説明

アクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法

【課題】状況の変化に従って能動的に映像焦点を調節することができるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法を提供する。
【解決手段】マトリクス状の複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルのそれぞれに左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている映像ディスプレイ部と、相互交差するように設けられた第1の透明電極層と第2の透明電極層を通じてタッチ位置を感知し、レンズアレイを介して前記映像ディスプレイ部から出力される映像を光の屈折率によって左眼用映像と右眼用映像とに分離するタッチ感知部と、前記レンズアレイを制御して焦点距離を調節するレンズ駆動制御部と、を含むアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、立体映像ディスプレイに係り、より詳しくは、タッチ機能を有するアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
裸眼式の立体映像技術は、人間の両眼の視差現象を利用して実現することができる。両眼の視差を利用するためには、左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが区分されたディスプレイ素子と、左眼用映像と右眼用映像とを独立してディスプレイするための映像フィルターが使用される。一般に、裸眼式の立体映像のための映像フィルターとしては、パララックスバリア(Parallax Barrier)、レンチキュラレンズ(Lenticular Lens)などが使用される。
【0003】
図1(a)は、レンチキュラレンズを利用した従来の立体映像装置を示す図であって、ディスプレイ素子11とレンチキュラレンズ12とを光学用接着剤(OCA:Optically Clear Adhesive)13にて接合した形態である。
【0004】
図1(b)は、静電容量方式タッチスクリーンの概略的な断面構造を示す図である。タッチスクリーンの場合、概して透明電極層31、32が蒸着された2枚の透明フィルム21、22と、保護フィルム51とを具備する。各フィルムは、光学用接着剤41、42を介して接合されている。
【0005】
裸眼式の立体映像とタッチ機能とを同時に実現したい場合は、図1の立体映像部分と図2のタッチ部分とを一緒に搭載しなければならない。裸眼式の立体映像ディスプレイでは、左眼用と右眼用とに区分して映像をディスプレイするため、同一サイズの2次元ディスプレイ素子に比べ、水平解像度が半分に落ちることとなり、画質の劣化が生じてしまう。このように原理的に画質の劣化現象が必然的に発生する裸眼式の立体映像ディスプレイにタッチスクリーンを取り付けると、画質がさらに低下することはもちろんのこと、ディスプレイ装置の全体的な厚みが増大し、材料費や精密な組み立てに伴う製造コストが増すなどの不利益が生じてしまう。
【0006】
また、パララックスバリア、レンチキュラレンズなどの裸眼式の立体映像技術では、いずれも一つの焦点領域を持っていて、固定された焦点距離において立体映像が表示され、ユーザが最適の距離と視点から映像を視聴しなければならず、ユーザの位置が変わると、高画質の立体映像及び高い立体効果を持続的に提供しにくいという不具合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであって、その目的は、状況の変化に従って能動的に映像焦点を調節することができるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、立体映像を実現するための映像フィルター部分とタッチ機能を実現する部分とを一体化することで全体的な厚みを薄くしてスリム化し、タッチ機能の搭載に伴って予想される画質の劣化を防止することができるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、上述した技術的課題に限定されるものではなく、言及していないその他の本発明が解決しようとする技術的課題については、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者ならば後述する内容から明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、マトリクス状の複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルのそれぞれに左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている映像ディスプレイ部と、相互交差するように設けられた第1の透明電極層と第2の透明電極層を通じてタッチ位置を感知し、レンズアレイを介して前記映像ディスプレイ部から出力される映像を光の屈折率によって左眼用映像と右眼用映像とに分離するタッチ感知部と、前記レンズアレイを制御して焦点距離を調節するレンズ駆動制御部と、を含む。
【0011】
本発明に係るアクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、マトリクス状の複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルのそれぞれには左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている映像ディスプレイ部と、前記映像ディスプレイ部の上側に位置し、相互交差するようにマトリクス状に配置された第1の透明電極層と第2の透明電極層を通じてタッチ位置を感知し、レンズアレイを介して前記映像ディスプレイ部から出力される映像を左眼用映像と右眼用映像とに分離するタッチ感知部と、前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させたり、前記レンズアレイの曲率半径を変化させたりして焦点距離を調節するレンズ駆動制御部、及びユーザからの距離を測定するセンサ部と、を含む。
【0012】
本発明に係るアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法は、左眼用映像と右眼用映像を含む立体映像を表示するステップと、ユーザ入力のタッチ位置を感知するステップと、前記左眼用映像と前記右眼用映像とを分離するステップ、及びレンズアレイによって提供される焦点距離を調節するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法によれば、状況の変化に従って能動的に映像焦点を調節することができる。
【0014】
また、本発明のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法によれば、立体映像を実現するための映像フィルター部分とタッチ機能を実現する部分とを一体化することで全体的な厚みを薄くしてスリム化し、タッチ機能の搭載に伴って予想される画質の劣化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の立体映像ディスプレイ及びタッチスクリーンの構造を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の分解斜視図である。
【図3】図2の矢視I−I’の断面図である。
【図4】本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置がレンズアレイの位置を制御して焦点距離を調節する場合の動作を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置内のレンズアレイの曲率半径を制御する動作を示す図である。
【図6】図5を利用して焦点距離を調節する動作を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置がユーザとの間の距離を測定する動作を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照して本発明の好適な実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置及びその駆動方法について詳細に説明する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の分解斜視図であり、図3は、図2の矢視I−I’の断面図である。
【0018】
一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、映像を出力する映像ディスプレイ部110と、タッチ感知部120と、レンズ駆動制御部130、及び保護層140と、を含む。
【0019】
図2における映像ディスプレイ部110は、LCD(Liquid Crystal Display)パネル、OLED(Organic Light Emitting Diode)パネルなどのディスプレイ素子であって、マトリクス状に配置されたピクセルを含んでなる。
【0020】
映像ディスプレイ部110には、所定の方向に左眼用ピクセルラインと右眼用ピクセルラインとが交差して位置し、それぞれのピクセルには交互に配置された左眼用ピクセル及び右眼用ピクセルが含まれる。
【0021】
映像ディスプレイ部110は、左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとからそれぞれ異なる分離された映像を出力することで、人の両眼が互いに異なる映像を見ることができるようにし、ユーザが両眼で感じる別々の映像により立体映像を認識することができるようにする。
【0022】
映像ディスプレイ部110から出力される映像は、レンズアレイ122を通過しながら左眼方向へのものと右眼方向へのものとに分離されて立体効果を生成するようになる。
【0023】
映像ディスプレイ部110の上側に位置するタッチ感知部120は、タッチ位置を感知する。例えば、上記タッチ感知部120は、相互に交差する向きに設けられた第1の透明電極層121と第2の透明電極層123とを通じてタッチ位置を感知する。また、第1の透明電極層121と第2の透明電極層123とは、レンズアレイ122を介して映像ディスプレイ部110から出力される映像を光の屈折率によって左眼用映像と右眼用映像とに分離する。
【0024】
例えば、タッチ感知部120は、互いに離間している第1の透明電極層121及び第2の透明電極層123と、第1の透明電極層121と第2の透明電極層123とで挟まれたレンズアレイ122を一体化してなる構造を有していてよく、このような構造によりタッチ機能と映像フィルター機能とを同時に実現することができる。
【0025】
一実施形態において、タッチ感知部120は、透光性のレンズアレイ122の両面に相互に交差する向きで蒸着された第1、第2の透明電極層121、123によって静電容量式タッチスクリーン機能を提供する。すなわち、タッチ感知部120は、ユーザの接触時に所定の間隔を隔てて互いに離間している第1の透明電極層121と第2の透明電極層123との間での静電気、電流の変化を感知することでタッチ位置を感知する。
【0026】
このような構造によれば、左眼用映像と右眼用映像とを分離して立体映像を実現するための映像フィルター部分とタッチ機能を実現する部分とが一体化することから、必要な層数が減少し、かつ全体的な層構造が単純になり、駆動が容易となる。また、一体化した構造によって透明導電物質の支持体として使用される透明フィルムの使用を排除できることで、全体的な厚みを薄くし、透明フィルムの使用による画質の劣化を改善することができる。
【0027】
第1の透明電極層121と第2の透明電極層123とのパターンは、ユーザ入力時にタッチ位置を決定できるようにマトリクス状のパターンに形成してもよい。例えば、第1の透明電極層121のパターンは縦方向に、第2の透明電極層123のパターンは横方向に形成され、相互に交差するように形成されてもよい。
【0028】
レンズアレイ122は、光の屈折現象を用いた光学的構造の映像フィルターであって、映像ディスプレイ部110を介して出た映像を左眼用ピクセルからの左側映像と右眼用ピクセルからの右側映像とに分離して左眼用映像と右眼用映像を表示可能とする。レンズアレイ122は、光の屈折を用いることから、映像ディスプレイ部110の左眼用ピクセルと右眼用ピクセル、レンズのサイズ、形状、距離などの複合的な要素を考慮して設計される。映像ディスプレイ部110は、左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとを別々に作動する方式を採用し、映像コンテンツもまた、立体映像のための別途の製作が必要である。文字のように立体映像が不要な2次元映像を表示するときは、左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとに同一の映像を表示する。
【0029】
レンズアレイ122を構成する各レンズの円形半球は、下側に位置した映像ディスプレイ部110の左眼用ピクセル及び右眼用ピクセルと一致するように配置することで左眼用映像と右眼用映像とが各レンズを介して正確に立体映像として表示されるよう、分離できるようにする。
【0030】
裸眼式の立体映像を実現するためのレンズアレイ122として、凸レンズタイプまたは凹レンズタイプのレンチキュラレンズを使用することができ、特に、形状の変化や位置の変化によって立体映像の焦点の調節が可能な構造を適用することができる。
【0031】
レンズ駆動制御部130は、タッチ感知部120に搭載されたレンズアレイ122を制御してレンズアレイ122の形状の変化や位置の変化によって立体映像の焦点の距離を調節する。従来は、固定された半球状のレンズによって光の透過率が変化することで限定された視点から立体映像を視聴することができる一つの焦点領域が形成されていた。これと異なり、一実施形態においては、レンズ駆動制御部130によって映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122間の距離を調節したり、レンズアレイ122を構成するレンズの曲率半径を変化させたりすることで、多重焦点を実現し、ユーザとの距離に応じて立体映像の焦点の距離を調整することができる。これとは異なり、レンズアレイ122を構成するレンズの曲率半径を変化させることで類似の効果を得ることも可能である。
【0032】
保護層140は、保護フィルムや保護ガラスの形態でタッチ感知部120の上部を覆うように設けられる。例えば、保護層140は、保護フィルム、保護ガラス、またはこれらと類似の形態の保護部を含むことができる。また、保護層140は、タッチ入力時に加えられる押圧力によってレンズアレイ122上の半球レンズが押し付けられることでその外形が変形または破損されないように、上記レンズと所定の距離を隔てて設けられてよい。実施形態によっては、保護層140は排除され、または他の素材に置き換えられてもよい。
【0033】
図4は、本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置がレンズアレイの位置を制御して焦点距離を調節する場合の動作を示す図である。
【0034】
映像ディスプレイ部110の左眼用ピクセル及び右眼用ピクセルと、レンズアレイ122との間の距離で表示される立体映像がレンズアレイ122を通過し、ユーザは、レンズアレイ122とユーザとの間の固定された位置における視点から立体映像を視聴することができる。
【0035】
一実施形態において、レンズ駆動制御部130(図4には図示せず)は、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間隔(距離)を調節して立体映像の焦点を調整する。映像ディスプレイ部110は、左眼用ピクセル112と右眼用ピクセル111とから構成されている。
【0036】
図4は、ユーザの視点の位置がXからX’に変化した場合を例示する図である。図4に示すように、ユーザの視点の位置がXからX’に変化してユーザの視点の位置が距離bだけレンズアレイ122へと近づいた場合、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離を調節して立体映像の焦点距離を調節してもよい。その距離をAからA+aへと長くすると、レンズアレイ122からユーザの視点までの距離は、B−bとなる。視点の位置がXからX’へと変化したことと、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離をAからA+aとすることにより、レンズアレイ122からユーザの視点までの距離は、BからB−bへと短くなり、映像ディスプレイ部110と立体映像が表示される視点までの全体焦点距離もまた、LからL−bへと短くなり、立体映像の焦点距離をX’の視点の位置へと合わせることができる。
【0037】
また、これとは異なり、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離をAからA−aへと短くすると、全体焦点距離は、例えばLからL+bというように、距離が長くなり、立体映像の焦点距離を長くすることができる。例えば、レンズアレイ122とユーザとの距離がBからB+bへと長くなる場合に、映像ディスプレイ部110のピクセルとレンズアレイ122との間の距離をAからA−aに短くすることで、立体映像の焦点距離を長くくして、ユーザへと最適の立体映像の焦点距離を提供することができる。
【0038】
このような内容は、数1により計算可能であり、また数1から数2を求めることができる。
【数1】


【数2】

【0039】
上記数1、数2中、Aは、映像ディスプレイ部110からレンズアレイ122までの距離を表し、Bは、レンズアレイ122から立体映像が結像される地点までの焦点距離(視聴距離)を表し、Lは、映像ディスプレイ部110から立体映像が結像される地点までの焦点距離を表す。rは、レンズアレイ122内のレンズの曲率半径を表し、これは、ユーザの位置や映像ディスプレイ110とレンズアレイ122との間の間隔とは関係がない固定された値である。レンズ駆動制御部130は、最適の立体映像を表示できるように自動で、あるいはユーザ入力に連動したユーザからの要求によってAの値を調節することができる。
【0040】
上記数1、数2により、レンズ駆動制御部130を利用して映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間における初期の距離Aを距離A−aへと短くした場合に数1及び数2によりBを算出すると、初期の距離Aに対応する視聴距離Bから、A−aに対応する視聴距離であるより長い距離(仮に、長くなった距離をbとする)となり、視聴距離が初期の距離Bから距離B+bへと長くなることが分かる。したがって、レンズアレイ122の下方に、このような原理を利用したレンズ駆動制御部130をさらに配置してAを調節すると、ユーザが所望の距離から立体映像を視聴することができる。
【0041】
このように、レンズ駆動制御部130は、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の間隔を変化させてレンズアレイ122の焦点距離を調節することができる。例えば、レンズ駆動制御部130は、ユーザとの距離が所定の基準値よりも遠くなると、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の間隔を短くすることで焦点距離を長くし、ユーザとの距離が基準値よりも近くなると、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の間隔を長くすることで焦点距離を短くする。
【0042】
レンズ駆動制御部130は、薄膜モータを利用してレンズアレイ122の位置を変化させてもよい。例えば、レンチキュラレンズは、薄膜モータを使用した微細制御が可能である。薄膜モータは、半導体工程において用いられる蒸着及びエッチング技術を利用してMEMS(Microelectromechanical Systems)工法にてモータの回転軸と磁場コイルを薄膜状に構成することで実現可能である。薄膜モータの回転運動は、ギア形状の部材における上/下運動に力の向きを変えてレンチキュラレンズを微細駆動できる。
【0043】
また、レンズ駆動制御部130は、印加される電気信号に応じて収縮及び膨張する量が変わる圧電フィルムを利用してレンズアレイ122の位置を変化させてもよい。例えば、レンチキュラレンズに収縮及び膨張する方向の異なる2枚の圧電フィルムを貼り付けてから電圧を印加すると、フィルムの膨張方向に物理的な変形が生じ、印加する電圧の変化に応じて収縮/膨張する量を調節することができるため、レンチキュラレンズの微細調節が可能となる。
【0044】
または、図示していないが、映像ディスプレイ部110の位置を移動させたり、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間隔を調節したりするために、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との組み合わせ自体を移動させてもよい。
【0045】
図5は、本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置内のレンズアレイの曲率半径を制御する動作を示す図である。
【0046】
レンズアレイ122は、各レンズの曲率半径を可変にするために形状記憶高分子(shape Memory Polymer)またはこれと同じ機能を持つ多機能物質(Smart Material)を利用して実現可能である。このような特殊な材料は、必要に応じて、電気、温度、圧力、湿度、磁場などの外的条件を材料に与える強さ又は量を示す制御値の大小に応じて変形できる。
【0047】
図5においては、上記制御値の変化によるレンズの形状変化を例示する図である。制御値が大きいほど、材料に与えられる外的条件の強さ又は量が大きいことを示す。具体的に、図5(a)は、制御値が初期値である初期状態、図5(b)は、(a)よりも大きな所定の制御値により外的条件を与えることでレンズの半球形状を緩やかにした場合、図5(c)は、制御値が最大となる外的条件を与えた場合である。
【0048】
半球形状の曲率半径が小さくなるほど焦点距離は長くなり、逆に曲率半径が大きくなるほど立体映像の焦点距離は短くなる。レンズ駆動制御部130は、ユーザとの距離が所定の基準値よりも遠くなると、レンズアレイ122の曲率半径を小さくし、緩やかな面を有する形状に変形させることで焦点距離を長くし、ユーザから映像ディスプレイ部110までの距離が上記基準値よりも近くなると、レンズアレイ122の曲率半径を大きくし、急峻な面を有する形状に変形させることで焦点距離を短くする。
【0049】
このように、レンズ駆動制御部130は、レンズアレイ122の曲率半径を変化させることでレンズアレイ122の焦点距離を調節することができる。すなわち、レンズが持つ半球状の形状を調節して多重焦点領域を有するようにし、立体映像の焦点距離を調節することで、ユーザの要求に応じて能動的に映像焦点が調節される立体映像ディスプレイを実現する。ユーザは、アクティブ型立体映像ディスプレイ装置の入力部、すなわち、ボタンやタッチ入力などによって単一焦点を多重焦点方式に切り替えることができる。
【0050】
図6は、図5を利用して焦点距離を調節する動作を示す図であって、外的条件の制御値の大きさに応じて形状が変化するレンズアレイ122の動作を示している。ユーザの視点が、図6(a)のXから図6(b)のX’に変化する場合を例示する。
【0051】
上述したように、レンズアレイ122は、外的条件の制御値の大きさに応じて物質の形状が変化する形状記憶高分子または多機能物質により形成されたものであればよい。このような素材からなるレンズアレイ122は、ユーザの操作によって、または測定されたユーザとの距離に応じて自動で半球状の形状を変化させてもよい。レンズ駆動制御部130は、ユーザの視点を考慮して最適の立体映像が表示できるように、レンズの半球形状が持つ曲率半径の値を増加または減少させる。
【0052】
図6(a)を参照すると、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離がAで、レンズアレイ122のレンズ曲率半径がRである場合、レンズアレイ122からユーザ視点までの距離はBで、映像ディスプレイ部110から立体映像が表示される視点までの全体焦点距離はLである。
【0053】
ユーザの視点がXからX’に移動した場合、レンズ駆動制御部130は、焦点距離を長くするために、Aは固定した状態でレンズアレイ122の曲率半径をRからrへと変化させてより緩やかな面を有する形状に変化させてもよい。このような場合、図6(b)に示すように、レンズアレイ122からユーザ視点までの距離がB+bへと長くなり、映像ディスプレイ部110から立体映像が表示される視点までの全体焦点距離がLからL+bに長くなることで焦点距離が長くなるようになる。逆に、レンズアレイ122の曲率半径を大きくすると、全体焦点距離がLからL−bへと短くなることから、立体映像の焦点距離を短くすることができる。
【0054】
図7は、本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置がユーザとの間の距離を測定する動作を示す図である。
【0055】
アクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、ユーザの位置を感知するためのセンサ部150をさらに搭載したり、その他、距離を算出することができる方式を利用したりして自動で焦点を調整してもよい。センサ部150を搭載した場合、レンズ駆動制御部130は、センサ部150によって測定された立体映像ディスプレイ装置とユーザとの間の距離に応じてレンズアレイ122の焦点距離を変化させる。センサ部150は、距離センサ、光学センサなどを搭載し、ユーザの視点とアクティブ型立体映像ディスプレイ装置との間の距離をリアルタイムで測定する。
【0056】
アクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、ユーザの操作によって立体映像が映し出される焦点距離を調整してもよい。また、センサ部150とレンズ駆動制御部130とを連動して自動でユーザと映像ディスプレイ部110との間の距離を測定して、測定された距離に応じて自動で焦点距離を調整してもよい。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態によるアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法を示すフローチャートである。便宜上、図8は、当該駆動方法を上述したアクティブ型立体映像ディスプレイ装置において実行することを説明する。しかし、上記方法は、これに限られず、上述したアクティブ型立体映像ディスプレイ装置以外においても実行可能である。
【0058】
例えば、アクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、映像ディスプレイ部110及びその上側のタッチ感知部120によって左眼用映像と右眼用映像とに分離した立体映像を表示する(ステップS110)。
【0059】
上述したように、映像ディスプレイ部110は、マトリクス状のピクセルを含み、各ピクセルには左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている構造を有する。
【0060】
タッチ感知部120は、相互交差するように設けられた第1の透明電極層121と第2の透明電極層123を通じてタッチ位置を感知するとともに、レンズアレイ122を介して映像ディスプレイ部110から出力される映像を光の屈折率によって左眼用映像と右眼用映像とに分離するように構成される。さらには、タッチ感知部120は、互いに向き合う第1の透明電極層121と第2の透明電極層123とでレンズアレイ122を挟んで設けられており、立体映像のための映像フィルター機能と、タッチ入力のための静電容量式タッチスクリーン機能とを同時に実現することができる。
【0061】
また、アクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、レンズ駆動制御部130によってタッチ感知部120に搭載されたレンズアレイ122を制御して焦点距離を調節する(ステップS120)。焦点距離の調節ステップ(S120)においては、アクティブ型立体映像ディスプレイ装置は、先ず、内部に搭載されたセンサ部150あるいはその他、距離算出が可能な方式によってユーザとの距離を測定する(ステップS121)。測定されたユーザとの距離が所定の基準値を超えると(ステップS122)、レンズ駆動制御部130がレンズアレイ122を制御して焦点距離を長くする(ステップS123)。ステップS121において測定されたユーザとの距離が基準値未満であると(ステップS122)、レンズ駆動制御部130がレンズアレイ122を制御して焦点距離を短くする(ステップS124)。
【0062】
焦点距離の調節ステップ(ステップS120)においては、レンズ駆動制御部130は、映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の間隔を変化させてレンズアレイ122の焦点距離を調節してもよい。また、レンズアレイ122の曲率半径を変化させてレンズアレイ122の焦点距離を調節してもよい。例えば、ユーザとの距離が遠くなった場合、レンズ駆動制御部130がレンズアレイ122の曲率を緩やかにするか、または映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離を縮めるかの、2つの方法を組み合わせて焦点距離を長くしてもよい。逆に、ユーザとの距離が近くなった場合、レンズ駆動制御部130がレンズアレイ122の曲率を大きくするか、または映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の間隔を長くするかの、2つの方法を組み合わせて焦点距離を減らしてもよい。
【0063】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者ならば、本発明がその技術的思想や必須な特徴を変更せずに他の具体的な形態で実施できるということが理解できるであろう。
【0064】
例えば、各構成の位置を変化させて焦点距離を調節する方式において、レンズアレイ122に代えて、映像ディスプレイ部110の位置を変化させて映像ディスプレイ部110とレンズアレイ122との間の距離を調節してもよい。また、距離の調節及び曲率半径の調節という2つの方式は独立して、あるいは相互組み合わせて用いてもよい。レンズアレイ122を駆動して位置及び形状を複合的に変化させる方式の場合には、焦点距離を修正する時間を短縮できるという長所がある。
【0065】
したがって、以上で記述した実施形態は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に対して発明の技術的範囲を的確に知らせるために提供されるものであり、すべての面において例示的なものであって、限定的なものではないと理解すべきであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0066】
110 映像ディスプレイ部
111 右眼用ピクセル
112 左眼用ピクセル
120 タッチ感知部
121 第1の透明電極層
122 レンズアレイ
123 第2の透明電極層
130 レンズ駆動制御部
140 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス状の複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルのそれぞれに左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている映像ディスプレイ部と、
相互交差するように設けられた第1の透明電極層と第2の透明電極層を通じてタッチ位置を感知し、レンズアレイを介して前記映像ディスプレイ部から出力される映像を光の屈折率によって左眼用映像と右眼用映像とに分離するタッチ感知部と、
前記レンズアレイを制御して焦点距離を調節するレンズ駆動制御部と、
を含むアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項2】
前記タッチ感知部において、
前記レンズアレイは、前記第1の透明電極層と前記第2の透明電極層との間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項3】
前記レンズ駆動制御部は、
前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させて前記レンズアレイの焦点距離を調節することを特徴とする請求項1に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記レンズ駆動制御部は、
薄膜モータを用いて前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させることを特徴とする請求項3に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項5】
前記レンズ駆動制御部は、
印加される電気信号に応じて収縮及び膨張する量が変わる圧電フィルムを用いて前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させることを特徴とする請求項3に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項6】
ユーザとの距離を測定するためのセンサ部をさらに含む請求項3に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項7】
前記レンズ駆動制御部は、
ユーザとの距離が所定の基準値よりも遠くなると、前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を縮め、ユーザとの距離が前記基準値よりも近くなると、前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を伸ばすことを特徴とする請求項6に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項8】
前記レンズ駆動制御部は、
前記レンズアレイの曲率半径を変化させて前記レンズアレイの焦点距離を調節することを特徴とする請求項1に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項9】
前記レンズ駆動制御部は、
ユーザとの距離が所定の基準値よりも遠くなると、前記レンズアレイの曲率半径を小さくして緩やかな面を有する形状に変形させ、ユーザとの距離が前記基準値よりも近くなると、前記レンズアレイの曲率半径を大きくして急峻な面を有する形状に変形させることを特徴とする請求項6に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項10】
前記レンズアレイは、各レンズの曲率半径を可変にするために形状記憶高分子または多機能物質からなることを特徴とする請求項1に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項11】
前記レンズアレイは、複数のレンチキュラレンズからなることを特徴とする請求項1に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項12】
マトリクス状の複数のピクセルを含み、前記複数のピクセルのそれぞれには左眼用ピクセルと右眼用ピクセルとが交互に配列されている映像ディスプレイ部と、
前記映像ディスプレイ部の上側に位置し、相互交差するようにマトリクス状に配置された第1の透明電極層と第2の透明電極層を通じてタッチ位置を感知し、レンズアレイを介して前記映像ディスプレイ部から出力される映像を左眼用映像と右眼用映像とに分離するタッチ感知部と、
前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させ、または前記レンズアレイの曲率半径を変化させて焦点距離を調節するレンズ駆動制御部、及び
ユーザからの距離を測定するセンサ部と、
を含むアクティブ型立体映像ディスプレイ装置。
【請求項13】
左眼用映像と右眼用映像を含む立体映像を表示するステップと、
ユーザ入力のタッチ位置を感知するステップと、
前記左眼用映像と前記右眼用映像とを分離するステップと、
レンズアレイによって提供される焦点距離を調節するステップと、
を含むアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項14】
前記焦点距離調節ステップは、
映像からユーザまでの距離を測定するステップと、
前記ユーザとの距離が基準値を超えると、前記焦点距離を増大するステップと、
前記ユーザとの距離が前記基準値未満であると、前記焦点距離を減らすステップと、
を含む請求項13に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項15】
前記焦点距離の調節ステップは、
前記映像ディスプレイ部と前記レンズアレイとの間の間隔を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項13に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法。
【請求項16】
前記焦点距離の調節ステップは、
前記レンズアレイの曲率半径を変化させるステップを含むことを特徴とする請求項13に記載のアクティブ型立体映像ディスプレイ装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−32812(P2012−32812A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158817(P2011−158817)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(505463102)パンテック カンパニー リミテッド (89)
【Fターム(参考)】