説明

アミノオルガノシランの製造方法

本発明の対象は、一般式(1)R′3-n1nSi−R2−NR34(1)のアミノオルガニルトリオルガニルシランの製造方法(a)、一般式(4)の環状アミノシランの製造方法(b)並びに一般式(7)R013-t11tSi−R12−NR13−R14−SiR023-s15s(7)のシリルオルガノアミンの製造方法(III)であって、アミンとハロゲンオルガニルシランとを反応させる前記方法において、式中、R′、R1、R2、R3、R4、R、R5、R6、R01、R02、R11、R12、R13、R14、R15、n及びsは、請求項1から3に記載の意味を有し、前記反応後に、副生成物として製造されるアミンのアンモニウムハロゲン化物は、塩基(B)の反応混合物への添加によって遊離され、前記アミンは該反応混合物から留去され、塩基(B)の反応混合物への更なる添加によって2つの液相が形成し、その際、一方の相は少なくとも90質量%の塩基(B)のヒドロハロゲン化物を含有し、かつこの相が分離される前記方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミンと(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させ、副生成物として形成されたアミンのアンモニウムハロゲン化物を塩基を用いて遊離させることによって、アミノオルガノシランを製造する方法に関する。
【0002】
先行技術から、アミノオルガノシランを製造するための様々な方法が知られている。アミノ官能性のオルガノシランの製造は、主に、クロロ官能性のオルガノシランと、非常に様々な種類の有機アミンもしくはアンモニアとの反応によって行われる。その際、一般に、1モルのクロロ官能性のオルガノシラン当たりに少なくとも2モルのアミンもしくはアンモニアを使用するという方策をとるので、アミノ官能性のオルガノシランの形成に加えて、置換された塩素を相応のアミン塩酸塩もしくは塩化アンモニウムへの変換のためにさらに十分にアミン性の成分が提供される。
【0003】
この場合に、とりわけ、アルキルシランの光塩素化もしくは相応のハロゲン置換されたオレフィンのSi−H含有化合物へのヒドロシリル化によって得られ、かつ例えば多くの有機官能性シランの合成のための中間生成物として使用される(クロロアルキル)シランの高い調達性が好ましい。更に、この方法では、アンモニアの他に、多数の調達が良好な第一級アミン及び第二級アミンを、(N−オルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシラン及び(N,N−ジオルガニルアミノオルガニル)トリオルガニルシランの合成のために用いることができる。これは、該方法の非常に広い使用分野を可能にし、それによって既存の工業的製造装置での廉価な生成物交換を可能にする。
【0004】
GB686,068号Aから、(アミノ)−、(N−オルガニルアミノ)−及び(N,N−ジオルガニルアミノメチル)−又は(N,N−ジオルガニルアミノエチル)−トリオルガニルシランが知られている。更に、GB686,068号Aは、上述の(アミノオルガニル)−、(N−オルガニルアミノオルガニル)−及び(N,N−ジオルガニルアミノオルガニル)−トリオルガニルシランの製造のために、相応の(クロロメチル)−又は(ブロモメチル)−トリオルガノシランと、アンモニア、第一級アミンもしくは第二級アミンとを、少なくとも50℃の温度で反応させる方法を記載している。その際に、一般に、(クロロメチル)−又は(ブロモメチル)−トリオルガノシランを、使用されるアミン化合物の沸点に応じてフラスコ又はオートクレーブ中に初充填し、そして100℃超の温度、好ましくは110〜130℃の温度に加温する。より高沸点のアミン(例えばシクロヘキシルアミン)の場合に、混合順序は逆になってよく、すなわち(クロロメチル)−又は(ブロモメチル)−トリオルガノシランを加温されたアミンに添加してよい。
【0005】
DE1812564号A1に記載の方法に従って、(アミノメチル)シラン誘導体は、(クロロメチル)−もしくは(ブロモメチル)シラン誘導体とアンモニアもしくは第一級アミンとの反応によって製造される。該反応は、80又は100℃の温度で3もしくは2時間の時間において行われ、その際、アミンは、1:3.2〜6のモル過剰で反応の開始時に既に完全に初充填されている。
【0006】
DE102004060627号Aは、上記反応を連続的に実施する前記方法の変法を記載している。
【0007】
先行技術から、更に、アルコキシシラン中のハロゲン化物含量の減少方法が知られており、例えばEP0702017号Aから、溶解されたアミン塩酸塩残分の、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のアルコレート塩の添加による沈殿を基礎とする方法が知られている。アルコキシシラン中の塩化物含量をアンモニアの導通によって低減することを可能にすべき代替的方法は、DE19941283号A1に記載されている。
【0008】
前記の全ての方法での欠点は、その際に(場合により有機的に置換された)アンモニウムハロゲン化物が、定量的量で副生成物として形成され、かつ固体として分離せねばならないことである。そのような多量の固体量の分離は、時間がかかるものであり、従ってまた費用のかかるものであり、更に相応の装置、例えば強力なかつ更に高価な遠心分離器を有する製造装置を必要とする。しかしながら、それは、多くの装置では(特に大抵の多目的装置、例えばファインケミカルの製造のために典型的に使用される装置では)、そうではない。
【0009】
ここで、例えばUS6452033号Aは、相応のクロロ官能性のオルガノシランとエチレンジアミンとの反応によるアミノエチルアミノオルガニル−トリオルガニルシランの製造を記載しており、その際、上述の相分離が、塩酸塩の分離のために様々な様式で使用される。しかしながら、前記方法の欠点は、エチレンジアミン単位を有するシランに限定されるということである。
【0010】
DE102007037193号Aにおいて、アミノオルガニルトリオルガニルシランの製造方法であって、第一工程で、ハロゲン(オルガニル)シランとアミンとを反応させて(副生成物としてアミノヒドロハロゲン化物が形成しつつ)アミノ官能性シランを得て、第二工程で塩基を用いて前記アミンを形成されたヒドロハロゲン化物から再び遊離させる方法において、前記の塩交換(Umsalzung)で生ずる塩基のヒドロハロゲン化物が200℃まで液状であり、かつ前記の塩相が更に簡単な液/液相分離によって分離できる前記方法が記載されている。必然的に、その際、関与する成分の溶解性とは無関係に、両方の相の組成を規定する相平衡が生ずる。目的生成物の単離と、アミンの定量的な回収のために、従って、前記の両成分が、塩基のヒドロハロゲン化物の塩相中にできる限り富化されないことは必須である。それというのも、前記ヒドロハロゲン化物は通常は廃棄又は再利用されるからである。しかしながら、特に極性アミンの場合には、しばしば塩相中での富化が観察され、そのためにアミンの定量的な回収のためには塩相の費用のかかる後処理が必要である。例えば、第一級アミンとハロゲンアルキルシランとを反応させて相応の一置換生成物を得るにあたり、塩基の添加前に既にアミン過剰量を蒸留により分離することは、アミンの十分に損失のない回収のために必要である。
【0011】
本発明の課題は、先行技術の欠点をもはや有さない方法を開発することであった。
【0012】
本発明の対象は、一般式(1)
R′3-n1nSi−R2−NR34 (1)
のアミノオルガニルトリオルガニルシランを、一般式(2)
H−NR34 (2)
の環状もしくは非環状のアミンと、一般式(3)
R′3-n1nSi−R2−X (3)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(I)において、
[式中、
R′は、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアシルオキシ基又はアルコキシ基を意味し、
1は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
2は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
3、R4は、互いに独立して、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、その際、R3、R4は、互いに結合されていてもよく、かつ得られる環は、更にまた他のヘテロ原子、NH基もしくはNR2a基を有してよく、
2aは、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
nは、0、1、2もしくは3の数を意味し、
Xは、塩素、臭素もしくはヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(2)のアミン1.1〜100モルを0〜250℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(1)のシランの他に、副生成物として一般式(2)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(2)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(2)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法である。
【0013】
炭化水素基R1、R2、R2a、R3、R4は、飽和もしくは不飽和、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状、置換もしくは非置換であってよい。
【0014】
炭化水素基R1、R3、R4は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基;例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基及び2−プロペニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基;並びにN、O、S、Pなどのヘテロ原子によって結合されたそれらの組み合わせであってよい。炭化水素基R1、R3、R4は、好ましくは1〜6個の、特に1〜3個の炭素原子を有する。好ましくは、R1は、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びn−プロピル基、イソブチル基及びn−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ベンジル基又はアリル基である。
【0015】
基R3及びR4は、好ましくは、R1の好ましい基から、並びに更に水素、シクロヘキシル基又はフェニル基から選択される。好ましくは、基R3又はR4の最大で1つは水素である。特に好ましい一実施態様においては、基R3は、フェニル基又はシクロヘキシル基であり、かつ基R4は、水素である。
【0016】
更に、基R3及びR4は、直接的に又はヘテロ原子によって結合されていてよく、こうしてN原子を構造的に含めて環状構造−NR34をもたらす。
【0017】
好ましくは、環状構造−NR34は、5〜10個の環原子、特に5、6又は8個の環原子を有する。このための例は、モルホリノ基、ピペリジノ基又はピロリジノ基であり、これらはまた好ましい。更に、基−NR34は、好ましくはN,N−ビス(N′,N′−ジメチルアミノプロピル)基である。
【0018】
基R′は、好ましくはOR1の意味を有する。好ましくは、R′は、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びn−プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基又はアリルオキシ基である。
【0019】
基R2及びR2aは、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基、特にメチレン基、エチレン基及びプロピレン基、特に好ましくはメチレン基である。
【0020】
基Xは、好ましくは塩素又は臭素、特に塩素である。
【0021】
nは、好ましくは1、2又は3の値を有する。
【0022】
一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シランに関しては、一般式(2)のアミンは、好ましくは、過剰に、すなわち好ましくは少なくとも1.5対1のモル比で、特に好ましくは少なくとも2対1のモル比で、殊に好ましくは少なくとも3対1のモル比で、かつ好ましくは高くても50対1のモル比で、特に好ましくは高くても20対1のモル比で、殊に好ましくは高くても10対1のモル比で使用される。
【0023】
本発明の更なる対象は、一般式(4)
【化1】

の環状アミノシランを、一般式(5)
2NR7 (5)
のアミンと、一般式(6)
(R2)Y1Si−R5−Y2 (6)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(II)において、
[式中、
5は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、NH又はNR8基によって中断されていてよい基を意味し、
6は、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、ハロゲン原子、OH基及び基−NH2−、−NHR8、NR82で置換されていてよい基を意味し、
7は、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、ハロゲン原子、OH基及び基−NH2−、−NHR8、NR82で置換されていてよい基を意味し、
Rは、炭化水素基、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、
8は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、かつ
1及びY2は、塩素、臭素又はヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(6)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(5)のアミン1.1〜1000モルを0〜300℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(4)のシランの他に、副生成物として一般式(5)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(5)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(5)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法である。
【0024】
5、R6及びR7は、飽和もしくは不飽和、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状、置換もしくは非置換であってよい。
【0025】
好ましくは、R5は、プロピレン基又はブチレン基である。
【0026】
6は、好ましくは、水素又は1〜6個の炭素原子を有する環状もしくは直鎖状のアルキル基又は3−アミノプロピル基である。R7は、好ましくは、水素又は1〜6個の炭素原子を有する環状もしくは直鎖状のアルキル基を表す。
【0027】
R′及びR1について示された例及び好ましい基は、Rについての例でもあり、好ましい基でもある。
【0028】
1について示された例及び好ましい基は、R8についての例でもあり、好ましい基でもある。
【0029】
基Y1及びY2は、好ましくは塩素又は臭素、特に塩素である。
【0030】
本発明の特に好ましい一実施態様においては、一般式(5)のアミノシランは、N−((3−アミノプロピル)−ジメチルシリル)−2,2−ジメチル−1−アザ−2−シラシクロペンタンである。この場合に、工程a)での生成物は、好ましくは2分子のクロロシラン(その際、R5がプロピレンであり、Rがメチルであり、かつY1及びY2が塩素である)及び2分子のアンモニア分子から形成され、その際、4分子の塩化アンモニウムが生ずる。
【0031】
一般式(6)のシランに関しては、一般式(5)のアミンは、好ましくは、過剰に、すなわち好ましくは少なくとも1.2対1のモル比で、特に好ましくは少なくとも1.6対1のモル比で、殊に好ましくは少なくとも2対1のモル比で、かつ特に好ましくは高くても500対1のモル比で、殊に好ましくは高くても10対1のモル比で、殊に有利には高くても6対1のモル比で使用される。
【0032】
本発明の更なる対象は、一般式(7)
013-t11tSi−R12−NR13−R14−SiR023-s15s (7)
のシリルオルガノアミンを、一般式(8)
H−NR13−R14−SiR023-s15s (8)
の(アミノオルガニル)シランと、一般式(9)
013-t11tSi−R12−Z (9)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(III)において、
[式中、
01、R02は、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、
11、R15は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
12は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子又は硫黄原子によって中断されていてよい基を意味し、
14は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、硫黄原子、NH又はNR18基によって中断されていてよい基を意味し、その際、R18は、R11、R15と同じ意味を有し、
13は、水素、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基又は一般式R033-o16oSi−R17−の基を意味し、式中、R16は、R11及びR15と同じ意味であり、R17は、R12及びR14と同じ意味であり、かつR03は、R01及びR02と同じ意味であり、かつ
s、t、oは、互いに独立して、0、1、2又は3の数を意味し、かつ
Zは、塩素、臭素又はヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(9)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(8)のアミン1.1〜100モルを0〜250℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(7)のシリルオルガノアミンの他に、副生成物として一般式(8)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(8)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(8)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法である。
【0033】
炭化水素基R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17は、飽和もしくは不飽和、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状、置換もしくは非置換であってよい。
【0034】
炭化水素基R11、R13、R15、R16は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基;ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基;ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基;オクチル基、例えばn−オクチル基及びイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基;ノニル基、例えばn−ノニル基;デシル基、例えばn−デシル基;ドデシル基、例えばn−ドデシル基;オクタデシル基;例えばn−オクタデシル基、シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びメチルシクロヘキシル基;アルケニル基、例えばビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基及び10−ウンデセニル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基及びフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基;キシリル基及びエチルフェニル基;及びアラルキル基、例えばベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基;並びにN、O、S、Pなどのヘテロ原子によって結合されたそれらの組み合わせであってよい。炭化水素基R11、R13、R15、R16は、好ましくは1〜6個の、特に1〜3個の炭素原子を有する。好ましくは、R11、R15、R16は、メチル基、エチル基、イソプロピル基及びn−プロピル基、イソブチル基及びn−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、フェニル基、ベンジル基又はアリル基である。
【0035】
基R13は、R11、R15、R16の好ましい基から選択され、並びに更に水素、シクロヘキシル基もしくはフェニル基又は一般式R033-o16oSi−R17−の基から選択される。特に好ましくは、基R13は水素である。
【0036】
基R01、R02、R03は、好ましくはOR11の意味を有する。好ましくは、R01、R02、R03は、互いに独立して、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基及びn−プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基又はアリルオキシ基である。特に好ましくは、R01、R02、R03は、同一である。
【0037】
基R12、R14、R17は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する二価の炭化水素基、特にメチレン基、エチレン基及びプロピレン基、特に好ましくはメチレン基及びプロピレン基である。
【0038】
基Zは、好ましくは塩素又は臭素、特に塩素である。
【0039】
s、t、oは、互いに独立して、好ましくは0、1又は2の値を有し、特に好ましくは0又は1の値を有する。
【0040】
一般式(9)のシランに関しては、一般式(8)のアミンは、好ましくは、過剰に、すなわち好ましくは少なくとも1.5対1のモル比で、特に好ましくは少なくとも2対1のモル比で、殊に少なくとも3対1のモル比で、かつ好ましくは高くても50対1のモル比で、特に好ましくは高くても20対1のモル比で、殊に高くても10対1のモル比で使用される。
【0041】
一般式(7)のシリルオルガノアミン中に少なくとも1つの基R01、R02又は場合によりR03が存在する場合であって、かつR13が水素を表し、かつ同時に2つの基R12又はR14の少なくとも1つの基が少なくとも3個の炭素原子を有する炭素鎖からなる場合に、該シリルオルガノアミンは、特に高められた温度及び真空下で、従って例えば蒸留に際して生ずる条件下で、アルコキシ基がNH基によって分子間又は分子内で置き換わり、Si−N結合を有するオリゴマー及び環を形成する傾向にある。特に、一般式(7)のシリルオルガノアミンから形成される一般式(10a)及び(10b)
【化2】

のアザシラ(Azasilacyclen)環は、蒸留物において富化されるか、又はそれどころか定量的に形成することすらある(p、q=0、1、2)。一般式R01−H、R02−H又はR03−Hのそれぞれのアルコールの添加によって、環状構造は、しかしながら一般式(7)の目的生成物へと開環されることがあり、通常は、Si−N結合の高い反応性に基づき、環に関して化学量論的な量のアルコールの添加で十分であり、こうして一般式(7)のシリルオルガノアミンの過剰のアルコールによる汚染を回避することができる。好ましくは、一般式(10a)及び(10b)のアザシラ環1モル当たりに、少なくとも1.0モルで高くても1.1モルの、特に高くても1.05モルの、R01−H、R02−H又はR03−Hから選択されるアルコールが添加される。アザシラ環を含まないかあるいはアザシラ環が少ない一般式(7)の目的生成物を得るためには、蒸留された反応生成物に対して過剰のアルコールを添加し、そしてその過剰量を、反応の完了後に一般式(7)の目的生成物の蒸留条件よりも穏やかな条件下で留去することも可能であり、こうして再利用が十分に避けられる。一般式(7)の目的生成物から形成されるアザシラ環のアルコールによる開環反応は、通常は、緩慢な条件下で、少なくとも10℃で、特に少なくとも15℃で、かつ好ましくは高くても100℃の、特に高くても50℃の温度範囲において進行し、最適な反応条件は、個々の場合に予備試験によって簡単に決定することができる。
【0042】
一般式(8)の(アミノオルガニル)シラン中に少なくとも1つの基R02が存在する場合であって、かつ基R14が、少なくとも3個の原子を有する自由に可動な鎖からなる場合には、前記シランは、特に高められた温度及び真空下で、従って例えば蒸留に際して生ずる条件下で、アルコキシ基がNH基によって分子間又は分子内で置き換わり、Si−N結合を有するオリゴマー及び環を形成する傾向にある。特に、一般式(8)の(アミノオルガニル)シランから形成される一般式(11)
【化3】

のアザシラ環は、蒸留物において富化されるか、又はそれどころか定量的に形成することすらある(r=0、1、2)。
【0043】
02−Hのそれぞれのアルコールの添加によって、環状構造は、しかしながら一般式(8)の(アミノオルガニル)シランへと開環されることがあり、通常は、Si−N結合の高い反応性に基づき、一般式(11)のアザシラ環に関して化学量論的な量のアルコールの添加で十分であり、こうして該(アミノオルガニル)シランの過剰のアルコールによる汚染を回避することができる。好ましくは、一般式(11)のアザシラ環1モル当たりに、少なくとも1.0モルで高くても1.1モルの、特に高くても1.05モルの、アルコールR02−Hが添加される。アザシラ環を含まないかあるいはアザシラ環が少ない一般式(8)の(アミノオルガニル)シランを得るためには、蒸留された出発物質に対して過剰のアルコールをそこに添加し、そしてその過剰量を、反応の完了後に一般式(11)のアザシラ環の蒸留条件よりも穏やかな条件下で留去することも可能であり、こうして再利用が十分に避けられる。一般式(11)のアザシラ環のアルコールによる開環反応は、通常は、緩慢な条件下で、少なくとも10℃で、特に少なくとも15℃で、かつ好ましくは高くても100℃の、特に高くても50℃の温度範囲において進行し、最適な反応条件は、個々の場合に予備試験によって簡単に決定することができる。
【0044】
塩基(B)のヒドロハロゲン化物は、方法(I)、(II)もしくは(III)において簡単かつ十分に損失なくして反応混合物の液体として分離することができる。
【0045】
一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンのアンモニウムハロゲン化物は、工程a)において典型的には不溶性の固体として沈殿する。工程c)において、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの混合物の減損の進行に伴いますます塩基(B)のヒドロハロゲン化物が形成され、その際、遊離アミンの極めて十分な蒸留による除去後に選択される化学量論比(一般式(3)、(6)もしくは(9)の使用される(ハロゲンオルガニル)シランの塩基(B)に対する比率)に基づき、塩基(B)1モル当たりに塩基(B)中の塩基性の官能基少なくとも1.6モルが、好ましくは少なくとも1.8モルがハロゲン化水素付加物として存在する。ハロゲン化水素付加物の本質的な特性は、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの蒸留条件下で分解せず、かつ蒸留残滓中に残存することである。
【0046】
工程b)において一般式(3)、(6)もしくは(9)のシラン1モル当たりに塩基(B)中の塩基性の官能基1モル超が添加され、従って塩基(B)の全ての塩基性の官能基がハロゲン化水素付加物として存在せず、かつ塩基(B)が一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの蒸留条件下で揮発性である場合に、工程c)の間に、不均化反応、
例えば2B*H−Hal→B↑+B*2H−Hal
が進行することがある。
【0047】
その際、塩基(B)中に存在する遊離の塩基性の官能基は、ますますそのハロゲン化水素付加物へと変換され、かつ塩基(B)は、全ての塩基性の官能基がそのヒドロハロゲン化物へと変換されるまで留去される。経済性の最適化に関して、工程b)で、好ましくは、多くても25%の、有利には多くても15%の、特に好ましくは多くても10%の、特に多くても2%の塩基性の官能基が塩基(B)中でハロゲン化水素付加物として存在しない量で添加される。その際、添加された塩基(B)中に存在する塩基性の官能基の一部は、既にハロゲン化水素付加物として存在してよい。本質的には、単に、十分に遊離の塩基性の官能基は、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンのヒドロハロゲン化物の塩変換のために提供されるにすぎない。
【0048】
更なる塩基(B)を工程d)において一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの完全な留去の後に添加することによって、ハロゲン化水素の塩基(B)に対する比率は低下し、そして塩基(B)の得られるヒドロハロゲン化物の融点もしくは粘度は、塩基(B)の供給量の増大にともなって連続的に低下する。ハロゲン化水素交換は、通常は非常に迅速に起こるので、塩基(B)の供給の間に既に融点低下もしくは粘度低下の効果を観察することができる。その際、好ましくは、塩基(B)は、ヒドロハロゲン化物相が完全に液状であり、かつその粘度が工程e)で分離するのに十分に低くなる量でのみ添加される。工程d)で添加される塩基(B)の量は、工程b)で使用される塩基(B)の量の、好ましくは少なくとも20%、特に少なくとも50%で、かつ好ましくは高くても200%、特に高くても150%である。その都度の要求に最適な比率を、当業者は、簡単な予備試験によって決定できる。好ましくは、工程e)で分離された相は、工程d)において、少なくとも95質量%の、特に少なくとも98質量%の塩基(B)のヒドロハロゲン化物を含有する。
【0049】
本発明による方法の特定の利点は、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの完全な回収である。工程c)における好ましい分別蒸留によって、アミンは、他の反応相手、例えば塩基(B)及び一般式(1)、(4)もしくは(7)の目的生成物並びに他の二次成分から、最終バッチについて出発材料として再利用できる純度で分離できる。
【0050】
原則的に、工程a)及びb)は前後して又は同時にも行うことができる。同様に考えられるのは、時間をずらした実施であり、その際、工程b)から、すなわち塩基(B)の添加からであって、しかも工程a)の開始後であるがさらに工程a)の完了前に始める。本発明による方法で、遊離のNH基もしくはNH2基を有する塩基(B)が使用される場合に、従って工程b)は、このオリゴアミンの添加を行うが、好ましくは工程a)での反応を行った後に実施する。好ましくは、方法工程b)で、温度<150℃、特に好ましくは<100℃もしくは<90℃において固体を形成する塩を形成する塩基(B)が使用され、特に好ましくは、方法工程d)で、温度<150℃、特に好ましくは<100℃もしくは<90℃において既に液体を形成する塩を形成する塩基が使用される。塩基(B)の本質的な特性は、方法工程c)での一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの蒸留条件下で、もしくは一般式(1)、(4)もしくは(7)のシランの蒸留条件下で、分解せず、かつ蒸留残滓中に残存する(ポリ)ヒドロハロゲン化物を形成することである。
【0051】
本発明による方法の工程a)は、経済的に合理的な反応時間と、できる限り僅かな副反応しか進まない反応との間の妥協案を得るために、好ましくは少なくとも50℃の温度で実施され、少なくとも80℃の温度、好ましくは高くても220℃の温度、特に好ましくは高くても150℃の温度が、特に好ましいと見なされる。
【0052】
工程a)は大抵は発熱的なので、それは好ましくは冷却しつつ行われる。
【0053】
本発明による方法の工程b)、c)及びd)は、互いに独立して、好ましくは、少なくとも0℃で、特に好ましくは少なくとも20℃で、特に50℃で、かつ好ましくは高くても250℃の、特に好ましくは高くても150℃の、特に高くても100℃の温度で実施される。
【0054】
好ましくは、工程b)、c)及びd)の間の温度は、好ましくは30℃の温度範囲以内、特に好ましくは20℃の温度範囲以内で一定に保たれる。工程b)は大抵は発熱的なので、それは好ましくは冷却しつつ行われる。工程a)、b)及びe)は好ましくは周囲雰囲気の圧力下で行われるが、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの蒸留は、熱的負荷をできる限り僅かに保持するために、かつ場合により空時収量を加熱段階の短縮によって高めるために、低減された圧力下で行われる。好ましくは、工程d)は、常圧で又は100〜900ミリバールの圧力で行われ、特に好ましくは前記工程は、好ましくは反応混合物が還流で沸騰する圧力で行われる。それによって、反応容器中の液体水準より上の塩付着物はすすぎ落とされ、そして一般式(1)、(4)もしくは(7)のアミノオルガニルトリオルガニルシラン中へのアンモニウムハロゲン化物の連行を回避できる。全体の反応工程は、好ましくは、保護ガス下で、例えば窒素及びアルゴン下で行われる。
【0055】
本発明による方法は、更に1つもしくは複数の以下の追加の方法工程を有してもよい:
a1)工程a)において一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンが過剰に使用される場合には、この過剰量は、更に工程b)での塩基(B)の添加前に完全にもしくは部分的に分離してよい。
【0056】
c1)一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンは、分別蒸留によって、塩基(B)などの他の二次成分から再び精製してよい。
【0057】
d)1種もしくは複数種の非極性溶剤(L)が生成物含有相に添加される。付加的な溶剤(L)は、その際に、方法工程a)、a1)、b)及びd)の前、その間又はその後に添加することができる。この措置は、工程a)及びb)において好ましくは、混合物の粘度を低減させて、良好な混和性もしくは流動性を保証するために用いられ、かつ工程d)において好ましくは、その都度の1種もしくは複数種の塩の有機相中での可溶性を低減させるために用いられる。方法工程d)の後に非極性溶剤の添加が行われる場合に、この工程で沈殿する塩は、好ましくは付加的な分離工程、例えば濾過において分離される。その際に分離されるべき塩量はしかしながら僅かであり、その分離は相応して簡単である。非極性溶剤の添加を工程d)の前もしくはその間に行う場合には、その都度の塩は、生成物相から、本質的に塩基(B)のヒドロハロゲン化物からなる液相中に押され、これと一緒に分離される。非極性溶剤としては、直鎖状の及び環状の炭化水素、例えば脂肪族化合物もしくは脂環式化合物、芳香族化合物及びアルキル芳香族化合物、例えばパラフィン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、10−ウンデセン、イソオクタン、シクロヘキセン、デカリン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン又はそれらの混合物が適している。
【0058】
e)工程e)で相分離によって単離された生成物相の分別蒸留もしくは結晶化によって、一般式(1)、(4)もしくは(7)のシランは再び精製してよい。それは、好ましくは、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミン、塩基(B)及び/又は場合により添加された非極性溶剤(L)の残りの割合の分離のために、これらが一般式(1)、(4)もしくは(7)の生成物の使用に際して妨害しない限りは使用される。その際、全ての成分、特に一般式(1)、(4)もしくは(7)の生成物、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミン並びに場合により塩基(B)並びに溶剤(L)を幾つかの分別蒸留によって互いに分離することが可能である。同様に、それは、複数の別個の蒸留工程によって行ってよい。例えばまず一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンのみを蒸留により分離してよい。その際、粗生成物はまず蒸留缶出物中に残留し、引き続き別個の蒸留工程又は薄膜蒸発工程において精製される。
【0059】
f)工程e)での相分離の後に生成物含有相へとアンモニアを更に添加し、生ずるアンモニウムハロゲン化物を分離する。この措置は、特に最終生成物中のハロゲン化物含有率の低減のために適していることがある。
【0060】
g)工程e)での相分離の後に生成物含有相へとアルカリ金属アルコレート、好ましくはナトリウムアルコレート又はカリウムアルコレートニアを更に添加し、生ずるアルカリ金属ハロゲン化物を分離する。この措置は、特に最終生成物中のハロゲン化物含有率の低減のために適していることがある。
【0061】
h)工程e)での相分離の後に生成物含有相へとポリマーのポリアミンを更に添加する。この措置は、場合によるイオン性ハロゲン化物の残留物を結合させるために用いることができ、こうして該ハロゲン化物は一般式(1)、(4)もしくは(7)の生成物の引き続いての蒸留において十分に蒸留缶出物中に残留し、相応してハロゲン化物の少ない生成物が得られる。
【0062】
i)工程a)で場合により過剰に使用され並びに工程b)で遊離される一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンを回収もしくは再利用する。一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンを完全にもしくは少なくとも部分的に簡単な蒸留(工程c)を参照)によって十分な純度で得ることができない場合に、妨害する生成物、副生成物又は工程b)で添加される塩基(B)の残留物も、1つもしくは複数の更なる精製工程によって分離することができる。例としては、以下のものが挙げられる。
【0063】
・ 第一の蒸留(工程c))の後になおも十分に清浄でないアミンフラクションの更なる蒸留による精製工程;
・ 工程e)の後の生成物含有相への又はしかしながら工程c)で蒸留されたアミンフラクションへの脂肪族ケトンもしくはアルデヒドの付加的な添加。この措置は、工程b)で添加された塩基(B)が第一級アミノ基を有する化合物である場合には、この相中でなおも含まれる塩基(B)の残留物を相応のイミンへと変換するために用いられる。前記イミンは、しばしば、生成物から、とりわけ過剰に使用されかつ/又は工程b)で再び遊離される一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンから、塩基(B)自体よりも容易に蒸留により分離できる。
【0064】
l)工程b)で使用された塩基(B)の、好ましくは形成された前記塩基のヒドロハロゲン化物を、強塩基、例えばアルカリ金属水酸化物もしくはアルカリ土類金属水酸化物、−炭酸塩、−炭酸水素塩、アルコレートなどを用いて塩交換することによる回収。その際、その都度の塩基は、物質自体で又は水溶液もしくは非水溶液でも又は懸濁液でも使用できる。水溶液が使用され、及び/又は水が反応で遊離される場合に、水は好ましくは蒸留により塩基(B)から分離される。その際にエチレンジアミンが塩基(B)として使用された場合に、この蒸留による分離は、好ましくはエチレンジアミン及び水が共沸物をもはや形成しないほど高い温度で行われる。
【0065】
塩基(B)が化合物、例えば一般式(3)、(6)もしくは(9)のシランに対して反応性でもあるアミンである場合に、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンは、上述の方法工程によって、好ましくは一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミン中の塩基(B)の割合が3%未満、好ましくは1%未満、特に0.5%未満である限り精製される。
【0066】
本発明による方法の記載された変法の特に好ましい組み合わせに際して、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンは、一般式(3)、(6)もしくは(9)の(ハロゲンオルガニル)シランに対して過剰に使用される。工程b)において、(ハロゲンオルガニル)シラン(3)、(6)もしくは(9)に対して、0.5〜0.8モル当量のエチレンジアミンを塩基(B)として添加することによって、固体のエチレンジアミン−ビスヒドロハロゲン化物が形成され、そして一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンが完全に遊離される。アミンが好ましくは、直接的に再び使用できる純度で沈殿する工程c)におけるアミンの留去の後に、工程d)において蒸留残滓に、エチレンジアミンヒドロハロゲン化物の第二の液相であって、そのハロゲン化物含量がエチレンジアミン/(ハロゲンオルガニル)シランの比率により生ずる前記液相が形成される量で、(ハロゲンオルガニル)シラン(3)、(6)もしくは(9)に対して、塩基(B)としてのエチレンジアミンを加える。好ましくは、(ハロゲンオルガニル)シラン(3)、(6)もしくは(9)に対して、少なくとも0.5当量でかつ高くても2当量の、特に好ましくは高くても1.5当量の、特に高くても0.8当量のエチレンジアミンが使用される。塩相は、分離され(工程e))、そして生成物相は、場合により蒸留によって精製される。
【0067】
当然のように、該方法は、断続的に、例えば撹拌槽内でも、また連続的にも実施できる。それは、例えば工程a)、b)並びに場合により更なる工程(上記)は管形反応器又は撹拌容器カスケードで行われる。個々の物質は、その際一緒に、又はしかしながら好ましくは連続的に供給及び混加される。次に続く連続的な相分離(工程e)についても、例えば静置容器もしくは沈殿容器、デカンタなどを使用した方法が知られており、文献において多岐に亘って記載されている。
【0068】
好ましくは、一般式(2)、(5)もしくは(8)の使用されるべきアミンの含水量は、0〜20000ppm、好ましくは0〜5000ppm、特に好ましくは0〜1000ppmである。
【0069】
一般式(2)、(5)もしくは(8)の使用されるべきアミンのpKb値は、好ましくは塩基(B)のそれよりも大きく、好ましくは少なくとも1pKb単位大きく、特に好ましくは2pKb単位大きい。
【0070】
好ましい一実施形態において、塩基(B)としては、沸点が生成物(1)、(4)もしくは(7)とも、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンとも、少なくとも40℃だけ、好ましくは少なくとも60℃だけ、特に好ましくは少なくとも90℃だけ異なる化合物が選択されるので、工程e)における相分離において有機相中に残留物塩基(B)の残分は蒸留により十分に良好に一般式(1)、(4)もしくは(7)の生成物からも、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンからも分離することができる。
【0071】
塩基(B)としては、好ましくは、エチレンジアミン単位もしくはプロピレンジアミン単位を含むオリゴマー(O)又はそれらの混合物が使用される。好ましくは、前記オリゴマー(O)は、1〜20の、特に1〜10のエチレンジアミン単位又はプロピレンジアミン単位を含む。好ましいオリゴマー(O)は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアザビシクロオクタン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2−プロピレンジアミン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N4−アミン(BASF SE社製、ドイツ)である。
【0072】
特に好ましくは、エチレンジアミンが塩基(B)として使用される。ここで、本発明による方法におけるエチレンジアミンは、以下の驚くべき特性組み合わせを示す:
・ エチレンジアミンの添加は、工程b)において、一般式(3)、(6)もしくは(9)の(ハロゲンオルガニル)シランの量に対して0.5〜0.8当量の特に好ましいエチレンジアミン量だけが添加されたときに既に十分に完全な塩交換がもたらされる。
【0073】
・ 工程b)におけるエチレンジアミン−ビスヒドロハロゲン化物の形成の過程で、特にアニリン誘導体の場合には熱的安定性は明らかに高まる。これは、熱的な反応安全性に関して大きな利点である。明らかに、それによって熱的に不安定なアニリニウム塩(一般式(1)、(4)もしくは(7)のシランのアンモニウム化合物)の形成はより高い温度にずれる。
【0074】
・ 工程b)で形成されるビスヒドロハロゲン化物の固相は、エチレンジアミンの更なる添加によって容易に液化させることができる(工程d)で得られる塩相は、約80℃の融点を有する)。
【0075】
・ 液状の塩相は、既に数分後に完全に有機相から分離し、従ってそれは、多大なそれにより費用のかかる相分離のための所要時間なくして分離することができる。
【0076】
本発明による方法によって、容易に、一般式(1)のアミノオルガニルトリオルガニルシラン、一般式(4)の環状アミノシラン及び一般式(7)のアミノオルガニルシランを、良好ないし非常に良好な収率で得ることができる。本方法は、大工業的に容易にかつ危険無くして反応させることができる。
【0077】
本発明により製造される一般式(1)のアミノオルガニル−トリオルガニルシラン、一般式(4)の環状アミノシラン及び一般式(7)のアミノオルガニルシランの純度は、好ましくは少なくとも85%、特に好ましくは少なくとも90%である。前記純度は、任意の後置される生成物の蒸留工程e)によって90%超に高めることができる。
【0078】
本発明による方法は、先行技術に対して、副生成物として生ずる一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミノのアンモニウム塩の大部分をもはや固体として分離(これは、工業的な規模において、特に結晶化の悪いアンモニウム塩(例えばアニリンのアンモニウム塩)の場合に大抵は面倒であり高価である)する必要がないという利点を提供する。塩交換によって、ここで容易に2つの液相を互いに分離することができる。更に、濾過ケークの付加的に使用されるべき溶剤による洗浄段階は不要となる。同時に、一般式(2)、(5)及び(8)によるアミンの最適化された過剰量の使用によって、副生成物の形成は大きく低減することができる。更に、本発明による方法は、工程a)で相応のアンモニウム塩の形成のために消費される式(2)、(5)及び(8)のしばしば比較的コストのかかるアミンを、一般に比較的高価な塩基(B)、例えばエチレンジアミンとの塩交換によって回収し、それにより再生に至るために適していることに注目すべきである。その際に生ずる塩基(B)のヒドロハロゲン化物は、必要に応じて場合により公知の方法により再び回収できるので、全プロセスの副生成物として中和水の他に、単に無害な塩、例えば塩化ナトリウム(食塩)などの塩しか生じない。
【0079】
前記式の全ての存在する記号は、それらの意味をそれぞれ互いに無関係に有する。全ての式中でケイ素原子は四価である。
【0080】
以下の実施例においては、それぞれ特記しない限りは、全ての量及びパーセントの表記は質量に対するものであり、全ての圧力は0.10MPa(絶対圧)であり、かつ全ての温度は20℃である。
【0081】
実施例1
4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジンの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を有する1000mlの四ツ口フラスコにおいて、305gの乾モルホリン(pKb 5.67)を加熱還流(127℃)させ、そして60分以内で撹拌しつつ305.8gのクロロメチル−トリエトキシシランを加えた。計量供給の間には還流を保持した。その際、温度は連続的に153℃に上昇した。添加の完了後に、15分にわたり前記温度で後撹拌した。15分以内で、撹拌しつつ46.3gのエチレンジアミン(pKb 4.07)を前記混合物に添加した。その際に、固体のエチレンジアミン−ビスヒドロクロリドが沈殿した。淡ベージュ色の懸濁液を還流条件下(137℃)で60分にわたり撹拌した。次いで、94℃/5hPaまでの低沸点物を留去した。193.9gの無色の澄明なフラクションが得られ、前記フラクションは、GCによれば、90%のモルホリン、5.2%のエタノール、2.45%の4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン及び1.5%のエチレンジアミンを含有していた。それ故に、95%のモルホリンが回収された。蒸留残滓に、50℃で120gのエチレンジアミンを加え、15分にわたり撹拌した。50gのシクロヘキサンの添加後に、2つの液相が形成した。下方のエチレンジアミン塩酸塩相を抜き取った。上方の相から、92℃/5hPaまでの低沸点物を留去した。61.4gの無色の澄明なフラクションが得られ、前記フラクションは、GCによれば、78.6%のシクロヘキサン、16%のエタノール及び4.6%のモルホリンを含有していた。残留物を濾過した。330.3gの澄明な帯黄色の濾液が得られ、前記濾液は、GCによれば、90%の4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジンを含有していた。分別蒸留によって、98%の4−(トリエトキシシリルメチル)テトラヒドロ−1,4−オキサジン(収率77%)を有する無色の澄明なフラクション289gが得られた。
【0082】
実施例2
N−フェニルアミノメチルトリメトキシシランの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を有する500mlの四ツ口フラスコ中で、163.7gの乾アニリン(pKb 9.4)を100℃に加熱し、そして180分以内で撹拌しつつ60gのクロロメチル−トリメトキシシランを加え、そして60分にわたり後撹拌した。10分以内で、撹拌しつつ11.6gのエチレンジアミン(pKb 4.07)を前記混合物に添加した。その際に、エチレンジアミン−ビスヒドロクロリドの白色の沈殿物が生じた。変わらない温度(100℃)で60分にわたり更に撹拌した。引き続き、真空を印加し、そして10hPaで85℃までの温度で124gのアニリンを蒸留した(GCによる純度98.5%;収率95%)。100℃で蒸留残滓に13.7gのエチレンジアミンを加えた。その際に、エチレンジアミン塩酸塩の液相が形成し、それは80℃で分離された。上方の相を、ビグリュー(vigreux)カラムを介して分別蒸留した。10hPaで137℃の沸点で、59.6g(収率72%)のN−フェニルアミノメチルトリメトキシシランが得られ、その純度は96.6%で測定された。
【0083】
実施例3
N−フェニルアミノメチルジメトキシメチルシランの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計を有する2000mlの五ツ口フラスコ中で、1413gの乾アニリン(pKb 9.4)を100℃に加熱し、そして180分以内で撹拌しつつ450gの(クロロメチル)ジメトキシメチルシランを加え、そして60分にわたり後撹拌した。次いで、10分以内で、撹拌しつつ96.2gのエチレンジアミン(pKb 4.07)を前記混合物に添加した。その際に、エチレンジアミン−ビスヒドロクロリドの沈殿物が形成した。変わらない温度(100℃)で60分にわたり更に撹拌した*)。引き続き、真空を印加し、そして20hPaで110℃までで1141gのアニリンを蒸留した(GCによる純度95.3%+2%のN−フェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン;アニリンの収率100%)。100℃及び85hPaの圧力で、蒸留残滓に4分以内で113.6gのエチレンジアミンを加えた。その際に調節する弱い還流によって、装置内の蒸気室中に形成した薄膜をすすぎ落とした。その際に、エチレンジアミン塩酸塩の液相が形成し、それは80℃で分離された。上方の相を10hPaで115℃まで加熱した。残留物として、88.1%のフェニルアミノメチルジメトキシメチルシラン、4.8%のビス[(ジメトキシメチルシリル)メチル]アミン、2.9%の1,3−ビス(N−フェニルアミノメチル)−1,3−ジメトキシ−1,3−ジメチル−ジシロキサンからなる混合物が残留した。目的生成物の収率は、86%であった。
【0084】
*) 反応混合物は、DSC測定において310℃以降で発熱的分解を示した(−450kJ/kg未満、アニリンの留去後:−883kJ/kg)。
【0085】
例3a、本発明によるものではない:
比較試験において、(クロロメチル)ジメトキシメトキシメチルシランとアニリンとの実施例3と同様の反応条件下での反応の後に、アニリン過剰量を、エチレンジアミンを予め添加せずに留去した。反応混合物のDSC測定は、197℃以降で発熱的分解を示した(−1025kJ/kg)。アニリンの留去の後に、分解温度は、168℃に低下し、分解エンタルピーは−1312kJ/kg未満であった。−1312kJ/kgの分解エンタルピーは、約875℃の断熱的な温度上昇に相当する。蒸留過程で慣用のより長期の温度負荷において、分解温度(開始温度)の低下が進行することがある。それは、上記方法でエチレンジアミンを添加しないと、すなわちアニリン塩酸塩をエチレンジアミン−ビスヒドロクロリドに変換しないと、高い安全性リスクを侵すことを意味する。
【0086】
実施例4
ビス((3−トリメトキシシリル)プロピル)アミンの製造
還流冷却器、KPG撹拌機、温度計及び30cmのビグリューカラムを有する4000mlの五ツ口フラスコ中で、1906.8gの3−アミノプロピルトリメトキシシラン(Wacker Chemie AG(ドイツ)で購入できるGeniosil(登録商標)GF96)を130℃で初充填し、そして還流下に120分以内で696.3gの3−クロロプロピル−トリメトキシシランを加えた。添加の完了後に、240分にわたり前記温度で後撹拌した。それを110℃に冷却し、3分以内で、撹拌しつつ115.8gのエチレンジアミンを前記混合物に添加した。その際、固体のエチレンジアミン−ビスヒドロクロリドが沈殿した。次いで、ビグリューカラムを介して蒸留した。105℃/10hPaまでで1318.8gの無色の澄明な低沸点フラクションを蒸留し、それは、GCによれば、87.4%の3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1%のメタノール及び7.9%のエチレンジアミンを含有していた。135℃/10hPaまでで中間経過を取り出し、それは、GCによれば、74%の3−アミノプロピルトリメトキシシラン、8.3%のビス((3−トリメトキシシリル)プロピル)アミン、11.8%の環化生成物(=1,1−ジメトキシ−1−シラ−2−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アザシクロペンタン)及び1.4%のエチレンジアミンを含有していた。コールドトラップにおいて、メタノールとエチレンジアミンとの1:1混合物27.6gが集まった。従って、3−アミノプロピルシランが定量的に回収された。305.4gのエチレンジアミンを蒸留残滓へと100℃で添加した後に、液状の下方の相が形成し、それを80℃で抜き取った。上方の相を加熱し、蒸留残滓を濾過した。85%のビス((3−トリメトキシシリル)プロピル)アミン、1.4%の環化生成物(=1,1−ジメトキシ−1−シラ−2−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アザシクロペンタン)、7.4%のトリス((3−トリメトキシシリル)プロピル)アミン、1.7%の3−アミノプロピルトリメトキシシランからなる混合物981gが得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)
R′3-n1nSi−R2−NR34 (1)
のアミノオルガニルトリオルガニルシランを、一般式(2)
H−NR34 (2)
の環状もしくは非環状のアミンと、一般式(3)
R′3-n1nSi−R2−X (3)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(I)において、
[式中、
R′は、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアシルオキシ基又はアルコキシ基を意味し、
1は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
2は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
3、R4は、互いに独立して、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、その際、R3、R4は、互いに結合されていてもよく、かつ得られる環は、更にまた他のヘテロ原子、NH基もしくはNR2a基を有してよく、
2aは、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基を意味し、
nは、0、1、2もしくは3の数を意味し、
Xは、塩素、臭素もしくはヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(3)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(2)のアミン1.1〜100モルを0〜250℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(1)のシランの他に、副生成物として一般式(2)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(2)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(2)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法。
【請求項2】
一般式(4)
【化1】

の環状アミノシランを、一般式(5)
2NR7 (5)
のアミンと、一般式(6)
(R2)Y1Si−R5−Y2 (6)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(II)において、
[式中、
5は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、NH又はNR8基によって中断されていてよい基を意味し、
6は、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、ハロゲン原子、OH基及び基−NH2−、−NHR8、NR82で置換されていてよい基を意味し、
7は、水素又は1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基であって、ハロゲン原子、OH基及び基−NH2−、−NHR8、NR82で置換されていてよい基を意味し、
Rは、炭化水素基、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、
8は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、かつ
1及びY2は、塩素、臭素又はヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(6)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(5)のアミン1.1〜1000モルを0〜300℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(4)のシランの他に、副生成物として一般式(5)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(5)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(5)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法。
【請求項3】
一般式(7)
013-t11tSi−R12−NR13−R14−SiR023-s15s (7)
のシリルオルガノアミンを、一般式(8)
H−NR13−R14−SiR023-s15s (8)
の(アミノオルガニル)シランと、一般式(9)
013-t11tSi−R12−Z (9)
の(ハロゲンオルガニル)シランとを反応させることにより製造する方法(III)において、
[式中、
01、R02は、それぞれ1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基を意味し、
11、R15は、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
12は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子又は硫黄原子によって中断されていてよい基を意味し、
14は、1〜10個の炭素原子を有する二価の炭化水素基であって、炭化水素鎖がカルボニル基、カルボキシル基、酸素原子、硫黄原子、NH又はNR18基によって中断されていてよい基を意味し、その際、R18は、R11、R15と同じ意味を有し、
13は、水素、1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基又は一般式R033-o16oSi−R17−の基を意味し、式中、R16は、R11及びR15と同じ意味であり、R17は、R12及びR14と同じ意味であり、かつR03は、R01及びR02と同じ意味であり、かつ
s、t、oは、互いに独立して、0、1、2又は3の数を意味し、かつ
Zは、塩素、臭素又はヨウ素を意味する]
前記反応が、以下の連続した工程:
a)一般式(9)の(ハロゲンオルガニル)シラン1モル当たりに一般式(8)のアミン1.1〜100モルを0〜250℃の温度で反応させる工程と、
その際、前記一般式(7)のシリルオルガノアミンの他に、副生成物として一般式(8)のアミンのアンモニウムハロゲン化物が形成され、
b)塩基(B)を反応混合物に添加する工程と、
その際、塩基(B)は1モル当たりに少なくとも2モルの塩基性の官能基を含み、ここで塩交換がなされ、その際に一般式(8)のアミンが遊離され、そして塩基(B)は、塩基(B)の塩基性の官能基少なくとも1.6モルがハロゲン化水素付加物として存在する量で添加され、
c)一般式(8)のアミンを反応混合物から留去する工程と、
d)塩基(B)を前記反応混合物に、2つの液相を形成するのに十分な量で添加する工程と、
その際、一方の相は、塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含み、
e)塩基(B)のヒドロハロゲン化物少なくとも90質量%を含む液相を分離する工程と、
を含む前記方法。
【請求項4】
工程d)で添加される塩基(B)の量が、工程b)で使用される塩基(B)の量の20〜200%である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程b)、c)及びd)を、20℃〜250℃の温度で実施する、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
使用されるべき一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの含水量が、0〜20000ppmである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
使用されるべき一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンのpKb値が、塩基(B)のpKb値よりも、少なくとも1pKb単位大きい、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
塩基(B)の沸点が、生成物(1)、(4)もしくは(7)の沸点とも、一般式(2)、(5)もしくは(8)のアミンの沸点とも、少なくとも40℃だけ異なる、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
塩基(B)として、エチレンジアミン単位もしくはプロピレンジアミン単位を含むオリゴアミン(O)又はそれらの混合物が使用される、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
塩基(B)が、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジアザビシクロオクタン、ペンタメチルジエチレントリアミン、1,2−プロピレンジアミン、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアミン、1,2−ジメチルイミダゾール、N−メチルイミダゾール、N4−アミン(BASF SE(ドイツ)社製)及びそれらの混合物から選択される、請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2012−528823(P2012−528823A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513587(P2012−513587)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2010/057582
【国際公開番号】WO2010/139674
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】