説明

アルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒並びにそれらの製造方法

【課題】細孔容積が大きく、しかも、高強度であるアルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒並びにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】pH10〜14に調整された敷水を攪拌しながら、敷水に塩基性塩化アルミニウムの水溶液を5分以内でpH6.5〜10.0となるように添加し、更に塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液をpH6.5〜10.0の範囲内に保持しつつ、10分から2時間かけて同時に攪拌しながら添加してアルミナ水和物を得た後、このアルミナ水和物を順次、洗浄、熟成、噴霧乾燥、捏和、成型、乾燥、及び焼成してアルミナ担体を得る。更に、得られたアルミナ担体に活性金属成分を担持して水素化処理触媒を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素油、特に重質炭化水素油の水素化処理を行う触媒に係り、詳しくは、細孔容積が大きく、しかも、高強度であるアルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素化脱金属触媒は、アルミニウム塩を中和剤で中和してアルミナ水和物を調製し、得られたアルミナ水和物を洗浄、加熱捏和、押し出し成形してアルミナ担体を作製し、このアルミナ担体に活性金属成分を担持して製造されている(例えば、特許文献1〜4参照)。ここで、アルミナ水和物の原料となるアルミニウム塩としては、例えば、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性硝酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム等の酸性のアルミニウム塩や、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等の塩基性のアルミニウム塩がある。また、中和剤としては、前記したアルミニウム塩と反応してアルミナ水和物の沈殿(アルミナ水和物)を生成する水溶性の物質が使用される。例えば、酸性のアルミニウム塩が用いられる場合には、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化ナトリウム、アンモニア等の塩基性物質が使用され、塩基性のアルミニウム塩を用いる場合には、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸等の酸性物質が使用される。
【0003】
特許文献1には、種子アルミナ水和物を含有するpH8の水性スラリーを循環させながら、そこにアルミン酸ナトリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液とをpHを8に保ちながら添加し、これらを混合して得られたアルミナ水和物含有水性スラリーを前記水性スラリーに戻す操作を繰り返してアルミナ水和物を調製し、得られたアルミナ水和物を洗浄、加熱捏和、押し出し成形してアルミナ担体を製造する方法が開示されている。
また、特許文献2には、水に硝酸アルミニウム溶液とアルミン酸ナトリウム溶液とを交互に加えて生成するアルミナ水和物を、洗浄、加熱捏和、押し出し成形して、アルミナ担体を製造する方法が開示されている。
更に、特許文献3及び4には、水にアルミン酸ナトリウムと硫酸アルミニウムとを同時に混合して得られるアルミナ水和物を、洗浄、加熱捏和、押し出し成形して、アルミナ担体を製造する方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3755826号公報
【特許文献2】特開平8−89805号公報
【特許文献3】特開2002−363576号公報
【特許文献4】WO2003/066215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法で製造されたアルミナ担体に活性金属成分を担持した水素化脱金属触媒は、全細孔容積が1.2ml/g以下(実質的には、1.1ml/g未満)と小さいので、脱金属(脱メタル)性能が低く、効率的な脱金属処理ができないという問題があった。また、従来の水素化脱金属触媒の全細孔容積を1.2ml/gよりも大きくした場合には、強度(例えば、耐圧強度、摩耗強度等)が低くなり、実用的でないという問題もあった。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、細孔容積が大きく、しかも、高強度であるアルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒並びにそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う本発明に係るアルミナ担体は、下記(a)〜(f)の性状を有する。
(a)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PV)が1.2ml/gを超え、2.0ml/g以下である。
(b)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PV)に対する細孔直径100nm以上の細孔の細孔容積(PV)の割合(PV/PV)が0.12〜0.35である。
(c)細孔直径5〜100nm範囲に細孔分布のピークを有する第1細孔群(P)と細孔直径500〜10000nm範囲に細孔分布のピークを有する第2細孔群(P)との少なくとも2つの細孔群からなる細孔を有し、しかも、該第1細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP1)が0.9ml/g以上、かつ、該第2細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP2)が0.1ml/g以上である。
(d)比表面積(Specific surface Area、SA)が150m/g以上である。
(e)耐圧強度(Crushing Strength、CS)が7N/mm以上である。
(f)磨耗強度(Abrasion Rate、AR)が0.5%以下である。
前記目的に沿う本発明に係る水素化脱金属触媒は、本発明のアルミナ担体に、活性金属成分を担持している。なお、本発明のアルミナ担体に、活性金属成分を担持しても、前記アルミナ担体の(a)〜(f)の物性は実質上変化しない。
本発明に係る水素化脱金属触媒において、前記活性金属成分は、周期表第6A族金属及び第8族金属から選ばれた少なくとも1種の金属である。
【0008】
ここで、本発明におけるアルミナ担体の全細孔容積(PV)は、水銀圧入法により測定可能な細孔直径を有する細孔(実質的に全ての細孔、例えば、細孔直径が約3〜10000nmの範囲)の細孔容積の合計値である。また、この水銀圧入法による細孔容積の測定結果から、アルミナ担体の細孔直径(pore diameter。以下、単に「細孔径」ともいう)と微分細孔容積(relative pore volume)との関係を示した微分型の細孔分布図(pore distribution)や、アルミナ担体の細孔直径と累積細孔容積(cumulative volume)との関係を表す積分型の細孔分布図等が得られる。本発明のアルミナ担体は、微分型の細孔分布図において、少なくとも細孔直径5〜100nm範囲に細孔分布のピーク(第1ピーク)を有する第1細孔群と、細孔直径500〜10000nm範囲に細孔分布のピーク(第2ピーク)を有する第2細孔群とを備えている(図1参照)。本発明のアルミナ担体は、第1細孔群及び第2細孔群のみを有するバイモーダル細孔構造(bimodal pore Structure)であるのが好ましい。なお、細孔直径5〜100nm範囲及び細孔直径500〜10000nm範囲において、それぞれのピークは1つずつあるのが好ましいが、各細孔直径の範囲内で2つ以上のピークがある場合には、それぞれの細孔直径の範囲において最大のものをそれぞれ第1ピーク、第2ピークという。また、微分型の細孔分布図は、第1ピーク、第2ピークの他に、前記した細孔直径の範囲外に細孔分布のピークを有しても良い。
【0009】
前記目的に沿う本発明に係るアルミナ担体の製造方法は、pH10〜14に調整された敷水を攪拌しながら、該敷水に塩基性塩化アルミニウムの水溶液を5分以内でpH6.5〜10.0となるように添加する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合溶液をpH6.5〜10.0の範囲内に保持しながら、更に該混合溶液に塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液を10分から2時間かけて同時に攪拌しながら添加してアルミナ水和物を得る第2工程と、
前記アルミナ水和物を順次、洗浄、熟成、噴霧乾燥、捏和、成型、乾燥、及び焼成してアルミナ担体を得る第3工程とを有する。
ここで、敷水とは、容器内に最初に貯留される水溶液のことである。
前記目的に沿う本発明に係る水素化脱金属触媒の製造方法は、本発明のアルミナ担体の製造方法で製造されたアルミナ担体に、活性金属成分を担持する。
【0010】
本発明の一実施の形態に係る水素化脱金属触媒は、本発明のアルミナ担体に活性金属成分を担持させたものである。活性金属成分としては、周期表第6A族金属(例えば、モリブデン、タングステン等)及び第8族金属(例えば、ニッケル、コバルト、パラジウム、白金等)から選ばれた少なくとも1種の金属であるのが好ましく、これらの2種以上組み合わせて用いるとより好ましい。更に好ましくは、水素化脱金属触媒は、活性金属成分として周期表第6A族金属と第8族金属と両成分をも含むのがよい。また、各活性金属成分の担持量は、水素化脱金属触媒に対して(以下、「触媒基準」ともいう)、酸化物としてそれぞれ0.5〜20質量%の範囲が好ましく、1〜15質量%の範囲がより好ましい。
ここで、本発明において、周期表第6A族金属及び第8族金属とは、例えば、「岩波理化学辞典 第4版」(岩波書店、1987年発行)の見返し掲載の「元素の周期表 長周期型」の第6A属金属、第8属金属をそれぞれ指すものであり、18属長周期型周期表(IUPAC、1990年勧告)の第6族、第8〜10族にそれぞれ対応するものである。
【0011】
本発明のアルミナ担体は、以下の(a)〜(f)の性状を有する。以下、それぞれについて、詳しく説明する。
【0012】
(a)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PV)が1.2ml/gを超え、2.0ml/g以下である点。
アルミナ担体の全細孔容積(PV)が、1.2ml/g以下であると、得られる水素化脱金属触媒の脱金属活性の寿命が短くなる傾向にあり、2.0ml/gを超えると得られる水素化脱金属触媒の強度が弱くなる。全細孔容積(PV)は、1.3〜1.6ml/gであるのが好ましい。なお、前記したように本発明における全細孔容積(PV)は、水銀圧入法により測定可能な細孔直径を有する細孔の細孔容積の合計値である。また、本発明においては、細孔直径、細孔容積、及び細孔分布も、水銀圧入法により測定したものであり、細孔直径は、水銀の表面張力480dyne/cm、接触角150°を用いて計算した値である。
【0013】
(b)水銀圧入法で測定した全細孔容積(PV)に対する細孔直径100nm以上の細孔の細孔容積(PV)の割合(PV/PV)が0.12〜0.35である点。
アルミナ担体の前記細孔容積の割合(PV/PV)が、0.12未満であると、細孔直径100nm以上の細孔が占める割合が小さいために得られる水素化脱金属触媒の細孔内において油の拡散が悪くなって脱金属活性が低下し、0.35を超えると、細孔直径100nm以上の細孔が占める割合が大きいために得られる水素化脱金属触媒の強度が弱くなる。前記細孔容積の割合(PV/PV)は、0.15〜0.30であるのが好ましい。
【0014】
(c−1)細孔直径5〜100nm範囲に細孔分布のピークを有する第1細孔群(P)と細孔直径500〜10000nm範囲に細孔分布のピークを有する第2細孔群(P)との少なくとも2つの細孔群からなる細孔を有する点。
本発明のアルミナ担体は、水銀圧入法により得られた微分型の細孔分布において、細孔直径5〜100nm範囲、好ましくは5〜50nm範囲に細孔分布のピークを有し、水素化処理触媒では主として脱硫反応が起きる第1細孔群(P)と、細孔直径500〜10000nm範囲、好ましくは500〜5000nm範囲に細孔分布のピークを有し、水素化処理触媒では主として脱金属反応が起こる第2細孔群(P)とを備えている。従って、本発明のアルミナ担体から製造された水素化脱金属触媒は、高い脱金属活性と高い脱硫活性を有する。ここで、水素化脱金属触媒は、用いるアルミナ担体の第1細孔群(P)における細孔分布のピークが細孔直径5nm未満であると、反応油の拡散が悪くなるので脱硫活性が低下する傾向にあり、細孔分布のピークが細孔直径100nmを超えると、脱金属反応が起きて金属が細孔内に沈着するため脱硫活性が低下する傾向にある。また、水素化脱金属触媒は、用いるアルミナ担体の第2細孔群(P)における細孔分布のピークが細孔直径500nm未満であると、分子量の大きいアスファルテン等の分解が十分に起きないので、脱金属活性が低下する傾向にあり、細孔分布のピークが細孔直径10000nmを超えると、強度が弱くなる。更に、本発明のアルミナ担体は、第1細孔群及び第2細孔群のみを有するバイモーダル細孔構造であるのが好ましい。
【0015】
(c−2)第1細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP1)が0.9ml/g以上、好ましくは1.0ml/g以上(実質的に上限は、ほぼ1.6ml/g程度である)、かつ、第2細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP2)が0.1ml/g以上、好ましくは0.15ml/g以上(実質的に上限は、ほぼ0.6ml/g程度である)である点。
アルミナ担体の第1細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP1)が、0.9ml/g未満であると、得られる水素化脱金属触媒は、金属が細孔内に沈着して細孔を閉塞し、寿命が短くなると共に、脱硫活性が低下する傾向にあり、また、アルミナ担体の第2細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP2)が0.1ml/g未満であると、得られる水素化脱金属触媒は、分子量の大きいアスファルテン等の拡散や分解が十分に起き難いので、脱金属活性が低下する傾向にある。
【0016】
(d)比表面積(SA)が150m/g以上である点。
アルミナ担体の比表面積(SA)が、150m/g未満の場合には、得られる水素化脱金属触媒は、脱金属活性への影響は小さいが脱硫活性への影響が大きくなって脱硫活性が低下する傾向にあり、220m/gを超える場合には、第1細孔群が多くなるので、得られる水素化脱金属触媒は、寿命が短くなると共に、脱金属活性が低下する傾向にある。前記比表面積(SA)は、170〜220m/gであるのが好ましい。なお、比表面積はBET法で測定した値である。
【0017】
(e)耐圧強度(CS)が7N/mm以上である点。
アルミナ担体の耐圧強度(CS)が、7N/mm未満であると、得られる水素化脱金属触媒は、充填時に壊れ易く、結果として反応時に偏流や圧損の原因となる。前記耐圧強度(CS)は、10N/mm以上であるのが好ましい。実質的な耐圧強度(CS)の上限値は60N/mmである。なお、耐圧強度は、圧壊強度ともいわれ、本実施の形態では、木屋式硬度計で測定した値である。
【0018】
(f)磨耗強度(AR)が0.5%以下である点。
アルミナ担体の摩耗強度(AR)が、0.5%を超えると、得られる水素化脱金属触媒は、充填時に粉化し易く、結果として反応時(使用時)に偏流や圧損の原因となる。前記摩耗強度(AR)は、0.3%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。実質的な摩耗強度(AR)の下限値は0.01%である。なお、摩耗強度は、摩耗強度粉化率ともいわれ、本実施の形態では、ASTM法(アメリカ試験協会法)D4058−81に基づいて測定した値である。
【0019】
次に、アルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒の製造方法について説明する。
本発明のアルミナ担体は、例えば、容器内に最初に貯留されているpH10〜14に調整された敷水を攪拌しながら、下記(1)式で表される塩基性塩化アルミニウムの水溶液(酸性を示す)を、5分以内でpH6.5〜10.0となるように添加し、この際に得られた混合溶液に、更にアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム等の塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液を、pH6.5〜10.0の範囲内に保持しつつ、10分から2時間かけて同時に攪拌しながら添加して得られるアルミナ水和物を、順次、洗浄、熟成、噴霧乾燥、捏和、成型、乾燥、及び焼成して製造することができる。
[Al(OH)Cl6−n・・・(1)
(ただし、0<n<6、1≦m≦10、好ましくは4.8≦n≦5.3、3≦m≦7である。なお、mは、自然数を示す。)
また、本発明の水素化脱金属触媒は、前記したアルミナ担体に活性金属成分を担持して製造することができる。以下、各工程について詳しく説明する。
【0020】
(第1工程)
まず、Alとして0.05〜0.15質量%となる塩基性のアルミニウム塩(本実施の形態では、アルミン酸ナトリウム)と0.001〜0.003質量%のグルコン酸ナトリウムとを含む水溶液を、pH10〜14に調整し、更に、その液温を50〜70℃、好ましくは55〜65℃に加温して、敷水を作成する。ここで、グルコン酸ナトリウムは、塩基性のアルミニウム塩(ここでは、アルミン酸ナトリウム)の加水分解を抑制する効果があり、塩基性のアルミニウム塩の安定性を向上させるために添加している。
なお、敷水は、pH10〜14の塩基性の水溶液(アルカリ水溶液)であればよく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等を含む水溶液であってもよいが、次に行う操作(敷水への塩基性塩化アルミニウムの水溶液の添加)において、擬べーマイトのシード(種)を形成させ易くするために、敷水にアルミナ源となる塩基性のアルミニウム塩を添加して、敷水のpHを10〜14とするのが好ましい。
【0021】
次に、この敷水を攪拌しながら、塩基性塩化アルミニウムの水溶液(例えば、Alとして22〜24質量%含む)を5分間以内、好ましくは1〜3分間程度でpH6.5〜10.0、好ましくはpH7.0〜9.0となるように添加して、敷水を中和する。これによって、この混合溶液中には、擬ベーマイトのシードが形成される。なお、塩基性塩化アルミニウムの水溶液を添加する際に、敷水がpH10.0よりも高い状態で5分を超えると、バイヤライト結晶形のアルミナ水和物が生成するため、得られるアルミナ担体の強度が低くなるので好ましくない。
【0022】
(第2工程)
第1工程で得られた混合溶液に、塩基性のアルミニウム塩(イ)の水溶液(例えば、好ましくはAlとして21〜23質量%含む)及び塩基性塩化アルミニウム(ロ)の水溶液(例えば、好ましくはAlとして22〜24質量%含む)を、10分から2時間かけて攪拌しながら同時に添加する。この際には、塩基性のアルミニウム塩の水溶液と塩基性塩化アルミニウムの水溶液との添加量をそれぞれ適宜調整(それぞれの水溶液の濃度によって異なるが、ほぼ同じ化学等量を混合するのが好ましい)し、混合溶液をpH6.5〜10.0、好ましくはpH7.0〜9.0の範囲内に保持しながら添加する。これによって、第1工程で形成した擬ベーマイトのシードを成長させ、擬ベーマイト構造のアルミナ水和物のスラリー(懸濁液)が得られる。なお、この際には、混合溶液の液温を50〜70℃、好ましくは55〜65℃に保持するのがよい。更に、塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液の添加を停止した後、所望により10分から2時間攪拌を続け、均一なアルミナ水和物を得るのが好ましい。
【0023】
(第3工程−洗浄操作)
次に、得られたスラリーを50〜70℃、好ましくは55〜65℃の純水で洗浄し、ナトリウム、塩酸根等の不純物を除去し、洗浄ケーキを得る。
(第3工程−熟成操作)
更に、洗浄ケーキに純水を加えて、Al濃度(すなわち、「Alとしての濃度」をいう。以下、同様である)が5〜13質量%、好ましくは7〜11質量%となるように調製した後、アンモニア水でpH9〜12、好ましくはpH10〜11に調製し、調製スラリーを得る。この調製スラリーを還流器付きの熟成タンク内において、80℃以上、好ましくは90〜100℃で、かつ、5〜20時間、好ましくは8〜15時間熟成して熟成スラリーを得る。
【0024】
(第3工程−噴霧乾燥操作)
得られた熟成スラリーを、例えば、入口温度が280〜550℃、好ましくは350〜500℃で、かつ、出口温度が150〜280℃、好ましくは200〜250℃にそれぞれ調整された噴霧乾燥機によって噴霧乾燥を行って、アルミナ粉を得る。このアルミナ粉を1000℃で1時間加熱したときの強熱減量(ignition loss、loss of ignition。以下、単に「強熱減量」ともいう)は、15〜20質量%であるのが好ましい。ここで、アルミナ粉の強熱源量が15質量%未満では、アルミナ粉の粒子強度が高くなり過ぎ、後工程において捏和物の成型性が悪化し、得られる成型物の強度が低くなることがある。また、アルミナ粉の強熱減量が20質量%を超えると、アルミナ粉に形成された細孔径の大きい細孔構造が捏和時に消失し、得られるアルミナ担体に形成される第2細孔群(P)が減少し、第2細孔群の細孔容積(PVP2)が0.1ml/gよりも小さくなることがある。噴霧乾燥したアルミナ粉には、例えば、付着水が0.3〜1.2質量%、結晶水が15.5〜16.5質量%含有されており、Al・1.05〜1.25HOとして表される。
【0025】
(第3工程−捏和操作)
得られたアルミナ粉にAl濃度が20〜40質量%、好ましくは25〜35質量%となるように純水を加えた後、混練機で3〜20分間、好ましくは5〜10分間程度捏和して、捏和物を得る。ここで、捏和時間が3分未満であると、次の成型操作において成型性が悪化し、得られるアルミナ担体の強度が低下し、20分を超えると、第2細孔群の細孔容積(PVP2)が0.1ml/gよりも小さくなることがある。
(第3工程−成形操作)
得られた捏和物を押出成形機によって、1.8mmの四つ葉型の柱状に押し出し成型し、成型物を得る。なお、成型物は、四つ葉型の柱状以外に、三つ葉型の柱状、円柱等の形状に成型でき、その大きさも限定されない。
(第3工程−乾燥焼成操作)
この成型物を、例えば、100〜150℃、好ましくは120〜140℃で、かつ、10〜20時間、好ましくは15〜18時間乾燥した後、更に500〜800℃、好ましくは600〜700℃で、かつ、30分から2時間、好ましくは45〜90分間焼成し、アルミナ担体を得る。
【0026】
(第4工程)
得られたアルミナ担体に、活性金属成分として、例えば、酸化モリブデン及び炭酸ニッケルをそれぞれモリブデン酸化物(MoO)として1〜4質量%及びニッケル酸化物(NiO)として0.4〜0.7質量%含有する活性金属含有水溶液を、ポアフィリング法(pore filling method)、浸漬法、平衡吸着法等により、アルミナ担体に触媒基準でモリブデン酸化物(MoO)として2〜5質量%、好ましくは3〜4質量%、かつ、ニッケル酸化物(NiO)として0.5〜0.9質量%、好ましくは0.6〜0.8質量%含浸させた後、乾燥機で室温から300℃まで、好ましくは室温から270℃まで、更に好ましくは室温から250℃まで昇温乾燥し、更に空気中で400〜700℃、好ましくは500〜600℃、かつ、30分から2時間、好ましくは45〜90分間焼成して、水素化脱金属触媒を製造する。ここで、ポアフィリング法とは、予め秤量したアルミナ担体の全細孔容積に相当する量の活性金属含有水溶液を作製し、この活性金属含有水溶液を減圧条件下で脱気された該アルミナ担体の細孔に取り込むことにより、活性金属成分を細孔内に含浸させる方法である。
本発明の水素化脱金属触媒及びその製造方法において、活性金属成分として、モリブデン及びニッケルの使用が代表的なものであるが、モリブデン及びニッケル以外の組み合わせ、又は、周期表第6A族金属及び第8族金属から選ばれた1種を使用してもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の水素化脱金属触媒においては、全細孔容積が大きく、しかも、細孔直径5〜100nm範囲及び細孔直径500〜10000nm範囲にそれぞれ細孔分布のピークを有するアルミナ担体に活性金属成分が担持されているので、脱金属活性及び脱硫活性が高く、バナジウムやニッケル等の金属汚染物質を含む残渣油等の重質炭化水素油の水素化処理に好適に使用できる。また、本発明の水素化脱金属触媒は、高強度のアルミナ担体から製造されるので、工業的に使用可能な強度を有する。
【0028】
また、本発明のアルミナ担体の製造方法においては、pH10〜14に調整された敷水を攪拌しながら塩基性塩化アルミニウムの水溶液を5分以内でpH6.5〜10.0となるように添加した後、得られた混合溶液をpH6.5〜10.0の範囲内に保持しながら、更に混合溶液に塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液を10分から2時間かけて同時に攪拌しながら添加するので、擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を得ることができ、このアルミナ水和物を順次、洗浄、熟成、噴霧乾燥、捏和、成型、乾燥、及び焼成するので、細孔容積が大きく、しかも、高強度のアルミナ担体を製造することができる。
更に、本発明の水素化処理触媒の製造方法においては、本発明のアルミナ担体に活性金属成分を担持するので、寿命の長い水素化脱金属触媒を製造することができる。
【実施例】
【0029】
本発明の一実施の形態に係るアルミナ担体及びそれを用いた水素化脱金属触媒の製造方法を適用して、アルミナ担体及び水素化脱金属触媒Aを製造した。更に、製造した水素化脱金属触媒Aの脱金属活性を測定した。
【0030】
(実施例1)
200L容量の攪拌翼及びスチーム加熱装置が設けられたタンクに純水を140.6kg張り込み(貯留し)、スチーム加熱装置によって水温が60℃になるまで加温した。更に、タンク内の純水を攪拌翼で攪拌しながら、0.6kgのアルミン酸ナトリウム水溶液(Alとして、22質量%、すなわち、0.13kg含む)と2.6gのグルコン酸ナトリウムとを、液温を60℃に保ちながら添加して、Al濃度が0.09質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液を敷水として作製した。この際、敷水は、pH10.5であった。
次に、敷水を攪拌しながら、1.89kgの塩基性塩化アルミニウム水溶液(Alとして、23質量%、すなわち、0.43kg含む)を2分間で添加して、擬ベーマイトのシードを形成させ、続いて、5.7kgのアルミン酸ナトリウム水溶液(Alとして、22質量%、すなわち、1.25kg含む)、及び、18.2kgの塩基性塩化アルミニウム水溶液(Alとして、23質量%、すなわち、4.19kg含む)を、pH7.2±0.5、かつ、液温を60±1℃に保持しながら、30分かけて同時に添加して、共沈により擬ベーマイト粒子を成長させ、更に1時間攪拌して均一なアルミナ水和物のスラリーを得た。
なお、塩基性塩化アルミニウム水溶液は、〔Al(OH)Clで示される塩基性塩化アルミニウムから作製されている。
【0031】
得られたスラリーを洗浄し、スラリーに付着しているナトリウム及び塩酸根等の不純物を除去し、67.0kgの洗浄ケーキ(Alとして、9.0質量%、すなわち、6.0kg含む)を得た。
67.0kgの洗浄ケーキに3.6kgの純水を加えて、Alとして8.5質量%に調整した後、15質量%のアンモニア水でpH10.5に調整し、更に、還流器のついた熟成タンク内で、95℃で10時間攪拌しながら熟成し、75.8kgの熟成スラリーを得た。
得られた熟成スラリーを、入口温度が460℃、かつ、出口温度が220℃に調製された大川原化工機株式会社製の噴霧乾燥機ODT−27型で噴霧乾燥して、7.19kgのアルミナ粉を得た。アルミナ粉は、1000℃での強熱減量が16.5%であり、付着水が0.3質量%、結晶水が16.2質量%含有されており、Al・1.12HOとして表された。
更に、1.20kgのアルミナ粉に2.25kgの純水を加えてAl濃度として29質量%に調整した後、混練機(株式会社トーシン製、双腕式ニーダーTK5−3型)で6分間捏和し、捏和物を得た。この捏和物を押出成形機(本田鉄工株式会社製のオーガー式押し出し機DE−75型)で、1.8mmの四つ葉型の柱状に押し出し成型し、成型物を得た。得られた成型物を、110℃で16時間乾燥した後、更に650℃で1時間焼成してアルミナ担体を得た。
【0032】
得られたアルミナ担体の性状、すなわち、全細孔容積(PV)、全細孔容積(PV)に対する細孔直径100nm以上の細孔の細孔容積(PV)の割合(PV/PV)、第1細孔群(P)の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP1)、第2細孔群(P)の細孔直径500〜10000nm範囲の細孔が占める細孔容積(PVP2)、比表面積(SA)、耐圧強度(CS)、摩耗強度(AR)、平均細孔径、見掛嵩密度(apparent bulk density、ABD)、圧縮嵩密度(compacted bulk density、CBD)を前記した方法で測定し、その結果を表1に示す。また、図1(a)に、アルミナ担体の細孔直径と累積細孔容積との関係を表す積分型の細孔分布図を示し、(b)に同アルミナ担体の細孔直径と微分細孔容積との関係を表す微分型の細孔分布図を示す。
図1(b)に示すように、得られたアルミナ担体は、細孔直径5〜100nm範囲(約20nm)、及び、細孔直径500〜10000nm範囲(約1400nm)にそれぞれ細孔分布の第1ピーク、第2ピークを有したバイモーダル細孔構造となっている。
【0033】
得られたアルミナ担体を400g量り取り、これにポアフィリング法(この方法は、秤量したアルミナ担体の全細孔容積に相当する量の活性金属含有水溶液を該アルミナ担体と混合して減圧し、該水溶液をアルミナ担体の細孔に取り込むことにより、活性金属成分を細孔内に含浸させる方法である。)により、周期表第6A族金属であるモリブデン及び第8族金属であるニッケルを、それぞれ酸化物として触媒基準で3.3質量%、及び、0.7質量%となるように担持した。ここで、表1よりアルミナ担体の細孔容積(PV)は、1.44ml/gであるので、400gのアルミナ担体の全細孔容積は、576ml(1.44ml/g×400g)であり、活性金属含有水溶液を、アルミナ担体の全細孔容積と同量の576ml作製した。この活性金属含有水溶液は、551gの温水(95℃)に、13.7gの三酸化モリブデン(2.4質量%)及び4.6gの炭酸ニッケル(0.8質量%)を懸濁させた後、密閉して95℃で5時間攪拌した後、炭酸ニッケルを酸化物とした酸化ニッケル(NiO、2.8g)の2.5倍質量(7.1g)のリンゴ酸を添加して、酸化モリブデンと炭酸ニッケルを完全に溶解して作製した。
400gのアルミナ担体をブレンダー(混合機)に入れ、ブレンダーを停止した状態で減圧(ここでは、−60cmHg)し、10分間脱気する。更に、脱気した状態でブレンダーを回転させながら576mlの活性金属含有水溶液を投入した後、常圧下で回転させながら30分間放置し、アルミナ担体にモリブデン及びニッケルを含浸した。回転式乾燥機を用いて室温から250℃まで昇温乾燥し、更に、550℃で1時間空気中において焼成して、モリブデン及びニッケルをそれぞれ酸化物として触媒基準で3.3質量%、0.7質量%担持した水素化脱金属触媒Aを調製した。水素化脱金属触媒Aの性状を表1に示す。また、図2(a)及び(b)に、それぞれ水素化脱金属触媒Aの積分型、微分型の細孔分布図を示す。
【0034】
【表1】

【0035】
(比較例1)
比較例1は、塩基性塩化アルミニウムの代わりに、従来から使用されている硫酸アルミニウムを使用する点が、実施例1と異なり、詳しくは、前記したpH10.5の敷水141.2kg(Alとして、0.09質量%、すなわち、0.13kg含む)に、0.94kgの硫酸アルミニウム水溶液(Alとして、7質量%、すなわち、0.07kg含む)を2分間で添加し、続いて、20.8kgのアルミン酸ナトリウム水溶液(Alとして、22質量%、すなわち、4.58kg含む)と32.6kgの硫酸アルミニウム水溶液(Alとして、7質量%、すなわち、2.28kg含む)を、pH7.2±0.5、液温を60±1℃に保持しながら、30分かけて同時に添加し、更に1時間攪拌して得たアルミナ水和物のスラリーから水素化処理触媒Bを製造する点が、実施例1と異なっている。水素化脱金属触媒Bの性状を表1に示す。
【0036】
(比較例2)
比較例2は、実施例1で得られた熟成スラリーを、噴霧乾燥する代わりに脱水して得られた脱水ケーキから水素化処理触媒Cを製造した点が実施例1と異なっている。詳しくは、まず、熟成スラリーを減圧濾過機により脱水して脱水ケーキを得た。この脱水ケーキを混練機で45分間捏和した捏和物を押出成形機で、1.8mmの四つ葉型の柱状に押出し成型し、得られた成型物を110℃で16時間乾燥した後、更に650℃で1時間焼成してアルミナ担体を得た。得られたアルミナ担体に周期表第6A族金属であるモリブデンと第8族金属であるニッケルをそれぞれ酸化物として触媒基準で3.3質量%、0.7質量%となるように担持して水素化脱金属触媒Cを調製した。水素化脱金属触媒Cの性状を表1に示す。
【0037】
(試験例)
水素化脱金属触媒A(試験例1)、水素化脱金属触媒B(比較試験例1)、又は水素化脱金属触媒C(比較試験例2)を固定床のマイクロリアクター(水素化処理装置)にそれぞれ使用して、表2に示す原料油を表3に示す条件で処理し、脱金属活性、脱硫活性、脱アスファルテン活性、及び脱残炭活性を測定した。その結果を表4に示す。
ここで、マイクロリアクターは、上段より(1)水素化脱金属触媒A、水素化脱金属触媒B、及び水素化処理触媒Cのいずれか1つ、(2)脱金属触媒D(触媒化成工業株式会社製DM5CQ)、及び(3)脱硫触媒E(触媒化成工業株式会社製R25NQ)の順に、全リアクター容積に占める体積がそれぞれ、30容量%、29容量%、及び41容量%となるように充填した。
【0038】
【表2】

【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

脱金属率=(原料油中の金属濃度−生成油中の金属濃度)/原料油中の金属濃度×100
脱硫率=(原料油中の硫黄濃度−生成油中の硫黄濃度)/原料油中の硫黄濃度×100
【0041】
表1に示すように、本発明の水素化脱金属触媒Aは、水素化脱金属触媒Bと比較して、全細孔容積、第1及び第2細孔群の細孔容積が大きく、しかも、高強度であった。また、水素化脱金属触媒Aは、水素化処理触媒Cと比較して、強度が若干低くなるものの、全細孔容積、第1及び第2細孔群の細孔容積が大きくなった。更に、表4に示すように、水素化脱金属触媒Aは、水素化脱金属触媒B及び水素化処理触媒Cよりも脱金属活性、脱アスファルテン活性、及び脱残炭活性が高く、また、脱硫活性も同等となっている。これらの結果から、本発明の水素化脱金属触媒Aは、工業的に有用であると解される。
【0042】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の水素化脱金属触媒及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(a)は本発明のアルミナ担体の積分型の細孔分布図であり、(b)は同アルミナ担体の微分型の細孔分布図である。
【図2】(a)は本発明の水素化脱金属触媒Aの積分型の細孔分布図であり、(b)は同水素化脱金属触媒Aの微分型の細孔分布図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(a)〜(f)の性状を有することを特徴とするアルミナ担体。
(a)水銀圧入法で測定した全細孔容積が1.2ml/gを超え、2.0ml/g以下である。
(b)水銀圧入法で測定した全細孔容積に対する細孔直径100nm以上の細孔の細孔容積の割合が0.12〜0.35である。
(c)細孔直径5〜100nm範囲に細孔分布のピークを有する第1細孔群と細孔直径500〜10000nm範囲に細孔分布のピークを有する第2細孔群との少なくとも2つの細孔群からなる細孔を有し、しかも、該第1細孔群の細孔直径5〜100nm範囲の細孔が占める細孔容積が0.9ml/g以上、かつ、該第2細孔群の細孔直径500〜10000nm範囲の細孔が占める細孔容積が0.1ml/g以上である。
(d)比表面積が150m/g以上である。
(e)耐圧強度が7N/mm以上である。
(f)磨耗強度が0.5%以下である。
【請求項2】
請求項1記載のアルミナ担体に、活性金属成分を担持したことを特徴とする水素化脱金属触媒。
【請求項3】
前記活性金属成分が周期表第6A族金属及び第8族金属から選ばれた少なくとも1種の金属である請求項2記載の水素化脱金属触媒。
【請求項4】
pH10〜14に調整された敷水を攪拌しながら、該敷水に塩基性塩化アルミニウムの水溶液を5分以内でpH6.5〜10.0となるように添加する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合溶液をpH6.5〜10.0の範囲内に保持しながら、更に該混合溶液に塩基性のアルミニウム塩の水溶液及び塩基性塩化アルミニウムの水溶液を10分から2時間かけて同時に攪拌しながら添加してアルミナ水和物を得る第2工程と、
前記アルミナ水和物を順次、洗浄、熟成、噴霧乾燥、捏和、成型、乾燥、及び焼成してアルミナ担体を得る第3工程とを有することを特徴とするアルミナ担体の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載のアルミナ担体の製造方法で製造されたアルミナ担体に、活性金属成分を担持することを特徴とする水素化脱金属触媒の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2008−212798(P2008−212798A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−51929(P2007−51929)
【出願日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】