説明

アミノチアゾール大環状分子、抗菌化合物としてのその使用およびその製造法

本発明は新規抗生化合物、それらの薬学的に許容される塩および誘導体、ならびにこのような化合物を得る方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は新規微生物、ノノムラエ(Nonomuraea)属Bp3714−39由来の新規抗菌化合物、その薬学的に許容される塩および誘導体、ならびにこのような化合物を得るおよび使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ストレプトスポランギウム(Streptosporangiaceae)ファミリーは、放線菌として総合的に既知である大規模かつ複雑なグラム陽性菌の群の部分集合である。数十年にわたって、土壌中に豊富であるこれらの生物は、二次代謝産物として製造される多数の治療に有効な化合物、特に抗生物質の結果として、顕著な商業的かつ科学的関心を引き起こしていた。新規抗生物質を製造することができる菌株の集中的な研究で何百もの新規な種が同定された。
【0003】
シュードノカルジア(Pseudonocardiaceae)ファミリーに属する放線菌の典型的な株であるアミコラトプシス(Amycolatopsis)属MI481−42F4はアミチアマイシンAからDを製造し、これは抗菌活性を示す(J. Antibiotics, 47 (1994), 668-674および1136-1153、JP1998059997(A)、JP1997124503(A)、JP1995215989(A)、JP1994263784(A)、JP1993310766(A)、JP10059997A2(A)、JP09124503A2(A)参照)。
【0004】
大規模の問題は、世界的に見つけ出された臨床分離株中の抗生物質耐性細菌、例えば、より毒性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の発生率の増加である。バンコマイシン耐性生物と同様に、多数のMRSA株は大部分の既知の抗生物質に耐性であるが、MRSA株はバンコマイシンに対する感受性を維持していた。しかしながら、バンコマイシン耐性臨床分離株の報告の増加および細菌の耐性の問題の増加を考慮して、新たに起こるおよび現在問題のグラム陽性生物に対して有効な新規化合物に対する緊急の必要性が存在する。
【0005】
この多剤耐性の増加により、最近、これらの細菌を阻害する、または殺す抗生物質の新規の構造群の研究への関心が再燃している。新規抗生物質は真菌および細菌から単離されている。
【0006】
多数の生物活性化合物が細菌から同定されているが、強化された特性を有する新規化合物を得る必要性は残っている。このような化合物を得る現在の方法では自然分離株のスクリーニングおよび既存の化合物の化学修飾を含み、この両方とも高価で、時間がかかる。
【0007】
したがって、費用効率が高く、同時に高収率で製造する方法で薬学的に活性な化合物を得る必要性がおおいに存在する。本発明は、有効な新規治療化合物を製造することができるストレプトスポランギウムファミリーからの新規株およびこのような新規化合物を製造する方法を提供することにより、これらの課題を解決する。
【発明の概要】
【0008】
発明の要旨
細菌感染に対する新規処置および治療の必要性が残っている。1種以上の細菌感染の症状の処置または予防または改善に有用である化合物の必要性も残っている。さらに、本明細書で提供される化合物を使用する伸長因子EF−Tuの活性の調節方法の必要性がある。
【0009】
1つの局面において、本発明は式I
【化1】

で示される化合物Iまたはその薬学的に許容される塩に関する。
【0010】
他の局面において、本発明は分子式C59501412の化合物またはその薬学的に許容される塩を薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物に関する。
【0011】
本発明はさらに:
59521412
59501412
59521411
59521410
59501413
59521413
5951ClN1412
59521413
59501413
59521412
59521411
59501414
59521414
5951ClN1413
からなる群から選択される分子式を有する化合物を含む。
【0012】
他の局面において、本発明は細菌感染の処置方法であって、該処置が薬学的に許容される量の式IからXXIIの化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0013】
他の局面において、本発明はEF−Tu関連状態の処置方法であって、該処置がEF−Tu関連状態が処置されるように薬学的に許容される量の式IからXXIIの化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0014】
さらに他の局面において、本発明は処置を必要とするEF−Tuの活性の処置、阻止または予防方法であって、薬学的に許容される量式IからXXIIの化合物をそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。1つの局面において、細菌感染を、処置を必要とする対象において処置する。
【0015】
他の局面において、本発明は処置を必要とする対象の細菌の活性の処置、阻止または予防方法であって、薬学的に許容される量式IからXXIIの化合物(ここで、該化合物が細菌のライフサイクルの何らかの標的と相互作用する)を対象に投与することを含む方法を提供する。1つの態様において、標的がEF−Tuである。
【0016】
他の局面において、本発明は対象の細菌感染の処置方法であって、該処置が、細菌感染が処置されるように薬学的に許容される量の式IからXXIIの化合物および薬学的に許容される担体を、それを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。
【0017】
さらに他の局面において、本発明は細菌感染の処置方法であって、該処置が、細菌感染が処置されるように薬学的に有効量の少なくとも1種の式IからXXIIからなる群から選択される化合物を、薬学的に有効量の少なくとも1種の治療剤と共にそれを必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。1つの局面において、本発明の化合物および他の治療剤は同じ医薬組成物の一部として投与される。他の局面において、少なくとも1種の式IからXXIIからなる群から選択される化合物および他の治療剤は別々の医薬組成物として投与され、そして該化合物は他の薬剤の投与に対して前、同時または後に投与される。
【0018】
他の局面において、本発明は細菌感染の処置のために有効量の化合物を使用するための指示書と共にパッケージされた式IからXXIIを含む、パッケージされた細菌感染処置を提供する。
【0019】
他の局面において、本発明は処置を必要とする対象のアクネの処置方法であって、該処置が、薬学的に許容される量の式IからXXIIから選択される化合物を該対象に投与することを含む方法を提供する。
【0020】
他の局面において、本発明は処置を必要とする対象の細菌感染、例えば、細菌性心内膜炎もしくは細菌性敗血症または両方の障害の処置方法であって、該処置が、薬学的に許容される量の式IからXXIIから選択される化合物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0021】
さらに他の局面において、本発明は式IからXXIIから選択される化合物および少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
本発明はさらに:a)ノノムラエ属Bp3714−39または抗生物質を製造するそれらの変異型もしくは突然変異型を培養し(ここで、該培養は少なくとも1種の炭素原子源および少なくとも1種の窒素原子源を含む培養液中で好気条件下で実施される);そして、b)工程(a)で培養された細菌から抗菌化合物を単離することを含む方法により得られる化合物を含む。
【0023】
1つの局面において、本発明の抗菌化合物Iは、本質的に図1に示される13C NMR スペクトルを生じる。他の局面において、本発明の抗菌化合物Iは、図2のH NMR スペクトルを生じる。他の局面において、化合物Iは図3のIR スペクトルを生じる。
【0024】
本発明はさらに、少なくとも1種の炭素原子源および少なくとも1種の窒素原子源を含む培養液中でのノノムラエ属Bp3714−39または抗生物質を製造するその変異型もしくは突然変異型の培養、ならびに、該化合物の単離および精製を含む抗菌化合物の製造方法を含む。適当な炭素原子および窒素原子の源を下記表1に例示する。
表1:炭素および窒素原子源
【表1】

【0025】
他の局面において、培養は18℃から40℃の範囲の温度で実施する。さらなる態様において、温度範囲は28℃から32℃である。
他の局面において、培養はpH6から9の範囲で実施する。
本発明はさらに国際寄託当局受託番号DSM18831を有するノノムラエ株Bp3714−39を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】d−DMSO中の化合物Iの13C−NMR スペクトル
【図2】d−DMSO中の化合物IのH−NMR スペクトル
【図3】式IのIR スペクトル(KBr−ペレット)
【図4】ノノムラエ属株Bp3714−39の16S リボソーム配列
【発明を実施するための形態】
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、新規の放線菌株、ノノムラエ属株Bp3714−39から単離された、“化合物”または“本発明の化合物”と本明細書で称される新規抗菌化合物に関する。この糸状体微生物を16S リボソーム RNA決定を使用して分析し、ストレプトスポランギウムのファミリーに属することを見出した。16sRNA配列は図4に示されている。この生物はInhoffenstrasse 7B, D-38124 Braunschweigに住所を有するDSMZ-Deutsche Sammlung Von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbHに2006年11月30日に寄託された。
【0028】
本発明は、また、伸長因子EF−Tuのモジュレーターを対象にする。該化合物は特に細菌のライフサイクルの妨害に、および細菌感染またはそれに関連する生理学的状態の処置または予防に有用である。本発明は、また、本発明の化合物もしくは医薬組成物またはそれらのキットを使用して、細胞のEF−Tu活性を阻害するか、または対象の細菌感染を処置または予防するための組合せ治療の方法を対象にする。
【0029】
本発明はさらに本発明の化合物の薬学的に許容される塩および誘導体ならびにこのような化合物を得る方法に関する。該化合物を得る1つの方法は本明細書に記載の発酵方法を使用して適当な放線菌条件下でノノムラエ属株Bp3714−39またはその突然変異型もしくは変異型を培養することによる。
【0030】
少なくとも1つの塩形成基を有する本発明の化合物の塩はそれ自体既知の方法で製造され得る。例えば、酸基を有する本発明の化合物の塩は、例えば、化合物を金属化合物で、例えば、適当な有機カルボン酸のアルカリ金属塩で、例えば、2−エチルヘキサン酸のナトリウム塩で、有機アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属化合物、例えば、対応する水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩で、例えば、ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物、炭酸塩もしくは炭酸水素塩で、対応するカルシウム化合物でまたはアンモニアもしくは適当な有機アミンで、好ましくは化学量論量もしくはほんのわずかに過剰の塩形成剤を使用して、処理することにより形成され得る。本発明の化合物の酸付加塩は、慣用の方法で、例えば、化合物を酸または適当な陰イオン交換剤で処理することにより得ることができる。酸および塩基塩形成基、例えば、遊離カルボキシ基および有機アミノ基を含む本発明の化合物の内部塩は、例えば、弱塩基で、等電点への、例えば、塩、例えば、酸付加塩の中和、またはイオン交換体での処理により形成され得る。
【0031】
塩は遊離化合物に慣用の方法で変換することができ;金属およびアンモニウム塩は、例えば、適当な酸での処理により、そして、酸付加塩は、例えば、適当な塩基性薬剤での処理により変換することができる。
【0032】
本発明により得られる異性体の混合物は、それ自体、個々の異性体に既知の方法で分離することができ;ジアステレオマーは、例えば、多相溶媒混合物の分割、再結晶および/または、例えば、シリカゲルのクロマトグラフ分離、または、例えば、逆相カラムの中圧液体クロマトグラフィーにより分離することができ、そして、ラセミ体は、例えば、光学的に純粋な塩を形成する薬剤での塩の形成、および、例えば、分別結晶または光学的に活性なカラム物質のクロマトグラフィーの手段により、得ることができるジアステレオマーの混合物の分離により分離することができる。
【0033】
中間体および最終産物は標準方法、例えば、クロマトグラフィー法、分配法、(再)結晶化などを使用して後処理および/または精製することができる。
【0034】
下記詳細な説明では細菌増殖および/またはEF−Tu活性と関連する特定の疾患経路または状態を阻害するための本発明の化合物およびこの化合物を含む組成物の製造および使用方法を記載する。
【0035】
したがって、本発明のある局面は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物、このような化合物の製造方法に関する。
【0036】
定義
便宜上、本明細書、実施例および特許請求の範囲で使用される特定の用語およびフレーズの意味は下記で提供される。
【0037】
本明細書で使用される“化合物”なる用語は大環状化合物のクラスを意味する。該用語は、例示された本発明の化合物を含むが、それらに限定はされない。該用語は、また、1つ以上の本発明の化合物の使用を含む。本明細書で使用される、本発明の化合物は、また、化学合成において中間体として使用することができるこのクラスの化合物を含む。
【0038】
本発明の化合物は、重要な薬理学的特性を有し、疾患の処置に有用である。ある態様において、本発明の化合物は細菌感染の処置に有用である。
【0039】
“使用”なる用語は、特に記載のない限り、適当および好都合なとき、各々1つ以上の本発明の下記の態様のいずれかを含む:細菌感染の処置における使用;これらの疾患の処置における使用のための医薬組成物の製造、例えば、薬剤の製造における使用;これらの疾患の処置における本発明の化合物の使用方法;これらの疾患の処置のための本発明の化合物を有する医薬製剤;および、これらの疾患の処置における使用のための本発明の化合物。“使用”なる用語はさらに、蛍光物質(flour)もしくはタグに結合するか、または放射活性にされたとき、研究用試薬または診断もしくは造影剤として使用することができるように、トレーサーまたはラベルとして使用するために十分に本発明の化合物に結合する本明細書の組成物の態様を含む。
【0040】
ある態様において、本発明の化合物は、EF−Tu関連疾患または状態の処置のため、EF−Tuを含む核酸配列またはタンパク質を含む1つ以上の何らかのEF−Tu分子の阻害剤としての化合物の使用のために使用される。1つ以上のEF−Tuのイソ型を阻害する処置に使用することができることが想像される。
【0041】
本明細書で使用される、“細菌感染”なる用語は、哺乳動物、魚および鳥で発症する細菌感染ならびに抗生物質、例えば、本発明の化合物を投与することにより処置または予防され得る細菌感染に関連する障害を含むが、それらに限定はされない。多剤耐性株の黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、結核および腸球菌により引き起こされる感染の処置に加えて、本発明の化合物は、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、プロピオニバクテリウム・アクネス(propionibacterium acnes)、バクテロイデス・フラギリス(Bacteroides fagiles)、淋菌、カタル球菌、インフルエンザ菌、大腸菌、緑膿菌、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、肺炎桿菌およびクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)を含むが、これに限定はされない他の細菌により引き起こされる感染の処置において有用である。
【0042】
細菌感染およびこのような感染に関連する障害は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、カタル球菌、黄色ブドウ球菌、ペプトストレプトコッカス(Peptostreptococcus)属または緑膿菌群による感染に関連するアクネ、酒さ、皮膚感染、肺炎、中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎、扁桃炎および乳様突起炎;化膿連鎖球菌、C群及びG群連球菌、クロストリジウム・ジプテリエ(Clostridium diptheriae)またはアクチノバチルス・ヘモリチクム(Actinobacillus haemolyticum)による感染に関連する咽頭炎、リウマチ熱および糸球体腎炎;マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、レジオネラ・ニューモニエ(Legionella pneumophila)、肺炎球菌、インフルエンザ菌またはクラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumoniae)による感染に関連する呼吸器感染;黄色ブドウ球菌、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(すなわち、表皮ブドウ球菌、溶血性連鎖球菌など)、化膿連鎖球菌、B群連鎖球菌、C−F群連鎖球菌(微小コロニー連鎖球菌)、緑色連鎖球菌、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、クロストリジウム(Clostridium)属またはバルトネラ・ヘンセラエ(Bartonella henselae)による感染に関連する単純性皮膚および軟組織感染、膿瘍および骨髄炎、および産褥熱;腐性ブドウ球菌または腸球菌属による感染に関連する単純性急性尿路感染;尿道炎および子宮頸管炎;クラミジア・トラコマティス、軟性下疳菌、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(ureaplasma urealyticum)または淋菌による感染に関連する性感染症;黄色ブドウ球菌(食中毒および毒素性ショック症候群)またはA群、S群およびC群連鎖球菌による感染に関連する毒素疾患;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)による感染に関連する潰瘍;回帰熱ボレリアによる感染に関連する全身性熱症候群;ライム病ボレリアによる感染に関連するライム病;クラミジア・トラコマティス(C. trachomatis)、淋菌、黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌、インフルエンザ菌またはリステリア(Listeria)属による感染に関連する結膜炎、角膜炎および涙嚢炎(dacrocystitis);マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)またはマイコバクテリウム・イントラセルラ(Mycobacterium intracellulare)による感染に関連する播種性マイコバクテリウム・アビウム複合(MAC)疾患;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による感染に関連する胃腸炎;クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)属による感染に関連する腸内原虫、緑色連鎖球菌による感染に関連する歯性感染;百日咳菌による感染に関連する持続性咳嗽;ウェルシュ菌またはバクテロイデス属による感染に関連するガス壊疽;黄色ブドウ球菌、プロピオン酸菌アクネによる皮膚感染;ヘリコバクター・ピロリまたはクラミジア・ニューモニエによる感染に関連するアテローム性動脈硬化症などを含むが、これに限定はされない。
【0043】
動物において処置または予防され得るこのような感染に関連するさらなる細菌感染および障害は、パスツレラ・ヘモリチカ(P. haemolytica)、パスツレラ・マルトシダ(P. multocida)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)、またはボルデテラ(Bordetella)属による感染に関連するウシの呼吸器疾患;大腸菌または原虫(すなわち、コクシジウム(coccidia)、クリプトスポリジウム(cryptosporidia)など)による感染に関連する乳牛の腸疾患、黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカス・ウベリス(S. uberis)、B群連鎖球菌、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(S. dysgalactiae)、クレブシエラ属(Klebsiella spp)、コリネバクテリウムまたは腸球菌属による感染に関連する乳牛の乳腺炎;アクチノバチルス・プルロニューモニア(A. pleuropneumoniae)、パスツレラ・マルトシダまたはマイコプラズマ属による感染に関連するブタの呼吸器疾患;大腸菌、ローソニア・イントラセルラーリス(Lawsonia intracellularis)、サルモネラ属またはセルプリナ・ヒオジシンテリエ(Serpulina hyodyisinteriae)による感染に関連するブタの腸疾患;フゾバクテリウム(Fusobacterium)属による感染に関連する乳牛の腐蹄症;大腸菌による感染に関連する乳牛の子宮炎;壊死桿菌またはバクテロイデス・ノドサス(Bacteroides nodosus) による感染に関連する乳牛の毛状疣贅(hairy warts);モラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)による感染に関連する乳牛の結膜炎、原虫(すなわち、ネオスポリウム(neosporium))による感染に関連する乳牛の流早産;大腸菌による感染に関連するイヌおよびネコの尿路感染;表皮ブドウ球菌、ストレプトコッカス・インターメディウス(S. intermedius)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase neg. Staphylococcus)またはパスツレラ・マルトシダによる感染に関連するイヌおよびネコの皮膚および軟組織感染;アルカリゲネス(Alcaligenes)属、バクテロイデス属、クロストリジウム属、腸内細菌属、真正細菌属、ペプトストレプトコッカス属、ポルフィロモナス(Porphfyromonas)属、カンピロバクター属、アクチノミセス(Actinomyces)属、エリジペロスリックス(Erysipelothrix)属、ロドコッカス(Rhodococcus)属、トリパノソーマ(Trypanosoma)属、マラリア原虫(Plasmodium)属、バベシア(Babesia)属、トキソプラズマ(Toxoplasma)属、ニューモシスチス(Pneumocystis)属、リーシュマニア(Leishmania)属、トリコモナス(Trichomonas)属またはプレボテラ(Prevotella)属による感染に関連するイヌおよびヤギの歯または口感染を含むが、これに限定はされない。本発明の方法にしたがって処置または予防され得るこのような感染に関連する他の細菌感染および障害は、J. P. Sanford at al., “The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy,” 26th Edition, (Antimicrobial Therapy, Inc., 1996)に記載されている。
【0044】
動物において処置または予防し得るこのような感染に関するさらなる細菌感染および障害は、皮膚科疾患、例えば、アクネ、中枢神経系感染、外耳感染、中耳感染、例えば、急性中耳炎、頭蓋腔の感染、眼感染、口腔の感染、例えば、歯、歯肉および粘膜の感染、上気道感染、下気道感染、尿生殖器感染、消化器感染、婦人科感染、敗血症、骨間接感染、皮膚および皮膚組織感染、細菌性心内膜炎、熱傷、外科手術の抗菌予防、免疫抑制患者、例えば、癌化学療法を受けている患者または臓器移植患者における抗菌予防および感染性生物、例えば、動脈硬化症により引き起こされる慢性疾患を含むが、それらに限定はされない。
【0045】
本発明の化合物は、所望により慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含む投与単位製剤において、吸入スプレー、局所適用、注射により、経口的、口内、非経口的、経皮または経直腸的(例えば、座剤の使用による)を含むが、これに限定はされない利用でき有効な何らかの送達系により投与することができる。非経口は皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内注射または注入技術を含む。
【0046】
本発明の化合物は1個以上の不斉炭素原子を有することができ、ラセミ体または非ラセミ体化合物の混合物を形成する光学異性体として存在することができる。本発明の化合物は単一の異性体または立体化学異性体の混合物として有用である。ジアステレオマー、すなわち、重ね合わせることができない立体化学異性体は、慣用の方法例えば、クロマトグラフィー、蒸留、結晶化または昇華により分離することができる。光学異性体は慣用の方法によるラセミ混合物の分割により得ることができる。
【0047】
本明細書で使用される“抗生物質を製造する微生物”および“抗菌化合物の製造者”なる用語は、生物が天然に製造するかどうかに関わらず、本発明の抗菌化合物および/またはそれらの誘導体を製造するために必要な遺伝情報を有する微生物を意味する。該用語は抗菌化合物を製造するための遺伝情報がそれが天然環境下で存在するような生物で見出された生物および遺伝情報は組み換え技術により導入された生物に平等に適用する。
【0048】
本明細書で考慮される特定の生物は、ノカルジオプシス(Nocardiopsaceae)ストレプトスポランギウムおよびサーモモノスポラ(Thermomonosporaceae)科を含む放線菌目ストレプトスボランギアセアエ(Streptosporangineae)の生物を含むが、これに限定はされず、この好ましい属はアクロカルポスポラ(Acrocarpospora)、アクチノマヅラ(Actinomadura)、ハービドスポラ(Herbidospora)、ミクロビスポラ(Microbispora)、ミクロテトラスポラ(Microtetraspora)、ノカルジオプシス(Nocardiopsis)、ノノムラエ((Nonomuria sic, Chiba et al (1999)によりノノムラエに訂正され)、Zhenshui Zhang, Yue Wang and Jisheng Ruan in the International Journal of Systematic Bacteriology (1998), 48, 411-422により報告され再分類された属)、プラノビスポラ(Planobispora)、プラノモノスポラ(Planomonospora)、プラノポリスポラ(Planopolyspora)、プラノテトラスポラ(Planotetraspora)またはストレプトスポランジウム(Streptosporangium)を含む。該用語は抗菌化合物を製造するために必要な遺伝情報を含む全ての生物を含むことを意図する。抗菌化合物の好ましい製造者はノノムラエ(Nonomuraea)微生物株Bp3714−39を含み、この寄託番号は受託番号DSM 18831の下に2006年11月30日に寄託された。
【0049】
“薬学的に許容される担体”なる用語は治療剤の投与のための担体を意味する。このような担体は、食塩水、緩衝食塩水、デキストロース、水、グリセロール、エタノールおよびそれらの組合せを含むが、それらに限定はされない。該用語は具体的には細胞培養培地を除く。経口的に投与される薬剤に対して、薬学的に許容される担体は薬学的に許容される賦形剤、例えば、不活性希釈剤、崩壊剤、結合剤、平滑剤、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤を含むが、それらに限定はされない。適当な不活性希釈剤は炭酸ナトリウムおよびカルシウム、リン酸ナトリウムおよびカルシウムならびにラクトースを含み、コーンデンプンおよびアルギン酸は適当な崩壊剤である。結合剤はデンプンおよびゼラチンを含み得、平滑剤は、存在するとき、一般的にステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。所望により、錠剤は胃腸管での吸収を遅延させるため、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルのような物質でコーティングされていてもよい。
【0050】
“薬学的に許容される塩”なる用語は酸付加塩および塩基付加塩を意味する。塩の性質は、薬学的に許容されるものであるならば重要ではない。典型的な酸付加塩は、塩酸、臭化水素酸、臭化ヨウ素酸、硝酸、炭酸、硫酸、リン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、シュウ酸、リンゴ酸、グルタミン酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、マレイン酸、エンボニン酸(パモン酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、パントテン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルファニル酸、メシル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、ベータ−ヒドロキシ酪酸、マロン酸、ガラクタル酸、ガラクツロン酸などを含むが、それらに限定はされない。適当な薬学的に許容される塩基付加塩は、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛からの金属塩またはN,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、リシン、プロカインなどからの有機塩を含むが、それらに限定はされない。薬学的に許容される塩のさらなる例はJournal of Pharmaceutical Sciences (1977) 66:2に記載されている。これらの全ての塩は化合物を適当な酸または塩基と処理することにより抗菌化合物から慣用の方法により製造され得る。
【0051】
II 抗菌化合物
ある局面において、本発明の化合物は、原核生物のEF−Tu、とりわけ細菌のEF−Tuを含むEF−Tuのモジュレーターとして特徴付けられる。好ましい態様において、本発明の化合物はEF−Tu阻害剤である。
【0052】
EF−Tuは細菌でもっとも豊富なタンパク質の1つ、ならびに非常に高度に保存されている1つであり、そして、多くの種において遺伝子は同一の機能で複製される。細菌のタンパク質合成はEF−Tuシャペロンタンパク質が必要である。GTPに結合したとき、EF−Tuはほとんどのアミノアシル化tRNAと複合体を形成でき、tRNAをリボソームに負荷する。結果として、細菌感染はEF−Tuの活性と関連している。理論にとらわれないが、細菌のライフサイクルにおけるEF−Tu合成または活性の崩壊は細菌の機能および/または増殖を防止または阻害し得ると考えられる。本発明の化合物は、グラム陽性および/またはグラム陰性菌の転写またはタンパク質翻訳の妨害に特に有用である。
【0053】
本明細書で使用される“EF−Tu関連状態”または“EF−Tu関連障害”なる用語はEF−Tuの活性と関連する障害および状態(例えば、疾患状態)を含む。EF−Tu関連障害の非限定的な例は対象の細菌感染である。
【0054】
本発明は上記細菌感染、ならびにEF−Tu関連障害の処置を含むが、本発明は化合物が疾患の処置の意図する機能を実行する方法に限定することを意図しない。本発明は、例えば、細菌感染の発症を処置することが可能である何らかの方法における本明細書に記載されている疾患の処置を含む。
【0055】
ある局面において、本発明はいずれかの本発明の化合物の医薬組成物を提供する。関連した局面において、本発明はいずれかの本発明の化合物およびこれらの化合物のいずれかの薬学的に許容される担体または賦形剤の医薬組成物を提供する。ある局面において、本発明は新規化合物の化合物を含む。
【0056】
1つの局面において、本発明はパッケージされた細菌感染処置を含む。パッケージされた処置は意図する使用に対する有効量の本発明の化合物を使用するための指示書と共にパッケージされた本発明の化合物を含む。
【0057】
本発明の化合物は、特に細菌感染を処置するために有効である医薬組成物において活性剤として適当である。種々の態様における医薬組成物は薬学的に有効量の本活性剤を他の薬学的に許容される賦形剤、担体、増量剤、希釈剤などと共に有する。本明細書で使用される“薬学的に有効量”なるフレーズは治療結果、とりわけ抗細菌感染効果、例えば、細菌の増殖または他の何らかの細菌感染の阻害を達成するために宿主または宿主の細胞、組織もしくは臓器に投与する必要量を示す。
【0058】
他の局面において、本発明は、EF−Tuタンパク質の活性の阻害方法を提供する。該方法は、細胞と本発明のいずれかの化合物を接触させることを含む。関連した局面において、該方法はさらに該化合物がEF−Tuタンパク質の活性を選択的に阻害するための有効量で存在することを提供する。
【0059】
他の局面において、本発明は、対象の細菌感染を処置するための薬剤の製造のための本発明のいずれかの化合物の使用を提供する。
【0060】
他の局面において、本発明は対象の処置のための本発明のいずれかの化合物を製剤化することを含む薬剤の製造方法を提供する。
【0061】
“処置する”、“処置され”、“処置し”または“処置”なる用語は、処置される状態、障害または疾患と関連する、または、これらにより引き起こされる少なくとも1つの症状の軽減または緩和を含む。ある局面において、処置は細菌感染の誘発と、続く本発明の化合物の活性化を含み、これは、次に処置される細菌感染と関連する、または、これらにより引き起こされる少なくとも1つの症状を軽減または緩和する。例えば、処置は障害の1個または数個の症状の軽減または障害の完全な根絶であり得る。
【0062】
“対象”なる用語は細菌感染を罹患する、または患う可能性がある生物、例えば、原核生物および真核生物を含むことを意図する。対象の例は、哺乳動物、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラットおよび遺伝子組み換え非ヒト動物を含む。ある態様において、対象はヒト、例えば、細菌感染および本明細書に記載の疾患または状態を罹患する、罹患する危険性がある、または罹患する可能性があるヒトである。他の態様において、対象は細胞である。
【0063】
“EF−Tu調節化合物”、“EF−Tuのモジュレーター”または“EF−Tu阻害剤”なる用語はEF−Tuの活性を調節、例えば、阻害するか、または他の方法で変化させる化合物を意味する。EF−Tu調節化合物の例は式IからXXIIの化合物(それらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらのエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む)を含む。
【0064】
さらに、本発明の方法は有効量の本発明のEF−Tu調節化合物、例えば、式IからXXIIのEF−Tu調節化合物(それらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらのエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマーまたはラセミ体を含む)を対象に投与することを含む。
【0065】
本発明のEF−Tu調節化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、疾患、特に細菌感染および本明細書に記載されている障害の治療または予防処置のための経口、静脈内、筋肉内、皮下、局所または非経口投与用に製剤化され得る。経口または非経口投与のため、本発明の化合物は、慣用の医薬担体および賦形剤と混合して、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、カシェなどの形態で使用され得る。本発明の化合物を含む組成物は約0.1%から約99.9%、約1%から約98%、約5%から約95%、約10%から約80%または約15%から約60重量%の活性化合物を含む。
【0066】
本明細書に記載されている医薬製剤は標準方法にしたがって製造され、細菌感染を減少、予防または排除するために選択された用量で投与される(例えば、ヒト治療に対して種々の抗菌剤を投与するための方法の一般記述、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa.;およびGoodman and Gilman, Pharmaceutical Basis of Therapeutics, Pergamon Press, New York, N.Y.(これらの内容を出典明示により本明細書に包含させる)、参照)。本発明の組成物は制御(例えば、カプセル)または持続放出送達系(例えば、生体分解性物質)を使用して送達することができる。本発明(好ましくは式I−XI)の組成物の投与に適当である薬剤送達の典型的な遅延放出送達系は米国特許第4,452,775号(Kentによる)、米国特許第5,239,660号(Leonardによる)、米国特許第3,854,480号(Zaffaroniによる)に記載されている。
【0067】
本発明の薬学的に許容される組成物は、1種以上の本発明の化合物を1種以上の非毒性の薬学的に許容される担体および/または希釈剤および/またはアジュバントおよび/または賦形剤(総合的に本明細書において“担体”物質と称する)ならびに所望により他の活性成分と共に含む。該組成物は一般的な担体および賦形剤、例えば、コーンデンプンまたはゼラチン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウムおよびアルギン酸ナトリウムを含み得る。該組成物はクロスカルメロースナトリウム、微結晶セルロース、デンプンナトリウムグリコール酸およびアルギン酸を含み得る。
【0068】
含むことができる錠剤結合剤はアカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(プロビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプンおよびエチルセルロースである。
【0069】
使用することができる滑剤はステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属塩、ステアリン酸、シリコン溶液、タルク、ロウ、油およびコロイドシリカを含む。
【0070】
香味剤、例えば、ペパーミント、ウィンターグリーン油、チェリー香味剤なども使用することができる。外観において投与形態をより美的にするため、または本発明の化合物を含む生成物の特定を補助するために、着色剤を加えることが望ましいこともある。
【0071】
経口使用のため、固形製剤、例えば、錠剤およびカプセルが特に有用である。持続放出または経腸的にコーティングされた製剤が、また、発明され得る。小児および高齢者適用のためには、懸濁液、シロップおよびチュアブル錠剤がとりわけ適当である。経口投与のため、医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液または液体の形態である。医薬組成物は好ましくは治療有効量の活性成分を含む投与単位の形態で製造される。このような投与単位の例は錠剤およびカプセルである。治療目的のため、錠剤およびカプセルは、活性成分に加えて、慣用の担体、例えば、結合剤、例えば、アカシア・ゴム、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ソルビトールまたはトラガカント;増量剤、例えば、リン酸カルシウム、グリシン、ラクトース、メイズデンプン、ソルビトールまたはスクロース;滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール、シリカまたはタルク:崩壊剤、例えば、ポテトデンプン、香味剤または着色剤、または、許容される湿潤剤を含むことができる。経口液体製剤は一般的に水性または油性溶液、懸濁液、エマルジョン、シロップまたはエリキシルの形態であり、慣用の添加剤、例えば、懸濁剤、乳化剤、非水性剤、防腐剤、着色剤および香味剤を含み得る。液体製剤のための添加剤の例はアカシア、アーモンド油、エチルアルコール、ヤシ油、ゼラチン、グルコースシロップ、グリセリン、水素化食用油脂、レシチン、メチルセルロース、パラ−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、プロピレングリコール、ソルビトールまたはソルビン酸を含む。
【0072】
静脈内(iv)使用のため、本発明の化合物は一般的に使用される何らかの静脈内流体に溶解または懸濁させ、点滴により投与することができる。静脈内流体は生理食塩水またはリンガー液を含むが、これに限定はされない。
【0073】
非経口投与用製剤は水性または非水性等張滅菌注入溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液または懸濁液は経口投与用製剤の使用に対して記載されている1種以上の担体を有する滅菌粉末または顆粒から製造することができる。本化合物はポリエチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、コーン油、ベンジルアルコール、塩化ナトリウムおよび/または種々のバッファーに溶解することができる。
【0074】
筋肉内製剤のため、本発明の化合物の滅菌製剤または適当な可溶性塩を形成する化合物は、医薬希釈剤、例えば、注射用水(WFI)、生理学食塩水または5%グルコースに溶解し、投与することができる。本化合物の適当な不溶性形態を製造し、水性塩基または薬学的に許容される油性塩基、例えば、長鎖脂肪酸のエステル、例えば、オレイン酸エチル中の懸濁液として投与され得る。
【0075】
局所使用のため、本発明の化合物は、また、皮膚または鼻および喉の粘膜に適用する適当な形態で製造され得、そして、クリーム、軟膏、液体スプレーまたは吸入剤、トローチまたは喉塗布剤の形態で使用できる。このような局所用製剤はさらに活性成分の表面浸透を容易にするために化合物、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むことができる。
【0076】
眼または耳への適用のため、本発明の化合物は、軟膏、クリーム、ローション、塗布剤または粉末として、疎水性または親水性塩基中で製剤化された液体または半液体形態で存在することができる。
【0077】
経直腸投与のため、本発明の化合物は慣用の担体、例えば、ココアバター、ロウまたは他のグリセリドと混合して座剤の形態で投与することができる。
【0078】
あるいは、本発明の化合物は、送達時に適当な薬学的に許容される担体で再構成される粉末形態であり得る。他の態様において、化合物の単位投与形態は滅菌され密封されているアンプル中の適当な希釈剤中の化合物またはその塩の溶液であり得る。
【0079】
単位投与の本発明の化合物の単位用量は治療有効量の少なくとも1種の本発明の活性化合物を含み、受容者、投与形路および頻度に依存して変化し得る。受容者は植物、細胞培養物または動物、例えば、ヒツジまたはヒトを含む哺乳動物を意味する。
【0080】
本発明のこの局面によると、本明細書に記載されている新規組成物は薬学的に許容される担体中に入れられ、薬剤送達の既知の方法にしたがって受容者(ヒト対象を含む)に送達される。一般的に、本発明の組成物を送達する本発明の方法は、インビボで、当分野で認識されているプロトコールの薬剤を本発明の化合物に置き換える、実質的に手順の改変のみで薬剤を送達するための当分野で認識されているプロトコールを使用する。
【0081】
同様に、例えば、細胞培養の細菌汚染のレベルを除去するか、または減少させるために培養物中で細胞を処置するために特許請求の範囲の組成物を使用する方法は、当分野で認識されているプロトコールで使用される薬剤を本発明の化合物に置き換える、実質的に手順の改変のみで細胞培養物を抗菌剤で処理する当分野で認識されているプロトコールを使用する。
【0082】
本発明の化合物は、細菌感染の処置方法を提供する。本明細書で使用される“単位用量”なる用語は所望の治療応答を引き起こす本発明の化合物の治療有効量を意味する。本明細書で使用される“治療有効量”なるフレーズは発症を予防、症状を緩和または細菌感染の進行を停止する本発明の化合物の量を意味する。“処置”なる用語は、治療有効量の少なくとも1種の本発明の化合物を対象に投与し、細菌感染の発症を予防する、または、細菌感染、炎症または前癌もしくは癌状態を制御もしくは排除することの両方を意味する。“所望の治療応答”なる用語は本発明の化合物で受容者を処置し、細菌性もしくは炎症性状態または前癌もしくは癌状態を受容者において逆転、阻止または予防するようなことを意味する。
【0083】
本発明の化合物は、毎日1回または1日あたり複数回投与で投与することができる。処置レジメンは、長期間、例えば、数日または2もしくは4週にわたる投与が必要であり得る。投与あたりの量または投与の全量は疾患状態の性質および重症度、受容者の年齢および健康状態、受容者の化合物に対する耐用性ならびに細菌感染または細菌感染に関連する障害の型のような因子に依存する。
【0084】
本発明の化合物は、また、患者または動物の食餌または食事で投与され得る。動物用食餌は、通常、化合物を加えることができる通常の食品であってよく、またはそれを予混合物に加えることができる。
【0085】
本発明の化合物は、このような処置を必要とする受容者を処置するために、既知の臨床的に承認された何らかの抗生物質、炎症または抗癌剤と組み合わせて、共にまたは別々に投与され得る。
【0086】
他の局面において、本発明は下記式I:
【化2】

により示される化学構造を有する抗菌化合物に関する。
【0087】
本発明の化合物は1つ以上の何らかの物理化学およびスペクトル特性(下記)、例えば、その質量、UV、IRおよびNMRスペクトルデータにより特徴付けられ得る。
【0088】
本発明の典型的な化合物(例えば、式IからXI)は下記:
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

の化合物、それらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらのエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体で示される。本発明の化合物は、また、“抗生物質”および“EF−Tu阻害剤”として本明細書において称される。
【0089】
他の本発明の典型的な化合物(例えば、式XIIからXXII)は下記:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

の化合物、それらの薬学的に許容される塩、ならびにそれらのエナンチオマー、立体異性体、回転異性体、互変異性体、ジアステレオマー、アトロプ異性体またはラセミ体で示される。
【0090】
本発明の化合物は、本明細書に記載の通り、本発明の化合物を薬学的に許容される担体と共に含む医薬組成物に製剤され得る。
【0091】
III. 発酵による抗菌化合物の製造方法
1つの局面において、化合物I−XIはノノムラエの新規株、すなわちノノムラエ属株Bp3714−39を培養することにより得ることができる。株Bp3714−39はDSMZに2006年11月30日に寄託された。該株の寄託とは特許手続き上の微生物の寄託の国際承認に関するブタベスト条約の合意の下になされた。寄託された株は取り消し不能であり、制限または条件なしに特許の発行の上に公に公開される。寄託された株は単に当業者に簡便のために提供され、寄託が米国特許法第112条36の下の実施可能要件の承認ではない。
【0092】
本発明が特定の株Bp3714−39の培養に限定されないと理解すべきである。むしろ、本発明は、例えば、既知の方法、例えば、X線放射、紫外線照射、化学突然変異原での処理、ファージ暴露、抗生物質選抜などによりこの生物から生じさせることができる化合物I−XIを製造することができる他の生物、例えばBp3714−39の突然変異型または変異型の培養を考慮する。
【0093】
本発明の抗菌化合物は種々の微生物により生合成され得る。本発明の化合物を合成し得る微生物は放線菌(actinomycetes)としても称される放線菌目(Actinomycetales)の細菌を含むが、これに限定はされない。放線菌属に属するメンバーの非限定的な例はノカルジア(Nocardia)、ゲオデルマトフィルス(Geodermatophilus)、アクチノプラネス(Actinoplanes)、ミクロモノスポラ(Micromonospora)、ノカルディオイデス(Nocardioides)、サッカロスリックス(Saccharothrix)、アミコラトプシス、クツネリア(Kutzneria)、サッカロモノスポラ(Saccharomonospora)、サッカロポリスポラ(Saccharopolyspora)、サリノスポラ(Salinospora)、キタサトスポラ(Kitasatospora)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ミクロビスポラ、ストレプトスポランジウムおよびアクチノマヅラを含む。放線菌の分類は複雑であり、本発明の化合物を合成し得る属のために参考資料としてGoodfellow, Suprageneric Classification of Actinomycetes (1989);Bergey’s Manual of Systematic Bacteriology, Vol. 4 (Williams and Wilkins, Baltimore, pp. 2322 2339);およびEmbley and Stackebrandt, “The molecular phylogeny and systematics of the Actinomycetes,” Annu. Rev. Microbiol. (1994) 48:257 289(これらそれぞれの内容を出典明示により本明細書に包含させる)を挙げる。
【0094】
構造式IからXIの化合物は、真正細菌ノノムラエ属の培養を有する植菌を介する制御された条件下で適当な培地の好気発酵により製造される。適当な培地は好ましくは水性であり、同化できる炭素、窒素および無機塩源を含む。
【0095】
適当な培地は下記実施例1および2で提供される培養培地を含むが、それらに限定はされない。発酵は約2から約8日間、約10℃から約40℃の温度で実施するが;しかしながら、最適な結果のために、発酵を約30℃で実施することが好ましい。発酵中の培養液のpHは約6.0から約9.0であり得る。
【0096】
抗菌化合物を製造する微生物を植菌した培養培地を、例えば、回転振とう培養機または撹拌型培養槽を使用して好気条件下でインキュベートしてもよい。曝気はインキュベーション中に植菌した培養培地への空気、酸素または適当なガス状混合物の注入により達成され得る。十分な量の抗菌化合物が蓄積するとすぐに、慣用かつ一般的な方法、例えば、抽出およびクロマトグラフィー法、沈降または結晶化、および/または本明細書に記載されている方法により、それらを濃縮し、単離し得る。抽出のための例として、培養物は適当な有機溶媒、例えば、n−ブタノール、酢酸エチル、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、酢酸n−ブチルまたは4−メチル−2−ペンタノンと混合して撹拌し、有機層中の抗菌化合物を溶媒減圧下の除去により回収することができる。得られた残渣は所望により、例えば、水、エタノール、メタノールまたはそれらの混合物で再構成させ、適当な有機溶媒、例えば、ヘキサン、四塩化炭素、塩化メチレン、ジクロロメタンまたはそれらの混合物で再抽出することができる。溶媒の除去後、化合物を、例えば、クロマトグラフィー法により、さらに精製し得る。クロマトグラフィーの例として、固定相、例えば、シリカゲルまたは酸化アルミニウムを、エーテル、ケトン、エステル、ハロゲン化炭化水素またはアルコールを含む有機溶出溶媒またはそれらの混合物と、または種々の官能基を有し、異なるpHでアセトニトリル、メタノールまたはテトラヒドロフランのような有機溶媒またはそれらの水性混合物で溶離する修飾されたシリカゲルの逆相クロマトグラフィーを使用できる。他の例は、例えば、固体−液体または液体−液体形式の分配クロマトグラフィーである。また、サイズ排除クロマトグラフィーは、例えば、異なる溶媒、好ましくはアルコールで溶離する、Sephadex LH−20(Sigma−Aldrich)を使用して適用し得る。
【0097】
当分野で慣用のとおり、製造ならびに回収および精製処理はバイオアッセイ、TLC、HPLCまたはそれらの組合せと、種々の検出方法、TLCに対して、一般的にUV光、ヨード蒸気またはスプレー発色剤、HPLCに対して、一般的にUV光、質量感受性または光散乱法の適用を含む種々の分析方法によりモニタリングされ得る。例えば、HPLC技術は、機能性シリカゲルを有する逆相カラムを使用して特定のpHでの極性の水混和性溶媒および水の直線勾配混合物である溶離剤、ならびに異なる波長でのUV光の検出方法および質量感受性検出器を使用することによって表される。
【0098】
微生物により生合成される抗菌化合物は所望により誘導体または構造的類似体である化合物を形成するためにランダムなおよび/または管理された化学修飾に付し得る。同様の機能活性を有するこのような誘導体または構造的類似体は本発明の範囲内である。抗菌化合物は所望により当分野で既知の方法を使用して修飾され、本明細書に記載されている。好ましい合成抗菌化合物は式XIIからXXIIからなる群から選択されるものを含み、本明細書に記載されているとおりに製造される。
【0099】
他に記載のない限り、明細書および特許請求の範囲において使用される成分の量、特性を示す全ての数、例えば、分子量、反応条件、IC50などは、全ての事例において“約”なる用語により修飾されると理解すべきである。したがって、矛盾する記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲で説明する数値パラメーターはおおよそである。最低限でも、そして均等物の原理の適用を特許請求の範囲に限定する企図はなく、それぞれの数値パラメーターは少なくとも有効桁数を考慮しておよび通常の四捨五入を適用して解釈されるべきである。本発明の広い範囲を説明する数値範囲およびパラメーターはおおよそであるが、実施例、表および図で説明する数値は可能なかぎり正確に記載されている。すべての数値は、本質的に実験、試験測定法、統計分析などの変化からのある種の誤差を含み得る。
【0100】
他に定義のない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されているものと同様または同等の方法および物質は本発明の実施又は試験で使用することができるが、適当な方法および物質は以下に記載されている。全ての刊行物、特許出願、特許および本明細書に記載されている他の参考文献はその内容を出典明示により包含させる。矛盾する場合、定義を含む本明細書で調節する。加えて、物質、方法および実施例は単に説明であり、限定することを意図しない。
【実施例】
【0101】
実施例1
化合物Iの製造
培地組成
植菌培地
【表2】

【0102】
製造培地A
【表3】

【0103】
トレース溶液
【表4】

【0104】
ノノムラエ属株Bp3714−39の凍結懸濁液(1.5mL)を500mLの植菌培地を含む2リットル、バッフルなし振とうフラスコに植菌する。フラスコを3日間30℃で回転振とう培養機で200rpmおよび50mm振幅の回転でインキュベートする。第2の植菌段階は、第1段階の植菌の40mLそれぞれを500mLの植菌培地をそれぞれ含む8個の2リットル、バッフルなしの振とうフラスコに植菌することにより展開する。フラスコを2日間30℃で振とう培養機で200rpmおよび50mm振幅の回転でインキュベートする。第3の植菌段階は、第2段階の植菌の4リットルそれぞれを100mLの植菌培地をそれぞれ含む2個の150リットル規模撹拌型培養槽に植菌することにより展開する。150リットル規模の培養槽は3日間、下記パラメーター:温度=30℃、撹拌=80rpm、気流=25slpmおよび圧力=0.5barで作動する。過剰の発泡はシリコン油性の消泡剤の調節された添加により防止する。pHを測定するが調節はしない。
【0105】
3500リットルの製造培地Aを含む5500リットル規模の撹拌型培養槽に第3の植菌段階の200リットルで植菌する。5500リットル規模の培養槽の作動パラメーターは、温度=30℃、気流=1050slpmおよび圧力=0.5barである。撹拌は60rpmに調節し、44時間後に80rpmに増強する。過剰の発泡はシリコン油性の消泡剤の調節された添加により防止する。pHを測定するが調節はしない。3500リットルの培養液を含む培養槽を5日間インキュベーション後、回収する。
【0106】
化合物Iの単離
3500の発酵培養液を回収し、3900Lの酢酸エチルの添加により撹拌タンクで一晩で抽出する。発酵培養液のpHが回収時に中和(pH7−8)であるため、抽出前にpHを調節する必要はなかった。抽出中、混合物を最大せん断力および最適混合のために、2時間、連続的Dispax(登録商標)反応器(Jahnke&Kunkel, Germany)を通す。連続的Westfalia separator SA20(Westfalia Separator AG, Oelde, Germany)で2つの相を分離後、酢酸エチル相を減圧下蒸発により30リットルの容量に濃縮する。蒸発中、沈殿が形成し、これを濾過により分離する。沈殿は乾燥重量197gを有した。
【0107】
4gの上記製造法に従う培養液の抽出から得られた沈殿を20mlのジオキサン/水 95:5に溶解し、濾過し、不溶性成分を除去する。濾液を8gのdiatome 8(Isolute(登録商標)、International Sorbent Technology Ltd., Hengoed Mid Glam, UK)の存在下で減圧下濃縮する。得られた粉末をジクロロメタン/メタノール/酢酸 90:10:0.5で処理される180gのシリカゲルを含むクロマトグラフィーカラム(0.040−0.063mm、カラムサイズ5×25cm)に付す。カラムをジクロロメタン/メタノール/酢酸 90:10:0.5の混合物で流速35mL/分で展開する。30mLの画分を回収し、これをHPLCにより分析する。化合物Iを含む貯まった画分に20mLのイソプロパノールを加え、残ったイソプロパノールから化合物が沈殿するまで減圧下濃縮する。遠心分離を介して沈殿から溶媒を分離後、残渣を減圧下乾燥させ、800mgのほぼ精製された化合物Iを得る。
【0108】
さらなる精製のため、ほぼ精製された物質を少量のジオキサン/水 95/5に溶解し、シリカゲルカラムに充填し、これを第1のクロマトグラフィー工程に記載されている同じ条件下で処理および溶離する。貯まった画分の後処理は第1のクロマトグラフィー工程の後処理と同一である。第2のクロマトグラフィーの繰り返し後、61mgの化合物Iが得られる。
【0109】
化合物Iの物理データ
IR(KBr ペレット):3380、3114、2972、2928、1664、1533、1516、1417、1312、1230、1174、1103、1063、1024、989、934、809、756、704、600cm−1
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1339.21225;計算値 C59501412+H:1339.21296;実測値 1361.19419、計算値 C59501412+Na;1361.19491
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.94 (3H, d, J = 7.3 Hz), 1.96 (2H, m), 2.55 (1H, m), 2.63 (1H, m), 2.69 (3H,s), 2.73 (1H, m), 2.76 (1H, m), 3.11 (1H, m), 3.21 (1H, m), 4.88 (1H, m), 5.19 (2H, m), 5.43 (1H, m), 5.47 (1H, m), 5.79 (1H, s), 5.82 (1H, s), 6.13 (1H, s), 6.35 (1H, broad), 6.47 (1H, s), 6.64 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.81 (1H, s), 6.95 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.04 (2H, m), 7.23 (3H, m), 7.32 (1H, s), 7.47 (1H, s), 7.72 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.10 (1H, s), 8.16 (1H, s), 8.33 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.47 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.49 (1H, s), 8.63 (1H, s), 8.68 (1H, d, J = 5.9 Hz), 8.99 (1H, d, J = 7.3 hz), 9.07 (1H, d, broad), 9.25 (1H, s, broad), 9.59 (1H, s), 10.12 (1H, s);(カルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない)。
【0110】
13C NMR (150 MHz) d6-DMSO δC: 12.03, CH3; 12.55, CH3; 37.98, CH2; 38.31, CH2; 40.16, CH; 44.48, CH2; 48.97, CH; 52.96, CH; 53.23, CH; 55.55, CH; 57.32, CH; 71.63, CH; 104.90, CH2; 108.36, CH2 (broad); 115.07, 2 x CH; 116.26, CH; 118.66, CH; 123.03, CH; 125.39, CH; 126.28, 2 x CH; 126.79, CH; 127.03, Cq; 127.31, CH; 127.63, 2 x CH; 128.42, Cq; 128.75, CH; 129.95, 2 x CH; 134.72, Cq; 135.20, Cq; 140.07, Cq; 140.17, Cq; 140.96, CH; 141.55, Cq; 147.15, Cq; 147.20, Cq; 149.50, Cq; 149.91, Cq; 150.27, Cq; 150.68, Cq; 152.99, Cq; 155.84, Cq; 158.85, Cq; 159.21, Cq; 160.00, Cq; 160.54, Cq; 161.42, Cq; 161.75, Cq; 164.25, Cq; 164.71, Cq; 166.43, Cq; 167.59, Cq; 168.23, Cq; 171.39, Cq; 171.64, Cq; 173.06, Cq.
【0111】
実施例2 化合物II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IXの製造
培地組成
植菌培地およびトレース溶液は実施例1と同じである。
製造培地B
【表5】

【0112】
ノノムラエ属株Bp3714−39の凍結懸濁液(1.5mL)を50mLの植菌培地を含む500mL、バッフルなし振とうフラスコに植菌する。フラスコを5日間28℃で回転振とう培養機で200rpmおよび50mm振幅の回転でインキュベートする。第2の植菌段階は、第1段階の植菌の5mLそれぞれを500mLの植菌培地をそれぞれ含む8個の2リットル、バッフルなしの振とうフラスコに植菌することにより展開する。フラスコを3日間28℃で回転振とう培養機で200rpmおよび50mm振幅の回転でインキュベートする。
【0113】
100リットルの製造培地Bを含む150リットル規模の撹拌型培養槽に第2の植菌段階の4リットルで植菌する。150リットル規模の培養槽の作動パラメーターは、温度=28℃、気流=50slpmおよび圧力=0.5barである。撹拌は80rpmに調節する。過剰の発泡はシリコン油性の消泡剤の調節された添加により防止する。pHを測定するが調節はしない。100リットルの培養液を含む培養槽を5日間インキュベーション後、回収する。回収前に、発酵培養液のpHを300mLの4NのHSOの添加によりpH4.5に合わせた。
【0114】
化合物II、III、IV、V、VI、VII、VIII、IXの単離
100Lの発酵培養液を200リットルの酢酸エチルの添加により撹拌タンクに回収し、抽出し、最大せん断力および最適混合のために、1時間、連続的Dispax(登録商標)反応器(Jahnke&Kunkel, Germany)を通す。その後、2つの相を分離し、抽出した代謝産物を含む有機相を乾燥するまで減圧下蒸発させ、98gの乾燥抽出物を得る。脱脂のため、抽出物を1リットルのMeOH/HO 9/1に溶解し、1リットルのシクロヘキサンで3回抽出する。脂肪化合物を含むヘキサン相は捨てるが、MeOH相は減圧下蒸発させ、1リットルの水を加える。水相を3リットルの酢酸エチルで再抽出する。分離後、有機相を乾燥するまで蒸発させ、9.3gの脱脂抽出物を得る。
【0115】
抽出物をメタノールに溶解し、メタノールを使用するSephadex LH20を含むカラムに付す。カラムをメタノールで溶離する。化合物を含む画分を、さらに、溶媒系として水およびアセトニトリルまたはメタノールの逆相クロマトグラフィーを使用して精製する。0.01%のトリフルオロ酢酸または0.1%のオルトリン酸の溶媒に加える。化合物を含む画分を同量の水で希釈し、Oasis HLB カラム(Waters Corporation, USA)で吸収し、メタノールで溶離し、乾燥蒸発させる。
【0116】
精製により12mgの化合物II、1mgの化合物III、4mgの化合物IV、2mgの化合物V、0.5mgの化合物VI、2mgの化合物VII、8mgの化合物VIIIおよび5mgの化合物IXを得た。
【0117】
化合物IIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1339.20912;計算値 C59521412−H:1339.21406.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH : 0.75 (3H, d, J=7.0 Hz), 1.09 (3H, d, J=7.0 Hz), 2.02 (1H, m, broad), 2.07 (1H, m), 2.64 (1H, m), 2.68 (3H, s), 2.76 (1H, m), 3.18 (1H, m), 3.82 (1H, m), 4.81 (1H, m), 4.5-5.0 (1H, broad), 5.21 (2H, m), 5.43 (1H, m), 5.47 (1H, m), 5.82 (1H, s), 5.86 (1H, s), 6.13 (1H, s), 6.33 (1H, broad), 6.48 (1H, s), 6.65 (2H, d, J=8.4 Hz), 6.82 (1H, s), 6.97 (2H, d, J=8.4 Hz), 7.08 (2H, m), 7.24 (3H, m), 7.33 (1H, s), 7.52 (1H, s), 7.74 (1H, broad), 8.02 (1H, s), 8.16 (1H, s), 8.34 (1H, d, J=8.1 Hz), 8.47 (1H, d, J=8.1 Hz), 8.51 (1H, s), 8.63 (1H, s), 8.66 (1H, d, J=6.6 Hz), 9.00 (2H, m), 9.25 (1H, broad), 9.59 (1H, s), 10.11 (1H, s);(カルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない).
【0118】
化合物IIIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1379.20082;計算値 C59521413+Na:1379.20550.
H NMR (600 MHz) d−DMSO δ:低量により、完全な値の割り当てはない
【0119】
化合物IVの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1337.20422;計算値 C59501412−H:1337.19841.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.97 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.95 (1H, m), 2.28 (3H, s), 2.61 (1H, m), 2.65 (3H, s), 2.67 (1H, m), 3.09 (1H, m), 3.19 (1H, m), 4.75 (1H, m),5.18 (1H, m), 5.26 (1H, m), 5.38 (1H, m), 5.43 (1H, m), 5.83 (2H, s), 6.04 (1H, s), 6.28 (1H, d, J = 3.7 Hz), 6.44 (1H, s), 6.59 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.78 (1H, s), 6.88 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.03 (2H, m), 7.19 (3H, m), 7.27 (1H, s), 7.51 (1H, s), 7.65 (1H, d, J = 9.5 Hz), 8.09 (1H, s), 8.14 (1H, s), 8.35 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.51 (2H, s+ d, J = 8.1 Hz), 8.59 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.66 (1H, s), 8.90 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.96 (1H, d, J = 5.9 Hz), 9.15 (1H, s), 9.59 (1H, s), 10.09 (1H, s), 13.33 (1H, broad).
【0120】
化合物Vの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1377.18771;計算値 C59501413+Na:1377.18983、実測値:1353.19568;計算値 C59501413−H:1353.19278.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.95 (3H, d, J = 7.0 Hz), 1.89 (1H, broad), 2.59 (1H, m), 2.66 (3H, s), 2.68 (1H, m), 3.10 (1H, m), 3.33 (1H, m), 4.33 (1H, m), 4.38 (1H, m), 4.74 (1H, m), 5.17 (1H, m), 5.27 (1H, m), 5.36 (1H, m), 5.40 (1H, m), 5.44 (1H, m), 5.83 (1H, s), 5.84 (1H, s), 6.04 (1H, s), 6.32 (1H, d, J = 3.5 Hz), 6.45 (1H, s), 6.57 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.80 (1H, s), 6.86 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.01 (2H, m), 7.20 (3H, m), 7.28 (1H, s), 7.50 (1H, s), 7.60 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.15 (1H, s), 8.16 (1H, s), 8.36 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.53 (2H, s + d , J = 8.1 Hz), 8.61 (1H, d, J = 6.0 Hz), 8.68 (1H, s), 8.91 (1H, d, J = 7.8 Hz), 8.98 (1H, d, J = 5.9 Hz), 9.16 (1H, s), 9.63 (1H, s), 10.11 (1H, s), 13.38 (1H, broad).
【0121】
化合物VIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1397.15629;計算値 C5951ClN1412+Na:1397.17159;実測値:1373.17348;計算値 C59511412−H:1373.17509.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.81 (3H, d, J = 6.6 Hz), 2.10 (1H, broad), 2.25 (1H, m), 2.66 (3H, s), 2.70 (1H, m), 2.74 (1H, m), 3.16 (1H, m),3.65 (1H, m), 3.77 (1H, m), 3.80 (1H, m),4.81 (1H, m), 5.23 (1H, m), 5.39 (1H, m), 5.41 (1H, m), 5.45 (1H, m), 5.48 (1H, broad), 5.76 (1H, s), 5.77 (1H, s), 6.04 (1H, s), 6.26 (1H, s), 6.44 (1H, s), 6.65 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.80 (1H, s), 6.98 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.10 (2H, m), 7.23 (3H, m), 7.31 (1H, s), 7.55 (1H, s), 7.79 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.00 (1H, s), 8.14 (1H, s), 8.37 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.51 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.54 (1H, s), 8.58 (1H, d, J = 6.6 Hz), 8.67 (1H, s), 8.90 (1H, broad), 9.00 (1H, d, J = 7.3 Hz), 9.2 (1H, s, broad), 9.68 (1H, s), 10.11 (1H, s); (カルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない).
【0122】
化合物VIIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1323.21872;計算値 C59521411−H:1323.21915.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.85 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.92 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.32 (1H, m), 1.63 (1H, m), 1.93 (2H, m), 2.59 (1H, m), 2.66 (3H, s), 2.70 (1H, m), 3.14 (1H, m), 4.83 (1H, m), 4.88 (1H, m), 5.16 (1H, m), 5.40 (1H, m), 5.44 (1H, m), 5.95 (1H, s), 6.31 (1H, s), 6.32 (1H, s), 6.42 (1H, s), 6.53 (1H, s), 6.60 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.81 (1H, s), 6.91 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.02 (2H, m), 7.21 (3H, m), 7.27 (1H, s), 7.49 (1H, s),7.63 (1H, d, J = 7.0 Hz), 8.09 (1H, s), 8.14 (1H, s), 8.38 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.53 (2H, s + d , J = 8.1 Hz), 8.64 (1H, d, J = 5.7 Hz), 8.68 (1H, s), 8.90 (1H, d, J = 7.6 Hz), 8.94 (1H, broad), 9.18 (1H, s), 9.97 (1H, broad), 10.14 (1H, s)、(カルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない).
【0123】
化合物VIIIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1307.21868;計算値 C59521410−H:1307.22432.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.88 (3H, d, J = 6.7 Hz), 0.93 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.32 (1H, m), 1.62 (1H, m), 1.99 (1H, m), 2.11 (1H, m), 2.64 (3H, s), 2.76 (1H, m), 2.79 (1H, m), 3.22 (2H, m), 3.38 (1H, m), 4.90 (1H, m), 4.94 (1H, m), 5.29 (1H, m), 5.54 (1H, q, J = 6.7 Hz), 5.84 (1H, s), 5.85 (1H, s), 6.04 (1H, s), 6.45 (1H, s), 6.66 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.83 (1H, s), 7.07 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.10 (2H, d, J = 7.2 Hz), 7.19 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.24 (2H, t, J = 7.0 Hz), 7.32 (1H, s), 7.54 (1H, s), 7.89 (1H, d, J = 9.6 Hz), 8.12 (1H, s), 8.21 (1H, s), 8.37 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.53 (2H, s + d , J = 8.1 Hz), 8.68 (1H, s), 8.84 (1H, d, J = 7.2 Hz), 8.86 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.93 (1H, d, J = 5.8 Hz), 9.21 (1H, m), 9.62 (1H, s), 10.11 (1H, s), 13.37 (1H, broad).
【0124】
化合物IXの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1337.19576;計算値 C59501412−H:1337.19841.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 1.12 (3H, d, J = 6.2 Hz), 1.75 (1H, m), 1.89 (1H, m), 2.12 (1H, m), 2.57 (2H, m), 2.62 (1H, m), 2.68 (3H, s), 3.29 (1H, m), 4.62 (1H, d, J = 9.5 Hz), 5.1 (1H, m), 5.18 (1H, m), 5.34 (1H, d, J = 4.8 Hz), 5.45 (1H, m), 5.79 (1H, d, J = 3.7 Hz), 5.87 (2H, s), 6.06 (1H, s), 6.36 (1H, broad), 6.44 (1H, s), 6.55 (1H, broad), 6.57 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.64 (1H, s), 6.84 (2H, d, J = 8.1 Hz), 6.95 (2H, m), 7.13 (1H, s), 7.21 (3H, m), 7.35 (1H, s), 7.45 (1H, d, J = 9.9 Hz), 8.16 (1H, s), 8.21 (1H, s),8.35 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.52 (1H, d, J = 8.5 Hz), 8.55 (1H, s), 8.62 (1H, d, J = 5.9 Hz), 8.67 (1H, s), 8.84 (1H, d, J = 7.7 Hz), 9.09 (1H, s), 9.55 (1H, s), 10.1 (1H, s), 13.16 (1H, broad)
【0125】
実施例III 化合物XおよびXIの単離
発酵および抽出条件は実施例1に記載されている条件と同一である。
化合物Xの単離のため、沈殿を60%水および40%アセトニトリルの混合物で平衡にされた逆相カラムに付す。化合物の溶離のため、40%アセトニトリル開始から60%アセトニトリルの勾配を適用する。化合物Xを含む画分を、さらに、溶離剤として0.1%ギ酸を含む水およびアセトニトリル、両方を使用する逆相カラムで精製する。化合物Xを含む画分を減圧下濃縮する。
【0126】
化合物XIの単離のため、沈殿をジクロロメタン/メタノール/ギ酸 95:5:0.1で製造された通常相カラムに付す。化合物を同じ溶媒系を使用して溶離する。XIを含む画分を、さらに、溶媒として0.1%ギ酸を含む水およびアセトニトリル、両方を使用する逆相カラムを使用して精製する。クロマトグラフィーにおいて、30%アセトニトリル開始から60%アセトニトリルの勾配を適用する。化合物XIを含む画分を減圧下濃縮する。
【0127】
化合物Xの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1363.20993;計算値 C59521412+Na:1363.21060.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.91 (3H, d, J = 6.5 Hz), 1.46 (1H, m), 1.79 (1H, m), 1.92 (1H, m), 2.19 (1H, m), 2.60 (1H, m), 2.69 (3H, s), 2.74 (1H, m), 3.17 (1H, m), 3.50 (1H, m), 3.57 (1H, m), 4.90 (1H, m), 4.96 (1H, m), 5.18 (1H, m), 5.42 (1H, m), 5.47 (1H, m), 5.79 (1H, s), 5.82 (1H, s), 6.12 (1H, s), 6.35 (1H, broad), 6.47 (1H, s), 6.63 (2H, d, J = 8.2 Hz), 6.79 (1H, s), 6.94 (2H, d, J = 8.2 Hz), 7.03 (2H, m), 7.23 (3H, m), 7.30 (1H, s), 7.46 (1H, s), 7.66 (1H, d, J = 8.8 Hz), 8.11 (1H, s), 8.16 (1H, s), 8.35 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.48 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.50 (1H, s), 8.64 (1H, s), 8.68 (1H, d, J = 5.2 Hz), 8.95 (1H, d, J = 6.6 Hz), 9.00 (1H, d, J = 5.9 Hz), 9.11 (1H, broad), 9.61 (1H, s), 10.12 (1H, s); (ヒドロキシル基の1個およびカルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない).
【0128】
化合物XIの物理データ
FT−MS(9.4 T APEX−III):実測値:1379.19875;計算値 C59521413+Na:1379.20547;実測値:1355.21523;計算値 C59521413−H:1355.20898.
1H NMR (600 MHz) d6-DMSO δH: 0.67 (3H, s, broad), 2.29 (1H, m), 2.58 (3H, s), 2.78 (1H, m), 2.84 (1H, m), 2.98 (1H, m), 3.08 (1H, m), 3.38 (1H, m, broad), 3.52 (1H, m, broad), 4.30 (1H, broad), 4.74 (1H, m), 4.90 (1H, broad), 4.99 (1H, m), 5.27 (1H, m), 5.32 (1H, m), 5.48 (1H, m), 5.74 (1H, s), 5.76 (1H, s), 6.00 (1H, s), 6.16 (1H, s), 6.43 (1H, s), 6.64 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.87 (1H, s), 7.03 (2H, d, J = 8.4 Hz), 7.19 (1H, m), 7.25 (4H, m), 7.40 (1H, s), 7.60 (1H, broad), 8.11 (2H, s + s, broad), 8.36 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.43 (1H, d, J = 7.3 Hz), 8.50 (1H, d, J = 8.1 Hz), 8.51 (1H, m, broad), 8.52 (1H, s), 8.66 (1H, s), 8.89 (1H, d, J = 8.0 Hz), 9.20 (1H, s), 9.69 (1H, s), 10.08 (1H, s)、(NH2基の1個およびカルボン酸の酸性プロトンのシグナルは見えない).
【0129】
実施例IV XXIIを介する化合物XIの製造
【化15】

ピリジンN−オキシド(XXIIを介して式XII)は遊離塩基(例えば、I)を酸化剤で処理することにより反応A(上記)を介して製造され得る。該酸化方法は当業者により一般的に認識されている。ピリジンN−オキシドは単離、精製、さらに化学合成のための有用な中間体であり得る。
【0130】
実施例V 生物学的活性
CSLI標準MIC(最小阻害濃度)試験を細菌、エンテロコッカス・フィカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)および黄色ブドウ球菌に対して使用して、化合物I−XIは0.0010μg/mLから64μg/mLの範囲の最小阻害濃度を示す。
【0131】
全ての特許、特許出願および本明細書に記載されている参考文献はその内容を出典明示により本明細書に包含させる。本発明は好ましい態様に関連して特に示されており、記載されているが、特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書形態および詳細の種々の変化が創造され得ることが当業者により理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I−XI
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

からなる群から選択される化合物およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
式XII−XXII
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

からなる群から選択される化合物およびそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
少なくとも1種の炭素原子源および少なくとも1種の窒素原子源を含む適当な培地中でのノノムラエ(Nonomuraea)属Bp3714−39、その変異型(variant)または突然変異型(mutant)の株の培養を含む化合物I−XIの製造方法。
【請求項4】
該培養を好気条件下で実施する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該炭素または窒素源が表1から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
該培養を18℃から40℃の温度で実施する、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
該培養を28℃から32℃の温度で実施する、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
該培養をpH6から9で実施する、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
細菌感染の処置方法であって、治療有効量の式I−XXIIからなる群から選択される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項10】
EF−Tu関連状態の処置方法であって、治療有効量の式I−XXIIからなる群から選択される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を、それを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項11】
対象の細菌感染の処置、阻害または改善方法であって、治療有効量の式I−XXIIからなる群から選択される化合物を該対象に投与することを含む方法。
【請求項12】
該化合物が細菌のライフサイクルに作用する細菌の標的を阻害する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
細菌の標的がEF−Tuである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
化合物が細菌のタンパク質合成を阻害する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
細菌感染の処置方法であって、治療有効量の式I−XXIIからなる群から選択される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩を、治療有効量の少なくとも1種以上の治療剤またはそれらの薬学的に許容される塩と共にそれを必要とする対象に投与することを含む方法。
【請求項16】
処置を必要とする対象のアクネの処置方法であって、薬学的に許容される量の式I−XXIIの化合物を対象に投与することを含む方法。
【請求項17】
処置を必要とする対象の細菌性心内膜炎または細菌性敗血症の処置方法であって、薬学的に許容される量の式I−XXIIの化合物を該対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
単離された微生物、ノノムラエ属Bp3714−39、株または抗生物質を製造するそれらの突然変異型。
【請求項19】
株ノノムラエ属Bp3714−39の培養液からの化合物Iの抽出および単離方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−513512(P2010−513512A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−542894(P2009−542894)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2007/025955
【国際公開番号】WO2008/082562
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】