アミロイド結合剤
アミロイドの検出およびアミロイドに関係する疾患(アルツハイマー病および他の関係するアミロイドベースの神経変性疾患を包含する)の処置のための化合物および方法が提供される。本発明によれば、例えば、アミロイドペプチドを検出する方法であって、本発明の化合物をアミロイドペプチドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成するステップと、該検出可能なアミロイド複合体を検出するステップとを含む方法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、2009年12月10日に出願された米国出願第61/285,470号(代理人書類番号021935−003900US)に対する優先権を主張する。米国出願第61/285,470号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の下で行われる発明に対する権利についての記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)により与えられた助成金番号1E21RR025358の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルツハイマー病(AD)は、認知機能の進行性の喪失を特徴とし、最も一般的且つ致死性の神経変性障害である。遺伝学的且つ臨床的な証拠から、脳におけるアミロイド沈着物の蓄積が該疾患の病理において重要な役割を果たすとの仮説が支持される。この事象は周囲組織における生物学的機能の混乱を伴い、それが神経細胞死につながり、ひいては該疾患の過程の一因となる。該沈着物は、主に、アミロイド(Aβ)ペプチド、典型的には、自己凝集して原線維のβ−プリーツシートモチーフとなるアミノ酸39〜43個の配列から構成される。凝集したAβペプチドの正確な三次元構造は公知ではないが、凝集の特性を裏付けるモデル構造が提示されている。このモデル構造により、該疾患の時間的経過および展開の評価に役立つことができるだけでなく治療的処置のタイムリーなモニターも可能にすると考えられる、アミロイド沈着物のin vivo画像化の機会が創出される。
【0004】
歴史的には、コンゴーレッド(CR)およびチオフラビンT(ThT)がアミロイドプラークの可視化の出発点であり、死後の組織学的分析において今でも一般的に用いられる。しかし、電荷を有することから、これらの化合物はin vivoでの適用には不適当であると思われる。この問題に対処するため、いくつかの研究所が、血液脳関門の通過を容易にする、非荷電性、親油性(logP=0.1〜3.5)且つ低分子量の化学構造(分子量は650未満)を有する化合物を開発した。放射性核種でこれらの化合物をさらに機能化することにより、当技術分野で公知のとおりの陽電子放出断層撮影法(PET)および単一光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)での画像化のための、プラークおよび関係する構造を標的とする新世代のin vivo用診断試薬がもたらされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした進歩にも関わらず、物理的、化学的および生物学的な特徴が改善された新しいアミロイド標的化分子の設計および開発に対する喫緊の必要性が存在する。本明細書では、当技術分野におけるさまざまな必要性に対処する方法および化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な概要
本明細書では、とりわけ、アミロイドの検出およびアミロイドに関係する疾患(アルツハイマー病および他の関係するアミロイドベースの神経変性疾患を包含する)の処置のための化合物および方法が提供される。
【0007】
第1の態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイド(例えば、アミロイドペプチド凝集体)と結合する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、式(I)の構造を有する:
【0008】
【化1】
。
【0009】
式Iにおいて、「EDG」は、電子供与基である。用語「πCE」は、パイ共役エレメントである。「WSG」は、水溶性基である。
【0010】
別の態様では、医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、本明細書中に記載する化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0011】
別の態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドを検出する方法が提供される。この方法は、本明細書中に記載するとおりの化合物をアミロイドペプチドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成することと、該検出可能なアミロイド複合体を検出することとを含む。
【0012】
別の態様では、被験体における、アミロイド(例えば、アミロイド沈着物)の蓄積を特徴とする疾患を処置する方法が提供される。この方法は、処置を必要とする被験体に、有効量の本明細書中に記載するとおりの化合物または医薬組成物を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1A〜Dは、PBS水溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での化合物8dおよび11の蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。図1A:化合物8dの蛍光励起スペクトル。図1B:化合物8dの発光スペクトル。図1C:化合物11の蛍光励起スペクトル。図1D:化合物11の発光スペクトル。
【図2】図2は、化合物8dおよび11の、予め凝集させたAβペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を示すグラフである。凡例:化合物8d(菱形)、化合物11(四角)。
【図3】図3は、化合物8d(図3上)および化合物11(図3下)での、IgG−Aβ原線維相互作用の阻害を示すグラフである。
【図4】図4は、本明細書中に記載するとおりの、凝集したAβ(1−42)原線維での、化合物8a、8b、8c、14および19の蛍光励起スペクトル(左のパネル)および発光スペクトル(右のパネル)を示すグラフである。
【図5】図5は、本明細書中に記載するとおりの、単量体のAβモノマーがある場合およびない場合の化合物8a、8b、8c、8d、11、14および19の蛍光発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、本明細書中に記載するとおりの化合物8a、8b、8c、14および19の、最大蛍光と濃度との二重逆数プロットを示すグラフである。凡例:化合物8a(菱形)、化合物8b(四角)、化合物8c(三角)、化合物14(×印)、化合物19(星印)。
【図7A】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7B】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7C】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7D】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図8】図8は、本明細書中に記載するとおりの細胞毒性試験の結果を示すグラフである。凡例:細胞毒性アッセイで用いた化合物の各濃度について、細胞生存率(%)を以下の順に(左から右へ)ヒストグラムとしてプロットしてある:それぞれ、化合物8a、8b、8c、8d、11および14。
【図9A】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9B】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9C】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9D】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9E】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9F】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図10A】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10B】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10C】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10D】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10E】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10F】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図11】図11A〜Fは、本明細書中に記載するとおりの、A)化合物27、B)化合物28、C)化合物29、D)化合物30、E)化合物31、またはF)化合物33で染色したプラークの画像を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
I.定義
本明細書中で使用する略語は、化学および生物学の分野内でのその従来の意味を有する。本明細書中に記載する化学構造および式は、化学分野において公知の化学原子価の標準的なルールに従って作成される。
【0015】
置換基が、左から右へ書かれるその従来の化学式により特定される場合、この基は、この構造を右から左へ書いた結果得られるであろう化学的に同一の置換分(substituent)を同じく包含し、例えば、−CH2O−は−OCH2−と同じことである。
【0016】
用語「電子供与基(EDG)」は、近くの化学部分に作用する静電力を、当該化学部分に負電荷を供与することにより変化させる、化学部分を指す。いくつかの実施形態では、電子供与基は、本明細書中に開示する化合物のπ共役エレメントに負電荷を供与する。
【0017】
用語「π共役エレメント」、「πCE」または「パイ共役エレメント」は、交互の単結合と多重結合(例えば、二重結合)とを有するπ共役系を形成することにより該系中の原子のp軌道における電子が非局在化される、二価の化学部分を指す。いくつかの実施形態では、π共役されたエレメントにおける単結合および多重結合は、平面配向または実質的に平面配向の状態であってもよい。
【0018】
用語「水溶性基」は、自身が結び付いている化合物の水溶性を増加させる化学部分を指す。水溶性の増加は、結び付いている水溶性基を有する場合および有さない場合の化合物の分配定数を決定することによるなど、当技術分野における既存の手法を用いて測定できる。いくつかの実施形態では、分配定数は、化合物を、水および疎水性溶媒(オクタノールなど)と混合することにより測定できる。疎水性が高い化合物ほど、その分配定数は高い。親水性が高い化合物ほど、その分配定数は低い。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する水溶性基は、その分配係数を減少させることにより、前駆体分子の水溶性を高めることができる。いくつかの実施形態では、水溶性基は、前駆体分子の分配定数(該水溶性基が結び付く前の分配定数の方が高い)を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する水溶性基は、前駆体分子の分配定数を1倍、2倍、3倍、4倍またはそれを超えて減少させることができる。
【0019】
用語「アミロイド」は、本明細書中では、当技術分野におけるその慣例的な意味に従って使用する。アミロイドは、複数の会合したアミロイドペプチド(アミロイドペプチドの凝集体など)を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、アミロイドは、1つまたは複数のアミロイドペプチドと凝集しているアミロイドペプチドを包含する。いくつかの実施形態では、アミロイドは、「アミロイドプラーク」、「アミロイド沈着物」、「アミロイド凝集体」または「アミロイドペプチドの凝集体」を包含する。本明細書中に記載する化合物は、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドと会合(例えば、結合)できる。一定の実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、疎水性相互作用によりアミロイドと会合できる。
【0020】
用語「アルキル」は、独自にまたは別の置換分の一部として、特に明記しない限り、直鎖(すなわち分枝していない)または分枝鎖、またはそれらの組合せを意味し、完全飽和型でも、一価不飽和型または多価不飽和型であってもよく、指定された炭素原子数(すなわち、C1〜C10は、1から10個の炭素を意味する)を有する二価基および多価基を包含できる。飽和炭化水素基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、(シクロヘキシル)メチルなどの基、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの同族体および異性体。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに、より高級な同族体および異性体。アルコキシは、酸素リンカー(−O−)を介して分子の残部と結び付いているアルキルである。
【0021】
用語「アルキレン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、−CH2CH2CH2CH2−により例示される(但し、限定されない)ように、アルキルから誘導される二価基を意味し、「ヘテロアルキレン」として以下に記載する基をさらに包含する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有するであろうが、10個以下の炭素原子を有する当該基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、8個以下の炭素原子を一般に有する比較的短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
【0022】
用語「ヘテロアルキル」は、独自にまたは別の用語との組合せで、特に明記しない限り、少なくとも1個の炭素原子と、O、N、P、SiおよびSから成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とから成る、安定な直鎖もしくは分枝鎖もしくは環状の炭化水素基またはその組合せを意味する。窒素原子およびイオウ原子は、場合により酸化していてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化していてもよい。ヘテロ原子(複数可)O、N、PおよびSおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位に、または、アルキル基が分子の残部と結び付いている位置に配置されていてもよい。例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、O−CH3、−O−CH−2−CH3および−CN。最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい(例えば、−CH2−NH−OCH3など)。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−により例示される(但し、限定されない)ように、ヘテロアルキルから誘導される二価基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖の末端(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)のいずれかまたは両方を占めることもある。またさらに、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の式が書かれている方向が連結基の配向の意味を有することはない。例えば、式−C(O)2R’−は、−C(O)2R’−および−R’C(O)2−を両方とも表す。前述のように、ヘテロアルキル基は、本明細書中で使用する場合、ヘテロ原子(−C(O)R’、−C(O)NR’、−NR’R’’、−OR’、−SR’および/または−SO2R’など)を通じて分子の残部と結び付いている当該基を包含する。「ヘテロアルキル」と述べ、次いで特定のヘテロアルキル基(−NR’R’’など)を列挙した場合、ヘテロアルキルと−NR’R’’という用語とは、重複しているのでも相互に排他的でもないことは理解されよう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確性を付与するために列挙するものである。したがって、用語「ヘテロアルキル」は、本明細書においては、特定のヘテロアルキル基(−NR’R’’など)を排除すると解釈されるべきではない。
【0023】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、独自にまたは他の用語との組合せで、特に明記しない限り、それぞれ、環状型の「アルキル」および「ヘテロアルキル」を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部と結び付いている位置を占めることがある。シクロアルキルの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなど。ヘテロシクロアルキルの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなど。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換分の一部として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから誘導された二価基を意味する。
【0024】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを包含することを意図したものである。例えば、用語「ハロ(C1〜C4)アルキル」は、以下を包含する(但し、これらに限定されない)ことを意図したものである:フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなど。
【0025】
用語「アシル」は、−C(O)R(式中、Rは、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである)を意味する。
【0026】
用語「アリール」は、特に明記しない限り、多価不飽和型の芳香族の炭化水素置換分を意味し、縮合し合っている(すなわち、縮合環アリール)または共有結合性に連結している単環または複数環(好ましくは1から3環)であってもよい。縮合環アリールは、融合し合っている複数環を指し、縮合環のうち少なくとも1つはアリール環である。用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指す。窒素原子およびイオウ原子は場合により酸化されており、窒素原子(複数可)は場合により四級化されている。したがって、用語「ヘテロアリール」は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環のうち少なくとも1つが芳香族複素環である、融合し合っている複数環)を包含する。5,6−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が5員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。同様に、6,6−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。さらに、6,5−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が5員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通じて分子の残部と結び付くことができる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては以下が挙げられる:フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリルおよび6−キノリル。前記のアリール環系およびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換分は、以下に記載の許容される置換分の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換分の一部として、それぞれ、アリールおよびヘテロアリールから誘導される二価基を意味する。
【0027】
簡潔にするために、用語「アリール」は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ(arylthioxy)、アリールアルキル)と組み合わせて使用した場合は、先に定義したとおりのアリール環およびヘテロアリール環を両方とも包含する。したがって、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)と結び付いている当該基を包含することを意図したものであり、この場合のアルキル基としては、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)により置き換わっているアルキル基が挙げられる。
【0028】
用語「オキソ」は、本明細書中で使用する場合、炭素原子と二重結合している酸素を意味する。
【0029】
用語「アルキルスルホニル」は、本明細書中で使用する場合、式−S(O2)−R’(式中、R’は、先に定義したとおりのアルキル基である)を有する部分を意味する。R’は、特定の数の炭素を有してもよい(例えば「C1〜C4アルキルスルホニル」)。
【0030】
前述の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)はそれぞれ、表示された基の、置換されている形態および置換されていない形態を両方とも包含することを意図したものである。各種の基についての好ましい置換分を以下に示す。
【0031】
アルキル基およびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルと多くの場合呼ばれる当該基を包含する)についての置換分は、以下から選択されるさまざまな基のうち1つまたは複数であってもよいが、これらに限定されない:ゼロから(2m’+1)(式中、m’は当該基における炭素原子の合計数である)の範囲の数の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CNおよび−NO2。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ、好ましくは独立に以下を指す:水素、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換されているアリール)、置換されているもしくは置換されていないアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基。本明細書中に開示する化合物が2つ以上のR基を含んでいるとき、例えば、それぞれのR基は、これらの基のうち2つ以上が存在するときのR’、R’’、R’’’およびR’’’’の各基と同様に独立に選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子と結び付いているとき、R’およびR’’は、窒素原子と合わさって4員、5員、6員または7員の環を形成できる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含する(但し、これらに限定されない)ことを意図したものである。置換分についての前述の考察から、当業者には、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、−CF3および−CH2CF3)およびアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3など)など水素基以外の基と結合している炭素原子を含んでいる基を包含することを意図したものであることは理解されよう。
【0032】
アルキル基について記載した置換分と同様、アリール基およびヘテロアリール基のための置換分は、さまざまであり、例えば以下から選択され:ゼロから芳香環系上の、空いている価電子の合計数の範囲の数の、ハロゲン、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CNおよび−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1〜C4)アルコキシおよびフルオロ(C1〜C4)アルキル;ここで、R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、好ましくは以下から独立に選択される:水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリールおよび置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール。本明細書中に開示する化合物が2つ以上のR基を含んでいるとき、例えば、それぞれのR基は、これらの基のうち2つ以上が存在するときのR’、R’’、R’’’およびR’’’’の各基と同様に独立に選択される。
【0033】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−T−C(O)−(CRR’)q−U−(式中、TおよびUは独立に、−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、qは、0から3の整数である)の環を形成してもよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−A−(CH2)r−B−(式中、AおよびBは独立に、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR’−または単結合であり、rは、1から4の整数である)の置換分で置き換えられていてもよい。そのようにして形成された新しい環の単結合のうち1つは、場合により、二重結合で置き換えられていてもよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−(CRR’)s−X’−(C’’R’’’)d−(式中、sおよびdは独立に、0から3の整数であり、X’は、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−または−S(O)2NR’−である)の置換分で置き換えられていてもよい。置換分R、R’、R’’およびR’’’は、好ましくは以下から独立に選択される:水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、および置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール。
【0034】
本明細書中で使用する場合、用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、リン(P)およびケイ素(Si)を包含することを意図したものである。
【0035】
「置換基」は、本明細書中で使用する場合、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
(B)以下から選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール:
(i)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
(ii)以下から選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール:
(a)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、および
(b)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールおよび置換されていないヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール。
【0036】
「サイズの限定された置換分」または「サイズの限定された置換基」は、本明細書中で使用する場合、「置換基」について前述した全ての置換分から選択される基を意味し、このとき、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキルである。
【0037】
「低級置換分」または「低級置換基」は、本明細書中で使用する場合、「置換基」について前述した全ての置換分から選択される基を意味し、ここで、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C7シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキルである。
【0038】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書中に記載する化合物上で見出される特定の置換分に応じて、比較的無毒の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を包含することを意図している。本明細書中に開示する化合物が、比較的酸性の官能基を含有するとき、当該化合物の中性型を十分な量の所望の塩基と、希釈せずまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、以下が挙げられる:ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩またはマグネシウム塩または類似の塩。本明細書中に開示する化合物が、比較的塩基性の官能基を含有するとき、当該化合物の中性型を十分な量の所望の酸と、希釈せずまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素酸、リン酸、リン酸一水素酸、リン酸二水素酸、硫酸、硫酸一水素酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸など)から誘導されるもの、ならびに、比較的無毒の有機酸(酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸など)から誘導される塩。さらに、アルギン酸塩(arginate)などのアミノ酸の塩、および、グルクロン酸またはガラクツノル酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、66巻、1〜19頁を参照のこと)。本明細書中に開示するある特定の化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに転換させることが可能な塩基性および酸性の官能基を両方とも含有する。
【0039】
したがって、本明細書中に開示する化合物は、薬学的に許容される酸などとの塩として存在してもよい。そのような塩の例としては、以下が挙げられる:塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩またはそれらの混合物(ラセミ混合物を包含する))、コハク酸塩、安息香酸塩、およびアミノ酸(グルタミン酸など)との塩。これらの塩は、当業者に公知の方法により調製してもよい。
【0040】
本化合物の中性型は、好ましくは、その塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来の方式で単離することにより再生される。本化合物の親形態は、一定の物性(極性溶媒への溶解性など)において、多様な塩形態とは異なる。
【0041】
塩形態に加え、本明細書中に開示する化合物は、プロドラッグ形態であってもよい。本明細書中に記載する化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を起こして本明細書中に開示する化合物をもたらす化合物である。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境における化学的または生化学的な方法により、本明細書中に開示する化合物に変換できる。例えば、プロドラッグは、経皮パッチ剤のリザーバー中に適当な酵素または化学試薬と共に配置されると、本明細書中に開示する化合物にゆっくり転換することができる。
【0042】
本明細書中に開示する一定の化合物は、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態(水和形態を包含する)で存在できる。一般には、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本明細書中に開示する範囲内に包含される。本明細書中に開示する一定の化合物は、複数の結晶性または非晶質の形態で存在してもよい。一般には、全ての物理的形態は、本明細書中に開示する、企図される使用について等価である。
【0043】
本明細書中に開示する一定の化合物は、不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有する。すなわち、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体および個々の異性体。本明細書中に開示する化合物には、不安定すぎて合成および/または単離できないことが当技術分野で公知であるものは含まれない。
【0044】
本明細書中に開示する化合物は、当該化合物を構成する原子の1つまたは複数で、非天然の割合の、原子の同位元素を含有することもできる。例えば、本化合物は、放射性同位元素(例えば、三重水素(3H)、ヨウ素125(125I)または炭素14(14C)など)で放射性標識されていてもよい。本明細書中に開示する化合物の全ての同位体のバリエーションは、放射性であるか否かによらず、本開示の範囲内に包含される。
【0045】
本明細書中で提供される化合物の置換分が「Rで置換されている」(例えば、R1で置換されている)場合、該置換分は、適切なものとして名前を挙げたR基(例えばR1)の1つまたは複数で置換されていることを意図している。いくつかの実施形態では、該置換分は、名前を挙げたR基のうち1つのみで置換されている。
【0046】
用語「処置すること」または「処置」は、傷害、病態または状態の処置または回復の成功の任意の兆候を指し、そのような兆候としては、以下などの任意の客観的または主観的なパラメーターが挙げられる:緩和;寛解;症状の減少、または、該傷害、病態または状態を患者にとってより耐えられるようにすること;変性または衰弱の速度の遅延化;変性の最終点の消耗度を低くすること;患者の物理的または精神的な満足を高めること。症状の治療または回復は、理学的な検査、神経精神医学的な検査、および/または精神医学的な評価の結果を含め客観的または主観的なパラメーターに基づくものであってもよい。例えば、本明細書中で提示する一定の方法は、その成長を阻害しおよび/または癌の寛解をもたらす形で癌の発生率を減少させることにより、癌を首尾よく処置する。
【0047】
「有効量」は、該疾患の1つもしくは複数の症状の治療、予防もしくは低下に寄与するだけ十分な、または、本化合物がない場合に比べアミロイドの効果を阻害するだけ十分な、本明細書中に記載する化合物の量である。疾患処置に関して言う場合、「有効量」は「治療有効量」と呼ぶこともできる。1つもしくは複数の症状の「低下」(および、この語句と文法的に等価なもの)は、1つもしくは複数の症状の重症性または頻度を減少させること、または1つもしくは複数の症状の消失を意味する。薬物の「予防有効量」は、被験体に投与された際に、意図された予防効果、例えば、疾患を予防するまたは疾患の発症(もしくは再発)を遅らせる効果、または疾患もしくはその症状の発症(もしくは再発)の可能性を低下させる効果を有すると思われる薬物の量である。完全な予防効果は、1回用量の投与により必ずしも生じず、一連の用量の投与後にのみ生じることがある。したがって、予防有効量は、1回または複数回の投与で投与してもよい。「活性減少量」は、本明細書中で使用する場合、その拮抗剤がない場合に比べ、酵素の活性を減少させるのに必要な拮抗剤の量を指す。「機能妨害量」は、本明細書中で使用する場合、その拮抗剤がない場合に比べ、破骨細胞または白血球の機能を妨害するのに必要な拮抗剤の量を指す。
【0048】
II.アミロイド結合化合物
一態様では、1つもしくは複数のアミロイドおよび/または1つもしくは複数のアミロイドペプチドと会合する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、本化合物は、式(I)の構造を有する:
【0049】
【化2】
。
【0050】
式Iにおいて、「EDG」は、電子供与体基である。「πCE」は、π共役エレメントである。「WSG」は、水溶性基である。
【0051】
いくつかの実施形態では、EDGは、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、置換されているアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、置換されているヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、R1で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないアリール、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、R1で置換されているアルキル、R1で置換されているシクロアルキル、R1で置換されているヘテロアルキル、R1で置換されているヘテロシクロアルキル、R1で置換されているアリール、R1で置換されているヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。
【0052】
いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−CN、−OR9、−CONR10R11、−NR10R11、−SR9、−SOR9、−SO2R9、−COR9、−COOR9、−NR10COR9、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−CN、−OR9、−CONR10R11、−NR10R11、−SR9、−SOR9、−SO2R9、−COR9、−COOR9、−NR10COR9、R12aで置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールと結び付いているとき、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R1は、−OR9または−NR10R11である。いくつかの実施形態では、R1は−NR10R11である。
【0053】
一定の実施形態では、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、R9、R10およびR11は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R9、R10およびR11は、独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R10とR11とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。一定の実施形態では、R10とR11とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0055】
R12およびR12aは独立に、ハロゲン、−CN、−SR13、−SOR13、−SO2R13、−OR13、−NR14R15、−COR15、−COOR15、CONR14R15、−NR14COR15、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12およびR12aは、独立に、ハロゲン、−CN、−SR13、−SOR13、−SO2R13、−OR13、−NR14R15、−COR15、−COOR15、CONR14R15、−NR14COR15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12は、−OR13、−NR14R15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。
【0056】
R13、R14およびR15は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は、独立に、水素、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は独立に、水素、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0057】
R16は、ハロゲン、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−COH、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。
【0058】
いくつかの実施形態では、R12は、−OR13または−NR14R15である。いくつかの実施形態では、R12aは、−OR13または−NR14R15である。いくつかの実施形態では、R12aがR1置換分の一部を形成する場合(例えば、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールである場合)、R12aは、ヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R12aがR1置換分の一部を形成する場合(例えば、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールである場合)、R12aは、−OR13または−NR14R15である。
【0059】
いくつかの実施形態では、R4およびR5は独立に、水素、またはR12で置換されているもしくは置換されていないアルキルである。いくつかの実施形態では、R4およびR5は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルを形成する。R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、R12で置換されているもしくは置換されていないピペリジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないモルホリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないテトラヒドロフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないテトラヒドロチエニル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないピペラジニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R12は、R16で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。R16は、置換されていないC4〜C8ヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールは、R12で置換されているもしくは置換されていないプリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリジニル(例えば、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル)、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないインダゾリル(例えば、1H−インダゾリル)、またはR12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリミジニル(例えば、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル)であってもよい。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないインドリル、R12で置換されているもしくは置換されていないピラゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないインダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないチアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾチアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンズイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないイソオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンズイソオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないトリアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾトリアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないキノリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイソキノリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないキナゾリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリジニルN−オキシド、R12で置換されているもしくは置換されていないフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないチオフェニル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾチオフェニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾピリダジニル(例えば、イミダゾ[1,2b]ピリダジニル)を形成する。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていない6,5縮合環ヘテロアリール、R12で置換されているもしくは置換されていない5,6縮合環ヘテロアリール、R12で置換されているもしくは置換されていない5,5縮合環ヘテロアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていない6,6縮合環ヘテロアリールを形成する。他の実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、少なくとも2個(例えば、2から4個)の環窒素を有する、R12で置換されているもしくは置換されていない5または6員のヘテロアリールを形成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−または−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有する。L1、L2、L3およびL4は独立に、結合、または、以下の式を有する連結基である:
【0062】
【化3】
。前記の式において、記号xは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から3の整数である。いくつかの実施形態では、xは、整数1である。R17aおよびR17bは独立に、水素、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17aおよびR17bは独立に、水素、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。
【0063】
A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。記号qおよびrは独立に、0または1である。
【0064】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−を有する。一定の実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1およびA2は、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。一定の実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1およびA2は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、L1、L2およびL3は結合であり、A1およびA2は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qは1であり、rは0である。
【0065】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有する。いくつかの実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2およびL4は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1、A2およびA3は、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2およびL4は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1、A2およびA3は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、置換されているもしくは置換されていないフェニレン、または置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。
【0066】
一定の実施形態では、本明細書中に開示する化合物は、アミロイドと結合すると蛍光の増加を呈することができる。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、アミロイドと結合するとき、平面配向または実質的に平面配向の状態である。いくつかの実施形態では、EDGから供与される負電荷は、本明細書中の化合物の蛍光特性を高め、アミロイド(例えばアミロイドプラーク)の検出を改善することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、連結基(L1、L2、L3およびL4)は、以下の式を有する:
【0068】
【化4】
。記号xは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から5、1から3、2または1の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から3の整数である。いくつかの実施形態では、xは、整数1である。いくつかの実施形態では、L1、L2、L3およびL4は独立に、結合である。
【0069】
いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。一定の実施形態では、qおよびrは独立に、0または1である。いくつかの実施形態では、qは1であり、rは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないフェニレン、または置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないフェニレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。
【0070】
いくつかの実施形態では、R17は独立に、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は独立に、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は、−OR18、−NR19R20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は、R21で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。
【0071】
R18、R19およびR20は独立に、ハロゲン、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。R18、R19およびR20は独立に、ハロゲン、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、ハロゲン、−CN、−OR22、−CONR23R24、−NR23R24、−SR22、−SOR22、−SO2R22、−COR22、−COOR22、−NR23COR24、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、ハロゲン、−CN、−OR22、−CONR23R24、−NR23R24、−SR22、−SOR22、−SO2R22、−COR22、−COOR22、−NR23COR24、R21aで置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R21aは、ハロゲン、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−COH、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである。R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0072】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、置換されているアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、または置換されているヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、R25で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないアリール、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、R25で置換されているアルキル、R25で置換されているヘテロアルキル、R25で置換されているシクロアルキル、R25で置換されているヘテロシクロアルキル、R25で置換されているアリール、R25で置換されているヘテロアリールである。
【0073】
R25は、ハロゲン、−CN、−OR26、−CONR27R28、−NR27R28、−SR26、−SOR26、−SO2R26、−COR26、−COOR26、−NR27COR28、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R25は、ハロゲン、−CN、−OR26、−CONR27R28、−NR27R28、−SR26、−SOR26、−SO2R26、−COR26、−COOR26、−NR27COR28、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R26、R27およびR28は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R26、R27およびR28は独立に、水素、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R27とR28とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。一定の実施形態では、R27とR28とは、場合により一緒になって、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0074】
R29は、ハロゲン、−CN、−OR30、−CONR31R32、−NR31R32、−SR30、−SOR30、−SO2R30、−COR30、−COOR30、−NR31COR32、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R29は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0075】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、分子の水溶性を増加させる部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、水溶性基は、ヘテロ原子(例えば、酸素)を含有する部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、酸素または窒素であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、以下の式を有するエチレングリコール部分である:
【0077】
【化5】
。いくつかの実施形態では、yは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、yは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0078】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、R29で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R29は−OHである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、−(CH2)b−(CH2OH)−CH2OHであってもよく、bは、0から20、または0〜10の整数である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0080】
【化6】
。式IIaにおいて、qおよびrは独立に、0または1であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、A1、A2、R4、R5およびR29は、先に定義したとおりである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0082】
【化7】
。式IIbにおいて、qおよびrは独立に、0または1であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、L4、A1、A2、A3、R4、R5およびR29は、先に定義したとおりである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0084】
【化8】
。式IIIaにおいて、mは、0から4の整数であり、zは、0から4の整数であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。
【0085】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0086】
【化9】
。式IIIbにおいて、mは、0から6の整数であり、zは、0から6の整数であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、zは0である。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、zは1である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0088】
【化10】
。式IVaにおいて、yは、1から10の整数であり、zは、0から4の整数である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0090】
【化11】
。式IVbにおいて、yは、1から10の整数であり、zは、0から6の整数である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、zは0である。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、zは1である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0092】
【化12】
。式IVcにおいて、mは、0から4の整数であり、xは、1から10の整数であり、yは、1から10の整数であり、zは、0から4の整数である。いくつかの実施形態では、xは1であり、mおよびzは0である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物において前述したそれぞれの置換されている基は、少なくとも1つの置換基で置換されている。より具体的には、いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物において前述した、それぞれの、置換されているアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、置換されているヘテロアリール、置換されているアルキレン、置換されているヘテロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンは、少なくとも1つの置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基のうち少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つのサイズの限定された置換基で置換されている。あるいは、これらの基のうち少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換されている。
【0094】
本明細書中で提供される式の化合物の他の実施形態では、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキレンである。
【0095】
あるいは、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C7シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C6シクロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキレンである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物は、以下の表1に記載の化合物のうち1つまたは複数である:
【0097】
【表1−1】
【0098】
【表1−2】
【0099】
III.医薬組成物
別の態様では、本明細書中に開示する医薬組成物(すなわち、製剤)は、本明細書中に記載する化合物を、薬学的に許容される賦形剤(例えば、担体)と組み合わせて含むことができる。本医薬組成物は、本明細書中に開示する阻害剤の光学異性体、ジアステレオマーまたは薬学的に許容される塩を包む。例えば、いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、本明細書中に開示する化合物、および、薬学的に許容される塩としてのクエン酸塩を含む。本医薬組成物中に含まれる本化合物は、前述のように担体部分と共有結合により結び付いていてもよい。あるいは、本医薬組成物中に含まれる本化合物は、担体部分と共有結合性に連結していない。
【0100】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書中で使用する場合、医薬用賦形剤、例えば、経腸または非経口による施用に適した、活性剤と有害に反応しない薬学的、生理学的に許容される有機または無機の担体物質を指す。適当な薬学的に許容される担体としては、以下が挙げられる:水、塩溶液(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチンおよび炭水化物(乳糖、アミロースまたはデンプンなど)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)およびポリビニルピロリジン。そのような調製物は、滅菌し、必要に応じ、本明細書中に開示する化合物と有害に反応しない補助剤(滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤および/または芳香物質など)と混合することができる。
【0101】
本明細書中に開示する化合物は、被験体に、単独で投与でき、または、併用投与できる。併用投与は、本化合物を、個々にまたは組み合わせて(2つ以上の化合物)、同時または逐次的に投与することを包含することを意図したものである。調製物は、所望の際には、他の活性物質と組み合わせる(例えば、代謝分解を抑えるために)こともできる。
【0102】
A.製剤
本化合物は、多種多様な経口用、非経口用および局所用の剤形で調製および投与できる。したがって、本明細書中に開示する化合物は、注射により(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内または腹腔内に)投与できる。また、本明細書中に記載する化合物は、吸入により、例えば鼻腔内に投与できる。加えて、本明細書中に開示する化合物は、経皮投与できる。多数の投与経路(例えば、筋肉内、経口、経皮)を用いて、本明細書中に開示する化合物を投与することができることも想定される。したがって、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤と、1つまたは複数の本明細書中に開示する化合物とを含むことができる。
【0103】
本明細書中に開示する化合物から医薬組成物を調製するには、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれであってもよい。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェー剤、坐剤および分散性の顆粒剤が挙げられる。固体担体は、賦形剤、香味剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用し得る1つまたは複数の物質であってもよい。
【0104】
散剤においては、担体は、微粒子状の活性成分との混合物中の微粒子状の固体である。錠剤においては、活性成分を、必要な結合特性を有する担体と適当な割合で混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。
【0105】
散剤および錠剤は、好ましくは、5%から70%の活性化合物を含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。用語「調製」は、活性化合物を、担体としての封入材料と共に製剤化して、他の担体の有無によらず、中で活性成分が担体に取り巻かれることにより担体が活性成分と会合しているカプセルを提供することを含むことを意図している。同様に、カシェー剤およびロゼンジ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェー剤およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用できる。
【0106】
坐剤を調製するには、低融点ワックス(脂肪酸グリセリドの混合物など)またはココアバターをまず融解させ、撹拌などにより、活性成分をその中に均一に分散させる。次に、この溶融した均一な混合物を、手頃なサイズの型に注ぎ、冷却させ、それにより固める。
【0107】
液体形態の調製物としては、溶液剤、懸濁剤および乳剤、例えば、水溶液剤または水/プロピレングリコール溶液剤が挙げられる。非経口の注射剤用には、液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液剤の形態で製剤化できる。
【0108】
非経口的な用途が必要または所望の際は、本明細書中に開示する化合物にとってとりわけ適当な混合物は、注射用の滅菌済の溶液剤、好ましくは油性または水性の溶液剤、ならびに、懸濁剤、乳剤または埋込剤(坐剤を包含する)である。とりわけ、非経口投与用の担体としては、以下が挙げられる:デキストロース水溶液、生理食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロックポリマーなど。アンプルは、便利な単位剤形である。本明細書中に開示する化合物を、リポソーム中に組み込むか、または、経皮用のポンプまたはパッチ剤を介して投与することもできる。本発明における使用に適した医薬混合物としては、例えば、Pharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co.、Easton、PA)およびWO96/05309に記載されているものが挙げられ、これらの両文献の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
経口使用に適した水溶液剤は、活性成分を水に溶解し、所望により、適当な着色料、香味料、安定化剤および増粘剤を加えることにより調製できる。経口使用に適した水性懸濁剤は、微粒子状の活性成分を、粘性の材料(天然または合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)および他の周知の懸濁化剤と共に水に分散させることにより作製できる。
【0110】
さらに、使用の直前に経口投与用の液体形態の調製物に転換させるように意図されている固体形態の調製物も包含される。そのような液体形態としては、溶液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加え、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0111】
本医薬調製物は、好ましくは単位剤形である。そのような形態においては、該調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量にさらに分けられる。この単位剤形は、パッケージ化された調製物であってもよく、このパッケージは、不連続量の調製物(バイアルまたはアンプル中の小分けされた錠剤、カプセル剤および散剤など)を含有する。また、この単位剤形は、それ自体がカプセル剤、錠剤、カシェー剤もしくはロゼンジ剤であってもよく、または、適切な数のこれらの任意のものがパッケージ化形態になったものであってもよい。
【0112】
単位用量の調製物中の活性成分の量は、活性成分の特定の用途および効力により、変化させてもよく、または、0.1mgから10000mg、より典型的には1.0mgから1000mg、最も典型的には10mgから500mgに調節してもよい。本組成物は、必要に応じ、他の適合性の治療剤を含有することもできる。
【0113】
化合物によっては、水への溶解性が限られている場合があることから、本組成物中で界面活性剤または他の適切な共溶媒が必要となる場合がある。そのような共溶媒としては、以下が挙げられる:Polysorbate20、60および80;Pluronic F−68、F−84およびP−103;シクロデキストリン;ならびにポリオキシル35ヒマシ油。そのような共溶媒は、典型的には、約0.01重量%から約2重量%の間のレベルで用いられる。
【0114】
製剤の分配におけるばらつきを減少させ、製剤の懸濁液または乳濁液の構成成分の物理的な分離を減少させ、および/または、他の形で製剤を改善するために、単純な水溶液の粘性を超える粘性が望ましい場合がある。そのような粘性増加剤としては、例えば、以下が挙げられる:ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに前記のものの組合せ。そのような薬剤は、典型的には、約0.01重量%から約2質量%の間のレベルで用いられる。
【0115】
本明細書中に開示する組成物は、加えて、持続放出および/または快適性をもたらす構成成分を含んでもよい。そのような構成成分としては、高分子量の、陰イオン性の粘液模倣性ポリマー、ゲル化用の多糖、および微粒子状の薬物担体基材が挙げられる。これらの構成成分は、米国特許第4,911,920号、同第5,403,841号、同第5,212,162号および同第4,861,760号において、より詳細に考察されている。これらの特許の全体の内容は、目的の如何によらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0116】
B.有効な投与量
本明細書中で提供される医薬組成物は、活性成分が治療有効量で、すなわち、その意図される目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を包含する。特定の施用に有効な実際の量は、とりわけ、治療対象となる状態によって決まるであろう。例えば、癌を処置する方法において投与される際、当該組成物は、所望の結果(例えば、被験体における癌細胞の数を減少させること)を達成するのに有効な活性成分量を含有するであろう。
【0117】
投与される化合物の投与量および頻度(単回投与または複数回投与)は、以下を包含するさまざまな因子に応じて変化させることができる:投与経路;被投与者のサイズ、年齢、性別、健康状態、体重、体格指数および食餌;治療対象となる疾患の性質およびその症状の程度;他の疾患または他の健康に関係する問題の存在;併用される処置の種類;ならびに、任意の疾患または処置レジメンに由来する合併症。他の治療レジメンまたは薬剤は、本明細書中に開示する方法および化合物と併せて使用できる。
【0118】
本明細書中に記載する任意の化合物については、治療有効量は、当技術分野で公知のように、最初に細胞培養アッセイから決定できる。
【0119】
ヒトにおける使用のための治療有効量は、動物モデルから決定してもよい。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることが見出されている濃度を達成するように製剤化できる。
【0120】
投与量は、患者の必要量および用いられている化合物に応じて変化させてもよい。患者に投与される用量は、時間の経過に伴い患者において有益な治療応答をもたらすだけ十分なものであるべきである。用量のサイズは、有害な副作用がある場合には、その存在、性質および程度によっても決定されよう。一般に、処置は、化合物の最適用量を下回る、比較的少ない投与量で開始される。その後、状況下での最適効果に達するまで、投与量を少しずつ増加させる。一実施形態では、投与量範囲は、0.001%w/vから10%w/vである。別の実施形態では、投与量範囲は、0.1%w/vから5%w/vである。
【0121】
投与の量および間隔は、投与される化合物のレベルが、治療対象となる特定の臨床適応症に有効なものとなるように、個々に調節できる。これにより、個体の疾患状態の重症性に見合う治療レジメンが得られよう。
【0122】
本明細書中で提供される教示を利用して、実質的な毒性を生じさせることはないが特定の患者が示す臨床症状を処置するのに十分に有効である、有効な予防的または治療的な処置レジメンを計画できる。この計画には、化合物の効力、相対的バイオアベイラビリティー、患者の体重、有害な副作用の存在および重症性、好ましい投与様式、ならびに、選択される薬剤の毒性プロファイルなどの因子を考慮することにより、活性化合物を慎重に選ぶことが含まれるべきである。
【0123】
C.毒性
特定の化合物についての毒性と治療効果との間の比が、その治療指数であり、LD50(集団の50%において死をもたらす化合物の量)とED50(集団の50%において有効な化合物の量)との間の比として表現することができる。高い治療指標を呈する化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび/または動物試験から得られる治療指数データは、ヒトにおいて使用するための範囲の投与量の製剤化に使用できる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、ED50を含み毒性がほとんどまたは全くない血漿濃度範囲内にある。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路により、この範囲内で変化させてもよい。例えば、Finglら、記載先:THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS、第1章、1頁、1975年を参照のこと。実際の製剤、投与経路および投与量は、患者の条件、および、化合物が使用される具体的な方法を勘案して、個々の医師が選ぶことができる。
【0124】
IV.使用方法
一態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドを検出する方法が提供される。検出方法は、分光学的な方法(すなわち、紫外可視法、蛍光法など)、放射線撮影法、および、当技術分野で公知の他の検出方法を用いることができる。一実施形態では、この方法は、本明細書中に記載するとおりの化合物をアミロイドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成し、本明細書中に記載されており当技術分野で公知のように、該検出可能なアミロイド複合体を検出することを包む。「アミロイド複合体」を、本明細書中では、本明細書中に記載する化合物と少なくとも1つのアミロイドペプチド(例えば、アミロイドペプチドの凝集体)との複合体と呼ぶ。本明細書中に記載する化合物は、非共有結合性の相互作用(例えば、疎水性相互作用または水素結合)などのさまざまな相互作用により、アミロイドとの複合体を形成できる。
【0125】
本明細書中に記載するアミロイドは、少なくとも1つのアミロイドペプチド分子で構成されていてもよい。アミロイドペプチドを、本明細書中では、他のペプチドまたはタンパク質と会合してアミロイドの一部を形成できるまたはアミロイドを形成する能力のあるペプチドまたはタンパク質と呼ぶ。本明細書中に記載するアミロイドは、アミロイドを形成することが公知である任意のアミロイドペプチドまたはアミロイドタンパク質で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アミロイドは、複数のアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドペプチド分子を包含する。いくつかの実施形態では、アミロイドは、1つまたは複数のアミロイドペプチド分子と凝集しているアミロイドペプチド分子を包含する。
【0126】
いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドは、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼを包含できる。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドは、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼの一部またはそれらの機能的な断片を包含できる。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドは、溶液中で溶媒和させて、本明細書中に記載する化合物のうち1つまたは複数と結合させることができる。いくつかの実施形態では、アミロイドは、本明細書中に記載する化合物の結合を可能にできるβシートの形で配列されたアミロイドペプチドを包含する。一定の実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、疎水性相互作用によりアミロイドと結合および相互作用すると、蛍光の増加(自由溶液と比較して)を呈する。
【0127】
別の態様では、本明細書中で提供される方法は、本発明の化合物をアッセイして、該化合物のアミロイドおよび/またはアミロイドペプチドとの結合を検出する方法を包含する。当技術分野で公知の手法および本明細書中で提供される手引きを用いて、候補化合物を、アミロイドと結合する能力について容易にアッセイできる。例えば、本明細書中で提供される式の構造またはその実施形態を有するアミロイド結合剤は、in vitroアッセイを用いてアッセイしてもよい。いくつかの実施形態では、in vitroアッセイは、アミロイドと結合しているときと、これに対し自由溶液中でアミロイドと結合していないときとの本発明の化合物の蛍光を測定することを含むことができる。一般に、蛍光の増加は、アミロイドと結合していることを示唆している。本発明の化合物の結合定数も、当技術分野で公知の手法を用いて決定できる。例えば、競合結合試験を用いて、本明細書中に記載する化合物の有効性を、例えばIgG−Aβペプチド相互作用の阻害について定量できる。細胞アッセイは、本明細書中で提供される式の構造またはその実施形態を有するアミロイド結合剤候補の結合特性を調べるために使用することもできる。細胞アッセイには、植物細胞および動物細胞(哺乳動物細胞など)を含め任意の適切な供給源由来の細胞が含まれる。細胞アッセイは、ヒト細胞において行うこともできる。適切なアッセイ方法の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0128】
in vitroおよび/または細胞中でアミロイドを結合する能力のある化合物が旦同定されたら、それらの化合物を、動物モデル(例えば、動物個体、動物器官または動物組織)においてアミロイドを選択的に結合する(例えば、アミロイドプラーク中で)能力についてさらにテストしてもよい。したがって、本明細書中に記載する化合物は、細胞モデルまたは動物モデルにおいて、特定のアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドに関係する表現型における検出可能な変化を生じさせる能力についてさらにテストしてもよい。細胞培養に加え、動物モデルは、本明細書中に記載する化合物を、例えば、動物モデルにおけるアミロイドに関連する疾患を処置する能力についてテストするために使用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、動物組織におけるアミロイドを画像化するために使用できる。いくつかの実施形態では、動物組織はヒト組織である。
【0129】
さらなる一態様では、当該処置を必要とする被験体におけるアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドに関連する疾患を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、該疾患は、被験体におけるアミロイド(例えば、アミロイドプラーク)の蓄積を特徴とするものであってもよい。この方法は、有効量(例えば、治療有効量)の、本明細書中で提供される式の構造(または前述のとおりのその一実施形態)を有する化合物を被験体に投与することを含むことができる。
【0130】
用語「被験体」は、本明細書中で使用する場合、医薬組成物または製剤が投与される哺乳動物を指す。例示的な被験体としては、以下が挙げられる:ヒト、ならびに飼育動物および実験動物(ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスおよび水生の哺乳動物など)。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトである。
【0131】
いくつかの実施形態では、疾患は、以下を包含できる:アルツハイマー病、ウシ海綿状脳症(BSE)、パーキンソン病、ハンチントン病、ダウン症候群、レビー小体型認知症または筋萎縮性側索硬化症(ALS)。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドはAβペプチドであり、疾患はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する処置の方法としては、アルツハイマー病を処置する方法が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する処置の方法としては、パーキンソン病を処置する方法が挙げられる。
【0132】
各特許、公開された特許出願、および本明細書中で引用する参考文献は、目的の如何によらず、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0133】
V.実施例
(実施例1)
本明細書および実施例1a〜1mに記載の化合物の調製のための一般的な手順。20mlのTHF中のアルデヒド(5.0mmol)と2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノアセテート(5.5mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、0.50mmolのピペリジンを加え、この混合物を50℃で加熱した。反応は、TLCによりモニターし、21時間以内に完了した。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10〜30%酢酸エチル、ヘキサン中)により精製した。
【0134】
全般的な注釈:全ての試薬は、最高の商業的品質のものを入手し(Aldrich、Acros)、特に言及する場合を除き、さらに精製せずに使用した。空気および水分に敏感な液体および溶液は、注射器またはステンレス鋼カニューレを介して移した。有機溶液を回転蒸発により、45℃未満、およそ20mmHgで濃縮した。全ての非水反応は、無水条件下で実施した。収率は、特に明記しない限り、クロマトグラフィーおよび分光法(1H NMR、13C NMR)を用いることによる均一な材料について言う。反応は、0.25mmのE.Merckのシリカゲルプレート(60F−254)上で実施する薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターし、紫外線下で可視化し、および/または、リンモリブデン酸(PMA)またはp−アニスアルデヒドの10%エタノール溶液に浸漬して熱を加えることにより、生じさせた。フラッシュクロマトグラフィーにはE.Merckシリカゲル(60、粒子サイズ0.040〜0.063mm)を使用した。分取用薄層クロマトグラフィーによる分離を、0.25mmまたは0.50mmのE.Merckのシリカゲルプレート(60F−254)上で実施した。NMRスペクトルは、Varian Mercury300または400MHzの装置で記録し、残留している非重水素化溶媒を内部基準として用いて較正した。多重度を説明するために、以下の略語を使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=幅広い。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、電子スプレーイオン化(ESI)または電子衝突(EI)条件下にてVG7070HS質量分析計で記録した。蛍光分光法データは、25℃にてMD−5020 Photon Technology International Spectrophotometerで記録した。
【0135】
本明細書中に記載する化合物の合成に重要なのは、1当量の適切なアルデヒド(例えば6)を、1.1当量の適切なマロン酸誘導体(例えば7)とクネーフェナーゲル縮合させることであった。スキーム1を参照のこと。この反応は、ピペリジン(10%)により触媒させ、還流THF中で21時間以内に完了させた。X. H. Chen、Z. J. Zhao、Y. Liu、P. Lu、Y. G. Wang、Chemistry Letters、2008年、37巻、570〜571頁;M. A. Haidekker、T. P.Brady、D. Lichlyter、E. A. Theodorakis、Journal of theAmerican Chemical Society、2006年、128巻、398〜399頁を参照のこと。シリカゲル上での標準的なクロマトグラフィーによる精製の後、所望の生成物8が優れた収率で単離された(表2)。スキーム1のための試薬および条件:(a)1.0当量の6、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間。
【0136】
【化13】
【0137】
【表2】
【0138】
ナフタレンベースの化合物11を、市販のメトキシナフトアルデヒド9を8当量のリチオ化したピペリジンで処理し、その結果得られるアルデヒド10をシアノエステル7とクネーフェナーゲル縮合させることにより合成した(スキーム2、総収率29%)。H. M. Guo、F. Tanaka、J. Org. Chem.、2009年、74巻、2417〜2424頁を参照のこと。スキーム2の試薬および条件:(a)8.0当量の、ベンゼン中のピペリジン/HMPA:1/1、0℃、8.0当量のnBuLi、0℃、15分、次いで1.0当量の9、25℃、12時間、35%、(b)1.0当量の10、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、82%。いくつかの実施形態では、R4、R5およびR16は、前述のR4、R5およびR16と一致することがある。
【0139】
【化14】
【0140】
化合物14は、アルデヒド6aをα−シアノエステル12と縮合させ、次いで、アセトニド単位の、酸を触媒とした脱保護を行うことにより、調製した(スキーム3、総収率68%)。M. A. Haidekker、T. P. Brady、S. H. Chalian、W. Akers、D.Lichlyter、E. A. Theodorakis、Bioorg. Chem.、2004年、32巻、274〜289頁を参照のこと。スキーム3の試薬および条件:(a)1.0当量の6a、1.1当量の12、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、91%、(b)1.5mmolの13、0.10gのDOWEX−H+、1:1のTHF/MeOH、25℃、20時間、75%。
【0141】
【化15】
【0142】
スチルベンベースの化合物19を、以下を含む4つのステップで合成した:(a)臭化ベンジル15からホスホネート16への変換、(b)16をアルデヒド6aとホーナー−エモンズオレフィン化させて17を形成する、(c)臭化物17をリチオ化させてからホルミル化させて、アルデヒド18を生成させる、(d)その結果得られるアルデヒド18をシアノエステル7とクネーフェナーゲル縮合させる(スキーム4、総収率42%)。H. Meier、E. Karpuk、H. C. Holst、Eur. J. Org. Chem.、2006年、2609〜2617頁;L. Viau、O. Maury、H. LeBozec、Tetrahedron Lett.、2004年、45巻、125〜128頁を参照のこと。スキーム4の試薬および条件:(a)1.0当量の15、15当量の亜リン酸トリエチル、90℃、19時間、98%、(b)1.0当量の16、1.0当量のNaOMe、1.0当量の6a、過剰なDMF、25℃、24時間、74%、(c)1.0当量の17、1.0当量のn−BuLi、1.33当量のDMF、THF、−78℃、60%、(d)1.0当量の18、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、97%。スキーム4におけるR1およびR2は、スキーム4独自のものであり、前述のR1およびR2と一致することを意図したものではない。
【0143】
【化16】
【0144】
(実施例1a)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(8a)。98%;黄色の固体;
【0145】
【化17】
【0146】
(実施例1b)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)−2−メトキシフェニル)アクリレート(8b)。収率98%;黄色の固体;
【0147】
【化18】
【0148】
(実施例1c)
(Z)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジエチルアミノ)フェニル)アクリレート(8c)。収率90%;橙色の液体;
【0149】
【化19】
【0150】
(実施例1d)
(Z)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノ−3−(4−(ジブチルアミノ)フェニル)アクリレート(8d)。収率78%;黄色の液体;
【0151】
【化20】
【0152】
(実施例1e)
6−(ピペリジン−1−イル)−2−ナフトアルデヒド(10)。ベンゼン(3mL)、HMPA(3mL)およびピペリジン(1.65ml、16.7mmol)の入った50ml丸底フラスコに、n−BuLi(1.6M、ヘキサン中、10.4mL、16.7mmol)を、注射器を介して0℃で加えた。15分間撹拌後、反応混合物を、1:1のベンゼン:HMPA(2ml)中の6−メトキシ−2−ナフトアルデヒド(390mg、2.09mmol)の溶液で処理した。反応混合物を室温に温め、12時間撹拌したままにしてから、低温の5%NaCl水溶液(30ml)中に注いだ。この混合物をジエチルエーテルで抽出し(3×20mL)、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc、ヘキサン中)により精製すると、化合物9が得られた。9:収率35%、黄色の固体;
【0153】
【化21】
【0154】
(実施例1f)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノ−3−(6−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−2−イル)アクリレート(11)。収率82%;赤色の液体;
【0155】
【化22】
【0156】
(実施例1g)
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノアセテート(12)。2−シアノ酢酸(1.02g、12mmol)の溶液に、5mlのDCM中のアセタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノール(1.32g、10mmol)およびDMAP(61mg、0.50mmol)を0℃で滴加した。最後に、EDC1.86g(12mmol)を加え、反応混合物を0℃で6時間撹拌した。反応物を15mLのDCMで希釈し、形成されたDCUを濾過により除去した。濾液を無水のMgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc、10:1)により精製すると、化合物12が得られた。12:収率71%、無色の液体;
【0157】
【化23】
【0158】
(実施例1h)
(E)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(13)。20mlのTHF中のアルデヒド6a(0.75g、5.0mmol)と化合物12(1.2g、5.5mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、0.50mmolのピペリジンを加え、この混合物を50℃で加熱した。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10〜30%酢酸エチル、ヘキサン中)により精製すると、化合物13が得られた。13:収率91%;黄色の固体;
【0159】
【化24】
【0160】
(実施例1i)
(E)−2,3−ジヒドロキシプロピル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(14)。化合物13(0.5g、1.5mmol)をTHF/MeOH(1:1)の混合物に溶解し、DOWEX−H+樹脂(0.10g)を加え、この不均一な混合物を20時間撹拌した。DOWEX−H+樹脂を濾過により除去し、トリエチルアミン(50mg、0.5mmol)を加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(100%エーテル)により精製すると、化合物14が得られた。14:収率75%;明るい黄色の固体;
【0161】
【化25】
【0162】
(実施例1j)
ジエチル4−ブロモベンジルホスホネート(16)。1−ブロモ−4−(ブロモメチル)ベンゼン(5.0g、20mmol)および亜リン酸トリエチル(51mL、300mmol)を丸底フラスコ中で混合し、90℃で19時間還流させた。過剰な亜リン酸トリエチルを減圧下で除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1のヘキサン/EtOAc)により精製すると、化合物16が得られた。16:収率98%;無色の液体;
【0163】
【化26】
【0164】
(実施例1k)
(E)−4−(4−ブロモスチリル)−N,N−ジメチルアニリン(17)。DMF(無水)(10.5mL)をナトリウムメトキシド(176mg、3.26mmol)に加えると、色がピンク色に変化した。前記の溶液に、DMF(6.5ml)中のジエチル4−ブロモベンジルホスホネート(1.0g、3.26mmol)を2分かけて、次いで4(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(486mg、3.26mmol)を滴加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。脱イオン水(17mL)を加えた。生成物を、真空濾過により濾過して取り出し、DCM/ヘキサンで再結晶化させると、化合物17が得られた。17:収率74%;淡褐色の固体;
【0165】
【化27】
【0166】
(実施例1l)
4−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ベンズアルデヒド(18)。丸底フラスコに化合物17(300mg、1mmol)、次いでTHF(5mL)を移した。この不均一な溶液を−78℃で冷却し、n−BuLi(1.6M、ヘキサン中、1mmol)を5分かけて、次いでDMF(1.5mL)を、滴加した。反応混合物を、−78℃で3時間撹拌してから水(1mL)によりクエンチし、この混合物をエーテルで抽出した(2×25mL)。有機抽出物を合わせたものをブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、化合物18が得られた。18:収率60%;黄色の粉末;
【0167】
【化28】
【0168】
(実施例1m)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチルシアノ−3−(4−(4(ジメチルアミノ)スチリル)フェニル)アクリレート(19)。収率97%;赤色の固体;
【0169】
【化29】
【0170】
(実施例2)
化合物27〜33の化合物合成。本明細書中に記載する化合物の分析の結果を、以下の実施例2a〜2oに示す。
【0171】
全般的な注釈。全ての試薬は、最高の商業的品質のものを購入し、特に言及する場合を除き、さらに精製せずに使用した。空気および水分に敏感な液体および溶液は、注射器またはステンレス鋼カニューレを介して移した。有機溶液を回転蒸発により、45℃未満、およそ20mmHgで濃縮した。全ての非水反応は、無水条件下で実施した。収率は、特に明記しない限り、クロマトグラフィーおよび分光法(1H NMR、13C NMR)を用いることによる均一な材料について言う。反応を、0.25mmのDynamic Adsorbents,Inc.のシリカゲルプレート(60F−254)上で実施する薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターし、紫外線下で可視化し、および/または、リンモリブデン酸(PMA)の10%エタノール溶液に浸漬して熱を加えることにより、生じさせた。フラッシュクロマトグラフィーには、Dynamic Adsorbents,Inc.のシリカゲル(60、粒子サイズ0.040〜0.063mm)を使用した。NMRスペクトルは、Varian Mercury400、300および/またはUnity 500MHzの装置で記録し、残留している非重水素化溶媒を内部基準として用いて較正した。多重度を説明するために、以下の略語を使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=幅広い。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、電子スプレーイオン化(ESI)または電子衝突(EI)条件下にてVG7070HS質量分析計で記録した。
【0172】
本明細書中に記載する化合物(化合物27〜33を含む)の合成のための一般的な戦略をスキーム5に示す。市販のメチル6−ブロモナフタレン−2−カルボキシレート(20)を、以下の2つのステップで、対応するナフトアルデヒド21に変換させた:a)DIBALHを使用することによりエステルを第一級アルコールに還元させる、b)PCCで処理した後、このアルコールをアルデヒドに酸化させる。Granzhan, A.、Teulade-Fichou, M.-P.、Tetrahedron、2009年、65巻、(7号)、1349〜1360頁。臭化物を適切なアミンに転換させるには、収率を高め、より大きなスケールでこの方法を適用するために新規の化学を使用することが必要であった。ブッフバルト−ハートウィッグの条件を用いて、パラジウムの存在下で臭化物21を処理した結果、ほとんどの場合、アルデヒド22〜25が優れた収率で得られた。Guram, A. S.、Rennels, R. A.、Buchwald, S. L.、Angew.Chem. Int.、英語版、1995年、34巻、(12号)、1348〜1350頁;Wolfe, J. P.、Buchwald, S. L.、J. Org. Chem.、2000年、65巻、(4号)、1144〜1157頁;Hartwig, J. F.、Accounts Chem. Res.、2008年、41巻、(11号)、1534〜1544頁。アルデヒド22〜25と適切なシアノエステル26とのクネーフェナーゲル縮合により、最終的なプローブ27〜32の合成に至った。Sutharsan, J.、Lichlyter, D.、Wright, N. E.、Dakanali,M.、Haidekker, M. A.、Theodorakis, E. A.、Tetrahedron、2010年、66巻、(14号)、2582〜2588頁。酸性の樹脂を用いることによりプローブ32においてアセタールを脱保護すると、最終的な色素33が得られた。表3は、最終生成物のR、Xの組合せおよび縮合収率をまとめたものである。
【0173】
【化30】
【0174】
【表3】
(実施例2a)
6−ブロモ−2−ナフトアルデヒド(21)。DIBAL−H(1.0M、ヘプタン中、34mL、34mmol)の溶液に、アルゴン下で0℃にて、無水のTHF中の20(3.0グラム、11mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌させたままにした。完了したら、MeOH、次いで酒石酸ナトリウムカリウムの飽和溶液および酢酸エチルを加えた。2つの相を分離した後、有機相を塩化アンモニウムの飽和溶液およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、6−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)ナフタレンが得られた。
【0175】
【化31】
【0176】
無水のCH2Cl2(60mL)中のクロロクロム酸ピリジニウム(2.4グラム、11mmol)の懸濁液に、無水のCH2Cl2中の前記アルコールの溶液を加え、反応物を還流下で5時間加熱した。完了したら、この反応物を室温に冷却し、ジエチルエーテル中に注いだ。次に、この溶液を、シリカのパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮すると、21が得られた(2.4グラム、95%)。20:白色の固体;
【0177】
【化32】
【0178】
6−アミノ置換されているナフトアルデヒド(化合物22〜25)の合成のための一般的な手順。乾燥した脱気トルエン(0.8mL)中で、Pd(OAc)2(0.022mmol)およびP(tBu)3(0.078mmol)を加えた。20分間撹拌後、8(0.207mmol)、適切なアミン(0.249mmol)およびCs2CO3(0.280mmol)を加え、この反応物を3日間還流下で撹拌させたままにした。3日後、反応物を室温で冷却し、CH2Cl2で希釈し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、0〜10%)により精製した。
【0179】
(実施例2b)
6−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−2−カルバルデヒド(22)。収率70%;黄色の固体;
【0180】
【化33】
【0181】
(実施例2c)
6−モルホリノナフタレン−2−カルバルデヒド(23)。収率79%;黄色の固体;
【0182】
【化34】
【0183】
(実施例2d)
6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ナフタレン−2−カルバルデヒド(24)。収率77%;黄色の固体;
【0184】
【化35】
【0185】
(実施例2e)
6−(2−モルホリノエチルアミノ)ナフタレン−2−カルバルデヒド(25)。収率33%;黄色の固体;
【0186】
【化36】
【0187】
2−シアノアセテート(26)の合成のための一般的な手順。2−シアノ酢酸(2.72mmol)の溶液に、CH2Cl2(2.5mL)中の適切なアルコール(2.27mmol)およびDMAP(0.013mmol)を0℃で滴加した。最後に、DCC(2.72mmol)を加え、反応混合物を0℃で6時間撹拌した。この反応物をCH2Cl2で希釈し、形成されたDCUを濾過により除去した。濾液をMgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、2−シアノアセテート7が得られた。
【0188】
(実施例2f)
2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノアセテート(26a)。収率86%;無色の液体;
【0189】
【化37】
【0190】
(実施例2g)
2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノアセテート(26b)。収率68%;無色の液体;
【0191】
【化38】
【0192】
(実施例2h)
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノアセテート(26c)。収率71%;無色の液体;
【0193】
【化39】
【0194】
蛍光プローブ27〜33の合成のための一般的な手順。THF(0.8mL)中のアルデヒド(0.21mmol)と適切な2−シアノアセテート(0.23mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、ピペリジン(0.02mmol)を加え、この混合物を50℃で撹拌させたままにした。反応は、TLCによりモニターし、21時間以内に完了させた。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜30%EtOAc、ヘキサン中)により精製した。
【0195】
(実施例2i)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(27)。収率90%;赤色の液体;
【0196】
【化40】
【0197】
(実施例2j)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(28)。収率85%;赤色の液体;
【0198】
【化41】
【0199】
(実施例2k)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−モルホリノナフタレン−6−イル)アクリレート(29)。収率83%;赤色の液体;
【0200】
【化42】
【0201】
(実施例2l)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル3−(2−(2−モルホリノエチルアミノ)ナフタレン−6−イル)−2−シアノ−アクリレート(30)。収率87%;赤色の液体;
【0202】
【化43】
【0203】
(実施例2lm)
(E)−2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(31)。収率89%;赤色の液体;
【0204】
【化44】
【0205】
(実施例2n)
(E)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル−2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(32)。収率83%;赤色の液体;
【0206】
【化45】
【0207】
(実施例2o)
(E)−2,3−ジヒドロキシプロピル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(33)。化合物31(50ミリグラム、0.12mmol)を、THF/MeOH(1:1)の混合物に溶解し、DOWEX−H+樹脂(15ミリグラム)を加え、この不均一な混合物を20時間撹拌した。樹脂を濾過により除去し、トリエチルアミンを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、化合物32が得られた。32:38ミリグラム、収率84%;赤色の液体;
【0208】
【化46】
【0209】
(実施例3)
検出および結合試験。
【0210】
化合物8a〜8d、11、14および18についての試験。いずれの化合物が、凝集したAβと会合できるかを決定するための最初の試験は、Aβ凝集体と混合する前および後のその蛍光スペクトルを比較することである。E. E. Nesterov、J. Skoch、B. T. Hyman、W. E.Klunk、B. J. Bacskai、T. M. Swager、Angew. Chem.、国際版、2005年、44巻、5452〜5456頁;Z. P. Zhuang、M. P. Kung、H. F. Kung、J. Med.Chem.、2006年、49巻、2841〜2844頁;Q. A. Li、J. S. Lee、C. Ha、C. B. Park、G. Yang、W. B. Gan、Y. T. Chang、Angew. Chem.、国際版、2004年、43巻、6331〜6335頁;H. F. Kung、C. W.Lee、Z. P. Zhuang、M. P. Kung、C. Hou、K.Plossl、J. Am. Chem. Soc.、2001年、123巻、12740〜12741頁を参照のこと。典型的には、蛍光性のアミロイド結合剤は、Aβ凝集体と結合した後では、溶液中でのその天然の蛍光と比較して、蛍光強度の有意な増加を呈する。H. LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと。この線に沿って、予め凝集させたAβ(1−42)ペプチド(5μM、PBS緩衝液中で3日間25℃にて凝集させた)と混合する前および後で、4μM濃度での各化合物の蛍光特性を測定した。
【0211】
全ての場合において、凝集したAβの存在下で1.3〜9.4倍の蛍光強度の増加が観察されたが、このことから、これらの化合物がペプチドと結合することが示唆される(表2)。ほとんどの場合、結合すると中程度の青方遷移(6〜20nm)が観察された。ナフタレンベースの化合物11の場合においてのみ、予め凝集させたAβと結合すると、76nmの著しい赤方遷移が観察された(図1c、1d)。興味深いことに、この結合は、9.3倍の強度増加を伴った。同様の強度増加がFDDNPで観察されており、この強度増加は、自身の標的と結合するとエキシマーを作り出すナフタレンモチーフの能力により説明できる。E. D. Agdeppa、V. Kepe、J. Liu、S.Flores-Torres、N. Satyamurthy、A. Petric、G. M. Cole、G. W.Small、S. C. Huang、J. R. Barrio、J. Neurosci.、2001年、21巻、1〜5頁;S.Abad、I. Vaya、M. C. Jimenez、U. Pischel、M. A. Miranda、ChemPhysChem、2006年、7巻、2175〜2183頁;C. Spies、R. Gehrke、J. Phys. Chem. A、2002年、106巻、5348〜5352頁を参照のこと。
【0212】
化合物8aおよび8bは、同様の蛍光特徴を呈したが、これにより、フェニル基上でメトキシ基を付加してもプローブとしての本化合物の結合特性は変化しないことが示唆される。他方、窒素のアルキル基のサイズが増加すると、結合後の蛍光強度が有意に増加することは、注目に値する(表4、8a、8c、8d)。このことはおそらく、凝集形態のAβペプチドと結合すると分子の回転自由度が減少する結果である。W. Schuddeboom、S. A. Jonker、J. M. Warman、U.Leinhos、W. Kuehnle、K. A. Zachariasse、J. Phys. Chem.、1992年、96巻、10809〜10819頁;Y. V. Il'chev、W. Kuehnle、K. A. Zachariasse、J. Phys.Chem.、1998年、102巻、5670〜5680頁を参照のこと。興味深いことに、これらの化合物を単量体のAβペプチドと混合すると、蛍光強度の増加は観察されなかった。このことは、これらの化合物が、凝集形態のAβと選択的に結合するという考えを支持するものである。8dの蛍光プロファイル(励起および発光)を図1Aおよび図1Bに示す。
【0213】
【表4】
【0214】
凝集したAβペプチドは、Aβ(1−42)をPBS(pH7.4)に溶解して最終濃度100μMにすることにより調製した。この溶液を1200rpmで3日間室温にて磁気撹拌した。100μMのAβ(1−42)ストックPBS溶液を等分し、−80℃で最大4週間凍結させたところ、その特性に目立った変化はなかった。150μLの予め凝集させたAβ(1−42)を2.85mLの化合物に加えて、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMの化合物とした。この溶液を3mLのキュベットに移し、蛍光を25℃で測定した。図4に示すように、本明細書中に記載する化合物を、凝集したAβと会合させると、励起スペクトルおよび発光スペクトルの両方に変化がもたらされる。化合物8a、8b、8c、14および19の蛍光励起スペクトルを、それぞれ図4に示す。
【0215】
さらに、本発明者らは、本化合物(10μM、5μM、2.5μMおよび1.25μMの濃度で)の、5.0μMの予め凝集させたAβ(1−42)ペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を測定した。Kdは、最大蛍光と化合物の濃度との二重逆数プロットから測定できる。H.LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと。全てのKd値は、1.4μMから5.3μMの間で測定された(表4)。構造の違いにもかかわらず、これらの化合物が同様のKd値を呈することは注目すべきことであり、このことから、これらの化合物は、凝集したAβと、同様の様式で結合することが示唆される。さらに、これらの値は、ThT(2μM)についての報告されたKd値と似ている。[22,]LeVine、同文献;Lockhart、L. Ye、D. B.Judd、A. T. Merritt、P. N. Lowe、J. L. Morgenstern、G. Z.Hong、A. D. Gee、J. Brown、J. Biol. Chem.、2005年、280巻、7677〜7684頁;M. Biancalana、K.Makabe、A. Koide、S. Koide、J. Mol. Biol.、2008年、383巻、205〜213頁;M. Biancalana、K.Makabe、A. Koide、S. Koide、J. Mol. Biol.、2009年、385巻、1052〜1063頁を参照のこと。蛍光強度対化合物8dおよび11の濃度の二重逆数プロットを図2に示す。Kdは、線形回帰の−1/(x切片)に対応する。
【0216】
Yangらにより開発された半定量的なELISAベースのアッセイを用いて、合成した化合物と凝集したAβペプチドとの会合をテストした。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁を参照のこと。このアッセイは、Aβの残基1〜17に対して生じた、凝集したAβペプチドとモノクローナル抗Aβ IgGとの相互作用を阻害する分子のスクリーニングに基づく。表4には、IgG−Aβ相互作用の50%阻害(IC50)に対応する化合物の濃度、ならびに、原線維との結合を阻害されるIgGの最大パーセント(%)を示してある。全ての化合物はμMレベルのIC50値を呈し、最小値は、8bについて測定された(IC50=1.17μM)。最大阻害率、すなわち、本化合物による凝集したペプチドの表面コーティングの程度の限度は、40〜98%の間であると決定された(表4)。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁を参照のこと。これらのデータの比較から、表面コーティングは、化合物のサイズまたはπ系の程度を減少させることにより増加することが示唆される。具体的には、最大阻害率は、フェニル化合物については81〜98%の間であるが、より長いナフタレン化合物11については58%、より共役度の高いスチルベン19については40%に減少する。化合物8dおよび11についての代表的なグラフを図3に示す。化合物8a、8b、8cおよび14についての代表的なグラフをそれぞれ図7A〜Dに示す。
【0217】
全ての化合物についてのlogP値を計算したところ、1.07から4.62の間であり(表2)、このことから、これらの化合物の大部分が溶解性の基準を満たし、血液脳関門を通過できるはずであることが示唆される。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁;C. A. Lipinski、F. Lombardo、B. W. Dominy、P. J.Feeney、Adv. Drug Deliver. Rev.、1997年、23巻、3〜25頁を参照のこと。LogP値は、Molinspiration Chem−informaticsソフトウェアを用いて計算した。
【0218】
化合物27〜31および33についての試験。凝集したAβペプチドは、Aβ(1−42)をPBS(pH7.4)に溶解して最終濃度を100μMにすることにより調製した。この溶液を1200rpmで3日間室温にて磁気撹拌した。100μMのAβ(1−42)ストックPBS溶液を等分し、−10℃で最大4週間凍結させたところ、その特性に目立った変化はなかった。15μLの予め凝集させたAβ(1−42)を285μLのプローブ(5%DMSO、ナノ純水中)に加えて、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMのプローブとした。この溶液を300mLのキュベットに移し、蛍光を測定した。図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の蛍光励起スペクトルを示すものである。
【0219】
【表5】
【0220】
原理上は、アミロイド結合プローブは、アミロイドの凝集体と結合すると、溶液中の場合と比較して、蛍光発光の著しい増加を呈する。LeVine III、H.、Protein Sci.、1993年、2巻、(3号)、404〜410頁。この線に沿って、凝集したAβ42ペプチドが存在する場合またはしない場合で、水溶液中の27〜31または33の蛍光特性を比較した。具体的には、凝集したAβ42ペプチド(最終濃度ペプチド=5μM)と混合する前および後で、ナノ純水中の4μM濃度での各色素の蛍光特性を測定した。表5に示すように、全ての場合において、凝集したアミロイドペプチドと会合すると、プローブの発光スペクトルの強度の著しい増加(3から9倍)が観察された。この強度増加は、5〜50nm前後の発光スペクトルでの青方遷移も伴った。結合後、全ての化合物の最大励起は380〜430nmの間であり、その最大発光は525〜545nmの間であったが、このことから、分子の供与体部分または受容体部分における小さな変化は、その最大蛍光をそれほど変化させないことが示唆される。しかし、ピペリジンを電子供与体として有する化合物27、31および33は、結合後、ピペラジン、モルホリンまたはモルホリノエタンアミンを電子供与体として含有するプローブと比較して、蛍光強度のより高い増加を示した(それぞれ、7.7倍、8.3倍および7.2倍)。図9Cは、化合物29の蛍光特性の代表例を示すものである。この図は、Aβ凝集体と混合する前(実線)および後(点線)での化合物29の蛍光発光を示すものである。
【0221】
さらに、本発明者らは、プローブの、凝集したAβ42ペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を測定した。5μMの予め凝集させたAβ42ペプチドと混合した、ナノ純水中の1.25μM、2.5μM、5.0μMおよび10μMの濃度での各プローブの蛍光強度を測定した。Zhao, X.、Yang, J.、ACS Chem. Neurosc.、1巻、(10号)、655〜660頁。全ての場合において、Kd値はμMレベルであり、化合物27、31および33は、凝集したAβペプチドと最も高い親和性を呈した。これらの結合試験のデータから、ANCAモチーフの水溶化領域内の小規模の化学修飾は、プローブの、Aβ凝集体との結合にそれほど影響しないことが示唆される(化合物27、31および33)。他方、ANCA骨格の電子供与体を化学的に変化させると、Kd値の減少が観察された。表5に示すように、ピペリジンを電子供与体として有する化合物は、ピペラジン、モルホリンまたはモルホリノエタンアミンを電子供与体として有する化合物(それぞれ、化合物28、29および30)と比較してKd値が低い(1.4〜1.6μM)ことが見出される。図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および32の、溶液中の凝集したAβ42ペプチド(5μM)の存在下での、濃度の関数としての蛍光強度(λ=525nmで)のプロットを示すものである。例として、このデータを化合物29について当てはめると、化合物29が、凝集したAβ42ペプチドと会合する場合のKdは13.8μMであることが明らかになった。
【0222】
最後に、合成したプローブの親油性(logP)を計算した。全ての化合物は2.53から3.81の間のlogP値を有することが見出されたが、これにより、本化合物の大部分は溶解性の基準を満たし、血液脳関門を潜在的に通過できることが示唆される。Lipinski, C. A.、Lombardo, F.、Dominy, B. W.、Feeney,P. J.、Adv. Drug Delivery Rev.、1997年、23巻、(1〜3号)、3〜25頁。
【0223】
(実施例6)
本明細書中に記載する化合物の結合定数の決定:予め凝集させたAβ(1−42)(最終濃度5μM)を、PBS緩衝液(pH7.4)中の、多様な濃度の本明細書中に記載する化合物(10μM、5μM、2.5μM、1.25μM)と混合し、その蛍光を測定した。線形回帰(最大蛍光強度と化合物の濃度との二重逆数プロットの間で引いたもの)のx切片の負の逆数は、該化合物の、Aβ(1−42)との結合定数(Kd)を表す。
【0224】
(実施例7)
蛍光法からのKdの決定。蛍光性の化合物と、凝集したβ−アミロイドペプチドとの結合についての解離定数(Kd)を定量化するために、LeVineが記載した方法を用いた(H. LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと)。この方法は、Benesi−Hildebranが記載した方法と似ている(C. Yang、L. Liu、T. W. Mu、Q. X. Guo、Anal. Sci.、2000年、16巻、537〜539頁を参照のこと)。ここでは、溶液中で、凝集したペプチドを添加した場合としない場合とで、化合物の蛍光を測定した。凝集したβ−アミロイドペプチドと結合したときの化合物の相対的な蛍光の増強を、F(凝集したペプチドの添加後の蛍光)とF0(凝集したペプチドの添加前の蛍光)との間の差をとることにより決定した。
【0225】
本化合物−Aβ複合体の結合定数(Kd)を蛍光試験から推定するために、以下の仮定を立てた:
1.全ての化合物は完全に溶解しており、自己凝集などの著しい競合結合過程は全くない。
【0226】
2.結合していない化合物の濃度は、該化合物の総濃度に近いと概算できる。
【0227】
3.凝集したAβペプチドにおける結合部位は、この蛍光試験に用いられるAβ結合化合物の濃度では、完全には塞がれない(すなわち、実験は、不飽和結合条件下で実施する)。
【0228】
ランベルト−ベールの法則(J. W. Robinson、「Atomic spectroscopy」、1996年を参照のこと)によれば、結合した化合物([HG])、遊離化合物([G])および遊離アミロイドペプチド([H])の濃度を、1)凝集したペプチドの添加前の溶液中の化合物の蛍光測定値(F0)、または2)アミロイドペプチドの存在下での化合物の蛍光測定値(F)のいずれかと関係付ける、2つの式を得ることができる:
【0229】
【数1】
【0230】
【数2】
化合物の蛍光測定値の変化(ΔF)と、化合物の、凝集したβ−アミロイドペプチドとの結合定数(Kd)との間の関係を得るために、[HG]とKdとの間の関係を得るための結合等温式についての標準的な方程式:
【0231】
【数3】
を用いた。方程式4と5とを組み合わせることで、ΔFとKdとの間の関係:
【0232】
【数4】
を得た。
【0233】
蛍光の変化の測定値から、凝集したAβペプチドと結合している化合物のKdを推定するために、方程式6の逆数をとると、
【0234】
【数5】
が得られる。
【0235】
方程式7は、ΔFと[G]との二重逆数プロットから、−1/Kdに等しいx切片を有する直線が得られるはずであることを示唆している。図2および図6は、蛍光測定値対化合物の総濃度[G0]の二重逆数プロットを示すものである。[G]は[G0]に近いと概算できると仮定して(仮定2)、各化合物のデータを当てはめた直線のx切片から、化合物−Aβ複合体のKdの推定値を得ることができる。本明細書中に記載するいくつかの化合物のKd推定値を表3に示す。
【0236】
(実施例8)
ELISAアッセイ:凝集したAβペプチドは、合成のAβ(1−42)ペプチドから、30μgのペプチドを90μLのナノ純水(pH5〜6)に溶解し、撹拌することなく37℃で72時間以上インキュベートすることにより生成させた。96ウェルプレート(ウェル体積0.4mL、透明、平底ポリプロピレン)の各ウェルを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、10mM NaH2PO4/Na2HPO4、138mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)中のAβペプチドの1.3μM溶液50μLで、25℃にて3時間コーティングした。過剰な試料を除去した後、PBS緩衝液中の化合物の50μL溶液(ストック溶液をPBS緩衝液で希釈することにより、多様な濃度を得た)をウェル中で12時間インキュベートした。PBS緩衝液に溶解しなかった化合物をDMSOに溶解し、PBS緩衝液中で希釈すると、PBS緩衝液中の5%DMSOの最終溶液が得られた。次に、過剰な溶液を除去し、PBS緩衝液中のウシ血清アルブミン(BSA/PBS)の1%(w/v)溶液300μLを加えることにより、全てのウェルを30分間遮断した。時折、小分子の溶液とのインキュベーションに先立ち、追加的な遮断ステップを行った。ブロッキング溶液を捨て、ウェルを300μLのPBS緩衝液で1回洗浄した。ウェルを、50μLの、抗Aβ IgG(クローン6E10、モノクローナル、マウス)の1.1nM溶液(1%BSA/PBS中、希釈1:6000)で1時間インキュベートしてから、この溶液を除去した。ウェルを300μLのPBS緩衝液で2回洗浄し、50μLの、アルカリホスファターゼでコンジュゲートした二次IgG(抗マウスIgG H+L、ポリクローナル、ウサギ)(6.8nM、1%BSA/PBS中、希釈1:1000)で60分間インキュベートした。この溶液を捨て、ウェルを300μLのPBS緩衝液で2回洗浄した。50μLのp−ニトロフェニルホスフェート溶液(2.7mM、100mMジエタノールアミン/0.5mM塩化マグネシウム中、pH9.8)の添加により、結合した二次IgGが検出された。吸光度の強度は、紫外可視分光法用のプレートリーダー(Sprectramax190、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて、405nmで定量した。各試行を5回行い、平均した。エラーバーは標準偏差を表す。グラフをプロットし、S字型曲線の当てはめを用いて当てはめた。
【0237】
(実施例9)
単量体のAβを用いた蛍光試験。最初に、Aβ(Biopeptide,Inc.)を1mM濃度のヘキサフルオロイソプロパノールに可溶化し、ボルテックスし、超音波処理し、ボルテックスした。バイアルを箔で覆い、振盪機で25℃にて21時間インキュベートし、インキュベーション期間を通して3回ボルテックスを行った。溶液を超音波処理し、再びボルテックスしてから、低温のナノ純水で希釈し(H2O:HFIP、2:1)、所望の量で小さなガラスバイアル中に分取し、直ちにCO2/アセトン浴中で凍結させた。各画分は、溶媒蒸気を逃がすことができるように孔をあけたパラフィルムで覆った。この画分を2日間凍結乾燥させると、単量体のAβが得られた(91%の単量体、12% Tris−bis PAGEゲル分析による)。この単量体のAβ(1−42)1.8μL(8.42μM)を、PBS緩衝液(pH7.4)に溶解することにより調製した4μM濃度の小分子3μLに加えると、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMの化合物が得られた。この溶液を3mLのキュベットに移し、蛍光を25℃で測定した。
【0238】
(実施例10)
SHSY−5Yヒト神経芽細胞腫細胞に対する細胞傷害活性についての剛体回転子の評価(MTTアッセイ):SHSY−5Yヒト神経芽細胞腫細胞、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)細胞増殖キット、イーグル最小必須培地(EMEM)、HamのF12栄養混合物およびウシ胎仔血清(FBS)は全て、ATCC(Manassas、VA)から購入した。簡潔に言えば、SH−SY5Y細胞(EMEM:HamのF−12、1:1中、10%FBS添加)を、96ウェルプレート上に5×104細胞/ウェルの密度で播種した。プレートを一晩インキュベート(条件:95%空気、5%CO2の加湿雰囲気、37℃)して、ウェルへの細胞の付着を促進した。次に、細胞を多様な濃度の化合物8a、8b、8c、8d、11または14で処理し、24時間インキュベートした(95%空気、5%CO2の加湿雰囲気、37℃)。MTT試薬(20μL)を培地に加え、さらに4時間インキュベートした。インキュベーション後、100μLの界面活性剤試薬を加え、プレートをアルミニウム箔で覆い、室温で一晩放置した。可溶化されたMTTホルマザンの量を、570nmでの分光光度測定を用いた吸光度により測定した(Spectramax190、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)。MTTアッセイは化合物19については行わなかったが、その理由は、化合物19は水性媒体への溶解性が乏しいことによる。全てのデータを、平均値±S.Dとして示す(各濃度についてN=3)。全ての分析に、スチューデントt検定を用いた。0.05未満のp値を、対照細胞と比較して統計的に有意と見なした。図8に示すように、全ての化合物は、最大100μMの濃度で、ヒト神経芽細胞腫細胞に対し細胞毒性をほとんどまたは全く示さなかった。これらの特性は、さらなるin vivo評価を行う場合に大きな利点である。
【0239】
(実施例11)
アミロイド結合化合物を用いたヒト組織の画像化。図11A〜Fは、AD症例由来の、ヒト組織におけるアミロイドプラークの蛍光画像を示すものである。凍結組織を切片化しスライドガラス上に載せた後、蛍光性プローブを含有する溶液に組織を30分間曝露させた。試料を水で洗浄して、組織の非特異的な染色を排除し、倒立型落射蛍光顕微鏡を用いて画像化した。画像から、A)化合物27、B)化合物28、C)化合物29、D)化合物30、E)化合物31、またはF)化合物33で染色されたプラークの場所が明らかになる。
【技術分野】
【0001】
関連出願の引用
本願は、2009年12月10日に出願された米国出願第61/285,470号(代理人書類番号021935−003900US)に対する優先権を主張する。米国出願第61/285,470号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の下で行われる発明に対する権利についての記載
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)により与えられた助成金番号1E21RR025358の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明における一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
アルツハイマー病(AD)は、認知機能の進行性の喪失を特徴とし、最も一般的且つ致死性の神経変性障害である。遺伝学的且つ臨床的な証拠から、脳におけるアミロイド沈着物の蓄積が該疾患の病理において重要な役割を果たすとの仮説が支持される。この事象は周囲組織における生物学的機能の混乱を伴い、それが神経細胞死につながり、ひいては該疾患の過程の一因となる。該沈着物は、主に、アミロイド(Aβ)ペプチド、典型的には、自己凝集して原線維のβ−プリーツシートモチーフとなるアミノ酸39〜43個の配列から構成される。凝集したAβペプチドの正確な三次元構造は公知ではないが、凝集の特性を裏付けるモデル構造が提示されている。このモデル構造により、該疾患の時間的経過および展開の評価に役立つことができるだけでなく治療的処置のタイムリーなモニターも可能にすると考えられる、アミロイド沈着物のin vivo画像化の機会が創出される。
【0004】
歴史的には、コンゴーレッド(CR)およびチオフラビンT(ThT)がアミロイドプラークの可視化の出発点であり、死後の組織学的分析において今でも一般的に用いられる。しかし、電荷を有することから、これらの化合物はin vivoでの適用には不適当であると思われる。この問題に対処するため、いくつかの研究所が、血液脳関門の通過を容易にする、非荷電性、親油性(logP=0.1〜3.5)且つ低分子量の化学構造(分子量は650未満)を有する化合物を開発した。放射性核種でこれらの化合物をさらに機能化することにより、当技術分野で公知のとおりの陽電子放出断層撮影法(PET)および単一光子放出コンピューター断層撮影法(SPECT)での画像化のための、プラークおよび関係する構造を標的とする新世代のin vivo用診断試薬がもたらされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
こうした進歩にも関わらず、物理的、化学的および生物学的な特徴が改善された新しいアミロイド標的化分子の設計および開発に対する喫緊の必要性が存在する。本明細書では、当技術分野におけるさまざまな必要性に対処する方法および化合物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な概要
本明細書では、とりわけ、アミロイドの検出およびアミロイドに関係する疾患(アルツハイマー病および他の関係するアミロイドベースの神経変性疾患を包含する)の処置のための化合物および方法が提供される。
【0007】
第1の態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイド(例えば、アミロイドペプチド凝集体)と結合する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、式(I)の構造を有する:
【0008】
【化1】
。
【0009】
式Iにおいて、「EDG」は、電子供与基である。用語「πCE」は、パイ共役エレメントである。「WSG」は、水溶性基である。
【0010】
別の態様では、医薬組成物が提供される。この医薬組成物は、本明細書中に記載する化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む。
【0011】
別の態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドを検出する方法が提供される。この方法は、本明細書中に記載するとおりの化合物をアミロイドペプチドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成することと、該検出可能なアミロイド複合体を検出することとを含む。
【0012】
別の態様では、被験体における、アミロイド(例えば、アミロイド沈着物)の蓄積を特徴とする疾患を処置する方法が提供される。この方法は、処置を必要とする被験体に、有効量の本明細書中に記載するとおりの化合物または医薬組成物を投与することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1A〜Dは、PBS水溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での化合物8dおよび11の蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。図1A:化合物8dの蛍光励起スペクトル。図1B:化合物8dの発光スペクトル。図1C:化合物11の蛍光励起スペクトル。図1D:化合物11の発光スペクトル。
【図2】図2は、化合物8dおよび11の、予め凝集させたAβペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を示すグラフである。凡例:化合物8d(菱形)、化合物11(四角)。
【図3】図3は、化合物8d(図3上)および化合物11(図3下)での、IgG−Aβ原線維相互作用の阻害を示すグラフである。
【図4】図4は、本明細書中に記載するとおりの、凝集したAβ(1−42)原線維での、化合物8a、8b、8c、14および19の蛍光励起スペクトル(左のパネル)および発光スペクトル(右のパネル)を示すグラフである。
【図5】図5は、本明細書中に記載するとおりの、単量体のAβモノマーがある場合およびない場合の化合物8a、8b、8c、8d、11、14および19の蛍光発光スペクトルを示すグラフである。
【図6】図6は、本明細書中に記載するとおりの化合物8a、8b、8c、14および19の、最大蛍光と濃度との二重逆数プロットを示すグラフである。凡例:化合物8a(菱形)、化合物8b(四角)、化合物8c(三角)、化合物14(×印)、化合物19(星印)。
【図7A】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7B】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7C】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図7D】図7A〜Dは、本明細書中に記載する化合物の最大阻害率およびIE50値を示すグラフである。図7A:化合物8a、図7B:化合物8b、図7C:化合物8c、図7D:化合物14。
【図8】図8は、本明細書中に記載するとおりの細胞毒性試験の結果を示すグラフである。凡例:細胞毒性アッセイで用いた化合物の各濃度について、細胞生存率(%)を以下の順に(左から右へ)ヒストグラムとしてプロットしてある:それぞれ、化合物8a、8b、8c、8d、11および14。
【図9A】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9B】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9C】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9D】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9E】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図9F】図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の、溶液中(実線)およびAβペプチドの存在下(破線)での蛍光励起スペクトルおよび発光スペクトルを示すグラフである。
【図10A】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10B】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10C】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10D】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10E】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図10F】図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33についての、凝集したAbペプチドの蛍光強度対濃度を示すグラフである。
【図11】図11A〜Fは、本明細書中に記載するとおりの、A)化合物27、B)化合物28、C)化合物29、D)化合物30、E)化合物31、またはF)化合物33で染色したプラークの画像を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
I.定義
本明細書中で使用する略語は、化学および生物学の分野内でのその従来の意味を有する。本明細書中に記載する化学構造および式は、化学分野において公知の化学原子価の標準的なルールに従って作成される。
【0015】
置換基が、左から右へ書かれるその従来の化学式により特定される場合、この基は、この構造を右から左へ書いた結果得られるであろう化学的に同一の置換分(substituent)を同じく包含し、例えば、−CH2O−は−OCH2−と同じことである。
【0016】
用語「電子供与基(EDG)」は、近くの化学部分に作用する静電力を、当該化学部分に負電荷を供与することにより変化させる、化学部分を指す。いくつかの実施形態では、電子供与基は、本明細書中に開示する化合物のπ共役エレメントに負電荷を供与する。
【0017】
用語「π共役エレメント」、「πCE」または「パイ共役エレメント」は、交互の単結合と多重結合(例えば、二重結合)とを有するπ共役系を形成することにより該系中の原子のp軌道における電子が非局在化される、二価の化学部分を指す。いくつかの実施形態では、π共役されたエレメントにおける単結合および多重結合は、平面配向または実質的に平面配向の状態であってもよい。
【0018】
用語「水溶性基」は、自身が結び付いている化合物の水溶性を増加させる化学部分を指す。水溶性の増加は、結び付いている水溶性基を有する場合および有さない場合の化合物の分配定数を決定することによるなど、当技術分野における既存の手法を用いて測定できる。いくつかの実施形態では、分配定数は、化合物を、水および疎水性溶媒(オクタノールなど)と混合することにより測定できる。疎水性が高い化合物ほど、その分配定数は高い。親水性が高い化合物ほど、その分配定数は低い。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する水溶性基は、その分配係数を減少させることにより、前駆体分子の水溶性を高めることができる。いくつかの実施形態では、水溶性基は、前駆体分子の分配定数(該水溶性基が結び付く前の分配定数の方が高い)を、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%減少させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する水溶性基は、前駆体分子の分配定数を1倍、2倍、3倍、4倍またはそれを超えて減少させることができる。
【0019】
用語「アミロイド」は、本明細書中では、当技術分野におけるその慣例的な意味に従って使用する。アミロイドは、複数の会合したアミロイドペプチド(アミロイドペプチドの凝集体など)を含有する。したがって、いくつかの実施形態では、アミロイドは、1つまたは複数のアミロイドペプチドと凝集しているアミロイドペプチドを包含する。いくつかの実施形態では、アミロイドは、「アミロイドプラーク」、「アミロイド沈着物」、「アミロイド凝集体」または「アミロイドペプチドの凝集体」を包含する。本明細書中に記載する化合物は、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドと会合(例えば、結合)できる。一定の実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、疎水性相互作用によりアミロイドと会合できる。
【0020】
用語「アルキル」は、独自にまたは別の置換分の一部として、特に明記しない限り、直鎖(すなわち分枝していない)または分枝鎖、またはそれらの組合せを意味し、完全飽和型でも、一価不飽和型または多価不飽和型であってもよく、指定された炭素原子数(すなわち、C1〜C10は、1から10個の炭素を意味する)を有する二価基および多価基を包含できる。飽和炭化水素基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、(シクロヘキシル)メチルなどの基、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルなどの同族体および異性体。不飽和アルキル基は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有するアルキル基である。不飽和アルキル基の例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、ならびに、より高級な同族体および異性体。アルコキシは、酸素リンカー(−O−)を介して分子の残部と結び付いているアルキルである。
【0021】
用語「アルキレン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、−CH2CH2CH2CH2−により例示される(但し、限定されない)ように、アルキルから誘導される二価基を意味し、「ヘテロアルキレン」として以下に記載する基をさらに包含する。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1〜24個の炭素原子を有するであろうが、10個以下の炭素原子を有する当該基が好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、8個以下の炭素原子を一般に有する比較的短い鎖のアルキル基またはアルキレン基である。
【0022】
用語「ヘテロアルキル」は、独自にまたは別の用語との組合せで、特に明記しない限り、少なくとも1個の炭素原子と、O、N、P、SiおよびSから成る群から選択される少なくとも1個のヘテロ原子とから成る、安定な直鎖もしくは分枝鎖もしくは環状の炭化水素基またはその組合せを意味する。窒素原子およびイオウ原子は、場合により酸化していてもよく、窒素ヘテロ原子は、場合により四級化していてもよい。ヘテロ原子(複数可)O、N、PおよびSおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位に、または、アルキル基が分子の残部と結び付いている位置に配置されていてもよい。例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、−CH=CH−N(CH3)−CH3、O−CH3、−O−CH−2−CH3および−CN。最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい(例えば、−CH2−NH−OCH3など)。同様に、用語「ヘテロアルキレン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−および−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−により例示される(但し、限定されない)ように、ヘテロアルキルから誘導される二価基を意味する。ヘテロアルキレン基の場合、ヘテロ原子は、鎖の末端(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)のいずれかまたは両方を占めることもある。またさらに、アルキレン連結基およびヘテロアルキレン連結基の場合、連結基の式が書かれている方向が連結基の配向の意味を有することはない。例えば、式−C(O)2R’−は、−C(O)2R’−および−R’C(O)2−を両方とも表す。前述のように、ヘテロアルキル基は、本明細書中で使用する場合、ヘテロ原子(−C(O)R’、−C(O)NR’、−NR’R’’、−OR’、−SR’および/または−SO2R’など)を通じて分子の残部と結び付いている当該基を包含する。「ヘテロアルキル」と述べ、次いで特定のヘテロアルキル基(−NR’R’’など)を列挙した場合、ヘテロアルキルと−NR’R’’という用語とは、重複しているのでも相互に排他的でもないことは理解されよう。むしろ、特定のヘテロアルキル基は、明確性を付与するために列挙するものである。したがって、用語「ヘテロアルキル」は、本明細書においては、特定のヘテロアルキル基(−NR’R’’など)を排除すると解釈されるべきではない。
【0023】
用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」は、独自にまたは他の用語との組合せで、特に明記しない限り、それぞれ、環状型の「アルキル」および「ヘテロアルキル」を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部と結び付いている位置を占めることがある。シクロアルキルの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチルなど。ヘテロシクロアルキルの例としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニルなど。「シクロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキレン」は、単独でまたは別の置換分の一部として、それぞれ、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルから誘導された二価基を意味する。
【0024】
用語「ハロ」または「ハロゲン」は、独自にまたは別の置換分の一部として、特に明記しない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを包含することを意図したものである。例えば、用語「ハロ(C1〜C4)アルキル」は、以下を包含する(但し、これらに限定されない)ことを意図したものである:フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、4−クロロブチル、3−ブロモプロピルなど。
【0025】
用語「アシル」は、−C(O)R(式中、Rは、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである)を意味する。
【0026】
用語「アリール」は、特に明記しない限り、多価不飽和型の芳香族の炭化水素置換分を意味し、縮合し合っている(すなわち、縮合環アリール)または共有結合性に連結している単環または複数環(好ましくは1から3環)であってもよい。縮合環アリールは、融合し合っている複数環を指し、縮合環のうち少なくとも1つはアリール環である。用語「ヘテロアリール」は、N、OおよびSから選択される1から4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指す。窒素原子およびイオウ原子は場合により酸化されており、窒素原子(複数可)は場合により四級化されている。したがって、用語「ヘテロアリール」は、縮合環ヘテロアリール基(すなわち、縮合環のうち少なくとも1つが芳香族複素環である、融合し合っている複数環)を包含する。5,6−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が5員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。同様に、6,6−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が6員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。さらに、6,5−縮合環ヘテロアリーレンは、一方の環が6員を有し、他方の環が5員を有し、少なくとも一方の環がヘテロアリール環である、融合し合っている2つの環を指す。ヘテロアリール基は、炭素またはヘテロ原子を通じて分子の残部と結び付くことができる。アリール基およびヘテロアリール基の非限定的な例としては以下が挙げられる:フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、2−フェニル−4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリルおよび6−キノリル。前記のアリール環系およびヘテロアリール環系のそれぞれについての置換分は、以下に記載の許容される置換分の群から選択される。「アリーレン」および「ヘテロアリーレン」は、単独でまたは別の置換分の一部として、それぞれ、アリールおよびヘテロアリールから誘導される二価基を意味する。
【0027】
簡潔にするために、用語「アリール」は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ(arylthioxy)、アリールアルキル)と組み合わせて使用した場合は、先に定義したとおりのアリール環およびヘテロアリール環を両方とも包含する。したがって、用語「アリールアルキル」は、アリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)と結び付いている当該基を包含することを意図したものであり、この場合のアルキル基としては、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、3−(1−ナフチルオキシ)プロピルなど)により置き換わっているアルキル基が挙げられる。
【0028】
用語「オキソ」は、本明細書中で使用する場合、炭素原子と二重結合している酸素を意味する。
【0029】
用語「アルキルスルホニル」は、本明細書中で使用する場合、式−S(O2)−R’(式中、R’は、先に定義したとおりのアルキル基である)を有する部分を意味する。R’は、特定の数の炭素を有してもよい(例えば「C1〜C4アルキルスルホニル」)。
【0030】
前述の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」および「ヘテロアリール」)はそれぞれ、表示された基の、置換されている形態および置換されていない形態を両方とも包含することを意図したものである。各種の基についての好ましい置換分を以下に示す。
【0031】
アルキル基およびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニルおよびヘテロシクロアルケニルと多くの場合呼ばれる当該基を包含する)についての置換分は、以下から選択されるさまざまな基のうち1つまたは複数であってもよいが、これらに限定されない:ゼロから(2m’+1)(式中、m’は当該基における炭素原子の合計数である)の範囲の数の、−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CNおよび−NO2。R’、R’’、R’’’およびR’’’’はそれぞれ、好ましくは独立に以下を指す:水素、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール(例えば、1〜3個のハロゲンで置換されているアリール)、置換されているもしくは置換されていないアルキル基、アルコキシ基またはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基。本明細書中に開示する化合物が2つ以上のR基を含んでいるとき、例えば、それぞれのR基は、これらの基のうち2つ以上が存在するときのR’、R’’、R’’’およびR’’’’の各基と同様に独立に選択される。R’およびR’’が同じ窒素原子と結び付いているとき、R’およびR’’は、窒素原子と合わさって4員、5員、6員または7員の環を形成できる。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを包含する(但し、これらに限定されない)ことを意図したものである。置換分についての前述の考察から、当業者には、用語「アルキル」は、ハロアルキル(例えば、−CF3および−CH2CF3)およびアシル(例えば、−C(O)CH3、−C(O)CF3、−C(O)CH2OCH3など)など水素基以外の基と結合している炭素原子を含んでいる基を包含することを意図したものであることは理解されよう。
【0032】
アルキル基について記載した置換分と同様、アリール基およびヘテロアリール基のための置換分は、さまざまであり、例えば以下から選択され:ゼロから芳香環系上の、空いている価電子の合計数の範囲の数の、ハロゲン、−OR’、−NR’R’’、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R’’R’’’、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R’’、−OC(O)NR’R’’、−NR’’C(O)R’、−NR’−C(O)NR’’R’’’、−NR’’C(O)2R’、−NR−C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、−NR−C(NR’R’’)=NR’’’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R’’、−NRSO2R’、−CNおよび−NO2、−R’、−N3、−CH(Ph)2、フルオロ(C1〜C4)アルコキシおよびフルオロ(C1〜C4)アルキル;ここで、R’、R’’、R’’’およびR’’’’は、好ましくは以下から独立に選択される:水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリールおよび置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール。本明細書中に開示する化合物が2つ以上のR基を含んでいるとき、例えば、それぞれのR基は、これらの基のうち2つ以上が存在するときのR’、R’’、R’’’およびR’’’’の各基と同様に独立に選択される。
【0033】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−T−C(O)−(CRR’)q−U−(式中、TおよびUは独立に、−NR−、−O−、−CRR’−または単結合であり、qは、0から3の整数である)の環を形成してもよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−A−(CH2)r−B−(式中、AおよびBは独立に、−CRR’−、−O−、−NR−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、−S(O)2NR’−または単結合であり、rは、1から4の整数である)の置換分で置き換えられていてもよい。そのようにして形成された新しい環の単結合のうち1つは、場合により、二重結合で置き換えられていてもよい。あるいは、アリール環またはヘテロアリール環の隣接する原子上の置換分のうち2つは、場合により、式−(CRR’)s−X’−(C’’R’’’)d−(式中、sおよびdは独立に、0から3の整数であり、X’は、−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−または−S(O)2NR’−である)の置換分で置き換えられていてもよい。置換分R、R’、R’’およびR’’’は、好ましくは以下から独立に選択される:水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、および置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール。
【0034】
本明細書中で使用する場合、用語「ヘテロ原子」または「環ヘテロ原子」は、酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、リン(P)およびケイ素(Si)を包含することを意図したものである。
【0035】
「置換基」は、本明細書中で使用する場合、以下の部分から選択される基を意味する:
(A)−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、オキソ、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
(B)以下から選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール:
(i)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、ならびに
(ii)以下から選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール:
(a)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、置換されていないヘテロアリール、および
(b)オキソ、−OH、−NH2、−SH、−CN、−CF3、−NO2、ハロゲン、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールおよび置換されていないヘテロアリールから選択される少なくとも1つの置換分で置換されている、アルキル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール。
【0036】
「サイズの限定された置換分」または「サイズの限定された置換基」は、本明細書中で使用する場合、「置換基」について前述した全ての置換分から選択される基を意味し、このとき、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキルである。
【0037】
「低級置換分」または「低級置換基」は、本明細書中で使用する場合、「置換基」について前述した全ての置換分から選択される基を意味し、ここで、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C7シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキルである。
【0038】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書中に記載する化合物上で見出される特定の置換分に応じて、比較的無毒の酸または塩基を用いて調製される活性化合物の塩を包含することを意図している。本明細書中に開示する化合物が、比較的酸性の官能基を含有するとき、当該化合物の中性型を十分な量の所望の塩基と、希釈せずまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、以下が挙げられる:ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩またはマグネシウム塩または類似の塩。本明細書中に開示する化合物が、比較的塩基性の官能基を含有するとき、当該化合物の中性型を十分な量の所望の酸と、希釈せずまたは適当な不活性溶媒中のいずれかで接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。薬学的に許容される酸付加塩の例としては、以下が挙げられる:無機酸(塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸一水素酸、リン酸、リン酸一水素酸、リン酸二水素酸、硫酸、硫酸一水素酸、ヨウ化水素酸または亜リン酸など)から誘導されるもの、ならびに、比較的無毒の有機酸(酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、メタンスルホン酸など)から誘導される塩。さらに、アルギン酸塩(arginate)などのアミノ酸の塩、および、グルクロン酸またはガラクツノル酸などの有機酸の塩も挙げられる(例えば、Bergeら、「Pharmaceutical Salts」、Journal of Pharmaceutical Science、1977年、66巻、1〜19頁を参照のこと)。本明細書中に開示するある特定の化合物は、該化合物を塩基付加塩または酸付加塩のいずれかに転換させることが可能な塩基性および酸性の官能基を両方とも含有する。
【0039】
したがって、本明細書中に開示する化合物は、薬学的に許容される酸などとの塩として存在してもよい。そのような塩の例としては、以下が挙げられる:塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、マレイン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩(例えば、(+)−酒石酸塩、(−)−酒石酸塩またはそれらの混合物(ラセミ混合物を包含する))、コハク酸塩、安息香酸塩、およびアミノ酸(グルタミン酸など)との塩。これらの塩は、当業者に公知の方法により調製してもよい。
【0040】
本化合物の中性型は、好ましくは、その塩を塩基または酸と接触させ、親化合物を従来の方式で単離することにより再生される。本化合物の親形態は、一定の物性(極性溶媒への溶解性など)において、多様な塩形態とは異なる。
【0041】
塩形態に加え、本明細書中に開示する化合物は、プロドラッグ形態であってもよい。本明細書中に記載する化合物のプロドラッグは、生理的条件下で容易に化学変化を起こして本明細書中に開示する化合物をもたらす化合物である。加えて、プロドラッグは、ex vivo環境における化学的または生化学的な方法により、本明細書中に開示する化合物に変換できる。例えば、プロドラッグは、経皮パッチ剤のリザーバー中に適当な酵素または化学試薬と共に配置されると、本明細書中に開示する化合物にゆっくり転換することができる。
【0042】
本明細書中に開示する一定の化合物は、非溶媒和形態ならびに溶媒和形態(水和形態を包含する)で存在できる。一般には、溶媒和形態は、非溶媒和形態と等価であり、本明細書中に開示する範囲内に包含される。本明細書中に開示する一定の化合物は、複数の結晶性または非晶質の形態で存在してもよい。一般には、全ての物理的形態は、本明細書中に開示する、企図される使用について等価である。
【0043】
本明細書中に開示する一定の化合物は、不斉炭素原子(光学的中心)または二重結合を有する。すなわち、ラセミ化合物、ジアステレオマー、互変異性体、幾何異性体および個々の異性体。本明細書中に開示する化合物には、不安定すぎて合成および/または単離できないことが当技術分野で公知であるものは含まれない。
【0044】
本明細書中に開示する化合物は、当該化合物を構成する原子の1つまたは複数で、非天然の割合の、原子の同位元素を含有することもできる。例えば、本化合物は、放射性同位元素(例えば、三重水素(3H)、ヨウ素125(125I)または炭素14(14C)など)で放射性標識されていてもよい。本明細書中に開示する化合物の全ての同位体のバリエーションは、放射性であるか否かによらず、本開示の範囲内に包含される。
【0045】
本明細書中で提供される化合物の置換分が「Rで置換されている」(例えば、R1で置換されている)場合、該置換分は、適切なものとして名前を挙げたR基(例えばR1)の1つまたは複数で置換されていることを意図している。いくつかの実施形態では、該置換分は、名前を挙げたR基のうち1つのみで置換されている。
【0046】
用語「処置すること」または「処置」は、傷害、病態または状態の処置または回復の成功の任意の兆候を指し、そのような兆候としては、以下などの任意の客観的または主観的なパラメーターが挙げられる:緩和;寛解;症状の減少、または、該傷害、病態または状態を患者にとってより耐えられるようにすること;変性または衰弱の速度の遅延化;変性の最終点の消耗度を低くすること;患者の物理的または精神的な満足を高めること。症状の治療または回復は、理学的な検査、神経精神医学的な検査、および/または精神医学的な評価の結果を含め客観的または主観的なパラメーターに基づくものであってもよい。例えば、本明細書中で提示する一定の方法は、その成長を阻害しおよび/または癌の寛解をもたらす形で癌の発生率を減少させることにより、癌を首尾よく処置する。
【0047】
「有効量」は、該疾患の1つもしくは複数の症状の治療、予防もしくは低下に寄与するだけ十分な、または、本化合物がない場合に比べアミロイドの効果を阻害するだけ十分な、本明細書中に記載する化合物の量である。疾患処置に関して言う場合、「有効量」は「治療有効量」と呼ぶこともできる。1つもしくは複数の症状の「低下」(および、この語句と文法的に等価なもの)は、1つもしくは複数の症状の重症性または頻度を減少させること、または1つもしくは複数の症状の消失を意味する。薬物の「予防有効量」は、被験体に投与された際に、意図された予防効果、例えば、疾患を予防するまたは疾患の発症(もしくは再発)を遅らせる効果、または疾患もしくはその症状の発症(もしくは再発)の可能性を低下させる効果を有すると思われる薬物の量である。完全な予防効果は、1回用量の投与により必ずしも生じず、一連の用量の投与後にのみ生じることがある。したがって、予防有効量は、1回または複数回の投与で投与してもよい。「活性減少量」は、本明細書中で使用する場合、その拮抗剤がない場合に比べ、酵素の活性を減少させるのに必要な拮抗剤の量を指す。「機能妨害量」は、本明細書中で使用する場合、その拮抗剤がない場合に比べ、破骨細胞または白血球の機能を妨害するのに必要な拮抗剤の量を指す。
【0048】
II.アミロイド結合化合物
一態様では、1つもしくは複数のアミロイドおよび/または1つもしくは複数のアミロイドペプチドと会合する化合物が提供される。いくつかの実施形態では、本化合物は、式(I)の構造を有する:
【0049】
【化2】
。
【0050】
式Iにおいて、「EDG」は、電子供与体基である。「πCE」は、π共役エレメントである。「WSG」は、水溶性基である。
【0051】
いくつかの実施形態では、EDGは、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、置換されているアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、置換されているヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、R1で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないアリール、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。いくつかの実施形態では、EDGは、R1で置換されているアルキル、R1で置換されているシクロアルキル、R1で置換されているヘテロアルキル、R1で置換されているヘテロシクロアルキル、R1で置換されているアリール、R1で置換されているヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−CONR4R5、−NR4R5、−SR6または−PR7R8である。
【0052】
いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−CN、−OR9、−CONR10R11、−NR10R11、−SR9、−SOR9、−SO2R9、−COR9、−COOR9、−NR10COR9、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−CN、−OR9、−CONR10R11、−NR10R11、−SR9、−SOR9、−SO2R9、−COR9、−COOR9、−NR10COR9、R12aで置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12aで置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、ハロゲン、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1は、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールと結び付いているとき、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R1は、少なくとも1個のヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R1は、−OR9または−NR10R11である。いくつかの実施形態では、R1は−NR10R11である。
【0053】
一定の実施形態では、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は、独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0054】
いくつかの実施形態では、R9、R10およびR11は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R9、R10およびR11は、独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R10とR11とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。一定の実施形態では、R10とR11とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0055】
R12およびR12aは独立に、ハロゲン、−CN、−SR13、−SOR13、−SO2R13、−OR13、−NR14R15、−COR15、−COOR15、CONR14R15、−NR14COR15、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12およびR12aは、独立に、ハロゲン、−CN、−SR13、−SOR13、−SO2R13、−OR13、−NR14R15、−COR15、−COOR15、CONR14R15、−NR14COR15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R12は、−OR13、−NR14R15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。
【0056】
R13、R14およびR15は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は、独立に、水素、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は独立に、水素、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R13、R14およびR15は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0057】
R16は、ハロゲン、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−COH、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。
【0058】
いくつかの実施形態では、R12は、−OR13または−NR14R15である。いくつかの実施形態では、R12aは、−OR13または−NR14R15である。いくつかの実施形態では、R12aがR1置換分の一部を形成する場合(例えば、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールである場合)、R12aは、ヘテロ原子を含む。いくつかの実施形態では、R12aがR1置換分の一部を形成する場合(例えば、R1がアルキル、シクロアルキルまたはアリールである場合)、R12aは、−OR13または−NR14R15である。
【0059】
いくつかの実施形態では、R4およびR5は独立に、水素、またはR12で置換されているもしくは置換されていないアルキルである。いくつかの実施形態では、R4およびR5は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルを形成する。R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、R12で置換されているもしくは置換されていないピペリジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないモルホリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないテトラヒドロフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないテトラヒドロチエニル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないピペラジニルであってもよい。いくつかの実施形態では、R12は、R16で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。R16は、置換されていないC4〜C8ヘテロシクロアルキルであってもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールは、R12で置換されているもしくは置換されていないプリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリジニル(例えば、1H−ピロロ[2,3−b]ピリジニル)、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないインダゾリル(例えば、1H−インダゾリル)、またはR12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリミジニル(例えば、7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジニル)であってもよい。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないピロロピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないインドリル、R12で置換されているもしくは置換されていないピラゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないインダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないチアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾチアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンズイミダゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないイソオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンズイソオキサゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないトリアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾトリアゾリル、R12で置換されているもしくは置換されていないキノリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイソキノリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないキナゾリニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリミジニル、R12で置換されているもしくは置換されていないピリジニルN−オキシド、R12で置換されているもしくは置換されていないフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないチオフェニル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾフラニル、R12で置換されているもしくは置換されていないベンゾチオフェニル、R12で置換されているもしくは置換されていないイミダゾピリダジニル(例えば、イミダゾ[1,2b]ピリダジニル)を形成する。いくつかの実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていない6,5縮合環ヘテロアリール、R12で置換されているもしくは置換されていない5,6縮合環ヘテロアリール、R12で置換されているもしくは置換されていない5,5縮合環ヘテロアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていない6,6縮合環ヘテロアリールを形成する。他の実施形態では、R4とR5とは、一緒になって、少なくとも2個(例えば、2から4個)の環窒素を有する、R12で置換されているもしくは置換されていない5または6員のヘテロアリールを形成する。
【0061】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−または−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有する。L1、L2、L3およびL4は独立に、結合、または、以下の式を有する連結基である:
【0062】
【化3】
。前記の式において、記号xは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から3の整数である。いくつかの実施形態では、xは、整数1である。R17aおよびR17bは独立に、水素、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17aおよびR17bは独立に、水素、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。
【0063】
A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。記号qおよびrは独立に、0または1である。
【0064】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−を有する。一定の実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1およびA2は、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。一定の実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1およびA2は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、L1、L2およびL3は結合であり、A1およびA2は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qは1であり、rは0である。
【0065】
いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、式:−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有する。いくつかの実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2およびL4は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1、A2およびA3は、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、L1およびL3は結合であり、L2およびL4は連結基(先に定義したまたは以下に定義するとおり)であり、A1、A2およびA3は、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、qおよびrは1である。いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、パイ共役エレメントは、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、置換されているもしくは置換されていないフェニレン、または置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。
【0066】
一定の実施形態では、本明細書中に開示する化合物は、アミロイドと結合すると蛍光の増加を呈することができる。一定の実施形態では、パイ共役エレメントは、アミロイドと結合するとき、平面配向または実質的に平面配向の状態である。いくつかの実施形態では、EDGから供与される負電荷は、本明細書中の化合物の蛍光特性を高め、アミロイド(例えばアミロイドプラーク)の検出を改善することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、連結基(L1、L2、L3およびL4)は、以下の式を有する:
【0068】
【化4】
。記号xは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から5、1から3、2または1の整数である。いくつかの実施形態では、xは、1から3の整数である。いくつかの実施形態では、xは、整数1である。いくつかの実施形態では、L1、L2、L3およびL4は独立に、結合である。
【0069】
いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンである。一定の実施形態では、qおよびrは独立に、0または1である。いくつかの実施形態では、qは1であり、rは0である。いくつかの実施形態では、qは0であり、rは1である。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないフェニレン、または置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないフェニレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないフェニレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。いくつかの実施形態では、A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないナフチレンである。
【0070】
いくつかの実施形態では、R17は独立に、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は独立に、ハロゲン、−CN、−OR18、−CONR19R20、−NR19R20、−SR18、−SOR18、−SO2R18、−COR18、−COOR18、−NR19COR20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は、−OR18、−NR19R20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R17は、R21で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。
【0071】
R18、R19およびR20は独立に、ハロゲン、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。R18、R19およびR20は独立に、ハロゲン、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、ハロゲン、−CN、−OR22、−CONR23R24、−NR23R24、−SR22、−SOR22、−SO2R22、−COR22、−COOR22、−NR23COR24、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、ハロゲン、−CN、−OR22、−CONR23R24、−NR23R24、−SR22、−SOR22、−SO2R22、−COR22、−COOR22、−NR23COR24、R21aで置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21aで置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21aで置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであってもよい。いくつかの実施形態では、R21aは、ハロゲン、−NH2、−OH、−SH、−COOH、−COH、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである。R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0072】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、置換されているアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、または置換されているヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、R25で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないアリール、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、R25で置換されているアルキル、R25で置換されているヘテロアルキル、R25で置換されているシクロアルキル、R25で置換されているヘテロシクロアルキル、R25で置換されているアリール、R25で置換されているヘテロアリールである。
【0073】
R25は、ハロゲン、−CN、−OR26、−CONR27R28、−NR27R28、−SR26、−SOR26、−SO2R26、−COR26、−COOR26、−NR27COR28、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R25は、ハロゲン、−CN、−OR26、−CONR27R28、−NR27R28、−SR26、−SOR26、−SO2R26、−COR26、−COOR26、−NR27COR28、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R26、R27およびR28は独立に、水素、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R26、R27およびR28は独立に、水素、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。一定の実施形態では、R27とR28とは、場合により一緒になって、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。一定の実施形態では、R27とR28とは、場合により一緒になって、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成する。
【0074】
R29は、ハロゲン、−CN、−OR30、−CONR31R32、−NR31R32、−SR30、−SOR30、−SO2R30、−COR30、−COOR30、−NR31COR32、置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R29は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されているもしくは置換されていないアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されているもしくは置換されていないアリール、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリール、または置換されていないヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキルである。
【0075】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、分子の水溶性を増加させる部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、水溶性基は、ヘテロ原子(例えば、酸素)を含有する部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、ヘテロ原子は、酸素または窒素であってもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、以下の式を有するエチレングリコール部分である:
【0077】
【化5】
。いくつかの実施形態では、yは、1から50の整数である。いくつかの実施形態では、yは、1から10、1から20、1から30、または1から40の整数である。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0078】
いくつかの実施形態では、水溶性基は、R29で置換されているもしくは置換されていないC1〜C20(例えば、C1〜C10)アルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルである。いくつかの実施形態では、R29は−OHである。いくつかの実施形態では、水溶性基は、−(CH2)b−(CH2OH)−CH2OHであってもよく、bは、0から20、または0〜10の整数である。
【0079】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0080】
【化6】
。式IIaにおいて、qおよびrは独立に、0または1であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、A1、A2、R4、R5およびR29は、先に定義したとおりである。
【0081】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0082】
【化7】
。式IIbにおいて、qおよびrは独立に、0または1であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、L4、A1、A2、A3、R4、R5およびR29は、先に定義したとおりである。
【0083】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0084】
【化8】
。式IIIaにおいて、mは、0から4の整数であり、zは、0から4の整数であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。
【0085】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0086】
【化9】
。式IIIbにおいて、mは、0から6の整数であり、zは、0から6の整数であり、yは、1から10の整数である。L1、L2、L3、R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、zは0である。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、zは1である。
【0087】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0088】
【化10】
。式IVaにおいて、yは、1から10の整数であり、zは、0から4の整数である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0089】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0090】
【化11】
。式IVbにおいて、yは、1から10の整数であり、zは、0から6の整数である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。いくつかの実施形態では、mは0である。いくつかの実施形態では、zは0である。いくつかの実施形態では、mは1である。いくつかの実施形態では、zは1である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本化合物は、以下の構造を有する:
【0092】
【化12】
。式IVcにおいて、mは、0から4の整数であり、xは、1から10の整数であり、yは、1から10の整数であり、zは、0から4の整数である。いくつかの実施形態では、xは1であり、mおよびzは0である。R4、R5、R17およびR29は、先に定義したとおりである。いくつかの実施形態では、R29は−OMeである。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物において前述したそれぞれの置換されている基は、少なくとも1つの置換基で置換されている。より具体的には、いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物において前述した、それぞれの、置換されているアルキル、置換されているヘテロアルキル、置換されているシクロアルキル、置換されているヘテロシクロアルキル、置換されているアリール、置換されているヘテロアリール、置換されているアルキレン、置換されているヘテロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレン、置換されているもしくは置換されていないアリーレン、または置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンは、少なくとも1つの置換基で置換されている。他の実施形態では、これらの基のうち少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つのサイズの限定された置換基で置換されている。あるいは、これらの基のうち少なくとも1つまたは全ては、少なくとも1つの低級置換基で置換されている。
【0094】
本明細書中で提供される式の化合物の他の実施形態では、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C20アルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない2から20員のヘテロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC4〜C8シクロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない4から8員のヘテロシクロアルキレンである。
【0095】
あるいは、各置換されているもしくは置換されていないアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C7シクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキルは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキルであり、各置換されているもしくは置換されていないアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC1〜C8アルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない2から8員のヘテロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていないC5〜C6シクロアルキレンであり、各置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキレンは、置換されているもしくは置換されていない5から7員のヘテロシクロアルキレンである。
【0096】
いくつかの実施形態では、本明細書中で提供される式の化合物は、以下の表1に記載の化合物のうち1つまたは複数である:
【0097】
【表1−1】
【0098】
【表1−2】
【0099】
III.医薬組成物
別の態様では、本明細書中に開示する医薬組成物(すなわち、製剤)は、本明細書中に記載する化合物を、薬学的に許容される賦形剤(例えば、担体)と組み合わせて含むことができる。本医薬組成物は、本明細書中に開示する阻害剤の光学異性体、ジアステレオマーまたは薬学的に許容される塩を包む。例えば、いくつかの実施形態では、本医薬組成物は、本明細書中に開示する化合物、および、薬学的に許容される塩としてのクエン酸塩を含む。本医薬組成物中に含まれる本化合物は、前述のように担体部分と共有結合により結び付いていてもよい。あるいは、本医薬組成物中に含まれる本化合物は、担体部分と共有結合性に連結していない。
【0100】
「薬学的に許容される担体」は、本明細書中で使用する場合、医薬用賦形剤、例えば、経腸または非経口による施用に適した、活性剤と有害に反応しない薬学的、生理学的に許容される有機または無機の担体物質を指す。適当な薬学的に許容される担体としては、以下が挙げられる:水、塩溶液(リンゲル液など)、アルコール、油、ゼラチンおよび炭水化物(乳糖、アミロースまたはデンプンなど)、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース(hydroxymethycellulose)およびポリビニルピロリジン。そのような調製物は、滅菌し、必要に応じ、本明細書中に開示する化合物と有害に反応しない補助剤(滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色剤および/または芳香物質など)と混合することができる。
【0101】
本明細書中に開示する化合物は、被験体に、単独で投与でき、または、併用投与できる。併用投与は、本化合物を、個々にまたは組み合わせて(2つ以上の化合物)、同時または逐次的に投与することを包含することを意図したものである。調製物は、所望の際には、他の活性物質と組み合わせる(例えば、代謝分解を抑えるために)こともできる。
【0102】
A.製剤
本化合物は、多種多様な経口用、非経口用および局所用の剤形で調製および投与できる。したがって、本明細書中に開示する化合物は、注射により(例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、十二指腸内または腹腔内に)投与できる。また、本明細書中に記載する化合物は、吸入により、例えば鼻腔内に投与できる。加えて、本明細書中に開示する化合物は、経皮投与できる。多数の投与経路(例えば、筋肉内、経口、経皮)を用いて、本明細書中に開示する化合物を投与することができることも想定される。したがって、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤と、1つまたは複数の本明細書中に開示する化合物とを含むことができる。
【0103】
本明細書中に開示する化合物から医薬組成物を調製するには、薬学的に許容される担体は、固体または液体のいずれであってもよい。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェー剤、坐剤および分散性の顆粒剤が挙げられる。固体担体は、賦形剤、香味剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤、または封入材料としても作用し得る1つまたは複数の物質であってもよい。
【0104】
散剤においては、担体は、微粒子状の活性成分との混合物中の微粒子状の固体である。錠剤においては、活性成分を、必要な結合特性を有する担体と適当な割合で混合し、所望の形状およびサイズに圧縮する。
【0105】
散剤および錠剤は、好ましくは、5%から70%の活性化合物を含有する。適当な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどである。用語「調製」は、活性化合物を、担体としての封入材料と共に製剤化して、他の担体の有無によらず、中で活性成分が担体に取り巻かれることにより担体が活性成分と会合しているカプセルを提供することを含むことを意図している。同様に、カシェー剤およびロゼンジ剤も含まれる。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェー剤およびロゼンジ剤は、経口投与に適した固体剤形として使用できる。
【0106】
坐剤を調製するには、低融点ワックス(脂肪酸グリセリドの混合物など)またはココアバターをまず融解させ、撹拌などにより、活性成分をその中に均一に分散させる。次に、この溶融した均一な混合物を、手頃なサイズの型に注ぎ、冷却させ、それにより固める。
【0107】
液体形態の調製物としては、溶液剤、懸濁剤および乳剤、例えば、水溶液剤または水/プロピレングリコール溶液剤が挙げられる。非経口の注射剤用には、液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液剤の形態で製剤化できる。
【0108】
非経口的な用途が必要または所望の際は、本明細書中に開示する化合物にとってとりわけ適当な混合物は、注射用の滅菌済の溶液剤、好ましくは油性または水性の溶液剤、ならびに、懸濁剤、乳剤または埋込剤(坐剤を包含する)である。とりわけ、非経口投与用の担体としては、以下が挙げられる:デキストロース水溶液、生理食塩水、純水、エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、ピーナッツ油、ゴマ油、ポリオキシエチレンブロックポリマーなど。アンプルは、便利な単位剤形である。本明細書中に開示する化合物を、リポソーム中に組み込むか、または、経皮用のポンプまたはパッチ剤を介して投与することもできる。本発明における使用に適した医薬混合物としては、例えば、Pharmaceutical Sciences(第17版、Mack Pub. Co.、Easton、PA)およびWO96/05309に記載されているものが挙げられ、これらの両文献の教示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0109】
経口使用に適した水溶液剤は、活性成分を水に溶解し、所望により、適当な着色料、香味料、安定化剤および増粘剤を加えることにより調製できる。経口使用に適した水性懸濁剤は、微粒子状の活性成分を、粘性の材料(天然または合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど)および他の周知の懸濁化剤と共に水に分散させることにより作製できる。
【0110】
さらに、使用の直前に経口投与用の液体形態の調製物に転換させるように意図されている固体形態の調製物も包含される。そのような液体形態としては、溶液剤、懸濁剤および乳剤が挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加え、着色料、香味料、安定化剤、緩衝剤、人工および天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0111】
本医薬調製物は、好ましくは単位剤形である。そのような形態においては、該調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量にさらに分けられる。この単位剤形は、パッケージ化された調製物であってもよく、このパッケージは、不連続量の調製物(バイアルまたはアンプル中の小分けされた錠剤、カプセル剤および散剤など)を含有する。また、この単位剤形は、それ自体がカプセル剤、錠剤、カシェー剤もしくはロゼンジ剤であってもよく、または、適切な数のこれらの任意のものがパッケージ化形態になったものであってもよい。
【0112】
単位用量の調製物中の活性成分の量は、活性成分の特定の用途および効力により、変化させてもよく、または、0.1mgから10000mg、より典型的には1.0mgから1000mg、最も典型的には10mgから500mgに調節してもよい。本組成物は、必要に応じ、他の適合性の治療剤を含有することもできる。
【0113】
化合物によっては、水への溶解性が限られている場合があることから、本組成物中で界面活性剤または他の適切な共溶媒が必要となる場合がある。そのような共溶媒としては、以下が挙げられる:Polysorbate20、60および80;Pluronic F−68、F−84およびP−103;シクロデキストリン;ならびにポリオキシル35ヒマシ油。そのような共溶媒は、典型的には、約0.01重量%から約2重量%の間のレベルで用いられる。
【0114】
製剤の分配におけるばらつきを減少させ、製剤の懸濁液または乳濁液の構成成分の物理的な分離を減少させ、および/または、他の形で製剤を改善するために、単純な水溶液の粘性を超える粘性が望ましい場合がある。そのような粘性増加剤としては、例えば、以下が挙げられる:ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、およびその塩、ヒアルロン酸およびその塩、ならびに前記のものの組合せ。そのような薬剤は、典型的には、約0.01重量%から約2質量%の間のレベルで用いられる。
【0115】
本明細書中に開示する組成物は、加えて、持続放出および/または快適性をもたらす構成成分を含んでもよい。そのような構成成分としては、高分子量の、陰イオン性の粘液模倣性ポリマー、ゲル化用の多糖、および微粒子状の薬物担体基材が挙げられる。これらの構成成分は、米国特許第4,911,920号、同第5,403,841号、同第5,212,162号および同第4,861,760号において、より詳細に考察されている。これらの特許の全体の内容は、目的の如何によらず、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0116】
B.有効な投与量
本明細書中で提供される医薬組成物は、活性成分が治療有効量で、すなわち、その意図される目的を達成するのに有効な量で含有される組成物を包含する。特定の施用に有効な実際の量は、とりわけ、治療対象となる状態によって決まるであろう。例えば、癌を処置する方法において投与される際、当該組成物は、所望の結果(例えば、被験体における癌細胞の数を減少させること)を達成するのに有効な活性成分量を含有するであろう。
【0117】
投与される化合物の投与量および頻度(単回投与または複数回投与)は、以下を包含するさまざまな因子に応じて変化させることができる:投与経路;被投与者のサイズ、年齢、性別、健康状態、体重、体格指数および食餌;治療対象となる疾患の性質およびその症状の程度;他の疾患または他の健康に関係する問題の存在;併用される処置の種類;ならびに、任意の疾患または処置レジメンに由来する合併症。他の治療レジメンまたは薬剤は、本明細書中に開示する方法および化合物と併せて使用できる。
【0118】
本明細書中に記載する任意の化合物については、治療有効量は、当技術分野で公知のように、最初に細胞培養アッセイから決定できる。
【0119】
ヒトにおける使用のための治療有効量は、動物モデルから決定してもよい。例えば、ヒトのための用量は、動物において有効であることが見出されている濃度を達成するように製剤化できる。
【0120】
投与量は、患者の必要量および用いられている化合物に応じて変化させてもよい。患者に投与される用量は、時間の経過に伴い患者において有益な治療応答をもたらすだけ十分なものであるべきである。用量のサイズは、有害な副作用がある場合には、その存在、性質および程度によっても決定されよう。一般に、処置は、化合物の最適用量を下回る、比較的少ない投与量で開始される。その後、状況下での最適効果に達するまで、投与量を少しずつ増加させる。一実施形態では、投与量範囲は、0.001%w/vから10%w/vである。別の実施形態では、投与量範囲は、0.1%w/vから5%w/vである。
【0121】
投与の量および間隔は、投与される化合物のレベルが、治療対象となる特定の臨床適応症に有効なものとなるように、個々に調節できる。これにより、個体の疾患状態の重症性に見合う治療レジメンが得られよう。
【0122】
本明細書中で提供される教示を利用して、実質的な毒性を生じさせることはないが特定の患者が示す臨床症状を処置するのに十分に有効である、有効な予防的または治療的な処置レジメンを計画できる。この計画には、化合物の効力、相対的バイオアベイラビリティー、患者の体重、有害な副作用の存在および重症性、好ましい投与様式、ならびに、選択される薬剤の毒性プロファイルなどの因子を考慮することにより、活性化合物を慎重に選ぶことが含まれるべきである。
【0123】
C.毒性
特定の化合物についての毒性と治療効果との間の比が、その治療指数であり、LD50(集団の50%において死をもたらす化合物の量)とED50(集団の50%において有効な化合物の量)との間の比として表現することができる。高い治療指標を呈する化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび/または動物試験から得られる治療指数データは、ヒトにおいて使用するための範囲の投与量の製剤化に使用できる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、ED50を含み毒性がほとんどまたは全くない血漿濃度範囲内にある。投与量は、用いられる剤形および利用される投与経路により、この範囲内で変化させてもよい。例えば、Finglら、記載先:THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS、第1章、1頁、1975年を参照のこと。実際の製剤、投与経路および投与量は、患者の条件、および、化合物が使用される具体的な方法を勘案して、個々の医師が選ぶことができる。
【0124】
IV.使用方法
一態様では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドを検出する方法が提供される。検出方法は、分光学的な方法(すなわち、紫外可視法、蛍光法など)、放射線撮影法、および、当技術分野で公知の他の検出方法を用いることができる。一実施形態では、この方法は、本明細書中に記載するとおりの化合物をアミロイドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成し、本明細書中に記載されており当技術分野で公知のように、該検出可能なアミロイド複合体を検出することを包む。「アミロイド複合体」を、本明細書中では、本明細書中に記載する化合物と少なくとも1つのアミロイドペプチド(例えば、アミロイドペプチドの凝集体)との複合体と呼ぶ。本明細書中に記載する化合物は、非共有結合性の相互作用(例えば、疎水性相互作用または水素結合)などのさまざまな相互作用により、アミロイドとの複合体を形成できる。
【0125】
本明細書中に記載するアミロイドは、少なくとも1つのアミロイドペプチド分子で構成されていてもよい。アミロイドペプチドを、本明細書中では、他のペプチドまたはタンパク質と会合してアミロイドの一部を形成できるまたはアミロイドを形成する能力のあるペプチドまたはタンパク質と呼ぶ。本明細書中に記載するアミロイドは、アミロイドを形成することが公知である任意のアミロイドペプチドまたはアミロイドタンパク質で構成されていてもよい。いくつかの実施形態では、アミロイドは、複数のアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドペプチド分子を包含する。いくつかの実施形態では、アミロイドは、1つまたは複数のアミロイドペプチド分子と凝集しているアミロイドペプチド分子を包含する。
【0126】
いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドは、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼを包含できる。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドは、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼの一部またはそれらの機能的な断片を包含できる。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドおよび/またはアミロイドは、溶液中で溶媒和させて、本明細書中に記載する化合物のうち1つまたは複数と結合させることができる。いくつかの実施形態では、アミロイドは、本明細書中に記載する化合物の結合を可能にできるβシートの形で配列されたアミロイドペプチドを包含する。一定の実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、疎水性相互作用によりアミロイドと結合および相互作用すると、蛍光の増加(自由溶液と比較して)を呈する。
【0127】
別の態様では、本明細書中で提供される方法は、本発明の化合物をアッセイして、該化合物のアミロイドおよび/またはアミロイドペプチドとの結合を検出する方法を包含する。当技術分野で公知の手法および本明細書中で提供される手引きを用いて、候補化合物を、アミロイドと結合する能力について容易にアッセイできる。例えば、本明細書中で提供される式の構造またはその実施形態を有するアミロイド結合剤は、in vitroアッセイを用いてアッセイしてもよい。いくつかの実施形態では、in vitroアッセイは、アミロイドと結合しているときと、これに対し自由溶液中でアミロイドと結合していないときとの本発明の化合物の蛍光を測定することを含むことができる。一般に、蛍光の増加は、アミロイドと結合していることを示唆している。本発明の化合物の結合定数も、当技術分野で公知の手法を用いて決定できる。例えば、競合結合試験を用いて、本明細書中に記載する化合物の有効性を、例えばIgG−Aβペプチド相互作用の阻害について定量できる。細胞アッセイは、本明細書中で提供される式の構造またはその実施形態を有するアミロイド結合剤候補の結合特性を調べるために使用することもできる。細胞アッセイには、植物細胞および動物細胞(哺乳動物細胞など)を含め任意の適切な供給源由来の細胞が含まれる。細胞アッセイは、ヒト細胞において行うこともできる。適切なアッセイ方法の選択は、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0128】
in vitroおよび/または細胞中でアミロイドを結合する能力のある化合物が旦同定されたら、それらの化合物を、動物モデル(例えば、動物個体、動物器官または動物組織)においてアミロイドを選択的に結合する(例えば、アミロイドプラーク中で)能力についてさらにテストしてもよい。したがって、本明細書中に記載する化合物は、細胞モデルまたは動物モデルにおいて、特定のアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドに関係する表現型における検出可能な変化を生じさせる能力についてさらにテストしてもよい。細胞培養に加え、動物モデルは、本明細書中に記載する化合物を、例えば、動物モデルにおけるアミロイドに関連する疾患を処置する能力についてテストするために使用してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する化合物は、動物組織におけるアミロイドを画像化するために使用できる。いくつかの実施形態では、動物組織はヒト組織である。
【0129】
さらなる一態様では、当該処置を必要とする被験体におけるアミロイドペプチドおよび/またはアミロイドに関連する疾患を処置する方法が提供される。いくつかの実施形態では、該疾患は、被験体におけるアミロイド(例えば、アミロイドプラーク)の蓄積を特徴とするものであってもよい。この方法は、有効量(例えば、治療有効量)の、本明細書中で提供される式の構造(または前述のとおりのその一実施形態)を有する化合物を被験体に投与することを含むことができる。
【0130】
用語「被験体」は、本明細書中で使用する場合、医薬組成物または製剤が投与される哺乳動物を指す。例示的な被験体としては、以下が挙げられる:ヒト、ならびに飼育動物および実験動物(ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスおよび水生の哺乳動物など)。いくつかの実施形態では、被験体は、ヒトである。
【0131】
いくつかの実施形態では、疾患は、以下を包含できる:アルツハイマー病、ウシ海綿状脳症(BSE)、パーキンソン病、ハンチントン病、ダウン症候群、レビー小体型認知症または筋萎縮性側索硬化症(ALS)。いくつかの実施形態では、アミロイドペプチドはAβペプチドであり、疾患はアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する処置の方法としては、アルツハイマー病を処置する方法が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書中に記載する処置の方法としては、パーキンソン病を処置する方法が挙げられる。
【0132】
各特許、公開された特許出願、および本明細書中で引用する参考文献は、目的の如何によらず、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0133】
V.実施例
(実施例1)
本明細書および実施例1a〜1mに記載の化合物の調製のための一般的な手順。20mlのTHF中のアルデヒド(5.0mmol)と2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノアセテート(5.5mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、0.50mmolのピペリジンを加え、この混合物を50℃で加熱した。反応は、TLCによりモニターし、21時間以内に完了した。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10〜30%酢酸エチル、ヘキサン中)により精製した。
【0134】
全般的な注釈:全ての試薬は、最高の商業的品質のものを入手し(Aldrich、Acros)、特に言及する場合を除き、さらに精製せずに使用した。空気および水分に敏感な液体および溶液は、注射器またはステンレス鋼カニューレを介して移した。有機溶液を回転蒸発により、45℃未満、およそ20mmHgで濃縮した。全ての非水反応は、無水条件下で実施した。収率は、特に明記しない限り、クロマトグラフィーおよび分光法(1H NMR、13C NMR)を用いることによる均一な材料について言う。反応は、0.25mmのE.Merckのシリカゲルプレート(60F−254)上で実施する薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターし、紫外線下で可視化し、および/または、リンモリブデン酸(PMA)またはp−アニスアルデヒドの10%エタノール溶液に浸漬して熱を加えることにより、生じさせた。フラッシュクロマトグラフィーにはE.Merckシリカゲル(60、粒子サイズ0.040〜0.063mm)を使用した。分取用薄層クロマトグラフィーによる分離を、0.25mmまたは0.50mmのE.Merckのシリカゲルプレート(60F−254)上で実施した。NMRスペクトルは、Varian Mercury300または400MHzの装置で記録し、残留している非重水素化溶媒を内部基準として用いて較正した。多重度を説明するために、以下の略語を使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=幅広い。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、電子スプレーイオン化(ESI)または電子衝突(EI)条件下にてVG7070HS質量分析計で記録した。蛍光分光法データは、25℃にてMD−5020 Photon Technology International Spectrophotometerで記録した。
【0135】
本明細書中に記載する化合物の合成に重要なのは、1当量の適切なアルデヒド(例えば6)を、1.1当量の適切なマロン酸誘導体(例えば7)とクネーフェナーゲル縮合させることであった。スキーム1を参照のこと。この反応は、ピペリジン(10%)により触媒させ、還流THF中で21時間以内に完了させた。X. H. Chen、Z. J. Zhao、Y. Liu、P. Lu、Y. G. Wang、Chemistry Letters、2008年、37巻、570〜571頁;M. A. Haidekker、T. P.Brady、D. Lichlyter、E. A. Theodorakis、Journal of theAmerican Chemical Society、2006年、128巻、398〜399頁を参照のこと。シリカゲル上での標準的なクロマトグラフィーによる精製の後、所望の生成物8が優れた収率で単離された(表2)。スキーム1のための試薬および条件:(a)1.0当量の6、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間。
【0136】
【化13】
【0137】
【表2】
【0138】
ナフタレンベースの化合物11を、市販のメトキシナフトアルデヒド9を8当量のリチオ化したピペリジンで処理し、その結果得られるアルデヒド10をシアノエステル7とクネーフェナーゲル縮合させることにより合成した(スキーム2、総収率29%)。H. M. Guo、F. Tanaka、J. Org. Chem.、2009年、74巻、2417〜2424頁を参照のこと。スキーム2の試薬および条件:(a)8.0当量の、ベンゼン中のピペリジン/HMPA:1/1、0℃、8.0当量のnBuLi、0℃、15分、次いで1.0当量の9、25℃、12時間、35%、(b)1.0当量の10、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、82%。いくつかの実施形態では、R4、R5およびR16は、前述のR4、R5およびR16と一致することがある。
【0139】
【化14】
【0140】
化合物14は、アルデヒド6aをα−シアノエステル12と縮合させ、次いで、アセトニド単位の、酸を触媒とした脱保護を行うことにより、調製した(スキーム3、総収率68%)。M. A. Haidekker、T. P. Brady、S. H. Chalian、W. Akers、D.Lichlyter、E. A. Theodorakis、Bioorg. Chem.、2004年、32巻、274〜289頁を参照のこと。スキーム3の試薬および条件:(a)1.0当量の6a、1.1当量の12、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、91%、(b)1.5mmolの13、0.10gのDOWEX−H+、1:1のTHF/MeOH、25℃、20時間、75%。
【0141】
【化15】
【0142】
スチルベンベースの化合物19を、以下を含む4つのステップで合成した:(a)臭化ベンジル15からホスホネート16への変換、(b)16をアルデヒド6aとホーナー−エモンズオレフィン化させて17を形成する、(c)臭化物17をリチオ化させてからホルミル化させて、アルデヒド18を生成させる、(d)その結果得られるアルデヒド18をシアノエステル7とクネーフェナーゲル縮合させる(スキーム4、総収率42%)。H. Meier、E. Karpuk、H. C. Holst、Eur. J. Org. Chem.、2006年、2609〜2617頁;L. Viau、O. Maury、H. LeBozec、Tetrahedron Lett.、2004年、45巻、125〜128頁を参照のこと。スキーム4の試薬および条件:(a)1.0当量の15、15当量の亜リン酸トリエチル、90℃、19時間、98%、(b)1.0当量の16、1.0当量のNaOMe、1.0当量の6a、過剰なDMF、25℃、24時間、74%、(c)1.0当量の17、1.0当量のn−BuLi、1.33当量のDMF、THF、−78℃、60%、(d)1.0当量の18、1.1当量の7、0.1当量のピペリジン、THF、50℃、21時間、97%。スキーム4におけるR1およびR2は、スキーム4独自のものであり、前述のR1およびR2と一致することを意図したものではない。
【0143】
【化16】
【0144】
(実施例1a)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(8a)。98%;黄色の固体;
【0145】
【化17】
【0146】
(実施例1b)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)−2−メトキシフェニル)アクリレート(8b)。収率98%;黄色の固体;
【0147】
【化18】
【0148】
(実施例1c)
(Z)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(4−(ジエチルアミノ)フェニル)アクリレート(8c)。収率90%;橙色の液体;
【0149】
【化19】
【0150】
(実施例1d)
(Z)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノ−3−(4−(ジブチルアミノ)フェニル)アクリレート(8d)。収率78%;黄色の液体;
【0151】
【化20】
【0152】
(実施例1e)
6−(ピペリジン−1−イル)−2−ナフトアルデヒド(10)。ベンゼン(3mL)、HMPA(3mL)およびピペリジン(1.65ml、16.7mmol)の入った50ml丸底フラスコに、n−BuLi(1.6M、ヘキサン中、10.4mL、16.7mmol)を、注射器を介して0℃で加えた。15分間撹拌後、反応混合物を、1:1のベンゼン:HMPA(2ml)中の6−メトキシ−2−ナフトアルデヒド(390mg、2.09mmol)の溶液で処理した。反応混合物を室温に温め、12時間撹拌したままにしてから、低温の5%NaCl水溶液(30ml)中に注いだ。この混合物をジエチルエーテルで抽出し(3×20mL)、MgSO4で乾燥させ、濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィー(20%EtOAc、ヘキサン中)により精製すると、化合物9が得られた。9:収率35%、黄色の固体;
【0153】
【化21】
【0154】
(実施例1f)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノ−3−(6−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−2−イル)アクリレート(11)。収率82%;赤色の液体;
【0155】
【化22】
【0156】
(実施例1g)
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノアセテート(12)。2−シアノ酢酸(1.02g、12mmol)の溶液に、5mlのDCM中のアセタール(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メタノール(1.32g、10mmol)およびDMAP(61mg、0.50mmol)を0℃で滴加した。最後に、EDC1.86g(12mmol)を加え、反応混合物を0℃で6時間撹拌した。反応物を15mLのDCMで希釈し、形成されたDCUを濾過により除去した。濾液を無水のMgSO4で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(Hex:EtOAc、10:1)により精製すると、化合物12が得られた。12:収率71%、無色の液体;
【0157】
【化23】
【0158】
(実施例1h)
(E)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(13)。20mlのTHF中のアルデヒド6a(0.75g、5.0mmol)と化合物12(1.2g、5.5mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、0.50mmolのピペリジンを加え、この混合物を50℃で加熱した。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(10〜30%酢酸エチル、ヘキサン中)により精製すると、化合物13が得られた。13:収率91%;黄色の固体;
【0159】
【化24】
【0160】
(実施例1i)
(E)−2,3−ジヒドロキシプロピル2−シアノ−3−(4−(ジメチルアミノ)フェニル)アクリレート(14)。化合物13(0.5g、1.5mmol)をTHF/MeOH(1:1)の混合物に溶解し、DOWEX−H+樹脂(0.10g)を加え、この不均一な混合物を20時間撹拌した。DOWEX−H+樹脂を濾過により除去し、トリエチルアミン(50mg、0.5mmol)を加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィー(100%エーテル)により精製すると、化合物14が得られた。14:収率75%;明るい黄色の固体;
【0161】
【化25】
【0162】
(実施例1j)
ジエチル4−ブロモベンジルホスホネート(16)。1−ブロモ−4−(ブロモメチル)ベンゼン(5.0g、20mmol)および亜リン酸トリエチル(51mL、300mmol)を丸底フラスコ中で混合し、90℃で19時間還流させた。過剰な亜リン酸トリエチルを減圧下で除去し、生成物をフラッシュクロマトグラフィー(1:1のヘキサン/EtOAc)により精製すると、化合物16が得られた。16:収率98%;無色の液体;
【0163】
【化26】
【0164】
(実施例1k)
(E)−4−(4−ブロモスチリル)−N,N−ジメチルアニリン(17)。DMF(無水)(10.5mL)をナトリウムメトキシド(176mg、3.26mmol)に加えると、色がピンク色に変化した。前記の溶液に、DMF(6.5ml)中のジエチル4−ブロモベンジルホスホネート(1.0g、3.26mmol)を2分かけて、次いで4(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド(486mg、3.26mmol)を滴加した。反応混合物を室温で24時間撹拌した。脱イオン水(17mL)を加えた。生成物を、真空濾過により濾過して取り出し、DCM/ヘキサンで再結晶化させると、化合物17が得られた。17:収率74%;淡褐色の固体;
【0165】
【化27】
【0166】
(実施例1l)
4−(4−(ジメチルアミノ)スチリル)ベンズアルデヒド(18)。丸底フラスコに化合物17(300mg、1mmol)、次いでTHF(5mL)を移した。この不均一な溶液を−78℃で冷却し、n−BuLi(1.6M、ヘキサン中、1mmol)を5分かけて、次いでDMF(1.5mL)を、滴加した。反応混合物を、−78℃で3時間撹拌してから水(1mL)によりクエンチし、この混合物をエーテルで抽出した(2×25mL)。有機抽出物を合わせたものをブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、化合物18が得られた。18:収率60%;黄色の粉末;
【0167】
【化28】
【0168】
(実施例1m)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチルシアノ−3−(4−(4(ジメチルアミノ)スチリル)フェニル)アクリレート(19)。収率97%;赤色の固体;
【0169】
【化29】
【0170】
(実施例2)
化合物27〜33の化合物合成。本明細書中に記載する化合物の分析の結果を、以下の実施例2a〜2oに示す。
【0171】
全般的な注釈。全ての試薬は、最高の商業的品質のものを購入し、特に言及する場合を除き、さらに精製せずに使用した。空気および水分に敏感な液体および溶液は、注射器またはステンレス鋼カニューレを介して移した。有機溶液を回転蒸発により、45℃未満、およそ20mmHgで濃縮した。全ての非水反応は、無水条件下で実施した。収率は、特に明記しない限り、クロマトグラフィーおよび分光法(1H NMR、13C NMR)を用いることによる均一な材料について言う。反応を、0.25mmのDynamic Adsorbents,Inc.のシリカゲルプレート(60F−254)上で実施する薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターし、紫外線下で可視化し、および/または、リンモリブデン酸(PMA)の10%エタノール溶液に浸漬して熱を加えることにより、生じさせた。フラッシュクロマトグラフィーには、Dynamic Adsorbents,Inc.のシリカゲル(60、粒子サイズ0.040〜0.063mm)を使用した。NMRスペクトルは、Varian Mercury400、300および/またはUnity 500MHzの装置で記録し、残留している非重水素化溶媒を内部基準として用いて較正した。多重度を説明するために、以下の略語を使用した:s=一重線、d=二重線、t=三重線、q=四重線、m=多重線、b=幅広い。高分解能質量スペクトル(HRMS)は、電子スプレーイオン化(ESI)または電子衝突(EI)条件下にてVG7070HS質量分析計で記録した。
【0172】
本明細書中に記載する化合物(化合物27〜33を含む)の合成のための一般的な戦略をスキーム5に示す。市販のメチル6−ブロモナフタレン−2−カルボキシレート(20)を、以下の2つのステップで、対応するナフトアルデヒド21に変換させた:a)DIBALHを使用することによりエステルを第一級アルコールに還元させる、b)PCCで処理した後、このアルコールをアルデヒドに酸化させる。Granzhan, A.、Teulade-Fichou, M.-P.、Tetrahedron、2009年、65巻、(7号)、1349〜1360頁。臭化物を適切なアミンに転換させるには、収率を高め、より大きなスケールでこの方法を適用するために新規の化学を使用することが必要であった。ブッフバルト−ハートウィッグの条件を用いて、パラジウムの存在下で臭化物21を処理した結果、ほとんどの場合、アルデヒド22〜25が優れた収率で得られた。Guram, A. S.、Rennels, R. A.、Buchwald, S. L.、Angew.Chem. Int.、英語版、1995年、34巻、(12号)、1348〜1350頁;Wolfe, J. P.、Buchwald, S. L.、J. Org. Chem.、2000年、65巻、(4号)、1144〜1157頁;Hartwig, J. F.、Accounts Chem. Res.、2008年、41巻、(11号)、1534〜1544頁。アルデヒド22〜25と適切なシアノエステル26とのクネーフェナーゲル縮合により、最終的なプローブ27〜32の合成に至った。Sutharsan, J.、Lichlyter, D.、Wright, N. E.、Dakanali,M.、Haidekker, M. A.、Theodorakis, E. A.、Tetrahedron、2010年、66巻、(14号)、2582〜2588頁。酸性の樹脂を用いることによりプローブ32においてアセタールを脱保護すると、最終的な色素33が得られた。表3は、最終生成物のR、Xの組合せおよび縮合収率をまとめたものである。
【0173】
【化30】
【0174】
【表3】
(実施例2a)
6−ブロモ−2−ナフトアルデヒド(21)。DIBAL−H(1.0M、ヘプタン中、34mL、34mmol)の溶液に、アルゴン下で0℃にて、無水のTHF中の20(3.0グラム、11mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌させたままにした。完了したら、MeOH、次いで酒石酸ナトリウムカリウムの飽和溶液および酢酸エチルを加えた。2つの相を分離した後、有機相を塩化アンモニウムの飽和溶液およびブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮すると、6−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)ナフタレンが得られた。
【0175】
【化31】
【0176】
無水のCH2Cl2(60mL)中のクロロクロム酸ピリジニウム(2.4グラム、11mmol)の懸濁液に、無水のCH2Cl2中の前記アルコールの溶液を加え、反応物を還流下で5時間加熱した。完了したら、この反応物を室温に冷却し、ジエチルエーテル中に注いだ。次に、この溶液を、シリカのパッドを通して濾過し、減圧下で濃縮すると、21が得られた(2.4グラム、95%)。20:白色の固体;
【0177】
【化32】
【0178】
6−アミノ置換されているナフトアルデヒド(化合物22〜25)の合成のための一般的な手順。乾燥した脱気トルエン(0.8mL)中で、Pd(OAc)2(0.022mmol)およびP(tBu)3(0.078mmol)を加えた。20分間撹拌後、8(0.207mmol)、適切なアミン(0.249mmol)およびCs2CO3(0.280mmol)を加え、この反応物を3日間還流下で撹拌させたままにした。3日後、反応物を室温で冷却し、CH2Cl2で希釈し、濾過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/EtOAc、0〜10%)により精製した。
【0179】
(実施例2b)
6−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−2−カルバルデヒド(22)。収率70%;黄色の固体;
【0180】
【化33】
【0181】
(実施例2c)
6−モルホリノナフタレン−2−カルバルデヒド(23)。収率79%;黄色の固体;
【0182】
【化34】
【0183】
(実施例2d)
6−(4−メチルピペラジン−1−イル)ナフタレン−2−カルバルデヒド(24)。収率77%;黄色の固体;
【0184】
【化35】
【0185】
(実施例2e)
6−(2−モルホリノエチルアミノ)ナフタレン−2−カルバルデヒド(25)。収率33%;黄色の固体;
【0186】
【化36】
【0187】
2−シアノアセテート(26)の合成のための一般的な手順。2−シアノ酢酸(2.72mmol)の溶液に、CH2Cl2(2.5mL)中の適切なアルコール(2.27mmol)およびDMAP(0.013mmol)を0℃で滴加した。最後に、DCC(2.72mmol)を加え、反応混合物を0℃で6時間撹拌した。この反応物をCH2Cl2で希釈し、形成されたDCUを濾過により除去した。濾液をMgSO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、2−シアノアセテート7が得られた。
【0188】
(実施例2f)
2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノアセテート(26a)。収率86%;無色の液体;
【0189】
【化37】
【0190】
(実施例2g)
2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル−2−シアノアセテート(26b)。収率68%;無色の液体;
【0191】
【化38】
【0192】
(実施例2h)
(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル2−シアノアセテート(26c)。収率71%;無色の液体;
【0193】
【化39】
【0194】
蛍光プローブ27〜33の合成のための一般的な手順。THF(0.8mL)中のアルデヒド(0.21mmol)と適切な2−シアノアセテート(0.23mmol)との溶液の入った丸底フラスコに、ピペリジン(0.02mmol)を加え、この混合物を50℃で撹拌させたままにした。反応は、TLCによりモニターし、21時間以内に完了させた。粗混合物を減圧下で濃縮し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(10〜30%EtOAc、ヘキサン中)により精製した。
【0195】
(実施例2i)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(27)。収率90%;赤色の液体;
【0196】
【化40】
【0197】
(実施例2j)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(28)。収率85%;赤色の液体;
【0198】
【化41】
【0199】
(実施例2k)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−モルホリノナフタレン−6−イル)アクリレート(29)。収率83%;赤色の液体;
【0200】
【化42】
【0201】
(実施例2l)
(E)−2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル3−(2−(2−モルホリノエチルアミノ)ナフタレン−6−イル)−2−シアノ−アクリレート(30)。収率87%;赤色の液体;
【0202】
【化43】
【0203】
(実施例2lm)
(E)−2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(31)。収率89%;赤色の液体;
【0204】
【化44】
【0205】
(実施例2n)
(E)−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチル−2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(32)。収率83%;赤色の液体;
【0206】
【化45】
【0207】
(実施例2o)
(E)−2,3−ジヒドロキシプロピル2−シアノ−3−(2−(ピペリジン−1−イル)ナフタレン−6−イル)アクリレート(33)。化合物31(50ミリグラム、0.12mmol)を、THF/MeOH(1:1)の混合物に溶解し、DOWEX−H+樹脂(15ミリグラム)を加え、この不均一な混合物を20時間撹拌した。樹脂を濾過により除去し、トリエチルアミンを加え、溶媒を減圧下で除去した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製すると、化合物32が得られた。32:38ミリグラム、収率84%;赤色の液体;
【0208】
【化46】
【0209】
(実施例3)
検出および結合試験。
【0210】
化合物8a〜8d、11、14および18についての試験。いずれの化合物が、凝集したAβと会合できるかを決定するための最初の試験は、Aβ凝集体と混合する前および後のその蛍光スペクトルを比較することである。E. E. Nesterov、J. Skoch、B. T. Hyman、W. E.Klunk、B. J. Bacskai、T. M. Swager、Angew. Chem.、国際版、2005年、44巻、5452〜5456頁;Z. P. Zhuang、M. P. Kung、H. F. Kung、J. Med.Chem.、2006年、49巻、2841〜2844頁;Q. A. Li、J. S. Lee、C. Ha、C. B. Park、G. Yang、W. B. Gan、Y. T. Chang、Angew. Chem.、国際版、2004年、43巻、6331〜6335頁;H. F. Kung、C. W.Lee、Z. P. Zhuang、M. P. Kung、C. Hou、K.Plossl、J. Am. Chem. Soc.、2001年、123巻、12740〜12741頁を参照のこと。典型的には、蛍光性のアミロイド結合剤は、Aβ凝集体と結合した後では、溶液中でのその天然の蛍光と比較して、蛍光強度の有意な増加を呈する。H. LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと。この線に沿って、予め凝集させたAβ(1−42)ペプチド(5μM、PBS緩衝液中で3日間25℃にて凝集させた)と混合する前および後で、4μM濃度での各化合物の蛍光特性を測定した。
【0211】
全ての場合において、凝集したAβの存在下で1.3〜9.4倍の蛍光強度の増加が観察されたが、このことから、これらの化合物がペプチドと結合することが示唆される(表2)。ほとんどの場合、結合すると中程度の青方遷移(6〜20nm)が観察された。ナフタレンベースの化合物11の場合においてのみ、予め凝集させたAβと結合すると、76nmの著しい赤方遷移が観察された(図1c、1d)。興味深いことに、この結合は、9.3倍の強度増加を伴った。同様の強度増加がFDDNPで観察されており、この強度増加は、自身の標的と結合するとエキシマーを作り出すナフタレンモチーフの能力により説明できる。E. D. Agdeppa、V. Kepe、J. Liu、S.Flores-Torres、N. Satyamurthy、A. Petric、G. M. Cole、G. W.Small、S. C. Huang、J. R. Barrio、J. Neurosci.、2001年、21巻、1〜5頁;S.Abad、I. Vaya、M. C. Jimenez、U. Pischel、M. A. Miranda、ChemPhysChem、2006年、7巻、2175〜2183頁;C. Spies、R. Gehrke、J. Phys. Chem. A、2002年、106巻、5348〜5352頁を参照のこと。
【0212】
化合物8aおよび8bは、同様の蛍光特徴を呈したが、これにより、フェニル基上でメトキシ基を付加してもプローブとしての本化合物の結合特性は変化しないことが示唆される。他方、窒素のアルキル基のサイズが増加すると、結合後の蛍光強度が有意に増加することは、注目に値する(表4、8a、8c、8d)。このことはおそらく、凝集形態のAβペプチドと結合すると分子の回転自由度が減少する結果である。W. Schuddeboom、S. A. Jonker、J. M. Warman、U.Leinhos、W. Kuehnle、K. A. Zachariasse、J. Phys. Chem.、1992年、96巻、10809〜10819頁;Y. V. Il'chev、W. Kuehnle、K. A. Zachariasse、J. Phys.Chem.、1998年、102巻、5670〜5680頁を参照のこと。興味深いことに、これらの化合物を単量体のAβペプチドと混合すると、蛍光強度の増加は観察されなかった。このことは、これらの化合物が、凝集形態のAβと選択的に結合するという考えを支持するものである。8dの蛍光プロファイル(励起および発光)を図1Aおよび図1Bに示す。
【0213】
【表4】
【0214】
凝集したAβペプチドは、Aβ(1−42)をPBS(pH7.4)に溶解して最終濃度100μMにすることにより調製した。この溶液を1200rpmで3日間室温にて磁気撹拌した。100μMのAβ(1−42)ストックPBS溶液を等分し、−80℃で最大4週間凍結させたところ、その特性に目立った変化はなかった。150μLの予め凝集させたAβ(1−42)を2.85mLの化合物に加えて、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMの化合物とした。この溶液を3mLのキュベットに移し、蛍光を25℃で測定した。図4に示すように、本明細書中に記載する化合物を、凝集したAβと会合させると、励起スペクトルおよび発光スペクトルの両方に変化がもたらされる。化合物8a、8b、8c、14および19の蛍光励起スペクトルを、それぞれ図4に示す。
【0215】
さらに、本発明者らは、本化合物(10μM、5μM、2.5μMおよび1.25μMの濃度で)の、5.0μMの予め凝集させたAβ(1−42)ペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を測定した。Kdは、最大蛍光と化合物の濃度との二重逆数プロットから測定できる。H.LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと。全てのKd値は、1.4μMから5.3μMの間で測定された(表4)。構造の違いにもかかわらず、これらの化合物が同様のKd値を呈することは注目すべきことであり、このことから、これらの化合物は、凝集したAβと、同様の様式で結合することが示唆される。さらに、これらの値は、ThT(2μM)についての報告されたKd値と似ている。[22,]LeVine、同文献;Lockhart、L. Ye、D. B.Judd、A. T. Merritt、P. N. Lowe、J. L. Morgenstern、G. Z.Hong、A. D. Gee、J. Brown、J. Biol. Chem.、2005年、280巻、7677〜7684頁;M. Biancalana、K.Makabe、A. Koide、S. Koide、J. Mol. Biol.、2008年、383巻、205〜213頁;M. Biancalana、K.Makabe、A. Koide、S. Koide、J. Mol. Biol.、2009年、385巻、1052〜1063頁を参照のこと。蛍光強度対化合物8dおよび11の濃度の二重逆数プロットを図2に示す。Kdは、線形回帰の−1/(x切片)に対応する。
【0216】
Yangらにより開発された半定量的なELISAベースのアッセイを用いて、合成した化合物と凝集したAβペプチドとの会合をテストした。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁を参照のこと。このアッセイは、Aβの残基1〜17に対して生じた、凝集したAβペプチドとモノクローナル抗Aβ IgGとの相互作用を阻害する分子のスクリーニングに基づく。表4には、IgG−Aβ相互作用の50%阻害(IC50)に対応する化合物の濃度、ならびに、原線維との結合を阻害されるIgGの最大パーセント(%)を示してある。全ての化合物はμMレベルのIC50値を呈し、最小値は、8bについて測定された(IC50=1.17μM)。最大阻害率、すなわち、本化合物による凝集したペプチドの表面コーティングの程度の限度は、40〜98%の間であると決定された(表4)。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁を参照のこと。これらのデータの比較から、表面コーティングは、化合物のサイズまたはπ系の程度を減少させることにより増加することが示唆される。具体的には、最大阻害率は、フェニル化合物については81〜98%の間であるが、より長いナフタレン化合物11については58%、より共役度の高いスチルベン19については40%に減少する。化合物8dおよび11についての代表的なグラフを図3に示す。化合物8a、8b、8cおよび14についての代表的なグラフをそれぞれ図7A〜Dに示す。
【0217】
全ての化合物についてのlogP値を計算したところ、1.07から4.62の間であり(表2)、このことから、これらの化合物の大部分が溶解性の基準を満たし、血液脳関門を通過できるはずであることが示唆される。P. Inbar、J. Yang、Bioorg. Med. Chem. Lett.、2006年、16巻、1076〜1079頁;P. Inbar、C. Q. Li、S. A.Takayama、M. R. Bautista、J. Yang、ChemBioChem、2006年、7巻、1563〜1566頁;P. Inbar、M. R. Bautista、S. A. Takayama、J. Yang、Anal.Chem.、2008年、80巻、3502〜3506頁;C. A. Lipinski、F. Lombardo、B. W. Dominy、P. J.Feeney、Adv. Drug Deliver. Rev.、1997年、23巻、3〜25頁を参照のこと。LogP値は、Molinspiration Chem−informaticsソフトウェアを用いて計算した。
【0218】
化合物27〜31および33についての試験。凝集したAβペプチドは、Aβ(1−42)をPBS(pH7.4)に溶解して最終濃度を100μMにすることにより調製した。この溶液を1200rpmで3日間室温にて磁気撹拌した。100μMのAβ(1−42)ストックPBS溶液を等分し、−10℃で最大4週間凍結させたところ、その特性に目立った変化はなかった。15μLの予め凝集させたAβ(1−42)を285μLのプローブ(5%DMSO、ナノ純水中)に加えて、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMのプローブとした。この溶液を300mLのキュベットに移し、蛍光を測定した。図9A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および33の蛍光励起スペクトルを示すものである。
【0219】
【表5】
【0220】
原理上は、アミロイド結合プローブは、アミロイドの凝集体と結合すると、溶液中の場合と比較して、蛍光発光の著しい増加を呈する。LeVine III、H.、Protein Sci.、1993年、2巻、(3号)、404〜410頁。この線に沿って、凝集したAβ42ペプチドが存在する場合またはしない場合で、水溶液中の27〜31または33の蛍光特性を比較した。具体的には、凝集したAβ42ペプチド(最終濃度ペプチド=5μM)と混合する前および後で、ナノ純水中の4μM濃度での各色素の蛍光特性を測定した。表5に示すように、全ての場合において、凝集したアミロイドペプチドと会合すると、プローブの発光スペクトルの強度の著しい増加(3から9倍)が観察された。この強度増加は、5〜50nm前後の発光スペクトルでの青方遷移も伴った。結合後、全ての化合物の最大励起は380〜430nmの間であり、その最大発光は525〜545nmの間であったが、このことから、分子の供与体部分または受容体部分における小さな変化は、その最大蛍光をそれほど変化させないことが示唆される。しかし、ピペリジンを電子供与体として有する化合物27、31および33は、結合後、ピペラジン、モルホリンまたはモルホリノエタンアミンを電子供与体として含有するプローブと比較して、蛍光強度のより高い増加を示した(それぞれ、7.7倍、8.3倍および7.2倍)。図9Cは、化合物29の蛍光特性の代表例を示すものである。この図は、Aβ凝集体と混合する前(実線)および後(点線)での化合物29の蛍光発光を示すものである。
【0221】
さらに、本発明者らは、プローブの、凝集したAβ42ペプチドとの見かけの結合定数(Kd)を測定した。5μMの予め凝集させたAβ42ペプチドと混合した、ナノ純水中の1.25μM、2.5μM、5.0μMおよび10μMの濃度での各プローブの蛍光強度を測定した。Zhao, X.、Yang, J.、ACS Chem. Neurosc.、1巻、(10号)、655〜660頁。全ての場合において、Kd値はμMレベルであり、化合物27、31および33は、凝集したAβペプチドと最も高い親和性を呈した。これらの結合試験のデータから、ANCAモチーフの水溶化領域内の小規模の化学修飾は、プローブの、Aβ凝集体との結合にそれほど影響しないことが示唆される(化合物27、31および33)。他方、ANCA骨格の電子供与体を化学的に変化させると、Kd値の減少が観察された。表5に示すように、ピペリジンを電子供与体として有する化合物は、ピペラジン、モルホリンまたはモルホリノエタンアミンを電子供与体として有する化合物(それぞれ、化合物28、29および30)と比較してKd値が低い(1.4〜1.6μM)ことが見出される。図10A〜Fは、それぞれ、化合物27〜31および32の、溶液中の凝集したAβ42ペプチド(5μM)の存在下での、濃度の関数としての蛍光強度(λ=525nmで)のプロットを示すものである。例として、このデータを化合物29について当てはめると、化合物29が、凝集したAβ42ペプチドと会合する場合のKdは13.8μMであることが明らかになった。
【0222】
最後に、合成したプローブの親油性(logP)を計算した。全ての化合物は2.53から3.81の間のlogP値を有することが見出されたが、これにより、本化合物の大部分は溶解性の基準を満たし、血液脳関門を潜在的に通過できることが示唆される。Lipinski, C. A.、Lombardo, F.、Dominy, B. W.、Feeney,P. J.、Adv. Drug Delivery Rev.、1997年、23巻、(1〜3号)、3〜25頁。
【0223】
(実施例6)
本明細書中に記載する化合物の結合定数の決定:予め凝集させたAβ(1−42)(最終濃度5μM)を、PBS緩衝液(pH7.4)中の、多様な濃度の本明細書中に記載する化合物(10μM、5μM、2.5μM、1.25μM)と混合し、その蛍光を測定した。線形回帰(最大蛍光強度と化合物の濃度との二重逆数プロットの間で引いたもの)のx切片の負の逆数は、該化合物の、Aβ(1−42)との結合定数(Kd)を表す。
【0224】
(実施例7)
蛍光法からのKdの決定。蛍光性の化合物と、凝集したβ−アミロイドペプチドとの結合についての解離定数(Kd)を定量化するために、LeVineが記載した方法を用いた(H. LeVine III、Protein Sci.、1993年、2巻、404〜410頁を参照のこと)。この方法は、Benesi−Hildebranが記載した方法と似ている(C. Yang、L. Liu、T. W. Mu、Q. X. Guo、Anal. Sci.、2000年、16巻、537〜539頁を参照のこと)。ここでは、溶液中で、凝集したペプチドを添加した場合としない場合とで、化合物の蛍光を測定した。凝集したβ−アミロイドペプチドと結合したときの化合物の相対的な蛍光の増強を、F(凝集したペプチドの添加後の蛍光)とF0(凝集したペプチドの添加前の蛍光)との間の差をとることにより決定した。
【0225】
本化合物−Aβ複合体の結合定数(Kd)を蛍光試験から推定するために、以下の仮定を立てた:
1.全ての化合物は完全に溶解しており、自己凝集などの著しい競合結合過程は全くない。
【0226】
2.結合していない化合物の濃度は、該化合物の総濃度に近いと概算できる。
【0227】
3.凝集したAβペプチドにおける結合部位は、この蛍光試験に用いられるAβ結合化合物の濃度では、完全には塞がれない(すなわち、実験は、不飽和結合条件下で実施する)。
【0228】
ランベルト−ベールの法則(J. W. Robinson、「Atomic spectroscopy」、1996年を参照のこと)によれば、結合した化合物([HG])、遊離化合物([G])および遊離アミロイドペプチド([H])の濃度を、1)凝集したペプチドの添加前の溶液中の化合物の蛍光測定値(F0)、または2)アミロイドペプチドの存在下での化合物の蛍光測定値(F)のいずれかと関係付ける、2つの式を得ることができる:
【0229】
【数1】
【0230】
【数2】
化合物の蛍光測定値の変化(ΔF)と、化合物の、凝集したβ−アミロイドペプチドとの結合定数(Kd)との間の関係を得るために、[HG]とKdとの間の関係を得るための結合等温式についての標準的な方程式:
【0231】
【数3】
を用いた。方程式4と5とを組み合わせることで、ΔFとKdとの間の関係:
【0232】
【数4】
を得た。
【0233】
蛍光の変化の測定値から、凝集したAβペプチドと結合している化合物のKdを推定するために、方程式6の逆数をとると、
【0234】
【数5】
が得られる。
【0235】
方程式7は、ΔFと[G]との二重逆数プロットから、−1/Kdに等しいx切片を有する直線が得られるはずであることを示唆している。図2および図6は、蛍光測定値対化合物の総濃度[G0]の二重逆数プロットを示すものである。[G]は[G0]に近いと概算できると仮定して(仮定2)、各化合物のデータを当てはめた直線のx切片から、化合物−Aβ複合体のKdの推定値を得ることができる。本明細書中に記載するいくつかの化合物のKd推定値を表3に示す。
【0236】
(実施例8)
ELISAアッセイ:凝集したAβペプチドは、合成のAβ(1−42)ペプチドから、30μgのペプチドを90μLのナノ純水(pH5〜6)に溶解し、撹拌することなく37℃で72時間以上インキュベートすることにより生成させた。96ウェルプレート(ウェル体積0.4mL、透明、平底ポリプロピレン)の各ウェルを、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、10mM NaH2PO4/Na2HPO4、138mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)中のAβペプチドの1.3μM溶液50μLで、25℃にて3時間コーティングした。過剰な試料を除去した後、PBS緩衝液中の化合物の50μL溶液(ストック溶液をPBS緩衝液で希釈することにより、多様な濃度を得た)をウェル中で12時間インキュベートした。PBS緩衝液に溶解しなかった化合物をDMSOに溶解し、PBS緩衝液中で希釈すると、PBS緩衝液中の5%DMSOの最終溶液が得られた。次に、過剰な溶液を除去し、PBS緩衝液中のウシ血清アルブミン(BSA/PBS)の1%(w/v)溶液300μLを加えることにより、全てのウェルを30分間遮断した。時折、小分子の溶液とのインキュベーションに先立ち、追加的な遮断ステップを行った。ブロッキング溶液を捨て、ウェルを300μLのPBS緩衝液で1回洗浄した。ウェルを、50μLの、抗Aβ IgG(クローン6E10、モノクローナル、マウス)の1.1nM溶液(1%BSA/PBS中、希釈1:6000)で1時間インキュベートしてから、この溶液を除去した。ウェルを300μLのPBS緩衝液で2回洗浄し、50μLの、アルカリホスファターゼでコンジュゲートした二次IgG(抗マウスIgG H+L、ポリクローナル、ウサギ)(6.8nM、1%BSA/PBS中、希釈1:1000)で60分間インキュベートした。この溶液を捨て、ウェルを300μLのPBS緩衝液で2回洗浄した。50μLのp−ニトロフェニルホスフェート溶液(2.7mM、100mMジエタノールアミン/0.5mM塩化マグネシウム中、pH9.8)の添加により、結合した二次IgGが検出された。吸光度の強度は、紫外可視分光法用のプレートリーダー(Sprectramax190、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)を用いて、405nmで定量した。各試行を5回行い、平均した。エラーバーは標準偏差を表す。グラフをプロットし、S字型曲線の当てはめを用いて当てはめた。
【0237】
(実施例9)
単量体のAβを用いた蛍光試験。最初に、Aβ(Biopeptide,Inc.)を1mM濃度のヘキサフルオロイソプロパノールに可溶化し、ボルテックスし、超音波処理し、ボルテックスした。バイアルを箔で覆い、振盪機で25℃にて21時間インキュベートし、インキュベーション期間を通して3回ボルテックスを行った。溶液を超音波処理し、再びボルテックスしてから、低温のナノ純水で希釈し(H2O:HFIP、2:1)、所望の量で小さなガラスバイアル中に分取し、直ちにCO2/アセトン浴中で凍結させた。各画分は、溶媒蒸気を逃がすことができるように孔をあけたパラフィルムで覆った。この画分を2日間凍結乾燥させると、単量体のAβが得られた(91%の単量体、12% Tris−bis PAGEゲル分析による)。この単量体のAβ(1−42)1.8μL(8.42μM)を、PBS緩衝液(pH7.4)に溶解することにより調製した4μM濃度の小分子3μLに加えると、最終濃度が5μMのAβ(1−42)および4μMの化合物が得られた。この溶液を3mLのキュベットに移し、蛍光を25℃で測定した。
【0238】
(実施例10)
SHSY−5Yヒト神経芽細胞腫細胞に対する細胞傷害活性についての剛体回転子の評価(MTTアッセイ):SHSY−5Yヒト神経芽細胞腫細胞、MTT(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)細胞増殖キット、イーグル最小必須培地(EMEM)、HamのF12栄養混合物およびウシ胎仔血清(FBS)は全て、ATCC(Manassas、VA)から購入した。簡潔に言えば、SH−SY5Y細胞(EMEM:HamのF−12、1:1中、10%FBS添加)を、96ウェルプレート上に5×104細胞/ウェルの密度で播種した。プレートを一晩インキュベート(条件:95%空気、5%CO2の加湿雰囲気、37℃)して、ウェルへの細胞の付着を促進した。次に、細胞を多様な濃度の化合物8a、8b、8c、8d、11または14で処理し、24時間インキュベートした(95%空気、5%CO2の加湿雰囲気、37℃)。MTT試薬(20μL)を培地に加え、さらに4時間インキュベートした。インキュベーション後、100μLの界面活性剤試薬を加え、プレートをアルミニウム箔で覆い、室温で一晩放置した。可溶化されたMTTホルマザンの量を、570nmでの分光光度測定を用いた吸光度により測定した(Spectramax190、Molecular Devices、Sunnyvale、CA)。MTTアッセイは化合物19については行わなかったが、その理由は、化合物19は水性媒体への溶解性が乏しいことによる。全てのデータを、平均値±S.Dとして示す(各濃度についてN=3)。全ての分析に、スチューデントt検定を用いた。0.05未満のp値を、対照細胞と比較して統計的に有意と見なした。図8に示すように、全ての化合物は、最大100μMの濃度で、ヒト神経芽細胞腫細胞に対し細胞毒性をほとんどまたは全く示さなかった。これらの特性は、さらなるin vivo評価を行う場合に大きな利点である。
【0239】
(実施例11)
アミロイド結合化合物を用いたヒト組織の画像化。図11A〜Fは、AD症例由来の、ヒト組織におけるアミロイドプラークの蛍光画像を示すものである。凍結組織を切片化しスライドガラス上に載せた後、蛍光性プローブを含有する溶液に組織を30分間曝露させた。試料を水で洗浄して、組織の非特異的な染色を排除し、倒立型落射蛍光顕微鏡を用いて画像化した。画像から、A)化合物27、B)化合物28、C)化合物29、D)化合物30、E)化合物31、またはF)化合物33で染色されたプラークの場所が明らかになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化47】
の構造を有する化合物であって、
式中、
EDGは、電子供与基であり、
πCEは、パイ共役エレメントであり、
WSGは、水溶性基である、化合物。
【請求項2】
前記EDGが、R1で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないアリール、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−NR4R5、−SR6または−PR7R8であり、
式中、
R1は、ハロゲン、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、
R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R9、R10およびR11は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R10とR11とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R12は、ハロゲン、−OR13、−NR14R15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R13、R14およびR15は独立に、水素、または置換されていないアルキルであり、そして
R16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記パイ共役エレメントが、式:
−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−または−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有し、
式中、
qおよびrは独立に、0または1であり、
L1、L2、L3およびL4は独立に、結合、または、式:
【化48】
を有する連結基であり、式中、xは、1から50の整数であり、
A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、
R17は、ハロゲン、−OR18、−NR19R20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R18、R19およびR20は独立に、水素、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、そして
R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、
R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキルである、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
A1、A2およびA3が独立に、R21で置換されているもしくは置換されていないナフチレン、またはR21で置換されているもしくは置換されていないフェニレンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
xが、1から10の整数である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記水溶性基が、R25で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないアリール、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
式中、
R25は、ハロゲン、−OR26、−NR27R28、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R26、R27およびR28は独立に、水素、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R27とR28とは、場合により一緒になって、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R29は、ハロゲン、−OR30、−NR31R32、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、そして
R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
前記水溶性基が、式:
【化49】
を有するエチレングリコール部分であり、式中、yは、1から50の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R29が−OHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
構造:
【化50】
【化51】
を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
アミロイドペプチドを検出する方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物をアミロイドペプチドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成するステップと、該検出可能なアミロイド複合体を検出するステップとを含む方法。
【請求項12】
前記アミロイドペプチドが、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミロイドペプチドがアミロイドの一部を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
被験体における、アミロイドの蓄積を特徴とする疾患を処置する方法であって、処置を必要とする被験体に、有効量の請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物または医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記疾患が、アルツハイマー病、ウシ海綿状脳症(BSE)、パーキンソン病、ハンチントン病、ダウン症候群、レビー小体型認知症または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項14に記載の方法。
【請求項1】
式(I)
【化47】
の構造を有する化合物であって、
式中、
EDGは、電子供与基であり、
πCEは、パイ共役エレメントであり、
WSGは、水溶性基である、化合物。
【請求項2】
前記EDGが、R1で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R1で置換されているもしくは置換されていないアリール、R1で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリール、−OR2、−NR4C(O)R3、−NR4R5、−SR6または−PR7R8であり、
式中、
R1は、ハロゲン、−OR9、−NR10R11、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、
R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R4とR5とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R9、R10およびR11は独立に、水素、R12で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R12で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R10とR11とは、場合により一緒になって、R12で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR12で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R12は、ハロゲン、−OR13、−NR14R15、R16で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R16で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR16で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R13、R14およびR15は独立に、水素、または置換されていないアルキルであり、そして
R16は、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
前記パイ共役エレメントが、式:
−L1−(A1)q−L2−(A2)r−L3−または−L1−(A1)q−L4−A3−L2−(A2)r−L3−を有し、
式中、
qおよびrは独立に、0または1であり、
L1、L2、L3およびL4は独立に、結合、または、式:
【化48】
を有する連結基であり、式中、xは、1から50の整数であり、
A1、A2およびA3は独立に、R17で置換されているもしくは置換されていないアリーレン、またはR17で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリーレンであり、
R17は、ハロゲン、−OR18、−NR19R20、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R18、R19およびR20は独立に、水素、R21で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R21で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR21で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、そして
R21は、ハロゲン、−OR22、−NR23R24、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、
R22、R23およびR24は独立に、水素、または置換されていないアルキルである、請求項1または2のいずれかに記載の化合物。
【請求項4】
A1、A2およびA3が独立に、R21で置換されているもしくは置換されていないナフチレン、またはR21で置換されているもしくは置換されていないフェニレンである、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
xが、1から10の整数である、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記水溶性基が、R25で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R25で置換されているもしくは置換されていないアリール、R25で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
式中、
R25は、ハロゲン、−OR26、−NR27R28、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、
R26、R27およびR28は独立に、水素、R29で置換されているもしくは置換されていないアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、R29で置換されているもしくは置換されていないアリール、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールであり、ここで、R27とR28とは、場合により一緒になって、R29で置換されているもしくは置換されていないヘテロシクロアルキル、またはR29で置換されているもしくは置換されていないヘテロアリールを形成し、
R29は、ハロゲン、−OR30、−NR31R32、置換されていないアルキル、置換されていないヘテロアルキル、置換されていないシクロアルキル、置換されていないヘテロシクロアルキル、置換されていないアリールまたは置換されていないヘテロアリールであり、そして
R30、R31およびR32は独立に、水素、または置換されていないアルキルである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
前記水溶性基が、式:
【化49】
を有するエチレングリコール部分であり、式中、yは、1から50の整数である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R29が−OHである、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
構造:
【化50】
【化51】
を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の化合物と薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項11】
アミロイドペプチドを検出する方法であって、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物をアミロイドペプチドと接触させ、それにより、検出可能なアミロイド複合体を形成するステップと、該検出可能なアミロイド複合体を検出するステップとを含む方法。
【請求項12】
前記アミロイドペプチドが、Aβペプチド、プリオンタンパク質、α−シヌクレインまたはスーパーオキシドジスムターゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アミロイドペプチドがアミロイドの一部を形成する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
被験体における、アミロイドの蓄積を特徴とする疾患を処置する方法であって、処置を必要とする被験体に、有効量の請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物または医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項15】
前記疾患が、アルツハイマー病、ウシ海綿状脳症(BSE)、パーキンソン病、ハンチントン病、ダウン症候群、レビー小体型認知症または筋萎縮性側索硬化症(ALS)である、請求項14に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図11E】
【図11F】
【公表番号】特表2013−513619(P2013−513619A)
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543317(P2012−543317)
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/059952
【国際公開番号】WO2011/072257
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月10日(2010.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2010/059952
【国際公開番号】WO2011/072257
【国際公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】
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