説明

アクティブ消音器

【課題】アクティブ消音器において、前方容積と後方容積との間の準静圧差により引き起こされる欠点を抑制、排除、または回避すると同時に、後方容積における凝縮物の発生により起こり得る欠点を抑制、排除、または、回避する。
【解決手段】好ましくは自動車の、内燃機関の排気システム(1)のためのアクティブ消音器(3)は、筐体(7)と、筐体(7)を排気システム(1)に音響的および流体的に接続するための接続パイプ(8)と、接続パイプ(8)に流体接続されている前方容積(12)を筐体(7)において後方容積(13)から分離する能動膜(10)と、能動膜(10)の振動励起のためのアクチュエータ(11)とを備える。後方容積(13)における凝縮物による損傷のリスクを、後方容積(13)を前方容積(12)に流体接続する少なくとも1つの凝縮配管(14)により低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に記載の特徴を有する、好ましくは自動車の、内燃機関の排気システム用のアクティブ消音器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1により、筐体と、筐体を排気システムに音響的および流体的に接続する接続パイプとを有するアクティブ消音器が知られている。筐体内には、能動膜とこの膜の振動を励起するためのアクチュエータとを備えるラウドスピーカーが配置されている。筐体内において、この膜は、接続パイプに流体接続されている前方容積を、後方容積から分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102009049280号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなアクティブ消音器は、計算された音、特に、カウンターノイズすなわち対抗音を供給することによって、排気システムの排気音に所望の通りの影響を及ぼすために、好ましくは排気音を消音するために使用される。このため、前方容積は、接続パイプを介して排気システムと流体接続している。前方容積は、典型的には、排気システムの外側の雰囲気、すなわち、排気システムの周囲とは直接接続していない。後方容積は、消音器の能動膜および筐体によって区切られて、ラウドスピーカーが後方へは閉鎖した容積へ作用し、前方へは排気システムへ作用するようになっている。
【0005】
構造の種類によって、動電型アクチュエータを有するこのようなラウドスピーカーの膜は、膜の前後で異なる静圧または準静圧を感知しやすい。膜の面積および膜支持部の剛性に応じて、ラウドスピーカーの膜は、差圧により中央位置から変位され、これにより、ラウドスピーカーがその動電制御(アクチュエータ)により膜の前後において動的な交番圧力を生成する能力が低減される。この中央位置からの変位が比較的長期に亘り、しかも、ラウドスピーカーが熱応力の下にある状態でさらに続くならば、前方容積と後方容積との間にさらに存在して膜に対して作用する差圧が無くても、ラウドスピーカーの個々の構成要素の、特に、膜支持部のクリープ挙動により膜は永続的に変位したままである可能性がある。
【0006】
これに関連して前方容積と後方容積との間において生じる差圧を、以下のように大まかに互いに区別することができる。一方では、低気圧から高気圧への変化などの天候の結果として、または、上り坂を運転している時などの海抜高度の変化の結果として、排気システムの雰囲気すなわち周囲における外気圧が変化して、静圧差が生じる。これらの静圧変化は、比較的ゆっくりと、例えば、10秒を上回る時定数すなわち期間で、つまり、0.1Hz未満の周波数で生じる。さらに、準静圧差は、排気システムにおける流動条件の変化、特に、接続パイプと排気システムとの間の接続部におけるベルヌーイ効果によって生じる。排気システムにおける流動条件は、内燃機関のその都度の動作状態、例えば、アイドリングモードからより高い質量流量と排ガス温度とを伴う比較的高い負荷または最大負荷へ変化する場合などに依存して変化する。これらの準静圧変化は、例えば、1秒を上回り10秒未満の時定数すなわち期間で、つまり、0.1Hzを上回り10Hz未満の周波数で生じる。最終的には、動的な差圧、例えば、従来はラウドスピーカーにより生成された交番圧力、すなわち、排気システムの音響放出に影響を及ぼすための音響信号も生じる可能性がある。これらの動的な圧力変動は、典型的には、0.1秒未満の期間すなわち時定数、つまり、10Hz以上の周波数を有している。
【0007】
したがって、動電型ラウドスピーカー、すなわち、能動膜と、関連する動電アクチュエータとの組立品の適切な機能を確保するため、0.1秒を上回る期間の全ての差圧を、すなわち、静圧および準静圧の変動を均等化する必要がある。同時に、10Hz以上の相対的な周波数範囲において動電的に生成された交番圧力が実質的には低減されず、または、音響的に短絡さえされない、ということを確保する必要がある。
【0008】
静圧差、すなわち、閉鎖した後方容積に対する大気圧のゆっくりとした変動の補償すなわち均等化を、消音器の周囲と後方容積とを流体接続する少なくとも1つの比較的小さな均圧開口部を設けることによって行える。ここで、特定の条件下では、静圧差を均等化するには筐体のわずかな透過性で既に十分であり得る。
【0009】
冒頭部分で言及した特許文献1によれば、準静圧変動を、後方容積を前方容積に流体接続する少なくとも1つの均圧開口部によって均等化できる。ここでは、このような均圧開口部は、前方容積と後方容積との間の音響的な短絡を回避するために、比較的小さく寸法決定されている。
【0010】
前方容積と後方容積との間のこのような均圧開口部は、ガス透過性であり、放散のために開放しており、それゆえ、特に、排気ガスシステムから接続パイプを介して前方容積に到達する排気ガスも、後方容積へ入る可能性がある。ここでは、同時に、温度勾配が生じる。なぜなら、排気システムにおける排気ガスは、一般的に、後方容積においてよりも高い温度に晒されているからである。ここで、排気ガスに関連した湿気、すなわち、水蒸気が、比較的冷たい後方容積において凝縮するという問題が生じる。排気ガスの組成に応じて、ここで生じる凝縮物は比較的腐食性があり、特に、凝縮物は硫酸を含む可能性がある。長期的には、腐食性の凝縮物は、動電型アクチュエータおよび接続ケーブルを傷める可能性がある。ラウドスピーカーにおける凝縮物耐性を向上するための措置、および、ケーブルならびにケーブルとアクチュエータとの間の接続の絶縁は、比較的骨の折れるものであり、製造コストを上昇させる。もし凝縮物耐性を向上させるためのこのコストのかかる措置を回避するならば、アクティブ消音器は、排気ガスシステムの後部排気管の領域にしか配置できず、したがって、この場合、各後部排気管における構造的な措置により、前方容積と後方容積との間に流速により生じる準静圧差は、できる限り小さいと予測することができる。その結果、前方容積と後方容積との間の均圧開口部を省くことができる。しかしながら、これは、能動的な消音の構造を著しく制限し、アクティブ消音器の音響的効果は後部排気管からエンジン方向において上流側へ離れた領域においてより良いにもかかわらず、この領域においてアクティブ消音器を使用することを妨げ、すなわち、阻止してしまう。
【0011】
本発明は、前方容積と後方容積との間の準静圧差により引き起こされる欠点を抑制、排除、または回避すると同時に、後方容積における凝縮物の発生により起こり得る欠点を抑制、排除、または、回避する、アクティブ消音器についての改良された形態を示すことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、本発明において、特に、独立請求項の主題により達成される。有利な形態を、従属請求項の主題として示す。
【0013】
第1観点によれば、本発明は、少なくとも1つの凝縮配管を介して後方容積を前方容積に流体接続するという概念に基づくものである。ここでは、この凝縮配管は、排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮配管において凝縮するように設計されており、凝縮配管は、凝縮配管において生じた凝縮物を前方容積へ誘導する。言い換えれば、各凝縮配管は、凝縮配管内に、すなわち、水蒸気が前方容積から後方容積へ向かう方向に移動する間に凝縮物が生じるように凝縮を促す。後方容積は閉鎖されているので、凝縮配管の貫流は生じないが、放散プロセス、すなわち、その都度の均圧化による非常にゆっくりとした体積変位のみが生じる。一方では、ゆっくりとしたガスの動きによって生じるものであり、他方では、配線の長さを相応に寸法決定することにより達成できるものである、凝縮配管における水蒸気の長い滞留時間により、凝縮は、実質的には凝縮配管内において既に生じることが可能であり、その結果、水蒸気は後方容積にほとんど到達しない。これは、凝縮物は後部空間において生じ得ないが、そこまでの径路において、凝縮配管内において既に生じることを意味する。凝縮配管を適切に配置することにより、凝縮配管は、凝縮配管内に生じる凝縮物を前方容積へ簡単に誘導し、凝縮物は、前方容積に充満する温度により再び水蒸気化され、排気ガスフローに取り込まれ得る。したがって、このような凝縮配管を有するアクティブ消音器を備えることにより、後方容積における腐食性の凝縮物の発生を著しく低減し、回避することさえできる。結果として、アクチュエータに対する腐食性の凝縮物による損傷も低減される。さらに、特筆すべきは、前方容積と後方容積との間に凝縮配管により作成される流体接続により、同時に、前方容積と後方容積との間の所望の均圧化も行えるということである。まとめると、提案された措置により、アクティブ消音器をエンジン付近で使用できるようになり、その結果、アクティブ消音器を排気ガスシステムにおける任意のほとんどの場所に配置できるようになる。ここで、凝縮配管は、先行技術(前記の特許文献1)により知られている前方容積と後方容積との間の均圧開口部の代替となるものである。
【0014】
したがって、有利な形態によると、凝縮配管は、後方容積を、均圧化のために、音響的短絡無しで、前方容積に流体接続することができる。言い換えれば、凝縮配管は、特に、凝縮配管において生じる抵抗により、前方容積と後方容積との間において動的圧力変動を伝達するには適さないように寸法決定されている。この目的に適うように、凝縮配管は、その内径よりも著しく長い。特に、配管長は、配管径よりも少なくとも10倍長く、好ましくは、配管長は、配管径よりも少なくとも100倍長い。凝縮配管は、基本的に、真っ直ぐな配管として構成されている。同様に、短い設置長で長い配管長を実現するために、凝縮配管が湾曲している、例えば、渦巻形、および/または螺旋である一形態が考えられる。
【0015】
他の有利な形態において、凝縮配管は、内部凝縮配管に当該するように、全体を筐体内に配置されてもよい。このタイプの構成は、漏出のリスクを低減する。
【0016】
目的に適った更なる発展形態によると、筐体内に延びる凝縮配管の要部は、この場合、後方容積に配置されていてもよい。目的に適うように、凝縮配管の長さのうち半分を上回る、すなわち、50%を上回る部分が後方容積に配置されている。特に、凝縮配管の長さの少なくとも75%が後方容積に配置されている。これにより、後方容積に充満する温度は、凝縮配管の要部が排気ガスよりも冷たく、所望の凝縮が生じるように凝縮配管の比較的大きな割合に対して作用する。
【0017】
他の有利な形態によれば、凝縮配管は、筐体の外側に延びる部分を有していてもよい。この部分は、目的に適うように、凝縮配管の前方容積に接続されている端部を、凝縮配管の後方容積に接続されている端部と接続することができる。このように、凝縮配管は、少なくとも部分的に外部に延びるように作成されており、これにより、凝縮配管内部における凝縮物の発生を促進することができる。
【0018】
例えば、さらなる発展形態によれば、筐体の外側に配置された凝縮配管の部分を冷却してもよい。例えば、純粋に受動的な冷却は、消音器の周囲に充満する温度によるものが考えられる。更なる受動的な冷却は、消音器および外部に延びる凝縮配管の部分の周囲の流れ、例えば、内燃機関が備えられた自動車の気流により行うことができる。同様に、筐体の外側に延びる凝縮配管の部分の能動的な冷却を、例えば、その部分に対して作用するための気流を生成する扇風機を用いて行うことも考えられる。本形態では、この部分に冷却リブなどが備えられていてもよい。同様に、前記部分を熱交換器に組み入れることも可能であり、この熱交換器は、冷却回路にさらに組み入れられている。これにより、熱交換器によって、凝縮配管から冷却回路の冷却材へ熱を伝えることができる。
【0019】
他の有利な形態によれば、凝縮配管は、特に金属材料によって作成され、熱伝導率が特に高いことを特徴とするパイプでもよい。
【0020】
好ましい一形態によれば、後方容積を、消音器の周囲に対して密閉してもよい。これは、消音器の筐体が後方容積の領域において、液体が後方容積へ到達する、または、流出する開口部を有していない事を意味する。言い換えれば、後方容積は、凝縮配管によって作成される前方容積との流体接続以外は、完全に封止されている。特に、この場合は、後方容積を周囲と流体接続する均圧開口部も存在しておらず、後方容積へ液体を供給するまたは後方容積から液体を取り除くことのできる他の接続部も設けられていない。
【0021】
第2観点によれば、本発明は、少なくとも1つの均圧チャンバを備えるという概念に基づくものである。ここでは、このような均圧チャンバは、少なくとも1つの接続配管を介して前方容積に流体接続されている均等化用容積を取り囲んでいる。したがって、前方容積の圧力は、均等化用容積に充満する。さらに、少なくとも1つの受動膜が設けられており、この受動膜は、一方では、均等化用容積に充満する圧力に晒され、他方では、後方容積に充満する圧力に晒されるように配置されている。言い換えれば、受動膜は、受ける差圧に応じて変形し、この差圧は、均等化用容積と前方容積との間の流体接続により、最終的には、前方容積と後方容積との間の差圧に対応する。したがって、受動膜は、その剛性に応じて、前方容積に充満する圧力を後方容積へ逆移動させることができ、これにより、所望の均圧化がほぼ実現される。ここで注目すべきことは、受動膜の接続によって、前方容積と後方容積との間のガス交換はできなくなるということである。言い換えれば、ここに示した第2観点では、前方容積および後方容積は、互いに液体的に分離されている。その結果、後方容積に凝縮物が生じる可能性はない。まとめると、提案した措置により、エンジン付近でアクティブ消音器を使用する可能性も出てくる。その結果、アクティブ消音器を排気システムにおける任意のほとんどの位置に配置できる。均等化用容積において凝縮物が生じる限り、これを接続配管を介して前方容積へ誘導することができる。
【0022】
均圧チャンバの効率を上げるために、受動膜は、ラウドスピーカーの能動膜よりも柔軟に設計されている。特に、受動膜は、能動膜の少なくとも2倍弾力性がある。
【0023】
特に有利な形態では、均圧チャンバは、後方容積に配置されたチャンバ筐体を有していてもよく、この場合、受動膜は、チャンバ筐体の少なくとも一部をなしている。言い換えると、消音器の筐体内の受動膜は、均等化用容積を後方容積から分離している。これにより、漏出問題を抑制することができる。
【0024】
有利な一発展形態によれば、受動膜は、チャンバ筐体の全体を形成することができる。言い換えると、受動膜は、チャンバ筐体を形成し、且つ、均等化用容積を取り囲むように成形されている。特に、筐体は、弾性バルーンまたは弾性ふいごとして構成されていてもよい。この場合、受動膜は、バルーンの弾性表皮またはふいごの弾性本体を規定する。受動膜がチャンバ筐体の全体を形成する限り、チャンバ筐体は、均等化用容積と後方容積との間の圧力を互いに適合させるために、均等化用容積と後方容積との間の差圧に応じて膨張または収縮することができる。ここでは、受動膜の内部張力により、受動膜の完全な均圧化は不可能である。ここでは、受動膜が柔軟であればあるほど、均等化用容積と後方容積との圧力を互いにより厳密に適合させることができる。
【0025】
一代替形態においては、均圧チャンバは、後方容積の外側または筐体の外側に配置されたチャンバ筐体を備えていてもよく、この場合、チャンバ筐体において、受動膜は、均等化用容積を連結容量から分離している。そして、連結配管は、連結容量と後方容積との間を流体接続する。したがって、後方容積の圧力は、連結容量に充満する。したがって、前方容積と後方容積との間の差圧により、均等化用容積と連結容量との間の対応する差圧が生じ、これは、受動膜の対応する変形によりほぼ均等化することができる。ここでも、受動膜が柔軟なほど所望の均圧化はより功を奏する。
【0026】
更なる代替形態によると、均圧チャンバは、筐体内に構成されていてもよく、筐体内において、受動膜は、均等化用容積を後方容積から分離している。この内部構造形態も、漏出の問題を抑制する。
【0027】
目的に適った一発展形態では、接続配管は、筐体内に配置されていてもよく、後方容積を貫通して延びていてもよい。さらに、または、代替として、筐体内の受動膜の対応して選択された位置により、後方容積が均等化用容積と前方容積との間に配置されるように、均等化用容積が前方容積から離れていることが考えられる。さらに、均等化用容積は、受動膜が前方容積に接触しないように、筐体内に目的に適うように配置されている。
【0028】
他の形態においては、接続配管を、均等化用容積において生じる可能性のある凝縮物を前方容積へ誘導するように配置してもよい。言い換えると、接続配管は、前方容積の方向に傾斜を有するように、提供される設置状況に適合される。
【0029】
本発明の第3観点は、前方容積と後方容積との間の差圧による能動膜の静的変位を、アクチュエータを対応して駆動することにより補償するという概念に基づくものである。このため、アクティブ消音器は、前方容積と後方容積との間の差圧を測定するためのセンサーシステムを備えている。このセンサーシステムは、例えば、前方容積と後方容積との間の差圧を直接測定する差圧センサーを備えていてもよい。同様に、2つの絶対圧センサーを使用することも考えられ、これらの一方は、前方容積の絶対圧を測定し、他方は、後方容積の絶対圧を測定する。そして、2つの絶対圧の差は、所望の差圧を生成する。センサーシステムは、アクチュエータを駆動する役割を果たす制御部とさらに連結されている。この場合、この制御部は、アクチュエータが能動膜を差圧により引き起こされる変位に対抗して変位させるように、アクチュエータを測定された差圧に応じて駆動するようにプログラムされ、または、構成されている。これにより、差圧により引き起こされる能動膜の変位をほぼ補償することができる。アクチュエータを駆動するための制御部は、能動的ラウドスピーカーにいずれにせよ存在しているものなので、ここで提案される観点は、差圧測定に適したセンサーシステム、および、適したプログラミングに関連する対応する連結部しか必要としない。したがって、この形態を、比較的好ましいコストで、且つ、構造的な面では努力をほとんどすることなく実現することができる。特に、このような形態は、前方容積と後方容積との間の均圧化をせずに形成される。したがって、特に、この構造的な形態は、前方容積と後方容積とが互いに流体的に分離されていることを特徴とする。後方容積を前方容積から流体的に分離することにより、後方容積に凝縮物が生じる虞れも無い。まとめると、提案された措置により、アクティブ消音器をエンジン付近で使用する可能性も広がり、その結果、アクティブ消音器を排気ガスシステムにおけるほぼどのような所望の位置にも配置できるようになる。
【0030】
有利な一形態によると、制御部は、スタティック制御信号を、測定された差圧に応じて、ダイナミック制御信号に重畳することができ、ダイナミック制御信号により、制御部は、能動膜を動かすためのアクチュエータを駆動し、これにより、能動膜は、排ガスに取り込まれる空気伝送音に影響を及ぼす、特に、空気伝送音を消音するためのカウンターノイズを生成する。言い換えると、差圧により引き起こされる能動膜の変位を補償するために生成されるスタティック制御信号は、ダイナミック制御信号に変調され、このダイナミック制御信号により、制御部は、アクチュエータを駆動し、これにより、アクチュエータは、能動膜が所望の圧力パルスを排気システムへ導入できるように能動膜を動かす。
【0031】
本発明の第4観点は、同様に、前方容積と後方容積との間の差圧により生じる能動膜の静的変位をアクチュエータを対応して駆動することにより補償するという概念に基づくものである。上記第3観点とは異なり、第4観点においては、差圧を測定しないが、アクチュエータの駆動のための根拠として変位を直接使用するために、差圧による能動膜のその中央位置からの変位を算定する。このため、消音器は、能動膜のその中央位置からの変位を算定するための装置を備えている。アクチュエータを駆動するために設けられている制御部は、前記装置と連結されており、算定された膜変位に応じてその膜変位を補償するようにアクチュエータを駆動する。このように、骨の折れる圧力測定を省くことができる。
【0032】
膜変位を、様々な方法で算定することができる。例えば、装置は、膜変位を測定するためのセンサーシステムを備えていてもよい。あるいは、装置は、その駆動時にアクチュエータの消費電流を評価し、それに応じた膜の変位を算定してもよい。この純粋に電子的な措置は、センサーシステムを増設せずに行われる。ここでは、特に、消音操作中に起こるアクチュエータの通常の消費電流を評価してもよい。この措置は、アクチュエータの消費電流は膜の変位に応じて変化するという考えに基づくものである。なぜなら、アクチュエータは、適切な場合には、膜のプレストレスと結託して、または、プレストレスに抗するように動作するからである。あるいは、装置が、能動膜から放出される音響を検出するマイクのマイク信号を評価し、それに応じて膜変位を算定するということも考えらえる。この措置は、能動膜から放出される音響は膜のプレストレスに応じて変化する、という考えに基づくものである。このようなマイクは、従来のアクティブ消音システムにいずれにせよ存在しているので、本観点においても、追加のセンサーシステムを省くことができる。能動膜の実際の変位を算定するために、基本的に他の措置も考えられることは明らかである。
【0033】
第5観点によると、本発明は、前方容積と後方容積との間の差圧を、コンベヤ装置を用いて均等化するという概念に基づくものである。なお、このコンベヤ装置は、この目的のために後方容積に流体接続されているものである。後方容積における圧力が前方容積における圧力よりも高いならば、ガスまたは空気をコンベヤ装置によって後方容積から引き揚げ、均圧化するために、例えば周囲へ、または、前方容積へ搬送することができる。逆に、後方容積における圧力が前方容積における圧力よりも低いならば、ガスまたは空気をコンベヤ装置によって例えば周囲、または、前方容積から取り込み、均圧化を生じさせるために、後方容積へ供給することができる。差圧に相関する信号、または、膜のその中央位置からの変位に相関する信号は、ここでは、コンベヤ装置を駆動するための出力信号として機能する。対応する装置はすでに上記で説明した。
【0034】
特に上記の全ての観点および形態に使用可能である特に有利な一形態によると、後方容積を消音器の筐体の周囲と流体接続する少なくとも1つの均圧開口部が設けられていてもよい。適切な措置によって、例えば、ガスは透過可能であるが液体は透過できない膜によって、ガス透過性且つ流体密封性であるように構成することができるこのような均圧開口部は、冒頭部分で説明した後方容積と周囲環境との間の静圧差を均等化することができる。前方容積と後方容積とが凝縮配管によって互いに液体結合されている上記第1観点は、後方容積が消音器の筐体の周囲から液体的に分離されるように、関連する形態として構成されていてもよい。したがって、この場合、後方容積と周囲との間のこのような均圧開口部を省くことができる。他方では、その他の上記観点においては、関連する形態も含めて、このような均圧開口部を設けることは目的に適っていると考えられる。
【0035】
本発明のさらに重要な特徴および利点は、下位請求項、図面、および、図面を参照した図の説明によって明らかになるであろう。
【0036】
上記の特徴および以下でさらに説明される特徴は、それぞれ指示された組み合わせでだけではなく、他の組み合わせでも、または、個別でも、本発明の範囲から逸脱することなく使用され得ると理解されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】アクティブ消音器の領域における排気システムを一部断面で概略的に示す等角図である。
【図2】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図3】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図4】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図5】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図6】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図7】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図8】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図9】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【図10】一実施形態におけるアクティブ消音器を非常に簡易化した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の好ましい実施形態を図に示し、以下の記載においてさらに詳細に説明する。なお、同一、同様、または、機能的に同一の部材には同じ参照番号を付した。
【0039】
図1によると、内燃機関(図示せず)の排気システム1は、排気管2と、少なくとも1つのアクティブ消音器3とを備え、アクティブ消音器3は、排気管2に接続され、それゆえ、排気システム1に接続されている。この実施形態では、消音器3は、図1においては矢印で示される排気ガスフローを内燃機関の動作中に誘導する排気パイプ5に接続されている。この接続のために、実施形態では、Y型接続部品6が使用されており、図1にはY型接続部品6の半分だけが示されている。消音器3を、基本的には、排気システム1の任意の所望の、すなわち、必ずしも排気パイプ5ではない構成要素に接続できる、ということは明らかである。ここで、アクティブ消音器3は、排気ガスフロー4に取り込まれた、すなわち、排気管2に広がる空気伝送音を消音する役割を果たす。
【0040】
消音器3は、筐体7と、筐体7を排気システム1に流体接続するための接続パイプ8とを備えている。この接続パイプ8を介して、消音器3と残りの排気システム1との間に音響結合が行われる。この場合、排気ガスが接続パイプ8を貫流することはない。しかしながら、排気ガスは、接続パイプ8に入る可能性がある。
【0041】
図2〜図10によると、アクティブ消音器3は、能動膜10とアクチュエータ11とを有するラウドスピーカー9を備えている。筐体7において、能動膜10は、接続パイプ8に流体接続された前方容積12を、後方容積13から分離している。図2〜図8では、後方容積13は、ラウドスピーカー9の接続パイプ8側とは反対側に位置している。したがって、前方容積12は接続パイプ8に対向しているのに対し、後方容積13は接続パイプ8とは反対の方へ向いている。アクチュエータ11は、電磁的に動作し、能動膜10を振動励起する役割を果たす。
【0042】
図2および図3に示す実施形態において、消音器3には、金属の管状本体からなることが好ましい少なくとも1つの凝縮配管14がさらに備えられている。基本的に、凝縮配管14は、弾性ホース、特にプラスチックからなる弾性ホースとして設計されていてもよい。凝縮配管14は、後方容積13と前方容積12とを流体接続し、これにより、前方容積12と後方容積13との間で均圧化が行われる。この均圧化が、静圧差または準静圧差についてのみ行われ、動的差圧については行われないように、凝縮配管14は、後方容積13を前方容積12に、音響的短絡することなく流体接続するように設計されている。このことは、例えば、対応する絞り効果、特に凝縮配管14内における抵抗により行われる。例えば、凝縮配管14の長さ15は、凝縮配管14の直径16よりも明らかに大きい。適切な比率は、例えば、少なくとも10:1または少なくとも100:1である。
【0043】
さらに、凝縮配管14は、特に拡散プロセスにより凝縮配管14へ侵入する排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮配管14において凝縮するように設計されている。さらに、凝縮配管14は、その内部において生じる凝縮物が前方容積12へ流れることができるように配置されている。したがって、凝縮配管14は、消音器3の設置状態において、前方容積12の方へ傾斜している。
【0044】
凝縮配管14における凝縮効果が所望の程度生じるように、図2に示す実施形態によれば、凝縮配管14は、全体が筐体7の内部に配置されていてもよい。ここでは、目的に適うように、凝縮配管全長15の少なくとも50%に及ぶ要部17が後方容積13に配置されている。これによって、凝縮配管14の大半、すなわち、要部17は、後方容積13に充満する温度に晒され、この温度は、凝縮配管14に入る排ガスの温度よりも明らかに低い。これによって、水蒸気による所望の凝縮を凝縮配管14において実現することができる。
【0045】
図3に示す実施形態において、凝縮配管14は、筐体7の外側に延びる部分18を有するように配置されている。外部にあるこの部分18は、前方容積12に接続されている凝縮配管14の第1端部19を、後方容積13に接続されている凝縮配管14の第2端部20に接続する。外部にある部分18を、例えば、図3においては矢印で示す冷却ガスフロー21によって冷却することができる。冷却ガスフローは、ここでは、内燃機関の備えられた自動車の動作時に生じる気流であってもよく、内燃機関の排気ガスは、ここに示す排気システム1によって排出される。あるいは、冷却ガスフロー21を、例えば、ファン22によって実現することもできる。外部にある部分18と冷却ガスフロー21との間の伝熱を向上するために、凝縮配管14は、冷却リブ23を外部にある部分18に備えていてもよい。さらに、または、代替として、凝縮配管14は、外部にある部分18において、熱交換器24に組み込まれていてもよく、この熱交換器24は、さらに冷却回路25に組み込まれ、この場合、冷却回路25における冷却媒体と凝縮配管14における排気ガスとの間で媒体分離が行われる。
【0046】
図4〜図7によると、消音器3には、均等化用容積27を取り囲む少なくとも1つの均圧チャンバ26が備えられていてもよい。さらに、均等化用容積27を前方容積12に流体接続する少なくとも1つの接続配管28が存在している。さらに、少なくとも1つの受動膜29が設けられており、この受動膜29は、一方では、均等化用容積27に充満する圧力に晒され、他方では、後方容積13に充満する圧力に晒されている。したがって、受動膜29は、均等化用容積27と後方容積13との間の差圧に応じて変形する。均等化用容積27は、接続配管28によって前方容積12に連通するように接続されているので、均等化用容積27に充満する圧力は、前方容積12に充満する圧力に対応している。したがって、受動膜29は、後方容積13と前方容積12との間の差圧に応じて変形する。図4〜図7において、受動膜29の初期状態を実線によって示す一方で、同時に、前方容積12と後方容積13との間の差圧により変形した受動膜29の状態を破線で示す。
【0047】
図4および図5の実施形態において、均圧チャンバ26は、筐体7の内部における後方容積13に配置されたチャンバ筐体30を備えている。これらの実施形態では、受動膜29は、チャンバ筐体30の少なくとも一部を形成している。結果的に、筐体7内部において、受動膜29は、均等化用容積27を、後方容積13の圧力に間接的に晒されるように後方容積13から分離している。図示した実施形態では、この場合はチャンバ筐体30の全体が受動膜29によって形成されている。図4に示す実施形態において、チャンバ筐体30は弾性バルーン30’として構成されている。このバルーン30’もしくはその表皮または被覆部は、受動膜29により形成されている。図5に示す実施形態において、チャンバ筐体30は、ふいご30’’として構成されている。ここでは、ふいご本体が弾性の受動膜29によって形成されている。
【0048】
図6に示す実施形態において、均圧チャンバ26は、抗体7の外側に配置されている。筐体7の外側には、チャンバ筐体30がさらに配置されている。この実施形態では、チャンバ筐体30において、受動膜29は、均等化用容積27を連結容量31から分離している。連結配管32は、連結容量31を後方容積13に流体接続している。図6の実施形態において、チャンバ筐体30は、接続配管28および連結配管32によって、消音器3の筐体7から離れて配置されている。チャンバ筐体30を筐体7に直接搭載することも同様に考えられ、この場合、連結配管32および接続配管28はそれぞれ、短縮されて連結開口部および接続開口部となる。そして、各開口部は、筐体7の壁およびチャンバ筐体30の壁、または、筐体7およびチャンバ筐体30の共用壁のどちらかを貫通している。また、接続開口部は、均等化用容積27と前方容積12との間を流体接続する。そして、連結開口部は、連結容量31と後方容積13との間を流体連結する。
【0049】
図7に示す実施形態において、均圧チャンバ26は、筐体7の内部に戻して構成されており、筐体7において、受動膜29は、均等化用容積27を後方容積13から分離している。図7の実施形態において、チャンバ筐体30のための構造的な工事は分離壁に減少され、この分離壁は、図7において部材番号30によっても示され、筐体7の内部において、後方容積13を含む領域を均等化用容積27を含む領域から分離している。受動膜29は、この分離壁30に搭載または支持されている。接続配管28も筐体7の内部に配置されており、均等化用容積27を前方容積12に接続できるように、後方容積13を通って延びている。
【0050】
図4〜図7に示す実施形態において、接続配管28は、接続配管28または均等化用容積27において生じる可能性のある凝縮物を前方容積12へ誘導するようにその都度配置されている。このため、設置状態における接続配線28は、前方容積12の方向に対応する傾斜をその都度有していてもよい。
【0051】
図8によると、消音器3は、基本的には、全ての実施形態において、制御部33を備えることができ、制御部33は、対応する制御配線34を介してアクチュエータ11を駆動することができる。そして、アクチュエータ11は、その駆動に応じて能動膜10を動作させて圧力波、特に、音波を生成する。
【0052】
また、図8に示す消音器3の実施形態は、センサーシステム35を備えていてもよく、このセンサーシステム35によって、前方容積12と後方容積13との間の差圧を測定することができる。図8の実施形態において、センサーシステム35は、差圧センサー36を備え、差圧センサー36は、一方では、前方容積12と適切な方法で、例えば、第1センサー配管37を介して接続され、また、他方では、後方容積13と適切な方法で、例えば、第2センサー配管38を介して接続されている。センサーシステム35は、前方容積12と後方容積13との間の差圧を制御部33に知らせるために、信号配線39を介して制御部33と連結されている。そして、制御部33は、測定された差圧に応じてアクチュエータ11を駆動するように構成、すなわち、プログラムされている。アクチュエータ11を目的を絞って駆動することにより、前方容積12と後方容積13との間に充満する差圧によって生じる能動膜10の変位をほぼ補償することができる。例えば、前方容積12における過剰圧力は、能動膜10を後方容積13の方向へ変位させる。アクチュエータ11の対応する駆動により、アクチュエータ11は、能動膜10を、静的に前方容積12の方向に動かすことができ、特に、能動膜10を初期位置に戻すように動かすことができる。したがって、前方容積12と後方容積13との間の差圧により生じる能動膜10の変位は、実質的に調和され、すなわち、補償される。
【0053】
ここでは、制御部33が、差圧により引き起こされる能動膜10の変位を補償するための能動膜10の所望のスタティック動作を生じさせるために、測定した差圧に応じたスタティック制御信号を生成するように構成されていれば目的に適っている。これとは対照的に、制御部33は、接続パイプ8を介して排気管2へ伝達されることとなる圧力振動を生成するためにダイナミック制御信号を生成し、ダイナミック制御信号により、制御部33は、能動膜10を動かすためのアクチュエータ11を駆動する。この駆動に応じて、能動膜10は、この時、所望の圧力振動を生成することができる。特に、ここでは、圧力振動は、排気ガスに取り込まれる空気伝送音に対抗するための対抗音と考えられる。差圧により引き起こされる能動膜10の変位を補償するためのスタティック制御信号は、この時、圧力振動すなわち対抗音を生成するためのダイナミック制御信号に重畳される。
【0054】
図9は、能動膜10をその中央位置から変位させることになる差圧の代わりに、膜の変位を直接算定し、補償用のスタティック制御信号のために入力パラメーターとして使用する一実施形態を示す。したがって、図9によると、膜変位を算定することのできる装置42が備えられていてもよい。能動膜10のその中央位置からの変位が算定される。なお、この中央位置は、前方容積12における圧力と後方容積13における圧力とが同じ大きさである場合に能動膜10がとる位置のことである。図9の実施形態において、装置42は、能動膜10から放出される空気伝送音を検出し、測定することのできるマイク43を備えている。マイク信号は、マイク信号を評価するため、対応する信号配線44を介して制御部33へ供給される。膜10の音響放射は、そのプレストレスまたはその変位によって変化するので、偏差分析(target-performance comparison)によって、膜変位を算定することができる。あるいは、図10に係る装置42は、膜10の変位を測定することのできるセンサーシステム45を備えていてもよい。その後、対応する信号を、信号配線46を介して制御部33へフィードバックしてもよい。
【0055】
図10は、後方容積13と流体接続されたコンベヤ装置47を備える一実施形態を示す。制御配線48は、制御部33をコンベヤ装置47に接続している。コンベヤ装置47、例えば、ポンプは、過剰圧力生成機または減圧生成機として、不都合な静的な膜変位が完全にまたは部分的に補償されるように、必要に応じて後方容積13に対して過剰圧力または減圧によって作用できるように機能し得る。この実施形態では、膜変位が、コンベヤ装置47を駆動するためのベース信号として直接機能してもよく、この膜変位は同じく装置42を用いて算定され得る。あるいは、前方容積12と後方容積13との間の差圧を使用してコンベヤ装置47を駆動することができる。なぜなら、差圧は、膜変位に相関しているからである。差圧を算定するために、この実施形態でも同じくセンサーシステム35を用いることができる。本実施形態においては、コンベヤ装置47は、外部から筐体7に配置されている。コンベヤ装置を筐体7内部に配置することもできるということは明らかである。その上、本実施形態において、コンベヤ装置47は、後方容積13における圧力を前方容積12に充満する圧力に適合させるために、周囲41へ搬出または周囲41から吸引する。
【0056】
図4〜図10に示す実施形態において、消音器3は、筐体7内に、すなわち、筐体7の壁に形成された少なくとも1つの均圧開口部40をさらに備え、この均圧開口部40は、後方容積13を消音器3の周囲41に流体接続している。均圧開口部40は、ここでは、ガスは透過するが液体は透過しないように、全体的に設計されていてもよい。例えば、このため、均圧開口部40は、ガス透過性膜(ここでは図示せず)によって閉じられていてもよい。図2および図3に示す実施形態において、基本的には、このような均圧開口部40が同様に設けられていてもよい。しかしながら、このような均圧開口部40を省くことのできる実施形態が好ましい。したがって、特に、図2および図3の実施形態において、後方容積13は、周囲41からは切り離されている。
【0057】
ここには図示していないが、一実施形態にしか示さない特徴も、目的に適っている限り、他の実施形態において実現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
好ましくは自動車の、内燃機関の排気システム(1)用のアクティブ消音器であり、
筐体(7)と、
前記筐体(7)を前記排気システム(1)に音響的および流体的に接続するための接続パイプ(8)と、
前記筐体(7)において、前記接続パイプ(8)に流体接続されている前方容積(12)を後方容積(13)から分離する能動膜(10)と、
前記能動膜(10)の振動励起のためのアクチュエータ(11)とを備えるアクティブ消音器であって、
前記後方容積(13)を前記前方容積(12)に流体接続する少なくとも1つの凝縮配管(14)を備え、前記凝縮配管(14)において、排気ガスに含まれる水蒸気が凝縮し、前記凝縮配管(14)は、前記生じた凝縮物を前記前方容積(12)へ誘導することを特徴とするアクティブ消音器。
【請求項2】
請求項1に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)は、音響的短絡せずに均圧化するために前記後方容積(13)を前記前方容積(12)に流体接続することを特徴とする消音器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)は、前記筐体(7)の内部に配置されていることを特徴とする消音器。
【請求項4】
請求項3に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)の要部(17)は、前記後方容積(13)に配置されていることを特徴とする消音器。
【請求項5】
請求項1または2に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)は、前記筐体(7)の外部に延びる部分(18)を備え、前記部分(18)は、前記凝縮配管(14)の前記前方容積(12)に接続された端部(19)を前記凝縮配管(14)の前記後方容積(13)に接続された端部(20)に接続することを特徴とする消音器。
【請求項6】
請求項5に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)の前記筐体(7)の外側に配置された前記部分(18)は、能動的または受動的に冷却されることを特徴とする消音器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の消音器において、
前記凝縮配管(14)はパイプであることを特徴とする消音器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の消音器において、
前記消音器(3)の設置状態において、前記凝縮配管(14)は、前記前方容積(12)の方向に傾斜していることを特徴とする消音器。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の消音器において、
前記後方容積(13)は、前記消音器(3)の周囲(41)に対して密閉されていることを特徴とする消音器。
【請求項10】
請求項1の前提構成に係るアクティブ消音器であって、
均等化用容積(27)を取り囲む少なくとも1つの均圧チャンバ(26)を備え、
少なくとも1つの接続配管(28)は、前記均等化用容積(27)を前記前方容積(12)に流体接続し、
少なくとも1つの受動膜(29)が備えられ、前記受動膜(29)は、一方では、前記均等化用容積(27)に充満する圧力に晒され、他方では、前記後方容積(13)に充満する圧力に晒されることを特徴とする消音器。
【請求項11】
請求項10に記載の消音器において、
前記均圧チャンバ(26)は、前記後方容積(13)に配置されたチャンバ筐体(30)を有し、
前記受動膜(29)は、前記チャンバ筐体(30)の少なくとも一部を形成していることを特徴とする消音器。
【請求項12】
請求項11に記載の消音器において、
前記受動膜(29)は、前記チャンバ筐体(30)の全体を形成していることを特徴とする消音器。
【請求項13】
請求項11または12に記載の消音器において、
前記チャンバ筐体(30)は、弾性バルーン(30’)または弾性ふいご(30’’)として構成されていることを特徴とする消音器。
【請求項14】
請求項10に記載の消音器において、
前記均圧チャンバ(26)は、前記後方容積の外側および/または前記筐体(7)の外側に配置されたチャンバ筐体(30)を備え、
前記チャンバ筐体(30)において、前記受動膜(29)は、前記均等化用容積(27)を連結容量(31)から分離し、
連結配管(32)は、前記連結容量(31)を前記後方容積(13)に流体接続することを特徴とする消音器。
【請求項15】
請求項10に記載の消音器において、
前記均圧チャンバ(26)は、前記筐体(7)内に構成され、
前記筐体(7)において、前記受動膜(29)は、前記均等化用容積(27)を前記後方容積(13)から分離することを特徴とする消音器。
【請求項16】
請求項15に記載の消音器において、
前記接続配管(28)は、前記筐体(7)内に配置され、前記後方容積(13)を通って延びることを特徴とする消音器。
【請求項17】
請求項10から16のいずれか1項に記載の消音器において、
前記接続配管(28)は、前記均等化用容積(27)において生じる凝縮物を前記前方容積(12)へ導くように配置されていることを特徴とする消音器。
【請求項18】
請求項1の前提構成に係るアクティブ消音器であって、

前方容積(12)と後方容積(13)との間の差圧を測定するためのセンサー構造(35)を備え、
前記アクチュエータ(11)を駆動するために設けられた制御部(33)は、前記センサー構造(35)に連結され、前記差圧により引き起こされる前記能動膜(10)の変位を補償するために前記測定された差圧に応じて前記アクチュエータ(11)を駆動することを特徴とする消音器。
【請求項19】
請求項18に記載の消音器において、
前記制御部(33)は、スタティック制御信号を、前記測定された差圧に応じて、ダイナミック制御信号に重畳し、前記ダイナミック制御信号によって、前記制御部(33)は、前記能動膜(10)が排気ガスに取り込まれる空気伝送音を消音するための対抗音を生成するように、前記能動膜(10)を動かすための前記アクチュエータ(11)を駆動することを特徴とする消音器。
【請求項20】
請求項1の前提構成に係るアクティブ消音器において、
前記能動膜(10)のその中央位置からの変位を算定するための装置(42)を備え、
前記アクチュエータ(1)を駆動するために設けられた制御部(33)は、前記装置(42)と連結され、前記アクチュエータ(11)を前記算定された膜変位に応じて駆動して前記膜変位を補償することを特徴とする消音器。
【請求項21】
請求項20に記載の消音器において、
前記装置(42)は、膜変位を測定するためのセンサーシステムを備えることを特徴とする消音器。
【請求項22】
請求項20に記載の消音器において、
前記装置(42)は、前記アクチュエータ(11)の駆動時の消費電流を評価し、評価に応じて前記膜変位を算定することを特徴とする消音器。
【請求項23】
請求項20に記載の消音器において、
前記装置(42)は、前記能動膜から放出される音響を検出するマイクのマイク信号を評価し、評価に応じて膜変位を算定することを特徴とする消音器。
【請求項24】
請求項1の前提構成に係るアクティブ消音器において、
前記後方容積(13)に流体接続されたコンベヤ装置(47)を備え、
前記コンベヤ装置(47)に連結された制御部(33)は、前方容積(12)と後方容積(13)との間の差圧に応じて、または、前記能動膜(9)のその中央位置からの変位に応じて前記コンベヤ装置(47)を駆動して、
前記差圧、および、前記後方容積(13)から引き入れるまたは前記後方容積(13)へ送り込むための前記膜変位を低減することを特徴とする消音器。
【請求項25】
請求項1から8および請求項10〜24のいずれか1項に記載の消音器において、
前記後方容積(13)を前記消音器(3)の前記筐体(7)の周囲(41)に流体接続する少なくとも1つの均圧開口部(40)を備えることを特徴とする消音器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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