モード(DFM)とし、スキャナーはSPA400−PZTFS150N、カンチレバーはSI−DF40を用いた。測定サンプルは5×5mmに切り出し、両面テープで試料台に貼り付け固定する。測定面積は50×50μmとした。測定後、データ解析装置を用いて、平均面粗さ(Ra)を求め、N=3の平均値を測定値とした。
【0040】
(引張特性)
得られたフィルムサンプルを、JIS K7113に準拠し、引張伸びおよび弾性率を測定した。
【0041】
(耐溶剤性試験)
3cm×3cmの試験片を切り出し、この試験片を表3に示す各種溶剤に、25℃、24時間浸漬させた。試験後、溶媒に不溶であったものを○、溶解したものを○として評価した。
【0042】
(実施例1)
240gのポリカーボネート樹脂(アペック2097、バイエル マテリアルサイエンス社製)を560gの塩化メチレンに投入し1200rpmで1時間攪拌溶解した。樹脂を溶解後、得られた樹脂溶液を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと書く)上に流延後、乾燥後厚みがおよそ40μmとなるように、ただちにバーコーターで均一な膜状に塗布した。40℃の乾燥雰囲気下で5分、80℃の乾燥雰囲気下で5分、105℃の乾燥雰囲気下で3分乾燥させ、塩化メチレンを除いた。乾燥後、得られたフィルムをPETフィルムより剥離した。得られたフィルムを500mm×300mmアルミ製の枠に固定し110℃の乾燥雰囲気にて15分乾燥させ、残存塩化メチレンを除き、実施例1とした。得られたフィルムに関し、フィルム厚み、ガラス転移温度、面内レターデーション値、ヘイズ、全光線透過率を測定し、表1に示した。また、線膨張係数、熱分解温度、加熱重量減少、厚み方向のレターデーション値:Rth、表面粗さ、引張特性、屈折率を測定し、表2示した。また、耐溶剤試験の結果を表3に示した。
【0043】
(実施例2)
240gのポリカーボネート樹脂(アペック9379、バイエル マテリアルサイエンス社製)を560gの塩化メチレンに投入し1200rpmで1時間攪拌溶解した。樹脂を溶解後、得られた樹脂溶液を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと書く)上に流延後、乾燥後厚みがおよそ50μmとなるように、ただちにバーコーターで均一な膜状に塗布した。40℃の乾燥雰囲気下で5分、80℃の乾燥雰囲気下で5分、105℃の乾燥雰囲気下で3分乾燥させ、塩化メチレンを除いた。乾燥後、得られたフィルムをPETフィルムより剥離した。得られたフィルムを500mm×300mmアルミ製の枠に固定し110℃の乾燥雰囲気にて15分乾燥させ、残存塩化メチレンを除き、実施例2とした。得られたフィルムに関し、フィルム厚み、ガラス転移温度、面内レターデーション値、ヘイズ、全光線透過率を測定し、表1に示した。
【0044】
(実施例3)
240gのポリカーボネート樹脂(アペック1803、バイエル マテリアルサイエンス社製)を560gの塩化メチレンに投入し1200rpmで1時間攪拌溶解した。樹脂を溶解後、得られた樹脂溶液を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと書く)上に流延後、乾燥後厚みがおよそ50μmとなるように、ただちにバーコーターで均一な膜状に塗布した。40℃の乾燥雰囲気下で5分、80℃の乾燥雰囲気下で5分、105℃の乾燥雰囲気下で3分乾燥させ、塩化メチレンを除いた。乾燥後、得られたフィルムをPETフィルムより剥離した。得られたフィルムを500mm×300mmアルミ製の枠に固定し110℃の乾燥雰囲気にて15分乾燥させ、残存塩化メチレンを除き、実施例3とした。得られたフィルムに関し、フィルム厚み、ガラス転移温度、面内レターデーション値、ヘイズ、全光線透過率を測定し、表1に示した。
【0045】
(実施例4)
240gのポリカーボネート樹脂(XHT4141、SABICイノベーティブプラスチックス社製)を560gの塩化メチレンに投入し1200rpmで1時間攪拌溶解した。樹脂を溶解後、得られた樹脂溶液を二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下PETフィルムと書く)上に流延後、乾燥後厚みがおよそ40μmとなるように、ただちにバーコーターで均一な膜状に塗布した。40℃の乾燥雰囲気下で5分、80℃の乾燥雰囲気下で5分、105℃の乾燥雰囲気下で3分乾燥させ、塩化メチレンを除いた。乾燥後、得られたフィルムをPETフィルムより剥離した。得られたフィルムを500mm×300mmアルミ製の枠に固定し110℃の乾燥雰囲気にて15分乾燥させ、残存塩化メチレンを除き、実施例4とした。得られたフィルムに関し、フィルム厚み、ガラス転移温度、面内レターデーション値、ヘイズ、全光線透過率を測定し、表1に示した。
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
本発明のフィルムである実施例1〜4は、充分な耐熱性ならびに光学特性を有することから、アクティブマトリクス型表示装置用基板として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソルベントキャスト法により製造することを特徴とする、ガラス転移温度が180℃以上であるポリカーボネート樹脂を基材としたアクティブマトリクス型表示装置用基板。
【請求項2】
基材において、面内レターデーション値が20nm以下である請求項1記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板。
【請求項3】
基材において、ヘイズ値が1%以下である請求項1または2記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板。
【請求項4】
基材の厚みが30〜500μmである請求項1〜3のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板。
【請求項5】
溶媒は塩化メチレン、メチルエチルケトン、ジメチルアセトアミドの群から選ばれる少なくとも一種の溶媒を使用したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のアクティブマトリクス型表示装置用基板からなることを特徴とするアクティブマトリクス型表示装置。

【公開番号】特開2012−128242(P2012−128242A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280435(P2010−280435)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】