説明

アルコキシクリレンを含有する無機微粒子の分散体

組成物の全重量に対して、約20〜約70重量%の量の無機微粒子材料と、約1〜約70重量%の量の式(I)の化合物を含む微粒子材料のための担体と、約0〜約5重量%の量の微粒子材料コーティング材料と、約0〜約5重量%の量の微粒子材料のための分散剤とを含む組成物であって、式(I)において、RおよびRの一方は、直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基であり、非アルコキシのRまたはRは水素であり;Rは、直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基である、組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年8月9日に出願された米国特許第7,597,825号の一部継続出願である、2008年1月30日に出願された米国特許第7,588,702号の分割出願である、2009年4月29日に出願された米国出願第12/432,450号の一部継続出願である、2009年9月4日に出願された米国出願第12/554,329号の優先権を主張するものである。それらの優先権出願の全文が、全体的に参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、微粒子材料、好ましくは無機微粒子材料をアルコキシクリレン担体に含む分散体、および前記分散体を含む組成物、好ましくは日焼け止めまたは皮膚用製剤を対象とする。より詳細には、本発明は、担体としてアルコキシクリレン化合物を使用した、酸化亜鉛または二酸化チタンの分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤を対象とする。
【背景技術】
【0003】
日焼け止め組成物は、皮膚が太陽光にさらされたときに皮膚に対する日光の紫外線の一部を吸収、散乱および/または反射する1つまたは複数のUVフィルター化合物を含む外用剤である。UVフィルター化合物は、3つのグループ、すなわちパラアミノ安息香酸(PABA)などの発色基含有有機化合物、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(CIBA(登録商標)によるT1NOSORB M)などの有機微粒子およびカオリン、タルクおよび金属酸化物(例えば、酸化亜鉛、二酸化チタン)などの無機微粒子に分類することができる。
【0004】
無機微粒子は、UV−A線およびUV−B線の両方を反射する物的障壁UVフィルターである。無機微粒子は、単一の有機UV吸収剤が対応できないUV線(すなわち、290nm未満〜約380nm)に対して最も広範な保護を提供する。加えて、無機微粒子は、高い日焼け防止指数(SPF)を提供し、使用するのに経済的であり、適正に扱われると太陽光にさらされても十分に安定しており、皮膚に吸収されないため皮膚障害を引き起こさない。
【0005】
本発明の譲受人の係属出願、すなわちその開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、それぞれ2007年8月9日および2008年1月30日に出願された第11/891,281号および第12/022,758号に示されているように、アルコキシ置換α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリレート(アルコキシクリレン)、特にメトキシクリレンは、発色基含有UVフィルター剤、特にブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、メトキシ桂皮酸オクチル(オクチノキセート)およびサリチル酸オクチル(オクチサレート)を電子励起一重項状態および励起三重項状態からそれらの基底状態に戻すことによって、UV吸収有機分子を光安定化させることがわかっている。
【0006】
発色基含有UVフィルター剤は、紫外光を吸収することによって作用する。発色基含有有機分子によって紫外光が吸収されると、発色部分の電子が、最初に占有された低エネルギー軌道からより高エネルギーの以前に占有されていなかった軌道へと励起される。吸収された光子のエネルギーが利用されて、電子を活性化させ、より高エネルギーの軌道に「ジャンプ」させる(Turro、Modern Molecular Photochemistry、1991参照)。2つの励起電子状態が、UV光吸収によって生成される電子軌道構成から生じる。一方の状態では、電子スピンが対(逆平行 )であり、他方の状態では、電子スピンが不対(平行)である。対スピンの状態は、合成スピン磁気モーメントを有しないが、不対スピンの状態は、正味のスピン磁気モーメントを有する。対スピンの状態は、磁場の存在下で単一状態を維持し、一重項状態と呼ばれる。不対スピンの状態は、磁場と相互作用し、3つの量子化状態に分かれ、三重項状態と呼ばれる。
【0007】
電子励起状態において、発色基含有有機分子は、いくつかの既知の経路を介して分解しやすいため、さらなるUV光をほとんどまたは全く吸収することができない(Bonda,Cosmetics & Toiletries 123(2):1−11、(2008)参照)。十分なUV保護を提供するために電子励起発色基含有有機分子を光安定化させるためには、当該有機分子がそのUV吸収機能にとって破壊的な光化学反応を生じる前にそれを基底状態に戻さなければならない。意外にも、励起一重項状態エネルギーおよび励起三重項状態エネルギーの両方を消滅させることが可能であることが判明したアルコキシクリレン化合物と異なり、オクトクリレン、メチルベンジリデンカンファー、ならびにいずれも参照により本明細書に組み込まれている本発明の譲受人の米国特許第6,113,931号;同第6,284,916号;同第6,518,451号;および同第6,551,605号のナフタレンジカルボン酸のエステルまたはポリエステルのような他の既知の光安定化日焼け止め剤 は、励起三重項状態エネルギーのみを消滅させることが可能である。
【発明の概要】
【0008】
光安定化電子励起状態エネルギー、特にUV吸収分子からの一重項状態エネルギーは、式(I):



[式中、RおよびRの一方は直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基、好ましくはC〜Cアルコキシ基、より好ましくはメトキシであり、非アルコキシ基RまたはRは水素であり;Rは直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基、好ましくはC〜C20アルキル基である]を有するフェニル環の1つの上に4(パラ)位のアルコキシ基(以下、アルコキシクリレンという) を有するα−シアノジフェニルアクリレート化合物に容易に移行する(受容される)ことが判明した。
【0009】
驚いたことに、金属酸化物、特に減衰グレードの金属酸化物を分散体において担体としてのアルコキシクリレン化合物と組み合わせると、分散体を含む得られた日焼け止めまたは皮膚用製剤の性能が、単なる相加効果によって期待される性能をはるかに超えて向上することが判明した。減衰グレードの金属酸化物およびアルコキシクリレン化合物の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、意外にも、減衰グレードの金属酸化物のみを非アルコキシクリレン担体に含む日焼け止めまたは皮膚用製剤において得られる値より約30%〜約66%高いSPF値および約28%+高いUVA−PF値を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、範囲は、「約」もしくは「およそ」の1つの特定の値から、かつ/または「約」もしくは「およそ」の別の特定の値として表され得る。当該範囲が表される場合は、別の実施形態は、1つの特定の値から、かつ/または他の特定の値を含む。同様に、値が、先行の「約」の使用によって近似値として表される場合は、特定の値は別の実施形態を構成することが理解される。
【0011】
本明細書における「アルコキシ」という用語は、式O−R[式中、Rは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキル基であり、Rは、好ましくはC〜C、より好ましくはC〜C20、最も好ましくは−O−CH(メトキシ)である]を有するフェニル環の一方または両方のパラ位から伸びる基を指す。アルコキシ基の酸素原子は、好ましくは式(II)または(III):


[式中、Rは先述の通りである]を有するフェニル環の1つのパラ炭素原子に共有結合している。
【0012】
本明細書に使用されている「クリレン」という用語は、α−シアノ−β,β−ジフェニルプロパン酸エステルを含む発色部分を指す。
【0013】
本明細書に使用されている「シアノ」という用語は、「−CN」とも記される−C≡N基を指す。
【0014】
本明細書に使用されている略語を表1に示す。


【0015】
本明細書に記載の分散体は、無機微粒子材料、特に金属酸化物と、式(I)の化合物を含む無機微粒子材料のための担体との組合せを含む。無機微粒子材料のための担体は、1つまたは複数のさらなる担体をさらに含むことができる。本明細書に記載の分散体は、ラテックス粒子および/または有機顔料などの1つまたは複数のさらなる微粒子材料をさらに含むことができる。本明細書に記載の分散体を、無機微粒子材料のための1つまたは複数のコーティング材料および/または無機微粒子材料のための1つまたは複数の分散剤をさらに含むように配合することもできる。本明細書に記載の分散体を1つまたは複数のUV−A光活性化合物および/または1つまたは複数のUV−B光活性化合物と場合により組み合わせることができる。光活性 化合物は、UV線にさらされると電子一重項励起状態に達する光分解性化合物であり得る。本明細書に記載の分散体と組み合わせることができる光活性化合物の例としては、ジベンゾイルメタン誘導体(例えばアボベンゾン)、メトキシ桂皮酸オクチル(オクチノキセート)およびサリチル酸オクチル(オクチサレート)、特にそれらの組合せが挙げられる。本明細書に記載の分散体をオキシベンゾン、オクトクリレン、メチルベンジリデンカンファーおよびナフタレンジカルボン酸エステルなどの1つまたは複数の光安定化化合物と場合により組み合わせることもできる。本明細書に記載の分散体をスルホン化UVフィルターなどの水溶性UVフィルター化合物および/またはヒドロキシベンゾフェノン化合物と場合により組み合わせることもできる。本明細書に記載の分散体を2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(Tinsosorb(登録商標))などのベンゾトリアゾール化合物および/またはトリアジン化合物と場合により組み合わせることもできる。本明細書に記載の分散体を抗酸化剤(例えば、ビタミンE誘導体、ビタミンA誘導体)、天然活性成分(例えばクレアチン、タウリン)、既知の抗皺成分(β−アラニン)、親水性スキンケア成分(例えば水溶性抗酸化剤、ビタミン)、親油性活性成分(例えばユビキノン、レチノイドおよびカロチノイド)およびUV感応性活性成分の1種または複数種とさらに場合により組み合わせることができる。
【0016】
無機微粒子を含む分散体は、UV−A線およびUV−B線に対する広範囲な保護を提供するため優れた日焼け止め剤である。しかし、これらの分散体の製造は、しばしば困難である。無機微粒子が、個々の結晶としてではなく、粒子集団 (すなわち、製造工程を通じて不可逆的に結合した2つ以上の結晶)として存在する。無機微粒子分散体の製造時に、粒子の集団の群がしばしば互いに固着凝集して、凝集体を形成する。個々の大粒子のように作用する凝集体は、粒子の集団より不透明であり、皮膚に塗布されると望ましくない白化を引き起こし、同じ質量のより小さな粒子ほど効率的にUV線を反射しない。無機微粒子が提供することができる広範なUV保護を利用するために、製造工程では有意な凝集体の形成を防止しなければならない。例えば酸化亜鉛は、日焼け止めおよび皮膚用製剤において広く使用される無機微粒子で、 その粒子を径が0.2マイクロメートル未満になるように製造すると最も効果的であることが判明した。0.1〜0.2マイクロメートルの範囲の酸化亜鉛粒子は、ほぼ完全に透明に見えるほど十分に微細であるが、UVスペクトル全域にわたって効果的であるため、減衰と美観の最良の組合せを提供する。
【0017】
本発明の譲受人に譲渡された係属出願、すなわちそれぞれ2007年8月9日および2008年1月30日に出願された第11/891,281号および第12/022,758号には、日焼け止めまたは皮膚用製剤においてUV線にさらされると一重励起状態に達する光子励起光活性化合物を光安定化させる方法が記載されている。その方法は、光活性化合物と式(I)の化合物とを混合する工程と、混合物を、光活性化合物が電子一重項励起状態に達するのに十分な量でUV線にさらす工程とを含む。式(I)の化合物は、励起光活性化合物から一重項励起状態エネルギーを受容して、そのUV吸収機能にとって破壊的な光化学反応を生じる前にさらなるUV線を吸収することができるように、光活性化合物が基底状態に戻ることを可能にする。したがって、光子励起光活性化合物からの一重項励起状態エネルギーは、光子励起光活性化合物から式(I)の化合物への移行を介して消滅することによって、光活性化合物を光安定化させる。
【0018】
驚いたことに、金属酸化物、特に減衰グレードの金属酸化物を分散体において担体としての式(I)のアルコキシクリレン化合物と組み合わせると、分散体を含む、得られた日焼け止めまたは皮膚用製剤の性能が、単なる相加効果によって期待される性能をはるかに超えて向上することが判明した。意外にも、アルコキシクリレン担体中に 金属酸化物、特に減衰グレードの金属酸化物の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、アルコキシクリレン化合物を含まずに減衰グレードの金属酸化物のみを含む日焼け止めまたは皮膚用製剤において得られる値より約30%〜約66%高いSPF値および約28%+高いUVA−PF値を有する。驚いたことに、本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤の性能向上の程度は、分散体におけるアルコキシクリレン化合物の濃度とともに増大することも判明した。例えば、日焼け止め製剤の全重量に対して3.4または1.7重量%の式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む本明細書に記載の金属酸化物分散体を含む日焼け止め製剤は、それぞれ17および10のSPF値を有する。
【0019】
本発明の1つの重要な態様によれば、式(I)のアルコキシクリレン化合物は、微粒子材料、好ましくはUVフィルター物質を含む分散体における担体として使用され、



およびRの一方は直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基、好ましくはC〜Cアルコキシ基、より好ましくはメトキシであり、非アルコキシ基RまたはRは水素であり;Rは直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基、好ましくはC〜C20アルキル基である。
【0020】
担体は、分散体における非微粒子UVフィルター物質の大部分を構成する。好ましくは、担体は、皮膚科学的に好適である(すなわち、皮膚に対する有害な影響を発生または促進しない)。一般に担体として機能する化合物としては、シリコーン、合成エステルおよび油、天然エステルおよび油、ならびに炭化水素が挙げられる。いくつかの好適な担体としては、植物油、例えば脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステルおよび脂肪アルコールが挙げられる。具体例としては、シクロペンタシロキサン、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、イソノナン酸イソノニル、シモンドシア・キネンシス(Simmondsia chinensis)(ホホバ)種子油、ヘリアンサス・アナス(Helianthus annus) (ヒマワリ)種子油、イソドデカン、オレイン酸およびリノール酸グリセリド、オレイルアルコール、パルミチン酸イソプロピル、テトラカプリル酸/カプリン酸ペンタエリスリトール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン、カプリリルメチコン、トウゴマ(ヒマシ)種子油、ホホバエステル、鉱油、ミリスチン酸イソプロピル、アクリルポリマー、サリチル酸ブチルオクチル、およびC12〜C15アルキルベンゾエートが挙げられる。本発明の分散体において、担体は、式(I)のアルコキシクリレン化合物であり、以上に特定したものなどの1つまたは複数のさらなる担体を含んでいても含んでいなくてもよい。本発明の1つの具体的な実施形態において、担体は、メトキシクリレン化合物である。例えば、担体は、エチルヘキシルメトキシクリレン(EHMC、SOLASTAY(商標)S)である。いくつかの実施形態において、アルコキシクリレン担体は、C12〜C15アルキルベンゾエートおよび/またはサリチル酸ブチルオクチルなどの1つまたは複数のさらなる担体と組み合わされる。
【0021】
アルコキシクリレン担体の量は、UVフィルター材料で皮膚を確実に 十分に被覆するために、それらが皮膚に塗布されたときに無機粒子の均一な分散体を得るのに十分な量であればよい。一実施形態において、アルコキシクリレン担体は、分散体の全重量に対して約1〜約70重量%の重量範囲の量で分散体に存在する。別の実施形態において、アルコキシクリレン担体は、分散体の全重量に対して約10〜約40重量%の重量範囲の量で分散体に存在する。C12〜C15アルキルベンゾエートおよび/またはサリチル酸ブチルオクチルなどのさらなる担体を分散体と組み合わせる場合は、さらなる担体は、分散体の全重量に対して約0〜約35重量%、好ましくは約1〜約35重量%、より好ましくは約10〜約25重量%の重量範囲の量で存在する。
【0022】
好適な実施形態の分散体を目的とする好適な微粒子UVフィルター物質は、無機微粒子、特に、水にわずかに可溶であるか、または不溶である金属酸化物および/または他の金属化合物、特に、チタン酸化物(TiO)、亜鉛酸化物(ZnO)、鉄酸化物(例えばFe)、ジルコニウム酸化物(ZrO)、珪素酸化物(SiO)、マンガン酸化物(例えばMnO)、アルミニウム酸化物(Al)、セリウム酸化物(例えばCe)、対応する金属の混合酸化物および当該酸化物の混合物ならびにバリウムの硫酸塩(BaSO)である。金属酸化物は、好ましくは微粉化されている(すなわち、約100〜約370nmの範囲の粒径を有する小粒子である)。
【0023】
本発明に従って好適である酸化亜鉛粒子および酸化亜鉛粒子の予備分散体は、300nm未満の一次粒径によって区別され、明記された企業から以下の商品名で入手可能である。


【0024】
本発明の目的のための特に好適な酸化亜鉛は、BASFのZ−Cote HP1およびZ−CoteならびにHaarmann & Reimerの酸化亜鉛NDMである。
【0025】
酸化亜鉛および他の金属酸化物は、化学および触媒反応性である。これらの金属酸化物粒子を、有利には、表面処理(コーティング)することができ、その目的は、例えば、親水性、両親媒性または疎水性を生じる、または保持すること、ならびに金属酸化物の反応性および/または触媒活性を低減することである。この表面処理は、粒子を薄い親水性および/または疎水性無機および/または有機層でそれ自体既知の方法によりコーティングすることからなるものであってもよい。様々な表面コーティングは、水を含有していてもよい。
【0026】
本発明の目的のための無機表面コーティングは、例えば、酸化アルミニウム(Al)、水酸化アルミニウムAl(OH)もしくは酸化アルミニウム水和物(別名:アルミナ、CAS番号:1333−84−2)などの酸化物もしくは含水酸化物、ヘキサメタリン酸ナトリウム(NaPO、メタリン酸ナトリウム(NaPO、二酸化珪素(SiO)(別名:シリカ、CAS番号:7631−86−9)または酸化鉄(Fe)からなるものであってもよい。これらの無機表面コーティングは、単一、組合せ、および/または有機コーティング材料との組合せで存在することができる。
【0027】
本明細書に記載の分散体の金属酸化物粒子のための有機表面コーティングは、ポリオール、アミンもしくはアルカノールアミン、植物もしくは動物性ステアリン酸アルミニウム、植物もしくは動物性ステアリン酸、ラウリン酸、ジメチルポリシロキサン(別名:ジメチコン)、メチルポリシロキサン(メチコン)、シメチコン(200〜350個のジメチルシロキサン単位の平均鎖長を有するジメチルポリシロキサンとシリカゲルとの混合物)、トリエトキシカプリリルシランおよび/またはアルギン酸からなるものであってもよい。これらの有機および有機シラン表面コーティングは、単一、組合せ、および/または無機コーティング材料との組合せで存在することができる。コーティングは、通常、本明細書に記載の組成物の全重量に対して、約0〜約10重量%、好ましくは約1〜約10重量%である。
【0028】
本明細書に記載の分散体の金属酸化物をトリエトキシカプリリルシランなどのシラン表面コーティングで処理することができる。本発明の目的のための好適なシランコーティングは、Kobo Productsから以下の商品名で得られる。


【0029】
二酸化チタン粒子は、本明細書に記載の分散体に含められると、ルチルおよびアナターゼ結晶変性体の形をとることができ、 有利には、表面処理(コーティング)することができる。二酸化チタンは、二酸化チタン結晶が形成された直後に添加されるアルミナを使用してコーティングされることが多い。コーティングされた二酸化チタンおよびコーティングされていない二酸化チタンを市販の油性または水性予備分散体の形で使用することができる。分散補助剤および/または可溶化媒介物をTiOおよび本明細書に記載のアルコキシクリレン分散体とともに、組成物の全重量に対して約0〜約10重量%、好ましくは約1〜約3重量%の典型的な量で添加することが有利であり得る。
【0030】
本明細書に記載の分散体のための好適な二酸化チタン粒子および二酸化チタン粒子の予備分散体は、明記された企業から以下の商品名で入手可能である。



【0031】
本明細書に記載の好適な分散体の二酸化チタンは、約10〜約150nmの一次粒径によって区別される。
【0032】
本明細書に記載の分散体の目的のための特に好適な二酸化チタン粒子は、テイカ株式会社のMT−100ZおよびMT−100TV、MerckのEusolex T−2000およびDegussaの二酸化チタンT805である。
【0033】
一実施形態において、分散体の二酸化チタン粒子は、コーティングされず、ドープ後のTiO粒子の全重量に対して例えば約0.1〜約5重量%、好ましくは0.3〜約1重量%(例えば0.67重量%)の低量のマンガンがドープされる。マンガンまたは何らかの他の遷移金属イオンがTiO粒子に低量含められると、紫外線スペクトルのUVA部分に存在する追加的なエネルギーレベルが二酸化チタンに導入される。コーティングされていないマンガンドープ二酸化チタン粒子は、広スペクトルのUV−AおよびUV−Bの保護をもたらし、遊離ラジカル捕集剤として作用し、得られた製剤における他のUV活性化合物の光安定性を向上させ、皮膚の白化を避けるのに役立つ。
【0034】
別の実施形態のコーティングされた金属酸化物を、他のコーティングされた金属酸化物またはコーティングされていない金属酸化物との様々な組合せ、例えば、コーティングされた酸化亜鉛と、コーティングされた二酸化チタン粒子またはコーティングされていない二酸化チタン粒子との組合せで使用することもできる。当該組合せを、例えば1:10〜10:1の範囲のコーティングされた金属酸化物/コーティングされた金属酸化物またはコーティングされた金属酸化物/コーティングされていない金属酸化物の任意の選択された重量比で提供することができる。
【0035】
ラテックス粒子は、本明細書に記載の分散体に含めることができる他の有利な粒子である。特に有利なラテックス粒子が、米国特許第5,663,213号および欧州特許第0761201号に記載されている。特に有利なラテックス粒子の1つの例は、水およびスチレン/アクリレートコポリマーから形成され、例えばRohm & Haasから「Alliance SunSphere」の商品名で入手可能なラテックス粒子である。
【0036】
CIBA−Chemikalien GmbHからTinosorb(登録商標)Mの商品名で得られる有利な有機顔料の2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル−)フェノール(INCI:ビス−オクチルトリアゾール)を本明細書に記載の分散体の一実施形態に含めることもできる。
【0037】
別の実施形態において、分散体は、分散剤を分散体の全重量に対して約0〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%の典型的な量でさらに含むことができる。分散剤は、粒子が担体により容易に分散し、長時間にわたって分散状態を維持するように粒子を「湿潤」させるか、または完成製剤への分散体の導入に役立つ乳化剤として作用するために使用される。分散剤の例としては、1つまたは複数のヒドロキシカルボン酸のポリエステルまたは塩、脂肪酸アルカノールアミド(例えば、エタノールアミン、プロパノールアミンまたはアミノエチルエタノールアミン)のモノエステル、炭素数6〜22個の不飽和脂肪酸に基づくカルボン酸およびそれらの塩、リン酸エステル、中和リン酸、ヒドロキシステアリン酸などのステアリン酸、レシチン、アクリル酸またはメタクリル酸のポリマーまたはコポリマー、エトキシ化合物(例えばエトキシ化リン酸エステル)、超分散剤(例えばポリヒドロキシステアリン酸)およびオレス−3リン酸TEA、(i)イソステアリン酸ソルビタンと(ii)カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドと(iii)ジ−PPG−3ミリスチルエーテルアジペートとのブレンド、PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、PEG−10ジメチコンおよびポリグリセリル−6−ポリリシノレエートが挙げられる。
【0038】
一実施形態において、金属酸化物は、分散体の全重量に対して約10〜約70重量%の重量範囲の量で存在する。別の実施形態において、金属酸化物は、分散体の全重量に対して約20〜約65重量%の重量範囲の量で存在する。別の実施形態において、金属酸化物は、分散体の全重量に対して約40〜約60重量%の重量範囲の量で存在する。
【0039】
本明細書に記載の分散体の別の重要な実施形態において、式(I)のアルコキシクリレン化合物を担体として含む金属酸化物微粒子分散体が、日焼け止めまたは皮膚用製剤に組み合わされる。
【0040】
日焼け止めまたは皮膚用製剤は、一般に、皮膚軟化剤、安定剤、乳化剤およびそれらの組合せなどの添加剤を場合により含む化粧品として許容され得る担体にUV−AおよびUV−B光活性化合物を含む。これらの添加剤を、1つまたは複数の光活性化合物を含む組成物ならびに溶媒または1つまたは複数の有機溶媒と水とを含む溶媒混合物からエマルジョン(水中油または油中水)中UVフィルター組成物を調製する際に使用することができる。製造される場合は、エマルジョンは、油相が、主として、有機および/または無機UVフィルター化合物と1つまたは複数の有機溶媒との混合物から形成される水中油エマルジョンであることが好ましい。
【0041】
一実施形態において、日焼け止めまたは皮膚用製剤は、製剤の全重量に対して約0.1〜約25重量%の重量範囲の量の金属酸化物微粒子、および約0.1〜約15重量%の重量範囲の量の式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む。別の実施形態において、日焼け止めまたは皮膚用製剤は、製剤の全重量に対して約2〜約8重量%の重量範囲の量の金属酸化物微粒子、および約1〜約7重量%の重量範囲の量の式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む。別の実施形態において、日焼け止めまたは皮膚用製剤は、製剤の全重量に対して約3〜約7重量%の重量範囲の量の金属酸化物微粒子、および約2〜約5重量%の重量範囲の量の式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む。
【0042】
本明細書に記載の分散体の別の実施形態において、本発明の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、さらなる光活性化合物をさらに含むことができ、それらの光活性化合物は、UV線を吸収することによってUV線の有害な効果から基質(例えばヒトの皮膚、樹脂、膜等)を保護するように作用する。吸収プロセスは、光活性化合物を励起状態に到達させ、励起状態は、光活性化合物の基底状態と比較した励起電子エネルギー(例えば、一重項状態エネルギーまたは三重項状態エネルギー)の存在によって特徴づけられる。光活性化合物が励起状態に達すると、励起された光活性化合物がその過剰なエネルギー(例えば、一重項および/または三重項エネルギー)を消散させることができるようにする多くの経路が存在するが、それらの経路の多くは、光活性化合物がUV線をさらに吸収する能力に悪影響を与える。本明細書に記載のアルコキシクリレン分子は、UV吸収剤、特に、アボベンゾン、メトキシ桂皮酸オクチル(オクチノキセート)およびサリチル酸オクチル(オクチサレート)から電子一重項励起状態エネルギーを受け入れる。アルコキシクリレンは、日焼け止め組成物における他のUV吸収化合物の電子一重項状態エネルギーの消滅をもたらすのに加えて、非常に効果的なUVA吸収剤でもある。本明細書に記載のアルコキシクリレン分子は、オキシベンゾンなどの1つまたは複数のさらなる電子一重項励起状態消滅化合物と組み合わされると、特に効果的である。特に驚くべき光安定化は、メトキシ桂皮酸オクチルおよびアボベンゾンを、本明細書に記載のアルコキシクリレン分子を含む本発明の分散体とともに含有する日焼け止めまたは皮膚用製剤において達成される。
【0043】
光活性化合物は、光に対して光電応答する化合物である。本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用製剤および別の実施形態において、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている本発明の譲受人の係属出願、すなわちそれぞれ2007年8月9日および2008年1月30日に出願された第11/891,281号および第12/022,758号に記載されている式(I)の担体とともに金属酸化物微粒子材料を含有する本明細書に記載の分散体は、有利には、光分解性光活性化合物をも含む。アルコキシクリレンは、参照により本明細書に組み込まれているShaath、Nadim、UVフィルター辞典、(C)2007年に特定されている有機光活性化合物の任意の1つまたは組合せと組み合わされると、本明細書に記載の分散体における有用な光安定剤および/または光活性化合物である。有機UVフィルターはUV線にさらされるといずれも電子一重項励起状態に達するため、光安定性はすべての有機UVフィルターの課題である。
【0044】
2種以上の組合せを含めて以下の各々を含む以下のUVフィルターの全てが、無機微粒子および担体としての式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む本明細書に記載の分散体 によって光安定化され、以下を含む以下の範疇(具体例を示す)から選択される化合物を含むことが理論づけられる:p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル;p−ジメチルアミノ安息香酸);アントラアニレート(o−アミノベンゾエート;メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニルおよびシクロヘキセニルエステル);サリチレート(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル(ホモサレート)、グリセリルおよびジプロピレングリコールエステル);桂皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、α−フェニルシナモニトリル;ブチルシナモイルピルベート);ジヒドロキシ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン);カンファー誘導体(3−ベンジリデン、4−メチルベンジリデン、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン、メト硫酸ベンズアルコニウム、ベンジリデンカンファースルホン酸およびテレフタリリデンジカンファースルホン酸);トリヒドロキシ桂皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチンおよびグルコシド、エスクリンおよびダフニン);炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン);ジベンザルアセトン;ベンザルアセトフェノン;ナフトスルホネート(2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸および2−ナフトール−6,8−ジスルホン酸のナトリウム塩);ジヒドロキシ−ナフトエ 酸およびその塩;o−およびp−ヒドロキシジフェニルジスルホネート;クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル);ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、様々なアリールベンゾチアゾール);キニン塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩およびタンニン酸塩);キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン);ヒドロキシまたはメトキシ置換ベンゾフェノン;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ならびにベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレンおよび4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン)。
【0045】
特に、以下のUVフィルターは、無機微粒子および担体としての式(I)のアルコキシクリレン化合物を含む本明細書に記載の分散体によって光安定化されるべきである:p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、p−アミノ安息香酸オクチルジメチル、ジガロイルトリオレエート、4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸エチル、2−エチルヘキシルサリチレート、p−アミノ安息香酸グリセロール、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレートおよびそれらの組合せ。
【0046】
本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、好ましくは1つまたは複数のUV−A光活性化合物および1つまたは複数のUV−B光活性化合物を含む様々な光活性化合物を含むことができる。好ましくは、分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、p−アミノ安息香酸ならびにその塩および誘導体;アントラニレートおよびその誘導体;ジベンゾイルメタンおよびその誘導体;サリチレートおよびその誘導体;桂皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体;カンファーならびにその塩および誘導体;トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体;ナフトスルホン酸ジベンザルアセトンならびにその塩および誘導体;ナフトスルホン酸ベンザルアセトフェノンならびにその塩および誘導体;ジヒドロキシ−ナフトン酸およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートならびにその塩および誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートならびにその塩および誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニン誘導体およびその塩;キノリン誘導体;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートならびにその塩および誘導体;ならびにそれらの組合せからなる群から選択される光活性化合物を含む。
【0047】
特定の実施形態において、本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、PARSOL 1789(アボベンゾン)などのジベンゾイルメタン誘導体をさらに含む。
【0048】
UV A放射線(約320〜約400nm)は、皮膚、特に非常に白色の皮膚または敏感な皮膚の損傷を引き起こすことに寄与することが認識されている。本明細書に開示されている本発明の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、好ましくはUV−A光活性化合物を含む。好ましくは、本明細書に開示されている本発明の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、ジベンゾイルメタン誘導体UV−A光活性化合物を含む。好適なジベンゾイルメタン誘導体としては、2−メチルジベンゾイルメタン;4−メチルジベンゾイルメタン;4−イソプロピルジベンゾイルメタン;4−tert−ブチルジベンゾイルメタン:2,4−ジメチルジベンゾイルメタン;2,5−ジメチルジベンゾイルメタン;4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン;4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン;4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン;2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン:2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンおよびそれらの組合せが挙げられる。
【0049】
米国で市販されている製品については、好適な化粧品として許容され得る光活性化合物および濃度(全日焼け止め化粧品組成物に対する重量百分率で報告される)としては、アミノ安息香酸(パラアミノ安息香酸およびPABAとも呼ばれる;15%以下)、アボベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタンとも呼ばれる;3%以下)、シノキセート(p−メトキシ桂皮酸2−エトキシエチルとも呼ばれる;3%以下)、ジオキシベンゾン(ベンゾフェノン8とも呼ばれる;3%以下)、ホモサレート(3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチレートとも呼ばれる;15%以下)、アントラニル酸メンチル(2−アミノ安息香酸メンチルとも呼ばれる;5%以下)、オクトクリレン(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシルとも呼ばれる;10%以下)、メトキシ桂皮酸オクチル(7.5%以下)、サリチル酸オクチル(サリチル酸2−エチルヘキシルとも呼ばれる;5%以下)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン3とも呼ばれる;6%以下)、パジメートO(オクチルジメチルPABAとも呼ばれる;8%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(水溶性;4%以下)、スリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる;10%以下)、二酸化チタン(25%以下)、サリチル酸トロラミン(サリチル酸トリエタノールアミンとも呼ばれる;12%以下)および酸化亜鉛(25%以下)が挙げられる。
【0050】
他の好適な化粧品として許容され得る光活性化合物および好適な濃度(全日焼け止め化粧品組成物に対する重量百分率)としては、メトキシ桂皮酸ジエタノールアミン(10%以下)、エチル−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノベンゾエート(5%以下)、アミノ安息香酸グリセリル(3%以下)、4−イソプロピルジベンゾイルメタン(5%以下)、4−メチルベンジリデンカンファー(6%以下)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸(10%以下)およびスリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる、10%以下)が挙げられる。
【0051】
欧州共同体で市販されている製品については、好適な化粧品として許容され得る光活性化合物および好適な濃度(全日焼け止め化粧品組成物に対する重量百分率で報告される)としては、PABA(5%以下)、カンファーベンズアルコニウムメトスルフェート(6%以下)、ホモサレート(10%以下)、ベンゾフェノン3(10%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(8%以下、酸として表される)、テレフタリデンジカンファースルホン酸(10%以下、酸として表される)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(5%以下)、ベンジリデンカンファースルホン酸(6%以下、酸として表される)、オクトクリレン(10%以下、酸として表される)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(6%以下)、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル(10%以下)、PEG 25 PABA(10%以下)、p−メトキシ桂皮酸イソアミル(10%以下)、エチルヘキシルトリアゾン(5%以下)、ドロメトリゾールトリエロキサン(15%以下)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(10%以下)、4−メチルベンジリデンカンファー(4%以下)、3−ベンジリデンカンファー(2%以下)、サリチル酸エチルヘキシル(5%以下)、エチルヘキシルジメチルPABA(8%以下)、ベンゾフェノン4(5%、酸として表される)、メチレンビスベンズトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下)、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(10%以下、酸として表される)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(10%以下)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下、TINOSORB Mまたはビソクトリゾールとも呼ばれる )およびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(10%以下、TINOSORB Sまたはベモトリジノールとも呼ばれる)が挙げられる。
【0052】
上記UVフィルターのいずれもが市販されている。例えば、好適な市販の有機UVフィルターは、以下の表2における商品名および供給者によって識別される。


【0053】
その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,485,713号および第6,537,529号には、例えば製剤の油相に極性溶媒を添加することによって、日焼け止めまたは皮膚用製剤における光活性化合物の光安定性を向上させるための組成物および方法が記載されている。担体としてのアルコキシクリレン、例えばメトキシクリレンおよび本明細書に記載の微粒子材料を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤の油相の極性を高めることによって、日焼け止めまたは皮膚用製剤の安定性が他の担体と比較して驚くほど向上する。したがって、本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用製剤において、好ましくは、1種または複数種の高極性溶媒が製剤の油相に存在する。好ましくは、組成物の油相の誘電率を少なくとも約7、好ましくは少なくとも約8の誘電率まで高めるために、本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用組成物に十分な量の極性溶媒が存在する。油相に高極性溶媒が存在してもしなくても、本明細書に記載のアルコキシクリレン分子は、他の担体と比較して予想外の光安定性をもたらす。
【0054】
例えば、30MEDの照射後 に、光活性化合物が、ある波長において、または対象とするある波長の一定範囲にわたって(例えば、光活性化合物がピーク吸光度を有する波長、例えば、アボベンゾンでは350〜370nmにおいて)その本来の吸光度の少なくとも約90%を保持した場合に、光活性化合物を安定と見なすことができる。同様に、本発明の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、複数の光活性化合物を含むことができ、例えば30MEDの照射後に対象とする1つまたは複数の波長において(例えば、一次的な光活性化合物のピーク吸光度波長またはその付近において)日焼け止め組成物が その本来の吸光度の少なくとも約90%を保持した場合に、本発明の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤を全体として安定と見なすことができる。
【0055】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、PARSOL 1789(アボベンゾン)などのジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルをも含む。
【0056】
参照により本明細書に組み込まれている、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,993,789号には、ナフタレンジカルボン酸(ジアルキルナフタレートエステル)のジエステルおよび/またはポリエステルの使用が、ジベンゾイルメタン誘導体、特にPARSOL 1789(アボベンゾン)を光安定化するのに驚くほど効果的であることが記載されている。
【0057】
さらに別の実施形態によれば、その開示内容が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,993,789号および同第6,113,931号 に記載されているように、Rおよび/またはRが6〜10個の炭素原子を有する分岐アルキル基を表すジアルキルナフタレートエステルが有利である。米国特許第5,993,789号および同第6,113,931号に記載されているジエチルヘキシルナフタレートエステルは特に好適であり、例えば、CP Hallから商品名Hallbrite TQ(商標)で、またはH&Rから商品名Corapan TQ(商標)で入手可能である。
【0058】
このジアルキルナフタレートエステルの実施形態によれば、本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用製剤は、有利には、米国特許第5,993,789号および同第6,113,931号に記載されている1つまたは複数のジアルキルナフタレートエステルを約0.001〜約30重量%、好ましくは約0.01〜約20重量%、特に好ましくは約0.5〜約15重量%含有してもよい。
【0059】
別の重要な実施形態によれば、微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、水溶性UVフィルター化合物および/または広帯域フィルター化合物、ならびに任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルと組み合わされる。
【0060】
別の実施形態において、有利には本明細書に記載の分散体に含められる水溶性UVフィルター物質は、スルホン化UVフィルター、特に、以下の構造を有するフェニレン−1,4−ビス(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−テトラスルホン酸;



およびその塩、特に対応するナトリウム、カリウムまたはトリエタノールアンモニウム塩、特に、例えばHaarmann & Reimerから商品名Neo Heliopan A Pで得られる、INCI名がフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム(CAS番号:180898−37−7)であるフェニレン−1,4−ビス(2−ベンズイミダジル)−3,3’−5,5’−テトラスルホン酸ビスナトリウム塩:



である。
【0061】
さらなる有利なスルホン化UVフィルターは、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸の塩、例えば、そのナトリウム、カリウムまたはそのトリエタノールアンモニウム塩、および例えばMerckから商品名Eusolex 232で、もしくはHaarmann & Reimerから商品名Neo Heliopan Hydroで得られる、INCI名がフェニルベンズイミダゾールスルホン酸(CAS番号:27503−81−7)であるスルホン酸そのもの:



である。
【0062】
この水溶性UVフィルターを含む実施形態の目的のためのさらなる有利な水溶性UV−Bおよび/または広帯域フィルター物質は、例えば、3−ベンジリデンカンファーのスルホン酸誘導体、例えば、4−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)ベンゼン−スルホン酸、2−メチル−5−(2−オキソ−3−ボルニリデンメチル)スルホン酸およびそれらの塩である。
【0063】
本実施形態の日焼け止めまたは皮膚用製剤における1つまたは複数の水溶性UVフィルター物質の全量は、有利には、それぞれの場合に製剤の全重量に対して約0.01〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%の範囲から選択される。
【0064】
別の重要な実施形態によれば、分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、ヒドロキシベンゾフェノン化合物および/または広帯域フィルター化合物、ならびに任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルと組み合わされる。
【0065】
ヒドロキシベンゾフェノンは、以下の構造式:



によって特徴づけられる。式中、RおよびRは、互いに独立に、水素、C〜C20−アルキル、C〜C10−シクロアルキルまたはC〜C10−シクロアルケニルであり、置換基RおよびRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、5員環または6員環を形成することができ、Rは、C〜C20アルキル基である。
【0066】
特に有利なヒドロキシベンゾフェノンは、以下の構造:



によって特徴づけられる2−(4’−ジエチルアミノ−2’−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(別名:アミノベンゾフェノン)であり、BASFからUvinul A Plusで入手可能である。
【0067】
このヒドロキシベンゾフェノンを含む実施形態によれば、本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用製剤は、約0.1〜約20重量%、有利には約0.1〜約15重量%、特に好ましくは約0.1〜約10重量%の1つまたは複数のヒドロキシベンゾフェノンを含む。
【0068】
別の重要な実施形態によれば、微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、ベンゾトリアゾール誘導体化合物および/または広帯域フィルター化合物、ならびに任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルと組み合わされる。
【0069】
ベンゾトリアゾール化合物と本明細書に記載の分散体とを組み合わせることの1つの短所は、不快な触感特性を有する知覚できないほど薄い膜を皮膚上に形成するという特徴である。別の短所は、当該ベンゾトリアゾール誘導体が、従来の油成分に対して溶解性を示しても不十分な溶解性しか示さないことである。周知の溶媒は、これらの化合物を最大で約15重量%までしか溶解することができず、それは、通常、完成化粧品または皮膚用調製物における約1〜約1.5重量%の溶存(=活性)フィルター物質の濃度に相当する。したがって、これらのフィルター物質を用いても、それらの製剤への溶解性または分散性が低すぎる、すなわちそれらを当該製剤に十分に 導入するのが困難であるか、または不可能であるため、比較的低い日焼け防止指数しか達成することができなかった。
【0070】
溶解性が限られている場合にも一定のUV保護を達成することが原則的には可能であっても、別の問題、すなわち再結晶化が頻繁に生じる。低溶解性の物質は、特に、比較的急速に再結晶化し、再結晶化は、温度の変動または他の影響によって誘発され得る。しかし、UVフィルターなどの調製物の必須成分の無制御の再結晶化は、所定の調製物の特性に対して極めて不利な影響を与え、所望の光防護に対して少なからず不利な影響を与える。
【0071】
本明細書に記載の分散体のベンゾトリアゾールを含む実施形態に関する先行技術の短所は、光防護に効果的であり、(a)ベンゾトリアゾール誘導体の群から選択される1つまたは複数のUVフィルター物質;(b)式(I)のアルコキシクリレン;および場合により(c)米国特許第5,993,789号および同第6,113,931号に記載されている、構造式:



を有する1つまたは複数のジアルキルナフタレートエステルで構成される活性成分の組合せによって取り除かれることも意外であり、当業者にとって予測不可能であった。式中、RおよびRは、互いに独立に、6〜24個の炭素原子を有する分岐および非分岐アルキル基の群から選択される。
【0072】
本明細書に記載の分散体の さらに別のベンゾトリアゾールを含む実施形態によれば、分散体は、構造式:



を有するベンゾトリアゾール化合物を含む。式中、RおよびRは、互いに独立に、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜Cアルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキルまたはアリール基の群から選択される。
【0073】
好適なベンゾトリアゾール誘導体は、化学構造式:


によって特徴づけられ、良好なUV吸収特性によって区別される、CIBA−Chemikalien GmbHから商品名Tinosorb(登録商標)で入手可能な2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(INCI:ビスオクチルトリアゾール)である。
【0074】
このベンゾトリオールを含む実施形態において分散体と組み合わせることができる別の有利な広帯域フィルターは、以下の化学構造式:



によって特徴づけられる、INCI名がドロメトリゾールトリシロキサンの2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチル−シリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノール(CAS番号:155633−54−8)である。
【0075】
完成化粧品または皮膚用組成物における1つまたは複数のベンゾトリアゾール誘導体、特に2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノールおよび/または2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−[2−メチル−3−[1,3,3,3−テトラメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル]フェノールの全量は、有利には、組成物の全重量に対して約0.1〜約15.0重量%、好ましくは約0.5〜約10.0重量%の範囲である。
【0076】
別の重要な実施形態によれば、微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤を、不斉置換トリアジン誘導体および/または広帯域フィルター化合物、ならびに任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルと組み合わせて、向上した日焼け防止指数を得る。
【0077】
不斉置換トリアジン誘導体は、良好な光防護効果を示す。しかし、それらの主な短所は、従来の油成分へのそれらの溶解性が低いことである。周知の溶媒は、これらの化合物を最大で約15重量%までしか溶解することができず、それは、通常、完成日焼け止めまたは皮膚用製剤における約1〜約1.5重量%の溶存(=活性)フィルター物質の濃度に相当する。
【0078】
したがって、不斉置換トリアジン誘導体に関する先行技術の1つの短所は、一般に、これらのフィルター物質を用いても、それらの製剤への溶解性または分散性が低すぎる、すなわちそれらを当該製剤に十分に 導入するのが困難であるか、または不可能であるため、比較的低い日焼け防止指数しか達成することができなかったことである。
【0079】
溶解性が限られている場合にも一定のUV保護を達成することが原則的には可能であっても、別の問題、すなわち再結晶化が頻繁に生じる。低溶解性の物質は、特に、比較的急速に再結晶化し、再結晶化は、温度の変動または他の影響によって誘発され得る。しかし、UVフィルターなどの調製物の必須成分の無制御の再結晶化は、所定の調製物の特性に対して極めて不利な影響を与え、所望の光防護に対して少なからず不利な影響を与える。
【0080】
不斉置換トリアジン誘導体に関する先行技術の短所は、光防護に効果的であり、(a)不斉置換トリアジン誘導体の群から選択される1つまたは複数のUVフィルター物質;(b)構造式(I)を有する1つまたは複数のアルコキシクリレン;および(c)場合によりジベンゾイルメタン誘導体および/またはジアルキルナフタレートエステルで構成される活性成分の組合せによって取り除かれる。
【0081】
本実施形態の意味の範囲内で有利な不斉置換s−トリアジン誘導体は、例えば、その化学構造が以下の一般式:



で表される、欧州特許出願公開第570838(A)号に記載されているものである。式中、Rは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキル基であり、Xは、酸素原子またはNH基であり、Rは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキル基、あるいは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または以下の式:



の基であり、式中、Aは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキルまたはアリール基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、nは、1〜10の数であり、Rは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキル基であり、XがNH基である場合には、Rは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキル基、あるいは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基または以下の式:



の基であり、式中、Aは、分岐または非分岐C〜C18−アルキル基、1つまたは複数のC〜C−アルキル基によって場合により置換されたC〜C12−シクロアルキルまたはアリール基であり、Rは、水素原子またはメチル基であり、Xが酸素原子の場合には、nは、1〜10の数である。
【0082】
このトリアジンを含む実施形態の好適な形において、本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、以下の構造式:


上式および/または下式を有するビスレソルシニルトリアジン物質の群から選択されるある含有量の少なくとも1つの不斉置換s−トリアジンを含む。それらのビスレソルシニルトリアジンのすべてが、本実施形態に有利である。特に有利なビスレソルシニルトリアジンは、1〜18個の炭素原子を有する分岐または非分岐アルキル基の群から選択されるRおよびRを含む。ここでも有利には、アルキル基がシリルオキシ基によって置換されていてもよい。Aは、有利には、置換された単環式または複素環式芳香族5員環または6員環である。
【0083】
以下の化合物:



[式中、Rは、水素原子、または1〜10個の炭素原子を有する分岐もしくは非分岐アルキル基である]、特に、CIBA−Chemikalien GmbHから商品名Tinosorb(登録商標)Sで得られ、以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(INCI:アニソトリアジン)が特に有利である。
【0084】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(3−スルホナト−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンナトリウム塩も有利である。
【0085】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0086】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−[4−(2−メトキシエトキシカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0087】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(3−(2−プロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6[4−(エトキシカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0088】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(1−メチルピロール−2−イル)1,3,5−トリアジンも有利である。
【0089】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−トリス(トリメチルシロキシシリルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0090】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(2−メチルプロペニルオキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0091】
以下の構造:



によって特徴づけられる2,4−ビス{[4−(1’,1’,1’,3’,5’,5’,5’−ヘプタメチルシロキシ−2−メチルプロピルオキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジンも有利である。
【0092】
別の実施形態において、本明細書に記載の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、その化学構造が、以下の式:



によって表され、以降ジオクチルブチルアミドトリアゾン(INCI)とも称し、Sigma 3 Vから商品名UVASORB HEBで得られる不斉置換s−トリアジンを含む。
【0093】
本発明の不斉置換s−トリアジン誘導体は、有利には、場合により、本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤の油相に導入される。
【0094】
本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤における1つまたは複数の不斉置換s−トリアジン誘導体、特にジオクチルブチルアミドトリアゾンの全量は、有利には、製剤の全重量に対して、約0.1〜約15.0重量%、好ましくは約0.5〜約10.0重量%の範囲から選択される。
【0095】
本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤を美容もしくは皮膚科学的UV光防護、および/または皮膚および/または髪の処理、手入れおよび洗浄のために、そして装飾用化粧品における化粧製品として使用することができる。さらなるUVフィルターおよび/または分散助剤、および/または他の添加剤を含む、または含まないこれらの組成物は、化粧品に慣例の方法で皮膚および/または髪に十分な量で塗布される。
【0096】
本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、当該製剤に従来使用されているものなどの化粧品助剤、例えば、防腐剤、殺菌剤、香料、消泡剤、染料、着色効果を有する顔料、増粘剤、加湿剤および/または湿潤剤、脂肪、油、蝋、あるいは日焼け止めまたは皮膚用製剤の他の従来の構成成分、例えばアルコール、ポリオール、ポリマー、泡安定剤、電解質、有機溶媒またはシリコーン誘導体などを含むことができる。
【0097】
別の実施形態によれば、1つまたは複数の酸化防止剤を本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体に添加することができる。本実施形態によれば、日焼け止めまたは皮膚用製剤用途に好適または慣例の任意の酸化防止剤を使用することができる。
【0098】
特に有利な酸化防止剤は、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)およびそれらの誘導体、D,L−カモシン、D−カルノシン、L−カルノシンおよびそれらの誘導体(例えばアンセリン)などのペプチド、カロテノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)およびそれらの誘導体、クロロゲン酸およびその誘導体、リポ酸およびその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチルおよびラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリルおよびそれらのグリセリルエステル)およびそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、および非常に低い耐量(例えばpmol〜μ mol/kg)のスルホキシミン化合物(例えば、ブチオニンスルホキシミン 、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミン)、ならびに(金属)キレート剤(例えば、α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびそれらの誘導体、不飽和脂肪酸およびそれらの誘導体(例えば、γ−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(例えば、パルミチン酸アスコルビル、リン酸Mgアスコルビル、酢酸アスコルビル)、トコフェロールおよび誘導体(例えば酢酸ビタミンE)、ビタミンAおよび誘導体(パルミチン酸ビタミンA)およびガムベンゾインの安息香酸コニフェリル、ルチン酸およびその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイヤレチン酸、トリヒドロキシブチロ−フェノン、尿酸およびその誘導体、マンノースおよびその誘導体、亜鉛およびその誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレニウムおよびその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベンおよびその誘導体(例えば、酸化スチルベン、トランス酸化スチルベン)、ならびに本発明に従って好適である前記活性成分の誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)からなる群から選択される。
【0099】
製剤における酸化防止剤(1つまたは複数の化合物)の量は、調製物の全重量に対して、好ましくは約0.001〜約30重量%、特に好ましくは約0.05〜約20重量%、特には約0.1〜約10重量%である。
【0100】
ビタミンEおよび/またはその誘導体が1つまたは複数の酸化防止剤である場合は、それらのそれぞれの濃度を製剤の全重量に対して約0.001〜約10重量%の範囲から選択することが有利である。
【0101】
ビタミンA、ビタミンA誘導体、カロテンまたはカロテン誘導体が1つまたは複数の酸化防止剤である場合は、それらのそれぞれの濃度を製剤の全重量に対して約0.001〜約10重量%の範囲から選択することが有利である。
【0102】
本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤がさらなる美容または皮膚科学的活性成分を含む場合に特に有利 であり、好適な活性成分は、酸化ストレスから皮膚を保護することができる酸化防止剤である。
【0103】
有利なさらなる活性成分は、天然活性成分および/またはそれらの誘導体、例えば、ユビキノン、レチノイド、カロテノイド、クレアチン、タウリンおよび/またはβ−アラニンである。
【0104】
例えばフラボングリコシド(特にα−グリコシルルチン)、補酵素Q10、ビタミンEおよび/または誘導体等の既知の抗皺活性成分を含む、本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、特に有利には、例えば、皮膚の老化(例えば、乾燥、荒れおよび乾燥皺の形成、痒み、(例えば洗浄後の)再加脂化の低下、目に見える血管膨張(末梢血管拡張、クーペロシス)、弛緩ならびに皺およびラインの形成、局所的な色素過剰、低色素および色素異常(例えばシミ)および機械的応力に対する感受性の増大(例えばひび割れ)等)を通じて生じる皮膚の 美容または皮膚科的変化の予防および治療に好適である。加えて、それらは、有利には、乾燥した皮膚または荒れた皮膚の外観に対して好適である。
【0105】
別の重要な実施形態によれば、本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤を、1つまたは複数の親水性スキンケア活性成分および/または広帯域フィルター化合物、および任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体と組み合わせることができる。
【0106】
(個々に、または互いのあらゆる組合せで)本明細書に記載の分散体とともに使用することによって安定化される有利な親水性活性成分は、以下に挙げられるものを含む:ビオチン;カルニチンおよび誘導体;クレアチンおよび誘導体;葉酸;ピリドキシン;ナイアシンアミド;ポリフェノール(特にフラボノイド、特には α−グルコシルルチン);アスコルビン酸および誘導体;ハマメリス;アロエベラ;パンテノール;アミノ酸。
【0107】
本実施形態の目的のための特に有利な親水性活性成分は、また、例えばビタミンなどの水溶性酸化防止剤である。
【0108】
製剤における親水性活性成分(1つまたは複数の化合物)の量は、製剤の全重量に対して、好ましくは約0.0001〜約10重量%、特に好ましくは約0.001〜約5重量%である。
【0109】
1つの重要な実施形態によれば、本明細書に記載の微粒子材料/式(I)の分散体を含む日焼け止めまたは皮膚用製剤は、親油性の酸化またはUV感応性活性成分、例えばレチノイン酸およびその誘導体、例えばトレチノインもしくはイソトレチノインおよび/または広帯域フィルター化合物、ならびに任意であるが好ましくは、ジベンゾイルメタン誘導体と組み合わされる。
【0110】
本明細書に記載の式(I)を含む分散体で非常に良好に安定化される有利な親油性活性成分は、そのlog P値が3.5を超えるものである。Pは、本質的に互いに不混和性の2つの溶媒からなる二相系における溶存物質の平衡濃度の比として定義される分配係数である。これらの2つの溶媒は、この場合は、n−オクタノールおよび水である。すなわち、

【0111】
親油性活性成分をユビキノンおよびプラストキノンの群から選択することが、本実施形態の目的のために有利である。本発明の本実施形態の目的では、約15のlog P値を有する補酵素Q10が特に有利である。
【0112】
分散体の微粒子材料/式(I)の成分と組み合わされた親油性活性成分をユビキノンの群から選択すると、本実施形態による非常に有利な調製物を得ることができることは特に 驚くべきことであった。
【0113】
本実施形態に従って有利なさらなる親油性活性成分は、レチノイド化合物(ビタミンA酸および/またはその誘導体)である。本発明の本実施形態に従って有利なレチノイドの群は、レチノールおよびそのエステル、レチナールおよびレチノイン酸(ビタミンA酸)ならびにそのエステルを含む、化粧品および/または医薬として許容され得るあらゆるレチノイドを含むものと定義される。本発明の本実施形態の目的では、(log P値が約7の)レチノールおよび(log P値が約13の)パルミチン酸レチニルが特に有利である。
【0114】
本実施形態に従って有利なさらなる親油性酸成分は、カロテノイドである。本実施形態の目的では、例えば、log P値が15のβ−カロテンが特に有利である。
【0115】
さらなる有利な親油性活性成分は、リポ酸および誘導体、ビタミンEおよび誘導体、ビタミンF、二酸[8−ヘキサデセン−1、16−ジカルボン酸(CAS番号:20701−68−2)]である。
【0116】
本明細書に記載の日焼け止めまたは皮膚用製剤における親油活性成分(1つまたは複数の化合物)の量は、製剤の全重量に対して、好ましくは約0.0001〜約10重量%、特に好ましくは約0.001〜約5重量%である。

<実施例1>
式(I)の担体を含む酸化亜鉛の製剤
【0117】
担体としてエチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)、サリチル酸ブチルオクチル(対照)またはC12〜15アルキルベンゾエート(対照)を使用した酸化亜鉛分散体をDynamic Dispersions LLC「DCI」またはKobo Products「Kobo」により供給し、表3に示されるように配合した。酸化亜鉛粒子(Z−Cote HP1)は、2%のジメチコンコーティングを含み、BASFにより供給された。
【0118】
表3の酸化亜鉛分散体を10〜13.3%含む日焼け止めを調製し、表4に示されるようにSPFおよびUVA−PF値を求めた。酸化亜鉛の分散体および担体としてのサリチル酸ブチルオクチルまたはC12〜C15アルキルベンゾエートを含む対照の日焼け止め製剤は、SPF値およびUVA−PF値が低かった。エチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)を含み、酸化亜鉛を含まない対照の日焼け止め製剤も、SPF値およびUVA−PF値が低かった。しかし、酸化亜鉛の分散体を担体としてのエチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)とともに含む日焼け止め製剤は、有意により高いSPF値およびUVA−PF値を有していた。表4の酸化亜鉛日焼け止め製剤の厳密な組成を表5に示す。



<実施例2>
式(I)の担体を含む二酸化チタンの製剤
【0119】
担体としてエチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)、サリチル酸ブチルオクチル(対照)またはC12〜15アルキルベンゾエート(対照)を使用した二酸化チタン分散体をDynamic Dispersions LLC「DCI」またはKobo Products「Kobo」により供給し、表6に示されるように配合した。二酸化チタン粒子にトリエトキシカプリリルシランまたはアルミナ/メチコンをコーティングした。
【0120】
表6の二酸化チタン分散体を7〜10%含む日焼け止めを調製し、表7に示されるようにSPFおよびUVA−PF値を求めた。二酸化チタンの分散体および担体としてのサリチル酸ブチルオクチルまたはC12〜C15アルキルベンゾエートを含む対照の日焼け止め製剤は、SPF値およびUVA−PF値が低かった。エチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)を含み、二酸化チタンを含まない対照の日焼け止め製剤も、SPF値およびUVA−PF値が低かった。しかし、二酸化チタンの分散体を担体としてのエチルヘキシルメトキシクリレン(SOLASTAY(商標)S)とともに含む日焼け止め製剤は、有意により高いSPF値およびUVA−PF値を有していた。表7の二酸化チタン日焼け止め製剤の厳密な組成を表8に示す。



<実施例3>
アルコキシクリレン化合物と分散体中無機微粒子とを組み合わせることの相乗効果
【0121】
式Iのアルコキシクリレン化合物を含む酸化亜鉛分散体のSPF値およびUVA−PF値を、オキシクリレンを含む酸化亜鉛分散体、または高誘電率を有する酸化亜鉛分散体と比較した。次いで、これらの分散体の相乗性を計算し、表9に示した。相乗性は、単なる相加効果から期待されるSPF値またはUVA−PF値を上回るSPF値またはUVA−PF値の絶対値である。単なる相加効果は、例えば、アルコキシクリレンを含み、酸化亜鉛を含まない分散体のSPF値を、酸化亜鉛のみを含み、アルコキシクリレンを含まない分散体のSPF値に加えることにより得られる。式Iのアルコキシクリレン化合物を酸化亜鉛と組み合わせて含む分散体は、SPF値およびUVA−PF値についてそれぞれ驚異的な+66%および+29%の相乗性を示す。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物の全重量に対して、約10〜約70重量%の量の無機微粒子材料と、約1〜約70重量%の量の式(I)の化合物と、約0〜約10重量%の量の微粒子材料コーティング材料と、約0〜約10重量%の量の微粒子材料のための分散剤とを含む組成物であって、



およびRの一方は、直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基であり、非アルコキシのRまたはRは水素であり;Rは、直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基である、組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して約10〜約60%の重量範囲の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して約20〜約40%の重量範囲の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記微粒子材料は、組成物の全重量に対して約30〜約70重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記微粒子材料は、組成物の全重量に対して約35〜約65重量%の量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記微粒子材料は、組成物の全重量に対して約45〜約60重量%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記微粒子材料のためのコーティング材料は、組成物の全重量に対して約1〜約10重量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記微粒子材料のための分散剤は、組成物の全重量に対して約1〜約10重量%の量である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
組成物の全重量に対して、約0.1〜約15重量%の量の無機微粒子材料と、約0.1〜約15重量%の量の式(I)の化合物とを含む日焼け止めまたは皮膚用組成物であって、



およびRの一方は、直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基であり、非アルコキシのRまたはRは水素であり;Rは、直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基であり;該微粒子材料は、組成物の全重量に対して約0〜約1重量%のコーティングを場合により含む、日焼け止めまたは皮膚用組成物。
【請求項10】
組成物の全重量に対して、約0.1〜約15重量%の量の無機微粒子材料と、約0.1〜約15重量%の量の式(I)の化合物と、約5重量%までの量のジベンゾイルメタン誘導体とを含む日焼け止めまたは皮膚用組成物であって、



およびRの一方は、直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基であり、非アルコキシのRまたはRは水素であり;Rは、直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基であり;該微粒子材料は、組成物の全重量に対して約0〜約1重量%のコーティングを場合により含む、日焼け止めまたは皮膚用組成物。
【請求項11】
組成物の全重量に対して、前記無機微粒子材料は、約2〜約15重量%の量で組成物に存在し、前記式(I)の化合物は、約1〜約7重量%の量で組成物に存在する、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
組成物の全重量に対して、前記無機微粒子材料は、約3〜約7重量%の量で組成物に存在し、前記式(I)の化合物は、約1〜約4重量%の量で組成物に存在する、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項13】
前記ジベンゾイルメタン誘導体は、組成物の全重量に対して約1〜約4重量%の量で存在する、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
前記ジベンゾイルメタン誘導体はブチルメトキシジベンゾイルメタンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
はメトキシであり、Rは水素である、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
はメトキシであり、Rは水素である、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
はC〜C20直鎖または分岐鎖アルキルである、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記微粒子材料のためのコーティング材料は、ジメチルポリシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、メチルポリシロキサン、シメチコン、エチルヘキシルヒドロキシステアレートベンゾエート、シクロメチコン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、二酸化珪素、酸化鉄、ポリオール、アミン、アルカノールアミン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、ラウリン酸、アルギン酸、シリコーン、オクチルトリメチルシランおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記微粒子材料のためのコーティング材料は、組成物の全重量に対して約0.1〜約1重量%の量で存在する、請求項9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記微粒子材料はコーティングされていない、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
コーティングされた微粒子材料とコーティングされていない微粒子材料とを約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
2つの異なるタイプのコーティングされた微粒子材料を約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
2つの異なるタイプのコーティングされていない微粒子材料を約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記微粒子材料は硫酸バリウム、金属酸化物またはそれらの混合物である、請求項1、9または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記金属酸化物は微粉化されている、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記微粉化された金属酸化物は、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、珪素、マンガン、アルミニウム、セリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される金属の酸化物である、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記微粉化された金属酸化物は、酸化亜鉛、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記微粉化された金属酸化物は、コーティングされていない酸化亜鉛およびコーティングされた二酸化チタンである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記酸化亜鉛は、組成物の全重量に対して約2〜約15重量%の量で存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項30】
前記酸化亜鉛は、組成物の全重量に対して約4〜約15重量%の量で存在する、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記酸化亜鉛は、約300nm未満の粒径を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項32】
前記酸化亜鉛は、約100〜約200nmの粒径を有する、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記二酸化チタンは、組成物の全重量に対して約1〜約4重量%の量で存在する、請求項26に記載の組成物。
【請求項34】
前記二酸化チタンは、組成物の全重量に対して約2〜約4重量%の量で存在する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記二酸化チタンは、約10〜約200nmの粒径を有する、請求項26に記載の組成物。
【請求項36】
前記微粉化された二酸化チタンは、マンガンがドープされている、請求項26に記載の組成物。
【請求項37】
前記マンガンは、二酸化チタンの全重量に対して約1重量%までの量で存在する、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
p−アミノ安息香酸ならびにその塩および誘導体;アントラニレートおよびその誘導体;サリチレートおよびその誘導体;桂皮酸およびその誘導体;ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体;カンファーならびにその塩および誘導体;トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体;ナフトスルホン酸ジベンザルアセトンならびにその塩および誘導体;ナフトスルホン酸ベンザルアセトフェノンならびにその塩および誘導体;ジヒドロキシ−ナフトエ酸 およびその塩;o−ヒドロキシジフェニルジスルホネートならびにその塩および誘導体;p−ヒドロキシジフェニルジスルホネートならびにその塩および誘導体;クマリンおよびその誘導体;ジアゾール誘導体;キニン誘導体およびそれらの塩;キノリン誘導体;ヒドロキシル置換ベンゾフェノン誘導体;ジアルキルナフタレートエステル誘導体;ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、メトキシ置換ベンゾフェノン誘導体;尿酸誘導体;ビロ尿酸誘導体;タンニン酸およびその誘導体;ヒドロキノン;ベンゾフェノン誘導体;1,3,5−トリアジン誘導体;二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールおよびその塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸ならびにその塩および誘導体;メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールならびにその塩および誘導体;ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩、ジエチルアミノヒドロキシルベンゾイルおよびその誘導体;フェニルベンズイミダゾールスルホン酸およびその塩;テレフタリリデンジカンファースルホン酸およびその塩;ならびにそれらの組合せからなる群から選択される1つまたは複数の光活性化合物をさらに含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項39】
前記1つまたは複数の光活性化合物は、桂皮酸エステル;アルコキシ桂皮酸のエステル、サリチル酸オクチルおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記桂皮酸エステルは、p−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル;p−メトキシ桂皮酸イソアミル;およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
0.1から10重量%の三重項消光剤をさらに含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項42】
前記三重項消光剤は、オクトクリレン、メチルベンジリデンカンファー、ジエチルヘキシル2,6−ナフタレートおよびそれらの組合せからなる群 から選択される、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
UV−Aフィルター、UV−Bフィルター、広帯域フィルター、トリアジン、ベンゾトリアゾール、ラテックス粒子、有機顔料、無機顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのUVフィルター物質をさらに含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項44】
前記UVフィルター物質は、以下の構造を有するベンゾトリアゾール化合物である、請求項43に記載の組成物:



【請求項45】
レチノイド化合物、カロテノイド化合物、リポ酸およびその誘導体、ビタミンEおよびその誘導体、ビタミンFおよびその誘導体ならびに二酸からなる群から選択される1つまたは複数の酸化感応性またはUV感応性成分を、組成物の全重量に対して約0.0001〜約10重量%の量で含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項46】
前記酸化感応性またはUV感応性成分は、補酵素Q10およびビタミンAならびにそれらの誘導体からなる群から選択される、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
ビオチン、カルニチンおよび誘導体、葉酸、ピリドキシン、ナイアシンアミド、ポリフェノール、アスコルビン酸および誘導体、ハマメリス、アロエベラ、パンテノールならびにアミノ酸からなる群から選択される親水性活性成分を、組成物の全重量に対して約0.0001〜約10重量%の量で含む、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項48】
無機微粒子材料の安定な分散体を製造する方法であって、前記無機微粒子材料を、得られた分散体の安定性を維持するのに十分な量の式(I)の化合物と混合する工程を含み、



およびRの一方は、直鎖または分岐鎖C〜C30アルコキシ基であり、非アルコキシのRまたはRは水素であり;Rは、直鎖または分岐鎖C〜C30アルキル基であり;該微粒子材料は、分散体の全重量に対して約0〜約10重量%のコーティングを場合により含む、方法。
【請求項49】
はメトキシであり、Rは水素である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
はメトキシであり、Rは水素である、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
はC〜C20直鎖または分岐鎖アルキルである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して約1〜約70%の重量範囲の量で存在する、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して約10〜約60%の重量範囲の量で存在する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記式(I)の化合物は、組成物の全重量に対して約20〜約40%の重量範囲の量で存在する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記無機微粒子材料は、組成物の全重量に対して約10〜約70%の重量範囲の量で存在する、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記無機微粒子材料は、組成物の全重量に対して約30〜約70%の重量範囲の量で存在する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記微粒子材料は、組成物の全重量に対して約35〜約65重量%の量で存在する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記微粒子材料は、組成物の全重量に対して約45〜約60重量%の量で存在する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記微粒子材料のためのコーティング材料は、ジメチルポリシロキサン、トリエトキシカプリリルシラン、メチルポリシロキサン、シメチコン、エチルヘキシルヒドロキシステアレートベンゾエート、シクロメチコン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、ヘキサメタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、二酸化珪素、酸化鉄、ポリオール、アミン、アルカノールアミン、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸、ラウリン酸、アルギン酸、シリコーン、オクチルトリメチルシランおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項60】
前記微粒子材料のためのコーティング材料は、組成物の全重量に対して約1〜約10重量%の量で存在する、請求項48に記載の方法。
【請求項61】
前記微粒子材料はコーティングされていない、請求項48に記載の方法。
【請求項62】
コーティングされた微粒子材料とコーティングされていない微粒子材料とを約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項48に記載の方法。
【請求項63】
2つの異なるタイプのコーティングされた微粒子材料を約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項48に記載の方法。
【請求項64】
2つの異なるタイプのコーティングされていない微粒子材料を約10:1〜約1:10の重量比で含む、請求項48に記載の方法。
【請求項65】
前記微粒子材料は硫酸バリウム、金属酸化物またはそれらの混合物である、請求項48に記載の方法。
【請求項66】
前記金属酸化物は微粉化されている、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記微粉化された金属酸化物は、チタン、亜鉛、鉄、ジルコニウム、珪素、マンガン、アルミニウム、セリウムおよびそれらの混合物からなる群から選択される金属の酸化物である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記微粉化された金属酸化物は、酸化亜鉛、二酸化チタンおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記微粉化された金属酸化物は、コーティングされていない酸化亜鉛およびコーティングされた二酸化チタンである、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記酸化亜鉛は、組成物の全重量に対して約2〜約15重量%の量で存在する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記酸化亜鉛は、組成物の全重量に対して約4〜約15重量%の量で存在する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記酸化亜鉛は、約300nm未満の粒径を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記酸化亜鉛は、約100〜約200nmの粒径を有する、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記二酸化チタンは、組成物の全重量に対して約1〜約4重量%の量で存在する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記二酸化チタンは、組成物の全重量に対して約2〜約4重量%の量で存在する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記二酸化チタンは、約10〜約200nmの粒径を有する、請求項67に記載の方法。
【請求項77】
前記微粉化された二酸化チタンは、マンガンがドープされている、請求項67に記載の方法。
【請求項78】
前記マンガンは、二酸化チタンの全重量に対して約1重量%までの量で存在する、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記組成物は、組成物の全重量に対して約1〜約10重量%の量の前記微粒子材料のための分散剤をさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項80】
皮膚をUV線から保護する方法であって、請求項1に記載の組成物を皮膚に塗布する工程を含む、方法。

【公表番号】特表2013−503863(P2013−503863A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527875(P2012−527875)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/040869
【国際公開番号】WO2011/028320
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(305048082)ホールスター イノベーションズ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】