説明

アルカリ二次電池及びその製造方法

【課題】電池モジュールの分解、組立てを容易にする構造を有しながら、電池単独で密閉性が確保され、電池モジュールにおける電池交換及び修理が容易となるアルカリ二次電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1枠形部材(21)と第1枠形部材の開口部を覆う第1蓋部材(23)を有する第1ケーシング(19)と、第2枠形部材(22)と第2枠形部材の開口部を覆う第2蓋部材(25)を有する第2ケーシング(20)と、第1ケーシング(19)と第2ケーシング(20)で囲まれ第1蓋部材(23)と第2蓋部材(25)が対向する空間内に、正極(13)及び負極(15)を含む電極体(17)と電解液とが収納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ二次電池関し、特に、複数個接続されて電池モジュールとして使用されるアルカリ二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密閉式電池の形状として、円筒形が一般的に採用されてきた。円筒形電池においては、電極体として正極体と負極体とをセパレータを介して円筒形に巻き取った構造を採用しており、構造が簡易であると同時に、電池の内部圧力に対する耐圧性に優れるという利点がある。
【0003】
ところで、近年、省エネルギーやCO2削減への配慮から、自動車や電車などの車両に搭載する、充放電可能な二次電池が開発されている。車両に二次電池を搭載した場合には、ブレーキ時の回生電力をこの搭載電池に蓄えておき、車両の動力源として使用することができるので、車両運行のエネルギー効率を高め、CO2の排出量を削減することができる。
【0004】
車両用の電池には、設置スペースが制限される都合上、従来の携帯機器等に用いられるものに比べて、高電圧及び高エネルギー容量が要求されるため、大型の電池を複数組み合わせて構成した電池モジュールを使用することが一般的である。大型電池を使用する場合には、電池性能や生産性の観点から、円筒形電池に用いられる巻取り式の電極体よりも、正極体と負極体を交互に積層した電極体の方が適していること、及び、電池が設置されるスペースを効率的に利用する必要性が大きいことから、円筒形よりも角形の電池とすることが望ましい(例えば、特許文献1)。
【0005】
このように、複数の角形電池を組み合わせて電池モジュールとして用いるための単位電池の構造として、例えば、対向配置された正極・負極それぞれの端子板を兼ねる2つの蓋状の部材間に、絶縁素材からなる矩形の枠形部材を介在させて電池のケーシングを形成し、このケーシング内に、プリーツ状のセパレータを介して交互に積層された正極体及び負極体からなる電極体を収納するものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【0006】
このような構造を有する角形電池では、隣接する電池の一方の正極端子板と他方の負極端子板とが互いに接触するように複数の電池を積層させ締め付けることにより、密閉構造としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−110381号公報
【特許文献2】国際公開第2009/125544号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
多数の電池を接続して構成した電池モジュールでは、充放電を繰り返すうちに、電池間で電池性能の劣化度合いに差が生じることがある。性能劣化の大きい電池が生じると、その影響を受けて電池モジュール全体の充放電性能が低下するが、このような場合でも、性能劣化の大きい電池のみを新しい電池に交換することにより、電池モジュール全体の充放電性能を維持することが可能になる。
【0009】
しかしながら、上記電池の密閉化は、主として、複数個の電池を積層した電池モジュール全体を積層方向に締め付けるための板状部材や固定用部材によって確保されている。したがって、劣化した電池を交換するために電池モジュールを解体すると、交換する必要のない電池において、密閉性が維持されず、電解液漏れが発生する場合がある。電池交換時の電解液漏れを防止するためには、電池モジュールの解体前に電解液を抜き取り、組立て後に再注入する必要があるので、電池交換作業の負担が大きく、電池モジュールを長期にわたって使用することが困難であるという課題があった。
【0010】
また、性能劣化を起こした電池を電池モジュールから抜き出して、性能劣化を起こした電池から電極体等を取り出して、新しい電極体等に交換して再度活性化等をして新しい電池として再生することがあるところ、電池を分解して電極体を取り出すのが困難で、手間を生じるという課題があった。
【0011】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、電池モジュールの組立てを容易にする構造を有しながら、電池単独で密閉性が確保され、電池モジュールにおける電池交換が容易とともに分解して電極体等の交換が容易なアルカリ二次電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために本発明に係るアルカリ二次電池は、第1枠形部材と当該第1枠形部材の一方開口部を覆う第1蓋部材を有する第1ケーシングと、第2枠形部材と当該第2枠形部材の一方開口部を覆う第2蓋部材を有する第2ケーシングとを備え、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとの他方開口部をつきあわせてなるケーシング本体の内部空間に、正極及び負極を含む電極体と電解液とが収納される。
【0013】
この構成によれば、第1ケーシングと第2ケーシングの寸法形状の統一を行うことにより、部品の共通化を図ることができる。また、枠形部材及び蓋部材の形状を好ましくは矩形とすることにより、角形のアルカリ二次電池とすることができる。角形の二次電池は電池の大型化を図る上で取扱いにおいて、また、冷却を図る上で有利となる。
【0014】
そして、電解液としてはアルカリ系水溶液を用いており、電解液と電極体とを組み合わせて第1ケーシングと第2ケーシングで囲まれる空間内に収納されて電池を構成する。なお、第1蓋部材と第2蓋部材がそれぞれ正極集電体と負極集電体を構成するので、電極体は、第1蓋部材と第2蓋部材が対向する第1ケーシングと第2ケーシングで囲まれた空間に収納されることになる。
【0015】
請求項2に係るアルカリ二次電池においては、前記電極体が、前記正極を形成する正極体と前記負極を形成する負極体とがセパレータを介して交互に積層して相対向する構造を有し、前記正極体及び前記負極体はそれぞれ前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材に電気的に接続され、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材が絶縁物である。
【0016】
この構成によれば、第1蓋部材は正極体と接触により電気的に接続された状態、第2蓋部材は負極体と接触により電気的に接続された状態となっており、第1蓋部材及び第2蓋部材が、それぞれ、正極集電体及び負極集電体を構成する。つまり電極体と集電体とは溶接によらず接触により電気的に接続されてところに特徴を有している。
【0017】
また、セパレータには、正極体と負極体とがこれを介して相対向するように交互に積層できるものを用いればよい。このようなセパレータとしては、例えば、後記するプリーツ状や蛇腹状のもの、コの字状、Sの字状、袋状のものなどを用いることができる。
【0018】
請求項3に係るアルカリ二次電池においては、前記セパレータがプリーツ状のセパレータである。
【0019】
この構成によれば、セパレータをプリーツ状(蛇腹状)に折り曲げた構造とすることにより正極体と負極体とがセパレータを介して交互に積層できる。
【0020】
請求項4に係るアルカリ二次電池においては、前記第1蓋部材が、前記第1枠形部材の一方開口を塞ぐ板状の本体部と、これに続き、本体部の外縁から前記第1枠形部材側に向けて突曲した突曲部とを有し、前記第2蓋部材が、前記第2枠形部材の一方開口を塞ぐ板状の本体部と、これに続き、本体部の外縁から前記第2枠形部材側に向けて突曲した突曲部とを有している。
【0021】
この構成によれば、蓋部材の突曲部は、平板状の板部材の縁部を折り曲げて構成してもよく、また絞り加工により構成してもよい。この突曲部が枠型部材の外周面または内周面もしくは枠型部材表面に設けた溝等に嵌合して、蓋部材は枠型部材の一方開口部を塞ぐ蓋として機能するようにしてもよい。
【0022】
そして、この突曲部は、例えば矩形状の板部材を用いる場合、枠形部材の互いに対向する少なくとも1組の辺にほぼ沿うように折り曲げて形成してもよい。すなわち、突曲部は矩形平板状の板部材の互いに対向する一対の縁部を折り曲げて1組の突曲部としてもよく、4つの縁部すべてを折り曲げて2組の突曲部としてもよい。つまり、蓋部材は、対向する位置に少なくとも1組の突曲部があれば、枠形部材と嵌合することにより蓋として機能する。
【0023】
請求項5に係るアルカリ二次電池においては、前記ケーシング本体の内部に電解液が注入された後に、空気よりも高い酸素濃度を有するガスが注入されたことにより、前記ケーシング本体内部が減圧されて、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとが密閉されている。
【0024】
この構成によれば、充電過程において発生する水素が電池内部の酸素ガスと結合して水となるので、ケーシング内が減圧されて負圧となることにより第1ケーシングと第2ケーシングとが密閉される。
【0025】
請求項6に係るアルカリ二次電池においては、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材が、厚み方向に凹み形成した圧入溝を有し、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記圧入溝に圧入されている。
【0026】
この構成によれば、前記蓋部材の突局部が前記枠形部材の所定位置にきっちりと固定できるため、ズレが生じにくく作業性もよい。
【0027】
また、圧入溝は、前記蓋部材の突曲部に対応する位置に設ければよく、枠形部材の全周に渡る周回溝としてもよい。さらに、圧入溝は、深さ方向に均一な幅の溝であってもよいし、圧入溝の開口部から底部に向かって次第に幅狭となる略台形状の溝であってもよい。
【0028】
請求項7に係るアルカリ二次電池においては、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材と、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材とが、それぞれ、シール剤により互いにシールされている。
【0029】
この構成によれば、アルカリ二次電池をシールすることができる。また、シール剤の代わりに接着剤を用いてもよい。
【0030】
請求項8に係るアルカリ二次電池においては、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材にインサート成形により接合されている。
【0031】
この構成によれば、各蓋部材と各枠形部材とをそれぞれ一体として形成でき、これらを強固に固定できる。また、インサート成形においては、液密に接合されていることが好ましい。液密に接合されることにより密閉性が向上する。
【0032】
請求項9に係るアルカリ二次電池においては、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の内方に折り曲げられている。
【0033】
この構成によれば、突曲部の先端部を折り曲げLの字状やレの字状とすることで、シール性を向上できる。また、第1蓋部材及び第2蓋部材の内方に折り曲げを絞り加工により行ってもよい。なお、絞り加工とは加圧によって可塑性素材を変形させる加工方法で、通常はオス型とメス型の金型に可塑性素材を挟み込み、プレスして絞ることにより、つなぎ目の無い曲がり部分をつくる加工方法である。
【0034】
請求項10に係るアルカリ二次電池においては、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとが、シール剤によりシールされている。
【0035】
この構成によれば、第1ケーシングと第2ケーシングとの接合部がシールされ、ケーシング本体のシール性があがる。また、シール剤の代わりに接着剤を用いてもよい。
【0036】
請求項11に係るアルカリ二次電池の製造方法は、第1枠形部材及び第2枠形部材を製造する工程と、本体部と、これに続き該本体部の外縁から一方に突曲する突曲部とを有する第1蓋部材及び第2蓋部材を製造する工程と、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部を前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材に、それぞれ、インサート成形して第1ケーシング及び第2ケーシングを製造する工程と、正極体と負極体とを製造し、正極体と負極体とをセパレータを介して交互に積層して相対向する電極体の組立を行なう工程と、前記インサート成形工程により製造された前記第1ケーシング及び前記第2ケーシングと、前記電極体の組立工程により製造された前記電極体とを組み立てる工程とを備える。
【0037】
請求項12に係るアルカリ二次電池の製造方法は、厚み方向に凹み形成される圧入溝を有する第1枠形部材及び第2枠形部材を製造する工程と、本体部と、これに続き該本体部の外縁から一方に突曲する突曲部とを有する第1蓋部材及び第2蓋部材を製造する工程と、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部を、それぞれ、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材の前記圧入溝に圧入して第1ケーシング及び第2ケーシングを製造する工程と、正極体と負極体とを製造し、正極体と負極体とをセパレータを介して交互に積層して相対向する電極体の組立を行なう工程と、前記圧入工程により製造された前記第1ケーシング及び前記第2ケーシングと、前記電極体の組立工程により製造された前記電極体とを組み立てる工程とを備える。
【0038】
請求項13に係るアルカリ二次電池の製造方法においては、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとよりなるケーシング本体の内部に電解液を注入した後に、空気よりも高い酸素濃度を有するガスを注入する工程を有する。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明に係るアルカリ二次電池及びその製造方法によれば、アルカリ二次電池が、電池モジュールの組立てを容易にする構造を有しながら、電池単独で密閉性が確保され、電池モジュールにおける電池交換が容易とともに電池の再生のために分解して電極体等の交換が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係るアルカリ二次電池が使用される電池モジュールを示す概略構成図である。(b)は、(a)における電池Cを抜き出して示した図である。(c)は、連通ユニットが円筒形の場合を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るアルカリ二次電池を示す部分破断断面図である。
【図3】図2のアルカリ二次電池の電解液注入工程を示す模式図である。
【図4】(a)は、本発明の第1実施形態に係るアルカリ二次電池の要部を示す断面図である。(b)は、(a)の変形例を示す同断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係るアルカリ二次電池に使用される枠形部材を示す平面図である。
【図6】(a)は、本発明の第2実施形態に係るアルカリ二次電池の要部を示す断面図である。(b)〜(c)は、(a)の変形例を示す同断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るアルカリ二次電池の射出成型による組立工程の一部を示す断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係るアルカリ二次電池の組立方法の工程を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る実施形態を図面を用いて説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0042】
まず、各実施形態に共通する事項について説明した後に各実施形態に固有な構造について説明する。
【0043】
[電池の構造]
(共通構造)
図1(a)は、本発明の実施形態に共通するアルカリ二次電池が適用される電池モジュールを示す概略構成図である。この電池モジュールBは、例えば、電車に搭載されるものであって、単位電池C(以下、単に「電池C」という)を、電池Cの厚み方向に複数個(本実施形態では30個)積層して構成したものであり、これらがハウジング(図示せず)によって覆われている。なお、本実施形態における電池Cは、水酸化ニッケルを主要な正極活物質とし、水素吸蔵合金を主要な負極活物質とし、アルカリ系水溶液を電解液とする、繰り返し充放電が可能なニッケル水素二次電池として構成されている。
【0044】
図2は、図1の電池Cの構造の一例を示す部分破断断面図である。電池Cは、セパレータ11、正極13及び負極15を含む電極体17と、電極体17を電解液とともに収容する角形形状のケーシング18とを備えている。そして、ケーシング18は、それぞれ、第1枠形部材21と第1蓋部材23とからなる第1ケーシング19と、第2枠形部材22と第2蓋部材25とからなる第2ケーシング20とから構成されている。
【0045】
ここで、第1ケーシング19は絶縁素材からなる矩形の第1枠形部材21と第1枠形部材21の片側の開口を覆う第1蓋部材23とから構成されていて、同様に、第2ケーシング20は絶縁素材からなる矩形の第2枠形部材22と第2枠形部材22の片側の開口を覆う第2蓋部材25とから構成されている。
【0046】
なお、第1ケーシング19の第1蓋部材23と第2ケーシング20の第2蓋部材25とが、両枠部材21,22を介して互いに対向しているので、第1ケーシング19と第2ケーシング20で囲まれる空間内に電極体17が収納可能となっている。
【0047】
第1ケーシング19と第2ケーシング20との接合部21c、22cには、第1ケーシング19と第2ケーシング20と間をシールするためのアスファルトピッチがシール剤49として塗布されている。ここに、シール剤49としては、アスファルトピッチに限らず、シール性能、接着性能、耐電解液性等を考慮して適宜選択してよく、例えば、タールピッチを用いることができる。
【0048】
なお、両枠形部材21、22を形成する絶縁素材として、本実施形態では変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂を用いているが、機械的強度、耐熱性及び耐電解液性の観点から種々の材料を選択できる。また、両蓋部材23,25を形成する素材として、導電素材であるニッケルめっきを施した鋼板を用いているが、電気化学的な特性や機械的強度、耐食性などを考慮して、適宜選択することができる。
【0049】
電極体17の構造は、特に限定されないが、例えば、複数の正極13と複数の負極15とが、プリーツ状に折り曲げられたセパレータ11を介して所定の方向(本実施形態では両蓋部材23,25の対向方向Xに直交する方向Y)に交互に積層されて対向する積層構造を有している。第1ケーシング19の第1蓋部材23及び第2ケーシング20の第2蓋部材25は、導電性材料、例えばニッケルめっきを施した鋼板で形成されており、正極13は第1蓋部材23に、負極15は第2蓋部材25に、それぞれ電気的に接続されている。つまり、第1及び第2蓋部材23,25は、それぞれ、電池Cの正極集電体及び負極集電体を兼ねている。なお、セパレータ11は、図2に示したプリーツ状のものに限らず、例えば、袋状のものを使用してもよい。
【0050】
第1枠形部材21及び第2枠部材22の側面21a、22aであって、第1ケーシング19と第2ケーシング20との接合部21c、22cには、電池Cの内部と外部とを連通させる連通ユニット31が設けられている。連通ユニット31は、連通ユニット31が設けられている第1枠形部材21または第2枠形部材22の一辺にほぼ垂直に、第1蓋部材23または第2蓋部材25に向かって突出する連通部31aを有している。電池Cが、図1(a)のように電池モジュールBとして組み立てられた状態では、連通ユニット31に接続された連通部材33を介して、複数の電池Cの内部が圧力調整弁35や圧力計Pに連通されて、複数の電池C全体の内部圧力管理が行われる。
【0051】
図1(b)は図1(a)における電池Cを抜き出して示した図である。また、連通ユニット31は矩形である必要はなく円筒形であってもよい。図1(c)は連通ユニット31が円筒形の場合を示す図である。
【0052】
ケーシング18からの電解液漏れを防止するためには、高酸素濃度ガスをケーシング18内に注入することにより、ケーシング18の十分な密閉性が確保されるが、その詳細については後述する。
【0053】
以上、各実施形態に共通の事項を説明してきたが、以下にケーシング18の個別の実施形態について説明する。なお、以下の説明においては、代表として正極側の第1蓋部材23側についてのみ説明する場合があるが、負極側である第2蓋部材25側も第1蓋部材23側と同様の構造を有している。また、同様に第1ケーシング19についてのみ説明する場合、第2ケーシング20も第1ケーシング19と同様の構造を有している。
【0054】
(第1実施形態の構造)
図2の要部を拡大した図4(a)に示すように、第1ケーシング19の第1蓋部材23は、平板状の本体部23aと、本体部23aの縁部から対向方向Xに突接された突曲部23bとを有している。一方、第1枠形部材21の、一方の開口部を形成する端部21bには、対向方向Xに凹となる圧入溝47が形成されている。図5の枠部材の平面図に示すように、圧入溝47は、これら端部21bの全周に渡る周回溝として形成されている。第1枠形部材21の、他方の開口部を形成する接合部21cの表面は滑らかに仕上げられている。
【0055】
そして、圧入溝47は、その開口47aから底部47bに向かって次第に幅狭となるほぼ台形状の断面形状を有している。より具体的には、圧入溝47の開口47aにおける幅Wg1は、第1蓋部材23の突曲部23bの厚みWcよりも大きく設定されており、一方、圧入溝47の底部47bにおける幅Wg2は、第1蓋部材23の突曲部23bの厚みWcよりも小さく設定されている。第1蓋部材23の突曲部23bは、このように形成された圧入溝47に、底部47bに向かって押し込まれることにより圧入されている。
【0056】
さらに、圧入溝47の内壁面47cには、この内壁面47cと第1蓋部材23の突曲部23bとをシールするためのシール剤49としてアスファルトピッチが塗布されている。同様に、第1枠形部材21の端部21bの、圧入溝47よりも内側の部分、つまり第1蓋部材23に対向する対向領域21baには、アスファルトピッチがシール剤49として塗布されており、このシール剤49を介して第1枠形部材21の端部21bと第1蓋部材23とがシールされている。
【0057】
このようにシール剤49を用いて第1枠形部材21と第1蓋部材23とをシールすることにより、電池Cの密閉性が一層向上する。なお、シール剤49としては、接着能力を有する接着剤を用いてもよい。また、シール剤49としては、アスファルトピッチに限らず、シール性能、接着性能、耐電解液性等を考慮して適宜選択してよく、例えば、タールピッチを用いることができる。
【0058】
また、本実施形態の第1蓋部材23は、第1枠形部材21の4つの側面21aに平行に延びる4つの突曲部23bを有しているが、これらの突曲部23bは、隣接する突曲部23b同士が連続的に、つまり突曲部23b間に隙間が存しないように形成されている。本実施形態では、第1蓋部材23全体を絞り加工によって作製することにより、隣接する突曲部23b同士が連続的に形成されている。第1蓋部材23をこのように構成すれば、第1ケーシング19の密閉性が維持されない場合でも、電池Cを、対向方向Xが鉛直方向に合致するように配置することにより、電解液がこれら第1蓋部材23から外部に漏れることが防止される。なお、隣接する突曲部23b同士を連続的に形成する方法としては、上記の絞り加工に限らず、例えば、突曲部23bを折り曲げ加工により形成した後に隣接する突曲部23b同士を溶接するなど、どのような方法を採用してもよい。
【0059】
さらに、本実施例に係る構造として図4(b)に示すように、圧入溝47の開口部47aと底部47bの大きさに差が設けられておらず、圧入溝47が垂直穴となっていて、圧入溝47の開口47aにおける幅Wg1は、第1蓋部材23の突曲部23bの厚みWcよりも小さく設定されており、第1蓋部材23が第1枠型部材21に圧入される構造となっていてもよい。
【0060】
なお、第1蓋部材23の突曲部23bが圧入溝47の底部47bに当接していないことは、図4(a)と(b)とで共通している。
【0061】
(第2実施形態の構造)
次に、本発明の第2実施形態に係るアルカリ二次電池について説明する。
図2の要部を拡大した図6に示すように、第1ケーシング19の第1蓋部材23は、平板状の本体部23aと、本体部23aの縁部から対向方向Xに突設された突曲部23bとを有している。同様に、第2ケーシング20の第2蓋部材25は、平板状の本体部25aと、本体部25aの縁部から対向方向Xに突設された突曲部25bとを有している。
【0062】
第1蓋部材23と第1枠形部材21とを、射出成形のインサート成形によって、金属製の第1蓋部材23の突曲部23bが樹脂製の第1枠形部材21に埋め込まれた状態に一体的に形成し、同様に第2蓋部材25と第2枠形部材22とを射出成形のインサート成形によって一体的に形成した後に、両蓋部材23,25間に電極体17を介在させた状態で、第1枠形部材21と第2枠形部材22を接着能力を有するシール剤49によって接合することにより、ケーシング18を形成してもよい。電池Cをこのような構造とすれば、両蓋部材23,25と両枠形部材21、22とを別体に形成した後に組み立てる場合に比べて、電池Cの組立並びに分解作業が容易になる。
【0063】
また、液密にインサート成形することにより、両蓋部材23,25と両枠形部材21、22との密閉性が更に高まる。
【0064】
第1ケーシング19は、正極集電体を形成する第1蓋部材23の突曲部23bが、第1枠形部材21に液密に接合されたインサート成形品として形成されている。
【0065】
以下、図6(a)〜(b)を参照しながら第2実施形態について説明する
図6(a)に示す実施形態によれば、第1蓋部材23の突曲部23bは、第1枠形部材21の内部にその全体が埋没しており、突曲部23bの表面が第1枠形部材21に接合して接合面を形成している。この接合面55は短いハッチングで示されている。
【0066】
第1枠形部材21は、インサート成形に適し、かつ耐アルカリ水溶液性を有する樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか1種類またはこれらの混合物によって形成されている。第1蓋部材23は、本実施形態では、ニッケルめっきを施した鋼板によって形成されている。第1蓋部材23の突曲部23bの、第1枠形部材21に接合される上述の接合面55には、エッチングのような表面処理を施すことにより、微細な凹凸が形成されている。また、微細な凹凸を形成する方法としては、例えば、ケミカルエッチングやショットピーニングがあるが、表面粗し加工であれば、他の方法であってもよい。また、表面粗し加工は、鋼板にニッケルめっきを施す前に行ってもよく、ニッケルめっきを施した後に行ってもよい。
【0067】
図6(b)に示す実施形態によれば、第1蓋部材23の突曲部23bに、突曲部23bからさらに縦方向Yの第1蓋部材23の内方に折り曲げた鍔部23cが設けられている。このように鍔部33cを設けることにより、接合面55の沿面距離が長くなり、シール性が高まることにより密閉性が向上する。
【0068】
突曲部23bを外方に折り曲げても沿面距離を大きくすることは可能である。もっとも、係る場合は、第1蓋部材23の外径寸法が大きくなり、電池寸法が大きくなるので好ましくない場合がある。
【0069】
更に、図6(c)に示す実施形態によれば、第1蓋部材23の鍔部23cを更に本体部23aの方向に折り曲げてなる。このような形態にすれば、更に沿面距離は大きくなり密閉性は向上する。
【0070】
更に、図6(d)に示す実施形態によれば、鍔部23cを本体部23aと反対方向に折り曲げた後に、縦方向Yであって第1蓋部材23の外方に折り曲げてもよい。電池モジュールBの締め付け圧力がかかるX方向の強度が向上すると共に密閉性の向上が期待できる。
【0071】
[電池の製造方法]
(ケーシングの組立工程)
次に、前記第2実施形態に係る、第1ケーシング19の組立方法について説明する。本実施形態に係る第1ケーシング19の組立方法は、以下の工程A〜Cを含んでいる。
【0072】
・工程A
工程Aでは、ニッケルめっき鋼板で形成されている第1蓋部材23の突曲部23b表面の、第1枠形部材21と接合させる部分である接合面27に、エッチングのような表面処理を施して微細な凹凸を形成する。上述のように、微細な凹凸を形成する方法としては、例えば、ケミカルエッチングやショットピーニングがあるが、表面粗し加工であれば、他の方法であってもよい。また、表面粗し加工は、鋼板にニッケルめっきを施す前に行ってもよく、ニッケルめっきを施した後に行ってもよい。このように、ニッケルめっき鋼板の表面粗度を増大させることにより、第1枠形部材21を形成する樹脂と第1蓋部材23との接触面積が増し、接合面27において十分な接合強度を確保することが可能になる。
【0073】
・工程B
工程Bでは、図7に示すように、第1枠形部材21を形成するための成形型63内に設置する。成形型63は、成形型63内に設置される第1蓋部材23の本体部23aと垂直方向Xにほぼ均等に分割された2つの分割型63a及び63bで形成されている。つまり、成形型63は、第1蓋部材23にほぼ平行な分割面によって分割型63aと63bとに分割されており、分割面に沿って樹脂の注入孔65が設けられている。
【0074】
・工程C
工程Cでは、成形型63内に、樹脂の射出圧に耐え得る剛性と耐熱性とを有していてインサート成形に適し、耐アルカリ水溶液性を有し、かつ電気絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリプロピレン及びポリエチレンのいずれか1種類またはこれらの混合物からなる樹脂を、注入孔65から射出注入して、インサート成形により図6の第1枠形部材21を形成する。樹脂が固まるまで冷却した後、成形型63を開いて第1ケーシング19を取り出す。
【0075】
また、図7に示すように、成形型63の第1蓋部材23に接する面に、第1蓋部材23を受け入れて、第1枠形部材21の横方向Y及び紙面に直角横方向Zの位置を規制する位置決め凹部67を設けることが好ましい。このように成形型63に位置決め凹部67を設けた場合には、成形型63内での第1枠形部材21の位置が安定するので、第1ケーシング19の製造が容易となり、かつ、電池間の組立寸法のばらつきを抑制することができる。
【0076】
上記で説明した各実施形態に係る第1ケーシング19によれば、インサート成形を用いた樹脂−金属間の接合によって、金属製の第1蓋部材23と樹脂製の第1枠形部材21とが液密に接合されているので、第1ケーシング19はそれ自体で十分な密閉性を有している。
【0077】
(電池の組立工程)
次に、前記第2実施形態に係る、電池Cの組立方法を説明する。本実施形態に係る電池Cの組立方法は、主要な工程として、以下の工程I〜VIを含んでいる。なお、本実施形態に係る組立方法は、図6(a)〜(d)に示したいずれのケーシング18についても適用することができる。
【0078】
・工程I
工程Iでは、第1蓋部材23または第2蓋部材25を準備する。
【0079】
・工程II
そして、工程IIでは、上記工程A〜Cで示した方法により、第1ケーシング19または第2ケーシング20とを製造する。ここで、連通ユニット31の取り付け方を左右対称等にして配慮すれば、第1ケーシング19及び第2ケーシング20の部品の共通化を図ることができる。
【0080】
・工程III
次に、工程IIIでは、例えば、セパレータ11の上方から正極13を、下方から負極15を押し込み、図2に示すようなプリーツ状の積層構造を有する電極体17の仮組み体16を製造する。
【0081】
・工程IV
工程IVでは、仮組み体16を第2ケーシング20に組み込む。
【0082】
・工程V
そして、工程Vでは、第1ケーシング19を仮組み体16の上方から装着して、対向配置した第1蓋部材23と第2蓋部材25との間に電極体17となる仮組み体16を介在させた状態にする。このとき、第1ケーシング19と第2ケーシング20と間をシールするためのアスファルトピッチがシール剤49として塗布されている。シール剤49としては、アスファルトピッチに限らず、シール性能、接着性能、耐電解液性等を考慮して適宜選択してよく、例えば、タールピッチを用いることができる。
【0083】
・工程VI
最終的には工程VIにおいて、第1ケーシング19及び第2ケーシング20を組み合わせたものをプレスして電池Cを製造する。
【0084】
(注液工程)
第1実施形態と第2実施形態において、ケーシング18に電極体17を組み込んだ後に、電解液を電池Cの内部に注液する。電解液の注入工程については、電池の密閉化に関係するため、以下に詳述する。
[密閉性を更に確保するための変形例]
以上の第1及び第2実施形態で説明した構造とすればケーシング18の気密性は十分確保されるが、以下の方法と組み合わせることにより、一層効果的かつ確実に気密性が向上する。
【0085】
図3の模式図を参照しながら以下に詳しく説明するように、前記連通ユニット31を利用して、空気よりも高い酸素濃度を有するガス(以下、高酸素濃度ガスOGと称す)を注入することにより、ケーシング19内部が減圧されてケーシング19の密閉性が確保される。
【0086】
図3に示すように、電池Cの製造工程において、電極体17がケーシング19内に収容された後に、連通ユニット31の連通部31aに、外部から電解液を注入するための注入経路を形成する注入管37が接続される。注入管37の、連通ユニット31に接続されていない他端に、電解液源として電解液を貯蔵する電解液タンク39が接続されている。より具体的には、電解液タンク39の底部に、電解液の導出口39aが設けられており、この導出口39aに注入管37が接続されている。また、電解液タンク39には、電解液と共に、高酸素濃度ガスOGが封入されている。
【0087】
さらに、注入管37の中途には、三方バルブ41が設けられており、三方バルブ41を介して、減圧注液用の真空ポンプ43が注入管37に接続されている。流路を切り替える機構である三方バルブ41の操作によって、ケーシング19の内部が、電解液タンク39及び真空ポンプ43の一方に選択的に連通される。
【0088】
このように設定された状態から、まず、三方バルブ41の切り替えによって、ケーシング19の内部と真空ポンプ43を連通させ、真空ポンプ43によってケーシング19内部を所定の圧力まで減圧する。その後、三方バルブ41の切り替えによって、ケーシング19内部と電解液タンク39を連通させると、ケーシング19内部と電解液タンク39内部との差圧によって、電解液が注入管37を通ってケーシング19内部に注入される。さらに、電解液が注入された後に、電解液タンク39内の高酸素濃度ガスOGが、電解液の場合と共通の注入管37を介してケーシング19内部に注入される。
【0089】
ケーシング19内に注入された高酸素濃度ガスOG中の酸素ガスは、負極活物質である水素吸蔵合金内の水素と反応して液体の水(H2O)となるので、ケーシング19内部が減圧され、これにより第1枠形部材21と、第1及び第2蓋部材23,25とが密閉される。
【0090】
高酸素濃度ガスOGをケーシング19内に注入するのは、電池モジュールを組み立てて、電池モジュールを活性化した後に行なう。これは、電池モジュールを活性化した際に、電池モジュールを構成する電池の一つに不具合な電池が発見された場合に、電池の密閉性を確保しつつ当該不具合電池を交換するためである。すなわち、電池を交換するために電池モジュールを解体すると、交換する必要のない電池において、密閉性が維持されず、電解液漏れが発生する場合があるが、高酸素濃度ガスOGをケーシング19内に注入すれば電池の密閉化が行なわれて、電池交換時の電解液漏れを防止することができるからである。
【0091】
このように、従来から内圧管理や電解液注入のために使用されてきた連通ユニット31を利用してケーシング19内に高酸素濃度ガスOGを注入するので、設計変更を伴うことなく電池Cの密閉性が向上する。また、従来から電解液注入のために使用していた注入管37や真空ポンプ43などの設備を利用するので、追加の設備を要せずに電池Cの密閉性を向上させることができる。
【0092】
もっとも、高酸素濃度ガスOGをケーシング19内に注入するための注入経路を、電解液の注入経路とは別に設けてもよく、その場合には電解液及び高酸素濃度ガスOGの注入量の制御が容易になる。
【0093】
なお、ケーシング19の密閉性を十分に確保するための高酸素濃度ガスOGの酸素濃度は、空気の酸素含有率よりも大きければどのような値でもよいが、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。
【0094】
上記実施形態に係るアルカリ二次電池Cによれば、ケーシング19内に注入されたガス中の酸素が、電池Cの負極(ニッケル水素合金)中の水素と反応することにより、液体の水(H2O)となるので、ケーシング19内部が減圧される。この減圧による差圧によって、ケーシング19を構成する第1,第2蓋部材23,25と第1枠形部材21とが密着するので、電池C単独での密閉性が確保され、電解液漏れが効果的に防止される。その結果、この電池を複数用いて構成される電池モジュールBの電池交換作業が容易となる。
【0095】
また、上記の各実施形態においては、電池Cをニッケル水素二次電池として説明したが、酸素ガスと電極が反応して液体の水を生成するアルカリ二次電池であればどのような種類の電池にも、例えばニッケルカドミウム二次電池にも、本発明を適用することが可能である。
【0096】
以上のとおり、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係るアルカリ二次電池は、自動車や電車などの車両に搭載して、電力貯蔵等に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0098】
11 セパレータ
13 正極
15 負極
16 仮組み体
17 電極体
18 ケーシング
19 第1ケーシング
20 第2ケーシング
21 第1枠形部材
21a 側面
21b 端部
21c 接合部
22 第2枠形部材
23 第1蓋部材
23a 本体部
23b 突曲部
23c 鍔部
23d 端子面
23e 集電面
25 第2蓋部材
25a 本体部
25b 突曲部
27 接合面
31 連通ユニット
31a 連通部(二叉)
33 連通部材
34 リザーバー
35 圧力調整弁
37 注入管(注入経路)
39 電解液タンク
39a 導出口
41 三方バルブ
43 真空ポンプ
47 圧入溝
47a 開口
47b 底部
47c 内壁面
49 シール剤
51 係合部
53 係合溝
63 成形型
63a、63b 分割型
65 注入孔
67 凹部
C 電池
B 電池モジュール
P 圧力計
OG 高酸素濃度ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1枠形部材と当該第1枠形部材の一方開口部を覆う第1蓋部材を有する第1ケーシングと、
第2枠形部材と当該第2枠形部材の一方開口部を覆う第2蓋部材を有する第2ケーシングとを備え、
前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとの他方開口部をつきあわせてなるケーシング本体の内部空間に、正極及び負極を含む電極体と電解液とが収納されるアルカリ二次電池。
【請求項2】
請求項1において、前記電極体が、前記正極を形成する正極体と前記負極を形成する負極体とがセパレータを介して交互に積層して相対向する構造を有し、
前記正極体及び前記負極体はそれぞれ前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材に電気的に接続され、
前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材が絶縁物であるアルカリ二次電池。
【請求項3】
請求項2において、前記セパレータがプリーツ状のセパレータであるアルカリ二次電池。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、前記第1蓋部材が、前記第1枠形部材の一方開口を塞ぐ板状の本体部と、これに続き、本体部の外縁から前記第1枠形部材側に向けて突曲した突曲部とを有し、
前記第2蓋部材が、前記第2枠形部材の一方開口を塞ぐ板状の本体部と、これに続き、本体部の外縁から前記第2枠形部材側に向けて突曲した突曲部とを有するアルカリ二次電池。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、前記ケーシング本体の内部に電解液が注入された後に、空気よりも高い酸素濃度を有するガスが注入されたことにより、前記ケーシング本体内部が減圧されて、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとが密閉されているアルカリ二次電池。
【請求項6】
請求項4又は5において、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材が、厚み方向に凹み形成した圧入溝を有し、
前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記圧入溝に圧入されているアルカリ二次電池。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材と、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材とが、それぞれ、シール剤により互いにシールされているアルカリ二次電池。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項において、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材に、インサート成形により接合されたアルカリ二次電池。
【請求項9】
請求項8において、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部が、それぞれ、前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の内方に折り曲げられているアルカリ二次電池。
【請求項10】
請求項8又は9において、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとが、シール剤によりシールされているアルカリ二次電池。
【請求項11】
第1枠形部材及び第2枠形部材を製造する工程と、
本体部と、これに続き該本体部の外縁から一方に突曲する突曲部とを有する第1蓋部材及び第2蓋部材を製造する工程と、
前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部を前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材に、それぞれ、インサート成形して第1ケーシング及び第2ケーシングを製造する工程と、
正極体と負極体とを製造し、正極体と負極体とをセパレータを介して交互に積層して相対向する電極体の組立を行なう工程と、
前記インサート成形工程により製造された前記第1ケーシング及び前記第2ケーシングと、前記電極体の組立工程により製造された前記電極体とを組み立てる工程とを備えたアルカリ二次電池の製造方法。
【請求項12】
厚み方向に凹み形成される圧入溝を有する第1枠形部材及び第2枠形部材を製造する工程と、
本体部と、これに続き該本体部の外縁から一方に突曲する突曲部とを有する第1蓋部材及び第2蓋部材を製造する工程と、
前記第1蓋部材及び前記第2蓋部材の前記突曲部を、それぞれ、前記第1枠形部材及び前記第2枠形部材の前記圧入溝に圧入して第1ケーシング及び第2ケーシングを製造する工程と、
正極体と負極体とを製造し、正極体と負極体とをセパレータを介して交互に積層して相対向する電極体の組立を行なう工程と、
前記圧入工程により製造された前記第1ケーシング及び前記第2ケーシングと、前記電極体の組立工程により製造された前記電極体とを組み立てる工程とを備えたアルカリ二次電池の製造方法。
【請求項13】
請求項11又は12において、前記第1ケーシングと前記第2ケーシングとよりなるケーシング本体の内部に電解液を注入した後に、空気よりも高い酸素濃度を有するガスを注入する工程を含むアルカリ二次電池の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−243404(P2011−243404A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−114242(P2010−114242)
【出願日】平成22年5月18日(2010.5.18)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】