説明

アルファ−ガラクトシダーゼを含む洗浄剤組成剤

本願発明は単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を与える。ある特に好ましい実施態様では、単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイ(Trichoderma ressei)由来のアルファ-ガラクトシダーゼに関係するアミノ酸配列を含む。本願発明は、また洗浄剤用途にアルファ-ガラクトシダーゼを使用する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を提供する。ある特に好ましい実施態様では、単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)由来のアルファ-ガラクトシダーゼに関係するアミノ酸配列を含む。本願発明はまた、洗浄剤組成物にアルファ-ガラクトシダーゼを使用する方法も提供する。
【背景技術】
【0002】
洗剤と他の洗浄剤組成物は活性成分の複雑な組合せを含むことが多い。例えば、ある洗浄剤製品は界面活性剤系、洗浄用酵素、漂白剤、ビルダー(builder)、発泡抑制剤(suds suppressors)、汚れ懸濁剤、汚れ遊離剤、光学的漂白剤、柔軟剤、分散剤、染料移動抑化合物、研磨剤、殺菌剤及び香料を含む。現在の洗剤の複雑さにも拘らず、除くことが難しい多くの汚れがある。
【発明の概要】
【0003】
本願発明は単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を提供する。ある特に好ましい実施態様では、単離されたアルファ-グルコシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイ由来のアルファ-ガラクトシダーゼに関係するアミノ酸配列を含む。本願発明はまた、洗浄用途においてこの同一のアルファ-ガラクトシダーゼを使用する方法も提供する。ある好ましい実施態様では、洗浄剤組成物はさらに少なくとも1の界面活性剤を含む。ある好ましい実施態様では、この洗浄剤組成物は少なくとも約pH5.0である使用pHをもつ。本願発明はまた、本願発明の洗浄剤組成物を使用して洗浄対象物の洗浄の方法もまた提供する。
【0004】
ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイのアルファ-ガラクトシダーゼと少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%または少なくとも約98%同一であるアミノ酸配列をもつ。いくつかの他の実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイのアルファ-ガラクトシダーゼ酵素と免疫学的に交差反応をする。
【0005】
ある実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物は固体である(例えば、粉末又は錠剤)、他の実施態様では、これらは液体、ゲル、泡又は他の形態である。ある好ましい実施態様では、洗浄剤組成物は洗濯用洗剤、皿洗い用洗剤、洗濯用添加剤として調合されている。そのためある好ましい実施態様では、洗浄剤組成物はさらに少なくとも1この他の酵素、非デンプンの食品用多糖の分解に有用なヘミセルラーゼ、マンナナーセ、ペクチナーゼ又はキシラナーゼのような酵素を非限定的に含む。さらにある他の実施態様では、洗浄剤組成物はさらに、他の汚れの成分の分解用にプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーセ、クチナーゼ又は酸化還元酵素のような酵素を非限定的に含む、少なくとも1個の他の酵素を含む。実際、本願発明のアルファ-ガラクトシダーゼと組み合わせて使用する用途のある適当な酵素は、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラチナーゼ、還元酵素、酸化酵素、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タナーゼ(tannases)、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanases)、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ又はそれらの混合物を非限定的に含む。いくつかの実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼと組み合わせたプロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の利用可能な酵素を含む酵素の組合せ(つまり、「カクテル」)が使用される。
【0006】
本願発明はまた、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素の活性に適した条件下で単離したアルファ-ガラクトシダーゼ酵素と対象物(例.布地又は食器類)を接触させ対象物を洗浄する段階を含む、洗浄法も提供する。いくつかの実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素は約pH5より大きいpH(例えば、約pH5から約pH6.5、約pH6.5から約pH7.5、約pH7.5から約pH8.5、約pH9.5から約pH10.5、又は約pH10.5から約pH11.5)で対象物と接触させられる。
【0007】
ある実施態様では、対象物は、非デンプン食品用多糖(例.グアゴム(guar gum)又は、ライ豆ゴム(lima bean gum)のようなガラクトマンナンゴム)を含む汚れた物(例.食品によって汚れた対象物)である。そのような食品は、サラダドレッシング、アイスクリーム、ミルクシェイク、ムース、サラダクリーム、チョコレートクリームを非限定的に含む。
【0008】
ある好ましい実施態様では、本願発明の洗浄剤組成物はアルファ-ガラクトシダーゼを含まない相当する洗浄剤組成物よりも効率的に対象物から汚れを除去する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下の詳細な説明のある面は、添付の図面と併せて読むと最も良く理解される。通常の方法に従い、図面の種々の特徴は正確な縮尺で表されていないことが強調される。他方、種々の特徴の大きさは、明瞭にするため任意に拡大又は縮小されている。図面には以下の図が含まれる。
【図1】図1はpTrex3gベクターのマップを示す。
【図2】図2は、AGL1酵素の分析結果を示すSDS PAGE ゲル電気泳動と2個のグラフを示す。
【図3】図3は、AGL2酵素の分析結果を示すSDS PAGE ゲル電気泳動と2個のグラフを示す。
【図4】図4は、AGL3酵素の分析結果を示すSDS PAGE ゲル電気泳動と2個のグラフを示す。
【図5】図5はチョコレートクリームの汚れに対するベータ-マンナナーゼ(NSP-20)、AGL1(NSP-6)、AGL2(NSP-8)及びAGL3(NSP-9)の洗浄活性を示すグラフである。
【図6】図6はサラダドレッシングの汚れに対するベータ-マンナナーゼ(NSP-20)、とAGL1(NSP-6)の洗浄活性を示すグラフである。
【図7】図7はグア色素の汚れに対するAGL2(NSP-8)の洗浄活性を示すグラフである。
【図8】図8は、チョコレートアイスクリームの汚れに対するベータ-マンナナーゼ(NSP-20)とAGL2(NSP-8)の洗浄活性を示すグラフである。
【図9】図9は、グア色素の汚れに対するWFK自動皿洗機用洗剤(ADW)とAATCC洗濯用洗剤中のベータ-マンナナーゼ(NSP-20)、AGL1(NSP-6)、AGL2(NSP-8)及びAGL3(NSP-9)の洗浄活性を示すグラフである。発明の説明
【0010】
本願発明は単離されたアルファーガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を提供する。ある特に好ましい実施態様では、単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ レセイ由来のアルファ-ガラクトシダーセに関係するアミノ酸配列を含む。本願発明はまた、洗浄剤用にアルファ-ガラクトシダーセを使用する方法も提供する。
【0011】
別に記載がある場合を除き、本願発明の実施は分子生物学、微生物学、及び組換えDNAで普通使用される慣用技術を含み、これらは本願技術分野の技術の範囲内にある。このような技術は本願技術分野の技術者に知られており、本願技術分野の技術者に良く知られた多くの教科書や参考文献に述べられている。本願に記載の全ての特許、特許出願、論文及び刊行物は、上記、下記のもの共に引用により本願に明示して組み入れられる。別に記載がある場合を除き、本願で使用された、全ての技術的、科学的用語は、本願発明が属する技術分野の通常の技術者により普通に理解されているものと同一の意味である。本願に述べられているものと同様のまたは等価のいずれの方法や材料も、本願発明の実施で使用されるが、好ましい方法と材料が本願に記載されている。従って、直ぐ後に定義する用語は全体として明細書を参照することにより一層良く理解できる。
【0012】
また、本願で使用する場合、単数表記は、文脈から明らかに異なる場合を除き、複数をも含む。数値範囲はその範囲を限定している数を含む。それぞれ、別に記載がある場合を除き、核酸は5’から3’の向きに左から右に書かれ、アミノ酸配列はアミノ基からカルボキシ基の向きへ、左から右へ書かれる。この発明は、記載された特定の方法論、試験法及び試薬に限定されないことが理解されるべきである。これらは、本願技術分野の技術者により使用される状況に応じ変わり得るものだからである。
【0013】
さらに、ここに記載された項目は、この発明の種々の面又は実施態様を限定するものではない。これらは、全体として明細書を参照することにより理解し得る。従って、すぐ後に定義された用語は、全体として明細書を参照することにより十分に定義される。いずれにしても、発明の理解を助けるため、多くの用語について下記に定義する。
【0014】
本願明細書全体を通じ記載されている全ての最大数の限定は、より小さい数による限定が本願に明示されている場合のように、より小さい数による限定を含む。この明細書全体で与えられている全ての最小数の限定は、より大きい数による限定が本願に明示されている場合のように、より大きい数による限定を含む。本願明細書全体で記載されている全ての数的範囲は、より狭い数的範囲が明示されている場合のように、この広い数的範囲内にある全ての狭い数的範囲を含む。
【0015】
引用された全ての文書は、関連のある部分に引用により本願に組み入れられる。いずれの文書の引用も、本願発明に関して先行技術であることを認めるものと解釈されてはならない。
【0016】
用語「組換え」は宿主細胞に天然に生じないポリヌクレオチド又はポリペプチドをいう。組換え分子は、天然にはない方法で互いに連結された天然の2以上の配列を含む。組換え細胞は、組換えポリヌクレオチドまたはポリペプチドを含む。
【0017】
用語「異種(heterologous)」は正常時には、互いに組み合わされない要素をいう。例えば、宿主細胞が異種タンパク質を産生する場合、このタンパク質は宿主細胞に正常時には産生されない。同様に、異種コーディング領域に機能的に連結しているプロモーターは、野生型宿主細胞では、普通、機能的に連結していないコーディング領域に機能的に連結しているプロモーターである。ポリヌクレオチドまたはタンパク質に関し用語「相同(homologous)」は、宿主細胞中で天然に生じるポリペプチドまたはタンパク質をいう。
【0018】
用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は本願では互いに入れ替えて使用される。
【0019】
「シグナル配列」は細胞の外へタンパク質の成熟形の分泌を促す、タンパク質のN-末端部に存在するアミノ酸の配列をいう。シグナル配列の定義は機能的定義である。菌体外タンパク質の成熟形は分泌過程で切断されるので、シグナル配列を失っている。
【0020】
「コーディング領域」はポリペプチドをコードするDNA部分である。
【0021】
用語「核酸」はDNA、RNA、一本鎖、二重鎖及びこれらの化学的修飾体を含む。用語「核酸」と「ポリヌクレオチド」は本願では互いに替えて使用される。
【0022】
「ベクター」とは1以上の宿主細胞へ核酸を導入するために設計されたポリヌクレオチドをいう。ベクターは異なる宿主細胞で自律的に複製することができ、クローニングベクター、発現ベクター、シャトル(shuttle)ベクター、プラスミド、ファージ粒子、カセット等を含む。
【0023】
「発現ベクター」は本願で使用する場合、適当な宿主細胞内でタンパク質の発現を行うことができる適当な制御配列に機能的に連結しているタンパク質コーディング領域を含むDNA構造体を意味する。このような制御配列は転写を行わせるプロモーター、任意の、mRNAを産生する転写を制御するオペレーター配列(operator sequence)、mRNA上に適当なリボゾーム結合部位をコードする配列、及びエンハンサーと転写と翻訳の終了を制御する配列を含む。
【0024】
「プロモーター」は下流にある核酸の転写を開始する調節配列である。
【0025】
用語「機能的に連結している」とは要素が機能的に関連するようにした要素の配列をいう。例えば、プロモーターがコーディング領域の転写を制御する場合にはプロモーターはこのコーディング領域に機能的に連結している。
【0026】
用語「選択的マーカー」は導入された核酸又はベクターを含む宿主細胞の選択を容易にするためその宿主内で発現しうるタンパク質をいう。選択的マーカーの例は抗微生物剤(例.ハイグロマイシン(hygromycin)、ブレオマイシン、又はクロラムフェニコール)、及び/又は宿主細胞に栄養的優越性のような、代謝上の優越性を与える遺伝子を非限定的に含む。
【0027】
用語「から由来する」とは用語「から生じる」「得られた」「から得ることができる」及び「から単離された」を含む。
【0028】
用語「非病原性」生物とはヒトに対して病原性がない生物をいう。
【0029】
用語「回収された」、「単離された」及び「分離された」は、本願で使用する場合、天然において組み合わされている少なくとも1の成分から取り出されたタンパク質、細胞、核酸またはアミノ酸をいう。
【0030】
細胞に関して使用する場合、用語「形質転換された」、「安定に形質転換された」及び「遺伝子を導入した」とは細胞が、そのゲノムに天然にない(例えば、異種)の核酸配列を組み入れていること、またはそれを複数世代を通じて維持されるエピソームプラスミドとして有していることをいう。
【0031】
本明細書で使用する場合、用語「発現」とは、ポリペプチドが遺伝子の核酸配列に基づいて産生される過程をいう。この過程は転写と翻訳の両方を含む。
【0032】
細胞へ核酸配列を挿入することに関し、用語「導入された」は「トランスフェクション」、「形質転換」または「形質導入」を意味し、真核細胞または原核細胞へ核酸配列を導入することを含む。この場合、この核酸配列は細胞のゲノム(例.染色体、プラスミド、プラスチド、またはミトコンドリアDNA)へ導入されて、自律的なレプリコンに転換されて、または一時的に発現される(例.感染mRNA)。
【0033】
用語「ハイブリダイゼーション」は、核酸の一本鎖が相補鎖と本願技術分野で知られている塩基の組合せにより結合する過程をいう。中程度から高度に厳格なハイブリダイゼーションと洗浄条件で2配列が特異的にハイブリダイズする場合は、核酸は、関係核酸配列に対し「選択的なハイブリダイズが可能」と考えられる。中程度から高度に厳格なハイブリダイゼーション条件は本願技術分野の技術者に良く知られている。高度に厳格な条件の一例は、約42℃で、50%ホルムアミド、5X SSC、5X Denhardt’s 溶液、0.5%SDS及び100ug/mlの変性された担体DNAでのハイブリダイゼーションとその後の室温での2XSSCと0.5%SDS中での2度の洗浄、42℃での0.1XSSCと0.5%SDS中での2度の追加の洗浄を行うことを含む。
【0034】
本願では、「洗浄剤組成物」と「洗浄調合剤」は、布、皿、コンタクトレンズ、他の個体物、髪(シャンプー)、皮膚(石鹸とクリーム)、歯(口腔洗浄剤、練り歯磨き)などの洗浄を受ける物から好ましくない混合物(例.汚れ)の除去に使用される組成物をいう。本願発明をいずれかの特別な剤型に限定することは意図していない。なぜなら、これらの用語は、組成物がそれに含まれる酵素と適合する限り、所望の特定の種類の洗浄剤組成物のために選択されたいずれの物質/化合物も、及び製品の形状(例.液体、ゲル、顆粒、又はスプレー組成物)も含むからである。洗浄剤組成物物質の具体的な選択は洗浄を受ける表面、物品または布地、使用時の洗浄条件に適した組成物の望ましい形状を考慮することにより容易に行うことができる。
【0035】
これらの用語は洗浄剤組成物を非限定的に含むことを意図している(例.液体、及び/又は固体洗濯用洗剤及び繊細な布地用の洗剤、ガラス、木、陶器及び金属製のカウンター台表面と窓のような硬い表面の洗浄剤、カーペット洗浄剤、オーブン洗浄剤、布地フレッシュナー(freshener)、布地等の柔軟剤及び織物等と洗濯のプレスポッター(pre-spotter)及び皿用洗剤)
【0036】
実際、用語「洗浄剤組成物」は本願で使用する場合、別に記載がある場合を除き、顆粒、錠剤、又は粉末の全用途用洗浄剤、または重質洗浄剤、特に洗浄用洗剤;液体、ゲル又はペースト状全用途用洗浄剤、特に重質液体(HDL)タイプ;液体の繊細な布地用洗剤、手洗い用皿洗浄剤又は軽質(light duty )皿洗い用洗剤、特に、泡立ちの良い洗剤;種々の錠剤、顆粒、液剤等の皿洗い機用洗剤、家庭用及び施設用のすすぎの良いタイプ;抗菌性手洗い剤、洗浄用石鹸、口腔洗浄剤、入れ歯洗浄剤、自動車又はカーペット洗剤、浴室洗浄剤等の液体洗浄及び殺菌用剤;髪のシャンプーと髪のリンス剤;シャワー用ゲル状石鹸とフォームバス(foam bath)及び金属洗浄剤;漂白剤、及び「ステインスティック(stain-stick)」、予備処理剤又は洗濯用添加剤のような洗浄補助剤を含む。
【0037】
本願で使用する場合、用語「洗剤組成物」と「洗剤調合剤」は固形の対象物の洗浄用に洗浄媒体中で使用するために調合された組成物を指すために使用される。個々の実施態様では、この用語は布地及び/又は衣服(例.「洗濯洗剤」)の洗濯を指し示すときに使用される。別の実施態様では、この用語は他の洗剤、例えば皿、食卓用ナイフ類等を洗浄に使用される洗剤(例.「皿洗い洗剤」)を示す。本願発明をいずれか特定の洗剤調合剤又は組成物に限定することは意図していない。実際、いくつかの実施態様では、これらの洗浄剤組成物は、アルファ-ガラクトシダーゼに加え、界面活性剤、トランスフェラーゼ、加水分解酵素、酸化還元酵素、ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、青みづけ剤及び蛍光剤染料、固化防止剤、マスキング剤、酵素活性剤、抗酸化剤、及び/又は溶解剤等を含む。
【0038】
本願で使用する場合、洗浄剤組成物中の「向上した性能」とは、汚れの洗浄(例.除去及び/又は脱色)を増すことと定義される。標準的洗浄サイクルの後の通常の評価により決定されるところでは、いくつかの好ましい実施態様は、汚れはガラクトマンナン関連の汚れ(例.チョコレートクリーム、サラダドレッシング、グア等)である。
【0039】
本願で使用する場合、用語「硬い表面の洗浄剤組成物」は床、壁、タイル、浴槽及び台所設備等のような硬い表面を洗浄する洗剤組成物をいう。そのような組成物は固体、液体、エマルジョン等を非限定的に含む、いずれかの形態で提供される。
【0040】
本願で使用する場合、「皿洗い組成物」は、顆粒、ゲル、エマルジョン及び液体を非限定的に含む皿洗浄用の組成物の全ての適当な形態をいう。
【0041】
本願で使用する場合、「布地洗浄剤組成物」は顆粒、液体、ゲル、エマルジョン及び塊を非限定的に含む、布地を洗浄する洗剤組成物の全ての形態をいう。
【0042】
本願で使用する場合、「織物等(textile)」は、織物用糸、織物、ニット地、非織布への変換又は用途に適した上質の繊維と繊維のほか、織物をいう。この用語は合成(例.製造された)繊維のほか、天然繊維から作られた編み物用糸を含む。
【0043】
本願で使用する場合、「織物等製品」は繊維、織物中間体、織物、布地、及び布地から作られた製品(例.衣服及び他の製品)を総称する用語である。
【0044】
本願で使用する場合、「布地等(fabric)」とはいずれの織物等製品も含む。つまり、この用語は、布地等、織物、繊維、非織布、天然製品、合成製品、及び他の織物等製品のほか、衣類を含むことが意図されている。
【0045】
本願で使用する場合、「有効量のアルファ-ガラクトシダーゼ」は具体的用途(例.洗浄剤組成物等)に要する酵素活性を達成するために必要なアルファ-ガラクトシダーゼ酵素の量をいう。このような有効量は、本願技術分野の通常の技術者により、使用される特定の酵素種、洗浄用途、洗浄剤組成物の特定の組成及び液体または乾燥(例.顆粒、塊)組成物が求められるか等に基づき容易に確かめられる。
【0046】
用語「α-ガラクトシダーゼ」とアルファ-ガラクトシダーゼは、ガラクトースオリゴサッカライドとガラクトマンナン等の、アルファ-D-ガラクトシドの末端の非還元アルファ-D-ガラクトース残基を加水分解する酵素をいう。本願に記載されるアルファ-ガラクトシダーゼは、IUBMB酵素命名法に従った、EC3.2.1.22として記載されている活性をもつ。本願に記載されたアルファ-ガラクトシダーゼの体系的名称はアルファ-D-ガラクトシドガラクトヒドロラーゼである。
【0047】
用語「汚れた対象物」は、別の組成物により汚された(例.汚染された)対象物(例.布地等又は皿)をいう。非デンプン食品多糖を含む食品により汚れた衣類、リネン及び布地等のような、汚れた布地類は、用語「汚れた対象物」に含まれる。
【0048】
用語「非デンプン食品多糖」は、充填材、増粘材、安定剤、多くの食品(例.ソース、クリーム、乳製品、アイスクリーム、ムース、ミルクシェイク及びサラダドレッシング類)中の自由水の結合材として使用される非デンプン多糖をいう。グアゴム(マメ科のグア豆の木から抽出される食用の増粘材)とイナゴマメゴム(イナゴマメの木の種から抽出される)は非デンプン食品多糖の例である。
【0049】
用語「非デンプン食品多糖分解酵素」は非デンプン食品多糖を分解する酵素をいう。例となる酵素は、ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、ベータ-ガラクトシダーゼとアルファ-ガラクトシダーゼを非限定的に含む。
【0050】
用語「ガラクトマンナンゴム」はガラクトースとマンノース部位を含むポリマーからなる植物由来の多糖をいう。グアゴム、タラ(tara)ゴム、コロハガム及豆ゴムはガラクトマンナンゴムの種類である。
【0051】
用語「使用pH」は使用中の洗剤のpHをいう。例えば、洗濯用洗剤の使用pHは、洗濯機または手洗いで布地類を洗濯するために使用する場合、洗剤のpHである。同様に、皿洗い用洗剤の使用pHは、洗剤が皿洗い機又は手洗いによる皿洗いで使用されているときのその洗剤のpHである。ある実施態様では、濃縮または固形の洗剤は、その洗剤のpHが使用pHになる前に稀釈又は溶解される。
【0052】
用語「使用濃度」は使用中の洗剤中の酵素濃度をいう。例えば、洗濯用洗剤における酵素の使用濃度は、洗濯用洗剤が洗濯機中で、または手洗い中に布地類を洗濯するために使用されるときのその酵素の濃度である。同様に、皿洗い用洗剤中の酵素の使用濃度は、その洗剤が皿洗い機又は手洗いで使用されているときの洗剤中の酵素濃度である。ある実施態様では、濃縮又は固形の洗剤は、洗剤中のその酵素の濃度がその使用濃度になる前に稀釈又は溶解される。
【0053】
本願の発明はトリコデルマレセイ(Trichoderma reesei )のアルファ-ガラクトシダーゼに関係した(例.少なくとも約90%同一)アミノ酸配列を含む単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を与える。ある実施態様では、洗浄剤組成物は少なくとも1つの界面活性剤を含む。ある実施態様では、洗浄剤組成物は少なくとも約5である使用pHをもつ。本願発明はまた本願に記載されている洗浄剤組成物を利用する、対象物を洗浄する方法も与える。
【0054】
実施態様がさらに詳しく述べられる前に、本願の発明は、記載された特定の実施態様に限定されるものではなく、もちろん変わり得ることが理解されるべきである。本願発明の範囲は、掲げた請求項によってのみ限定されるのであるから、本願で使用される用語は、特定の実施態様のみを述べる目的のためにのみ使用され、限定することは意図していなことも理解されるべきである。
【0055】
数値の範囲が規定されている場合、その範囲にある各値もまた、内容が明らかに異なって指示する場合を除き、その範囲の上限と下限の間で下限値の単位の10分の1まで具体的に開示されていると理解されるべきである。記載された範囲中の、いずれかの記載された数値またはその範囲に含まれる数値と、その記載された範囲中のいずれか他の記載された又はその範囲に含まれる数値の間にあるより小さい各範囲は本願の発明に含まれる。これらの小さい範囲の上限と下限は、独立してその範囲に含まれても良く、含まれなくても良く、限度の一方がその小さい範囲に含まれる場合、限度のいずれもその小さい範囲に含まれない場合、限度の両方がその小さい範囲に含まれる場合の各範囲もまた、本願発明に含まれる。その記載された範囲内に、いずれか特定の除外する限度値をもつ。
記載された範囲が限度の一方又は両方を含む場合には、含まれた限度の一方又は両方を除いた範囲もまた本願発明に含まれる。
【0056】
本願に記載されたものと類似した又は同等のいかなる方法と物質も本願発明の実施又は試験で使用できるが、模範的で好ましい方法と物質はこれから述べる。本願で述べられた全ての刊行物は、それに関し刊行物が引用された方法及び/又は物質を開示及び説明するために引用により含められる。

アルファ-ガラクトシダーゼ酵素
【0057】
上記のとおり、本願発明はアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含有する洗浄剤組成物を提供する。ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素は、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%、野生型トリコデルマレセイアルファ-ガラクトシダーゼのアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列をもつ。このような酵素の3例のアミノ酸配列は、本願技術分野で知られている(Margolles-Clark ら,Eur.J.Biochem.,240:104-11[1996]参照)。トリコデルマレセイアルファ-ガラクトシダーゼ酵素1,2及び3(AGL1、AGL2及びAGL3)をコードするmRNAのヌクレオチド配列は、これらの酵素のアミノ酸配列と同様に、NCBIのGENBANK(登録商標)データベースに、それぞれアクセス番号Z69253(GID:1580815)、Z69254(GID:1580817)及びZ69255(GID:1580811)としてそれぞれ保存されている。これらのGENBANK(登録商標)データベースのアクセス番号は、その中の核酸とタンパク配列及びこれらの配列の注釈等を含めて引用により全体を組み入れる。
【0058】
500個以上の異なるアルファ-ガラクトシダーゼに関するアミノ酸配列が知られ、NCBIのGENBANK(商標登録)データベースに保存されている。これらには、哺乳類由来のもの(例えばアクセス番号no. CAA 29232;GID:757912参照)、植物由来のもの(例えばアクセス番号no. NP 974447;GID:42572703参照)、及び細菌(例えばアクセス番号BAB38524;GID:13364578参照)由来ものが含まれる。さらに、ヒト、コメ、T・レセイ(例えば、Golubev ら、J.Mol.Biol.,339:413-422[2004])等の少なくとも5個のアルファ-ガラクトシダーゼ酵素の原子配置が知られている。T・レセイ由来物を含むアルファ-ガラクトシダーゼ酵素で保存されているアミノ酸もまた知られている。(例えば、Margolles-Clark ら上記、及びNCBIの保存ドメインアクセス番号no.COG3345.2)
【0059】
ある他の実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素は野生型トリコデルマ・レセイ アルファ-ガラクトシダーゼに免疫学的に関連し、その同定法は分子生物学の分野で良く知られている。
【0060】
本願発明のアルファ-ガラクトシダーゼ酵素はいずれかの適した方法を使用して産生されることが意図されている。例えば、ある実施態様では、本酵素はペリプラズムに分泌されるか(例.大腸菌等のようなグラム陰性菌の場合)、又はグラム陽性菌により、細胞間に分泌されるか(例えばバシルスと放線菌類)または真核細胞宿主(例.トリコデルマ、アスペルギルス、サッカロミセス、ピキア(Pichia))へ分泌される。
【0061】
ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素はT・レセイ宿主細胞内のアルファ-ガラクトシダーゼ酵素に機能的に連結したシグナル配列を含む融合タンパクを発現することにより産生される。これらの実施態様のいくつかにおいて、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素は培養されている培地へ分泌される。この融合タンパク質のシグナル配列はトリコデルマ宿主細胞からのタンパク質分泌を促すいずれかのシグナル配列を含む。ある実施態様では、使用するシグナル配列はトリコデルマ種宿主細胞にとり内因性のものであり、他の実施態様では、これは、非内因性である。いくつかの他の実施態様では、これは、トリコデルマ種宿主細胞から良く分泌されることが知られるタンパク質のシグナル配列である。そのようなシグナル配列はセロビオヒドラーゼI、セロビオヒドラーゼII、エンドグルカナーゼI、エンドグルカナーゼII、エンドグルカナーゼIII、アルファ-アミラーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、グルコアミラーゼ、マンナナーゼ、グルコシダーゼ、及び稀にエンドペプチダーゼBのシグナル配列を非限定的に含む(Saarelanien,Appl.Environ.Microbiol.,63:4938-4940[1997]参照)。ある実施態様では、実施例でさらに記載されているように、アルファ-ガラクトシダーゼはそれ自身のシグナル配列(つまり、Margolles-Clarkらの上記文献に記載されているようにAGL1、AGL2またはAGL3シグナル配列)を使用して分泌される。
【0062】
ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼは核酸を用いて産生される。これは、アルファ-ガラクトシダーゼをコードしている核酸に機能的に連結しているシグナル配列をコードしている核酸であり、この核酸の翻訳はトリコデルマ宿主細胞由来のアルファ-ガラクトシダーゼ部分を分泌するためのN-末端シグナル配列をもつアルファ-ガラクトシダーゼ部分を含む融合タンパク質を産生する。
【0063】
ある実施態様では、この融合タンパク質はさらに、シグナル配列に加えて、内因性で、T. reesei種宿主細胞により多量に分泌されるタンパク質部分である「担体タンパク質」を含む。適当な担体タンパク質は、T.レセイマンナナーゼI(Man5A、又はMANI)、T.レセイセロビオヒドロラーゼII(Cel6A、又はCBHII)(例えば、Paloheimoら、Appl.Environ.Microbial.,69:7073-7082[2003])又はT.レセイセロビオヒドラーゼI(CBHI) の担体タンパク質を非限定的に含む。ある実施態様では、担体タンパク質はCBHIの核領域(core region)とCBHIのリンカー領域の部分を含む短縮された(truncated)T.レセイCBHIタンパク質である。ある実施態様では、本願発明はアミノ酸末端からカルボキシ末端までに、シグナル配列、担体タンパク質及び機能的に連結したアルファ-ガラクトシダーゼを含む融合タンパク質をコードする核酸を含む。
【0064】
ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼのコーディング領域は使用する宿主細胞にアルファ-ガラクトシダーゼを発現するために最適化されたコドンである。トリコデルマ・レセイ等の多くの宿主細胞での各コドンの使用法を一覧表にしたコドン使用表が本願技術分野で知られている(例えば、Nakamuraら、Nucl. Acids Res.,28:292[2000]参照)又は容易に作成できるので、そのような核酸は、発現すべきアルファ-ガラクトシダーゼのアミノ酸配列を与えるように容易にデザインできる。
【0065】
コーディング領域に加え、ある実施態様では、核酸は、さらに宿主細胞にアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を発現するために必要な他の要素を含む。例えば、ある実施態様では、核酸はそのコーディング領域を転写するためのプロモーターと転写ターミネーター(terminator)を含む。プロモーターの例には、T.レセイ cbh1,cbh2,egl1,egl2,eg5,xln1及びxln2プロモーター又はそれらの混合型又は短縮型が非限定的に含まれる。適したターミネーターは、T.レセイ cbh1,cbh2,egl1,egl2,eg5,xln1及びxln2ターミネーターや多くの他のもの、例えば、A.ニゲル(A.niger)またはA.アワモリ(A.awamori)グルコアミラーゼ遺伝子(Nunbergら、[1984]、上記文献、及びBoelら、[1984]、上記文献参照)、アスペルギルス・ニジュランス(Aspergillus nidulans)アントラニル酸シンターゼ遺伝子、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)TAKAアミラーゼ遺伝子、又はアスペルギルス・ニジュランスtrpC(Puntら、Gene 56:117-124[1987])由来のターミネーター等を非限定的に含む。
ある実施態様では、プロモーター及び/又はターミネーターは、トリコデルマ 種宿主細胞に本来含まれるものであり、他の実施態様では、それらは非内因性である。
【0066】
ある実施態様では、T.レセイ宿主細胞はアルファ-ガラクトシダーゼ酵素の発現に用いられる。あるいくつかの好ましい実施態様では、この細胞は、この細胞に内因性である分泌されたタンパクの発現を減少させるように遺伝学的に修飾される。ある実施態様では、この細胞は、一以上の本来の遺伝子、特に、分泌されるタンパク質をコードする遺伝子が除去又は不活性化されている。例えば、ある実施態様では、1以上のプロテアーゼをコードした遺伝子(例.アスパラギン酸プロテアーゼ-コード遺伝子;Berkaら、Gene 86:153-162[1990];及び米国特許第6,509,171号参照)又はセルラーゼをコードした遺伝子が除去又は不活性化される。ある実施態様では、トリコデルマ 種宿主細胞は、WO05/001036に記載されているようにcbh1、cbh2とegl1、及びegl2遺伝子で不活性化、除去を受けているT・レセイ宿主細胞である。いくつかの実施態様では、上記の核酸はトリコデルマ種宿主細胞の核ゲノムにあるが、他の実施態様では、その核酸は、トリコデルマ宿主細胞内で複製されるプラスミド内にある。
【0067】
多くの適した技術(例.電気穿孔法、核マイクロインジェクション、形質導入、トランスフェクション[例.リポフェクチン媒介とDEAE-デキストリン媒介トランスフェクション]、リン酸カルシウムDNA沈殿による導入、DNA-コート微粒子銃(microprojectile)による高速発射(high velocity bombardment)、及びプロトプラスト融合)のいずれか1つを使用してトリコデルマ宿主細胞へ核酸が導入されることが意図されている。一般的形質転換技術は本願技術分野で知られている(WO05/001036;米国特許第6,022,725号;米国特許第6,103,490号;米国特許第6,268,328号及び公開された米国特許出願20060041113、20060040353、及び20050208623を参照せよ。これら全ては引用により本願に含められる。)ある実施態様では、形質転換のためのトリコデルマの調製は菌類の菌糸のプロトプラストの調製を含む(Campbellら,Curr.Genet.16:53-56[1989])。ある実施態様ではこの菌糸は発芽した植物性胞子から得られる。
【0068】
ある実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼ酵素が培地へ分泌されると、これは本願技術分野で知られたいずれかの便利な方法(例.沈殿、遠心分離、親和性による方法、ろ過又は他の方法)を使用して回収される。例えば、アフィニティークロマトグラフィー(Tilbeurghら、FEBS Lett.,16:215[1984]);高分離能をもつ物質を使用したイオン交換を含む(Medveら、J.Chromatography A808:153[1998])イオン交換クロマトグラフ法(Goyaら、Biores.Technol.,36:37[1991];Fliessら、Eur.J.Appl.Microbiol.Biotechnol.,17:314[1983:];Bhikhabhaiら、J.Appl.Biochem.6:336[1984];及びEllouzら、Chromatography 396:307[1987])、;疎水性相互作用クロマトグラフィー(Tomaz とQueiroz, J.Chromatography A865:123[1999];2相分配(Brumbauerら(Bioseparation 7:287[1999]);エタノール沈殿;逆相HPLC;シリカまたはカチオン性交換樹脂(例.DEAE);等電点クロマトグラフィー;SDS-PAGE電気泳動;硫酸アンモニウム沈殿、又は例えばSephadex G-75を用いたゲルろ過が用いられる。いくつかの実施態様では、アルファ-ガラクトシダーゼが培地の他の成分から精製されることなく使用される。これらの実施態様のいくつかでは、培地は、単に濃縮され、培地の成分からタンパク質をさらに精製することなく使用され、またはさらに修飾されずに使用される。

洗浄剤組成物
【0069】
本願発明は、先に述べたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物を提供する。ある実施態様では、洗浄剤組成物は布地類洗浄剤組成物(つまり、洗濯洗剤)、表面洗浄剤組成物、皿洗い組成物、又は自動皿洗機洗剤組成物である。洗浄剤組成物の例の調合剤はWO0001826に詳細に述べられ、これは引用により本願に組み入れられる。
【0070】
ある実施態様では、主題の洗浄剤組成物(例.洗濯又は皿洗洗剤)は約1%から約80%(例えば、約5%から約50%)(重量による)の少なくとも1つの界面活性剤(例.非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は両性イオン性界面活性剤、又はこれらのいずれかの混合物)を含む。界面活性剤の例は、直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩、直鎖型アルキル硫酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS)、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール(例.ノニルフェノキシエトキシレート又はノニルフェノール)、ジメタノールアミン、トリエタノールアミンとモノエタノールアミンを非限定的に含む。洗剤、特に洗濯洗剤に含まれる界面活性剤の例は米国特許第3,664,961号、第3,919,678号、第4,222,905号、第4,239,659号に記載されている。
【0071】
いくつかの実施態様では、洗浄剤組成物は固体(例.粉末又は錠剤形)又は液体形である。いくつかの追加の実施態様では、洗浄剤組成物は、さらに、少なくとも1の緩衝剤(例.炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリム)、洗剤ビルダー、漂白剤、漂白活性剤、酵素、酵素安定剤、発泡補助剤、消泡剤、錆止め剤、腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ剥離剤、殺菌剤、pH-調整剤、ビルダー以外のアルカリ性源、キレート剤、有機又は無機充填剤、溶媒、ヒドロトロープ、光学的増白剤、染料、香料等を含む。いくつかの実施態様では、洗浄剤組成物は洗濯用添加剤として使用前に洗剤と混合される。
【0072】
ある実施態様では、本願の洗浄剤組成物は、他の汚れを取るためにさらに、非デンプン食品用多糖分解酵素(例.ヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、キシリナーゼ、又はペクチン酸エステル分解酵素)、及び任意に、スブチリシンプロテアーゼ及び/又はSSIタンパク、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ、酸化還元酵素等のような一以上の追加の酵素を含む。
【0073】
他の活性成分、担体、ヒドロトロープ、処理補助剤、染料又は色素、液剤用溶媒、等の洗剤洗浄剤組成物で有用な多くの種々の他の成分はまた、本願で提供される組成物でも使用される。さらに泡立ちが必要ないくつかの実施態様では、C10-C16アルコールアミドのような泡立ちの促進剤が、通常、約1%から約10%の水準で、この組成物に組み入れられる。
【0074】
ある実施態様では、洗剤組成物は水、及び/又は他の溶媒を保持体として含む。メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールにより例示される低分子量の一級又は二級アルコールが使用に適している。単一のヒドロキシ基を含むアルコールは界面活性剤を溶解するために好ましいが、約2から約6個の炭素原子と約2個から約6個の水酸基を含むようなポリオール(例.1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、グリセリンと1,2-プロパンジオール)もまた使用される。いくつかの実施態様では、この組成物は約5%から約90%(通常、約10%から約50%)のそのような保持体を含む。
【0075】
ある実施態様では、本願の洗剤組成物は、水で洗浄するとき水が約pH5.0から約pH11.5の間のpHにあるように調合される。そのため、最終製品は通常、この範囲にあるように調合される。このpHを推奨される使用水準に管理する技術には緩衝剤、アルカリ物質、酸等の使用を含み、本願技術分野の技術者に良く知られている。いくつかの実施態様では、洗浄剤組成物は約pH9.0から約pH11.5、約pH9.0から約pH9.5、約pH9.5から約pH10.0、約pH10.0から約pH10.5、約pH10.5から約pH11.0、または約pH11.0からpH11.5の範囲にある使用pHをもつ自動皿洗い洗剤である。いくつかの他の実施態様では、洗浄剤組成物は約pH7.5から約pH8.5、約pH7.5から約8.0、又は約pH8.0から約pH8.5の範囲にある使用pHをもつ液体洗濯洗剤である。いくつかの実施態様では、洗浄剤組成物は約9.5から約10.5、約9.5から約10.0、または約pH10.0から約pH10.5の範囲の使用pHをもつ固形洗濯洗剤である。
【0076】
本願に記載された洗浄剤組成物はアルファ-ガラクトシダーゼの有効量が必要である。ある実施態様では、本願のアルファ-ガラクトシダーゼ酵素の使用濃度は約0.01ppm(百万分の1、w/v)から約100ppm、約0.01ppmから約0.05ppm、約0.05ppmから約0.1ppm、約0.1ppmから約0.5ppm、約0.5ppmから1ppm、約1ppmから約5ppm、約5ppmから約10ppm、または約10ppmから約100ppmである。
【0077】
過炭酸、過ホウ酸等の種々の漂白化合物は、本願発明の洗浄剤組成物にも用途がある。いくつかの実施態様では、これらは、重量で通常約1%から約15%の水準で含まれる。いくつかの他の実施態様では、そのような組成物は、本願技術分野で知られている漂白活性剤も含む。(例.テトラアセチルエチレンジアミン、ノナノイロキシベンセンスルホン酸等)。使用濃度範囲は、重量で通常、約1%から約10%である。
【0078】
種々の汚れはく離剤は、特に、アニオン性のオリゴエステル種のもの、種々のキレート剤、特に、アミノホスホネートとエチレンジアミンジコハク酸、種々の粘土汚れ除去剤、特にエトキシレート化テトラエチレンペンタミン、種々の分散剤、特にポリアクリレートとポリアスパラテート、種々の漂白剤、特にアニオン性漂白剤、種々の発泡抑制剤、特にシリコーンと2級アルコール、種々の布地柔軟剤、特にスメクタイトクレー等は、重量で約1%から約35%の範囲の水準で本願組成物に使用されている。標準的な処方は本願技術分野で良く知られている。
【0079】
酵素安定剤はまた本願発明の洗浄剤組成物に使用される。そのような安定剤はプロピレングリコール(約1%から約10%で好ましい)、ギ酸ナトリウム(約0.1%から約1%までが好ましい)とギ酸カルシウム(約0.1%から約1%までが好ましい)を非限定的に含む。
【0080】
いくつかの実施態様では、硬い表面の洗浄剤組成物と布地等洗浄剤組成物は、さらに重量で約5%から約50%までのビルダーを含む。通常のビルダーは1-10ミクロンのゼオライト、クエン酸塩、オキシジサクシネートのようなポリカルボン酸塩、層状シリケート、リン酸塩等を含む。他の従来のビルダーは標準的処方に記載されている。
【0081】
他の任意の成分はキレート剤、粘土汚れ除去剤/再沈着防止剤、ポリマー分散剤、漂白剤、増白剤、発泡抑制剤、溶媒及び美観剤(aesthetic agent)を含む。
【0082】
本洗浄剤組成物は適した洗浄法で使用される。ある実施態様では、この洗浄法は、対象物を洗浄するため前記のアルファ-ガラクトシダーゼ酵素の活性に適した条件下、トリコデルマ・レセイのアルファ-ガラクトシダーゼに関連するアミノ酸配列を含む単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を対象物(例.布地等又は皿)と接触させることを含む。用いる洗浄剤組成物の使用pHにより、このアルファ-ガラクトシダーゼ酵素は、例えば、約pH 5から約6.5、約pH6.5から約7.5、約pH7.5から約8.5、約pH9.5から約10.5、または約pH10.0からpH11.5までで対象物と接触される。ある実施態様では、対象物は汚れた対象物であり、いくつかのさらなる実施態様では、対象物は、ガラクトマンナンゴム(例.グアゴムまたは、ライマメゴム等)のような非デンプン食品用多糖を含む食品により汚染されている。いくつかのさらなる実施態様では、対象物はチョコレートクリーム、アイスクリーム又はサラダドレッシングにより汚されている。
【0083】
本願に記載された洗浄剤組成物はある汚れ(例.ガラクトマンナン多糖を含有する食品からの汚れ)を除去するときに、アルファ-ガラクトシダーゼを含まない相当する洗浄剤組成物より効果的である。ある実施態様では、本願発明のこの洗浄剤組成物はアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含まない、その他の面では同じ洗浄剤組成物と比較したとき、汚れを除去するのにより効果的である。実施例4で記載されたような標準的反射率計による定量法を使用して、例えば、本願発明のいくつかの洗浄剤組成物は、アルファ-ガラクトシダーゼを含まない相当する洗浄剤組成物よりも、少なくとも約20%、少なくとも約40%、少なくとも約60%、少なくとも約80%、少なくとも約90%多く汚れを除去及び/又は脱色する。
【発明を実施するための形態】
【0084】
実験
以下の実施例は本願技術分野の通常の技術者に本願発明の実施法と使用法の完全な開示と説明を提供するものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。また下記の実験が行われた全て又は唯一の実験であることを示すものではない。使用した数(例.量、温度等)に関し正確を確保するため努力が払われた。しかしいくつかの実験的誤差や逸脱はありうる。別に指示がない限り、部分とは重量による部分であり、分子量とは重量平均分子量、温度とは摂氏の度数であり、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
実施例1
アルファ-ガラクトシダーゼ遺伝子のクローニング
【0085】
トリコデルマ・レセイ株QM6Aのagl1、agl2、agl3とman1遺伝子由来のコーディング領域は以下のプライマーを使用してPCRにより増幅された。

そしてGATEWAYTM組換えシステム(Invitrogen Corporation, Carlsbad,CA)を使用してpTREX3gベクターへクローンされた。pTREX3gはWO05/001036の実施例6に詳細に記載されている。

実施例2
T.レセイ細胞の形質転換
【0086】
全てのベクターは微粒子銃(particle bombardment)によりRL-P37(Sheir-Neissら Appl.Microbiol.Biotechnol.,20;46-53[1984];米国特許第4,797,361号)に由来する4遺伝子が除去された(Δchb1、Δcbh2、Δegl1及びΔegl2)T.レセイ株(WO05/001036)または、1A52pyr4株に移された。
【0087】
トリコデルマ株の胞子の懸濁液(約5x108個の胞子/ml)が調製された。100ul-200ulの胞子の懸濁液がMMアセトアミド培地のプレートの中心上に広げられた。(MMアセトアミド培地は以下の組成をもつ。:0.6g/Lアセトアミド、;1.68g/L CsCl;20g/Lブドウ糖;20g/L KH2PO4;0.6g/L CaCl22H2O;1ml/L 1000X微量元素溶液;20g/LNoble agar;pH5.5 1000X微量元素溶液は、5.0g/l FeSO4・7H2O、1.6g/l MnSO4 H2O 、1.4g/l ZnSO4 7H2O及び1.0g/l CoCl26H2Oを含んでいた。)
【0088】
トリコデルマ細胞の生物銃(Biolistic)による形質転換は、製造業者の指図に従いBio-Rad 社(Hercules、カリフォルニア)のBiolistic(登録商標)PDS-1000/he 微粒子運搬システム(Particle Delivery System)を用いて達成された(例えば、WO05/001036及び米国特許出願第2006/0003408号参照)。

実施例3
酵素活性分析
agl1、agl2、agl3及びman1用のベクターを含む細胞の培養は培養フラスコで行われ、各培養液の上澄みはSDS PAGEを用いて分析された。各培養液上澄液について、アルファ-ガラクトシダーゼ活性が基質として4−ニトロフェニル−アルファ−D-ガラクトピラノシドを使用してMcIlvaine緩衝液中で測定された。酵素活性は、後に簡単に記載する
シグマの試験法(Sigma Protocol)(Enzymatic Assay of Alpha-Galactosidase、Sigma Product Information;またMcCleary, Meth.Enzymol., 160:627-632[1988];及びalpha-galactosidase technical data sheets from A.niger and Guar Seed, Magazymeを参照せよ)を使用して行われた。
第一に、0.10mlの基質は16x125mmのガラス管に加えられ、次に水浴で少なくとも5分加熱され、目的温度とする。次に0.10mlの稀釈した酵素が、15秒間隔で各ガラス管へ加えられ、基質と混合された。この混合物は指示された試験用温度(30℃、37℃、40℃、45℃、60℃、及び75℃)に5分間維持された。反応を止めるために、3.0mlの2%炭酸ナトリウムが同一の15秒間隔で加えられた。この溶液を混合し、この管は、410nmで測定するため水浴から取り出された。
これらの実験では、酵素希釈液は、各pHで(pH2.1、2.5、3、4、5、6、7のMcIlvaine;pH4.5では80.1M酢酸ナトリウム)適当な緩衝液で10mMに調製された。一次試験用のこの酵素基質は4-ニトロフェニル-アルファ-D-ガラクトピラノシド(Sigma,cat:N0877、MW:301.25)であった。各試験には、基質、反応停止剤を含み、酵素を含まないブランクサンプルが用いられた。(p-ニトロフェノールが対照基質として使用された。)
【0089】
図2-4に示されるSDS-PAGEゲル電気泳動は、各上澄液につき、ほぼ正しい大きさのタンパク質が産生されたことを示す。使用した定量条件下、AGL1(45.7kDaの予想分子量をもつ)はpH5の最適pHと約60℃の最適温度をもった(図2)、AGL2(79.5kDaの予想分子量をもつ)はpH4-5の最適pHと約60℃の最適温度をもった(図3)。そしてAGL3(66.3kDaの予想分子量をもつ)はpH2-4の最適pHとpH4.5で約60℃の最適温度及びpH2.5で45℃の最適温度の最適温度をもった(図4)。

実施例4
トリコデルマアルファ−ガラクトシダーゼタンパク質の洗浄活性のディスク定量
【0090】
AGL1、AGL2及びAGL3は、以下の方法を使用してチョコレートクリーム、サラダドレッシング、及びグア色素で汚れた布片の洗浄能力について試験された。
【0091】
色素(STC CFT CS-6)を加えたサラダ-ドレッシング、チョコレートクリーム(STC EMPA160)及びグア色素(STC CFT CS-43)が綿の布片(Test Fabrics,Inc. West Pittston、ペンシルバニア、米国)を汚した。チョコレートアイスクリームの円(10cm 綿布片上4cm)はWarwick-Equest Limited、Consett, County Durham、英国から得られた。
【0092】
微小プレート定量用の布片は5/8”ダイカッターをもつ布Punch Press Model Bにより15cmの円(ディスク)に切り出された。各1枚のディスクが24ウェルマイクロプレート(Costar 3526)の各ウェルへ置かれた。1リットル当たり、1.5mlのAATCC HDL(標準液洗剤)洗剤、50mM Hepes 緩衝液pH7.4を含有する1mlの洗浄溶液が各ウェルへ加えられた。1から20μgの稀釈された酵素がポジティブディスプレイスメントピペット(positive displacement pipette)により加えられた。このAATCC2003標準液体洗剤
は、12%の直鎖型アルキルスルホン酸、8%のアルコールエトキシレート、8%のプロパンジオール、1.2%のクエン酸、4%の脂肪酸と4%の水酸化ナトリウムと残り、水を含んでいた。空試験用ウェルには酵素は加えられなかった。このマイクロプレートはプラスチックの蓋をされ、37℃で100rpmの静かな回転で恒温槽へ入れられた。4-16時間後、この上澄み液は吸引により取り除かれ、各ウェルは1.5mlのDulbeccoのリン酸緩衝液pH7.3で3度洗浄を受け、1.5mlの蒸留水で3度洗浄された。各ディスクはウェルから取り出され、空気中で一夜乾燥された。ディスクは目視により検査を受け、標準白色タイル上で校正されたミノルタ反射率計(Minolta Reflectometer)CR-200により分析された。平均L値はコントロールサンプル及び試験サンプルごとに全て4回測定を繰り返して得られたデータのパーセント標準偏差とともに計算された。
【0093】
重質洗剤 (HDD)または自動皿洗い機 (ADW) 洗剤を使用する実験は0.015%から0.1%のAATCC HDDを、リン酸緩衝液pH10を用いず、またリン酸塩を含まない0.015%から0.1%のWFK ADW 洗剤TypeBを使用して、行われた。光沢剤を含まないAATCC1993 標準的対照重質洗剤は18%の直鎖型アルキルスルホン酸塩、2%の直鎖型脂肪族アルコールエトキシレート、及び100%至る残部の炭酸ナトリウム、25%ゼオライトA、18%ソーダ灰、0.5%ケイ酸ナトリウム、22.13%硫酸ナトリウム、10%水分を含み、残り(6.28%)はコポリマー、酵素又はカルボキシメチルセルロースである。光沢剤を含まず、リン酸塩を含まないWFK 自動皿洗い洗剤TypeBは、30%クエン酸ナトリウム脱水物、12%マレイン酸ナトリウム塩、過ホウ酸ナトリウム一水和物、2%テトラアセチルエチレンジアミン、25%ジシリケートナトリウム、2%直鎖型脂肪族アルコールエトキシレート、及び残り100%まで無水炭酸ナトリウムを含んでいた。
【0094】
以下の実施例と添付の図の中で、AGL1を含有するタンパク質抽出物は、NSP-6と、AGL2を含むタンパク質抽出物はNSP-8と、AGL3を含むタンパク質抽出物はNSP-9と呼ばれる。
【0095】
図5に示されるように、NSP-6(アルファ-ガラクトシダーゼ1)、NSP-8(アルファ-ガラクトシダーゼ2)、及びNSP-3(アルファ-ガラクトシーダーゼ3)はマイクロディスク法を使用して0.15%AATCC重質液体洗剤中でチョコレートクリームの汚れに優れた洗浄効果を示した。CWDEは細胞壁分解酵素の略号である。図6は、サラダドレッシングの汚れに対する、0.022%AATCC重質液体洗剤pH7.4中でのアルファ-ガラクトシダーゼ1の洗浄を示す。図7は低濃度(0.5から1.0ppm)のNSP-8(アルファ-ガラクトシダーゼ2)が0.15%のAATCC重質液体洗剤中で、グア−色素汚れに対する大きい洗浄力を示す。

実施例5
トリコデルマ アルファ-ガラクトシダーゼタンパク質の洗浄活性のターゴトメーター(tergotometer)分析
【0096】
ターゴトメーター試験は、37℃に保った6ポットTergotometer Model 7243S(U.S.Testing社、Hoboken、ニュージャージー)を使用した。撹拌速度は100rpmに設定された。綿の布片上に6個のチョコレートアイスクリームの円を付着したものを6gpgの硬度(1.735M塩化カルシウムと0.67M塩化マグネシウムを含む15000gpgの硬度の原液から稀釈)であり、50mMのpH7.4のHepes緩衝液を含む1リットルのAATCC HDL洗剤に加えられた。
【0097】
図8はアルファ-ガラクトシダーゼ2(NSP-8)が1ppmの酵素により30分でターゴトメーター条件下アイスクリームの付着した布片を洗浄することを示している。
【0098】
図9は、実施例で述べたように、0.015%自動皿洗い洗剤(WFK)pH10.5、又は0.015% AATCC 固形洗濯洗剤,pH10.2中で20ppmで使用した場合、全ての3種のアルファ-ガラクトシダーゼが、特にアルファ-ガラクトシダーゼ2(NSP-8)がマイクロプレートディスク法で大きい洗浄力を示したことを示す。
【0099】
上記の実施例は、トリコデルマ・レセイ アルファ-ガラクトシダーゼ酵素が、サラダドレッシング、チョコレートクリーム、アイスクリームとグア(guar)-色素による汚れを付けた綿の布片から汚れを効果的に除くことを実証するものである。グアによる人為的な汚れに対する活性はサラダドレッシングとアイスクリームが成分としてグアゴムを含むことが多いので洗浄力の基礎である。試験したアルファ-ガラクトシダーゼ酵素は予測したよりかなり高いpH範囲で良く機能する。
【0100】
上記の明細書に記載された全ての刊行物と特許は引用により本願に組み入れられる。本願発明の説明された方法とシステムの種々の修飾や変更は、本願発明の範囲と本質から離れずとも本願技術分野の技術者にとり明らかである。本願発明は具体的な好ましい実施態様に関して説明されたが、本願発明がそのような具体的実施例に過度に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、本願技術分野、又は関連する分野の技術者に自明な、発明を実施するための記載された方法の種々の修飾は本願発明の範囲内にある。
【0101】
以上本願発明の実施態様の例を述べたが、開示した実施態様に種々の修飾をなし得ること、そのような修飾を本願発明の範囲に含むことが意図されていることは本願技術分野の普通の技術者に明らかであろう。
【0102】
本願技術分野の技術者は、本願発明が目的を達成するために良く適応でき、述べられた結果と優位性を、本来有するものとともに得られることを容易に理解する。本願に述べた組成物と方法は代表例であって、本願発明の範囲を限定する意図はない。様々の置換や修飾は本願発明の範囲と本質を離れずに本願に開示した発明に行えることは本願技術分野の技術者に容易に分かる。
【0103】
本願で適切に、例をあげて述べられた発明は、本願に具体的開示されていない要素、限度を含めずに実施できる。使用されてきた用語と表現は説明のための用語として使用され、限定のためではない。そして、そのような用語と表現の使用には、示しかつ述べた特徴、又はその一部と同等のものを排除する意図はない。むしろ種々の修飾が請求項の発明の範囲内で可能であることが認識される。従って、本願の発明が実施態様と任意の特徴の例示により具体的に開示されたが、本願に開示された着想の修飾と変更は本願技術分野の技術者に託され、そのような修飾と変更が請求項により定義される発明の範囲内にあると考えられることが理解されるべきである。
【0104】
発明は、本願において広く属一般について述べられた。属として開示された範囲内のより狭い種や属以下の分類のそれぞれもまた、本願発明の一部を形成する。このことは、除かれる事項が具体的に発明に示されているかどうかにかかわらず、その属からいずれかの従属的事項を除く但し書き又は否定的限定のある発明において、属に関する記述がある場合も含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)のアルファ-ガラクトシダーゼと少なくとも約90%同一であるアミノ酸配列を含む単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を含む洗浄剤組成物。
【請求項2】
請求項1の洗浄剤組成物であり、さらに少なくとも1種の界面活性剤を含む洗浄剤組成物。
【請求項3】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記洗浄剤組成物は約pH5よりも大きい使用pHをもつ洗浄剤組成物
【請求項4】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記洗浄剤組成物は固体である洗浄剤組成物。
【請求項5】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記洗浄剤組成物は液体である洗浄剤組成物。
【請求項6】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記洗浄剤組成物は洗濯用洗剤を含むものである洗浄剤組成物。
【請求項7】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記洗浄剤組成物は皿洗い用洗剤を含むものである洗浄剤組成物。
【請求項8】
請求項1の洗浄剤組成物であって、さらに1以上の追加の酵素をふくむものである洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項8の洗浄剤組成物であって、前記追加の酵素はヘミセルラーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、ペクチンリアーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、クチナーゼ、リパーゼ、及びオイドレダクターゼ(oidoreductases)から選択されるものである洗浄剤組成物。
【請求項10】
請求項1の洗浄剤組成物であって、前記単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素はトリコデルマ・レセイ(Trichoderma reesei)のアルファ-ガラクトシダーゼと免疫学的に交差反応性があるものである洗浄剤組成物。
【請求項11】
洗浄方法であって、トリコデルマ・レセイのアルファ-ガラクトシダーゼと少なくともほぼ同一であるアミノ酸配列を含む単離されたアルファ-ガラクトシダーゼ酵素を、前記アルファ-ガラクトシダーゼ酵素の活性に適した条件下、前記対象物と接触させ対象物を洗浄することを含む洗浄方法。
【請求項12】
請求項11の方法であって、前記アルファ-ガラクトシダーゼは約pH5より大きいpHで前記対象物と接触される方法。
【請求項13】
請求項11の方法であって。前記対象物は汚れた対象物である方法。
【請求項14】
請求項13の方法であって、前記汚れた対象物は非デンプン食品用多糖を含むものである方法。
【請求項15】
請求項14の方法であって、前記非デンプン食品用多糖はガラクトマンナンゴムである方法。
【請求項16】
請求項14の方法であって、前記非デンプン食品用多糖はグアゴム(guar gum)またはライ豆ゴム(lima bean gum)である方法。
【請求項17】
請求項13の方法であって、前記汚れた対象物はチョコレートクリーム、アイスクリーム又はサラダドレッシングで汚れたものである方法。
【請求項18】
請求項11の方法であって、前記対象物は布地等(fabric)である方法。
【請求項19】
請求項11の方法であって、前記対象物は食器類である方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−520323(P2010−520323A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551694(P2009−551694)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/002473
【国際公開番号】WO2008/106093
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(509240479)ダニスコ・ユーエス・インク (81)
【Fターム(参考)】