説明

アミノアシルプロドラッグ

本願は、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミドのプロドラッグ誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に血栓塞栓性疾患の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミドのプロドラッグ誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロドラッグは、実際の有効成分が遊離する前に、1つまたはそれ以上の段階において、インビボで酵素的および/または化学的な生物変換を受ける有効成分の誘導体である。プロドラッグの残基は、通常、基礎となる有効成分の特性のプロフィールを改善するために使用される[P. Ettmayer et al., J. Med. Chem. 47, 2393 (2004)]。これに関して、最良の効果のプロフィールを達成するために、プロドラッグの残基の設計および所望の遊離メカニズムを、個々の有効成分、適応症、作用部位および投与経路と非常に正確に調和させることが必要である。多数の医薬が、基礎となる有効成分と比較して改良されたバイオアベイラビリティーを示すプロドラッグとして投与され、それは、例えば、物理化学的プロフィール、特に、溶解性、能動的または受動的吸収特性または組織特異的分布を改良することにより達成される。プロドラッグに関する広範な文献から言及し得る例は、H. Bundgaard (Ed.), Design of Prodrugs: Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities, Elsevier Science Publishers B.V., 1985 である。
【0003】
5−クロロ−N−({(5S)−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド[化合物(A)]は、血液凝固の調節において必須の機能を果たすセリンプロテアーゼXa因子の、経口で有効な直接的阻害剤である。オキサゾリジノン化合物は、現在、血栓塞栓性障害の予防および処置用の潜在的な新しい有効医薬成分として、綿密な臨床試験を受けている [S. Roehrig et al., J. Med. Chem. 48, 5900 (2005)]。
【化1】

【0004】
しかしながら、化合物(A)は、水および生理的媒体において限られた溶解性しか有さず、このことは、例えば、有効成分の静脈内投与を困難にしている。従って、上述の媒体において改善された溶解性を有し、同時に、投与後に患者の体内での有効成分(A)の遊離の制御を可能にする、化合物(A)の誘導体またはプロドラッグを同定することが、本発明の目的であった。
【0005】
WO2005/028473は、経口のバイオアベイラビリティーの上昇に役立つオキサゾリジノンのアシルオキシメチルカルバメートプロドラッグを記載している。WO01/00622は、イノシン−5'−一リン酸デヒドロゲナーゼのカルバメート阻害剤のアシルプロドラッグを開示している。基礎となる有効成分を多段階の活性化メカニズムにより遊離させるオキサゾリジノン類のアミドプロドラッグのさらなるタイプは、WO03/006440に記載されている。
【0006】
本発明は、一般式(I)
【化2】

[式中、
nは、1または2の数であり、
Xは、酸素原子、硫黄原子またはNHであり、
は、天然α−アミノ酸またはそのホモログまたは異性体の側鎖の基であり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であるか、
または、
およびRは、(CHまたは(CH基を介して結合し、それらが結合している窒素または炭素原子と一体となって5員または6員の環を形成している]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【0007】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述する式の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(後述する式(I)に包含される化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)である。
【0008】
本発明による化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な構成分を既知の方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0009】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。
【0010】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0011】
本発明の目的上、溶媒和物は、固体または液体状態で、溶媒分子との配位により錯体を形成している本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0012】
本発明に関して、断りのない限り、置換基は、以下の意味を有する:
の意味におけるα−アミノ酸の側鎖の基は、天然産生α−アミノ酸の側鎖の基およびこれらのα−アミノ酸のホモログおよび異性体の側鎖の基の両方を含む。α−アミノ酸は、これに関して、α−アミノ酸は、LおよびD配置の両方を有し得るか、または、L体およびD体の混合物であり得る。言及し得る側鎖の基の例は、水素(グリシン)、メチル(アラニン)、プロパン−2−イル(バリン)、プロパン−1−イル(ノルバリン)、2−メチルプロパン−1−イル(ロイシン)、1−メチルプロパン−1−イル(イソロイシン)、ブタン−1−イル(ノルロイシン)、フェニル(2−フェニルグリシン)、ベンジル(フェニルアラニン)、p−ヒドロキシベンジル(チロシン)、インドール−3−イルメチル(トリプトファン)、イミダゾール−4−イルメチル(ヒスチジン)、ヒドロキシメチル(セリン)、2−ヒドロキシエチル(ホモセリン)、1−ヒドロキシエチル(スレオニン)、メルカプトメチル(システイン)、メチルチオメチル(S−メチルシステイン)、2−メルカプトエチル(ホモシステイン)、2−メチルチオエチル(メチオニン)、カルバモイルメチル(アスパラギン)、2−カルバモイルエチル(グルタミン)、カルボキシメチル(アスパラギン酸)、2−カルボキシエチル(グルタミン酸)、4−アミノブタン−1−イル(リジン)、4−アミノ−3−ヒドロキシブタン−1−イル(ヒドロキシリジン)、3−アミノプロパン−1−イル(オルニチン)、3−グアニジノプロパン−1−イル(アルギニン)、3−ウレイドプロパン−1−イル(シトルリン)である。Rの意味における好ましいα−アミノ酸の側鎖の基は、水素(グリシン)、メチル(アラニン)、プロパン−2−イル(バリン)、プロパン−1−イル(ノルバリン)、イミダゾール−4−イルメチル(ヒスチジン)、ヒドロキシメチル(セリン)、1−ヒドロキシエチル(スレオニン)、カルバモイルメチル(アスパラギン)、2−カルバモイルエチル(グルタミン)、4−アミノブタン−1−イル(リジン)、3−アミノプロパン−1−イル(オルニチン)、3−グアニジノプロパン−1−イル(アルギニン)である。L配置が好ましい。
【0013】
本発明による化合物中のラジカルが置換されている場合、そのラジカルは、断りのない限り、一置換または多置換されていてよい。本発明に関して、1回より多く出てくる全てのラジカルは、相互に独立の意味を有する。1個または2個の同一かまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換がことさら特に好ましい。
【0014】
好ましいのは、式中、
nが、1または2の数であり、
Xが、酸素原子、硫黄原子またはNHであり、
が、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イルまたは3−グアニジノプロパン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルであり、
が、水素またはメチルであり、
が、水素であるか、
または、
およびRが、(CHまたは(CH基を介して結合し、それらが結合している窒素または炭素原子と一体となって5員または6員の環を形成している、
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0015】
好ましいのは、また、式中、
nが、1または2の数であり、
Xが、NHであり、
が、水素、メチル、プロパン−2−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルであり、
が水素であり、
が水素である、
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0016】
好ましいのは、また、nが2の数である、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、XがNHである、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが、水素、メチル、プロパン−2−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、3−グアニジノプロパン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルである、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが、水素、メチル、プロパン−2−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルである、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが水素である、式(I)の化合物である。
好ましいのは、また、Rが水素である、式(I)の化合物である。
【0017】
本発明は、さらに、式(I)の化合物の製造方法に関し、それは、以下を特徴とする;
[A]式
【化3】

の化合物を、先ず、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化4】

(式中、nは上記の意味を有し、
そして、Qは、塩素、臭素またはヨウ素などの脱離基である)
の化合物を用いて、式
【化5】

(式中、nおよびQは、上記の意味を有する)
の化合物に変換し、
【0018】
次いで、後者を、以下の方法に従って反応させる;
[A1]不活性溶媒中、式
【化6】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基であり、
そして、Yは、OまたはSである)
のα−アミノカルボン酸またはα−アミノチオカルボン酸のセシウム塩と反応させ、式
【化7】

(式中、n、R、R、RおよびPGは、上記の意味を有し、そして、
Xは、OまたはSである)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化8】

(式中、n、R、RおよびRは、上記の意味を有し、そして、
XはOまたはSである)
の化合物をもたらす、
【0019】
または、
[A2]不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化9】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基である)
のα−アミノチオカルボン酸と反応させ、式
【化10】

(式中、n、R、R、RおよびPGは、上記の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化11】

(式中、n、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物をもたらす、
【0020】
または、
[B]化合物(A)を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化12】

(式中、nは上記の意味を有する)
の化合物と反応させ、式
【化13】

(式中、nは上記の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基を常套の方法により除去し、式
【化14】

(式中、nは上記の意味を有する)
の化合物をもたらし、
【0021】
次いで、塩基の存在下、式
【化15】

(式中、R、RおよびRは、上記の意味を有し、
AGは、ヒドロキシルまたはハロゲン、好ましくは塩素または臭素であるか、または、カルボニル基と一体となって、活性化エステル、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、または、混合無水物、好ましくはギ酸アルキル、特に好ましくはギ酸エチルを形成しており、そして、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基である)
の化合物と反応させ、式
【化16】

(式中、n、R、R、RおよびPGは、上記の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化17】

(式中、n、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物をもたらし、
そして、各場合で得られる式(I−A)または(I−B)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【0022】
式(I−A)、(I−B)および(IX)の化合物は、それらの塩の形態でも存在できる。これらの塩は、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)塩基での処理により、遊離塩基に変換できる。
【0023】
ラジカルR中に必要に応じて存在する官能基は、好都合または必要であれば、上記の連続反応において、一時的な保護形態にあってもよい。そのような保護基並びに保護基PGの導入および除去は、これに関して、ペプチド化学から知られている常套の方法により行う[例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999; M. Bodanszky and A. Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin, 1984 参照]。
【0024】
必要に応じてR中に存在するそのような保護基は、これに関して、PGの除去と同時に、または、PGの除去前または後の別の反応段階で、除去し得る。
【0025】
上記方法において好ましく使用されるアミノ保護基PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)である。これらの保護基の除去、および、工程(VIII)→(X)における保護基の除去は、常套の方法により、好ましくは、塩化水素、臭化水素またはトリフルオロ酢酸などの強酸と、ジオキサン、ジクロロメタンまたは酢酸などの不活性溶媒中で反応させることにより、実施する。
【0026】
工程(A)+(II)→(III)および(A)+(VII)→(VIII)で好ましく使用される不活性溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドである;N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これらの反応において特に適する塩基は、水素化ナトリウムである。上述の反応は、一般的に、0℃ないし+40℃の温度範囲で、大気圧下で実施する。
【0027】
工程(III)+(VI)→(V−A)および(IX)+(X)→(XI)で好ましく使用される不活性溶媒は、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドである;N,N−ジメチルホルムアミドが特に好ましい。これらの反応において特に適する塩基は、エチルジイソプロピルアミンである。上述の反応は、一般的に、0℃ないし+40℃の温度範囲で、大気圧下で実施する。
【0028】
工程(III)+(IV)→(V)は、好ましくは、溶媒としてのN,N−ジメチルホルムアミド中で行う。この反応は、一般的に、0℃ないし+50℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+50℃で、大気圧下で行う。この反応は、また、超音波処理により有利に実施できる。
【0029】
式(II)、(IV)、(VI)、(VII)および(X)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献中の常套の方法により製造できる。化合物(A)の製造は、実施例に記載されている。
【0030】
本発明による化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム
【化18】

【0031】
本発明による化合物およびそれらの塩は、有効成分化合物(A)の有用なプロドラッグである。一方では、それらは、例えばpH4で良好な安定性を示し、他方では、それらはインビボで、有効成分化合物(A)への効率的な変換を示す。本発明による化合物は、さらに、水および他の生理的に耐容される媒体中での良好な溶解性を有し、それらを特に静脈内投与での治療的使用に適するものにしている。
【0032】
本発明はさらに、障害、好ましくは血栓塞栓性障害および/または血栓塞栓性合併症の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0033】
本発明に関して、「血栓塞栓性障害」には、特に、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)または非ST上昇型心筋梗塞(非STEMI)、安定狭心症、不安定狭心症、血管形成術または大動脈冠動脈バイパス術などの冠動脈介入後の再閉塞および再狭窄、末梢動脈閉塞疾患、肺栓塞症、深部静脈血栓および腎静脈血栓、一過性虚血発作、並びに、血栓性および血栓塞栓性卒中などの障害が含まれる。
【0034】
従って、これらの物質は、例えば心房細動などの急性、間欠性または持続性心不整脈を有する患者、および、電気的除細動を受けている者、また、心臓弁疾患を有するか、または人工心臓弁を有する患者における、心原性血栓塞栓症、例えば、脳虚血、卒中および全身性血栓塞栓症および虚血の予防および処置にも適する。加えて、本発明による化合物は、汎発性血管内凝固症候群(DIC)の処置に適する。
【0035】
血栓塞栓性合併症は、また、微小血管障害性溶血性貧血、血液透析などの体外循環、および、心臓代用弁と関連して起こる。
【0036】
さらに、本発明による化合物は、アテローム硬化性血管障害および炎症障害、例えば筋骨格系のリウマチ性障害の予防および/または処置にも、さらに同様に、アルツハイマー病の予防および/または処置にも適する。さらに、本発明による化合物は、腫瘍成長および転移形成の阻害、微小血管障害、加齢に伴う黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症および他の微小血管の障害、また、例えば、腫瘍患者における、特に大きい外科手術または化学療法もしくは放射線治療を受けている者における、静脈血栓塞栓症などの血栓塞栓性合併症の予防および処置にも用いることができる。
【0037】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0038】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
【0039】
本発明は、さらに、本発明による化合物を使用する、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0040】
本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。好ましく言及し得る適当な組合せの有効成分の例は、以下のものである:
・脂質低下剤、特にHMG−CoA(3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−補酵素A)リダクターゼ阻害剤;
・冠血管治療剤/血管拡張剤、特にACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤;AII(アンジオテンシンII)受容体アンタゴニスト;β−アドレナリン受容体アンタゴニスト;アルファ−1−アドレナリン受容体アンタゴニスト;利尿剤;カルシウムチャネル遮断剤;環状グアノシン一リン酸(cGMP)の上昇をもたらす物質、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤;
・プラスミノーゲン活性化剤(血栓溶解剤/線維素溶解剤)および血栓溶解/線維素溶解を高める化合物、例えば、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の阻害剤(PAI阻害剤)またはトロンビン活性型線維素溶解阻害因子の阻害剤(TAFI阻害剤);
・凝血活性を有する物質(抗凝血剤);
・血小板凝集阻害性物質(血小板凝集阻害剤);
・フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(糖タンパク質IIb/IIIaアンタゴニスト);
・並びに抗不整脈薬。
【0041】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0042】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口、非経腸、肺または鼻の経路で、投与できる。本発明による化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0043】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速におよび/または改変された様式で送達し、本発明による化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形態で含有する投与形であり、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、または、遅れて溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口中で迅速に崩壊する錠剤、またはフィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤などである。
【0044】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、なかんずく、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0045】
他の投与経路に適するのは、例えば、粉末吸入器または噴霧器などの吸入用医薬形、または、点鼻薬、液またはスプレーなどの、鼻腔投与できる医薬形である。
非経腸投与、特に静脈内投与が好ましい。
【0046】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、なかんずく、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0047】
一般に、非経腸投与で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになり、経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0048】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る数回の個別投与に分割するのが望ましいことがある。
【0049】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0050】
A. 実施例
略号および頭字語:
【表1】

【0051】
LC−MSおよびHPLCの方法:
方法1:装置:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(70%濃度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→6.5分90%B→6.7分2%B→7.5分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0052】
方法2:装置:DAD 検出を備えたHP 1100;カラム:Kromasil 100 RP-18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;移動相A:過塩素酸(70%濃度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分2%B→0.5分2%B→4.5分90%B→9分0%B→9.2分2%B→10分2%B;流速:0.75ml/分;カラム温度:30℃;UV検出:210nm。
【0053】
方法3:MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分,2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0054】
方法4:装置:Micromass GCT, GC6890;カラム:Restek RTX-35MS, 30 m x 250 μm x 0.25 μm;一定のヘリウム流速:0.88ml/分;オーブン:60℃;入口:250℃;グラジエント:60℃(0.30分間維持)、50℃/分→120℃、16℃/分→250℃、30℃/分→300℃(1.7分間維持)。
【0055】
方法5:カラム:GROM-SIL 120 ODS-4 HE, 10 μM, 250 mm x 30 mm;流速:50ml/分;移動相およびグラジエントのプログラム:アセトニトリル/0.1%水性ギ酸10:90(0−3分)、アセトニトリル/0.1%水性ギ酸10:90→95:5(3−27分)、アセトニトリル/0.1%水性ギ酸95:5(27−34分)、アセトニトリル/0.1%水性ギ酸10:90(34−38分);温度:22℃;UV検出:254nm。
【0056】
方法6:装置:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;移動相A:水1l+50%濃度のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分、2.5分/3.0分/4.5分。2ml/分;温度:50℃;UV検出:210nm。
【0057】
方法7(LC−MS):MS装置タイプ:Waters (Micromass) Quattro Micro;HPLC装置タイプ:Agilent 1100 Series;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→3.0分10%A→4.0分10%A→4.01分100%A(流速2.5ml)→5.00分100%A;オーブン:50℃;流速:2ml/分;UV検出:210nm。
【0058】
方法8(LC−MS):MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;移動相A:水1l+50%濃度のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0059】
方法9(分析的HPLC):装置:HP1090 Series II;カラム:Waters XTerra C18-5, 3.9 mm x 150 mm WAT 186000478;移動相A:水2.5l中の70%濃度の過塩素酸10ml、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0.0分20%B→1分20%B→4分90%B→6分90%B→8分20%B。温度:40℃;流速:1ml/分。
【0060】
方法10(分析的HPLC):装置:HP 1090 Series II;カラム:Merck Chromolith Speed ROD RP-18e, 50 mm x 4.6 mm; precolumn Chromolith Guard Cartridge Kit, RP-18e, 5-4.6 mm;移動相A:過塩素酸(70%濃度)5ml/水1l、移動相B:アセトニトリル;グラジエント:0分20%B→0.5分20%B→3分90%B→3.5分90%B→3.51分20%B→4分20%B;流速:5ml/分;カラム温度:40℃;UV検出:210nm。
【0061】
方法11(分取HPLC):装置:UV検出器を備えた Gilson, カラム: Kromasil C18, 5μm/ 250 mm x 20 mm(流速:25ml/分);移動相A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)、移動相B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸);グラジエント:0分5−20%B、10分−15分5−20%B、45分90%B、50分90%B;UV検出:210nm;流速:25ml/分。
【0062】
方法12(分取HPLC):装置:UV検出器を備えた Gilson, カラム: YMC ODS AQ C18, 10μm/ 250 mm x 30 mm (流速:50ml/分);移動相A:水(0.01%トリフルオロ酢酸)、移動相B:アセトニトリル(0.01%トリフルオロ酢酸);グラジエント:0分5−20%B、10分−15分5−20%B、45分90%B、50分90%B;UV検出:210nm;流速:50ml/分。
【0063】
方法13(LC−MS):装置:Waters UPLC Acquity を備えた Micromass Quattro Premier;カラム:Thermo Hypersil GOLD 1.9μ, 50 mm x 1 mm;移動相A:水1l+50%濃度のギ酸0.5ml、移動相B:アセトニトリル1l+50%濃度のギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→1.5分10%A→2.2分10%A;オーブン:50℃;流速:0.33ml/分;UV検出:210nm。
【0064】
NMR分光法:
NMR測定は、プロトン周波数400.13MHzまたは500.13MHzで実施した。サンプルを通常はDMSO−dに溶解した;温度:302K。
【0065】
出発化合物:
使用した出発物質は、5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド[化合物(A)]であった。
【化19】

【0066】
実施例1A
5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド
【化20】

塩化オキサリル137ml(1.57mol)を、ジクロロメタン307ml中の5−クロロチオフェン−2−カルボン酸51.2g(0.315mmol)の懸濁液に添加した。DMF2滴の添加後、混合物を室温で15時間撹拌した。次いで、溶媒および過剰の塩化オキサリルをロータリーエバポレーターで除去した。残渣を減圧下で蒸留した。生成物は、74−78℃および4−5mbarの圧力で沸騰した。これにより、油状物50.5g(理論値の87%)を得、これは、冷蔵庫での保存で凝固した。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3, δ/ppm): 7.79 (d, 1H), 7.03 (d, 1H).
GC/MS (方法 4): Rt = 5.18 分.
MS (EI+, m/z): 180/182/184 (2 35Cl/37Cl) M+.
【0067】
実施例2A
((S)−2,3−ジヒドロキシプロピル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
(C.R. Thomas, Bayer HealthCare AG, DE-10300111-A1 (2004)より)
【化21】

13−15℃で、重炭酸ナトリウム461g(4.35mol)および(2S)−3−アミノプロパン−1,2−ジオール塩酸塩350g(3.85mol)を、先ず、水2.1lに加え、2−メチルテトラヒドロフラン950mlを添加した。15−18℃で冷却しながら、トルエン180ml中の5−クロロチオフェン−2−カルボニルクロリド(実施例1Aの化合物)535g(2.95mol)をこの混合物に2時間かけて滴下して添加した。後処理に、相を分離し、全部で1.5lのトルエンを数段階で有機相に添加した。沈殿した生成物を吸引濾過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥させた。これにより、生成物593.8g(理論値の92%)を得た。
【0068】
実施例3A
((S)−3−ブロモ−2−ヒドロキシプロピル)−5−クロロチオフェン−2−カルボキサミド
(C.R. Thomas, Bayer HealthCare AG, DE-10300111-A1 (2004)より)
【化22】

30分間かけて、酢酸中の33%濃度の臭化水素の溶液301.7mlを、21−26℃で、氷酢酸250ml中の実施例2Aの化合物100g(0.423mol)の懸濁液に添加した。次いで無水酢酸40mlを添加し、反応混合物を60−65℃で3時間撹拌した。次いで、20−25℃で、メタノール960mlを30分間かけて添加した。反応混合物を還流下で2.5時間撹拌し、次いで20−25℃で終夜撹拌した。後処理に、溶媒を約95mbarの減圧下で蒸留した。n−ブタノール50mlおよび水350mlを残った懸濁液に添加した。沈殿した生成物を吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させた。これにより、生成物89.8g(理論値の71%)を得た。
【0069】
実施例4A
5−クロロ−N−[(2S)−オキシラン−2−イルメチル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化23】

粉末状炭酸カリウム155g(1.12mol)を、無水THF500ml中の実施例3Aの化合物50g(0.167mol)の溶液に添加し、混合物を室温で3日間撹拌した。次いで、無機塩を珪藻土層で吸引濾過し、各場合で100mlのTHFで2回洗浄し、濾液をロータリーエバポレーターで室温で濃縮した。これにより、生成物36g(理論値の81%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.81 (t, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.19 (d, 1H), 3.55-3.48 (m, 1H), 3.29-3.22 (m, 1H), 3.10-3.06 (m, 1H), 2.75-2.72 (m, 1H), 2.57-2.54 (m, 1H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.52 分.
MS (DCI, NH3, m/z): (35Cl/37Cl) 218/220 (M+H)+, 235/237 (M+NH4)+.
【0070】
実施例5A
N,N−ジベンジル−2−フルオロ−4−ヨードアニリン
【化24】

水100mlおよびジクロロメタン200mlの混合物中、2−フルオロ−4−ヨードアニリン24.37g(0.103mol)、臭化ベンジル31.8ml(0.267mol)、炭酸ナトリウム23.98g(0.226mol)およびテトラ−n−ブチルアンモニウムヨージド1.9g(5.14mmol)を還流で6日間加熱した。室温に冷却後、相を互いに分離した。有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。得られた残渣をシリカゲルの吸引濾過により、移動相シクロヘキサンを使用して精製した。これにより、表題化合物35g(理論値の82%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.48 (1H, dd), 7.32-7.21 (m, 11H), 6.69 (dd, 1H), 4.33 (s, 4H).
HPLC (方法 1): Rt = 5.87 分.
MS (DCI, NH3, m/z): 418 (M+H)+.
【0071】
実施例6A
4−[4−(ジベンジルアミノ)−3−フルオロフェニル]モルホリン−3−オン
【化25】

実施例5Aの化合物1.5g(3.59mmol)を無水ジオキサン20mlに溶解し、モルホリノン0.45g(4.49mmol)、ヨウ化銅(I)137mg(0.719mmol)、リン酸カリウム1.53g(7.19mmol)およびN,N'−ジメチルエチレンジアミン153μl(1.44mmol)を連続的に添加した。還流器具を、僅かな減圧とアルゴンによる換気を繰り返し適用することにより不活性化した。反応混合物を還流で15時間加熱した。この期間の後、混合物を室温に放冷した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、次いで濾過し、濾液から溶媒を減圧下で除去した。残渣をシリカゲルの吸引濾過により、移動相シクロヘキサン/酢酸エチル1:1を使用して精製した。これにより、表題化合物1.38g(理論値の98%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.32-7.28 (m, 9H), 7.26-7.20 (m, 2H), 7.00-6.92 (m, 2H), 4.33 (s, 4H), 4.15 (s, 2H), 3.91 (dd, 2H), 3.55 (dd, 2H).
HPLC (方法 1): Rt = 4.78 分.
MS (DCI, NH3, m/z): 391 (M+H)+.
【0072】
実施例7A
4−(4−アミノ−3−フルオロフェニル)モルホリン−3−オン
【化26】

方法1:
実施例6Aの化合物700mg(1.79mmol)をエタノール70mlに溶解し、パラジウム/活性炭(10%)95mgを添加した。混合物を室温で、水素圧1barで、1時間水素化した。次いで触媒を少量の珪藻土で濾過し、濾液をロータリーエバポレーターで濃縮した。これにより、表題化合物378mg(理論値の95%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.04 (dd, 1H), 6.87 (dd, 1H), 6.73 (dd, 1H), 5.17 (s, broad, 2H), 4.12 (s, 2H), 3.91 (dd, 2H), 3.62 (dd, 2H).
HPLC (方法 1): Rt = 0.93 分.
MS (DCI, NH3, m/z): 211 (M+H)+, 228 (M+NH4)+.
【0073】
方法2:
アルゴン下、ジオキサン300ml中の2−フルオロ−4−ヨードアニリン29.6g(125mmol)、モルホリン−3−オン[J.-M. Lehn, F. Montavon, Helv. Chim. Acta 1976, 59, 1566-1583]15.8g(156mmol、1.25当量)、ヨウ化銅(I)9.5g(50mmol、0.4当量)、リン酸カリウム53.1g(250mmol、2当量)およびN,N‘−ジメチルエチレンジアミン8.0ml(75mmol、0.6当量)の懸濁液を、還流下で終夜撹拌した。室温に冷却後、反応混合物を珪藻土層で濾過し、残渣をジオキサンで洗浄した。合わせた濾液を減圧下で濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル60、ジクロロメタン/メタノール100:1→100:3)により精製した。これにより、表題化合物24g(理論値の74%)を得た。
LC-MS (方法 3): Rt = 0.87 分;
MS (ESIpos): m/z = 211 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 7.05 (dd, 1H), 6.87 (dd, 1H), 6.74 (dd, 1H), 5.14 (s, 2H), 4.11 (s, 2H), 3.92 (dd, 2H), 3.63 (dd, 2H).
【0074】
実施例8A
5−クロロ−N−[(2R)−3−{[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]アミノ}−2−ヒドロキシプロピル]チオフェン−2−カルボキサミド
【化27】

過塩素酸マグネシウム600mg(2.69mmol)を、アセトニトリル10ml中の実施例7Aの生成物376mg(1.79mmol)および実施例4Aの化合物429mg(1.97mmol)の溶液に添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を水および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。残渣を分取HPLC(方法5)により精製した。これにより、表題化合物503mg(理論値の64%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.61 (t, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.18 (d, 1H), 7.11 (dd, 1H), 6.97 (dd, 1H), 6.73 (dd, 1H), 5.33 (t, 1H), 5.14 (d, 1H), 4.13 (s, 2H), 3.92 (dd, 2H), 3.87-3.79 (m, 1H), 3.63 (dd, 2H), 3.39-3.22 (m, 2H, 部分的に水のシグナルが重なる), 3.21-3.15 (m, 1H), 3.08-3.02 (m, 1H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.75 分.
MS (DCI, NH3, m/z): 428/430 (35Cl/37Cl) (M+H)+, 445/447 (M+NH4)+.
【0075】
実施例9A
5−クロロ−N−({(5S)−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化28】

方法1:
4−ジメチルアミノピリジン2.7mg(0.022mmol)を、ブチロニトリル10ml中の実施例8Aの生成物478mg(1.12mmol)およびカルボニルジイミダゾール363mg(2.24mmol)の溶液に添加し、混合物を70℃で加熱した。3日後、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。生成物を残渣から分取HPLC(方法5)により単離した。これにより、表題化合物344mg(理論値の68%)を得た。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.98 (t, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 7.48 (dd, 1H), 7.31 (dd, 1H), 7.21 (d, 1H), 4.91-4.84 (m, 1H), 4.21 (s, 2H), 4.12 (t, 1H), 3.98 (dd, 2H), 3.80 (dd, 1H), 3.76 (dd, 2H), 3.68-3.57 (m, 2H).
HPLC (方法 1): Rt = 3.82 分.
MS (DCI, NH3, m/z): 471/473 (35Cl/37Cl) (M+NH4)+.
【0076】
方法2:
0℃で、実施例1Aの化合物7.9g(43mmol、1.2eq.)を、ピリジン224ml中の実施例62Aの化合物11.2g(36mmol)の溶液に添加した。30分後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を水およびジクロロメタンに取る。相分離後、水相をジクロロメタンで2回抽出した。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンと混合し、濾過し、減圧下で乾燥させ、表題化合物7.4g(理論値の45%)を得た。濾液を減圧下で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル60、ジクロロメタン/メタノール100:1→100:2)により精製し、さらに1.9g(理論値の12%)の表題化合物を得た。
HPLC (方法 2): Rt = 3.74 分;
MS (ESIpos): m/z = 454 [M+H]+;
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ = 8.94 (t, 1H), 7.69 (d, 1H), 7.52 (dd, 1H), 7.48 (dd, 1H), 7.31 (dd, 1H), 7.20 (d, 1H), 4.92-4.84 (m, 1H), 4.21 (s, 2H), 4.12 (t, 1H), 3.97 (t, 2H), 3.81 (dd, 1H), 3.76 (t, 2H), 3.67-3.56 (m, 2H);
融点: 177℃, ΔH 84 Jg-1 および 183℃, ΔH 7 Jg-1.
【0077】
実施例10A
5−クロロ−N−(4−クロロブタノイル)−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化29】

アルゴン下、5−クロロ−N−({(5S)−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−チオフェン−2−カルボキサミド[化合物(A)]400mg(0.88mmol)を、無水DMF40mlに溶解した。水素化ナトリウム(純度98%)1.677g(1.76mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで、反応温度を室温に維持しながら、クロロブタノイルクロリド461mg(11.9mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、少量の水を添加し、続いて混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液/酢酸エチル1:1に注いだ。相を分離し、酢酸エチル相を、まず重炭酸ナトリウム溶液で、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で抽出し、続いて硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を分取HPLC(方法11)により精製した。エノール化の後に形成された、得られたジアシル化された化合物を、ジクロロメタン中の塩化水素の飽和溶液5ml中で終夜撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標的化合物20mg(理論値の4%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.8 分;
LC-MS (方法 7): Rt = 1.2 分; m/z = 558 (M+H)+.
【0078】
実施例11A
5−クロロ−N−(4−クロロペンタノイル)−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド
【化30】

アルゴン下、5−クロロ−N−({(5S)−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−2−オキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−チオフェン−2−カルボキサミド[化合物(A)]100mg(0.22mmol)を、無水DMF10mlに溶解した。水素化ナトリウム(純度98%)11mg(0.44mmol)を添加し、混合物を室温で20分間撹拌した。次いで、反応温度を室温に維持しながら、クロロペンタノイルクロリド461mg(2.98mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、次いで飽和塩化アンモニウム水溶液/酢酸エチル1:1に注いだ。相を分離し、酢酸エチル相をまず重炭酸ナトリウム溶液で、次いで飽和塩化ナトリウム溶液で抽出し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を分取HPLC(方法11)により精製した。エノール化の後に形成された、得られたジアシル化された化合物を、塩化水素の飽和溶液およびジクロロメタン2ml中で終夜撹拌した。次いで混合物を減圧下で濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、標題化合物20mg(理論値の17%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.9 分;
LC-MS (方法 6): Rt = 2.4 分; m/z = 572 (M+H)+.
【0079】
実施例12A
N−(4−アミノブタノイル)−5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化31】

工程a):
アルゴン雰囲気下、化合物(A)0.5g(1.1mmol)を、DMF27mlに溶解し、水素化ナトリウム79mg(3.31mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。次いで、DMF3mlに溶解した、新たに製造した実施例14Aの化合物4.14g(11mmol)を添加した。混合物を室温でさらに15分間撹拌し、次いでメタノール1mlを添加した。混合物を10%濃度の重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルの1:1混合物に注いだ。有機相を分離し、10%濃度の重炭酸ナトリウム溶液でもう2回洗浄した。次いで、有機相を濃縮し、残渣を室温でジクロロメタン中の塩化水素の飽和溶液5mlと20時間撹拌し、最初に形成されたエノールエステルを開裂した。次いで、混合物を濃縮し、残った残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより移動相トルエン/酢酸エチルを用いて精製し、混合比を1:1から1:2を経て1:3に高めた。適当な画分を濃縮し、二重に保護された中間体124mg(理論値の8%)を泡状物として得た。
HPLC (方法 10): Rt = 2.3 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 2.33 分; m/z = 793 (M+H)+.
【0080】
工程b):
室温で、上記で得られた中間体118mg(0.149mmol)を、無水トリフルオロ酢酸6ml中で終夜撹拌した。次いで、温度を約20℃で維持しながら、混合物を高真空下で濃縮した。残渣をpH3に調節した水性塩酸50mlに取り、ジクロロメタン75mlを溶液に添加した。振盪により混合物を混合し、次いで水相を分離し、高真空下で濃縮した。残渣を分取HPLC(方法11)により精製した。適当な画分を合わせ、濃縮し、次いで1N塩酸から凍結乾燥した。収量:59mg(理論値の69%)
HPLC (方法 10): Rt = 0.98 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 0.98 分; m/z = 539 (M+H)+.
【0081】
実施例13A
N−(5−アミノペンタノイル)−5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化32】

表題化合物は、実施例12Aと同様に、化合物(A)および実施例19Aの化合物から製造できる。
【0082】
実施例14A
ベンジル(4−クロロ−4−オキソブチル)(4−メトキシベンジル)カルバメート
【化33】

製造は、実施例19Aと同様に、4−アミノ酪酸から出発して実施した。
【0083】
実施例15A
(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メチルブタンチオ−S−酸
【化34】

表題化合物を、Boc−バリンから、文献[R. Michelot et al., Bioorg. Med. Chem. 1996, 4, 2201]から知られている方法と同様に製造した。
【0084】
実施例16A
[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]エタンチオ−S−酸
【化35】

表題化合物を、Boc−グリシンから、文献[R. Michelot et al., Bioorg. Med. Chem. 1996, 4, 2201]から知られている方法と同様に製造した。
【0085】
実施例17A
(2S)−2,6−ビス[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]ヘキサンチオ−S−酸
【化36】

表題化合物を、ビス−Boc−リジンから、文献[R. Michelot et al., Bioorg. Med. Chem. 1996, 4, 2201]から知られている方法と同様に製造した。
【0086】
実施例18A
(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]プロパンチオ−S−酸
【化37】

表題化合物を、Boc−アラニンから、文献[R. Michelot et al., Bioorg. Med. Chem. 1996, 4, 2201]から知られている方法と同様に製造した。
【0087】
実施例19A
ベンジル(5−クロロ−5−オキソペンチル)(4−メトキシベンジル)カルバメート
【化38】

5−アミノ吉草酸10g(85.4mmol)、p−アニスアルデヒド17.4g(128mmol)および硫酸マグネシウム10.3g(85.4mmol)を、エタノール330mlに取り、還流下で1時間加熱した。混合物を濾過し、フィルターの残渣をエタノールで洗浄し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム1.94g(51.2mmol)を少しずつ15分間かけて溶液に添加した。先ず、水10mlを添加し、次いで2M水酸化ナトリウム水溶液128mlを添加した。5分後に、混合物を水300mlで希釈し、次いで各場合で酢酸エチル200mlで3回抽出した。4M塩酸を使用して水相をpH2に調節し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相アセトニトリル/水/酢酸5:1:0.1を使用して精製した。適当な画分を濃縮し、酢酸エチルおよびジエチルエーテルでトリチュレートした。次いで、残渣を吸引濾過し、高真空下で乾燥させた。これにより、p−メトキシベンジル保護アミノ酸9.1g(理論値の45%)を得た。
【0088】
そのアミノ酸を1.6lのジオキサン/水1:1に取り、水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH10に調節し、次いで、クロロ炭酸ベンジル12.97g(76mmol)を滴下して添加した。室温で15分間撹拌した後、ジオキサンを減圧下で除去し、2M塩酸を使用して残った溶液をpH2に調節した。混合物を酢酸エチルで抽出し、次いで有機相を水で2回洗浄した。次いで、有機相を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これに続き、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相アセトニトリルを使用して精製した。適当な画分を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、保護アミノ酸5.6g(理論値の38%)を得た。
LC-MS (方法 6): Rt = 2.47 分; m/z = 372 (M+H)+.
【0089】
5−{[(ベンジルオキシ)カルボニル](4−メトキシベンジル)アミノ}吉草酸5.6g(15mmol)を、ジクロロメタン60mlに溶解し、塩化チオニル2.2mlを添加した。混合物を還流下で30分間加熱した。次いで混合物を減圧下で濃縮し、さらなるジクロロメタンを残渣に添加し、混合物を再度濃縮した。残った物は、粘性の油状物であり、それを高真空下で乾燥させた。これにより、標題化合物5.7g(理論値の98%)を得、これをさらに精製および特徴解析せずに、さらに反応させた。
【0090】
例示的実施態様:
カルボン酸のセシウム塩または適切に保護されたアミノ酸誘導体を製造するための一般的方法1:
適当なカルボン酸1mmolをジオキサン10mlおよび水10mlの混合物に溶解し、炭酸セシウム0.5mmolを添加する。これに続き、凍結乾燥する。
【0091】
適切に保護されたアミノ酸誘導体のウレタン保護N−カルボキシ無水物を製造するための一般的方法2:
【化39】

アミノ酸誘導体のウレタン保護N−カルボキシ無水物は、購入できるか、または、文献の方法:M. Johnston et al. J.Org.Chem. 1985, 50, 2200; W.D. Fuller et al. J.Am.Chem.Soc. 1990, 112, 7414; S. Mobasheri et al. J.Org.Chem. 1992, 57, 2755 に従って製造できる。
【0092】
適切に保護されたアミノ酸誘導体のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルを製造するための一般的方法3:
【化40】

アミノ酸誘導体のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルは、購入できるか、または、ペプチド化学の標準的な方法により製造できる。
【0093】
実施例1
2−[[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ]−4−オキソブチルグリシネート塩酸塩
【化41】

表題化合物は、実施例2および25と同様に、実施例10Aの化合物およびBoc−グリシンから製造できる。
【0094】
実施例2
2−[[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ]−5−オキソペンチルグリシネート塩酸塩
【化42】

実施例25の化合物5mgを、pH3に調節した水性塩酸に溶解し、続いて凍結乾燥することにより、表題化合物を製造した。収量:4.4mg(理論値の99%)
HPLC (方法 10): Rt = 1.3 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 1.08 分; m/z = 611 (M+H)+.
【0095】
実施例3
2−[[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ]−5−オキソペンチルL−バリネート塩酸塩
【化43】

実施例2および25と同様に、実施例11Aの化合物およびBoc−バリンから、表題化合物を製造できる。
【0096】
実施例4
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)(2S)−2−アミノ−3−メチルブタンチオエート塩酸塩
【化44】

実施例26の化合物7.4mgをpH3に調節した水性塩酸に溶解し、続いて凍結乾燥することにより、表題化合物を製造した。収量:6.4mg(定量的)
HPLC (方法 10): Rt = 1.6 分;
LC-MS (方法 6): Rt = 1.52 分; m/z = 669 (M+H)+.
【0097】
実施例5
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)アミノエタンチオエート塩酸塩
【化45】

実施例4および26と同様に、実施例11Aおよび16Aの化合物から、表題化合物を製造できる。
【0098】
実施例6
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)(2S)−2,6−ジアミノヘキサンチオエート二塩酸塩
【化46】

実施例4および26と同様に、実施例11Aおよび17Aの化合物から、表題化合物を製造できる。
【0099】
実施例7
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)(2S)−2−アミノプロパンチオエート塩酸塩
【化47】

実施例4および26と同様に、実施例11Aおよび18Aの化合物から、表題化合物を製造できる。
【0100】
実施例8
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−4−オキソブチル)(2S)−2−アミノ−3−メチルブタンチオエート塩酸塩
【化48】

実施例4および26と同様に、実施例10Aおよび15Aの化合物から、表題化合物を製造できる。
【0101】
実施例9
5−クロロ−N−[4−(グリシルアミノ)ブタノイル]−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化49】

実施例23と同様に、実施例12Aの化合物から、Boc−グリシンを使用して、表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により、表題化合物を生成させられる。
【0102】
実施例10
5−クロロ−N−[4−(グリシルアミノ)ペンタノイル]−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化50】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−グリシンを使用して、表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を使用する複分解により、表題化合物を生成させられる。
【0103】
実施例11
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−プロリンアミド塩酸塩
【化51】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−プロリンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、表題化合物を、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により生成させることができる。
【0104】
実施例12
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−ヒスチジンアミド塩酸塩
【化52】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、ビス−Boc−ヒスチジンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0105】
実施例13
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−バリンアミド塩酸塩
【化53】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−バリンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0106】
実施例14
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−リジンアミド塩酸塩
【化54】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、ビス−Boc−リジンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0107】
実施例15
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−N−[5−(L−スレオニルアミノ)ペンタノイル]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化55】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−スレオニンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0108】
実施例16
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−チロシンアミド塩酸塩
【化56】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−チロシンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0109】
実施例17
−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−アスパルトアミド塩酸塩
【化57】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−アスパラギンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0110】
実施例18
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−フェニルアラニンアミド塩酸塩
【化58】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−フェニルアラニンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0111】
実施例19
−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−グルタムアミド塩酸塩
【化59】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−グルタミンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0112】
実施例20
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−アルファ−グルタミン塩酸塩
【化60】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、tert−ブチルBoc−グルタメートを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0113】
実施例21
5−クロロ−N−({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)−N−[5−(L−セリルアミノ)ペンタノイル]チオフェン−2−カルボキサミド塩酸塩
【化61】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−セリンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0114】
実施例22
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−ロイシンアミド塩酸塩
【化62】

実施例23と同様に、実施例13Aの化合物から、Boc−ロイシンを使用して表題化合物を製造できる。あるいは、脱保護は、実施例25、工程b)に記載の通りに、トリフルオロ酢酸を使用して実施することもでき、最初に形成されるトリフルオロ酢酸塩から、水性塩酸を用いる複分解により表題化合物を生成させられる。
【0115】
実施例23
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソブチル)−L−ヒスチジンアミド塩酸塩
【化63】

工程a):
実施例12Aの化合物59mg(0.103mmol)を、先ず、DMF15mlに加えた。次いで、N,1−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−L−ヒスチジン51mg(0.144mmol)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール19mg(0.123mmol)およびN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N‘−エチルカルボジイミド塩酸塩24mg(0.123mmol)並びにエチルジイソプロピルアミン12mgを添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。次いで、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルの1:1混合物に注いだ。有機相を分離し、10%濃度の重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、有機相を濃縮し、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、モノ−Boc−保護中間体の泡状物66mg(理論値の55%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.2 分
LC-MS (方法 13): Rt = 0.93 分; m/z = 776 (M+H)+
【0116】
工程b):
モノ−Boc−保護中間体66mg(0.085mmol)を、ジクロロメタン中の塩化水素の飽和溶液3mlに溶解し、室温で30分間振盪した。得られた沈殿を吸引濾過し、母液で抽出した。水相を濃縮し、分取HPLC(方法11)により精製した。適当な画分を合わせ、濃縮し、残渣を1N塩酸から凍結乾燥した。これにより、表題化合物3mg(理論値の4%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.07 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 1 分; m/z = 676 (M+H)+.
【0117】
実施例24
N−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)−L−アルファ−アスパラギン塩酸塩
【化64】

実施例23と同様に、適当な出発物質から、表題化合物を製造できる。
【0118】
実施例25
2−[[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ]−5−オキソペンチルグリシネートトリフルオロ酢酸塩
【化65】

工程a):
実施例11Aの化合物48mg(0.084mmol)およびBoc−グリシンのセシウム塩(Boc−グリシンから、一般的方法1に従って製造した)77mg(0.252mmol)を、DMF10mlに溶解した。3時間60℃で撹拌した後、もう一度同量のセシウム塩を添加し、混合物を60℃で終夜撹拌した。次いで、混合物を飽和水性塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルの1:1混合物に注いだ。有機相を分離し、10%濃度の重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相として、先ずジクロロメタン/酢酸エチル3:1、次いでジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール15:5:1を使用して精製した。適当な画分を合わせ、溶媒を蒸発させ、次いで、残渣を高真空下で乾燥させた。これにより、Boc保護中間体10mg(理論値の16%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.9 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 1.98 分; m/z = 711 (M+H)+.
【0119】
工程b):
保護化合物9mg(0.013mmol)をジクロロメタン1.5mlに溶解し、無水トリフルオロ酢酸1.5mlを添加し、次いで、混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、残渣をジオキサン/水から凍結乾燥した。これにより、表題化合物8mg(理論値の85%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.3 分;
LC-MS (方法 13): Rt = 0.83 分; m/z = 611 (M+H)+.
【0120】
実施例26
S−(5−{[(5−クロロ−2−チエニル)カルボニル]({(5S)−2−オキソ−3−[2−フルオロ−4−(3−オキソモルホリン−4−イル)フェニル]−1,3−オキサゾリジン−5−イル}メチル)アミノ}−5−オキソペンチル)(2S)−2−アミノ−3−メチルブタンチオエートトリフルオロ酢酸塩
【化66】

工程a):
実施例11Aの化合物47mg(0.082mmol)および(2S)−2−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−3−メチルブタンチオ−S−酸のセシウム塩(実施例15Aから一般的方法1に従い製造した)90mg(0.25mmol)を、DMF2mlに溶解した。60℃で3時間撹拌した後、もう一度同量のセシウム塩を添加し、混合物を60℃で終夜撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液および酢酸エチルの1:1混合物に注いだ。有機相を分離し、10%濃度の重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥させた。次いで、有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相として、先ずジクロロメタン/酢酸エチル3:1、次いでジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール15:5:1を使用して精製した。適当な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。この精製工程を2回繰り返した。次いで、残った残渣を再度分取HPLC(方法11)により精製した。適当な画分を合わせ、溶媒を蒸発させた。これにより、Boc−保護中間体7mg(理論値の11%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 2.3 分;
LC-MS (方法 13): Rt = 1.43 分; m/z = 769 (M+H)+.
【0121】
工程b):
保護化合物7mg(0.009mmol)をジクロロメタン1mlに溶解し、無水トリフルオロ酢酸1mlを添加し、次いで、混合物を室温で15分間撹拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮し、残渣をアセトニトリル/水から凍結乾燥した。これにより、表題化合物6.8mg(理論値の95%)を得た。
HPLC (方法 10): Rt = 1.6 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 1.24 分; m/z = 669 (M+H)+.
【0122】
B. 溶解性、安定性および遊離挙動の測定
a)溶解度の決定:
試験物質を水または希塩酸(pH4)に懸濁する。この懸濁液を室温で24時間振盪する。224000gで30分間の超遠心の後、上清をDMSOで希釈し、HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正プロットを定量に使用する。
【0123】
HPLCの方法:
DAD (G1315A)、quat. ポンプ (G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A) およびカラムサーモスタット (G1316A) を備えた Agilent 1100; カラム: Zorbax Extend-C18 3.5 μ;温度:40℃;移動相A:水+過塩素酸5ml/l、移動相B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;勾配0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;勾配6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0124】
b)様々なpH値のバッファー中での安定性:
試験物質0.25mgを、2mlのHPLCバイアルに量り入れ、アセトニトリル0.5mlを添加する。物質を、サンプル容器を超音波浴に約10秒間置くことにより溶解させる。次いで、各バッファー溶液0.5mlを添加し、サンプルを再度超音波浴で処理する。
【0125】
用いるバッファー溶液:
pH4.0:Millipore 水1lを、1N塩酸でpH4.0に調節する;
pH7.4:塩化ナトリウム90g、リン酸二水素カリウム13.61gおよび1M水酸化ナトリウム溶液83.35gを、Millipore 水で1lとし、次いで1:10に希釈する。
試験溶液10μl分を、HPLCにより、未変化の試験物質の含有量について、37℃で24時間にわたり毎時間分析する。適切なピークのパーセントの面積を定量に使用する。
【0126】
HPLCの方法:
DAD (G1314A)、バイナリーポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1329A)、カラムオーブン (G1316A)、サーモスタット (G1330A) を備えた Agilent 1100; カラム: Kromasil 100 C18, 125 mm x 4.6 mm, 5 μm;カラム温度:30℃;移動相A:水+過塩素酸5ml/l、移動相B:アセトニトリル。
グラジエント:
0−1.0分98%A、2%B→1.0−13.0分50%A、50%B→13.0−17.0分10%A、90%B→17.018.0分10%A、90%B→18.0−19.598%A、2%B→19.5−23.0分98%A、2%B;流速:2.0ml/分;UV検出:210nm。
【0127】
c)ラット血漿およびヒト血清におけるインビトロの安定性(HPLC検出):
物質0.5mgを1mlのジメチルスルホキシド/水1:1に溶解する。このサンプル溶液500μlをラット血漿500μlと37℃で混合し、振盪する。最初のサンプル(10μl)をすぐにHPLC分析用に取る。インキュベーションの開始後2時間までの期間に、さらなるアリコートを2、5、10、30、60および90分後に取り、各試験物質およびそこから遊離した有効成分化合物(A)の含有量を決定する。
【0128】
HPLCの方法:
DAD (G1314A)、バイナリーポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1329A)、カラムオーブン (G1316A)、サーモスタット (G1330A) を備えた Agilent 1100; カラム: Kromasil 100 C18, 250 mm x 4.6 mm, 5 μm;カラム温度:30℃;溶離剤A:水+過塩素酸5ml/l、溶離剤B:アセトニトリル。
グラジエント:
0−3.0分69%A、31%B→3.0−18.0分69%A、31%B→18.0−20.0分10%A、90%B→20.0−21.090%A、10%B→21.0−22.5.0分98%A、2%B→22.5−25.0分98%A、2%B;流速:2.0ml/分;UV検出:248nm。
【0129】
d)ラットおよびヒト血漿におけるインビトロの安定性(LC/MS−MS検出):
所定の血漿体積(例えば2.0ml)を、水浴中の密閉試験管で37℃に温める。意図した温度に達した後、所定の量の試験物質を溶液(溶媒の体積は、血漿体積の2%以下である)として添加する。血漿を振盪し、最初のサンプル(50−100μl)をすぐに取る。次いで4−6個のさらなるアリコートを、インキュベーション開始後2時間までの期間中に取る。
【0130】
アセトニトリルを血漿サンプルに添加し、タンパク質を沈殿させる。遠心分離後、上清中の試験物質および、必要に応じて、試験物質の既知の切断生成物を、適するLC/MS−MSの方法により定量的に測定する。
ヘパリン化ラットまたはヒト血液における安定性の決定は、血漿について記載した通りに実施する。
【0131】
e)Wistar ラットにおけるi.v.薬物動態:
物質投与の前日に、実験動物(オスの Wistar ラット、体重200−250g)の頸静脈に、血液を得るためのカテーテルを、イソフルラン(登録商標)麻酔下で移植する。
実験当日、所定の用量の試験物質を、Hamilton(登録商標)ガラスシリンジを使用して、溶液として尾静脈に投与する(ボーラス投与、投与期間<10秒)。血液サンプル(8−12時点)を、カテーテルを通して、物質投与後24時間の期間にわたり連続的に取る。ヘパリン処理管中でサンプルを遠心分離することにより、血漿を得る。アセトニトリルを時点毎に所定の血漿体積に添加し、タンパク質を沈殿させる。遠心分離後、上清中の試験物質、および、必要に応じて、試験物質の既知の切断生成物を、適するLC/MS−MSの方法を使用して定量的に測定する。
【0132】
測定される血漿濃度を使用して、試験物質およびそこから遊離した有効成分化合物(A)の、AUC、Cmax、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態的パラメーターを算出する。
【0133】
f)代謝的安定性を測定するための肝細胞アッセイ:
肝細胞の存在下の試験化合物の代謝的安定性は、実験において可能な限り線形の動態学的条件を確実にするために、化合物を低濃度(好ましくは1μM未満)で、かつ、少数の細胞(好ましくは1x10細胞/ml)とインキュベートすることにより測定する。化合物の半減期(即ち、分解)を測定するために、インキュベーション溶液の7個のサンプルを、固定した時間パターンで、LC−MS分析用に取る。様々なクリアランスパラメーター(CL)およびFmax値をこの半減期から算出する(下記参照)。
【0134】
CLおよびFmax値は、肝細胞における第1相および第2相の化合物の代謝の測定を表す。インキュベーション混合物中の酵素に対する有機溶媒の影響を最小にするために、その濃度を一般的に1%(アセトニトリル)または0.1%(DMSO)に限定する。
【0135】
1.1x10細胞/肝臓1gの肝臓中の肝細胞の細胞数を、全ての種(species and breeds)について計算に使用する。インキュベーション時間(通常90分間)を超えて延びる半減期に基づいて算出したCLパラメーターは、大まかなガイドラインと見なし得るだけである。
【0136】
算出したパラメーターおよびそれらの意味は、以下の通りである:
max十分に撹拌[%] 経口投与後の最大の可能なバイオアベイラビリティー
計算: (1−CL血液十分に撹拌/QH)*100
CL血液十分に撹拌[L/(h*kg)] 算出される血液クリアランス(十分に撹拌したモデル)
計算: (QH*CL'内因性)/(QH+CL'内因性
CL'内因性[ml/(分*kg)] 化合物を代謝する肝臓の(肝細胞の)最大能力(肝臓の血流が律速ではないと仮定して)
計算: CL'内因性、明白*種特異的肝細胞数[1.1*10/肝臓1g]*種特異的肝臓重量[g/kg]
CL'内因性、明白[ml/(分*mg)] 用いた肝細胞の細胞数x(x*10/ml)で除去定数(elimination constant)を除すことにより、それを標準化する
計算: kel[1/分]/(細胞数[x*10]/インキュベーション体積[ml])
(QH=種特異的な肝臓の血流)
【0137】
g)ラットの動静脈シャントモデルにおける抗血栓効果の測定:
絶食中のオスのラット (系統: HSD CPB:WU) を、Rompun/Ketavet 溶液(12mg/kg/50mg/kg)の腹腔内投与により麻酔する。P.C. Wong et al. [Thrombosis Research 83 (2), 117-126 (1996)] により記載された方法に基づき、動静脈シャントで血栓形成を誘導する。この目的で、左頸静脈および右頸動脈を露出させる。長さ8cmのポリエチレンカテーテル(PE60、Becton-Dickinsonより)を動脈に設置し、続いて、血栓形成性表面をもたらすために、二重ループにした粗いナイロン糸(60 x 0.26 mm、Berkley Trileneより)を含む長さ6cmの Tygon チューブ (R-3606, ID 3.2 mm, Kronlabより)を設置する。長さ2cmのポリエチレンカテーテル(PE60、Becton-Dickinson より)を頸静脈に設置し、長さ6cmのポリエチレンカテーテル(PE160、Becton-Dickinson より) により Tygon チューブに連結する。シャントを開く前に、チューブを生理塩水で満たす。体外循環を15分間維持する。次いで、シャントを取り除き、血栓を伴うナイロン糸の重量をすぐに量る。ナイロン糸の空の重量は、実験開始前に測定した。体外循環を取り付ける前に、試験物質(0.1N塩酸でpH4に調節した生理塩水中の溶液として)をボーラス注射として投与する。
【0138】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明による化合物は、例えば、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
i.v.溶液:
本発明による化合物を、生理的に耐容される溶媒に飽和溶解度より低い濃度で溶解させる(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG 400溶液、各々pH3−5に調節する)。溶液を必要に応じて濾過滅菌し、かつ/または、無菌かつパイロジェン不含の注射容器に分配する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
nは、1または2の数であり、
Xは、酸素原子、硫黄原子またはNHであり、
は、天然α−アミノ酸またはそのホモログまたは異性体の側鎖の基であり、
は、水素またはメチルであり、
は、水素であるか、
または、
およびRは、(CHまたは(CH基を介して結合し、それらが結合している窒素または炭素原子と一体となって5員または6員の環を形成している]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
nが、1または2の数であり、
Xが、酸素原子、硫黄原子またはNHであり、
が、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イルまたは3−グアニジノプロパン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルであり、
が、水素またはメチルであり、
が、水素であるか、
または、
およびRが、(CHまたは(CH基を介して結合し、それらが結合している窒素または炭素原子と一体となって5員または6員の環を形成している、
請求項1に記載の式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
nが、1または2の数であり、
Xが、NHであり、
が、水素、メチル、プロパン−2−イル、2−メチルプロパン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、カルボキシメチル、2−カルボキシエチル、カルバモイルメチル、2−カルバモイルエチル、4−アミノブタン−1−イル、ベンジルまたは4−ヒドロキシベンジルであり、
が水素であり、
が水素である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物。
【請求項4】
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、それらの塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物の1つの製造方法であって、以下を特徴とする方法;
[A]式
【化2】

の化合物を、先ず、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化3】

(式中、nは請求項1に記載の意味を有し、
そして、Qは、塩素、臭素またはヨウ素などの脱離基である)
の化合物を用いて、式
【化4】

(式中、nは請求項1に記載の意味を有し、
Qは、本請求項に記載の意味を有する)
の化合物に変換し、
次いで、最後のものを、以下の方法に従って反応させる;
[A1]不活性溶媒中、式
【化5】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基であり、
そして、Yは、OまたはSである)
のα−アミノカルボン酸またはα−アミノチオカルボン酸のセシウム塩と反応させ、式
【化6】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載を有し、
PGは、本請求項に記載の意味を有し、そして、
Xは、OまたはSである)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化7】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、
XはOまたはSである)
の化合物をもたらす、
または、
[A2]不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化8】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基である)
のα−アミノチオカルボン酸と反応させ、式
【化9】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、そして、
PGは、本請求項に記載の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化10】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物をもたらす、
または、
[B]化合物(A)を、不活性溶媒中、塩基の存在下、式
【化11】

(式中、nは請求項1に記載の意味を有する)
の化合物と反応させ、式
【化12】

(式中、nは請求項1に記載の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基を常套の方法により除去し、式
【化13】

(式中、nは請求項1に記載の意味を有する)
の化合物をもたらし、次いで、塩基の存在下、式
【化14】

(式中、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、
AGは、ヒドロキシルまたはハロゲン、好ましくは塩素または臭素であるか、または、カルボニル基と一体となって、活性化エステル、好ましくはN−ヒドロキシスクシンイミドエステル、または、混合無水物、好ましくはギ酸アルキル、特に好ましくはギ酸エチルを形成しており、そして、
PGは、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)などのアミノ保護基である)
の化合物と反応させ、式
【化15】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有し、そして、
PGは、本請求項に記載の意味を有する)
の化合物を得、続いて、保護基PGを常套の方法により除去し、式
【化16】

(式中、n、R、RおよびRは、請求項1に記載の意味を有する)
の化合物をもたらし、
そして、各場合で得られる式(I−A)または(I−B)の化合物を、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換する。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、必要に応じて、不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物を、さらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための、請求項7または請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
静脈内使用のための請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の医薬。
【請求項11】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物または請求項7ないし請求項10のいずれかに記載の医薬を使用する、ヒトおよび動物における血栓塞栓性障害の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2010−532770(P2010−532770A)
【公表日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515377(P2010−515377)
【出願日】平成20年6月28日(2008.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005301
【国際公開番号】WO2009/007026
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】