説明

アゼチジニルGタンパク質共役受容体アゴニスト

式(I):


(I)
の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、GPR119のアゴニストであり、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGタンパク質共役受容体(GPCR)アゴニストに関する。特に、本発明は肥満症の治療(例えば、満腹、メタボリックシンドロームの調節剤として)および糖尿病の治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【背景技術】
【0002】
肥満症は、体の大きさに比して過剰の脂肪組織量が特徴である。臨床的には、体脂肪量は、肥満度指数(BMI;体重(kg)/身長(m)2)、またはウエスト周りで見積もられる。BMIが30より大きく、過体重である医学的結果が評価された場合、ヒトは肥満と考えられる。増加した体重が、特に腹部の体脂肪の結果としての増加した体重が、糖尿病、高血圧症、心臓病、および数多くの他の健康上の合併症、例えば、関節炎、脳卒中、胆汁膀胱疾患、筋肉および呼吸器の問題、腰痛およびある種の癌も含めた増加したリスクに関連しているということは、しばらくは受け入れられた医学的見地である。
【0003】
肥満症治療の薬理的アプローチは、エネルギー摂取と消費のバランスを改善することで脂肪量が減少することに主に関与している。多くの研究のより、エネルギー恒常性の調節に関与する肥満と脳回路網とのリンクがはっきりと立証されている。直接的および間接的証拠により、セロトニン作動性、ドパミン作動性、アドレナリン作動性、コリン作動性、エンドカンナビノイド、オピオイド、およびヒスタミン作動性経路が、多くの神経ペプチド経路(例えば、神経ペプチドYおよびメラノコルチン類)と共に、エネルギー摂取と消費の中枢での制御に関係していることが示唆されている。視床下部の中枢も、体重の維持および肥満度に関連する末梢ホルモン類(例えば、インスリンおよびレプチン)、および脂肪組織由来のペプチド類を検知できる。
【0004】
インスリン依存性I型糖尿病およびインスリン非依存性II型糖尿病に関連する病態生理を狙った薬物は、多くの潜在的な副作用を有し、患者の高い割合において脂質代謝異常および高血糖症には十分に注力していない。治療はしばしば、食餌制限、運動、低血糖剤およびインスリンを用いて個々の患者のニーズに焦点が当てられているが、新規な抗糖尿病剤、特にほとんど副作用を伴わないより許容できる薬剤の継続的な要求がある。
【0005】
同様に、メタボリックシンドローム(シンドロームX)は、人々を冠動脈疾患の高い危険性に陥れ、それは危険因子の集合、例えば、中心性肥満(腹部における過剰な脂肪組織)、耐糖能障害、高トリグリセリドおよび低HDLコレステロール、並びに高血圧の特徴を有する。心筋の虚血および微小血管障害は、未処置のほとんど制御されていないメタボリックシンドロームに関連している確立された羅患である。
新規な抗肥満薬および抗糖尿病薬、特にほとんど副作用を伴わないよく許容される薬剤の継続的な要求がある。
【0006】
GPR119(以前はGPR116と称された)は、ヒトおよびラットの両方の受容体を開示したWO 00/50562でSNORF25として同定されたGPCRであり、米国特許第6,468,756号も、マウスの受容体を開示している(受け入れ番号:AAN95194(ヒト)、AAN95195(ラット)およびANN95196(マウス))。
ヒトにおいて、GPR119は膵臓、小腸、大腸および脂肪組織に発現される。ヒトGPR119受容体の発現プロファイルは、肥満症および糖尿病の治療のターゲットとして潜在的な利用可能性を示唆している。
【0007】
国際特許出願WO 2005/061489、WO 2006/070208およびWO 2006/067532は、GPR119受容体アゴニストとしてヘテロ環誘導体を開示する。国際特許出願WO 2006/067531、WO 2007/003960、WO 2007/003961、WO 2007/003962およびWO 2007/003964は、GPR119受容体アゴニストを開示する。国際特許出願WO 2007/116230およびWO 2007/116229(本願優先日の後公開)もまた、GPR119受容体アゴニストを開示する。
本発明は、糖尿病の治療および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用なGPR119のアゴニストに関する。
【0008】
(発明の概要)
式(I):
【化1】

(I)
の化合物またはその医薬的に許容される塩は、GPR119のアゴニストであり、糖尿病の治療、および満腹の末梢制御剤として、例えば肥満症およびメタボリックシンドロームの治療に有用である。
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式(I):
【化2】

(I)
[式中、
Wは、CR2または窒素であり;
VおよびXは各々独立して、CR3または窒素であり;UおよびYは各々独立して、CR4または窒素であるが、但し、U、V、W、XおよびYのうち3つ以下は窒素であり;
Rは、水素またはメチルであり;
1は、5員ヘテロアリールまたはN、OおよびSから選択される3つまでのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい9もしくは10員二環であり(該二環のうち少なくとも一つの環は芳香族ではない)、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910、(CH2mOR5、(CH2mフェニル、5もしくは6員ヘテロアリールまたは5もしくは6員ヘテロサイクリルから選択される3つまでの化学基で適宜置換されていてもよく、該置換基フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリル基のいずれも、それ自身、一つ以上のC1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910または(CH2mOR5基で置換されていてもよく;または
1は、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニル、ナフチルまたは6〜10員ヘテロアリールであり、該C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシ基は、ハロ、ヒドロキシ、CH2OHまたはC1-2アルキルで適宜置換されていてもよく;
2、R3およびR4は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、S(O)2NR910、NR11C(O)NR910、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、C(O)R6、NR11C(O)NR910、SO2NR910または5員ヘテロアリールで適宜置換されていてもよく;または
2とR3基、またはR3と隣接R4基は、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成してもよく、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5、S(O)n6、C(O)R6、C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよく;
5は、水素、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2qNR78、または(CH2mフェニルであり、該フェニル基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキルまたはCNで適宜置換されていてもよく;
6は、ヒドロキシまたはNR78で適宜置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
7およびR8は独立して、水素およびC1-4アルキルから選択され、または
7およびR8は、ヒドロキシまたはメチルで適宜置換されていてもよい5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
9およびR10は独立して、水素;ヒドロキシまたはNR78で適宜置換されていてもよいC1-4アルキル;並びにOおよびNから選択される一つのヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロ環から選択されるか;あるいは、一緒になって、R9およびR10は、ヒドロキシまたはC1-4アルキルで適宜置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;
11は、水素またはメチルであり;
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;並びに
qは、2または3であるが;
但し、R1は2,3−ジヒドロベンゾフリルではない]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩に関する。
【0010】
特に興味深い化合物の一つのサブグループは、式(II):
【化3】

(II)
[式中、
VおよびXは各々独立して、CR3または窒素であり;UおよびYは各々独立して、CR4または窒素であるが、但し、U、V、XおよびYのうち3つ以下は窒素であり;
Rは、水素またはメチルであり;
1は、5員ヘテロアリールまたはN、OおよびSから選択される3つまでのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい9もしくは10員二環であり(該二環のうち少なくとも一つの環は芳香族ではない)、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910、(CH2mOR5、(CH2mフェニル、5もしくは6員ヘテロアリールまたは5もしくは6員ヘテロサイクリルから選択される3つまでの化学基で適宜置換されていてもよく、該置換基フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリル基のいずれも、それ自身、一つ以上のC1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910または(CH2mOR5基で置換されていてもよく;または
1は、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニル、ナフチルまたは6〜10員ヘテロアリールであり、該C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシ基は、ハロ、ヒドロキシ、CH2OHまたはC1-2アルキルで適宜置換されていてもよく;
2は、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、SO2NR910または5員ヘテロアリールで適宜置換されていてもよく;
3は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6から選択され;
4は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCNまたはS(O)n6で適宜置換されていてもよく;または
2およびR3基は、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成してもよく、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5、S(O)n6、C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよく;
5は、水素、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mフェニルまたは(CH2qNR78であり;
6は、ヒドロキシで適宜置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
7およびR8は独立して、水素およびC1-4アルキルから選択され;
9およびR10は独立して、水素、およびヒドロキシで適宜置換されていてもよいC1-4アルキルから選択されるか、あるいは、R9およびR10は一緒になって、ヒドロキシで適宜置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;並びに
qは、2または3であるが;
但し、R1は2,3−ジヒドロベンゾフリルではない]
によって表される化合物、またはその医薬的に許容される塩である。
【0011】
式(I)および(II)の化合物の分子量は、800未満、特に600未満、とりわけ500未満が適当である。本発明の一つの態様において、U、V、W、XおよびYのいずれも窒素を表していない。本発明の第2の態様において、U、V、W、XおよびYのうち一つ、例えばX、またはYは、窒素を表す。本発明の第3の態様において、U、V、W、XおよびYのうち2つ、例えばXおよびY、UおよびY、VおよびX、またはXおよびUは、窒素を表す。本発明の第4の態様において、U、V、W、XおよびYのうち3つ、例えばX、YおよびU、またはX、YおよびVは、窒素を表す。
【0012】
Wは、好ましくはCR2を表す。
一つの態様において、VはNであり、別の態様において、VはCR3である。
Xは、好ましくはCR3である。
UおよびYは、好ましくはCR4である。
Rは、好ましくは水素である。
1には、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニルまたはピリジルが適当である。
【0013】
1には、フリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、もしくはテトラゾリル;好ましくはフラニル、イソオキサゾリルもしくはピラゾリル、または4,5,6,7−テトラヒドロベンゾチアゾリル、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレニルもしくはインダニルもまた適当であり;そのいずれも、上記のように適宜置換されていてもよい。
好ましいR1基は、5員ヘテロアリール、例えばオキサジアゾリル、特に[1,2,4]オキサジアゾリルである。
1が置換されている場合、それは1つまたは2つの化学基で置換されているのが適当である。特に興味深いR1置換基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、フェニル、およびトリフルオロメチルである。
【0014】
2、R3およびR4が独立して選択されうる具体的な化学基は、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、S(O)2NR910、NR11C(O)NR910、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールであり、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、C(O)R6、NR11C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよい。
【0015】
2は、フェニルまたは6員ヘテロアリール基、例えばピリジルを表すのが適当であり、そのいずれも、上記のように適宜置換されうる。適当には、置換される場合、R2基は、1つまたは2つの化学基で置換されている。特に興味深いR2置換基は、(CH2mCN、例えばCNおよびS(O)n6である。
好ましいR2基は、C(O)NR910、S(O)n6、5員ヘテロアリール、ハロまたはメチルで適宜置換されていてもよいフェニルまたはピリジル、特にC(O)NR910、S(O)n6または5員ヘテロアリールで適宜置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである。
3は、水素、C1-4アルキルまたはハロ、特に水素を表すのが適当である。
4は、水素、C1-4アルキルまたはハロ、特に水素を表すのが適当である。
5は、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキルまたは(CH2mフェニルを表すのが適当である。
6は、好ましくはメチルである。
【0016】
本発明の一つの態様において、R9およびR10は独立して、水素、または一つ以上のヒドロキシル基で適宜置換されていてもよいC1-4アルキルを表す。本発明の第2の態様において、R9およびR10は一緒になって、ヒドロキシで適宜置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成する。
mは、0、1または2が適当であり;特に0または1である。
nは、1または2が適当である。
11は、好ましくはメチルである。
適当には、XおよびVは各々独立して、NまたはCR3、例えばNおよびN;CR3およびCR3;またはNおよびCR3を表し、その中で、R3は、水素、C1-4アルキルまたはハロ、特に水素を表す。
【0017】
本発明の一つの態様において、R2およびR3基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5、S(O)n6、C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよい縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成する。本発明の別の態様において、R2およびR3基は、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成しない。
WがCR2であり、VおよびXがCR3であり、並びにUおよびYがCR4である場合、R1は、好ましくは、窒素上で、フェニルまたは6員窒素含有ヘテロアリールで置換されたピペリジン−4−イルではない。
【0018】
各変数の好ましい群は一般的には、各変数に個々に上記で挙げられているが、本発明の好ましい化合物には、式(I)におけるいくつかのまたは各々の変数が、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた各変数の群から選択される群が含まれる。したがって、本発明は、好ましい、更に好ましい、または特に挙げられた群のすべての組合せを含む趣旨である。
言及されてもよい本発明の特定の化合物は、実施例に含まれる化合物およびその医薬的に許容される塩である。
【0019】
本明細書で用いられているように、特に断りがなければ、「アルキル」並びに他の接頭語「アルカ(alk)」を有する基(例えば、アルケニル、アルキニルなど)は、直鎖または分枝鎖、あるいはそれらの組合せであり得る炭素鎖を意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル)、ペンチル(例えば、n−ペンチル、2−エチルプロピル、1,1−ジメチルプロピル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが含まれる。「アルケニル」、「アルキニル」および他の類似の用語には、少なくとも1つの不飽和炭素−炭素結合を有する炭素鎖が含まれる。
【0020】
用語「ハロアルキル」には、一つ以上のハロ原子、特にフッ素原子によって置換されたアルキル基、例えばCH2F、CHF2およびCF3が含まれる。
用語「シクロアルキル」は、ヘテロ原子を含まない炭素環を意味し、単環式飽和および一部飽和炭素環が含まれる。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが含まれる。一部飽和シクロアルキル基の例には、シクロヘキセンが含まれる。シクロアルキル基には、典型的には全部で3〜8個、例えば3〜6個の環状炭素が含まれる。
用語「ハロ」には、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素原子が含まれる。
用語「アリール」には、フェニルおよびナフチル、特にフェニルが含まれる。
【0021】
特に断りがなければ、用語「ヘテロシクリル」には、5および6員の単環式飽和および一部飽和環が含まれ、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を3つまで含む。ヘテロ環の例には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロチオピラン、ピロリジン、ピペリジン、[1,3]ジオキサン、オキサゾリジン、ピペラジン、モルホリンなどが含まれる。ヘテロ環の他の例には、含硫黄環の酸化された形態が含まれる。したがって、テトラヒドロチオフェン 1−オキシド、テトラヒドロチオフェン 1,1−ジオキシド、テトラヒドロチオピラン 1−オキシド、およびテトラヒドロチオピラン 1,1−ジオキシドもヘテロ環であると考えられる。
【0022】
特に断りがなければ、用語「ヘテロアリール」には、単環式および二環式5〜10員(例えば、単環式5または6員)の、N、OおよびSから選択されるヘテロ原子を4つまで含むヘテロアリール環が含まれる。かかるヘテロアリール環に例は、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、テトラゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニルおよびトリアジニルである。二環式ヘテロアリール基には、5または6員ヘテロアリール環がフェニルまたは別のヘテロ芳香環基に縮合した二環式ヘテロ芳香環基が含まれる。かかる二環式ヘテロ芳香環の例は、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンおよびプリンである。
【0023】
本明細書中に記載されている化合物は、1またはそれ以上の不斉中心を含んでいてもよく、したがって、ジアステレオマーおよび光学異性体を生じうる。本発明には、すべてのかかる可能なジアステレオマー、並びにラセミ体混合物、十分に純度の高い分割されたエナンチオマー、すべての可能な幾何異性体、およびその医薬的に許容される塩が含まれる。上記の式(I)は、いくつかの位置で明確な立体化学を示さずに表されている。本発明には、式(I)のすべての立体異性体およびその医薬的に許容される塩が含まれる。更に、立体異性体並びに単離された特定の立体異性体も含まれる。かかる化合物を製造するのに用いられる合成処置工程の間、または当業者に公知のラセミ化またはエピマー化工程を用いる際、かかる工程の生成物は立体異性体の混合物であり得る。
【0024】
式(I)の化合物の互変異性体が存在する場合、本発明には、特に他の記載がなければ、いずれの可能な互変異性体およびその医薬的に許容される塩、およびそれの混合物が含まれる。
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩が溶媒和物または多形体で存在する場合、本発明にはいずれの可能な溶媒和物および多形体が含まれる。溶媒和物を形成する溶媒の種類は、医薬的に許容される溶媒である限り特に制限はない。例えば、水、エタノール、プロパノール、アセトンなどが用いられ得る。
【0025】
用語「医薬的に許容される塩」とは、医薬的に許容される無毒性の塩基または酸から調製された塩をいう。本発明の化合物が酸性の場合、その対応する塩は、無機塩基および有機塩基を含む医薬的に許容される無毒性塩基から容易に調製され得る。かかる無機塩基から得られた塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅(第一および第二)、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛等の塩が含まれる。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬的に許容される有機無毒性塩基から得られる塩には、第1、第2、第3アミン、並びに環状アミン、および天然および人工的に置換されたアミンのような置換アミンの塩が含まれる。塩が形成される他の医薬的に許容される有機無毒性塩基には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N’,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどが含まれる。
【0026】
本発明の化合物が塩基性の場合、その対応する塩は、無機酸および有機酸を含む医薬的に許容される無毒性酸から容易に調製され得る。かかる酸には、例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。
【0027】
式(I)の化合物は医薬用途を意図されているので、十分に純度の高い形体で提供されるのが好ましく、例えば、少なくとも純度60%、より好ましくは少なくとも純度75%(例えば90%または95%)、特に好ましくは少なくとも純度98%である(%は重量%である)。
式(I)の化合物は、下記のように製造されてもよく、ここで可変基(variable group)は上記で定義されたものである。
【0028】
式(I)の特定の化合物は、スキーム1で概説するように製造されうる。アゼチジン1は市販品として入手可能であるか、またはSyn. Comm., 33(24), 4297-4302; 2003で概説されるように製造されうる。アゼチジン2は、エタノールのような溶媒中、パラジウム炭素の存在下、水素源、例えばトリエチルアミンおよびギ酸でアゼチジン1を処理することによって製造されうる。タイプ4の化合物は、適当な還元剤、例えばトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムを用いて、アルデヒドまたはケトン3の還元的アミノ化によって製造されうる。ヒドロキシ基は、メタンスルホニルのような脱離基に変換されてもよく、それによって、塩基の存在下、フェノール6で置換されて、式(I)の化合物が得られる。あるいは、タイプ4の化合物は、標準的な技術により、対応のフェノール6を用いた光延反応を通して、式(I)のアゼチジンに直接変換されうる。タイプ6のフェノール類は市販品として入手可能であるか、またはスキーム5で後に概説されるように製造されうる。
【化4】

スキーム1
【0029】
式(I)の化合物はまた、スキーム2で概説されるようにも製造されうる。したがって、窒素保護基(この場合2,4−ジメトキシベンジル)を組み入れているタイプ7のアゼチジンは、タイプ8の活性化アゼチジンにより式9の化合物に変換されうる。標準的な技術を用いた窒素保護基の除去によって、式10の化合物が得られる。適当な還元剤を用いて、タイプ3のアルデヒドまたはケトンによる化合物10の還元的アミノ化、あるいは化合物10をタイプ3aの化合物(ここで、Xはハロゲンである)と反応させることによって、式(I)の化合物が得られる。タイプ3もしくは3aの試薬は市販品として入手可能であるか、または公知技術によって容易に製造されうる。
【化5】

【0030】
式(I)の他の化合物は、スキーム3で概説されるように製造されうる。したがって、塩基の存在下、化合物4を化合物11のような2−ハロピリジンと反応させることによって、式(I)の化合物が得られる。2−ハロピリジン類は市販品として入手可能であるか、またはスキーム6で後に概説されるように製造されうる。さらなる例において、Xがハロゲンであり、かつY1またはY2の一方がNで、他方がCHR4である場合、既知のカップリング法を用いて、化合物12を、式13のボロン酸(または対応のボロン酸エステル)と反応させて、タイプ(I)の化合物を得てもよい。
【化6】

スキーム3
【0031】
式(I)のアミド類を、スキーム4に概説される標準的な技術によって製造してもよい。したがって、タイプ14のエステル(式中、Eは適当なアルキルまたはアリール基)を、標準的な加水分解技術によって、タイプ14の対応のカルボン酸(式中、Eは水素である)に変換してもよい。タイプ14のカルボン酸をタイプ15のアミン類と反応させることによるタイプ(I)のアミド類の形成は、カップリング試薬、例えばWSCまたはHATUの使用によって促進されうる。あるいは、タイプ14のカルボン酸類は、その活性化誘導体、例えば酸ハロゲン化物または酸無水物の形態で用いられうる。このような活性化誘導体は、通常の手段によって対応の酸から得られうる。タイプ14の化合物(式中、E=H)を、標準的な技術を用いて酸ハロゲン化物に変換してもよく、それを、挿入非プロトン溶媒(insert aprotic solvent)、例えばTHF中、TEAのような塩基の存在下、アミンと反応させて、式(I)の化合物を得てもよい。
【化7】

スキーム4
【0032】
タイプ18のフェノール類は、スキーム5に概説される標準的な鈴木カップリング法を用いて製造されうる。したがって、タイプ16のアリールボロン酸(または対応のボロン酸エステル)を、適当な溶媒または溶媒混合物中、適当な塩基およびパラジウム触媒の存在下、タイプ17のハロゲン化アリールとカップリングさせてもよい。あるいは、記載した鈴木の化学によるカップリングを用いて、化合物16にハロゲン化アリール基を組み入れ、かつ化合物17に該ボロン酸/エステルを組み入れてもよい。
【化8】

スキーム5
【0033】
タイプ21のフルオロピリジン類を、スキーム6に概説される標準的な鈴木カップリング法を用いて、同様に製造してもよい。したがって、タイプ19のアリールボロン酸(または対応のボロン酸エステル)を、化合物20のようなジハロピリジンとカップリングさせて、タイプ21のフルオロピリジンを得てもよい。あるいは、ヘテロ芳香族の代わりに該アリールボロン酸/エステルを用いてもよい。
【化9】

スキーム6
【0034】
スキーム7に概説されるように、タイプ23の化合物を製造してもよい。フェノール6を市販品として入手可能なアゼチジン22と反応させることによって、タイプ23の化合物が得られる。この型の反応には、典型的には、極性非プロトン溶媒中、ナトリウムtert−ブトキシドのような塩基が用いられる。化合物23における窒素保護基は、多数の方法、例えば不活性溶媒中のトリフルオロ酢酸による処理によって除去されうる。R2がハロゲンまたはボロン酸/エステルを含んでいるとしたら、該分子は、スキーム3に概説される鈴木型の化学をさらに用いて容易に官能基化されうる。
【化10】

スキーム7
【0035】
タイプ26のオキサジアゾール類は、スキーム8に記載されるように合成されうる。アゼチジン10は、塩基の存在下、ブロモ酢酸(または類似体)と反応させることによって、カルボン酸24に変換されうる。次いで2段階の手順で、該オキサジアゾール環の形成が達成されうる。最初に、カルボン酸24を、標準的なアミドカップリング試薬、例えばEDCIを用いて、アミドオキシム25とカップリングさせる。該中間体(単離する必要はない)は、適宜、脱水剤の存在下、高温で閉環される。タイプ25のアミドオキシム類は市販品であるか、または公知の方法で容易に合成されうる。
【化11】

【0036】
他の式(I)の化合物は、上述の方法に類似する方法で、または本来公知の方法で製造してもよい。
式(I)の化合物の製造のための更なる詳細は、実施例にある。
式(I)の化合物は、別々に、または少なくとも2個、例えば5〜1,000個の化合物で、より好ましくは10〜100個の式(I)の化合物を含む化合物のライブラリーとして製造してもよい。化合物のライブラリーは、当業者に公知の方法を用いて、溶液相または固相化学で、組み合わせられた「分離および混合」アプローチによって、または多様なパラレル合成によって製造してもよい。
【0037】
式(I)の化合物の合成中、中間体化合物中の不安定な官能基、例えば、ヒドロキシ、カルボキシおよびアミノ基は、保護してもよい。保護基は式(I)の化合物の合成のいずれの段階で除去してもよく、または最終の式(I)の化合物に存在してもよい。様々な不安定な官能基が保護され得る方法、および生じた保護された誘導体を除去する方法の包括的な議論は、例えば、書籍[Protective Groups in Organic Chemistry, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, (1991) Wiley-Interscience, New York, 2nd edition]に記載される。
【0038】
いずれの新規な中間体、例えば上記で述べたものは、式(I)の化合物の合成に使用されてもよく、それゆえ、本発明の範囲にも包含される。
上記で述べたように式(I)の化合物は、GPR119アゴニストとして、例えば、肥満症および糖尿病の治療および/または予防に有用である。そのような用途のために、式(I)の化合物は、医薬組成物の形態で一般的に投与される。
本発明はまた、医薬用途のために、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
本発明はまた、医薬的に許容される担体と組み合わせて、式(I)の化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0039】
好ましくは、該組成物は、医薬的に許容される担体、および式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の無毒性の治療上の有効量からなる。
更に、本発明はまた、医薬的に許容される担体、および無毒性の治療上の有効量の式(I)の化合物もしくはその医薬的に許容される塩を含む、GPR119を調節することで肥満症の予防的または治療的処置となる、例えば満腹を調整することによる疾患の治療用、または糖尿病の治療用医薬組成物も提供する。
【0040】
医薬組成物は他の治療成分または補助剤を適宜含んでいてもよい。いずれの所定の場合、最も適した経路は、特定の宿主、並びに活性成分が投与される症状の性質および重篤さによるが、該組成物には、経口、直腸、局所、および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含む)投与に適した組成物が含まれる。医薬組成物は、製剤単位で都合よく提供され得、好ましくは医薬分野でよく知られたいずれかの方法で製造されうる。
【0041】
実際、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、通常の医薬化合技術に従い、医薬担体との密な混合物に、活性成分として混合され得る。担体は、投与、例えば、経口または(静脈内を含む)非経口のための目的の製剤形によって広く様々に用いられ得る。
【0042】
従って、医薬組成物は、活性成分のあらかじめ定められた量を各々含む、カプセル剤、カシュ剤または錠剤のような経口投与に適した分離した単位として提供されうる。更に、組成物は、散剤として、顆粒剤として、溶液として、懸濁液として、水系液体中、非水系液体として、油/水乳濁液として、または水/油液体乳濁液として提供されうる。上記で述べられた一般的な製剤に加えて、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩は、制御された放出方法および/または送達器具でも投与され得る。組成物はいずれかの薬学的方法で製造されうる。一般的に、かかる方法には、1またはそれ以上の必要な成分を構成する担体と共に活性成分を組み入れる工程を含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、または両方と均一に、完全に混合して製造される。生成物は次いで、目的の表示に都合よく形成され得る。
【0043】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩はまた、1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と組み合わせた医薬組成物も含まれうる。
用いられる医薬担体は、例えば、固体、液体、または気体があり得る。固体担体の例には、乳糖、白土(terra alba)、ショ糖、タルク、ゼラチン、カンテン、パクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が含まれる。液体担体の例は、糖シロップ、落花生油、オリーブ油、および水である。気体担体の例には、二酸化炭素および窒素が含まれる。
【0044】
経口製剤用の組成物の製造には、いずれの通常の医薬溶媒も用いられ得る。例えば、水、グリコール類、油、アルコール類、香料、保存剤、着色剤などは、懸濁液、エリキシル剤および溶液のような経口液体製剤を形成するのに用いられ得;一方、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体は、散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固形製剤を形成するのに用いられ得る。投与のし易さから、錠剤およびカプセル剤は固形医薬担体が用いられる好ましい経口製剤である。適宜、錠剤は標準的な水系または非水系技術でコーティングしてもよい。
【0045】
本発明の組成物を含む錠剤は、圧縮成形または成形によって、適宜1またはそれ以上の補助的な成分または補助剤と共に製造され得る。圧縮成形される錠剤は、適当な機械で、活性成分を、適宜、結合剤、滑沢剤、不活性な希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合して、散剤または顆粒剤のような流動性の形態に、圧縮して製造され得る。成形される錠剤は、適当な機械で、湿らされた粉末の化合物の混合物を、不活性な液体希釈剤と共に、成形して製造してもよい。各錠剤は、好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含み、各カシュ剤またはカプセル剤は好ましくは約0.05mg〜約5gの活性成分を含む。
【0046】
例えば、ヒトへの経口投与を意図された製剤は、全組成物の約5〜約95%に変化し得る適切で好ましい担体物質の量と化合される、約0.5mg〜約5gの活性剤を含み得る。単位製剤は一般的に、約1mg〜約2gの活性成分、典型的には25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg、または1000mg含まれる。
【0047】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は、活性化合物の水溶液または水懸濁液として製造してもよい。適当な界面活性剤には、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースが含まれうる。分散剤はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中、およびそれの油中の混合物中に製造され得る。更に、保存剤が微生物の有害な成長を防ぐために含まれうる。
【0048】
注射用途に適した本発明の医薬組成物には、無菌水溶液または分散液が含まれる。更に、組成物は、無菌注射溶液または分散液の用時調製製剤用の無菌散剤の形態であり得る。
すべての場合において、最終的な注射用製剤は無菌でなければならず、容易に注入操作ができる効果的な流動性を有さなければならない。医薬組成物は製造および保存条件下安定でなければならず;したがって、好ましくは細菌および真菌のような微生物の汚染の作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、およびそれらの好ましい混合物を含む溶媒または分散溶媒であり得る。
【0049】
本発明の医薬組成物は、局所的な使用に適した形態、例えば、エアゾール、クリーム、軟膏剤、ローション、散布剤などであり得る。さらに、組成物は、経皮器具の使用に適した形態であり得る。これらの製剤は、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を用いて、通常の製造方法を経由して製造してもよい。例として、クリーム剤または軟膏剤は、約5重量%〜約10重量%の化合物と共に親水性物質と水を混合して製造し、目的の濃度を有するクリーム剤または軟膏剤を生成する。
【0050】
本発明の医薬組成物は、担体が固体である直腸投与に適した形態であり得る。好ましくは、混合物が単位用量の坐剤を形成する。適当な担体には、ココアバターや当該技術分野で一般的に用いられる他の物質が含まれる。坐剤は最初、組成物を柔らかくするまたは溶ける担体と混ぜ、続いて鋳型中冷やして成形して、容易に形成され得る。
【0051】
前述の担体成分に加えて、上述の医薬製剤には、必要に応じて、1またはそれ以上の別の担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香料、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などが含まれうる。更に、他の補助剤は、製剤を意図された受給者の血液と等張にするように含まれうる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む組成物はまた、粉末または液体濃縮製剤に製造され得る。
【0052】
一般的に、1日あたり0.01mg/kg(体重)〜約150mg/kg(体重)の用量レベルが、上記の症状の治療に有用であり、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約7gが有用である。例えば、肥満症は、1日あたり体重1kgあたりの化合物が約0.01〜50mgの投与により、あるいは1日あたり患者に約0.5mg〜約3.5gにより効果的に投与され得る。
【0053】
しかしながら、いずれの特定の患者の特定の用量は、年齢、体重、全般的な健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排泄時間、薬の組合せおよび治療を受ける特定の疾患の重篤さを含む様々なファクターによることは理解されるところである。
式(I)の化合物は、GPR119による疾患または症状の治療に用いられ得る。
【0054】
したがって、本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、GPR119による疾患または症状の治療方法も提供する。GPR119による疾患または症状には、肥満症および糖尿病が含まれる。本出願の文言上、肥満症の治療は、例えば、食欲および体重の減少、体重減少の維持による、肥満症および過剰の食物摂取に関連する他の摂食障害のような疾患または症状の治療、並びにリバウンドおよび糖尿病(1型および2型糖尿病、耐糖能障害、インスリン耐性、並びに、神経障害、腎障害、網膜症、白内障、心血管合併症および脂肪代謝異常のような糖尿病性合併症を含む)の予防を包含する意図である。機能性胃腸障害につながる経口摂取された脂肪への異常な感受性を有する患者の治療も意図される。本発明の化合物は、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症(low HDL level)および高血圧症のような代謝疾患の治療にも用いられ得る。
【0055】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、満腹の制御方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、肥満症の治療方法も提供する。
【0056】
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、1型および2型糖尿病(特に、2型糖尿病)を含む糖尿病の治療方法も提供する。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩を、治療が必要な患者に投与するステップを含む、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル症または高血圧症の治療方法も提供する。
【0057】
本発明はまた、上記で定義された症状の治療に使用される式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩も提供する。
本発明はまた、上記で定義された症状の治療剤の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用も提供する。
本発明の方法の中で、用語「治療(処置)」には、治療的および予防的処置の両方が含まれている。
【0058】
式(I)の化合物は、公知のGPR119アゴニスト類と比較して有利な特性を示し、例えば、該化合物は、改善された溶解性(そのため、吸収特性およびバイオアベイラビリティを改善する)、または化合物が医薬品として用いられるための他の有利な特性を示しうる。
式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩は、単独で投与してもよく、または1またはそれ以上の他の治療上の活性化合物と共に投与してもよい。他の治療上の活性化合物は、式(I)の化合物の場合と同じ疾患もしくは症状、または異なる疾患もしくは症状の治療のためであってもよい。治療活性化合物は、同時、連続して、または分離して投与してもよい。
【0059】
式(I)の化合物は、肥満症および/または糖尿病の治療のための他の活性化合物、例えば、インスリンおよびインスリン類似化合物、胃リパーゼ阻害剤、膵臓リパーゼ阻害剤、スルホニル尿素および類似化合物、ビグアナイド、α2アゴニスト、グリタゾン、PPAR−γアゴニスト、混合PPAR−α/γアゴニスト、DPIV阻害剤、RXRアゴニスト、脂肪酸酸化阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、β−アゴニスト、ホスホジエステラーゼ阻害剤、脂質低下剤、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、抗肥満薬、例えば、膵臓リパーゼ阻害剤、MCH−1アンタゴニストおよびCB−1アンタゴニスト(またはインバースアゴニスト)、アミリンアンタゴニスト、リポキシゲナーゼ阻害剤、ソモスタチン(somostatin)類似化合物、グルコキナーゼ活性化剤、グルカゴンアンタゴニスト、インスリン情報伝達アゴニスト、PTP1B阻害剤、糖新生阻害剤、抗脂肪分解剤、GSK阻害剤、ガラニン受容体アゴニスト、摂食障害剤、CCK受容体アゴニスト、レプチン、セロトニン作動性/ドパミン作動性抗肥満薬、再取り込み阻害剤、例えば、シブトラミン、CRFアンタゴニスト、CRF結合タンパク質、サイロミメティック化合物、アルドース還元酵素阻害剤、グルココルチコイド受容体アンタゴニスト、NHE−1阻害剤またはソルビトールデヒドロゲナーゼ阻害剤と共に投与してもよい。
【0060】
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および少なくとも1つの他の抗肥満薬の投与からなる組合せ療法も、更なる本発明の態様を表す。
本発明はまた、有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬を、治療が必要な哺乳動物に投与することを含む、ヒトのような哺乳動物における肥満症の治療方法も提供する。
【0061】
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および肥満症治療用の別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、肥満症治療用の別の抗肥満薬と組み合わせた薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩の使用を提供する。
式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬は、共に投与、または連続してもしくは分離して投与してもよい。
【0062】
共投与には、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の両方を含んだ製剤の投与、または各剤の異なる製剤の同時もしくは別々の投与が含まれる。式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬のプロファイルが許容するなら、その2つの薬剤の組合せが好ましい場合がある。
【0063】
本発明はまた、肥満症の治療用の薬物の製造における、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および別の抗肥満薬の使用を提供する。
本発明はまた、式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩、および他の抗肥満薬、および医薬的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。本発明はまた、上述の方法におけるかかる組成物の使用を包含する。
GPR119アゴニストは、中枢性抗肥満薬と組み合わせた特異的な使用である。
【0064】
本発明のこの態様による組合せ両方に用いられる他の抗肥満薬は、好ましくは、CB−1修飾因子、例えば、CB−1アンタゴニストまたはインバースアゴニストである。CB−1修飾因子の例には、SR141716(リミナバン)およびSLV−319((4S)−(−)−3−(4−クロロフェニル)−N−メチル−N−[(4−クロロフェニル)スルホニル]−4−フェニル−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−1−カルボキサミド);並びにEP576357、EP656354、WO 03/018060、WO 03/020217、WO 03/020314、WO 03/026647、WO 03/026648、WO 03/027076、WO 03/040105、WO 03/051850、WO 03/051851、WO 03/053431、WO 03/063781、WO 03/075660、WO 03/077847、WO 03/078413、WO 03/082190、WO 03/082191、WO 03/082833、WO 03/084930、WO 03/084943、WO 03/086288、WO 03/087037、WO 03/088968、WO 04/012671、WO 04/013120、WO 04/026301、WO 04/029204、WO 04/034968、WO 04/035566、WO 04/037823 WO 04/052864、WO 04/058145、WO 04/058255、WO 04/060870、WO 04/060888、WO 04/069837、WO 04/069837、WO 04/072076、WO 04/072077、WO 04/078261およびWO 04/108728、並びにその中に開示される引例に開示される化合物が含まれる。
【0065】
GPR119によることが暗示される他の疾患または症状には、WO 00/50562およびUS6,468,756に記載される疾患または症状、例えば、心血管障害、高血圧症、呼吸器障害、妊娠異常、胃腸障害、免疫障害、筋骨格障害、うつ病、恐怖症、不安症、気分障害およびアルツハイマー病が含まれる。
これらに限定されないが、本明細書に引用される特許および特許出願に含まれるすべての公開は、十分に述べられた本明細書の引例によって引用されるために、各個々が、特異的に個々に示されるように、引用される。
本発明は、詳述する目的で以下の例に関して記載するが、本発明の範囲を限定する趣旨ではない。
【0066】
(実施例)
LCMSプロトコール1:
215および254nmでのUV検出を用い、12分かけて、0.1容積% アンモニアを含有するH2O−MeCNグラジエントで溶離するWaters Xterra MS C18,5μM(4.6×50mm、流速1.5mL/分)。グラジエント情報:0.0〜8.0分:95% H2O−5% MeCNから5% H2O−95% MeCNへの勾配;8.0〜9.9分:5% H2O−95% MeCNで保持;9.9〜10.0分:95% H2O−5% MeCNに戻す;10.0〜12.0分:95% H2O−5% MeCNで保持。陽イオン(ESI+)または陰イオン(ESI-)モードでエレクトロスプレーイオン化源を用いて、質量スペクトルを得た。
【0067】
LCMSプロトコール2:
254nmでのUV検出を用い、7分かけて0.1容積% ギ酸を含有するH2O−MeCN グラジエントで溶離するアジレント Prep−C18 Scalar カラム,5μm(4.6×50mm、流速2.5mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.5分:95% H2O−5% MeCN;0.5〜5.0分;95% H2O−5% MeCN〜5% H2O−95% MeCNへの勾配;5.0〜5.5分:5% H2O−95% MeCNで保持;5.5〜5.6分:5% H2O−95% MeCNで保持、流速は3.5mL/分に増大;5.6〜6.6分:5% H2O−95% MeCNで保持、流速3.5mL/分;6.6〜6.75分:95% H2O−5% MeCNに戻し、流速3.5mL/分;6.75〜6.9分:95% H2O−5% MeCNで保持、流速3.5mL/分;6.9〜7.0分:95% H2O−5% MeCNで保持、流速は2.5mL/分に減少。陽(APCI+ESI+)または陰(APCI+ESI-)モードにおいて、アジレント マルチモード源(multimode source)を用いて質量スペクトルを得た。
【0068】
LCMSプロトコール3:
220nmでのUV検出を用い、6分かけて、0.1% HCO2Hを含有するH2O−CH3CN溶液で溶離するAtlantis C18 カラム,5μm(3.0×20.0mm、流速=0.85mL/分)。グラジエント情報:0.0〜0.3分 100% H2O;0.3〜4.25分:10% H2O−90% CH3CNまでの勾配;4.25〜4.4分:100% CH3CNまでの勾配;4.4〜4.9分:100% CH3CNで保持;4.9〜6.0分:100% H2Oに戻す。陽(ES+)または陰(ES-)イオンモードでエレクトロスプレーイオン化イオン源を用いて、質量スペクトルを得た。
【0069】
略語および頭字語:AcOH:酢酸;DCE:1,2−ジクロロエタン;DCM:ジクロロメタン;DMF:ジメチルホルムアミド;EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩;h:時間;HOBt:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HPLC:高速液体クロマトグラフィ;IH:イソヘキサン;LCMS:液体クロマトグラフィ−質量分析;min:分;MP−トリスアミン:マクロ多孔性ポリマー担持トリス(2−アミノエチル)アミン;MP−TsOH:マクロ多孔性ポリマー結合p−トルエンスルホン酸;Pd(Cl)2(dppf):[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II);PL−NCO:ポリマー結合イソシアネート;RT:保持時間;rt:室温;SCX:強カチオン交換クロマトグラフィ;TFA:トリフルオロ酢酸
【0070】
製造1:4−(6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−イル)フェノール
【化12】

マイクロ波管に、5−ブロモ−2−メチルスルホニルピリジン(3.00g、12.7mmol)、4−フェノールボロン酸(2.10g、15.3mmol)、Na2CO3(3M 水溶液、5.10mL、15.3mmol)、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(900mg、1.30mmol)およびジメトキシエタン:エタノール(4:1、30mL)を入れた。混合物をマイクロ波反応器中、20分間120℃で加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いでそれをセライトを通して濾過し、メタノールを通して洗浄した。濾液を蒸発させ、粗物質を、40%〜100% 酢酸エチルのヘキサン溶液で溶離するフラッシュクロマトグラフィで精製した。生成物を酢酸エチルでトリチュレートすることによってさらに精製して、標題の化合物を得た:RT = 1.82 分; m/z (ES+) = 250.07 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0071】
製造2:1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−オール
【化13】

トリエチルアミン(35.0mL、251mmol)およびギ酸(9.50mL、251mmol)のエタノール溶液(100mL)を、1−ベンズヒドリルアゼチジン−3−オール(20.0g、84.0mmol)のエタノール溶液(250mL)に加えた。パラジウム炭素(1g)を加え、混合物を1時間還流するまで加熱した。混合物を少し冷却し、次いでセライトを通して濾過し、エタノールを通して洗浄した。濾液を丸底フラスコ(2L)に移し、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド(16.7g、100mmol)を加えた。室温で10分間撹拌した後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(71.0g、335mmol)を加え、混合物を室温で終夜撹拌した。反応液をHCl(1M)の添加によってクエンチし、次いでジエチルエーテルで洗浄した。水相をNaHCO3で中和し、DCMで抽出した。LCMS分析によって、目的の生成物が主に水相に含まれており、DCMまたは酢酸エチルでは抽出し得ないことが示された。水相を蒸発させ、残渣をDCM(250mL)、酢酸エチル(250mL)およびメタノール(100mL)の混合液中で撹拌した。懸濁液を濾過し、濾液を蒸発させて、粗生成物を得た。粗生成物を酢酸エチル中で撹拌し、不溶性物質を濾去し、濾液を蒸発させて、標題の化合物を得た:RT = 3.22 分; m/z (ES+) = 224.16 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0072】
製造3:メタンスルホン酸1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−イル
【化14】

1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−オール(製造2、10.0g、44.8mmol)およびトリエチルアミン(14.0mL、98.7mmol)のDCM溶液(200mL)を−40℃に冷却し、次いで塩化メタンスルホニル(4.2mL、53.8mmol)を滴下して加えた。混合物を−40℃で20分間撹拌し、次いでDCMで希釈し、飽和NaHCO3溶液で洗浄し、続いて食塩水で洗浄した。有機溶液を乾燥し(MgSO4)、濃縮して、標題の化合物を得た:RT = 3.94 分; m/z (ES+) = 302.03 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0073】
製造4:5−(4−(1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン
【化15】

カリウム−tert−ブトキシド(7.55g、67.3mmol)を、4−(6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−イル)フェノール(製造1、13.4g、53.8mmol)のジメチルスルホキシド溶液(50mL)に加えた。混合物を室温で20分間撹拌し、次いでメタンスルホン酸1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−イル(製造3、14.2g、95%、44.8mmol)のジメチルスルホキシド溶液(25mL)を加えた。混合物を1時間60℃で加熱した。混合物を室温に冷却し、次いでDCMと食塩水の間で分液した。有機相をさらに食塩水で洗浄した。食塩水の洗浄液を合わせて、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を合わせて、乾燥し(MgSO4)、蒸発させた。SCXによる精製によって、標題の化合物を得た:RT = 5.00 分; m/z (ES+) = 454.98 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0074】
製造5:2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(4−(6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−イル)フェノキシ)アゼチジン−1−イル)エタノン
【化16】

トリフルオロ無水酢酸(4.20mL、29.6mmol)を、冷却(氷浴)した5−(4−(1−(2,4−ジメトキシベンジル)アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン(製造4、6.70g、14.8mmol)およびトリエチルアミン(4.60mL、32.6mmol)のDCM溶液(70mL)にゆっくりと加えた。30分間冷却しながら撹拌した後、反応混合物をDCMで希釈し、飽和NaHCO3溶液で洗浄した。有機溶液を乾燥し(MgSO4)、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィによって精製して、標題の化合物を得た:RT = 4.45 分; m/z (ES+) = 400.84 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0075】
製造6:5−(4−(アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン
【化17】

炭酸カリウム(1.50g、11.1mmol)を、2,2,2−トリフルオロ−1−(3−(4−(6−(メチルスルホニル)ピリジン−3−イル)フェノキシ)アゼチジン−1−イル)エタノン(製造5、3.00g、7.40mmol)のメタノール(60mL)および水(6mL)混合懸濁液に加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残渣を20% メタノールのDCM溶液とともに撹拌した。混合物を濾過し、さらに20% メタノールのDCM溶液、次いで100% メタノールで溶離するシリカプラグを通して濾液を流して(flushed)、標題の化合物を得た:RT = 3.62 分; m/z (ES+) = 305.02 [M+H]+(LCMSプロトコール1)。
【0076】
製造7:3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化18】

ナトリウムtert−ブトキシド(276mg、2.87mmol)および安息香酸カリウム(460mg、2.87mmol)を、6−ブロモピリジン−3−オール(500mg、2.87mmol)および3−ヨード−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(814mg、2.87mmol)のDMSO溶液(10mL)に加え、生じた反応混合物を4時間50℃で加熱した。反応混合物を周囲温度に冷却し、EtOAc(100mL)で希釈し、飽和Na2CO3水溶液(2×30mL)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、1:4)で精製して、標題の化合物を得た:RT = 3.52 分; m/z (ES+) = 329.18 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0077】
製造8:5−(アゼチジン−3−イルオキシ)−2−ブロモピリジントリフレート
【化19】

TFA(4.74mL、61.2mmol)を、3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(製造7、3.37g、10.2mmol)のDCM溶液(10mL)に加え、生じた反応混合物を室温で72時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、トルエンと共沸させて、標題の化合物を得た:
RT = 1.13 分; m/z (ES+) = 229.02, 231.02 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0078】
製造9:2−ブロモ−5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン
【化20】

トリエチルアミン(2.02mL、14.5mmol)を、5−(アゼチジン−3−イルオキシ)−2−ブロモピリジントリフレート(製造8、1.70g、4.84mmol)および5−クロロメチル−3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール(777mg、4.84mmol)のDMF溶液(10mL)に加え、生じた反応混合物を40℃で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、NaOH(1M)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、13:7)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.62 分; m/z (ES+) = 353.13, 355.09 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0079】
製造10:2−フルオロ−4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル
【化21】

Cs2CO3(933mg、2.89mmol)、Pd(Cl)2(dppf)(81.7mg、100μmol)および4−ボロン酸−2−フルオロ安息香酸エチルエステル(245mg、1.16mmol)を、2−ブロモ−5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(製造9、340mg、960μmol)の1,4−ジオキサン(4mL)およびH2O(1mL)溶液に加え、生じた反応混合物をアルゴンで脱気し、16時間90℃で加熱した。反応混合物を冷却し、NaOH(1M)および食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。カラムクロマトグラフィ(EtOAc−IH、7:3)で精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.34 分; m/z (ES+) = 441.29 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0080】
製造11:2−フルオロ−4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]−ピリジン−2−イル}安息香酸ナトリウム塩
【化22】

NaOH(0.5M 水溶液、3.80mL、1.92mmol)を、2−フルオロ−4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸エチルエステル(製造10、844mg、1.92mmol)のEtOH溶液(15mL)に加え、生じた溶液を室温で16時間撹拌した。溶媒を減圧留去して、標題の化合物を得た:
RT = 2.65 分; m/z (ES+) = 413.25 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0081】
製造12:3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化23】

2−ブロモ−5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン(23.5mmol)、4−ボロン酸−2−フルオロ安息香酸メチルエステル(25.8mmol)および炭酸セシウム(70.4mmol)のジオキサン/水(4:1、75mL)脱気溶液に、Pd(Cl)2(dppf).DCM(2.3mmol)を加えた。撹拌混合物を16時間95℃に加熱した。反応混合物を冷却し、濃縮し、酢酸エチルに再溶解した。セライトを通して溶液を濾過し、飽和炭酸ナトリウム水(×2)および食塩水で洗浄した。溶液を乾燥(MgSO4)し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィによって、標題の化合物を得た:
RT = 3.93 分; m/z (ES+) = 404.29 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0082】
製造13:3−[6−(4−カルボキシ−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化24】

水酸化リチウム水和物(73.4mmol)の撹拌水溶液(60mL)に、3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14.7mmol)のメタノール溶液(133mL)を加えた。混合物を3時間50℃に加熱し、次いで冷却し、室温で64時間静置した。混合物を濃縮して、メタノールを除去し、次いでさらに水(60mL)で希釈した。溶液をジエチルエーテルで抽出し、水抽出物を分離し、塩酸(6M)を注意して加えることによってpH 2に酸性化した。生じた沈澱を濾過し、乾燥した。水酸化ナトリウム溶液の添加によって濾液をpH 4に塩基性化し、酢酸エチルで3回抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濃縮して、固形物を得た。両方の固形物を合わせて、標題の化合物を構成した:
RT 3.54 = 分; m/z (ES+) = 390.27 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0083】
製造14:3−[6−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化25】

反応混合物が均一になるまで、EDCI(18.4mmol)およびHOBt(18.4mmol)をDMF(35mL)中で撹拌した。3−[6−(4−カルボキシ−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(14.7mmol)を加え、さらに2時間撹拌し続けた。アンモニアのジオキサン溶液(0.5M、29.4mmol)を加え、混合物を室温で16時間撹拌した。水酸化ナトリウムのメタノール溶液(7M、5mL)を加え、30分後、混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を合わせて、食塩水で洗浄し、乾燥し、濃縮して、標題の化合物を得た:
RT 3.05 = 分; m/z (ES+) = 388.29 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0084】
製造15:4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロベンズアミドトリフルオロ酢酸塩
【化26】

3−[6−(4−カルバモイル−3−フルオロフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(5.67mmol)をDCM(40mL)に溶解し、TFA(10mL)を加えた。16時間撹拌した後、混合物を濃縮した。生じた残渣をDCMに再溶解し、濃縮した。残渣を次いでトルエンに溶解し、濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 1.90 分; m/z (ES+) = 288.17 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0085】
製造16:4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化27】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸(32.56mmol)を1:1 DCM/メタノール(140mL)に溶解し、黄色が持続するまで、TMS−ジアゾメタン(2M ジエチルエーテル溶液、65.12mmol)を滴下して加えた。溶液が脱色するまで混合物を酢酸でクエンチした。溶液を減圧濃縮し、残渣をDCMに溶解した。これを飽和NaHCO3(水)で洗浄し、水相をさらにDCMで抽出した。有機抽出物を合わせて、MgSO4で乾燥し、濃縮して、標題の化合物を得た:
δH (400 MHz, CDCl3) 2.59 (s, 3 H) 3.89 (s, 3H) 7.39 (d, J=8.20 Hz, 1H) 7.43 (s, 1H) 7.79 (d, J=8.20 Hz, 1H).
【0086】
製造17:2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルエステル
【化28】

4−ブロモ−2−メチル安息香酸メチルエステル(0.028mmol),)、4,4,5,5,4’,4’,5’,5’−オクタメチル−[2,2’]ビ[[1,3,2]ジオキサボロラニル](0.028mmol)および酢酸カリウム(0.064mmol)をジオキサン(65mL)中で混合し、アルゴンで脱気した。[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(5.62×10-4mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(5.62×10-4mmol)を加え、混合物をアルゴン下95℃で16時間撹拌した。混合物を冷却し、次いで水と酢酸エチルの間で分液した。水を分離し、酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮し、ドライフラッシュクロマトグラフィで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 4.07 分; m/z (ES+) = 277.24 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0087】
製造18:3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
【化29】

3−(6−ブロモピリジン−3−イルオキシ)アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(17.79mmol)、2−メチル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)安息香酸メチルエステル(19.57mmol)および炭酸セシウム(26.69mmol)を4:1 ジオキサン:H2O(65mL)中で混合し、アルゴンで脱気した。ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(1.78mmol)を加え、混合物をアルゴン下90℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルと飽和Na2CO3(水)の間で分液した。水層を分離し、さらに酢酸エチルで抽出した。有機物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製し、続いてトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 4.07 分; m/z (ES+) = 399.33 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0088】
製造19:4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩
【化30】

3−[6−(4−メトキシカルボニル−3−メチルフェニル)ピリジン−3−イルオキシ]アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(9.80mmol)をDCM(32mL)に溶解し、TFA(8mL)を加えた。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで乾燥するまで減圧濃縮して、標題の化合物を得た:
RT = 2.29 分; m/z (ES+) = 299.22 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0089】
製造20:4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−2−メチル安息香酸メチルエステル
【化31】

4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−メチル安息香酸メチルエステルトリフルオロ酢酸塩(4.90mmol)をDMFに溶解した。トリエチルアミン(22.1mmol)および5−クロロメチル−3−イソプロピル−[1,2,4]−オキサジアゾール(4.90mmol)を加え、混合物を40℃で16時間撹拌した。反応混合物を冷却し、酢酸エチルと水の間で分液した。水を分離し、さらに酢酸エチルで洗浄した。有機抽出物を合わせて、乾燥(MgSO4)し、濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.15 分; m/z (ES+) = 423.32 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0090】
製造21:4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−2−メチル安息香酸
【化32】

4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−2−メチル安息香酸メチルエステル(2.54mmol)をメタノール(20mL)に懸濁し、水酸化ナトリウム溶液(0.5M、6.35mmol)を加えた。混合物を50℃で114時間撹拌した。反応混合物を冷却し、2M HCl(水)で中和し、乾燥するまで濃縮し、トルエンと共沸させた。標題の化合物を塩化ナトリウムから単離せず、次の段階にそのまま用いた:
RT = 2.68 分; m/z (ES+) = 409.28 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0091】
製造22:{3−[4−(6−メタンスルホニルピリジン−3−イル)フェノキシ]アゼチジン−1−イル}酢酸
【化33】

5−[4−(アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル]−2−メタンスルホニルピリジン(5.9mmol)をDMF(20mL)に溶解し、トリエチルアミン(29.5mmol)を加えた。これを室温で10分間撹拌し、次いでブロモ酢酸エチル(5.31mmol)を加えた。30分後、反応混合物を減圧濃縮し、酢酸エチルに再溶解し、水および飽和NaHCO3(水)で洗浄し、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。粗混合物をフラッシュカラムクロマトグラフィで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 2.23分; m/z (ES+) = 391.25 [M+H]+(LCMSプロトコール3).
【0092】
製造23:N−ヒドロキシ−3−メトキシプロピオンアミジン
【化34】

3−メトキシプロピオニトリル(11.75mmol)をエタノール(7mL)に溶解し、ヒドロキシルアミン(50% 水溶液、47mmol)を加えた。混合物を90℃で16時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、残存する水をトルエンと共沸させて、標題の化合物を得た:
δH (400 MHz, CDCl3) 2.39 (t, J=5.66 Hz, 2H) 3.36 (s, 3H) 3.59 (t, J=5.66 Hz, 2H).
【0093】
実施例1:2−シクロペンチルoxy−5−{3−[4−(6−メタンスルホニルピリジン−3−イル)フェノキシ]アゼチジン−1−イルメチル}ピリジン
【化35】

5−(4−(アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン(製造6、197μmol)および6−シクロペンチルオキシピリジン−3−カルボアルデヒド(237μmol)のDCM混合溶液(1mL)を室温で振とうした。10分後、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(395μmol)を加えた。2時間後、混合物をDCM(1mL)で希釈し、水(0.25mL)を加えた。相分離カートリッジを用いて相を分離し、有機溶液を蒸発させた。粗生成物をSCXで精製し、続いて、必要であれば逆相HPLC精製を行って、標題の化合物を得た:
RT = 2.67 分; m/z (ES+) = 480.5 [M+H]+(LCMSプロトコール2).
【0094】
実施例1に概説したものに類似する手順を用いて、表1における化合物を製造し、LCMSプロトコール2によって分析した:
表1
【表1】



【0095】
以下の一般的合成経路を用いて表2に列挙した化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
トリエチルアミン(493μmol)および適当な塩化アルキル(394μmol)を5−(4−(アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン(製造6、100mg、328μmol)のDMF溶液(3mL)に加え、生じた反応混合物を40℃で16時間撹拌した。反応液をEtOAc(4mL)で希釈し、H2O(2×4mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。MeOH(5mL)、次いで2M NH3/MeOH(3mL)で溶離するMP−TsOHカラムにおいて精製を遂行した。2M NH3/MeOH画分を減圧濃縮して、標題の化合物を得た。
表2
【表2】

【0096】
以下の一般的合成経路を用いて表3に列挙した化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
適当なアルデヒド(394μmol)およびトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(657μmol)を、5−(4−(アゼチジン−3−イルオキシ)フェニル)−2−(メチルスルホニル)ピリジン(製造6、100mg、328μmol)の溶液(AcOH:DCE、1:9)(3mL)に加えた。生じた反応混合物を室温で16時間振とうし、次いで反応がLCMSによって完了に達するまで、40℃で振とうした。MP−トリスアミン(329μmol)およびPS−NCO(329μmol)を反応混合物に加え、周囲温度で16時間振とうし続けた。反応混合物をMeOHでクエンチし、濾過し、濾液を減圧濃縮した。MeOH(5mL)、次いで2M NH3/MeOH(3mL)で溶離するMP−TsOHカラムにおいて精製を遂行した。2M NH3/MeOH画分を減圧濃縮し、Et2Oまたは(MeCN−H2O、1:1)でトリチュレートして、標題の化合物を得た。
表3
【表3】

【0097】
以下の一般的合成経路を用いて表4に列挙した化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
適当なアミン(414μmol)を、2−フルオロ−4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}安息香酸ナトリウム塩(製造11、90.0mg、207μmol)、EDCI(59.6mg、310μmol)、HOBt(42.0mg、310μmol)およびトリエチルアミン(63.0mg、620μmol)のDMF溶液(2mL)に加え、生じた反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応がLCMSによって不完全である場合、それらを16時間40℃に加熱した。溶媒を減圧留去し、残渣をEtOAcに溶解し、飽和Na2CO3溶液およびH2Oで洗浄し、乾燥(MgSO4)し、濾過し、減圧濃縮した。Et2Oでトリチュレートして、標題の化合物を得た。
表4
【表4】



【0098】
実施例29:N−イソプロピル−4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−2−メチルベンズアミド
【化36】

4−{5−[1−(3−イソプロピル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]ピリジン−2−イル}−2−メチル安息香酸(0.195mmol)、EDCI(0.293mmol)、HOBt(0.293mmol)およびイソプロピルアミン(0.39mmol)をDMFに溶解し、室温で2時間撹拌し、次いで50℃で16時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、次いで水と酢酸エチルの間で分液した。有機層を分離し、水および飽和炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧濃縮した。粗生成物をジエチルエーテル中でトリチュレートして、標題の化合物を得た:
RT = 2.70 分; m/z (ES+) = 450.39 [M+H]+.
【0099】
上記の実施例29に記載したものに類似する方法で、表5における化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
表5
【表5】





【0100】
以下の一般的合成経路を用いて表6に列挙した化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
トリエチルアミン(690μmol)および適当な塩化アルキル(250μmol)を4−[5−(アゼチジン−3−イルオキシ)ピリジン−2−イル]−2−フルオロベンズアミド(製造15、208μmol)のDMF溶液(3mL)に加え、生じた反応混合物を40℃で16時間撹拌した。反応液を冷却し、メタノールで希釈し、溶離液として5%トリエチルアミン/メタノールを用いたSCX−2を使用して精製した。
表6
【表6】



【0101】
実施例51:5−{4−[1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イルメチル)アゼチジン−3−イルオキシ]フェニル}−2−メタンスルホニルピリジン
【化37】

{3−[4−(6−メタンスルホニルピリジン−3−イル)フェノキシ]アゼチジン−1−イル}酢酸(0.138mmol)を、DCE(1.5mL)に懸濁した。塩化チオニル(0.414mmole)およびDMF(1滴)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧濃縮した。残渣をDCE(1.5mL)に溶解した。トリエチルアミン(0.69mmol)およびN−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピオンアミジン(0.166mmol)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、残渣をトルエン(3mL)に再溶解した。モレキュラ・シーブスを加え、混合物を95℃で16時間撹拌した。反応液を冷却し、水を加えた。トルエンを分離し、水を酢酸エチルで抽出した。有機物を合わせて、MgSO4で乾燥し、減圧濃縮した。クルードの残渣を分取HPLCで精製して、標題の化合物を得た:
RT = 3.32分; m/z = 443.32 [M+H]+.
【0102】
上記の実施例51で概説した手順を用いて表7に列挙した化合物を合成し、LCMSプロトコール3によって分析した。
表7
【表7】

【0103】
本発明の化合物の生物活性は、以下のアッセイ系において試験されうる:
酵母レポーターアッセイ
酵母細胞に基づくレポーターアッセイは、先に文献に記載されている(例えば、Miret J. J.ら, 2002, J. Biol. Chem., 277:6881-6887;Campbell R.M.ら, 1999, Bioorg. Med. Chem. Lett., 9:2413-2418;King K.ら, 1990, Science, 250:121-123;WO 99/14344;WO 00/12704;およびUS 6,100,042を参照)。簡単に言えば、内在性酵母G−アルファ(GPA1)が欠失され、複数の技術を用いて作成されるG−タンパク質キメラで置換されているように、酵母細胞は改変されている。また、内在性酵母GPCRであるSte3は欠失されて、最適な哺乳類GPCRの非相同的発現を可能にしている。酵母において、真核細胞で保存される(例えば、分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ経路)フェロモンシグナル伝達経路の要素は、Fus1の発現を促進する。Fus1プロモーター(Fus1p)の制御下でβ−ガラクトシダーゼ(LacZ)を置換することによってシステムが開発されており、それによって受容体の活性化が酵素の読み取りにつながる。
【0104】
酵母細胞は、Agatepらに記載された酢酸リチウム法の適応によって形質転換された(Agatep, R.ら, 1998, Transformation of Saccharomyces cerevisiae by the lithium acetate/single-stranded carrier DNA/polyethylene glycol (LiAc/ss-DNA/PEG) protocol. Technical Tips Online, Trends Journals, Elsevier)。簡単に言えば、酵母細胞を酵母トリプトンプレート(yeast tryptone plate)(YT)上で終夜培養した。キャリアの一本鎖DNA(10μg)、2つのFus1p−LacZレポータープラスミド(URA選択マーカーを有するものとTRPを有するもの、それぞれ2μg)、酵母発現ベクター(2μg 複製起点)におけるGPR119(ヒトまたはマウス受容体)(2μg)、並びに酢酸リチウム/ポリエチレングリコール/TE緩衝液を、エッペンドルフチューブの中にピペットで移した。受容体を含む酵母発現プラスミド/受容体を含まない対照酵母発現プラスミドは、LEUマーカーを有する。酵母細胞をこの混合物の中に播種し、反応は30℃で60分間進行する。酵母細胞に、次いで42℃で15分間熱ショックを与えた。次いで細胞を洗浄し、選択プレート上に広げた。選択プレートは、LEU、URAおよびTRPのない合成酵母培地(SD−LUT)である。30℃で2〜3日間インキュベートした後、選択プレート上で生育するコロニーを、次いでLacZアッセイにおいて試験した。
【0105】
β−ガラクトシダーゼについての蛍光定量的酵素アッセイを行うために、ヒトまたはマウスGPR119受容体を有する酵母細胞を、液体SD−LUT培地中で不飽和濃度まで終夜培養した(すなわち、細胞はまだ分裂しており、まだ定常期に達していなかった)。これらを、調製してすぐの培地中に最適アッセイ濃度まで希釈して、酵母細胞(90μl)を96ウェルブラックポリスチレンプレート(コースター(Costar))に加える。化合物(DMSOに溶解し、10× 濃度まで10% DMSO溶液に希釈した)をプレートに加え、プレートを30℃で4時間置いた。4時間後、β−ガラクトシダーゼの基質を各ウェルに加えた。これらの実験において、フルオレセイン ジ(β−D−ガラクトピラノシド)(FDG)、すなわちフルオレセインを放出する酵素の基質を用い、これは蛍光定量的読み取りを可能にする。1ウェルあたり20μlの500μM FDG/2.5% トリトンX100を加えた(細胞を透過性にするために界面活性剤が必要であった)。60分間の基質による細胞のインキュベーション後、1ウェルあたり20μlの1M 炭酸ナトリウムを加えて反応を終了し、蛍光シグナルを増強した。次いでプレートを蛍光光度計において485/535nmで読み取った。
【0106】
本発明の化合物によって、背景シグナル(すなわち、化合物なしで1% DMSOの存在下で得られるシグナル)の少なくとも〜1.5倍のシグナルで、蛍光シグナルにおける増加が得られる。少なくとも5倍の増加を与える本発明の化合物が好ましい。
【0107】
cAMPアッセイ
組換えヒトGPR119を発現する安定な細胞株を確立し、この細胞株を用いて、環状AMP(cAMP)の細胞内濃度における本発明の化合物の効果を調査してもよい。細胞単層をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、刺激用緩衝液(stimulation buffer)における様々な濃度の化合物に1% DMSOを加えたもので、37℃で30分間刺激する。次いで細胞を溶解し、パーキンエルマー アルファスクリーン(AlphaScreen)(登録商標)(増幅ルミネッセンス近接ホモジニアスアッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay))cAMPキットを用いて、cAMP量を決定する。緩衝液およびアッセイ条件は、製造業者のプロトコールに記載されているようにする。
【0108】
インビボフィード試験(In vivo feeding study)
体重並びに餌および水の摂取における本発明の化合物の効果は、逆相照明(reverse-phase lighting)上に維持した自由にフィードされる雄のスプラーグドーリーラットにおいて試験されうる。このような試験において、本発明の化合物および対照化合物を適当な投与経路(例えば腹腔内または経口)で投与し、測定を次の24時間かけて行う。21±4℃の温度、55±20% 湿度で、金属グリッドの床を有するポリプロピレンケージの中に、ラットを個々に入れる。ケージパッドを有するポリプロピレントレイを各ケージの下において、いずれのこぼれた餌も検出する。動物を逆相明暗サイクル(09.30〜17.30の8時間は電気を消す)上に維持し、その時間、部屋を赤色光で照した。動物は、二週間の順化期間に、標準的な粉末状のラットの餌および生水を自由に得ることができる。餌を、アルミニウム蓋を有するガラスフィード瓶(feeding jar)の中に入れる。各蓋は、その中に3〜4cmのウェルを有しており、餌を得ることができる。暗期開始時に動物、フィード瓶および採水瓶の重さ(0.1gの位まで)を量る。続いて、本発明の化合物を動物に投与する1、2、4、6および24時間後に、フィード瓶および採水瓶の重さを量り、ベヒクル処置したコントロールと比較して、ベースラインでの処置群間のいずれの有意差も測定する。
【0109】
一つ以上の時点で、≦100mg/kgの用量で、食欲減退効果を示す本発明の化合物が好ましい。
【0110】
膵ベータ細胞(HIT−T15)のインビトロモデルにおける本発明の化合物の抗糖尿病効果
細胞培養
HIT−T15細胞(60継代)はATCCから入手され、10% ウシ胎児血清および30nM 亜セレン酸ナトリウムを補充したRPMI1640培地中で培養されうる。全ての実験は、文献に従って70継代未満での細胞で行われるべきであり、その文献には、81超の継代数でこの細胞株の変化した特性が記載されている(Zhang HJ, Walseth TF, Robertson RP. Insulin secretion and cAMP metabolism in HIT cells. Reciprocal and serial passage-dependent relationships. Diabetes. 1989 Jan;38(1):44-8)。
【0111】
cAMPアッセイ
HIT−T15細胞を、96ウェルプレートにおいて、100,000細胞/0.1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、24時間培養し、次いで培地を廃棄した。細胞を、100μl 刺激用緩衝液(ハンクス緩衝塩類溶液(Hanks buffered salt solution)、5mM ヘペス、0.5mM IBMX、0.1% BSA、pH 7.4)を用いて、室温で15分間インキュベートした。これを廃棄し、0.5% DMSOの存在下、刺激用緩衝液中、0.001、0.003、0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30μMの範囲にわたる化合物希釈液と取り替えた。細胞を室温で30分間インキュベートした。次いで1ウェルあたり75μl 溶解緩衝液(5mM ヘペス、0.3% ツイーン−20(Tween-20)、0.1% BSA、pH 7.4)を加え、プレートを900rpmで20分間振とうした。粒子状物質を遠心分離によって3000rpmで5分間除去し、次いでサンプルを384ウェルプレートに移したものを2つ作成し、パーキンエルマー アルファスクリーンcAMPアッセイキットの指示書に従って処理した。簡単に言えば、最終的な反応成分の濃度がキットの説明書に記載されたものと同じになるように、サンプル(8μl)、アクセプタービーズ混合物(acceptor bead mix)(5μl)および検出混合物(detection mix)(12μl)を含む反応物(25μl)を用意した。反応を室温で150分間インキュベートし、プレートをパッカード融合装置(Packard Fusion instrument)を用いて読み取った。cAMPについての測定を、公知のcAMP量(0.01、0.03、0.1、0.3、1、3、10、30、100、300、1000nM)の検量線と比較して、測定値を絶対cAMP量に変換した。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析した。
【0112】
本発明の代表的な化合物は、10μM未満のEC50でcAMPを増大させることが分かった。cAMPアッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0113】
インスリン分泌アッセイ
HIT−T15細胞を、12ウェルプレートにおいて、106細胞/1ml/ウェルで、標準的な培地中に蒔き(プレートし)、3日間培養し、次いで培地を廃棄する。NaCl(119mM)、KCl(4.74mM)、CaCl2(2.54mM)、MgSO4(1.19mM)、KH2PO4(1.19mM)、NaHCO3(25mM)、pH 7.4でのヘペス(10mM)および0.1% ウシ血清アルブミンを含有する補充したクレブス・リンガー緩衝液(KRB)で、細胞を洗浄する(×2)。細胞を、37℃で30分間、KRB(1ml)でインキュベートし、次いでそれを廃棄する。これに続いて30分間、KRBで第2のインキュベーションを行い、それを回収し、各ウェルの基礎インスリン分泌量を測定するのに用いる。次いで化合物の希釈液(0、0.1、0.3、1、3、10μM)を、グルコース(5.6mM)で補充したKRB(1ml)に加えて、ウェルを2つ作成する。37℃で30分のインキュベーション後、インスリン量の決定のため、サンプルを取り除く。メルコディア(Mercodia) ラット インスリン ELISAキットを用い、製造者の指示書に従って、公知のインスリン濃度の検量線を用いてインスリンの測定を行ってもよい。各ウェルについて、インスリン量は、グルコース不存在下でのプレインキュベーションからの基礎分泌量を差し引かれる。データをXLfit 3 ソフトウェアを用いて解析してもよい。
【0114】
インスリン分泌アッセイにおいて1μM未満のEC50を示す化合物が好ましい。
【0115】
経口グルコース耐性試験
経口グルコース(Glc)耐性についての本発明の化合物の効果はまた、例えば雄のC57Bl/6または雄のob/obマウスにおいても評価されうる。Glcの投与の5時間前に餌を取り出し、本研究の間、取り出したままにしてもよい。マウスは本研究の間、自由に水を得られるべきである。Glc負荷の投与の45分前に基礎Glc量を測定するために、動物の尾に切れ目を入れてもよく、次いで血液(20μL)を除去してもよい。続いて、マウスの重さを量り、試験化合物またはベヒクル(20% ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン水溶液または25%ゲルーシア(Gelucire) 44/14水溶液)を経口投与し、30分後に別の血液サンプル(20μL)を除去し、Glc負荷(2〜5g kg-1 経口)で処置する。次いで血液サンプル(20μL)を、Glc投与の25、50、80、120、および180分後に採ってもよい。Glc量の測定用血液サンプル(20μL)を、尾の切れ目の先(cut tip)から使い捨てのマイクロピペット(デイド・ダイアグノスティクス社(Dade Diagnostics Inc.)、プエルトリコ)の中に取り、サンプルを溶血試薬(480μL)に加えるべきである。次いで希釈して溶血した血液アリコート(20μL)の一対を、96ウェルアッセイプレートにおいてトリンダーズ グルコース試薬(Trinders glucose reagent)(シグマ 酵素(トリンダー(Trinder))比色法)(180μL)に加える。混合した後、サンプルを室温で30分間放置し、次いでGlcスタンダード(シグマ グルコース/尿素 窒素 複合標準セット(glucose/urea nitrogen combined standard set))に対して読み取る。特に興味深い本発明の化合物は、典型的には、本試験において、≦100mg kg-1の用量で、Glcエクスカーション(Glc excursion)の統計的に有意な減少をもたらす。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(I)
[式中、
Wは、CR2または窒素であり;
VおよびXは各々独立して、CR3または窒素であり;UおよびYは各々独立して、CR4または窒素であるが、但し、U、V、W、XおよびYのうち3つ以下は窒素であり;
Rは、水素またはメチルであり;
1は、5員ヘテロアリールまたはN、OおよびSから選択される3つまでのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい9もしくは10員二環であり(該二環のうち少なくとも一つの環は芳香族ではない)、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、C3-8シクロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910、(CH2mOR5、(CH2mフェニル、5もしくは6員ヘテロアリールまたは5もしくは6員ヘテロサイクリルから選択される3つまでの化学基で適宜置換されていてもよく、該置換基フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリル基のいずれも、それ自身、一つ以上のC1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910または(CH2mOR5基で置換されていてもよく;または
1は、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニル、ナフチルまたは6〜10員ヘテロアリールであり、該C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシ基は、ハロ、ヒドロキシ、CH2OHまたはC1-2アルキルで適宜置換されていてもよく;
2、R3およびR4は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、S(O)2NR910、NR11C(O)NR910、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、C(O)R6、NR11C(O)NR910、SO2NR910または5員ヘテロアリールで適宜置換されていてもよく;または
2とR3基、またはR3と隣接R4基は、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成してもよく、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5、S(O)n6、C(O)R6、C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよく;
5は、水素、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2qNR78、または(CH2mフェニルであり、該フェニル基は、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、C1-4ハロアルキルまたはCNで適宜置換されていてもよく;
6は、ヒドロキシまたはNR78で適宜置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
7およびR8は独立して、水素およびC1-4アルキルから選択され、または
7およびR8は、ヒドロキシまたはメチルで適宜置換されていてもよい5〜7員ヘテロ環を形成してもよく;
9およびR10は独立して、水素;ヒドロキシまたはNR78で適宜置換されていてもよいC1-4アルキル;並びにOおよびNから選択される一つのヘテロ原子を含む4〜6員ヘテロ環から選択されるか;あるいは、R9およびR10は一緒になって、ヒドロキシまたはC1-4アルキルで適宜置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;
11は、水素またはメチルであり;
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;並びに
qは、2または3であるが;
但し、R1は2,3−ジヒドロベンゾフリルではない]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
式(II):
【化2】

(II)
[式中、
VおよびXは各々独立して、CR3または窒素であり;UおよびYは各々独立して、CR4または窒素であるが、但し、U、V、XおよびYのうち3つ以下は窒素であり;
Rは、水素またはメチルであり;
1は、5員ヘテロアリールまたはN、OおよびSから選択される3つまでのヘテロ原子を適宜含んでいてもよい9もしくは10員二環であり(該二環のうち少なくとも一つの環は芳香族ではない)、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910、(CH2mOR5、(CH2mフェニル、5もしくは6員ヘテロアリールまたは5もしくは6員ヘテロサイクリルから選択される3つまでの化学基で適宜置換されていてもよく、該置換基フェニル、ヘテロアリールまたはヘテロサイクリル基のいずれも、それ自身、一つ以上のC1-4アルコキシ、ハロ、シアノ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、C(O)NR910、C(O)R6、S(O)n6、SO2NR910、NR11C(O)NR910または(CH2mOR5基で置換されていてもよく;または
1は、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニル、ナフチルまたは6〜10員ヘテロアリールであり、該C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシ基は、ハロ、ヒドロキシ、CH2OHまたはC1-2アルキルで適宜置換されていてもよく;
2は、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)NR910、SO2NR910または5員ヘテロアリールで適宜置換されていてもよく;
3は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6から選択され;
4は独立して、水素、ハロ、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、C1-4ハロアルキル、(CH2mOR5、(CH2mCN、S(O)n6、C(O)R6、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールから選択され、該フェニルまたはヘテロアリール基のいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCNまたはS(O)n6で適宜置換されていてもよく;または
2およびR3基は、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成してもよく、そのいずれも、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5、S(O)n6、C(O)NR910またはSO2NR910で適宜置換されていてもよく;
5は、水素、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mフェニルまたは(CH2qNR78であり;
6は、ヒドロキシで適宜置換されていてもよいC1-4アルキルであり;
7およびR8は独立して、水素およびC1-4アルキルから選択され;
9およびR10は独立して、水素、およびヒドロキシで適宜置換されていてもよいC1-4アルキルから選択されるか、あるいは、R9およびR10は一緒になって、ヒドロキシで適宜置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環を形成してもよく;
mは、0、1、2または3であり;
nは、0、1または2であり;並びに
qは、2または3であるが;
但し、R1は2,3−ジヒドロベンゾフリルではない]
の化合物、またはその医薬的に許容される塩である、請求項1の化合物。
【請求項3】
U、V、W、XおよびYのいずれも窒素を表していない、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
U、V、W、XおよびYのうち一つが窒素を表す、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
Xが窒素を表す、請求項4の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
Yが窒素を表す、請求項4の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
U、V、W、XおよびYのうち2つが窒素を表す、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
XおよびYが窒素を表す、請求項7の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
UおよびYが窒素を表す、請求項7の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
VおよびXが窒素を表す、請求項7の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
UおよびXが窒素を表す、請求項7の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
U、V、W、XおよびYのうち3つが窒素を表す、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
WがCR2を表す、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
XがCR3である、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
UおよびYがCR4である、請求項1もしくは2の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
Rが水素である、先の請求項のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
1が、C3-8シクロアルキルまたはC3-8シクロアルキルオキシで置換されたフェニルまたはピリジルを表す、請求項1〜16のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
1が、適宜置換されていてもよいフリル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、またはテトラゾリルを表す、請求項1〜16のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
1がオキサジアゾリルを表す、請求項18の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
1が、1つまたは2つの化学基で置換されている、請求項18もしくは19の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
1が、ハロ、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、フェニル、およびトリフルオロメチルから選択される少なくとも一つの化学基で置換されている、請求項20の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
2が、適宜置換されていてもよいフェニルまたは6員ヘテロアリール基を表す、請求項1〜21のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
2が、1つまたは2つの化学基で置換されている、請求項1〜22のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項24】
2が、C(O)NR910、S(O)n6、5員ヘテロアリール、ハロまたはメチルで適宜置換されていてもよいフェニルまたはピリジルである、請求項1〜23のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項25】
3が、水素、C1-4アルキルまたはハロを表す、請求項1〜24のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項26】
3が水素を表す、請求項25の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項27】
4が、水素、C1-4アルキルまたはハロを表す、請求項1〜26のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項28】
4が水素を表す、請求項27の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項29】
5が、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキルまたは(CH2mフェニルを表す、請求項1〜28のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項30】
6がC1-4アルキルを表す、請求項1〜29のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項31】
6が、ヒドロキシで置換されているC1-4アルキルを表す、請求項1〜30のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項32】
mが、0、1または2を表す、請求項1〜31のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項33】
mが、0または1を表す、請求項32の化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項34】
nが、1または2を表す、請求項1〜33のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項35】
2およびR3基が、ハロ、C1-4アルキル、C1-4ハロアルキル、(CH2mCN、(CH2mOR5またはS(O)n6で適宜置換されていてもよい縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成する、請求項1〜21、23もしくは25〜34のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項36】
2およびR3基が、縮合6員アリールまたは窒素含有ヘテロアリール環を形成しない、請求項1〜35のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項37】
遊離塩基としての実施例1〜54のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩。
【請求項38】
請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩、並びに医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項39】
有効量の請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、GPR119が役割を果たす疾患もしくは症状の治療方法。
【請求項40】
有効量の請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、満腹の調節方法。
【請求項41】
有効量の請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、肥満症の治療方法。
【請求項42】
有効量の請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、糖尿病の治療方法。
【請求項43】
有効量の請求項1〜37のいずれか一つの化合物、またはその医薬的に許容される塩を治療が必要な患者に投与する段階を含むことを特徴とする、メタボリックシンドローム(シンドロームX)、耐糖能障害、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高血圧症の治療方法。
【請求項44】
薬剤として使用するための、請求項1〜37のいずれか一つの化合物。

【公表番号】特表2011−500659(P2011−500659A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529462(P2010−529462)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050971
【国際公開番号】WO2009/050523
【国際公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(504326837)プロシディオン・リミテッド (53)
【氏名又は名称原語表記】Prosidion Limited
【Fターム(参考)】