説明

アゼチジニルGタンパク質共役受容体アゴニスト

式(I):


(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、GPR119のアゴニストであり、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGタンパク質共役受容体(GPCR)アゴニストに関する。特に、本発明は肥満症の治療(例えば、満腹、メタボリックシンドロームの調節剤として)および糖尿病の治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、体の大きさに比して過剰の脂肪組織量が特徴である。臨床的には、体脂肪量は、肥満度指数(BMI;体重(kg)/身長(m)2)、またはウエスト周りで見積もられる。BMIが30より大きく、過体重である医学的結果が評価された場合、ヒトは肥満と考えられる。増加した体重が、特に腹部の体脂肪の結果としての増加した体重が、糖尿病、高血圧症、心臓病、および数多くの他の健康上の合併症、例えば、関節炎、脳卒中、胆汁膀胱疾患、筋肉および呼吸器の問題、腰痛およびある種の癌も含めた増加したリスクに関連しているということは、しばらくは受け入れられた医学的見地である。
【0003】
肥満症治療の薬理的アプローチは、エネルギー摂取と消費のバランスを改善することで脂肪量が減少することに主に関与している。多くの研究のより、エネルギー恒常性の調節に関与する肥満と脳回路網とのリンクがはっきりと立証されている。直接的および間接的証拠により、セロトニン作動性、ドパミン作動性、アドレナリン作動性、コリン作動性、エンドカンナビノイド、オピオイド、およびヒスタミン作動性経路が、多くの神経ペプチド経路(例えば、神経ペプチドYおよびメラノコルチン類)と共に、エネルギー摂取と消費の中枢での制御に関係していることが示唆されている。視床下部の中枢も、体重の維持および肥満度に関連する末梢ホルモン類(例えば、インスリンおよびレプチン)、および脂肪組織由来のペプチド類を検知できる。
【0004】
インスリン依存性I型糖尿病およびインスリン非依存性II型糖尿病に関連する病態生理を狙った薬物は、多くの潜在的な副作用を有し、患者の高い割合において脂質代謝異常および高血糖症には十分に注力していない。治療はしばしば、食餌制限、運動、低血糖剤およびインスリンを用いて個々の患者のニーズに焦点が当てられているが、新規な抗糖尿病剤、特にほとんど副作用を伴わないより許容できる薬剤の継続的な要求がある。
【0005】
同様に、メタボリックシンドローム(シンドロームX)は、人々を冠動脈疾患の高い危険性に陥れ、それは危険因子の集合、例えば、中心性肥満(腹部における過剰な脂肪組織)、耐糖能障害、高トリグリセリドおよび低HDLコレステロール、並びに高血圧の特徴を有する。心筋の虚血および微小血管障害は、未処置のほとんど制御されていないメタボリックシンドロームに関連している確立された羅患である。
新規な抗肥満薬および抗糖尿病薬、特にほとんど副作用を伴わないよく許容される薬剤の継続的な要求がある。
【0006】
GPR119(以前はGPR116と称された)は、ヒトおよびラットの両方の受容体を開示したWO 00/50562でSNORF25として同定されたGPCRであり、米国特許第6,468,756号も、マウスの受容体を開示している(受け入れ番号:AAN95194(ヒト)、AAN95195(ラット)およびANN95196(マウス))。
ヒトにおいて、GPR119は膵臓、小腸、大腸および脂肪組織に発現される。ヒトGPR119受容体の発現プロファイルは、肥満症および糖尿病の治療のターゲットとして潜在的な利用可能性を示唆している。
【0007】
国際特許出願WO 2005/061489、WO 2006/070208およびWO 2006/067532によって、GPR119受容体アゴニストとしてヘテロ環誘導体が開示される。国際特許出願WO 2006/067531、WO 2007/003960、WO 2007/003961、WO 2007/003962およびWO 2007/003964には、GPR119受容体アゴニストが開示される。国際特許出願WO 2007/116230およびWO 2007/116229(本願優先日の後公開)にも、GPR119受容体アゴニストが開示される。
本発明は、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【0008】
(発明の概要)
式(I):
【化1】

(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、GPR119のアゴニストであり、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【化2】

(I)
[式中、
1、E2およびE3はCHであるか、またはE1、E2およびE3のうち一つはNであり;
4およびE5は共にCHであるか、またはE4およびE5のうち一つはNであり;
6およびE7は独立して、CHまたはNであり;
1およびR2は独立して、水素、一つ以上のヒドロキシ基で適宜置換されたC1-4アルキル、並びにNおよびOから選択される一つのヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロ環から選択され;または
1およびR2は、それらに結合するNと一緒になって、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含み、かつ一つ以上のヒドロキシまたはC1-4アルキル基で適宜置換された4〜6員ヘテロ環を形成してもよく;
3は、水素、ハロまたはメチルであり;並びに
4は、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシであり、そのいずれも一つ以上のフルオロ基で置換されうる]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0010】
式(I)の化合物の分子量は、800未満、特に600未満、とりわけ500未満が適当である。
1、E2およびE3は、好ましくはCHである。
一つの態様において、E4はCHであり、別の態様において、E4はNである。E4がNである化合物が好ましい。
5は、好ましくはCHである。
6およびE7は、好ましくはCHである。
【0011】
1およびR2は独立して、水素、および一つ以上のヒドロキシ基で適宜置換されたC1-4アルキルから選択されるか;またはR1およびR2は、それらに結合するNと一緒になって、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含み、かつ一つ以上のヒドロキシまたはC1-4アルキル基で適宜置換された5もしくは6員ヘテロ環を形成しうるのが好ましい。
3は、好ましくは水素またはメチル、特にメチルである。
4は、好ましくは一つ以上のフッ素原子、より好ましくはイソプロピルまたはトリフルオロメチル、特にイソプロピルで適宜置換されたC1-4アルキルまたはC1-2アルキルである。
【0012】
各変数の好ましい群は一般的には、各変数に個々に上記で挙げられているが、本発明の好ましい化合物には、式(I)におけるいくつかのまたは各々の変数が、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた各変数の群から選択される群が含まれる。したがって、本発明は、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた群のすべての組合せを含む趣旨である。
言及されてもよい本発明の特定の化合物は、実施例に含まれる化合物およびその医薬的に許容される塩である。
【0013】
本明細書で用いられているように、特に断りがなければ、「アルキル」並びに他の接頭語「アルカ(alk)」を有する基、例えば、アルコキシは、直鎖または分枝鎖、あるいはそれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)およびブチル(n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル)が含まれる。
用語「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子が含まれる。
特に断りがなければ、用語「ヘテロシクリル」には、NおよびOから選択される2つまでのヘテロ原子を含む、4〜6員、例えば5および6員単環式飽和および一部飽和環が含まれる。ヘテロ環の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ピロリジン、ピペリジン、[1,3]ジオキサン、オキサゾリジン、ピペラジン、モルホリンなどが含まれる。
【0014】
本明細書中に記載されている化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じうる。本発明には、すべてのかかる可能なジアステレオマー、並びにラセミ体混合物、十分に純度の高い分割されたエナンチオマー、すべての可能な幾何異性体、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。上記の式(I)は、いくつかの位置で明確な立体化学を示さずに表されている。本発明には、式(I)のすべての立体異性体およびその医薬的に許容される塩が含まれる。更に、立体異性体並びに単離された特定の立体異性体も含まれる。かかる化合物を製造するのに用いられる合成処置工程の間、または当業者に公知のラセミ化またはエピマー化工程を用いる際、かかる工程の生成物は立体異性体の混合物であり得る。
【0015】
式(I)の化合物の互変異性体が存在する場合、本発明には、特に他の記載がなければ、いずれの可能な互変異性体およびその医薬的に許容される塩、およびそれの混合物が含まれる。
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩が溶媒和物または多形体で存在する場合、本発明にはいずれの可能な溶媒和物および多形体が含まれる。溶媒和物を形成する溶媒の種類は、医薬的に許容される溶媒である限り特に制限はない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトンなどが用いられ得る。
【0016】
用語「医薬的に許容される塩」とは、医薬的に許容される無毒性の塩基または酸から調製された塩をいう。本発明の化合物が酸性の場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される無毒性塩基から容易に調製され得る。かかる無機塩基から得られた塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第一および第二)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が含まれる。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬的に許容される有機無毒性塩基から得られる塩には、第1、第2、第3アミン、並びに環状アミン、および天然および人工的に置換されたアミンのような置換アミンの塩が含まれる。塩が形成される他の医薬的に許容される有機無毒性塩基には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0017】
本発明の化合物が塩基性の場合、その対応する塩は、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から容易に調製され得る。かかる酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。
【0018】
式(I)の化合物は医薬用途を意図されているので、十分に純度の高い形体で提供されるのが好ましく、例えば、少なくとも純度60%、より好ましくは少なくとも純度75%(例えば90%または95%)、特に好ましくは少なくとも純度98%である(%は重量%である)。
式(I)の化合物は、下記のように製造されてもよく、ここで可変基(variable group)は上記で定義されたものである。
【0019】
式(I)の特定の化合物は、スキーム1に概説するように製造されうる。アゼチジン1は市販品として入手可能であるか、またはSyn. Comm., 33(24), 4297-4302; 2003に概説されるように製造されうる。アゼチジン2は、エタノールのような溶媒中、パラジウム炭素の存在下、水素源、例えばトリエチルアミンおよびギ酸でアゼチジン1を処理することによって製造されうる。タイプ4の化合物は、適当な還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて、アルデヒド3の還元的アミノ化によって製造されうる。タイプ3のアルデヒド類は市販品であるか、または容易に知られている技術によって製造されうる。ヒドロキシ基は、メタンスルホニルのような脱離基に変換されてもよく、それによって、塩基の存在下、タイプ6のフェノールで置換されて、式(I)の化合物が得られる。あるいは、タイプ4の化合物は、標準的な技術により、対応のフェノール6を用いた光延反応を通して、式(I)のアゼチジンに直接変換されうる。
【化3】

スキーム1
【0020】
式(I)型の化合物はまた、スキーム2に概説されるようにも製造されうる。したがって、窒素保護基(この場合2,4−ジメトキシベンジル)を組み入れているタイプ7のアゼチジンは、タイプ8の活性化アゼチジンにより式9の化合物に変換されうる。標準的な技術を用いた窒素保護基の除去によって、式10の化合物が得られる。適当な還元剤を用いて、タイプ3のアルデヒドによる化合物10の還元的アミノ化によって、式(I)の化合物が得られる。
【化4】

スキーム2
【0021】
式(I)の他の化合物は、スキーム3に概説されるように製造されうる。したがって、タイプ11のエステル(式中、Gは、適当なアルキルまたはアリール基である)は、標準加水分解法によってタイプ11の対応のカルボン酸(式中、Gは水素である)に変換されうる。タイプ11のカルボン酸類をタイプ12のアミン類と反応させることによる化合物(I)の形成は、WSCまたはHATUのようなカップリング試薬の使用によって促進されうる。あるいは、タイプ11のカルボン酸類は、その活性化誘導体、例えば酸ハロゲン化物または酸無水物の形態で用いられうる。このような活性化誘導体は、通常の手段によって対応の酸から得られうる。タイプ11の化合物が酸ハロゲン化物として用いられる場合、それを、TEAのような塩基の存在下、THFのような不活性非プロトン性溶媒中、アミンと反応させるのが適当でありうる。
【化5】

スキーム3
【0022】
タイプ15のフェノール類は、反応式4に概説されるように、標準的な鈴木カップリング法を用いて製造されうる。したがって、タイプ14のアリールボロン酸(または対応のアリールボロン酸エステル)を、よく知られた鈴木の化学を用いて、タイプ13のハロゲン化アリール(式中、Xはハロゲンである)とカップリングさせてもよい。典型的には、これは、適当な塩基およびパラジウム触媒の存在下、適当な溶媒または溶媒混合液中で実行されうる。あるいは、上記の鈴木反応によるカップリングを用いて、化合物13に、ボロン酸/ボロン酸エステルの官能基を組み入れてもよく、化合物14に、ハロゲン基を組み入れてもよい。エステル15は、上記に概説したタイプ6のアミドに変換されうる。
【化6】

スキーム4
【0023】
タイプ(I)の化合物はまた、スキーム5に概説するように製造されうる。したがって、典型的には、高温で、非プロトン溶媒中、塩基の存在下、タイプ16のハロゲン化アリールを、アゼチジン4と反応させてもよい。E5(またはE4)が窒素であり、かつハロゲンXがフッ素である場合、この反応は最も適している。タイプ16のハロゲン化アリール類は、スキーム4に記載したものに類似する鈴木の化学を用いて製造されうる。
【化7】

スキーム5
【0024】
式(I)の化合物は、スキーム6に概説するように製造されうる。フェノール17を市販品として入手可能なアゼチジン18と反応させることによって、タイプ19の化合物が得られる。このタイプの反応は、典型的には、極性非プロトン溶媒中、ナトリウムtert−ブトキシドのような塩基を用いる。タイプ20の化合物への変換は、スキーム4に概説した鈴木型の化学を用いて実行されうる。式(I)の化合物は、2つのアプローチによって中間体20から到達可能である。最初にアミド(−NR12)部位を取り付け(すなわち、中間体21を経て)、最終段階でアルデヒド3を用いてもよい。あるいは、最初にアゼチジン窒素上の化学基を取り付け(すなわち、中間体22を経て)、最終段階でアミド(−NR12)部位を確立してもよい。アルデヒドおよびアミン由来の部位を取り付けるのに必要な化学は、スキーム2および3に記載されている。窒素保護基であるtert−ブトキシカルボニルは、多数の方法、例えば不活性溶媒中でのトリフルオロ酢酸による処理によって適宜除去されうる。
【化8】

スキーム6
【0025】
他の式(I)の化合物は、上述の方法に類似する方法で、または本来公知の方法で製造してもよい。
式(I)の化合物の製造のための更なる詳細は、実施例にある。
式(I)の化合物は、別々に、または少なくとも2個、例えば5〜1,000個の化合物で、より好ましくは10〜100個の式(I)の化合物を含む化合物のライブラリーとして製造してもよい。化合物のライブラリーは、当業者に公知の方法を用いて、溶液相または固相化学で、組み合わせられた「分離および混合」アプローチによって、または多様なパラレル合成によって製造してもよい。
【0026】
式(I)の化合物の合成中、中間体化合物中の不安定な官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基は、保護してもよい。保護基は式(I)の化合物の合成のいずれの段階で除去してもよく、または最終の式(I)の化合物に存在してもよい。様々な不安定な官能基が保護され得る方法、および生じた保護された誘導体を除去する方法の包括的な議論は、例えば、書籍[Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd edition]に記載される。
【0027】
いずれの新規な中間体、例えば上記で述べたものは、式(I)の化合物の合成に使用されてもよく、それゆえ、本発明の範囲にも包含される。
上記で述べたように式(I)の化合物は、GPR119アゴニストとして、例えば、肥満症および糖尿病の治療および/または予防に有用である。そのような用途のために、式(I)の化合物は、医薬組成物の形態で一般的に投与される。
本発明はまた、医薬用途のために、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
【0028】
本発明はまた、医薬的に許容される担体と組み合わせて、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
好ましくは、該組成物は、医薬的に許容される担体、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の無毒性の治療上の有効量からなる。
更に、本発明はまた、医薬的に許容される担体、および無毒性の治療上の有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む、GPR119を調節することで肥満症の予防的または治療的処置となる、例えば満腹を調整することによる疾患の治療用、または糖尿病の治療用医薬組成物も提供する。
【0029】
医薬組成物は他の治療成分または補助剤を適宜含んでいてもよい。いずれの所定の場合、最も適した経路は、特定の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質および重篤さによるが、該組成物には、経口、直腸、局所、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成物が含まれる。医薬組成物は、製剤単位で都合よく提供され得、好ましくは医薬分野でよく知られたいずれかの方法で製造されうる。
【0030】
実際、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、通常の医薬化合技術に従い、医薬担体との密な混合物に、活性成分として混合され得る。担体は、投与、例えば、経口または(静脈内を含む)非経口のための目的の製剤形によって広く様々に用いられ得る。
【0031】
従って、医薬組成物は、活性成分のあらかじめ定められた量を各々含む、カプセル剤、カシュ剤または錠剤のような経口投与に適した分離した単位として提供されうる。更に、組成物は、散剤として、顆粒剤として、溶液として、懸濁液として、水系液体中、非水系液体として、油/水乳濁液として、または水/油液体乳濁液として提供されうる。上記で述べられた一般的な製剤に加えて、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、制御された放出方法および/または送達器具でも投与され得る。組成物はいずれかの薬学的方法で製造されうる。一般的に、かかる方法には、1またはそれ以上の必要な成分を構成する担体と共に活性成分を組み入れる工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一に、完全に混合して製造される。生成物は次いで、目的の表示に都合よく形成され得る。
【0032】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と組み合わせた医薬組成物も含まれうる。
用いられる医薬担体は、例えば、固体、液体、または気体があり得る。固体担体の例には、乳糖、白土(terra alba)、ショ糖、タルク、ゼラチン、カンテン、パクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
【0033】
経口製剤用の組成物の製造には、いずれの通常の医薬溶媒も用いられ得る。例えば、水、グリコール類、油、アルコール類、香料、保存剤、着色剤などは、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような経口液体製剤を形成するのに用いられ得;一方、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体は、散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固形製剤を形成するのに用いられ得る。投与のし易さから、錠剤およびカプセル剤は固形医薬担体が用いられる好ましい経口製剤である。適宜、錠剤は標準的な水系または非水系技術でコーティングしてもよい。
【0034】
本発明の組成物を含む錠剤は、圧縮成形または成形によって、適宜1またはそれ以上の補助的な成分または補助剤と共に製造され得る。圧縮成形される錠剤は、適当な機械で、活性成分を、適宜、結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して、散剤または顆粒剤のような流動性の形態に、圧縮して製造され得る。成形される錠剤は、適当な機械で、湿らされた粉末の化合物の混合物を、不活性な液体希釈剤と共に、成形して製造してもよい。各錠剤は、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含み、各カシュ剤またはカプセル剤は好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含む。
【0035】
例えば、ヒトへの経口投与を意図された製剤は、全組成物の約5〜約95%に変化し得る適切で好ましい担体物質の量と化合される、約0.5mg〜約5gの活性剤を含み得る。単位製剤は一般的に、約1mg〜約2gの活性成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mg含まれる。
【0036】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水溶液または水懸濁液として製造してもよい。適当な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれうる。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中、およびそれの油中の混合物中に製造され得る。更に、保存剤が微生物の有害な成長を防ぐために含まれうる。
【0037】
注射用途に適した本発明の医薬組成物には、無菌水溶液または分散液が含まれる。更に、組成物は、無菌注射溶液または分散液の用時調製製剤用の無菌散剤の形態であり得る。
すべての場合において、最終的な注射用製剤は無菌でなければならず、容易に注入操作ができる効果的な流動性を有さなければならない。医薬組成物は製造および保存条件下安定でなければならず;したがって、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染の作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの好ましい混合物を含む溶媒または分散溶媒であり得る。
【0038】
本発明の医薬組成物は、局所的な使用に適した形態、例えば、エアゾール、クリーム、軟膏剤、ローション、散布剤などであり得る。さらに、組成物は、経皮器具の使用に適した形態であり得る。これらの製剤は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いて、通常の製造方法を経由して製造してもよい。例として、クリーム剤または軟膏剤は、約5重量%〜約10重量%の化合物と共に親水性物質と水を混合して製造し、目的の濃度を有するクリーム剤または軟膏剤を生成する。
【0039】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であり得る。好ましくは、混合物が単位用量の坐剤を形成する。適当な担体には、ココアバターや当該技術分野で一般的に用いられる他の物質が含まれる。坐剤は最初、組成物を柔らかくするまたは溶ける担体と混ぜ、続いて鋳型中冷やして成形して、容易に形成され得る。
【0040】
前述の担体成分に加えて、上述の医薬製剤には、必要に応じて、1またはそれ以上の別の担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などが含まれうる。更に、他の補助剤は、製剤を意図された受給者の血液と等張にするように含まれうる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物はまた、粉末または液体濃縮製剤に製造され得る。
【0041】
一般的に、1日あたり0.01mg/kg(体重)〜約150mg/kg(体重)の用量レベルが、上記の症状の治療に有用であり、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約7gが有用である。例えば、肥満症は、1日あたり体重1kgあたりの化合物が約0.01〜50mgの投与により、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約3.5gにより効果的に投与され得る。
【0042】
しかしながら、いずれの特定の患者の特定の用量は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄時間、薬の組合せおよび治療を受ける特定の疾患の重篤さを含む様々なファクターによることは理解されるところである。
式(I)の化合物は、GPR119による疾患または症状の治療に用いられ得る。
【0043】
したがって、本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、GPR119による疾患または症状の治療方法も提供する。GPR119による疾患または症状には、肥満症および糖尿病が含まれる。本出願の文言上、肥満症の治療は、例えば、食欲および体重の減少、体重減少の維持による、肥満症および過剰の食物摂取に関連する他の摂食障害のような疾患または症状の治療、並びにリバウンドおよび糖尿病(1型および2型糖尿病、耐糖能障害、インスリン耐性、並びに、神経障害、腎障害、網膜症、白内障、心血管合併症および脂肪代謝異常のような糖尿病性合併症を含む)の予防を包含する意図である。機能性胃腸障害につながる経口摂取された脂肪への異常な感受性を有する患者の治療も意図される。本発明の化合物は、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症(low HDL level)および高血圧症のような代謝疾患の治療にも用いられ得る。
【0044】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、満腹の制御方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、肥満症の治療方法も提供する。
【0045】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、1型および2型糖尿病(特に、2型糖尿病)を含む糖尿病の治療方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症または高血圧症の治療方法も提供する。
【0046】
本発明はまた、上記で定義された症状の治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
本発明はまた、上記で定義された症状の治療剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用も提供する。
本発明の方法の中で、用語「治療(処置)」には、治療的および予防的処置の両方が含まれている。
【0047】
式(I)の化合物は、公知のGPR119アゴニスト類と比較して有利な特性を示し、例えば、該化合物は、改善されたインビボ活性、改善された溶解性(そのため、吸収特性およびバイオアベイラビリティを改善する)、または化合物が医薬品として用いられるための他の有利な特性を示しうる。
式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、単独で投与してもよく、または1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と共に投与してもよい。他の治療上の活性化合物は、式(I)の化合物の場合と同じ疾患もしくは症状、または異なる疾患もしくは症状の治療のためであってもよい。治療活性化合物は、同時、連続して、または分離して投与してもよい。
【0048】
式(I)の化合物は、肥満症および/または糖尿病の治療のための他の活性化合物、例えば、インスリンおよびインスリン類似化合物、胃リパーゼ阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤、スルホニル尿素および類似化合物、ビグアナイド、α2アゴニスト、グリタゾン、PPAR−γアゴニスト、混合PPAR−α/γアゴニスト、DPIV阻害剤、RXRアゴニスト、脂肪酸酸化阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、β−アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、脂質低下剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、抗肥満薬、例えば、膵臓リパーゼ阻害剤、MCH−1アンタゴニストおよびCB−1アンタゴニスト(またはインバースアゴニスト)、アミリンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、ソモスタチン(somostatin)類似化合物、グルコキナーゼ活性化剤、グルカゴンアンタゴニスト、インスリン情報伝達アゴニスト、PTP1B阻害剤、糖新生阻害剤、抗脂肪分解剤、GSK阻害剤、ガラニン受容体アゴニスト、摂食障害剤、CCK受容体アゴニスト、レプチン、セロトニン作動性/ドパミン作動性抗肥満薬、再取り込み阻害剤、例えば、シブトラミン、CRFアンタゴニスト、CRF結合タンパク質、サイロミメティック化合物、アルドース還元酵素阻害剤、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、NHE−1阻害剤またはソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤と共に投与してもよい。
【0049】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの他の抗肥満薬の投与からなる組合せ療法も、更なる本発明の態様を表す。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ヒトのような哺乳動物における肥満症の治療方法も提供する。
【0050】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および肥満症治療用の別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、肥満症治療用の別の抗肥満薬と組み合わせた薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬は、共に投与、または連続してもしくは分離して投与してもよい。
【0051】
共投与には、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の両方を含んだ製剤の投与、または各剤の異なる製剤の同時もしくは別々の投与が含まれる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬のプロファイルが許容するなら、その2つの薬剤の組合せが好ましい場合がある。
【0052】
本発明はまた、肥満症の治療用の薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、上述の方法におけるかかる組成物の使用を包含する。
GPR119アゴニストは、中枢性抗肥満薬と組み合わせた特異的な使用である。
【0053】
本発明のこの態様による組合せ両方に用いられる他の抗肥満薬は、好ましくは、CB−1修飾因子、例えば、CB−1アンタゴニストまたはインバースアゴニストである。CB−1修飾因子の例には、SR141716(リミナバン)およびSLV−319((4S)−(−)−3−(4−クロロフェニル)−N−メチル−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド);並びにEP576357、EP656354、WO 03/018060、WO 03/020217、WO 03/020314、WO 03/026647、WO 03/026648、WO 03/027076、WO 03/040105、WO 03/051850、WO 03/051851、WO 03/053431、WO 03/063781、WO 03/075660、WO 03/077847、WO 03/078413、WO 03/082190、WO 03/082191、WO 03/082833、WO 03/084930、WO 03/084943、WO 03/086288、WO 03/087037、WO 03/088968、WO 04/012671、WO 04/013120、WO 04/026301、WO 04/029204、WO 04/034968、WO 04/035566、WO 04/037823 WO 04/052864、WO 04/058145、WO 04/058255、WO 04/060870、WO 04/060888、WO 04/069837、WO 04/069837、WO 04/072076、WO 04/072077、WO 04/078261およびWO 04/108728、並びにその中に開示される引例に開示される化合物が含まれる。
【0054】
GPR119によることが暗示される他の疾患または症状には、WO 00/50562およびUS6,468,756に記載される疾患または症状、例えば、心血管障害、高血圧症、呼吸器障害、妊娠異常、胃腸障害、免疫障害、筋骨格障害、うつ病、恐怖症、不安症、気分障害およびアルツハイマー病が含まれる。
【0055】
これらに限定されないが、本明細書に引用される特許および特許出願に含まれるすべての公開は、十分に述べられた本明細書の引例によって引用されるために、各個々が、特異的に個々に示されるように、引用される。
本発明は、詳述する目的で以下の例に関して記載するが、本発明の範囲を限定する趣旨ではない。
【0056】
(実施例)
LCMSデータを以下のようにして得た。特に断りがなければ、LCMS 方法Aを用いた。
LCMS 方法A:
220nmでのUV検出を用い、6.5分かけて0.1容積% HCO2Hを含有するH2O−MeCN グラジエントで溶離するWaters Atlantis C18,3μ(3.0×20mm、流速0.85mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.3分 100% H2O;0.3〜4.25分:10% H2O−90% CH3CNへの勾配;4.25分〜4.4分:100% CH3CNへの勾配;4.4〜4.9分:100% MeCNで保持;4.9〜5.0分:100% H2Oに戻し;5.00〜6.50分:100% H2Oで保持。陽(ESI+)イオンまたは陰イオン(ESI-)モードにおいて、エレクトロスプレーイオン化源を用いて質量スペクトルを得た。
【0057】
LCMS 方法B:
254nmでのUV検出を用い、7分かけて0.1容積% ギ酸を含有するH2O−MeCN グラジエントで溶離するアジレント Prep−C18 Scalar カラム,5μm(4.6×50mm、流速2.5mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.5分:95% H2O−5% MeCN;0.5〜5.0分;95% H2O−5% MeCN〜5% H2O−95% MeCNへの勾配;5.0〜5.5分:5% H2O−95% MeCNで保持;5.5〜5.6分:5% H2O−95% MeCNで保持、流速は3.5mL/分に増大;5.6〜6.6分:5% H2O−95% MeCNで保持、流速3.5mL/分;6.6〜6.75分:95% H2O−5% MeCNに戻し、流速3.5mL/分;6.75〜6.9分:95% H2O−5% MeCNで保持、流速3.5mL/分;6.9〜7.0分:95% H2O−5% MeCNで保持、流速は2.5mL/分に減少。陽(APCI+ESI+)または陰(APCI+ESI-)モードにおいて、アジレント マルチモード源(multimode source)を用いて質量スペクトルを得た。
【0058】
略語および頭字語:Ac:アセチル;DCM:ジクロロメタン;DCE:ジクロロエタン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DME:1,2−ジメトキシエタン;DMSO:ジメチルスルホキシド;EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;Et:エチル;HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸塩;h:時間;min:分;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC:高速液体クロマトグラフィ;IH:イソヘキサン;IPA:イソプロピルアルコール;LCMS:液体クロマトグラフィ−質量分析;Me:メチル;RT:保持時間;SCX:強カチオン交換クロマトグラフィ;WSC:水溶性カルボジイミド塩酸塩。
【0059】
以下の化合物の合成は、他の場所に記載されている:(4−ブロモ−2−メチルフェニル)ピロリジン−1−イル−メタノン:WO 2006/021759;4−(1,1−ジフルオロエチル)−ベンズアルデヒド:Tetrahedron, 1975, 31(5), 391-401。すべての他の化合物は、商業的供給源から入手可能であった。
【0060】
製造1:アゼチジン−3−オール
【化9】

1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オール(30.5g、130mmol)のエタノール溶液(500mL)に、あらかじめ混合したトリエチルアミン(55mL、390mmol)およびギ酸(15mL、390mol)のエタノール溶液(100mL)を加えた。パラジウム炭素(2.40g)を加え、混合物を3時間還流するまで加熱した。混合物を周囲温度に冷却し、セライトを通して濾過して、エタノール溶液として、標題の化合物を得た。
【0061】
製造2:1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−オール
【化10】

アゼチジン−3−オール(製造1、6.84mmol)および4−イソプロピルベンズアルデヒド(8.21mmol)のエタノール溶液(45mL)に、酢酸(0.5mL)を加えた。1時間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(8.21mmol)を加え、3日間撹拌し続けた。塩酸水(1M、30mL)を加え、混合物を濃縮して、エタノールを除去した。混合物をジエチルエーテル(×2)で抽出し、残存する水性混合物を水酸化ナトリウム(2M)の添加によって塩基性化した。溶液を次いでDCM(×3)で抽出した。DCM抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、標題の化合物を得た;
RT = 2.00 分; m/z (ES+) = 206.07 [M+H]+.
【0062】
製造3:メタンスルホン酸1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルエステル
【化11】

1−(4−イソプロピルベンジル)−アゼチジン−3−オール(製造2、1.34mmol)およびトリエチルアミン(2.95mmol)のDCM溶液(5mL)に、0℃で、塩化メタンスルホニル(1.61mmol)を加えた。撹拌混合物を次いで2時間かけて周囲温度に到達させた。混合物を次いでさらにDCMで希釈し、飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、標題の化合物を得た;
RT = 2.50 分; m/z (ES+) = 284.12 [M+H]+.
【0063】
製造4:4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル
【化12】

4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸(20.7mmol)および濃硫酸(1mL)のエタノール懸濁溶液を6時間還流下で加熱した。混合物を冷却し、濃縮して、大部分のエタノールを除去し、生じた溶液を水酸化ナトリウム水(2M)の添加によって中和した。溶液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液の添加によって塩基性化し、水で希釈した。生じた固形物を濾過し、乾燥して、標題の化合物を得た;
RT = 3.54 分; m/z (ES+) = 243.10 [M+H]+.
【0064】
以下の中間体を類似の方法で製造した:
製造5:4’−ヒドロキシ−3−メチルビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル;
RT 3.65 分; m/z (ES+) = 257.13 [M+H]+.
【0065】
製造6:4’−ヒドロキシ−3−メチルビフェニル−4−カルボン酸
【化13】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸(6.57mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(7.20mmol)、炭酸セシウム(19.5mmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(650μmol)を、アルゴン下、ジオキサン/水(4:1、20mL)中で混合した。撹拌混合物を17時間還流下で加熱した。混合物を冷却し、濃縮し、塩酸(1M)の添加によってpH 6に酸性化した。混合物を次いで酢酸エチル(×3)で抽出し、有機抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィによって、標題の化合物を得た;
RT = 3.07 分.
【0066】
製造7:4’−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル
【化14】

4’−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル(製造4、10.1mmol)の無水DMSO溶液(15mL)に、カリウムtert−ブトキシド(10.5mmol)を加えた。20分後、メタンスルホン酸1−[1−(4−イソプロピルフェニル)エチル]アゼチジン−3−イルエステル(製造3、0.44mmol)を加え、混合物を1時間60℃に加熱した。混合物を冷却し、DCM/ジエチルエーテルで希釈し、食塩水で洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィによって、標題の化合物を得た;
RT = 3.30 分; m/z (ES+) = 430.220 [M+H]+.
【0067】
製造8:4’−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸
【化15】

4’−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸エチルエステル(製造7、1.16mmol)のメタノール溶液(15mL)に、水酸化ナトリウム(2M、5mL)を加えた。周囲温度で6時間撹拌した後、混合物を3日間50℃に加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチルで抽出し、塩酸(2M)の添加によって中和した。生じた固形物を酢酸エチルで洗浄し、濃縮して、標題の化合物を得て、さらに精製することなく用いた;
RT = 2.85 分; m/z (ES+) = 402.19 [M+H]+.
【0068】
製造9:1−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジルアミノ)プロパン−2−オール
【化16】

エピクロロヒドリン(26.0g、281mmol)を、4−トリフルオロメチル−ベンジルアミン(50.0g、286mmol)のIPA:IH(9:1、300mL)溶液に加え、生じた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をIH(150mL)でトリチュレートした。生じた白色固形物を濾過によって集め、IH(2×50mL)で洗浄して、標題の化合物を得た:
δH (CDCl3) 2.43 (br s, 2H), 2.71-2.80 (m, 1H), 2.82-2.90 (m, 1H), 3.60 (d, 2H), 3.88-3.97 (m, 3H), 7.45 (d, 2H), 7.61 (d, 2H).
【0069】
製造10:1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−オール
【化17】

ヨウ化テトラブチルアンモニウム(3.00g、8.11mmol)を、1−クロロ−3−(4−トリフルオロメチルベンジルアミノ)プロパン−2−オール(製造9、67.7g、253mmol)のトリエチルアミン溶液(340mL)に加え、生じた反応混合物を75℃で62時間撹拌した。反応混合物を周囲温度に冷却し、濾過し、濾液を減圧濃縮し、トルエン(2×150mL)と共沸させた。残渣をIHでトリチュレートし、生じた固形物をIH:DIPEA(19:1、100mL)に懸濁し、2時間撹拌した。固形物を濾過によって集め、IH:DIPEA(19:1、52mL)で洗浄して、標題の化合物を得た:
δH (CDCl3) 2.47 (br s, 1H), 2.92-3.00 (m, 2H), 3.61-3.70 (m, 4H), 4.47 (五重線, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.57 (d, 2H).
【0070】
製造11:3−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン
【化18】

塩化メタンスルホニル(560μL、7.14mmol)に、0℃で、1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−オール(製造10、1.50g、6.50mmol)およびトリエチルアミン(1.00mL、7.14mmol)のTHF溶液(2mL)を加えた。生じた反応混合物をこの温度で20分間撹拌し、次いで4−ブロモフェノール(1.13g、6.50mmol)およびNaH(1.04g、26.0mmol)のDMF溶液(5mL)に加えた。生じた反応混合物を周囲温度で16時間撹拌し、次いで45℃で16時間撹拌し、次いでH2Oでクエンチした。反応混合物をDCMで抽出し、有機抽出物をNaOH(1M)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc:IH、3:7)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.88 分; m/z (ES+) = 388.00 [M+H]+.
【0071】
製造12:5−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−カルボン酸エチルアミド
【化19】

ジオキサン(40mL)を、5−ブロモピリジン−2−カルボン酸エチルアミド(2.50g、10.9mmol)、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](2.77g、10.9mmol)、酢酸カリウム(2.46g、25.1mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]−ジクロロパラジウム(178mg、220μmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(121mg、220μmol)に加え、生じた反応混合物をアルゴンで脱気し、16時間110℃で加熱した。反応混合物を冷却し、Et2O(150mL)とNaOH(1M、100mL)の間で分液し、セライトを通して濾過した。有機層を分離し、NaOH(1M、2×50mL)で抽出した。水層を合わせて、Et2O(100mL)で洗浄し、HCl(12M)でpH 6に酸性化し、EtOAc(4×100mL)で抽出した。EtOAc抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、7:3)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 1.97 分; m/z (ES+) = 195.06 [M+H]+.
【0072】
製造13:3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ]−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン
【化20】

製造12に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、3−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)アゼチジン(製造11、690mg、1.78mmol)から合成した:
RT = 3.09 分; m/z (ES+) = 434.33 [M+H]+.
【0073】
製造14:2−メチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシニコチン酸エチルエステル
【化21】

N−フェニル−ビス(トリフルオロメチルスルホンイミド)(3.55g、9.90mmol)を、6−ヒドロキシ−2−メチルニコチン酸エチルエステル(1.50g、8.30mmol)、トリエチルアミン(2.31mL、16.6mmol)およびDMAP(10.0mg、81.9μmol)のDCM懸濁溶液(30mL)に加え、生じた反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(30mL)で希釈し、H2O(10mL)および食塩水(10mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:19〜1:9)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.95 分; m/z (ES+) = 314.11 [M+H]+.
【0074】
製造15:2−メチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ニコチン酸エチルエステル
【化22】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ]−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン(製造13、512mg、1.18mmol)および2−メチル−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシニコチン酸エチルエステル(製造14、370mg、1.18mmol)から合成した:
RT = 3.15 分; m/z (ES+) = 471.39 [M+H]+.
【0075】
製造16:2−メチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ニコチンカルボン酸ナトリウム
【化23】

NaOH(23.2mg、580μmol)のH2O溶液(1.16mL)を、2−メチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ニコチン酸エチルエステル(製造15、271mg、580μmol)のMeOH懸濁溶液(12mL)に加え、生じた反応混合物を70℃で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去して、標題の化合物を得た:
RT = 2.52 分; m/z (ES+) = 443.34 [M+H]+.
【0076】
製造17:メタンスルホン酸1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルエステル
【化24】

塩化メタンスルホニル(241μL、3.11mmol)を、0℃で、1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−オール(製造10、600mg、2.59mmol)およびトリエチルアミン(794μL、5.70mmol)のDCM溶液(10mL)に加えた。生じた反応混合物を周囲温度で1.5時間撹拌した。反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、飽和Na2CO3水溶液(2×50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 1.99 分; m/z (ES+) = 310.05 [M+H]+.
【0077】
製造18:2−ブロモ−5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン
【化25】

カリウム第3級ブトキシド(3.08g、27.4mmol)を、6−ブロモ−ピリジン−3−オール(4.78g、27.4mmol)のDMSO溶液(100mL)に加え、生じた溶液を周囲温度で20分間撹拌し、次いでメタンスルホン酸1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルエステル(製造17、10.6g、34.3mmol)のDMSO溶液(20mL)を加えた。生じた反応混合物を3時間100℃で加熱し、次いでH2O(300mL)に注ぎ、DCM(2×200mL)で抽出した。有機抽出物を合わせて、NaOH(2M、2×100mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、7:13)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.49 分; m/z (ES+) = 387.00, 389.00 [M+H]+.
【0078】
製造19:[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ピロリジン−1−イルメタノン
【化26】

製造12に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、(4−ブロモ−2−メチルフェニル)ピロリジン−1−イル−メタノン(710mg、2.65mmol)から合成した:
RT = 3.55 分; m/z (ES+) = 316.30 [M+H]+.
【0079】
製造20:4−ブロモ−N−エチル−2−メチルベンズアミド
【化27】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸(5.00g、23.3mmol)、EDCI(4.90g、25.9mmol)、HOBt(3.46g、25.9mmol)、トリエチルアミン(9.40g、93.0mmol)およびエチルアミン塩酸塩(2.84g、34.9mmol)の溶液を50℃で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
δH (CDCl3) 1.25 (t, 3H), 2.42 (s, 3H), 3.42-3.52 (m, 2H), 5.73 (br s, 1H), 7.21 (d, 1H), 7.30-7.41 (m, 2H).
【0080】
製造21:N−エチル−2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミド
【化28】

製造12に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、4−ブロモ−N−エチル−2−メチルベンズアミド(製造20、500mg、2.07mmol)から合成した:
RT = 3.27 分; m/z (ES+) = 290.26 [M+H]+.
【0081】
製造22:3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化29】

ナトリウム第3級ブトキシド(276mg、2.87mmol)および安息香酸カリウム(460mg、2.87mmol)を、6−ブロモ−ピリジン−3−オール(500mg、2.87mmol)および3−ヨード−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルのDMSO溶液(10mL)に加えた。生じた反応混合物を2時間50℃で撹拌した。さらに3−ヨード−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(407mg、1.44mmol)を加え、2時間50℃で加熱し続けた。反応混合物を周囲温度に冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、飽和Na2CO3水溶液(2×30mL)で洗浄した。水洗浄液を合わせて、EtOAc(2×70mL)で抽出し、有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:4)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.52 分; m/z (ES+) = 329.18 [M+H]+.
【0082】
製造23:3−[6−(4−エトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化30】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造22、2.43g、7.38mmol)および4−ボロン酸−2−フルオロ−安息香酸エチルエステル(1.72g、8.12mmol)から合成した:
RT = 4.15 分; m/z (ES+) = 417.33 [M+H]+.
【0083】
製造24:3−{6−[3−フルオロ−4−(2−ヒドロキシエチルカルバモイル)フェニル]ピリジン−3−イルオキシ}−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化31】

3−[6−(4−エトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造23、675mg、1.60mmol)をMeOH−エタノールアミン(1:1、10mL)に溶解し、生じた反応混合物を還流条件下で2時間加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、DCM(100mL)で希釈し、H2O(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 3.20 分; m/z (ES+) = 432.31 [M+H]+.
【0084】
製造25:4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド塩酸塩
【化32】

4M HClのジオキサン溶液(5mL)を、3−{6−[3−フルオロ−4−(2−ヒドロキシ−エチルカルバモイル)フェニル]ピリジン−3−イルオキシ}アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造24、612mg、1.42mmol)のMeOH溶液に加え、生じた反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去して、標題の化合物を得た:
RT = 1.92 分; m/z (ES+) = 332.18 [M+H]+.
【0085】
製造26:5−ブロモ−2−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン
【化33】

NaH(374mg、15.6mmol)を、1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−オール(製造10、5.01g、15.6mmol)のTHF溶液(30mL)に加え、生じた反応混合物を0℃で1.5時間撹拌し、次いで5−ブロモ−2−クロロ−ピリジン(3.00g、15.6mmol)を加えた。生じた反応混合物を4時間65℃で加熱し、次いで周囲温度に冷却し、H2Oでクエンチし、溶媒を減圧留去した。残渣をEtOAcに溶解し、飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.62 分; m/z (ES+) = 386.99, 388.99 [M+H]+.
【0086】
製造27:2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−安息香酸エチルエステル
【化34】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造18、612mg、1.58mmol)および4−エトキシカルボニル−3−フルオロフェニルボロン酸(369mg、1.74mmol)から合成した:
RT = 3.03 分; m/z (ES+) = 475.38 [M+H]+.
【0087】
製造28:4−(6−フルオロピリジン−3−イル)安息香酸
【化35】

パラジウム−テトラキス(トリフェニルホスフィン)(348mg、300μmol)を、4−ボロン酸−安息香酸(1.00g、6.03mmol)、5−ブロモ−2−フルオロピリジン(1.06g、6.03mmol)およびNa2CO3溶液(0.4M、25mL)のMeCN溶液(25mL)に加え、生じた反応混合物を3時間90℃で加熱した。反応混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮して、MeCNを除去した。水性残渣をDCM(50mL)で洗浄し、HCl(1M)で酸性化し、生じた沈澱を濾過によって集めた。再結晶で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.13 分; m/z (ES+) = 217.99 [M+H]+.
【0088】
製造29:5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸
【化36】

5−ブロモ−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(5.00g、23.1mmol)、4−ボロン酸−フェノール(3.51g、25.5mmol)、パラジウム−テトラキス(トリフェニルホスフィン)(2.67g、2.31mmol)および炭酸水素ナトリウムのDME溶液をマイクロ波照射下で30分間加熱した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をDCMとH2Oの間で懸濁させた。有機層を分離し、H2Oおよび食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(DCM−MeOH、1:0〜3:2)で精製し、続いてEt2Oでトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 1.82 分; m/z (ES+) = 230 [M+H]+ (方法B).
【0089】
製造30:5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸エチルアミド
【化37】

エチルアミン塩酸塩(158mg、1.94mmol)を、5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸(製造29、370mg、1.61mmol)、EDCI(372mg、1.94mmol)、HOBt(263mg、1.94mmol)およびDIPEA(620μL、3.54mmol)のTHF溶液(10mL)に加え、生じた反応混合物を周囲温度で4時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAc(150mL)に溶解し、H2O(100mL)、飽和NaHCO3水溶液(100mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 2.85 分; m/z (ES+) = 257.07 [M+H]+.
【0090】
製造31:2−ブロモ−5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン
【化38】

塩化メタンスルホニル(2.44g、31.6mmol)を、0℃で、1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−オール(製造2、5.90g、28.7mmol)およびトリエチルアミン(4.40mL、31.6mmol)のTHF溶液(10mL)に加えた。生じた反応混合物を周囲温度で20分間撹拌し、次いで6−ブロモ−ピリジン−3−オール(5.00g、28.7mmol)およびNaH(60% 鉱油分散、4.06g、115mmol)のDMF溶液(15mL)に加えた。生じた反応混合物を16時間60℃で加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、H2Oおよび食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−DCM、1:4〜3:7)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.76 分; m/z (ES+) = 361.27, 363.27 [M+H]+.
【0091】
製造32:4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸メチルエステル
【化39】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造31、350mg、972μmol)および4−ボロン酸−安息香酸メチルエステル(190mg、1.07mmol)から合成した:
RT = 2.89 分; m/z (ES+) = 417.27 [M+H]+.
【0092】
製造33:2−フルオロ−4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル
【化40】

実施例9に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造31、350mg、972μmol)および4−ボロン酸−2−フルオロ安息香酸エチルエステル(210mg、1.069mmol)から合成した:
RT = 3.13 分; m/z (ES+) = 449.28 [M+H]+.
【0093】
製造34:4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化41】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸(32.56mmol)をDCM/メタノール(1:1、140mL)に溶解し、黄色が持続するまで、TMS−ジアゾメタン(2M ジエチルエーテル溶液、65.12mmol)を滴下して加えた。溶液が脱色するまで、混合物を酢酸でクエンチした。溶液を減圧濃縮し、残渣をDCMに溶解した。これを飽和NaHCO3水で洗浄し、水層をさらにDCMで抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSO4で乾燥し、濃縮して、標題の化合物を得た:
δH (400 MHz, CDCl3) 2.59 (s, 3H) 3.89 (s, 3H) 7.39 (d, J=8.20 Hz, 1H) 7.43 (s, 1H) 7.79 (d, J=8.20 Hz, 1H).
【0094】
製造35:2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルエステル
【化42】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル(0.028mmol)、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](0.028mmol)および酢酸カリウム(0.064mmol)をジオキサン(65mL)中で混合し、アルゴンで脱気した。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(5.62×10-4mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(5.62×10-4mmol)を加え、混合物をアルゴン下95℃で16時間撹拌した。混合物を冷却し、次いで水と酢酸エチルの間で分液した。水を分離し、酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を合わせて、MgSO4で乾燥し、濃縮し、ドライフラッシュクロマトグラフィで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.07 分; m/z (ES+)=277.24 [M+H]+.
【0095】
製造36:3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化43】

3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17.79mmol)、2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−安息香酸メチルエステル(19.57mmol)および炭酸セシウム(26.69mmol)をジオキサン:H2O(4:1、65mL)中で混合し、アルゴンで脱気した。ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.78mmol)を加え、混合物をアルゴン下90℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルと飽和Na2CO3(水)の間で分液した。水層を分離し、さらに酢酸エチルで抽出した。有機物を合わせて、MgSO4で乾燥し、濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、続いてトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 4.07 分; m/z (ES+)=399.33 [M+H]+.
【0096】
製造37:4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステル,トリフルオロ酢酸塩
【化44】

3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(9.80mmol)をDCM(32mL)に溶解し、TFA(8mL)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで乾燥するまで減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 2.29 分; m/z (ES+)=299.22 [M+H]+.
【0097】
製造38:2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸メチルエステル
【化45】

4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステル,トリフルオロ酢酸塩(4.9mmol)のDCM溶液(20mL)に、トリエチルアミン(9.8mmol)を加えた。5分後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(6.3mmol)を加え、17時間撹拌し続けた。反応混合物をDCMで希釈し、水および食塩水で洗浄した。有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、濃縮した。生じた固形物を1:1 ジエチルエーテル/(?)でトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 2.90 分; m/z (ES+) = 457.31 [M+H]+.
【0098】
製造39:2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸,ナトリウム塩
【化46】

2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸メチルエステル(3.5mmol)のメタノール撹拌懸濁溶液(20mL)に、水酸化ナトリウム(4.2mmol)の水溶液(20mL)を加えた。混合物を65時間50℃に加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮した。生じた固形物を濾過し、水で洗浄して、標題の化合物を得た:
RT = 2.72, m/z (ES+) 443.30 [M+H]+.
【0099】
製造40:3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化47】

2−ブロモ−5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(23.5mmol)、4−ボロン酸−2−フルオロ安息香酸メチルエステル(25.8mmol)および炭酸セシウム(70.4mmol)のジオキサン/水(4:1、75mL)脱気溶液に、Pd(Cl)2(dppf).DCM(2.3mmol)を加えた。撹拌混合物を16時間95℃に加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、酢酸エチルに再溶解した。セライトを通して溶液を濾過し、飽和炭酸ナトリウム水(×2)および食塩水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO4)し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィによって、標題の化合物を得た:
RT = 3.93 分; m/z (ES+) = 404.29 [M+H]+.
【0100】
製造41:3−[6−(4−カルボキシ−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化48】

水酸化リチウム水和物(73.4mmol)の水溶液(60mL)に、3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14.7mmol)のメタノール撹拌溶液(133mL)を加えた。混合物を3時間50℃に加熱し、次いで冷却し、室温で64時間静置した。混合物を濃縮して、メタノールを除去し、次いでさらに水(60mL)で希釈した。溶液をジエチルエーテルで抽出し、水抽出物を分離し、塩酸(6M)を注意して加えることによってpH 2に酸性化した。生じた沈澱を濾過し、乾燥した。濾液を水酸化ナトリウム溶液の添加によってpH 4に塩基性化し、酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、固形物を得た。両方の固形物を合わせて、標題の化合物を構成した:
RT 3.54 = 分; m/z (ES+) = 390.27 [M+H]+.
【0101】
製造42:3−[6−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化49】

反応混合物が均一になるまで、EDCI(18.4mmol)およびHOBt(18.4mmol)をDMF(35mL)中で撹拌した。3−[6−(4−カルボキシ−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14.7mmol)を加え、さらに2時間撹拌し続けた。アンモニアのジオキサン溶液(0.5M、29.4mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。水酸化ナトリウムのメタノール溶液(7M、5mL)を加え、30分後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、標題の化合物を得た:
RT 3.05 = 分; m/z (ES+) = 388.29 [M+H]+.
【0102】
製造43:4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロベンズアミドトリフルオロ酢酸塩
【化50】

3−[6−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.67mmol)をDCM(40mL)に溶解し、TFA(10mL)を加えた。16時間撹拌した後、混合物を濃縮した。生じた残渣をDCMに再溶解し、濃縮した。残渣を次いでトルエンに溶解し、濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 1.90 分; m/z (ES+) = 288.17 [M+H]+.
【0103】
製造44:2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−安息香酸,ナトリウム塩
【化51】

製造16に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造27、0.53mmol)および水酸化ナトリウム(0.56mmol)から合成した:
RT = 2.54 分; m/z (ES+) = 447.24 [M+H]+.
【0104】
実施例1:4’−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−ヒドロキシメチルエチル)アミド
【化52】

フラスコに、4’−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸(0.26mmol)を入れ、WSC(0.29mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール (0.29mmol)およびDMF(5mL)を加え、続いてトリエチルアミン(0.26mmol)を加えた。30分間撹拌した後、2−アミノプロパン−1,3−ジオール(0.3mmol)を加え、16時間撹拌し続けた。その後、さらにWSC(0.29mmol)を加え、混合物を8時間50℃に加熱した。混合物を冷却し、SCXで精製し、続いてHPLCを行った;
RT = 2.83 分; m/z (ES+) = 475.27 [M+H]+
【0105】
実施例1に概説したものに類似する手順を用いて、表1に列挙される実施例を製造した:
表1
【表1】



【0106】
実施例10:4’−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ビフェニル−4−カルボン酸エチルアミド
【化53】

ジオキサン:H2O(4:1、4mL)を、3−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)−アゼチジン(製造11、159mg、401μmol)、4−ボロン酸N−エチルベンズアミド(87.0mg、455μmol)、炭酸セシウム(200mg、620μmol)および[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(34.0mg、41.0μmol)に加え、生じた反応混合物をアルゴンで脱気し、16時間90℃で加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣をDCMに溶解し、NaOH(1M)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、7:3〜1:0)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.92 分; m/z (ES+) = 455.13 [M+H]+.
【0107】
実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、表2に列挙される実施例を、3−(4−ブロモフェノキシ)−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン(製造11)および適当なボロン酸から製造した:
表2
【表2】

【0108】
実施例13:N−エチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ニコチンアミド
【化54】

実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、3−[4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ]−1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン(製造13、80.0mg、180μmol)および6−ブロモ−N−エチル−ニコチンアミド(42.0mg、180μmol)から合成した:
RT = 2.70 分; m/z (ES+) = 456.41 [M+H]+.
【0109】
実施例14:(2−メチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ピリジン−3−イル)ピロリジン−1−イル−メタノン
【化55】

2−メチル−6−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}−ニコチンカルボン酸ナトリウム(製造16、100mg、220μmol)、EDCI(62.0mg、720μmol)、HOBt(44.0mg、320μmol)およびトリエチルアミン(60.0μL、430μmol)の溶液を20分間50℃で撹拌し、次いでピロリジン(27μL、320μmol)を加えた。生じた反応混合物を16時間50℃で撹拌した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAc(50mL)に溶解し、H2O(3×10mL)および飽和Na2CO3水溶液(3×10mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−NEt3、99:1)で精製し、続いてEt2O中でトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 2.59 分; m/z (ES+) = 496.36 [M+H]+.
【0110】
実施例15:N−エチル−2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}ベンズアミド
【化56】

実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造18、150mg、390μmol)および4−ボロン酸−N−エチル−2−フルオロ−ベンズアミド(90.0mg、430μmol)から合成した:
RT = 2.63 分; m/z (ES+) = 464.06 [M+H]+.
【0111】
実施例16:(2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−フェニル)ピロリジン−1−イルメタノン
【化57】

実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造18、110mg、280μmol)および[2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]ピロリジン−1−イルメタノン(製造19、99.0mg、310μmol)から合成した:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 496.39 [M+H]+.
【0112】
実施例17:N−エチル−2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}ベンズアミド
【化58】

実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−ブロモ−5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造18、100mg、260μmol)およびN−エチル−2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミド(製造21、82.0mg、280μmol)から合成した:
RT = 2.68 分; m/z (ES+) = 470.33 [M+H]+.
【0113】
実施例18:4−(5−{1−[4−(1,1−ジフルオロエチル)ベンジル]アゼチジン−3−イルオキシ−ピリジン−2−イル)−2−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド
【化59】

トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(146mg、690μmol)を、4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエチル)ベンズアミド塩酸塩(製造25、175mg、530μmol)および4−(1,1−ジフルオロエチル)ベンズアルデヒド(90.0mg、530μmol)のDCE溶液(10mL)に加え、生じた反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3水溶液(×2)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。Et2O中でトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 2.42 分; m/z (ES+) = 486.33 [M+H]+.
【0114】
実施例19:N−エチル−2−フルオロ−4−{6−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−3−イル}ベンズアミド
【化60】

実施例10に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、5−ブロモ−2−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造26、200mg、517μmol)およびN−エチル−2−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)ベンズアミド(160mg、568μmol)から合成した:
RT = 2.77 分; m/z (ES+) = 474.15 [M+H]+.
【0115】
実施例20:2−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン−2−イル}ベンズアミド
【化61】

2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造27、115mg、24.2mmol)のエタノールアミン溶液(5mL)を16時間100℃で加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、EtOAc(150mL)とH2O(75mL)の間で分液した。有機相を分離し、飽和NaHCO3水溶液(50mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−MeOH、19:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.52 分; m/z (ES+) = 490.38 [M+H]+.
【0116】
実施例21:(2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−フェニル)ピロリジン−1−イルメタノン
【化62】

トリメチルアルミニウム(2M、270μL、530μmol)を、0℃で、ピロリジン(44.0μL、530μmol)のトルエン溶液(2mL)に滴下して加えた。反応混合物を周囲温度に加温し、次いで2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造27、125mg、260μmol)のトルエン溶液(2mL)を加えた。生じた反応混合物を16時間110℃で加熱し、周囲温度に冷却し、塩化アンモニウム水溶液でクエンチした。カラムクロマトグラフィ(DCM−MeOH、49:1)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.86 分; m/z (ES+) = 499.50 [M+H]+.
【0117】
実施例22:2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−ベンズアミド
【化63】

2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造27、100mg、21.1mmol)、2M アンモニアのMeOH溶液(5mL)および濃アンモニア(1mL)を封管中16時間100℃で加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAc(100mL)に溶解し、H2O(50mL)、飽和NaHCO3水溶液(50mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。再結晶(IH−MeOH)で精製し、続いてカラムクロマトグラフィ(DCM−MeOH、97:3)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.64 分; m/z (ES+) = 446.34 [M+H]+.
【0118】
実施例23:N−エチル−2−フルオロ−N−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン−2−イル}ベンズアミド
【化64】

実施例21に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−フルオロ−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造27、120mg、250μmol)およびエチル−メチル−アミン(43.0μL、510μmol)から合成した:
RT = 2.74 分; m/z (ES+) = 488.35 [M+H]+.
【0119】
実施例24:N−(2−ヒドロキシエチル)−4−{6−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−3−イル}ベンズアミド
【化65】

カリウム第3級ブトキシド(155mg、1.38mmol)を、4−(6−フルオロピリジン−3−イル)安息香酸(製造28、150mg、690μmol)および1−(4−トリフルオロメチル−ベンジル)アゼチジン−3−オール(製造10、160mg、690μmol)のDMSO溶液(2.5mL)に加え、生じた反応混合物を周囲温度で16時間撹拌した。エタノールアミン(50.0μL、830μmol)、DIPEA(260μL、1.52mmol)およびHATU(316mg、830μmol)を反応混合物に加え、生じた溶液を周囲温度で16時間撹拌した。反応混合物をDCM(200mL)で希釈し、H2O(100mL)、飽和Na2CO3水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−MeOH、47:3)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.71 分; m/z (ES+) = 472.33 [M+H]+.
【0120】
実施例25:3−メチル−5−{4−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}ピリジン−2−カルボン酸エチルアミド
【化66】

カリウム第3級ブトキシド(45.0mg、40.0μmol)を、5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルピリジン−2−カルボン酸エチルアミド(製造30、100mg、390μmol)のDMSO溶液(5mL)に加え、生じた反応混合物を室温で20分間撹拌した。メタンスルホン酸1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルエステル(製造17、125mg、430μmol)のDMSO溶液(2mL)を滴下して加え、生じた反応混合物を100℃で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(50mL)で希釈し、H2Oおよび食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、7:3)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.93 分; m/z (ES+) = 470.37 [M+H]+.
【0121】
実施例26:N−(2−ヒドロキシエチル)−4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−ベンズアミド
【化67】

4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸メチルエステル(製造32、100mg、240μmol)およびエタノールアミン(2mL)のMeOH溶液(3mL)を封管中16時間100℃で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、生じた結晶を濾過によって集め、H2Oで洗浄して、標題の化合物を得た:
RT = 2.43 分; m/z (ES+) = 446.34 [M+H]+.
【0122】
実施例27:2−フルオロ−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン−2−イル}ベンズアミド
【化68】

実施例26に概説したものに類似する手順を用いて、標題の化合物を、2−フルオロ−4−{5−[1−(4−イソプロピルベンジル)−アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造33、100mg、223μmol)から合成した:
RT = 2.59 分; m/z (ES+) = 464.40 [M+H]+.
【0123】
実施例18に概説したものに類似する手順を用いて、表3に列挙される実施例を、4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロベンズアミドトリフルオロ酢酸塩(製造43)および適当なアルデヒドから製造した。ある場合には、実施例をプレパラティブHPLCで精製した。
表3
【表3】

【0124】
実施例14に概説したものに類似する手順を用いて、表4に列挙される実施例を、2−メチル−4−{5−[1−(4−トリフルオロメチルベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸,ナトリウム塩(製造39)および適当なアミンから製造した。すべての場合において、実施例をプレパラティブHPLCで精製した。
表4
【表4】



【0125】
本発明の化合物の生物活性は、以下のアッセイ系において試験されうる:
酵母レポーターアッセイ
酵母細胞に基づくレポーターアッセイは、先に文献に記載されている(例えば、Miret J. J.ら, 2002, J. Biol. Chem., 277:6881-6887;Campbell R.M.ら, 1999, Bioorg. Med. Chem. Lett., 9:2413-2418;King K.ら, 1990, Science, 250:121-123;WO 99/14344;WO 00/12704;およびUS 6,100,042を参照)。簡単に言えば、内在性酵母G−アルファ(GPA1)が欠失され、複数の技術を用いて作成されるG−タンパク質キメラで置換されているように、酵母細胞は改変されている。また、内在性酵母GPCRであるSte3は欠失されて、最適な哺乳類GPCRの非相同的発現を可能にしている。酵母において、真核細胞で保存される(例えば、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路)フェロモンシグナル伝達経路の要素は、Fus1の発現を促進する。Fus1プロモーター(Fus1p)の制御下でβ−ガラクトシダーゼ(LacZ)を置換することによってシステムが開発されており、それによって受容体の活性化が酵素の読み取りにつながる。
【0126】
酵母細胞は、Agatepらに記載された酢酸リチウム法の適応によって形質転換された(Agatep, R.ら, 1998, Transformation of Saccharomyces cerevisiae by the lithium acetate/single-stranded carrier DNA/polyethylene glycol (LiAc/ss-DNA/PEG) protocol. Technical Tips Online, Trends Journals, Elsevier)。簡単に言えば、酵母細胞を酵母トリプトンプレート(yeast tryptone plate)(YT)上で終夜培養した。キャリアの一本鎖DNA(10μg)、2つのFus1p−LacZレポータープラスミド(URA選択マーカーを有するものとTRPを有するもの、それぞれ2μg)、酵母発現ベクター(2μg 複製起点)におけるGPR119(ヒトまたはマウス受容体)(2μg)、並びに酢酸リチウム/ポリエチレングリコール/TE緩衝液を、エッペンドルフチューブの中にピペットで移した。受容体を含む酵母発現プラスミド/受容体を含まない対照酵母発現プラスミドは、LEUマーカーを有する。酵母細胞をこの混合物の中に播種し、反応は30℃で60分間進行する。酵母細胞に、次いで42℃で15分間熱ショックを与えた。次いで細胞を洗浄し、選択プレート上に広げた。選択プレートは、LEU、URAおよびTRPのない合成酵母培地(SD−LUT)である。30℃で2〜3日間インキュベートした後、選択プレート上で生育するコロニーを、次いでLacZアッセイにおいて試験した。
【0127】
β−ガラクトシダーゼについての蛍光定量的酵素アッセイを行うために、ヒトまたはマウスGPR119受容体を有する酵母細胞を、液体SD−LUT培地中で不飽和濃度まで終夜培養した(すなわち、細胞はまだ分裂しており、まだ定常期に達していなかった)。これらを、調製してすぐの培地中に最適アッセイ濃度まで希釈して、酵母細胞(90μl)を96ウェルブラックポリスチレンプレート(コースター(Costar))に加える。化合物(DMSOに溶解し、10× 濃度まで10% DMSO溶液に希釈した)をプレートに加え、プレートを30℃で4時間置いた。4時間後、β−ガラクトシダーゼの基質を各ウェルに加えた。これらの実験において、フルオレセイン ジ(β−D−ガラクトピラノシド)(FDG)、すなわちフルオレセインを放出する酵素の基質を用い、これは蛍光定量的読み取りを可能にする。1ウェルあたり20μlの500μM FDG/2.5% トリトンX100を加えた(細胞を透過性にするために界面活性剤が必要であった)。60分間の基質による細胞のインキュベーション後、1ウェルあたり20μlの1M 炭酸ナトリウムを加えて反応を終了し、蛍光シグナルを増強した。次いでプレートを蛍光光度計において485/535nmで読み取った。
【0128】
本発明の化合物によって、背景シグナル(すなわち、化合物なしで1% DMSOの存在下で得られるシグナル)の少なくとも〜1.5倍のシグナルで、蛍光シグナルにおける増加が得られる。少なくとも5倍の増加を与える本発明の化合物が好ましい。
【0129】
cAMPアッセイ
組換えヒトGPR119を発現する安定な細胞株を確立し、この細胞株を用いて、環状AMP(cAMP)の細胞内濃度における本発明の化合物の効果を調査してもよい。細胞単層をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、刺激用緩衝液(stimulation buffer)における様々な濃度の化合物に1% DMSOを加えたもので、37℃で30分間刺激する。次いで細胞を溶解し、パーキンエルマー アルファスクリーン(AlphaScreen)(登録商標)(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay))cAMPキットを用いて、cAMP量を決定する。緩衝液およびアッセイ条件は、製造業者のプロトコールに記載されているようにする。
【0130】
インビボフィード試験(In vivo feeding study)
体重並びに餌および水の摂取における本発明の化合物の効果は、逆相照明(reverse-phase lighting)上に維持した自由にフィードされる雄のスプラーグドーリーラットにおいて試験されうる。このような試験において、本発明の化合物および対照化合物を適当な投与経路(例えば腹腔内または経口)で投与し、測定を次の24時間かけて行う。21±4℃の温度、55±20% 湿度で、金属グリッドの床を有するポリプロピレンケージの中に、ラットを個々に入れる。ケージパッドを有するポリプロピレントレイを各ケージの下において、いずれのこぼれた餌も検出する。動物を逆相明暗サイクル(09.30〜17.30の8時間は電気を消す)上に維持し、その時間、部屋を赤色光で照した。動物は、二週間の順化期間に、標準的な粉末状のラットの餌および生水を自由に得ることができる。餌を、アルミニウム蓋を有するガラスフィード瓶(feeding jar)の中に入れる。各蓋は、その中に3〜4cmのウェルを有しており、餌を得ることができる。暗期開始時に動物、フィード瓶および採水瓶の重さ(0.1gの位まで)を量る。続いて、本発明の化合物を動物に投与する1、2、4、6および24時間後に、フィード瓶および採水瓶の重さを量り、ベヒクル処置したコントロールと比較して、ベースラインでの処置群間のいずれの有意差も測定する。
【0131】
一つ以上の時点で、≦100mg/kgの用量で、食欲減退効果を示す本発明の化合物が好ましい。
【0132】
膵ベータ細胞(HIT−T15)のインビトロモデルにおける本発明の化合物の抗糖尿病効果
細胞培養
HIT−T15細胞(60継代)はATCCから入手され、10% ウシ胎児血清および30nM 亜セレン酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地中で培養されうる。全ての実験は、文献に従って70継代未満での細胞で行われるべきであり、その文献には、81超の継代数でこの細胞株の変化した特性が記載されている(Zhang HJ, Walseth TF, Robertson RP. Insulin secretion and cAMP metabolism in HIT cells. Reciprocal and serial passage-dependent relationships. Diabetes. 1989 Jan;38(1):44-8)。
【0133】
cAMPアッセイ
HIT−T15細胞を、96ウェルプレートにおいて、100,000細胞/0.1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、24時間培養し、次いで培地を廃棄した。細胞を、100μl 刺激用緩衝液(ハンクス緩衝塩類溶液(Hanks buffered salt solution)、5mM ヘペス、0.5mM IBMX、0.1% BSA、pH 7.4)を用いて、室温で15分間インキュベートした。これを廃棄し、0.5% DMSOの存在下、刺激用緩衝液中、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μMの範囲にわたる化合物希釈液と取り替えた。細胞を室温で30分間インキュベートした。次いで1ウェルあたり75μl 溶解緩衝液(5mM ヘペス、0.3% ツイーン−20(Tween-20)、0.1% BSA、pH 7.4)を加え、プレートを900rpmで20分間振とうした。粒子状物質を遠心分離によって3000rpmで5分間除去し、次いでサンプルを384ウェルプレートに移したものを2つ作成し、パーキンエルマー アルファスクリーンcAMPアッセイキットの指示書に従って処理した。簡単に言えば、最終的な反応成分の濃度がキットの説明書に記載されたものと同じになるように、サンプル(8μl)、アクセプタービーズ混合物(acceptor bead mix)(5μl)および検出混合物(detection mix)(12μl)を含む反応物(25μl)を用意した。反応を室温で150分間インキュベートし、プレートをパッカード融合装置(Packard Fusion instrument)を用いて読み取った。cAMPについての測定を、公知のcAMP量(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000nM)の検量線と比較して、測定値を絶対cAMP量に変換した。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0134】
本発明の代表的な化合物は、10μM未満のEC50でcAMPを増大させることが分かった。cAMPアッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0135】
インスリン分泌アッセイ
HIT−T15細胞を、12ウェルプレートにおいて、106細胞/1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、3日間培養し、次いで培地を廃棄する。NaCl(119mM)、KCl(4.74mM)、CaCl2(2.54mM)、MgSO4(1.19mM)、KH2PO4(1.19mM)、NaHCO3(25mM)、pH 7.4でのヘペス(10mM)および0.1% ウシ血清アルブミンを含有する補充したクレブス・リンガー緩衝液(KRB)で、細胞を洗浄する(×2)。細胞を、37℃で30分間、KRB(1ml)でインキュベートし、次いでそれを廃棄する。これに続いて30分間、KRBで第2のインキュベーションを行い、それを回収し、各ウェルの基礎インスリン分泌量を測定するのに用いる。次いで化合物の希釈液(0、0.1、0.3、1、3、10μM)を、グルコース(5.6mM)で補充したKRB(1ml)に加えて、ウェルを2つ作成する。37℃で30分のインキュベーション後、インスリン量の決定のため、サンプルを取り除く。メルコディア(Mercodia) ラット インスリン ELISAキットを用い、製造者の指示書に従って、公知のインスリン濃度の検量線を用いてインスリンの測定を行ってもよい。各ウェルについて、インスリン量は、グルコース不存在下でのプレインキュベーションからの基礎分泌量を差し引かれる。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析してもよい。
【0136】
インスリン分泌アッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0137】
経口グルコース耐性試験
本発明の化合物が経口グルコース(Glc)耐性に及ぼす効果を雄スプレーグドーリーラットで評価した。Glcを投与する16時間前に食物を断ち、試験中はずっと絶食を維持した。試験中、ラットには水を自由に摂取させた。動物の尾に切開を施し、Glc負荷を投与する60分前の基礎Glcレベルを測定するために、血液(1滴)を採取した。次に、ラットを体重測定して、試験化合物または賦形剤(20%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン水溶液)を経口投与し、その45分後に、追加血液試料の採取と、Glc負荷(2g kg-1p.o.)による処置を行った。次に、Gcl投与の5、15、30、60、120、および180分後に、尾の切開端から血液試料を採取した。血中グルコースレベルは、市販のグルコース計(LifescanのOneTouch(登録商標)Ultra(商標))を使って、収集直後に測定した。代表的な本発明の化合物は、≦10mg kg-1の用量で、Glcエクスカーション(Glc excursion)を統計的に減少させた。
【0138】
経口グルコース(Glc)耐性についての本発明の化合物の効果はまた、例えば雄のC57Bl/6または雄のob/obマウスにおいても評価されうる。Glcの投与の5時間前に餌を取り出し、本研究の間、取り出したままにしてもよい。マウスは本研究の間、自由に水を得られるべきである。Glc負荷の投与の45分前に基礎Glc量を測定するために、動物の尾に切れ目を入れてもよく、次いで血液(20μL)を除去してもよい。続いて、マウスの重さを量り、試験化合物またはベヒクル(20% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液または25%ゲルーシア(Gelucire) 44/14水溶液)を経口投与し、30分後に別の血液サンプル(20μL)を除去し、Glc負荷(2〜5g kg-1 経口)で処置する。次いで血液サンプル(20μL)を、Glc投与の25、50、80、120、および180分後に採ってもよい。Glc量の測定用血液サンプル(20μL)を、尾の切れ目の先(cut tip)から使い捨てのマイクロピペット(デイド・ダイアグノスティクス社(Dade Diagnostics Inc.)、プエルトリコ)の中に取り、サンプルを溶血試薬(480μL)に加えるべきである。次いで希釈して溶血した血液アリコート(20μL)の一対を、96ウェルアッセイプレートにおいてトリンダーズ グルコース試薬(Trinders glucose reagent)(シグマ 酵素(トリンダー(Trinder))比色法)(180μL)に加える。混合した後、サンプルを室温で30分間放置し、次いでGlcスタンダード(シグマ グルコース/尿素 窒素 複合標準セット(glucose/urea nitrogen combined standard set))に対して読み取る。特に興味深い本発明の化合物は、典型的には、本試験において、≦100mg kg-1の用量で、Glcエクスカーション(Glc excursion)の統計的に有意な減少をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
1、E2およびE3はCHであるか、またはE1、E2およびE3のうち一つはNであり;
4およびE5は共にCHであるか、またはE4およびE5のうち一つはNであり;
6およびE7は独立して、CHまたはNであり;
1およびR2は独立して、水素、一つ以上のヒドロキシ基で適宜置換されたC1-4アルキル、並びにNおよびOから選択される一つのヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロ環から選択され;または
1およびR2は、それらに結合するNと一緒になって、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含み、かつ一つ以上のヒドロキシまたはC1-4アルキル基で適宜置換された4〜6員ヘテロ環を形成してもよく;
3は、水素、ハロまたはメチルであり;並びに
4は、C1-4アルキルまたはC1-4アルコキシであり、そのいずれも一つ以上のフルオロ基で置換されうる]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
1、E2およびE3がCHである、請求項1の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
4がCHである、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
4がNである、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
5がCHである、請求項1〜4のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
6およびE7がCHである、請求項1〜5のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
1およびR2が独立して、水素、および一つ以上のヒドロキシ基で適宜置換されたC1-4アルキルから選択されるか;または
1およびR2が、それらに結合するNと一緒になって、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を適宜含み、かつ一つ以上のヒドロキシまたはC1-4アルキル基で適宜置換された5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよい、請求項1〜6のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
3が、水素またはメチルである、請求項1〜7のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
4がC1-4アルキルである、請求項1〜8のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
4がイソプロピルである、請求項9の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
4が、一つ以上のフッ素原子で適宜置換されたC1-2アルキルである、請求項1〜8のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
4がトリフルオロメチルである、請求項11の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
遊離塩基またはその医薬的に許容される塩としての、実施例1〜42のいずれか一つの化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項15】
薬剤として使用するための、請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
有効量の請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、GPR119が役割を果たす疾患または症状の治療方法。
【請求項17】
有効量の請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、満腹の調節方法。
【請求項18】
有効量の請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、肥満症の治療方法。
【請求項19】
有効量の請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、糖尿病の治療方法。
【請求項20】
有効量の請求項1〜13のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高血圧症の治療方法。

【公表番号】特表2011−500658(P2011−500658A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529461(P2010−529461)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050970
【国際公開番号】WO2009/050522
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】