説明

アルコキシル化アルコールエステルおよび炭化水素系エステル油を含む化粧品組成物

【課題】申し分のない色堅牢度を有し、それと同時に光沢があり、かつ快適である化粧品組成物を提供。
【解決手段】本特許出願は、アルコキシル化アルコールとカルボン酸の少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種のエステル油を含む化粧品組成物であって、前記組成物が30%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にする化粧品組成物に関する。
アルコキシル化アルコールエステルは、特にオクチルドデシルPPG-3ミリスチルエーテルダイマージリノレアートであってよい、
この組成物は、ケラチン物質、特に皮膚、唇および/または外皮用のケアおよび/またはメークアップ製品として使用されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシル化アルコールエステルを含む化粧品組成物、特にヒトの顔および身体の皮膚、頭皮、唇または外皮、例えば毛髪、睫毛、眉毛または爪のメークアップまたはケアのための化粧品組成物に関する。
【0002】
本発明の組成物は、特に唇、身体または外皮のための、ケア特性も有するメークアップ製品を構成する。本発明の組成物は、特にリップスティックまたはリップグロス、メークアップルージュ、アイシャドウ、タトゥー製品、マスカラ、アイライナー、ネイルエナメル、皮膚のための人工タンニング製品、毛髪着色製品またはヘアケア製品を構成する。
【0003】
本発明の化粧品組成物は有利には、申し分のない色堅牢度を有し、それと同時に光沢があり、かつ快適である。
【背景技術】
【0004】
耐久性は、特に化粧用製品の使用者により所望される。満足のゆく耐久性を有するリップスティックは一般に、低分子量のエステル油またはシリコーン油を含む。これらの製品の耐久性を向上させるために、最近の配合コンセプトは、揮発性溶媒により相容された「光沢のある」相と「色彩および快適性」の相との組合せに基づいている。製品を唇に適用する間に、揮発性物質は蒸発し、次いで凝離現象が起こる。しかしこのコンセプトは依然として、耐久性と快適性の改善に関して限度がある。その理由は、相の相容性の範囲は依然として制限されており、イソドデカンの含有量を、スティックの堅さおよびとりわけ快適さを損なうほどまでに増加させることができないからである。
【0005】
配合がイソドデカンなどの揮発性溶媒中に分散したアクリレート/アクリル酸コポリマーを含むことが提案されてきた。これらのポリマーは、溶媒が蒸発した後に、唇上に被膜を形成する。しかし、これらの配合は、ケラチン物質上での化粧品組成物の耐久性を確実にするために、非常に高濃度の揮発性物質を必要とすることから、ケラチン物質への付着物の快適性を損なうことになる。
【0006】
驚くべきことに、アルコキシル化エステルは、快適性が標準的配合と同等な、光沢のある配合であると同時に、既知の配合と比較する場合、実質的に色堅牢度を向上させる配合を得ることを可能にすることが判明している。
【0007】
ある種のアルコキシル化エステルは、すでに化粧品組成物に使用されている。
【0008】
すなわち、米国出願公開US 2002/0 192 249は、4から24個の炭素原子を含むモノカルボン酸と、ポリプロポキシル基および2から24個の炭素原子を含むアルキル鎖を含むアルコールとのエステルを含む化粧品組成物について記述している。
【0009】
製剤は、アルコキシル化エステルの他に、鉱油または流動パラフィンを含んでよい。前記文献はまた、このエステルおよび被膜形成剤を含む無水組成物、ならびにPPG-3ミリスチルエーテルネオヘプタノエートを含む組成物についても記述している。より具体的には、文献はこのポリプロポキシル化エステルを水素添加ポリイソブテンと組み合わせて含むリップスティック組成物;このエステルを含むエマルションとしてのクリームファンデーション組成物;このエステルと組み合わせてヘキシルラウリレート、オクチルパルミテートおよびセチルパルミテートを含むエマルションとしてのサンスクリーン組成物を示している。
【0010】
米国特許US 5 693 316は、2から22個の炭素原子を含むジカルボン酸、特にマレイン酸、ならびに、14から22個の炭素原子を含むアルキル鎖およびポリアルコキシル基を含む化学量論的に過剰量の1つまたは複数のポリアルコキシル化脂肪アルコールとから得られるアルコキシル化脂肪エステルを含む化粧品組成物を開示している。製剤は、鉱油または流動パラフィンを第二のエモリエント剤として含んでよい。前記文献はまた、このエステルおよび被膜形成剤を含む無水組成物も記述している。アルコキシル化エステルは、特にジ-PPG-3ミリスチルマレエートである。
【0011】
米国特許US 6 476 254は、4から12個の炭素原子を含むジカルボン酸と非アルコキシル化部分が8から36個の炭素原子を含むポリアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルを含む化粧品組成物を開示している。エステルは、ジ-PPG-3ミリスチルアジペートであってよい。組成物は無水物であってよい。組成物は、鉱油または流動パラフィンを含んでよい。
【0012】
国際公開WO 2003/013 439は、C3〜C21ジカルボン酸またはC4〜C22、特にC3からC9の脂肪族トリカルボン酸と、C6〜C30、特にC18〜C22アルキル基を含むポリアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルに関する。前記文献は、ワセリン、鉱油、脂肪族カルボン酸と18から40個の炭素原子を含む脂肪族アルコールとのエステル、被膜形成剤、またはセチルアルコールなどの脂肪アルコールを含んでよい化粧品組成物について記述している。
【0013】
米国特許US 5 302 377、米国特許US 5 455 025および米国特許US 5 597 555は、トリカルボン酸、特にクエン酸とエモリエント性を有する化学量論的に過剰量の1つまたは複数のポリアルコキシル化脂肪アルコールとのアルコキシル化脂肪エステル含む、局所製剤を目的とする化粧品組成物を開示している。製剤は、第二のエモリエント剤として鉱油を含む。前記文献はまた、このエステルと被膜形成剤との組合せも記述している。エステルは、特にトリ-PPG-3ミリスチルシトレートである。
【0014】
国際公開WO 2004/052 076は、ポリアルコキシル化アルコールおよび一価アルコールとポリカルボン酸、特にジカルボン酸との混合エステルを含む化粧品組成物について記述している。これらの組成物は、鉱油または流動パラフィンなどの第二のエモリエント剤を含んでよい。記載の混合エステルは、被膜形成性化合物と組み合わせて配合されてよい。
【特許文献1】米国出願公開US 2002/0 192 249
【特許文献2】米国特許US 5 693 316
【特許文献3】米国特許US 6 476 254
【特許文献4】国際公開WO 2003/013 439
【特許文献5】米国特許US 5 302 377
【特許文献6】米国特許US 5 455 025
【特許文献7】米国特許US 5 597 555
【特許文献8】国際公開WO 2004/052 076
【特許文献9】国際公開WO 00/19972
【特許文献10】仏国特許出願FR 02/09246
【特許文献11】欧州特許出願EP-A-O 955 039
【特許文献12】仏国特許出願FR 03/04259
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の主題の1つは、アルコキシル化アルコールとカルボン酸の少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルを含む化粧品組成物であって、前記組成物が30%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にする化粧品組成物である。
【0016】
本発明の主題はまた、化粧品組成物の被膜、光沢、耐久性および快適性を与えるための美容方法であって、前記組成物にアルコキシル化アルコールとカルボン酸との少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルを導入することを本質とする美容方法でもある。
【0017】
本発明の主題はまた、光沢、耐久性および快適性を有する化粧品組成物を得るための、アルコキシル化アルコールとカルボン酸との少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルの組合せの使用でもある。
【0018】
本発明の主題はまた、アルコキシル化アルコールとカルボン酸との少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルを含む組成物であって、前記組成物が30%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にする組成物をケラチン物質に適用することを本質とする、ケラチン物質のケアおよび/またはメークアップ方法でもある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
用語「アルコキシル化アルコール」は、少なくとも1個、好ましくは1個のみの-OH官能基、および少なくとも1個の基:
【0020】
【化1】

【0021】
(式中、xおよびyは、独立して、両端を含む0から40の整数でありかつ、xおよびyの和は、両端を含む1と80との間であり、
R4は、1から36個の炭素原子、特に4から36個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換の炭化水素系単位である)
を含む炭化水素系化合物を意味する。
【0022】
アルコキシル化アルコールは、好ましくは、上記式を有する基が、xおよびyが、独立して、両端を含む0から40の整数であり、かつxおよびyの和が、両端を含む2と80との間であるようなポリアルコキシル化アルコールである。xおよびyは、好ましくは、独立して、両端を含む0から30の整数であり、かつxおよびyの和が、両端を含む2と30との間である。
【0023】
上記式は、第一の基の中の全てのエトキシ単位および他の基の中の全てのプロポキシ単位を図式的に例示している。実際は、これらの単位は、いかなる順序で配列されてもよく、ランダムでも、ブロック状でも、交互に並んだ単位の形態に配列されてもよい。単に例証を目的として、アルコキシル化アルコールのエトキシ単位(E)およびプロポキシ単位(P)は、下記の様式で配列されてよい:EEEP、EEPE、EPEE、PEEE、EEEPEPPPE、PEPPPEEEEPEおよび同様な配列。
【0024】
[アルコキシル化エステル]
本発明の組成物は、以下にアルコキシエステルとして参照される、アルコキシル化アルコールとカルボン酸との少なくとも1種のエステルを含み、アルコキシル化エステルは、
・モノカルボン酸をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるエステル、
・ポリカルボン酸を、前記酸中の酸官能基の数に対して化学量論的に過剰量の少なくとも1種のアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステル、
・1個のエステル官能基のみが、ポリカルボン酸の酸官能基をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステル、
・ポリカルボン酸の酸官能基をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られる少なくとも1種のエステル官能基および前記ポリカルボン酸の他の酸官能基を脂肪アルコールと反応させることにより得られる少なくとも1種のエステル官能基を含むポリエステル、ならびに
・これらの混合物、
から選択されてよい。
【0025】
[モノカルボン酸のアルコキシル化エステル]
アルコキシル化エステルは、モノカルボン酸とアルコキシル化、特にポリアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルから選択されてよい。特に、アルコキシル化エステルは、脂肪族または芳香族モノカルボン酸を化学量論的に過剰量のポリアルコキシル化脂肪アルコール、例えばポリプロポキシル化アルコールと反応させることにより形成されるエステルから選択される。
【0026】
モノカルボン酸のアルコキシル化エステルは、下記の構造式:
を有するポリプロポキシル化モノエステルから選択されてよい。
【0027】
【化2】

【0028】
(式中、xは、両端を含む2から40、好ましくは3から30、特に3と10の間の整数であり、
R4は、1から36個の炭素原子、好ましくは3から24個の炭素原子、好ましくは4から24個の炭素原子を含む飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族炭化水素系単位であり、
RCOOは、脂肪族または芳香族モノカルボン酸RCOOHに相当する)
RCOOは、
・モノカルボン酸残基、例えば、式中R2、R3およびR4が、独立して、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択される式(R2R3R4C)COOの酸;または、
・OHまたはNH2またはメチルまたはエチルで任意選択で置換されたベンゼン環を含む芳香族酸残基、
であってよい。
【0029】
アルコキシル化エステルを調製するのに適した脂肪族モノカルボン酸は、4から24個の炭素原子、特に4から18個の炭素原子を含んでよい。脂肪族モノカルボン酸の例には、2-エチルヘキサン酸、カプロン酸、ネオペンタン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸およびオレイン酸が含まれる。
【0030】
芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸およびp-アミノ安息香酸が含まれる。
【0031】
アルコキシル化エステルを調製するのに使用される脂肪アルコールは、飽和または不飽和、置換または非置換、脂肪族または芳香族であってよくかつ、直鎖または分枝鎖を有してよい。脂肪アルコールは、6から24個の炭素原子、特に12と14個の間の炭素原子を有してよい。
【0032】
用語「脂肪アルコール」は、少なくとも3個の炭素原子を含む脂肪族アルコールを意味する。好ましくは、脂肪アルコールは、炭素、水素および酸素原子を含む。脂肪アルコールは、飽和されていても、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含んでよい。
【0033】
脂肪アルコールは特に、脂肪あるいは植物油または動物油の加水分解により得られるアルコールであってよい。
【0034】
モノカルボン酸とポリプロポキシル化脂肪アルコールとのエステルは、例えば、Trivasperseの参照名で販売されているPPG-3ミリスチルエーテルネオヘプタノエートおよびPPG-4ブチルオクチルエーテルエチルヘキサノエートならびにこれらの混合物から選択される。
【0035】
これらのエステルは、米国出願公開US 2002/0 192 249の指針に従って調製されてよく、その内容は参照することにより本特許出願に組み込まれる。
【0036】
[アルコキシル化混合ポリエステル]
アルコキシル化エーテルは特にアルコキシル化アルコール、および一価アルコールとポリカルボン酸、特にジカルボン酸との混合エステルから選択されてよい。
【0037】
アルコキシル化エステルは特に、ポリアルコキシル化脂肪アルコール、および一価脂肪アルコールとジカルボン酸との混合エステルから選択される。
【0038】
用語「混合エステル」はポリカルボン酸を少なくとも2種の異なるアルコールと反応させて得られるエステルを意味する。
【0039】
用語「脂肪酸」は、少なくとも3個の炭素原子を含む脂肪族カルボン酸を意味する。好ましくは、脂肪酸は炭素、水素および酸素原子からなる。脂肪酸は、飽和されていてもよく、あるいは少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含んでもよい。
【0040】
脂肪酸は特に、脂肪あるいは植物油または動物油の加水分解により得られるカルボン酸であってよい。
【0041】
アルコキシル化アルコールの混合エステルは、特に下記の構造式:
を有する化合物から選択されてよい。
【0042】
【化3】

【0043】
[式中、R1は構造式:
【0044】
【化4】

【0045】
(式中、
R4は、4から24個の炭素原子を含む飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族単位であり、
xは、3から30の整数であり;yは、3から30の整数である)
を有し
R2は、4から40個の炭素原子を含む飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族単位であり、かつ
R3は、4から32個の炭素原子、特に12から24個の炭素原子を含む飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖の脂肪族単位である]
【0046】
上記一般式に相当する化合物の例は、
・式
【0047】
【化5】

【0048】
を有する、Liquiwax polyEFAの参照名でArch Chemical社により販売されているオクチルドデシルPPG-3ミリスチルエーテルジリノレアート、
・Liquiwax polyIPLの参照名でArch Chemical社により販売されているステアリルPPG-3ミリスチルエーテルジリノレアート、および
・イソステアリルPPG-4ブチルオクチルエーテルジリノレアート、
である。
【0049】
これらの混合エステルは、アルコキシル化脂肪アルコールおよび一価脂肪アルコールをジカルボキシ脂肪酸と反応させることにより生成されてよい。
【0050】
アルコキシル化脂肪アルコールは、好ましくはプロポキシル化脂肪アルコールであり、かつ4と24個の間の炭素原子の炭素鎖長および3と30の間のプロポキシル化度、全く好ましくは3と15個の間の酸化プロピレン単位を有する。好ましいプロポキシル化脂肪アルコールは、ミリスチルアルコールおよびブチルオクタノールである。
【0051】
ジカルボン酸は、1分子あたり少なくとも2個のカルボキシル基を含む。ジカルボン酸は、特に下記の式(I):
HOOC-(CH2)n-COOH (I)
(式中、nは1から16、好ましくは3から16の整数である)
により表される。
【0052】
本発明に適するジカルボン酸の非限定的例証として、特にマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナメチレンジカルボン酸、1,10-デカメチレンジカルボン酸、1,11-ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12-ドデカメチレンジカルボン酸、1,13-トリデカメチレンジカルボン酸、1,14-テトラデカメチレンジカルボン酸、1,15-ペンタデカメチレンジカルボン酸および1,16-ヘキサデカメチレンジカルボン酸、ならびにこれらの混合物が挙げることができる。
【0053】
ジカルボン酸はまた、二酸ダイマーであってもよい。用語「二酸ダイマー」は、分子間重合、特に二量化、少なくとも1種の不飽和モノカルボン酸の反応により得られる二酸を意味する。
【0054】
二酸ダイマーは、特にC8からC34、特にC12からC22、特にC16からC20、より特にC18の不飽和脂肪酸の二量化から特に誘導される。
【0055】
特に言及されてよいこれら不飽和脂肪酸の典型には、前述のように、ウンデセン酸、リンデリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、エライジン酸、ガドレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、エルカ酸、ブラシジン酸およびアラキドン酸、ならびにこれらの混合物が含まれる。
【0056】
特定の一変形例によれば、二酸ダイマーはより特に、エステル化されるジオールダイマーもまたそこから誘導される二酸ダイマーである。
【0057】
より特に、二酸ダイマーは、リノール酸の二量化と場合によってそれに続く炭素-炭素結合の水素添加により得られる二酸ダイマーである。二酸ダイマーは、飽和形態であってよく、すなわち、炭素-炭素二重結合を含まなくてよい。他の実施例によれば、二酸ダイマーとジオールダイマーのエステル化反応後に、二酸ダイマー中に存在する可能性のある炭素-炭素二重結合は、全てまたは部分的に水素添加されている。
【0058】
一実施形態によれば、二酸ダイマーは、約36個の炭素原子を含むジカルボン酸からなる市販製品である。この製品はまた、三量体酸および一量体酸も、製品の純度に応じた割合で含む。二酸ダイマーの含有量が70%を超える製品および二酸ダイマーの含有量が90%以上に調節された他の製品が通常、市販されている。
【0059】
二酸ダイマー、特に二量化反応後に残存する二重結合の水素添加により酸化に対する安定性が改善されたジリノール酸二酸もまた、市販されている。
【0060】
本発明において、現在市販されているいかなる二酸ダイマーも使用されてよい。
【0061】
一価脂肪アルコールは、12と24の間の炭素鎖長を有してよい。好ましい一価脂肪アルコールは、オクチルドデカノールおよびイソステアリルアルコールである。
【0062】
前述のエステルの製剤例は、国際公開WO 2004/052 076によって示され、その内容は参照することにより本特許出願に組み込まれる。
【0063】
[アルコキシル化ポリエステル]
アルコキシル化エステルは、ポリカルボン酸と、同一でも異なっていてもよくエステルを形成するような少なくとも2種のアルコキシル化アルコールとのエステル化により得られてよい。
【0064】
エステルは、特に式:
【0065】
【化6】

【0066】
(式中、
-OCC-B-COO-は、前述のように、特に2から40個の炭素原子を含む飽和または不飽和、置換または非置換のジカルボン酸残基であり、
xおよびyは、独立して、両端を含む0から40の整数であり、かつ、xおよびyの和が、両端を含む1と80との間、好ましくは両端を含む2と80との間であり、
tおよびuは、独立して、両端を含む0から40の整数であり、かつ、tおよびuの和が、両端を含む1と80との間、好ましくは両端を含む2と80との間であり、
R4およびR5は、互いに独立して、4から36個の炭素原子を含む脂肪族または芳香族、飽和または不飽和、置換または非置換の炭化水素系単位である)
のエステルから選択されてよい。
【0067】
一実施形態によれば、R4およびR5は、同一でも異なっていてもよく、特に10から22個の炭素原子を含んでよく、かつ飽和または不飽和、および置換または非置換であってよい。
【0068】
一実施形態によれば、xが0に等しい場合、yは少なくとも2に等しいという条件およびyはxよりも大きいという付加的条件で、yは1から40であり、かつxは0から30である。
【0069】
一実施形態によれば、tが0に等しい場合、uは少なくとも2に等しいという条件およびuはtよりも大きいという付加的条件で、uは1から40であり、かつtは0から30である。
【0070】
ジカルボン酸は、脂肪族であってよく、かつ、2から36個の炭素原子を含んでよい。芳香族ジカルボン酸は、有利には8から36個の炭素原子を含む。好ましい脂肪族ジカルボン酸は3から8個の炭素原子を含む。適切な脂肪族ジカルボン酸の例には、アジピン酸、セバシン酸、マロン酸、コハク酸およびマレイン酸が含まれる。
【0071】
好ましい芳香族ジカルボン酸は、8から12個の炭素原子を含む。適切な芳香族ジカルボン酸の例は、フタル酸である。フタル酸異性体中で最も低い融点を有する1,2-フタル酸が好ましい。
【0072】
好ましくは、xおよびyの合計は、25を超えず、xおよびyは、それぞれ15に等しい。好ましくは、uおよびtの合計は、25を超えず、uおよびtは、それぞれ15に等しい。
【0073】
一実施形態において、yまたはuは1以上であり、xまたはtは0以上である。エトキシ単位の数は、プロポキシ単位の数よりも大きくてよい。
【0074】
アルコキシル化エステルは、国際公開WO 00/19972の指針に従って調製されてよく、その内容は参照することにより本特許出願に組み込まれる。
【0075】
非置換飽和脂肪族基は、本発明のジカルボン酸ジエステルに好ましく、14から18個の炭素原子を含むような脂肪基は、より好ましい。さらにより好ましいのは、14から16個の炭素原子を含む基である。前述のように、14個の炭素原子を含むミリスチル脂肪基は特に好ましい。
【0076】
好ましい一実施形態において、R4およびR5がミリスチル基である場合、yおよびuは好ましくは0に等しく、かつxおよびtはそれぞれ、好ましくは、独立して、両端を含む2から40から選択される整数である。特に好ましい実施例は、Cromollient DP3Aの参照名で販売されている製品であり、この製品において、前記式中、R4およびR5はミリスチル基であり、-OCC-B-COO-は、アジペートであり、y=uは0に等しく、かつx=tは3に等しい。
【0077】
アルコキシル化エステルは有利には、組成物中に、組成物の全重量に対して、特に1重量%から99重量%、特に2重量%から60重量%、特に5重量%から40重量%、より特に10重量%から35重量%の割合で存在する。
【0078】
[炭化水素系エステル]
用語「炭化水素系エステル」は、前述のアルコキシル化エステルとは異なる化合物であって、少なくとも1個のエステル官能基COOを含む化合物を意味する。本発明によれば、語エステルは、モノエステル、ジエステル、トリエステルおよび、より一般的に、前述のポリエステルとは異なるポリエステルを意味する。
【0079】
本発明の炭化水素系エステルは、好ましくは油、すなわち大気圧下、23℃で液体である脂肪物質である。
【0080】
炭化水素系エステルは、直鎖、分枝状または環状、かつ飽和または不飽和であってよい。
【0081】
炭化水素系エステルは、好ましくは不揮発油である。
【0082】
用語「揮発油」は、室温および大気圧下で皮膚と接触して1時間以内に蒸発することが可能な油(または非水性媒体)を意味する。揮発油は、室温で液体であり、特に室温大気圧下でゼロではない蒸気圧を有し、特に0.13Paから40,000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13,000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、優先的には1.3Paから1300Pa(0.01から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0083】
特に、炭化水素系エステルは、式中RCOOが2から30個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、かつR'が1から30個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を表す、式RCOOR'に相当してよい。
【0084】
RCOOは、好ましくは、2から30個の炭素原子、好ましくは4から26個の炭素原子、より好ましくは4から22個の炭素原子を含む芳香族カルボン酸残基である。
【0085】
基Rは、有利には、アルキル基またはアルケニル基である。用語「アルキル基」は、炭素および水素からなる飽和、直鎖または分枝状脂肪族基を意味する。用語「アルケニル基」は、不飽和、すなわち少なくとも1個の炭素-炭素二重結合、好ましくは1から3個の二重結合、好ましくは1個の炭素-炭素二重結合を含む、炭素および水素からなる直鎖または分枝状脂肪族基を意味する。
【0086】
RCOOは、脂肪酸残基、すなわち植物または動物由来の脂肪物質の加水分解により得られる酸を表してよい。
【0087】
基R'Oは、飽和または不飽和、直鎖または分枝状アルコール残基、好ましくは脂肪族アルコールを表す。基R'は、有利には、アルキル基またはアルケニル基、基Rの選択とは無関係に、上記に定義されているアルキルまたはアルケニルである。
【0088】
R'Oは、脂肪族アルコール残基、すなわち上記に定義の脂肪酸の水素添加により得られるアルコールを表してよい。
【0089】
R'Oは、2から30個の炭素原子、好ましくは4から26個の炭素原子、より好ましくは4から22個の炭素原子を含む脂肪アルコール残基である。
【0090】
RおよびR'は、互いに独立して選択される。RおよびR'は、好ましくはどちらも飽和かつ分枝状であるか、またはどちらも直鎖かつモノ不飽和であるかのように選択される。
【0091】
エステルは、特に60個までの炭素原子、好ましくは10から45個、好ましくは18から40個の炭素原子を含んでよい。
【0092】
一実施形態によれば、炭化水素系エステルは分枝状飽和モノエステルである。好ましくは、エステルは分枝状飽和脂肪族カルボン酸と分枝状飽和脂肪族アルコールとのモノエステルである。
【0093】
他の実施形態によれば、炭化水素系エステルは直鎖不飽和脂肪一酸と(炭素-炭素二重結合を含む)直鎖不飽和脂肪モノアルコールとのモノエステルである。
【0094】
したがって、エステルは、ネオペンタン酸エステル、例えばイソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエートおよび2-オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えばイソノニルイソノナノエート、オクチルイソノナノエート、イソデシルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエートおよびイソステアリルイソノナノエート、しかしまたイソプロピルアルコールエステル、例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレートまたはイソプロピルイソステアレート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、ならびにプロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート、ならびにこれらの混合物も含む非限定的リストから選択されてよい。前記エステルはまた、合成エステル、特に脂肪酸の合成エステル、例えばパーセリンオイル、イソプロピルミリステート、エチルパルミテートまたはオクチルステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、ジイソプロピルアジペート、あるいは脂肪アルコールヘプタノエート、脂肪アルコールオクタノエートまたは脂肪アルコールデカノエート、ならびにこれらの混合物から選択されてもよい。
【0095】
イソノニルイソノナノエート、オレイルエルケート、2-オクチルドデシルネオペンタノエートおよびこれらの混合物は、最も特に、本発明の実施に適している。
【0096】
このまたはこれらの炭化水素系エステルは、組成物中で、組成物の全重量に対して、5重量%から90重量%、特に10重量%から60重量%、特に20重量%から50重量%の割合で使用されてよい。
【0097】
[耐久性]
有利には、組成物は、30%以上、好ましくは40%以上、好ましくは45%以上、好ましくは50%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にする。
【0098】
有利には、炭化水素系エステルは、それが組成物中に十分な量で存在する場合、耐久性が30%以上である付着物を形成することを可能にするものである。
【0099】
本発明の組成物により得られる付着物の色移り指数は、以下に記述の測定プロトコルに従って決定される。
【0100】
接着プラスター(RE40X70EP3の名称でJoint Technique Lyonnais Ind.社により販売されているフォーム層)が取り付けられている側と反対側に接着しているポリエチレンフォーム層の上に接着されたアクリルコーティング(Blenderme ref. FH5000-55113の名称で3M Sante社により販売されているポリエチレンフィルムに接着する低アレルギー性アクリル接着剤)からなる支持体(40mm×70mmの長方形)を用意する。
【0101】
アクリルコーティング側の支持体の色彩L*0a*0b*0を、Minolta CR300色彩計を用いて測定する。
【0102】
このように用意した支持体を、支持体の表面が33℃±1℃の温度に保たれるように40度の温度に保ったホットプレート上で予熱する。
【0103】
支持体をホットプレート上に置いたままで、組成物を支持体の非接着性表面(すなわちアクリルコーティング面)全体に塗布し、ブラシで広げて約15μmの組成物の付着物を得、次いでこの付着物を10分間、乾燥させる。
【0104】
乾燥後、このようにして得られたフィルムの色彩L*a*b*を測定する。
【0105】
次いで、無塗布の支持体の色彩に対する、フィルムの色彩の色差ΔE1を下記の関係式:
により決定する。
【0106】
【数1】

【0107】
次いで、支持体をその接着面(フォーム層の接着面)で、直径20mmのアンビルに接着し、スクリューピッチを取り付ける。次いで、支持体/付着物アセンブリの試料を、直径18mmのサンプルパンチを用いて切り取る。次いでアンビルを引張り試験機(Someco社のImada DPS-20)を装備した圧縮機(Someco社のStatif Manuel Imada SV-2)にねじ留めする。
【0108】
基本重量80g/m2のシート状白色コピー用紙の上に、幅33mm、長さ29.7cmの帯を描き、第1の線をシートの端から2cmの位置に引き、次いで第2の線をシートの端から5cmの位置に引き、したがって第1の線と第2の線で帯の上にボックスの範囲を定める。次に、帯に位置する第1の印および第2の印に、第2の印からそれぞれ8cmと16cmの基準点で塗布を行う。20μlの水を第1の印の上に載せ、10μlの精製ヒマワリ油(Lesieur社により販売されている)を第2の印に載せる。
【0109】
白色紙を圧縮機の台に載せ、次いで紙の帯のボックスに載せた試料を約300g/cm2の圧力で圧縮し、30秒間力をかける。次いで圧力を取り除き試料を再び第2の印のすぐ後ろ(すなわちボックスの隣)に載せ、約300g/cm2の圧力を再びかける。接触が起こったら速やかに、紙を1cm/秒の速度で、帯の全長にわたって直線的に移動させ、試料が水および油の付着物を通過するようにする。
【0110】
試料を取り除いた後に、付着物の一部が紙の上に色移りしている。次いで、試料上に残存する付着物の色彩L*'、a*'、b*'を測定する。
【0111】
無塗布の支持体の色彩に対する、試料上に残存する付着物の色彩の色差ΔE2を下記の関係式:
により決定する。
【0112】
【数2】

【0113】
組成物の色移り指数は、パーセントで表示すると、比:
100×ΔE2/ΔE1
に等しい。
【0114】
測定は、6個の支持体について連続して実施し、色移り指数は、6個の支持体について得られた6回の測定値の平均に相当する。
【0115】
[ペースト状物質]
組成物はまた、少なくとの1種のペースト状物質を含んでよい。
【0116】
組成物は有利には、ラノリンまたはラノリン誘導体を含まない。
【0117】
したがって、本発明の主題の一つは、アルコキシル化アルコールエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルを含む組成物であって、前記組成物がラノリンまたはその誘導体を含まない組成物である。
【0118】
通常使用されるラノリン誘導体の例証として、特に、液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、アセチル化ラノリン、オキシプロピル化(5PO)ラノリン、ラノリンワックス、液状ラノリンアセテート、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレン-ラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリン脂肪酸のコレステリルエステル、ラノリンアルコール、ラノリンアルコールアセテートおよびイソプロピルラノレートなどを挙げることができる。
【0119】
ラノリンは、熱および紫外線に敏感であるという欠点を有する。ラノリンは、酸化されて好ましくないにおいを発生する傾向があり、かつその強い黄色の色彩により無着色のケア用ベースおよび無色のベースでの使用を妨げ、化粧品組成物へのその使用が制限される。
【0120】
出願人は、前述のアルコキシル化エステルは、ラノリンおよびその誘導体の良好な代替物であることを見出した。
【0121】
本発明のために、用語「ペースト状物質」は、可逆的な固体/液体状態変化を有し、23℃の温度で液体部分と固体部分とを含む親油性脂肪化合物を意味するよう意図されている。用語「ペースト状物質」はまた、ポリビニルラウレートも意味する。
【0122】
ペースト状化合物は、
・ラノリンおよびその誘導体、
・重合性または非重合性フッ素化合物、
・重合性または非重合性シリコーン化合物、
・ビニルポリマー、特に:
・オレフィンホモポリマー
・オレフィンコポリマー
・水添ジエンホモポリマーおよびコポリマー
・好ましくはC8〜C30アルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマー性またはコポリマー性直鎖または分枝状オリゴマー
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエステルのホモポリマー性またはコポリマー性オリゴマー
・C8〜C30アルキル基を含むビニルエーテルのホモポリマー性またはコポリマー性オリゴマー
・1つまたは複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオール間でのポリエーテル化により生成した油溶性ポリエーテル
・エステル
・およびこれらの混合物、
から選択されてよい。
【0123】
油溶性ポリエーテルの中で、特に好ましいのは、酸化エチレンおよび/またはC6〜C30長鎖酸化アルキレンのコポリマー、より好ましくはコポリマー中の酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンと酸化アルキレンとの重量比が、5:95から70:30であるようなコポリマーである。このファミリー中で、長鎖酸化アルキレンが平均分子量1,000から10,000のブロックに配列されたコポリマー、例えば、Akzo NobelによりElfacos ST9の商標名で販売されている、ドデカンジオール(22mol)とポリエチレングリコール(45EO)とのエーテルなどのポリオキシエチレン/ポリドデシルグリコールブロックコポリマーを特に挙げることができる。
【0124】
ペースト状エステルの中で、特に好ましいのは:
・オリゴマーグリセロールのエステル、特にジグリセロールエステル、特にアジピン酸とグリセロールの縮合体で、グリセロールのヒドロキシル基の一部がステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸とイソステアリン酸および12-ヒドロキシステアリン酸などの脂肪酸の混合物と反応しているもの、特にSoftisan 649の商標名でSasol社により販売されている製品など、
・Waxenol 801の商標名でAlzoにより販売されているアラキジルプロピオネート、
・植物ステロールエステル、
・直鎖または分枝状C4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸とC2〜C50ジオールまたはポリオールとの間の縮重合により生成された、前述のポリエステル以外の、非架橋ポリエステル、
・脂肪族ヒドロキシカルボン酸と脂肪族モノカルボン酸とのエステルのエステル化により生成されたエステルの脂肪族エステル;ならびにこれらの混合物、例えば、
・水添ヒマシ油とイソステアリン酸との1対1(1/1)の比率でのエステル化反応により生成されたエステルまたは水添ヒマシ油モノイソステアレート、
・水添ヒマシ油とイソステアリン酸との1対2(1/2)の比率でのエステル化反応により生成されたエステルまたは水添ヒマシ油ジイソステアレート、
・水添ヒマシ油とイソステアリン酸との1対3(1/3)の比率でのエステル化反応により生成されたエステルまたは水添ヒマシ油トリイソステアレート、
・およびこれらの混合物、
である。
【0125】
植物由来のペースト状化合物の中で、選択されるのが好ましいのは、Lanolideの参照名でVevy社により販売されているダイズステロールおよびオキシエチレン化(5EO)オキシプロピレン化(5PO)ペンタエリスリトールの混合物である。
【0126】
ペースト状化合物は、好ましくは組成物の重量に対して、1%から99%、より好ましくは1%から60%、より好ましくは2%から30%、より好ましくは5%から15%に相当する。
【0127】
[染料]
有利には、本発明の組成物は、染料、顔料および真珠母、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の染料もまた含んでよい。この染料は、組成物の全重量に対して、0.001%から98%、好ましくは0.5%から85%、より好ましくは1%から60%に相当してよい。
【0128】
染料は、好ましくは油溶性染料であるが、水溶性染料を使用してもよい。油溶性染料は、例えば、Sudan red、D&C Red 17、D&C Green 6、β-カロチン、ダイズ油、Sudan brown、D&C Yellow 11、D&C Violet 2、D&C Orange 5、キノリンイエローおよびアナトーである。油溶性染料は、組成物の重量の0から20%、より好ましくは0.1%から6%に相当してよい。水溶性染料は、特にビート根液汁およびメチレンブルーであり、(存在する場合には)、組成物の重量の0.1%から6%に相当してよい。
【0129】
リップスティックまたはボディメークアップ製品などのペースト状または成型形態の組成物に関して、組成物の全重量に対して、0.5%から50%、好ましくは2%から40%、より好ましくは5%から30%の染料を一般に使用する。
【0130】
用語「顔料」は、組成物中の油に不溶であって、組成物を着色および/または不透明にすることを意図した白色または有色の、有機または無機の粒子を意味するものと理解されるべきである。用語「フィラー」は、無色または白色の、無機または合成の、薄板状または非薄板状粒子を意味するものと理解されるべきである。用語「真珠母」は、特にある種の軟体動物によって貝殻の内部で産生されたかまたは別法として合成された虹色の粒子を意味するものと理解されるべきである。これらのフィラーおよび真珠母は特に組成物の感触を変化させるのに役立つ。
【0131】
顔料は、組成物中に、最終組成物の重量の0.05%から30%の割合、好ましくは2%から20%の割合で存在してよい。本発明において使用されてよい無機顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロムおよびフェリックブルーを挙げることができる。本発明において使用されてよい有機顔料の中で、カーボンブラックおよびバリウムレーキ、ストロンチウムレーキ、カルシウムレーキ(D&C Red No.7)およびアルミニウムレーキを挙げることができる。
【0132】
真珠母は、組成物中に、組成物の全重量の0.001%から20%の割合、好ましくは約1%から15%の割合で存在してよい。本発明において使用されてよい真珠母として、有色チタンマイカなど、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、天然顔料でまたはオキシ塩化ビスマスで被覆したマイカを挙げることができる。
【0133】
組成物は有利には、ゴニオクロマティック顔料、例えば多層干渉顔料、および/または反射性顔料を含んでもよい。これら2つのタイプの顔料は、特許出願FR 02/09246に記述されており、その内容は参照することにより本特許出願に組み込まれる。
【0134】
[フィラー]
組成物は、少なくとも1種のフィラーを、組成物の全重量の0.001%から35%、好ましくは0.5%から15%の割合で含んでよい。
【0135】
特に、
・タルク、マイカ、シリカ、カオリンまたはデンプン
・ナイロン(登録商標)パウダー(特にOrgasol)
・ポリエチレンパウダー
・ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標))パウダー
・窒化ホウ素
・Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)などのコポリマーマイクロスフィア
・Polytrap(登録商標) 603(Dow Corning)
・Polypore(登録商標) L 200(Chemdal Corporation)
・シリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、ToshibaのTospearl(登録商標))
・シリカベースのフィラー、例えばAerosil 200、Aerosil 300; Asahi Glassにより販売されているSunsphere L-31およびSunsphere H-31; Asahi Chemicalにより販売されているChemicelen; シリカと二酸化チタンの複合体、例えばNippon Sheet Glassにより販売されているTSGシリーズ
・ポリウレタンパウダー、特にコポリマーを含む架橋ポリウレタンのパウダーで、前記コポリマーがトリメチロールヘキシルラクトンを含むパウダー。特にヘキサメチレンジイソシアネート/トリメチロールヘキシルラクトンのポリマーであってよい。このような粒子は、特に市販されており、例えば、Plastic Powder D-400(登録商標)またはPlastic Powder D-800(登録商標)の名称でToshiki社により販売されている、
を挙げることができる。
【0136】
フィラーは、例えば、100μm未満、特に1と50μmとの間、例えば4と20μmとの間の平均粒子サイズを有するフィラーであってよい。
【0137】
フィラーはいかなる形状であってもよいが、基本的には球状または小板状である。
【0138】
[ワックス]
組成物はまた、少なくとも1種のワックスを含んでよい。本発明のために、用語「ワックス」は、室温(25℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を示し、30℃超で、200℃まででもよい融点、0.5MPa超の硬度を有し、かつ固体状態で異方性結晶構造を有する親油性脂肪化合物を意味する。ワックスをその融点まで加温することにより、油と混和させ、かつ顕微鏡的に均質な混合物を形成することが可能になるが、混合物の温度を室温に戻すと、混合物の油中でワックスの再結晶化が得られる。
【0139】
本発明において使用されてよいワックスは、特にスティック形態の組成物を構成するよう意図された、室温で固体の化合物である;これらワックスは、炭化水素系ワックス、フッ素ワックスおよび/またはシリコーンワックスであってよく、かつ植物、鉱物、動物および/または合成由来であってよい。特に、これらは40℃超、より好ましくは45℃超の融点を有する。
【0140】
本発明において使用されてよいワックスとして、一般に化粧品に使用されているワックスを挙げることができる:それらは特に天然由来であり、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、カンデリラロウ、オーリクリー(ouricoury)ロウ、モクロウ、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、ライスワックス、モンタンロウ、パラフィン、リグナイトワックスまたはマイクロクリスタリンワックス、セレシンまたはオゾケライト、および水素添加油、例えばホホバ油;合成ワックス、例えばエチレンの重合または共重合により誘導されるポリエチレンワックスおよびフィッシャートロプシュワックス、または別法として脂肪酸エステル、例えばオクタコサニルステアレート、40℃より好ましくは45℃で固体であるグリセリド、シリコーンワックス、例えば10から45個の炭素原子のアルキル鎖またはアルコキシ鎖を含むアルキルジメチコンまたはアルコキシジメチコン、ならびに40℃で固体であり、エステル鎖が少なくとも10個の炭素原子を含む、ポリ(ジ)メチルシロキサンエステル;ならびにこれらの混合物である。
【0141】
本発明の組成物は有利には、300と700の間、特に500g/molに等しい重量平均分子量を有するポリエチレンワックスを含む。
【0142】
指針として、ワックスは、組成物の全重量の0.01%から50%、好ましくは2%から40%、より好ましくは5%から30%に相当してよい。
【0143】
[不揮発油]
組成物はまた、アルコキシル化アルコールエステル以外のかつ、前述の無極性油以外の少なくとも1種の不揮発油を含んでもよい。不揮発油は、
・パーヒドロスクワレンなどの動物由来の炭化水素系油;
・4個から10個の炭素原子を含む脂肪酸の液状トリグリセリドなどの炭化水素系植物油、例えばヘプタン酸またはオクタン酸トリグリセリドまたはホホバ油;
・鉱物または合成由来の直鎖または分枝状炭化水素、例えば流動パラフィンおよびこれらの誘導体、ならびにワセリン;
・12から26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、例えばオクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノールまたはオレイルアルコール;
・場合によって部分的に炭化水素系および/またはシリコーン系のフッ素油;
・シリコーン油、例えば揮発性または不揮発性、直鎖または環状ポリジメチルシロキサン(PDMS); アルキル、アルコキシまたはフェニル基をペンダントとしてまたはシリコーン鎖の末端に含み、これらの基が2から24個の炭素原子を含む、ポリジメチルシロキサン;フェニルシリコーン、例えば(DC556の商品名でDow Corningにより販売されているフェニルトリメチコンなどの)フェニルトリメチコン類、フェニルジメチコン類、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン類、ジフェニルジメチコン類、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン類、および2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケート類;
・12から26個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばオレイン酸;
・ならびにこれらの混合物、
から選択されてよい。
【0144】
[高モル質量の不揮発油]
一実施形態によれば、組成物は高モル質量、例えば650と10,000g/molの間のモル質量の不揮発油を含む。
【0145】
本発明の組成物は有利には、2%から30%、好ましくは5%から25%または5%から15%の、650から10,000g/molの範囲、好ましくは900から7,500g/molの範囲のモル質量を有する少なくとも1種の油を含む。
【0146】
したがって、650から10,000g/molの範囲のモル質量を有する油は、以下から選択されてよい:
・ポリブチレン、例えばAmoco社により販売または製造されているIndopol H-100(モル質量またはMM=965g/mol)、Indopol H-300(MM=1,340g/mol)およびIndopol H-1500 (MM=2,160g/mol)、
・水添ポリイソブチレン、例えばAmoco社により販売または製造されているPanalane H-300 E (M=1,340g/mol)、Synteal社により販売または製造されているViseal 20000 (MM=6,000g/mol)およびWitco社により販売または製造されているRewopal PIB 1000 (MM=1,000g/mol)、
・ポリデセンおよびMobil Chemical社により販売されているPuresyn 150(MM=9,200g/mol)などの水添ポリデセン、
・ISP社により販売または製造されているビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマーAntaron V-216(MM=7,300g/mol)などのビニルピロリドンコポリマー、
・エステル、例えば:
a)35から70個の範囲の総炭素数を有する直鎖脂肪酸エステル、例えばペンタエリスリチルテトラペラルゴネート(MM=697.05g/mol)、
b)ポリグリセリル-2トリイソステアレート(MM=965.58g/mol)などのヒドロキシル化エステル
c)トリデシルトリメリテート(MM=757.19g/mol)などの芳香族エステル、
d)分枝状C24〜C28脂肪アルコールまたは脂肪酸のエステル、例えば欧州特許出願EP-A-0 955 039に記載されたもの、特にトリイソアラキジルシトレート(MM=1033.76g/mol)、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート(MM=697.05g/mol)、グリセリルトリイソステアレート(MM=891.51g/mol)、グリセリル2-トリデシルテトラデカノエート(MM=1143.98g/mol)、ペンタエリスリチルテトライソステアレート(MM=1202.02g/mol)、ポリグリセリル-2テトライソステアレート(MM=1232.04g/mol)、またはペンタエリスリチル2-テトラデシルテトラデカノエート(MM=1538.66g/mol)、
e)ジオールダイマーエステルおよびポリエステル、例えばジオールダイマーと脂肪酸とのエステル、およびジオールダイマーと二酸とのエステル。
ジオールダイマーとモノカルボン酸とのエステルは、その酸が直鎖、分枝状、飽和または不飽和である4から34個の炭素原子、特に10から32個の炭素原子を含むモノカルボン酸から得られてよい。特に挙げることができるモノカルボン酸の例証は、脂肪酸を含む。ジオールダイマーとジカルボン酸とのエステルは、特にC8〜C34、特にC12〜C22、特にC16〜C20、より特にC18である不飽和脂肪酸の二量化から特に誘導される二酸ダイマーから得られてよい。
特定の一変形例によれば、二酸ダイマーはより特に、エステル化されるジオールダイマーもまたそこから誘導される二酸ダイマーである。ジオールダイマーエステルは、水添ジリノール二酸などの前述の二酸ダイマーの触媒的水素添加により生成されるジオールダイマーから得られてよい。特に挙げることができるジオールダイマーエステルの例証には、ジリノール二酸とジリノレイルジオールダイマーのエステル、Lusplan DD-DA5(登録商標)およびDD-DA7(登録商標)の商品名でNippon Fine Chemical 社により販売されているものが含まれる。
・フェニルシリコーンなどのシリコーン油、例えばWacker社のBelsil PDN 1000(MM=9,000g/mol)、
・ゴマ油などの植物由来の油(820.6g/mol)、
・ならびにこれらの混合物
【0147】
不揮発油は、組成物の全重量の0.001%から90%、好ましくは0.05%から60%、より好ましくは1%から35%に相当してよい。
【0148】
[揮発油]
1つまたは複数の揮発油が組成物に含まれてよい。
【0149】
用語「揮発油」は、室温および大気圧下で皮膚と接触して1時間以内に蒸発することが可能な油(または非水性媒体)を意味する。揮発油は、室温で液体であり、特に室温大気圧下でゼロではない蒸気圧を有し、特に0.13Paから40,000Pa(10-3から300mmHg)の範囲、好ましくは1.3Paから13,000Pa(0.01から100mmHg)の範囲、優先的には1.3Paから1300Pa(0.1から10mmHg)の範囲の蒸気圧を有する揮発性化粧用油である。
【0150】
さらに、揮発油は一般に、150℃から260℃の範囲、好ましくは170℃から250℃の範囲の、大気圧で測定した沸点を有する。
【0151】
用語「炭化水素系油」は、炭素および水素原子から、かつ場合により酸素または窒素原子から本質的に形成、または構成され、ケイ素またはフッ素原子を含まない油を意味する;炭化水素系油は、エステル、エーテル、アミンまたはアミド基を含んでよい。
【0152】
用語「シリコーン油」は、少なくとも1個のケイ素原子を含む、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0153】
用語「フッ素油」は、少なくとも1個のフッ素原子を含む油を意味する。
【0154】
揮発油は、シリコーン油または炭化水素系油であってよい。
【0155】
本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油は、40℃から102℃の範囲の引火点を有する、好ましくは55℃超かつ95℃以下の、優先的には65℃から95℃の範囲の引火点を有するシリコーン油から選択されてよい。
【0156】
本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油として、特に2から7個のケイ素原子を含む、室温での粘度8cSt未満を有する直鎖または環状シリコーンで、1から10個の炭素原子を場合によって含むアルキルまたはアルコキシ基を含むシリコーンを挙げることができる。本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油として、特にオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサンならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0157】
本発明において使用されてよい揮発性シリコーン油として、非公開の特許出願FR 03/04259に記載のシリコーンを挙げることができる。
【0158】
本発明において使用されてよい揮発性炭化水素系油は、40℃から102℃の範囲、好ましくは40℃から55℃の範囲、優先的には40℃から50℃の範囲の引火点を有する炭化水素系油から選択されてよい。
【0159】
言及されてよい揮発性炭化水素系油には、8から16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油、およびこれらの混合物、特に分枝状C8〜C16アルカン、例えばC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、イソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、例えばIsoparまたはPermethylの商品名で販売されている油、および分枝状C8〜C16エステル、例えばイソヘキシルネオヘプタノエート、ならびにこれらの混合物が含まれる。好ましくは、揮発性炭化水素系油は8から16個の炭素原子を含む揮発性炭化水素系油、およびこれらの混合物、特にイソドデカン、イソデカンおよびイソヘキサデカン、特にイソドデカンから選択される。
【0160】
揮発油は、例えば、組成物の全重量の5%から97.5%、より好ましくは10%から75%、好ましくは組成物の全重量の20%と50%の間に相当する。
【0161】
揮発油は、好ましくは組成物の全重量の20%から50%、好ましくは30%から40%、好ましくは約35%に相当する。
【0162】
[添加物]
本発明の組成物はまた、水、酸化防止剤、被膜形成ポリマー、防腐剤、中和剤、可塑剤、親油性ゲル化剤または液状非水性化合物、水相ゲル化剤、分散剤および化粧用活性成分などの通常化粧品に使用されるいかなる追加的添加物も含んでよい。これらの添加物は、組成物の全重量の0から70%、例えば1%から50%、より好ましくは1%から10%に相当してよい水を除き、組成物中に、組成物の全重量の0.0005%から20%、より好ましくは0.001%から10%の割合で存在してよい。
【0163】
本発明において使用されてよい化粧用活性成分として、ビタミンA、E、C、B3およびF、プロビタミン、例えばD-パンテノール、グリセロール、鎮静剤、例えばα-ビサボロール、アロエベラ、アラントイン、植物抽出物または精油、保護剤または再構築剤、例えばセラミド、「清涼」活性成分、例えばメントールおよびその誘導体、エモリエント剤(カカオバター、ジメチコン)、保湿剤(アルギニン PCA)、しわ防止活性成分、必須脂肪酸およびサンスクリーン剤、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0164】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明の組成物の有利な特性が、予想される添加により全く、またはほとんど、悪影響を受けることがないように、任意選択の追加的添加物および/またはそれらの量を注意深く選択するであろう。
【0165】
[製剤形態]
本発明の組成物は、全ての着色または無着色の化粧用製品、より特にリップスティック
に関して、多数の用途を有する。
【0166】
本発明の組成物は、固体形態、圧縮または成型組成物、特にスティックまたはディッシュとして、あるいはペースト状または液体の形状であってもよい。組成物は、有利には固体形態、すなわち(その自重で流れることがない)硬質形態、特に成型または圧縮された形態、例えばスティックまたはディッシュとしてである。
【0167】
本発明の組成物は、ペースト、固体またはクリームの形態であってよい。本発明の組成物は、水中油型または油中水型エマルション、固体または軟質無水ゲル、または別法として、ルースパウダーまたはコンパクトパウダー、およびさらに2相形態であってもよい。本発明の組成物は好ましくは、油性のかつ特に無水の連続相を有する組成物の形態である;この場合、本発明の組成物は5%未満の割合で水相を含んでよい。
【0168】
本発明の組成物は、着色または無着色のスキンケア組成物の形態、日焼け防止またはメークアップ除去組成物の形態、または別法として衛生組成物の形態であってよい。本発明の組成物が、化粧用活性成分を含む場合、皮膚、例えば手または顔のための、あるいは唇(唇を寒さおよび/または日光および/または風から保護するためのリップバーム)のための非治療用のケアまたはトリートメントベースとして、あるいは皮膚の人工的タンニングのための製品として使用されてよい。
【0169】
本発明の組成物はまた、着色された皮膚メークアップ製品、特に顔用の、例えば頬紅、メークアップルージュまたはアイシャドウ、ボディメークアップ製品、例えば半永久タトゥー製品、あるいはリップメークアップ製品、例えば場合により非治療的ケアまたはトリートメント特性を有するリップスティックまたはリップグロス、外皮用メークアップ製品、例えばネイルエナメル、マスカラまたはアイライナー、あるいは毛髪着色製品またはヘアケア製品の形態であってよい。
【0170】
好ましくは、本発明の組成物は、リップスティックまたはリップグロスの形態である。
【0171】
言うまでもなく、本発明の組成物は、生理的に許容できる(特に化粧料的に許容し得る)べきであり、すなわち無毒性かつヒトの皮膚、外皮または唇に適用できなければならない。
【0172】
用語「化粧料的に許容し得る」は、数ヶ月にわたり数日間適用できる、好ましい味、感触、外観および/またはにおいを有することを意味する。
【0173】
本発明の組成物は、一般に化粧品に使用される既知の方法により製造されてよい。
【0174】
下記の実施例は、本発明の主題を、非限定的に例証することを意図している。量は、重量パーセントで示す。
【0175】
(実施例1)
リップスティックのスティック
【0176】
【表1】

【0177】
前述の方法に従って、60℃で測定したこのリップスティックのT0hおよびT5hの平均光沢は、100のうち79である。
【0178】
(実施例2)
リップスティック
【0179】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルコキシル化アルコールとカルボン酸の少なくとも1種のエステルおよび前記エステルとは異なる少なくとも1種の炭化水素系エステルを含む化粧品組成物であって、30%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にする化粧品組成物。
【請求項2】
アルコキシル化エステルが、
・モノカルボン酸をポリアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるエステル、
・ポリカルボン酸を、前記酸中の酸官能基の数に対して化学量論的に過剰量の少なくとも1種のアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステル、
・1個のエステル官能基のみが、ポリカルボン酸の酸官能基をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステル、
・ポリカルボン酸の酸官能基をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られる少なくとも1種のエステル官能基および前記ポリカルボン酸の他の酸官能基を脂肪アルコールと反応させることにより得られる少なくとも1種のエステル官能基を含むポリエステル、ならびに
・これらの混合物、
から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
エステルが、モノカルボン酸をポリアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
アルコキシル化エステルが、下記の構造式:
【化1】

(式中、xは、両端を含む2から40まで、好ましくは3から30までの整数であり、
R4は、3から36個の炭素原子、好ましくは4から24個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族炭化水素系単位であり、かつ、
RCOOは、
・モノカルボン酸残基、例えば、式中R2、R3およびR4が、独立して、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルからなる群から選択される式(R2R3R4C)COOの酸;または、
・OH、NH2、メチルまたはエチルで場合によって置換されたベンゼン環を含む芳香族酸残基であってよい)
を有する化合物から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
モノカルボン酸が、2-エチルヘキサン酸、カプロン酸、ネオペンタン酸、イソステアリン酸、ネオヘプタン酸およびオレイン酸から選択されることを特徴とする、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
R4が、4と24個の間の炭素原子、特に6と18個の間の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項4または5に記載の組成物。
【請求項7】
xが3と10との間であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
脂肪族および芳香族モノカルボン酸とポリプロポキシル化脂肪アルコールとのエステルが、PPG-3ミリスチルエーテルネオヘプタノエートおよびPPG-4ブチルオクチルエーテルエチルヘキサノエートおよびこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
アルコキシル化エステルが、ポリカルボン酸を、前記酸中の酸官能基の数に対して化学量論的に過剰量の少なくとも1種のアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステルから選択されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項10】
アルコキシル化アルコールが、8から36個の炭素原子、特に10から22個の炭素原子のアルキル鎖を含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
アルコキシル化アルコールが、ミリスチル鎖を含むことを特徴とする、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
ジカルボン酸が、脂肪族であり、かつ2から36個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
ジカルボン酸が、アジピン酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸およびマレイン酸からなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
アルコキシル化エステルが、1個のエステル官能基のみが、ポリカルボン酸の酸官能基をアルコキシル化アルコールと反応させることにより得られるポリエステルの1つであることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項15】
アルコキシル化エステルが、下記の構造式:
【化2】

[式中、R1は、構造式:
【化3】

(式中、
R4は、4から24個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族単位であり;
xは、3から30までの整数であり、yは、3から30までの整数である)
を有し、
R2は、4から40個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、置換または非置換の脂肪族単位であり;
R3は、4から32個の炭素原子、特に12から24個の炭素原子を含む、飽和または不飽和、直鎖または分枝鎖の脂肪族単位である]
を有する化合物から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項16】
R4が、12または20個の炭素原子を含む飽和脂肪族単位であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
R2が、4から40個の炭素原子を含む飽和脂肪族単位であることを特徴とする、請求項15または16に記載の組成物。
【請求項18】
xおよびyが、互いに独立して、3または4に等しいことを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
R3が、12から20個の炭素原子を含む飽和分枝鎖脂肪族単位であることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
R3が、オクチルドデシル、イソステアリルおよびステアリルから選択されることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
アルコキシル化エステルが、オクチルドデシルPPG-3ミリスチルエーテルジリノレアートであることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項22】
アルコキシル化エステルが、イソステアリルPPG-4ブチルオクチルエーテルジリノレアートであることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項23】
炭化水素系エステルが、それが組成物中に十分な量で存在する場合、前記組成物が30%以上の耐久性を有する付着物を形成することを可能にするものであることを特徴とする、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記炭化水素系エステルが、モノエステルであることを特徴とする、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記エステルが、2から28個の炭素原子を含む脂肪族酸と1から28個の炭素原子を含む脂肪族アルコールとのエステルであることを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
前記炭化水素系エステルが、揮発油でないことを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記炭化水素系エステルが、合成エステル、特に脂肪酸の合成エステル、例えばパーセリンオイル、イソプロピルミリステート、エチルパルミテートまたはオクチルステアレート;ヒドロキシル化エステル、例えばイソステアリルラクテート、オクチルヒドロキシステアレート、ジイソプロピルアジペート、あるいは脂肪アルコールヘプタノエート、脂肪アルコールオクタノエートまたは脂肪アルコールデカノエート、ネオペンタン酸エステル、例えばイソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエートおよびオクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えばイソノニルイソノナノエート、オクチルイソノナノエート、イソデシルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエートおよびイソステアリルイソノナノエート、イソプロピルアルコールエステル、例えばイソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレートまたはイソプロピルイソステアレートなど、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシル4-ジヘプタノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、ならびにプロピレングリコール2-ジエチルヘキサノエート、ならびにこれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
40%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にすることを特徴とする、請求項23に記載の組成物。
【請求項29】
50%以上、またはさらに60%超の、またはさらに65%以上の耐久性指数を有する付着物を形成することを可能にすることを特徴とする、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
水溶性または油溶性の染料、ならびに顔料、真珠母およびフレークなどの粉末染料から選択される1つまたは複数の染料も含むことを特徴とする、請求項1から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
ワックスおよびペースト状脂肪物質、ならびにこれらの混合物から選択される少なくとも1種の脂肪物質も含むことを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
ビタミン、増粘剤、被膜形成剤、ゲル化剤、微量元素、柔軟剤、金属イオン封鎖剤、香料、酸性化または塩基性化剤、防腐剤、サンスクリーン剤、界面活性剤、酸化防止剤、繊維、脱毛防止剤、睫毛ケア剤、フケ防止剤および噴射剤またはこれらの混合物から選択される化粧用成分を含むことを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
懸濁液、分散液、溶液、ゲル、エマルション、特に水中油型(O/W)または油中水型(W/O)エマルション、または多相エマルション(W/O/Wまたはポリオール/O/WまたはO/W/O)の形態、クリーム、ペースト、ムース、ベシクル、特にイオン性または非イオン性脂質の分散液、2相または多相ローション、スプレー、パウダー、ペースト、特にソフトペーストまたは無水ペースト、スティックまたは成型固体の形態であることを特徴とする、請求項1から32のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項34】
無水形態であることを特徴とする、請求項1から33のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項35】
ケラチン物質のメークアップまたはケアのための組成物であることを特徴とする、請求項1から34のいずれか一項に記載の化粧品組成物。
【請求項36】
リップメークアップ製品であることを特徴とする、請求項1から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
請求項1から36のいずれか一項に記載の組成物の美容的使用。
【請求項38】
請求項1から35のいずれか一項に記載の少なくとも1つの組成物の、皮膚、唇および/または外皮への適用を含む、皮膚または唇のメークアップおよび/またはケアのための方法。

【公開番号】特開2006−188523(P2006−188523A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−164(P2006−164)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】