説明

アルキン類III

本発明は、式Iの新規化合物、それらの製造方法、療法におけるそれらの使用、ならびに新規化合物を含む医薬組成物に関する。新規化合物は、療法、特に胃食道逆流疾患(GERD)の処置に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、それらの製造方法、療法におけるそれらの使用、ならびに当該新規化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝共役型グルタミン酸受容体(mGluR)は中枢神経系(CNS)の多くのシナプスの調節および活性に関与するGタンパク質共役型受容体である。8種類の代謝共役型グルタミン酸受容体サブタイプが同定されており、これらは配列類似性に基づいて3グループに分けられる。グループIはmGluR1およびmGluR5からなる。これらの受容体はホスホリパーゼCを活性化し、神経の興奮性を高める。mGluR2およびmGluR3からなるグループII、ならびにmGluR4、mGluR6、mGluR7およびmGluR8からなるグループIIIは、アデニル酸シクラーゼ活性を阻害し、シナプス伝達を低下させることができる。幾つかの受容体は、オルタナティブスプライシングにより生成する各種イソ形としても存在する(Chen, C-Y et al., Journal of Physiology (2002), 538.3, pp. 773-786; Pin, J-P et al., European Journal of Pharmacology (1999), 375, pp. 277-294; Brauner-Osborne, H et al. Journal of Medicinal Chemistry (2000), 43, pp. 2609-2645; Schoepp, D.D, Jane D.E. Monn J.A. Neuropharmacology (1999), 38, pp. 1431-1476)。
【0003】
下部食道括約筋(LES)は、間欠的に弛緩する性質をもつ。その結果、機械的バリヤーがその時点で一時的に失われるので、胃からの流体が食道内へ通過する可能性がある;これは、以下において”逆流(reflux)”と呼ぶ事象である。
【0004】
胃食道逆流疾患(GERD)は、最も広くみられる上部消化管疾患である。現在の薬物療法は、胃酸分泌の減少または食道内の酸の中和を目標とする。逆流の原因をもたらす主な機序は、下部食道括約筋の緊張低下に依存すると考えられている。しかし、たとえばHolloway & Dent (1990) Gastroenterol. Clin. N. Amer. 19, pp. 517-535は、大部分の逆流エピソードが一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)、すなわち嚥下により誘発されるものではない弛緩に際して起きることを示した。GERD患者では胃酸分泌は正常であることも示された。
【発明の開示】
【0005】
本発明の課題は、GERDの処置に有用な新規化合物を見いだすことであった。
WO 01/16121 A1に化合物A-L-Bが開示されており、ここで
Aは5-、6-または7-員複素環
【0006】
【化1】

【0007】
であり;
Lは、アルケニレン、アルキニレンまたはアゾであり;
Bは、炭化水素;環式炭化水素;複素環(場合により1以上の二重結合を含む);またはアリールである。これらの化合物は、特に脳虚血、慢性神経変性症、精神障害、てんかん、ならびに肺系および冠血管系の疾患に有用であると記載されている。
【0008】
WO 99/02497 A2には次式の化合物
【0009】
【化2】

【0010】
が開示されており、式中のXは、ビシナル(隣接)不飽和炭素原子により結合したアルケニレンもしくはアルキニレン、またはアゾ基であり;R5は、芳香族またはヘテロ芳香族基であってよい。これらの化合物は、特にてんかん、脳虚血およびアルツハイマー病に有用であると記載されている。
【0011】
発明の概要
本発明は、式Iの化合物
【0012】
【化3】

【0013】
ならびにその医薬的に許容できる塩類、水和物、イソ形および/または光学異性体に関する:
式中、
R1は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、これらにおいてアリールまたはヘテロアリールはC1-C4アルキルで置換されていてもよく;
R2は、水素およびC1-C4アルキルから選択され;
R3は、水素、C1-C4アルキル、F、CF3、CHF2およびCH2Fから選択され;
R4は、水素、F、CF3、CHF2、CH2FおよびCH3から選択され;
R5は、水素およびFから選択され;
R6は、水素およびFから選択され;
Y1は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);ベンジルオキシ;メタまたはパラ位のニトロ;およびC1-C4アルキルエステル;
Y2は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);およびC1-C4アルキルエステル;
Y3は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);およびC1-C4アルキルエステル;あるいは
Y1とY2は、芳香族または非芳香族の環を形成していてもよく、これらは場合によりハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい)、ベンジルオキシまたはC1-C4アルキルエステルで置換されていてもよく;
ただし、Y1が水素である場合、Y2はハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4アルキルから選択される。
【0014】
式Iの定義に際して用いた一般的な用語は、下記の意味をもつ:
ハロゲンはクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードである。
C1-C4アルキルは、それぞれ独立して1、2、3または4個の炭素原子を含む直鎖または分枝鎖アルキル基、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチルまたはイソプロピルである。1態様において、アルキル基はO、NおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子を含むことができる。そのような基の例は、メチル−エチルエーテル、メチル−エチルアミンおよびメチル−チオメチルである。
【0015】
シクロアルキルは、それぞれ独立して3、4、5または6個の炭素原子を含む環式アルキル、たとえばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルである。
【0016】
C1-C4アルコキシは、それぞれ独立して1、2、3または4個の炭素原子を含むアルコキシ基、たとえばメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、n-ブトキシまたはイソプロポキシである。
【0017】
本明細書中で用いる用語アリールは、6〜14個の炭素原子をもつ芳香環を意味し、単環式および多環式両方の化合物、たとえばフェニル、ベンジルまたはナフチルを含む。
本明細書中で用いる用語ヘテロアリールは、5〜14個の炭素原子をもち、1個または数個の環原子が酸素、窒素または硫黄である芳香環、たとえばフラニルまたはチオフェニルを意味し、単環式および多環式(たとえばイミダゾピリジン)両方の化合物が含まれる。
【0018】
本発明の範囲には、式Iの化合物の医薬的に許容できる塩類ならびにその異性体、水和物およびイソ形も含まれる。
式Iの化合物の医薬的に許容できる塩類も本発明の範囲に含まれる。そのような塩類は、たとえば塩酸などの鉱酸により形成される塩;アルカリ金属塩、たとえばナトリウム塩もしくはカリウム塩;またはアルカリ土類金属塩、たとえばカルシウム塩もしくはマグネシウム塩である。
【0019】
本発明の新規化合物は、療法に有用である。本発明の1態様において、それらの化合物は一過性下部食道括約筋弛緩(TLESR)の抑制に有用であり、したがって胃食道逆流疾患(GERD)の治療または予防に有用である。他の態様において、本発明の化合物は逆流の抑制、吐出(regurgitation)の治療または予防、喘息の治療または予防、喉頭炎の治療または予防、肺疾患の治療または予防、および成長障害の処置に有用である。
【0020】
本発明の他の態様は、一過性下部食道括約筋弛緩の抑制、GERDの治療または予防、逆流の抑制、吐出の治療または予防、喘息の治療または予防、喉頭炎の治療または予防、肺疾患の治療または予防、および成長障害の処置のための医薬の製造における式Iの化合物の使用である。
【0021】
本発明の他の態様は、機能性消化器障害、たとえば機能性消化不良(FD)の治療または予防のための医薬の製造における式Iの化合物の使用である。本発明のさらに他の態様は、過敏性腸症候群(IBS)、たとえば便秘型IBS、下痢型IBSまたは交代性便通型IBSの治療または予防のための医薬の製造における式Iの化合物の使用である。
【0022】
本発明のさらに他の態様は、前記の状態のいずれかを伴う対象に医薬として有効な量の前記式Iの化合物を投与することにより、それらの状態を処置する方法である。
本発明の1態様において、式Iの化合物は急性または慢性の神経障害および精神障害、不安、ならびに慢性および急性疼痛障害の治療および/または予防に有用である。他の態様において、それらの化合物は片頭痛関連疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛障害、たとえば糖尿病性神経障害、関節炎およびリウマチ性疾患、腰痛、術後疼痛、ならびに癌、アンギナ、腎石疝痛または胆石仙痛、月経、片頭痛および痛風を含む各種状態に関連する痛みの治療および/または予防に有用である。
【0023】
用語”異性体”は、本明細書中において、官能基の位置および/または配向が異なる式Iの化合物と定義される。”配向”とは、立体異性体、ジアステレオ異性体、レギオ異性体および鏡像異性体を意味する。
【0024】
本明細書中で用いる用語”イソ形”は、結晶格子が異なる式Iの化合物と定義される:たとえば結晶性化合物と非晶質化合物。
語句”TLESR”、一過性下部食道括約筋弛緩は、本明細書中においてMittal, R.K., Holloway, R.H., Penagini, R., Blackshaw, L.A., Dent, J., 1995; 一過性下部食道括約筋弛緩. Gastroenterology 109, pp. 601-610に従って定義される。
【0025】
用語”逆流”は、本明細書中において、機械的バリヤーがその時点で一時的に失われるため胃からの流体が食道へ通過できることと定義される。
用語”GERD”、胃食道逆流疾患は、本明細書中において、van Heerwarden, M.A., Smout A.J.P.M., 2000; 逆流疾患の診断. Gastroenterol. 14, pp. 759-774に従って定義される。
【0026】
製造方法
まず、アリールブロミドAとアルコールBを、塩基、たとえばトリエチルアミンの存在下に、室温ないし60℃でソノガシラ(Sonogashira)結合(Tetrahedron Letters 1975, 50, 4467, S. Thorand, N. Krause J. Org. Chem., 1998, 63, 8551-8553;M. Erdelyi, A. Gogoll, J. Org. Chem., 2001, 66, 4165-4169)させると、アルコールCが得られ、これを次いでメタンスルホニルクロリドにより、トリエチルアミン中、0〜-20℃でメシラートDに変換する。第一級アルコールのメシラートは単離して特性解明される。一方、第二級アルコールのメシラートの特性解明はその場で行われる。最後に各メシラートをアルコール類と反応させる。これは、アルコール類および塩基、たとえばトリエチルアミンをDCMなどの溶媒中のメシラートに添加することにより、またはアルコール類と塩基、たとえば水素化ナトリウムをTHFなどの溶媒中で予め反応させ、次いでこの溶液にメシラートを添加することにより行われ、生成物(I)が得られる(反応経路1)。
【0027】
【化4】

【0028】
目的のR1-基をもつアルコールBが市販されていない場合、生成物(I)は別経路で形成される(反応経路2):まずアリールブロミドAとエチニル(トリメチル)シランFを、ソノガシラ結合により60℃においてトリエチルアミン中で反応させると、生成物Gが得られる。Gを室温でメタノール/DCM中において炭酸カリウムにより脱保護すると、末端アルキンHが得られ、これをリチウムビス(トリメチルシリル)アミドにより-78℃で脱保護する。-78℃でアルデヒド類またはケトン類を添加し、反応混合物を室温になるまで放置し、その温度に適宜な時間保持すると、アルコールIが生成する。Iを単離し、メタンスルホニルクロリドおよびトリエチルアミンによりその場で、室温または冷却してメシラートJを形成する。アルコール類とこのメシラートの反応は、アルコールおよび塩基、たとえばトリエチルアミンを、DCMなどの溶媒中のメシラートに添加することにより、またはアルコール類と塩基、たとえば水素化ナトリウムをTHFなどの溶媒中で予め反応させ、次いでこの溶液にメシラートを添加することにより行われ、生成物(I)が得られる。
【0029】
【化5】

【0030】
式Iの化合物の変異を行う。まずフェノールKと3-ブロモプロパ-1-イン[=プロパルギルブロミド]Lを、塩基、たとえば炭酸カリウムの存在下に、たとえばアセトン中、室温から60℃までの温度で適切な時間反応させることにより、アリールプロパ-2-イン-1-イルエーテルMを形成する(反応経路3)。次いでプロパルギルエーテルMとアリールブロミドをソノガシラ結合により、塩基、たとえばトリエチルアミンの存在下に、室温から60℃までの温度で適切な時間反応させる。
【0031】
【化6】

【0032】
前記の反応経路1、2および3において、R1、R2、R3, R4、R5、R6、Y1、Y2およびY3は前記式Iの化合物について定めたものである。
実験の詳細
DCMを3Aのモレキュラーシーブにより乾燥させる。THFを使用直前にNa/ベンゾフェノンから蒸留した。すべての反応を窒素雰囲気下で実施する。すべてのガラス器具を使用前に150℃で少なくとも2時間、乾燥させる。International Sorbent Technology (IST)からの相分離器を使用する。カラムクロマトグラフィーによる精製をシリカゲル60 (0.040〜0.063 mm)上で、またはC8カラムを用いる逆相クロマトグラフィーにより行う。すべてのNMRスペクトルをδ-クロロホルム中で測定する。
【0033】
2-ブロモ-6-メチルピリジンはAldrichから、(PPh3)2PdCl2はAvacadoから、Pd(OAc)2はAldrichから、CuIはFlukaから市販されている。別途記載しない限り、使用した薬品は市販されており、さらに精製せずにそのまま使用される。
【0034】
医薬配合物
臨床用として、式Iの化合物を本発明に従って経口投与用の医薬配合物中に適切に配合することができる。直腸、非経口その他のいずれの投与経路も、配合技術分野の専門家には考慮できる。たとえば、式Iの化合物に少なくとも1種類の医薬的および薬理学的に許容できるキャリヤーまたは佐剤を配合することができる。キャリヤーは固体、半固体または液体希釈剤の形であってよい。
【0035】
本発明による経口用の医薬配合物を調製する際には、配合する式Iの化合物を固体、粉末状成分、たとえば乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体、ゼラチン、または他の適切な成分、ならびに崩壊剤および滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウムおよびポリエチレングリコールワックスと混合する。次いでこの混合物を顆粒に加工し、あるいは圧縮して錠剤にする。
【0036】
軟ゼラチンカプセル剤は、有効化合物、すなわち本発明化合物、植物油、脂肪、または他の適切な軟ゼラチンカプセル用賦形剤の混合物を収容したカプセルを用いて調製できる。硬ゼラチンカプセル剤は、有効化合物を固体粉末状成分、たとえば乳糖、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、アミロペクチン、セルロース誘導体またはゼラチンと組み合わせたものを収容することができる。
【0037】
直腸投与用の投与単位は、下記の形で調製できる:(i)有効物質(1種類以上)を中性脂肪基剤と混合したものを含有する坐剤の形;(ii)有効物質を植物油、パラフィン油、もしくは直腸用ゼラチンカプセル剤に適した他の賦形剤との混合物として収容した、直腸用ゼラチンカプセル剤の形;(iii)既製のミクロ浣腸剤の形;または(iv)投与直前に適切な溶剤中に再構成する乾燥ミクロ浣腸剤の形。
【0038】
経口投与用の液体製剤は、シロップ剤または懸濁剤の形で、たとえば有効化合物を含有し、配合物の残部は糖類または糖アルコール、ならびに混合物:エタノール、水、グリセロール、プロピレングリコールおよびポリエチレングリコールからなる、液剤または懸濁剤の形で調製できる。所望によりそれらの液剤または懸濁剤は、着色剤、着香剤、サッカリンおよびカルボキシメチルセルロースまたは増粘剤を含有してもよい。経口投与用の液体製剤は、使用前に適切な溶剤で再構成する乾燥粉末の形でも調製できる。
【0039】
非経口投与用の液剤は、医薬的に許容できる溶剤中における本発明化合物の液剤として調製できる。これらの液剤は安定化成分および/または緩衝成分を含有することもでき、アンプル剤またはバイアル剤の形で単位用量に分注される。非経口投与用の液剤は、使用直前に適切な溶剤で再構成する乾燥製剤として調製することもできる。
【0040】
本発明の1態様においては、患者の状態の重症度に応じて式Iの化合物を1日1または2回投与することができる。
式Iの化合物の一般的な1日量は、処置される対象の体重kg当たり0.1〜10 mgであるが、これは投与経路、患者の年齢および体重、ならびに患者の状態の重症度など各種の要因に依存するであろう。
【0041】
実施例
方法K
実施例1
3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ベンゼン(化合物21)の製造:
【0042】
【化7】

【0043】
炭酸カリウム(1.382 g, 0.1 mol)を、フェノール(0.941 g, 0.01 mmol, 1.0当量)の、アセトン(15 mL)中における溶液に、0℃で添加した。3-ブロモプロパ-1-イン(1.19 g, 0.89 mL, 0.01 mol, 1.0当量)を添加した。この溶液を室温に達するまで放置し、次いで60℃に17時間加熱した。冷却後、溶媒を蒸発させた。水(15 mL)を添加し、混合物をEtOAc (3回, 15 mL)で抽出した。有機相を合わせて水(1回, 15 mL)、ブライン(1回, 15 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。これにより1.026 g (78 %)の生成物を得た;
TLC: Rf (ヘプタン/EtOAc 2:1) = 0.67;
1H NMR (300 MHz): 7.32-7.24 (m, 2H), 7.02-6.92 (m, 3H), 4.64 (d, J = 2.4 Hz, 2H), 2.48 (t, J = 2.4 Hz, 1H);
13C NMR (75 MHz): 157.6, 129.8, 121.7, 115.1, 78.9, 75.7, 56.0。
【0044】
実施例2
1-メトキシ-3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ベンゼン(化合物22)の製造:前記の方法Kに従い、出発物質として3-メトキシフェノールを使用;
【0045】
【化8】

【0046】
収率:99 %;
1H NMR (500 MHz): 7.20-7.14 (m 2H), 6.57-6.51 (m, 3H), 4.63 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 3.74 (s, 3H), 2.51 (t, J = 2.4 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz): 160.8, 158.8, 129.9, 107.2, 106.9, 101.5, 78.6, 75.6, 55.8, 55.2。
【0047】
実施例3
2-メチル-6-(3-フェノキシプロパ-1-イン-1-イル)ピリジン(化合物23)の製造:
【0048】
【化9】

【0049】
2-ブロモ-6-メチルピリジン(1.055 g, 6.13 mmol)に、3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ベンゼン(0.851 g, 6.44 mmol, 1.10当量)、続いて(PPh3)2PdCl2 (0.129 g, 0.18 mmol, 0.03当量)、CuI (0.035 g, 0.18 mmol, 0.03当量)およびトリエチルアミン(3.50 mL)を添加した。混合物を窒素下で60℃に2時間加熱した。リン酸緩衝液(10 mL, 0.2 M, pH 7)を添加し、水相をDCM (3回, 10 mL)で抽出した。有機相を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させ、次いでジエチルエーテル/ペンタン1:1、約25 mLですすぎながらSi-プラグ1 gにより濾過した。これにより、蒸発後に1.491 gを得た;
Si-ゲル上、ヘプタン/AcOEt(まず9:1、次いで3:1)を溶離剤として用いるフラッシュクロマトグラフィーにより0.908 gの化合物を得た;
1H NMR (500 MHz): 7.42 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.27 (t, J = 7.8, 2H), 7.17 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.01 (m, 3H), 6.95 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 4,88 (s, 2H), 2.94 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz): 158.2, 157.1, 140.9, 135.8, 128.9, 123.7, 122.4, 120.8, 114.2, 85.8, 83.1, 55.7, 23.8。
【0050】
実施例4
2-[3-(3-メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン(化合物24)の製造:
【0051】
【化10】

【0052】
THF (1 mL)中のNaH (0.038 g, 純度95 %, 1.50 mmol, 5.0当量)に、THF (1 mL)中の1-メトキシ-3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ベンゼン(0.037 g, 0.30 mmol,1.0当量)を、0℃で窒素下に添加した。混合物を室温で10分間撹拌した。次いでTHF (1 mL)中のメタンスルホン酸3-(6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル(0.068 g, 0.30 mmol)を、0℃で添加した。混合物を室温で一夜(18時間)撹拌した。混合物を水(10 mL)に注入し、水相をEt2O (2回, 10 mL)、次いでDCM (2回, 10 mL)で抽出した。有機相を合わせて硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。これにより0.041 gの粗生成物が得られ、次いでこれを逆相クロマトグラフィーにより精製した。これにより0.009 g (収率: 12 %)の生成物を得た;
1H NMR (300 MHz): 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.25 [m (CDCl3信号下), 1H), 7.20 (t, J = 8.2 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.66-6-53 (m, 3H), 4.91 (s, 2H), 3.79 (s, 3H), 2.55 (s, 3H)。
【0053】
実施例5
2-[3-(3-メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン(化合物25)の製造:実施例3に従い、出発物質として2-ブロモピリジンおよび1-メトキシ-3-(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)ベンゼンを用いて製造。
【0054】
【化11】

【0055】
実施例6、方法A
2-メチル-6-(3-p-トリルオキシ-プロパ-1-イニル)-ピリジンの製造
【0056】
【化12】

【0057】
4-メチル-フェノール(19mg, 0.18mmol)およびK2CO3(31mg, 0.225mmol)の、アセトン(0.3ml)中における撹拌混合物に、アセトン(0.2ml)に溶解したメタンスルホン酸3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルエステル(34mg, 0.15mmol)を室温で添加した。混合物を60℃で18時間撹拌した。すべての溶媒を蒸発させたが反応は完了していなかったので、ジメチルホルムアミド(0.5ml)を添加し、反応物を60℃でさらに20時間撹拌した。固体塩を濾去し、濾液をHPLCにより精製した:Waters FractionLynxsystem;UV、ELSDおよびMS付き。カラム:Ace C8 5μ 100 mm x 内径21.2 mm、移動相A: 95 %アセトニトリル、移動相B: 5%アセトニトリル + 95% 0.1 M NH4OAc;勾配:100% Bから100% Aまで10分間で;流速: 25 ml/分;UV: 254 nm。表題化合物0.010g (収率28%)を単離した。M+H: 238.1。
【0058】
実施例7
2-[3-(3-クロロフェノキシ)ブタ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造
方法Aに従い、メタンスルホン酸1-メチル-3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルエステルおよび3-クロロフェノールを用いて、この化合物を製造した;
【0059】
【化13】

【0060】
1H NMR: 7.58 (s, 1H), 7.5 (t, 1H), 7.43 (m, 1H), 7.27 (m, 2H), 7.15 (d, 1H), 7.06 d, 1H), 4.14 (q, 1H), 2.52 (s, 3H), 1.62 (d, 3H);
13C NMR: 159.0, 142.4, 136.5, 136.0, 134.6, 132.8, 131.2, 130.0, 128.2, 124.6, 122.9, 89.5, 83.8, 34.1, 24.7, 21.6。
【0061】
実施例8
2-[3-(2,3-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0062】
【化14】

【0063】
方法Aを用い、2,3-ジクロロフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.012g (収率27 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.0。
【0064】
実施例9
2-[3-(2,3-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0065】
【化15】

【0066】
方法Aを用い、2,3-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.010g (収率26 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0067】
実施例10
2-[3-(2,4-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0068】
【化16】

【0069】
方法Aを用い、2,4-ジクロロフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.009g (収率20 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.0。
【0070】
実施例11
2-[3-(2,4-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0071】
【化17】

【0072】
方法Aを用い、2,4-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.007g (収率18 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0073】
実施例12
2-[3-(2,5-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0074】
【化18】

【0075】
方法Aを用い、2,5-ジクロロフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.024g (収率54 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.0。
【0076】
実施例13
2-[3-(2,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0077】
【化19】

【0078】
方法Aを用い、2,5-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.017g (収率45 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0079】
実施例14
2-[3-(2,6-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0080】
【化20】

【0081】
方法Aを用い、2,6-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.019g (収率50 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0082】
実施例15
2-メチル-6-[3-(2-トリフルオロメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-ピリジンの製造
【0083】
【化21】

【0084】
方法Aを用い、2-トリフルオロメチルフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.015g (収率35 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.1。
【0085】
実施例16
2-[3-(2-ベンジルオキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0086】
【化22】

【0087】
方法Aを用い、ベンジルアルコール(0.036g, 0.18mmol)から出発して、0.016g (収率32 %)の表題化合物を単離した。M+H: 330.2。
【0088】
実施例17
2-[3-(2-ブロモ-4,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0089】
【化23】

【0090】
方法Aを用い、2-ブロモ-4,5-ジメチルフェノール(0.036g, 0.18mmol)から出発して、0.017g (収率33 %)の表題化合物を単離した。M+H: 330.1。
【0091】
実施例18
2-[3-(2-クロロ-4-メトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0092】
【化24】

【0093】
方法Aを用い、2-クロロ-4-メトキシフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.022g (収率50 %)の表題化合物を単離した。M+H: 288.1。
【0094】
実施例19
2-[3-(2-クロロ-5-メチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0095】
【化25】

【0096】
方法Aを用い、2-クロロ-5-メチルフェノール(0.026g, 0.18mmol)から出発して、0.021g (収率53 %)の表題化合物を単離した。M+H: 272.1。
【0097】
実施例20
2-[3-(2-クロロ-6-メチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0098】
【化26】

【0099】
方法Aを用い、2-クロロ-6-メチルフェノール(0.026g, 0.18mmol)から出発して、0.017g (収率42 %)の表題化合物を単離した。M+H: 272.1。
【0100】
実施例21
2-メチル-6-(3-o-トリルオキシ-プロパ-1-イニル)-ピリジンの製造
【0101】
【化27】

【0102】
方法Aを用い、2-メチルフェノール(0.019g, 0.18mmol)から出発して、0.017g (収率47 %)の表題化合物を単離した。M+H: 238.1。
【0103】
実施例22
2-メチル-6-[3-(3,4,5-トリメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-ピリジンの製造
【0104】
【化28】

【0105】
方法Aを用い、3,4,5-トリメチルフェノール(0.025g, 0.18mmol)から出発して、0.012g (収率30 %)の表題化合物を単離した。M+H: 266.1。
【0106】
実施例23
2-[3-(3,4-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0107】
【化29】

【0108】
方法Aを用い、3,4-ジクロロフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.021g (収率49 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.0。
【0109】
実施例24
2-[3-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0110】
【化30】

【0111】
方法Aを用い、3,4-ジメトキシフェノール(0.028g, 0.18mmol)から出発して、0.017g (収率39 %)の表題化合物を単離した。M+H: 284.1。
【0112】
実施例25
2-[3-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0113】
【化31】

【0114】
方法Aを用い、3,4-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.012g (収率32 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0115】
実施例26
2-[3-(3,5-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0116】
【化32】

【0117】
方法Aを用い、3,5-ジクロロフェノール(0.029g, 0.18mmol)から出発して、0.015g (収率34 %)の表題化合物を単離した。M+H: 292.0。
【0118】
実施例27
2-[3-(3,5-ジメトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0119】
【化33】

【0120】
方法Aを用い、3,5-ジメトキシフェノール(0.028g, 0.18mmol)から出発して、0.014g (収率33 %)の表題化合物を単離した。M+H: 284.1。
【0121】
実施例28
2-[3-(3,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0122】
【化34】

【0123】
方法Aを用い、3,5-ジメチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.018g (収率47 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0124】
実施例29
2-[3-(3-ブロモ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0125】
【化35】

【0126】
方法Aを用い、3-ブロモフェノール(0.031g, 0.18mmol)から出発して、0.020g (収率45 %)の表題化合物を単離した。M+H: 302.0。
【0127】
実施例30
3-[3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ベンゾニトリルの製造
【0128】
【化36】

【0129】
方法Aを用い、3-ヒドロキシベンゾニトリル(0.021g, 0.18mmol)から出発して、0.010g (収率27 %)の表題化合物を単離した。M+H: 249.1。
【0130】
実施例31
2-[3-(3-エチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジンの製造
【0131】
【化37】

【0132】
方法Aを用い、3-エチルフェノール(0.022g, 0.18mmol)から出発して、0.030g (収率79 %)の表題化合物を単離した。M+H: 252.1。
【0133】
実施例32
2-メチル-6-[3-(3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジンの製造
【0134】
【化38】

【0135】
ガラス製バイアル内で、3-クロロフェノール(0.031 g, 0.24 mmol, 1.2当量)に、無水炭酸カリウム(0.041 g, 0.30 mmol, 1.5当量)、続いてアセトン中におけるメタンスルホン酸3-(6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル(0.045 g, 0.2 mmol)の0.4 M溶液0.5 mLを添加した。バイアルをシールし、60℃に5時間加熱した。この材料をセライト(Celite)により濾過し、次いで真空遠心した。逆相カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。収量: 0.023 g (40 %);
1H NMR (500 MHz): 7.53 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.27-7.20 (m, 約2H, CDCl3信号とオーバーラップ), 7.11 (br d, J = 8.0 Hz, 1H), 7.04-7.02 (m, 1H), 6.98 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.92 (br d, J = 8.4 Hz, 1H), 4.92 (s, 2H), 2.55 (s, 3H);
MS m/Z: 258 (M+1)。
【0136】
実施例33
2-[3-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0137】
【化39】

【0138】
実施例32と同様にして、ただし4-クロロ-2-メチルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.008 g (20 %);
MS m/Z: 272 (M+1)。
【0139】
実施例34
2-[3-(4-クロロ-3,5-ジメチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0140】
【化40】

【0141】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、4-クロロ-3,5-ジメチルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.007 g (16 %);
MS m/Z: 286 (M+1)。
【0142】
実施例35
2-[3-(4-クロロ-3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0143】
【化41】

【0144】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、4-クロロ-3-メチルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.010 g (25 %);
MS m/Z: 272 (M+1)。
【0145】
実施例36
2-[3-(4-クロロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0146】
【化42】

【0147】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、4-クロロフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.008 g (21 %);
MS m/Z: 258 (M+1)。
【0148】
実施例37
2-[3-(4-メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0149】
【化43】

【0150】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、4-メトキシフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.004 g (11 %);
MS m/Z: 254 (M+1)。
【0151】
実施例38
2-メチル-6-[3-(4-ニトロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジンの製造:
【0152】
【化44】

【0153】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、4-ニトロフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.014 g (35 %);
MS m/Z: 269 (M+1)。
【0154】
実施例39
2-メチル-6-[3-(3-ニトロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジンの製造:
【0155】
【化45】

【0156】
実施例32と同様にして、ただし0.15 mmolの規模で、3-ニトロフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.012 g (30 %);
MS m/Z: 269 (M+1)。
【0157】
実施例40
2-メチル-6-[3-(3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジンの製造:
【0158】
【化46】

【0159】
実施例32と同様にして、ただし3-メチルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.012 g (25 %);
1H NMR (500 MHz): 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.21-7.16 (m, 1H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.85-6.79 (m, 3H), 4.91 (s, 2H), 2.55 (s, 3H), 2.34 (s, 3H);
MS m/Z: 238 (M+1)。
【0160】
実施例41
2-メチル-6-[3-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルオキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジンの製造:
【0161】
【化47】

【0162】
実施例32と同様にして、ただし5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-オールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.021 g (38 %);
1H NMR (300 MHz): 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 約7.8 Hz, 1H, CDCl3信号とオーバーラップ), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.99 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 6.85-6.70 (m, 2H), 4.88 (s, 2H), 2.78-2.67 (m, 4H), 2.55 (s, 3H), 1.80-1.74 (m, 4H);
MS m/Z: 278 (M+1)。
【0163】
実施例42
2-[3-(4-イソプロピルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0164】
【化48】

【0165】
実施例32と同様にして、ただし4-イソプロピルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.046 g (85 %);
1H NMR (500 MHz): 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 約7.7 Hz, 1H, CDCl3信号とオーバーラップ), 7.16 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 4.90 (s, 2H), 2.90-2.83 (m, J = 7.0 Hz, 1H), 2.55 (s, 3H), 1.23 (d, J = 7.0 Hz, 6H);
MS m/Z: 266 (M+1)。
【0166】
実施例43
2-[3-(4-t-ブチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジンの製造:
【0167】
【化49】

【0168】
実施例32と同様にして、ただし4-t-ブチルフェノールを出発物質として用いて製造した。収量: 0.017 g (30 %);
1H NMR (500 MHz): 7.52 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.32 (br d, J = 8.8 Hz, 2H), 7.25 (m, 一部がCDCl3信号とオーバーラップ, 1H(?)), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.96 (br d, J = 8.8 Hz, 2H), 4.90 (s, 2H), 2.55 (s, 3H), 1.30 (s, 9H);
MS m/Z: 280 (M+1)。
【0169】
実施例44
3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-オールの製造:
6-ブロモ-3-フルオロ-2-メチルピリジン(0.500 g, 2.63 mmol)、プロパルギルアルコール(0.590 g, 10.5 mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(46 mg, 0.065 mmol)を、トリエチルアミン(1.0 mL)に溶解し、最後にヨウ化銅(I)を添加した。混合物を徐々に50℃に加熱し、撹拌下で一夜放置した。次いでK2CO3(1.0 M, 25 mL)を添加し、この溶液をDCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲル上で勾配(ヘプタン/EtOAc 1:0から1:4まで)を用いてフラッシュクロマトグラフィー処理して、純粋な生成物0.332 g (76 %)を得た;
【0170】
【化50】

【0171】
1H-NMR (400 MHz): 7.22 (d, 1H), 7.20 (s, 1H), 4.57 (m, 1H), 4.47 (m, 2H), 2.43 (d, 3H);13C-NMR (400 MHz): 158.7, 156.1, 147.6 (d), 137.9 (d), 126.4 (d), 122.9 (d), 88.2, 83.4, 50.9, 17.8。
【0172】
実施例45
4-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-2-オールの製造:
6-ブロモ-3-フルオロ-2-メチルピリジン(0.500 g, 2.63 mmol)、3-ブチン-2-オール(0.738 g, 10.5 mmol)およびビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(46 mg, 0.065 mmol)を、トリエチルアミン(1.0 mL)に溶解し、最後にヨウ化銅(I)を添加した。混合物を徐々に50℃に加熱し、撹拌下で一夜放置し、次いで70℃にさらに2時間加熱した。次いでK2CO3(1.0 M, 25 mL)を添加し、この溶液をDCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物をシリカゲル上で勾配(ヘプタン/EtOAc 1:0から1:4まで)を用いてフラッシュクロマトグラフィー処理して、純粋な生成物0.447 g (95 %)を得た;
【0173】
【化51】

【0174】
1H-NMR (400 MHz): 7.18 (s, 1H), 7.16 (s, 1H), 4.72 (m, 1H), 4.45 (m, 1H), 2.41 (d, 3H), 1.47 (d, 3H);13C-NMR (400 MHz): 158.6, 156.0, 147.5 (d), 138.0 (d), 126.3 (d), 122.9 (d), 91.5, 82.1, 58.2, 24.1, 17.8。
【0175】
実施例46
メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イルの製造:
3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-オール(40.0 mg, 0.24 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(125 mg, 0.97 mmol)をDCM (1.0 mL)に溶解し、メシルクロリドを滴加した。混合物を室温で2時間撹拌した。水(25 mL)で反応を停止し、DCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。この粗製物質は以後の合成に使用するのに十分なほど純粋であった(LC-MS)。
【0176】
【化52】

【0177】
実施例47
メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)-1-メチルプロパ-2-イン-1-イルの製造:
4-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-2-オール(43.4 mg, 0.24 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(125 mg, 0.97 mmol)をDCM (1.0 mL)に溶解し、メシルクロリド(55.4 mg, 0.48 mmol)を滴加した。混合物を室温で2時間撹拌した。水(25 mL)で反応を停止し、DCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。この粗製物質は以後の合成に使用するのに十分なほど純粋であった(LC-MS)。
【0178】
【化53】

【0179】
実施例48
6-[3-(3,4-ジメチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-3-フルオロ-2-メチルピリジンの製造:
メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル(10.0 mg, 0.041 mmol)および3,4-ジメチルフェノール(7.5 mg, 0.061 mmol)をアセトン/DMF (2:1, 3 mL)に溶解し、K2CO3(11.4 mg, 0.082 mmol)を添加した。混合物を60℃に一夜加熱した。次いでK2CO3 (1.0 M, 25 mL)を添加し、この溶液をDCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物を調節用HPLC (C8 kromasil)により精製して、純粋な生成物2.0 mg (9.0 %)を得た;
【0180】
【化54】

【0181】
1H-NMR (400 MHz): 7.26 (m, 2H), 7.04 (d, 1H), 6.76 (dd, 2H), 4.87 (s, 2H), 2.51 (d, 3H), 2.24 (s, 3H), 2.19 (s, 3H)。
【0182】
実施例49
6-[3-(3,4-ジメチルフェノキシ)ブタ-1-イン-1-イル]-3-フルオロ-2-メチルピリジンの製造:
メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)-1-メチルプロパ-2-イン-1-イル(62.3 mg, 0.242 mmol)および3,4-ジメチルフェノール(44.4 mg, 0.363 mmol)をアセトン/DMF (2:1, 3 mL)に溶解し、K2CO3(66.9 mg, 0.484 mmol)を添加した。混合物を60℃に一夜加熱した。次いでK2CO3 (1.0 M, 25 mL)を添加し、この溶液をDCMで抽出した。有機相をプールし、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物を調節用HPLC (C8 kromasil)により精製して、純粋な生成物22.0 mg (32 %)を得た;
【0183】
【化55】

【0184】
1H-NMR (400 MHz): 7.22 (m, 2H), 7.03 (d, 1H), 6.82 (m, 2H), 5.04 (q, 1H), 2.50 (d, 3H), 2.23 (s, 3H), 2.19 (s, 3H), 1.71 (d, 3H)。
【0185】
実施例50
4-(6-メチルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-2-オールの製造:
2-ブロモ-6-メチルピリジン(0.258 g, 1.5 mmol)を、ブタ-3-イン-2-オール(0.116 g, 1.65 mmol, 1.1当量)および(PPh3)2PdCl2(0.032 g, 0.045 mmol, 0.03当量)と混合した。0℃でトリエチルアミン(0.61 g, 0.84 mL, 6.0 mmol, 4.0当量)を添加した。混合物を0℃で10分間撹拌し、CuI (0.006 g, 0.03 mmol, 0.02当量)を添加した。混合物を室温に達するまで放置し、最後に60℃に4時間加熱した。リン酸緩衝液(10 mL, 0.2 M, pH 7)を添加し、相分離器を用いて水相をDCM (3回, 10 mL)で抽出した。有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。これにより0.286 gの粗生成物が得られた。Si上で溶離剤としてペンタン/EtOAc分画(まず1:1、次いで3:2、最後に1:2)を用いるフラッシュクロマトグラフィーの後、0.163 g (収率: 67 %)の純粋な生成物を黄色の油として単離した。TLC: Rf (ペンタン/EtOAc 1:1) = 0.20;
【0186】
【化56】

【0187】
1H NMR (300 MHz): 7.40 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.10 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 6.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 4.90 (b, 1H), 4.76 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 2.43 (s, 3H), 1.49 (d, J = 6.7 Hz, 3H);
13C NMR (75 MHz): 158.2, 141.7, 136.2, 123.9, 122.4, 91.7, 82.3, 57.6, 23.9, 23.8。
【0188】
実施例51
メタンスルホン酸1-メチル-3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルエステルの製造
この化合物を実施例46の方法に従い、出発物質として4-(6-メチルピリジン-2-イニル)ブタ-3-イン-2-オールを用いて製造した;
【0189】
【化57】

【0190】
MS m/Z: 240 (M+1)。
【0191】
実施例52
3-(6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-オールの製造:
2-ブロモ-6-メチルピリジン(1.72 g, 0.01 mol)に、(PPh3)2PdCl2 (0.116 g, 0.2 mmol, 0.02当量)およびCuI (0.063 g, 0.3 mmol, 0.03当量)を、0℃で窒素下に添加し、続いてプロパ-2-イン-1-オール(2.24 g, 2.33 mL, 0.4 mol, 4.0当量)およびトリエチルアミン(1.50 mL)を添加した。反応混合物を室温に達するまで放置し、次いで60℃に3.5時間加熱した。次いで反応混合物を水 (10 mL)に添加し、2 M HClでpHを6〜7に調整した。水相をDCM (3回, 10 mL)で抽出し、有機相を合わせて硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させた。これにより1.719 gの粗生成物が得られた。このうち1.098 gをシリカゲル上で溶離剤としてペンタン/EtOAc(まず1:1、次いで1:2、最後に1:3)を用いるフラッシュクロマトグラフィー処理した。これにより0.578 gの生成物を得た;
【0192】
【化58】

【0193】
13C NMR (75 MHz): 157.7, 141.1, 136.2, 123.7, 122.3, 88.4, 83.0, 49.9, 23.5。
【0194】
実施例53
メタンスルホン酸3-(6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イルの製造:
3-(6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-オール(0.300 g, 2.04 mmol)をDCM (10 mL)に、窒素下で5〜10分間かけて溶解した。この溶液を-20℃に冷却した(冷却浴: アセトン + ドライアイス片)。トリエチルアミン(0.268 g, 0.37 mL, 0.27 mmol, 1.30当量)を添加した。DCM (1.5 mL)中のメタンスルホニルクロリド(0.280 g, 0.19 mL, 0.24 mmol, 1.2当量)を3分間かけて添加した。反応混合物を-18〜-22℃で1時間撹拌した後、LC/MSは生成物のみを示した。水(10 mL)を添加した。有機相を分離し、水相をDCM (3回, 10 mL)で抽出した。有機相をプールし、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発させた。これにより0.450 g (収率: 98 %)を黄色の油として得た;
【0195】
【化59】

【0196】
1H NMR (300 MHz): 7.61 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 7.31 (d, J =7.7 Hz,1H), 7.19 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.10 (s, 2H), 3.18 (s, 3H), 2.58 (s, 3H);
13C NMR (75 MHz): 158.9, 140.2, 136.8, 124.5, 123.8, 87.8, 80.7, 57.7, 38.9, 24.2。
【0197】
生物学的評価
mGluR5dを発現する細胞系におけるmGluR5アンタゴニズムの機能評価
本発明化合物の特性を、薬理活性に関する標準アッセイ法により分析することができる。グルタミン酸受容体アッセイ法の例はたとえばAramori et al., Neuron 8:757 (1992)、Tanabe et al., Neuron 8:169 (1992)、Miller et al., J. Neuroscience 15: 6103 (1995)、Balazs, et al., J. Neurochemistry 69:151 (1997)に記載されており、当技術分野で周知である。これらの刊行物に記載された方法を本明細書に援用する。本発明化合物は、mGluR5発現細胞における細胞内カルシウム[Ca2+]iの移動を測定するアッセイ法(FLIPR)、またはリン酸イノシトール代謝回転を測定する他のアッセイ法(IP3)によって簡便に調べることができる。
【0198】
FLIPRアッセイ
WO 97/05252に記載されるヒトmGluR5dを発現する細胞を、コラーゲンコーティングした、側面の黒い透明底96-ウェルプレートに、ウェル当たり100,000個の密度で接種し、接種後24時間、実験を行う。127 mM NaCl、5 mM KCl、2 mM MgCl2、0.7 mM NaH2PO4、2 mM CaCl2、0.422 mg/ml NaHCO3、2.4 mg/ml HEPES、1.8 mg/mlグルコースおよび1 mg/ml BSAフラクションIVを含有する緩衝液(pH 7.4)中で、すべてのアッセイを行う。96-ウェルプレートの細胞培養物を60分間、0.01%プルロン酸(pluronic acid)(商品、非イオン界面活性剤ポリオール−CAS番号9003-11-6)中4μMのアセトキシメチルエステル形蛍光カルシウム指示薬fluo-3 (Molecular Probes、オレゴン州ユージーン)を含有する前記緩衝液に負荷する。負荷期間の後、fluo-3緩衝液を除去し、新鮮なアッセイ緩衝液と交換する。FLIPR実験を、0.800 Wのレーザーセッテイングおよび0.4秒のCCDカメラシャッター速度、励起および発光波長それぞれ488 nmおよび562 nmで行う。細胞プレートの各ウェルに160μlの緩衝液が存在する状態で各実験を開始する。アンタゴニストプレートから40μlを添加し、続いてアゴニストプレートから50μlを添加する。アンタゴニストとアゴニストの添加には90秒間の間隔をおく。これら2つの添加それぞれの直後、1秒間隔で50回、続いて5秒間隔で3回、蛍光信号をサンプリングする。応答を、アゴニストに対する応答のピーク高さ(サンプリング期間内のバックグラウンド蛍光を差し引いたもの)の相異として測定する。線形最小二乗フィッティングプログラムを用いてIC50の判定を行う。
【0199】
IP3アッセイ
mGluR5dの他の機能アッセイはWO 97/05252に記載されており、ホスファチジルイノシトールの代謝回転に基づくものである。受容体の活性化によりホスホリパーゼC活性が刺激され、イノシトール1,4,5-トリリン酸(IP3)の形成が増加する。
【0200】
ヒトmGluR5dを安定に発現するGHEKを24ウェルのポリ-L-リシンコーティングしたプレートに、1μCi/ウェルの[3H] myo-イノシトールを含有する培地中、40 x 104個/ウェルで接種する。細胞を一夜(16時間)インキュベートし、次いで3回洗浄し、1単位/mlのグルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼおよび2 mMのピルビン酸を補充したHEPES緩衝化生理食塩水(146 mM NaCl, 4.2 mM KCl, 0.5 mM MgCl2, 0.1%グルコース, 20 mM HEPES, pH 7.4)中、37℃で1時間、インキュベートした。細胞をHEPES緩衝化生理食塩水で1回洗浄し、10 mMのLiClを含有するHEPES緩衝化生理食塩水中で10分間、プレインキュベートする。化合物を二重試験法により37℃で15分間インキュベートし、次いでグルタミン酸(80μM)またはDHPG (30μM)を添加し、さらに30分間インキュベートする。氷上で0.5 mlの過塩素酸(5%)を添加して4℃で少なくとも30分間インキュベートすることにより、反応を停止する。試料を15 mlのポリプロピレン製試験管内に採集し、イノシトールリン酸をイオン交換樹脂(Dowex AG1-X8ホルメート形, 200-400メッシュ, BIORAD)カラムにより分離する。イノシトールリン酸の分離は下記に従って行われた:まずグリセロホスファチジルイノシトールを8 mlの30 mMギ酸アンモニウムで溶離する。次いで全リン酸イノシトールを8 mlの700 mMギ酸アンモニウム/100 mMギ酸で溶離し、シンチレーションバイアルに採集する。次いでこの溶出液を8 mlのシンチレーション液と混合し、シンチレーション計数により[3H]イノシトールの取込みを測定する。二重試験試料から得たdpm数をプロットし、線形最小二乗フィッティングプログラムを用いてIC50の判定を行う。
【0201】
略号
BSA ウシ血清アルブミン
CCD 電荷結合素子
CRC 濃度応答曲線
DHPG 3,5-ジヒドロキシフェニルグリシン
DPM 毎分崩壊数
EDTA エチレンジアミン四酢酸
FLIPR 蛍光イメージングプレートリーダー
GHEK GLAST含有ヒト胎児腎
GLAST グルタミン酸/アスパラギン酸トランスポーター
HEPES 4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸(緩衝剤)
IP3 イノシトールトリリン酸
【0202】
一般に本発明化合物は前記のアッセイにおいて有効であり、10 000 nM未満のIC50値をもつ。本発明の1態様において、IC50値は1μM未満である。本発明の他の態様において、IC50値は100nM未満である。
個々の化合物に関するIC50値を以下に示す:
【0203】
【表1】

【0204】
TLESRに対して有効な化合物のスクリーニング
パブロフ-スリングを付けた状態に耐えるように訓練された雌雄ラブラドル・レトリーバー成体を用いる。粘膜-皮膚食道フィステルを形成し、いずれの実験もこれらのイヌを完全に回復させた後に行う。
【0205】
運動性の測定
要約すると、水を自由に摂取させた状態で約17時間絶食した後、多重内腔スリーブ/サイドホール付きアセンブリー(Dentsleeve、南オーストラリ州アデレード)を食道フィステル形成部に導入し、胃、下部食道括約筋(LES)および食道の圧力を測定する。低コンプライアンスマノメーター式潅流ポンプ(Dentsleeve、南オーストラリ州アデレード)を用いて、アセンブリーに水を潅流させる。空気潅流チューブを口方向へ通して嚥下を測定し、LESの3 cm上方でアンチモン電極によりpHをモニターする。すべての信号を増幅し、10 Hzのパーソナルコンピューターに獲得する。
【0206】
空腹時/LES III期運動活動を含まないベースライン測定値が得られた時点で、プラセボ(0.9% NaCl)または被験化合物を前足静脈に静脈内投与する(i.v., 0.5 ml/kg)。静脈内投与の10分後、アセンブリーの中心腔を通して100 ml/分の速度で最終体積30 ml/kgになるまで栄養食(10%ペプトン, 5% D-グルコース, 5% Intralipid, pH 3.0)を胃に注入する。栄養食注入に続いて、空気を500 ml/分の速度で胃内圧10±1 mmHgが得られるまで注入する。次いで、空気の追加注入または胃からの排気のために注入ポンプを用い、実験期間中、圧力をこのレベルに維持する。栄養食注入の開始から空気注入の終了までの実験時間は45分である。この方法はTLESR誘発のための信頼できる手段であることが確認されている。
【0207】
TLESRは、下部食道括約筋圧力が>1mmHg/秒の速度で低下すること(胃内圧と対比して)であると定義される。弛緩は、その開始前2秒以内に咽頭信号により先行されてはならない;この場合、弛緩は嚥下誘発性と分類される。LESと胃の間の圧力差は2 mmHg未満、完全弛緩の持続時間は1秒より長くなければならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

ならびにその医薬的に許容できる塩類、水和物、イソ形および/または光学異性体
[式中、
R1は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、これらにおいてアリールまたはヘテロアリールはC1-C4アルキルで置換されていてもよく;
R2は、水素およびC1-C4アルキルから選択され;
R3は、水素、C1-C4アルキル、F、CF3、CHF2およびCH2Fから選択され;
R4は、水素、F、CF3、CHF2、CH2FおよびCH3から選択され;
R5は、水素およびFから選択され;
R6は、水素およびFから選択され;
Y1は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);ベンジルオキシ;メタまたはパラ位のニトロ;およびC1-C4アルキルエステル;
Y2は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);およびC1-C4アルキルエステル;
Y3は、下記のものから選択され:水素;ハロゲン;ニトリル;C1-C4アルコキシ;C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい);およびC1-C4アルキルエステル;あるいは
Y1とY2は、芳香族または非芳香族の環を形成していてもよく、これらは場合によりハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシ、C1-C4アルキル(アルキル基の1個以上の水素原子はフッ素原子で置換されていてもよい)、ベンジルオキシまたはC1-C4アルキルエステルで置換されていてもよく;
ただし、Y1が水素である場合、Y2はハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4アルキルから選択される]。
【請求項2】
式Iの化合物
【化2】

ならびにその医薬的に許容できる塩類、水和物、イソ形および/または光学異性体
[式中、
R1は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、これらにおいてアリールまたはヘテロアリールはC1-C4アルキルで置換されていてもよく;
R2は、水素およびC1-C4アルキルから選択され;
R3は、水素、C1-C4アルキル、F、CF3、CHF2およびCH2Fから選択され;
R4は、水素、F、CF3、CHF2、CH2FおよびCH3から選択され;
R5は、水素およびFから選択され;
R6は、水素およびFから選択され;
Y1は、水素、ハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシ、およびC1-C4アルキルから選択され;
Y2は、水素、ハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシ、およびC1-C4アルキルから選択され;
Y3は、水素、ハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシ、およびC1-C4アルキルから選択され;
ただし、Y1が水素である場合、Y2はハロゲン、ニトリル、C1-C4アルコキシおよびC1-C4アルキルから選択される]。
【請求項3】
R1は、水素またはC1-C3アルキルであり;
R2は、水素であり;
R3は、水素およびC1-C2アルキルから選択され;
R4は、水素であり;
R5は、水素であり;
R6は、水素であり;
Y1は、水素、クロロ、C1-C2アルコキシ、およびC1-C2アルキルから選択され;
Y2は、水素、クロロ、C1-C2アルコキシ、およびC1-C2アルキルから選択され;
ただし、Y1が水素である場合、Y2はクロロ、C1-C2アルコキシ、およびC1-C2アルキルから選択され;
Y3は、水素である、
請求項1または2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
下記のものから選択される、請求項1に記載の化合物:
2-[3-(3メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6メチルピリジン;
2-[3-(3-メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-[3-(3-クロロフェノキシ)ブタ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-メチル-6- (3-p-トリルオキシ-プロパ-1-イニル)-ピリジン;
2-[3-(2,3-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,3-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,3-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,4-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,4-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,5-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2,6-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-メチル-6-[3-(2-トリフルオロメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-ピリジン;
2-[3-(2-ベンジルオキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2-ブロモ-4,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2-クロロ-4-メトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2-クロロ-5-メチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(2-クロロ-6-メチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-メチル-6-(3-o-トリルオキシ-プロパ-1-イニル)-ピリジン;
2-メチル-6-[3-(3,4,5-トリメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-ピリジン;
2-[3-(3,4-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3,4-ジメトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3,4-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3,5-ジクロロ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3,5-ジメトキシ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3,5-ジメチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-[3-(3-ブロモ-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
3-[3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルオキシ]-ベンゾニトリル;
2-[3-(3-エチル-フェノキシ)-プロパ-1-イニル]-6-メチル-ピリジン;
2-メチル-6-[3-(3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-[3-(4-クロロ-2-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-[3-(4-クロロ-3,5-ジメチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-[3-(4-クロロ-3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-[3-(4-クロロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-[3-(4-メトキシフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-メチル-6-[3-(4-ニトロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-メチル-6-[3-(3-ニトロフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-メチル-6-[3-(3-メチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-メチル-6-[3-(5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-イルオキシ)プロパ-1-イン-1-イル]ピリジン;
2-[3-(4-イソプロピルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
2-[3-(4-t-ブチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-6-メチルピリジン;
6-[3-(3,4-ジメチルフェノキシ)プロパ-1-イン-1-イル]-3-フルオロ-2-メチルピリジン;および
6-[3-(3,4-ジメチルフェノキシ)ブタ-1-イン-1-イル]-3-フルオロ-2-メチルピリジン。
【請求項5】
療法に使用するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
療法が胃食道逆流疾患の治療または予防である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
一過性下部食道括約筋弛緩を抑制する医薬の製造のための、請求項1または2に記載の式Iの化合物またはその医薬的に許容できる塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項8】
胃食道逆流疾患を治療または予防する医薬の製造のための、請求項1または2に記載の式Iの化合物またはその医薬的に許容できる塩もしくは光学異性体の使用。
【請求項9】
有効成分としての請求項1または2に記載の式Iの化合物を、薬理学的および医薬的に許容できるキャリヤーと共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
アリールブロミドA
【化3】

とアルコールB
【化4】

の結合反応をトリエチルアミンなどの塩基の存在下で行って、アルコールC
【化5】

を製造し、次いでこれをメシラートD
【化6】

に変換し、そしてアルコール類と反応させることによる、式Iの化合物の製造方法
[これらの式中、
R1は、水素、C1-C4アルキル、C3-C6シクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され、これらにおいてアリールまたはヘテロアリールはC1-C4アルキルで置換されていてもよく;
R2は、水素およびC1-C4アルキルから選択され;
R3は、水素、C1-C4アルキル、F、CF3、CHF2およびCH2Fから選択され;
R4は、水素、F、CF3、CHF2、CH2FおよびCH3から選択され;
R5は、水素およびFから選択され;
R6は、水素およびFから選択される]。
【請求項11】
3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-オール;4-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-2-オール;メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)プロパ-2-イン-1-イル;メタンスルホン酸3-(5-フルオロ-6-メチルピリジン-2-イル)-1-メチルプロパ-2-イン-1-イル;4-(6-メチルピリジン-2-イル)ブタ-3-イン-2-オール;およびメタンスルホン酸1-メチル-3-(6-メチル-ピリジン-2-イル)-プロパ-2-イニルエステルから選択される化合物。
【請求項12】
一過性下部食道括約筋弛緩を抑制する方法であって、その抑制を必要とする対象に有効量の請求項1または2に記載の式Iの化合物を投与することによる方法。
【請求項13】
胃食道逆流疾患を治療または予防する方法であって、その治療または予防を必要とする対象に有効量の請求項1または2に記載の式Iの化合物を投与することによる方法。

【公表番号】特表2007−509934(P2007−509934A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538083(P2006−538083)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034501
【国際公開番号】WO2005/044265
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(300022641)アストラゼネカ アクチボラグ (581)
【出願人】(506138029)エヌピーエス・ファーマシウティカルズ・インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】