説明

アルミ電線用圧着端子

【課題】アルミ電線の導体部と端子のバレルとの接触抵抗の低減および圧着強度の確保を両立させることができるアルミ電線用圧着端子を提供する。
【解決手段】端子10は、アルミ電線1の導体部2を抱え込んで該導体部2に加締め付けられるバレル13を備えている。導体部2と接触するバレル13の接触面には、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成され且つ、バレル13が加締め付けられる導体部2の圧着部分の軸方向と交差する方向に延びる複数の溝24が形成されている。導体部2の圧着部分の先端側に向く各溝24の内側面24a、または基端側に向く各溝24の内側面24bが傾斜面となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線が撚り合わされた導体部を有するアルミ電線に圧着されるアルミ電線用圧着端子に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両に配索されるワイヤハーネスには銅電線が一般に使用されている。そして、ワイヤハーネス同士、あるいはワイヤハーネスと車載機器との接続にあたり、ワイヤハーネスの銅電線には端子が取り付けられる。そして、この種の端子は、一般に圧着によって銅電線に取り付けられている。
【0003】
銅電線に圧着される端子は、例えば銅合金等の導電性の板材を所定の形状に打ち出し、これを折り曲げ加工して形成されており、典型的には、断面略U字状に成形されたバレルを備えている。バレルは、銅製の複数の素線を撚り合わせてなる銅電線の導体部を抱え込み、導体部に加締め付けられる。それにより、銅電線と端子とが圧着される。
【0004】
ところで近年、銅資源の不足に加え、車両の軽量化やリサイクルの容易性を考慮して、アルミ電線が注目されている。しかしながら、アルミニウムは銅に比べて表面に形成される酸化皮膜が厚い。そのため、アルミ電線の導体部と端子のバレルとの間の接触抵抗は比較的高くなる傾向にある。
【0005】
接触抵抗の低減について、バレルを導体部に強く加締め付け、導体部の圧縮率を高くする方法が知られている。これによれば、導体部を構成する各素線の酸化皮膜が破壊され、導体部とバレルとの間の接触抵抗が低減される。尚、本明細書において、導体部の圧縮率とは、圧着前の導体部の断面積に対する圧着後の導体部の断面積の比として規定される。
【0006】
しかしながら、導体部の圧縮率を高くすることに伴い導体部に作用する応力も高くなる。アルミニウムは銅に比べて機械的強度に劣り、アルミ電線では、導体部に過度の応力が作用すると、導体部とバレルとの圧着強度が著しく低下してしまう。
【0007】
接触抵抗の低減および圧着強度の確保のため、アルミ電線と端子との圧着に関し種々提案がなされている。例えば、導体部と接触するバレルの接触面に複数の凹溝を形成することが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。導体部が凹溝に食い込み、各素線の表面の酸化皮膜が破壊されて接触抵抗が低減され、また、導体部の抜けが防止される。また、バレルの接触面に導体部より軟質の粉末を分散させて、バレルの接触面と導体部とを凝着させるようにしたものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2007−173215号公報
【特許文献2】特開2003−249284号公報
【特許文献3】特開平8−321330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
バレルの接触面と導体部とを凝着をせる場合にも、各素線の表面の酸化被膜を破壊して、各素線に新生面を露出させる必要がある。バレルの接触面に凹溝を形成することにより各素線の表面の酸化被膜を破壊することができるが、酸化被膜の破壊は主として凹溝のエッジ部分で生じており、酸化被膜の破壊が十分ではない。そして、従来の凹溝で酸化被膜を十分に破壊するためには、導体部の圧縮率を高くする必要があり、圧着強度の低下が問題となる。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、アルミ電線の導体部と端子のバレルとの接触抵抗の低減および圧着強度の確保を両立させることができるアルミ電線用圧着端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、下記(1)〜(4)に記載のアルミ電線圧着端子により達成される。
(1)アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線が撚り合わされた導体部を有するアルミ電線に圧着されるアルミ電線用圧着端子であって、前記導体部を抱え込んで該導体部に加締め付けられるバレルを備え、前記導体部と接触する前記バレルの接触面に、アルミニウムおよび前記アルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており且つ、前記バレルが加締め付けられる前記導体部の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝が形成されており、前記導体部の前記圧着部分の先端側に向く前記各溝の内側面が、先端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっていることを特徴とするアルミ電線用圧着端子。
(2)アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線が撚り合わされた導体部を有するアルミ電線に圧着されるアルミ電線用圧着端子であって、前記導体部を抱え込んで該導体部に加締め付けられるバレルを備え、前記導体部と接触する前記バレルの接触面に、アルミニウムおよび前記アルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており且つ、前記バレルが加締め付けられる前記導体部の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝が形成されており、前記導体部の前記圧着部分の基端側に向く前記各溝の内側面が、基端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっていることを特徴とするアルミ電線用圧着端子。
(3)前記複数の溝が、前記導体部の前記圧着部分の外周面に表れる各素線と交差する方向に並列に延びていることを特徴とする(1)または(2)に記載のアルミ電線用圧着端子。
(4)前記バレルの接触面に形成された前記被膜が錫めっき被膜であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のアルミ電線用圧着端子。
【0011】
上記(1)の構成のアルミ電線用圧着端子によれば、バレルが加締め付けられて圧縮された導体部は、各溝に食い込み、各溝に食い込んだ部位を基点に主として先端側に向けて伸ばされて、先端側に隣り合う溝の傾斜面を摺動する。そして、傾斜面を摺動する際の摩擦によって、導体部を構成する各素線の表面の酸化被膜が破壊され、各素線に新生面が露出する。これにより、導体部の圧縮率を過度に高めることなく、各素線の酸化被膜を十分に破壊して新生面を露出させることができる。そして、バレルの接触面にはアルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており、各素線に露出した新生面と被膜との間で凝着が生じ、良好な接触抵抗および圧着強度を得ることができる。
【0012】
上記(2)の構成のアルミ電線用圧着端子によれば、バレルが加締め付けられて圧縮された導体部は、各溝に食い込み、各溝に食い込んだ部位を基点に主として基端側に向けて伸ばされて、基端側に隣り合う溝の傾斜面を摺動する。そして、傾斜面を摺動する際の摩擦によって、導体部を構成する各素線の表面の酸化被膜が破壊され、各素線に新生面が露出する。これにより、導体部の圧縮率を過度に高めることなく、各素線の酸化被膜を十分に破壊して新生面を露出させることができる。そして、バレルの接触面にはアルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており、各素線に露出した新生面と被膜との間で凝着が生じ、良好な接触抵抗および圧着強度を得ることができる。
【0013】
上記(3)の構成のアルミ電線用圧着端子によれば、撚り合わされた各素線が均等に溝に食い込み、また均等に溝の傾斜面を摺動する。それにより、一層良好な接触抵抗および圧着強度を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のアルミ電線用圧着端子によれば、アルミ電線の導体部と端子のバレルとの接触抵抗の低減および圧着強度の確保を両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のアルミ電線用圧着端子の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明のアルミ電線用圧着端子の第1実施形態の斜視図、図2はアルミ電線に圧着された状態で示す図1の圧着端子の断面図である。
【0017】
図1に示すように、アルミ電線1は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線3が撚り合わされた導体部2を有している。導体部2の外周は、絶縁材料で形成されたシース4で被覆されている。アルミ電線1は、その端末部において、所定の長さでシース4が除去されて導体部2が露出されている。アルミ電線1に圧着される端子10は、この端末部に圧着される。尚、アルミニウム合金としては、アルミニウムと鉄との合金を例示することができる。アルミニウムと鉄との合金は、アルミニウム単体に比べて、強度(特に引っ張り強度)に優れ、好ましい。
【0018】
端子10は、その先端側に相手側端子(図示せず)との接続部11が設けられ、その基端側にアルミ電線1に加締め付けられるバレル12が設けられている。バレル12には、その先端側にアルミ電線1の導体部2に加締め付けられるワイヤーバレル13と、その基端側にアルミ電線1のシース4に加締め付けられるインシュレーションバレル14とが設けられている。
【0019】
ワイヤーバレル13は、アルミ電線1の端末部に露出された導体部2が載置される底板部20と、底板部20上に載置された導体部2を両側から挟むように底板部20に連設された一対の加締片21とを備えており、断面略U字状に成形されている。ワイヤーバレル13は、その内側に端末部の導体部2を抱え込み、この導体部2に加締め付けられる。
【0020】
インシュレーションバレル14は、アルミ電線1の端末部に残るシース4が載置される底板部22と、底板部22に載置されたシース4を両側から挟むように底板部22に連設された一対の加締片23とを備えており、ワイヤーバレル13と同様に断面略U字状に成形されている。インシュレーションバレル14は、その内側に端末部のシース4を抱え込み、このシース4に加締め付けられる。尚、インシュレーションバレル14の底板部22は、ワイヤーバレル13の底板部20に連設されている。
【0021】
そして、端子10は、端末部の導体部2を抱え込んだワイヤーバレル13がこの導体部2に加締め付けられ、また、端末部のシース4を抱え込んだインシュレーションバレル14がこのシース4に加締め付けられて、アルミ電線1に圧着される。
【0022】
ワイヤーバレル13の内表面、即ち、導体部2と接触するワイヤーバレル13の接触面には、ワイヤーバレル13が加締め付けられる導体部2の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝24が形成されている。
【0023】
さらに、複数の溝24は、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3と交差する方向に並列に延びている。換言すれば、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3は導体部2の圧着部分の軸を中心とした螺旋となっており、複数の溝24は、導体部2の圧着部分の軸を中心として、これらの素線3とは逆回りで螺旋状に並列に延びている。好ましくは、各溝24は、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3と垂直に交差する方向に延びている。
【0024】
そして、導体部2の圧着部分の先端側に向く各溝24の内側面24aは、先端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっている。他方、基端側に向く各溝24の内側面は、垂直面となっている。
【0025】
さらに、少なくともワイヤーバレル13の接触面には、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されている。このような被膜は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金よりも軟質の金属からなる被膜であり、好ましくは錫めっき被膜である。また、被膜の厚さは、好ましくは1.5μm以上4.0μm以下である。
【0026】
以上の構成を備えた端子10は、例えば表面に錫めっきが施された銅合金等の導電性材料からなる一枚の板材を所定の形状に打ち抜き、これを折り曲げ加工して形成される。
【0027】
図2に示すように、ワイヤーバレル13が導体部2に加締め付けられることにより、導体部2は圧縮され、導体部2を構成する各素線3はワイヤーバレル13の接触面に設けられた各溝24に食い込む。そして、各素線3は、各溝24に食い込んだ部位を基点として、主として先端側に向けて伸ばされる。
【0028】
隣り合う一組の溝24の間において、先端側に向けて伸ばされた各素線3の部位は、先端側の溝24内に進入し、その際、先端側の溝24の傾斜面24aを摺動する。そして、傾斜面24aを摺動する各素線3の部位は、傾斜面24aとの間の摩擦によって表面の酸化被膜が破壊され、その部位に新生面、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金の素地が露出する。
【0029】
そして、ワイヤーバレル13の接触面に形成された被膜と各素線3に露出した新生面との間には面圧下での摩擦が生じ、両者の間で凝着が生じる。凝着により、ワイヤーバレル13の被膜と各素線3の新生面とが原子レベルで結合する。そして、複数の溝24が、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3と交差する方向に並列に延びていることにより、各素線3が均等に溝24に食い込み、また均等に溝24の傾斜面24aを摺動する。それにより、酸化被膜の破壊および被膜との凝着が、各素線3に均一に生じる。それにより、良好な接触抵抗および結合強度が得られる。
【0030】
このように、本実施形態のアルミ電線用圧着端子10によれば、ワイヤーバレル13が加締め付けられて圧縮された導体部2は、各溝24に食い込み、各溝24に食い込んだ部位を基点に主として先端側に向けて伸ばされて、先端側に隣り合う溝24の傾斜面24aを摺動する。そして、傾斜面24aを摺動する際の摩擦によって、導体部2を構成する各素線3の表面の酸化被膜が破壊され、各素線3に新生面が露出する。これにより、導体部2の圧縮率を過度に高めることなく、各素線3の酸化被膜を十分に破壊して新生面を露出させることができる。そして、バレルの接触面にはアルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており、各素線に露出した新生面と被膜との間で凝着が生じ、良好な接触抵抗および圧着強度を得ることができる。
【0031】
(第2実施形態)
図3は本発明のアルミ電線用圧着端子の第2実施形態の斜視図、図4はアルミ電線に圧着された状態で示す図3の圧着端子の断面図である。尚、上述した第1実施形態の端子10と共通する要素については、図中同一符号を付することにより説明を省略あるいは簡略する。
【0032】
図3に示すように、端子110のワイヤーバレル13の接触面には、ワイヤーバレル13が加締め付けられる導体部2の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝24´が形成されている。これら複数の溝24´は、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3と交差する方向に並列に延びている。そして、導体部2の圧着部分の基端側に向く各溝24´の内側面24bは、基端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっている。他方、先端側に向く各溝24´の内側面は、垂直面となっている。
【0033】
さらに、少なくともワイヤーバレル13の接触面には、アルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されている。
【0034】
図4に示すように、ワイヤーバレル13が導体部2に加締め付けられることにより、導体部2は圧縮され、導体部2を構成する各素線3はワイヤーバレル13の接触面に設けられた各溝24´に食い込む。そして、各素線3は、各溝24´に食い込んだ部位を基点として、主として基端側に向けて伸ばされる。
【0035】
隣り合う一組の溝24´の間において、基端側に向けて伸ばされた各素線3の部位は、基端側の溝24´内に進入し、その際、基端側の溝24´の傾斜面24bを摺動する。そして、傾斜面24bを摺動する各素線3の部位は、傾斜面24bとの間の摩擦によって表面の酸化被膜が破壊され、その部位に新生面、即ち、アルミニウムまたはアルミニウム合金の素地が露出する。
【0036】
そして、ワイヤーバレル13の接触面に形成された被膜と各素線3に露出した新生面との間には面圧下での摩擦が生じ、両者の間で凝着が生じる。凝着により、ワイヤーバレル13の被膜と各素線3の新生面とが原子レベルで結合する。そして、複数の溝24が、導体部2の圧着部分の外周面に表れる各素線3と交差する方向に並列に延びていることにより、各素線3が均等に溝24´に食い込み、また均等に溝24´の傾斜面24aを摺動する。それにより、酸化被膜の破壊および被膜との凝着が、各素線3に均一に生じる。それにより、良好な接触抵抗および結合強度が得られる。
【0037】
このように、本実施形態のアルミ電線用圧着端子10によれば、ワイヤーバレル13が加締め付けられて圧縮された導体部2は、各溝24´に食い込み、各溝24´に食い込んだ部位を基点に主として先端側に向けて伸ばされて、基端側に隣り合う溝24´の傾斜面24bを摺動する。そして、傾斜面24bを摺動する際の摩擦によって、導体部2を構成する各素線3の表面の酸化被膜が破壊され、各素線3に新生面が露出する。これにより、導体部2の圧縮率を過度に高めることなく、各素線3の酸化被膜を十分に破壊して新生面を露出させることができる。そして、バレルの接触面にはアルミニウムおよびアルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており、各素線に露出した新生面と被膜との間で凝着が生じ、良好な接触抵抗および圧着強度を得ることができる。
【0038】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のアルミ電線用圧着端子の第1実施形態の斜視図である。
【図2】アルミ電線に圧着された状態で示す図1の圧着端子の断面図である。
【図3】本発明のアルミ電線用圧着端子の第2実施形態の斜視図である。
【図4】アルミ電線に圧着された状態で示す図3の圧着端子の断面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 アルミ電線
2 導体部
3 素線
10、110 端子
13 ワイヤーバレル(バレル)
20 底板部
21 加締片
24 溝
24a、24b 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線が撚り合わされた導体部を有するアルミ電線に圧着されるアルミ電線用圧着端子であって、
前記導体部を抱え込んで該導体部に加締め付けられるバレルを備え、
前記導体部と接触する前記バレルの接触面に、アルミニウムおよび前記アルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており且つ、前記バレルが加締め付けられる前記導体部の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝が形成されており、
前記導体部の前記圧着部分の先端側に向く前記各溝の内側面が、先端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっていることを特徴とするアルミ電線用圧着端子。
【請求項2】
アルミニウム製またはアルミニウム合金製の複数の素線が撚り合わされた導体部を有するアルミ電線に圧着されるアルミ電線用圧着端子であって、
前記導体部を抱え込んで該導体部に加締め付けられるバレルを備え、
前記導体部と接触する前記バレルの接触面に、アルミニウムおよび前記アルミニウム合金に対して凝着作用を有する被膜が形成されており且つ、前記バレルが加締め付けられる前記導体部の圧着部分の軸方向と交差する方向に並列に延びる複数の溝が形成されており、
前記導体部の前記圧着部分の基端側に向く前記各溝の内側面が、基端側に向けて下り勾配となる傾斜面となっていることを特徴とするアルミ電線用圧着端子。
【請求項3】
前記複数の溝が、前記導体部の前記圧着部分の外周面に表れる各素線と交差する方向に並列に延びていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のアルミ電線用圧着端子。
【請求項4】
前記バレルの接触面に形成された前記被膜が錫めっき被膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のアルミ電線用圧着端子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−176673(P2009−176673A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−16604(P2008−16604)
【出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】