説明

アクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法

【課題】Zhangの方法をさらに改良し、音源の急激な変化に対しても発散することなく、適切な消音効果の維持を実現するオンライン同定における信号処理方法を提供する。
【解決手段】騒音とは無相関な同定音をノイズジェネレータ10により生成し、同定信号を消音誤差で重み付けをして、常時同定を行うアクティブ消音装置1におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記消音誤差として、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とを用いる。
また、重み付けの方法が、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路の同定誤差e´(n)との積を、同定信号に加算して重み付けをし、かつ、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路の同定誤差e´(n)との積に、可変としたゲインαを与えて、重み付けの調整を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクティブ消音装置の技術に関する。詳しくは、アクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば図1に示すようなアクティブ消音装置(Active Noise Controller:ANC)が知られており、騒音低減等の用途に広く用いられている。このアクティブ消音装置は、騒音(例えば、エンジンの排気音等)に対して、その騒音と実質的に等大で逆位相である消音用の音波を干渉させることによって、前記騒音を打ち消して騒音低減を実現するものである。
そして、この制御を実現するためには、アクティブ消音装置の制御系をFiltered−X LMSアルゴリズムの構成とする必要があることが知られている。
【0003】
また、エンジン等の発生騒音は、始動時から定常運転に至るまでや、定常運転時においても負荷により変化するものであり、さらに排気ダクト内の音響伝達関数も温度変化等により変化するものであるため、出力補正の条件も刻一刻変化している。そのため、適切に消音効果を得るためには、センサーマイクの検出値およびモニターマイクの検出値を常時監視し、かつ、コントローラの出力を常時調整する(オンライン同定と称されている)必要がある。
つまり、オンライン同定することにより、エンジン等の発生騒音が変化しても消音制御が適切に機能して消音を行うことができるのである。例えば、特許文献1や特許文献2にその技術が開示されている。
【0004】
また、アクティブ消音装置においては、消音用の音波を発生させるスピーカを備えている。また該スピーカからは、スピーカからセンサーマイクに至る経路についての音響伝達関数を把握するために、消音用の音波と同時に、任意の同定用の音を出力し、センサーマイクで排気音と同定用の音を同時に収音して、音響伝達関数を測定する機能を備えている。
つまり、従来から実施されている方法では、騒音と同時に、音響伝達関数測定用に出力された任意の音を測定するようにしている。
このため、従来の方法では、実騒音と同定音が干渉し合って、音響伝達関数の測定が正しくできないという問題があった。
【0005】
そこで、オンライン同定を行いながら、騒音を低減するための信号処理方法が種々研究されている。
例えば、図2に示すErikssonの方法や、該Erikssonの方法を改良したものとして、図3に示すZhangの方法があり、公知とされている。
このZhangの方法によれば、一次経路の同定と二次経路の同定を互いに干渉すること無く実行できるように改良がなされている。例えば、非特許文献1にこの技術が開示されている。
【0006】
しかしながら、このZhangの方法においては、消音が進み音源の音が十分に消音されると、同定音が顕在化し、消音制御が発散するという不具合があった。
そこで、Zhangの方法では、実際の消音誤差の大きさに応じて同定音に倍率を設定するようにし、消音誤差が大きい時には同定音を大きくし、消音誤差が小さい時には同定音を小さくするように、さらに改良が加えられている。例えば、非特許文献2にこの技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−355429号公報
【特許文献2】特許第3725959号公報
【非特許文献1】Ming Zhang,Hui Lan,and Wee Ser著,"Cross−Updated Active Noise Control System with Online Secondary Path Modeling",IEEE Transaction On Speech And Audio Processing,Vol9,No.5,July 2001 Page598−602
【非特許文献2】Hui Lan,Ming Zhang,and Wee Ser著,"An Active Noise Control System Using Online Secondary Path Modeling With Reduced Auxiliary Noise",IEEE Signal Processing Letters,Vol9,No.1,January 2002 Page16−19
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記Zhangの方法においては、突然音源の音が大きくなり消音誤差が大きくなった時には、直ちに同定音が増幅されるが、音源に無相関なランダム音が増加するため、音源の急激な変化に対して制御が発散しやすいという欠点があった。
この場合、同定音の増幅を緩やかに行えば、消音効果が現れるのに遅れが生じて、性能が劣化してしまうため、本方法だけで欠点を解消することが難しく、別途対策が必要とされていた。
そこで本発明では、このような現状を鑑み、Zhangの方法をさらに改良し、音源の急激な変化に対しても発散することなく、適切な消音効果の維持を実現するオンライン同定における信号処理方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、前記一次経路の同定誤差と、前記二次経路の同定誤差とに分離して、前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記同定信号として、前記二次経路の同定誤差を用いること、を特徴としたものである。
【0010】
請求項2においては、騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、前記一次経路の同定誤差と、前記二次経路の同定誤差とに分離して、前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記同定信号として、前記一次経路の同定誤差を用いること、を特徴としたものである。
【0011】
請求項3においては、騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、前記一次経路の同定誤差と、前記二次経路の同定誤差とに分離して、前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記同定信号として、前記二次経路の同定誤差と、前記一次経路の同定誤差とを用いること、を特徴としたものである。
【0012】
請求項4においては、前記重み付けの方法が、前記二次経路の同定誤差を、前記同定信号に加算して重み付けをすること、を特徴としたものである。
【0013】
請求項5においては、前記重み付けの方法が、前記一次経路の同定誤差を、前記同定信号に加算して重み付けをすること、を特徴としたものである。
【0014】
請求項6においては、前記重み付けの方法が、前記二次経路の同定誤差と、前記一次経路の同定誤差との積を、前記同定信号に加算して重み付けをすること、を特徴としたものである。
【0015】
請求項7においては、前記重み付けの方法が、前記二次経路の同定誤差と、前記一次経路の同定誤差との積を、前記同定信号に加算して重み付けをし、かつ、前記二次経路の同定誤差と、前記一次経路の同定誤差との積に、可変としたゲインを与えて、前記重み付けの調整を可能としたこと、を特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、二次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0018】
請求項2においては、一次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0019】
請求項3においては、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であって、消音誤差が急激に大きくなっても、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0020】
請求項4においては、二次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、二次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0021】
請求項5においては、一次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、一次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0022】
請求項6においては、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0023】
請求項7においては、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
また、急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が、その出力の大きさを適切にチューニングすることができ、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、発明の実施の形態について、各図面を参照しながら説明をする。
図1は本発明の一実施例に係るアクティブ消音装置(ANC)の概略構成を示すブロック図、図2はErikssonの方法によるANCの構成を示すブロック図、図3はZhangの方法によるANCの構成を示すブロック図、図4は本発明の実施例1に係るANCの構成を示すブロック図、図5は本発明の実施例2に係るANCの構成を示すブロック図、図6は本発明の実施例3に係るANCの構成を示すブロック図、図7は本発明の実施例4に係るANCの構成を示すブロック図、図8は本発明の実施例5に係るANCの構成を示すブロック図、図9は本発明の実施例5に係るANCの適用効果を示す図である。
【0025】
まず、本発明の一実施例に係るアクティブ消音装置(ANC)の概略構成について、図1を用いて説明をする。
尚、本実施例においては、エンジン等の排気消音を例に取り説明を行っているが、これに限定するものではなく、本発明は、例えば農業機械のキャビン、建設機械のキャビン、自動車の車室内、船のキャビン等にも適用可能である。
一般的に、アクティブ消音装置1の制御系は、Filtered−X LMSアルゴリズムの構成とする必要があることが知られている。
図1に示す如く、本発明の一実施例に係るアクティブ消音装置1は、Filtered−X LMSアルゴリズムの構成としており、排気ダクト2の入口側には、消音すべき排気音を収音するためのセンサーマイク3が設けられ、また排気ダクト1の出口側には、消音後の排気音を収音するためのモニターマイク4が設けられている。(尚、以後センサーマイク3からモニターマイク4に至る経路を一次経路と称する。)さらに、排気ダクト2には、一次経路の中間部より枝管7が分岐され、該枝管7の端部に排気音と実質的に等大で逆位相の音を発生させるスピーカ6が配置されている。
【0026】
前記センサーマイク3は、排気ダクト2内を伝播してきた排気音を検出して電気信号として取り出し、この電気信号に基づいて、排気音と等大かつ逆位相となる消音用の音波をスピーカ6から出力するようにしている。そして、モニターマイク4で消音用の音波を干渉させた後の騒音を検知して、どれだけ消音できたかを検出し、この結果をコントローラ5で処理し、前記スピーカ6の出力にフィードバックするようにしている。つまり、モニターマイク4の検出値が極力「0」となるように、スピーカ6からの出力をコントローラ5で補正して、騒音低減を実現するようにしている。
【0027】
また、エンジン等の発生騒音は、始動時から定常運転に至るまでや、定常運転時においても負荷により変化するものであり、さらに排気ダクト2内の音響伝達関数も温度変化等により変化するものであるため、出力補正の条件も刻一刻変化している。そのため、適切に消音効果を得るためには、センサーマイク3の検出値およびモニターマイク4の検出値を常時監視し、かつ、コントローラ5の出力を常時調整する(オンライン同定と称されている)必要がある。
つまり、オンライン同定することにより、エンジン等の発生騒音が変化しても消音制御が適切に機能して消音を行うことができるのである。
【0028】
また、アクティブ消音装置1においては、消音用の音波を発生させるスピーカ6の他に、スピーカ6からセンサーマイク4に至る経路(以後、二次経路と称する)についての音響伝達関数を把握するために、スピーカ6から消音用の音波と同時に任意の同定用の音を出力し、センサーマイク4で排気音と同定用の音を同時に収音して、音響伝達関数を測定する機能を備えている。
つまり、従来から実施されている方法では、排気音と同時に、音響伝達関数測定用に出力された任意の音を測定するようにしている。そのため従来は、音響伝達関数の測定が正しくできないという問題があった。
以上が、本発明の一実施例に係るアクティブ消音装置(ANC)の概略構成についての説明である。
【0029】
次に、音響伝達関数を正しく測定するための信号処理方法について、図1乃至図4を用いて説明をする。
前述した通り、従来の方法では、排気音と同時に、音響伝達関数測定用に出力された任意の音を測定するようにしているため、音響伝達関数の測定が正しくできないという問題があった。
そこで、オンライン同定を行いながら、音響伝達関数を正しく測定するための信号処理方法が種々研究されている。
例えば、図2に示すErikssonの方法が公知とされている。
【0030】
図2に示す如く、Erikssonの方法では、実際の消音誤差をe(n)、消音無しの場合の音をd(n)、二次経路の音響伝達関数をs(n)、音源(排気音)と一次経路の音響伝達関数との積をy(n)、同定音をu(n)として、実際の消音誤差e(n)が、以下の数式1で表される。
【0031】
【数1】

【0032】
この場合、適応フィルタ(図2中のw(n))は、e(n)が最小となるように適応するが、消音誤差e(n)中には常に同定音u(n)が含まれているため、一次経路が正しく同定できないという欠点があった。
【0033】
また、Erikssonの方法では、同定音u(n)のモデル値をu^(n)として、二次経路フィルタの消音誤差es(n)が、以下の数式2で表される。
【0034】
【数2】

【0035】
この場合にも、二次経路フィルタの消音誤差es(n)を同定するために最小化したい部分(u(n)−u^(n)の項)の他に、一次経路の状態に依存する部分(d(n)−s(n)*y(n)の項)が含まれているため、二次経路が正しく同定できないという欠点があった。
そこで、前記Erikssonの方法の欠点を改良したものとしては、Zhangの方法があり、公知とされている。
【0036】
図3に示す如く、Zhangの方法では、センサーマイク4で検知した騒音信号x(n)がFRI適応型デジタルフィルタ(以下適応フィルタと称す)13によりフィルタリング処理されて、その処理後の信号y(n)とノイズジェネレータ10から発生する信号v(n)が加算部15で合成されて消音信号としてスピーカ6より放音されて、その信号が伝達関数s(n)の二次経路を伝播して一次経路を通過した信号と干渉ブレーキ18で干渉させることにより消音される。
【0037】
消音後に残るエラー信号(誤差信号)e(n)は、モニターマイク4により検知されて、加算部21において、適応フィルタ25によりノイズジェネレータ10から発生した信号v(n)がフィルタリングされて生成した二次経路の伝達関数のモデル値u^が、誤差信号e(n)から減算されて一次経路フィルタの同定誤差e´(n)が抽出され、LMS演算部14・23に入力される。
【0038】
LMS演算部14では、適応フィルタ17によりフィルタリングされた信号も入力されて、LMSアルゴリズムに従って前記適応フィルタ13のフィルタ係数を更新する。
また、加算部22において、適応フィルタ24により騒音信号x(n)がフィルタリングされて生成した信号z(n)が、前記一次経路フィルタの同定誤差e´(n)から減算された後に、前記LMS演算部23に入力される。
また、LMS演算部23には騒音信号x(n)も入力されて、LMSアルゴリズムに従って適応フィルタ24のフィルタ係数を更新し、前記信号z(n)を加算部20で前記誤差信号e(n)から減算して信号g(n)として出力される。
【0039】
また更に、加算部26において、適応フィルタ25によりノイズジェネレータ10から発生した信号v(n)をフィルタリングして生成した二次経路の伝達関数のモデル値u^を前記信号g(n)から減算し、二次経路フィルタの同定誤差es(n)を抽出する。この誤差信号es(n)がLMS演算部19に入力され、更にノイズジェネレータ10から発生した信号v(n)を入力して、LMSアルゴリズムに従って適応フィルタ25のフィルタ係数を更新する。
【0040】
以上をまとめると、実際の消音誤差をe(n)、一次経路フィルタの同定誤差をe´(n)、消音無しの場合の音をd(n)、二次経路の音響伝達関数をs(n)、音源(排気音)と一次経路の音響伝達関数との積をy(n)、同定音をu(n)として、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)が、以下の数式3で表される。
【0041】
【数3】

【0042】
この場合、二次経路の音響伝達関数s(n)が収束すれば、同定音u(n)と、同定音のモデル値u^(n)とは等しくなり、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)が、以下の数式4で表される。
【0043】
【数4】

【0044】
このため、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)から同定音u(n)の影響が除去されるようになり、一次経路の同定が正しくできるようになる。
【0045】
また、Zhangの方法では、前記経路とは別の経路で、実際の消音誤差e(n)から一次経路の同定誤差z(n)を差し引く演算を行い、二次経路フィルタの同定誤差es(n)を演算するようにしている。このとき、二次経路フィルタの同定誤差es(n)が、以下の数式5で表される。
【0046】
【数5】

【0047】
この場合、前記数式4で表される一次経路フィルタの同定誤差e´(n)が収束するとき、e´(n)=z(n)となり、前記数式5に前記数式1、数式3を代入すると、二次経路フィルタの同定誤差es(n)が、以下の数式6で表される。
【0048】
【数6】

【0049】
この場合、二次経路フィルタの同定誤差es(n)が、同定音をu(n)と同定音のモデル値u^(n)との誤差として表され、一次経路の同定と干渉すること無く、二次経路の同定が実行できるように構成されている。
【0050】
つまり、このZhangの方法では、図3に示す如く、(a)二次経路の同定を行うブロックと、(b)一次経路フィルタの同定誤差を除去するブロックと、(c)実際の誤差を一次経路フィルタの誤差と二次経路フィルタの誤差に分離するブロックとを備えることにより、一次経路の同定と二次経路の同定を互いに干渉すること無く実行できるように改良がなされている。
【0051】
また、このZhangの方法においては、消音が進み音源の音が十分に消音されると、同定音が顕在化し、消音制御が発散するという不具合があった。
そこで、Zhangの方法では、実際の消音誤差の大きさに応じて同定音に倍率を設定するようにし、消音誤差が大きい時には同定音を大きくし、消音誤差が小さい時には同定音を小さくするように、さらに改良が加えられている。
【0052】
しかしながら、前記改良後においても、未だZhangの方法には、突然音源の音が大きくなり消音誤差が大きくなった時には、直ちに同定音が増幅されるが、音源に無相関なランダム音が増加するため、音源の急激な変化に対して制御が発散しやすく、またこの場合に、同定音の増幅を緩やかに行えば、消音効果が現れるのに遅れが生じて、性能が劣化してしまうという欠点があった。
そこで、図8に示す、本発明に係るANCの構成とすることにより、Zhangの方法をさらに改良し、音源の急激な変化に対しても発散することなく、適切な消音効果の維持を実現している。
以上が、音響伝達関数を正しく測定するための信号処理方法についての説明である。
【0053】
次に、本発明に係るANCの構成について、図4乃至図8を用いて、改良過程における各実施例を示しながら説明をする。尚、図3と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【実施例1】
【0054】
図4に示す如く、音源(この場合エンジンから発生する排気音)とは無相関な音源として、ノイズジェネレータ10を用いてランダムなノイズを生成し、このランダムなノイズに二次経路フィルタの同定誤差es(n)で重み付けをする構成としている。
また、この場合重み付けは、ノイズジェネレータ10の出力と前記加算部26の出力を加算する加算機30を設け、該加算機30の出力側は加算部15とLMS演算部19と適応フィルタ25とに接続し、ノイズ信号r(n)に、二次経路フィルタの同定誤差es(n)を加算する方法で行うようにしている。
つまり、ノイズジェネレータ10で生成されるノイズ信号をr(n)とし、二次経路フィルタの同定誤差es(n)とすると、その出力信号v(n)は以下の数式7で表される。
【数7】

【0055】
これにより、二次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、二次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【0056】
尚、二次経路で同定を行うための信号源としては、ホワイトノイズを使用することができる。ホワイトノイズを同定信号として使用すれば、幅広い周波数成分に対応できる同定信号を出力することができる。
また、同定信号としては、M系列信号を使用することも可能である。M系列信号を同定信号として使用した場合には、短時間で幅広い周波数特性を模擬入力することができるため、同定時間を短縮することができる。
【実施例2】
【0057】
図5に示す如く、実施例1と同様に、ノイズジェネレータ10を用いて同定信号を生成し、この同定信号と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)で重み付けをする構成としている。
また、この場合重み付けは、ノイズジェネレータ10から発生する同定信号r(n)に、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)を加算機30で加算する方法で行うようにしている。
つまり、ノイズジェネレータ10で生成される同定信号をr(n)とし、一次経路の同定誤差をe´(n)とすると、実際の同定信号v(n)は以下の数式8で表される。
【数8】

【0058】
これにより、一次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、一次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【実施例3】
【0059】
図6に示す如く、実施例1または実施例2と同様に、ノイズジェネレータ10を用いて同定信号を生成し、この同定信号と二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)で重み付けをする構成としている。
また、この場合重み付けは、ノイズジェネレータ10から発生する同定信号r(n)に、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)を加算機30で加算する方法で行うようにしている。
つまり、ノイズジェネレータ10で生成される同定信号をr(n)とし、二次経路フィルタの同定誤差es(n)、一次経路フィルタの同定誤差をe´(n)とすると、実際の同定信号v(n)は以下の数式9で表される。
【数9】

【0060】
これにより、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であって、消音誤差が急激に大きくなっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【実施例4】
【0061】
図7に示す如く、実施例1乃至実施例3と同様に、ノイズジェネレータ10を用いて同定信号を生成し、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とで重み付けをする構成としている。
また、この場合重み付けは、ノイズジェネレータ10から発生する同定信号r(n)と、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とを乗算器31で掛け合わせた信号とを、加算機30で加算する方法で行うようにしている。
つまり、ノイズジェネレータ10で生成される同定信号をr(n)とし、二次経路フィルタの同定誤差es(n)、一次経路フィルタの同定誤差をe´(n)とすると、実際の同定信号v(n)は以下の数式10で表される。
【数10】

【0062】
これにより、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であって、消音誤差が急激に大きくなっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
【実施例5】
【0063】
図8に示す如く、実施例1乃至実施例4と同様に、ノイズジェネレータ10を用いて同定信号を生成し、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とで重み付けをする構成としている。
また、この場合重み付けは、ノイズジェネレータ10から発生する同定信号r(n)と、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とを乗算器31で掛け合わせた信号を更に増幅器32により所定の値に増幅した信号とを、加算機30で加算する方法で行うようにしている。
つまり、ノイズジェネレータ10で生成される同定信号をr(n)とし、二次経路フィルタの同定誤差es(n)、一次経路フィルタの同定誤差をe´(n)、ゲインをαとすると、実際の同定信号v(n)は以下の数式11で表される。
【数11】

【0064】
これにより、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
また、急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が、その出力の大きさを適切にチューニングすることができ、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができる。
以上が、本発明に係るANCの構成についての説明である。
【0065】
次に、実施例5の適用効果について、図9を用いて説明をする。
確認方法としては、消音制御が安定している状態で外乱を与えて、消音制御の発散および収束状況を確認するようにしている。
図9に示す如く、縦軸に音圧(Pa)、横軸に時間(sec)を取って、消音制御が収束してから約1秒後に一定の外乱(音)を与えて、消音制御が収束するまでの時間を各信号処理方法ごとに計測しグラフ上に表している。
図9から明らかなように、ErikssonおよびZhangの方法では、外乱入力後に一旦音圧レベルの変化量が増加している。これは、消音制御が一旦発散してしまっていることを表している。
それに対して、本発明に係る方法(図9中のOur Method)では、外乱入力後、消音制御が発散すること無く、速やかに収束に向かっていることが確認できる。また、収束までに要する時間も、他の方法に比べて短縮されていることが確認できる。
つまり、本発明に係る方法によれば、Zhangの方法に見られた欠点を解消し、音源の急激な変化に対しても発散することなく、適切な消音効果の維持が実現できることが確認されている。
【0066】
以上の説明で示すように、騒音とは無相関な同定音をノイズジェネレータ10により生成し、同定信号を消音誤差で重み付けをして、常時同定を行うアクティブ消音装置1におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記消音誤差として、二次経路フィルタの同定誤差es(n)を用いるようにしている。
また、重み付けの方法が、二次経路フィルタの同定誤差es(n)を、同定信号に加算して重み付けをするようにしている。
これにより、二次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、二次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができるのである。
【0067】
また、騒音とは無相関な同定音をノイズジェネレータ10により生成し、同定信号を消音誤差で重み付けをして、常時同定を行うアクティブ消音装置1におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記消音誤差として、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)を用いるようにしている。
また、重み付けの方法が、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)を、同定信号に加算して重み付けをするようにしている。
これにより、一次経路の音響特性が急激に変化して、消音誤差が急激に大きくなっても、一次経路の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができるのである。
【0068】
また、騒音とは無相関な同定音をノイズジェネレータ10により生成し、同定信号を消音誤差で重み付けをして、常時同定を行うアクティブ消音装置1におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、前記消音誤差として、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路フィルタの同定誤差e´(n)とを用いるようにしている。
また、重み付けの方法が、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路の同定誤差e´(n)との積を、同定信号に加算して重み付けをするようにしている。
これにより、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であって、消音誤差が急激に大きくなっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができるのである。
【0069】
また、重み付けの方法が、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路の同定誤差e´(n)との積を、同定信号に加算して重み付けをし、かつ、二次経路フィルタの同定誤差es(n)と、一次経路の同定誤差e´(n)との積に、可変としたゲインαを与えて、重み付けの調整を可能としている。
これにより、二次経路の音響特性および一次経路の音響特性のうち、いずれが急激に変化した場合であっても、その急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が出力され、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができるのである。
また、急変した音響特性の誤差成分が顕在化した同定音が、その出力の大きさを適切にチューニングすることができ、同定精度が安定するため、制御が即時に適応でき安定した消音効果を得ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施例に係るアクティブ消音装置(ANC)の概略構成を示すブロック図。
【図2】Erikssonの方法によるANCの構成を示すブロック図。
【図3】Zhangの方法によるANCの構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施例1に係るANCの構成を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例2に係るANCの構成を示すブロック図。
【図6】本発明の実施例3に係るANCの構成を示すブロック図。
【図7】本発明の実施例4に係るANCの構成を示すブロック図。
【図8】本発明の実施例5に係るANCの構成を示すブロック図。
【図9】本発明の実施例5に係るANCの適用効果を示す図。
【符号の説明】
【0071】
1 アクティブ消音装置
10 ノイズジェネレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、
該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、
該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、
前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、
を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、
前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、
前記一次経路の同定誤差と、
前記二次経路の同定誤差とに分離して、
前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、
かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、
かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、
常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、
前記同定信号として、
前記二次経路の同定誤差を用いること、
を特徴とするアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項2】
騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、
該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、
該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、
前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、
を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、
前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、
前記一次経路の同定誤差と、
前記二次経路の同定誤差とに分離して、
前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、
かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、
かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、
常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、
前記同定信号として、
前記一次経路の同定誤差を用いること、
を特徴とするアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項3】
騒音の伝播経路に設けられた第一受音手段と、
該第一受音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられた前記騒音に対する干渉音と同定音を出力する発音手段と、
該発音手段に比して下流側の前記伝播経路に設けられる第二受音手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記第一受音手段から前記第二受音手段に至る一次経路を同定する一次経路同定手段と、
前記第一受音手段の検出信号と前記第二受音手段の検出信号に基づいて前記発音手段から前記第二受音手段に至る二次経路を同定する二次経路同定手段と、
前記騒音とは無相関な前記同定音を生成する同定音生成手段と、
を具備する常時同定を行うアクティブ消音装置において、
前記第二受音手段の検出信号に含まれる消音誤差を、
前記一次経路の同定誤差と、
前記二次経路の同定誤差とに分離して、
前記一次経路の同定誤差を前記一次経路同定手段にフィードバックして前記一次経路の同定を行い、
かつ、前記二次経路の同定誤差を前記二次経路同定手段にフィードバックして前記二次経路の同定を行い、
かつ、同定信号を前記同定音生成手段にフィードバックして同定音の重み付けを行い、
常時同定を行うアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法であって、
前記同定信号として、
前記二次経路の同定誤差と、
前記一次経路の同定誤差とを用いること、
を特徴とするアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項4】
前記重み付けの方法が、
前記二次経路の同定誤差を、
前記同定信号に加算して重み付けをすること、
を特徴とする請求項1または請求項3に記載のオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項5】
前記重み付けの方法が、
前記一次経路の同定誤差を、
前記同定信号に加算して重み付けをすること、
を特徴とする請求項2または請求項3に記載のアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項6】
前記重み付けの方法が、
前記二次経路の同定誤差と、
前記一次経路の同定誤差との積を、
前記同定信号に加算して重み付けをすること、
を特徴とする請求項3に記載のアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。
【請求項7】
前記重み付けの方法が、
前記二次経路の同定誤差と、
前記一次経路の同定誤差との積を、
前記同定信号に加算して重み付けをし、かつ、
前記二次経路の同定誤差と、
前記一次経路の同定誤差との積に、
可変としたゲインを与えて、
前記重み付けの調整を可能としたこと、
を特徴とする請求項6に記載のアクティブ消音装置におけるオンライン同定時の信号処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−15046(P2008−15046A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−183891(P2006−183891)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【出願人】(592145730)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】