説明

アシスト型衛星測位のサポート

支援データによって移動体(30、40)の衛星測位をサポートするために、通信ネットワークが、衛星(50、60)の運行を記述している専用軌道モデル、すなわち特定の衛星測位システム用に規定された専用の軌道モデルのパラメータを、衛星(50、60)の運行を記述している共通軌道モデルのパラメータへ変換する。選択的あるいは追加的に、ネットワークが、軌道モデルの利用可能なパラメータ中の衛星測位システム時間に基づいた基準値を、通信システム時間に基づいた基準値へ置き換える。パラメータ変換及び/又は基準値置き換え後、パラメータは、衛星測位用の支援データの一部として提供される。選択的あるいは追加的に、採用されている測位モードに依存せずに、移動体と通信ネットワークとの間の一方向に一連のデータが送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援データを使い、移動体の衛星測位をサポートする方法及び支援データを使用する方法に関する。本発明は、同じく、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする通信ネットワーク用のネットワーク要素、及び支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする移動体に関する。本発明は、同じく、上述のネットワーク要素及び上述の移動体を含んだシステムに関する。本発明は、同じく、対応するソフトウェアコード、及び対応するソフトウェアプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、稼働している衛星測位システムには、アメリカのシステムであるGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)及びロシアのシステムであるGLONASS(Global Orbiting Navigation Satellite System:全地球周回軌道航法衛星システム)の2つがある。将来的には、更にGALILEOと称されるヨーロッパのシステムが出てくる。これらのシステムの総称は、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球的航法衛星システム)である。
【0003】
例えばGPS用には、20を超える衛星−スペースビークル(SV:space vehicles)とも称される−が、地球の周回軌道に乗っている。各衛星は、2つの搬送波信号L1及びL2を送信する。これらの搬送波信号のうちの1つであるL1は、標準測位サービス(SPS:standard positioning service)の航法メッセージ及びコード信号を搬送するのに利用されている。L1搬送波位相は、各衛星によって、別々のC/A(Coarse Acquisition:粗捕捉)コードを用いて変調されている。したがって、異なる衛星からの送信用に、異なる通信路が取得される。C/Aコードは、擬似ランダム雑音(PRN:pseudo random noise)コードであり、20.46MHzの公称帯域幅にわたってスペクトラムを拡散している。C/Aコードは、1023ビットごとに繰り返され、このコードのエポックは1ミリ秒である。C/Aコードのビットは、チップとも称される。更に、L1信号の搬送周波数は、ビットレートが50bit/sの航法情報を用いて変調されている。航法情報は、具体的には、送信時間を示すタイムスタンプ、ならびに軌道暦及び天体暦パラメータを含んでいる。
【0004】
GPS軌道暦及び天体暦パラメータは、基本的には、真の衛星軌跡の短期多項式軌道モデル用の衛星軌道パラメータである。このパラメータは、GPS制御サーバにおいて維持及び更新され、更に、衛星においても更新される。利用可能な軌道暦又は天体暦パラメータに基づいて、円形の各区間内に衛星がある間は、任意の時間における衛星の位置を、アルゴリズムを用いて推定することができる。多項式軌道モデルは、1自由度のみ有するが、それは、時間である。軌道暦及び天体暦パラメータ用の時間基準はGPS時間であり、すなわち、GPSの週の時刻(TOW:time−of−week)である。衛星測位の計算は、基本的に、軌道に沿った衛星位置を、既知の初期位置からの時間の関数として外挿するものである。初期位置も、軌道暦及び天体暦データ中のパラメータによって定められる。加えて、タイムスタンプが、いつ衛星が所定の初期軌道位置にあるかを指し示す。タイムスタンプは、軌道暦パラメータに関しては暦表時(TOE:time−of−ephemeris)と呼ばれ、天体暦パラメータに関しては適用時(TOA:time−of−applicability)と呼ばれる。TOE及びTOAの双方とも、GPS TOWに準拠している。
【0005】
軌道暦パラメータは、短期近似用であるため、一般的に2乃至4時間しか使用することができない。一方、この短期近似では、長期近似よりも高い精度を達成することができる。達成可能な精度は、2乃至5メートルである。これに対して天体暦パラメータは、粗い衛星測位用として数週間使用することも可能であるが、近似が長期でかつパラメータが少ないために精度が劣るので、実際の精密な測位には適さない。軌道暦及び天体暦データは、ICD−GPS−200と称して公開されているGPSインターフェース管理文書(ICD:interface control document)に定められた形式で、GPS衛星から同報される。現在、全てのGPS受信機がこの形式をサポートしていなければならない。
【0006】
位置測定の対象となるGPS受信機が、現在利用可能な衛星から送信された信号を受信し、信号に含まれているそれぞれのC/Aコードに基づいてそれぞれの衛星が使用している通信路を探知し、追跡する。衛星信号の捕捉及び追跡のために、GPS受信機の無線周波(RF:radio frequency)部分で受信された信号が、まずベースバンドに変換される。ベースバンド部分では、例えばドップラ効果などによって生じる周波数誤差が、混合器によって取り除かれる。次に、信号は、各衛星について得られるレプリカコードと相関させられる。相関は、例えばマッチドフィルタを使用して行われる。更に、相関値をコヒーレント及び/又はインコヒーレントに積分して、捕捉の感度を向上させることもできる。相関値が閾値を上回れば、C/Aコードとそのコード位相とがあることがわかり、これらが信号の逆拡散、ひいては航法情報の復元のために必要となる。
【0007】
次に、受信機は、通常は復号された航法メッセージのデータならびにC/Aコードのエポック及びチップ数に基づいて、各衛星から送信されたコードの送信時刻を算定する。送信時刻、及び信号の受信機への測定到着時刻によって、信号が衛星から受信機へ伝播するのに要した伝搬時間を算定することができる。この伝搬時間に光の速度を乗じると、受信機とそれぞれの衛星との間の距離又はレンジに換算される。更に、受信機は、通常は復号された航法メッセージ中の軌道暦パラメータに基づいて、送信時点における衛星の位置を推定する。
【0008】
受信機は、一連の衛星群からのレンジの交点に位置するので、算出された距離及び衛星の推定される位置によって、受信機の現在位置を計算することができる。
【0009】
同様に、GNSS測位の一般概念となっているのは、測位の対象となる受信機で衛星信号を受信して、衛星の推定される位置から受信機まで信号が伝播するのにかかった時間を測定し、この伝播時間から、受信機と各衛星との間の距離、更には受信機の現在位置を、更に衛星の推定位置を活用しつつ計算することである。欧州の衛星航法システムであるGalileoは、独自のICDを有するようになることが予想できる。Galileo共同事業(Joint Undertaking)による2005年の草案「Galileo宇宙信号ICD(SIS ICD:Signal in Space ICD)のL1帯域部分(L1 band part of Galileo Signal in Space ICD)」によれば、GalileoのICDは、GPSのICDと極めて近いが、必ずしも同じというわけではない。Gelileo軌道暦及び天体暦データが登場し、双方がGelileoシステム時と関係付けられるようになる。
【0010】
GPS測位は、異なる3つの測位モードで実行することができる。第1のモードは、自立型GPSによる測位である。これは、GPS受信機がGPS衛星から信号を受信すると、別のソースからの補足的な情報は一切得ずに、これらの信号から位置を計算することを意味する。第2のモードは、ネットワークアシスト型の移動機ベース型GPS測位である。このモードでは、GPS受信機が移動体通信デバイスに関連付けられていてもよい。GPS受信機は、移動体通信デバイスの中に組み込まれていてもよいし、又は移動体通信デバイスの付属品であってもよい。移動体通信ネットワークが支援データを提供し、そのデータが、移動体通信デバイスによって受信され、GPS受信機へ転送されてその性能を向上させる。このような支援データとしては、少なくとも、軌道暦、位置及び時間の情報などが挙げられる。この場合も、測位計算はGPS受信機において行われる。第3のモードは、ネットワークベース型の移動機アシスト型GPS測位である。このモードでも同様に、GPS受信機は、移動体通信デバイスに関連付けられている。このモードでは、移動体通信ネットワークが、測定をサポートするために、少なくとも捕捉支援及び時間の情報を移動体通信デバイスを介してGPS受信機に提供する。次に、測定結果が、移動体通信デバイスを介して移動体通信ネットワークへ提供され、移動体通信ネットワークが位置を計算する。第2及び第3の方法は、共通してアシストGPS(A−GPS:assisted−GPS)とも称される。支援データが特定の衛星に関する基準位置及び軌道暦データを含んでいる場合、例えば、GPS受信機がおおよその衛星位置及び運行を算定して、衛星信号の考えられる伝播時間及び発生するドップラ周波数を限定してもよい。伝播時間及びドップラ周波数の限度を認識することで、確認の必要な考えられるコード位相についても限定することができる。
【0011】
A−GPS用の支援データについては、全てのセルラ通信システムに関しての規定及び規格化が進んでいる。支援データの配信は、セルラ通信システム専用のプロトコルをベースにしており、具体的には、世界移動体通信システム(GSM:Global System for Mobile Communications)用のRRLP、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)用のIS−801、広帯域CDMA(WCDMA)用のRRC、及びOMA SUPLなどである。移動機アシスト型モードは、現在米国において、緊急通話の測位のためにCDMAネットワーク内に配置されている。
【0012】
全てのセルラプロトコルには共通する機能が多く、例えばサポート型GPSモードが挙げられる。すなわち、セルラプロトコルは全て、移動機ベース型GPS、移動機アシスト型GPS、及び自立型GPSをサポートする。更に、全てのプロトコルが、GPSへの高い依存性を有する。前述の通り、セルラ通信ネットワークによってA−GPS用に提供される支援データは、GPS軌道暦及び天体暦データなどの衛星航法データを含んでいてもよい。GPS支援データ用の全セルラプロトコルは、このために、軌道暦及び天体暦データの情報要素(IE:information elements)の規定について、わずかな相違しかない。セルラプロトコルで規定されている軌道暦及び天体暦IEは、ICD−GPS−200で規定されているものと実質的に同じである。したがって、これらが有する限界及び期待される精度についても、衛星によって同報される軌道暦及び天体暦データと同等となる。この対応関係があるため、変換あるいは特別のソフトウェアが実質的に必要とされず、GPS受信機が位置計算に支援データを使用することが容易となる。更に、全てのセルラプロトコルにより、GPS電離層モデルがセルラリンク上に送信されている。全てのセルラプロトコルにより、GPS支援データ要素がGPS時間にリンクさせられている。更に、全てのセルラプロトコルにより、捕捉支援がGPS用のみに仕立てられ、移動機における位置計算には使用することができない。最後に、全てのセルラプロトコルにより、全データ要素が、GPS衛星配置(constellation)に従ってインデックス付けされている。
【0013】
しかし、GPS関連の全セルラプロトコルには、共通の機能が多くある一方で、差異もある。このため、支援データを受信する端末ソフトウェアは、セルラプロトコルに対するアダプテーション層を備えているか、又はセルラプロトコルの一部のみをサポートしているかのいずれかにならざるを得ない。加えて、セルラプロトコルの差異、特にメッセージ内容の差異は、初期位置算出時間及び感度の点で、A−GPSの性能に影響を与える。
【0014】
さらなる問題は、軌道暦及び天体暦パラメータを使用して、初期の信号捕捉のためにGPS受信機において考えられる衛星コード位相及びドップラ周波数を正確に予測するには、ネットワークからの支援データが、精密なGPS TOW支援をも含んでいる必要のあることである。GSM及びWCDMAネットワークでは、精密なGPS TOWを配信するには、それ自体がGPS信号を捕捉し評価できる位置測定ユニット(LMU:Location Measuring Units)を、セルラ基地局ごとに配置する必要がある。しかし、LMUは高価である上、継続的な保守を必要とする。
【0015】
更に、セルラプロトコルの中で現在使用されている軌道暦及び天体暦データ形式は、GPS専用に規定された形式に基づいている。Galileoの性能を確実にA−GPSに匹敵するものにするには、Galileoに関しても支援データが重要となる。Galileoの軌道暦形式はGPSの軌道暦及び天体暦形式とは異なるものとなり、そのためにGPS支援データ形式を単純にGalileoにも使用することはできないことが予想できる。Galileo軌道暦がGPS軌道暦と異なる場合、セルラ標準はGalileo専用の情報要素を用いて強化されなければならず、更にGalileoを測位に使用するためには、受信機において特別のソフトウェアが必要となる。更に、GalileoとGPSのサービスの質が異なることもあり、すなわち、Galileo軌道暦データがGPS軌道暦データよりも精密で、結果としてGalileoによる測位がより高精度となる場合もある。更に、Galileo及びGPSの軌道暦パラメータの寿命が異なることもある。この場合、支援データを同時に更新することが不可能となり、支援データの更新を、Galileo及びGPSに関して別々に計画しなければならない。
【0016】
このように、現在のGPS支援データには様々な問題がある。
【0017】
軌道暦データ要素のインデックス付けを変更してGalileo衛星をも含めたインデックス付けを可能とすることにより、3GPP GPS支援データ要素をGalileo信号用に強化することが提案されてきた。軌道暦データの形式は、その結果、GPS及びGalileo衛星に関して実質的に同じとなり得る。この解決法では、GPS及びGalileo支援データは、まだなお現行のGPS軌道暦及び天体暦データの限界に制限されることになり、更にGPS TOW配信も依然として必要とされる。
【0018】
更に、補正データを用いて軌道モデルの精度及び完全性を高めることは周知となっている。例えば、欧州静止衛星利用航法オーバーレイサービス(EGNOS:European Geostationary Navigation Overlay Service)及び広域補強システム(WAAS:Wide Area Augmentation System)は、大気圏及び電離層を原因とするGPS信号の遅延などを考慮に入れたGPS補正データを算定する。補正データは静止衛星を介して送信され、その補正データは適切なGPS受信機によって受信され、GPSによる測位の精度を高めるのに使用される。更に、相対GPS(DGPS:differential GPS)補正が、選択利用性の影響を軽減するために導入された。これらは、大気圏の影響、ならびに衛星位置及び時計のドリフトを排除するのに適している。WAAS、EGNOS及びDGPS補正は、しかしながら、常に単一系列の軌道暦群に限定されている。WAAS、EGNOS及びDGPS補正は、通常の軌道暦パラメータに限定されているため、長期衛星軌道パラメータが通常の軌道暦パラメータの代わりに使用されているときには、これらを使用することはできない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、移動体の衛星測位に関する支援データの従来型の供給及び使用に代わるものを提供する。
【0020】
I.
本発明の第1の態様によれば、支援データによって移動体の衛星測位をサポートするための、第1の方法が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。本方法は、通信ネットワークにおいて、衛星の運行を記述している専用軌道モデルすなわち特定の衛星測位システム用に規定された専用の軌道モデルの利用可能なパラメータを、衛星の運行を記述している共通軌道モデルのパラメータへ、変換するステップを含む。本方法は、更に、変換済みのパラメータを、衛星測位用の支援データの一部として提供するステップを含む。
【0021】
本発明の第1の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートするための、第2の方法が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。この方法は、移動体において、通信ネットワークから、衛星の運行を記述している共通軌道モデルのパラメータなどの支援データを受信するステップを含む。本方法は、更に、受信した共通軌道モデルのパラメータに基づいて、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星位置を推定するステップを含む。
【0022】
本発明の第1の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする通信ネットワーク用のネットワーク要素が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ネットワーク要素は、処理手段を含む。処理手段は、衛星の運行を記述している専用軌道モデル、すなわち特定の衛星測位システム用に規定された専用の軌道モデルの利用可能なパラメータを、衛星の運行を記述している共通軌道モデルへ変換するようになっている。処理手段は、更に、変換済みのパラメータを、衛星測位のための支援データの一部として提供するようになっている。
【0023】
本発明の第1の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする移動体が提案される。移動体は、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群から送信された信号を捕捉するようになっている衛星信号受信機を備える。移動体は、更に、衛星の運行を記述している共通軌道モデルのパラメータを伴った支援データを通信ネットワークから受信するようになっている通信コンポーネントを備える。移動体は、更に、受信した共通軌道モデルのパラメータに基づいて、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星の位置を推定するようになっている処理手段を備える。
【0024】
本発明の第1の態様によれば、更に、システムが提案され、このシステムは、提案された本発明の第1の態様のネットワーク要素、及び提案された本発明の第1の態様の移動体を備える。
【0025】
本発明の第1の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする第1のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、通信ネットワークのネットワーク要素の処理ユニットによって実行されると、本発明の第1の態様の第1の方法を実現させる。
【0026】
本発明の第1の態様によれば、更に、第1のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第1の態様に関して提案された第1のソフトウェアコードが記憶されている。
【0027】
本発明の第1の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする第2のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、移動体の処理ユニットによって実行されると、本発明の第1の態様の第2の方法を実現させる。
【0028】
本発明の第1の態様によれば、更に、第2のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第1の態様に関して提案された第2のソフトウェアコードが記憶されている。
【0029】
本発明の第1の態様は、衛星測位の支援データとして提供される軌道モデルのパラメータの形式を、各々の衛星測位システムの範囲で規定された軌道パラメータの形式から切り離すことができるとの考えに基づいている。このために、特定の衛星測位システム用に利用可能な軌道パラメータを、共通軌道モデルのパラメータへ変換することが提案される。この共通軌道モデルは、少なくとも2種の衛星測位システム用に共通して規定されるとよいが、必ずしもそうでなくともよい。なお、「変換」という言葉は、共通軌道モデル用にパラメータを再計算することも意味として含んでいる。
【0030】
本発明の第1の態様の利点は、同じ軌道モデルを、多種の衛星測位システムの支援データに使用することができることにある。共通軌道モデルを用いると、サポートされる全ての衛星測位システムに関して、精度の点で同様の性能を達成することができる。加えて、新しい衛星測位システムを容易に追加することもできる。故に、A−GNSSのようなアシスト型の測位は、全セルラ標準においてなど、多様な通信標準において整合させることが可能と考えられる。移動体においては、更に、共通軌道モデルがハイブリッド化を容易にし、例えばGalileo−GPSハイブリッド化によって、移動体による測位計算をGPS衛星及びGalileo衛星の衛星信号に基づかせることができるようになる。更に、共通軌道モデルを、例えばGPS軌道暦及び天体暦モデルの代わりに、特定の衛星測位システム用の単一軌道モデルとして使用することも可能であり、あるいは同様に、例えば移動機アシスト型GNSS及び移動機ベース型GNSSなど全ての測位モード用の単一軌道モデルとして使用することも可能である。共通軌道モデルを使用すれば、このように、通信標準においてサポートしなければならないデータ要素の数が減ることになる。自立型測位を行わない移動体において、場合によってはハイブリッドGPS/Galileo受信機のために、共通軌道モデルを使用すると、移動体内の測位ソフトウェアの規模及び複雑度を最小限に抑えることができる。すなわち、好適な実施形態とは言えないが、移動体自体は、衛星航法データを復号するためのソフトウェアを何も備えず、提案された共通軌道モデルをサポートするソフトウェアしか備えない場合である。同じ共通軌道モデルは、更に、地上測位システム用の支援データを提供するのにも使用することができると考えられる。
【0031】
本発明の第1の態様のさらなる利点は、ICD−GPS−200に規定されたパラメータのような専用軌道モデルのパラメータ形式に起こり得る変更が、変換済みのパラメータの変更を必要としないことにある。したがって、通信ネットワークと移動体との間のインターフェースは、同じものとすればよい。実施されたパラメータ変換に対してさえ、適応すればよい。
【0032】
本発明の第1の態様のさらなる利点は、変換済みのパラメータの形式が、元のパラメータの形式に縛られないことにある。したがって、変換することで機能強化されたパラメータを提供し、それによってアシスト型測位の性能を向上させることができる。
【0033】
共通軌道モデルは、例えば、専用軌道モデルよりもパラメータを多く含むか、又は専用軌道モデルの相当するパラメータよりも語長の長いパラメータを含むことができる。これにより、軌道モデルの精度向上、及び/又は各パラメータの有効期間延長ができるようになる。軌道モデルがより精密であれば、達成できる測位も、より精密なものとすることができる。パラメータがより長い期間有効であれば、必要な更新が減り、通信システム内の通信帯域幅の無駄をなくすことになる。
【0034】
カリフォルニア工科大学(California Institute of Technology)のジェット推進研究所(JPL:Jet Propulsion Laboratory)は、軌道パラメータの語長を伸ばすことによって、衛星軌道モデルの精度向上及び寿命延長が可能であることを明らかにしている。国際GPS事業(IGS:International GPS Service)では、JPLにより、インターネット上で、48時間の高精度な軌道モデルを共用している。JPLは、いわゆる超高速暦位置データを公表しており、これは、少なくとも+/−24時間は有効でデシメートルレベルの精度を保ち、つまりは24時間先のデータである。このデータは、一般にsp3形式であり、地球中心地球固定(ECEF:Earth Centered Earth Fixed)フレームにおける衛星位置及び速度の座標、ならびに、通常15分の何らかの間隔ごとにサンプリングされた時計時刻及び精度評価を含む。データは、GPS衛星配置全体に関して提供される。データは、それ自体は端末測位に適さないが、例えば、衛星位置のための端末用に小規模なパラメータ一式をもたらす多項式近似、及び時間関数としての速度の外挿などによって、モデル化されるはずである。多項式近似には、GPS軌道暦データ用に規定された「多項式形式」を使用することが可能である。モデル化は、衛星時計のドリフトに関しても必要とされる。IGSは、衛星時計に関しても精密な情報を提供しており、これも、例えば多項式などを用いてモデル化する必要がある。時計モデルは、GPS ICDにしたがって、標準衛星同報のサブフレーム1に含まれ、同様に、セルラ支援の中でも提供される。時計モデルは、一般に、軌道暦の一部とされるが、やはり、独立したモデルである。
【0035】
グローバルロケート社(Global Locate Inc.)は、GPSの使用しているものに代わる近似基準を用いてICD−GPS−200に適合する多項式近似を計算することによって、衛星軌道モデルの精度向上及び寿命延長が可能となることを明らかにしている。グローバルロケート社による衛星軌道暦サービスでは、ICD−GPS−200形式を使用して、GPS配置全体のための長期軌道モデルを搬送する。長期モデルの寿命は、同報される軌道暦の寿命よりもかなり長くすることができる。しかし、この後者の手法は、依然としてGPS軌道暦形式に限定される。
【0036】
専用軌道モデルの利用可能なパラメータは、例えば、同報軌道暦又はその他の軌道データ、GNSS制御部分によって提供される軌道暦又はその他の軌道データ、及び/又はIGSなどの外部ソースによって提供される軌道暦又はその他の軌道データなどとすることができる。
【0037】
共通軌道モデルは、GPS軌道暦及び天体暦モデルに使用されているケプラーの軌道及びパラメータに基づいたものとすることができる。しかし、衛星位置情報をモデル化するには、その他多様な表現を使用することも可能である。例えば、スプライン多項式、エルミート多項式、区分的連続多項式などである。一例として、四次多項式モデルは、ECEFフレーム内に与えられた真の衛星周回軌跡に近似することが可能と考えられる。多項式モデルは、二乗平均平方根誤差(RMSE:root mean of squared errors)を最小化する基準を用いて近似させることができる。多項式モデルは、その後、時間的に先の衛星位置情報を外挿するのに使用することができる。
【0038】
IGSデータは、ECEF位置、ECEF速度、及び時計バイアス/ドリフト精度(標準)を含んでいるsp3形式であるので、例えば多項式近似などに使用しやすい。モデル化は、例えばスプライン又はエルミート多項式近似によって行うことができ、それにより多項式が、前の24乃至48時間に関する衛星位置及び速度データに近似するようになる。提案された共通軌道モデルを用いると、GPS軌道暦データ用に規定された「多項式形式」を単に使用することに比べ、パラメータ選択の自由が増す。多項式次数、パラメータ数、及び語長は、近似の望ましい精度及び見込まれる存続期間に応じて選択することができる。
【0039】
最終的には支援データの一部として提供されることになる共通軌道モデルのパラメータは、移動体の能力に応じて、特定の衛星測位システムの衛星配置全体、複数の衛星測位システムの衛星配置全体、又は1つあるいは複数の衛星配置の一部に関するパラメータを含んでいるとよい。
【0040】
サポート対象となる衛星測位システムは、任意に選択することができる。これには、例えば、GPS、GLONASS及びGalileoを含むが、同じくEGNOS及びWAASなどを含んでもよい。
【0041】
提供される支援データには、変換済みのパラメータに加えて、特に、時計モデルパラメータなどの形での基準時間、及び基準地点が含まれるとよい。なお、共通軌道モデル自体にも、衛星位置及び速度データ用のモデルに加えて、衛星時計のバイアス及びドリフト、初期設定用の時間基準、衛星位置の推定、速度及び時計精度のほか、場合によっては精密単独測位(PPP:precise point positioning)計算のための位相ワインドアップ補正用の衛星姿勢のモデルを、含めることができると考えられる。ECEFフレームでは地球自転の補正を容易に実行できるので、位置及び速度モデル用の座標フレームがECEFフレームであることが有利である。局所フレーム(東北上:East−North−Up)への変換は、単純なマトリクス乗算を用いて実現することができる。IGSデータは、ECEFフレームに含まれているとよい。
【0042】
更に、提供される支援データには、その他種々の情報を含めることができる。例を挙げると、DGPS補正、リアルタイムキネマティック(RTK:Real Time Kinematics)補正、及び衛星信号用の搬送波位相測定値などである。高精度なRTK測位に関しては、国際公開第2004/000732(A1)号パンフレットを参照する。搬送波位相測定値及びRTK参照データは、例えば、高精度な測位をサポートするのに適している。当然のことながら、GPS用として周知のRTK補正は、要求に応じてGalileoによる測位などをサポートするようにしてもよい。追加的な支援データのさらなる例は、EGNOS及びWAAS補正である。静止型のEGNOS及びWAAS衛星から同報されるデータは、高緯度地域では受信することが難しい。したがって、データが、むしろネットワーク支援データとして提供されるとよく、現行のEGNOS/WAAS補正はそのものとしては長期軌道モデルに適さないため、共通軌道モデルが短期軌道モデルである場合には特によい。追加的な支援データのさらなる例は、長期軌道モデル用の、短期相対補正である。追加的な支援データを更に挙げると、電離層モデルパラメータ及び/又は対流圏モデルパラメータがある。追加的な支援データを更に挙げると、短期の完全性警告があり、これは、突発的に衛星が故障した場合に、この衛星を位置計算から除外するために備えられるとよい。追加的な支援データを更に挙げると、少なくとも1つの衛星測位システムのデータビットであり、これは、移動体による要求に応じてデータ消去を可能にする。データ消去は、衛星信号受信機において感度を向上させる方法である。例えば、GPSデータ内容が未知のものであったら、GPS信号をコヒーレントに積分できるのは、20ミリ秒(1GPSビット)の期間のみである。データビットが既知のものであれば、コヒーレントな信号積分が数GPSビットにわたって継続可能となり、同時に、積分時間が倍になるごとに約1.5デシベルの利得を感度に得られる。例えば、40ミリ秒(2ビット)では1.5デシベルの利得、80ミリ秒(4ビット)では、3デシベルの利得を生じることになり得る。
【0043】
本発明の一実施形態においては、更に、通信ネットワークの同じ又は別のネットワーク要素が、変換済みのパラメータの中の衛星測位システム時間に基づいた基準値を、通信システム時に基づいた基準値へ置き換える。すなわち、共通軌道モデルは通信システム時間基準のみに準拠することになり、故に、衛星位置情報が、例えばGPS又はGalileo時間の代わりに、通信システム時間の関数として計算されることが可能となる。
【0044】
通信システム時間基準は、GNSSシステム時間と通信システム時間との間の関係が正確に認識されていて、高感度にするための精密な信号位相及びドップラの予測が可能となる場合に、使用することができる。通信システム時間用に、通信システムに応じて、支援データ中に任意選択フィールドを用意してもよい。システム固有の情報として考えられるのは、フレーム、GSM用のスロット及びビット、システムフレーム番号、WCDMA用のスロット及びチップ、ならびにCDMA用のUTC時間である。スロット、及びビット又はチップをそれぞれに考慮すれば、GSM及びWCDMAにおいて同様に十分な解決を確実に得ることができる。フィールドには、信号位相及びドップラの予測の不確定性を推定するために、時間不確定性推定(標準)も含めてよい。
【0045】
本発明の別の実施形態においては、共通軌道モデルが、例えばUTC時間及び/又は通信システム時間というように、2つの時間基準に準拠している。UTC時間は、全GNSSシステム用の普遍時間基準を提供し、例えばセルラシステムに固有の、起こり得るフレーム/スーパーフレームロールオーバの回数を求めることができるようにしている。UTC時間基準は、その上、起こり得るGNSSシステムの時差の問題を排除するのにも適している。GPS、Galileo及びGlonassは、異なるシステム時間を有している。したがって、システムが、例えば1つのGPS信号を使用してGalileo信号の位相を予測するなどのハイブリッド測位に使用される場合には、複数のシステム時間の間のバイアスを認識しておかねばならない。この問題は、モデルを共通の時間基準、すなわちUTC時間に基づかせることによって排除される。GNSSシステム時間の間の差異は、時計モデルの中で補償することが可能である。共通の時計モデルは、例えば、バイアス、ドリフト及びジャークの3種のパラメータを有する二次連続多項式近似を使用することができる。これは、現行のGPS ICDにおける時計モデルとおおむね同じである。更に、他のあらゆるモデルも同様に使用可能である。時計モデルは、時計誤差に関する精度又は不確定性の推定を含むことも可能と考えられる。UTC時間が、軌道モデルのタイムスタンプ/IDとなってもよい。
【0046】
支援データは、特に移動体からの要求に応じて、特定の移動体へ送信されることが可能である。あるいは一方で、例えばセルラ通信システムの各セルにおいて、同報されることも可能と考えられる。
【0047】
その後、支援データを受信する移動体が、転換されたパラメータを使用して、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星の位置を推定すればよい。
【0048】
II.
本発明の第2の態様によれば、支援データによって移動体の衛星測位をサポートするための、第1の方法が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。本方法は、通信ネットワークにおいて、衛星の運行を記述している軌道モデルの利用可能なパラメータ中の衛星測位システム時間に基づいた基準値を、通信システム時間に基づいた基準値へ、置き換えるステップを含む。本方法は、更に、置き換え済みの基準値を含むパラメータを、衛星測位用の支援データの一部として提供するステップを含む。
【0049】
本発明の第2の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートするための、第2の方法が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。本方法は、移動体において、通信ネットワークから、通信システム時間に基づいたタイムスタンプなどの支援データを受信するステップを含む。本方法は、更に、移動体において、通信システム時間を算定するステップを含む。本方法は、更に、移動体において、支援データ中の算定された通信システム時間に基づくパラメータを使用して、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星の位置を推定するステップを含む。
【0050】
本発明の第2の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする通信ネットワーク用のネットワーク要素が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ネットワーク要素は、処理手段を含む。処理手段は、衛星の運行を記述している軌道モデルの利用可能なパラメータ中の、衛星測位システム時間に基づいた基準値を、通信システム時間に基づいた基準値へ、置き換えるようになっている。処理手段は、更に、置き換え済みの基準値を含むパラメータを、衛星測位用の支援データの一部として提供するようになっている。
【0051】
本発明の第2の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする移動体が提案される。移動体は、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている衛星信号受信機を備える。移動体は、更に、通信システム時間に基づいたタイムスタンプを伴った支援データを通信ネットワークから受信するようになっている通信コンポーネントを備える。移動体は、更に、通信システム時間を算定するようになっている処理手段を備える。移動体は、更に、受信支援データ中の算定された通信システム時間に基づくパラメータを使用して、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星の位置を推定するようになっている処理手段を備える。
【0052】
本発明の第2の態様によれば、更に、システムが提案され、このシステムは、提案された本発明の第2の態様のネットワーク要素、及び提案された本発明の第2の態様の移動体を備える。
【0053】
本発明の第2の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする第1のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、通信ネットワークのネットワーク要素の処理ユニットによって実行されると、本発明の第2の態様の第1の方法を実現させる。
【0054】
本発明の第2の態様によれば、更に、第1のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第2の態様に関して提案された第1のソフトウェアコードが記憶されている。
【0055】
本発明の第2の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする第2のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、移動体の処理ユニットによって実行されると、本発明の第2の態様の第2の方法を実現させる。
【0056】
本発明の第2の態様によれば、更に、第2のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第2の態様に関して提案された第2のソフトウェアコードが記憶されている。
【0057】
本発明の第2の態様は、衛星の位置は、衛星測位システム時間の代わりに、通信システム時間を使用している軌道モデルのパラメータに基づいて推定することができるとの考えに基づいている。上述の推定を可能とするために、利用可能なパラメータ中の衛星測位システム時間に基づいた基準値を、通信システム時間に基づいた基準値へ置き換えることが提案される。例えば、GPS軌道暦パラメータの場合は、TOEが通信システム時間に置き換えられ、GPS天体暦パラメータの場合は、TOAが通信システム時間に置き換えられる。提案されたように基準値を置き換えるためには、通信ネットワークにおいて、衛星測位システム時間と通信システム時間との関係を認識している必要がある。しかし、時間の関係に関する精度はあまり厳密ではないので、この関係をネットワークが利用できるようにするには、いくつかの方法を取ることができる。
【0058】
本発明の第2の態様の利点は、支援データは衛星測位システム時間に依存せず、移動体が衛星測位システム時間を利用できるようにしなくて済むことにある。
【0059】
本発明の第2の態様は、A−GPS又はアシスト型のGalileoなど、あらゆるアシスト型の衛星測位システムに採用することができる。
【0060】
通信ネットワークが、例えばGSMネットワークである場合、通信システム時間は、フレーム番号、タイムスロット、及びビット数の各組み合わせによって規定してもよい。通信ネットワークが例えばWCDMAネットワークである場合、通信システム時間は、システムフレーム番号、スロット、及びチップの各々によって規定してもよい。例えば、現行のセルラ端末はすべて、フレーム番号が復号済みになっている。このように、セルラ通信システム時間を使用した衛星の位置計算、すなわち、衛星位置の外挿に適した時間情報は、既に利用可能な状態になっている。
【0061】
GPSの場合は、セルラタイムスタンプを伴った現行のGSM及びWCDMAセルラ標準を拡張することは、容易である。正確な時間を転送するためのIE及びパラメータが既に存在する。同じパラメータを、軌道暦及び天体暦IEに付加されてTOE及びTOAの代わりに使用してもよいが、TOWと同じ時間情報及び使途を有する。この手法は、下位互換性も有すると考えられる。
【0062】
移動体は、通信ネットワークから、置き換え済みの基準値を伴った支援データを受信してもよい。移動体は、次に、支援データ中の、通信システム時間に基づいたパラメータを使用して、通信システム時間を算定し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星の位置を推定することができる。衛星測位システム時間が移動体に供されなくとも、当技術分野で周知のように、衛星位置情報を用いれば受信衛星信号のコード位相及びドップラ周波数の精密な予測が可能となる。
【0063】
通信ネットワークから支援データを受信した移動体は、所定のフィードバックアイテム一式を、初期設定によって、通信ネットワークへ提供してもよい。これに対して、既存の手法では、一連のフィードバックアイテムは測位モードに依存しており、すなわち、測位が移動機ベース型か、それとも移動機アシスト型かによって左右される。フィードバックデータには、移動体の算定された位置のような位置情報、移動体の算定された速度、少なくとも1つの衛星測位システムの算定された時間、測定値及び/又は位置の算定された不確定性などを含んでもよい。フィードバックデータは、更に、受信衛星信号の測定値、及び/又は衛星測位システム時間と通信システム時間との関係を含んでもよい。フィードバックデータは、更に、通信ネットワークの複数の基地局から受信した信号について実施された観測時差(OTD:Observed Time Difference)測定値を含んでもよい。移動体は、情報を独立にするために、フレーム又はサブフレーム差分の代わりに、OTD測定値を秒の単位で、つまりマイクロあるいはナノ秒単位で、通信ネットワークへ返送してもよい。
【0064】
移動体では、更に、少なくとも1つの衛星測位システムの時間と、通信システム時間との間の関係を維持することが必要とされることがある。移動体がGNSSフィックスを既に得ている場合は、移動体は、上記の目的のために、例えばフレーム、サブフレーム、スロット、ビット、及びチップなどに関して、現在の通信システム時間を算定された衛星測位システム時間に関連付けることができる。あるいは、移動体は、初期の時間関係を支援データとして受信してもよい。時間関係は、例えばネットワークからの時差情報を評価することによって、又は移動体内で実施されるOTD測定を評価し関係の不確定性が大きくなり過ぎたら再度UTC−セルラ時間関係を構築することによって、あるいはネットワークからのGNSS時間支援を評価することなどによって、維持することができる。例えばCDMAネットワークでは、GPS及びUTC時間は初期設定によって利用可能である。移動体が有効な時間関係を有していれば、この関係を使用して、初期位置算出時間及び感度に関して性能を向上させることができる。性能の向上は、数百マイクロ秒の精度を有する時間関係を用いて達成することができる。維持された時間関係も、移動体による通信ネットワークへの支援データ要求の中に含めてよい。
【0065】
通信ネットワークは、移動体からフィードバックとして提供された位置データ、時間関係データ及びOTD測定値を収集し、基地局間の時差のデータベースを作成することができる。このデータベースは、時間的に精密な支援データを移動体へ配信するのに使用することができ、それにより衛星測位システム時間それ自体を配信することなく、感度を向上させることができる。移動体が位置の解を計算し損なった場合、フィードバックの中に衛星信号測定値があるときは、通信ネットワークにおいて移動体の位置を推定するために採用することもできる。
【0066】
III.
本発明の第3の態様によれば、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートするための方法が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっており、更に通信ネットワークは、少なくとも2つの異なる測位モードをサポートするようになっている。本方法は、移動体の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを、移動体と通信ネットワークとの間の少なくとも一方向に送信するステップを含む。
【0067】
本発明の第3の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする通信ネットワーク用のネットワーク要素が提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ネットワーク要素は、処理手段を含み、この処理手段は、移動体の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを移動体へ送信、及び/又は、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを移動体から受信するようになっている。
【0068】
本発明の第3の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする移動体が提案される。移動体は、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている衛星信号受信機を備える。移動体は、更に、通信コンポーネントを備え、これは、移動体の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを通信ネットワークへ送信、及び/又は、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを通信ネットワークから受信するようになっている。
【0069】
本発明の第3の態様によれば、更に、システムが提案され、このシステムは、提案された本発明の第3の態様のネットワーク要素、及び提案された本発明の第3の態様の移動体を備える。
【0070】
本発明の第3の態様によれば、更に、支援データによって移動体の衛星測位をサポートする第1のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、通信ネットワークのネットワーク要素の処理ユニットによって実行されると、移動体の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを移動体へ送信、及び/又は、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを移動体から受信する。
【0071】
本発明の第3の態様によれば、更に、第1のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第3の態様に関して提案された第1のソフトウェアコードが記憶されている。
【0072】
本発明の第3の態様によれば、更に、支援データを使用して移動体の衛星測位をサポートする第2のソフトウェアコードが提案される。ここで、移動体は、通信ネットワークと通信し、少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群によって送信された信号を捕捉するようになっている。ソフトウェアコードは、移動体の処理ユニットによって実行されると、移動体の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを通信ネットワークへ送信、及び/又は、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを通信ネットワークから受信する。
【0073】
本発明の第3の態様によれば、最後に、第2のソフトウェアプログラム製品が提案され、この中に、本発明の第3の態様に関して提案された第2のソフトウェアコードが記憶されている。
【0074】
本発明の第3の態様は、現行の全ての支援標準が、異なる測位モードには異なる規格を定めていることについての検討から生じている。規格及び処理を統一し簡易化するために、採用されている測位モードを問わず、測位を目的として移動体と通信ネットワークとの間でやり取りされる少なくとも一組のデータが、実質的に同じになることが提案される。
【0075】
上記の少なくとも一組のデータは、例えば通信ネットワークから移動体へ送信される支援データに属していてもよい。これにより、採用されている測位モードに関わりなく、衛星測位のために移動体で実行される動作が、実質的に同じになるようにもできる。
【0076】
上記の少なくとも一組のデータは、更に、移動体から通信ネットワークへ送信されるフィードバック情報に属していてもよい。この場合、少なくとも一組のデータには、例えば移動体によって捕捉された衛星信号に関する測定情報が含まれていてもよい。移動体が、捕捉した衛星信号に基づいて自分で自分の位置を算定したときは、算定した位置を、共通の一組のデータに加えてもよい。
【0077】
なお、移動体の位置は、移動体及び通信ネットワークの双方で計算することができる。
【0078】
IV.
本発明のさらなる態様は、各種の補正データを通常の軌道暦パラメータに基づいて計算する代わりに、この補正データを、少なくとも1日の有効性を有する長期軌道モデルのパラメータに基づいて計算することができるという検討から生じている。結果として、補正データは、短期軌道暦パラメータと一緒にだけではなく、長期軌道パラメータと一緒にも利用することができる。パラメータは、補正データよりも先に用意されているか、又は補正データと同時に用意されるとよい。補正データは、例えば、WAAS、EGNOS又はDGPS補正データとなる可能性があるが、その他のあるいは新しいタイプの補正データである可能性もある。
【0079】
更に、長期軌道モデルのパラメータの精度は、時間とともに低下する。ところが、提案された補正データを使うと、上記長期軌道パラメータの寿命を延ばすことが可能となる。
【0080】
提案された補正データによって、このように、長期軌道モデルの精度及び完全性を高めることができる。精密な補正データを用いると軌道モデルの更新頻度は必然的に低下するので、通信ネットワークと移動体との間で転送されなければならないデータ量が減り、帯域幅の負荷が軽減される。しかも、この補正モデルは、既存のモデルよりも精度が高く、持続的である。選択利用性の性質により、例えばDGPS補正は、当初、非常に短期の補正であり、あまり精密でないものとして開発された。今日では選択利用性が外されたので、新しいタイプのDGPS補正は、非常に精密に設計することが可能となっている。その上、補正データの単一の形式を、GPS、Galileo、Glonassなどの全ての衛星配置に対して使用することが可能である。
【0081】
ネットワーク側では、本発明の第3の態様により、サーバが、長期軌道モデル用の補正データを計算することができる。長期軌道モデルのパラメータは、数日間有効であることが可能で、支援データの一部として移動体へ送信されるときにある程度のネットワーク帯域幅を必要とする。補正データは、有効期間は数時間となることもあるが、必要な帯域幅は、長期軌道モデルのパラメータを送信するよりも少ない。一連の補正データは、各々について多様な方法で計算することが可能である。実際の補正データは、例えば、基準局からの実測値に基づいて、あるいは既存のEGNOS/WAASモデルに基づいて、計算することができる。実際の補正データの形式は、補正がどのように計算されたかには依存しない。
【0082】
移動体側では、衛星位置の推定をそれぞれ実行する前に、補正データを受信し、これを使用して長期軌道モデルのパラメータを補正する。移動体における実装では、提供された補正データを、従来型のDGPS補正と同様の方法で使用してもよい。しかし、衛星ごとの擬似距離補正量の計算は、補正モデルに依存する。
【0083】
補正データの算出のために採用されるモデルは、例えば、二次又は三次多項式のような何らかの高次多項式、又は区分的連続多項式、あるいは更に複雑なモデルとすることができる。
【0084】
当然のことながら、補正データの提案された計算は、本発明の第1の態様、本発明の第2の態様、及び本発明の第3の態様のそれぞれにおいて使用することができる。
【0085】
本発明の第1、第2、及び第3の態様のいずれのネットワーク要素も、例えば、通信ネットワークのネットワークサーバ、又は基地局とすることができる。本発明の第1、第2、及び第3の態様の通信ネットワークは、例えば、GSMネットワーク、WCDMAネットワーク、又はCDMAネットワークなどのセルラ通信ネットワークとすることができるが、同様に、WLAN、Bluetooth(登録商標)ネットワーク、又はWiMaxネットワークなどの非セルラネットワークとすることもできる。本発明の第1、第2、及び第3の態様の移動体は、携帯電話機のような移動体通信デバイスを含んでもよく、そこには衛星信号受信機が組み込まれていてもよい。あるいは、衛星信号受信機は、移動体通信デバイスの付属品デバイスとすることもできる。
【0086】
当然のことながら、本発明の第1の態様に関して記述された詳細は全て、本発明の第2の態様の実施形態と組み合わせることができ、逆もまた同様である。
【0087】
本発明のその他の目的及び特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な記載を考察することにより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0088】
図1は、本発明の一実施形態に従ってA−GNSSをサポートしているシステムの概略ブロック図である。システムは、支援データとしてGNSS時間を用意する必要性を回避し、提供された支援データを利用する。
【0089】
システムは、GSMネットワーク又はその他のセルラ通信ネットワークの、基地局10及びネットワークサーバ20を備える。システムは、更に、第1の移動機(MS1)30、第2の移動機(MS2)40、GPS衛星(GPS SV)50、及びGalileo衛星(Galileo SV)60を備える。
【0090】
基地局10は、近傍に位置する移動機30、40へ無線インターフェースを提供する。基地局は、処理ユニット11を備え、これは、パラメータ検索コンポーネント12、基準時間置き換えコンポーネント13、メッセージ組み立てコンポーネント14、及びフィードバック転送コンポーネント15など、実装されている様々なソフトウェアコードコンポーネントを実行できるようになっている。
【0091】
ネットワークサーバ20は、セルラ通信ネットワークの様々な基地局10によってアクセス可能であり、その上、GPS制御サーバ及びGalileo制御サーバ(図示せず)に接続されている。ネットワークサーバは、データベースを記憶しているメモリ21を備え、更に、パラメータ算出コンポーネント23、データベース更新コンポーネント24、及び位置推定コンポーネント25など、実装されている様々なソフトウェアコードコンポーネントを実行できる処理ユニット22を備える。
【0092】
第1の移動機30は、GPS受信機31を有する移動体である。GPS受信機31は、捕捉及び追跡コンポーネント32を含み、これはハードウェア及び/又はソフトウェア内で実現してもよい。例えば、GPS衛星50から受信した信号を捕捉及び追跡するために、相関タスクなどの信号測定タスクが、GPS受信機31の処理ユニットにより実行されるソフトウェアコードの制御するハードウェアによって、実施可能であると考えられる。
【0093】
移動機30は、更に、セルラ通信コンポーネントとしてセルラエンジン35を有する。セルラエンジンは、携帯電話機30とセルラ通信ネットワークとの間の従来型の移動体通信に必要な全てのコンポーネントを備えたモジュールであり、追加機能を用いて更に高度化させることができる。セルラエンジン35は、このために、実装されている様々なソフトウェアコードコンポーネントを実行することのできるデータ処理ユニットとなっているか、又はこれを備えている。提案された実施形態では、上記のソフトウェアコードコンポーネントには、アプリケーションコンポーネント36、メッセージ評価コンポーネント37、及び位置推定コンポーネント38が含まれる。アプリケーションコンポーネント36によって実現されるアプリケーションは、位置関連の情報が必要なあらゆるアプリケーションとすることができ、例えば、航法アプリケーション、又は、特定の場所にいる移動機30のユーザに対して特定のサービスが提供されることを確実にするようなアプリケーションなどが挙げられる。当然のことながら、場合によっては、アプリケーションコンポーネント36及び位置推定コンポーネント38は、例えばGPS受信機31の処理ユニットなど、別の処理ユニットによって実行されることもあり得る。
【0094】
第2の移動機40は、第1の移動機30と類似した設計を有するが、GPS受信機の代わりにGalileo受信機を有し、これは、Galileo衛星60から受信した信号を捕捉及び追跡するようになっている。あるいは、第2の移動機40は、例えばGPS及びGalileoハイブリッド型の受信機を備えることもあり得る。
【0095】
ここで、図1のシステム内の移動機30、40に関する位置情報の算定について、図2を参照しながら説明する。図2は、フローチャートであり、左側は移動機30、40のいずれかにおける動作を、中央は基地局10における動作を、右側はネットワークサーバ20における動作を、表している。
【0096】
ネットワークサーバ20が、一定の間隔で、GPS軌道暦及び天体暦パラメータを、利用可能な全GPS衛星50用のGPS制御サーバから受信し、相当するGalileoパラメータを、利用可能な全Galileo衛星60用のGalileo制御サーバから受信する。GPSパラメータは、GPS ICDに適合しており、従ってGPS固有の軌道暦又は天体暦軌道モデルにそれぞれ属している。Galileoパラメータは、Galileo ICDに適合しており、従ってGalileo固有の軌道モデルに属している。ネットワークサーバ20は、GPS制御サーバ、Galileo制御サーバ、あるいはその他のエンティティから、追加的な情報を受信してもよい。上述のような他のエンティティは、例えば、静止型のEGNOS及びWAAS衛星によって同報されるEGNOS及びWAAS補正などを提供してもよい。
【0097】
パラメータ算出コンポーネント23は、受信したGPSパラメータを共通軌道モデルのパラメータへ変換する(ステップ201)。更に、受信したGalileoパラメータも、同じ共通軌道モデルのパラメータへ変換する。各パラメータが有効となる衛星は、例えば、PRNだけでなく配置IDをも含んだインデックスを使用して識別してもよい。共通軌道モデルは、GPS及びGalileo衛星のほか、おそらくはGLONASS、EGNOS及び/又はWAASなど他のあらゆるGNSSの衛星に関する位置、速度及び加速などの衛星位置情報を計算する軌道パラメータ及びアルゴリズムを、記述する規格である。加えて、共通軌道モデルは、衛星信号に対するクロックドリフトが原因になっている補正の計算を可能にできる。なお、WAAS、EGNOS、及び/又はDGPSのような補正データを含む、あらゆる補正データは、採用されている共通軌道モデル用に、特別に計算又は再計算してもよい。
【0098】
パラメータ変換によって、別々のGNSSのパラメータが統合され、つまりGPS及びGalileoなどに関して、パラメータの数及びパラメータの語長が全く等しいものとなる。共通軌道モデルのパラメータは、更に、GPS軌道暦パラメータよりも長く有効性を保つことができる。その上、上記パラメータは、例えばGPS天体暦軌道モデルなどに比べて、より正確に衛星の位置を特定することができる。このことは、例えば、衛星によって送信されるパラメータに関する規定に比べ、より多くのパラメータを使用するか、又はより長い語長を用いることによって、達成可能となる。故に、共通軌道モデルは、例えばGPSに関して、唯一の軌道モデルとなることもできる。当然のことながら、パラメータの変換には、パラメータの再計算も含まれる。
【0099】
各衛星用の、生成された共通軌道モデルのパラメータは、含まれる情報の基準時間を構成する基準値を含み、この基準値は、GPS軌道暦データにとってのTOE、又はGPS天体暦データにとってのTOAのように、衛星の属しているGNSSのシステム時間に基づいている。例えばGPS衛星に関しては、基準時間は、TOE又はTOAのようにGPSのTOWカウントに基づいている。
【0100】
ここで、移動機30、40のアプリケーションコンポーネント36が、位置関連の情報を必要とすることがある。必要な情報を得るには、セルラ通信ネットワークからのGPS及び/又はGalileo用支援データを、要求すればよい(ステップ301)。支援要求では、移動機30、40によってサポートされているGNSSタイプを指定している。
【0101】
基地局10が支援要求を受信すると、パラメータ検索コンポーネント12が、ネットワークサーバ20に対し、基地局10の場所にて現在可視であって、サポートされている1つ又は複数のGNSSに属する衛星50、60用に、共通軌道モデルのパラメータを用意するよう指示する(ステップ101)。この指示には、基地局10の識別表示、及び1つ又は複数のGNSSの識別表示が含まれている。
【0102】
上記の結果、ネットワークサーバ20のパラメータ算出コンポーネント23が、基地局10の場所にて現在可視となっておりかつ指定の1つ又は複数のGNSSに属する衛星50、60を算定する(ステップ202)。衛星の現在位置は、生成された軌道モデルパラメータを用いて求めることができる。したがって、全基地局の各々の識別表示とそれらの場所との関連性が、ネットワークサーバ20の中、例えばメモリ21内のデータベースの中などに記憶されているときは、特定された基地局10にて現在可視となっている衛星を容易に算定することができる。パラメータ算出コンポーネント23は、現在可視の衛星用に軌道モデルパラメータを選択し、それを、場合によっては追加情報とともに、基地局10へ提供する。上述の追加情報には、例えばDGPS及びRTK補正、EGNOS及び/又はWAAS補正、短期のディファレンシャル補正、短期の完全性警告及び搬送波位相測定値などが含まれるとよい。移動機30、40による特別な要求が基地局10によって転送されてきたら、追加情報には、データ消去のためのデータビットを含めることもできる。
【0103】
基地局10のパラメータ検索コンポーネント12は、提供された情報を受信し、それらを基準時間置き換えコンポーネント13へ提供する。
【0104】
基地局10の基準時間置き換えコンポーネント13は、可視の衛星50、60それぞれに関する軌道モデルパラメータのGNSSに基づいた基準時間を、セルラシステムに基づいた基準時間へ置き換える(ステップ102)。セルラ通信ネットワークがGSMネットワークである場合、セルラシステムに基づく基準時間は、例えば、フレーム番号(frame number)、タイムスロット(time slot)、及びビット数(bit number)の配置{FN,TS,BN}を含むことができ、これが、GNSSに基づいた基準時間の時刻に相当する。セルラ通信ネットワークがWCDMAネットワークである場合、セルラシステムに基づいた基準時間は、例えば、システムフレーム番号(SFN:system frame number)、スロット及びチップなどを含むことができ、これらが、GNSSに基づいた基準時間の時刻に相当する。
【0105】
GNSSに基づいた基準時間をセルラシステムに基づいた基準時間に置き換えることができるようになるためには、基地局10が、GNSS時間とセルラ通信システム時間との間の現在の関係を認識している必要がある。この関係の精度に関する要件はあまり厳密ではないので、この関係を基地局10に提供するにはいくつかの選択肢がある。精度が10乃至100μs、あるいは精度が1msの関係を有すれば十分である。衛星は、約3.8km/sの速度で運行するので、衛星位置の1ms間の位置誤差はせいぜい4メートルであり、無視できるほどわずかなものである。
【0106】
第1の選択肢では、LMUが基地局10に関連させられている。この場合は、LMUがGNSS時間を算定し、基地局10へ提供するとよい。基地局10は、その後、関係そのものを算定すればよい。しかしながら、全ての基地局に独自のLMUを伴ったネットワークを備えるには、かなりの費用がかかると考えられる。
【0107】
第2の選択肢では、セルラ通信ネットワークにおいて、利用可能なLMUがただ1つだけあり、全基地局10の時差を、セルラ通信ネットワークがこのLMUの部位で測定する。例えば、ネットワーク内の1つの基地局が、LMUを備えてGNSS時間とセルラ通信システム時間との間の関係を作り出してもよい。セルラ通信ネットワーク内の任意の基地局10に関してGNSS時間とセルラ通信システム時間との関係を作り出すために、LMUを備えた基地局と、ネットワーク内の他の全ての基地局10との時差が計算される。時差は、例えば、初期設定により移動機30、40によってセルラ通信ネットワークへ報告されるOTD測定値を収集し評価することなどによって、測定することができる。
【0108】
第3の選択肢では、同じく、ただ1つのLMUのみがセルラ通信ネットワークにおいて利用可能となっており、時差は、マトリックス法を用いて測定される。この選択肢では、OTD測定値に基づいた基地局時差を測定するために、移動機30、40が利用される。例えば、ケンブリッジポジショニングシステム社(CPS:Cambridge Positioning Systems Ltd)は、この手法を使用した測位及び時間管理の方法を提案している。この方法は、具体的には、移動機において基地局時差を測定するステップと、移動機内の対応するデータベースを保守するステップと、このデータベースを測位及びGPS時間管理に使用するステップとを含む。この方法は、エンハンストGPS(E−GPS:Enhanced−GPS)と称される。E−GPS方式を使用することによって、移動機30、40において算定された時差がセルラ通信ネットワークに報告されるときは、セルラ通信ネットワークでも同様に、セルラシステム内におけるLMU基地局とその他の基地局10との間の時差を、得ることができるようになる。
【0109】
第4の選択肢では、セルラ通信ネットワーク内でLMUを必要としない。代わりに、移動機30、40が、GNSS時間とセルラ通信システム時間との間の関係を用意する。移動機30、40が、既に、前の測位セッション又はE−GPSの解から得た有効な関係を有していれば、この情報を、支援要求とともにセルラ通信ネットワークへ送信することができる。移動機30、40において有効な時間関係を取得し保守するためのいくつかのオプションについては、後に、ステップ306を参照しつつもう少し詳細に述べる。その後、基地局10が、移動機30、40によって提供された時間関係を使用して、セルラシステムに基づいた基準時間を軌道モデルパラメータ用に計算することができる。
【0110】
GNSS時間をセルラ通信システム時間と関連付けることに関しては、米国特許第6678510(B2)号明細書及び第6748202(B2)号明細書にも記載されており、これを参照する。
【0111】
サポートされているGNSSに属する可視の各衛星50、60用の軌道モデルパラメータ内で、GNSSに基づいた基準時間がそれぞれのセルラシステムに基づいた基準時間へ置き換えられると、メッセージ組み立てコンポーネント14が、上記の衛星50、60それぞれに関するメッセージを組み立てる(ステップ103)。メッセージは、いかなるタイプの測位モードに関しても、同じである。メッセージは、軌道モデルパラメータに伴って情報要素(IE:Information Elements)を含み、ここには置き換え済みの基準時間なども含まれる。加えて、メッセージは、基準地点、すなわち基地局10の既知の位置を含んでいてもよい。更に、メッセージは、ネットワークサーバ20によって提供される情報、他の何らかのエンティティによって提供される情報、又は基地局10それ自体で生成された情報のいずれを含んでいてもよい。
【0112】
上記のメッセージは、その後、要求中の移動機30、40へ送信される。
【0113】
あるいは、基地局10は、可視の各衛星50、60用に一定の間隔で上述のメッセージを組み立て、このメッセージを、基地局10によって対応されているセル内に位置する全ての移動機30、40へ、同報することもできると考えられる。
【0114】
移動機30、40のメッセージ評価コンポーネント37は、メッセージを受信してフレーム番号、タイムスロット及びビット数を復号して、それによりセルラ通信システム時間を算定する。更に、受信メッセージに含まれた情報を抽出する(ステップ302)。場合によっては地方時との関連で表示されるセルラ通信システム時間、及び軌道モデルパラメータなどの抽出された情報は、位置推定コンポーネント38へ提供される。
【0115】
位置推定コンポーネント38は、共通軌道モデルのアルゴリズムを認識している。位置推定コンポーネント38は、上記のアルゴリズムに基づき、提供された軌道モデルパラメータを用いて、及び場合によっては短期相対補正などを考慮して、各衛星の軌跡を現在のセルラ通信システム時間の関数として外挿する(ステップ303)。得られた衛星の軌跡に基づき、位置推定コンポーネント38は、従来型の方式で衛星信号の考えられる伝播時間及び発生するドップラ周波数を限定することができる。伝播時間及びドップラ周波数の限度を認識することで、確認の必要な考えられるコード位相についても限定することができる。このようなコード位相の限定は、軌道モデルパラメータが提供されている全ての衛星に関して実行されるが、短期の完全性警告が追加的に提供されている衛星は除く。短期の完全性警告は、突発的な衛星の故障の際にはいつでも、ネットワークサーバ20によって基地局10を介して提供することができる。
【0116】
位置推定コンポーネント38は、算定されたコード位相制限、及び場合によっては受信メッセージに含まれているさらなる情報を、捕捉及び追跡コンポーネント32へ転送する。捕捉及び追跡コンポーネント32は、可視の衛星を捕捉する(ステップ304)。上記の情報を従来型の方式で使用して、探索のオプションを制限することにより、衛星信号の捕捉速度を速める。捕捉及び追跡コンポーネント32は、捕捉された衛星信号の航法データを復号することもできる。捕捉及び追跡コンポーネント32は、復号された各種航法データを含んだ測定結果を、位置推定コンポーネント38へ提供する。
【0117】
ここで、位置推定コンポーネント38は、移動機30、40の位置を従来型の方式で算定してもよい(ステップ305)。すなわち、信号が捕捉された衛星50、60までの、擬似距離を算定する。更に、復号された航法データに基づいて、信号の送信された時点の衛星の正確な位置を算定するが、これは復号された航法データの中に示されていたものを、測定結果によって精査したものである。位置推定コンポーネント38は、次に、擬似距離を、算定された衛星位置とともに使用して、移動機の位置を推定する。位置推定コンポーネント38は、同様に、速度、GNSS時間、測定及び位置の不確定性など各種の所望される位置関連の情報を、従来型の方式で算定できる。算定された位置関連の情報は、その後、目的とする用途のために、アプリケーションコンポーネント36へ提供されればよい。
【0118】
初期設定によって、移動機30、40の位置推定コンポーネント38は、算定された位置関連の情報、受信した測定結果、及びセルラ通信システム時間とGNSS時間との間の関係を、フィードバックデータとしてセルラ通信ネットワークへ提供する。フィードバックデータは、採用されている測位モードに関わらず常に同じであるが、例外的に、移動機30、40の位置については、移動機30、40によって位置が算定された場合にのみ、提供すればよい。フィードバックデータは、基地局10のフィードバック転送コンポーネント15によって、ネットワークサーバ20へ転送される(ステップ104)。
【0119】
ネットワークサーバ20のデータベース更新コンポーネント24は、位置情報、セルラ通信システム時間とGNSS時間との間の関係、更にOTD測定値を収集して、多様な基地局間の時差のデータベース21を作成し更新することができる(ステップ203)。このデータベース21は、移動機30、40へ時間的に精密な支援データを配信して、GNSS時間それ自体を配信することなく、感度を向上させるのに使用することができる。
【0120】
移動機30、40が自らの位置を計算し損なった場合には、ネットワークサーバ20の位置計算コンポーネント25が、フィードバックデータ中に測定結果があるときはそれを使用して、移動機30、40の位置を推定することができる(204)。
【0121】
移動機30、40が、セルラ通信システム時間とGNSS時間との間の関係を初期設定によって維持してもよい(ステップ306)。このことが可能となるのは、移動機30、40が、有効なGNSSフィックスを得ており、かつ、例えばフレーム、サブフレーム、スロット、ビット及びチップなどに関して現在のセルラ通信システム時間をGNSS時間と関連付けできているか、又は支援データとして初期の関係を受信してあるかの場合である。この場合、移動機30、40は、セルラ通信システム時間を使用し、移動機30、40が1つのセルから他のセルへ移動していないと仮定して、ただ、最後のGNSSフィックスからの経過時間を見積るだけで、いつでもGNSS時間を再現又は回復させることができる。移動機30、40が1つのセルから別のセルへ移動する場合は、GNSS時間とセルラ通信システム時間との間の関係は、新しいGNSSフィックスに基づいて再度作り出されなければならない。あるいは、前のセルに対応している基地局と、現在のセルに対応している基地局との間の時差を用いて、既存の関係を更新することもできる。時差は、利用可能な時差データベースがあるとすれば、OTDネットワーク支援から得ることができる。時差は、更に、端末が自ら実施するOTD測定から得ることもできる。時差は、更に、前のセルと現在のセルにおける、タイミングアドバンス及び/又は往復時間測定値の差異から得ることもできる。
【0122】
さらなる選択肢としては、(二つの)時間関係を、例えばセルラ通信ネットワークからのGPS時間支援を使い維持することもできる。例えばCDMAネットワークにおいては、GPS時間が初期設定によって利用可能である。
【0123】
移動機30、40がGNSSとセルラ通信システムとの有効な時間関係を有していれば、この関係を使用して、初期位置算出時間及び感度に関して性能を向上させることができる。GNSSとセルラ通信システムとの時間関係は数百マイクロ秒の精度を有し、上記の性能向上には十分である。
【0124】
移動機30、40は、実施されたOTD測定値を、支援データの各要求とともに、セルラ通信ネットワークへ返送することができる(ステップ301)。移動機は、フレーム又はサブフレーム差分の代わりに、OTD測定値を、例えば秒の単位、具体的にはマイクロ秒又はナノ秒で返送して、情報をセルラ通信システム時間に依存しないものにすることができる。
【0125】
なお、記載された実施形態は、本発明の実行可能な多様な実施形態のうちのほんの1つに過ぎない。例えば、GPS及び/又はGalileoの代わりに、別のあるいはさらなるGNSSも同様にサポートされることが可能であると考えられる。上述のように、GSMネットワークの代わりに、他のあらゆるタイプのセルラ通信ネットワークを採用することも可能である。更に、一部の処理は、異なる要素間で入れ替えることも可能である。一例として、基準時間の置き換えを、ネットワークサーバにおいて一元的に全ての基地局に関して同様に実行することも可能であると考えられる。更に、提供される情報を、変更することもできる。加えて、新規の軌道モデルの代わりに、周知のGPS軌道暦及び/又はGPS天体暦軌道モデルを、GPS衛星に関して、更に他のGNSS衛星に関しても、使用することが可能であると考えられる。更に、別の特定のGNSS用に規格化された1つ又は複数の軌道モデルを使用することも可能となり得る。更に、GNSS時間が移動機においてすぐに簡単に利用可能である場合などには、基準時間を置き換える必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】A−GNSSをサポートするシステムの概略ブロック図である。
【図2】図1のシステムにおける動作を図示するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支援データを使用して移動体(30、40)の衛星測位をサポートする方法であって、前記移動体(30、40)が、通信ネットワークと通信して少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群(50、60)によって送信された信号を捕捉するようになっており、前記通信ネットワークが、少なくとも2つの異なる測位モードをサポートするようになっており、
前記移動体(30、40)の測位を目的として、前記移動体(30、40)と前記通信ネットワークとの間の少なくとも一方向に、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを送信するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも一組のデータが、前記通信ネットワークから前記移動体(30、40)へ送信される支援データに属する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衛星測位のために前記移動体(30、40)において実行される動作が、採用されている測位モードに関わらず実質的に同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記移動体内及び前記通信ネットワーク内で、前記移動体(30、40)の位置が計算可能である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも一組のデータが、軌道モデルの、少なくとも1日の有効性を有するパラメータを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも一組のデータが、更に、軌道モデルの前記パラメータ専用に計算された補正データを含み、これにより、衛星(50、60)の位置を個別に推定する前に、前記補正データに基づいて共通軌道モデルの前記パラメータを補正できるようになる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも一組のデータが、前記移動体(30、40)から前記通信ネットワークへ送信されるフィードバック情報に属する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも一組のデータが、前記移動体(30、40)によって捕捉された衛星信号に関する測定情報を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
支援データによって移動体(30、40)の衛星測位をサポートする通信ネットワーク用のネットワーク要素(20)であって、前記移動体(30、40)が、前記通信ネットワークと通信して少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群(50、60)によって送信された信号を捕捉するようになっており、前記ネットワーク要素(20)が、処理手段(22、23)を含み、前記処理手段(22、23)が、前記移動体(30、40)の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記移動体(30、40)へ送信すること、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記移動体(30、40)から受信することの、少なくとも1つを行うようになっている、ネットワーク要素。
【請求項10】
支援データを使用して移動体(30、40)の衛星測位をサポートする前記移動体(30、40)であって、前記移動体(30、40)が、
少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群(50、60)によって送信された信号を捕捉するようになっている衛星信号受信機(31)と、
前記移動体(30、40)の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを通信ネットワークへ送信すること、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記通信ネットワークから受信することの、少なくとも1つを行うようになっている、通信コンポーネント(35)と、
を含む、移動体。
【請求項11】
請求項9に記載のネットワーク要素、及び請求項10に記載の移動体を含んでいるシステム。
【請求項12】
支援データを使用して移動体(30、40)の衛星測位をサポートするソフトウェアコード(23)であって、前記移動体(30、40)が、通信ネットワークと通信して少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群(50、60)によって送信された信号を捕捉するようになっており、前記ソフトウェアコードが、前記通信ネットワークのネットワーク要素(20)の処理ユニット(22)によって実行されると、以下のステップ群、
前記移動体(30、40)の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記移動体(30、40)へ送信するステップ、及び採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記移動体(30、40)から受信するステップ、のうちの少なくとも1つ
を実現させる、ソフトウェアコード。
【請求項13】
請求項12に記載のソフトウェアコードがその中に記憶されている、ソフトウェアプログラム製品。
【請求項14】
支援データを使用して移動体(30、40)の衛星測位をサポートするためのソフトウェアコード(38)であって、前記移動体(30、40)が、通信ネットワークと通信して少なくとも1つの衛星測位システムの衛星群(50、60)によって送信された信号を捕捉するようになっており、前記ソフトウェアコードが、前記移動体(30、40)の処理ユニット(35)によって実行されると、以下のステップ群、
前記移動体(30、40)の測位を目的として、採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記通信ネットワークへ送信するステップ、及び採用されている測位モードに依存しない少なくとも一組のデータを前記通信ネットワークから受信するステップ、のうちの少なくとも1つ
を実現させる、ソフトウェアコード。
【請求項15】
請求項14に記載のソフトウェアコードがその中に記憶されている、ソフトウェアプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−545985(P2008−545985A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515298(P2008−515298)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/IB2005/001638
【国際公開番号】WO2006/134412
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】