説明

アリール置換ヘテロ環およびそれらの使用

本発明は、新規アリール置換ヘテロ環、それらの製造法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用ならびに疾患、特に、血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アリール置換ヘテロ環、それらの製造法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用ならびに疾患、特に、血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固は、血管壁の欠損を迅速かつ確実に“ふさぐ”のを助ける生物の保護的機構である。したがって、血液の喪失を避けるか、または最小限に保ち得る。血管損傷後の止血は、主に、血漿タンパク質の複雑な反応の酵素学的カスケードが誘導される凝固系により影響を受ける。多くの血液凝固因子がこの過程に関与し、その各々の因子は、活性化されると、各々の次の不活性前駆体をその活性型に変換する。カスケードの最後に、可溶性フィブリノーゲンの不可溶性フィブリンへの変換が起こり、その結果、血塊の形成を生じる。血液凝固では、伝統的に、最終的に結合反応経路に至る内因性および外因性の系が区別される。ここで、プロ酵素X因子から形成されるXa因子は、それが2つの凝固経路を結合するので、重要な役割を果たす。活性化されたセリンプロテアーゼXaは、プロトロンビンをトロンビンに切断する。生じたトロンビンは、順に、フィブリノーゲンをフィブリンに切断する。次のフィブリンモノマーの架橋により血塊を生じ、したがって、止血される。さらに、トロンビンは、血小板凝集の有力なエフェクターであり、同様に、止血にかなり貢献する。
【0003】
止血は、複雑な制御機構を受ける。無制御の凝固系の活性化または活性過程の欠損阻害は、血管(動脈、静脈、リンパ管)または心腔での局所的な血栓または塞栓症の形成を生じ得る。この結果、重篤な血栓塞栓性障害を生じ得る。さらに、消費性凝固障害の場合には、血液凝固亢進により、−全身的に−播種性血管内凝固症候群を生じ得る。血栓塞栓性合併症はさらに、微小血管症性溶血性貧血、体外血液循環、例えば、血液透析、およびまたは、人工心臓弁と関連して生じる。
【0004】
血栓塞栓性障害は、たいていの先進国における死亡症例の最も頻繁な原因である[Heart Disease: A Textbook of Cardiovascular Medicine, Eugene Braunwald, 5th edition, 1997, W.B. Saunders Company, Philadelphia]。
【0005】
先行技術から既知である抗凝固剤、すなわち、血液凝固を妨害する物質は、頻繁に、さまざまな重大な欠点を有する。したがって、実際上、血栓塞栓性障害の有効な処置法または予防は、非常に困難であり、満足のいくものではない。
【0006】
血栓塞栓性障害の治療および予防では、最初、非経腸または皮下に投与されるヘパリンが使用される。より有効な薬物動態のために、最近、ますます好ましいのは、低分子量ヘパリンを提供することであるが;しかしながら、低分子量ヘパリンを用いたときでさえ、ヘパリン治療に関する下記の既知の欠点を避けることはできない。したがって、ヘパリンは、経口で投与するときに有効ではなく、相対的に短い半減期を有する。ヘパリンは、複数の血液凝固カスケードの因子を同時に阻害するので、作用は、非選択的である。さらに、出血の高いリスクが存在し;特に、脳内出血および胃腸内出血を生じ得て、それは、血小板減少症、薬剤誘発脱毛症または骨粗鬆症を生じ得る [Pschyrembel, Klinisches Woerterbuch, 257th edition, 1994, Walter de Gruyter Verlag, page 610, entry “Heparin”; Roempp Lexikon Chemie, Version 1.5, 1998, Georg Thieme Verlag Stuttgart, entry “Heparin”].
【0007】
第2クラスの抗凝固剤は、ビタミンKアンタゴニストである。これらは、例えば、1,3-インダネジオン、および、とりわけ、肝臓でのあるビタミンK依存性凝固因子のさまざまな産物の合成を非選択的な方法で阻害するワルファリン、フェノクロプモン、ジクマロールおよび他のクマリン誘導体のような化合物を含む。しかしながら、作用機序のために、作用の開始は非常に遅い(作用開始までの潜在待ち時間は、36から48時間)。化合物を経口で投与することは可能であるが;出血の高いリスクおよび治療係数の低さのために、時間を要する個々の調節および患者のモニタリングを必要とする[J. Hirsh, J. Dalen, D.R. Anderson et al., “Oral anticoagulants: Mechanism of action, clinical effectiveness, and optimal therapeutic range” Chest 2001, 119, 8S-21S; J. Ansell, J. Hirsh, J. Dalen et al., “Managing oral anticoagulant therapy” Chest 2001, 119, 22S-38S; P.S. Wells, A.M. Holbrook, N.R. Crowther et al., “Interactions of warfarin with drugs and food” Ann. Intern. Med. 1994, 121, 676-683]。
【0008】
最近、血栓塞栓性障害の処置および予防のための新規の治療法が記載された。この新規治療法は、Xa因子を阻害することを目的とする。Xa因子が血液凝固カスケードで果たす中心的な役割のために、Xa因子は、抗凝固剤のための最も重要な標的の1つである[J. Hauptmann, J. Stuerzebecher, Thrombosis Research 1999, 93, 203; S.A.V. Raghavan, M. Dikshit, “Recent advances in the status and targets of antithrombotic agents” Drugs Fut. 2002, 27, 669-683; H.A. Wieland, V. Laux, D. Kozian, M. Lorenz, “Approaches in anticoagulation: Rationales for target positioning” Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 264-271; U.J. Ries, W. Wienen, “Serine proteases as targets for antithrombotic therapy” Drugs Fut. 2003, 28, 355-370; L.-A. Linkins, J.I. Weitz, “New anticoagulant therapy” Annu. Rev. Med. 2005, 56, 63-77 (online publication August 2004)]。
【0009】
動物モデルで、さまざまなペプチド性および非ペプチド性化合物がXa因子阻害剤として有効であることが示されてきている。多くの直接のXa因子阻害剤がすでに既知である[J.M. Walenga, W.P. Jeske, D. Hoppensteadt, J. Fareed, “Factor Xa inhibitors: Today and beyond” Curr. Opin. Investig. Drugs 2003, 4, 272-281; J. Ruef, H.A. Katus, “New antithrombotic drugs on the horizon” Expert Opin. Investig. Drugs 2003, 12, 781-797; M.L. Quan, J.M. Smallheer, “The race to an orally active Factor Xa inhibitors: Recent advances” Curr. Opin. Drug Discovery & Development 2004, 7, 460-469; A. Casimiro-Garcia et al., “Progress in the discovery of Factor Xa inhibitors” Expert Opin. Ther. Patents 2006, 15, 119 145]。非ペプチド性低分子量Xa因子阻害剤はまた、例えば、WO 06/002099およびWO 03/026652に記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ヒトおよび動物で、障害、特に、血栓塞栓性障害を制御するために、同等であるか、または改善された活性を有する新規代替化合物を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、式
【化1】

[式中、
Eは、式
【化2】

(式中、
#は、フェニル環に結合する位置であり、
R1は、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノまたはC1-C4-アルコキシカルボニルアミノを示し、
ここで、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルアミノおよびN-R5またはOからなる群からの環員を含み得るN原子により結合した4から7員飽和ヘテロシクリルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R5は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、そして、
R10は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたは-NR11R12を示し、
ここで、R11は、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、そして、
R12は、C1-C4-アルキルを示す)
の基を示し、
Aは、5員ヘテロアリールまたは部分不飽和5員ヘテロシクリルを示し、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、1もしくは2位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、置換基R6で置換され、
R6は、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6は、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、
フェニルおよびヘテロアリールは、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、アミノ、アミノメチル、アミノエチル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-アルキルアミノメチル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルメチル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニルメチル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R4は、式
【化3】

(式中、
*は、カルボニル基に結合する位置であり、
R7は、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R8は、水素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、そして、
R9は、水素、フッ素、塩素、アミノまたはC1-C4-アルキルを示す)の基を示す]
で示される化合物およびそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0012】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、下記の式の式(I)で構成される化合物およびそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物、ならびに態様として下記した式(I)で構成される化合物およびそれらの塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物である(下記の式(I)で構成される化合物がすでに塩、溶媒和物およびその塩の溶媒和物ではないとき)。
【0013】
本発明による化合物は、それらの構造に依存して、立体異性体型(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。したがって、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の複合体を含む。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの複合体から、既知の方法で、立体異性的に均一な構成要素を単離することは可能である。
【0014】
本発明による化合物が互変異性型で存在し得るとき、本発明は、あらゆる互変異性型を含む。
【0015】
本発明の内容で、好ましいは、本発明による化合物の生理学的に許容される塩である。本発明はまた、それらの部分のために医薬適用に関しては適当ではないが、例えば、本発明による化合物を単離または精製するのに使用し得る塩を含む。
【0016】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩は、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩を含む。
【0017】
本発明による化合物の生理学的に許容される塩は、また、慣用的な塩基の塩、例えば、例示として好ましくは、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩およびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩)ならびにアンモニアまたは1から16個の炭素原子を有する有機アミン(例えば、例示として好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、N-メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミンおよびN-メチルピペリジン)に由来するアンモニウム塩を含む。
【0018】
本発明の内容で、溶媒和物は、固体もしくは液体状態で、溶媒分子と配位して複合体を形成する本発明による化合物の形態である。水和物は、溶媒和物の特定の形態であり、そこでは、配位は、水である。本発明の内容で、好ましい溶媒和物は、水和物である。
【0019】
さらに、本発明はまた、本発明による化合物のプロドラッグを含む。“プロドラッグ”なる用語は、それらの部分のために、生物学的に活性であるか、または不活性であり得るが、それらが体内にとどまる間に、本発明による化合物に変換される(例えば、代謝的に、または加水分解的に)化合物を含む。
【0020】
本発明の内容で、別に規定がなければ、置換基は、下記の意味を有する:
アルキルそれ自体ならびにアルコキシ、アルキルアミノ、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルアミノスルホニルおよびアルキルスルホニル中の“アルキ”および“アルキル”は、一般に、1から4個、好ましくは、1または2個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル基を示し、例示として好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルおよびtert-ブチルを示す。
【0021】
例示として好ましくは、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよびtert-ブトキシを示す。
【0022】
アルキルアミノは、1または2個のアルキル置換基(互いに独立して選択された)を有するアルキルアミノを示し、例示として好ましくは、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、tert-ブチルアミノ、N,N-ジメチルアミノ、N,N-ジエチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ、N-メチル-N-n-プロピルアミノ、N-イソプロピル-N-n-プロピルアミノおよびN-tert-ブチル-N-メチルアミノを示す。例えば、C1-C3-アルキルアミノは、1から3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノ基を示すか、または、アルキル置換基ごとに各々の場合に1から3個の炭素原子を有するジアルキルアミノ基を示す。
【0023】
例示として好ましくは、アルコキシカルボニルは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n-プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニルおよびtert-ブトキシカルボニルを示す。
【0024】
アルキルアミノカルボニルは、1または2個のアルキル置換基を有するアルキルアミノカルボニル基(互いに独立して選択された)を示し、例示として好ましくは、メチルアミノカルボニル、エチルアミノカルボニル、n-プロピルアミノカルボニル、イソプロピルアミノカルボニル、tert-ブチルアミノカルボニル、N,N-ジメチルアミノカルボニル、N,N-ジエチルアミノカルボニル、N-エチル-N-メチルアミノカルボニル、N-メチル-N-n-プロピルアミノカルボニル、N-イソプロピル-N-n-プロピルアミノカルボニルおよびN-tert-ブチル-N-メチルアミノカルボニルを示す。例えば、C1-C3-アルキルアミノカルボニルは、1から3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノカルボニル基を示すか、または、アルキル置換基ごとに各々の場合に1から3個の炭素原子を有するジアルキルアミノカルボニル基を示す。
【0025】
アルキルアミノスルホニルは、1または2個のアルキル置換基を有するアルキルアミノスルホニル基(互いに独立して選択された)を示し、例示として好ましくは、メチルアミノスルホニル、エチルアミノスルホニル、n-プロピルアミノスルホニル、イソプロピルアミノスルホニル、tert-ブチルアミノスルホニル、N,N-ジメチルアミノスルホニル、N,N-ジエチルアミノスルホニル、N-エチル-N-メチルアミノスルホニル、N-メチル-N-n-プロピルアミノスルホニル、N-イソプロピル-N-n-プロピルアミノスルホニルおよびN-tert-ブチル-N-メチルアミノスルホニルを示す。例えば、C1-C3-アルキルアミノスルホニルは、1から3個の炭素原子を有するモノアルキルアミノスルホニル基を示すか、または、アルキル置換基ごとに各々の場合に1から3個の炭素原子を有するジアルキルアミノスルホニル基を示す。
【0026】
例示として好ましくは、アルキルスルホニルは、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニルおよびtert-ブチルスルホニルを示す。
【0027】
シクロアルキルは、一般に、3から6個の炭素原子、好ましくは、3から5個の炭素原子を有するシクロアルキル基を示し、例示として好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを示す。
【0028】
ヘテロシクリルは、さらに制限されないとき、4から7個の環原子およびN、O、S、SO、SO2からなる群から選択される3個まで、好ましくは、2個までのヘテロ原子および/またはヘテロ基を有する単環式基を示す。ヘテロシクリル基は、飽和または部分不飽和であり得る。好ましくは、O、NおよびSからなる群から選択される2個までのヘテロ原子を有する5員単環式ヘテロシクリル基を提供し、例えば、例示として好ましくは、テトラヒドロフラニル、ピロリジニル、ピロリニル、イソオキサゾリニルおよびピラゾリニルを提供する。
【0029】
ヘテロアリールは、5個の環原子およびS、OおよびNからなる群から選択される4個までのヘテロ原子を有する芳香族性単環式基を示し、例示として好ましくは、チエニル、フリル、ピロリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリルおよびピラゾリルを示す。
【0030】
本発明による化合物の基を置換するとき、基は、別に規定がなければ、モノもしくはポリ置換であり得る。本発明の内容で、2個以上生じるすべての基の意味は、互いに独立している。1、2または3個の同一もしくは異なる置換基での置換が好ましい。非常にとりわけ好ましくは、1個の置換基での置換である。
【0031】
R4を示し得る基の式で、*に隣接する線の終点は、炭素原子またはCH2基を示さないが、R4が結合する原子への結合部分である。
【0032】
Eを示し得る基の式で、#に隣接する線の終点は、炭素原子またはCH2基を示さないが、Eが結合する原子への結合部分である。
【0033】
好ましくは、Eが、式
【化4】

(式中、
#は、フェニル環に結合する位置であり、
R1Aは、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、アミノまたはメトキシを示し、
R1Bは、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、ピロリジン-1-イルで置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Cは、水素、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、ヒドロキシおよびピロリジン-1-イルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
R1Dは、水素、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、シクロプロピルアミノおよびピロリジン-1イルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)
の基を示し、
Aが、5員ヘテロアリールまたは部分不飽和5員ヘテロシクリルを示し、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、1もしくは2位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、
フェニルおよびヘテロアリールが、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-アルキルアミノメチル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルメチル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニルメチル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシを示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、シクロプロピル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R4が、式
【化5】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、フッ素、塩素、エチニル、メチルおよびメトキシを示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示す、式(I)の化合物およびそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0034】
好ましくはまた、Eが、式
【化6】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
Aが、ピラゾリル、オキサジアゾリルまたはイソオキサゾリニルを示し、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、1位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、1,3-オキサゾール-2-イルまたはピリミジン-2-イルを示し、
フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、1,3-オキサゾール-2-イルおよびピリミジン-2-イルが、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2が、水素またはフッ素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、メトキシメチルまたはシクロプロピルを示し、
R4が、式
【化7】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、フッ素、塩素またはメチルを示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示す、式(I)の化合物およびそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0035】
好ましくはまた、Eが、式
【化8】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
Aが、ピラゾリル、オキサジアゾリルまたはイソオキサゾリニルを示し、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、1位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イルまたはピリド-4-イルを示し、
フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イルおよびピリド-4-イルが、置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルおよびC1-C4-アルキルアミノカルボニルからなる群から選択され、
R2が、水素またはフッ素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシを示し、
R4が、式
【化9】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、塩素を示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示す、式(I)の化合物およびそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの塩の溶媒和物を提供する。
【0036】
好ましくはまた、Eが、式
【化10】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示す式(I)の化合物を提供する。
【0037】
好ましくはまた、Eが、式
【化11】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示す式(I)の化合物を提供する。
【0038】
好ましくはまた、Aが、ピラゾリル、オキサジアゾリルまたはイソオキサゾリニルを示す、式(I)の化合物を提供する。
【0039】
好ましくはまた、Aが、ピラゾリルを示す、式(I)の化合物を提供する。
【0040】
好ましくはまた、R6が、ピリジル、4-フルオロフェニルまたは4-メトキシフェニルを示す、式(I)の化合物を提供する。
【0041】
好ましくはまた、R2が、水素またはフッ素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0042】
好ましくはまた、R3が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシを示す、式(I)の化合物を提供する。
【0043】
好ましくはまた、R3が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0044】
好ましくはまた、R2およびR3が、水素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0045】
好ましくはまた、R2が水素を示し、R3がフッ素を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0046】
好ましくはまた、R4が、式
【化12】

[式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、塩素を示し、そして、
R9が、水素を示す]
の基を示す、式(I)の化合物を提供する。
【0047】
基の各々の組合せまたは好ましい組合せで与えられた個々の基の定義は、基の特定の組合せから独立して、他の組合せのあらゆる基の定義で置換されることもある。
【0048】
非常にとりわけ好ましくは、上記した好ましい範囲の2個またはそれ以上の組合せを提供する。
【0049】
本発明はさらに、式(I)の化合物、またはそれらの塩、それらの溶媒和物またはそれらの塩の溶媒和物を製造する方法であって、式
【化13】

[式中、
A、R2、R3およびR4は、上記した意味を有する]
の化合物を、式
【化14】

[式中、
Eは、上記した意味を有する]
の化合物と反応させる方法を提供する。
【0050】
式(III)で示した水素が窒素原子によりEと結合する式(III)の化合物に関して、反応は、一般に、不活性溶媒で、銅(I)の塩、塩基およびジアミンリガンドの添加と共に、60℃から溶媒の還流の温度範囲、大気圧で行われる。
【0051】
不活性溶媒は、例えば、非プロトン性溶媒、例えば、トルエン、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはジメチルホルムアミドであり;好ましくは、ジオキサンである。
【0052】
銅(I)の塩は、例えば、ヨウ化銅(I)、塩化銅(I)または酸化銅(I)であり;好ましくは、ヨウ化銅(I)である。
【0053】
塩基は、例えば、リン酸カリウム、炭酸カリウムまたは炭酸セシウムであり;好ましくは、リン酸カリウムである。
【0054】
ジアミンリガンドは、例えば、1,2-ジアミン、例えば、N,N'-ジメチルエチレンジアミンである。
【0055】
式(III)で示した水素が炭素原子によりEと結合する式(III)の化合物に関して、反応は、一般に、不活性溶媒で、最初の強塩基の添加、次の亜鉛塩の添加および最後の式(II)の化合物およびパラジウム複合体の添加で行われる。強塩基との反応および亜鉛塩との反応である最初の2つの部分工程は、好ましくは、-30から0℃の温度範囲で行われ;最後の部分工程は、好ましくは、室温から溶媒の沸点までで行われる。
【0056】
不活性溶媒は、例えば、エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたは1,2-ジメトキシエタン;所望により、炭化水素、例えば、ヘキサンとの混合物である。好ましくは、テトラヒドロフランである。
【0057】
強塩基は、例えば、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミドまたはリチウムヘキサメチルジシラジドである。好ましくは、sec-ブチルリチウムである。
【0058】
好ましい亜鉛塩は、塩化亜鉛である。
【0059】
パラジウム複合体は、パラジウム化合物およびリガンドからインサイチュで形成される。適当なパラジウム化合物は、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である。好ましくは、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)である。適当なリガンドは、例えば、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル、ビナフチルまたはN-ヘテロ環式カルベンリガンドである。好ましくは、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2'-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニルである。
【0060】
式(III)の化合物は、既知であり、適当な出発物質から既知の方法により合成し得る。
【0061】
式(II)の化合物は、既知であるか、または式
【化15】

[式中、
A、R2およびR3は上記の意味を有する]
の化合物を、式
【化16】

[式中、
R4は、上記の意味を有し、そして、
X1は、ハロゲン、好ましくは、臭素もしくは塩素、またはヒドロキシを示す]
の化合物と反応させることにより製造し得る。
【0062】
X1がハロゲンを示すとき、反応は、一般に、不活性溶媒で、所望により、塩基の存在下で、好ましくは、-30℃から50℃の範囲の温度、大気圧で行われる。
【0063】
不活性溶媒は、例えば、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、ピリジン、ジオキサンまたはジメチルホルムアミドであり;好ましくは、ピリジン、テトラヒドロフランまたは塩化メチレンである。
【0064】
塩基は、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンまたはN-メチルモルホリンであり;好ましくは、ジイソプロピルエチルアミンである。
【0065】
X1がヒドロキシを示すとき、反応は、一般に、不活性溶媒で、脱水剤の存在下で、所望により、塩基の存在下で、好ましくは、-30℃から50℃の範囲の温度、大気圧で行われる。
【0066】
不活性溶媒は、例えば、ハロゲン化炭化水素、例えば、ジクロロメタンまたはトリクロロメタン、炭化水素、例えば、ベンゼン、ニトロメタン、ジオキサン、ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルである。また、溶媒の混合物を使用することが可能である。特に好ましいのは、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミドである。
【0067】
ここで、適当な脱水剤は、例えば、カルボジイミド、例えば、N,N'-ジエチル-、N,N,'-ジプロピル-、N,N'-ジイソプロピル、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、N-(3-ジメチルアミノイソプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロライド(EDC)、N-シクロヘキシルカルボジイミド-N'-プロピルオキシメチル-ポリスチレン(PS-カルボジイミド)またはカルボニル化合物、例えば、カルボニルジイミダゾール、または1,2-オキサゾリウム化合物、例えば、2-エチル-5-フェニル-1,2-オキサゾリウム3-サルフェートもしくは2-tert-ブチル-5-メチル-イソキサゾリウムペルクロラート、またはアシルアミノ化合物、例えば、2-エトキシ-1-エトキシカルボニル-1,2-ジヒドロキノリン、またはプロパンホスホン酸無水物、またはイソブチルクロロホルメート、またはビス-(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)塩化ホスホリルまたはベンゾトリアゾリルオキシトリ(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、またはO-(ベンゾトリアゾール-1−イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2-(2-オキソ-1-(2H)-ピリジル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)またはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1−イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、または1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、またはベンゾトリアゾール-1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、またはN-ヒドロキシスクシンイミド、またはこれらの混合物と、塩基である。
【0068】
塩基は、例えば、アルカリ金属炭素塩、例えば、炭酸ナトリウムもしくは炭酸カリウムもしくは重炭酸ナトリウムもしくは重炭酸カリウム、または有機塩基、例えば、トリアルキルアミン、例えば、トリエチルアミン、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン、4-ジメチルアミノピリジンまたはジイソプロピルエチルアミンである。
【0069】
縮合は、好ましくは、HOBtの存在下、HATUまたはEDCで行う。
【0070】
式(IV)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質からヘテロ環Aを合成するために当業者に既知の工程により合成し得る。
【0071】
式(V)の化合物は、既知であるか、または適当な出発物質から既知の工程により合成し得る。
【0072】
所望により、式(II)および(IV)の化合物におけるアミドの窒素は、当業者に既知の保護基により反応の間保護し得て;好ましくは、式(I)の化合物の合成の最後の工程の条件下で除去される、2,4-ジメトキシベンジル基である。
【0073】
本発明による化合物の製造は、下記の合成スキームにより例示し得る:
スキーム
【化17】

【0074】
本発明による化合物は、予測不可能な有用な薬理学的活性スペクトルを有する。
【0075】
したがって、それらは、ヒトおよび動物で、疾患を処置および/または予防するための医薬としての使用のために適当である。
【0076】
本発明による化合物は、特に、抗凝固剤として作用する血液凝固Xa因子の選択的阻害剤である。
【0077】
さらに、本発明による化合物は、有利な物理化学的特性、例えば、水および生理学的な培地への十分な溶解性を有し、それは、それらの治療適用のために有利である。
【0078】
本発明はさらに、疾患、好ましくは、血栓塞栓性障害および/または血栓塞栓性合併症の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0079】
本発明の目的のために、“血栓塞栓性障害”は、特に、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)もしくは非ST上昇型心筋梗塞(非STEMI)のような障害、安定狭心症、不安定狭心症、冠状動脈インターベンション後の再閉塞および再狭窄、例えば、血管形成術もしくは大動脈冠動脈バイパス、末梢動脈閉塞性疾患、肺塞栓症、深部静脈血栓症および腎臓静脈血栓症、一過性虚血性発作、ならびにまた、血栓症および血栓塞栓性卒中を含む。
【0080】
したがって、物質はまた、急性間欠性もしくは持続性不整脈、例えば、心房細動を患う患者および電気的除細動を受ける患者、さらには心臓弁障害を患うか、または人工心臓弁を有する患者で、心原性血栓塞栓症、例えば、脳虚血、卒中および全身性血栓塞栓症ならびに局所虚血を予防および処置するために適当である。さらに、本発明による化合物は、播種性血管内凝固症候群(DIC)を処置するために適当である。
【0081】
血栓塞栓性合併症はさらに、微小血管症性溶血性貧血、体外血液循環、例えば、血液透析、およびまたは、人工心臓弁との結合の間に生じる。
【0082】
さらに、本発明による化合物はまた、アテローム硬化性血管障害および炎症性疾患、例えば、運動器官のリウマチ性疾患の予防および/または処置のために、ならびにさらに、アルツハイマー病の予防および/または処置のために適当である。さらに、本発明による化合物は、癌患者、特に、主要な外科的処置または化学療法または放射線療法を受けている患者で、腫瘍成長および転移形成を阻害するために、細小血管障害、加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症および他の微小血管障害のために、およびまた、血栓塞栓性合併症、例えば、静脈血栓塞栓症の予防および処置のために使用し得る。
【0083】
本発明による化合物は、さらにまた、生体外で凝固を妨害するために、例えば、血液および血漿産物を保存するために、カテーテルおよび他の医療用具および装置を消毒するか/前処理するために、インビボまたはエクスビボで使用される医療用具および装置の合成表面を覆うために、またはXa因子を含む生物学的サンプルのために使用し得る。
【0084】
本発明はさらに、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0085】
本発明はさらに、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための医薬の製造のための本発明による化合物の使用を提供する。
【0086】
本発明はさらに、本発明による抗凝固性化合物の有効量を用いた、障害、特に、上記した障害の処置および/または予防のための方法を提供する。
【0087】
本発明はさらに、インビトロで、特に、保存血またはXa因子を含む生物学的サンプルで、血液凝固を妨害するための方法を提供し、該方法は、発明による抗凝固性化合物の有効量を加えることを特徴とする。
【0088】
本発明はさらに、特に、上記した障害の処置および/または予防のために本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる活性化合物を含む医薬を提供する。下記の化合物を、例示として好ましくは、組合せのための適当な活性化合物として記載し得る:
・脂質低下剤、特に、HMG-CoA (3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル-補酵素A)還元酵素阻害剤;
・冠状動脈血栓症治療剤/血管拡張剤、特に、ACE (アンギオテンシン変換酵素)阻害剤; AII (アンギオテンシンII)受容体アンタゴニスト; β-アドレナリン受容体アンタゴニスト; α-1-アドレナリン受容体アンタゴニスト; 利尿薬; カルシウムチャネルブロッカー; 環状アノシン一リン酸(cGMP)濃度の増加を引き起こす物質、例えば、可溶性グアニル酸シクラーゼの刺激剤;
・プラスミノゲンアクチベーター(血栓溶解剤/線溶剤)および血栓溶解剤/線溶剤を促進する化合物、例えば、プラスミノゲンアクチベーター阻害剤の阻害剤(PAI阻害剤)またはトロンビン活性化線溶阻害剤の阻害剤(TAFI阻害剤);
・抗凝固剤;
・血小板凝集阻害物質(血小板凝集阻害剤、血小板凝集阻害剤);
・フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(糖タンパク質-IIb/IIIaアンタゴニスト);
・およびまたは、抗不整脈剤。
【0089】
本発明はさらに、通常は、1個またはそれ以上の不活性で非毒性の薬学的に許容される補助剤と共に、本発明による少なくとも1個の化合物を含む医薬および上記目的のためのそれらの使用を提供する。
【0090】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的であり得る。この目的のために、それらは、適当な方法で、例えば、経口、非経腸、肺、経鼻、舌下、舌、口腔、直腸、真皮、経皮、結膜もしくは耳経路で、またはインプラントもしくはステントとして投与し得る。
【0091】
これらの投与経路のために、本発明による化合物を適当な投与型で投与することが可能である。
【0092】
経口投与のために適当なのは、先行文献に記載されたとおり機能し、本発明による化合物を迅速に送達する投与型および/または修飾型であり、それは、結晶質および/または非晶質および/または溶解型での本発明による化合物、例えば、錠剤(非被覆および被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆または溶解が遅延されるか、不溶性であるか、本発明による化合物の放出を制御する被覆と共に提供される錠剤)、口腔で素早く溶ける錠剤、またはフィルム/ウエハース、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル(例えば、ハードもしくはソフトゼラチンカプセル)、糖衣錠、顆粒、ペレット、粉末、エマルジョン、懸濁液、エアロゾルまたは溶液を含む。
【0093】
非経腸投与は、吸収過程を回避することで(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内で)、または吸収過程を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内で)行われ得る。非経腸投与のための適当な投与形態は、とりわけ、溶液、懸濁液、エマルジョン、凍結乾燥または滅菌粉末の形態で、注射および注入のための製剤である。
【0094】
他の投与経路のために適当な例は、吸入(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻剤/溶液/スプレー; 舌に、舌下に、または口腔に投与される錠剤、フィルム/ウエハースまたはカプセル、座薬、眼もしくは耳のための製剤、膣内カプセル、水性懸濁液(ローション、振盪混合物)、脂溶性懸濁液、軟膏、クリーム、経皮治療系(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布剤、インプラントまたはステントのための医薬型である。
【0095】
好ましくは、経口または非経腸、特に、経口投与である。
【0096】
本発明による化合物は、記載した投与型に変換し得る。これは、不活性で非毒性の薬学的に適当な補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で生じ得る。これらの補助剤は、とりわけ、担体(例えば、微結晶性セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば、液体ポリエチレングリコール)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えば、アルブミン)、安定剤(例えば、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸)、着色剤(例えば、無機色素、例えば、酸化鉄)ならびに香味剤および/または臭気マスキング剤を含む。
【0097】
一般に、非経腸投与では、有効な結果を達成するために、体重の約0.001から1 mg/kg、好ましくは、約0.01から0.5 mg/kgの量を投与することが有利であることが証明された。経口投与の用量は、約0.01から100 mg/kg体重、好ましくは、約0.01から20 mg/kg体重、および非常に特に好ましくは、0.1から10 mg/kg体重である。
【0098】
にもかかわらず、所望により、体重、投与経路、活性化合物への個々の応答、製剤の形態および投与が行われる時間もしくは間隔に依存して、記載した量から逸脱することが必要であり得る。したがって、ある場合には、上記の最小量以下で投与されることが十分であり得て、一方で、他の場合には、上記の上限を超えなければならない。より多量の投与の場合には、これらを1日に複数回の個々の投与に分割することが望ましくあり得る。
【0099】
本発明を、下記の実施例により例示する。本発明は、実施例に限定されるものではない。
【0100】
下記の試験および実施例のパーセントデータは、他に記載がなければ、重量パーセントであり;部分は、重量部分である。溶媒割合、希釈割合および液体/液体溶液の濃縮データは、各々の場合に、容積に基づく。
【実施例】
【0101】
A. 実施例
略称
【表1】

【0102】
LC-MSおよびHPLC法
方法1: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm; 移動相A: 5 mlの過塩素酸(70% 強)/lの水、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 2% B → 0.5 分 2% B → 4.5 分 90% B → 6.5 分 90% B → 6.7 分 2% B → 7.5 分 2% B; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0103】
方法2: 装置: DAD検出を備えたHP 1100; カラム: Kromasil 100 RP-18、60 mm x 2.1 mm、3.5 μm; 移動相A: 5 mlの過塩素酸(70% 強)/lの水、移動相B: アセトニトリル; 勾配: 0 分 2% B → 0.5 分 2% B → 4.5 分 90% B → 9 分 0% B → 9.2 分 2% B → 10 分 2% B; 流速: 0.75 ml/分; カラム温度: 30℃; UV検出: 210 nm。
【0104】
方法3: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC装置型: Waters Alliance 2795; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0105】
方法4: MS装置型: Micromass ZQ; HPLC装置型: HP 1100 Series; UV DAD; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 210 nm。
【0106】
方法5: 装置: HPLC Agilent Series 1100を備えたMicromass Quattro LCZ; カラム: Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm; 移動相A: 1 lの水 + 0.5 mlの50%強ギ酸、移動相B: 1 lのアセトニトリル + 0.5 mlの50%強ギ酸; 勾配: 0.0 分 90% A → 2.5 分 30% A → 3.0 分 5% A → 4.5 分 5% A; 流速: 0.0 分 1 ml/分、2.5 分/3.0 分/4.5 分 2 ml/分; オーブン: 50℃; UV検出: 208-400 nm。
【0107】
方法6: カラム: GROM-SIL 120 ODS-4 HE、10μM、250 mm x 30 mm; 移動相および勾配プログラム: アセトニトリル/0.1% 強水性ギ酸 10:90 (0-3 分)、アセトニトリル/0.1% 強水性ギ酸 10:90 → 95:5 (3-27 分)、アセトニトリル/0.1% 強水性ギ酸 95:5 (27-34 分)、アセトニトリル/0.1% 強水性ギ酸 10:90 (34-38 分); 流速: 50ml/分; 温度: 22℃; UV検出: 254nm。
【0108】
出発物質
実施例1A
アセトフェノン-(4-ヨードフェニル)ヒドラゾン
【化18】

10 mlの50% 強酢酸中、1.54 g (12.82 mmol)のアセトフェノン溶液を、30 mlの同じ溶媒中、2.0 g (8.546 mmol)の4-ヨードフェニルヒドラジン溶液に加える。混合物を室温で撹拌し、沈殿を形成させる。30分後、沈殿をろ過し、水およびシクロヘキサンで完全に洗浄する。残渣を高真空下で乾燥させる。これにより、1.95 g (理論上の68%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.78 (d, 2H), 7.51 (d, 2H), 7.38 (dd, 2H), 7.30 (dd, 1H), 7.07 (d, 2H), 2.25 (s, 3H)。
HPLC (方法4): Rt = 3.22 分。
MS (ESIpos, m/z): 337 (M+H)+
【0109】
実施例2A
1-(4-ヨードフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド
【化19】

0℃で、1.08 ml (11.58 mmol)の塩化ホスホリル(POCl3)を、10 mlの無水N,N-ジメチルホルムアミドに、ゆっくりと液滴により加える。0℃で30分後、10 mlのN,N-ジメチルホルムアミド中、1.95 g (5.792 mmol)の実施例1Aからの生成物の溶液を、液滴により加え、反応混合物を、0℃でさらに1時間、撹拌する。次いで、混合物を室温まで温め、さらに1時間撹拌し、その後、60℃まで温める。反応混合物を、60℃で15時間、撹拌する。次いで、混合物を室温まで冷却し、80 mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄する。混合物を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、溶媒を、回転蒸発器で除去する。取得した残渣を、ジイソプロピルエーテルでトリチュレートする。固体を吸引でろ過し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、1.34 g (理論上の62%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.98 (s, 1H), 9.36 (s, 1H), 7.95-7.90 (m, 4H), 7.82 (d, 2H), 7.53-7.48 (m, 3H)。
HPLC (方法4): Rt = 3.08 分。
MS (ESIpos, m/z): 375 (M+H)+
【0110】
実施例3A
1-(2,4-ジメトキシフェニル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}メタンアミン
【化20】

1.34 g (3.581 mmol)の実施例2Aからの生成物および538 μl (3.581 mmol)の2,4 ジメトキシベンジルアミンを、40 mlのジクロロエタンに溶解させ、混合物を、室温で1時間、撹拌する。次いで、1.52 g (7.162 mmol)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドおよび820 μl (14.33 mmol)の氷酢酸を加える。反応混合物を、室温で15時間、撹拌する。次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液を加え、生成物をジクロロメタンで抽出する。有機抽出物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。ろ過後、溶媒を、回転蒸発器で除去する。粗生成物を、高真空下で乾燥させ、さらなる精製なしに、次の反応で使用する。得られたものは、1.89 gの表題化合物である。
HPLC (方法5): Rt = 2.10 分(60%)。
MS (ESIpos, m/z): 526 (M+H)+
【0111】
実施例4A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}-チオフェン-2-カルボキサミド
【化21】

10 mlの無水テトラヒドロフラン中、651 mg (3.597 mmol)の5-クロロチオフェン-2-カルボニルクロライドの溶液を、40 mlの無水テトラヒドロフラン中、1.89 g (3.597 mmol)の実施例3Aからの生成物および1.25 mlのジイソプロピルエチルアミン(Huenig-Base)の溶液に加える。反応混合物を、室温で15時間、撹拌する。次いで、溶媒を、回転蒸発器で除去し、残渣をジクロロメタンに取り込み、飽和重炭酸ナトリウム溶液および水で連続して洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、混合物をろ過し、蒸発させ、残渣を、分取HPLCで精製する(方法7)。これにより、1.05 g (理論上の43%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.53 (ブロード, 1H), 7.85 (d, 2H), 7.76 (d, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.43-7.38 (m, 3H), 7.15 (ブロード, 1H), 7.08 (d, 1H), 7.01 (ブロード, 1H), 6.48-6.43 (m, 2H), 4.70 (ブロード, 2H), 4.58 (s, ブロード, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.57 (ブロード, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 6.47 分。
MS (ESIpos, m/z): 670/672 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0112】
実施例5A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化22】

136 mg (0.203 mmol)の実施例4Aからの生成物を、10 mlの無水ジオキサンに溶解させ、20.5 mg (0.203 mmol)のモルホリンオン、8 mg (0.041 mmol)のヨウ化銅(I)、86 mg (0.406 mmol)のリン酸カリウムおよび6.5 μl (0.061 mmol)のN,N'-ジメチルエチレンジアミンを連続して加える。繰り返し、わずかな減圧を適用し、アルゴンで通気することにより、還流装置を不活性化させる。反応混合物を、還流で2日間、加熱する。この時間の後、混合物を室温まで冷却する。水を加え、混合物を、酢酸エチルで抽出する。有機抽出物を、水および飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄する。混合物を、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下、ろ液から溶媒を除去する。残渣を、分取HPLCで精製する(方法7)。67 mgの出発物質を回収し、40 mg (51%の変換に基づく、理論上の60%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.53 (s, ブロード, 1H), 7.97 (d, 2H), 7.62 (d, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.44-7.37 (m, 3H), 7.17 (ブロード, 1H), 7.10 (d, 1H), 7.02 (ブロード, 1H), 6.50-6.44 (m, 2H), 4.73 (ブロード, 2H), 4.59 (ブロード, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.01 (t, 2H), 3.80 (t, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.57 (s, ブロード, 3H)。
HPLC (方法3): Rt = 2.69 分。
MS (ESIpos, m/z): 643/645 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0113】
実施例6A
4-ヨード-3-メチルフェニルヒドラジン
【化23】

-10℃で、5 mlの水中、345 mg (5.0 mmol)の亜硝酸ナトリウム溶液を、5 mlの濃縮塩酸中、1.165 g (5.0 mmol)の4-ヨード-3-メチルアニリンの懸濁液に、液滴により加える。混合物を、約-5℃で45分間、撹拌し、次いで、4.5 mlの濃縮塩酸中、5.416 g (24.0 mmol)の塩化スズ(II)二水和物溶液を、-5℃で、液滴により加える。次いで、反応混合物を、0℃で10分間、撹拌する。固体水酸化ナトリウムの添加により、反応混合物を、次いで、約pH 14に調整する。形成された沈殿をろ過する。ろ液を、ジクロロメタンで抽出する。抽出物を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮する。粗生成物を、移動相としてジクロロメタン/メタノール 40:を用いたシリカゲルでの精製により得る。これにより、555 mg (85%の精製に基づき、理論上の38%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 7.42 (d, 1H), 6.79 (ブロード, 1H), 6.77 (d, 1H), 6.39 (dd, 1H), 3.93 (ブロード, 2H), 2.23 (s, 3H)。
HPLC (方法1): Rt = 3.53 分。
MS (EI, m/z): 248 (M)+
【0114】
実施例7A
アセトフェノン-(4-ヨード-3-メチルフェニル)ヒドラゾン
【化24】

実施例1Aに記載した工程と同様に、992 mg (4.0 mmol)の実施例6Aからの化合物および721 mg (6.0 mmol)のアセトフェノンにより、1.405 g (理論上の100%)の表題化合物を得る。
MS (DCI, NH3, m/z): 351 (M+H)+
【0115】
実施例8A
1-(4-ヨード-3-メチルフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド
【化25】

実施例2Aに記載した工程と同様に、700 mg (1.999 mmol)の実施例7Aからの化合物により、695 mgの表題化合物 (66%の精製に基づき、理論上の59%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.98 (s, 1H), 9.35 (s, 1H), 8.03 (d, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.93-7.91 (m, 2H), 7.61 (dd, 1H), 7.53-7.50 (m, 3H), 2.47 (s, 3H)。
HPLC (方法5): Rt = 3.15 分。
MS (ESIpos, m/z): 389 (M+H)+
【0116】
実施例9A
1-(2,4-ジメトキシフェニル)-N-{[1-(4-ヨード-3-メチルフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}メタンアミン
【化26】

実施例3Aに記載した工程と同様に、680 mg (1.752 mmol)の実施例8Aからの化合物により、288 mgの表題化合物(90%の精製に基づき、理論上の27%)を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.49 (s, 1H), 7.92 (d, 1H), 7.92 (ブロード, 1H), 7.83 (d, 2H), 7.49 (dd, 1H), 7.43 (dd, 2H), 7.37 (dd, 1H), 7.22 (d, 1H), 6.53 (d, 1H), 6.47 (dd, 1H), 3.75 (s, 3H), 3.74 (s, 3H), 3.72-3.70 (m, 4H), 2.54 (s, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 5.00 分。
MS (ESIpos, m/z): 540 (M+H)+
【0117】
実施例10A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-{[1-(4-ヨード-3-メチルフェニル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}チオフェン-2-カルボキサミド
【化27】

実施例4Aに記載した工程と同様に、284 mg (0.526 mmol)の実施例9Aからの化合物により、315 mg (理論上の84%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.50 (ブロード, 1H), 7.93-7.91 (m, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.53 (dd, 1H), 7.44-7.38 (m, 3H), 7.17 (ブロード, 1H), 7.08 (d, 1H), 7.02 (ブロード, 1H), 6.48 (ブロード, 1H), 6.45 (dd, 1H), 4.72 (ブロード, 2H), 4.58 (ブロード, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.56 (ブロード, 3H), 2.47 (s, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 6.52 分。
MS (ESIpos, m/z): 684/686 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0118】
実施例11A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[3-メチル-4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化28】

実施例5Aに記載した工程と同様に、150 mg (0.219 mmol)の実施例10Aからの化合物および33.3 mg (0.329 mmol)のモルホリンオンにより、93 mg (理論上の64%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.48 (ブロード, 1H), 7.87 (d, 1H), 7.80 (dd, 2H), 7.61 (d, 2H), 7.45-7.37 (m, 4H), 7.16 (ブロード, 1H), 7.08 (d, 1H), 7.02 (ブロード, 1H), 6.48 (ブロード, 1H), 6.44 (dd, 1H), 4.72 (ブロード, 2H), 4.59 (ブロード, 2H), 4.27-4.18 (m, 2H), 4.03-3.98 (m, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.59-3.47 (m, 2H), 3.56 (s, 3H), 2.23 (s, 3H)。
HPLC (方法1): Rt = 5.15 分。
MS (ESIpos, m/z): 657/659 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0119】
実施例12A
メチル 3-ピリジルケトン(4-ヨードフェニル)ヒドラゾン
【化29】

実施例1Aに記載した工程と同様に、5.0 g (21.36 mmol)の4-ヨードフェニルヒドラジンおよび3-アセチルピリジンにより、5.15 g (理論上の71%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.61 (s, 1H), 8.97 (s, 1H), 8.48 (d, 1H), 8.12 (d, 1H), 7.52 (d, 2H), 7.40 (dd, 1H), 7.11 (d, 2H), 2.28 (s, 3H)。
HPLC (方法1): Rt = 4.09 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 338 (M+H)+
【0120】
実施例13A
1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド
【化30】

実施例2Aに記載した工程と同様に、5.1 g (15.12 mmol)の実施例12Aからの化合物により、4.33 g (理論上の76%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.99 (s, 1H), 9.43 (s, 1H), 9.10 (d, 1H), 8.68 (dd, 1H), 8.32 (d, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.83 (d, 2H), 7.56 (dd, 1H)。
HPLC (方法1): Rt = 3.99 分
MS (DCI, NH3, m/z): 376 (M+H)+, 393 (M+NH4)+
【0121】
実施例14A
1-(2,4-ジメトキシフェニル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}-メタンアミン
【化31】

実施例3Aに記載した工程と同様に、4.33 g (11.54 mmol)の実施例13Aからの化合物により、6.07 g (理論上の99%)の表題化合物を得て、それは、さらなる精製なしに、次の合成工程で使用される。
HPLC (方法5): Rt = 1.75 分(60%)。
MS (ESIpos, m/z): 527 (M+H)+
【0122】
実施例15A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}-チオフェン-2-カルボキサミド
【化32】

実施例4Aに記載した工程と同様に、6.07 g (11.54 mmol)の実施例14Aからの化合物を、2.57 g (理論上の33%)の表題化合物に変換させる。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.81 (d, 1H), 8.58-8.53 (m, 2H), 7.98 (dd, 1H), 7.87 (d, 2H), 7.77 (d, 2H), 7.43 (dd, 1H), 7.17 (ブロード, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.00 (ブロード, 1H), 6.46 (ブロード, 1H), 6.42 (dd, 1H), 4.70 (ブロード, 2H), 4.58 (ブロード, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.57 (ブロード, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.95 分。
MS (ESIpos, m/z): 671/673 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0123】
実施例16A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化33】

実施例5Aに記載した工程と同様に、145 mg (0.216 mmol)の実施例15Aからの化合物を、117 mg (理論上の81%)の表題化合物に変換させる。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.81 (d, 1H), 8.57 (dd, 1H), 8.53 (ブロード, 1H), 7.99 (dd, 1H), 7.95 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.45 (dd, 1H), 7.17 (ブロード, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.99 (ブロード, 1H), 6.47 (ブロード, 1H), 6.43 (dd, 1H), 4.72 (ブロード, 2H), 4.59 (ブロード, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.01 (t, 2H), 3.79 (t, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.58 (s, ブロード, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.26 分。
MS (ESIpos, m/z): 644/646 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0124】
実施例17A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[4-(2-オキソピペリジン-1−イル)フェニル]-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化34】

実施例5Aに記載した工程と同様に、177 mg (0.264 mmol)の実施例15Aからの化合物およびピペリジン-2-オンを、70 mg (理論上の40%)の表題化合物に変換させる。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.83 (ブロード, 1H), 8.58 (ブロード, 1H), 8.53 (ブロード, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.92 (d, 2H), 7.47-7.41 (m, 3H), 7.17 (ブロード, 1H), 7.08 (d, 1H), 6.99 (ブロード, 1H), 6.47 (ブロード, 1H), 6.43 (dd, 1H), 4.72 (ブロード, 2H), 4.59 (ブロード, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.64 (t, 2H), 3.57 (s, ブロード, 3H), 2.42 (t, 2H), 1.91-1.83 (m, 4H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.34 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 642/644 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0125】
実施例18A
メチル 4-ピリジルケトン(4-ヨードフェニル)ヒドラゾン
【化35】

実施例1Aに記載した工程と同様に、5.0 g (21.36 mmol)の4-ヨードフェニルヒドラジンおよび4-アセチルピリジンにより、6.67 g (理論上の92%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.78 (s, 1H), 8.54 (d, 2H), 7.70 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.14 (d, 2H), 2.23 (s, 3H)。
HPLC (方法1): Rt = 4.11 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 338 (M+H)+
【0126】
実施例19A
1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4-カルバルデヒド
【化36】

実施例2Aに記載した工程と同様に、3.0 g (8.90 mmol)の実施例18Aからの化合物により、468 mg (理論上の14%)の表題化合物を得る。
HPLC (Method 6): Rt = 2.02 分。
MS (ESIpos, m/z): 376 (M+H)+
【0127】
実施例20A
1-(2,4-ジメトキシフェニル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}-メタンアミン
【化37】

実施例3Aに記載した工程と同様に、468 mg (1.249 mmol)の実施例19Aからの化合物により、657 mg (理論上の99%)の表題化合物を得て、それは、さらなる精製なしに、次の合成工程で使用される。
HPLC (方法3): Rt = 1.49 分(77%)。
MS (ESIpos, m/z): 527 (M+H)+
【0128】
実施例21A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-{[1-(4-ヨードフェニル)-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル]メチル}-チオフェン-2-カルボキサミド
【化38】

実施例4Aに記載した工程と同様に、657 mg (1.249 mmol)の実施例20Aからの化合物は、405 mg (理論上の48%)の表題化合物に変換される。
HPLC (方法5): Rt = 2.96 分(99%)。
MS (ESIpos, m/z): 671/673 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0129】
実施例22A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化39】

実施例5Aに記載した工程と同様に、150 mg (0.224 mmol)の実施例21Aからの化合物は、120 mg (理論上の84%)の表題化合物に変換される。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.61 (d, 2H), 8.59 (ブロード, 1H), 7.98 (d, 2H), 7.64 (d, 2H), 7.57 (2H, d), 7.18 (ブロード, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.03 (ブロード, 1H), 6.48 (ブロード, 1H), 6.45 (dd, 1H), 4.78 (ブロード, 2H), 4.62 (ブロード, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.00 (t, 2H), 3.79 (t, 2H), 3.72 (s, 3H), 3.57 (s, ブロード, 3H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.20 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 644/646 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0130】
実施例23A
5-クロロ-N-(2,4-ジメトキシベンジル)-N-({1-[4-(2-オキソピペリジン-1−イル)フェニル]-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化40】

実施例5Aに記載した工程と同様に、248 mg (0.371 mmol)の実施例21Aからの化合物およびピペリジン-2-オンは、66 mg (理論上の28%)の表題化合物に変換される。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 8.61-8.53 (m, 2H), 8.13 (s, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.62 (d, 2H), 7.43 (d, 2H), 7.18 (ブロード, 1H), 7.09 (d, 1H), 7.03 (ブロード, 1H), 6.47 (ブロード, 1H), 6.45 (dd, 1H), 4.78 (ブロード, 2H), 4.61 (ブロード, 2H), 3.71 (s, 3H), 3.65 (t, 2H), 3.57 (s, ブロード, 3H), 2.41 (t, 2H), 1.91-1.82 (m, 4H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.38 分。
MS (ESIpos, m/z): 642/644 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0131】
実施例
実施例1
5-クロロ-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2 カルボキサミド
【化41】

0.5 mlのトリフルオロ酢酸を、5 mlのジクロロメタン中、39 mg (0.061 mmol)の実施例5Aからの化合物の溶液に加え、混合物を、室温で30分間、撹拌する。次いで、反応混合物を、蒸発乾固させ、残渣を、アセトニトリルに取り込む。不溶性物質をろ過し、濃縮後、ろ液を、分取HPLCで精製する(方法7)。これにより、26 mg (理論上の85%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.05 (t, 1H), 8.54 (s, 1H), 7.93 (d, 2H), 7.71 (d, 2H), 7.70 (d, 1H), 7.55 (d, 2H), 7.48 (dd, 2H), 7.41 (dd, 1H), 7.19 (d, 1H), 4.53 (d, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.00 (t, 2H), 3.78 (t, 2H)。
HPLC (方法2): Rt = 4.57 分。
MS (ESIpos, m/z): 493/495 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0132】
実施例2
5-クロロ-N-({1-[3-メチル-4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-フェニル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)-チオフェン-2-カルボキサミド
【化42】

実施例1に記載した工程と同様に、88 mg (0.134 mmol)の実施例11Aからの化合物により、58 mg (理論上の86%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.01 (t, ブロード, 1H), 8.52 (s, 1H), 7.84 (d, 1H), 7.79-7.73 (m, 3H), 7.69 (d, 1H), 7.50-7.46 (m, 2H), 7.42-7.37 (m, 2H), 7.18 (d, 1H), 4.53 (d, 2H), 4.28-4.17 (m, 2H), 4.02-3.97 (m, 2H), 3.77-3.68 (m, 2H), 2.22 (s, 3H).
HPLC (方法2): Rt = 4.59 分。
MS (ESIpos, m/z): 507/509 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0133】
実施例3
5-クロロ-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド ヒドロクロライド
【化43】

実施例1に記載した工程と同様に、115 mg (0.179 mmol)の実施例16Aからの化合物により、71 mg (理論上の75%)の表題化合物を得て、それは、メタノールおよび1モル塩酸への溶解および次の濃縮により、塩酸塩に変換される。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.07-9.03 (m, 2H), 8.71 (d, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.96 (d, 2H), 7.70 (dd, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.58 (d, 2H), 7.17 (d, 1H), 4.58 (d, 2H), 4.23 (s, 2H), 4.00 (t, 2H), 3.78 (t, 2H)。
HPLC (方法2): Rt = 3.76 分。
MS (ESIpos, m/z): 494/496 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0134】
実施例4
5-クロロ-N-({1-[4-(2-オキソピペリジン-1−イル)フェニル]-3-ピリジン-3−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド ヒドロクロライド
【化44】

実施例1に記載した工程と同様に、68 mg (0.107 mmol)の実施例17Aからの化合物により、44 mg (理論上の79%)の表題化合物を得て、それは、メタノールおよび1モル塩酸への溶解および次の濃縮により、塩酸塩に変換される。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.10 (s, 1H), 9.09 (t, 1H), 8.74 (dd, 1H), 8.63 (s, 1H), 8.48 (dd, 1H), 7.91 (d, 2H), 7.81-7.77 (m, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.45 (d, 2H), 7.18 (d, 1H), 4.58 (d, 2H), 3.64 (t, 2H), 2.42 (t, 2H), 1.91-1.82 (m, 4H)。
HPLC (方法2): Rt = 3.86 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 492/494 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0135】
実施例5
5-クロロ-N-({1-[4-(3-オキソモルホリン-4−イル)フェニル]-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミドヒドロクロライド
【化45】

実施例1に記載した工程と同様に、108 mg (0.168 mmol)の実施例22Aからの化合物により66 mg (理論上の75%)の表題化合物を得て、それは、メタノールおよび1モル塩酸への溶解および次の濃縮により、塩酸塩に変換される。
1H-NMR (500 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.13 (1H), 8.85 (2H), 8.70 (1H), 8.18 (2H), 8.00 (2H), 7.68 (1H), 7.61 (2H), 7.19 (1H), 4.66 (2H), 4.23 (2H), 4.00 (2H), 3.80 (2H)。
HPLC (方法2): Rt = 3.72 分。
MS (DCI, NH3, m/z): 494/496 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0136】
実施例6
5-クロロ-N-({1-[4-(2-オキソピペリジン-1−イル)フェニル]-3-ピリジン-4−イル-1H-ピラゾール-4−イル}メチル)チオフェン-2-カルボキサミド
【化46】

実施例1に記載した工程と同様に、65 mg (0.101 mmol)の実施例23Aからの化合物により、36 mg (理論上の68%)の表題化合物を得る。
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, δ/ppm): 9.10 (t, 1H), 8.81 (d, 2H), 8.64 (s, 1H), 8.10 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.67 (d, 1H), 7.47 (d, 2H), 7.18 (d, 1H), 4.64 (d, 2H), 3.65 (t, 2H), 2.42 (t, 2H), 1.93-1.82 (m, 4H)。
HPLC (方法2): Rt = 3.82 分。
MS (ESIpos, m/z): 492/494 (35Cl/37Cl) (M+H)+
【0137】
B. 薬理学的活性の評価
本発明による化合物は、特に、血液凝固Xa因子の選択的阻害剤として作用し、他のセリンプロテアーゼ、例えば、プラスミンもしくはトリプシンを阻害しないか、またはかなり高い濃度でのみ阻害する。
【0138】
血液凝固Xa因子の阻害剤は、“選択的”であり、他のセリンプロテアーゼ、特に、プラスミンおよびトリプシンの阻害に関するIC50値と比較して少なくとも100倍低く、ここで、選択性のための試験方法に関しては、下記の実施例B.a.1)およびB.a.2)の試験法が参照される。
【0139】
本発明による化合物の有利な薬理学的特性は、下記の方法により決定し得る:
a) 試験記載(インビトロ)
a.1) Xa因子阻害の決定
上記した物質のXa因子阻害を決定するために、Xa因子基質の変換がヒトXa因子の酵素活性を決定するために使用される生化学的試験系を設定する。ここで、Xa因子は、ペプチド基質からアミノメチルクマリンを切断し、その蛍光を測定する。決定は、マイクロタイタープレートで行う。
【0140】
さまざまな濃度で、試験される物質をジメチルスルホキシドに溶解させ、ヒトXa因子(50 mmol/lのTrisバッファー[C,C,C-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、100 mmol/l NaCl、0.1% BSA [ウシ血清アルブミン]、pH 7.4に1.3 nmol/lで溶解させた)と共に、22℃で15分間、インキュベートする。次いで、基質(Bachemからの5 μmol/lのBoc-Ile-Glu-Gly-Arg-AMC)を加える。30分のインキュベーション時間後、サンプルを、360 nmの波長で励起させ、460 nmでの放出を測定する。試験物質を含む試験バッチの測定された放出を、試験物質なしのコントロールバッチ(ジメチルスルホキシド中、試験物質の代わりにジメチルスルホキシドのみ)と比較し、IC50値を、濃度/活性関係から計算する。
【0141】
この試験からの代表的な活性データは、下記の表1に記載する:
表1
【表2】

【0142】
a.2) 選択性の決定
Xa因子阻害に関する物質の選択性を証明するために、試験物質を、他のヒトセリンプロテアーゼ、例えば、トリプシンおよびプラスミンの阻害に関して調べる。トリプシン(Sigmaからの83 mU/ml)およびプラスミン(Kordiaからの0.1 μg/ml)の酵素活性を決定するために、これらの酵素を溶解させ(50 mmol/lのTrisバッファー[C,C,C-トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]、100 mmol/lのNaCl、0.1% BSA [ウシ血清アルブミン]、5 mmol/lの塩化カルシウム、pH 7.4)、ジメチルスルホキシド中、さまざまな濃度の試験物質と共に、およびまた、試験物質なしのジメチルスルホキシドと共に、15分間インキュベートする。次いで、酵素反応を、適当な基質(トリプシンのために、Bachemからの5 μmol/lのBoc-Ile-Glu-Gly-Arg-AMC、プラスミンのために、Bachemからの50 μmol/lのMeOSuc-Ala-Phe-Lys-AMC)の添加により開始する。22℃で30分のインキュベーション時間後、蛍光を測定する(励起: 360 nm、放出: 460 nm)。試験物質を含む試験バッチの測定された放出を、試験物質なしのコントロールバッチ(ジメチルスルホキシド中、試験物質の代わりにジメチルスルホキシドのみ)と比較し、IC50値を、濃度/活性関係から計算する。
【0143】
a.3) 抗凝固活性の決定:
試験物質の抗凝固活性を、ヒトおよびウサギ血漿において、インビトロで決定する。この目的を達成するために、血液を、レシーバーとして0.11モルのクエン酸ナトリウム溶液を用いて、クエン酸ナトリウム/血液が1:9の混合割合で、抜く。血液を抜いた後すぐに、それを完全に混合し、約2500 gで10分間、遠心分離する。上清をピペットで分ける(pipetted off)。プロトロンビン時間(PT, synonyms: thromboplastin time, quick test)を、市販の試験キット(Instrumentation LaboratoryからのHemoliance(登録商標) RecombiPlastin)を用いて、さまざまな濃度の試験物質または相当する溶媒の存在下で決定する。試験化合物を、血漿と共に、37℃で3分間、インキュベートする。次いで、凝固を、トロンボプラスチンの添加により開始し、凝固が生じる時間を決定する。プロトロンビン時間の倍加に影響を与える試験物質の濃度を決定する。
【0144】
b) 抗血栓症活性の決定(インビボ)
b.1) 動静脈吻合モデル(ウサギ):
絶食したウサギ(系統: Esd: NZW)を、Rompun/Ketavet溶液(それぞれ、5 mg/kgおよび40 mg/kg)の筋肉内投与で麻酔する。血栓形成を、C.N. Berry et al. [Semin. Thromb. Hemost. 1996, 22, 233-241]に記載した方法にしたがい、動静脈シャントで開始する。この目的を達成するために、左頸静脈および右頸動脈を露出させる。2つの血管を、10 cmの長さの静脈カテーテルを用いて、体外シャントにより結合させる。真ん中で、このカテーテルを、さらに、ループを形成するように配列された粗面ナイロン糸を含む4 cmの長さのポリエチレンチューブ(PE 160, Becton Dickenson)に結合させ、血栓形成表面を形成する。体外循環は、15分間、維持する。次いで、シャントを除去し、血栓を含むナイロン糸の重さを、即座に、測定する。ナイロン糸自身の重さは、実験が開始される前に決定された。体外循環を設定する前に、試験物質を、耳静脈により静脈内に、または食道を用いて経口で投与する。
【0145】
C. 医薬組成物の典型的な態様
本発明による化合物を、下記の方法で、医薬組成物に変換し得る:
錠剤:
組成:
100 mgの本発明による化合物、50 mgのラクトース(一水和物)、50 mgのトウモロコシデンプン(天然)、10 mgのポリビニルピロリドン(PVP 25)(BASF, Ludwigshafen, Germanyからの)および2 mgのステアリン酸マグネシウム。錠剤重量212 mg。直径8 mm。12 mmの曲率半径。
【0146】
製剤:
本発明による化合物、ラクトースおよびデンプンの混合物を、水中、PVPの5%強度溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間、混合する。この混合物を、慣用的な錠剤プレスを用いて圧縮する(錠剤の様式のために上記を参照のこと)。基準として、15 kNの圧縮力を圧縮のために使用する。
【0147】
経口懸濁液:
組成:
1000 mgの本発明による化合物、1000 mgのエタノール(96%)、400 mgのRhodigel(登録商標)(FMC, Pennsylvania, USAからのキサンタンガム)および99 gの水。10 mlの経口懸濁液は、本発明による100 mgの化合物の単一用量に相当する。
【0148】
製剤:
Rhodigelをエタノールに懸濁し、本発明による化合物を、懸濁液に加える。撹拌しながら、水を加える。混合物を、Rhodigelの膨張が完成するまで、約6時間撹拌する。
【0149】
経口溶液:
組成:
500 mgの本発明による化合物、2.5 gのポリソルベートおよび97 gのポリエチレングリコール 400。20 gの経口溶液は、本発明による100 mgの化合物の単一用量に相当する。
【0150】
生成物:
本発明による化合物を、撹拌しながら、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に懸濁する。本発明による化合物が完全に溶解するまで、撹拌を続ける。
【0151】
静脈内投与溶液:
本発明による化合物を、生理学的に許容される溶媒(例えば、等張塩化ナトリウム溶液、グルコース溶液5%および/またはPEG 400溶液30%)中、飽和溶解度以下の濃度で溶解させる。溶液をろ過により滅菌し、滅菌および発熱物質フリーの注射容器に充填する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】

【化1】

[式中、
Eは、式
【化2】

(式中、
#は、フェニル環に結合する位置であり、
R1は、水素、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシ、C3-C6-シクロアルキルアミノ、C1-C4-アルキルカルボニルアミノまたはC1-C4-アルコキシカルボニルアミノを示し、
ここで、アルキル、アルコキシ、アルキルアミノは、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキルアミノおよびN-R5またはOからなる群からの環員を含み得るN原子により結合した4から7員飽和ヘテロシクリルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
ここで、R5は、水素またはC1-C4-アルキルを示し、そして、
R10は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C3-C6-シクロアルキル、C3-C6-シクロアルキルオキシまたは-NR11R12を示し、
ここで、R11は、C1-C4-アルキルまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、そして、
R12は、C1-C4-アルキルを示す)
の基を示し、
Aは、5員ヘテロアリールまたは部分不飽和5員ヘテロシクリルを示し、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、1もしくは2位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルは、置換基R6で置換され、
R6は、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6は、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、
フェニルおよびヘテロアリールは、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基は、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、アミノ、アミノメチル、アミノエチル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-アルキルアミノメチル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルメチル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニルメチル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R3は、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、アミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C3-C6-シクロアルキル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R4は、式
【化3】

(式中、
*は、カルボニル基に結合する位置であり、
R7は、水素、フッ素、塩素、シアノ、エチニル、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、
R8は、水素、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルキルアミノまたはC3-C6-シクロアルキルを示し、そして、
R9は、水素、フッ素、塩素、アミノまたはC1-C4-アルキルを示す)の基を示す]
で示される化合物またはその塩、その溶媒和物またはその塩の溶媒和物の1つ。
【請求項2】
Eが、式
【化4】

(式中、
#は、フェニル環に結合する位置であり、
R1Aは、水素、ヒドロキシ、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、アミノまたはメトキシを示し、
R1Bは、水素、ヒドロキシ、アミノ、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、ピロリジン-1-イル置換基で置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノ、ジメチルアミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、
R1Cは、水素、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、ヒドロキシおよびピロリジン-1-イルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
R1Dは、水素、メチルまたはエチルを示し、
ここで、メチルが、シクロプロピルアミノおよびピロリジン-1イルからなる群から選択される置換基で置換されていてもよく、そして、
エチルが、ヒドロキシ、アミノおよびシクロプロピルアミノからなる群から選択される置換基で置換されていてもよい)
の基を示し、
Aが、5員ヘテロアリールまたは部分不飽和5員ヘテロシクリルを示し、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、1もしくは2位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ヘテロアリールおよびヘテロシクリルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニルまたは5もしくは6員ヘテロアリールを示し、
フェニルおよびヘテロアリールが、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、C1-C4-アルキルアミノ、C1-C4-アルキルアミノメチル、ヒドロキシカルボニル、ヒドロキシカルボニルメチル、アミノカルボニル、アミノカルボニルメチル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルメチル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニルメチル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキルまたはC1-C4-アルコキシを示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、ヒドロキシ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルコキシメチル、シクロプロピル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルまたはC1-C4-アルキルアミノカルボニルを示し、
R4が、式
【化5】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、フッ素、塩素、エチニル、メチルおよびメトキシを示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示すことを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Eが、式
【化6】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
Aが、ピラゾリル、オキサジアゾリルまたはイソオキサゾリニルを示し、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、1位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、1,3-オキサゾール-2-イルまたはピリミジン-2-イルを示し、
フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イル、ピリド-4-イル、1,3-オキサゾール-2-イルおよびピリミジン-2-イルが、1から3個の置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、互いに独立して、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニル、C1-C4-アルキルアミノカルボニル、アミノスルホニル、C1-C4-アルキルアミノスルホニルおよびC1-C4-アルキルスルホニルからなる群から選択され、
R2が、水素またはフッ素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、シアノ、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、メトキシ、エトキシ、メトキシメチルまたはシクロプロピルを示し、
R4が、式
【化7】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、フッ素、塩素またはメチルを示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
Eが、式
【化8】

(式中、
#が、フェニル環に結合する位置である)
の基を示し、
Aが、ピラゾリル、オキサジアゾリルまたはイソオキサゾリニルを示し、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、1位でフェニル環に結合し、それらの部分のためのピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、フェニル環およびカルボニルアミノメチル基と1,3結合を有し、そして、
ここで、ピラゾリル、オキサジアゾリルおよびイソオキサゾリニルが、置換基R6で置換され、
R6が、カルボニルアミノメチル基が結合する原子に隣接する原子に結合し、フェニル環と1,4結合を有し、そして、
R6が結合する原子は、窒素または炭素原子であり、そして、
R6が、フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イルまたはピリド-4-イルを示し、
フェニル、ピリド-2−イル、ピリド-3-イルおよびピリド-4-イルが、置換基で置換されていてもよく、ここで、置換基が、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、C1-C4-アルキルアミノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル、C1-C4-アルコキシカルボニルおよびC1-C4-アルキルアミノカルボニルからなる群から選択され、
R2が、水素またはフッ素を示し、
R3が、水素、フッ素、塩素、メチルまたはメトキシを示し、
R4が、式
【化9】

(式中、
*が、カルボニル基に結合する位置であり、
R7が、塩素を示し、そして、
R9が、水素を示す)の基を示すことを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその塩の1つ、その溶媒和物またはその塩の溶媒和物を製造する方法であって、式
【化10】

[式中、
A、R2、R3およびR4は、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物を、式
【化11】

[式中、
Eは、請求項1で定義した意味を有する]
の化合物と反応させることを特徴とする、方法。
【請求項6】
疾患の処置および/または予防のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
疾患の処置および/または予防のための医薬の製造のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための医薬の製造のための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
インビトロで血液凝固を予防するための請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
不活性で非毒性の薬学的に許容される補助剤と共に請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項11】
さらなる活性化合物と共に請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬。
【請求項12】
血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための請求項10または11に記載の医薬。
【請求項13】
抗凝固性である請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物、請求項10から12のいずれか1項に記載の医薬または請求項7もしくは8の方法にしたがって取得した医薬のうち少なくとも1種の有効量を用いた、ヒトおよび動物における血栓塞栓性障害の処置および/または予防のための方法。
【請求項14】
請求項1から4のいずれか1項に記載の抗凝固性化合物の有効量を加えることを特徴とする、インビトロで血液凝固を予防するための方法。

【公表番号】特表2009−538846(P2009−538846A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512472(P2009−512472)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004693
【国際公開番号】WO2007/137791
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(503412148)バイエル・ヘルスケア・アクチェンゲゼルシャフト (206)
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare AG
【Fターム(参考)】