説明

アルカリイオン整水器

【課題】 整水器本体の上面部に配設される操作盤と整水器本体の操作盤取付用開口との間から整水器本体内に水が浸入してもこれをすみやかに排水可能にして、防水機能を強化させたアルカリイオン整水器を提供する。
【解決手段】 供給された水を電気分解してアルカリ性又は酸性にする電解槽4を整水器本体1に内装すると共に、上記電解槽4の水質選択を操作する操作盤9を整水器本体1の上面部に配設して成るアルカリイオン整水器である。整水器本体1の上面部に操作盤9を嵌合によって取り付けるための操作盤取付用開口10を設ける。操作盤取付用開口10の内縁に亙って操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入する水を受ける受溝部11を設ける。受溝部11で受けた水を整水器本体1の外部に排出する排水部12を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリイオン整水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、供給された水を電気分解してアルカリ性又は酸性にする電解槽を整水器本体に内装すると共に、上記電解槽の水質選択を操作する操作盤を整水器本体の外面に配設して成るアルカリイオン整水器が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
ところで、このアルカリイオン整水器は防水機能が充分ではなく、たとえば整水器本体を流し台のシンクの周縁に配設した場合に、水栓の吐水を整水器本体にかけたりしてしまうと、操作盤と整水器本体との間などから整水器本体内に水が浸入してアルカリイオン整水器の機能障害を生じさせる恐れがあった。
【特許文献1】特開2005−211812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、整水器本体の上面部に配設される操作盤と整水器本体の操作盤取付用開口との間から整水器本体内に水が浸入してもこれをすみやかに排水可能にして、防水機能を強化させたアルカリイオン整水器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために請求項1に係るアルカリイオン整水器にあっては、供給された水を電気分解してアルカリ性又は酸性にする電解槽4を整水器本体1に内装すると共に、上記電解槽4の水質選択を操作する操作盤9を整水器本体1の上面部に配設して成るアルカリイオン整水器において、整水器本体1の上面部に操作盤9を嵌合によって取り付けるための操作盤取付用開口10を設け、操作盤取付用開口10の内縁に亙って操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入する水を受ける受溝部11を設けると共に、受溝部11で受けた水を整水器本体1の外部に排出する排水部12を設けたことを特徴とする。
【0006】
これによると、整水器本体1を流し台のシンクの周縁に配設した場合に、水栓の吐水を整水器本体1にかけたりしてしまって、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から水が浸入したとしても、この浸入した水を操作盤取付用開口10の内縁に亙って設けた受溝部11で受け、受溝部11から排水部12を経て整水器本体1の外部に排出することができるのであり、整水器本体1の防水機能を強化することができる。
【0007】
また、請求項2に係るアルカリイオン整水器にあっては、請求項1において、操作盤9の下面の周縁部に亙って、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入して操作盤9の下面に伝う水を受溝部11に滴り落とすための水切り壁31を突設したことを特徴とする。
【0008】
これによると、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入して操作盤9の下面に伝おうとする水があっても、操作盤9の下面の周縁部に亙って突設する水切り壁31によって上記水を受溝部11に滴り落とし、受溝部11から排水部12を経て整水器本体1の外部に排水させることができるのであり、電装部品が実装されたり電気的接続が為される操作盤9の下面を浸入する水から保護することができ、整水器本体1の防水機能を強化することができる。
【0009】
また、請求項3に係るアルカリイオン整水器にあっては、請求項2において、整水器本体1に供給された水を濾過して浄水とする浄水カートリッジ3を着脱自在に内装し、整水器本体1の外側面に、浄水カートリッジ3の着脱の際に取り外す蓋材6によって覆われる蓋材被覆部30を整水器本体1の内部と隔絶するように設け、排水部12を受溝部11と蓋材被覆部30とを連通するように形成したことを特徴とする。
【0010】
これによると、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入して受溝部11で受けた水は、排水部12を経て整水器本体1の内部と隔絶された蓋材被覆部30に排出されることで、整水器本体1の外部に排出できることから、排水部12を浄水カートリッジ3の着脱に用いる蓋材6によって隠匿させて目立たない構造にできたものであり、つまり、整水器本体1の良好な外観を確保しながらも整水器本体1の防水機能の強化を図ることができる。
【0011】
また、請求項4に係るアルカリイオン整水器にあっては、請求項3において、蓋材被覆部30を整水器本体1の前面1aに設けると共に、受溝部11をその後部部位よりもその前部部位が下位置に位置するように形成し、排水部12を受溝部11の前部部位と蓋材被覆部30とを連通するように形成したことを特徴とする。
【0012】
これによると、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入して受溝部11で受けた水を、受溝部11の前部部位に集めた後に、排水部12、蓋材被覆部30を経て、整水器本体1の外部にすみやかに排出することができる。また、浄水カートリッジ3の着脱を整水器本体1の前面1aから行うことができて便利である。
【発明の効果】
【0013】
本発明にあっては、整水器本体の上面部に配設される操作盤と整水器本体の操作盤取付用開口との間から整水器本体内に水が浸入しても、支障なくすみやかにこれを排水させて、強固な防水性能を確保できる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0015】
アルカリイオン整水器は、原水からアルカリイオン水や酸性イオン水を生成したり、あるいは原水を浄水して吐水管14より吐水させるものである。
【0016】
図8のように、アルカリイオン整水器の整水器本体1内には、水経路2及び、アルカリイオン整水器の主体となる浄水カートリッジ3、カルシウム供給部13、電解槽4をはじめとする機器が収容されている。水経路2の上流側端部には水道等の原水管40が接続されており、水経路2の途中には上流側から順に浄水カートリッジ3、流量センサ41、カルシウム供給部13、電解槽4が配設してあると共に、電解槽4から下流側は、電解槽4で生成されるアルカリイオン水・酸性イオン水の一方または浄水を使用者に供給する吐水管14と、前記吐水管14からアルカリイオン水・酸性イオン水の一方を吐水する際にアルカリイオン水・酸性イオン水の他方を排出する排水管15とに分岐されている。また、排水管15には排水側電磁弁20が設けてある。
【0017】
浄水カートリッジ3は、水経路2を経て供給される原水を濾過する濾材を円柱状の容器に収納してあり、整水器本体1の前面1aに開口して後述の前面蓋6aで蓋がされるカートリッジ収納凹所5に収納された状態で、整水器本体1に着脱自在(交換可能)に配設される。詳しくは、濾材としては、原水中の残留塩素を吸収する活性炭、及び、一般細菌や不純物を取り除く中空紙膜を備えている。また、浄水カートリッジ3には水経路2への接続口である一対のカートリッジ側接続口8が備えられているが、この一対のカートリッジ側接続口8は浄水カートリッジ3の上部に設けたカートリッジ側上接続口8aと、浄水カートリッジ3の下部に設けたカートリッジ側下接続口8bとで構成されている。また、水経路2の一部には浄水カートリッジ3への接続口である一対の本体側接続口7が備えられているが、この一対の本体側接続口7はカートリッジ収納凹所5の上面部及び下面部に臨むように配置された本体側上接続口7a及び本体側下接続口7bによって構成されている。浄水カートリッジ3がカートリッジ収納凹所5に収納された状態では、カートリッジ側下接続口8bが本体側下接続口7bに嵌合接続されて水経路2からの原水を浄水カートリッジ3内に導入可能にすると共に、カートリッジ側上接続口8aが本体側上接続口7aに嵌合接続されて浄水カートリッジ3の内部を経て生成された浄水を水経路2に供給可能にしている。
【0018】
流量センサ41は、通水を確認して後述する制御部16に制御指示を行うものである。カルシウム供給部13は、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウムイオンを原水中に投与して導電率を高めるものである。また、カルシウム供給部13は、グリセロリン酸カルシウムや乳酸カルシウム等のカルシウムイオンを原水中に投与して導電率を高めるものである。
【0019】
電解槽4は、隔膜17によって槽内が二分されて形成された各電極室に電極板18,19を備えている。そして、一方の電極板18を備えた側の電極室には、この電極室にて生成される使用水(電極板18が陰極の場合はアルカリイオン水、陽極の場合は酸性イオン水)を吐出するための上記吐水管14が接続される。これに対して、他方の電極板19を備えた側の電極室には、この電極室にて生成される使用されない方の水(電極板19が陽極の場合は酸性イオン水、陰極の場合はアルカリイオン水)を排出するための上記排水管15が接続されており、排水側電磁弁20を開いて排水を行い得るようにされている。また、排水管15の排水側電磁弁20の上流側の部分には、内部配管の電解槽4の上流側の部分から分岐した排水用バイパス管15aが接続され、この途中に設けたバイパス弁15bを開いて電解槽4内の滞留水や浄水カートリッジ3内の滞留水が排水可能にされている。なお、バイパス弁15bは流路を絞った絞りで代用してもよい。また、排水管15には、電解槽4で電解水を効率よく生成するため流量調整弁等からなる流量調節部21が設けてある。
【0020】
また整水器本体1には、浄水カートリッジ3の有無を検出する浄水器センサ22、商用の交流電源に接続される電源投入用プラグ23、電源投入用プラグ23からの交流電源を直流電源に変える制御用電源部24、整水器本体1の動作を制御する制御部16、整水器本体1の作動操作を行うと共に作動状態を表示する操作表示部25が設けてある。
【0021】
操作表示部25は、操作部26と表示部27とを備えている。操作部26は、アルカリイオン水生成モードと浄水モードと酸性イオン水生成モードのいずれかを選択して切替える各モード切替ボタン26a,26b,26cを有する。この操作部26によって、三つのモードのうちのいずれかを選択すると、表示部27に選択されたモードが表示される。また、モード選択の後に通水すると制御部16によって極性(すなわち一方の電極板18を備えた側の電極室からアルカリイオン水生成と酸性イオン水生成のいずれが生成されるか)と通水状態が判断され、電解槽4での電気分解後にいずれかのモードにて選択された水が吐出される。なお、アルカリイオン水生成モードにおいては、pH調節ボタン26a〜26aによって強モード、中上モード、中下モード、弱モードのいずれか一つのモードを選択することもでき、表示部27ではこれらの動作状態をLEDまたはLCDにより表示し、且つ必要に応じて報知音を発生させる報知音発生手段が併設される。
【0022】
制御部16は、MPU16a(Micro Processing Unit)、極性切換部16b、電解電圧スイッチング部16cを備えており、MPU16aが流量センサ41や浄水器センサ14や操作部26から制御指示を得て演算処理して必要に応じて排水側電磁弁20、表示部27に動作指示をする。極性切換部16bは、MPU16aからの動作指示に応じて極性を切り換えるものである。電解電圧スイッチング部16cは、MPU16aからの動作指示に応じて、制御用電源部16から出力された直流電圧電流をパルス変調することで電解槽4に印加する平均電圧を変化させる。そして、この電解電圧スイッチング部16cでパルス変調された平均電圧に応じて、アルカリイオン水のpH濃度を変化させることができる。
【0023】
ところで、整水器本体1は、図3や図7のように、平行な面となる後面1bと前面1aとの間の両側面1cが前方ほど離れて位置するような平面視台形状に形成されている。この整水器本体1は流し台のシンク周りに設置されるのであるが、たとえば整水器本体1をシンク28の後縁フランジ部に置いて流し台や台所の後壁29aに整水器本体1の後面1bを沿わせると共に整水器本体1の前面1aをシンク28の前方に向けるようにして設置するようにしたり、たとえば整水器本体1をシンク28の角部フランジ部に置いてシンク28の角部で直交する流し台や台所の後壁29aと側壁29bとに対して整水器本体1の両側面1cを近接させると共に整水器本体1の前面1aを開けた空間となるシンク28の中央部に向けるように(整水器本体1の前面1aをシンク28の斜め前方に向けるように)して設置することができる。殊に後者の場合、たとえば本例の整水器本体1と平面積が同等の平面視長方形状の整水器本体1´をシンク28の角部に設置した場合に比べて、シンク28の中央側への突出寸法を抑えることができて好ましい(図7参照)。つまり、本例の整水器本体1はその前面1aをシンク28の前方に位置する使用者側に向かせてシンク周りに設置するに適した形状となっている。
【0024】
ここで、整水器本体1の前面1aには、図3のように、浄水カートリッジ3の着脱の際に取り外す蓋材6である前面蓋6aによって覆われる蓋材被覆部30が設けられている。この蓋材被覆部30は、整水器本体1の内部と隔絶されるように整水器本体1のハウジング100の前部から後方に引き込むように凹設した凹段部状の引込凹部30aによって構成されている。この引込凹部30aに対して前面蓋6aを被着したときには、図5のように被着した前面蓋6aの表面が整水器本体1の前面1aと面一になるようにされている。叙述のカートリッジ収納凹所5は引込凹部30a内に位置して設けられており、引込凹部30aに被着した前面蓋6aによってカートリッジ収納凹所5の前方開口が閉塞されるようになっている。このように、シンク周りに設置される本例の整水器本体1にあっては、その前面1aに浄水カートリッジ3を着脱自在に収容するカートリッジ収納凹所5を開口させるように形成し、浄水カートリッジ3の取出口となるカートリッジ収納凹所5の前方開口を塞ぐように前面蓋6aを着脱自在に被着する構造が採用されているので、シンク28の前方に位置した使用者はシンク周りに設置された整水器本体1から前面蓋6aを外して整水器本体1の前面1aから浄水カートリッジ3をカートリッジ収納凹所5に対して着脱させることができるのであり、浄水カートリッジ3の着脱を容易に行うことができるようになっている
また、整水器本体1の平面視台形状の上面1dには操作表示部25が設けられている。操作表示部25を設けた整水器本体1の上面1dは、図2や図5のように、シンク28の前方に位置する使用者から見易く、操作し易くするために、前方ほど下方に位置するような下り傾斜状に施されている。なお、整水器本体1の上面1dから突出する吐水管14は、使用者による操作表示部25の操作や使用者の操作表示部25への視界を妨げないように、整水器本体1の上面1dにおける後端部から突出されている。
【0025】
具体的な整水器本体1の上面部の構造としては、図1や図2のように、整水器本体1のハウジング100の上部に整水器本体1の上面1dを構成する上面カバー状の操作盤9が被着されて構成されている。整水器本体1のハウジング100の上部には電装部収納用凹部32が形成されている。電装部収納用凹部32はその底壁33から外周壁34を上方に突出してこの外周壁34により囲繞されて上方に開口せる操作盤取付用開口10を有しており、この操作盤取付用開口10に操作盤9を嵌合させることで、操作盤取付用開口10が操作盤9によって塞がれるようにされている。叙述のように整水器本体1の上面は前下がり形状に形成されているから、電装部収納用凹部32(底壁33や外周壁34や操作盤取付用開口10等)や操作盤9はそれぞれ前下がり形状に形成されている。電装部収納用凹部32には操作表示部25にかかる各電装部品48が収納されるのであり、操作盤9の表面には操作部26の各種ボタン26a〜26c等や表示部27の表示窓27a等が形成され、操作盤9の下面では上記各電装部品48との電器的接続や別途電装部品が実装したりされている。なお、電装部収納用凹部32には制御部16にかかる電装部品も適宜配設してもよい。
【0026】
操作盤9の外周端には全周に亙って下方に屈曲垂下させた嵌合用突部35が形成されている。また、操作盤9の下面の周縁部(嵌合用突部35より内側)には全周に亙って下方に垂設させた水切り壁31が形成されている。また、操作盤9の後部域には左右一対のボス36が下方に垂設されており、整水器本体1の前面に沿う水切り壁31の前部部位の下端には複数の係止脚37が下方に垂設されている。本例では3つの係止脚37が形成されており、左右両側の係止脚37aには係止爪38が形成されており、中央の係止脚37bにはビス挿通用穴43が穿設されている。
【0027】
電装部収納用凹部32の外周壁34の上端部には全周に亙って嵌合用溝部39が形成されている。また、電装部収納用凹部32の周縁部には、全周に亙って、外周壁34の内周面に隙間を隔てて対面するように底壁33から上方に突設した堰壁40が形成されている。つまり、操作盤取付用開口10の内縁には、その全周に亙るように、外周壁34と堰壁40と底壁33で囲まれた上方に開口せる受溝部11が形成されている。また、図6のように、電装部収納用凹部32の底壁33の後部域(堰壁40よりも内側部位)には左右一対のビス挿通用穴44が穿設されており、整水器本体1の前面に沿う受溝部11の前部部位の溝底(電装部収納用凹部32の底壁33が構成)には操作盤9の係止脚37を遊挿させる係止用孔42が穿設されている。詳しくは、この係止用孔42は、図2のように、上記受溝部11の前部部位と上記整水器本体1の前面1aに形成された引込凹部30aとを連通させるように形成されている。
【0028】
電装部収納用凹部32の操作盤取付用開口10への操作盤9の被着は、操作盤9の嵌合用突部35を電装部収納用凹部32の周壁の嵌合用溝部39に嵌合すると共に、操作盤9の係止脚37を電装部収納用凹部32の受溝部11の係止用孔42に挿入し、左右両側の係止脚37aの係止爪38を係止用孔42の孔縁に係止させると共に、当接された中央の係止脚37bと整水器本体1のハウジング100の前面、及び当接された操作盤9のボス36と電装部収納用凹部32の底壁33を、それぞれビス挿通用穴43,44にビス45,46を通して結合することで行われる。すなわち、操作盤9はその全周端縁が操作盤取付用開口10に対して内嵌合されて綺麗な仕舞い外観を現出する。また、本例では嵌合用溝部39の内側の溝壁上端に嵌合用溝部39の溝側に向けて丸みを持たせて傾斜せるR部39aを形成しているので(図1(c))、嵌合用突部35の嵌合用溝部39への嵌入が上記R部39aによるガイドを受けて確実且つ作業性良く行い得るようにされている。なお、このように電装部収納用凹部32の操作盤取付用開口10に操作盤9を被着した状態では、図1(b)(c)のように、操作盤9の水切り壁31が電装部収納用凹部32の受溝部11内に遊挿された状態になっている。
【0029】
ところで、整水器本体1をシンク周りに設置した場合、流し台に備える水栓からの吐水等を整水器本体1にかけてしまうことも考えられるが、本例の整水器本体1にあっては従来に比べて防水機能の格段の強化が図られており、シンク周りに設置するに適した整水器本体1とされている。つまり、水栓からの吐水等が整水器本体1の上面部にかかってしまう場合が、整水器本体1の全体に水がかかって、整水器本体1の防水性能が問われる状況となる。殊に、本例の整水器本体1ではその上面部が操作盤取付用開口10に操作盤9を被着した構造とされており、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から水が整水器本体1の内部に浸入する恐れがあるが、この操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入する水に対する防水構造を備えたことで防水機能の格段の強化が図られている。
【0030】
すなわち、本例の整水器本体1にあっては、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から水が浸入したとしても、この浸入した水を操作盤取付用開口10の内縁に亙って設けた受溝部11で受け、受溝部11から排水部12を経て整水器本体1の外部に排出することができるようにされており、整水器本体1の防水機能が強化されている。また、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入して操作盤9の下面に伝おうとする水があっても、叙述のように操作盤9の下面の周縁部に亙って突設する水切り壁31が上記受溝部11に挿入されているので、この水切り壁31によって上記水を受溝部11に滴り落とし、受溝部11から排水部12を経て整水器本体1の外部に排水させることができるようにされている。したがって、電装部品が実装されたり電気的接続が為される操作盤9の下面は、上記操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入する水に対する保護がなされており、整水器本体1の防水機能の強化が図られている。
【0031】
具体的に、受溝部11は操作盤取付用開口10の内縁に亙って設けられているから、操作盤9と操作盤取付用開口10との間から浸入した水を漏れなく受けることができる。また、本例の受溝部11は整水器本体1の上面部の形状と同様に前下がり形状に形成されており、つまり受溝部11はその後部よりもその前部が下位置に位置するように形成されている。しかして、受溝部11で受けた水は低位置である受溝部11の前部部位に流れ集まるようになっている。そして、受溝部11の前部部位に集まった水は、受溝部11の前部部位に形成されて係止脚37が遊挿された係止用孔42を通って、整水器本体1の内部と隔絶された引込凹部30aに流下されるようになる。係止用孔42を経て引込凹部30aに流下された水は、整水器本体1の内部と隔絶された引込凹部30aを流下していき、被着した前面蓋6aと引込凹部30aとの下端部から整水器本体1の外部に排出されるのである。
【0032】
このように本例では、受溝部11で受けた水を整水器本体1の外部に排出する排水部12は、操作盤9の操作盤取付用開口10への被着に用いる係止用孔42を兼用して構成されており、受溝部11で受けた水の排水を行うためだけの排水経路を別個に整水器本体1に形成することが回避されていて、整水器本体1の構成の簡略化が図られている。また、排水部12を流れる排水は、受溝部11から整水器本体1の内部と隔絶された整水器本体1の前面部位である引込凹部30aに排出させて、引込凹部30aと被着した前面蓋6aとの間から整水器本体1の外部に排出させるようになっているので、排水部12を浄水カートリッジ3の着脱に用いる前面蓋6aによって隠匿させて目立たない構造にできたものであり、つまり、整水器本体1の良好な外観を確保しながらも整水器本体1の防水機能の強化が図られているのである。
【0033】
また、詳しくは、本例の排水部12を構成する係止用孔42の引込凹部30a側の開口部位には、引込凹部30aに被着した前面蓋6aの裏面に対してその前縁が微小隙間sを隔てて位置するような、前方に開口せる横穴状の排水ガイド部47が形成されており、係止用孔42を経て引込凹部30aに流下された水は、排水ガイド部47を経て前面蓋6aの裏面を伝って引込凹部30a内を流下していき、前面蓋6aの下縁から整水器本体1の外部(整水器本体1の前面の下端部分)に排出されるようなっている。本例の引込凹部30a内にはカートリッジ収納凹所5が開口されてカートリッジが収納されるのであるが、叙述のように受溝部11からの排水が排水ガイド部47を経て前面蓋6aの裏面を伝うように引込凹部30aを流下するようにされているので、受溝部11から至り引込凹部30aを流下する排水が、浄水カートリッジ3やカートリッジ収納凹所5に伝って、浄水カートリッジ3の水経路2への接続部位(カートリッジ側接続口8の本体側接続口7への接続部位)などから整水器本体1の内部に浸入してしまうといった恐れも回避されており、この点でも整水器本体1の防水機能の強化が図られている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態の例のアルカリイオン整水器であり、(a)は要部の分解斜視図であり、(b)は要部の正面断面図であり、(c)は(b)のA部の拡大図である。
【図2】同上の要部の側面断面図である。
【図3】同上のアルカリイオン整水器の前面蓋を開けた状態の斜視図である。
【図4】同上のアルカリイオン整水器の前面蓋を透視した状態の正面図である。
【図5】同上のアルカリイオン整水器の前面蓋を被着した状態の縦断面図である。
【図6】同上の電装部収納用凹部の上面図である。
【図7】同上のアルカリイオン整水器のシンク周りへの設置を説明する平面図である。
【図8】同上のアルカリイオン整水器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0035】
1 整水器本体
1a 前面
1d 上面
2 水経路
3 浄水カートリッジ
4 電解槽
5 カートリッジ収納凹所
6 蓋材
6a 前面蓋
9 操作盤
10 操作盤取付用開口
11 受溝部
12 排水部
30 蓋材被覆部
30a 引込凹部
31 水切り壁
32 電装部収納用凹部
42 係止用孔
47 排水ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された水を電気分解してアルカリ性又は酸性にする電解槽を整水器本体に内装すると共に、上記電解槽の水質選択を操作する操作盤を整水器本体の上面部に配設して成るアルカリイオン整水器において、整水器本体の上面部に操作盤を嵌合によって取り付けるための操作盤取付用開口を設け、操作盤取付用開口の内縁に亙って操作盤と操作盤取付用開口との間から浸入する水を受ける受溝部を設けると共に、受溝部で受けた水を整水器本体の外部に排出する排水部を設けたことを特徴とするアルカリイオン整水器。
【請求項2】
操作盤の下面の周縁部に亙って、操作盤と操作盤取付用開口との間から浸入して操作盤の下面に伝う水を受溝部に滴り落とすための水切り壁を突設したことを特徴とする請求項1記載のアルカリイオン整水器。
【請求項3】
整水器本体に供給された水を濾過して浄水とする浄水カートリッジを着脱自在に内装し、整水器本体の外側面に、浄水カートリッジの着脱の際に取り外す蓋材によって覆われる蓋材被覆部を整水器本体の内部と隔絶するように設け、排水部を受溝部と蓋材被覆部とを連通するように形成したことを特徴とする請求項2記載のアルカリイオン整水器。
【請求項4】
蓋材被覆部を整水器本体の前面に設けると共に、受溝部をその後部部位よりもその前部部位が下位置に位置するように形成し、排水部を受溝部の前部部位と蓋材被覆部とを連通するように形成したことを特徴とする請求項3記載のアルカリイオン整水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−168237(P2008−168237A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5064(P2007−5064)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】