説明

アデノシンA1アゴニストおよび/またはA1/A2b双方アゴニストの、障害の処置用の医薬を製造するための新規用途

本発明は、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病、並びに、高血圧および心血管系の疾患と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための、式(IA)および(IB)のA1アゴニストおよび/またはA1/A2b双方アゴニストの使用に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病、並びに、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための、式(IA)および(IB)のA1アゴニストおよび/またはA1/A2b双方アゴニストの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
米国、欧州および日本の1億8000万人を超える人々が、高血圧を患っている。集団が段々と加齢するにつれて、この割合はさらに一層高まるであろう。高血圧と診断された全患者の65%は、また、異脂肪血症を、16%は糖尿病を患っている。さらに高い割合が、これらの障害の初期段階である代謝症候群を患っている。これらのさらなる疾患のために、これらの患者では、CHD、狭心症、動脈硬化症および心筋梗塞などの心血管障害を発症するリスクが大幅に高い。多くの成功する治療法があるにも拘わらず、心血管障害は、深刻な公衆衛生問題のままである。これらの高リスク患者を、血圧および/または心拍を下げるのみならず、これらの付加的障害に対する正の効果も有する薬物で処置することは、患者にとって大きな利益であろう。
【0003】
プリンヌクレオシドであるアデノシンは、全ての細胞に存在し、多数の生理的および病理的刺激下で放出される。アデノシンは、細胞内で、アデノシン5'−一リン酸(AMP)および中間体としてのS−アデノシルホモシステインの分解の際に産生されるが、細胞から放出され、次いで、特異的受容内への結合により、ホルモン様物質または神経伝達物質としての効果を発揮できる。
【0004】
正常酸素圧条件下で、細胞外空間における遊離アデノシンの濃度は非常に低い。しかしながら、虚血または低酸素条件下で、罹患した器官におけるアデノシンの細胞外濃度は劇的に上昇する。かくして、例えば、アデノシンが血小板凝集を阻害し、冠血管の灌流を高めることが知られている。それは、血圧、心拍、神経伝達物質の分泌およびリンパ球の分化にも作用する。
【0005】
脂肪細胞では、アデノシンは、特異的アデノシン受容体の活性化を介して脂肪分解を阻害する能力があり、かくして、血中の遊離脂肪酸およびトリグリセリドの濃度を下げる。
【0006】
今までに、アデノシンの作用は4つの特異的受容体により媒介されると知られている。今日までに、サブタイプA1、A2a、A2bおよびA3が知られている。これらのアデノシン受容体の作用は、細胞内でメッセンジャーcAMPにより媒介される。アデノシンがA2aまたはA2b受容体に結合する場合、細胞内cAMPは、膜結合型アデニル酸シクラーゼの活性化を介して増加し、一方、アデノシンがA1またはA3受容体に結合すると、アデニル酸シクラーゼの阻害を介して細胞内cAMP濃度が低く維持されるに至る。
【0007】
心血管系では、アデノシン受容体の活性化の主要な結果は、A1受容体を介する徐脈作用、負の変力作用および虚血に対する心臓の保護(「プレコンディショニング」)、A2aおよびA2b受容体を介する血管の拡張、並びに、A2b受容体を介する線維芽細胞および平滑筋細胞の増殖および遊走の阻害である。
【0008】
アデノシンまたは特異的A2bアゴニストによるA2b受容体の活性化は、血管の拡張により、血圧の低下を導く。血圧の低下は、多くの場合、反射性心拍増加を伴う。
【0009】
頻拍症または反射性心拍増加は、特異的A1アゴニストを使用するA1受容体の活性化により、処置または低減できる。
【0010】
従って、血管系および心拍に対する選択的A1/A2bアゴニストの作用の組合せは、反射性心拍増加の傾向の有意な低減を伴って、血圧の全身的低下をもたらす。そのような薬理プロフィールを有するA1/A2b双方アゴニストを、例えばヒトの高血圧の処置に用いることができる。
【0011】
脂肪細胞では、A1およびA2b受容体の活性化は脂肪分解の阻害を導く。従って、脂質代謝に対する、A1またはA1/A2bアゴニストの、個々の、または、組み合わされた作用は、遊離脂肪酸および/またはトリグリセリドの低下をもたらす。次に、例えば、代謝症候群を患っている患者において、そして糖尿病患者において、脂質または遊離脂肪酸の低下は、インシュリン耐性の低下および症状の改善を導く。
【0012】
「アデノシン受容体特異的」と称される先行技術から知られているリガンドは、主に、天然アデノシンを基礎とする誘導体である[S.-A. Poulsen and R. J. Quinn, "Adenosine receptors: new opportunities for future drugs" in Bioorganic and Medicinal Chemistry 6 (1998), pages 619-641]。しかしながら、先行技術から知られているこれらのアデノシンリガンドの殆どは、それらの作用が真に受容体特異的ではなく、それらの活性は天然アデノシンのものより低いか、または、それらは経口投与後に非常に弱い活性しか持たないという欠点を有する。従って、それらは、主に実験目的でのみ使用されている。
【0013】
WO02/06237は、カルシウム依存性カリウムチャネル開口薬としてのアリール置換ジシアノピリジン類および尿生殖路の障害の処置におけるそれらの使用を開示している。さらに、WO01/25210およびWO02/070485は、障害の処置用の置換2−チオ−3,5−ジシアノ−4−アリール−6−アミノピリジン類をアデノシン受容体リガンドとして記載している。WO03/053441は、特異的に置換された2−チオ−3,5−ジシアノ−4−フェニル−6−アミノピリジン類を、特定の心血管障害の処置用のアデノシンA1受容体の選択的リガンドとして開示している。WO02/50071は、アミノチアゾール誘導体を、様々な病気の処置用のチロシンキナーゼ阻害剤として記載している。
【0014】
従って、アデノシンA1受容体の選択的アゴニストとして、または、A1/A2b受容体の選択的双方アゴニストとして作用し、それ自体、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置および/または予防に適する化合物を提供することが、本発明の目的である。
【0015】
アデノシンA1受容体の選択的アゴニストとして、または、A1/A2b受容体の選択的双方アゴニストとして作用し、それ自体、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置および/または予防に適する化合物を提供することが、本発明のもう一つの目的である。
【0016】
組合せにおいて、アデノシンA1受容体の選択的アゴニストとして、そして、A1/A2b受容体の選択的双方アゴニストとして作用し、それ自体、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病、並びに、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置および/または予防に適する化合物を提供することが、本発明のさらなる目的である。
【発明の開示】
【0017】
本発明は、式(IA)
【化1】

[式中、
は、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノまたはN'−メチルピペラジノにより置換されていてもよい)を表し、
は、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し
(ここで、アルキルおよびアルコキシは、5個までのフッ素により各々置換されていてもよい)、
そして、
nは、数0、1、2、3、4または5を表す
(ここで、置換基Rが1個より多く存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)]
の化合物、およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用を提供する。
【0018】
本発明による化合物は、式(IA)および(IB)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(IA)および(IB)に包含される、下記またはWO03/053441で言及される式の化合物、およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(IA)および(IB)に包含される、実施例として下記またはWO03/053441で言及される化合物、およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である(但し、式(IA)および(IB)に包含される、下記またはWO03/053441で言及される化合物が、まだ塩、溶媒和物および塩の溶媒和物ではない場合)。
【0019】
本発明による式(IA)および(IB)の化合物は、それらの構造次第で、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物を包含する。立体異性的に純粋な構成分は、そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、既知方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を包含する。
【0020】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も包含される。
【0021】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0022】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、常套の塩基の塩、例えば、そして、好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個の炭素原子を有する有機アミン(例えば、そして、好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0023】
溶媒和物は、本発明の目的上、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明の目的上、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0024】
加えて、本発明は、本発明による化合物のプロドラッグも包含する。用語「プロドラッグ」は、それら自体は生物学的に活性であっても不活性であってもよいが、それらの体内残存時間中に(例えば代謝的または加水分解的に)本発明による化合物に変換される化合物を包含する。
【0025】
本発明の目的上、断りのない限り、置換基は以下の意味を有する:
本発明の目的上、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルキルおよび(C−C)−アルキルは、1個ないし6個、2個ないし6個、1個ないし4個および2個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましいのは、1個ないし4個または2個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましく言及し得る:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−エチルプロピル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル。
【0026】
本発明の目的上、(C−C)−アルコキシおよび(C−C)−アルコキシは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましく言及し得る:メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよびtert−ブトキシ。
【0027】
本発明の目的上、(C−C)−アルコキシカルボニルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有し、カルボニル基を介して結合している、直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子をアルコキシ基に有する直鎖または分枝鎖のアルコキシカルボニルラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましく言及し得る:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert−ブトキシカルボニル。
【0028】
本発明の目的上、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびモノ−(C−C)−アルキルアミノは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。好ましいのは、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のモノアルキルアミノラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましく言及し得る:メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノおよびtert−ブチルアミノ。
【0029】
本発明の目的上、ジ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノは、1個ないし6個および1個ないし4個の炭素原子を各々有する2個の同一かまたは異なる直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。好ましいのは、各場合で1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のジアルキルアミノラジカルである。以下のラジカルは、例として、そして好ましく言及し得る:N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノ、N−エチル−N−n−ペンチルアミノおよびN−n−ヘキシル−N−メチルアミノ。
【0030】
本発明の目的上、ハロゲンには、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が含まれる。好ましいのは、塩素またはフッ素である。
【0031】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているとき、断りの無い限り、そのラジカルは、一置換または多置換されていてよい。本発明の目的上、1個より多く存在する全てのラジカルの意味は、相互に独立している。好ましいのは、1個、2個または3個の同一かまたは異なる置換基による置換である。ことさら特に好ましいのは、1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換である。
【0032】
本発明の目的上、好ましいのは、式中、
が、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、アミノまたはジメチルアミノにより置換されていてもよい)を表し、
が、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し
(ここで、アルキルおよびアルコキシは、3個までのフッ素により各々置換されていてもよい)、
そして、
nが、数0、1または2を表す
(ここで、置換基Rが2個存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)、
式(IA)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用医薬の製造のために使用することである。
【0033】
本発明の目的上、特に好ましいのは、式中、
が、水素を表し、
が、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル(これらは、各場合で、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、モノ−およびジメチルアミノ、カルボキシル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
そして、
nが、数0、1または2を表す
(ここで、置換基Rが2個存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)、
式(IA)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物を、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用医薬の製造のために使用することである。
【0034】
式(IA)の化合物は、以下の方法により製造できる。
式(II)
【化2】

(式中、RおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式(III)
【化3】

(式中、Rおよびnは、上記の意味を有し、そして、
Xは、適する脱離基、好ましくはハロゲン、特に塩素、臭素またはヨウ素を表すか、または、メシレート、トシレートまたはトリフレートを表す)
の化合物と反応させ、式(IA)の化合物を、必要に応じて、適切な(i)溶媒および/または(ii)塩基もしくは酸により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【0035】
上記の方法は、下記の式のスキームにより例示的に図解できる:
スキーム1
【化4】

【0036】
本発明による方法に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキサンなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタンまたはクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシドなどの他の溶媒が含まれる。他の適する溶媒は、水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0037】
適する塩基は、常套の無機または有機塩基である。これらには、好ましくは、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムなどのアルカリ金属炭酸塩、重炭酸ナトリウムまたは重炭酸カリウムなどのアルカリ金属重炭酸塩、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカリウムエトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、または、ナトリウムアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドまたはリチウムジイソプロピルアミドなどのアミド、または、ブチルリチウムまたはフェニルリチウムなどの有機金属化合物、または、トリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)または1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)などの有機アミンが含まれる。好ましいのは、アルカリ金属炭酸塩および重炭酸塩である。
【0038】
ここで、塩基は、式(II)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量で用いることができる。
【0039】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは−20℃ないし+60℃の範囲で、特に0℃ないし+40℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。一般に、反応は、大気圧で実施する。
【0040】
が水素を表す式(II)の化合物は、それ自体当業者に知られているか、または、文献からわかる常套の方法により製造できる。特に、下記の出願を参照し得、それらの各々の内容を出典明示により本明細書の一部とする:
a) Dyachenko et al., Russian Journal of Chemistry 33 (7), 1014 1017 (1997) and 34 (4), 557 563 (1998);
b) Dyachenko et al., Chemistry of Heterocyclic Compounds 34 (2), 188-194 (1998);
c) Qintela et al., European Journal of Medicinal Chemistry 33, 887-897 (1998);
d) Kandeel et al., Zeitschrift fuer Naturforschung 42b, 107-111 (1987)。
【0041】
が水素を表す式(II)の化合物は、また、式(IV)
【化5】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物から、アルカリ金属硫化物との反応により製造できる。この製造方法は、下記の式のスキームにより例示的に図解できる:
【0042】
スキーム2
【化6】

【0043】
使用するアルカリ金属硫化物は、好ましくは、式(IV)の化合物1molを基準として、1ないし10mol、好ましくは1ないし5mol、特に1ないし4molの量の硫化ナトリウムである。
【0044】
適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、好ましくは、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、ピリジンおよびアセトニトリルが含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。特に好ましいのは、N,N−ジメチルホルムアミドである。
【0045】
この反応は、一般的に、+20℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃の範囲で、特に+60℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧で(例えば0.5ないし5barの範囲で)実施できる。一般に、この反応は、大気圧で実施する。
【0046】
式(IV)の化合物は、下記の刊行物に記載の化合物と同様に製造できる:
a) Kambe et al., Synthesis, 531-533 (1981);
b) Elnagdi et al., Z. Naturforsch. 47b, 572-578 (1991)。
【0047】
が水素を表さない式(II)の化合物は、式(IV)の化合物を、先ず塩化銅(II)および亜硝酸イソアミルを用いて、適する溶媒中で、式(V)
【化7】

(式中、Rは上記の意味を有する)
の化合物に変換し、次いで、これらを、式(VI)
1A−NH (VI)
(式中、R1Aは、上記Rの意味を有するが、水素を表さない)
の化合物と反応させ、式(VII)
【化8】

(式中、R1AおよびRは、各々上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、それを硫化ナトリウムにより式(II)の化合物に変換することにより、製造できる。
【0048】
上記の方法は、下記の式のスキームにより例示的に図解できる:
スキーム3
【化9】

【0049】
工程(IV)→(V)は、一般的に、式(IV)の化合物1molを基準として、塩化銅(II)2ないし12molおよび亜硝酸イソアミル2ないし12molのモル比を使用して実施する。
【0050】
この工程に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリルまたはピリジンなどの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、アセトニトリルおよびジメチルホルムアミドである。
【0051】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+100℃の範囲で、特に+20℃ないし+60℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。一般に、この反応は大気圧で実施する。
【0052】
工程(V)+(VI)→(VII)は、一般的に、式(V)の化合物1molにつき、式(VI)の化合物1ないし8molのモル比を使用して実施する。
【0053】
この反応段階に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシドなどの他の溶媒が含まれる。他の適する溶媒は水である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0054】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+180℃の温度範囲、好ましくは+20℃ないし+160℃の範囲、特に+20℃ないし+40℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。一般に、この反応は大気圧で実施する。
【0055】
工程(VII)→(II)は、一般的に、式(VII)の化合物1molを基準として、硫化ナトリウム1ないし8molのモル比を使用して実施する。
【0056】
この反応段階に適する溶媒は、反応条件下で不活性である全ての有機溶媒である。これらには、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどのアルコール類、アセトンおよびメチルエチルケトンなどのケトン類、ジエチルエーテルおよびテトラヒドロフランなどの非環式および環式エーテル類、酢酸エチルまたは酢酸ブチルなどのエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンまたはシクロヘキサンなどの炭化水素類、ジクロロメタン、ジクロロエタンまたはクロロベンゼンなどの塩化炭化水素類、または、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ピリジンまたはジメチルスルホキシドなどの他の溶媒が含まれる。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましい溶媒は、ジメチルホルムアミドである。
【0057】
この反応は、一般的に、−78℃ないし+180℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+160℃の範囲で、特に+40℃ないし+100℃で実施する。この反応は、大気圧、加圧または減圧で(例えば、0.5ないし5barの範囲で)実施できる。一般に、この反応は大気圧で実施する。
【0058】
式(VI)の化合物は、購入できるか、当業者に知られているか、または、常套の方法により製造可能である。
【0059】
式(III)の化合物は、式(VIII)
【化10】

(式中、Rおよびnは、上記の意味を有する)
の化合物から、1,3−ジハロアセトンとの反応により製造できる。この製造方法は、下記の式のスキームにより例示的に図解できる:
【0060】
スキーム4
【化11】

【0061】
ここで、式(III−A)の化合物は、文献[I. Simiti et al., Chem. Ber. 95, 2672-2679 (1962)]と同様に製造および単離できるか、または、それらは、その場で生成させ、さらに式(II)の化合物と直接反応させることができる。好ましいのは、ジメチルホルムアミドまたはエタノール中の1,3−ジクロロアセトンおよび式(VIII)の化合物からその場で生成させることである。この製造は、一般的に、0℃ないし+140℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+120℃の範囲で、特に+80℃ないし+100℃で実施する。
【0062】
式(VIII)の化合物は、購入できるか、当業者に知られているか、または、常套の方法により製造可能である。
【0063】
本発明は、また、式(IB)
【化12】

[式中、
nは、2、3または4の数を表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、
は、ピリジルまたはチアゾリル{これは、(C−C)−アルキル、ハロゲン、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、ピリジルアミノ、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−(C−C)−アルキルピペラジニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、(C−C)−アルキル−置換されていることもあるチアゾリルまたはフェニル(これは、3個までのハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていることもある)により置換されていてもよい}を表す]
の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用を提供する。
【0064】
また好ましいのは、式中、
nが数2を表し、
が、水素、メチルまたはエチルを表し、
そして、
が、ピリジルまたはチアゾリル{これは、メチル、エチル、フッ素、塩素、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、2−ピリジルアミノ、4−ピリジルアミノ、チエニル、ピリジル、モルホリニル、ピペリジニル、メチル置換されていることもあるチアゾリルまたはフェニル(これは、3個までの塩素またはメトキシにより置換されている)により置換されていてもよい}を表す、
式(IB)の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用である。
【0065】
特に好ましいのは、式中、Rが水素またはメチルを表す式(IB)の化合物を、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するために使用することである。
【0066】
特に好ましいのは、また、式中、
nが数2を表し、
が水素またはメチルを表し、
そして、
が、ピリジルまたはチアゾリル{これは、メチル、塩素、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、2−ピリジルアミノ、4−ピリジルアミノ、チエニル、ピリジル、モルホリニル、2−メチルチアゾール−5−イル、フェニル、4−クロロフェニルまたは3,4,5−トリメトキシフェニルにより置換されていてもよい}を表す、
式(IB)の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物を、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するために使用することである。
【0067】
ことさら特に好ましいのは、下記の構造
【化13】

を有するWO03/053441の実施例6由来の化合物、並びにその塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物を、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するために使用することである。
【0068】
式(IB)の化合物、それらの製造および明示的に言及される実施例は、WO03/053441から知られている。ここで、WO03/053441の教示を、出典明示により本開示の一部とする。
【0069】
本発明は、さらに好ましくは、式(IA)および(IB)の化合物、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用を提供する。
【0070】
本発明は、さらに好ましくは、式(IA)および/または(IB)の化合物、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用を提供する。
【0071】
式(IA)の化合物は、A1およびA2b受容体に選択的に作用する、アデノシンの双方アゴニストであると見出された。
【0072】
式(IB)の化合物は、A1受容体に選択的に作用する、アデノシンの単一アゴニストであると見出された。
【0073】
特異的A1アゴニストは、特異的A1アゴニストが、各々の同じ種のA2b受容体に対する効果と比較して、10倍大きいA1受容体に対するアゴニスト効果を有する点で、対応するA1/A2b双方アゴニストと異なる。特異性は、適切なインビトロアッセイで濃度を基準として、かつ/または、インビボ実験で各々の投与量を基準として、決定できる。
【0074】
驚くべきことに、本発明による式(IA)および(IB)の化合物は、予見できない有用な薬理活性スペクトルを有し、従って、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病、並びに、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の予防および/または処置に、そして、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病、並びに、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬の製造に、特に適する。
【0075】
本発明による化合物の医薬活性は、アデノシンA1およびA2b受容体の選択的リガンドとしてのそれらの作用により説明できる。ここで、式(IB)の化合物は、単一のA1アゴニストとして作用し、式(IA)の化合物は、A1/A2b双方アゴニストとして作用する。
【0076】
本発明によると、「アデノシン受容体選択的リガンド」は、アデノシン受容体の1つまたはそれ以上のサブタイプに選択的に結合し、かくしてアデノシンの作用を模倣する(アデノシンアゴニスト)か、または、その作用を遮断する(アデノシンアンタゴニスト)物質である。
【0077】
本発明に関して、「選択的」は、第1に、A1またはA1/A2bアデノシン受容体サブタイプでの顕著な活性が観察でき、第2に、A2aおよびA3アデノシン受容体サブタイプでの、全くないか、またはかなり弱い活性(10倍またはそれ以上)が観察できるアデノシン受容体リガンドである。
【0078】
本発明の目的上、心血管系の障害または心血管障害は、高血圧に加えて、特に以下の障害:冠動脈再狭窄、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、頻拍症、不整脈、末梢および心臓血管の障害、安定および不安定狭心症、心房および心室細動、並びに心筋梗塞を意味すると理解される。
【0079】
本発明は、さらに、式(IA)および(IB)の化合物を使用する、上述の症候群の予防および/または処置方法に関する。
【0080】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常、1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的のためのそれらの使用を提供する。
【0081】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらを、例えば、経口で、非経腸で、肺に、鼻腔に、舌下に、舌に、頬側に、直腸に、皮膚に、経皮で、結膜に、耳に、またはインプラントもしくはステントとしてなど、適する方法で投与できる。
これらの投与経路のために、本発明による化合物を、適する投与形で投与できる。
【0082】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて働き、本発明による化合物を迅速に、かつ/または、改変された形態で送達し、本発明による化合物を結晶形および/または不定形および/または溶解形で含む投与形、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、遅れて溶解するか、または不溶であり、本発明による化合物の放出を制御する被覆を施された錠剤)、口腔中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、粉末剤、乳剤、懸濁剤、エアゾル剤または液剤である。
【0083】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または、吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、実施できる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴製剤である。
【0084】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形態(なかんずく、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー;舌に、舌下にまたは頬側に投与される錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、耳および眼用製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
好ましいのは、経口または非経腸投与、特に経口投与である。
【0085】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行い得る。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および味および/または臭気の矯正剤が含まれる。
【0086】
一般に、非経腸投与の場合、約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を得るために有利であると明らかにされた。経口投与の場合、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0087】
それにも拘わらず、必要に応じて、即ち、体重、投与経路、活性化合物に対する個体の応答、製剤のタイプおよび投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり得、一方上述の上限を超えなければならない場合もある。比較的大量に投与する場合、これらを1日に亘る複数の個別投与量に分割するのが望ましいことがある。
【0088】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
下記の試験および実施例における百分率は、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および記載される濃度は、各場合で体積を基準とする。
【実施例】
【0089】
A. 実施例
使用する略号:
【表1】

【0090】
HPLC−およびLC−MSの方法:
方法1(HPLC):
装置: Hewlett Packard Series 1050; カラム: Symmetry TM C18 3.9 x 150 mm;流速:1.5ml/分;移動相A:水、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:→0.6分10%B→3.8分100%B→5.0分100%B→5.5分10%B;停止時間:6.0分;注入量:10μl;ダイオードアレイ検出器シグナル:214および254nm。
【0091】
方法2(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0092】
方法3(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0093】
方法4(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%強度ギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%強度ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0094】
方法5(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Merck Chromolith SpeedROD RP-18e 100 mm x 4.6 mm;移動相A:水+50%強度ギ酸500μl/l、移動相B:アセトニトリル+50%強度ギ酸500μl/l;グラジエント:0.0分10%B→7.0分95%B→9.0分95%B;オーブン:35℃;流速:0.0分1.0ml/分→7.0分2.0ml/分→9.0分2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0095】
方法6(HPLC):
装置:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0096】
方法7(HPLC):
装置:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil RP-18, 60 mm x 2 mm, 3.5 μm;移動相A:HClO5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B;流速:0.75ml/分;オーブン:30℃;UV検出:210nm。
【0097】
出発物質および中間体:
実施例1A
4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]ベンズアルデヒド
【化14】

トリフェニルホスフィン39.3g(150mmol)を、乾燥THF250ml中の1,2−O−イソプロピリデングリセロール13.2g(100mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を約0℃に冷却し、4−ヒドロキシベンズアルデヒド12.2g(100mmol)およびジイソプロピルアゾジカルボキシレート(DIAD)31.9g(150mmol)を添加する。黄色の反応溶液を室温で16時間撹拌する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を飽和重炭酸ナトリウム溶液150mlに添加する。混合物を酢酸エチルで抽出し(3回、各150ml)、合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をシリカゲル60でクロマトグラフィー的に精製する(移動相グラジエントシクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル2:1)。
収量:5.03g(理論値の21%)
LC−MS(方法3):R=1.86分;MS(ESIpos):m/z=237[M+H]
【0098】
実施例2A
{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]ベンジリデン}マロノニトリル
【化15】

マロノニトリル0.13g(1.98mmol)、実施例1Aの化合物0.45g(1.90mmol)およびピペリジン5.7μl(0.06mmol)を、エタノールに溶解し、混合物を還流下で3.5時間加熱する。反応溶液を濃縮し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィー的に精製する(移動相グラジエントシクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル2:1)。
収量:0.43g(理論値の79%)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.91 (d, 2H), 7.65 (s, 1H), 7.03 (d, 2H), 4.51 ( m, 1H) 4.19 (dd, 1H), 4.14 (dd, 1H), 4.06 (dd, 1H), 3.91 (dd, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.41 (s, 3H).
MS(DCI,NH):m/z=302[M+NH
【0099】
実施例3A
2−アミノ−4−{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]フェニル}−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化16】

実施例2Aの化合物0.43g(1.51mmol)、シアノチオアセトアミド0.38g(3.78mmol)および4−メチルモルホリン0.38g(3.78mmol)を、エタノール15mlに溶解し、混合物を還流下で6時間撹拌する。冷却後、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィーする。副生成物の除去(移動相グラジエントシクロヘキサン→シクロヘキサン/酢酸エチル1:1)後、生成物画分を溶出する(移動相グラジエント酢酸エチル→酢酸エチル/メタノール20:1)。これに続いて、分取用HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5/15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)で念入りに精製する。
収量:88mg(理論値の15%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 12.96 (br. s, 1H), 7.90 (br. s, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 4.44 (m, 1H), 4.18-4.02 (m, 3H), 3.79 (m, 1H), 1.37 (s, 3H), 1.32 (s, 3H).
LC−MS(方法3):R=1.76分;MS(ESIpos):m/z=383[M+H]
【0100】
実施例4A
4−[(4−{[(6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]フェニル}ピリジン−2−イル)チオ]メチル}−1,3−チアゾール−2−イル)アミノ]安息香酸
【化17】

4−カルボキシフェニルチオウレア177mg(0.90mmol)および1,3−ジクロロアセトン111mg(0.87mmol)を、DMF3mlに溶解し、反応溶液を100℃で60分間撹拌する。冷却後、実施例3Aの化合物230mg(0.60mmol)および重炭酸ナトリウム151mg(1.80mmol)を添加し、混合物を室温でさらに16時間撹拌する。反応混合物を分取用HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5/15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)によるクロマトグラフィーで直接精製する。
収量:134mg(理論値の36%)
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 12.5 (m, 1H), 10.6 (s, 1H), 8.07 (br. s, 2H), 7.86 (d, 2H), 7.67 (d, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.07 (s, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.44 (m, 1H), 4.16-4.03 (m, 3H), 3.78 (dd, 1H), 1.37 (s, 3H), 1.31 (s, 3H).
LC−MS(方法4):R=2.51分;MS(ESIpos):m/z=615[M+H]
【0101】
実施例5A
2−アミノ−4−{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]フェニル}−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化18】

4−フルオロフェニルチオウレア102mg(0.6mmol)および1,3−ジクロロアセトン73.6mg(0.58mmol)を、エタノール2.5mlに溶解し、混合物を還流下で60分間撹拌する。混合物を放冷し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をDMF1.5mlに取り、実施例3Aの化合物153mg(0.4mmol)および重炭酸ナトリウム101mg(1.2mmol)を添加し、反応溶液を室温でさらに16時間撹拌する。反応混合物を、分取用HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5/15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により、クロマトグラフィー的に直接精製する。
収量:62mg(理論値の26%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.24 (s, 1H), 8.08 (br. s, 2H), 7.62 (dd, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.13 (m, 4H), 6.97 (s, 1H), 4.49-4.39 (m, 3H), 4.10 (m, 3H), 3.78 (dd, 1H), 1.36 (s, 3H), 1.31 (s, 3H).
LC−MS(方法2):R=2.51分;MS(ESIpos):m/z=589[M+H]
【0102】
表1に列挙する実施例は、実施例5Aと同様に、適切な出発物質から製造する:
表1
【表2】

【0103】
【表3】

【0104】
実施例11A
(S)−4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]ベンズアルデヒド
【化19】

p−ヒドロキシベンズアルデヒド1.79g(14.6mmol)を、無水DMF(10ml)に溶解し、炭酸カリウム14.2g(102.5mmol)および(R)−(+)−4−クロロメチル−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン3.3g(22.0mmol)を添加する。混合物を150℃で24時間加熱する。次いで、混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をジクロロメタンと水とに分配する。水相をジクロロメタン(3回、各20ml)で抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をシリカゲル60(移動相:シクロヘキサン/酢酸エチル5:1)でクロマトグラフィー的に精製する。
収量:2.12g(理論値の61%)
LC−MS(方法2):R=1.97分;MS(ESIpos):m/z=237[M+H]
【0105】
実施例12A
(S)−2−アミノ−4−{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]フェニル}−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化20】

実施例11Aの化合物1.52g(6.43mmol)、シアノチオアセトアミド1.29g(12.9mmol)および4−メチルモルホリン1.3g(12.9mmol)をエタノール15mlに溶解し、混合物を還流下で3時間撹拌する。次いで、混合物を室温で18時間撹拌する。反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣をシリカゲル60でクロマトグラフィーする(移動相:ジクロロメタン/エタノール10:1)。
収量:1.06g(理論値の43%)
LC−MS(方法3):R=1.75分;MS(ESIpos):m/z=383[M+H]
【0106】
実施例13A
(S)−2−アミノ−4−{4−[(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ]フェニル}−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化21】

合成は、実施例5Aと同様に、実施例12A由来のエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用して実施する。
収率:理論値の47%
LC−MS(方法3):R=2.58分;MS(ESIpos):m/z=589[M+H]
【0107】
表2に列挙する実施例は、適切な出発物質から、実施例5Aまたは13Aまたは対応するエナンチオマーと同様に製造する:
表2
【表4】

【0108】
【表5】

【0109】
【表6】

【0110】
【表7】

【0111】
【表8】

【0112】
実施例29A
2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−フェニルチオピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化22】

マロノニトリル0.765g(11.6mmol)、チオフェノール1.28g(11.6mmol)および2−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンジリデン]マロノニトリル[WO03/053441、実施例6/方法2、第1段階に従い製造]2.48g(11.6mmol)を、エタノール15mlに溶解し、トリエチルアミン0.03mlを添加する。混合物を還流下で2時間撹拌する。冷却後、反応混合物を濾過し、残渣をエタノールで洗浄し、乾燥させる。
収量:2.07g(理論値の46%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.76 (br. s, 2H), 7.60 (m, 2H), 7.51 (m, 5H), 7.12 (d, 2H), 4.93 (t, 1H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (m, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.02分;MS(ESIpos):m/z=389[M+H]
【0113】
実施例30A
2−クロロ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−フェニルチオピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化23】

実施例29Aの化合物2.07g(5.33mmol)を、無水DMF11mlに溶解し、無水塩化銅(II)4.30g(32.0mmol)および亜硝酸イソアミル2.71ml(32.0mmol)を添加する。混合物を40℃で18時間撹拌する。次いで、反応溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を1N塩酸に添加する。混合物をジクロロメタンで3回抽出し、合わせた有機相を1N塩酸および塩化ナトリウム溶液で洗浄する。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。粗生成物をシリカゲル60でクロマトグラフィー的に精製する(移動相:ジクロロメタン/エタノール20:1)。
収量:1.29g(理論値の59%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.60 (m, 7H), 7.20 (d, 2H), 4.12 (t, 2H), 3.76 (t, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.38分;MS(ESIpos):m/z=408[M+H]
【0114】
実施例31A
2−(2−ヒドロキシエトキシ)アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−フェニルチオピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化24】

実施例30Aの化合物0.50g(1.23mmol)を、DMF1.5mlに溶解し、2−ヒドロキシエチルアミン0.16ml(2.70mmol)を添加する。混合物を20分間撹拌しておき、次いで、メタノール2mlおよび水4mlを添加する。沈殿を濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥させる。
収量:0.36g(理論値の68%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.94 (br. s, 1H), 7.55 (m, 7H), 7.13 (d, 2H), 4.93 (t, 1H), 4.49 (t, 1H), 4.09 (t, 2H), 3.75 (m, 2H), 3.09 (m, 2H), 3.00 (m, 2H).
LC−MS(方法4):R=2.33分;MS(ESIpos):m/z=433[M+H]
【0115】
実施例32A
2−(2−ヒドロキシエトキシ)アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化25】

実施例31Aの化合物0.30g(0.70mmol)を、DMF2mlに溶解し、硫化ナトリウム0.19g(2.43mmol)を添加する。混合物を80℃で2時間、次いで室温で12時間撹拌する。次いで、1N塩酸(10ml)を添加し、沈殿を濾過する。
収量:0.25g(理論値の72%)
LC−MS(方法3):R=1.21分;MS(ESIpos):m/z=357[M+H]
【0116】
実施例33A
2−アミノ−6−(ベンジルチオ)−4−{4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化26】

カリウムtert−ブトキシド6.31g(56.2mmol)を、エタノール105.5ml中の2−アミノ−6−(ベンジルチオ)−4−(4−ヒドロキシフェニル)ピリジン−3,5−ジカルボニトリル[WO01/25210、実施例A383に従い、2−アミノ−4−(4−ヒドロキシフェニル)−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリルおよび臭化ベンジルから製造]8.39g(23.4mmol)の溶液に添加する。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、2−ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩4.05g(28.1mmol)を添加する。次いで、混合物を+78℃で3時間撹拌する。冷却後、反応混合物を濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣を分取用HPLC(カラム:Merck 210 g RP-silica gel Gromsil 120 ODS-4 HR 10 μm, 50 mm x 200 mm;移動相A=水+0.1%ギ酸、移動相B=アセトニトリル;グラジエント:0分10%B→5分10%B→6分90%B→22分90%B→22分10%B→28分10%B;流速:110ml/分;波長:220nm)により直接精製する。
収量:3.55g(理論値の35%)
LC−MS(方法3):R=1.57分;MS(ESIpos):m/z=430[M+H]
【0117】
実施例34A
2−アミノ−4−{4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化27】

硫化ナトリウム0.97g(12.41mmol)を、乾燥DMF13ml中の実施例33Aの化合物3.56g(8.28mmol)の溶液に添加する。反応混合物を+80℃で2時間撹拌する。室温に冷却後、37%強度塩酸2mlを反応混合物に添加し、混合物が65℃に温まるに至る。水2.6mlの添加後、反応混合物を冷却して室温に戻す。さらに水5mlの添加後、混合物を酢酸エチル5mlで洗浄し、40%強度水酸化ナトリウム水溶液の添加によりアルカリ性にする。黄色の結晶が沈殿し、それを吸引濾過し、水10mlおよびジエチルエーテル10mlで洗浄し、次いで減圧下で乾燥させる。濾液をロータリーエバポレーターで濃縮し、少量の水でトリチュレートする。得られる結晶を吸引濾過し、水およびジエチルエーテル各10mlで洗浄し、減圧下で乾燥させる。
収量:0.38g(理論値の13%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.77 (br. s, 1H), 7.39 (d, 2H), 7.09 (d, 2H), 6.92 (br. s, 2H), 4.30 (t, 2H), 3.21 (br. s, 2H), 2.64 (s, 6H).
LC−MS(方法3):R=0.83分;MS(ESIpos):m/z=340[M+H]
【0118】
実施例35A
2−(4−ホルミルフェノキシ)エチル4−メチルフェニルスルホネート
【化28】

室温で、トリエチルアミン12.6ml(90.3mmol)およびジクロロメタン200ml中のトルエン−4−スルホニルクロリド13.77g(72.2mmol)の溶液を、ジクロロメタン300ml中、4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンズアルデヒド10.0g(60.2mmol)の溶液に、撹拌しながら順次滴下して添加する。反応混合物を室温で12時間撹拌する。4−N,N−ジメチルアミノピリジン0.15g(1.2mmol)の添加後、混合物を室温でさらに4時間撹拌する。次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液250mlを添加し、各場合で100mlのジクロロメタンで混合物を3回抽出する。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させる。ロータリーエバポレーターで溶媒を除去した後、粗生成物をシリカゲル60(移動相グラジエントシクロヘキサン→酢酸エチル)でクロマトグラフィー的に精製する。
収量:12.34g(理論値の64%)
HPLC(方法6):R=4.57分;MS(ESIpos):m/z=321[M+H]
【0119】
実施例36A
4−(2−アジドエトキシ)ベンズアルデヒド
【化29】

乾燥DMF100ml中の実施例35Aの化合物5.0g(15.61mmol)およびアジ化ナトリウム2.03g(31.22mmol)の溶液を、室温で12時間撹拌する。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、残渣を水約20mlに懸濁する。各場合でジエチルエーテル30mlで3回抽出した後、合わせた有機相を、各場合で10mlの水で2回、10mlの飽和塩化ナトリウム溶液で1回洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。
収量:3.02g(理論値の98%)
HPLC(方法7):R=4.14分;MS(DCI):m/z=209[M+NH
【0120】
実施例37A
[4−(2−アジドエトキシ)ベンジリデン]マロノニトリル
【化30】

ピペリジン47μl(0.47mmol)を、エタノール100ml中の実施例36Aの化合物3.02g(15.79mmol)およびマロノニトリル1.09g(16.42mmol)の溶液に滴下して添加し、反応混合物を+78℃で3.5時間撹拌する。溶液の色が橙色−赤色に変化する。室温に冷却後、溶液を20時間撹拌せずに静置する。無色の沈殿が形成される。ロータリーエバポレーターで、粗懸濁液を元の体積の半量に濃縮し、氷浴で冷却して結晶化を完了させる。得られる沈殿を吸引濾過し、各場合で20mlのエタノールで2回、各場合で20mlのメチルtert−ブチルエーテルで2回洗浄する。
収量:2.38g(理論値の63%)
MS(DCI):m/z=257[M+NH
【0121】
実施例38A
2−アミノ−4−[4−(2−アジドエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化31】

エタノール100ml中の実施例37Aの化合物2.39g(9.98mmol)およびシアノチオアセトアミド2.50g(24.92mmol)の溶液を、+78℃で6時間撹拌する。室温に冷却し、撹拌せずに12時間静置した後、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮する。残渣をエタノール約30mlから再結晶する。得られる沈殿を吸引濾過し、各場合で10mlのメチルtert−ブチルエーテルで2回洗浄する。
収量:2.04g(理論値の61%)
MS(DCI):m/z=355[M+NH
【0122】
実施例39A
2−アミノ−4−[4−(2−アジドエトキシ)フェニル]−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化32】

エタノール5ml中の4−フルオロフェニルチオウレア74mg(0.44mmol)および1,3−ジクロロアセトン55mg(0.44mmol)の溶液を、+85℃で60分間撹拌する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、残渣をDMF5mlに取り、実施例38Aの化合物105mg(0.31mmol)および重炭酸ナトリウム78mg(0.93mmol)を添加し、次いで、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液15mlに添加する。混合物を酢酸エチルで抽出し(3回、各15ml)、合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をシリカゲル60でクロマトグラフィー的に精製する(移動相グラジエントジクロロメタン/エタノール200:1→20:1)。
収量:79mg(理論値の47%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.22 (s, 1H), 8.27-7.86 (br. s, 2H), 7.66-7.58 (m, 2H), 7.50 (d, 2H), 7.17-7.08 (m, 4H), 6.96 (s, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.31-4.22 (m, 2H), 3.74-3.67 (m, 2H).
LC−MS(方法2):R=2.72分;MS(ESIpos):m/z=544[M+H]
【0123】
実施例40A
4−(2−ヒドロキシプロポキシ)ベンズアルデヒド
【化33】

炭酸ナトリウム18.30g(172.6mmol)を、乾燥DMF125ml中のp−ヒドロキシベンズアルデヒド7.03g(57.5mmol)および1−クロロ−2−プロパノール(テクニカルグレード、約70%、2−クロロ−1−プロパノールとの異性体混合物)6.80g(71.9mmol)の溶液に添加し、混合物を+130℃で20時間撹拌する。室温に冷却した後、飽和重炭酸ナトリウム溶液100mlを添加し、混合物を酢酸エチルで抽出する(3回、各100ml)。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をシリカゲル60(移動相グラジエントシクロヘキサン/酢酸エチル5:1→2:1)でクロマトグラフィー的に精製する。
収量:4.60g(理論値の44%、異性体混合物、比75:25)
LC−MS(方法4):R=1.63分;MS(ESIpos):m/z=181[M+H]
【0124】
実施例41A
4−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロポキシ)ベンズアルデヒド
【化34】

tert−ブチルジメチルシリルクロリド5.39g(35.7mmol)およびイミダゾール3.30g(48.5mmol)を、乾燥ジメチルホルムアミド120ml中の実施例40Aの化合物4.60g(25.5mmol)の溶液に順次添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液100mlを添加し、反応混合物をジエチルエーテル(3回、各100ml)で抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をシリカゲル60でクロマトグラフィー的に精製する(移動相グラジエントシクロヘキサン/酢酸エチル50:1→10:1)。
収量:4.00g(理論値の53%、異性体混合物、比86:14)
LC−MS(方法2):R=3.29分;MS(ESIpos):m/z=295[M+H]
【0125】
実施例42A
2−アミノ−4−[4−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロポキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化35】

エタノール25ml中の実施例41Aの化合物1.77g(5.99mmol)およびシアノチオアセトアミド1.26g(12.59mmol)の溶液を、+78℃で6時間撹拌する。次いで、混合物を室温に冷却し、この温度でさらに20時間撹拌する。得られる沈殿を吸引濾過し、冷ジエチルエーテルで洗浄する。濃縮した濾液の溶液から、シリカゲル60のクロマトグラフィー的精製(移動相グラジエントシクロヘキサン/酢酸エチル1:1→1:4)によりさらなる生成物を得る。
収量:0.25g(理論値の9%、異性体混合物)
LC−MS(方法3):R=2.71分、2.77分;MS(ESIpos):m/z=430[M+H]
【0126】
実施例43A
2−アミノ−4−[4−(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}プロポキシ)フェニル]−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化36】

乾燥DMF2ml中の4−フルオロフェニルチオウレア78.6mg(0.46mmol)および1,3−ジクロロアセトン56.0mg(0.44mmol)の溶液を、+80℃で3時間撹拌する。室温に冷却後、実施例42Aの化合物370mg(0.42mmol)を添加し、次いで、混合物を室温で20時間撹拌する。反応混合物を分取用HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S-5 / 15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5)により2回直接精製する。
収量:0.44g(理論値の14%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.21 (s, 1H), 8.18-7.93 (br. s, 2H), 7.60 (dd, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.12 (t, 2H), 7.07 (d, 2H), 6.95 (s, 1H), 4.44 (s, 2H), 4.21-4.12 (m, 1H), 3.96 (dd, 1H), 3.87 (dd, 1H), 1.18 (d, 3H), 0.87 (s, 9H), 0.08 (d, 6H).
LC−MS(方法5):R=7.35分;MS(ESIpos):m/z=647[M+H]
【0127】
実施例:
実施例1
2−アミノ−6−[({2−[(3−クロロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2,3−ジヒドロキシプロポキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化37】

氷酢酸2mlおよび実施例7Aの化合物90mg(0.15mmol)を、水1mlに添加し、混合物を室温で16時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣をシリカゲル60(移動相グラジエントジクロロメタン→ジクロロメタン/メタノール10:1)でクロマトグラフィーする。
収量:30mg(理論値の36%)
M.p.:192−194℃
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.42 (s, 1H), 8.06 (br. s, 2H), 7.82 (s, 1H), 7.45 (m, 3H), 7.30 (t, 1H), 7.10 (d, 2H), 7.03 (s, 1H), 6.97 (d, 1H), 4.99 (d, 1H), 4.68 (dd, 1H), 4.49 (s, 2H), 4.09 (dd, 1H), 3.95 (dd, 1H), 3.82 (m, 1H), 3.46 (dd, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.17分;MS(ESIpos):m/z=565[M+H]
【0128】
表3に列挙する実施例は、実施例1と同様に、適切な出発物質から製造する:
表3
【表9】

【0129】
【表10】

【0130】
【表11】

【0131】
実施例8
2−アミノ−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化38】

1,3−ジクロロアセトン244mg(1.92mmol)を、エタノール8ml中の4−フルオロフェニルチオウレア327mg(1.92mmol)の溶液に添加し、混合物を還流下で1時間撹拌する。混合物を濃縮し、残渣をDMF4mlに溶解し、2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル(製造には、WO03/053441、実施例6/方法1、第1段階を参照)429mg(1.37mmol)および重炭酸ナトリウム346mg(4.1mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌する。水の添加後、沈殿をデカンタし、残渣をジクロロメタンでトリチュレートする。シリカゲルのクロマトグラフィー(移動相ジクロロメタン/メタノール50:1)により、表題化合物を黄色がかった固体として得る。
収量:316mg(理論値の44%)
HPLC(方法1):R=4.24分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.23 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.62 (dd, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.12 (dd, 4H), 6.96 (s, 1H), 4.92 (t, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC−MS(方法2):R=2.39分;MS(ESIpos):m/z=519[M+H]
【0132】
実施例9
2−アミノ−6−[({2−[(4−クロロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化39】

実施例8と同様に、4−クロロフェニルチオウレア179mg(0.96mmol)を、1,3−ジクロロアセトン122mg(0.96mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル150mg(0.48mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:60mg(理論値の12%)
HPLC(方法1):R=4.44分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.37 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.63 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.32 (d, 2H), 7.11 (d, 2H), 6.99 (s, 1H), 4.47 (s, 2H), 4.08 (t, 2H), 3.75 (q, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.31分;MS(ESIpos):m/z=535[M+H]
【0133】
実施例10
2−アミノ−6−[({2−[(2,4−ジフルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化40】

実施例8と同様に、2,4−ジフルオロフェニルチオウレア169mg(0.90mmol)を、1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:126mg(理論値の36%)
HPLC(方法1):R=4.31分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.97 (s, 1H), 8.34 (dt, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.30 (dq, 1H), 7.10 (d, 2H), 7.04 (br. t, 1H), 6.99 (s, 1H), 4.91 (t, 1H), 4.45 (s, 2H), 4.06 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.21分;MS(ESIpos):m/z=537[M+H]
【0134】
実施例11
2−アミノ−6−[({2−[(3−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化41】

実施例8と同様に、3−フルオロフェニルチオウレア153mg(0.90mmol)を、1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:80mg(理論値の24%)
HPLC(方法1):R=4.36分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.46 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.66 (dt, 1H), 7.47 (d, 2H), 7.35-7.21 (m, 2H), 7.10 (t, 2H), 7.04 (s, 1H), 6.74 (dt, 1H), 4.92 (br. s, 1H), 4.48 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (t, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.20分;MS(ESIpos):m/z=519[M+H]
【0135】
実施例12
2−アミノ−6−[({2−[(2−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化42】

実施例8と同様に、2−フルオロフェニルチオウレア153mg(0.90mmol)を、1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:170mg(理論値の51%)
HPLC(方法1):R=4.28分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.99 (s, 1H), 8.36 (t, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.22 (dd, 1H), 7.16-7.08 (m, 3H), 7.02-6.96 (m, 2H), 4.90 (t, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (t, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.16分;MS(ESIpos):m/z=519[M+H]
【0136】
実施例13
4−({4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}チオ)メチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アミノ)安息香酸
【化43】

実施例8と同様に、4−[(アミノカルボノチオイル)アミノ]安息香酸176mg(0.90mmol)を、1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:45mg(理論値の13%)
HPLC(方法1):R=3.81分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 12.6 (br. s, 1H), 10.64 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.87 (d, 2H), 7.68 (d, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.13-7.06 (m, 3H), 4.45 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (t, 2H).
LC−MS(方法2):R=1.97分;MS(ESIpos):m/z=545[M+H]
【0137】
副生成物として、この反応により、エチル4−({4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}チオ)メチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アミノ)ベンゾエートを得る(実施例14参照)。
【0138】
実施例14
エチル4−({4−[({6−アミノ−3,5−ジシアノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−2−イル}チオ)メチル]−1,3−チアゾール−2−イル}アミノ)ベンゾエート
【化44】

実施例13に記載の通り、4−[(アミノカルボノチオイル)アミノ]安息香酸176mg(0.90mmol)の1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)とのエタノール中での反応、続く2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)との反応の副生成物として、表題化合物を得る。
収量:59mg(理論値の16%)
HPLC(方法1):R=4.32分
1H-NMR (300 MHz, DMSO-d6): δ = 10.67 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.88 (d, 2H), 7.68 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.13-7.07 (m, 3H), 4.91 (br. s, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.26 (q, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (t, 2H), 1.29 (t, 3H).
LC−MS(方法2):R=2.46分;MS(ESIpos):m/z=573[M+H]
【0139】
実施例15
2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−[({2−[(4−ニトロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化45】

実施例8と同様に、4−ニトロフェニルチオウレア177mg(0.90mmol)を、1,3−ジクロロアセトン114mg(0.90mmol)と、エタノール中で反応させ、続いて2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル200mg(0.64mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:67mg(理論値の19%)
HPLC(方法1):R=4.23分
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 11.03 (s, 1H), 8.20 (d, 2H), 8.1 (br. s, 2H), 7.80 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.20 (s, 1H), 7.10 (d, 2H), 4.90 (t, 1H), 4.52 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (q, 2H).
LC−MS(方法2):R=2.39分;MS(ESIpos):m/z=546[M+H]
【0140】
実施例16
2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−{[(2−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]チオ}ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化46】

DMF0.5ml中の1,3−ジクロロアセトン25.4mg(0.2mmol)の溶液を、3−トリフルオロメチルチオウレア44mg(0.2mmol)に添加する。反応混合物を80℃で3時間撹拌する。冷却後、DMF0.2ml中の2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル62.5mg(0.2mmol)および重炭酸ナトリウム67mg(0.8mmol)を添加する。室温で終夜撹拌した後、反応混合物を濾過し、分取用HPLC(カラム:GROMSIL 120 ODS-HE-4, 5μm, 20 x 50 mm;UV検出:220nm;注入量:700μl;移動相A:水+0.1%ギ酸、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分10%B→1.5分10%B→5.5分90%B→7分90%B→7.1分10%B→8分10%B;流速:25ml/分)により精製する。生成物含有画分を減圧下で濃縮する。
収量:71.6mg(理論値の63%)
LC−MS(方法2):R=2.56分;MS(ESIpos):m/z=569[M+H]
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.6 (s, 1H), 8.1 (s, 1H), 8.1 (br. s, 2H), 7.8 (d, 1H), 7.5 (m, 3H), 7.25 (d, 1H), 7.1 (m, 3H), 4.9 (t, 1H), 4.5 (s, 2H), 4.1 (t, 2H), 3.75 (q, 2H).
【0141】
実施例16と同様に、表4に列挙する実施例17ないし28を、2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリルから(実施例17ないし25)、または、2−アミノ−4−[4−(2−メトキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル(製造は、WO03/053441、実施例1/第2段階を参照)から(実施例26ないし28)、製造する:
【0142】
表4
【表12】

【0143】
【表13】

【0144】
【表14】

【0145】
【表15】

【0146】
表5に列挙する実施例は、実施例1と同様に、対応する出発物質から製造する:
表5
【表16】

【0147】
【表17】

【0148】
【表18】

【0149】
【表19】

【0150】
【表20】

【0151】
【表21】

【0152】
【表22】

【0153】
【表23】

【0154】
【表24】

【0155】
【表25】

【0156】
【表26】

【0157】
【表27】

【0158】
実施例16と同様に、表6に列挙する実施例は、2−アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリルから製造する:
表6
【表28】

【0159】
【表29】

【0160】
【表30】

【0161】
【表31】

【0162】
実施例68
2−(2−ヒドロキシエトキシ)アミノ−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化47】

実施例8と同様に、4−フルオロフェニルチオウレア120mg(0.70mmol)を、1,3−ジクロロアセトン89mg(0.70mmol)とエタノール中で反応させ、続いて2−(2−ヒドロキシエトキシ)アミノ−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−6−メルカプトピリジン−3,5−ジカルボニトリル(実施例32A)245mg(0.50mmol)と反応させることにより、表題化合物を得る。
収量:30mg(理論値の11%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.24 (s, 1H), 8.03 (t, 1H), 7.61 (dd, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.12 (m, 4H), 6.81 (s, 1H), 4.91 (t, 1H), 4.80 (t, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.07 (t, 2H), 3.74 (dt, 2H), 3.62 (t, 2H), 3.56 (m, 2H).
LC−MS(方法3):R=2.10分;MS(ESIpos):m/z=563[M+H]
【0163】
実施例69
2−アミノ−6−[({2−[(4−シアノフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−{4−[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル}ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化48】

DMF0.4ml中のN−(4−シアノフェニル)チオウレア26.6mg(0.15mmol)および1,3−ジクロロアセトン19mg(0.15mmol)の溶液を、+80℃で3時間撹拌する。室温に冷却後、DMF0.2ml中の実施例34Aの化合物50.9mg(0.15mmol)の溶液および重炭酸ナトリウム50mg(0.6mmol)を添加する。次いで、混合物を室温で12時間撹拌する。反応混合物を濾過し、分取用HPLC(カラム:Macherey Nagel VP50/21 Nucleosil 100-5 C18 Nautilus, 5 μm, 21 mm x 50 mm;波長:220nm;流速:25ml/分;移動相A=水+0.1%ギ酸、移動相B=アセトニトリル;グラジエント:0分10%B→2分10%B→6分90%B→7分90%B→7.1分10%B→8分10%B)で直接精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。
収量:50mg(理論値の57%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.80 (s, 1H), 8.17 (s, 1H), 8.20-7.96 (br. s, 2H), 7.82-7.70 (m, 4H), 7.47 (d, 2H), 7.13 (d, 2H), 7.10 (s, 1H), 4.50 (s, 2H), 4.16 (t, 2H), 2.73 (t, 2H), 2.30 (s, 6H).
LC−MS(方法4):R=1.87分;MS(ESIpos):m/z=553[M+H]
【0164】
実施例70
2−アミノ−4−[4−(2−アミノエトキシ)フェニル]−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル塩酸塩
【化49】

実施例39Aの化合物1000mg(1.84mmol)を、ジオキサン100mlに溶解し、パラジウム/活性炭150mg(1.41mmol)を添加し、水素を使用して混合物を3barで水素化する。3時間後、2M塩酸4mlを添加し、混合物を、水素を用いて3barでさらに20時間水素化する。次いで、Seitz 清澄フィルターを通して混合物を吸引濾過し、フィルターケーキをジオキサン50mlで洗浄し、トルエン50mlを濾液に添加する。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、残渣を水50mlおよび酢酸エチル50mlの混合物に取る。pHを、水性希重炭酸ナトリウム溶液の添加により、注意深くpH9に調節する。形成される相を分離する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残渣を分取用HPLC(カラム:YMC GEL ODS-AQ S 5/15 μm;移動相グラジエント:アセトニトリル/水10:90→95:5、0.5%濃塩酸を添加)により精製する。生成物含有画分を合わせ、ロータリーエバポレーターで濃縮する。
収量:57mg(理論値の6%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.27 (s, 1H), 8.08-7.97 (br. s, 2H), 7.67-7.59 (m, 2H), 7.51 (d, 2H), 7.20-7.09 (m, 4H), 6.98 (s, 1H), 4.47 (s, 2H), 4.25 (t, 2H), 3.31-3.21 (m, 2H).
LC−MS(方法2):R=2.08分;MS(ESIpos):m/z=518[M+H]
【0165】
実施例71
2−アミノ−6−[({2−[(4−フルオロフェニル)アミノ]−1,3−チアゾール−4−イル}メチル)チオ]−4−[4−(2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル
【化50】

1M塩酸3mlを、メタノール6ml中の実施例43Aの化合物43mg(0.06mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で20時間撹拌する。次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液10mlを反応混合物に添加し、混合物を酢酸エチル(3回、各10ml)で抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させる。溶媒をロータリーエバポレーターで除去した後、粗生成物をクロマトグラフィー的にシリカゲル60で精製する(移動相グラジエントジクロロメタン/エタノール100:1→20:1)。
収量:0.34g(理論値の96%)
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 10.22 (s, 1H), 8.22-7.91 (br. s, 2H), 7.61 (dd, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.18-7.06 (m, 4H), 6.97 (s, 1H), 4.91 (d, 1H), 4.46 (s, 2H), 4.02-3.94 (m, 1H), 3.94-3.83 (m, 2H), 1.17 (d, 3H).
LC−MS(方法3):R=2.26分;MS(ESIpos):m/z=533[M+H]
【0166】
試験の説明:
B. 薬理および生理活性の評価
本発明による化合物の薬理および生理活性は、以下のアッセイで立証できる:
遺伝子発現によるアデノシンアゴニズムの間接的測定
CHO(チャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary))永久細胞株の細胞を、アデノシン受容体サブタイプA1、A2aおよびA2bのcDNAで安定に形質移入する。アデノシンA1受容体は、アデニル酸シクラーゼとGタンパク質により共役し、一方、アデノシンA2aおよびA2b受容体は、Gタンパク質により共役する。これに対応して、細胞におけるcAMPの形成は、各々、阻害または刺激される。その後、ルシフェラーゼの発現は、cAMP依存性プロモーターにより調節される。高い感度および再現性、低い変動およびロボットシステムでの実施に対する良好な適合性を目的として、細胞密度、増殖期および試験のインキュベーションの期間、フォルスコリン濃度および培地組成などのいくつかの試験パラメーターを変更することにより、ルシフェラーゼ試験を最適化する。以下の試験プロトコールを、細胞を薬理的に特徴解析するために、そして、ロボットに補助される物質のスクリーニングのために使用する:
【0167】
保存培養物を、37℃で、5%CO下で、10%FCS(ウシ胎児血清)を含有するDMEM/F12培地中、各場合で2、3日後に1:10に分けて増殖させる。試験培養物を細胞2000個/ウェルで384ウェルのプレートに播き、37℃で約48時間増殖させる。次いで、培地を、生理的塩化ナトリウム溶液(130mM塩化ナトリウム、5mM塩化カリウム、2mM塩化カルシウム、20mM HEPES、1mM塩化マグネシウム六水和物、5mM重炭酸ナトリウム、pH7.4)で置き換える。DMSOに溶解した被験物質を、1.1x10−11Mないし3x10−6M(最終濃度)の連続希釈で、試験培養物にピペットで加える(試験混合物中のDMSOの最大最終濃度:0.5%)。10分後、フォルスコリンをA1細胞に添加し、その後、全ての培養物を37℃で4時間インキュベートする。その後、溶解剤(30mMリン酸水素二ナトリウム、10%グリセロール、3%TritonX100、25mM TrisHCl、2mMジチオスレイトール(DTT)、pH7.8)50%およびルシフェラーゼ基質溶液(2.5mM ATP、0.5mMルシフェリン、0.1mM補酵素A、10mMトリシン、1.35mM硫酸マグネシウム、15mM DTT、pH7.8)50%からなる溶液35μlを試験培養物に添加し、それを約1分間振盪し、カメラシステムを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。EC50値、即ち、各々、A1細胞の場合、ルシフェラーゼ応答の50%が阻害され、A2bおよびA2a細胞の場合、対応する物質による最大刺激の50%が達成される濃度を決定する。全てのアデノシン受容体サブタイプに高い親和性で結合し、アゴニスト的効果を有するアデノシン類似化合物NECA(5−N−エチルカルボキシアミドアデノシン)を、これらの実験において参照化合物として使用する[Klotz, K.N., Hessling, J., Hegler, J., Owman, C., Kull, B., Fredholm, B.B., Lohse, M.J., "Comparative pharmacology of human adenosine receptor subtypes - characterization of stably transfected receptors in CHO cells", Naunyn Schmiedebergs Arch. Pharmacol., 357 (1998), 1-9)。
【0168】
下表1は、アデノシンA1、A2aおよびA2b受容体サブタイプの受容体刺激について、式(IA)の化合物の代表的実施例のEC50値を列挙する:
表1
【表32】

【0169】
ラットにおける脂質の急性低下
オスの Sprague Dawley ラット(10匹/群、Harlan-Netherland、200g)を、終夜食物なしで飼育する。次いで、様々な投与量(1mg/kg、3mg/kg、10mg/kg)の被験物質を動物に経口投与する。1つの動物群は、対照群として、物質投与なしで試験を継続する。物質投与前、および投与の2、4および6時間後に、血液サンプルを処置および対照動物から採取し、EDTA血漿を得る(全血500μl、Sarstedt のEDTAチューブ中、10分間12000rpmで遠心分離)。各時点で、血漿中の脂肪酸およびトリグリセリドの内容量を、Roche Diagnosics の自動分析装置 Cobas Integra 400商標を利用して測定し、物質投与前の値と比較した%変化として表す。アシピモックス(50mg/kg、100mg/kg)の経口投与は、正の対照として働く。
【0170】
ラットにおける脂質の慢性低下
24日間にわたり、オスの Sprague Dawley ラット(15匹/群、Harlan-Netherland、200g)を、様々な経口投与量(3mg/kg、10mg/kg)の被験物質で1日2回処置する。1つの動物群は、対照群として、物質投与なしで試験を継続する。物質投与前、および処置中の10および24日目に、血液サンプルを、食物を与えられていない動物から採取し、EDTA血漿を得る(全血500μl、Sarstedt のEDTAチューブ中、10分間12000rpmで遠心分離)。各時点で、血漿中の脂肪酸およびトリグリセリドの内容量を、Roche Diagnosics の自動分析装置 Cobas Integra 400商標を利用して測定し、物質投与前の値と比較した%変化として表す。ピオグリタゾン(10mg/kg、bid)の経口投与は、正の対照として働く。
【0171】
フルクトースを与えられたラットにおける脂質の慢性低下
26日間にわたり、オスの Sprague Dawley ラット(15匹/群、Harlan-Winkelmann、180−200g)を、フルクトースに富む(66%)食餌で飼育する。15日後、動物を1日2回、様々な経口投与量(3mg/kg、10mg/kg)の被験物質でさらに10日間処置する。1つの動物群は、対照群として、物質投与なしで試験を継続する。フルクトース食餌の前、その食餌の12日目(物質投与前)および26日目(物質による処置開始の10日後)に、血液サンプルを動物から採取し、EDTA血漿を得る(全血500μl、Sarstedt のEDTAチューブ中、10分間12000rpmで遠心分離)。各時点で、血漿中の脂肪酸およびトリグリセリドの内容量を、Roche Diagnosics の自動分析装置 Cobas Integra 400商標を利用して測定し、物質投与前の値と比較した%変化として表す。さらに、血漿中のインシュリン濃度を、Roche Diagnosics の自動分析装置 Cobas Integra 400商標を利用して測定し、インシュリンng/血漿mlで表す。
【0172】
医薬組成物の実施例
本発明の化合物は、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)10mg(BASFより、Ludwigshafen, Germany)およびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。打錠のためのガイドラインの打錠力は、15kNである。
【0173】
経口投与できる懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (FMCのキサンタンガム、Pennsylvania, USA) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0174】
経口投与できる液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。経口液剤20gは、本発明の化合物100mgの単回用量に相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、混合過程を継続する。
【0175】
i.v.溶液:
本発明による化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を濾過滅菌し、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に満たすのに使用する。
【0176】
他の薬物との組合せ
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の活性化合物と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。
【0177】
例えば、そして好ましくは、組合せに適するものとして、以下の活性化合物に言及し得る:脂質代謝を調節する活性化合物、抗糖尿病薬(ペプチド性および非ペプチド性)、肥満および過体重を処置するための物質、降圧剤、灌流増強および/または抗血栓剤並びに抗酸化剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、p38キナーゼ阻害剤、NPYアゴニスト、オレキシンアゴニスト、食欲低下薬、PAF−AH阻害剤、消炎薬(COX阻害剤、LTB−受容体アンタゴニスト)、鎮痛薬(アスピリン)、抗鬱剤および他の向精神医薬(psychopharmaceutic)。
【0178】
本発明は、特に、少なくとも1種の本発明による化合物と、少なくとも1種の脂質代謝調節活性化合物、抗糖尿病薬(ペプチド性および非ペプチド性)、肥満または過体重を処置するための物質、降圧活性化合物および/または抗血栓薬との組合せを提供する。
【0179】
本発明による化合物は、好ましくは、以下の1種またはそれ以上と組み合わせることができる。
・脂質代謝を調節する活性化合物、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、LDL受容体誘導剤、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤(adsorber)、胆汁酸再吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、LpL活性化剤、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、RXRモジュレーター、FXRモジュレーター、LXRモジュレーター、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬(thyroid mimetic)、ATPクエン酸塩リアーゼ阻害剤、Lp(a)アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、ヒスタミン受容体アゴニストおよび抗酸化剤/ラジカル捕捉剤の群からのもの、
【0180】
・Roten Liste (Red List) 2004/II、12章に記載の抗糖尿病薬、並びに、例えば、そして好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド(meglitinide)誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、オキサジアゾリジノン類、チアゾリジンジオン類、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、インシュリン増感剤、CCK1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、カリウムチャネルアンタゴニスト、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓の酵素の阻害剤、グルコース取込のモジュレーターおよびカリウムチャネルオープナー、例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示のものの群からのもの、
【0181】
・降圧活性化合物、例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ遮断薬、アルファ遮断薬、利尿薬、ホスホジエステラーゼ阻害剤、sGC刺激薬、cGMP増強剤、アルドステロンアンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ECE阻害剤およびバソペプチダーゼ阻害剤の群からのもの、および/または、
・抗血栓作用を有する物質、例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からのもの。
【0182】
脂質代謝調節活性化合物は、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬、ナイアシン受容体アゴニスト、CETP阻害剤、PPAR−ガンマアゴニスト、PPAR−デルタアゴニスト、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、抗酸化剤/ラジカル捕捉剤並びにカンナビノイド受容体1アンタゴニストの群からの化合物を意味すると理解される。
【0183】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンなどのスタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0184】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475などのスクアレン合成阻害剤と組み合わせて投与される。
【0185】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0186】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0187】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、イムプリタピド(implitapide)またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0188】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0189】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、D−サイロキシンまたは3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬と組み合わせて投与される。
【0190】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ナイアシン、アシピモックス、アシフラン(acifran)またはラデコール(radecol)などのナイアシン受容体のアゴニストと組み合わせて投与される。
【0191】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ、JTT−705またはCETPワクチン(Avant)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0192】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、PPAR−ガンマアゴニスト、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンと組み合わせて投与される。
【0193】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、GW−501516などのPPAR−デルタアゴニストと組み合わせて投与される。
【0194】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、CholestaGel またはコレスチミドなどのポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0195】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0196】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロブコール、AGI−1067、BO−653またはAEOL−10150などの抗酸化剤/ラジカル捕捉剤と組み合わせて投与される。
【0197】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リモナバンまたはSR−147778などのカンナビノイド受容体1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0198】
抗糖尿病薬は、好ましくは、インシュリンおよびインシュリン誘導体並びに経口血糖降下剤を意味すると理解される。ここで、インシュリンおよびインシュリン誘導体には、動物、ヒトまたは生物工学的起源のインシュリンおよびそれらの混合物が含まれる。経口血糖降下剤には、好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド誘導体、グルコシダーゼ阻害剤およびPPAR−ガンマアゴニストが含まれる。
【0199】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、インシュリンと組み合わせて投与される。
【0200】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジドまたはグリクラジドなどのスルホニルウレアと組み合わせて投与される。
【0201】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メトホルミンなどのビグアナイドと組み合わせて投与される。
【0202】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、レパグリニドまたはナテグリニドなどのメグリチニド誘導体と組み合わせて投与される。
【0203】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ミグリトールまたはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0204】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどの、チアゾリジンジオン類のクラスからのPPAR−ガンマアゴニストと組み合わせて投与される。
【0205】
降圧剤は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、ベータ遮断剤、アルファ遮断剤および利尿剤の群からの化合物を意味すると理解される。
【0206】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0207】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エンブサルタン(embusartan)、オルメサルタンまたはテルミサルタンなどのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0208】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)などのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0209】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール(adaprolol)、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ遮断薬と組み合わせて投与される。
【0210】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プラゾシンなどのアルファ遮断薬と組み合わせて投与される。
【0211】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、フロセミドなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0212】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、レセルピン、クロニジンもしくはアルファ−メチルドーパなどの交感神経抑制薬(antisympathotonic)と、ミノキシジル、ジアゾキシド、ジヒドララジンもしくはヒドララジンなどのカリウムチャネル−アゴニストと、または、硝酸グリセロールまたはニトロプルシドナトリウムなどの一酸化窒素放出物質と組み合わせて投与される。
【0213】
抗血栓作用を有する物質は、好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からの化合物を意味するものと理解される。
【0214】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0215】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサン(clexane)などのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0216】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0217】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、DX−9065a、DPC906、JTV803、BAY59−7939、DU−176b、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、SSR−126512またはSSR−128428などのXa因子阻害剤と組み合わせて投与される。
【0218】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0219】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、クマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(IA)
【化1】

[式中、
は、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、アミノ、モノ−またはジ−(C−C)−アルキルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノまたはN'−メチルピペラジノにより置換されていてもよい)を表し、
は、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し
(ここで、アルキルおよびアルコキシは、5個までのフッ素により各々置換されていてもよい)、
そして、
nは、数0、1、2、3、4または5を表す
(ここで、置換基Rが1個より多く存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)]
の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項2】
式中、
が、水素を表すか、または、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、アミノまたはジメチルアミノにより置換されていてもよい)を表し、
が、(C−C)−アルキル(これは、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
が、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−およびジ−(C−C)−アルキルアミノ、カルボキシルおよび(C−C)−アルコキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し
(ここで、アルキルおよびアルコキシは、3個までのフッ素により各々置換されていてもよい)、
そして、
nが、数0、1または2を表す
(ここで、置換基Rが2個存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)、
式(IA)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項3】
式中、
が、水素を表し、
が、エチル、n−プロピルまたはイソプロピル(これらは、各場合で、ヒドロキシル、メトキシおよびアミノからなる群から選択される同一かまたは異なる置換基により一置換または二置換されている)を表し、
が、フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、アミノ、モノ−およびジメチルアミノ、カルボキシル、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルからなる群から選択される置換基を表し、
そして、
nが、数0、1または2を表す
(ここで、置換基Rが2個存在するならば、その意味は同一であっても異なっていてもよい)、
式(IA)の化合物、並びにそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項4】
式(IB)
【化2】

[式中、
nは、2、3または4の数を表し、
は、水素または(C−C)−アルキルを表し、
そして、
は、ピリジルまたはチアゾリル{これは、(C−C)−アルキル、ハロゲン、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、ピリジルアミノ、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピリジル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、N−(C−C)−アルキルピペラジニル、ピロリジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリミジニル、ピラジニル、(C−C)−アルキル−置換されていることもあるチアゾリルまたはフェニル(これは、3個までのハロゲン、(C−C)−アルキルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていることもある)により置換されていてもよい}を表す]
の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項5】
式中、
nが数2を表し、
が、水素、メチルまたはエチルを表し、
そして、
が、ピリジルまたはチアゾリル{これは、メチル、エチル、フッ素、塩素、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、2−ピリジルアミノ、4−ピリジルアミノ、チエニル、ピリジル、モルホリニル、ピペリジニル、メチル置換されていることもあるチアゾリルまたはフェニル(これは、3個までの塩素またはメトキシにより置換されていることもある)により置換されていてもよい}を表す、
式(IB)の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項6】
式中、Rが水素またはメチルを表す式(IB)の化合物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項7】
式中、
nが数2を表し、
が水素またはメチルを表し、
そして、
が、ピリジルまたはチアゾリル{これは、メチル、塩素、アミノ、ジメチルアミノ、アセチルアミノ、グアニジノ、2−ピリジルアミノ、4−ピリジルアミノ、チエニル、ピリジル、モルホリニル、2−メチルチアゾール−5−イル、フェニル、4−クロロフェニルまたは3,4,5−トリメトキシフェニルにより置換されていてもよい}を表す、
式(IB)の化合物、並びにそれらの塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項8】
下記の構造
【化3】

の化合物、並びにその塩、水和物、塩の水和物および溶媒和物の、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項9】
請求項1ないし請求項3および請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の化合物の組合せの、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項10】
請求項1ないし請求項3および/または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の化合物の、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬を製造するための使用。
【請求項11】
請求項1ないし請求項3および/または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬。
【請求項12】
請求項1ないし請求項3および/または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の化合物を、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、高血圧および心血管障害と関連する異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置用の医薬。
【請求項13】
請求項1ないし請求項3および/または請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の化合物を、ベータ遮断薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬、ACE阻害剤、AT1アンタゴニストおよび硝酸塩、アルドステロンアンタゴニスト、レニン阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストなどの降圧薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤などの脂質代謝調節活性化合物、並びに、roten Liste 2004/II、12章に記載の抗糖尿病薬からなる群から選択されるさらなる活性化合物と組み合わせて含む、医薬。
【請求項14】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の化合物、または、請求項11ないし請求項13のいずれかに記載の医薬の有効量を投与することによる、ヒトおよび動物における、単一の疾患としての、および、高血圧および心血管障害と関連する、異脂肪血症、代謝症候群および糖尿病の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2009−528308(P2009−528308A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556684(P2008−556684)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001342
【国際公開番号】WO2007/101531
【国際公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】