説明

アゾール系抗真菌剤を含む毛髪化粧料

【課題】ふけ防止効果が高く、使用感に優れた医薬品、医薬部外品または化粧品用の毛髪化粧料の提供。
【解決手段】アゾール系抗真菌剤、pH調整剤、カチオン界面活性剤を配合してなる抗真菌剤含有毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アゾール系抗真菌剤を含む、製剤安定性および使用感に優れた医薬品、医薬部外品または化粧品である毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アゾール系抗真菌剤であるミコナゾール硝酸塩は、水またはジエチルエーテルに極めて溶けにくく、溶解性が悪い。そこで、溶解性を改善する様々な工夫が研究されてきた(特許文献1、2)。そして現在では、ふけ防止効果および安全性が極めて高く、シャンプーとしても使用できるふけ防止剤(特許文献3)も知られている。しかし、満足なふけ防止効果が得られていない場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−277227号公報
【特許文献2】特許第4255965号公報
【特許文献3】特許第3645287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、一部、満足なふけ防止効果が得られていない消費者のニーズにこたえるべく、アゾール系抗真菌剤、中でも、既に安全性も確認され、シャンプーとしての使用実績もあるミコナゾール硝酸塩を、シャンプーの後に使用するリンス等の毛髪化粧料に配合することで、高いふけ防止効果を得られるのではないかと考え、毛髪化粧料の開発を行った。ミコナゾール硝酸塩は元来、難溶性であることが知られているが、今回我々はカチオン界面活性剤を含む基剤においては、極めて溶解性が悪く、また、溶解させた後に乳化したとしても経時的に、特に低温時において結晶が析出し、製剤安定性が悪いという問題があることに気付いた。また、結晶が析出していない場合も基剤の組み合わせによって抗真菌活性が低いこともある。
そこで、本発明は、結晶析出の抑制、優れた製剤安定性、高い抗真菌活性、毛髪化粧料としての優れた使用感、以上の1つ以上の課題を解決する医薬品、医薬部外品、化粧品である毛髪化粧料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、製剤安定性を有するアゾール系抗真菌剤を配合した毛髪化粧料に付き鋭意検討した結果、クエン酸ナトリウムを配合することにより、カチオン界面活性剤を含むアゾール系抗真菌剤の結晶析出を抑制し、優れた製剤安定性および使用感を有することを見出し、本発明を完成させた。
具体的には、クエン酸ナトリウムを配合し、シリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油または炭化水素油等を含有し、毛髪の櫛どおりや手触り、毛髪化粧料のなめらかさ等をより追究した、優れた製剤安定性および使用感を有する、アゾール系抗真菌剤を含有する毛髪化粧料として、本発明を完成させた。
【0006】
すなわち本発明は、
(1)(A)アゾール系抗真菌剤および(B)カチオン界面活性剤を含有するpHが3.0〜5.5である毛髪化粧料である。
具体的には、本発明は、
(2)(C)pH調整剤を含有する(1)に記載の毛髪化粧料である。
また、本発明は、
(3)(C)成分がクエン酸ナトリウムである(1)または(2)に記載の毛髪化粧料、(4)(A)成分が、ミコナゾールまたはその塩である(1)〜(3)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料、
(5)(D)高級アルコールおよび/または(E)炭素数3〜8のアルカンジオールをさらに含有する(1)〜(4)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料、
(6)(E)成分が、プロピレングリコールである(1)〜(5)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料、
(7)(F)シリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油および炭化水素油より選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分をさらに含む(1)〜(6)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料、
(8)(A)成分の配合量が0.1質量%〜2.0質量%、(B)成分の配合量が0.1質量%〜20.0質量%、(C)成分の配合量が毛髪化粧料のpHが3.0〜5.5に調整される量、(D)成分の配合量が1.0質量%〜20.0質量%、(E)成分の配合量が0.1質量%〜20.0質量%、および(F)成分の配合量が0質量%〜30.0質量%である(1)〜(7)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料、
(9)毛髪化粧料が、リンス、コンディショナー、トリートメント、リンスインシャンプーのいずれかである(1)〜(8)のいずれか一つに記載の毛髪化粧料である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の毛髪化粧料は、アゾール系抗真菌剤を溶解することができる。また、優れた製剤安定性が確保され、経時的な結晶析出が抑制される。さらに、優れた使用感が保たれる。
また、毛髪化粧料として優れた製剤安定性が発揮され、優れた抗真菌作用、ふけ防止効果が発揮される。
本発明により、アゾール系抗真菌剤およびカチオン界面活性剤等を含有する、製剤安定性の優れた毛髪化粧料が提供される。さらに、シリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油および炭化水素油等のコンディショニング成分を配合した、コンディショニング効果に優れ、製剤安定性の優れた組成物が提供される。また、アゾール系抗真菌剤の中でも、ミコナゾール硝酸塩を含む毛髪化粧料が提供される。
本発明の毛髪化粧料は、少なくとも以上の効果の1つ以上を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明における毛髪化粧料とは、リンスに限定されるものでなく、コンディショナー、トリートメント、パック、マスク、リンスインシャンプー等としても適用される。
毛髪化粧料の使用目的としては、毛髪の帯電防止、ごわつきの抑制、ツヤを出す、櫛どおりや手触りをなめらかにする、シャンプー等による洗浄後に開いたキューティクルを元に戻す、髪に残留してコーティングする等が挙げられる。
【0009】
本発明での成分(A)のアゾール系抗真菌剤としては、たとえばミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、クロコナゾール、ネチコナゾール、イソコナゾール、スルコナゾール、ビフォナゾール、ナノコナゾール、ルリコナゾールおよびそれらの塩などが挙げられる。前記塩としては、硝酸塩、塩酸塩等が挙げられ、好ましくは硝酸塩である。本発明ではこれらのアゾール系抗真菌剤の2種以上を毛髪化粧料中に含ませることもできる。これらのうちでも、好ましいのはミコナゾール、クロトリマゾール、エコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、ビフォナゾールおよびそれらの塩であり、さらに好ましいのはミコナゾールまたはその塩であり、配合のしやすさなどの点から、とりわけ好ましいのはミコナゾール硝酸塩である。上記アゾール系抗真菌剤はいずれも市販品として入手可能である。
【0010】
本発明の毛髪化粧料への(A)成分の配合量は、特に限定されないが、毛髪化粧料の質量に基づいて、通常0.1質量%〜2.0質量%であり、また抗真菌剤が具体的にミコナゾール硝酸塩の場合には、毛髪化粧料の質量に基づいて、0.1質量%〜1.0質量%が好ましく、0.2質量%〜0.8質量%がより好ましい。
【0011】
本発明の毛髪化粧料で用いる(B)カチオン界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化イソステアリルラウリルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアミン塩、ジ2−エチルヘキシルアミン、ジメチルステアリルアミン、トリラウリルアミン等のアルキルアミン塩等が挙げられ、毛髪化粧料として使用できるカチオン界面活性剤であれば特に限定されない。その他、カチオン界面活性剤として、医薬部外品原料規格2006(2006年2月、薬事日報社)に収載されているもののうち、毛髪化粧料に通常使用されるカチオン界面活性剤も適宜用いることができる。本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を含ませることもできる。これらのなかでも、アルキルトリメチルアンモニウム塩、脂肪酸アミドアミン塩が好ましく、具体的には、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウムが好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
【0012】
カチオン界面活性剤は、毛髪化粧料全量に対する界面活性剤成分の質量%として、通常、0.1質量%〜20.0質量%程度、好ましくは0.5質量%〜7.0質量%である。
【0013】
本発明の毛髪化粧料で用いる(C)pH調整剤は、クエン酸ナトリウムが好ましい。
本発明の毛髪化粧料への成分(C)の配合量は、特に限定されないが、毛髪化粧料のpHが3.0〜5.5に調整される量が好ましく、pHが4.0〜5.0に調整される量がより好ましい。pH調整剤がクエン酸ナトリウムの場合の配合量としては、特に限定されないが、毛髪化粧料の質量に基づいて、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.1質量%〜0.5質量%がより好ましい。
【0014】
本発明の毛髪化粧料で用いる(D)高級アルコールとしては、ドデカノール(=ラウリルアルコール)、トリデカノール、テトラデカノール(=ミリスチルアルコール)、ペンタデカノール、ヘキサデカノール(=セチルアルコール、セタノール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール(=ステアリルアルコール)、イソオクタデカノール(=イソステアリルアルコール)、ノナデカノール、イコサノール(=アラキルアルコール)、ヘンイコサノール、ドコサノール(=ベヘニルアルコール)、トリコサノール、テトラコサノール(=カルナービルアルコール)、ペンタコサノール、ヘキサコサノール(=セリルアルコール)、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール等が挙げられ、毛髪化粧料として使用できる高級アルコールであれば特に限定されない。
本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を含ませることもできる。本発明の毛髪化粧料では製剤の安定性及び製剤の毛髪への塗布のしやすさなどの点からステアリルアルコールが好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
本発明の毛髪化粧料への(D)成分の配合量は、特に限定されないが、毛髪化粧料の質量に基づいて、通常1.0質量%〜20.0質量%であり、2.0質量%〜10.0質量%がより好ましい。
【0015】
本発明の毛髪化粧料で用いる(E)炭素数3〜8のアルカンジオールとしては、具体的には、ブタンジオール、プロパンジオール(1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール)、ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたはオクタンジオール等が挙げられ、毛髪化粧料として使用できる炭素数3〜8のアルカンジオールであれば特に限定されない。本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を含ませることもできる。このなかでも、1,2−プロパンジオール(プロピレングリコール)が好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
本発明の毛髪化粧料への(E)成分の配合量は、特に限定されないが、毛髪化粧料の質量に基づいて、通常0.1質量%〜20.0質量%であり、炭素数3〜8のアルカンジオールが具体的にプロピレングリコールの場合には、その配合量は、毛髪化粧料の質量に基づいて、1.0質量%〜20.0質量%が好ましく、5.0質量%〜10.0質量%がより好ましい。
【0016】
本発明の毛髪化粧料は、前述の成分に加えてさらに、必要に応じて(F)シリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油または炭化水素油を含むことができる。
これらのシリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油または炭化水素油は、毛髪化粧料として使用できれば特に限定されないが、有効成分の効能の発現のしやすさ、使用感、毛髪化粧料の材質および組成との相性等に応じて選択使用され、1種または2種以上を併せて使用することができる。本発明の毛髪化粧料への(F)成分の合計配合量は、毛髪化粧料の質量に基づいて、0質量%〜30.0質量%が好ましく、0質量%〜10.0質量%がより好ましく、0質量%〜8.0質量%がさらに好ましい。
【0017】
本発明の毛髪化粧料で用いるシリコーンまたはシリコーン誘導体としては、例えばメチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルアミノプロピルシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン、シリコーンゴム、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を別々の成分として、または1種または2種以上を重合体として含ませることもできる。このなかでも、メチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン重合体が好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
【0018】
本発明の毛髪化粧料で用いるエステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、リシノール酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2−オクチルドデシル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2−オクチルドデシル、リシノール酸2−オクチルドデシル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル、2−エチルヘキサン酸セトステアリル、2−エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2−エチルヘキサン酸
ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラミリスチン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、ネオペンタン酸2−オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸2−ヘキシルデシル、2−エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2−エチルヘキシル、ジメチルオクタン酸2−ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、イソパルミチン酸2−エチルヘキシル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2−オクチルドデシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸2−オクチルドデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリ2−エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2−オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12−ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンセチルエーテル、酢酸ポリオキシエチレン(3)モノオキシプロピレンイソセチルエーテル等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料では、これらの2種以上を含ませることもできる。このなかでも、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル(1)、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
【0019】
本発明の毛髪化粧料で用いる炭化水素油としては、オゾケライト、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、ポリエチレン末、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワレン、プリスタン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を含ませることもできる。これらは全て市販品として入手可能である。
【0020】
本発明の毛髪化粧料は、さらに、保湿剤、カチオン性ポリマーを含むことができる。
本発明の毛髪化粧料で用いる保湿剤としては、具体的には、トリメチルグリシン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白液、濃グリセリン、ソルビット、キシリトール、ヒアルロン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム等が挙げられ、毛髪化粧料として使用できれば特に限定されない。本発明の毛髪化粧料ではこれらの2種以上を含ませることもできる。このなかでは、トリメチルグリシン、塩化N−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]加水分解コムギたん白液が好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
本発明の毛髪化粧料への保湿剤の配合量は、特に限定されないが、その配合量は、毛髪化粧料の質量に基づいて、0.1質量%〜30.0質量%が好ましい。
【0021】
本発明の毛髪化粧料で用いるカチオン性ポリマーとしては、低窒素ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム液、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩
化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化メタクリルプロピルトリメチルアンモニウム・メチルアクリレート共重合体、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(
トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム等が挙げられる。その他、医薬部外品原料規格2006に収載されているもののうち、毛髪化粧料に通常使用されるカチオン性ポリマーとして、ポリクオタニウム−4、ポリクオタニウム−6、ポリクオタニウム−7、ポリクオタニウム−10、ポリクオタニウム−22、ポリクオタニウム−39、ポリクオタニウム−47等を必要に応じて含むことができる。本発明ではこれらの2種以上を毛髪化粧料中に含ませることもできる。このなかでも、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシ
エチルセルロース、カチオン化セルロースが好ましい。これらは全て市販品として入手可能である。
【0022】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪化粧料の質量に基づいて、アゾール系抗真菌剤の配合量が0.1質量%〜2.0質量%、pH調整剤の配合量が毛髪化粧料のpHが3.0〜5.5に調整される量、カチオン界面活性剤の配合量が0.1質量%〜20.0質量%、高級アルコールの配合量が1.0質量%〜20.0質量%、炭素数3〜8のアルカンジオールの配合量が0.1質量%〜20.0質量%であることが好ましい。より好ましくは、ミコナゾール硝酸塩の配合量が0.1質量%〜1.0質量%、クエン酸ナトリウムの配合量が毛髪化粧料のpHが3.0〜5.5に調整される量、カチオン界面活性剤の配合量が0.5質量%〜7.0質量%、高級アルコールの配合量が2.0質量%〜10.0質量%、プロピレングリコールの配合量が5.0質量%〜10.0質量%で用いることができる。さらに、保湿剤を配合させる場合は、保湿剤の配合量が0.1質量%〜30.0質量%が好ましい。
上記の中でも、使用感の点でクエン酸ナトリウムの配合量が毛髪化粧料のpHが4.0〜5.0になる様に配合したものがより好ましい。
【0023】
本発明の毛髪化粧料には、アゾール系抗真菌剤以外の他のふけ防止効果を有する有効成分として、例えば、ピロクトンオラミン、ジンクピリチオン、二硫化セレン、イオウ等を配合することができ、さらに通常の毛髪化粧料に用いられる成分として、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム等、色素、顔料等の着色剤、メチルセルロース、ポリエチレングリコール等の粘度調整剤、ジステアリン酸グリコール、ジステアリン酸エチレングリコール等のパール光沢付与剤、モノステアリン酸グリセリン等のノニオン界面活性剤、塩化ナトリウム等の塩類、植物エキス類、防腐剤、ビタミン剤、香料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、湿潤剤、キレート剤、水等を適宜配合できる。
【0024】
本発明の毛髪化粧料の製造方法は、例えば、イオン交換水に水溶性成分を加熱撹拌して混合し、これに同様に加熱撹拌して混合した油性成分を加え、乳化した後に、40℃〜50℃でpH調整剤、例えばクエン酸ナトリウムを添加して製剤を得る方法が挙げられる。尚、本発明の毛髪化粧料に用いるアゾール系抗真菌剤は、通常使用されている公知の溶解補助剤を用い、水相に混合する。これらの方法は特に限定されるものではない。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明の毛髪化粧料の試験例および実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
前記製法により、表1の実施例1〜4および比較例1〜3の毛髪化粧料を製造した。
<試験例1>
<他の結晶析出抑制方法との比較>
表1の毛髪化粧料を前記製法により製造した直後の結晶析出を観察し、溶解性の有無を確認した。結晶析出について、第1法としては0℃で2ヶ月保存したときの結晶析出の有
無を検体からミニスパチュラで3箇所、それぞれ約0.05g採取し、スライドグラスに塗布し、カバーガラスで圧着して、顕微鏡下400倍で視野全部を観察した。また、第2法としては−20℃凍結、25℃2時間解凍を1サイクルとして4サイクル行った後の結晶析出を同じく顕微鏡下400倍で観察した。尚、結晶析出の評価方法としては、結晶が確認されないものを「−」として、結晶析出量の増加または結晶の大きさに伴い、ごく小さな結晶がある、または結晶数が1〜2個を「±」、観察視野内の大きさの結晶がある、または結晶数が10個までを「+」、観察視野より大きい結晶がある、または結晶数が10個より多いものを「++」と段階を付けて判定した。
【0026】
【表1】

表1の結果から、クエン酸ナトリウムを配合していない比較例1、乳酸ナトリウムを配合した比較例2、トリエタノールアミンを配合した比較例3では十分な結晶析出の抑制効果が確認されなかった。クエン酸ナトリウムを配合した実施例1〜4では、十分な結晶析
出の抑制効果が確認された。また、優れた使用感を達成していた。
尚、表1に記載の実施例1〜4および比較例1〜3の各成分の配合量は、表中に記載の規格による各成分を配合した量である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アゾール系抗真菌剤および(B)カチオン界面活性剤を含有するpHが3.0〜5.5である毛髪化粧料。
【請求項2】
(C)pH調整剤を含有する請求項1に記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
(C)成分がクエン酸ナトリウムである請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
(A)成分が、ミコナゾールまたはその塩である請求項1〜3のいずれか一項記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
(D)高級アルコールおよび/または(E)炭素数3〜8のアルカンジオールをさらに含有する請求項1〜4のいずれか一項記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
(E)成分が、プロピレングリコールである請求項1〜5のいずれか一項記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
(F)シリコーンまたはシリコーン誘導体、エステル油および炭化水素油より選ばれる1種または2種以上のコンディショニング成分をさらに含む請求項1〜6のいずれか一項記載の毛髪化粧料。
【請求項8】
(A)成分の配合量が0.1質量%〜2.0質量%、(B)成分の配合量が0.1質量%〜20.0質量%、(C)成分の配合量が毛髪化粧料のpHが3.0〜5.5に調整される量、(D)成分の配合量が1.0質量%〜20.0質量%、(E)成分の配合量が0.1質量%〜20.0質量%、および(F)成分の配合量が0質量%〜30.0質量%である請求項1〜7のいずれか一項記載の毛髪化粧料。
【請求項9】
毛髪化粧料が、リンス、コンディショナー、トリートメント、リンスインシャンプーのいずれかである請求項1〜8のいずれか一項記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−32213(P2011−32213A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180129(P2009−180129)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000181147)持田製薬株式会社 (62)
【出願人】(399091120)株式会社ピカソ美化学研究所 (29)
【Fターム(参考)】