説明

アスコルビン酸コリン製剤

本発明は、新規なアスコルビン酸コリン含有製剤;その調製方法、およびヒト用もしくは動物用食品またはヒト用もしくは動物用食品補助剤または医薬品におけるその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なアスコルビン酸コリン(choline ascorbate)含有製剤;その調製方法、およびヒト用もしくは動物用食品またはヒト用もしくは動物用食品補助剤または医薬品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
コリン{[(H3C)3N+-CH2-CH2-OH]OH-]は、ホスホグリセリド型リン脂質の塩基性成分であり、植物界および動物界に広くみられる。コリンは、メチル化などの生化学的過程で重要な因子として作用する。動物では、それが欠損すると肝臓の脂肪変性が起こる。
【0003】
コリンは、動脈硬化症および肝実質損傷に用いられる製剤中では主に塩化コリンまたは重酒石酸コリンの形で利用される。家畜栄養物では、塩化コリンが重要な動物用食品添加剤である。
【0004】
有機酸のコリン塩、たとえば、上述した重酒石酸コリン、またはサリチル酸コリン、クエン酸水素コリン、アスコルビン酸コリンなどは、とくに、EP-A-0 812 821に記載されている。
【0005】
0.2ppb未満のトリメチルアミン含有率を有する低臭気性の塩化コリン、重酒石酸コリン、および二水素性クエン酸コリンについては、WO-A-00/48986に記載されている。
【0006】
WO-A-91/15198には、固体塩化コリンがワックスコーティングと共に提供される固体塩化コリン製剤が開示されている。グリセリルトリステアレートのβ多形がシェル材料としてとくに提案される。
【0007】
アスコルビン酸コリン(CAS)は、ヒト用および家畜(lifestock)用栄養物に重要である2種の活性物質(すなわち、コリンとL-アスコルビン酸(ビタミンC))が1分子中で結合されていることにより特徴付けられる。
【0008】
アスコルビン酸コリンの合成については、US-A-2,823,166、CH 490322、およびFR 1,242,805に記載されている。とりわけ純粋な結晶性アスコルビン酸コリンの合成については、DE A 101 090 73に記載されている。
【0009】
アスコルビン酸コリンが抱える特有な問題は、その限られた熱安定性および酸化安定性である。これは、一定期間後にとくに変色が起こることによって著しく顕在化する。かくして、固体アスコルビン酸コリンは、たとえば、40℃かつ湿分存在下でわずか数日後に表面が帯褐色を呈する。アスコルビン酸コリン溶液では、類似の望ましくない変色は、しばらくしてから観測される。
【0010】
一方、重酒石酸コリンなどのような他のコリン塩、さらにはL-アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムなどのような他の塩は、きわだって高い色安定性を有する。
【0011】
これらのアスコルビン酸コリン分解反応に関しては、ほとんどわかっていない。分子中のアスコルビン酸部分の酸化的二次反応が第四級アンモニウム(コリン)対イオンの存在により加速されるかまたは熱脱離により遊離されたアミン成分が同様にアスコルビン酸の高着色二次生成物を誘導すると推測され得る。
【0012】
アスコルビン酸コリンのこの色不安定性は、たとえば、ビタミン製剤におけるその使用を不可能にする。
【0013】
アスコルビン酸コリン、とくにその結晶形は、光感受性および空気感受性であるだけでなく、きわめて吸湿性でもある。さらに、固体結晶性アスコルビン酸コリンは、流動性が不十分であるので、分級が非常に複雑である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
発明の簡単な説明:
本発明の目的は、以上に記載の先行技術の欠点の少なくとも一部分をもはや有していないアスコルビン酸コリン製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、空気、光、湿分、温度、pH、金属、とくに重金属などのうちの1つ以上の外部ストレス因子に対するアスコルビン酸コリンの感受性が、粗製の非製剤化アスコルビン酸コリンと比較して小さい固体アスコルビン酸コリン製剤を提供することにより、この目的が達成されることを見いだした。
【0016】
「アスコルビン酸コリン製剤」は、本発明の目的では、アスコルビン酸コリン、ならびに/またはコリン塩と、アスコルビン酸コリンとは異なるアスコルビン酸および/もしくはアスコルビン酸の塩とのアスコルベート含有コリン塩混合物、を含むすべての製剤を包含する。これらのアスコルベート含有コリン塩混合物は、原理的には、コリン塩とアスコルビン酸またはアスコルビン酸塩とを、たとえば1:3〜3:1または1:2〜2:1のような任意のモル比で含有しうるが;本質的には、等モルの混合比が好ましい。
【0017】
第1の好ましい実施形態では、本発明は、アスコルビン酸コリンと少なくとも1種の製剤化助剤とを含む固体(たとえば粒状)アスコルビン酸コリン含有製剤であって、この製剤の溶液が、標準条件下(すなわち、この製剤が水/メタノール(1:1)中に溶液の全重量を基準にして10重量%の比率で含まれる溶液;この製剤を前記溶媒中で室温にて15分間撹拌し、適切な場合には、製剤の不溶分を除去することにより調製される)で、
i) <4.5、好ましくは<4、とくに0.05〜3もしくは0.1〜2のガードナー色数(DIN-ISO 4630もしくはASTM D 1544-80に明記されているように決定される)、および/または
ii) <800、好ましくは<700、とくに10〜400もしくは20〜350もしくは25〜300のハーゼン色数(DIN-ISO 6271、またはASTM D 1045-68、ASTM D 263-49、もしくはASTM D 1209-69に明記されているように決定される)
を有するという要件を満たす色安定性を有する、上記製剤に関する。
【0018】
本発明のさらなる実施形態は、アスコルビン酸コリンと少なくとも1種の製剤化助剤とを含む固体(たとえば粒状)アスコルビン酸コリン含有製剤であって、湿潤周囲空気中における標準条件下での貯蔵時に潮解しない、上記製剤に関する。とくに、この場合、製剤の部分溶解も完全溶解も視覚的に認められない。また貯蔵後、濾過により除去可能な(分離可能な)いかなる液相も観測されない。この場合、貯蔵の標準的条件とは、湿潤ガス雰囲気中、たとえば、飽和塩化ナトリウム水溶液上に形成される約76%の相対ガス湿度ψを有する空気中、室温(20〜25℃)で、72時間にわたり製剤を貯蔵することを意味する。
【0019】
本発明は、とくに、
a) アスコルビン酸コリンが不活性コーティング組成物で表面コーティングされているか;
b) アスコルビン酸コリンが不活性マトリックス中に包埋されているか;または
c) 多孔質担体にアスコルビン酸コリンがロードされておりかつ適切な場合にはロードされた該担体が不活性コーティング組成物で表面コーティングされている、
固体製剤に関する。
【0020】
これに関連して、「不活性」とは、とくに、変色または分解に対するアスコルビン酸コリンの安定性を損なう相互作用が本質的に観察されないことを意味する。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、製剤は、アスコルビン酸コリンの変色傾向をさらに減少させる有効量の少なくとも1種の添加剤を追加的に含む。アスコルビン酸コリンの変色傾向を減少させるこの添加剤は、たとえば、アスコルビン酸コリンと混合しうるか、もしくはそれとの混晶の形態をとりうるか、かつ/または表面コーティング中、不活性マトリックス中、もしくは多孔質担体中に存在しうる。安定化剤は、好ましくは、アスコルビン酸コリンのモル含有量を基準にして約0.05〜30モル%の比率で存在する。
【0022】
好適な安定化剤は、好ましくは、硫黄含有化合物類、リン含有化合物類、もしくはホウ素含有化合物類;カルボン酸類およびカルボン酸誘導体類;ビタミン類ならびにビタミン前駆体類およびビタミン誘導体類;天然物混合物類;ヒドロキシ芳香族化合物類もしくはアルコキシ芳香族化合物類;レダクトン類;またはそれらの混合物から選択される。
【0023】
硫黄含有安定化剤は、とくに、システイン、シスチン、N-アセチルシステイン、チオグリコレート、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、リポ酸、亜二チオン酸ナトリウム、メチオニン、およびチオウレア;ならびに適切な場合にはこれらの化合物の塩から選択される。
【0024】
リン含有安定化剤は、とくに、亜リン酸および次亜リン酸ならびにそれらの塩から選択される。ホウ素含有安定化剤は、とくに、フェニルボロン酸およびその塩である。安定化性カルボン酸またはその誘導体は、とくに、尿酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、および過剰アスコルビン酸、ならびにアスコルビルパルミテートから選択され;カルボン酸の好適な誘導体として挙げられうる例は、塩類またはエステル類、たとえば、C1〜C18-アルキルエステル類もしくはC1〜C18-アルケニルエステル類である。安定化性のビタミン類、ビタミン前駆体類、およびビタミン誘導体類は、好ましくは、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-トコフェロール、トコトリエノール、ならびにより水溶性のビタミンE誘導体類、たとえば、ビタミンEスクシネートまたはビタミンEホスフェート;カロテノイド類;イソフラボン類;フラボノイド類、および他の天然に存在するポリフェノール類、たとえば、クエルセチン、エピガロカテキン、没食子酸類、エラグ酸、フェルラ酸などから選択される。好適な安定化性天然物混合物は、たとえば、Martinez-Tome, M. et al., J. Food Prot. 2001, 64 (9):1412-9などに記載されているようなローズマリー抽出物または緑茶抽出物である。安定化性のヒドロキシ芳香族化合物類またはアルコキシ芳香族化合物類は、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン(エトキシキン)、t-ブチルヒドロキシトルエン、およびt-ブチルヒドロキシアニソールから選択される。ヒドロキシアセトンが、好適なレダクトンの例として挙げられる。
【0025】
安定化剤はまた、以上の化合物のうちの1つの、安定化作用を有する機能的誘導体であってもよい。
【0026】
上述した安定化性添加剤の2種以上の組合せを本発明に従って使用することも可能である。
【0027】
さらに、本発明によれば、光学異性を有する可能性がある場合、すべての立体異性形、たとえば、LまたはD異性体、さらにはラセミ混合物のような立体異性体の混合物を使用することができる。
【0028】
以上の化合物の好適な機能的誘導体として挙げられうる例は、塩である。以上の安定化剤の塩は、とくに、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、たとえば、ナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0029】
以上のリストのうちで好ましい添加剤は、S含有種、たとえば、とくに、システイン、N-アセチルシステイン、ジヒドロリポ酸、グルタチオン、もしくはチオグリコレート;およびP含有種、たとえば、次亜リン酸もしくは亜リン酸;ならびにカルボン酸類、たとえば、アスコルビン酸、またはそれらの塩類もしくはエステル類である。
【0030】
本発明の製剤はまた、好ましくは、そのアスコルビン酸コリン含有量が製剤の全重量を基準にして約5〜95重量%の範囲にあるという要件を満たす。
【0031】
さらに好ましい実施形態では、本発明のコーティングされた製剤は、以下から選択される少なくとも1種の化合物を含むコーティング組成物を備えている:
a) ポリアルキレングリコール類、とくにポリエチレングリコール類、たとえば約400〜15 000、なかでも400〜10 000などの数平均分子量を有するもの;
b) ポリアルキレンオキシドポリマー類またはコポリマー類、たとえば、約4000〜20 000の数平均分子量を有するもの、とくに、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー;
c) 置換型ポリスチレン類、マレイン酸誘導体類、およびスチレン/マレイン酸コポリマー類;
d) ビニルポリマー類、とくにポリビニルピロリドン類、たとえば、約7000〜1 000 000の数平均分子量を有するもの;単独またはセルロースエーテル類もしくはデンプン類のような他の化合物類との組合せのいずれか;
e) ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー類、たとえば、約30 000〜100 000の数平均分子量を有するもの;
f) ポリビニルアルコール類、たとえば、約10 000〜200 000の数平均分子量を有するもの、およびポリフタル酸ビニルエステル類;
g) ヒドロキシプロピルメチルセルロース類、たとえば、約6000〜80 000の数平均分子量を有するもの;
h) アルキル(メタ)アクリレートポリマー類およびコポリマー類、たとえば、約100 000〜1 000 000の数平均分子量を有するもの、とくに、エチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマーおよびメタクリレート/エチルアクリレートコポリマー;
i) ポリビニルアセテート類、たとえば、約250 000〜700 000の数平均分子量を有するもの、適切な場合にはポリビニルピロリドンで安定化される;
j) ポリアルキレン類、とくにポリエチレン類;
k) 芳香族ポリマー類、たとえばリグニン類;
l) ポリアクリル酸類;
m) ポリアクリルアミド類;
n) ポリシアノアクリレート類;
o) フェノキシ酢酸/ホルムアルデヒド樹脂類;
p) セルロース誘導体類、たとえば、エチルセルロース、エチルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースアセテートフタレート;
q) 動物性、植物性、もしくは合成の脂肪類および変性脂肪類、たとえば、ポリグリコール類、脂肪アルコール類、エトキシル化脂肪アルコール類、高級脂肪酸類など;高級脂肪酸類のモノ、ジ、およびトリグリセリド類(triglycerices)、たとえば、グリセロールモノステアレート、アルキルアリールエトキシレート類、およびココモノエタノールアミド類;
r) 動物性および植物性ワックス類または化学変性された動物性および植物性ワックス類、たとえば、ビーズワックス、カンデリラワックス、カルナウバワックス、モンタンエステルワックス、および米胚芽油ワックス、ゲイロウ、ラノリン、ホホバワックス、サゾールワックス;
s) 動物性および植物性タンパク質類、たとえば、ゼラチン、ゼラチン誘導体類、ゼラチン代替物類、カゼイン、ホエー、ケラチン(kerain)、大豆タンパク質;ゼインおよび小麦タンパク質など;
t) 単糖類および二糖類、オリゴ糖類、多糖類、たとえば、ヒアルロン酸、プルラン、エルシナン、デンプン類、変性デンプン類、およびペクチン類、アルギネート類、キトサン、カラゲナンなど;
u) 植物性油類、たとえば、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、菜種油、アマニ油、ヤシ油、アブラヤシ核油など;合成油類もしくは半合成油類、たとえば、中鎖長トリグリセリド類など、または鉱油類;
動物性油類、たとえば、ニシン油、イワシ油、および鯨油など;
v) 硬化(水素化または部分水素化)油類/脂肪類、たとえば、先に記載の油類/脂肪類を硬化させたもの、とくに、水素化パーム油、水素化綿実油、水素化大豆油など;
w) ラッカーコーティング、たとえば、テルペン類、とくに、シェラック、トルーバルサム、ペルーバルサム、サンダラック、シリコーン樹脂類など;
x) 脂肪酸類(飽和C6〜C24カルボン酸類とモノおよびポリ不飽和C6〜C24カルボン酸類の両方);
y) シリカ類、
ならびにそれらの混合物。
【0032】
適切な場合には、フィルムの可撓性を改善するために、コーティング前に可塑剤または乳化剤を脂肪類またはワックス類に添加することが有利であろう。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、以上の一般的規定に適合する少なくとも1種の化合物を含みかつたとえば約20〜100℃または30〜100℃の範囲で固体であるマトリックスを形成するのに好適であるマトリックス中にアスコルビン酸コリンが包埋された製剤が提供される。
【0034】
さらなる好ましい実施形態は、アスコルビン酸コリンが好ましくは多孔質担体により担持されているアスコルビン酸コリン含有製剤に関する。
【0035】
さらなる好ましい実施形態は、以上に記載の特徴の組合せを含む固体アスコルビン酸コリン製剤に関する。したがって、たとえば、多孔質担体に基づく製剤またはマトリックス中に包埋されたアスコルビン酸コリンを含む製剤は、たとえばアスコルビン酸コリンをさらに安定化させるためにまたは生成物に改良された加工性を付与するために、コーティング組成物を追加的に備えることができる。
【0036】
本発明の固体アスコルビン酸コリン製剤は、さまざまな方法で調製することができる。調製の好適な形態の例としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない:
a) 流動床中において以上に規定されているコーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散液をスプレーするか、または流動床中において該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;または
b) 混合機中において該コーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散液でコーティングするか、または該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;
そしていずれの場合にも適切であれば、得られたコーティングされた材料の乾燥、冷却、および/または粗大画分除去を行うことにより、固体アスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施す方法;
以上に規定されている(可融性)コーティング組成物を含む溶融液中に固体アスコルビン酸コリン粒子を懸濁させ、このようにして得られた懸濁液を分散させ、続いて固化させる方法;
親油性環境中に固体アスコルビン酸コリン粒子を分散させ、このようにして得られた固体/油液滴を水性相中に乳化させ、そしてこの乳濁液をスプレー製剤化する(spray-formulate)方法;
コアセルベーションによりアスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施す方法;
水性保護コロイド溶液を調製し、その中にアスコルビン酸コリンを溶解もしくは分散させ、続いて得られた混合物をスプレー乾燥する方法;
流動床中において、アスコルビン酸コリンを含有する水性、水性/有機性、または有機性溶液をスプレー乾燥し、そして適切な場合には好適な添加剤を添加することにより顆粒化もしくは凝集させる方法;
アスコルビン酸コリンの溶液、乳濁液、もしくは懸濁液を多孔質担体と混合し、そして適切な場合には乾燥させる方法;またはアスコルビン酸コリンを含む溶融液を多孔質担体に適用する(apply)方法;
アスコルビン酸コリン含有溶液もしくはアスコルビン酸コリン含有溶融液と担体とを含む湿潤顆粒;または結晶性アスコルビン酸コリンを含む湿潤顆粒を調製し、該湿潤顆粒を押し出し、適切な場合には後処理し、乾燥させ、続いて適切な場合にはコーティングする方法;
アスコルビン酸コリン水性溶液を調製し、これを疎水性溶融液中に乳化させ、そしてこの乳濁液を固化させる方法;ならびに
アスコルビン酸コリンを含む溶融液を、適切な場合にはコーティング組成物中に分散させてかつ/または適切な場合には粉剤(dusting agent)の存在下で、低温ガスのストリーム中にアトマイズする方法;さらには
アスコルビン酸コリンの水性、水性-有機性、または有機性溶液を、適切な場合には担体および/または添加剤の存在下で、真空蒸発させて固体にする方法。次に、適切な場合には結合剤を添加して、固体を凝集させ、顆粒化し、圧縮し、そして所要によりサイズをさらに減少させ、分級し、そして適切な場合には、保護層でコーティングすることができる。
【0037】
以上の調製方法はまた、とくに上述した安定化剤のうちの少なくとも1種を含む製剤を調製するために利用することができる。
【0038】
したがって、たとえば、安定化アスコルビン酸コリン含有製剤は、
i) 固体アスコルビン酸コリンまたは固体コリン塩と固体アスコルビン酸および/もしくは固体アスコルビン酸塩との混合物を、固体または液体の形態で、有効量の先に規定した安定化添加剤と混合し;そして適切な場合には混合物を乾燥させることにより;あるいは
ii) 有効量の先に規定した安定化添加剤を、アスコルビン酸コリンまたはコリン塩とアスコルビン酸および/もしくはその塩との混合物の水性、水性/アルコール性、またはアルコール性溶液中に溶解または分散させ;そして適切な場合には溶液もしくは分散液を濃縮乾固させるか(好ましくはアモルファス固体にする)または溶液から安定化製剤を結晶化させることにより;あるいは
iii) アスコルビン酸コリンまたはコリン塩とアスコルビン酸および/もしくはアスコルビン酸塩との混合物の溶融液または過冷却溶融液を、有効量の少なくとも1種の先に規定した安定化添加剤と混合し、そして適切な場合には混合物を固化することにより、
調製することができる。
【0039】
次に、先に記載の方法のうちの1つを用いて、これらの安定化固体をさらに処理することができる。
【0040】
このほか、本発明は、ヒト用もしくは動物用食品の従来の成分に加えて、先に規定したアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.001〜50重量%、たとえば、0.5〜40重量%または1〜20重量%などの比率で含むヒト用もしくは動物用食品に関する。本発明に係るヒト用食品は、とくに乳児用食品をも包含する。
【0041】
本発明は、ヒト用もしくは動物用食品補助剤の従来の成分に加えて、先に規定したアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.01〜99.9重量%、たとえば、0.5〜80重量%または5〜50重量%などの比率で含むヒト用もしくは動物用食品補助剤にさらに関する。
【0042】
本発明はさらに、製薬上好適な担体中に、有効量、たとえば0.1〜99.9重量%、なかでも1〜80重量%または5〜60重量%などの先に規定したアスコルビン酸コリン含有製剤を含む、固体、液体、またはペーストの形態の医薬品に関する。
【0043】
最後に、本発明はさらに、ヒト用および動物用食品ならびにヒト用および動物用食品補助剤または医薬品を調製するための、以上に記載のアスコルビン酸コリン含有製剤の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
発明の詳細な説明
A) アスコルビン酸コリン
アスコルビン酸コリンは、本発明の方法では、固体形態、溶解形態、または溶融形態で使用される。固体アスコルビン酸コリンは、さらに、アモルファス形態または結晶形態をとることが可能である。好ましい結晶性アスコルビン酸コリンは、たとえば、先行するDE A 101 090 73に記載されている。
【0045】
そこに記載されている結晶は、3.40〜4.70Åの範囲に2Θ-X線粉末回折図で最も強い線としてd=3.80Åの線を示す。結晶性アスコルビン酸コリンは、このほか、d=3.80Åおよびd=4.55Åにおける回折線の強度比が、少なくとも0.5、好ましくは少なくとも0.6、とくに好ましくは少なくとも0.7であり、d=3.80Åおよびd=4.67Åでは、少なくとも0.4、好ましくは少なくとも0.5、とくに好ましくは少なくとも0.6である。d=3.80、4.55、および4.67Åの回折線に加えて、結晶は、d=3.46、3.78、6.91、8.49、および10.29Åにさらなる線を示す。
【0046】
アスコルビン酸コリン結晶は、>98%、好ましくは>99%、とくに好ましくは>99.5%の純度を有する。
【0047】
この結晶性アスコルビン酸コリンは、アスコルビン酸をトリメチルアミンおよびエチレンオキシドと反応させることにより調製される。反応は、-20℃〜80℃の温度範囲で、好ましくは-10℃〜40℃、とくに好ましくは0℃〜30℃の温度範囲で行われる。
【0048】
その方法はさらに、水中、水混和性有機溶媒中、または水と水混和性有機溶媒との混合物中で反応を行うことを含む。溶媒中の水含有量は、0〜50重量%、好ましくは0〜10重量%でありうる。好適な水混和性溶媒は、とくに、炭素、水素、および酸素だけを含有する水混和性熱安定性揮発性溶媒、たとえば、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、およびアセタール類である。使用される好ましい溶媒は、少なくとも10%の水混和度、200℃未満の沸点、および/または10個未満の炭素を有する溶媒である。メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、1,2-ブタンジオール1-メチルエーテル、1,2-プロパンジオール1-n-プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、またはアセトンを使用することがとくに好ましい。なかでもとくに好ましいものとしては、メタノールおよびエタノールが挙げられよう。
【0049】
反応物のトリメチルアミン:アスコルビン酸:エチレンオキシドのモル比は、0.9〜1.1 : 0.9〜1.1 : 0.9〜2.0の領域、好ましくは1 : 1 : 1.2の領域、とくに好ましくは1 : 1 : 1.05の領域である。
【0050】
アスコルビン酸コリンの結晶化は、好ましくは、反応に使用される上述した溶媒のうちの1つで行われる。
【0051】
また、最初に、水混和性有機溶媒中または水と水混和性有機溶媒との混合物中、-20℃〜80℃の温度範囲で、好ましくは-10℃〜40℃、とくに好ましくは0℃〜30℃の温度範囲で、トリメチルアミンとエチレンオキシドとを反応させ、続いて、化学量論量のアスコルビン酸を添加することによりこの溶液をアスコルビン酸コリンに変換し、次に、晶出させることが可能である。
【0052】
さらなる可能性のある別の調製方法として、水中、水混和性有機溶媒中、または水と水混和性有機溶媒と混合物中、-20℃〜80℃の温度範囲で、好ましくは-10℃〜40℃、とくに好ましくは0℃〜30℃の温度範囲で、塩化コリンをアスコルビン酸ナトリウムと反応させて、結晶性アスコルビン酸コリンを得ることも可能である。この場合に形成される塩化ナトリウムは、たとえば、所要の生成物を結晶化させる前に濾別される。
【0053】
すでに先に述べたように、本発明はまた、コリン塩(アスコルビン酸コリンとは異なる)とアスコルビン酸および/またはアスコルビン酸塩との混合物の使用にまで及ぶ。本発明に係る好適なコリン塩の例としては、塩化コリン、重酒石酸コリン、クエン酸トリコリン、酒石酸ビスコリン、フタル酸水素ビスコリン、フタル酸水素コリン、ビスクエン酸水素コリン、二水素性クエン酸コリン、グルコン酸コリン、サリチル酸コリン、ニコチン酸コリン、葉酸コリン、およびコリンカルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0054】
好適なアスコルビン酸塩の例は、アルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、たとえば、アスコルビン酸ナトリウムである。
【0055】
B) 安定化添加剤
本発明の製剤におけるアスコルビン酸コリン安定化添加剤(すなわち、アスコルビン酸コリンの変色傾向を抑制する添加剤)としての化合物の適合性は、添加剤の存在下、標準化条件下で、アスコルビン酸コリン溶液の変色傾向を試験することにより、簡単に決定することができる。
【0056】
添加剤は、好ましくは、アスコルビン酸コリンまたは先に規定したアスコルベート含有コリン塩混合物の50重量%水性/メタノール性溶液が、特定量(たとえば、溶液の全重量を基準にして1重量%など)の安定化剤の存在下、標準条件下(65℃の温度で7時間にわたり加熱)で、
iii) <6.3、好ましくは<5、とくに0.05〜3または0.1〜2のガードナー色数(DIN-ISO 4630またはASTM D 1544-80に明記されているように決定される)、および/または
iv) <1000、好ましくは<980、とくに10〜400または20〜350または25〜300のハーゼン色数(DIN-ISO 6271、またはASTM D 1045-68、ASTM D 263-49、もしくはASTM D 1209-69に明記されているように決定される)
を有するという効果のある少なくとも1種の安定化剤を含む。
【0057】
さらに好ましい実施形態では、添加剤は、アスコルビン酸コリンの、または少なくとも1種のコリン塩と、アスコルビン酸コリンとは異なるアスコルビン酸および/もしくはアスコルベート酸性塩と、の混合物の、10重量%の水性/メタノール性(好ましくは1:1 v/v)溶液が、特定量(たとえば、溶液の全重量を基準にして1重量%など)の安定化剤の存在下、標準条件下(65℃の温度で7時間にわたり加熱)で、
i) <2.0、好ましくは<1.5、とくに0.05〜1.5もしくは0.1〜1.0のガードナー色数(DIN-ISO 4630もしくはASTM D 1544-80に明記されているように決定される)、および/または
ii) <300、好ましくは<250、とくに10〜150もしくは20〜100もしくは25〜50のハーゼン色数(DIN-ISO 6271、またはASTM D 1045-68、ASTM D 263-49、もしくはASTM D 1209-69に明記されているように決定される)
を有するという効果のある少なくとも1種の安定化剤を含む。
【0058】
本発明に係る同様に好適な安定化剤は、アスコルビン酸よりマイナス側にレドックス電位を有するものである。
【0059】
本発明に従って使用しうる安定化剤は、製剤中に、いずれの場合もアスコルビン酸コリンまたはそれとは異なるコリン塩(アスコルベート含有コリン塩混合物を使用するとき)のモル含有率に基づいて、約0.05〜30モル%、好ましくは約0.1〜15モル%または0.5〜10モル%の比率で存在する。
【0060】
C) コーティング材料
好適なポリアルキレングリコール類a)として挙げられうる例は、ポリプロピレン(polpropylene)グリコール類、とくに、さまざま分子量のポリエチレングリコール類、たとえば、商標名Lutrol E 4000およびLutrol E 6000としてBASF AGから入手可能なPEG 4000またはPEG 6000などである。
【0061】
先のポリマーb)として挙げられうる例は、ポリエチレンオキシド類およびポリプロピレンオキシド類、エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー類、ならびにポリエチレンオキシドブロックとポリプロピレンオキシドブロックとで構成されるブロックコポリマー類、たとえば、商標名Lutrol F68およびLutrol F127としてBASF AGから入手可能などポリマーである。
【0062】
溶液の全重量を基準にして、約50重量%まで、たとえば、約30〜50重量%などのポリマーa)およびb)の高濃厚溶液を利用することが可能でありかつ有利である。
【0063】
先のポリマーd)として挙げられうる例は、たとえば商標名KollidonまたはLuviskolとしてBASF AGにより販売されているようなポリビニルピロリドンである。溶液の全重量を基準にして、約30〜40重量%の固形分含有率を有するこれらのポリマーの高濃厚溶液を利用することが可能でありかつ有利である。
【0064】
上述したポリマーe)として挙げられうる例は、商標名Kollidon VA64またはKollicoat SRとしてBASF AGにより販売されているビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーである。溶液の全重量を基準にして約30〜40重量%のこれらのコポリマーの高濃厚溶液を使用することが可能でありかつとくに有利である。
【0065】
先のポリマーf)として挙げられうる例は、たとえば商標名MowiolとしてHoechstにより販売されているような製品である。約8〜20重量%の範囲の固形分含有率を有するこれらのポリマーの溶液を利用することが可能でありかつ有利である。
【0066】
好適なポリマーg)として挙げられうる例は、たとえば商標名PharmacoatとしてShin Etsuにより販売されているようなヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
【0067】
上述したポリマーh)として挙げられうる例は、アルキル基が1〜4個の炭素原子を有するアルキル(メタ)アクリレートポリマー類およびコポリマー類である。好適なコポリマーとして挙げられうる特定例は、たとえばBASF AGにより商標名Kollicoat EMM 30DとしてまたはRoehmにより商標名Eudragit NE 30 Dとして販売されているエチルアクリレート/メチルメタクリレートコポリマー類;およびたとえばBASF AGにより商標名Kollicoat MAE 30DPとしてまたはRoehmにより商標名Eudragit 30/55として販売されているようなメタクリレート/エチルアクリレートコポリマー類である。これらのタイプのコポリマーは、たとえば、10〜40重量%の分散液として本発明に従って処理することができる。
先のポリマーi)として挙げられうる例は、ポリビニルピロリドンで安定化されてたとえばBASF AGにより商標名Kollicoat SR 30Dとして販売されているポリビニルアセテート分散液(約20〜30重量%の固形分含有率の分散液)である。
【0068】
好適なセルロース誘導体p)として挙げられうる例は、とくに、セルロースエーテル類、たとえば、メチルセルロースおよびエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、たとえば、Methocel、Bebecel、およびPharmacoatの各シリーズの市販品など;さらには微結晶性セルロース(MCC)、たとえばAvicel PH101またはpH102などである。
【0069】
好適な糖類t)として挙げられうる例は、アルギネート類、カラゲナン、デンプンおよびデンプン誘導体、たとえば、デンプンのエステル化生成物など;ガム、たとえば、アカシアガム、キサンタンガム、およびグアーガム、ならびにCeratonia siliquaから得られるガム(ローカストビーンガム)、ヒアルロン酸、プルラン、エルシナンである。
【0070】
好適なワックスr)として挙げられうる例は、動物性ワックス類、たとえば、ラノリン、ビーズワックス、およびゲイロウ;植物性ワックス類、たとえば、カンデリラワックス、カルナウバワックス、および米胚芽油ワックス;ならびに化学変性ワックス類、たとえば、ホホバワックス、サゾールワックス、およびモンタンエステルワックスである。
【0071】
好適な油u)の例は、植物性油類、たとえば、ヒマワリ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、菜種油、アマニ油、ヤシ油、アブラヤシ核油、およびアブラヤシ油;動物性油類、たとえば、ニシン油、イワシ油、鯨油など;ならびにそれらから誘導される水素化生成物;さらには半合成油、たとえば、中鎖長トリグリセリド類、および鉱油類である。好適な市販品の例は、Coatex 01および21、Akofine RおよびAkocote RTである。
【0072】
同様に好適なのは、即使用可能なコーティング組成物、たとえば、HPMC(70〜90%)とMCC(8〜12%)とステアリン酸(5〜15%)と二酸化チタン(10〜20%)とよりなるSepifilm LP;またはMCCとカラゲナンとラクトースと大豆レシチンとプロピレングリコールアルギネートとよりなるLustre Clear LC 104などである。
【0073】
独立したグループの好適な材料としては、保護コロイドが挙げられよう。合成ポリマーおよび生体ポリマーは、この目的に好適である。合成ポリマーの例は、中性ポリマー類、たとえば、Kollidon、Luviskol、Lutrol、およびMowiol、アニオン性ポリマー類、たとえば、Kollicoat、Eudragit L、およびポリアスパラギン酸、ならびにカチオン性ポリマー類、たとえば、ターポリマーおよびEudragit Eである。好適なタンパク様バイオポリマーは、ゼラチン、カゼインおよびホエー、大豆タンパク質および小麦タンパク質であり;好適な多糖は、アニオン性化合物類、たとえば、アラビアゴム、HPMC、ペクチン類、アルギネート類、変性デンプンおよびシェラック;ならびにカチオン性多糖類、たとえばキトサンである。
【0074】
さらなる好適なコーティング組成物およびコーティング方法は、R. Voigt, Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie, 1975, Verlag Chemie、とくに、第9.4章、第9.5章、第9.6章、および第10.2章に見いだすことができる。
【0075】
D) 担体
本発明の製剤は、担体をも含みうる。たとえば、従来の不活性担体をこの目的に使用することができる。「不活性」担体は、本発明の製剤に利用される成分とのいかなる有害な相互作用をも示すものであってはならず、各用途、たとえば、ヒト用食品、ヒト用食品補助剤、動物用食品、動物用食品添加剤、医薬品、および化粧品において、助剤として使用するうえで許容しうるものでなければならない。好適な担体材料として挙げられうる例は、低分子量の無機または有機化合物類、および天然源または合成源の高分子量有機化合物類である。
【0076】
好適な低分子量無機担体の例は、塩類、たとえば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸マグネシウム、あるいはキーゼルグールまたはシリカ類、たとえば二酸化ケイ素類もしくはシリカゲル類、またはシリカ誘導体類、たとえばシリケート類などである。
【0077】
好適な有機担体の例は、とくに、糖質類、たとえば、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリン類、デンプン製品、とくにトウモロコシデンプン、およびセルロース製品などである。他の有機担体として挙げられうる例は、トウモロコシ穂軸粉、粉砕米殻、小麦ふすま、または穀類粉、たとえば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、オート麦粉など、または糠、あるいはそれらの混合物である。さらなる好適な多孔質担体は、たとえばUS-B-6,251,478開示されている。ここには、そのような担体のロード方法が開示されている。この刊行物の開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0078】
担体材料は、本発明の製剤の中に、乾量基準で約5〜95重量%、好ましくは約10〜85重量%の比率で存在しうる。
【0079】
担体の粒子サイズは、たとえば約30〜2500μm、なかでも50〜2000μmなどの範囲でありうる。
【0080】
本発明の吸着物は、好ましくはシリカ担体を基材とする。
【0081】
E) さらなる添加剤
アスコルビン酸コリン、担体、安定化剤、およびコーティング組成物のような以上に記載の成分に加えて、本発明の製剤は、さらなる添加剤を含みうる。例として挙げられうるのは、保存剤、抗生物質、抗微生物添加剤、抗酸化剤、キレート化剤、生理学的に許容される塩、香味剤、着色剤などである。また、栄養物に適合した添加剤、たとえば、ビタミン類(例としては、ビタミンA、B1、B2、B6、B12、C、D3、および/またはE、K3、葉酸、ニコチン酸、パントテン酸);タウリン、カルボン酸類およびそれらの塩類、たとえば、トリカルボン酸類、例としてはシトレート、イソシトレート、トランス/シス-アコニテート、および/またはホモ-シトレート、酵素類、カロテノイド類、ミネラル類、例としてはP、Ca、Mg、および/またはFe、ならびに微量元素、例としてはSe、Cr、Zn、Mn、タンパク質類、炭水化物類、脂肪類、アミノ酸類なども存在しうる。また、ピルビン酸、L-カルニチン、リポ酸、補酵素Q10、アミノカルボン酸類、たとえば、クレアチン、オロチン酸、myo-イノシトール、フラボノイド類、ベタイン、p-アミノ安息香酸も存在可能である。
【0082】
このほか、医薬調剤における本発明の製剤の使用を支援し、疾患の治療、とくに、癌、糖尿病、AIDS、アレルギー、および心臓血管疾患の治療に奏効する「活性成分」も存在可能である。
【0083】
担体、コーティング組成物、および安定化剤をはじめとする以上の添加剤は、本発明の範囲内で製剤化助剤とも呼ばれる。
【0084】
F) 製剤の形態
本発明のアスコルビン酸コリン製剤は、固体(すなわち結晶性もしくはアモルファス)アスコルビン酸コリン形態、液体アスコルビン酸コリン形態、たとえば、溶液、分散液、懸濁液、または乳濁液から開始して、あるいはアスコルビン酸コリン溶融液から開始して、調製することができる。アスコルビン酸コリンは、この目的では純粋形である必要はなく、安定化剤または加工助剤のような本発明に従って使用しうる他の物質との混合物の状態で使用することも可能である。簡潔にするために、以下の節では、アスコルビン酸コリンのみが言及されるが、これは決して限定的なものと解釈してはならない。
【0085】
次に、種々の製剤形態について詳細に説明する。当然ながら、それから外れた形態も考えることが可能であるが、当業者であれば、本発明に基づいて容易に実施することができよう。これに関連して、当業者は、たとえば、Mollet, Formulierungstechnik, Verlag Wiley-VCH, Weinheim or Heinze, Handbuch der Agglomerationstechnik, Verlag Wiley-VCH, Weinheim;またはHager's Handbuch der Pharmazeutischen Praxis, Springer-Verlag, Heidelbergなどの広範にわたる専門家の報告文献を利用することも可能である。
【0086】
別段の記載がないかぎり、以下に記載されている製剤化方法は、純粋形のアスコルビン酸コリンだけでなく、アスコルビン酸コリンと他の活性物質との混合物、および/または製剤を安定化させるために、生物学的利用能をレギュレートするために、もしくはそれらの色を変化させるために、利用される添加剤にも、適用することができる。ただし、これらの例は、ほんの一例にすぎない。
【0087】
1. アスコルビン酸コリン結晶から開始されるカプセル化
1.1 結晶を流動床または混合機に導入し結晶に同時/後続コーティングを施す処理
カプセル化は、とくに混合機中または流動床中で行うことができる。
【0088】
i) 混合機の説明:
この目的では、好ましくは、不連続的または連続的に動作する混合機を利用する。活性成分(すなわちアスコルビン酸コリン)は、適切な場合には、たとえば担体材料などの添加剤と共に導入される。プローシェアー、パドル、スクリューなどを用いれば、多かれ少なかれ、生成物の激しい混合が保証される。従来型の例は、プローシェアー混合機、旋回型スクリュー混合機、または類似の装置である。1つ以上のスクリューを有する非常に浅いボックス形またはトラフ形のデザインを利用することも可能である。さらなるデザインは、たとえば、Hosokawa Micron B.V.製のTurbolizer(登録商標) Mixer/Coaterのような高速混合機、およびすべてのタイプのドラムコーターである。このほかに、全容器を動かすことにより生成物を混合することも可能である。その例は、タンブル混合機、ドラム混合機などである。さらには、空気式混合機を使用することも可能である(Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, Sixth Edition, Mixing of Solids 参照)。
【0089】
コーティングまたは被覆材(最も広義には、コーティング、ポリマー類、ワックス類、油類、脂肪類、脂肪酸類など)の適用は、活性成分の保護、活性成分の放出の遅延もしくは加速、作用機序の強化、または相加効果の達成を行う役割を果たす。いくつかの場合には、被覆材の適用時またはその直後に、凝集塊(agglomerate)の発生を回避するために、タルク、シリケートなどのような粉剤を添加することが必要である。
【0090】
コーティング材料の計量/添加は、適切な場合には添加剤と共に、通常は滴下適用装置またはスプレー適用装置を介して行われる。その例は、インジェクター、スプレーヘッド、一流体もしくは多流体ノズル、まれなケースであるが、回転装置、浸漬装置、または噴霧装置である。最も簡単な場合には、濃厚ストリームとして局所添加を行うことも可能である。このほか、最初に、コーティング材料を混合機に導入し、次に、活性成分を添加することも可能である。さらには、最初に固体コーティング材料を添加し、壁加熱の結果としてまたは機械的エネルギーの投入により溶融し、そして活性成分を被覆することも可能である。
【0091】
コーティング材料または被覆材料の添加は、大気圧超、大気圧、または大気圧未満の圧力下で、好ましくは、大気圧および大気圧未満の圧力下で行われる。
【0092】
いくつかの場合には、活性成分および/または被覆材料の前加熱または冷却を行い(粘度の変化、湿潤性の変化、固化性への影響)、そして容器壁および/または混合用具を介して熱の供給または除去を行うことが有利なこともある。いくつかの場合には、水または溶媒蒸気を除去することが必要になる。
【0093】
コーティング性を改良するために、混合機を減圧し、適切な場合には、窒素または希ガスなどのような保護ガスでガスシールすることが有益なこともある。担体材料にもよるが、これは数回反復しなければならない。
【0094】
活性成分および被覆材料の添加は、好ましくは、混合機中の異なる箇所で行う。
【0095】
ii) 流動床の説明:
調製は、流動床中で不連続的または連続的に行うことができる。粒子は、所要により、高温であっても冷却されていてもよい流動化ガスにより攪拌される。流動化ガスとして好適なのは、たとえば、空気またはそのほかの不活性ガス(通常は窒素であるが、他の従来の不活性ガスであってもよい)である。いくつかの場合には、容器壁を介しておよび流動床中に浸漬された熱交換器の表面を介して熱の供給または除去を行うことが有益である。好適な流動床および必要な周辺装置は、当技術分野で公知である。
【0096】
生成物の既定の攪拌を支援する内部構造物は、多くの場合、有益な作用を有する。その例は、回転ディスプレーサーまたはいわゆるウルスターパイプなどである。
【0097】
活性成分および添加剤の不連続方式または連続方式の計量および適切な場合には前加熱は、当業者に公知である先に記載の装置を用いて行うことができる。
【0098】
コーティングされた活性成分は、いくつかの場合には、混合機と流動床との組合せにより、有利に調製することができる。そのような組合せの理由は、同様に現状技術レベルにあり、当業者に公知である。
【0099】
たとえば、アスコルビン酸コリン結晶を含有し従来の方法で調製された粗製の顆粒を流動床に導入することができる。それを流動化させ、そして有機ポリマーの水性もしくは非水性(好ましくは水性)の溶液または分散液をスプレーすることにより、コーティングを施す。この目的に使用される流体は、好ましくは、最大濃厚状態であるが依然としてスプレー可能である。たとえば、先に記載のグループa)〜f)、i)、およびj)のポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーの10〜50重量%の水性または非水性の溶液または分散液などが挙げられる。
【0100】
他の好ましい変形法では、先に記載したグループg)およびh)のポリマーから選択される少なくとも1種のポリマーの10〜40重量%、好ましくは約20〜35重量%のスプレー可能な水性または非水性の溶液または分散液をコーティングに使用する。
【0101】
一般的には、次の理由により、水性溶液または水性分散液が好ましいであろう:溶媒の後処理または回収を行うための特別な対策はなんら必要にならない;爆発を防止するための特別な対策はなんら必要にならない;いくつかのコーティング材料は、水性の溶液または分散液として供給されることが好ましい。
【0102】
しかしながら、特別な場合には、非水性の溶液または分散液を使用することが有利なこともある。コーティング材料は、非常によく溶解するか、または有利には、大量のコーティング材料を分散させることができる。このようにすれば、より高固形分含有率でスプレー液体をスプレーすることが可能であるので、処理時間が短くなる。同様に、非水性溶媒の蒸発エンタルピーを小さくするほど、処理時間が短くなる。
【0103】
生理学的に許容され、水も溶媒も含有しない、つまり、たとえば溶融液として適用することのできるコーティング材料を適用することがとくに好ましい。その例は、上述した脂肪類、ワックス類、脂肪酸類などであり、当然ながら、所要により添加剤を含有しうる。好適な添加剤は、とくに、アスコルビン酸コリン上へのコーティング材料の展着性に有益な作用を及ぼす界面活性物質、たとえば、乳化剤である。一緒にまたは逐次的にスプレーすることのできるコーティング材料の組合せは、当業者に公知である。同じことが、スプレー圧力、液体の濃度もしくは粘度、スプレー時間、スプレーと固化と間の休止時間、または熱処理のようなプロセスパラメーターを変化させることによるコーティング品質への影響についてもあてはまる。
【0104】
本発明に従って使用しうる分散液は、適切な場合には従来の分散助剤を使用して、水性または非水性(好ましくは水性)の液相中に先のポリマーを分散させることにより、または上述したワックスまたは脂肪を溶融液として調製することにより、取得可能である。ポリマーの溶液、溶融液、または分散液は、好ましくは、固体の形態のアスコルビン酸コリン(結晶、アモルファス固体、適切な場合には助剤または担体と混合、好ましくは粗製の顆粒)を流動床装置に仕込み、そして同時に後者を加熱しながらスプレー物質を表面上にスプレーすることにより、スプレーされる。加熱乾燥ガス(多くの場合、空気)との接触により、エネルギーが流動床装置に供給される。より高い乾燥分含有率を有するスプレー物質をスプレーできるようになるかまたは粘度を低下させることができるのであれば、溶液または分散液を前加熱することが有益であろう。有機液体相を使用する場合、溶媒回収に好都合である。コーティング中の生成物温度は、約35〜50℃の範囲でありうる。コーティングは、原理的には、流動床装置において、下側スプレー法(ノズルは底部流入プレート中に位置し上向きにスプレーする)でも、上側スプレー法(コーティングは、流動床中に上方からスプレーされる)でも、または両側スプレー法でも、行うことができる。
【0105】
流動床コーティングのための本発明の方法の第2の好ましい実施形態では、粗生成物を流動床に導入し、粉末コーティングする。粉末コーティングは、好ましくは、約6000〜80 000の数平均分子量を有するヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択されて;可塑剤と混合された固体ポリマーの粉末を用いて行われる。同様に粉末コーティングに好適なのは、粉末形態で存在可能でありかつ溶融液としても高濃厚溶液としても適用することのできないすべての他のコーティング材料である(これに該当するのは、たとえば、HPMCすなわちヒドロキシプロピルメチルセルロースである)。
【0106】
粉末コーティングは、好ましくは、流動床中に存在する粗生成物にコーティング材料を連続的に計量供給することにより行われる。コーティング材料の微粒子(約10〜100μmの範囲の粒子サイズ)は、粗製顆粒の比較的粗い表面に付着された状態になる。可塑剤溶液をスプレー導入すれば、コーティング材料粒子が付着一体化される。好適な可塑剤の例は、ポリエチレングリコール溶液、トリエチルシトレート、ソルビトール溶液、流動パラフィンなどである。コーティングは、溶媒を除去するために緩やかに加熱しながら行う。生成物温度は、この場合、約60℃未満、たとえば約40〜50℃などである。
【0107】
また、原理的には、混合機内で粉末コーティングを行うことも可能である。この場合、粉末混合物を計量導入し、同様にノズルを介して可塑剤をスプレーする。乾燥は、混合機の壁を介しておよび適切な場合には攪拌用具を介してエネルギーを供給するにより行う。この場合、流動床中におけるコーティングおよび乾燥の場合と同じように、低い生成物温度を保持しなければならない。
【0108】
本発明の方法の第3の好ましい実施形態では、流動床または混合機に導入された粗生成物のコーティングは、溶融液を利用することにより行われる。この場合、溶融液は、好ましくは、
- ポリアルキレングリコール類、とくに、約1000〜15 000、たとえば約1000〜10 000などの数平均分子量を有するポリエチレングリコール;および
- 約4000〜20 000の数平均分子量を有するポリアルキレンオキシドポリマー類またはコポリマー類、とくに、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロックコポリマー
から選択される少なくとも1種のポリマーを含む。
【0109】
流動床中における溶融コーティングは、好ましくは、コーティング対象の粗生成物を流動床装置に導入することにより行われる。コーティング材料は、外部リザーバー中で溶融され、たとえば加熱可能なラインを介してスプレーノズルにポンプ移送される。便宜上、ノズルガスを加熱するとよい。コーティング材料が顆粒の表面上で満足に流動状態を保持して後者を均一に被覆するように、溶融液のスプレー速度および入口温度を調整しなければならない。溶融液をスプレーする前に、顆粒の前加熱を行うことが可能である。溶融コーティングはまた、原理的には、下側スプレー法でも上側スプレー法でも行うことができる。混合機中における溶融コーティングは、2つの異なる方法で行うことができる。一方では、コーティングの施される粗生成物を好適な混合機に導入し、コーティング材料の溶融液を混合機中にスプレーする。他の可能な方法は、固体の形態のコーティング材料を生成物と混合することである。容器壁を介してまたは混合用具を介してエネルギーを供給することにより、コーティング材料を溶融し、粗生成物を被覆する。所要により、ときどきいくらかの剥離剤を添加することが可能である。好適な剥離剤の例は、シリカ、タルク、ステアレート、およびリン酸三カルシウムである。
【0110】
適切な場合には、コーティングに使用されるポリマーの溶液、分散液、または溶融液に、他の添加剤、たとえば、微結晶性セルロース、タルク、カオリンなどを添加することが可能である。
【0111】
コーティングされた生成物の全重量の一部分としてのコーティングの重量は、完成生成物の全重量を基準にして、約1〜85重量%の範囲、好ましくは3〜50重量%または5〜40重量%である。ポリマーコーティングされた生成物の残留水分含有率は、主にポリマー材料の吸湿性によって決まる。残留水分含有率は、コーティングされた生成物の全重量を基準にして、一般的には約1〜10重量%の範囲、たとえば1〜5重量%などである。
【0112】
1.2 溶融液中にアスコルビン酸コリン結晶を懸濁させてから溶融液のアトマイゼーション/分散および固化を行う処理
さらなる代替手段は、アスコルビン酸コリンの融点未満の融点を有する脂肪、油、ワックス、脂質、脂質様物質、および脂質可溶性物質の溶融液中に、アスコルビン酸コリン結晶(結晶化、沈殿析出、大気圧下、真空中の乾燥により生成される)またはアモルファスアスコルビン酸コリンを懸濁させる方法である。続いて、粉剤を用いておよび用いず、これらの懸濁液を低温ガスのストリーム中にアトマイズし、被覆アスコルビン酸コリン粉末を生成させる。
【0113】
好ましくは、最初のステップで溶融液を調製した後、アスコルビン酸コリン結晶を添加し懸濁させる。懸濁は、攪拌容器中でバッチ方式により、または連続方式により、たとえば、この目的に好適なポンプを用いて、もしくは乱流が十分に大きい場合には単純にインジェクターおよびパイプラインを用いて、行うことができる。それほど好ましくはないが、除外されないのは、スタティックミキサーの使用である。適切な場合には、システムの必要部分(ラインおよびアトマイズ装置を含む)に保護加熱の対策が必要となることは、当業者に公知である。
【0114】
空気および窒素は、冷却ガスとして好適でありかつ好ましい。ガスフローは、並流、向流、または直交流にすることができる。この方法は、従来のスプレー塔、プリリング塔、または他の容器により、行うことができる。滞留(仕込み材料)のあるおよびない流動床も、同様に好適である。この方法は、不連続的または連続的に操作することができる。固体は、たとえば、サイクロンまたはフィルターにより取り出すことができる。このほか、後冷却を用いておよび用いずに流動床または混合機で固体を捕集することも考えられる。
【0115】
好適なアトマイズ装置は、ノズル(一流体および二流体ノズルまたは特別デザイン)およびアトマイズホイールもしくはアトマイズディスクもしくはアトマイズバスケットまたはそれらの特別デザインである。
【0116】
さらなる代替手段は、これらの疎水性溶融液を、液体中に、好ましくはアスコルビン酸コリンおよび被覆材料が低溶解性である液体中に、分散し固化させる方法である。そのような液体の例は、たとえば、液体窒素、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、およびジクロロメタンである。次に、従来の固/液分離を行い、続いて、乾燥させて、所望の乾燥粉末を得る。
【0117】
1.3 親油性環境中に結晶を分散させ、これらの結晶/油液滴を水性保護コロイド/糖質相中に乳化し、続いてスプレー製剤化(spray formulation)する処理
最初に、乳化剤/安定化剤の添加を行っておよび行わずに、非常に細かい粒子のアスコルビン酸コリン(沈殿析出、結晶化、スプレー乾燥、または粉砕により生成される)を、親油性環境(たとえば、アスコルビン酸コリンの融点未満の融点を有する脂肪、油剤、ワックス、脂質、脂質様物質、および脂質可溶性物質の溶融液など。これ以降、すべて油と記す)中に分散させる。結晶性固体を含有するこれらの油液滴を、さらなるプロセスステップで、水性保護コロイド/糖質相中に乳化させ、続いてスプレー製剤化(spray formulate)する。
【0118】
保護コロイド/糖質混合物の調製および組成ならびにスプレー製剤化手順に関しては、以下の第2.2節で言及する。
【0119】
1.4 コアセルベーションによるカプセル化
懸濁したアスコルビン酸コリン粒子のカプセル化は、コアセルベーション法を利用することにより実施可能である。この方法は、溶解形態またはコロイド形態のコーティング材料とアスコルビン酸コリン固体粒子とを含む分散液を用いて行われる。コーティング材料の溶解性を減少させることにより、アスコルビン酸コリン粒子のカプセル化を引き起こす。コアセルベーション法については、たとえば、Voigt, Lehrbuch der pharmazeutischen Technologie, Verlag Chemie, chapter 12.4(参照により明示的に本明細書に組み入れられるものとする)に記載されている。
【0120】
2. 水性溶液から開始するカプセル化
2.1 場合により添加剤(たとえば、抗酸化剤、塩)を含有する保護コロイド/糖質/アスコルビン酸コリン/水混合物のスプレー製剤化(spray formulation)
この方法は、BASF AGのEP-A-0 074 050またはDE-A-101 58 046.0(参照により明示的に本明細書に組み入れられるものとする)に従って行われる。
【0121】
スプレー製剤化される生成物は、第1のステップで、単糖、二糖、または多糖のグループに属する1種以上の物質を添加して、所要によりトウモロコシデンプンをも添加して、保護コロイド(好ましくはゼラチンおよび/またはゼラチン誘導体および/またはゼラチン代替物、たとえばペクチンおよびアラビアゴム)の水性溶液を調製することにより、作製される。次に、攪拌しながら、アスコルビン酸コリンを、たとえば、結晶性固体(後で、完全にまたは部分的に溶解されるであろう)としてまたは水性溶液として添加し、適切な場合には、他の添加剤、たとえば、親水性または疎水性の安定化剤または抗酸化剤などをも添加し、分散液の均一相を構成するコロイドの水性溶液を有する分散液を生成させる。続いて、この分散液をスプレー製剤化する。
【0122】
利用することのできるスプレー助剤の例は、疎水性シリカ、トウモロコシデンプン、または高級脂肪酸の金属塩である。また、変性トウモロコシデンプン、タルク、親水性シリカ、リン酸三カルシウム、およびケイ酸カルシウム、またはこれらの物質のうち2つ以上の混合物を使用することも考えられる。同様に、該脂肪酸とシリカとの混合物をこの方法に使用することも可能である。16〜18個のC原子を有する高級脂肪酸の好適な金属塩は、たとえば、ステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸マグネシウムである。
【0123】
好適なコロイドは、好ましくは動物性タンパク質、たとえばゼラチン(50〜250ブルームのゼラチンなど)またはカゼインである。使用されるコロイドの量は、最終生成物を基準にして通常5〜50重量%あり、分散液中の水含有量は、30〜70重量%である。このほかに、他の保護コロイド(先に詳述した例から選択される)を利用することも可能である。
【0124】
スプレー助剤は、均一に分散されて流動床の上部に存在する分散液に基づく重量の0.01〜0.25倍の量でスプレーチャンバーに導入することができる。スプレー助剤は、スプレーゾーンに直接導入される。スプレー時に生成されるスプレー助剤の層は、未固化状態での接触による粒子の合体が防止される程度まで粒子を安定化させる。これにより、下流の流動床乾燥機中で直接乾燥を行うことが可能になる。
【0125】
アトマイズ装置のデザインは、生成物に決定的な影響を及ぼすことはない。たとえば、EP-A-0 074 050に記載されているような装置をここで利用することができる。
【0126】
スプレー製剤化される生成物は、一変法において、同様にスプレー助剤を用いてスプレー塔中で分散液をスプレーしスプレーされた粒子を流動床中で捕集することにより、調製することができる。この場合、スプレーチャンバー中に導入されるスプレー助剤は、均一に分散されて流動床上に存在する分散液(デンプン粉末のような他の従来のスプレー助剤が無視できる量で存在する)に基づく重量の0.02〜0.15倍の量の疎水性シリカまたはたとえば16〜18個のC原子を有する高級脂肪酸の金属塩または疎水性シリカとの混合物である。とくに、スプレーされた粒子のコロイドの固化(該当する場合にはゲルを形成する)が起こらない温度でスプレー助剤がロードされコロイド塊が本質的にゲルを形成していない粒子を流動床中で捕集し、それ自体公知の方法により粒子を流動床中で乾燥させる。
【0127】
アトマイズ装置のデザインは、生成物に決定的な影響を及ぼすことはない。したがって、たとえば、ノズルまたは急速回転アトマイズディスクを使用することが可能である。分散液をアトマイズする温度もまた、決定的に変数ではない。それは通常30〜90℃であり、記載のコロイドでは50〜1200mPaの粘度になる。決定的要因は、スプレー時に、粒子が、微細な形態でスプレーゾーンに直接導入された疎水性スプレー助剤に接触することである。
【0128】
この方法の大きな利点は、スプレーチャンバー中の温度を低くして活性成分分散液にゲルを形成させるようにする必要がないこと、または液滴を固化させるのに十分な水を多量の補助粉末により除去することがもはや必要でないということである。この方法を用いれば、たとえば、冷蔵庫温度(+4℃)でさえも固化しない活性成分分散液を、25〜30℃の温度でスプレーすることが可能である。この場合、このためのスプレー助剤の量は、分散液のわずか0.02〜0.15倍にすぎない。
【0129】
さらなる変法において、スプレー製剤化される生成物は、スプレー冷却により調製することができる。これを行うには、好ましくは、乳濁液のゲル化点を超える温度、たとえば30℃〜90℃で、好ましくは50〜600 mPaの粘度で、アトマイズノズルまたはアトマイズホイールを利用することにより、保護コロイドを含有する分散液を、温度が0℃〜40℃のスプレーチャンバー中に、スプレーして、マイクロカプセルを生成させることが必要である。
【0130】
糊化マイクロカプセルの凝集およびチャンバーの壁への付着を防止するために、スプレー助剤、たとえば、トウモロコシデンプンまたは変性トウモロコシデンプンを、適切な場合には他のスプレー助剤と混合して、スプレーチャンバー中に吹き込むことができる。スプレー助剤は、好ましくは、最終生成物の重量により測定して5〜50%の量で添加される。
【0131】
次に、マイクロカプセルを流動床中に移して、必要であれば、残留水含有率が0〜10%の間(好ましくは2〜5%の間)になるように乾燥させ、そして過剰のスプレー助剤を除去することができる。乾燥空気の温度は、好ましくは約0℃〜約100℃である。
【0132】
とくに好ましい変法は、先に記載した方法に準拠してアスコルビン酸コリンの高濃厚溶液をスプレー製剤化する方法である。この目的のために、最初に、たとえば水など溶媒中に40〜99重量%のアスコルビン酸コリン、好ましくは60〜99重量%、とくに好ましくは水中に80〜95重量%のアスコルビン酸コリン(ascrobate)を含むアスコルビン酸コリンの溶液を調製する。溶液温度を調整することにより、アトマイゼーションに好適な粘度に到達するようにできる。たとえば、95重量%の固形分含有率および60℃の温度で1000mPa未満の粘度を有する水性溶液を得ることが可能である。所要により、この溶液に安定化添加剤を添加する。次に、疎水性シリカ(たとえば、Degussa製のSipernat D17)または変性トウモロコシデンプンのような粉剤を同時使用して、高圧(たとえば3〜300bar)の一流体ノズルを用いて、このようにして得られた溶液をスプレー製剤化することができる。このようにして得られた粒子を捕集し、たとえば先に記載した流動床でまたは真空装置で乾燥させ、適切な場合には、続いてたとえば上述したような保護層でコーティングする。
【0133】
R.A. Morten: Fat-Soluble Vitamins, Pergamon Press, 1970, pages 131-145に基づいて、固体アスコルビン酸コリンの分散液/乳濁液を調製し、次に、記載のごとく、本発明の粉末を調製することもさらに考えられる。
【0134】
2.2 スプレー顆粒またはスプレー凝集塊を調製してからコーティングを施す処理
この方法では、水性アスコルビン酸コリン溶液を流動床に添加し、固体粉末に変換する。この場合も、流動床を不連続的または連続的に操作することができる。好ましくは、水性アスコルビン酸コリン溶液を流動床のレシーバー上にスプレーする。レシーバーは、アスコルビン酸コリン自体であっても担体材料であってもよい。同様に、レシーバーを用いずに開始することも可能である。この場合も、溶液を上側スプレーまたは下側スプレーの形態でスプレーすることができる。また、容器壁に横方向に挿入されたアトマイズ装置も利用可能である。固体の性質(たとえば、顆粒化傾向)に従って流動化固体からのアトマイズ装置の距離を適合化することが有利であろう。利用される好ましいアトマイズ装置は、アトマイズノズル(一流体ノズル、二流体ノズル、または特別デザインノズルのような加圧ノズル)である。この方法は、ダスト再循環を用いておよび用いずに操作することができる。
【0135】
当業者は、プロセスパラメーターの設定および添加剤の適正な選択により、固体の性質に有益な影響を及ぼすようにできる。したがって、たとえば、高粒子密度および高嵩密度を有する複合顆粒ならびに優れた再構成特性および/または錠剤化特性を有する凝集塊を生成させることが可能である。
【0136】
最終生成物の所望の粒子サイズは、広い範囲内で調整可能である。平均粒子サイズは、20μm〜5000μmでありうる。好ましくは50μm〜2000μm、とくに好ましくは150μm〜600μmである。
【0137】
所望の平均粒子サイズが、たとえば約400μmである場合、約30〜50μmの平均粒子サイズのレシーバー材料で開始することが有益であろう。レシーバー材料は、たとえば粗いアスコルビン酸コリンまたは不活性担体材料をあらかじめ粉砕しておくことにより、またはたとえばこの目的に好適な同一もしくは異なる装置中でスプレー乾燥することにより、作製可能である。ある状況では、レシーバー材料はまた、フィルターまたはサイクロンまたは他の固体セパレーターから取り除かれた材料として得られるか、または他の方法から得られる好適な粒子サイズで処理しうる。
【0138】
パラメーターを好適に選択すれば、不連続法だけでなく連続法でも特別のレシーバー材料を使用しないですますことができる。
【0139】
次に、水性アスコルビン酸コリン溶液を表面にスプレーすることにより、またはバインダー液体だけを表面にスプレーすることにより、顆粒用の所望の凝集塊を生成させることが可能である。
【0140】
当然ながら、同一または異なる装置で、生成された固体粉末に保護コートをコーティングすることができる。
【0141】
とくに興味深い変法は、第1に結晶構造(結晶性またはアモルファス)およびアスコルビン酸コリンの望ましからぬ変色傾向に有益な影響を及ぼす添加剤を水性アスコルビン酸コリン溶液に添加することよりなる。
【0142】
結晶構造(サイズおよび/または形状)に影響を及ぼす添加剤は公知である。これらは、多価イオン、有機分子、または界面活性剤である。いわゆるテイラード添加剤と多官能性添加剤とは、区別される。テイラード添加剤は、結晶の成分との大きな類似点を有する。それらは成長表面上に吸着し、そこに成長を遅らせるので、この表面を拡大する。成長を完全に阻害するには、10%までの比率の助剤が必要である。多官能性添加剤は、とくに無機結晶に対してテイラード添加剤よりも頻繁に使用される。ほとんどの場合、ポリホスホネート類またはポリカルボキシレート類、たとえば、ポリアクリレートなどが利用される。これらの高分子電解質は、成長表面を湿潤させ、そこでの成長を阻止する。ppm領域の量で十分であることが多い。
【0143】
また、原理的には、水を有機溶媒で部分的にまたは完全に置き換えることが可能である。
【0144】
また、他の装置、たとえば、混合機などで記載の方法を行うことも考えられる。
【0145】
さらなる変法では、上述した保護コロイド、糖質、乳化剤、安定化剤などは、スプレー前に溶液に添加することができるか、または別のアトマイズ装置に独立して導入することができる。
【0146】
2.3 担体を用いるアスコルビン酸コリン溶液の製剤化
さらなる変法は、担体にアスコルビン酸コリン溶液を添加する方法である。好ましくは多孔質担体物質を利用する。先に第1.1節に記載した混合機および流動床は、これらの製剤を調製する装置として好適である。
【0147】
通常使用される担体は、不活性材料である。「不活性」担体は、本発明の製剤に利用される成分とのいかなる有害な相互作用をも示すものであってはならず、各用途、たとえば、ヒト用食品、ヒト用食品補助剤、動物用食品、動物用食品添加剤、医薬品、および化粧品において、助剤として使用するうえで許容しうるものでなければならない。
【0148】
好適な担体材料として挙げられうる例は、低分子量の無機または有機化合物類、および天然源または合成源の高分子量有機化合物類である。好適な低分子量無機担体の例は、塩類、たとえば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸ナトリウム、および硫酸マグネシウム、あるいはキーゼルグールまたはシリカ類、たとえば二酸化ケイ素類もしくはシリカゲル類、またはシリカ誘導体類、たとえばシリケート類などである。
【0149】
好適な有機担体の例は、とくに、糖質類、たとえば、グルコース、フルクトース、スクロース、デキストリン類、デンプン製品、とくにトウモロコシデンプン、およびセルロース製品などである。他の有機担体として挙げられうる例は、トウモロコシ穂軸粉、粉砕米殻、小麦ふすま、または穀類粉、たとえば、小麦粉、ライ麦粉、大麦粉、オート麦粉など、または糠、あるいはそれらの混合物である。
【0150】
好ましい多孔質担体の例は、シリカ類、たとえばDegussa製のSipernat製品またはRhodia, Lyon製のTixosil製品などである。
【0151】
担体材料は、本発明の製剤の中に、乾量基準で約10〜85重量%、好ましくは約20〜85重量%の比率で存在しうる
2.4 顆粒または押出物の調製
この目的のために、最初に、たとえば、混合機で、アスコルビン酸コリン溶液、担体(たとえば、トウモロコシデンプンまたは微結晶性セルロースなど)、およびバインダー(たとえば、HPMC、HPC、またはHMCなど)から、湿潤顆粒を調製する。次に、これらの湿潤顆粒を、さらなるプロセスステップで押出機(ミートグラインダー、バスケット押出機、二軸スクリュー押出機など)により造形し、適切な場合には後処理し(圧縮、丸面取りなど)、乾燥させ(たとえば、この場合も流動床または接触乾燥機で)、そして必要ならばこの場合もコーティングする。好適な装置は、たとえばAeromatic-Fielder製のNICA System(登録商標)である。
【0152】
顆粒はまた、担体および適切な場合には添加剤を混合機に導入し、固体アスコルビン酸コリンおよびバインダー(好ましくはバインダー液体、最も簡単な場合には水)を添加した後、コンパクトな顆粒を生成させることにより作製することができる。
【0153】
混合機は、好ましくは、パドルミキサーまたはプローシェアーミキサーである。液体成分を添加して(表面上に滴下またはスプレーする)、ペースト状タック性相を形成する。混合用具および/または高速ナイフの回転速度を適切に選択することにより、ペースト状相を分散させてコンパクトな顆粒を得る。非常に大きい塊を混合用具およびナイフにより分散させる。一方、微粉末は、それにより凝集される。
【0154】
操作モードは、不連続方式または連続方式である。多くの場合、加熱ジャケットを介して熱を供給したり除去したりすることが必要である。決定的なステップは、バインダー液体と、混合用具およびナイフによる機械的エネルギー投入と、必要な顆粒化時間の設定と、の組合せである。
【0155】
続いて、混合用具および固定刃のより低い回転速度を用いて混合機により、または関連構成の下流混合機により、コーティングを施すことができる。
【0156】
また、ペースト状タック性相を押出機のダイに圧入することにより、造形を行うことができる。この方法の結果として押出物が得られ、適切な場合には、続いて、乾燥させ、次にコーティングを施す。
【0157】
2.5 アスコルビン酸コリン溶液をワックス中に乳化し造形する処理
第1.2節と同様にして、ただし、助剤(乳化剤、安定化剤)の添加を行っておよび行わずに、第1のステップで、水性、水性-有機性、または有機性アスコルビン酸コリン溶液から開始して、最初に、脂肪、油、ワックス、脂質、脂質様物質、および脂質可溶性物質の溶融液中のアスコルビン酸コリンの乳濁液を調製する。後続の造形処理は、この場合も、第1.2節の場合のように低温ガスのストリーム中で行われる。
【0158】
3. 溶融液から開始するカプセル化
3.1 アスコルビン酸コリン/ワックス/脂肪の分散液を調製しアトマイゼーション/分散および固化を行う処理
たとえば、助剤を添加して、アスコルビン酸コリンの融点超または融点未満の融点を有する脂肪、油、ワックス、脂質、脂質様物質、および脂質可溶性物質の溶融液中に、アスコルビン酸コリンの無水溶融液を分散させる。続いて、粉剤を用いておよび用いずに、被覆アスコルビン酸コリン粉末が生成されるように、これらの分散液を低温ガスのスチーム中にアトマイズする。後続の手順に関しては、第1.2節の説明を参照しうる。
【0159】
3.2. 真空装置でアスコルビン酸コリン固体を調製し、適切な場合には続いて顆粒化/凝集/圧縮を行い、適切な場合には続いてコーティングを行う処理
この方法では、適切な場合には担体および添加剤を用いて、アスコルビン酸コリンの水性溶液または水性-有機性もしくは有機性溶媒中のアスコルビン酸コリンの溶液を真空装置中に蒸発させて固体にする。同一の装置でまたは異なる装置で、適切な場合にはバインダーを添加して、固体を凝集させ、顆粒化し、圧縮し、そして所要により再び粉砕し、分級し、さらに、適切な場合には保護層でコーティングすることが可能である。
【0160】
好適な装置は、たとえば当業者に公知であるような従来の真空乾燥機である。アスコルビン酸コリンは、溶液としてまたはそのほかに固体として導入することができる。壁温度は、アスコルビン酸コリンの融点を超えないことが好ましい。なぜなら、それよりも高い温度では、分解が予想されるからである。この方法は、好ましくは、大気圧〜工業的に可能な大気圧未満の範囲の圧力で、とくに好ましくは0〜500mbarの絶対圧力下で、行なわれる。好ましい変法は、真空装置中の酸素および水蒸気の分圧を最小限に抑えるために、ストリッピングガスとしてたとえば窒素のような不活性ガスを使用する方法である。必要であれば、バインダー液体の添加、圧縮、凝集、または顆粒化により、真空装置中で所要の粒子サイズに調整し、必要であれば、下流の装置で、得られた粒子のコーティングを行う。
【0161】
3.3 組み込まれて適切であればコーティングの機能を呈する粉剤の存在下で溶融液のスプレーおよび固化を行う処理
粉剤を用いておよび用いずに、適切な場合には添加剤を添加して、低温ガスのストリーム中にアスコルビン酸コリンの溶融液をアトマイズすることにより、被覆(encased)アスコルビン酸コリン粉末を生成させる。粉剤(先の説明を参照されたい)は、表面だけが固化された液滴の合体を所要により防止するのに好適である。ここで好適な粉剤の例として挙げられうるのは、SiO2である。
【0162】
3.4 多孔質担体への溶融液の滴下適用/スプレー適用
溶液、乳濁液、または懸濁液の代わりにアスコルビン酸コリン溶融液から開始する点はことなるが、第2.3節と同様にして、好ましくは多孔性の担体にアスコルビン酸コリンを添加し、さらに処理する。
【0163】
3.5 顆粒/押出物の作製
第2.4節に記載されている手順と同様にして、ただし、アスコルビン酸コリン溶融液を用いて、対応する顆粒/押出物を調製する。
【0164】
G) 本発明のアスコルビン酸コリン(ascorbrate)製剤の用途
本発明のアスコルビン酸コリン製剤は、ヒト用および動物用食品への添加剤としてまたはヒト用および動物用食品補助剤への添加剤として、たとえば総合ビタミン剤などとして、従来のコリン製品のように使用される。本発明に従って安定化された製剤は、この目的では、従来のヒト用および動物用食品ならびにヒト用および動物用食品補助剤に所望の量でそれ自体公知の方法で組み込むことができる。
【0165】
本発明のアスコルビン酸コリン製剤は、医薬品、たとえば、とくに肝硬変または他の肝臓障害を治療/予防するための製品を作製するに好適である。さらなる可能性のある応用分野として挙げられるのは、認知機能の改善;種々のタイプの痴呆またはアルツハイマー病の治療および/または予防;および他の神経変性障害;ならびに血漿ホモシステインレベルの減少およびそれに付随して心臓血管疾患の予防である。
【0166】
食品補助剤を同様に本発明の目的で使用することができる。
【0167】
個人、好ましくは哺乳動物、とくにヒト、農業用動物または家畜を治療するための本発明の医薬組成物は、それ自体公知の方法で調製することができる。かくして、安定化アスコルビン酸コリンは、通常、少なくとも1種の本発明のアスコルビン酸コリン製剤および適切な場合には他の活性成分と共に製薬上許容される賦形剤を含む医薬組成物の形態で投与される。これらの組成物は、たとえば、経口経路、経直腸経路、経真皮経路、舌下経路、頬腔内経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、または鼻腔内経路により投与することができる。
【0168】
好適な医薬製剤の例は、固体製剤、たとえば、経口散剤、散布剤、顆粒剤、錠剤、パステル剤、サシェ剤、カシェ剤、糖衣剤、フィルムコーティング錠剤、硬および軟ゼラチンカプセル剤のようなカプセル剤、坐剤、または経膣製剤;半固体製剤、たとえば、軟膏剤、クリーム剤、ヒドロゲル剤、パスタ剤、または硬膏剤;ならびに液体製剤、たとえば、溶液剤、エマルジョン剤、とくに水中油型エマルジョン剤、サスペンジョン剤、たとえばローション剤、注射および注入に供される調剤、点眼剤、および点耳剤である。埋植送達デバイスを用いて本発明の製剤を投与することもできる。リポソーム、マイクロスフェア、またはポリマーマトリクスを使用することも可能である。
【0169】
組成物の調製時、本発明のアスコルビン酸コリン製剤は、通常、賦形剤と混合されるかまたは賦形剤で希釈される。賦形剤は、活性物質用の媒体、担体、または媒質として役立つ固体材料、半固体材料、または液体材料でありうる。
【0170】
好適な賦形剤の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、コロイド状無水シリカ、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、セルロースおよびその誘導体、水、アルコール/水混合物、シロップ、ならびにメチルセルロースが挙げられる。製剤は、製薬上許容される担体または従来の賦形剤、たとえば、滑沢剤、例としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、植物源の油、および鉱油;湿潤剤、乳化剤、および懸濁化剤;保存剤、たとえば、メチルヒドロキシベンゾエートおよびプロピルヒドロキシベンゾエート;抗酸化剤;抗刺激剤、キレート化剤;錠剤コーティング助剤;乳化安定化剤;皮膜形成剤;ゲル形成剤;臭気マスキング剤;マスキング着香剤;樹脂;ヒドロコロイド;溶媒;可溶化剤;中和剤;浸透促進剤;顔料;第四級アンモニウム化合物;再加脂剤および過脂肪剤;軟膏剤、クリーム剤、または油基剤;シリコーン誘導体;展着助剤;安定化剤;滅菌剤;坐剤基剤;錠剤賦形剤、たとえば、結合剤、充填剤、滑沢剤、崩壊剤、またはコーティング剤;噴射剤;乾枯剤;不透明化剤;流動調節剤、増粘剤;ワックス;可塑剤;ホワイト油を追加的に含みうる。これに関する配合は、たとえば、Fiedler, H.P., Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete, 4th edition, Aulendorf: ECV-Editio-Cantor-Verlag, 1996, or Hager's Handbuch der Pharmazeutischen Praxis, Springer Verlag, Heidelbergに記載されているような専門知識を基づく。賦形剤は、個々にまたは混合物で利用することができる。
【実施例】
【0171】
次に、以下の代表的実施形態を参照して、本発明についてより詳細に説明する。
【0172】
全体的情報:
別段の記載がないかぎり、120〜130℃の融点を有するアスコルビン酸コリン(CAS)を以下の実験で利用する。
【0173】
製剤例で利用されるアスコルビン酸コリン結晶は、メタノール性溶液を冷却して結晶化させてから固/液分離および乾燥を行うことにより取得したものである。
【0174】
実施例で利用したCAS溶液は、いずれの場合も水溶液であった。溶液の組成は、通常、40%水および60%アスコルビン酸コリンであった。溶液は、いずれの場合も、水を添加することにより上述したアスコルビン酸コリン結晶から調製した。所要により、変色傾向を回避するために、添加剤を溶液に添加した。
【0175】
CAS溶融液から開始するそれらの実施例では、上述したアスコルビン酸コリン結晶を加温し、適切な場合には先に規定した安定化剤と混合し、そしてそれらの融点を超えて加熱した。
【0176】
実施例1:
溶液中におけるコリンの安定性の決定
最初に、DE A 101 090 73に開示されているようなそれ自体公知の方法で、固体アスコルビン酸コリンを調製する。0℃に冷却しながら、メタノール中の0.2mlのトリメチルアミン(25重量%)に0.2モルのアスコルビン酸を添加した。反応温度が0〜5℃を超えないように、この混合物に0.2mlのエチレンオキシドを導入した。反応の終了後、反応器を窒素でフラッシングし、0〜5℃の温度でさらに攪拌した。生成されたアスコルビン酸コリンを反応混合物から結晶化させ、濾別し、メタノールで洗浄し、メタノールから再結晶し、そしてさらなる精製に使用した。123.5〜124.4℃の融点を有する無色の結晶を80%の収率で得た。結晶は、元素分析、13C NMR分光法、および単結晶構造分析により、アスコルビン酸コリン(無水)として特性付けられた。
【0177】
このアスコルビン酸コリン(融点123〜124℃)の濃度50%の溶液(1:1水/メタノール中)を還流状態(65℃)で空気雰囲気中で数時間攪拌する。実験の開始時および種々の反応時間後、ガードナー(DIN-ISO 4630)色数またはハーゼン(DIN-ISO 6271)色数により変色度を決定する。
【0178】
類似の方法で、L(+)-アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、および重酒石酸コリンの濃度50%の水性/メタノール性溶液を調べた。結果を以下の表1にまとめる。
【表1】

【0179】
実験の結果から、他のコリン化合物およびアスコルビン酸と比較して、安定化されていないアスコルビン酸コリンの驚くほど大きな不安定性が明瞭に示されるが、この不安定性はすでに知られていた。
【0180】
実施例2:
安定化アスコルビン酸コリン溶液の調製
実施例1で調製されたアスコルビン酸コリン(融点123〜124℃)の濃度50%の溶液(1:1水/メタノール中)を、1重量パーセントの種々の安定化添加剤を用いずにまたは用いて還流状態(65℃)で空気雰囲気中で数時間攪拌する。実施例1に記載されているように色数を決定することにより、各添加剤の安定化効果を調べる。
【0181】
以下の表2は、各添加剤の安定化効果を明らかにすべく、添加剤および反応時間に加えて、時間の関数としてガードナー色数およびのハーゼン色数を列挙している。
【表2】

【0182】
上記の表2のデータは、少量の好適な安定化剤を添加することによりアスコルビン酸コリンをそのきわめて大きな変色傾向にもかかわらず有利に安定化させることができるという本発明により得られるきわめて驚くべき知見を実証する。
【0183】
実施例3:
固体の安定化されたアスコルビン酸コリンの調製
アスコルビン酸コリンを水溶液に変換し、本発明の安定化剤と混合し、そして濃縮する(真空, T=70〜80℃)。冷却後、安定化生成物は結晶化する。
【0184】
実施例4
脂肪で流動床コーティングすることによるアスコルビン酸コリン製剤の調製
コーティング対象の生成物は、アスコルビン酸コリンとシステインとの過冷却溶融液またはそれらの結晶の混合物である。いずれの場合にも、98重量% CASおよび2重量%システインを含む(約300μmの平均粒子サイズを有する)。使用したコーティング材料は、60〜64℃の融点を有する脂肪である(Aarhus Olie, Denmark製のRucawar FH)。
【0185】
実験を行うために、Niro-Aeromatic, type MP-1実験室用流動床が利用可能であった。利用したレシーバー容器は、直径110mmの底部流入プレートと自由領域8%の有孔プレートとを備えたプラスチックコーンであった。
【0186】
流動床に導入されたアスコルビン酸コリン(500g)を30 m3/hの速度の空気で流動化させながら40℃の生成物温度に加熱した。脂肪(125g)をガラスビーカーに入れて80℃の油浴中で溶融し、85〜90℃に加熱されたスプレーガスを用いて2barのスプレー圧力で加熱ラインを介して減圧取込みを行い、上側スプレー法で1.2mm二流体ノズルを用いてアスコルビン酸コリン上にスプレーした。スプレープロセス時、十分な混合が行われ均一なコーティング層が得られるように、空気速度を100 m3/hに増大させた。スプレー時間は5分間であり、生成物温度は40〜43℃であり、そして入口空気温度は約40〜50℃であった。
【0187】
実施例5:
製剤例 - 総合ビタミン錠剤
当業者に公知の従来の製剤化助剤を使用してそれ自体公知の方法で以下の組成の総合ビタミン錠剤を調製する。
【0188】
β-カロテン 5 mg
ビタミンE 10 mg
ビタミンC 60 mg
ビタミンD 1.2 mcg
チアミン 1.4 mg
リボフラビン 1.6 mg
ピリドキシンHCl 2.2mg
ビタミンB12 1 mcg
ナイアシン 18 mg
パントテン酸 6 mg
葉酸 200 mcg
ビオチン 150 mcg
安定化アスコルビン酸コリン 150 mg
(実施例4のときと同様に調製した)
マグネシウム 100 mg
亜鉛 15 mg
マンガン 2.5 mg
セレン 62 mcg
実施例6:
製剤例 - B群ビタミン錠剤
当業者に公知の従来の製剤化助剤を使用してそれ自体公知の方法で以下の組成のビタミン錠剤を調製する。
【0189】
ビタミンC 500 mg
チアミン 100 mg
リボフラビン 100 mg
ビタミンB6 100 mg
ビタミンB12 500 mcg
ナイアシン 100 mg
パントテン酸 100 mg
葉酸 400 mcg
ビオチン 50 mcg
安定化アスコルビン酸コリン 500 mg
(実施例4のときと同様に調製した)
実施例7aおよび7b:
アスコルビン酸コリンの流動床コーティング
実施例4のときと同様の装置および手順。温度およびスプレー時間を適合化させた。400gのアスコルビン酸コリン含有固体をコーンに導入した。
【表3】

【0190】
実施例8aおよび8b:
攪拌フラスコ中におけるアスコルビン酸コリンコーティング
a) コーティング対象の生成物は、この場合も実施例4に記載されているアスコルビン酸コリンであった。50gの固体を四口反応フラスコに導入し、攪拌しながら油浴中で60℃に加熱した。
【0191】
使用したコーティング材料は、56〜60℃の融点を有する牛脂(Henkel/Cognis製のEdenor NHTI-G)であった。ガラスビーカー中で80℃の温度で牛脂を溶融した。ピペットを用いて12.5gのEdenor NHTI-G溶融液を四口フラスコ中の攪拌アスコルビン酸コリン上に滴下導入した。攪拌速度は250〜300 rpmであった。溶融液を添加した後、牛脂でコーティングされたアスコルビン酸コリンを攪拌しながら冷却し、溶融液を固化させた。約20%のコーティングを有するアスコルビン酸コリン粒子が得られた。
【0192】
b) 同等な条件下で33.5gのEdenor NHTI-G溶融液を50gのアスコルビン酸コリンに添加して実験を繰り返した。約40%のコーティングを有するアスコルビン酸コリン粒子が得られた。
【0193】
実施例9a〜9c:
攪拌フラスコ中におけるアスコルビン酸コリンコーティング
実施例8のときと同様の装置および手順。温度を融点に適合化された。実施例4に記載のアスコルビン酸コリンを50gずつ四口反応フラスコに導入した。
【表4】

【0194】
実施例10aおよび10b:
流動床中におけるアスコルビン酸コリン水溶液のスプレー顆粒化
a) 実験を行うために、Niro-Aeromatic, type MP-1実験室用流動床が利用可能であった。利用したレシーバー容器は、直径110mmの底部流入プレートと自由領域8%の有孔プレートとを備えたプラスチックコーンであった。
【0195】
300gのアスコルビン酸コリン(実施例4参照)をレシーバー材料として流動床のコーンに導入した。300gの同一の固体を129gの飲料水に溶解させた。
【0196】
流動床に導入されたアスコルビン酸コリン(300g)を30〜40 m3/hの速度の空気で流動化させながら47℃の生成物温度に加熱した。生成物温度を流動床中で測定した。二流体ノズル(ノズル直径1.2mm)を用いて1.5barのスプレー圧力で減圧取込みにより上側スプレー法でアスコルビン酸コリン水溶液をスプレーされた。スプレー時間は約35分間であり、生成物温度は45〜47℃であり、そして入口空気温度は約58〜66℃であった。排出された生成物は、568gの微細な白色の生成物を含んでいだ。生成物の乾燥減量は、約0.6%であった。
【0197】
b) 流動床にアスコルビン酸コリンを導入せずに上述した実験を繰り返した。この目的のために、500gのアスコルビン酸コリン(実施例4参照)を250gの飲料水に溶解させた。実質的に変更の加えられていない操作条件で、約160分間の実験時間内で約450gの白色の顆粒化生成物を生成することができた。生成物の乾燥減量は、約0.5%であった。システム中の壁およびフィルターに粗く薄い堆積物が残存した。
【0198】
レシーバーを用いることなく流動床中でスプレー顆粒化を行うことができたので、これはまた従来のスプレー乾燥が類似の条件下で可能であることを示している。
【0199】
実施例11aおよび11b:
添加剤の添加を伴う流動床中におけるアスコルビン酸コリン水溶液のスプレー顆粒化
実施例10のときと同様の装置および手順:レシーバーを用いずに開始。
【表5】

【0200】
実施例12:
流動床中におけるアスコルビン酸コリン水溶液のスプレー製剤化(spray formulation)
170gの飲料水をガラスビーカーに導入し、攪拌しながら280gのアスコルビン酸コリン結晶(実施例4参照)を徐々に添加して溶解させた。その結果、62%の固形分含有率を有する水溶液を得た。60℃の温度および4barのスプレー圧力で一流体ノズルを用いて、この溶液を実験室用スプレー塔中にスプレーした。スプレー時、疎水性シリカ(Sipernat D 17(登録商標), Degussa)をスプレーゾーンに吹き込んだ。湿潤粉末を取得し、続いて実験室用吸込フィルターで前乾燥させ、最後に50℃の水浴温度および40mbarの圧力でロータリーエバポレーターを用いて5時間以内で乾燥させた。
【0201】
実施例13:
色数を決定するための、溶解されたアスコルビン酸コリン製剤の調製
固体CAS製剤を乳鉢中でホモジナイズし、等量部の水およびメタノールで構成された溶媒混合物に加えて室温で15分間攪拌する。得られた溶液が10重量%のCASを含有するように、製剤化物の初期重量を選択する。不溶分を除去する。得られた溶液で即座にガードナー色数および/またはハーゼン色数を決定する。
【0202】
実施例14:
添加剤によるアスコルビン酸コリンまたはコリン塩/アスコルビン酸混合物の安定化
アスコルビン酸コリンおよび種々のコリン塩/アスコルビン酸混合物に及ぼす安定化剤の作用を以下の研究で調べた。実験結果を表3にまとめる。実験は次の条件下で行った:
濃度10%の水/メタノール(1:1)溶液 - 65℃で7時間
【表6】

【0203】
色数から明らかなように、アスコルビン酸コリンの色だけでなく、他のコリン塩とアスコルビン酸との混合物の色も、安定化剤により著しく安定になる。
【0204】
実施例15:
固体アスコルビン酸コリン製剤の湿気安定性の決定
ディッシュの下端が粉末状固体で均一に覆われているように、本発明に従って製剤化された数グラムの固体アスコルビン酸コリンをガラスディッシュに入れる。デシケーターの下端に位置する飽和塩化ナトリウム水溶液により規定される雰囲気を備えたデシケーターを準備する。デシケーター中のガス雰囲気は、約76%の相対ガス湿度を有する。アスコルビン酸コリンの入ったディッシュをデシケーター中に配置して、室温で3日間保存する。
【0205】
3日後、アスコルビン酸コリンの入ったディッシュをデシケーターから取り出して評価する。非製剤化アスコルビン酸コリンは、完全にまたは部分的に液体の形態である。本発明に従って製剤化されたアスコルビン酸コリンは、3日後、依然として粉末状固体の形態である。製剤の部分的なまたは完全な潮解または溶解は、観察されない。しかしながら、固体は保存時に水を取り込んで、限られた流動性を示す可能性がある。標準保存後、たとえばD2(40〜100μm)の吸引濾過漏斗により濾過したとき(ウォーターポンプ真空を適用してまたは適用せずに)、本発明の製剤から液相を分離することはできない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ストレス因子に対する感受性が低減されている、固体アスコルビン酸コリン製剤。
【請求項2】
前記製剤の溶液が、標準条件下で、
i) <4.5のガードナー色数(DIN-ISO 4630またはASTM D 1544-80に明記されているように決定される)、および/または
ii) <800のハーゼン色数(DIN-ISO 6271、またはASTM D 1045-68、ASTM D 263-49、もしくはASTM D 1209-69に明記されているように決定される)
を有する、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
湿潤周囲空気中における標準条件下での貯蔵時に潮解しない、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
a) アスコルビン酸コリンが不活性コーティング組成物で表面コーティングされているか;
b) アスコルビン酸コリンが不活性マトリックス中に包埋されているか;または
c) 多孔質担体にアスコルビン酸コリンがロードされておりかつ適切な場合にはロードされた該担体が不活性コーティング組成物で表面コーティングされている、
請求項1〜3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
アスコルビン酸コリンの変色傾向をさらに減少させる有効量の少なくとも1種の添加剤を追加的に含む、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
アスコルビン酸コリンの変色傾向をさらに減少させる前記添加剤が、アスコルビン酸コリンと混合されている、かつ/または前記表面コーティング中、前記不活性マトリックス中、もしくは前記多孔質担体中に存在する、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記安定化剤が、アスコルビン酸コリンのモル含有量を基準にして約0.05〜30モル%の比率で存在する、請求項5または6に記載の製剤。
【請求項8】
前記安定化剤が、硫黄含有化合物類、リン含有化合物類、もしくはホウ素含有化合物類;カルボン酸類およびカルボン酸誘導体類;ビタミン類ならびにビタミン前駆体類およびビタミン誘導体類;天然物混合物類;ヒドロキシ芳香族化合物類もしくはアルコキシ芳香族化合物類;レダクトン類、またはそれらの混合物から選択される、請求項5〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
a) 前記硫黄含有安定化剤が、システイン、シスチン、N-アセチルシステイン、チオグリコレート、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、リポ酸、亜二チオン酸ナトリウム、メチオニン、およびチオウレアから選択され;
b) 前記リン含有安定化剤が、亜リン酸および次亜リン酸から選択され;
c) 前記ホウ素含有安定化剤が、フェニルボロン酸であり;
d) 前記カルボン酸類およびカルボン酸誘導体類が、尿酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、および過剰アスコルビン酸;ならびにアスコルビルパルミテートから選択され;
e) 前記ビタミン類、ビタミン前駆体類、およびビタミン誘導体類が、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-トコフェロール、トコトリエノール、ならびにより水溶性のビタミンE誘導体類;カロテノイド類;イソフラボン類;フラボノイド類、ならびに他の天然に存在するポリフェノール類から選択され;
f) 前記天然物混合物が、ローズマリー抽出物であり;
g) 前記レダクトンが、ヒドロキシアセトンであり;かつ
h) 前記ヒドロキシ芳香族化合物類またはアルコキシ芳香族化合物類が、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン(エトキシキン)、t-ブチルヒドロキシトルエン、およびt-ブチルヒドロキシアニソールから選択され;
または前記安定化剤が、上記化合物のうちの1つの、安定化作用を有する機能的誘導体である、
請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記アスコルビン酸コリン含有量が、前記製剤の全重量を基準にして約5〜95重量%の範囲にある、請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
a) ポリアルキレングリコール類;
b) ポリアルキレンオキシドポリマー類またはコポリマー類;
c) 置換型ポリスチレン類、マレイン酸誘導体類、およびスチレン/マレイン酸コポリマー類;
d) ビニルポリマー類単独またはセルロースエーテル類もしくはデンプン類のような他の化合物類との組合せのいずれか;
e) ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー類;
f) ポリビニルアルコール類およびポリフタル酸ビニルエステル類;
g) ヒドロキシプロピルメチルセルロース類;
h) アルキル(メタ)アクリレートポリマー類およびコポリマー類;
i) ポリビニルアセテート類(適切な場合にはポリビニルピロリドンで安定される);
j) ポリアルキレン類;
k) 芳香族ポリマー類;
l) ポリアクリル酸類;
m) ポリアクリルアミド類;
n) ポリシアノアクリレート類;
o) フェノキシ酢酸/ホルムアルデヒド樹脂類;
p) セルロース誘導体類;
q) 動物性、植物性、もしくは合成の脂肪類および変性脂肪類;
r) 動物性および植物性ワックス類または化学変性された動物性および植物性ワックス類;
s) 動物性および植物性タンパク質類;
t) 単糖類および二糖類、オリゴ糖類、多糖類;
u) 植物性油類、合成油類もしくは半合成油類、および動物性油類;
v) 硬化(水素化もしくは部分水素化)油類/脂肪類;
w) ラッカーコーティング類;
x) 脂肪酸類;
y) シリカ類;
またはそれらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物を含むコーティング組成物でコーティングされている、請求項1〜12のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
前記アスコルビン酸コリンが、約20〜100℃の範囲の温度で固体であるマトリックスを形成するのに好適である少なくとも1種の請求項11に規定されている化合物を含むマトリックス中に包埋されている、請求項1〜10のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
シリケート類から選択される多孔質担体を含む、請求項1〜10のいずれかに記載の製剤。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、
a) 流動床中において請求項11に規定されているコーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散体をスプレーするか、または流動床中において該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;あるいは
b) 混合機中において、該コーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散体でコーティングするか、または該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;あるいは
c) 脂肪と混合し、混合を継続しながら機械的エネルギー入力および/または加熱により該脂肪を溶融させ;
そしていずれの場合にも適切であれば、得られたコーティングされた材料の乾燥、冷却、および/または粗大画分除去を行うことにより、
固体アスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施すことを含む、上記方法。
【請求項15】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、請求項11に規定されている(可融性)コーティング組成物を含む溶融液中に固体アスコルビン酸コリン粒子を懸濁させ、このようにして得られた懸濁液を分散させ、続いて固化させることを含む、上記方法。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、親油性環境中に固体アスコルビン酸コリン粒子を分散させ、このようにして得られた固体/油液滴を水性相中に乳化させ、そしてこの乳濁液をスプレー製剤化することを含む、上記方法。
【請求項17】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、コアセルベーションによりアスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施すことを含む、上記方法。
【請求項18】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、水性保護コロイド溶液を調製し、その中にアスコルビン酸コリンを溶解もしくは分散させ、続いて得られた混合物をスプレー製剤化もしくはスプレー乾燥し、続いて適切な場合にはコーティングすることを含む、上記方法。
【請求項19】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、流動床中において水性アスコルビン酸コリン含有溶液をスプレー乾燥し、そして好適な添加剤を添加することにより顆粒化もしくは凝集させることを含む、上記方法。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンを含む溶液、乳濁液、もしくは懸濁液を多孔質担体と混合し、そして適切な場合には乾燥させること;またはアスコルビン酸コリンを含む溶融液を多孔質担体に適用すること、を含む、上記方法。
【請求項21】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリン含有溶液もしくは分散液またはアスコルビン酸コリン含有溶融液と担体とを含むかあるいは固体の結晶性もしくはアモルファスのアスコルビン酸コリンを含む湿潤顆粒を調製し、該湿潤顆粒を押し出し、適切な場合には後処理し、乾燥させ、続いて適切な場合にはコーティングすることを含む、上記方法。
【請求項22】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンの水性溶液を調製し、これを疎水性溶融液中に乳化させ、そしてこの乳濁液を固化させることを含む、上記方法。
【請求項23】
請求項1〜10のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンを含む溶融液を適切な場合には粉剤の存在下で低温ガスのストリーム中においてアトマイズすることを含む、上記方法。
【請求項24】
ヒト用もしくは動物用食品の従来の成分に加えて、請求項1〜13のいずれかに規定されているアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.001〜50重量%の比率で含む、ヒト用もしくは動物用食品。
【請求項25】
ヒト用もしくは動物用食品補助剤の従来の成分に加えて、請求項1〜13のいずれかに規定されているアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.01〜99.9重量%の比率で含む、ヒト用もしくは動物用食品補助剤。
【請求項26】
製薬上好適な担体中に有効量の請求項1〜13のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を含む、固体、液体、またはペーストの形態の医薬品。
【請求項27】
ヒト用および動物用食品ならびにヒト用および動物用食品補助剤または医薬品を調製するための、請求項1〜13のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ストレス因子に対する感受性が低減されている固体アスコルビン酸コリン製剤であって、その製剤の溶液が、標準条件下で、<4.5のガードナー色数(DIN-ISO 4630またはASTM D 1544-80に明記されているように決定される)、および/または<800のハーゼン色数(DIN-ISO 6271、またはASTM D 1045-68、ASTM D 263-49、もしくはASTM D 1209-69に明記されているように決定される)を有し、湿潤周囲空気中における標準条件下での貯蔵時に潮解しないことを特徴とする、上記製剤。
【請求項2】
a) アスコルビン酸コリンが不活性コーティング組成物で表面コーティングされているか;
b) アスコルビン酸コリンが不活性マトリックス中に包埋されているか;または
c) 多孔質担体にアスコルビン酸コリンがロードされておりかつ適切な場合にはロードされた該担体が不活性コーティング組成物で表面コーティングされている、
請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
アスコルビン酸コリンの変色傾向をさらに減少させる有効量の少なくとも1種の添加剤を追加的に含む、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
アスコルビン酸コリンの変色傾向をさらに減少させる前記添加剤が、アスコルビン酸コリンと混合されている、かつ/または前記表面コーティング中、前記不活性マトリックス中、もしくは前記多孔質担体中に存在する、請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記安定化剤が、アスコルビン酸コリンのモル含有量を基準にして約0.05〜30モル%の比率で存在する、請求項3または4に記載の製剤。
【請求項6】
前記安定化剤が、硫黄含有化合物類、リン含有化合物類、もしくはホウ素含有化合物類;カルボン酸類およびカルボン酸誘導体類;ビタミン類ならびにビタミン前駆体類およびビタミン誘導体類;天然物混合物類;ヒドロキシ芳香族化合物類もしくはアルコキシ芳香族化合物類;レダクトン類、またはそれらの混合物から選択される、請求項3〜5のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
a) 前記硫黄含有安定化剤が、システイン、シスチン、N-アセチルシステイン、チオグリコレート、グルタチオン、ジヒドロリポ酸、リポ酸、亜二チオン酸ナトリウム、メチオニン、およびチオウレアから選択され;
b) 前記リン含有安定化剤が、亜リン酸および次亜リン酸から選択され;
c) 前記ホウ素含有安定化剤が、フェニルボロン酸であり;
d) 前記カルボン酸類およびカルボン酸誘導体類が、尿酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、および過剰アスコルビン酸;ならびにアスコルビルパルミテートから選択され;
e) 前記ビタミン類、ビタミン前駆体類、およびビタミン誘導体類が、アルファ-、ベータ-、およびガンマ-トコフェロール、トコトリエノール、ならびにより水溶性のビタミンE誘導体類;カロテノイド類;イソフラボン類;フラボノイド類、ならびに他の天然に存在するポリフェノール類から選択され;
f) 前記天然物混合物が、ローズマリー抽出物であり;
g) 前記レダクトンが、ヒドロキシアセトンであり;かつ
h) 前記ヒドロキシ芳香族化合物類またはアルコキシ芳香族化合物類が、6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン(エトキシキン)、t-ブチルヒドロキシトルエン、およびt-ブチルヒドロキシアニソールから選択され;
または前記安定化剤が、上記化合物のうちの1つの、安定化作用を有する機能的誘導体である、
請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
前記アスコルビン酸コリン含有量が、前記製剤の全重量を基準にして約5〜95重量%の範囲にある、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
a) ポリアルキレングリコール類;
b) ポリアルキレンオキシドポリマー類またはコポリマー類;
c) 置換型ポリスチレン類、マレイン酸誘導体類、およびスチレン/マレイン酸コポリマー類;
d) ビニルポリマー類単独またはセルロースエーテル類もしくはデンプン類のような他の化合物類との組合せのいずれか;
e) ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー類;
f) ポリビニルアルコール類およびポリフタル酸ビニルエステル類;
g) ヒドロキシプロピルメチルセルロース類;
h) アルキル(メタ)アクリレートポリマー類およびコポリマー類;
i) ポリビニルアセテート類(適切な場合にはポリビニルピロリドンで安定される);
j) ポリアルキレン類;
k) 芳香族ポリマー類;
l) ポリアクリル酸類;
m) ポリアクリルアミド類;
n) ポリシアノアクリレート類;
o) フェノキシ酢酸/ホルムアルデヒド樹脂類;
p) セルロース誘導体類;
q) 動物性、植物性、もしくは合成の脂肪類および変性脂肪類;
r) 動物性および植物性ワックス類または化学変性された動物性および植物性ワックス類;
s) 動物性および植物性タンパク質類;
t) 単糖類および二糖類、オリゴ糖類、多糖類;
u) 植物性油類、合成油類もしくは半合成油類、および動物性油類;
v) 硬化(水素化もしくは部分水素化)油類/脂肪類;
w) ラッカーコーティング類;
x) 脂肪酸類;
y) シリカ類;
またはそれらの混合物、
から選択される少なくとも1種の化合物を含むコーティング組成物でコーティングされている、請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
前記アスコルビン酸コリンが、約20〜100℃の範囲の温度で固体であるマトリックスを形成するのに好適である請求項9に規定されている少なくとも1種の化合物を含むマトリックス中に包埋されている、請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
シリケート類から選択される多孔質担体を含む、請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、
a) 流動床中において請求項9に規定されているコーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散体をスプレーするか、または流動床中において該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;あるいは
b) 混合機中において、該コーティング組成物の溶融液、溶液、もしくは分散体でコーティングするか、または該コーティング組成物で粉末コーティングする処理に付し;あるいは
c) 脂肪と混合し、混合を継続しながら機械的エネルギー入力および/または加熱により該脂肪を溶融させ;
そしていずれの場合にも適切であれば、得られたコーティングされた材料の乾燥、冷却、および/または粗大画分除去を行うことにより、
固体アスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施すことを含む、上記方法。
【請求項13】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、請求項9に規定されている(可融性)コーティング組成物を含む溶融液中に固体アスコルビン酸コリン粒子を懸濁させ、このようにして得られた懸濁液を分散させ、続いて固化させることを含む、上記方法。
【請求項14】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、親油性環境中に固体アスコルビン酸コリン粒子を分散させ、このようにして得られた固体/油液滴を水性相中に乳化させ、そしてこの乳濁液をスプレー製剤化することを含む、上記方法。
【請求項15】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、コアセルベーションによりアスコルビン酸コリン粒子にコーティングを施すことを含む、上記方法。
【請求項16】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、水性保護コロイド溶液を調製し、その中にアスコルビン酸コリンを溶解もしくは分散させ、続いて得られた混合物をスプレー製剤化もしくはスプレー乾燥し、続いて適切な場合にはコーティングすることを含む、上記方法。
【請求項17】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、流動床中において水性アスコルビン酸コリン含有溶液をスプレー乾燥し、そして好適な添加剤を添加することにより顆粒化もしくは凝集させることを含む、上記方法。
【請求項18】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンを含む溶液、乳濁液、もしくは懸濁液を多孔質担体と混合し、そして適切な場合には乾燥させること;またはアスコルビン酸コリンを含む溶融液を多孔質担体に適用すること、を含む、上記方法。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリン含有溶液もしくは分散液またはアスコルビン酸コリン含有溶融液と担体とを含むかあるいは固体の結晶性もしくはアモルファスのアスコルビン酸コリンを含む湿潤顆粒を調製し、該湿潤顆粒を押し出し、適切な場合には後処理し、乾燥させ、続いて適切な場合にはコーティングすることを含む、上記方法。
【請求項20】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンの水性溶液を調製し、これを疎水性溶融液中に乳化させ、そしてこの乳濁液を固化させることを含む、上記方法。
【請求項21】
請求項1〜8のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を調製する方法であって、アスコルビン酸コリンを含む溶融液を適切な場合には粉剤の存在下で低温ガスのストリーム中においてアトマイズすることを含む、上記方法。
【請求項22】
ヒト用もしくは動物用食品の従来の成分に加えて、請求項1〜11のいずれかに規定されているアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.001〜50重量%の比率で含む、ヒト用もしくは動物用食品。
【請求項23】
ヒト用もしくは動物用食品補助剤の従来の成分に加えて、請求項1〜11のいずれかに規定されているアスコルビン酸コリン含有製剤を約0.01〜99.9重量%の比率で含む、ヒト用もしくは動物用食品補助剤。
【請求項24】
製薬上好適な担体中に有効量の請求項1〜11のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤を含む、固体、液体、またはペーストの形態の医薬品。
【請求項25】
ヒト用および動物用食品ならびにヒト用および動物用食品補助剤または医薬品を調製するための、請求項1〜11のいずれかに記載のアスコルビン酸コリン含有製剤の使用。

【公表番号】特表2006−503842(P2006−503842A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538977(P2004−538977)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010535
【国際公開番号】WO2004/028525
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【Fターム(参考)】