説明

アラーム装置、およびプログラム

【課題】簡易な機構でありながら、決まった時刻に気分のよい目覚めを実現するアラーム装置、およびプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザが操作部11を用いてアラーム時刻、およびアラーム楽音を設定すると、制御部12は、アラーム時刻からの遡上時間を設定し、アラーム楽音に対応するプリアラーム楽音をROM19から選択する。このアラーム時刻から遡上時間を遡った時刻をプリアラーム時刻として、現在時刻がプリアラーム時刻に達したとき、プリアラーム楽音を発音する。プリアラーム楽音は、アラーム楽音よりも緩やかで温和な楽音である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、決まった時刻に気分のよい目覚めを実現するアラーム装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、決まった時刻に音などの刺激により人体を睡眠から強制的に目覚めさせる目覚まし時計が一般に利用される。しかし、熟睡している時に突然大きな刺激を加えられると、目覚めたときの気分が悪くなる場合がある。これを避けるために、浅い睡眠であるレム睡眠時に目覚まし動作を行ない、目覚め後の気分のよい目覚まし装置が考案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の装置では、寝具の下に荷重センサを配置し、体動発生回数と寝姿とから使用者の睡眠状態がレム睡眠であるか否かを判定し、レム睡眠時に報知器を作動させる構成である。レム睡眠の状態で目が覚めると心地よい目覚め感が得られるため、この構成により、心地よい目覚めを実現する目覚まし装置を実現できる。
【0003】
また、特許文献2の装置は、目覚まし動作を行なったときの人体の体動を検出し、体動の大きさや持続時間などから目覚まし動作に対する人体の反応を検出し、その時点の覚醒状況を反映する人体の反応に応じた刺激を選択して人体に加えることで、決まった時刻に気分のよい目覚めを実現する。
【特許文献1】特開2000−316832号公報
【特許文献2】特開2002−372593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている目覚まし装置では、レム睡眠時に目覚めさせる場合、人体の睡眠状態により睡眠周期も変化するので、起床したい時刻に対して誤差が生じてしまう欠点があった。
【0005】
また、特許文献1、特許文献2の目覚まし装置ともに、体動を検出する大がかりな機構(同特許文献2においては、寝具の下に振動センサを設置する機構)が必要であった。また、寝具の下に振動センサを設置する構成は、寝心地を悪化させるものであった。
【0006】
この発明は、簡易な機構でありながら、決まった時刻に気分のよい目覚めを実現するアラーム装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のアラーム装置は、現在時刻を計時する計時手段と、複数種類の音声を発生する発音手段と、ユーザがアラーム時刻を設定したとき、この設定されたアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声であるアラーム音を設定し、設定されたアラーム時刻より所定時間前のプリアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声であるプリアラーム音を、前記アラーム音に基づいた音声に設定し、前記発音手段に、現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したときに前記プリアラーム音を発生させ、現在時刻が前記アラーム時刻に達したときに前記アラーム音を発生させる制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明では、ユーザがアラーム時刻を設定すると、そのアラーム時刻よりも前にプリアラーム時刻が自動的に設定される。プリアラーム時刻に発せられる音声(例えば楽音)は、アラーム時刻に発せられる楽音に基づいて自動的に決定される。アラーム楽音とプリアラーム楽音の組み合わせは、予め定めたテーブルにより決定してもよいし、ファジィ推論などにより決定してもよい。例えば、ジャンルによって組み合わせるようにテーブルを決定しておく。ロックのジャンルをアラーム楽音に設定した場合、同じロックのジャンルでバラードミュージックをプリアラーム楽音に設定するようにする。また、クラシックのジャンルをアラーム楽音に設定した場合、ヒーリングミュージック等をプリアラーム楽音に設定するようにしてもよい。いずれにしても、プリアラーム楽音はアラーム楽音に比較して緩やかで温和な楽音を発音するように自動設定する。これにより、気分のよい目覚めを実現する。
【0009】
また、この発明は、さらに、前記制御手段は、前記発音手段に、プリアラーム時刻に発生したプリアラーム音を、前記アラーム音の発音音量よりも小さい音量で、前記アラーム時刻まで段階的に音量を大きくしながら断続的に、または継続して発生させることを特徴とする。
【0010】
この発明では、プリアラーム楽音をアラーム楽音より小さい音量で、段階的にアラーム時刻まで大きくする。一般的なスヌーズ機能は、アラーム時刻の1分後、2分後、3分後・・・といった様にアラーム音を徐々に大きくするものであるが、この発明では、アラーム時刻の3分前、2分前、1分前といった様に徐々に音量を大きくする。断続的、または継続的に音量が大きくなって発音されるので、自然な目覚めを誘発する。
【0011】
また、この発明は、さらに、前記制御手段は、前記プリアラーム音として、環境音の楽音を設定することを特徴とする。
【0012】
この発明では、プリアラーム楽音として環境音を発音する。環境音は、例えば、鳥のさえずり、小川の流水音等である。また、炊事場の調理音等、家庭内の朝の環境音を発音するようにしてもよい。環境音をプリアラーム楽音とすることで、気分のよい目覚めを実現する。
【0013】
また、この発明は、さらに、周囲環境音を収音する収音手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記プリアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声を、前記プリアラーム音に代えて、前記収音手段が収音する周囲環境音を増幅した増幅環境音に設定し、前記発音手段に、現在時刻がプリアラーム時刻に達したとき、前記増幅環境音を発生させることを特徴とする。
【0014】
この発明では、周囲環境音をマイクで収音する。この実際に収音した環境音を記録せずに、その場で増幅してプリアラーム楽音として発音する。実際の環境音が増幅されるものであるため、自然な朝の雰囲気をユーザの周囲に発生させることができる。
【0015】
また、この発明は、さらに、周囲環境音を収音する収音手段と、前記収音手段が収音した周囲環境音を楽音情報として記録する記憶手段と、をさらに備え、前記制御手段は、前記プリアラーム音として、前記記憶手段に記録されている周囲環境音の楽音情報を設定し、前記発音手段に、現在時刻がプリアラーム時刻に達したとき、前記周囲環境音の楽音情報に基づく音声を発生させることを特徴とする。
【0016】
この発明では、周囲環境音をマイクで収音する。この実際に収音した環境音を記憶しておき、これをプリアラーム楽音として発音する。上記炊事場の調理音の他、朝のテレビニュース音等、ユーザ毎に日常に聞くことができる朝の環境音をプリアラームとすることで、さらに気分のよい目覚めを実現する。
【0017】
また、この発明は、さらに、画像取得手段と、複数のスピーカユニットをアレイ状に配置したアレイスピーカと、をさらに備え、前記制御手段は、前記画像取得手段が取得した画像からユーザの位置を算出し、前記発音手段に、算出したユーザの位置に基づいて、前記アレイスピーカの各スピーカユニットから発生させる音声を、それぞれのスピーカユニットに所定の遅延を付与させることを特徴とする。
【0018】
この発明では、カメラによりユーザの存在位置(特に顔)を検出する。画像処理により人体(顔)と認識できた位置にユーザが存在すると判断すればよい。アレイスピーカの各スピーカユニットから発音する楽音に遅延を付与して、楽音の放音方向を傾斜させ、このユーザの位置に楽音を発するようにする。これにより、ユーザ以外の者に不要な楽音を発することなく、確実にプリアラーム楽音、アラーム楽音を聞かせることができる。
【0019】
また、この発明は、さらに、ユーザに光を照らす照明手段をさらに備え、前記制御手段は、現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したとき、前記照明手段に、前記アラーム時刻まで段階的に明度を大きくしながら継続して光を照らすように設定することを特徴とする。
【0020】
この発明では、プリアラーム時刻に照明を照らし、この光をアラーム時刻まで継続的に明るくしていく。人体は明るさを感じると目覚め易くなるため、アラーム時刻に気分のよい目覚めを実現することができる。
【0021】
この発明のプログラムは、現在時刻を計時する計時手段を備えた装置に、複数種類の音声のいずれかを発生させる音声発生処理と、ユーザがアラーム時刻を設定したとき、この設定されたアラーム時刻に前記音声発生処理で発生する音声であるアラーム音を設定するアラーム音設定処理と、設定されたアラーム時刻より所定時間前のプリアラーム時刻に前記音声発生処理で発生する音声であるプリアラーム音を、前記アラーム音に基づいた音声に設定するプリアラーム音設定処理と、現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したときに前記プリアラーム音を発生し、前記アラーム時刻に達したときに前記アラーム音を発生する発音指示処理と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上のようにこの発明によれば、ユーザがアラーム時刻を設定すると、そのアラーム時刻よりも前にプリアラーム時刻が自動的に設定され、プリアラーム時刻に発せられる音声は、アラーム時刻に発せられる音声に基づいて自動的に決定されるので、簡易な機構でありながら、決まった時刻に気分のよい目覚めを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照してこの発明の実施形態であるアラーム装置について説明する。図1は、アラーム装置の構成を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、アラーム装置1は、ユーザの操作を受け付ける操作部11、アラーム装置1を統括的に制御する制御部12、ワークメモリであるRAM13、クロック信号を生成するクロック14、音声を放音するスピーカ16、情報をモニタ表示する表示部18、記憶手段であるROM19、および他の機器と情報を送受信するインタフェース20を備えている。
【0025】
各構成部は、バスを介して制御部12に接続されている。制御部12は、ROM19に記憶されている動作用プログラムを読み出し、これをRAM13に展開することで種々の動作を行う。
【0026】
操作部11は、複数のボタン等により構成され、ユーザはこのボタンを操作して、現在の時刻、アラーム時刻、制御部12が読み出すアラーム楽音等を設定することができる。現在の時刻が設定されると、この時刻は下記クロック14、および制御部12により逐次更新される。クロック14で生成されるクロック信号は、所定周波数に分周され制御部12へ出力される。制御部12は、その分周された信号を計数して現在時刻を得る。
【0027】
制御部12は、ROM19に記憶されている楽音情報(デジタル録音データ)を読み出し、スピーカ16から楽音を放音する。なお、スピーカ16は、必要に応じてD/Aコンバータを内蔵するものである。スピーカ16は、単一のスピーカユニットであってもよいが、複数のスピーカユニットからなるアレイスピーカにより構成されるようにしてもよい。
【0028】
ユーザがアラーム時刻を設定し、このアラーム時刻に現在時刻が一致すると、制御部12は、ROM19に記憶されている楽音情報(デジタル録音データ)を読み出し、スピーカ16から楽音を放音する。
【0029】
ユーザは、操作部11を用いて、この制御部12が読み出す楽音情報を指定することができる。これにより、自分の好みの楽音をアラーム時刻に発生させることができ、このアラーム装置1を目覚まし時計として利用する場合、決まった時刻に好みの楽音を聞いて目覚めることができる。
【0030】
スピーカ16がアレイスピーカにより構成される場合、制御部12は、各スピーカユニットに入力する音声に所定の遅延を付与し、各スピーカユニットの放音タイミングを制御する。例えば、全スピーカユニットから同じタイミングで音声が放音された場合、それぞれのスピーカユニットから出力された音波は放射状に伝搬していくが、前方以外の方向へ伝搬する音声は、各スピーカユニットから出力された成分と干渉して打ち消される。したがって、前方への成分のみが音声ビームとして伝搬されることになる。また、端部のスピーカユニットから最初に音声を出力し、隣のスピーカユニットから順次所定の遅延時間で音声を出力すると、これらの音声の合成波面はその遅延時間に応じて傾斜するので、音声ビームを斜め方向に向けることができる。したがって、制御部12は、上述したように、人間の存在位置を算出することができるので、この人間の存在位置に対し、音声ビームを傾けることができる。
【0031】
表示部18は、現在の時刻、ユーザが設定したアラーム時刻等を表示する。また、そのほかにもユーザの操作を補助するための種々の情報が表示される。
【0032】
インタフェース20は、他の機器と情報を送受信するインタフェースである。このインタフェース20は、例えばデジタル音声情報を送受信する入出力端子や、種々の情報を有線で送受信するLAN端子、無線で送受信するBlueTooth(登録商標)等どの様なものであってもよい。無論、これらのうち1つを備えた例に限らず、複数の端子(インタフェース)により構成されていてもよい。
【0033】
このようなアラーム装置1において、ユーザによりアラーム時刻及びアラーム楽音が設定されると、自動的にアラーム時刻から所定時刻前の時刻にプリアラーム時刻が設定され、また設定されたアラーム楽音に応じたプリアラーム楽音が自動的に設定される。そして、プリアラーム時刻にプリアラーム楽音を発生させ、アラーム時刻にアラーム楽音させることができる。これによって、アラーム装置1を目覚まし時計として使用する場合、決まった時刻に好みの楽音を聞いて目覚めることができる。なお、プリアラーム楽音はユーザが操作部11を用いてマニュアルで設定するようにしてもよい。
【0034】
図2はアラーム装置1にさらに、画像を撮影するカメラ10、照明手段であるライト15、音声を収音するマイク17を備えたアラーム装置2の構成を示すブロック図である。
【0035】
画像取得手段であるカメラ10は、CCD等のイメージセンサを有している。カメラ10が取得した画像は、制御部12に入力される。制御部12は、入力された画像をROM19に記録する。また、制御部12は、入力された画像から特定の画像(例えば人間の顔面)を認識する。制御部12は、認識した画像について、カメラ撮影範囲の座標位置の情報に変換する。この座標位置に基づいて、アラーム装置2に対する人間の存在位置を算出することができる。制御部12は、人間の顔面の画像を所定の認識アルゴリズムに基づいて認識する。例えば、カメラ10で取得した画像を複数の小領域に分割して、それぞれの画像をあらかじめ登録しておいた顔パターンと照合する等の処理を行う。また、カラー画像を取得して肌色と一致するか判定してもよい。
【0036】
ライト15は、蛍光灯、白熱灯、LEDなどの照明具により構成され、制御部12の指示に基づいて輝度を調整し、アラーム装置2の周囲に明かりを照らす。
【0037】
マイク17は、アラーム装置1の周囲の音声を収音し、この収音した音声を制御部12に出力する。制御部12に入力された音声は、音声データとしてROM19に記録される。マイク17は、必要に応じてA/Dコンバータを内蔵するものである。また、制御部12は、マイク17で収音した音声をスピーカ16に入力し、増幅して放音することも可能であるし、ROM19に記録されている収音済みの音声データを読み出してスピーカ16から放音することも可能である。
【0038】
なお、インタフェース20に次の様なユニットを接続することで音声ビームを生成することもできる。図3は、インタフェース20を介してアラーム装置1をアレイスピーカユニット3を接続する例を示したものである。
【0039】
アレイスピーカユニット3は、複数のスピーカユニット33、信号処理回路31、制御部32、インタフェース30から構成され、アラーム装置2とアレイスピーカユニット3は、インタフェース20とインタフェース30を介して接続されている。インタフェース30には信号処理回路31、および制御部32が接続されている。信号処理回路31には、制御部32、および複数のスピーカユニット33が接続されている。信号処理回路31は、入力された音声情報を音声信号に変換し、所定の遅延を付与してそれぞれのスピーカユニット33に入力する。各スピーカユニット33は、入力された音声信号から音声を放音する。
【0040】
アラーム装置2の制御部12は、上記算出した人間の存在位置の情報と、ROM19から読み出した音声情報をインタフェース20を介してアレイスピーカユニット3に出力する。人間の存在位置の情報は制御部32に入力される。また、音声情報は信号処理回路31に入力される。制御部32は、入力された人間の存在位置の情報から、人間の存在位置に音声ビームが向くように各スピーカユニット33に付与すべき遅延時間を計算する。制御部32は、各スピーカユニットに付与すべき遅延時間を信号処理回路31に入力し、信号処理回路31は、この入力された計算遅延時間に基づいた遅延を各スピーカユニット33に付与する。
【0041】
また、インタフェース20に次のようなユニットを接続することで、ユーザに明かりを照らすことができる。図4は、インタフェース20を介してアラーム装置1をホームサーバ5に接続する例を示したものである。アラーム装置2とホームサーバ5は、インタフェース20とインタフェース50を介して接続されている。インタフェース50には、制御部51が接続されている。制御部51は、さらに他のインタフェース52に接続されており、このホームサーバ5は、同図においては室内ライト7に接続されているが、この他にも家庭内の種々の機器(家電など)に接続される。室内ライト7は、蛍光灯、白熱灯、LEDなどの照明具により構成されている。
【0042】
アラーム装置2の制御部12は、インタフェース20を介して、照明を点灯すべき指示情報をホームサーバ5に出力する。ホームサーバ5の制御部51は、この情報に基づいて、接続されている室内ライト7の照明を点灯する。これにより、室内ライト7は、アラーム装置2の制御部12の指示に基づいて、照明を点灯することができる。また、制御部12の指示に基づいて輝度を調整することもできる。
【0043】
次に、本実施形態のアラーム装置1、およびアラーム装置2の動作について説明する。図5はプリアラーム設定動作を示すフローチャートである。このプリアラーム設定動作は、ユーザが操作部11を用いてアラーム時刻を設定し、発音する楽音を選択したことがトリガとなる。
【0044】
まず、ユーザが設定したアラーム時刻に基づいて、遡上時間を設定する(s10)。遡上時間は予め定められた時間(例えば3分)で設定される。この遡上時間は、ユーザが手動で変更できるようにしてもよい。また、ユーザが設定したアラームの時刻と、現在時刻との時間差に基づいて次のようにして設定してもよい。すなわち、一般的に睡眠状態となってから最初のレム睡眠出現までは60〜120分程度であり、その後ノンレム睡眠とレム睡眠を約90分周期で繰り返すため、アラームの時刻と現在時刻との時間差をこの関係に当てはめて、アラーム時刻がノンレム睡眠時間中と推定される場合には、徐々に覚醒させるために遡上時間を長く設定し、緩やかな目覚めを促す。一方でアラーム時刻がレム睡眠中と推定される場合は、遡上時間は短くする。なお、ユーザがアラーム時刻を設定してから所定時間後(例えば15分後)に、睡眠状態となったとみなすものである。
【0045】
次に、アラーム時刻に発音する楽音に基づいて、プリアラームとして発音する楽音を選択する(s11)。
プリアラーム楽音は、ユーザが設定したアラーム楽音に基づいて選択される。すなわち、ROM19に記憶されているアラーム楽音は、それぞれ、予めテーブルによって対応するプリアラーム楽音が定められている。制御部12は、図6に示すようなテーブルを参照し、ユーザが設定したアラーム楽音に対応するプリアラーム楽音を読み出すことでプリアラーム楽音を選択する。また、ファジィ推論によりアラーム楽音に対応するプリアラーム楽音を選択するようにしてもよい。
【0046】
例えば、ロックのジャンルをアラーム楽音に設定した場合、同じロックのジャンルでバラードミュージックをプリアラーム楽音に設定する。また、クラシカルミュージックをアラーム楽音に設定した場合、ヒーリングミュージック等をプリアラーム楽音に設定するようにしてもよい。いずれにしても、プリアラーム楽音はアラーム楽音に比較して緩やかで温和な楽音を発音するように自動設定する。あるいは、操作部11を用いてユーザがプリアラーム楽音をマニュアル設定するようにしてもよい。
【0047】
なお、プリアラーム楽音として環境音を発音するようにしてもよい。環境音は、例えば、鳥のさえずり、小川の流水音等である。また、炊事場の調理音等、家庭内の朝の環境音を発音するようにしてもよい。
【0048】
次に、選択したプリアラーム楽音の発音時の音量を設定する(s12)。発音時の音量は、アラーム楽音よりも小さい音量に設定する。また、プリアラーム楽音を発音してから1分後、2分後、3分後、、、といった間隔で徐々に音量を大きくするように設定してもよい。断続的、または継続的に音量が大きくなって発音されるので、自然な目覚めを誘発することができる。この音量選択も図5のテーブルに基づいて設定される。
【0049】
最後に、以上の設定項目をRAM13に記録するプリアラーム設定を実行する(s13)。これにより、制御部12は、プリアラーム時刻(アラーム時刻から上記遡上時間を遡った時刻)に達したとき、プリアラーム楽音を発音する。
【0050】
なお、実際の周囲環境音をプリアラーム楽音として設定するようにしてもよい。この場合、制御部12は、プリアラーム時刻に達したときに、マイク17で収音した音声を増幅し、スピーカ16から発音するようにする。炊事場の調理音の他、朝のテレビニュース音等、ユーザ毎に日常に聞くことができる実際の朝の環境音が増幅されるものであるため、自然な朝の雰囲気を発生させることができる。また、マイク17で収音した音声をROM19に記録しておき、プリアラーム時刻に達したときに、このROM19に記録されている録音環境音を読み出して、プリアラーム楽音として発音するようにしてもよい。ユーザ毎に日常に聞くことができる朝の環境音をプリアラーム楽音とする。
【0051】
また、アラーム装置2においては、制御部12は、プリアラーム時刻に達したとき、ライト15を点灯するようにしてもよい。また、この光をアラーム時刻まで継続的に明るくしていくようにしてもよい。人体は明るさを感じると目覚め易くなるため、アラーム時刻に気分のよい目覚めを実現することができる。アラーム装置1が図4のようなホームサーバ5に接続されている場合は、プリアラーム時刻に達したとき、照明を点灯すべき指示情報をホームサーバ5に出力し、室内ライト7を点灯させるようにしてもよい。
【0052】
また、スピーカ16がアレイスピーカにより構成される場合、またはアラーム装置2がアレイスピーカユニット3に接続されている場合、制御部12は、以下のような動作を行うことができる。図7は、アレイスピーカによりユーザに楽音を放音する場合の制御部12の動作を示すフローチャートである。
【0053】
まず、制御部12は、カメラ10から画像を取得し(s20)、入力された画像から人間の顔面を認識する(s21)。制御部12は、人間の顔面の画像を所定の認識アルゴリズムに基づいて認識する。また、認識した画像について、カメラ撮影範囲の座標位置の情報に変換し、この座標位置に基づいて、アラーム装置2に対する人間(ユーザ)の存在位置を算出する(s22)。
【0054】
最後に、算出したユーザの存在位置の方向に音声ビームが向くように、各スピーカユニットに供給する音声信号の遅延時間を計算する(s23)。これにより、ユーザの存在方向にのみプリアラーム楽音、アラーム楽音が放音され、ユーザ以外の者に不要な楽音を発することなく、確実にプリアラーム楽音、アラーム楽音を聞かせることができる。
【0055】
なお、本実施形態においてはアラーム音は楽音である例を示したが、これに限らず単にベル音等であってもよい。この場合もプリアラーム音は緩やかで温和な音声を発音するように設定すればよい。
【0056】
なお、上述のアラーム装置1、およびアラーム装置2の動作を行うプログラムを携帯電話に内蔵させることで、本発明のアラーム装置を携帯電話によっても実現することができる。この場合、ユーザが当該プログラムを実行するように携帯電話を操作して指示すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】アラーム装置の構成を示すブロック図
【図2】アラーム装置2の構成を示すブロック図
【図3】アラーム装置にアレイスピーカユニットを接続する例について示す図
【図4】アラーム装置にホームサーバを接続する例について示す図
【図5】プリアラーム設定動作を示すフローチャート
【図6】プリアラーム楽音設定テーブルを示す図
【図7】アレイスピーカによりユーザに楽音を放音する場合の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0058】
1,2−アラーム装置
10−カメラ
11−操作部
12−制御部
13−RAM
14−クロック
15−ライト
16−スピーカ
17−マイク
18−表示部
19−ROM
20−インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在時刻を計時する計時手段と、
複数種類の音声を発生する発音手段と、
ユーザがアラーム時刻を設定したとき、この設定されたアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声であるアラーム音を設定し、
設定されたアラーム時刻より所定時間前のプリアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声であるプリアラーム音を、前記アラーム音に基づいた音声に設定し、
前記発音手段に、現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したときに前記プリアラーム音を発生させ、現在時刻が前記アラーム時刻に達したときに前記アラーム音を発生させる制御手段と、
を備えたアラーム装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記発音手段に、プリアラーム時刻に発生したプリアラーム音を、前記アラーム音の発音音量よりも小さい音量で、前記アラーム時刻まで段階的に音量を大きくしながら断続的に、または継続して発生させる請求項1に記載のアラーム装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記プリアラーム音として、環境音の楽音を設定する請求項1、または請求項2に記載のアラーム装置。
【請求項4】
周囲環境音を収音する収音手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記プリアラーム時刻に前記発音手段に発生させる音声を、前記プリアラーム音に代えて、前記収音手段が収音する周囲環境音を増幅した増幅環境音に設定し、
前記発音手段に、現在時刻がプリアラーム時刻に達したとき、前記増幅環境音を発生させる請求項1、または請求項2に記載のアラーム装置。
【請求項5】
周囲環境音を収音する収音手段と、
前記収音手段が収音した周囲環境音を楽音情報として記録する記憶手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記プリアラーム音として、前記記憶手段に記録されている周囲環境音の楽音情報を設定し、
前記発音手段に、現在時刻がプリアラーム時刻に達したとき、前記周囲環境音の楽音情報に基づく音声を発生させる請求項1、または請求項2に記載のアラーム装置。
【請求項6】
画像取得手段と、複数のスピーカユニットをアレイ状に配置したアレイスピーカと、をさらに備え、
前記制御手段は、前記画像取得手段が取得した画像からユーザの位置を算出し、
前記発音手段に、算出したユーザの位置に基づいて、前記アレイスピーカの各スピーカユニットから発生させる音声を、それぞれのスピーカユニットに所定の遅延を付与させる請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のアラーム装置。
【請求項7】
ユーザに光を照らす照明手段をさらに備え、
前記制御手段は、現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したとき、前記照明手段に、前記アラーム時刻まで段階的に明度を大きくしながら継続して光を照らすように設定する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のアラーム装置。
【請求項8】
現在時刻を計時する計時手段を備えた装置に、
複数種類の音声のいずれかを発生させる音声発生処理と、
ユーザがアラーム時刻を設定したとき、この設定されたアラーム時刻に前記音声発生処理で発生する音声であるアラーム音を設定するアラーム音設定処理と、
設定されたアラーム時刻より所定時間前のプリアラーム時刻に前記音声発生処理で発生する音声であるプリアラーム音を、前記アラーム音に基づいた音声に設定するプリアラーム音設定処理と、
現在時刻が前記プリアラーム時刻に達したときに前記プリアラーム音を発生し、前記アラーム時刻に達したときに前記アラーム音を発生する発音指示処理と、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−271296(P2007−271296A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93942(P2006−93942)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】