説明

アッセイ中の動きの追加

【課題】凝集アッセイおよび他の種類のアッセイでの精度の低下を緩和、好ましくは防止する方法を提供すること。
【解決手段】臨床アナライザのインキュベータ内での反応段階中にサンプルに動きを加える方法であって、サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための1または複数のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を1または複数のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、1または複数のセルを配置するためにインキュベータを移動させるステップと、アッセイの反応段階中に1または複数のセルが動く回数が、同じアッセイにおいて、インキュベータ内でのサンプルの順序またはインキュベータ内で分析されるサンプルの数によって実質的に変化しないように、インキュベータを追加的に動かすステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の背景〕
本発明は、臨床アナライザ、特にランダム・アクセス・アナライザでのアッセイ中に動きを追加することに関する。詳細には、本発明は、一貫してインキュベータを動かして臨床アナライザでの凝集アッセイの精度を改善することに関する。
【0002】
既知のアッセイには、測定する物質すなわち分析物と1または複数の反応物質との間の凝集反応または沈殿反応を含むアッセイがある。好適なインキュベーション時間が経過すると、分析物と反応物質の反応により、濁度分析または比濁分析によって測定できる沈殿物または凝集物が生成される。既知の凝集アッセイの凝集物の例として、免疫グロブリンG(IgG)、プレアルブミン(PALB)、トランスフェリン(TRFRN)、およびミクロアルブミン(MALB)を挙げることができる。
【0003】
多くの適用例では、アッセイするサンプルは一定の温度に維持される。一定の時間が経過したら、光学測定装置など測定装置を用いて、光ビームをキュベットおよびサンプルを透過させる。この結果、例えば吸光度や蛍光度を、光学装置の光度計で測定する。強化化学発光法などの他の方法は、光度計(luminometer)を用いてサンプルが発光した光を測定する。サンプル中の分析物をアッセイするために用いられる他の方法の例として、エンド・ポイント反応分析や反応速度分析などの分光光度吸光アッセイ、濁度アッセイ、比濁アッセイ、比色アッセイ、蛍光アッセイ、およびイムノアッセイを挙げることができ、これらのアッセイは全て当分野で周知である。
【0004】
インキュベータを備えた既知のアナライザには、例えば、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2003年1月30日公開の米国特許出願公開第2003/0022380号に開示されたアナライザ、米国特許第6,096,561号および2000年1月13日出願の米国特許出願第09/482,599号(名称:「自動臨床アナライザにおける故障検知(Failure Detection In Automatic Clinical Analyzers)」)に開示されたアナライザを挙げることができる。この米国特許出願第09/482,599号には、例えば、化学発光によって測定されるコーティングされたサンプル容器に結合する1または複数の分析物を含む容器を洗浄するための容器洗浄ステーションを含むイムノアッセイ・アナライザが開示されている。このようなアナライザの例として、化学アナライザ、免疫診断アナライザ、および血液スクリーニング・アナライザを挙げることができる。市販の臨床アナライザには、オーソ・クリニカル・ダイアグノースティック社(Ortho-Clinical Diagnostics Inc.)が販売するVitros(登録商標)5,1 FSおよびVitros(登録商標)ECi、およびサーモ・エレクトロン・コーポレーション社(Thermo Electron Corporation)が販売するKonelab(商標)60がある。
【0005】
Vitros(登録商標)5,1 FSなどの臨床アナライザでは、システムは、マルチ・セル・キュベット用のインキュベータを含む。キュベットのセルは、分析するサンプルを含む。1または複数の試薬をサンプルに添加して反応させる。サンプルと試薬をインキュベートする。多くの既知のアナライザでは、インキュベータ内のサンプルは、そのインキュベータ内の他のサンプルに結合されている。すなわち、1つのサンプルの動くと、全てのサンプルが動いてしまう。従って、大抵の市販のランダム・アクセス・アナライザでは殆どないが、アッセイの反応段階中にインキュベータ内での処理が唯1つでない限り、サンプルは、通常はインキュベータに動きが加えられることから、他の結合したサンプルに対する操作によって動いてしまう。例えば、サンプルを、キュベットセルまたはウェル内に分注し、次いで、サンプルを測定位置に移して試薬を添加する。次いで、サンプルをインキュベーション位置にさらに移す。サンプルがこれだけの場合は、このサンプルを、インキュベーションの間すなわち反応段階の間、例えば、4分、5分、またはそれ以上、静止しておく。しかしながら、サンプルがインキュベータ内の他のサンプルに結合されている場合は、他のサンプルがセルに分注され、測定された試薬がセルに添加されるため、インキュベーション中にサンプルが動かされる。従って、インキュベートするサンプルが、別のサンプルに対する後続の処理によって様々な程度に動いてしまう。
【0006】
本発明の発明者達は、幾つかのアッセイ、特に上記したタンパク質アッセイで精度の低下が起こることを確認した。精度の低下は、通常は大きなバッチ(例えば、20サンプル以上)で起こり、濃度が高くなるとこれに比例して精度が低下すると考えられ、確認された変化(精度の低下)の大きさは5%〜12%の範囲であった。非粒子強化凝集アッセイで、精度の低下が確認された。このようなアッセイでは、凝集構造体の数および大きさが濃度で増大する。
【0007】
上記した理由から、凝集アッセイおよび他の種類のアッセイでの精度の低下を緩和、好ましくは防止する方法が要望されている。
【0008】
〔発明の概要〕
本発明の発明者達は、幅広い研究の結果、ある種のアッセイ、特に凝集アッセイに見られる精度の低下が、少なくとも部分的に、サンプルの処理中にインキュベータを介してサンプルに加えられる一貫していない動きによるものであることを見出した。上記したように、連結されたインキュベータ・システムで処理されるサンプルの配置およびサンプル数によって、各サンプルが、後続の処理ステップまたは操作によって回数が異なるインキュベータの動きを受けるであろう。本発明以前は、最新技術では、アッセイ、特に凝集アッセイがインキュベータの動きの変化に敏感に反応することが確認されていなかった。
【0009】
本発明は、臨床アナライザに用いられるアッセイ、特に凝集アッセイの精度向上についての上記した要求を満たすシステムおよび方法に関する。
【0010】
本発明の一態様は、臨床アナライザのインキュベータ内で反応段階中にサンプルに動きを加える方法を含む。この方法は、サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための1または複数のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を1または複数のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、1または複数のセルを配置するためにインキュベータを移動させるステップと、アッセイの反応段階中に1または複数のセルが動く回数が、同じアッセイにおいて、インキュベータ内でのサンプルの順序またはインキュベータ内で分析されるサンプルの数によって実質的に変化しないように、インキュベータを追加的に動かすステップを含む。
【0011】
本発明の別の態様は、臨床アナライザ内での複数のアッセイの精度を向上させる方法を提供する。この方法は、アッセイするサンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための2つ以上のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を2つ以上のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、2つ以上のセルを配置するためにインキュベータを移動させるステップと、サンプルの測定を実施する前にサンプルを追加的に動かすステップを含む。このステップを受けるサンプルの方が、このステップを受けないサンプルよりも精度が高い。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための方法を提供する。この方法は、サンプルを用意し、上記したようなインキュベータを動かすステップと、サンプルの光度測定を行うために放射光を検出するための少なくとも1つの検出器を有する光学測定ステーションを用意するステップと、セルを光学測定ステーションに移送するステップと、セルからの放射光を検出器で測定することを含む少なくとも1つの測定を行うステップを含む。
【0013】
当業者であれば、以下の好適な実施形態の詳細な考察から、本発明のさらなる目的、特徴、および利点が明白であろう。
【0014】
〔好適な実施形態の詳細な説明〕
本発明は、臨床アナライザに用いられるアッセイ、特に凝集アッセイにおける前記要求すなわち精度の向上を実現したシステムおよび方法に関する。上記したように、本発明の発明者達は、ある種のアッセイ、特に凝集アッセイで確認される精度の低下が、サンプルの処理中、特に反応段階中にサンプルに加えられる一貫していない動きが原因であることを見出した。これは、連結型インキュベータ・システムで特に顕著である。具体的には、例えば、分注や吸引などの作業のためにインキュベータを動かしてサンプルを調整すると、インキュベータ内の他のサンプルも同様に動いてしまう。連結型インキュベータ・システムで処理されるサンプルの数および配置によって、各サンプルの後続の処理ステップにより異なるインキュベータの様々な動きが各サンプルに加えられる。
【0015】
本発明以前は、アッセイ、特に凝集アッセイの処理に関連した最新技術では、このようなアッセイが、インキュベータに加えられる一貫していない動きに対して敏感に反応することは認識されていなかった。実際、インキュベータを動かすなどしてサンプルに動きを加えると、以下に示す他の問題が起きる可能性があるため、サンプルに不要な動きを加えることは従来の考えに反していた。他の問題は、次の通りである。
1.アナライザを通過するサンプルのスループットの低下
2.セルのベントによる蒸発の増大
3.キュベット内への過剰なエネルギー導入による液体の跳ね、飛び散り、気泡化
4.凝集アッセイでの凝集構造の崩壊
【0016】
しかしながら、発明者達は、インキュベータに一貫した動きを加えるか或いは測定の直前に動きを加えるかして各アッセイに追加の動きを加えることで、凝集アッセイの精度が向上することを見出した。従って、好適な一実施形態では、本発明の方法は、インキュベータ内で同時に行われる他のアッセイの種類や分析されるサンプルの数にかかわらず、特定のアッセイ(例えば、IgG)で、より一貫した、好ましくはほぼ同じ回数の動きが加えられるように、必要に応じて、好ましくはインキュベータを動かし、サンプルに追加の動きを加えるステップを含む。追加の動きは、一度に1回のアッセイから最大スループットすなわち一度に器具が許容する最大アッセイ回数に亘って、ほぼ同じ動きの効果を与えるように加えられるのが好ましい。代替の実施形態では、測定直前すなわち測定値を読む直前に動きを加えることができる。この場合、インキュベータ内またはインキュベータの外部でセルを振盪させて追加の動きを加え、例えば、反応セル全体に均等に凝集物を分散させることができる。
【0017】
凝集アッセイの精度低下の原因が一貫していないインキュベータの動きであることが分かったため、例えば、化学発光アッセイなどの他の種類のアッセイを改善するために、ランダム・アクセス・臨床アナライザ内でのインキュベータの動きによる衝撃を加えることができる。このような種類のアッセイの改善は、凝集アッセイとは異なる化学機構によると思われるが、本発明によるアナライザ内での分析中にサンプルに追加の動きを加えることで同様の効果が得られると思われる。イムノアッセイ・アナライザで使用されているようなマイクロウェル・アッセイでは、ストレプトアビジンがコーティングされたウェルなどのウェルの表面で抗体が結合する。ウェルにおける液体の動きが、反応の進行速度に影響を及ぼす。従って、インキュベータが動く回数の違いが、反応速度に影響を与えると思われる。これは、結合が平衡に達していないアッセイの重要な因子となる。試験により、殆どのアッセイが結合の平衡に近づいていないことが確認された。従って、インキュベーション中のサンプルの追加の動きにより、反応速度が改善され、より迅速にアッセイの結合が平衡に達すると考えられる。他のアッセイ(比色アッセイなど)もまた、アナライザ内でアッセイが行われている際のインキュベータの動く回数に応じた伝熱および液体の混合に対する影響のため、一貫していないインキュベータの動きによって悪影響を受けることがある。
【0018】
ここで用いる「セル」または「ウェル」は、分析するサンプルを受容する容器を指す。特段の記載がない限り、セルおよびウェルは、互いに交換可能に用いることができる。本発明に使用できるセルには、マルチ・セル・キュベットなどの複数のセルを有する一体型容器が含まれ得る。別法では、セルは、シングル・キュベットなどの唯1つのセルを有する容器とすることができる。セルは、例えば、積層可能容器を開示する米国特許第5,441,895号に開示されているストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルなどのカップとして形成することもできる。唯1つの要求は、サンプルを含む少なくとも2つのセルが、処理のために1つのセルが動くと他方のセルも動くように連結されていることである。
【0019】
好適な実施形態では、容器は、中にサンプルが入っているマルチ・セル・キュベットである。このキュベットは、臨床アナライザに用いられるのが好ましい。好適な実施形態では、キュベットは、例えば、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする米国特許出願公開第2003/0003591 A1、Des.290,170号および米国特許第4,639,135号に開示されているような上部が開口したキュベットであって、サンプルおよび/または試薬をキュベットに分注するまたはキュベットから吸引するピペットまたは鼻(proboscis)の先端部を受容するように適合されている。特に好ましいのは、前記した米国特許出願公開第2003/0003591号に開示されているように、垂直方向に離間して並置された複数の反応室を有するマルチ・セル・キュベットであり、反応室はそれぞれ、開口した上部を備え、一定量のサンプルまたは試薬を受容できる大きさである。別の好適な実施形態では、容器は、2000年1月13日出願の米国特許出願第09/482,599号(名称:「自動臨床アナライザにおける故障検知(Failure Detection In Automated Clinical Analyzers)」)に開示されているような、回転可能なインキュベータに保持され、かつ強化化学発光法に用いられるカップ型マイクロウェル、好ましくはストレプトアビジンがコーティングされたマイクロウェルとすることができる。
【0020】
本発明に使用可能なインキュベータには、当分野で周知のインキュベータが含まれる。このようなインキュベータには、前後の構成でキュベットを受容するとともに、吸引または分注測定、または分光光度測定などの様々な操作に対してサンプルを含むセルが利用できるように前後に移動することができるブロック型インキュベータが含まれ得る。好適なブロック型インキュベータは、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2004年11月12日出願の同時係属中の米国特許出願(名称:「加熱/冷却複合容器または多室容器(Heating And Cooling Multiple Containers Or Multi-Chamber Containers)」、代理人整理番号:CDS5025)に開示されている。
【0021】
他のインキュベータには、米国特許出願第09/482,599号の図4に示されているようなリング型インキュベータがある。このような実施形態では、セル(例えば、カップ型マイクロウェル)がロータの周辺に配置されている。ロータは、例えば、分注、吸引、洗浄、測定などの適切な操作にセルが利用できるようにインキュベータハウジング内で回転できる。
【0022】
試薬がサンプルに添加されてからサンプルが光学検出システムなどによって測定されるまでの期間を「反応段階」と呼ぶ。一般に、分析されるサンプルが唯1つだとすると、サンプルは反応段階で静止したままであろう。しかしながら、ランダム・アクセス・アナライザでは、他のアッセイが殆ど常に行われている。従って、インキュベータの他のサンプルに他の操作、例えば、吸引、分注、測定などが行われることにより、反応段階のサンプルに追加の動きが加えられる。これが、一貫していない動きの原因となる。
【0023】
好適な一実施形態では、本方法は、サンプルが反応段階で処理されている時に、インキュベータ内で特定のアッセイ(例えば、IgG)が行われる全てのサンプルが同量または少なくとも同程度の運動エネルギーを受けるように、インキュベータが通常はアイドル状態すなわち動いていない時に反応段階の各サイクルでインキュベータを追加的に動かすステップを含む。すなわち、この実施形態では、アナライザ内で分析されるサンプルの数またはインキュベータにおけるサンプルの位置にかかわらず、インキュベーション中に特定のアッセイのためにほぼ同じ回数の動き(すなわち、同量の動き)を加えるために動きを追加する。従って、特定のアッセイに対するアナライザにおけるサンプルの位置または分析されるサンプルの数によって、サンプルが受ける動きの回数が大きく変化するものではない。この目的は、それぞれのサンプルに、同じ分析物についてアッセイされる他のサンプルに対して比較的一貫した動きを与えることである。例えば、IgGについて分析される全てのサンプルに同量の動きを与える。
【0024】
分析されるサンプルの数またはインキュベータ内のサンプルの位置によるサンプルが受ける動きの量の差を決定する1つの十分な手段は、変動係数(分布の標準偏差の算術平均に対する比)を用いて説明することができる。本発明では、この算術平均は、サンプルの位置またはサンプルの数に関係なく反応段階で各サンプルに与えられる動きの回数の平均である。標準偏差は、サンプルによる動きの回数の差を評価する。従って、変動係数(CV)は、単位のない数値である。本発明では、CVの値は、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下、最も好ましくは5%以下である。
【0025】
動きを追加した場合と追加しない場合のインキュベーションの際にサンプルが受ける動きの量の差を表す別の手段は、精度の向上或いは不正確さの改善を用いて説明することができる。精度の向上は、動きを追加した分析と動きを追加しない分析との間の単純なCVの減少率(%)であり、図1に基づいて後述する。好適な実施形態では、CVの減少率(%)は、通常は50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上である。
【0026】
ここで用いる「サイクル」は、反応段階においてインキュベータ内で行われる操作(例えば、分注、吸引、セルの追加や除去など)のために選択される時間である。活動サイクル中に操作が行われる。サイクル時間は、それぞれの操作に必要な正確な時間となるように様々に変更することができる。例えば、操作時間が3.5秒の場合は、そのサイクル時間が3.5秒となり、操作時間が5秒の場合は、そのサイクル時間は5秒となる。しかしながら、サイクル時間は一定で変化しないのがより好ましい。従って、操作を行った後もサイクル時間が終了しないと、セルが静止したままである。例えば、サイクル時間は5秒であるが、試薬の分注時間が2秒の場合は、セルを保持しているインキュベータは次の操作まで動かないため、5秒のサイクル時間の内、3秒は静止したままである。操作が行われた場合、サイクルの最後で、セルが別の操作を受けるため或いはその位置で別のセルに同じ操作を行うために、セルが別の位置に移送される。これにより、セルに動きが加えられる。しかしながら、ある種のサイクルでは、吸引や分注などの操作が全てのセルに必要となるわけではないため、操作が予定されないことがある。オープンサイクルまたはフリーサイクルと呼ばれるこのようなサイクルでは、動きが不要なためセルが動かされない。図1に示されているように、インキュベータ内のセルの位置によって、一部のセルは、他のセルよりも多くのフリーサイクルを受けて動きが少ないため、与えられる全体の運動エネルギーが少ない。好適な実施形態では、一律で4.75秒のサイクルが用いられる。
【0027】
図1は、IgGアッセイにおけるインキュベータの動きの最大の効果を示すために開発された標準試験の実施に伴ってサンプルに動きが加えられるサイクルの数を示している。図1には、同一の2セットの実験の結果が示されている。2セットの実験の結果は、グラフの中心の縦線Aによって分けられている。それぞれの実験で、3セットのバッチを用いた。初めの2つのバッチはそれぞれ、10個のセルを有する。第1の実験の第1のバッチは、y軸に沿って1〜10を付し、第2のバッチは11〜20を付した。これらの2つのバッチについては、ランダム・アクセス・アナライザで10のアッセイを同時に行った。第3のバッチは、21〜50と付した30のセルを有する。第3のバッチについては、ランダム・アクセス・アナライザで同時に30サンプルを分析した。第2の実験では、それぞれのバッチは、51〜60、61〜70、および71〜100に対応する。データポイントに「x」を付したプロットは、特定のバッチにおける1つのセルの各サンプルが、アッセイの間に受けた動きの回数を示している。例えば、第1のバッチのセル番号1または第2のバッチのセル番号11は、それぞれのバッチで操作(すなわち、サンプルの分注や試薬の添加など)される初めのセルである。セルが受けた動きの回数は約100回である。一方、それぞれのバッチのセル9またはセル19は、動かされた回数が約75回である。従って、10セルのバッチの第1のセルは、最後から2番目のセルよりも動かされた回数が約33%多い。より顕著な30セルのバッチでは、バッチの一部のセルは動かされた回数が200回を超え、最低のセルは動かされた回数が約75回であり、動かされた回数が約166%多い。
【0028】
ダイヤモンドのデータポイント、正方形のデータポイント、および三角形のデータポイントは、各フリーサイクルで加えられる動きの回数が増大した時の効果を示している。ダイヤモンド(◆)は、各フリーサイクルでインキュベータに動きが2回加えられた場合に各セルが動いた回数を示している。正方形(■)は、各フリーサイクルでインキュベータに動きが3回加えられた場合に各セルが動いた回数を示している。三角形(▲)は、それぞれのフリーサイクルでインキュベータに動きが4回加えられた場合に各セルが動いた回数を示している。図1に示されているように、各フリーサイクルでインキュベータが動く回数が増えるにつれて、インキュベータが各セルを動かした回数が平準化されている。発明者達は、この実施形態では、各フリー・インキュベータ・サイクルに対してインキュベータに動きが4回加えられた場合に、インキュベータの動きで最も均一に処理できることが分かった。図1のデータ解析は次の通りである。
【表1】

【0029】
このデータが示すように、各フリーサイクルに動きが1回も加えられなかった場合のアッセイに比べ、各フリーサイクルに動きが4回加えられた場合のアッセイでは、CV値(32.03%〜2.53%)を用いると、動きの不正確さが約92%改善されている。
【0030】
動きを加えても、セルからサンプルや試薬が余分に蒸発しないのが好ましい。余分な蒸発は、動きが加えられる間、セルがインキュベータ内で覆われるようにして防止することができる。図1に示されている実験および好適な実施形態では、インキュベータは、言及することを以ってその開示内容の全てを本明細書の一部とする2004年11月12日出願の同時係属中の米国特許出願(名称:「加熱/冷却マルチ容器または多室容器(Heating And Cooling Multiple Containers Or Multi-Chamber Containers)」、代理人整理番号:CDS5025)に開示されているインキュベータを使用した。このタイプのインキュベータを用いる実施形態では、動きが加えられるインキュベーション・サイクルでセルが蒸発するのを防止するために、1つのインキュベータ・スロット(すなわち、前方または後方への1回の動きによりセルを一定距離、進める)に動きを制限するのが好ましい。すなわち、この処理を開始位置すなわちホーム位置から始める場合、動きをさらに制限すれば、セルを蒸発カバーの下側に維持できる。
【0031】
別の好適な実施形態では、加えられる動きは、サンプルを含むセルが通常に受ける動きと同一または同様の加速特性または減速特性を有する。加速比および減速比を大きくすると、液体の跳ねや気泡化は起こらないが、インキュベータが動く回数と動作との関係が非線形になるため好ましくない。
【0032】
図2には、セルに動きを加える別の効果が示されている。具体的には、セルが動く回数が増えるにつれて、インキュベータの動きに対する感度が低下する。図2は、1回のアッセイでセルが動く回数に対するIgGアッセイの結果を示している。ダイヤモンド(◆)として示されているデータは、各セルが動く回数が増えるにつれて、IgGの値が低下していることを実証している。従って、1回のアッセイで75回動かされるサンプルを含むセルと1回のアッセイで250回〜300回動かされるセルとでは、IgGについて記録された値に大きな差がある。図2のデータはまた、セルが動く回数が増えるにつれて、記録されたアッセイの結果が平準化した傾きになっていることが実証している。図2のデータからなる曲線は、1回のアッセイでの約250回の動きで平準化し始めている。従って、どのセルも250回以上動かすと、記録された各結果の精度が大幅に改善される。
【0033】
さらに、図3には、アッセイの精度の改善、この場合はセルに動きを加えた場合および加えられなかった場合のIgGアッセイの精度が例示されている。図3のグラフは、2つのセットの実験に分かれていて、それぞれの実験でアッセイの回数が異なる。試験すなわちアッセイの回数は、図3の右側の縦軸に目盛りで示されており、正方形(■)でプロットされている。従って、第1のセットの実験では、1つのバッチで10回の試験すなわちアッセイがあり、インキュベータ内のそれぞれのセルに、順に水平軸に1〜10を付した。第2のセットの実験では、30回の試験すなわちアッセイがあり、インキュベータ内のそれぞれのセルに、順に水平軸に11〜40を付した。三角形(▲)として示されているデータポイントは、動きを加えない場合の2回の実験の平均である(基準動作と呼ぶ)。図1に示されているように、反応段階でのインキュベータの動く回数が、バッチにおけるアッセイの回数に関係なく、いつもバッチの最後でかなり低下する。この事実から、図3における10回のアッセイの最後のアッセイ(すなわち、セル番号10)と30回のアッセイの最後のアッセイ(すなわち、セル番号40)の結果が殆ど同一である説明がつく。図面に結果が示されている試験では、バッチの終わりで処理ステップの数が少なくなるため、バッチの終わりが類似している。実際、バッチの最後の最後では、インキュベータ内で利用できるセルは唯1つである。ダイヤモンド(◆)として示されているデータポイントは、各サンプルの反応段階における1回のフリー・インキュベータ・サイクルで動きが3回加えられた8つのバッチの平均である。図3のデータが実証しているように、動きが加えられると、記録された結果の差は、10回のアッセイのバッチ内および30回のアッセイのバッチ内、ならびに10回のアッセイのバッチと30回のアッセイのバッチ間で僅かである。すなわち、IgGアッセイの実施中の精度は、動きを加えた場合、動きを加えない場合に比べて2倍〜3倍である(すなわち、CVの変化は4%から1.4%)。
【0034】
好適な実施形態では、様々なアナライザ構造に加える動きの最適な回数は、アッセイでセルが受けるサイクルの合計数を分析し、次いで様々なアッセイの特性によって決まるサイクルの回数の標準偏差を算出し、標準偏差が最も小さくなる処理を選択して求めることで決定される。これは数値的な方法である。別法では、特に、インキュベータに動きを加える様々な試みにより明らかに均一性が向上する場合は、図を用いた方法(図1‐図3に示されているような)で十分である。図面に示されているように、最適な均一性は、1回のフリーサイクルで動きを4回加えることで達成される。
【0035】
本発明に従った方法は、当分野で知られているように、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを有し、かつアナライザの計算機制御装置とインターフェイスするコンピュータプログラムで実行することができる。
【0036】
当業者であれば、本発明の化合物、組成物、および処理に対して様々な改良および変更が可能であることを理解できよう。従って、添付の特許請求の範囲内およびそれらと同等であれば、このような改良および変更も本発明に包含される。
【0037】
上記言及した全ての刊行物の開示は、言及することを以って、それぞれが個々に参照文献として含める場合と同様にそれらの開示内容の全てを本明細書の一部とする。
【0038】
〔実施の態様〕
(1)臨床アナライザのインキュベータ内での反応段階中にサンプルに動きを加える方法であって、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための1または複数のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を前記1または複数のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、前記1または複数のセルを配置するために前記インキュベータを移動させるステップと、
アッセイの反応段階中に1または複数のセルが動く回数が、同じアッセイにおいて、前記インキュベータ内でのサンプルの順序または前記インキュベータ内で分析されるサンプルの数によって実質的に変化しないように、前記インキュベータを追加的に動かすステップと、を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法であって、
少なくとも1種類の試薬を添加するステップをさらに含み、前記反応段階が、前記少なくとも1種類の試薬が添加された時からサンプルの測定が終了するまでの時間である、方法。
(3)実施態様(1)に記載の方法であって、
前記反応段階中の前記1または複数のセルの動く回数が、前記インキュベータ内で分析されるサンプルの数によって変化しない、方法。
(4)実施態様(1)に記載の方法であって、
全ての流体が前記セルに加えられて初めて前記全てのセルが同じ回数動かされることになるように、前記追加的に動かす前記ステップが全てのセルに対して実施される、方法。
(5)実施態様(1)に記載の方法であって、
前記反応段階が、操作を実行できる選択された時間の期間である、複数の時間サイクルを含む、方法。
【0039】
(6)実施態様(5)に記載の方法であって、
前記サイクルの少なくとも1つが、操作が実行されないフリーサイクルであり、前記サイクルの少なくとも1つが、操作が実行されるアクティブサイクルである、方法。
(7)実施態様(6)に記載の方法であって、
少なくとも1つの前記フリーサイクル中に前記インキュベータを追加的に動かすステップをさらに含む、方法。
(8)実施態様(6)に記載の方法であって、
前記インキュベータを追加的に動かす前記ステップが、全ての前記フリーサイクルの際に行われる、方法。
(9)実施態様(8)に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、前記フリーサイクルおよび前記アクティブサイクルの両方に対して行われ、それにより全てのサイクルで動く回数が同じとなる、方法。
(10)実施態様(6)に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクル中に少なくとも2回動きを加えることを含む、方法。
【0040】
(11)実施態様(6)に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクルの最中または最後に少なくとも3回動きを加えること含む、方法。
(12)実施態様(6)に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクルの最中または最後に少なくとも4回動きを加えること含む、方法。
(13)実施態様(1)に記載の方法であって、
追加的な動きを受けるセルと追加的な動きを受けないセルとの間の変動係数率(%)が20%以下である、方法。
(14)実施態様(5)に記載の方法であって、
前記操作が、吸引、分注、および前記インキュベータからの前記セルの取り出しを含む、方法。
(15)実施態様(1)に記載の方法であって、
前記セルが、少なくとも2つの並置されたウェルを有するマルチ・ウェル・キュベットであり、前記インキュベータが、前方から後方への配置で少なくとも2つのキュベットを保持するためのスロットを有する、方法。
【0041】
(16)実施態様(15)に記載の方法であって、
前記キュベットが、少なくとも6つの横並びのウェルを有しており、前記インキュベータが、少なくとも6つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
(17)実施態様(15)に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
(18)実施態様(1)に記載の方法であって、
前記セルが、カップ型マイクロウェルであり、前記インキュベータが、前記カップ型マイクロウェルを保持できる回転リングである、方法。
(19)実施態様(18)に記載の方法であって、
前記マイクロウェルにストレプトアビジンがコーティングされている、方法。
(20)実施態様(1)に記載の方法であって、
前記アッセイが、凝集アッセイまたは沈降アッセイであり、前記分析方法が、濁度分析法または比濁分析法である、方法。
【0042】
(21)実施態様(20)に記載の方法であって、
前記アッセイがタンパク質アッセイである、方法。
(22)実施態様(21)に記載の方法であって、
前記アッセイが、免疫グロブリンG(IgG)、プレアルブミン(PALB)、トランスフェリン(TRFRN)、およびミクロアルブミン(MALB)についてのアッセイである、方法。
(23)臨床アナライザ内での複数のアッセイの精度を向上させるための方法であって、
アッセイするサンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための2つ以上のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を前記2つ以上のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、前記2つ以上のセルを配置するために前記インキュベータを移動させるステップと、
前記サンプルの測定を実施する前に前記サンプルを追加的に動かすステップであって、このステップを受けるサンプルの方が、このステップを受けないサンプルよりも精度が高い、前記ステップと、を含む、方法。
(24)実施態様(23)に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが前記測定の直前である、方法。
(25)実施態様(23)に記載の方法であって、
前記アッセイが、凝集アッセイまたは沈降アッセイであり、前記分析方法が、濁度分析法または比濁分析法である、方法。
【0043】
(26)実施態様(25)に記載の方法であって、
前記アッセイがタンパク質アッセイである、方法。
(27)実施態様(26)に記載の方法であって、
前記アッセイが、免疫グロブリンG(IgG)、プレアルブミン(PALB)、およびミクロアルブミン(MALB)についてのアッセイである、方法。
(28)サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための方法であって、
サンプルを用意し、実施態様(1)に記載のインキュベータを動かすステップと、
前記サンプルの光度測定を行うために放射光を検出するための少なくとも1つの検出器を有する光学測定ステーションを用意するステップと、
前記セルを前記光学測定ステーションに移送するステップと、
前記セルからの放射光を前記検出器で測定することを含む少なくとも1つの測定を行うステップと、を含む、方法。
(29)実施態様(28)に記載の方法であって、
前記分析方法が吸光分光光度法であり、前記セルがキュベットであり、前記光学測定ステーションが、前記サンプルを通過するように光ビームを配向する光源、および前記サンプルからの放射光を検出するための光度計を含む、方法。
(30)実施態様(29)に記載の方法であって、
2つ以上の前記セルが、少なくとも2つの並置されたウェルを有するマルチ・ウェル・キュベットであり、前記インキュベータが、前方から後方への配置で少なくとも2つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
【0044】
(31)実施態様(30)に記載の方法であって、
前記キュベットが、少なくとも6つの横並びのウェルを有しており、前記インキュベータが、少なくとも6つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
(32)実施態様(31)に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
(33)実施態様(28)に記載の方法であって、
前記分析方法が強化化学発光法であり、前記セルが、カップ型ウェルであり、前記光学測定ステーションが、前記サンプルからの放射光を検出するための照度計を含む、方法。
(34)実施態様(33)に記載の方法であって、
前記インキュベータが、前記カップ型ウェルを保持できる回転リングである、方法。
(35)実施態様(34)に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
【0045】
(36)実施態様(6)に記載の方法であって、
フリーサイクルでの動く回数が、全てのアクティブサイクルにおける動く回数の最大と同じである、方法。
(37)実施態様(6)に記載の方法であって、
フリーサイクルでの動く回数が、全てのサイクルにおける動く回数の平均と同じである、方法。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】各インキュベータサイクルに加えられる様々な追加的な動きに基づいたインキュベータが加えた動きの合計回数を示すグラフである。
【図2】IgGの結果に対してインキュベータが動いた回数を示すグラフである。
【図3】インキュベータに動きが加えられた場合とインキュベータに動きが加えられなかった場合のバッチに対して、10回のアッセイのバッチのセルの位置と30回のアッセイのバッチのセルの位置との間で、記録されたIgG濃度が一貫していることを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床アナライザのインキュベータ内での反応段階中にサンプルに動きを加える方法であって、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための1または複数のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を前記1または複数のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、前記1または複数のセルを配置するために前記インキュベータを移動させるステップと、
アッセイの反応段階中に1または複数のセルが動く回数が、同じアッセイにおいて、前記インキュベータ内でのサンプルの順序または前記インキュベータ内で分析されるサンプルの数によって実質的に変化しないように、前記インキュベータを追加的に動かすステップと、を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
少なくとも1種類の試薬を添加するステップをさらに含み、前記反応段階が、前記少なくとも1種類の試薬が添加された時からサンプルの測定が終了するまでの時間である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応段階中の前記1または複数のセルの動く回数が、前記インキュベータ内で分析されるサンプルの数によって変化しない、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
全ての流体が前記セルに加えられて初めて前記全てのセルが同じ回数動かされることになるように、前記追加的に動かす前記ステップが全てのセルに対して実施される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記反応段階が、操作を実行できる選択された時間の期間である、複数の時間サイクルを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記サイクルの少なくとも1つが、操作が実行されないフリーサイクルであり、前記サイクルの少なくとも1つが、操作が実行されるアクティブサイクルである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
少なくとも1つの前記フリーサイクル中に前記インキュベータを追加的に動かすステップをさらに含む、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記インキュベータを追加的に動かす前記ステップが、全ての前記フリーサイクルの際に行われる、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、前記フリーサイクルおよび前記アクティブサイクルの両方に対して行われ、それにより全てのサイクルで動く回数が同じとなる、方法。
【請求項10】
請求項6に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクル中に少なくとも2回動きを加えることを含む、方法。
【請求項11】
請求項6に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクルの最中または最後に少なくとも3回動きを加えること含む、方法。
【請求項12】
請求項6に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが、少なくとも1つの前記フリーサイクルの最中または最後に少なくとも4回動きを加えること含む、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、
追加的な動きを受けるセルと追加的な動きを受けないセルとの間の変動係数率(%)が20%以下である、方法。
【請求項14】
請求項5に記載の方法であって、
前記操作が、吸引、分注、および前記インキュベータからの前記セルの取り出しを含む、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記セルが、少なくとも2つの並置されたウェルを有するマルチ・ウェル・キュベットであり、前記インキュベータが、前方から後方への配置で少なくとも2つのキュベットを保持するためのスロットを有する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、
前記キュベットが、少なくとも6つの横並びのウェルを有しており、前記インキュベータが、少なくとも6つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
【請求項18】
請求項1に記載の方法であって、
前記セルが、カップ型マイクロウェルであり、前記インキュベータが、前記カップ型マイクロウェルを保持できる回転リングである、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、
前記マイクロウェルにストレプトアビジン(streptavidin)がコーティングされている、方法。
【請求項20】
請求項1に記載の方法であって、
前記アッセイが、凝集アッセイまたは沈降アッセイであり、前記分析方法が、濁度分析法または比濁分析法である、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、
前記アッセイがタンパク質アッセイである、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記アッセイが、免疫グロブリンG(immunoglobulin)(IgG)、プレアルブミン(prealbumin)(PALB)、トランスフェリン(transferring)(TRFRN)、およびミクロアルブミン(microalbumin)(MALB)についてのアッセイである、方法。
【請求項23】
臨床アナライザ内での複数のアッセイの精度を向上させるための方法であって、
アッセイするサンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を受容するための2つ以上のセルを有するインキュベータを含むアナライザを用意するステップと、
サンプルおよび随意選択の1または複数の試薬を前記2つ以上のセルのそれぞれに分注することを含む操作を実施するべく、前記2つ以上のセルを配置するために前記インキュベータを移動させるステップと、
前記サンプルの測定を実施する前に前記サンプルを追加的に動かすステップであって、このステップを受けるサンプルの方が、このステップを受けないサンプルよりも精度が高い、前記ステップと、を含む、方法。
【請求項24】
請求項23に記載の方法であって、
追加的に動かす前記ステップが前記測定の直前である、方法。
【請求項25】
請求項23に記載の方法であって、
前記アッセイが、凝集アッセイまたは沈降アッセイであり、前記分析方法が、濁度分析法または比濁分析法である、方法。
【請求項26】
請求項25に記載の方法であって、
前記アッセイがタンパク質アッセイである、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記アッセイが、免疫グロブリンG(IgG)、プレアルブミン(PALB)、およびミクロアルブミン(MALB)についてのアッセイである、方法。
【請求項28】
サンプル中の分析物の存在または濃度を測定するための方法であって、
サンプルを用意し、請求項1に記載のインキュベータを動かすステップと、
前記サンプルの光度測定を行うために放射光を検出するための少なくとも1つの検出器を有する光学測定ステーションを用意するステップと、
前記セルを前記光学測定ステーションに移送するステップと、
前記セルからの放射光を前記検出器で測定することを含む少なくとも1つの測定を行うステップと、を含む、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、
前記分析方法が吸光分光光度法であり、前記セルがキュベットであり、前記光学測定ステーションが、前記サンプルを通過するように光ビームを配向する光源、および前記サンプルからの放射光を検出するための光度計を含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の方法であって、
2つ以上の前記セルが、少なくとも2つの並置されたウェルを有するマルチ・ウェル・キュベットであり、前記インキュベータが、前方から後方への配置で少なくとも2つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、
前記キュベットが、少なくとも6つの横並びのウェルを有しており、前記インキュベータが、少なくとも6つのキュベットを保持するためにスロットを有する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
【請求項33】
請求項28に記載の方法であって、
前記分析方法が強化化学発光法であり、前記セルが、カップ型ウェルであり、前記光学測定ステーションが、前記サンプルからの放射光を検出するための照度計を含む、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、
前記インキュベータが、前記カップ型ウェルを保持できる回転リングである、方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記動きが前後の動きである、方法。
【請求項36】
請求項6に記載の方法であって、
フリーサイクルでの動く回数が、全てのアクティブサイクルにおける動く回数の最大と同じである、方法。
【請求項37】
請求項6に記載の方法であって、
フリーサイクルでの動く回数が、全てのサイクルにおける動く回数の平均と同じである、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−177958(P2006−177958A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−366911(P2005−366911)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(501131014)オーソ−クリニカル・ダイアグノスティックス・インコーポレイテッド (30)
【氏名又は名称原語表記】Ortho−Clinical Diagnostics, Inc.
【住所又は居所原語表記】100 Indigo Creek Drive, Rochester, NY 14626−5101, U.S.A.
【Fターム(参考)】