説明

アポトーシスの阻害のための化合物

本発明は、アポトーシス阻害剤として作用する、式(I)の化合物、並びに式(I)の化合物をベースとする薬物コンジュゲート、それらの調製のためのプロセス、それらを含有する医薬組成物、及び医学におけるそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アポトーシス阻害剤として作用する化合物並びにそれらの調製のためのプロセス、それらを含有する医薬組成物、及び医学におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アポトーシスは、正常な細胞交替、免疫系、及び胚発生を含む、広く多様な生物系におけるその重要性、及びその様々な疾患との関連性の故に、興味深い生物学的プロセスである。不適切なアポトーシスは、アルツハイマー病及びハンチントン病のような神経変性疾患、虚血、自己免疫障害、及びいくつかの型の癌を含む、多くのヒトの病理に関与している(リード(Reed,J.C.)著、「トレンズ・イン・モレキュラー・メディスン(Trends Mol.Med.)」、2001年、第7巻、p.314−319)。
【0003】
細胞表面の死受容体、抗癌剤、照射、生存因子の欠如、及び虚血を含む、様々なアポトーシス刺激(ストラッサー(Strasser,A.)ら著、「アニュアル・レビュー・オブ・バイオケミストリー(Annu.Rev.Biochem.)」、2000年、第69巻、p.217−245に総説)は、その全てが、カスパーゼと呼ばれるシステイン・アスパルチル・プロテアーゼファミリーを活性化するシグナリングカスケードを誘導する。これらのプロテアーゼが、アポトーシスプロセスを実行する。
【0004】
いくつかのアポトーシスシグナルは、カスパーゼ−9をイニシエーターとして利用する、ミトコンドリア仲介性又は内在性の経路を活性化する。アポトソームと呼ばれる高分子複合体の形成は、この経路における重要事象である。
【0005】
アポトソームは、チトクロムc−活性化Apaf−1(アポトーシスプロテアーゼ活性化因子)、dATP、及びプロカスパーゼ−9により形成される、ホロ酵素マルチタンパク質複合体である(リー(Li P.)ら著、「セル(Cell)」、1997年、第91巻、p.479−489;アセハン(Acehan D)ら著、「モレキュラー・セル(Mol.Cell)」、2002年、第9巻、p.423−432;ロドリゲス(Rodriguez J.)ら著、「ジーンズ・アンド・ディベロップメント(Genes Dev.)」、1999年、第13巻、p.3179−3184;スリニバスラ(Srinivasula S.M.)ら著、「モレキュラー・セル」、1998年、第1巻、p.949−957)。この高分子複合体において、アポトソームに結合したカスパーゼ−9は活性化され、次に、今度はエフェクターカスパーゼを活性化する。疾病関連アポトーシスを改善することが可能な分子を同定するべく、創薬努力は最初、カスパーゼ活性を標的としたものであり、したがって、上流の活性化カスケード/経路よりもむしろ、特異的な酵素活性化剤又は阻害剤が探し求められた(スコット(Scott C.W.)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・ファーマコロジー・アンド・エクスメリメンタル・セラピューティクス(J.Pharmacol.Exp.Ther.)」、2003年、第304巻、p.433−440;ガルシア・カルボ(Garcia−Calvo M)ら著、「ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Chem.)」、1998年、第273巻、p.32608−32613)。
【0006】
それでもやはり、カスパーゼ活性化の上流の、タンパク質−タンパク質相互作用もまた、アポトーシス経路のモジュレータの開発のための、適切な介入ポイントであることが可能である。特に、最近のデータは、アポトソームの形成を、アポトーシスモジュレータの開発のための興味深い標的として提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
それ故、アポトソーム媒介性のアポトーシス活性化を阻害する分子を発見することに興味がもたれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの観点は、一般式I:
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、
R1は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−(CH1−3−NHCO−(C−C)アルキル、−(CH1−3−CONRaRb、−(CH0−3(3−6)Cy、−(CH0−3−(5−6)Hetcy、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH−CH(フェニル)、−(CH−CH(フェニル)[(5−6)Hetar]、又は−(CH−CH[(5−6)Hetar]を表し;
R2は、−(CH0−3−(3−6)Cy、−(CH0−3−(5−6)Hetcy、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH−CH(フェニル)、−(CH−CH(フェニル)[(5−6)Hetar]、又は−(CH−CH[(5−6)Hetar]を表し;
R3は、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、又は−(CH1−3−(5−6)Hetarを表し;
(C−C)アルキル及び−(C−C)アルケニルは、−O−(C−C)アルキル、−S−(C−C)アルキル、−NH、−NH−(C−C)アルキル、及び−N[(C−C)アルキル]から選択される、1以上の置換基で置換されてもよく;
(C−C)アルキルは、1以上のハロゲン原子で置換されてもよく;
Ra及びRbは、独立して、−H又は−(C−C)アルキルを表し;
(3−6)Cyは、3−6員の、部分的に不飽和か、又は飽和された炭素環式環の基を表し;
(5−6)Hetcyは、独立してO、S、及びNから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する、5又は6員の、部分的に不飽和か、又は飽和された炭素環式環の、C−又はN−基を表し;
Cy及びHetcyは、ハロゲン、−CF、及び−OHから選択される1以上の置換基で置換されてもよく;
(5−6)Hetar及び(5−10)Hetarは、独立してO、S、及びNから選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する、各々5又は6員の、及び5−10員の芳香環の、C−又はN−基を表し;
フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、(5−6)Hetar、及び(5−10)Hetarは、ハロゲン、−CF、−OH、−O−(C−C)アルキル、−CO−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−NRaRb、−NRaRb、及び−SONHから選択される1以上の置換基で置換されてもよく;
R2は、2−(4−フルオロフェニル)エチルを表さないという条件付きである]の新規な化合物、その立体異性体及びそれらの混合物、その多形体及びそれらの混合物、及び、医薬的に許容されるそれらの溶媒和化合物及び付加塩の供給に関する。
【0011】
本発明のもう1つの観点は、式II:
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、R1、R2、及びR3は、式Iの化合物について定義されたものと、R2の条件なしで同様の意味を有しており;各R4は、独立して、任意の20の天然産アミノ酸からの側鎖を表し、nは0、1、2、又は3である]の基を含んでなる薬物コンジュゲートである化合物、その立体異性体及びそれらの混合物、及び、ポリグルタミン酸ポリマーへコンジュゲートされた医薬的に許容されるそれらの溶媒和化合物及び付加塩に関する。
【0014】
したがって、式IIの化合物は、種々の成分:n個のL−アミノ酸のペプチド鎖に対しアミド結合を形成している式Iの基、及びアミドL−リジン誘導体、を含んでなり、その側鎖のNは、ポリグルタミン酸ポリマーへ結合されている。
【0015】
先の定義では、用語(C−C)アルキル及び(C−C)アルキルは、それぞれ1から3個まで、及び1から5個までの炭素原子を含有する、直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素鎖を表す。(C−C)アルキルの実例は、制限されることなく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルを包含する。(C−C)アルキルの実例は、付加的にかつ制限されることなく、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、1−フェニル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1,2−ジメチルプロピル、及び2,2−ジメチルプロピルを包含する。
【0016】
用語(C−C)アルケニルは、2から5個までの炭素原子と、1以上の二重結合とを含有する、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル及び1,3−ブタジエニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、1−メチル−2−ブテニル、2−メチル−3−ブテニル、3−メチル−1−ブテニル、1,1−ジメチル−2−プロペニル、及び1,2−ジメチル−1−プロペニルを表す。
【0017】
基(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、及び(C−C)アルケニルは、化学的観点から適正であればいつでも、記述に従って置換されてよい。
【0018】
用語(3−6)Cyは、3−6員の、部分的に不飽和か又は飽和された炭素環式環の基を表する。それは、先に言及したように、該環の任意の利用可能な位置に配置されることが可能な1以上の置換基で置換されてもよい。(3−6)Cyの実例は、制限されることなく、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、1−シクロブテン、2−シクロブテン、1−シクロペンテン、2−シクロペンテン、1−シクロヘキセン、2−シクロヘキセン、及び3−シクロヘキセンの基を包含する。
【0019】
用語(5−6)Hetcyは、独立してO、S、及びNから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する、部分的に不飽和か又は飽和された、5−6員の炭素環式環の、C−又はN−ラジカル基を表し、任意の利用可能な環位置において、記述に従って置換されてもよい。(5−6)Hetcyの実例は、制限なく、ジヒドロフラン、ピロリン、ピラゾリン、イミダゾリジン、イソチオアゾリジン、イソオキサゾリジン、オキサゾリジン、ピラゾリジン、ピロリジン、チアゾリジン、ジオキサン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、テトラヒドロピラン、オキサジン、オキサゾリン、ピロリン、チアゾリン、ピラゾリン、イミダゾリン、イソオキサゾリン、及びイソチアゾリンの基を包含する。
【0020】
用語(5−6)Hetar及び(5−10)Hetarは、独立してO、S、及びNから選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する、それぞれ5又は6員の、及び5−10員の環の、C−又はN−基を表し、任意の利用可能な環位置において、記述に従って置換されてもよい。(5−6)Hetarの実例は、制限なく、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、オキサゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、及びピラジンの基を包含する。(5−10)Hetarの実例はさらに、制限なく、ベンズイミダゾール、ベンゾフラン、ベンゾチアゾール、ベンゾチオフェン、イミダゾピラジン、イミダゾピリダジン、イミダゾピリジン、イミダゾピリミジン、インダゾール、インドール、イソインドール、イソキノリン、ピラゾロピラジン、ピラゾロピリジン、ピラゾロピリミジン、プリン、キナゾリン、キノリン、及びキノキサリンの基を包含する。
【0021】
表現「1以上で置換されてもよい」は、基が未置換であるか、或いは、該基が、置換される余地のある1、2、3、又は4つの位置を有する場合には、1以上の、好ましくは1、2、3、又は4個の置換基で、置換可能であることを意味する。
【0022】
本明細書及びクレームを通し、単語「含んでなる」及び該単語の変形、例えば「含んでなること」は、他の添加物、成分、要素、又は段階を排除することを意図しない。
【0023】
本文において用いたように、用語「治療」は、先に述べた症状の治療、予防、及び管理を包含する。本文において使用される用語「医薬的に許容される」は、医学的判断の範囲内にあって、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題又は合併症なく、ヒト及び動物の組織との接触使用に適しており、適度な便益/リスク比に釣り合っている化合物、組成物、及び/又は剤形を指す。
【0024】
本発明の特定の実施態様においては、R1は、(C−C)アルキル、−(CH1−3−CONRaRb、−(CH0−3(3−6)Cy;−(CH0−3−(5−6)Hetcy;−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、又は−(CH1−3−(2−ナフチル)を表し、それらの全ては置換されてもよい。
【0025】
本発明の特定の実施態様においては、R1は、−(CH0−3−(5−6)Hetcy;−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、又は−(CH1−3−(2−ナフチル)を表し、それらの全ては置換されてもよい。
【0026】
もう1つの実施態様においては、R1は、ハロゲンから選択される1以上の置換基で置換されてもよい−(CH−フェニルを表す。もう1つの実施態様においては、R1は2,4−ジクロロフェニルを表す。
【0027】
もう1つの実施態様においては、R2は、置換されてもよい−(CH1−3−アリールか、又は置換されてもよい−(CH−CH(Ph)であって、R2は2−(4−フルオロフェニル)エチル−を表さないという条件付きである。もう1つの実施態様においては、R2は、3,3−ジフェニルプロピルを表し、R2は2−(4−フルオロフェニル)エチル−を表さないという条件付きである。
【0028】
もう1つの実施態様においては、R3は、−(CH1−3−(5−6)Hetar又は−(CH−フェニルを表し、双方は置換されてもよい。もう1つの実施態様においては、R3は、ハロゲンから選択される1以上の置換基で置換されてもよい−(CH−フェニルを表す。もう1つの実施態様においては、R3は、2,4−ジクロロフェニルを表す。
【0029】
もう1つの実施態様においては、R2は、3,3−ジフェニルプロピルを表し、R1及びR3の双方は、2,4−ジクロロフェニルを表す。
【0030】
本発明のもう1つの実施態様は、先に定義されたポリグルタミン酸ポリマーへコンジュゲートされた、式IIの化合物を含んでなる薬物コンジュゲートである化合物であって、前記ポリマーが20から60kDaまでの分子量を有している化合物に関する。
【0031】
本発明のもう1つの実施態様は、III:
【0032】
【化3】

【0033】
[式中、R1、R2、R3、及びR4は、一般式IIに記述された意味を有しており、xに対するyの比率は、重量で25−30%から75−70%までである]の、ポリマー−薬物コンジュゲートである化合物に関する。
【0034】
式IIIの化合物のもう1つの実施態様においては、nは0を表す。もう1つの実施態様においては、nは2を表し、R4はグリシン側鎖を表す。もう1つの実施態様においては、nは3を表し、R4はグリシン側鎖、アルギニン側鎖、及びフェニルアラニン側鎖を表す。もう1つの実施態様においては、nは3を表し、R4はバリン側鎖、アルギニン側鎖、及びフェニルアラニン側鎖を表す。
【0035】
当該ポリマー薬物コンジュゲートにおいては、ポリグルタミン酸は、ポリ(L−グルタミン酸)、ポリ(D−グルタミン酸)、又はポリ(DL−グルタミン酸)でよい。本発明の1つの実施態様においては、ポリグルタミン酸は、ポリ(L−グルタミン酸)である。
【0036】
さらに、上述の実施態様の全ての可能な組合せもまた、本発明の一部を構成する。
【0037】
式Iの化合物は、少なくとも1つのキラル中心を含んでなる。本発明は、式Iの化合物のラセミ化合物及びエナンチオマー化合物の双方、すなわち、以下に示されるように、R1へ結合したキラル炭素の立体配置が(S)である化合物、及びR1へ結合したキラル炭素の立体配置が(R)である化合物を包含する。
【0038】
【化4】

【0039】
式IIの化合物は、少なくとも二つのキラル中心を含んでなる。本発明はまた、式IIの立体異性体の混合物と、単離された立体異性体との双方を包含する。
【0040】
本発明化合物は、1以上の塩基性窒素原子を含有してもよく、それ故、酸と共に塩を形成してもよく、それはまた本発明の一部を構成する。医薬的に許容される塩の実例は、なかんずく、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、及びリン酸との付加塩、並びに、有機酸、例えば酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、マンデル酸、シュウ酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、及びマレイン酸の付加塩を包含する。同様に、本発明の化合物は、1以上の酸性プロトンを含有してよく、それ故、塩基と共に塩を形成してもよく、それもまた本発明の一部を構成する。これらの塩の実例は、金属カチオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、又はアルミニウムイオンとの塩を包含し;或いは、有機塩基又は無機塩基と配位されてもよい。許容される有機塩基は、なかんずく、ジエチルアミン及びトリエチルアミンを包含する。許容される無機塩基は、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及び水酸化ナトリウムを包含する。電荷をもつ基の数と、カチオン及びアニオンの価数とに依存して、1以上のカチオン又はアニオンがあってよい。
【0041】
医薬的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩は、一級、二級、及び三級アミンの塩、天然産置換アミンを含む置換アミンの塩、環状アミン、及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、及びトロメタミンなどの塩を包含する。
【0042】
治療目的のために使用される場合医薬的に許容されるという条件付きで、使用可能な塩のタイプには何ら制限はない。塩は、塩基又は酸成分を含有する親化合物から、通常の化学的方法により合成可能である。一般にかかる塩は、好ましくは、遊離酸又は塩基型のこれらの化合物を、化学両論的な量の、適当な塩基又は酸と、水中か、又は有機溶媒、例えばエーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、又はアセトニトリル中か、或いは双方の混合物中で、反応させることにより調製可能である。式I又は式IIIの化合物、及びそれらの塩は、いくつかの物理的性質が異なっているが、それらは本発明では同等である。
【0043】
本発明の式I又は式IIIの化合物のいくつかは、未溶媒和型並びに溶媒和型、例えば水和物で存在してもよい。本発明は、医薬的に活性のある、かかる上記の全ての形状を包含する。
【0044】
一般式Iの化合物のいくつかは、多形型を示してもよく、本発明の全ての可能な多形型及びそれらの混合物を包含する。様々な条件下での結晶化により、或いは、化合物の加熱又は融解、及びそれに続く徐冷却又は急冷却により、種々の多形が調製されてよい。多形の存在は、固体NMR分光法、IR分光法、示差走査熱量測定、粉末X線回折、又は他の同様の技術により測定されてよい。
【0045】
本発明の式Iの化合物は、少なくとも1つのキラル中心を含んでなる。加えて、それらはさらなるキラル中心を含んでなってもよい。本発明は、可能な各個の立体異性体、及びそれらの混合物、特にそれらのラセミ混合物を包含する。単一のエナンチオマーは、任意の一般的に使用されるプロセスにより調製されてよく、例えば、キラル固定相上でのラセミ混合物のクロマトグラフィー分離によるか、それらのジアステレオマー塩の分別結晶技術によるラセミ混合物の分割によるか、キラル合成によるか、酵素的分割によるか、又はバイオトランスフォーメーションにより調製されてもよい。この分割は、一般式Iの、任意のキラル合成中間体について、又は生成物について、行われることが可能である。別法として、一般式Iの化合物の任意のエナンチオマーは、光学的に純粋な出発物質か、又は既知の立体配置の試薬を用いた、エナンチオ特異的合成により取得されてもよい。
【0046】
式I又は式IIIの化合物は、いくつかのジアステレオマーとして存在してもよく、通常の技術、例えばクロマトグラフィー又は分別結晶により、分離されてもよい。本発明のいくつかの化合物は、シス/トランス異性体を表してもよい。本発明は、各個の幾何異性体、及びそれらの混合物を包含する。本発明は、合成により、及びまた物理的にそれらを混合することにより、得られたか否かにかかわらず、全ての異性体及びそれらの混合物(例えばラセミ混合物)を含む。
【0047】
本発明は、上記の前記新規化合物、それらの誘導体、それらの類似体、それらの互変異性体型、それらの立体異性体、それらの多形体、又は医薬的に許容されるそれらの塩及び溶媒和化合物の調製のためのプロセスに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
本発明化合物は、以下に記述される方法を用いて、並びに有機合成の分野において公知の他のプロセスにより合成されてよい。好ましい方法は、制限されることなく、添付のスキームに示された一般的なプロセスを包含する。他に述べない限り、基R1、R2、R3、R4、n、x、及びyは、一般式I、II、及びIIIに記述された意味を有する。
【0049】
式Iの化合物は、以下の方法を用いて取得可能である:
方法A
【0050】
【化5】

【0051】
方法Aによれば、フルオレニルメトキシカルボニル基からの脱保護に際し、固体支持体アミンIVは、アシル化剤V[式中、Xは脱離基、例えばハロゲンを表し、Yは、OH又はハロゲンを表す]によりアシル化される。Yがハロゲン、例えばクロロアセチルクロリドを表す場合、反応はトリエチルアミンのような三級塩基の存在下に行われることが可能である。Yが−OH、例えばブロモ酢酸を表す場合、反応は適当なカップリング剤、例えばN,N’−ジイソプロピルカルボジイミドの存在下に行われることが可能である。双方の場合とも、反応は、樹脂を適正に膨潤させることが可能な、N,N’−ジメチルホルムアミド又はジクロロメタンのような不活性溶媒の存在下に、室温において、或いはマイクロ波照射を用いて反応時間を減少させることにより、行われることが可能である。次いで、アミンVIaが、三級アミンを塩基として用いてカップリングされる。反応は、加熱により、例えば60℃において、或いはMW照射により行われることが可能である。
【0052】
カルボン酸VIII[式中、PGは保護基、例えばアリルを表す]は、カップリング剤、例えばN,N’−ジイソプロピルカルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの組合せを用いて、アミンVIIと反応され、アミドIXを生じる。次に、アミンVIbが、ミカエル反応により、塩基と、N,N’−ジメチルホルムアミド又はジメチルスルホキシドのような溶媒とを用いて導入され、中間体Xを得る。中間体VIIについて記述されたのと同じ方法での、アシル化及びアミノ化の反復の後、XIが得られる。脱保護は、PhSiH及びPd(PPhを用いて、溶媒としてのジクロロメタン中で(「テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett)」、1999年、第40巻、p.2505−2508;「テトラヘドロン・レターズ」、1997年、第38巻、p.7275−7278)、或いはジオキンサン中のKOH水溶液を用いて行われ、XIIを生じる。環化は、アミド形成により、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの組合せのような、固相ペプチド結合法のための標準的なカップリング試薬を用いて、N,N’−ジイソプロピルエチルアミンのような三級塩基の存在下に促進される。最終化合物Iは、トリフルオロ酢酸、ジクロロメタン、及び水の混合物を用いて、樹脂から遊離可能である。
【0053】
式Iの化合物を取得するための代替えの戦略は、アミンIV及びXの、それぞれ式XIIIa及びXIIIbのアミノ酸を用いたアシル化(方法B)を包含する。
方法B
【0054】
【化6】

【0055】
当業者に明らかなように、方法Aのいくつかの段階を、方法Bのいくつかの段階と組合せて、式Iの化合物を得ることが可能である。
【0056】
出発一級アミン、VIa、VIb、及びVIcは、市販されており、或いは公知の方法(マーチ(March)著、「アドバンスド・オーガニック・ケミストリー(Advanced Organic Chemistry)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)、1991年)によるか、もしくは例えば以下に記述されたスキームを用いて取得されてもよい。
スキーム1
【0057】
【化7】

【0058】
アミンは、アルコール及びフタルイミドカリウムから出発するミツノブ反応により、例えば、ジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)及びトリフェニルホスフィンの存在下に、溶媒としてのテトラヒドロフラン中で取得可能であり、さらに、ヒドラジン水和物により切断される(ミツノブ(Mitsunobu)著、「ジャーナル・オブ・ディ・アメリカン・ケミカル・ソサイエティ(J.Am.Chem.Soc.)」、1972年、第94巻、p.679−680)。
【0059】
N−置換グリシンXIIIa及びXIIIbは、以下に示す方法により、対応するグリシンの、適当なアルデヒドとの、NaBH、NaBHCN、NaBH(AcO)のような還元剤を用いた還元的アミノ化(スキーム2)によるか、又はエステルの、適当なアミンE−NH2による求核置換(スキーム3)により合成されてもよい。
スキーム2
【0060】
【化8】

【0061】
スキーム3
【0062】
【化9】

【0063】
式IIの化合物は、上述のものに類似の反応を用いて取得可能である。
【0064】
【化10】

【0065】
したがって、式Iの対応するカルボン酸、すなわち式Iaの化合物を取得するためには、出発固体支持体(IVa)がアミノ基の代わりに反応性のハロゲン原子を有することを除いて、式Iの化合物の合成と同じ順序が使用される(方法A及び/又はBを用いて)。
【0066】
化合物Iaへ結合されるべきペプチドXVIもまた、ペプチドの合成のための標準的な反応を用いて取得される。したがって、固体支持体アミンIVは、まず保護されたリジン(XIVa)と反応され、続いてもう1つの保護されたアミノ酸(XIVb)と反応されてもよい。カップリングの後、保護基は除去される。この順序は、3回まで反復可能である。
【0067】
【化11】

【0068】
カルボン酸Iaは、次にアミンXVIと反応され、脱保護の後に化合物IIaが取得される。IIaとポリグルタミン酸XVIIa(対応する塩XVIIから取得された)との間のアミドカップリングは、薬物コンジュゲートIIIを生じる。
【0069】
【化12】

【0070】
本発明の化合物は、apaf−1阻害剤である。それゆえ、それらは過剰のアポトーシスに関連した症状の、治療又は予防のために有用である。
【0071】
成体では、ニューロン及び心筋細胞のような分裂後細胞は、ほとんど再生されない。それ故、それらの喪失は、神経及び心臓の障害を引き起こし得る。これらの細胞は、多様な急性及び慢性の変性疾患において、アポトーシス性細胞死を受ける。同様に、敗血症性ショック、虚血、及び中毒は、多数の臓器において大量のアポトーシスを引き起こす。感染は、特定の細胞タイプ、例えばAIDSでは白血球、又はヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter Pylori)感染では胃粘膜細胞の、高いアポトーシス性細胞交代を引き起す可能性がある。アポトーシス事象はまた、臓器移植における虚血及び保存−再潅流のためのプロセスにおいても重要である。これらの疾患は、それゆえ、治療的細胞死抑制のための候補である。
【0072】
アポトーシスに関連した他の症状又は疾病は、制限されることなく、卒中、外傷性障害、脳損傷、脊髄損傷、髄膜炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ケネディー病、多発性硬化症、プリオン関連疾患、並びに他の急性又は慢性の心臓血管疾患、アルコール関連病理、及び脱毛症の治療を包含する。
【0073】
したがって本発明は、これらの化合物の、上述の疾病又は症状の治療又は予防のための、医薬品調製のための使用に関連する。
【0074】
本発明のもう1つの観点は、R2条件なしの式Iの化合物か、又は先に定義されたポリマー−薬物コンジュゲートである化合物の、アポトーシスに関連した疾病又は症状の治療又は予防のための、医薬品製造のための使用に関する。
【0075】
本発明のもう1つの観点は、アポトーシスの阻害に関連した症状の治療又は予防のための方法であって、R2条件なしの式Iの化合物か、又は先に定義されたポリマー−薬物コンジュゲートである化合物と、1以上の医薬的に許容される賦形剤とを、投与することを含んでなる方法に関する。
【0076】
本発明のもう1つの観点は、卒中、外傷性障害、脳損傷、脊髄損傷、髄膜炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ケネディー病、多発性硬化症、プリオン関連疾患、心筋虚血、並びに他の急性又は慢性の心臓血管疾患、臓器移植、アルコール関連病理、及び脱毛症の治療のための方法であって、R2条件なしの式Iの化合物か、又は先に定義されたポリマー−薬物コンジュゲートである化合物と、1以上の医薬的に許容される賦形剤とを、投与することを含んでなる方法に関する。
【0077】
本発明はさらに、式Iの化合物か、又は先に定義されたポリマー−薬物コンジュゲートである化合物と、医薬的に許容されるそれらの塩又は溶媒和化合物とを、1以上の医薬的に許容される賦形剤と一緒に、単回又は複数回の用量で含んでなる医薬組成物を提供する。下文に言及される賦形剤の実例は、単なる例として示されているものであって、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0078】
本発明化合物は、任意の医薬剤形の形状で投与可能である。医薬剤形は、活性化合物の性質と、その投与経路とに依存する。任意の投与経路、例えば、経口、口腔内、経肺、局所、非経口(皮下、筋肉内、及び静脈内を含む)、経皮、眼球(点眼)、吸入、鼻腔内、耳、経粘膜、移植、又は直腸内投与が使用されてよい。しかしながら、経口、局所、又は非経口投与が好ましい。
【0079】
経口投与用の固形組成物は、なかんずく、共に即時放出又は調整放出製剤として製剤された、タブレット、顆粒、及び硬ゼラチンカプセルを包含する。
【0080】
別法として、本発明化合物は、経口用の液体製剤、例えばエマルジョン、溶液、散剤、懸濁物、シロップ、エリキシル、又は軟ゼラチンカプセル内に取り込まれてもよい。それらは、一般に使用される不活性希釈剤、例えば純水、エタノール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、及びプロピレングリコールを含有してもよい。補助組成物はまた、コアジュバント、例えば湿潤、懸濁、甘味、着香剤、保存料、緩衝剤、キレート剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0081】
非経口投与用の注射可能な製剤は、無菌の溶液、懸濁液、又はエマルジョンを、油性又は水性ビヒクル中に含んでなり、コアジュバント、例えば懸濁、安定化、張度剤、又は分散剤を含有してもよい。
【0082】
当該組成物は、その局所適用のために製剤されることも可能である。製剤は、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、シャンプー製剤、経口ペースト、マウスウォッシュ製剤、及びパッチを包含し、これにおいて化合物は適当な賦形剤中に分散又は溶解される。
【0083】
本発明の1つの実施態様においては、医薬組成物は、ナノスフェア、マイクロ粒子、及びナノ粒子の形状にある。
【0084】
活性成分の有効投与量は、他の因子の中でも、投与される特定の化合物、投与経路、治療されるべき疾病の性質及び厳しさ、並びに、患者の年齢、全身状態、及び体重に依存して異なってよい。好適な用量範囲の代表的な実例は、1日当たり約0.001から約100mg/Kg体重までであり、単回用量又は分割用量として投与可能である。しかしながら、投与される用量は、一般には医師の自由裁量にゆだねられる。
【0085】
MTTアッセイによる毒性及び細胞回復
MTTアッセイは、代謝事象がアポトーシス又は壊死をもたらす場合の、細胞増殖並びに細胞生存率の減少を測定する。それはまた、所与の細胞系が、ゼノバイオティクス(生体異物)の存在下にインキュベートされた場合の生存率を査定するためにも使用可能である。テトラゾリウム塩の減少は、細胞増殖を分析するための信頼できる方法として受け入れられている。黄色のテトラゾリウムMTT(3−(4,5−ジメチルチアゾリル−2)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)は、代謝活性のある細胞により還元され、DMSOによる可溶化後に分光光度法により測定可能な、紫色のホルマザンの細胞内形成を生ずる結果となる。
【0086】
MTTアッセイは、化合物の毒性を、異なる濃度において査定するべく、本発明において使用された。化合物は、細胞生存率におけるそれらの潜在的な損傷を分析するべく、Saos−2及びU937細胞系に対し、異なる濃度で添加され、異なる時間にインキュベートされた。結果は、パーセント細胞生存率により表されている。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
【表3】

【0090】
MTTアッセイはまた、アポトーシス誘導された細胞系における、化合物の添加による細胞回復を査定するべく使用された。Saos−2細胞系については、アポトーシス誘導は2μMのドキシサイクリンの添加により行われ;U937、ヒーラ、U2−OSの場合は、アポトーシスは各々0.25μM、1.5μM、2μMのドキソルビシンにより誘導された。結果は、ドキシサイクリン及びドキソルビシンの添加が、Saos−2、及び、U937、ヒーラ、又はU2−OSにおいて、各々100%の細胞死及び0%の細胞回復を誘導するものとみなすことにより、細胞生存率の%として表される。
【0091】
【表4】

【0092】
【表5】

【0093】
【表6】

【0094】
カスパーゼ阻害アッセイ
本発明において記述された化合物により誘導される、カスパーゼの時間依存性の阻害が分析された。細胞系は、化合物(50μM)の存在下又は不在下に、異なる時間で増殖された。カスパーゼ活性は、Saos−2又はU937細胞抽出物と、Ac−DEVD−afc(N−アセチル−Asp−Glu−Val−Asp−afc(7−アミノ−4−トリフルオロメチルクマリン)を基質(20μM)として用いて分析された。カスパーゼ活性は、サイトフルオール(Cytofluor)4000蛍光計(励起400nm;放射508nm)を用いた、1時間にわたる蛍光性afcの遊離により、連続的にモニターされた。カスパーゼ活性に対する化合物の効果は、処理細胞対非処理細胞(対照)の、蛍光シグナルにおける阻害のパーセントとして表された。
【0095】
【表7】

【0096】
【表8】

【0097】
【表9】

【0098】
Apaf−1誘導アポトーシスの阻害
化合物の活性は、アポトーシス装置内のそれらの特異標的に関して査定された。Apaf−1のオリゴマー化は、アポトソーム形成の活性化をもたらす分子事象であって、最終的にはアポトーシスの誘導に終わる。これらの実験は、無細胞で、及び細胞アッセイにおいて行われた。
【0099】
無細胞アッセイ用には、Hek−293細胞質抽出物が、先に記述されたように調製され(マレ(Malet)ら、2005年)、完全な細胞抽出物の分配が行われた。同時に、組換えApaf−1が、マレら(Malet)ら、2005年、に従って精製された。FT分画(カスパーゼ−3及び−9を含有するが、Apaf−1を欠く)は、異なる濃度の化合物の存在下に、組換えApaf−1と共にインキュベートされた(図1参照)。化合物の活性は、カスパーゼ活性の阻害により分析された(前文参照)。
【0100】
細胞アッセイ用には、Saos−2及びU937細胞は、Apaf−1オリゴマー形成を特異的に誘導するアポトソーム活性化剤(グエン(Nguyen)及びウェルズ(Wells)著、「プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)」、2003年、第100巻、p.7533−7538)で処理された。その後、化合物は細胞へ添加され(50μM)、24又は48時間インキュベートされた。Apaf−1誘導アポトーシスを阻害する化合物の能力は、カスパーゼ活性の阻害により分析された(上記参照)。
【0101】
【表10】

【0102】
Apaf−1CARDドメインに対するIIa.1の結合:蛍光偏光アッセイ
蛍光偏光測定は、ビクター(Victor)2V 1420マルチラベル(Multilabel)HTSカウンターにて行われた。緩衝液A(全反応体積は200μl)中の、5’−6’−カルボキシフルオレセイン標識IIa.1(CF−IIA.1と命名;λexc=480nm;λem=535nm)60nMの溶液は、濃縮されたタンパク質溶液で滴定された。データは、ウォラック(Wallac)1420ワークステーション(Workstation)ソフトウェアを用いることにより記録された。Kd値は、2相モデルを用いて計算された(図2参照)。
【0103】
初めに、アポトソームに対するペプトイドの結合部位を特徴づけるべく、本発明者らはIIa.1の蛍光性類似体(CF−IIa.1)を合成した。CF−IIa.1は、Apaf−1CARDドメインに結合したが、チトクロームc及び他の対照タンパク質には結合せず(マレら(Malet)ら、2005年)、蛍光偏光アッセイにおいて測定された解離定数(Kd)は60nMであった(図2)。それにもかかわらず、結合定数の値は、本発明者らのアッセイにおいてカスパーゼ活性を50%阻害するのに必要であったIIa.1の濃度(IC50≒30μM、図1)とは対照的であった。これらのデータを調和させるべく推定される説明は、インビトロでプロカスパーゼ−9を翻訳するべく使用された網状赤血球ライゼートが、IIa.1の有効濃度を減少させた成分を含有していた、ということである。
【実施例】
【0104】
以下の略語が、実施例において使用されている:
Boc:tert−ブトキシカルボニル
DCM:ジクロロメタン
DIC:N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
DMF:N,N’−ジメチルホルムアミド
eq:モル当量
EtOAc:酢酸エチル
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル
グリシン:G
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
リジン:K
PGA:ポリ(L−グルタミン酸)
フェニルアラニン:F
PyBOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス−ピロリジノホスホニウムヘキサフルオフルオロホスファート
R:アルギニン
rt:保持時間
TFA:トリフルオロ酢酸
バリン:V
【0105】
本発明は、以下の実施例によりさらに説明される。実施例は単なる例として示されているものであって、本発明の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。
【0106】
ポリスチレンAM RAM樹脂(0.75mmol/g)は、ラップ・ポリメレ(Rapp Polymere)GmbH(ドイツ)から購入された。2−クロロトリチルクロリド樹脂(1.4mmol/g)は、ノババイオケム(Novabiochem)から購入された。半調製用RP−HPLCは、ウォーターズ(Waters)(米国、マサチューセッツ州、ミルフォード)システムにより、X−TerraC18(19×25cm、5μm)カラムを用いて行われた;溶出:A=水中0.1%TFA、B=アセトニトリル中0.1%TFA、勾配:0分、20%B−20分、80%B。高分解能質量スペクトル(HRMS−FAB)は、サンチアゴ・デコンポステラ大学(スペイン)の質量分析サービス(Mass Spectrometry Service)において記録された。
【0107】
本書類において使用された命名法は、IUPAC系統的命名法生成のための、バイルシュタイン研究所(Beilstein Institute)コンピューターシステム、AUTONOM(オートマチック・ノーメンクレイチャー(自動命名法))に基づいている。
【0108】
中間体VIII
VIII:(Z)−ブタ−2−エン二酸モノアリルエステル
クロロホルム中2gの無水マレイン酸(20mmol)の溶液に対し、1.8mlのアリルアルコール(26mmol、1.3eq)が添加された。反応混合物は、マイクロ波照射下に、60℃で50分間攪拌された。結果として得られた溶液は、1N HClで処理され、クロロホルムで抽出された。有機抽出物は食塩水で洗浄され、次いで無水硫酸マグネシウム上で脱水され、濾過された。溶媒は減圧下に蒸留され、得られた残渣はカラムクロマトグラフィーにより精製されて、中間体VIIIを油として得た(純度95%、収率85%)。
【0109】
式Iの化合物
I.1: 1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−(3,3−ジフェニルプロピル)−3,7−ジオキソ[1,4]−ジアゼパン−5−カルボン酸カルバモイルメチル−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]アミド
リンク(Rink)アミド樹脂(500mg、0.4mmol)は、DMF中20%のピペリジン3mLで処理され、混合物はマイクロ波反応装置において、60℃で2分間攪拌された。樹脂は濾過され、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。樹脂は、DMF(3mL)中の、ブロモ酢酸(V、275mg、5eq)及びDIC(306μL、5eq)の溶液で処理された。反応混合物は、マイクロ波反応装置において、60℃で2分間攪拌された。樹脂はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。3mLのDMF中の、2,4−ジクロロフェネチルアミン(VIa、300μL、5eq)及びトリエチルアミン(275μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液はマイクロ波での活性化のもとに、90℃で2分間攪拌された。上清は除去され、樹脂はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次に、樹脂は、DCM:DMF(2:1、3mL)中の、(Z)−ブタ−2−エン二酸モノアリルエステル(VIII、310mg、5eq)、HOBT(267mg、5eq)、及びDIC(306μL、5eq)の溶液で処理された。反応混合物は室温で30分間攪拌され、濾過され、反応は同じ条件下に繰返された。樹脂はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。次いで、3mLのDMF中の、3,3−ジフェニルプロピルアミン(VIb、418mg、5eq)及びトリエチルアミン(257μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液は室温で3時間攪拌された。反応は、同じ温度において一晩繰返された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次いで、樹脂はDMF(3mL)中の、ブロモ酢酸(V、275mg、5eq)及びDIC(306μL、5eq)の溶液で処理された。反応混合物は、マイクロ波反応装置内で、60℃で2分間攪拌された。樹脂はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。3mLのDMF中の、2,4−ジクロロフェネチルアミン(VIc、200μL、5eq)及びトリエチルアミン(210μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液はマイクロ波での活性化のもとに、90℃で2分間攪拌された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次いで樹脂は、無水DCM中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(46mg、0.1eq)及びフェニルシラン(490μL、10eq)により、アルゴン雰囲気下に室温で15分間処理された。この手順は3回繰返された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。環化は、DMF(3mL)中の、PyBOP(308mg、1.5eq)、HOBT(80mg、1.5eq)、及びDIPEA(203μL、3eq)を用いた処理により促進された。反応混合物は室温で16時間攪拌され、濾過された。樹脂はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。最後に、60:40:2のTFA/DCM/水混合物による樹脂の処理は、標題化合物I.1を含有する粗反応混合物を遊離し、それは濾過された。濾液からの溶媒は、減圧下の蒸発及びそれに続く凍結乾燥により除去された。得られた残渣は、半調製用RP−HPLCにより、水性アセトニトリル勾配(42%アセトニトリル→80%アセトニトリル、35分間)を用いて精製され、91mgの所望の生成物を与えた(収率30%、純度≧98%)。
HRMS(M+H):C3938Clの理論値767.1647;測定値767.1720.
【0110】
異なるアミンを使用することを除いて、実施例I.1について記述されたものと類似の手順の後、以下の生成物が得られた:
【0111】
【表11】

【0112】
中間体Ia
Ia: {[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−[1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)エチル]−4−(3,3−ジ−フェニルプロピル)−3,7−ジオキソ[1,4]ジアゼパン−5−カルボニル]アミノ}酢酸
2−クロロトリチルクロリド樹脂(IVa、700mg、0.98mmol)は、DCM(4mL)中の、クロロ酢酸(V、463mg、5eq)及びDIPEA(840μL、5eq)の溶液で処理された。混合物は室温で1時間攪拌され、反応はメタノール(550μL)でクエンチされ、攪拌は10分間継続された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。4mLのDMF中の、2,4−ジクロロフェネチルアミン(VIa、740μL、5eq)及びDIPEA(840μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液は室温で3時間攪拌された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次いで樹脂は、2:1のDCM:DMF(4mL)中の、(Z)−ブタ−2−エン二酸モノアリルエステル(VIII、765mg、5eq)、HOBT(662mg、5eq)、及びDIC(760μL、5eq)の溶液で処理された。反応混合物は室温で30分間攪拌され、濾過され、同じ条件下に繰返された。次に、4mLのDMF中の、3,3−ジフェニルプロピルアミン(VIb、1.0g、5eq)及びDIPEA(840μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液は室温で3時間攪拌された。反応は繰返され、攪拌は同じ温度において16時間継続された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次いで、樹脂は2:1のDCM:DMF(4mL)中の、クロロ酢酸(V、463mg、5eq)及びDIC(760μL、5eq)の溶液で処理された。反応混合物は室温で30分間攪拌された。樹脂はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。4mLのDMF中の、2,4−ジクロロフェネチルアミン(VIc、740μL、5eq)及びDIPEA(840μL、5eq)の溶液が樹脂へ添加され、懸濁液は室温で3時間攪拌された。上清は除去され、残渣はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。次いで樹脂は、無水DCM中のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(114mg、0.1eq)及びフェニルシラン(1.2mL、10eq)により、アルゴン雰囲気下に室温で15分間処理された。この合成段階は3回まで行われた。上清は除去され、残渣はドレインされ、DCM(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDMF(3×3mL)で洗浄された。環化は、DMF(4mL)中の、PyBOP(765mg、1.5eq)、HOBT(199mg、1.5eq)、及びDIPEA(505μL、3eq)を用いた処理により促進された。反応混合物は室温で48時間攪拌され、濾過された。樹脂はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。最後に、5:95のTFA/DCM混合物による樹脂の処理は、粗反応混合物を遊離し、それは濾過された。濾液からの溶媒は、減圧下に除去され、続いて凍結乾燥され、化合物Ia(460mg、収率61%、純度≧55%)を無色の固体として与えた。
【0113】
中間体IIa
リンク(Rink)アミド樹脂(IV、505mg、0.4mmol)は、DMF中20%のピペリジン3mLで脱保護された。混合物はマイクロ波反応装置において、60℃で2分間攪拌された。樹脂は濾過され、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。Fmoc−L−Lys(Boc)−OH(XIVa、2eq)は、HOBT(108mg、2eq)及びDIC(125μL、2eq)を用いて樹脂へ結合された。混合物は室温で1時間攪拌された。樹脂はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。3mLの、DMF中20%のピペリジン(30分間)によるFmoc基の除去に際し、樹脂はDMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。必要であれば、上述と同じ条件下に、別のアミノ酸(XIVb)がカップリングされ、中間体XVIを生じた。
【0114】
DMF中で膨潤された中間体XVIに対し、DMF(3mL)中の、HATU(228mg、1.5eq)及びDIPEA(205μL、3eq)の存在下に、酸Ia(460mg、1.5eq)が添加された。反応混合物は室温で16時間攪拌され、濾過された。樹脂はドレインされ、DMF(3×3mL)、イソプロピルアルコール(3×3mL)、及びDCM(3×3mL)で洗浄された。80:20:2.5:2.5のTFA/DCM/水/トリイソプロピルシラン混合物による樹脂の処理は、化合物IIaを含有する粗反応混合物の遊離をもたらし、それは濾過された。濾液からの溶媒は、減圧下に除去され、続いて凍結乾燥された。得られた残渣は、半調製用RP−HPLCにより、水性−アセトニトリル勾配を用いて精製された。
【0115】
【表12】

【0116】
式IIIの化合物
III.1:PGA−IIa.1
水中の、分子量(M)範囲17000−43000DaをもつPGAナトリウム塩(XVII、0.1g、0.5mmol)の溶液に対し、0.2M HClが、溶液のpHが2.0に調整されるまで添加された。沈澱は収集され、水に対し透析され、凍結乾燥された。次いで、そのプロチン型のPGA(XVIIa)は、無水DMF(7.5mL)中に溶解され、DIC(3eq)及びHOBt(3eq)が添加され、15分間攪拌された。次に、中間体IIa.1(0.052mmol(12mol%)、1eq)が添加され、DIPEA(1.5mL)によりpHは8に調整された。反応は室温で36時間進行された。薄層クロマトグラフィー(TLC、シリカ)は、IIa.1(R=0.5)の、ポリマーコンジュゲート(R=0、MeOH:HO:AcOH=85:10:5)への完全な転換を示した。反応を停止するべく、混合物はCHClへ注入された。結果として得られた沈澱は収集され、真空中で乾燥された。PGA−ペプトイドコンジュゲートIII.1のナトリウム塩は、生成物を1.0M NaHCO中に溶解することにより得られた。この水溶液は蒸留水に対し透析された(MCO 6,000−8000Da)。透析物の凍結乾燥は、生成物を白色の粉末として生じた。UV(λ=282nm)により測定された、ポリマー中の全ペプトイド含有率は、25−30%(w/w)(10−12mol%官能基化)の範囲であり、遊離薬物含有率<全薬物の1重量%であった。
【0117】
溶液中のIII.1及び対照XVIIの、平均分子量(Mw)、多分散性(Mw/M
n)、及び挙動は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)及び分析用超遠心(AUC)により分析された。双方の技術ともIII.1を、XVIIよりも小さい流体力学的体積及び大きい沈降係数(S)をもつ(III.1及びXVIIについて、各々、tr=12.5分及びS=3.5±0.4秒 対 tr=11.6分及びS=1.9±0.1秒)、よりコンパクトな立体配座構造として示した。沈降平衡により、MwはXVIIについて26700Da、III.1について58600Daと測定されたが、PEG標準を用いたGPCにより、36000Da(Mw/Mn=1.8)及び38000Da(Mw/Mn=1.5)の分子量が、XVII及びIII.1について、各々PEG標準を用いたGPCにより測定された。
【0118】
UV分光法による全薬物含有率の測定
MeOH中のIIaストック溶液が調製された(1mg/mL)。標準曲線を得るべく、試料はMeOHを用いて希釈され、0−1mg/mLの濃度範囲を与えた。コンジュゲートの全薬物負荷は、HO中での272nm及び281nmの光学密度を測定することにより決定された。HO中で分析された、IIIコンジュゲートと同じ濃度範囲(0−5mg/mL)のPGAが、ブランクとして使用された。IIaについて、RTで、MeOH中、281nmで検出された吸光係数は、713Lmol−1cm−1であった。
【0119】
HPLCによる遊離薬物含有率の測定
III.1の水溶液(1mg/mL)が調製され、アリコート(100μL)がポリエチレンチューブへ添加され、水で1mLとされた。試料のpHは、ギ酸アンモニウム緩衝液(100μL、1M、pH8.5)により8に調整され、次いでCHCl(5mL)が添加された。試料は次に、ボルテックスすることにより完全に抽出された(3×10秒間)。上部の水性層は慎重に除去され、溶媒はN下に蒸発された。乾燥残渣は、200μLのHPLCグレードのアセトニトリル中に溶解された。平行して、同じ手順が親化合物IIa.1(200μLの1mg/mLストック水溶液使用)について行われた。生成物を再溶解するための1mLのアセトニトリルの添加は、200μg/mLのストックを与え、そこから濃度の範囲が調製された(2−100μg/mL)。コンジュゲート中の薬物の遊離量は、HPLCにより、リクロスフェア(Lichrospher(登録商標))C18カラム(150×3.9mm)を用いて測定された。流速1mL/分、0.1%TFA水溶液中のアセトニトリル勾配使用(20分間で、20−100%のアセトニトリル)。保持時間は、IIa.1についてtr=14.3分(λ=220nm)であった。
【0120】
これらの、III.1と同様の手順の結果、以下の実施例が得られた:
【0121】
【表13】

【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】異なる濃度の化合物IIa.1の存在下に、組換えApaf−1とインキュベートされたHek−293FT細胞質分画を用いた、無細胞カスパーゼ阻害アッセイを示した図である。
【図2】CARD/IIa.1相互作用の分析を示した図である。PBS緩衝液中の、CF−IIa.1の240nM溶液は、濃度の増していくCARD−Apafにより滴定され、蛍光偏光は30℃で測定された。データ(平均s.d.;n=3)は、ミリポラリゼーション単位(mp)で記録された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
R1は、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−(CH1−3−NHCO−(C−C)アルキル、−(CH1−3−CONRaRb、−(CH0−3(3−6)Cy、−(CH0−3−(5−6)Hetcy、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH−CH(フェニル)、−(CH−CH(フェニル)[(5−6)Hetar]、又は−(CH−CH[(5−6)Hetar]を表し;
R2は、−(CH0−3−(3−6)Cy、−(CH0−3−(5−6)Hetcy、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH−CH(フェニル)、−(CH−CH(フェニル)[(5−6)Hetar]、又は−(CH−CH[(5−6)Hetar]を表し;
R3は、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、又は−(CH1−3−(5−6)Hetarを表し;
(C−C)アルキル及び−(C−C)アルケニルは、−O−(C−C)アルキル、−S−(C−C)アルキル、−NH、−NH−(C−C)アルキル、及び−N[(C−C)アルキル]から選択される、1以上の置換基で置換されてもよく;
(C−C)アルキルは、1以上のハロゲン原子で置換されてもよく;
Ra及びRbは、独立して、−H又は−(C−C)アルキルを表し;
(3−6)Cyは、3−6員の、部分的に不飽和か、又は飽和された炭素環式環の基を表し;
(5−6)Hetcyは、独立してO、S、及びNから選択される1又は2個のヘテロ原子を含有する、5又は6員の、部分的に不飽和か、又は飽和された炭素環式環の、C−又はN−基を表し;
Cy及びHetcyは、ハロゲン、−CF、及び−OHから選択される1以上の置換基で置換されてもよく;
(5−6)Hetar及び(5−10)Hetarは、独立してO、S、及びNから選択される1から4個までのヘテロ原子を含有する、各々5又は6員、及び5−10員の芳香環の、C−又はN−基を表し;
フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、(5−6)Hetar、及び(5−10)Hetarは、ハロゲン、−CF、−OH、−O−(C−C)アルキル、−CO−(C−C)アルキル、−(C−C)アルキル−NRaRb、−NRaRb、及び−SONHから選択される1以上の置換基で置換されてもよく;
R2は、2−(4−フルオロフェニル)エチルを表さないという条件付きである]の化合物、その立体異性体及びそれらの混合物、その多形体及びそれらの混合物、及び、医薬的に許容されるそれらの溶媒和化合物及び付加塩。
【請求項2】
R1が、−(CH0−3−(5−6)Hetcy、−(CH1−3−(5−10)Hetar、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、又は−(CH1−3−(2−ナフチル)を表し、それらの全てが置換されてもよい、請求項1の化合物。
【請求項3】
R2が、−(CH1−3−フェニル、−(CH1−3−(1−ナフチル)、−(CH1−3−(2−ナフチル)、又は−(CH−CH(フェニル)を表し、それらの全てが置換されてもよく、R2が2−(4−フルオロフェニル)エチル−を表さないという条件付きである、請求項1又は2の化合物。
【請求項4】
R3が、−(CH1−3−(5−6)Hetar又は−(CH−フェニルを表し、双方が置換されてもよい、請求項1−3のいずれかによる化合物。
【請求項5】
式II:
【化2】

[式中、R1、R2、及びR3は、R2の条件なしで請求項1において定義されたものと同様の意味を有しており;各R4は、独立して、任意の20の天然産アミノ酸からの側鎖を表し、nは0、1、2、又は3である]の基を含んでなる薬物コンジュゲートである化合物、その立体異性体及びそれらの混合物、及び、ポリグルタミン酸ポリマーへコンジュゲートされた医薬的に許容されるそれらの溶媒和化合物及び付加塩。
【請求項6】
式III:
【化3】

[式中、xに対するyの比率は、重量で25−30%から75−70%までである]の、請求項2の薬物コンジュゲートである化合物。
【請求項7】
前記ポリグルタミン酸がポリ(L−グルタミン酸)であり;nが2を表し、R4がグリシン側鎖を表す、請求項5又は6の化合物。
【請求項8】
R2の条件なしで請求項1に定義された式Iの化合物、又は請求項5に定義された化合物の、アポトーシスの阻害に関連した症状の治療又は予防のための、医薬品製造のための使用。
【請求項9】
前記症状が、卒中、外傷性障害、脳損傷、脊髄損傷、髄膜炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ケネディー病、多発性硬化症、プリオン関連疾患、心筋虚血、並びに他の急性又は慢性の心臓血管疾患、臓器移植、アルコール関連病理、又は脱毛症の治療から選択される、請求項8の使用。
【請求項10】
アポトーシスの阻害に関連した症状の治療又は予防のための方法であって、R2条件なしで請求項1に定義された式Iの化合物か、又は請求項5に定義された化合物と、1以上の医薬的に許容される賦形剤とを、投与することを含んでなる方法。
【請求項11】
前記症状が、卒中、外傷性障害、脳損傷、脊髄損傷、髄膜炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、ケネディー病、多発性硬化症、プリオン関連疾患、心筋虚血、並びに他の急性又は慢性の心臓血管疾患、臓器移植 アルコール関連病理、又は脱毛症の治療から選択される、請求項10の方法。
【請求項12】
有効量の、請求項1に定義された式Iの化合物又は請求項5に定義された化合物、医薬的に許容されるそれらの塩又は溶媒和化合物、及び、1以上の医薬的に許容される賦形剤を含んでなる医薬組成物。
【請求項13】
ナノスフェア、マイクロ粒子、及びナノ粒子の形状にある、請求項12の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−516733(P2009−516733A)
【公表日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541842(P2008−541842)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003312
【国際公開番号】WO2007/060524
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(308034268)ラボラトリオス サルヴァト エスエー (1)
【出願人】(508155273)
【Fターム(参考)】