説明

アクティブ軽量遮音ユニット

【課題】平面スピーカの特性を利用して床、ドア、壁に対しての透過音を制御できるアクティブ軽量遮音ユニットを得る。
【解決手段】薄型プリントコイル板21eを緩衝シート21ga、21gbを介して永久磁石板21a、21bで挟んで形成した平面スピーカ21に、プラスチックダンボール13a、13bを重ねて形成した底板部13を重ねたアクティブ軽量遮音ユニット20を構成することによって、一次音源を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音源(一次音源)を透過させながら、この一次音源を減衰させるアクティブ軽量遮音ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な音圧抑制の方法として能動音制御(Active Noise Control:以下ANCという)がある。
【0003】
ANCとは、一次音源からの音に対し、二次音源から同振幅逆位相の波形を持つ制御音を発生させ、波の重ね合わせの原理により一次音源からの音を消音する方法である。
【0004】
一方、近年、集合住宅における床衝撃音が問題となっている。典型的な床衝撃音は、床への落下物の衝突、あるいは子供の飛び跳ね際の床への衝撃が、階下の室空間への衝撃波となって伝搬する。
【0005】
このような、振動による騒音は一般に低周波域帯で顕著であるが、天井のコンクリートスラブを被覆とする石膏ボード等の従来の天井板はこの周波数帯域ではほんと遮音効果がないとされている。
【0006】
そこで、天井面をモジュール化した薄板で覆い、その薄板の振動をアクティブコントロールすることで天井面からの衝撃音を低減することが考えられている。
【0007】
図15はボイスコイルタイプのスピーカを用いたアクティブ遮音ユニットの概略構成図である。
【0008】
例えば、人が歩行することにより床が振動し音が発生する。この音を床下に設けている図15に示すユニットで同振幅、逆位相の音をスピーカ(2、3)から発生させて消音するという考え方であり、内部に誤差マイクロホン5、スピーカ(2、3)、コントローラ6を内蔵したシンプルな構造である。
【0009】
しかし、音源(一次音源)の制御のためには、キャンセル用音源(2次音源)から1次音源と同程度の高い音圧を出力する必要があるが2次音源からは十分な音圧を発生することが容易ではない。また、ボイスコイルタイプのスピーカを用いるのでユニットが大きくなる。
【0010】
これに対して、平面スピーカがある。平面スピーカは薄型である。一般に平面スピーカは、2枚の板(非磁性体)に永久磁石を平行かつ磁極が交互になるように配列して、この板の間に振動膜(蛇行状のパターン付き)を配置してこれらの板をスペーサで挟んで形成する。
【0011】
このような平面スピーカの原理を説明する。
【0012】
隣り合う永久磁石間に磁力線が通って振動膜の導線パターンの直線部分を横切るような磁界が発生する。
【0013】
そして、振動膜のコイルに通電すると、フレミングの左手の法則に従う電磁力が生じ、振動幕は厚み方向に変位することになる。この原理により、コイルへの駆動電流に対応した振動が生じて音波が発生する。音波は永久磁石の間を通って外部に発射(平面波)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平9−331596号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記のような、平面スピーカは、小型であること、直線的な波形で放射されるので、明瞭な音声と張りのある豊かな音質であること、美しい中高音域であることなどから、もっぱら発音手段として使用されているものであり、例えば床、ドア、壁等における透過音を抑制させる用途に使用されていない。つまり、低周波域帯の騒音を抑えるような工夫はされていない。
【0016】
一方、ボイスコイルを用いたものは床、壁、ドアに用いるとそれなりの効果があるがユニット自体が大型であるという点から使用に不向きである。
【0017】
本願発明は、この平面スピーカの特性を利用して床、ドア、壁等を透過する音を制御できるアクティブ軽量遮音ユニットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のアクティブ遮音軽量ユニットは、
樹脂フィルムに導電パターンを形成した振動板を、該振動板の領域部分に対応する領域が多極着磁が施された永久磁石板で挟み込んで形成された平面スピーカと、
格子状の空間を有して前記平面スピーカの面と同形状にされ、前記永久磁石板の領域に対向する当該部材の領域と前記永久磁石板の領域との間隙を、音の被制御空間として有して前記平面スピーカに重ねられた軽量高剛性板と、
すくなくとも、前記被制御空間を保つための厚み部が、当該部材の周囲に形成されて、該厚み部で前記平面スピーカの周囲の領域と前記軽量高剛性板の周囲の領域とを接続する接続部材とを備えたことを要旨とする。
【0019】
また、本発明のアクティブ軽量遮音ユニットは、
樹脂フィルムに導電パターンを形成した振動板を、該振動板の領域部分に対応する領域が多極着磁が施された永久磁石板で挟み込んで形成された平面スピーカと、
格子状の空間を有し、前記平面スピーカの面と同形状にされて前記平面スピーカに重ねられた軽量高剛性板と
を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
以上のように本発明によれば、平面スピーカと軽量高剛性板との間に形成される被制御空間(小空間)を利用したアクティブ軽量遮音ユニットとしているので、薄型軽量化を図ることが可能となる。このため、例えばドア等に適用できる。
【0021】
また、この小空間を被制御空間とするANC(能動騒音制御)を行わない場合においては、適度な構成を持たせる工夫をしたアクティブ軽量遮音ユニットそのものが有する遮音性能により、透過してくる一次音を低減するという効果をもつ。
【0022】
さらに、この小空間を被制御空間とするANC(能動騒音制御)を行う場合、小空間(被制御空間)の容積が小さいことから低音域から高音域に至るまでの幅広い音域において、二次音源である平面スピーカからの発生音圧を十分に高めることが可能となる。
【0023】
また、ANC(能動騒音制御)時に、二次音源から十分に大きな音圧を発生させることができるので、一次音源かの音圧がある程度大きくても、小空間を透過してくる際に音を低減(低域含む)することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットの断面図である。
【図2】本実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットの斜視図である。
【図3】底板部13を構成するプラスチックダンボールを説明するための斜視図である。
【図4】平面スピーカの一例を説明する説明図である。
【図5】実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットによって得られる二次音源波形と一次音源波形との説明図である。
【図6】実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20の断面図である。
【図7】永久磁石板21a、21b並びに薄型プリントコイル板21eを説明する説明図である。
【図8】本実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20の詳細構成図である。
【図9】実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20によって得られる二次音源波形と一次音源波形との説明図である。
【図10】実施の形態3の遮音ユニットシステムの概略構成図である。
【図11】実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニットの被制御空間で発生する音をフィードバック制御で小さくするアクティブ軽量遮音ユニット制御システムの概略構成図である。
【図12】図11のアクティブ軽量遮音ユニットの詳細構成図である。
【図13】実施の形態3のアクティブ軽量遮音ユニットの断面図である。
【図14】その他の実施の形態のアクティブ軽量遮音ユニット制御システムの概略構成図である。
【図15】ボイスコイルタイプのスピーカを用いたアクティブ遮音ユニットの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施の形態1>
図1は本実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットの断面図である。図2は本実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットの斜視図である。本実施の形態では薄膜コイルを制御するコントローラ等については省略して説明する。
【0026】
実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニット10は、図1に示すように、平面スピーカ部11(一般的な平面スピーカであればよい)に対して隙間を空けて底板部13(軽量高剛性板)を設ける。この底板部13と平面スピーカ部11との間隙は、被制御空間14(例えば168mm×120mm×2mm)と称する。
【0027】
前述の底板部13は後述する軽量高剛性板を用いている。この軽量高剛性板は例えば2枚重ねのプラスチックダンボール13a、13b(2枚で8mm程度)である。このプラスチックダンボール13a,13bによって、一次音源をこの被制御空間14で消音するものである。
【0028】
図3は底板部13を構成するプラスチックダンボールを説明するための斜視図である。
【0029】
図3に示すように2枚のプラスチックダンボール13a、13bからなり、両方を接着剤等で重ねて張り合わせしたものである。そして、それぞれが長方形状の空洞13bbを有しており、この空洞部13bbの方向が90度異なるように重ねている。
【0030】
前述の平面スピーカ部11は、例えば図4に示すように、コイルを一体的に形成した振動膜16(振動版ともいう)と、多極着磁が施されて振動膜16の表裏両面にそれぞれ磁気的に僅かな間隔をおいて対向配置される永久磁石板18a,18bと、これを保持するケース19a,19b(ケーシングともいう)と緩衝シート24a,24b等を具備することにより、永久磁石板18a,18bによって生じる磁束が振動膜16のコイルに鎖交し、コイルに流れる駆動電流と永久磁石板18a,18bによる磁界との相互作用により、振動膜16のほぼ全体が膜面に垂直方向に振動し、それによって音波が生じる。
【0031】
このような平面スピーカ部11を枠12で挟み込み、この枠12に設けられたネジ穴15(15a、15b、15c、15d)にネジを差し込んで、底板部13と平面スピーカ部11と(2mm程度の制御空間を有する)を挟むようにする。
【0032】
そして、前述の被制御空間14を介して底板部13(プラスチックダンボール13a、13b)を設けることによって図5に示す結果が得られた。図5はANC動作前後の被制御空間内の音圧スペクトルを計測した結果であり、制御をかけることにより,大幅な減音効果が得られていることが確認できる。
【0033】
図5には、底板部13(軽量高剛性板)としてアクリル板の場合とプラダン(プラスチックダンボール)の場合とプラスチック板の場合を示しており、それぞれが一次音源の音をキャンセル消音すべく制御をかけたときの被制御空間の音圧スペクトルを示している。
【0034】
このため、逆相にしてコイルを駆動すると、100Hz〜500Hz帯域で約20dBの低域効果となることを示していることになる。図5の結果によれば、アクリル板よりもプラスチックダンボール(プラダン)が最も好ましい。
【0035】
<実施の形態2>
実施の形態2は、更なる軽量化、小型化のため、被制御空間を振動膜(振動板)と永久磁石板(ゴム磁石)間とする。これにより、被制御空間をより小さくなる。
【0036】
図6は実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20の断面図である。この断面図は、アクティブ軽量遮音ユニット20の一部を拡大している。図6に示すように、後述する平面スピーカ部21(例えば四角形:丸型、三角でもよい)は、実施の形態1と同様なプラスチックダンボール13a、13bを重ねている。
【0037】
図6に示すように、平面スピーカ部21は、永久磁石板21a、21bと緩衝シート21ga、21gbとで振動板である薄型プリントコイル板21eを挟んで形成している。この緩衝シート21gは、繊維状で音響的に透過性の高い緩衝シートが好ましい。ここで緩衝シート21gは一般には薄型コイル21eと永久磁石板21a、21bが直接接触することを防止する機能を有している。図6は実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20の断面図である。なお、図6は磁気作用を説明するために薄型プリントコイル板21eと永久磁石板21a、21bとの間を拡大している。
【0038】
図7は永久磁石板21a、21b並びに薄型プリントコイル板21eを説明する説明図である。
【0039】
前述の永久磁石板21a、21bは、金属性の平板21da、21db(ケーシングともいう)に永久ゴム磁石板21ba、21bbを貼り付けて形成している。
【0040】
また、永久磁石板21a、21bには、図6及び図7(a)に示すように、貫通穴21akiを多数有している。永久ゴム磁石板21ba、21bbは、帯状にN極とS極とが交互に現れるような平行縞状着磁パターン(単に着磁パターンともいう)が施されている。
【0041】
また、図6に示すように薄型プリントコイル板21eの膜状コイル21fi(プリントコイルともいう)は、直線部分がS極とN極との境界領域に位置するように形成されている。
【0042】
つまり、永久磁石によって生じる磁束が膜状コイル21fiに鎖交し、膜状コイル21fiに流れる駆動電流と永久磁石による磁界との相互作用により、薄型プリントコイル板21eのほぼ全体が膜面に垂直方向に振動し、それによって音波が生じる。
【0043】
すなわち、一次音源が図6に示すように発生している場合においては、被制御空間14aは図6に示すように永久磁石板21bと薄膜プリントコイル板21eとの間(緩衝シート21gbを含む)となる。
【0044】
ここで、図6を用いてさらに本実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20について説明する。図6に示すように、永久磁石板21a、21bにおいては、ニュウトラルゾーンNZ(N極とS極との境界線)となる各々の位置に貫通穴21aki(丸型でも四角型でもよい)を設けている。但し、隣接するニュートラルゾーンNZの貫通穴21akiとは半ピッチずらせて、千鳥格子状に配置している。貫通穴21akiの大きさは、円形でも長円形でもよいが、小さすぎると内部で発生した音波が十分に外部に放出されないし、大きすぎると永久磁石の磁気作用が低下する。このため、大きさは適切なものにする。
【0045】
そして、ニュートラルゾーンNZに対応する位置に薄型プリントコイル板21eの薄状コイル21fiの直線部分が存在するので、この直線部分を横切る向きに磁力線Zが通ることになる。
【0046】
このため、薄状コイル21fiに信号を供給すると、その電流と磁界との相互作用により厚み方向に電磁力が発生して薄型プリントコイル板21eが振動する。この振動によって発生した音波は、貫通穴21akiを通って外部に放出されることになる。
【0047】
つまり、永久磁石板21a、21bの永久ゴム磁石板21ba、21bbにおいては、その表面の任意のN極から隣接するS極へと磁力線が生じ、磁界の垂直成分は、N極とS極との付近ではもっとも大きいが、N極とS極の境界付近では最も小さい。
【0048】
これに対して、磁界の水平成分はN極とS極の付近では最も小さく、N極とS極との境界付近では最も大きい。
【0049】
一枚の永久ゴム磁石板21ba、21bbの場合は磁力線Zはほぼ同心円状に発生する。ところが、2枚の永久ゴム磁石21ba、21bbを対向しているので、両永久磁石板は同極同士が対向する。
【0050】
一方の永久磁石のN極からS極に向かう磁力線Zと押し合い中央部分でバランスして水平方向の成分が多くなるように変形する。この水平方向の成分が音波の発生に寄与するために電磁変換効率が高くなる。
【0051】
図8は本実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20の詳細構成図である。但し、ナット、ネジ等は図示しない。
【0052】
図8に示すように、薄型プリントコイル板21eを2つの緩衝シート21g(21ga、21gb)で挟み、これらの緩衝シート21の上に、永久ゴム磁石板21ba、21bb付きの永久磁石板21a、21bを重ねる。そして、プラスチックダンボール13a、13b(2枚で8mm程度)を永久磁石板21a、21bに重ねて形成する。そして、必要に応じて化粧板24a、24bを重ねる。
【0053】
このような実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニット20は、平面スピーカ部21とプラスチックダンボール13a、13bとに挟まれる非常に狭い被制御空間(図6参照)に振動面からのエネルギーが伝わる。このため、被制御空間14a内の音圧レベルを測定したところ図9に示すように、二次音源は100Hz〜500Hzの周波数帯域で100dB程度の音圧レベルを得ることが可能となっている。図9に示すように、一次音源(一例)の被制御空間内の音圧よりも、二次音源が十分に大きな音圧レベルを実現することができている。
【0054】
従って、二次音源を一次音源に対して逆位相をかけると一次音源を低減させることが可能である。
【0055】
すなわち、一次音源の制御のためには、キャンセル用音源(二次音源)から、一次音源と同程度の高い音圧を発生させることが可能となっている。
【0056】
<実施の形態3>
実施の形態3は、被制御空間で発生する音圧をできるだけ小さくするように制御するシステムである。
【0057】
図10は実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニットの被制御空間14で発生する音をフィードバック制御で小さくするアクティブ軽量遮音ユニット制御システムの概略構成図である。
【0058】
図10(a)には電気回路を示し、図10(b)には平面スピーカの一例を示している。但し、被制御空間14の間隙を2mm程度にするためのスペーサを備えた例で示している。
【0059】
図10(a)に示すように、実施の形態1のアクティブ軽量遮音ユニット10の底板部13を形成する軽量高剛性板(プラスチックダンボール13a、13b)の中央に受音器30を埋め込んで、この受音器30が検出した音圧を制御部31が入力する。
【0060】
制御部31は、受音器30からの音圧信号をケーブル32を介して入力し、この音圧信号を増幅するアンプ31aと、アンプ31aからの音圧信号を入力して、音圧信号に対して逆位相の駆動信号を生成するコントローラ31bと、このコントローラ31bからの駆動信号を平面スピーカ部11の薄型コイルに出力するアンプ31c等を備えている。
【0061】
すなわち、受音器30(マイクロホン)からの音圧信号に対して逆位相の駆動信号で薄型プリントコイル板21eを振動させるので被制御空間14において発生する一次音源を抑制できる。
【0062】
図11は実施の形態2のアクティブ軽量遮音ユニットの被制御空間で発生する音をフィードバック制御で小さくするアクティブ軽量遮音ユニット制御システムの概略構成図である。図12は図11のアクティブ軽量遮音ユニットの詳細構成図である。
【0063】
図11においても、受音器30は軽量高剛性板13(プラスチックダンボール13a、13b)の中央に取り付けられる。
【0064】
そして、図11に示すアクティブ軽量遮音ユニットにおいて、音源(一次音源)が上から発生した場合は、被制御空間14aが薄型プリントコイル板21e下の緩衝シートが設置された空間となる。
【0065】
つまり、永久ゴム磁石板においては、隣り合う永久磁石間に磁力線が通って振動膜の導線パターンの直線部分を横切るような磁界が発生し、振動膜のコイルに通電された前述の駆動信号によって、フレミングの左手の法則に従う電磁力が生じ、振動膜は厚み方向に変位することになる。この原理により、コイルへの駆動電流に対応した振動が被制御空間14aに生じて音波が発生する。音波は永久磁石の間を通って外部に発射(平面波)される。従って、実施の形態2と比較すると、さらに20dB程度の低減効果を得ることができる。
【0066】
<実施の形態4>
図13は実施の形態3のアクティブ軽量遮音ユニットの断面図である。図10、図11と同様な符号については説明を省略する。
【0067】
図13に示すように、軽量高剛性板(プラスチックダンボール13a、13b)を両面に貼り付ける(ケーシングは省略している)。
【0068】
なお、軽量高剛性板を平面スピーカの両側にプラスチックダンボールを貼り付けたときに,振動板(薄型プリントコイル板21e)のエッジ部分とケーシングを絶縁テープで固定支持し,空気の移動ができないようにしてもよい。
【0069】
<その他の実施の形態>
なお、上記各実施の形態では、フィードバック制御で音圧を抑制することを説明したが図14(a)〜(c)に示すように、一次音源の音を検出する一次音源用の受音器37を設けて、かつ被制御空間14a側に受音面を向けて音を検出する受音器30を設けて、両方からの音信号を制御部35に入力して平面スピーカ部の薄膜コイルを駆動するようにしたフォワード制御をおこなってもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、単にゴム磁石としたがネオジム磁石(厚さ3mm:1mm)であってもよい。
【0071】
さらに、上記の各実施の形態では金属性のケーシングを有するアクティブ軽量遮音ユニットとして説明したが、ケーシングは場合によっては無くてもよい。
【符号の説明】
【0072】
11 平面スピーカ部
13 底板部
14 被制御空間
14a 被制御空間
13a プラスチックダンボール
13b プラスチックダンボール
20 アクティブ軽量遮音ユニット
21ba 永久ゴム磁石板
21bb 永久ゴム磁石板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂フィルムに導電パターンを形成した振動板を、該振動板の領域部分に対応する領域が多極着磁が施された永久磁石板で挟み込んで形成された平面スピーカと、
格子状の空間を有して前記平面スピーカの面と同形状にされ、前記永久磁石板の領域に対向する当該部材の領域と前記永久磁石板の領域との間隙を、音の被制御空間として有して前記平面スピーカに重ねられた軽量高剛性板と、
すくなくとも、前記被制御空間を保つための厚み部が、当該部材の周囲に形成されて、該厚み部で前記平面スピーカの周囲の領域と前記軽量高剛性板の周囲の領域とを接続する接続部材と
で形成されたアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項2】
前記厚み部は、2mm程度にされていることを特徴とする請求項1記載のアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項3】
前記軽量高剛性板は、プラスチックダンボールであることを特徴とする請求項1又は2記載のアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項4】
前記プラスチックダンボールは、2枚であり、それぞれが一定間隔に長方形の空洞が内部に設けられており、
一方のプラスチックダンボールと他方のプラスチックダンボールとは、前記長方形の空洞の入出口が90度異なるように重ねられている
ことを特徴とする請求項3記載のアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項5】
樹脂フィルムに導電パターンを形成した振動板を、該振動板の領域部分に対応する領域が多極着磁が施された永久磁石板で挟み込んで形成された平面スピーカと、
格子状の空間を有し、前記平面スピーカの面と同形状にされて前記平面スピーカに重ねられた軽量高剛性板と
を有することを特徴とするアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項6】
前記平面スピーカの振動板は、緩衝シートによって挟まれていることを特徴とする請求項5記載のアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項7】
前記軽量高剛性板は、プラスチックダンボールであることを特徴とする請求項5又は6記載のアクティブ軽量遮音ユニット。
【請求項8】
前記プラスチックダンボールは、2枚であり、それぞれが一定間隔に長方形の空洞が内部に設けられており、
一方のプラスチックダンボールと他方のプラスチックダンボールとは、前記長方形の空洞の入出口が90度異なるように重ねられている
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載のアクティブ軽量遮音ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−176100(P2010−176100A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21878(P2009−21878)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2008年9月2日〜9月5日、社団法人日本機械学会長白鳥正樹主催の「Dynamics & Design Conference 2008 きわめ 織りなす動きの世界」において冊子およびDVDをもって発表
【出願人】(504150461)国立大学法人鳥取大学 (271)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【出願人】(599084980)株式会社プロトロ (6)
【Fターム(参考)】