説明

アミン液の再生方法

【課題】 熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を効果的に再生することができ、再生排液処理も安定して高効率で容易に行うことができるアミン液の再生方法を提案する。
【解決手段】 ガス精製装置1に付随して複数のイオン交換装置2を設け、イオン交換装置2から離れた場所に、再生センターとして樹脂再生装置3および再生排液処理装置4を設け、イオン交換装置2と樹脂再生装置3間に着脱交換式のカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6を行き来するように移送し、イオン交換装置2に装着してアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6に吸着させた後、脱着して樹脂再生装置3へ移送して樹脂を再生し、再生排液を再生排液処理装置4で再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸成分を吸収したアミン液の再生方法、特にイオン交換樹脂を用いて酸成分を吸収したアミン液を効率的に再生する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油精製その他のプロセスでは、硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスが発生する。このような酸性ガスは、ガス精製工程として、吸収塔においてアルカノールアミン等のアミン液(リーンアミン)と接触させることにより酸成分を吸収除去し、精製ガスはプロセスへ送る。酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)は再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生する。再生されたアミン液(リーンアミン)は吸収塔に循環し、酸成分の吸収除去に使用する。放出された硫化水素、炭酸ガス等の酸性ガスはそれぞれの回収装置へ送られる。
【0003】
酸性ガスに含まれる酸成分は、硫化水素、炭酸ガスが主成分であるが、この他に硫化カルボニル、シアン化水素、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等が微量成分として含まれる。これらの酸性ガスに含まれるすべての酸成分が、吸収塔においてアミン液に吸収され、アミン塩となる。再生塔では、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のように熱分解性のアミン塩は熱分解され、分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスが系外へ放出され、アミンが1次再生される。ところがギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等のアミン塩のように熱安定性アミン塩(Heat Stable Amine Salt:以下、HSASと記す場合がある。)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積する。このような熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積すると、吸収塔におけるアミン液の吸収効率が低下するほか、2〜3重量%になると装置の腐食や運転中の発泡の原因となるので、アミン液からを除去することが要望されている。
【0004】
アミン液からHSASを除去する方法として、アミン液を水酸化ナトリウム等のアルカリで中和する方法がある。この方法は、アミン液にアルカリを注入することにより、アミン塩を分解してナトリウム等の金属塩を生成させ、アミン液を再生する。ここで生成する熱安定性酸成分の金属塩は低濃度であれば吸収の障害にならないが、溶解度が低く、溶解度を超えると析出して害を及ぼすため、根本的な処置とはいえない。
【0005】
アミン液からHSASを実質的に除去する方法としてイオン交換法があり、特許文献1(特開平5−294902)には、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を通してアミン液を通液することにより、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去し、アミン液を2次再生することが記載されている。ここではHSASを構成するアミンに結合したアニオンの特性に応じて、I型およびII型の強酸性アニオン交換樹脂をシリーズに配置してアニオンを除去している。これらの樹脂の再生は、カチオン交換樹脂の再生には硫酸等の酸、アニオン交換樹脂の再生には硫酸等の酸と水酸化ナトリウム等のアルカリとを順次通液することにより、樹脂を再生し、アミン液の処理に供している。
【0006】
また特許文献2(特表2003−501248)ほかには、アニオン交換樹脂の再生方法として、特許文献1における硫酸等の酸と水酸化ナトリウム等のアルカリとを順次通液することに替えて、食塩等の塩とアルカリとを順次通液することにより、チオシアン酸、その他の脱着が困難なアニオンの脱着を容易にし、アニオン交換樹脂の再生を容易にすることが記載されている。
【0007】
上記特許文献1、2を含む従来のアミン液の再生方法は、ガス精製工程の再生塔から硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスを除去したアミン液(リーンアミン)を分流して、ガス精製工程に付随して設けられたカチオン交換塔、アニオン交換塔等のイオン交換塔へ通して、アミン液中のカチオンおよびアニオンを除去することによりアミン液を2次再生している。そしてカチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、カチオン交換塔、アニオン交換塔へ酸、塩、アルカリ等の再生剤を通液して再生を行っている。
【0008】
しかしながら上記カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生により発生する再生排液は難分解性成分を含むため、その排液処理は困難である。通常の水処理に用いられるカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の場合は、その再生により発生する再生排液は、通常の水に含まれる強酸、強塩基の塩ならびに再生剤として用いられる酸、塩、アルカリ等が主成分であるから、これらを混合して中和し、必要によりpH調整するだけで無害化することができ、再生排液の処理は容易である。これに対して上記アミン液の2次再生に用いたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生により発生する再生排液は、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の難分解性成分を含み、単に混合しただけでは無害化できず、その処理は困難である。
【0009】
上記再生排液に含まれるギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸等のCOD成分、BOD成分が含まれ、その処理は困難である。このような再生排液を生物処理により無害化する場合、生物処理には生物の増殖を維持するための栄養源が継続して供給され、生物の増殖に適した処理条件が維持されることが重要である。ところが再生排液は単発的に発生するため栄養源を継続して供給することができず、またCOD成分は生物阻害物質になる場合が多いので、再生排液を生物処理により無害化することは困難である。
【0010】
酸化剤による化学的な分解処理等の生物処理以外の処理方法でも、単発的に発生する再生排液の処理は困難である。石油精製その他の大規模プロセスでは、通常排水処理設備が設けられているから、イオン交換樹脂の再生排液を他の排液と混合して処理すると、処理を容易に行うことができ、生物処理可能である。しかし小規模プロセスでは樹脂の再生自体が困難である上、再生排液処理も困難である。
【特許文献1】特開平5−294902号公報
【特許文献2】特表2003−501248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を交換して効率的にアミン液の再生を行うことができ、難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を再生する場合でも、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理を安定して高効率で容易に行うことができるアミン液の再生方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次のアミン液の再生方法である。
(1)酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、
酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、
再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、
再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置に装着し、前記リーンアミン液を通液してリーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置から脱着し、再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットと交換して、
アミン液の2次再生を続行する
ことを特徴とするアミン液の再生方法。
(2)酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、
酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、
再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を設け、
前記イオン交換装置から離れた場所に、前記カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに充填したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を再生する樹脂再生装置および再生排液処理装置を設け、
前記樹脂再生装置で再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置に移送して装着し、前記リーンアミン液を通液して、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置から脱着して前記樹脂再生装置に回収し、
回収したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を前記樹脂再生装置で再生し、
前記樹脂再生装置において発生する再生排液を前記再生排液処理装置で処理する
ことを特徴とするアミン液の再生方法。
(3)樹脂再生装置は、カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着し、再生剤を通液して再生するものである上記(2)記載の方法。
(4)再生排液処理装置は、カチオン交換樹脂の再生排液およびアニオン交換樹脂の再生排液を混合して反応させる反応槽と、混合反応液を生物処理する生物処理槽を含む上記(2)または(3)記載の方法。
(5)カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットの交換を、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の交換容量から計算される飽和予想値、またはイオン交換装置に設けられた電導率計の指示値により行う上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の方法。
(6)カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂が水処理系で使用済のものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の方法。
【0013】
本発明において、再生の対象となるアミン液は、石油精製その他のプロセスで発生する硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスから酸成分を吸収除去し、ガスを精製するために吸収液として用いられるアミン液である。このようなアミン液としては、一般に石油精製その他のプロセスのガス精製工程において用いられているアルカノールアミン、その他のアミン液がある。その具体例としては、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、ジグリコールアミン(DGA)およびメチルジエタノールアミン(MDEA)、ジイソプロパノールアミン(DIPA)等のアルカノールアミンが一般に用いられるが、他のアミンであってもよい。これらのアミン液は通常15〜55重量%の水溶液として用いられる。
【0014】
本発明においてガス精製工程は、石油精製その他のプロセスにおいて発生する硫化水素、炭酸ガス、その他の酸成分を含む酸性ガスを精製する工程であり、酸性ガス吸収工程とアミン1次再生工程とからなる。酸性ガス吸収工程は、酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成する工程であり、アミン1次再生工程は酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりによりアミン液を再生してリーンアミン液を生成する工程である。吸収塔および再生塔としては、それぞれ充填塔、その他の従来より用いられている気−液接触塔が用いられる。
【0015】
酸性ガス吸収工程では、吸収塔において酸性ガスとアミン液(リーンアミン)とを分散状態で、例えば向流式に接触させることにより、酸成分をアミン液に吸収させて被処理ガスから除去し、リッチアミン液を生成する。精製ガスはプロセスへ送られる。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、熱安定性アミン塩(HSAS)を形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。
【0016】
アミン1次再生工程では、酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することにより、アミン液を1次再生してリーンアミン液を生成する。熱分解は、酸成分を吸収したアミン液(リッチアミン)を再生塔に導入し、リボイラを熱源として精留することによって、蒸気ストリッピングにより硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液を吸収塔に循環する。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスは系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のような熱安定性アミン塩(HSAS)は再生塔では分解されず、アミン液中に蓄積した状態で吸収塔に循環する。
【0017】
アミン液からHSASを構成する非気散性の酸成分を除去してアミン液を2次再生するために、本発明では、再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を設け、これらのイオン交換装置から離れた場所に、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を集中的に再生する再生センターとしての樹脂再生装置および再生排液処理装置を設ける。ここで「複数の」の意味は、分散して存在する複数の再生塔に付随して複数のイオン交換装置が設けられることを意味しており、それぞれの再生塔には1つのイオン交換装置が設けられていてもよい。イオン交換装置には、メカニカルフィルタ、活性炭吸着塔等の他の処理装置が設けられていてもよい。
【0018】
カチオン交換樹脂としてはH型の強酸性カチオン交換樹脂を用いる。またアニオン交換樹脂としてはOH型の強塩基性アニオン交換樹脂を用いるが、特にI型の強塩基性アニオン交換樹脂を用いるのが好ましい。これらの樹脂としては新品の樹脂を用いると、その交換容量に対応してカチオンおよびアニオンを吸着除去できるが、アミン液のカチオンおよびアニオンの除去は完全でなくてもよいので、水処理等で使用して交換容量が低下した使用済樹脂を用いてもよい。カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットは、カチオン交換塔およびアニオン交換塔として機能する容器内に樹脂を収容し、容器ごと移送して配管を接続、分離するだけで装着、脱着ができるものが好ましいが、カチオン交換塔およびアニオン交換塔は現地に設置し、そのカチオン交換塔およびアニオン交換塔内に、移送したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着、脱着する形式のものでもよい。
【0019】
アミン液の2次再生は、前記樹脂再生装置で再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置に移送してそれぞれ装着し、装着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに、前記HSASを含むリーンアミン液を分流して通液する。ここではカチオン交換ユニットでは、リーンアミン液に含まれる金属イオン等のカチオンがカチオン交換樹脂に交換吸着されて除去される。このときアミンも吸着されるが、他のカチオンが交換吸着されるとアミンは溶出する。アニオン交換ユニットでは、アニオン交換樹脂の中性塩分解能によりHSASが分解され、HSASを構成するアニオンが交換吸着されて除去される。こうしてアミン液の2次再生が行われ、2次再生されたアミン液(リーンアミン液)は吸収塔へ循環する。
【0020】
このようなアミン液の2次再生は、分散して設けられた複数のイオン交換装置において、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットにより行われるが、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットでは、アミン液に含まれるHSASの組成、濃度等に応じて、異なる時期に樹脂が飽和に達し、異なる時期に樹脂に再生が必要になる。再生の必要性は単発的に発生し、その都度再生を行い、再生排液を処理するのは困難であるので、再生の必要が生じた時点で、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを再生センターとしての樹脂再生装置に集結し、充填されたカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で集中的に再生する。
【0021】
カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、それぞれのカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットで樹脂が飽和に達し、再生の必要が生じた時点で、カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをそれぞれのイオン交換装置から脱着して樹脂再生装置に回収し、回収したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を樹脂再生装置で再生する。カチオン交換ユニットとアニオン交換ユニットは、それぞれの再生の必要が生じた時点で別々に交換してもよく、この場合、再生済のカチオン交換樹脂またはアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットまたはアニオン交換ユニットをそれぞれ交換を行い、飽和したカチオン交換ユニットまたはアニオン交換ユニットを樹脂再生装置へ回収する。
【0022】
樹脂再生装置は、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットをそのまま、樹脂再生装置の配管に接続、分離するだけで装着、脱着し、ユニット単位で樹脂の再生を行う形式のもので再生する場合は、向流再生を行って交換帯を乱さないで再生効率を高くすることができる。また複数のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットからカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を抜き出して専用の樹脂再生塔へ導入し、混合樹脂を再生するように構成したもので再生する場合は、多くのユニットの樹脂を集めて一度に再生することができるが、樹脂の抜き出し、再充填が必要になる。
【0023】
樹脂再生装置におけるカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の再生は、樹脂再生装置にカチオン交換ユニット、アニオン交換ユニットを装着し、または専用の樹脂再生塔へ樹脂を導入し、再生剤を注入して行う。カチオン交換樹脂の再生剤としては、塩酸、硫酸等の鉱酸が使用でき、アニオン交換樹脂の再生剤としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ、あるいはこれと食塩、塩化カリウム等の塩との組合せなど、公知のものが使用できる。再生の操作は逆洗、薬注、押出、洗浄など一般のイオン交換樹脂の再生と同様の工程で行われるが、場合によっては一部の工程、例えば逆洗の工程を省略することもできる。ユニットの状態で再生した場合は、再生後そのまま交換用のユニットとしてイオン交換装置の現地へ移送することができるが、専用の樹脂再生塔で再生した場合は、再生後樹脂をユニットに充填してイオン交換装置の現地へ移送する。
【0024】
樹脂再生装置において発生する再生排液は再生排液処理装置で処理する。再生排液処理装置は再生センターとしての樹脂再生装置に付随して、イオン交換装置から離れた場所に設置する。再生排液処理装置は、発生する再生排液の組成、濃度、性状等に応じて、適した処理方式の装置が選ばれる。再生排液は金属塩等の通常の塩のほか、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸等の難分解性のCOD成分、BOD成分を含む。このような再生排液は単発的に発生すると処理が困難であるが、多数のユニットを集めて集中的に再生を行うことにより、実質的に継続して再生排液を発生させることができる。
【0025】
このように再生センターとしての樹脂再生装置に付随して再生排液処理装置を設置することにより、再生排液処理装置へ排液を連続的に供給して連続した処理を行うことができる。このため再生排液処理装置としては、処理操作が容易で、処理効率が高い生物処理が採用できるが、これとともに、あるいはこれに替えて酸化剤による化学的な分解処理等の生物処理以外の処理方法を採用することもできる。いずれの場合も、カチオン交換樹脂の再生排液とアニオン交換樹脂の再生排液を混合して中和し、あるいはさらに酸またはアルカリを注入してpH調整する装置、あるいはこれにより析出物が発生する場合には、固液分離装置を設けることもできる。
【0026】
このような再生排液処理装置で再生排液を処理する際、発生するカチオン交換樹脂の再生排液とアニオン交換樹脂の再生排液を貯留槽へ導入することにより混合中和して均質化し、その一部を必要によりpH調節して生物処理装置等へ導入して生物処理等を行うことにより、無害化することができる。生物処理装置としては活性汚泥処理等の好気性生物処理装置が好ましいが、嫌気性生物処理装置でもよい。酸化剤による化学的な分解処理装置としては、過酸化水素系酸化剤、塩素系酸化剤等の酸化剤による化学的な分解処理装置が使用できる。このほか凝集沈殿処理等の他の処理装置を採用することもできる。
【0027】
生物処理装置では、活性汚泥のような生物汚泥が生成すると、連続して基質が供給されないと生物の活性が低下するが、上記のように連続して再生排液を供給することにより、生物活性を維持することができる。酸化剤による化学的な分解処理、その他の処理の場合でも、被処理液の発生が途絶えると処理が行えなくなるか、あるいは効率が低下するが、上記のように連続して再生排液を供給することにより、他の処理の場合でも、安定して処理を行うことができる。
【0028】
酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液をイオン交換装置に通液して、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生する場合、イオン交換樹脂は飽和するまで用いるため、樹脂の再生間隔は長時間、例えば週単位あるいは月単位となる。このような長時間間隔で再生を行うことは、再生および再生排液処理を行うこと自体が単発的事項であるため困難であるほか、再生排液処理を突発的に行うことにより処理の安定性を確保できないという問題点があり、特に生物処理では生物活性を維持できないという問題点がある。
【0029】
本発明では、排液処理を効果的に行うために、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理を継続して行えるように、再生センターとして樹脂再生装置を設置し、これに付随して再生排液処理装置を設置し、分散して存在するガス精製装置としての吸収塔および再生塔には、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着および脱着できるイオン交換装置を設置する。そしてこれらの装置間でカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを行き来させ、イオン交換装置においてアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに吸着させて再生センターへ集結させ、再生センターとしての樹脂再生装置で集結した樹脂をほぼ連続的に再生し、これに付随して設けられた再生排液処理装置で再生排液を連続的に処理することにより、再生および再生排液処理操作をルーチン化して、再生排液処理を効率的に行うとともに、処理の安定性を確保し、生物処理では生物活性を高く維持して処理効率を高くすることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、酸成分を吸収したアミン液を再生する再生塔に付随して外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、イオン交換装置においてアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに吸着させた後、カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを交換して、アミン液の2次再生を続行するようにしたので、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を交換して効率的にアミン液の再生を行うことができ、難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を再生する場合でも、イオン交換樹脂の再生および再生排液処理を安定して高効率で容易に行うことができる。
【0031】
酸成分を吸収したアミン液を再生する再生塔に付随してイオン交換装置を設け、このイオン交換装置から離れた場所に樹脂再生装置および再生排液処理装置を設け、これらの装置間で着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを行き来させ、イオン交換装置においてアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに吸着させた後、樹脂再生装置へ移送して樹脂を再生し、これにより発生する再生排液を再生排液処理装置で処理することにより、熱安定性アミン塩を含むアミン液を簡単な装置と操作で効率よく再生することができるとともに、熱安定性アミン塩から生成する難分解性成分を吸着したイオン交換樹脂を効果的に再生することができ、再生排液処理も安定して高効率で容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。図1は全体の処理装置のフロー図、図2はガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図、図3は樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。図1ないし図3において、1はガス精製装置、2はイオン交換装置、3は樹脂再生装置、4は再生排液処理装置、5はカチオン交換ユニット、6はアニオン交換ユニットである。
【0033】
図1において、ガス精製装置1は石油精製その他のプロセスに設けられるもので、複数のガス精製装置1が各地に分散して設けられている。複数のガス精製装置1に付随して複数のイオン交換装置2がそれぞれ1:1対応で設けられているが、1つのガス精製装置1に複数のイオン交換装置2が設けられていてもよい。これらのイオン交換装置2から離れた場所に、再生センターとして1つの樹脂再生装置3が設けられ、これに付随して1つの再生排液処理装置4が設けられている。複数のイオン交換装置2と樹脂再生装置3間には、着脱交換式のカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6が行き来するように移送され、イオン交換装置2に装着してアミン液に含まれるカチオンおよびアニオンをそれぞれカチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6に吸着させた後、脱着して樹脂再生装置3へ移送して樹脂を再生するように構成されている。
【0034】
図2において、ガス精製装置1は吸収塔11および再生塔12がラインL1、L2により、ポンプP1、P2および熱交換器13、14を介して連絡している。吸収塔11および再生塔12は内部に充填層15、16を備え、気−液接触により吸収及び再生を行うように構成されている。吸収塔11にはラインL3、L4が連絡しており、ラインL3から入る酸成分を含む酸性ガスを充填層15において、ラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送るように構成されている。再生塔12ではリボイラ17で蒸気加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液を吸収塔11に循環するように構成されている。
【0035】
イオン交換装置2は、ラインL2からバイパス路を形成するように分岐するラインL8、L9に接続する支持枠台21にカップリング1a、1b、1c・・・・が設けられ、カップリング1bと1c、1dと1e・・・を接続するラインL11、L12、L13が設けられており、カップリング2a、2b、2c・・・・を有する着脱交換式のメカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6がカップリング1a、1b、1c・・・・を介して着脱可能式に装着されるようになっている。ラインL12、L13、L9には電導度計3a、3b、3cが設けられ、制御装置24に入力されるようになっている。活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6には、それぞれ活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、アニオン交換樹脂層6aが充填されており、カップリング2c、2e、2gはそれぞれ上部ストレーナ23b、5b、6bに連絡し、カップリング2d、2f、2hはそれぞれ下部ストレーナ23c、5c、6cに連絡している。
【0036】
図3において、樹脂再生装置3は支持枠台21の一部に対応する支持枠台31が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・・に対応するカップリング4c、4d、4e・・・・が設けられ、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6が着脱交換式に装着されるようになっている。支持枠台31に対向して、洗浄水槽32、酸再生剤槽33、塩再生剤槽34、アルカリ再生剤槽35が設けられ、ラインL14、L15に連絡するラインL16、L17・・・を介して支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に接続している。ラインL22、L26、L31には電導度計3d、3e、3fが設けられ、制御装置36に入力されるようになっている。
【0037】
再生排液処理装置4はラインL15に連絡する混合貯留槽41、pH調整槽42、生物処理槽43から構成されている。混合貯留槽41は各ユニットの再生排液を導入し混合して貯留するように構成されている。pH調整槽42は混合貯留槽41から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整するように構成されている。生物処理槽43は活性汚泥処理槽からなり、ラインL36から活性汚泥を返送して好気性生物処理を行い、ラインL37から処理水を放流し、ラインL38から余剰汚泥を排出するように構成されている。図2、図3中、V1、V2、V3・・・は弁である。
【0038】
ガス精製工程では、吸収工程として石油精製その他のプロセスからラインL3を通して酸性ガスを吸収塔11へ導入し、充填層15においてラインL2から入るリーンアミン液と接触させ、これにより酸成分を吸収除去して精製ガスをラインL4からプロセスへ返送し、生成するリッチアミン液をラインL1から再生塔12へ送る。ここでは熱分解性のアミン塩を形成する硫化水素、炭酸ガス等の気散性のガスも、HSASを形成するギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、無機酸等の難気散性のガスも吸収され、熱分解性のアミン塩および熱安定性アミン塩を形成する。
【0039】
1次再生工程では、再生塔12においてリボイラ17により発生する蒸気を導入して加熱することにより、ラインL1から入るリッチアミン液を蒸気ストリッピングし、硫化水素、炭酸ガスのアミン塩のような熱分解性のアミン塩を分解して酸成分を放出し、アミンを1次再生してリーンアミン液を生成し、リーンアミン液を吸収塔11に循環する。分離した硫化水素、炭酸ガス等の気散性の酸性ガスはラインL6から系外へ放出されるが、ギ酸、酢酸、シュウ酸、チオシアン酸、チオ硫酸、その他の無機酸等の非気散性の酸成分のアミン塩のようなHSASは分解されず、アミン液中に蓄積する。
【0040】
そこでリーンアミン液をラインL8から分流してイオン交換装置2へ送り、2次再生を行う。イオン交換装置2は支持枠台21のカップリング1a、1b、1c・・・・に、メカニカルフィルタユニット22、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2a、2b、2c・・・・を接合して装着しておく。そしてラインL8から入るリーンアミン液をシリーズで流し、メカニカルフィルタユニット22でろ過し、活性炭ユニット23で活性炭処理し、カチオン交換ユニット5でカチオンを交換除去し、アニオン交換ユニット6でアニオン交換によりHSASを構成するアニオンを交換除去して2次再生する。2次再生されたアミン液(リーンアミン液)はラインL9から吸収塔11へ循環する。
【0041】
電導度計3a、3b、3cの電導度信号は制御装置24に入力され、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6が飽和したかどうかを判定し、ユニット交換の信号を発する。電導度信号に替え、濃度および流量信号から飽和したかどうかを判定するようにしてもよい。活性炭ユニット23の飽和は圧力損失、その他の信号により判定することができる。ユニット交換の信号により、飽和したユニットを脱着して交換し、脱着したユニットを精製センターへ送って再生を行う。
【0042】
樹脂再生装置3では、支持枠台31のカップリング4c、4d、4e・・・・に、活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6のカップリング2c、2d、2e・・・を接合して装着し、活性炭層23a、カチオン交換樹脂層5a、アニオン交換樹脂層6aの再生を行う。活性炭ユニット23の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し、他の経路から加熱ガス、蒸気等を送って賦活する。カチオン交換ユニット5の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、酸再生剤槽33から酸再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。アニオン交換ユニット6の再生は、洗浄水槽32から洗浄水を送って逆洗し、塩再生剤槽34から塩再生剤を送り、アルカリ再生剤槽35からアルカリ再生剤を送って薬注、押出を行い、洗浄水槽32から洗浄水を送って洗浄し再生する。再生後はそれぞれのユニット23、5、6をイオン交換装置2に送って交換に備える。
【0043】
樹脂再生装置3においてそれぞれのユニットの再生中に発生する再生排液は、ラインL15から再生排液処理装置4に導入し、再生排液の処理を行う。ラインL15から導入する再生排液は、混合貯留槽41に各ユニットの再生排液を導入して混合し貯留する。ここで酸性排液とアルカリ性排液が混合されて中和される。さらにpH調整槽42において、ラインL33から送られる混合液に、ラインL34からpH調整剤を注入してpH調整し、ラインL35から生物処理槽43へ導入する。生物処理槽43では、槽内の活性汚泥をラインL36から引き出して返送し、活性汚泥を利用して好気性生物処理を行う。処理液はラインL37から放流し、余剰汚泥はラインL38から引き出す。
【0044】
樹脂再生装置3においては、連続して再生排液を供給することができるので、再生排液処理装置4における活性汚泥の生物活性を維持することができ、高効率で安定して処理を行うことができる。上記の再生排液処理は生物処理の例であるが、酸化剤酸化処理、その他の処理により再生排液処理を行ってもよく、この場合でも連続して再生排液を供給することができるので、安定して処理を行うことができる。
【実施例】
【0045】
〔実施例1〕:
活性炭ユニット23、カチオン交換ユニット5およびアニオン交換ユニット6として、内径10mm、高さ700mmのカラムを3個使用した。活性炭ユニット23には活性炭として石炭系破砕炭(クリコールWG−560:栗田工業(株)製、商標)を55mL充填した。カチオン交換ユニット5には超純水製造装置の使用済樹脂である強酸性カチオン交換樹脂(全交換容量1.91meq/mL−樹脂)を55mL充填した。アニオン交換ユニット6には超純水製造装置の使用済樹脂である強塩基性アニオン交換樹脂(全交換容量1.10meq/mL−R)を55mL充填した。これらのユニットを装着したイオン交換装置2に、酸性ガスを吸収し、蒸気ストリッピングで1次再生したメチルジエタノールアミン(アミン濃度38.6重量%、HSAS濃度1.51重量%)をSV3.8で通液したところ、アミン濃度40.1重量%、HSAS濃度0重量%のアミン液が得られた。
【0046】
アニオン交換ユニット6が飽和した時点で、10重量%の塩化カリウム水溶液を8eq/L−樹脂、通水速度SV15で通液後、4重量%の水酸化ナトリウム水溶液を10eq/L−樹脂、通水速度SV15で通液した。その後純水を樹脂の5容量分通液して洗浄して再生した。再生排液はpH:中性、CODmn:1250mg/L、BOD:1180mg/Lであった。
【0047】
有機性排水の活性汚泥処理装置の被処理水9重量部に対し、上記再生排液1重量部を混合した混合排液(CODmn:144mg/L、BOD:128mg/L)を活性汚泥処理装置で好気的生物処理したところ、CODmn:47.5mg/L、BOD:9.8mg/Lの処理水が得られた。
【0048】
上記再生排液を過酸化水素系酸化剤で酸化処理した処理液はCODmn:188mg/L、さらに活性炭処理した処理液はCODmn:132mg/Lであった。また上記再生排液を塩素系酸化剤で酸化処理した処理液はCODmn:238mg/L、さらに活性炭処理した処理液はCODmn:181mg/Lであった。
【産業上の利用可能性】
【0049】
石油精製その他のプロセスで派生する酸性ガスの精製工程において、酸成分を吸収し、熱安定性アミン塩(HSAS)が蓄積したアミン液を、イオン交換樹脂を用いて再生し、熱安定性アミン塩の酸成分をを効率的に除去する方法に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施形態の全体の処理装置のフロー図である。
【図2】実施形態のガス精製装置およびイオン交換装置のフロー図である。
【図3】実施形態の樹脂再生装置および再生排液処理装置のフロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ガス精製装置
2 イオン交換装置
3 樹脂再生装置
4 再生排液処理装置
5 カチオン交換ユニット
6 アニオン交換ユニット
1a、1b・・、2a、2b・・、4c、4d、・・ カップリング
3a、3b、3c、3d、3e、3f 電導度計
11 吸収塔
12 再生塔
13、14 熱交換器
15、16 充填層
21、31 支持枠台
22 メカニカルフィルタユニット
23 活性炭ユニット
24、36 制御装置
32 洗浄水槽
33 酸再生剤槽
34 塩再生剤槽
35 アルカリ再生剤槽
41 混合貯留槽
42 pH調整槽
43 生物処理槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、
酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、
再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含むイオン交換装置を設け、
再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置に装着し、前記リーンアミン液を通液してリーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記イオン交換装置から脱着し、再生済のカチオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよび再生済のアニオン交換樹脂を充填したアニオン交換ユニットと交換して、
アミン液の2次再生を続行する
ことを特徴とするアミン液の再生方法。
【請求項2】
酸成分を含む酸性ガスを吸収塔においてアミン液と接触させることにより酸成分を吸収除去してリッチアミン液を生成し、
酸成分を吸収したアミン液を再生塔において熱分解することによりアミン液を1次再生してリーンアミン液を生成し、
再生塔に付随して、外部再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填した着脱交換式のカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを含む複数のイオン交換装置を設け、
前記イオン交換装置から離れた場所に、前記カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットに充填したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を再生する樹脂再生装置および再生排液処理装置を設け、
前記樹脂再生装置で再生したカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を充填したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置に移送して装着し、前記リーンアミン液を通液して、リーンアミン液に含まれるカチオンおよび熱安定性アミン塩を構成するアニオンを吸着除去してアミン液を2次再生し、
カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを前記複数のイオン交換装置から脱着して前記樹脂再生装置に回収し、
回収したカチオン交換ユニットのカチオン交換樹脂およびアニオン交換ユニットのアニオン交換樹脂を前記樹脂再生装置で再生し、
前記樹脂再生装置において発生する再生排液を前記再生排液処理装置で処理する
ことを特徴とするアミン液の再生方法。
【請求項3】
樹脂再生装置は、カチオンおよびアニオンを吸着したカチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットを装着し、再生剤を通液して再生するものである請求項2記載の方法。
【請求項4】
再生排液処理装置は、カチオン交換樹脂の再生排液およびアニオン交換樹脂の再生排液を混合して反応させる反応槽と、混合反応液を生物処理する生物処理槽を含む請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
カチオン交換ユニットおよびアニオン交換ユニットの交換を、カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂の交換容量から計算される飽和予想値、またはイオン交換装置に設けられた電導率計の指示値により行う請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂が水処理系で使用済のものである請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−215186(P2009−215186A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−58183(P2008−58183)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【出願人】(390027188)栗田エンジニアリング株式会社 (26)
【Fターム(参考)】