アンテナシステムのための装置
アンテナシステムのための装置は、アンテナによって受け取られる電磁場を、分離されたビームに対応する複数の部分に分割し、複数の検出器による検出のために複数の部分の方向を変える1つ以上のブレードを備える。その装置は、電磁場を連続したより小さい部分へと分割するための複数のブレードを備えることが好ましい。複数の検出器を、アンテナシステムの焦点領域の外側に配置され得る。検出器の寸法は、比較的大きいことが必要とされる場合、アンテナシステムは、検出器が焦点領域に配置されている場合と比べて、より密に集められたビームが検出できる。該装置は、電磁場の部分を別のブレード又は検出器上に集光させる集光手段を更に備えることができる。別のアンテナシステムは、複数のビームを生成する複数のフィードホーンと、ビームの方向をアンテナシステムの焦点領域の方へ変えて該アンテナシステムによる伝送のための一群の密に集められたビームを形成する複数の素子と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナにおいて受信される電磁場、又はアンテナにより発生されるビームの方向を変えるための装置に関する。限定されることはないが、より詳細には、アンテナシステムで受信される電磁場を別々のビームに対応する複数の部分に分割し、該部分の方向を変えて、該部分がアンテナシステムの焦点領域から離れて検出されるようにする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の反射器アンテナシステムにおいて、反射器(reflector)のファーフィールドにおける狭いパターンは、焦点に導かれる。焦点は、単一のフィードホーン又は一群のフィードホーンが、システムからの反射エネルギーを捕えるか、又はサンプリングするために配置されている位置である。異なる位置の電磁場のサンプルをとるために、フィードホーン又は一群のフィードホーンは、アンテナシステムの焦点面において、移動することができ、アンテナ放射をスキャンする。ファーフィールドにおけるビーム位置は、(少ない角度に対する)フィード位置のシフト(feed position shift)に対して名目上は線形関係で移動する。
【0003】
データ収集時間及び計測器感度を改善するために、1つ以上の可動フィードホーンの代わりに、焦点面において、フィードホーンの静止配列を有することが好ましい。残念なことに、得られた情報の量は、走査されるビームの近さにより制限され、そのため、フィードホーンの寸法によって、次々に制限される。データ通信アプリケーションでは、フィードホーンの寸法は比較的に小さく(直径で1〜2波長)、密に集められたビームは、サンプリングされ得る。しかしながら、放射測定アプリケーションでは、ファーフィールドから長く裾を引くガウスビームのようなビームを生成するためのフィード上の要件は、非常により大きい直径を有するフィードホーンの使用を導く(6〜10波長)。ホーンが次々に配置されているとき、サンプリングされたビームは、十分に密に集められない。例えば、幾つかのサブミリ波アプリケーションでは、3mm間隔で離れたビームをサンプリングすることが好ましい。しかしながら、3mm間隔でフィードホーンを配置することが不可能であるため、フィードホーンの幅は、10mmでなければならない。
【0004】
加えて、各フィードホーンは、低雑音増幅器(LNAs)及びミキサーのような信号処理部を備えている。これらの構成要素は、フィードホーンが十分に密に集められたサンプル・ビームと一緒に十分に密に配置されるように、十分に小さくする必要はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題に解消することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、アンテナによって受け取られる電磁場を、分離されたビームに対応する複数の部分に分割し、複数の検出器による検出のために前記複数の部分の方向を変える(redirecting)1つ以上のブレードを備えるアンテナシステムのための装置が提供される。
【0007】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、前記ブレード上における電磁場の入射領域に基づいた方向に、前記電磁場の一部の方向を変えることが好ましい。前記ブレードが、第一表面及び第二表面を含み、前記ブレードは、前記第一表面に入射する前記電磁場の一部の方向を第一方向に変えると共に、前記第二表面に入射する前記電磁場の一部の方向を前記第一方向と異なる第二方向に変えることが好ましい。
【0008】
前記装置が、前記電磁場を連続したより小さい部分へと分割するための複数のブレードを備えることが好ましい。
【0009】
結果として、本願発明は、ガウスビームを自由区間で切断し又は切り取り、接近しているビームが用いられている典型的なガウスホーンより小さな間隔で分離されることを可能とする。本発明は、フィードホーンが焦点領域から離れて位置することを可能とする。結果として、求められるビームを生成するのに十分に大きなフィードホーンが密に集められたビームをサンプリングするために用いられ得る。
【0010】
前記1つ以上のブレードが、プリズム状ブレードを備えることが好ましい。前記1つ以上のブレードが、代替的に又は追加的に反射性ブレードを備えることが好ましい。前記反射性ブレードが、ある角度で接合された2つの反射面を備えることが好ましい。
【0011】
前記1つ以上のブレードが、2つ以上のブレードを備え、前記2つ以上のブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記電磁場の前記複数の部分を歪ませて前記2つ以上のブレードのうちの他方が前記電磁場の前記複数の部分をより効果的に切断するように形成されていることが好ましい。前記2つの反射面は、前記電磁場の前記部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように形成されていることが好ましい。
【0012】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを検出器の方へ集光させるように形成されていることが好ましい。代替的に又は追加的に、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、前記ブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記2つ以上のブレードのうちの他方へ前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを集光させるように形成されていることが好ましい。前記2つの反射面は、円筒状ミラーを備えることが好ましい。
【0013】
前記装置は、前記1つ以上のブレード上へ前記電磁場の前記複数の部分を反射する予歪ミラーを更に備え、前記予歪ミラーが、密に集められたビームが分離されるように、前記電磁場の前記複数の部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように構成されていることが好ましい。
【0014】
前記1つ以上のブレードは、2つ以上のブレードを備え、前記装置が、前記電磁場の前記複数の部分の1つを前記2つ以上のブレードのうちの一方から前記2つ以上のブレードのうちの他方上へ集光させる集光手段を更に備えることが好ましい。代替的に又は追加的に、前記装置は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの少なくとも1つを検出器の上に集光させる集光手段を更に備えることが好ましい。前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、前記電磁場の前記複数の部分を円形のビームに再形成させることが好ましい。前記電磁場の方向が変えられた前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、ミラー及び/又はレンズを備えることが好ましい。
【0015】
一実施形態において、前記1つ以上のブレードが複数の金属反射性ブレードを含み、前記集光手段が、複数の反射性金属ミラーを含み、前記複数の金属反射性ブレード及び前記複数の反射性金属ミラーが、金属の単一のブロックから切り出されることが好ましい。
単一のユニット又は幾つかの分離されたユニットとして前記装置を製造すると、前記電磁場の切断及び検出に要求される構成要素の数を低減させることができ、デザインを機械的により安定させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、それぞれの層が上述の何れかの装置と放射を受光するための開口部とを有する複数の層を備えるデバイスであって、前記デバイスが、前記放射の少なくとも1つのパラメータに基づいて入って来る放射を複数の部分に分割する手段と、放射の複数の部分のそれぞれの部分を前記開口部を介してそれぞれの層に向かせる手段と、を更に備えるデバイスが提供される。
【0017】
前記少なくとも1つのパラメータが前記放射の偏光を含むことが好ましい。前記少なくとも1つのパラメータが前記放射の周波数を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、上述した装置と、前記電磁場の方向が変えられた部分を受光する複数のフィードホーンと、を備えるアンテナシステムが提供される。
【0019】
追加的に、本発明によれば、複数のビームを生成する複数のフィードホーンと、前記ビームの方向をアンテナシステムの焦点領域の方へ変えて該アンテナシステムによる伝送のための一群の密に集められたビームを形成する複数の素子と、を備えるアンテナシステムが提供される。
【0020】
前記複数の素子が、複数の入射ビームを反射又は屈折させて一組の隣接するビームを生成するように配置されている素子を備えることが好ましい。前記アンテナシステムが前記一組の隣接するビームを前記複数の素子の他の素子上へ集光させる集光素子を更に備えることが好ましい。
【0021】
前記複数の素子が、複数の反射性ブレード又は複数のプリズム状ブレードを備えることが好ましい。以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームカッターを備えるアンテナシステムの概要図である。
【図2】図1におけるビームカッターを更に詳細に示す図である。
【図3】ビームカッターの構成要素の変形例を示す図である。
【図4】ビームカッターの他の構成要素の変形例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るビームカッターの一部を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るビームカッターの一部を示す図である。
【図7】フィールドが図6のビームカッターの構成要素にどのように入射されるかを示す概要図である。
【図8】その(a)〜(d)は、図6のビームカッターを通過するビームの形状を示す図である。
【図9】ビームカッターの構成要素の更なる変形例を示す図である。
【図10】金属の単一ユニットとして設けられているビームカッターを示す図である。
【図11】図9のビームカッター側面図を示す図である。
【図12】ビームカッターがどのように積み重なるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示されているように、反射器アンテナシステムは、入って来る放射を受けて集光させる主反射器(main reflector)2及び副反射器3と、システムの焦点領域でニアフィールドを分割するビームカッター4と、付随する処理ユニット6を有する複数のフィードホーン5と、信号処理器7と、コントローラ8と、メモリ9とを備える。反射器アンテナシステムは、例えば、放射測定、電波天文学、又は地球リモートセンシングに用いられることが可能である。この種のアプリケーションにおいて、入って来る放射は、典型的にサブミリ波又はマイクロ波の放射である。放射の周波数は、制限されないが、50GHzと3THzとの範囲内でありえる。反射器アンテナシステムが、通信システムにおいて、用いられることもできる。
【0024】
主反射器2は、凹型の放物線状の反射器でもよい。副反射器3は、2つの焦点を有する凸型の双曲線の反射器でもよい。反射器は、入射エネルギーを集束させるため、他の形状であってもよい。主反射器2は、焦点に対して軸対称に平行するすべての入射ビーム又はエネルギーを反射する。その焦点も、副反射器3の2つの焦点のうちの何れか1つであってもよい。副反射器3は、その後主反射器からビームカッター4が位置する第二の焦点に、ビーム又はエネルギーを反射する。
【0025】
ビームカッター4は、入って来る放射を複数の部分に分割する準光学的装置であり、適切なフィードホーン5が配置された位置にエネルギーをリダイレクト(redirect)して、必要な走査ビームを形成する。従って、ビームカッターは、反射器のファーフィールドにおいて、走査された放射パターンを生成するために、焦点領域のホーンの線形配列を置き換える。通常、フィードホーンが副反射器の焦点領域に配置されるまで、アンテナのファーフィールドにビームが存在しないことに注意されたい。そのかわりに、二アーフィールドが、ビームを形成するためのポテンシャルをもって焦点に存在する。本発明は、そこに配置されるホーンを使用するよりは、むしろこのフィールドをサンプリングするためにビームカッターを使用する。
【0026】
ホーン5は、低いサイドローブ(sidelobes)を有する必要なガウスビームのようなビームを生成するために、かなり大きな直径を有する。直径は、6〜10波長の程度でありえる。250GHzの周波数の信号は、10mmの直径を意味できる。ホーンは、コルゲート型、又はポット状の階段型ホーンでありえる。各フィードホーンは、付随する処理ユニット6、例えば、信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)と、高周波信号を低周波信号にする低周波変換するミキサーとを備える。変換信号は、更なる信号処理のために中心信号処理器7に供給される。中央の信号処理器7が単一の構成要素として図1に示されているが、複数の分離された構成要素から成ることができることを理解されたい。コントローラ8は、メモリ9におけるデータの受信及び格納を制御する。コントローラ8は、信号処理器7を制御することもできる。メモリ9は、信号処理器7から又は地上ステーションからデータを受信できる。反射器アンテナシステム1は、受信データを地上ステーションに送信する送信アンテナを更に備えることができる。更に、反射器アンテナシステム1は、指示を地上ステーションから受け入れる別の受信アンテナシステムを備えても良い。
【0027】
本発明に係るビームカッター4の一実施形態は、図2において、更に詳細に示されている。図2のビームカッター4は、アンテナによって、受け取られる電磁場におけるエネルギーを6つの異なるフィードホーン5a―5fにより検出される、6つの異なるビームに分割する。ビームカッターは、二アーフィールドをより小さい部分に連続して切断するための複数のフィールド切断素子を備えている。ビームカッター4は、フィールドが切断された後に、フィールドのエネルギーを集束させる複数の別々の集光素子を有することもできる。図2において、フィールド切断素子及び集光素子は同じ平面に集められる。ビームカッターの全ての素子は、ハウジング内に位置できる。フィールド切断素子は、フィールドを同じ情報の2つの複写に分割せず、フィールドを2つの互いに異なる情報に分けることに注目したい。フィールド切断素子は、フィールド切断素子上の入射点の位置に基づいて、フィールドを分割する。同様に、同じ画像の2つの半分が考慮され得る。
【0028】
図2において、フィールド切断素子は、反射性のブレード10a〜10fの形で設けられており、集光素子は、レンズ11a〜11jの形で設けられている。第一反射性ブレード10aは、システムの焦点領域に位置しており、そこは、潜在的ファーフィールドのビームが小さい領域に集光される位置である。第一反射性ブレード10aは、二アーフィールドを2つの部分A及びBに分割する。第一部分Aは、第一フィールドレンズ11aによって、再度集光され、第二ブレード10bによって、部分A1及びA2に分割される。部分A1は、第二フィールドレンズ11bによって、再集光されて、ホーン5aにより検出される。他の部分は、ブレード10cによって、更に分割され、2つの部分A2’及びA2”に分割される。2つの部分A2’及びA2”はそれぞれ、フィールドレンズ11d及び11eによって、再集光され、それぞれホーン5b及び5cにより検出される。同様に、二アーフィールドBの第二部分は、フィールドレンズ11fによって、再集光され、第4のブレード10dによって、2つの部分B1及びB2に分割される。1つの部分B1は、再集光され、ブレード10eによって、2つの部分B1’及びB1”に分割される。2つの部分B1’及びB1”は、フィールドレンズ11i及び11jによって、再集光されて、ホーン5d及び5eにより検出される。他の部分B2は、レンズ11hによって、再集光され、更に分割されずにホーン5fによって、更に検出される。
【0029】
入射フィールドの角度依存性が、反射器アンテナシステムの焦点において、分布されたフィールドをもたらすことに注目されたい。分布されたフィールドは、第一ブレード10aにより切断される。第一ブレードの後に、これらがグループで扱われるか又は単独で扱われるかにかかわらず、反射及びビーム修正は、すべてのビームの角依存を変え、更にビームを分割する。
【0030】
各ブレード10a〜10eは、2つのミラーのような2つの反射面からなり、放射に対面している端に接している。ブレードの2つの反射面の中で第一反射面(例えば図2において、ブレード10aの上側表面)に入射する光は、2つの反射面のうちの第一反射面により反射され、それにより、第一の方向(図2のビームカッター4における上側領域の方へ)に方向変換(redirect)される。ブレードの2つの反射面の中で第二反射面(例えば図2において、ブレード10aの下側表面)に入射する光は、2つの反射面のうちの第二反射面により反射され、それにより、第一方向とは異なる第二の方向(図2のビームカッター4における下側領域の方へ)に方向変換される。2つの反射面の間の角度及び入射する放射に対する2つの反射面の方向は、ビームが反射される方向を決定する。結果として生じる分割されたビームは、元フィールドの異なる部分に対応し、従って、元のフィールドにおける異なる情報に対応する。放射は、その端のわずかに前方に又はその端の向こうに集光される。反射面は、無線周波数(radio frequency)伝導材料により形成されている。例えば、ブレードは、アルミニウムを含む金属から形成されていることができるが、これに限定されることはない。更に詳細には、ブレードが、1つの曲がった金属のシート又は金属の固体ブロックで製造されることができる。その表面は、例えば、研磨されることができ、銀で被覆されていることができ、又は金で被覆されていることができる。ブレードは、プラスチック又は他のいかなる適切な材料でできていることができ、反射コーティング層を有することができる。
【0031】
ブレードの先端(leading edge)は、過剰な回折を生じないように、及びビームを損なわないように鋭い。例えば、先端は、波長の1/100、又はおよそ0.01mmでありえる。ブレードの2つの反射面間の角度θは、10〜45度でありえる。しかしながら、正確な角度は用途に依存する。角度は、適切である場合、45度より大きくてもよい。サブミリ波の用途では、ブレードの各反射面の長さが、20mmの程度であってもよい。ブレードは、反射エネルギー又は屈折エネルギーが都合よく次のブレード又は集光素子に向けられるように角度づけられる。ブレードは、フィールドを必ずしも2つの等しい部分に切る必要があるというわけではない。例えば、ブレード10b及び10dが、部分A1及びB2が部分A2’、A2”、B1’及びB1”として元のフィールドを同じ比率を含むように切ることができる。
【0032】
レンズは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなプラスチックでできていてもよい。代替的に、レンズは、ガラスからなることができる。一実施形態において、レンズは、効率を改善するために同心状の溝を有する双曲線の形状を有することができ、それによって、フィールドがレンズを通過する。レンズは、次のブレードの先端周囲の領域又はフィードホーンの焦点領域に、エネルギーを再集光させる。フィードホーンの焦点領域が、ホーン内部に僅かにフィードホーンの開口を越えて位置する。再びフィールドを切る前に、又はフィードホーンにより検出される前に、フィールドを必ずしも再集光させる必要はないことを理解されたい。レンズは、2つのブレードの間に又はブレードの間に配置され、フィードホーンはビームカッターの特定の設計に依存する。
【0033】
ビーム効率上の問題により、フィードホーン5a〜5fは、円形のビームを生成するため、円筒状ホーンに概して選択される。しかしながら、楕円ビームを生成する楕円開口を有するコルゲート型ホーン、又は矩形のホーンを有するのも可能であることに注目されたい。フィールドのカットは、ビームの形状をより楕円形状に変える。電磁場は、角度において、延長される成分を有する。フィールドが切られるときに、ブレードの存在によって、防がれるより高い角度成分が若干損失する。従って、結果として生じる形状は、楕円となる。従って、非常に最も近いビームのために形成されるファーフィールドにおけるパターンの品質は、ブレードの近くにおいて劣化する。従って、これらのビームのいくつかは、より良く円筒状ホーンにマッチするために再形成(reshaping)を必要とする。アナモルフィック(anamorphic)レンズのような適切な形のレンズを用いることで、ビームは再形成されることができ、品質が改善できる。
【0034】
図3に関して、フィールド切断素子に対する図2の反射性のブレードの変形例が示されている。この場合、フィールド切断素子は、プリズム状ブレード12を用いて生成される。プリズムを使用するときに、ビームの分離は、反射によって、よりもむしろ屈折により行われる。エネルギーは、プリズム状ブレード12上のレンズ11aにより集光され、2つのビームに屈折する。プリズムの第一表面に入射するビームは、第一の方向に屈折し、プリズムの第二表面に入射するビームは第二の方向に屈折する。図3に示すように、ビームはプリズムにおいて、交差する。2つのビームの各々はそれぞれ、レンズ11b、11cによって、ホーン5a、5bに再度集光される。内面反射は、プリズムおいて発生する場合があり、金属箔(図示せず)は、プリズムの中心線の下側に含まれることができ、ビーム間の隔離を提供する。また、入射光に向かうプリズムの表面の角度は、10〜45度でもよい。しかしながら、正確な角度は、用途に依存する。適切である場合、角度は、45度より大きい場合もある。
【0035】
図4に関して、集光素子のための図2のレンズの変形例が示されている。本実施例において、集光素子は、フィールドレンズの代わりにミラー13によって、設けられている。エネルギーは、ブレード10の上のレンズ11aにより集光され、2つのビームに屈折する。各ビームはそれぞれ、ミラー13a、13cによって、ホーン5a、5bの方へ反射される。示されているように、ミラーを使用するときに、ホーンに供給されるときに、ビームは交差する。ミラーは、制限されないが、磨かれたアルミニウムのような金属で製造されることができる。
【0036】
ビームカッターの幾つかの実施形態において、フィールド切断素子及び集光素子は、単一の要素として結合されることができる。端に沿って接続される2つの平坦なミラーから形成されるフィールド切断素子の代わりに、2つのミラーは、形づくられたミラーでもよい。接続している端に沿ったミラーの湾曲は小さくて端に沿ってざっと同一の厚みを保つことが好ましく、その結果、接続している端で回折を減らす。フィールド切断素子は、分離されたフィールドを再び集光させ、結果として生じるビームのビームウェストを制御する。従って、フィールド切断素子が、フィールドを分割し、エネルギーを再び集光させる。形づくられたミラーは、例えばミラーの各々のシリンダ軸に平行な線に沿った、鋭い端ブレードに沿って接合された円筒形ミラーでもよい。このようなブレードは、1つの平面において、ビームを再集光させる。また、形づくられたミラーは、楕円又は双曲線の形状或いは最適化ために選択される任意の形状のような他のいかなる円錐曲線に対応する形状をも有することができる。
【0037】
反射性ブレード10、プリズム12、レンズ11及びミラー13の組合せは、ビームカッター4を形成するために用いてもよいことを理解されたい。図5において、二アーフィールドの8つの部分を生成するビームカッター4の半分が示されている。ビームカッターは、プリズム状ブレード12及びフィールドを切るための反射性ブレード10の両方を備える。ビームカッター4を通過する単一ビームの経路が示されている。入射エネルギーは、ミラー14によって、第一反射性ブレード10a上へ反射される。第一反射性ブレード10aは、フィールドの第一回のレベル分割を行う。第二回のレベル分割は、他の反射性ブレード10bで実行される。他の反射性ブレード10bは、2つのビームの2つのグループを形成する。残りのビームがプリズム状ブレード12で分割される間に、第一対のビームは、更なる反射性ブレード10cで再分割される。結果として生じるビームは、再集光されてフィードホーン5a〜5dにより受信される。各々の部分の間で、フィールドは、単純なフィールドレンズ11a〜11gによって、次のブレード又はホーンに再び集光する。ミラーがレンズの代わりに使うことができることを理解されたい。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態において、ビームの分離を改善するためにフィールドを分割する前に、予歪が、フィールドの部分に対応するビームの形状に導入される。ビーム歪みは、図6で示すフィールド経路において、フィールド切断素子12の前に配置されているオフセットミラー15により提供されることができる。オフセット予歪(offset pre−distortion)ミラー15は、ブレードの断面に平行する平面のフィールドを延長するように設計されており、ブレードが過度の散乱なしでより密接にビームに接近させることを可能にすると共に、互いに近いビームを分離する。予歪ミラーでの幾つかの入射角のために、ビームに対応するフィールドの部分の断面は、放射に直面しているブレードの端に平行する長軸を有する、平坦化された楕円に類似する形状に引き延ばされている。予歪ミラー15が、オフセット円錐断面ミラーであってもよい。ミラーは、例えば、楕円体又は球体の一部の形状を有することができる。
【0039】
図6において、更に示すように、予歪ミラー15に対して対応するオフセットパラメータを有する修正ミラー16は、切られたフィールドを反射するように形成されることができる。第二ミラー16は、第一ミラー15により誘導された歪みを修正する。それは、反射ビームを集光させることもできる。例えば、修正ミラー16は、ホーンにマッチさせるために、ビームの断面を所望の円形形状にすることができる。予歪ミラーによって、導かれたビーム歪みの程度は、フィールドの入射角に依存し、従って、1つのビーム角度から他のビーム角度まで変化する。
【0040】
図6を更に参照すると、歪曲ミラー15は、フィールドが高い入射角(表面の法線から間隔をおいて配置される)でミラーに接近するように配置されている。その結果、ミラーの第二焦点領域におけるビーム挙動は、反射器の表面に向けてフィールドの鋭い図形を有するコースティック(caustic)性を有する。ビームの歪みの程度は、ミラー面での反射角に依存する。入射角が大きい程、すなわち、表面に対する法線から離れる程、ビームの歪みは、より大きくなる。予歪ミラー(pre−distortion mirror)上の入射ビームがミラー面に対して傾いていると、ビームは、ミラー面の法線で入射するフィールドよりも歪む。換言すれば、入射ビームが、ミラーの第一焦点から離れているミラーに接近する場合、歪みはより大きくなる。
【0041】
ビームがミラーから離れて進むにつれて、ビーム断面は入射フィールドに対して直交する平面において、細長くなり、フィールド切断素子のブレード10の端に平行するようになる。ブレード10は、フィールドが、フィールド及びブレード(両方の線)の共通の幾何形状(common geometry)を利用するように、線状(コースティック)に延長され位置に配置されることができ、効率的にフィールドを分割する。ビーム形状の歪みによって、フィールドがブレードの後方に通過するより少ないエネルギーで切断されることができ、切断効率が改善される。更に、予歪ミラー15とそれに続くブレード10および反射器との間のコースティック(caustic)な領域が、ブレード10の後縁(trailing edges)上のビームに関するフィールドを減らし、その結果、ブレード10のこれらの2つの端の間における還元的な回折効果を減少させる。
【0042】
図6は、反射性ブレード10を示しているが、フィールド切断端部はプリズム状ブレード12でありえる。図6に示すように、ビームのうちの1つは、フィールド切断素子10によって、他のビームから切り離される一方、他のビームが途中で各々を交差してブレードから修正ミラー16の方へ反射される。修正ミラーが、歪んだ断面を円形断面に修正する。その後、ビームは、更に反射されることができ、又はホーンへ向けられることができ、又は更なるフィールド切断素子10、12(図示せず)によって、更に切断される。図6に示されているブレード10で切断されるビームは、他の修正ミラー(図示せず)により修正されて、フィードホーンに対する良好な一致を提供する。
【0043】
図6に示されている画像1〜4のビームの形状は、図8(a)〜図8(d)に関して下で更に詳細に記載されている。
【0044】
幾つかの実施形態において、図4に関して記載されているように、修正ミラー16は、フィールド部を集光させるためにミラー13と結合されることができる。ビームが高い角度で入射するように配置されたオフセット楕円ミラーは、いかなる歪んだビームを修正できると共に、ホーンをフィードするために適切な形状にビームを再集光させることができる。さらに、実施形態によっては、レンズ(図示せず)が、第一オフセットミラーの第一焦点に入射ビームを置くために使うことができる。
【0045】
図7は、歪んだビームが、どのようにブレード上に入射するか図式的に示している。ビームの断面は、ビームの一方の側面上において、平坦化された楕円の形状を有する。ビームの断面は、ブレード10の先端に平行する方向において、細長い。ビームの歪みの程度は、ミラー面から離れた反射角に依存し、ミラー面に対して入射ビームが近いほど歪みが大きいので、ブレード縁部の正面から遠いビームであるほど、ブレード縁部の正面に近いビームよりも平坦化されない。図7の若干の範囲において、ビームの歪みは、誇張されている。小さな入射角を有するビームは、図7に示されるビームより歪みが少ない。
【0046】
図8(a)〜図8(d)は、図6のビームカッターにおける予歪ミラー及び修正ミラーの効果のシミュレーション結果を示す。図は、光路における四つの異なるステージで大きさ10mm×10mmの領域におけるビーム強度(整合的な発光)を平方メートル当たりのワット(W/m2)で示している。ビーム強度範囲は、0〜−50dBの範囲に対応する。図8(a)に示されるように、フィールドは、四つの密に集められたビームとして始まる(図6の画像1)。図8(b)は、四つのビームがフィールド切断素子10(図6の画像2)から反射されて離れる直前のビームの形状を示す。図8(c)は、三つの残りのビームが切断素子により反射されて修正ミラー(図6の画像3)に向かった直後のビームの形状を示す。切断素子10の直前及び直後において、ビームは切断されたように見られることができ、ビームのいくつかが垂直形状に歪められている。形状は、予歪ミラー15上の入射角とフィールド経路における画像の位置とに依存する。図8(d)は、フィールドが修正された後のビームの形状を示す(図6の画像4)。図示されているように、修正の後、軸に最も近いビームは、今はほぼ円形である。他のビームは、軸に沿ったわずかに異なる位置で円形となる。
【0047】
フィールドをより効果的に切断するために歪みが導入されたビームカッターでは、各フィールド切断素子10の後に修正ミラーが必要ではないことを理解されたい。ブレードに対するフィールドの方向が満たされている(十分に平行である)場合、フィールドは、修正なしで再び切断されることができる。特定のビームが切断されるとき、フィードホーンの前に修正ミラーが用いられて、フィードホーンにマッチするためにビームを円形状断面に修正する。
【0048】
図9に示されているように、実施形態によっては、予歪効果、修正効果及び集光効果が、全てブレード自体により提供される。図9は、三つのブレード10a’、10b’及び10間において、ホーン5の方に反射された単一ビームを示す。第一ブレード10a’と最後のフレード10b’の表面は湾曲している。一実施形態において、湾曲は球体の曲率に一致するが、他の形状も可能である。2つ目のブレードは、平面ブレードである。第一ブレード10’の湾曲した面は、ビームを歪めるように設計されており、最後のブレード10b’の湾曲した表面は、そのビームに対して対応する修正を提供すると共に、ビームを丸いビームに集光させるように設計されている。平面状の第二のブレード10は、2つの湾曲ミラーの間において、フィールドを遮断すると共に、再度フィールドを切断するために設けられている。
【0049】
図9に示されているように、ビームは入射して、第一ブレード10a’により反射される。第一ブレードは、更にフォーカスすると共にビームを歪め、ビームが次のブレードでより容易に切断されることを可能にする。換言すれば、切断及び次のブレードのための予歪は、第一ブレードによって、1つの試行にて実行される。その後に、ビームは、平坦な第二ブレード10の側から反射され、湾曲された最後のブレード10b’により修正されると共に再度フォーカスされて、ホーン5に入射される。平面ブレード10は、図9に示されるビームのための反射器として作用するだけである。結果的に、特定の用途及び入射するフィールドのためには、平面ブレード10はミラーで代替されることができる。
【0050】
しかしながら、平面ブレード10の角度方位とフィールドとが第一湾曲ブレードに入射する位置とによっては、平面ブレードがビーム切断素子として用いられることもできる。同様に、最後湾曲ブレード10b’は、その角度方位を変えることによって、図9に示されているビームのための反射器として機能できる。湾曲ブレード10b’が、更にビームを切断するために使うことができる。湾曲ブレードの使用によって、異なるビーム間の回折が最小化されると共に、フィールドがより効率的に切断される。湾曲ブレードの軸から更に離れたビームは、軸により近いビームほど歪められず、それらは、再び同じ技術、すなわち他の湾曲ブレードによって、切断できる。結果的に、実施形態によっては、平面ブレードは、第三湾曲ブレードと置き換えられることが可能である。または、上記したように、最後の湾曲ブレードの角度方位は、更にフィールドを切断するために変更されることができる。湾曲ブレードが両側に異なる曲率を有することができると理解されなければならない。湾曲ブレードが、ブレードの異なる位置に入射するビームの形状における差を補正するために、両側に異なる曲率を有することができる。
【0051】
例えばアンプ及びミキサーを備える処理ユニット6は、明確化のために、図3、図4、図5、図6及び図9に示されていない。しかしながら、各々のフィードホーンは、様々な信号処理部に接続され得ることを理解されたい。図3〜図6中のブレードの近くに示されている線と面は、反射ブレードに対する入射放射に垂直、及び屈折ブレードに対する入射放射に平行なフィールドの線であり、ブレードの一部ではないことを理解されたい。
【0052】
図10及び図11は、金属ブレードから成るフィールド切断素子10、12と、オフセット金属ミラーを含む集光素子とを備える、ビームカッター4の実施形態を例示する。金属ブレード及び金属ミラーを選択することによって、ビームカッター、又はビームカッターの少なくともほとんどの構成要素は、完全に金属から作られることが可能である。図10及び図11の実施形態において、ビームカッター4は、金属18の単一の機械加工されたブロックから作り上げられており、蓋19が付けられている、単一ユニット17として設けられている。代替的に、ビームカッター4は、金属の単一のブロックから切り出されるかのように、アセンブリを形成する複数の構成要素から製造され得る。ユニットは、例えば、任意の必要なプラスチックレンズ又は別に製造される歪像ミラーのような任意の別々の構成要素を受けるためのスロットを有することができる。ブレードは、平坦ブレード又は湾曲ブレードでありえる。デザインは、コンパクトであり、単一の平面にその構成要素を有し、フィードホーンのための複数の空間と、例えばミキサー・ブロック及び低雑音増幅器6のような、それらに付随する検出器コンポーネントとを提供する。
【0053】
図10に示すように、放射は、ブロック内の3〜5mm領の域にフォーカスするために、ブロックにおける開口20を介して受信される。第一レベルのブレード10aは、放射を2つの断面に分割する焦点領域に設けられている。一対の第二レベルのブレード10b、10cは、2つの断面の各々を2つの部分に切断して2つの部分の2組を形成するために設けられている。本実施形態において、第一レベルのブレードと第二レベルのブレードとの間に、如何なる分離ミラーも用いられていない。第一レベルのブレードの反射面は、平坦ミラーであってもよく、第二ブレードの方へ、エネルギーを再集中させる円筒状又は球形状ミラーでもよい。ブロックの内壁は、フィールドを他のブレード又はフィードホーンの方へ、反射して再集光させるためのミラーとして機能するように機械形成され、研磨されている。壁は、銀メッキ又は金メッキでもよい。2つの部分の2つのセットは、第三レベルのブレード10d〜10g上へ反射される。第三レベルのブレード10d〜10gは、放射を8つの部分に分割し、ホーンによって、順番に検出される。
【0054】
上記したように、図10のブレード10e〜10gの1つ以上は、図9に関して記載されていると共に、分離されたビームがより密に集められるように、歪みを導くため又は対応する修正を提供するために、湾曲面を更に有することができる。代替的に、又は付加的に、図10に示されていないが、より切断効率を改善するために図6に記載されている、単一ユニット17は、予歪ミラー15及び/又は修正ミラー16を含むように設計されることができる。
【0055】
図11は、フィードホーンのない側からの、ビームカッター・ブロック17を示す。
図10のフィードホーン5a〜5dを受けるための穴21a〜21dは、ビームカッターの側に沿って位置する。
一例として、300GHzの放射を有する用途のために、蓋を含むブロックの高さは、およそ20mmでありえる。
【0056】
図10及び図11に関連して記載されているブロック17の2つ以上は、積み重ねられていることができ、二重線形分極化及び操作の更なる幅を提供する。四つのブロックビームカッター・ユニットのブロック線図が図12に示されている。アンテナシステムの焦点領域において、偏光板22が、二アーフィールドを2つの異なる偏光に分離するために設けられている。その後、二アーフィールドエネルギーの各部分は、例えば周波数選択性表面(FSS)又は二色性フィルタ23a、23bによって、2つのフィールド部分の2つのグループを提供する2つの異なる周波数に分離される。結果として生じるフィールド部は、必要に応じてミラー24a、24bを使用することで各ブロックの第一ブレード17a〜17dの上に集光され、分割され、フィードホーンに向けられる(図12に示されていない)。各ブロックが8つのビームを生成すると、ユニットは、周波数及び偏光において、共に公認された(co−registered) ビームを有する8つのビームのステアリング(staring)アレイを生成する。もちろん、付加的な周波数選択性表面が、フィールドをより小さな周波数ビン(frequency bins)に分割するように設けられ得る。偏光及び周波数に基づく分割は単なる例であり、放射の他の特性に基づく分割も考慮できることを理解されたい。
【0057】
図10、図11及び図12は、単一の平面における各ビームカッター・ブロックの構成要素を示すが、用途によって、必要とされる場合には、ビームカッター・ブロックごとの構成要素が小さな3D空間内の異なる平面に取り付けられることが可能であると考えられる。
【0058】
ブレード及び集光素子は、送信アンテナにおいて、使われることも可能であり、アンテナによる伝送のために密に集められたビームを修正することを理解されたい。その際、ビームカッター4は、その換わりにビーム・コンバイナ(combiner)を提供する。送信アンテナにおいて、フィードホーンは、切断素子の方向へ送信される異なるビームを生成する。切断素子10、12の各々は、複数の入射ビームを反射し、又は屈折させ、一組の密に集められた隣接するビームを生成する。集光素子11、13は、密に集められたビームのセットを再び集光させ又は再形成させる。フィードホーンに最も近い切断素子は、2つのビームを一組の2つの隣接するビームに反射、又は屈折させる。一方、フィードホーンから更に離れている切断素子は、2組の隣接するビーム、又は1組の隣接するビーム及び単一のビームを、隣接するビームの新たなセットに反射する。切断素子は、少なくとも2つのビームが異なる方向から切断素子上に入射するが、反射又は屈折する以外の方向であるが、実質的に同一の方向に配置される。切断要素は、図6〜図9に関して記載されているように、ビームを歪ませる又は修正する湾曲面を有しており、より密に集められたビームを発生させるように設計されることができる。代替的に、又は、付加的に、予歪ミラー15及び修正ミラー16が含まれることができ、その効率を更に改善する。その効率によって、ビームが結合される。ビーム・コンバイナは、例えば、密に集められたビームが必要とされるレーダー通信システムまたは電気通信システムに用いられ得る。送信システムにおいて、フィードホーンは焦点領域の外側に位置し、しかしアンテナシステムによって、ブレード、ミラー及びレンズは、伝送のためにフィードホーンから焦点領域までビームの方向を変え、その結果、フィードホーンが焦点領域にあった場合よりも更に密に集められたビームを生成できる。送信アンテナにおける反射器の配置に応じて、焦点領域は、単一の反射器の焦点又は副反射器の焦点に一致する。
【0059】
送信アンテナは、受信アンテナに対して図1〜図12を考慮して述べたような構成要素と同じ配置を有することができる。しかし、放射の方向は、上述した図において、記載された方向と反対方向であることもできる。例えば、図2において、ビームが、フィードホーン6a〜6fにより生成され、レンズ11b、11d、11e、11h、11i及び11jにより集光され、連続的にブレード10a〜10jにより結合されて、一組の密に集められたビームを形成する。その際、図1において、一組のビームは、副反射器3によって、主反射器2の方向へ反射されて、アンテナシステム1から離れる。
【0060】
以上、本発明の具体例が記載されているが、本発明の範囲は、実施形態に限定されず、添付の請求の範囲によって、定められる。従って、本発明は、当業者によって、認められるように、他の方法で行うことができる。
【0061】
例えば、ビームカッターの幾つかの構成要素がミラーとして分類され、他の構成要素がブレードと分類された場合であっても、ブレードはフィールドを反射及び切断することの両方に利用できることを理解されたい。従って、ミラーは、ブレードと置き換えられることができ、反射機能を提供するだけであるブレードは、ミラーと置き換えられることが可能である。更に、ビームカッターにおいて、使用されるブレードの数は、用途に依存する。幾つかの実施形態では、単一のブレードが用いられる一方、他の実施形態においては、複数のブレードが用いられる。
【0062】
更に、ビームカッターは、アンテナシステムの二アーフィールドを切断するように記載されていたが、ビームカッターによって、切られる電磁場がアンテナの二アーフィールドに制限されないことを理解すべきである。ビームカッターは、如何なる電磁場を切断するために用いられることが可能である。電磁場はシステムの幾つかの構成要素のファーフィールドであることができ、ビームカッターは、その際、その構成要素のファーフィールドを分割するために用いられ得る。更に、図1のアンテナシステムが、入射する放射又は透過する出射する放射に対する主反射器及び副反射器の特定の構成を有するように記載されているが、アンテナシステムはいかなる適切な反射器の配列も備えることができる。
【符号の説明】
【0063】
2・・・主反射器
3・・・副反射器
4・・・ビームカッター
5・・・複数のフィードホーン
6・・・処理ユニット
7・・・信号処理器
8・・・コントローラ
9・・・メモリ
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナにおいて受信される電磁場、又はアンテナにより発生されるビームの方向を変えるための装置に関する。限定されることはないが、より詳細には、アンテナシステムで受信される電磁場を別々のビームに対応する複数の部分に分割し、該部分の方向を変えて、該部分がアンテナシステムの焦点領域から離れて検出されるようにする装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の反射器アンテナシステムにおいて、反射器(reflector)のファーフィールドにおける狭いパターンは、焦点に導かれる。焦点は、単一のフィードホーン又は一群のフィードホーンが、システムからの反射エネルギーを捕えるか、又はサンプリングするために配置されている位置である。異なる位置の電磁場のサンプルをとるために、フィードホーン又は一群のフィードホーンは、アンテナシステムの焦点面において、移動することができ、アンテナ放射をスキャンする。ファーフィールドにおけるビーム位置は、(少ない角度に対する)フィード位置のシフト(feed position shift)に対して名目上は線形関係で移動する。
【0003】
データ収集時間及び計測器感度を改善するために、1つ以上の可動フィードホーンの代わりに、焦点面において、フィードホーンの静止配列を有することが好ましい。残念なことに、得られた情報の量は、走査されるビームの近さにより制限され、そのため、フィードホーンの寸法によって、次々に制限される。データ通信アプリケーションでは、フィードホーンの寸法は比較的に小さく(直径で1〜2波長)、密に集められたビームは、サンプリングされ得る。しかしながら、放射測定アプリケーションでは、ファーフィールドから長く裾を引くガウスビームのようなビームを生成するためのフィード上の要件は、非常により大きい直径を有するフィードホーンの使用を導く(6〜10波長)。ホーンが次々に配置されているとき、サンプリングされたビームは、十分に密に集められない。例えば、幾つかのサブミリ波アプリケーションでは、3mm間隔で離れたビームをサンプリングすることが好ましい。しかしながら、3mm間隔でフィードホーンを配置することが不可能であるため、フィードホーンの幅は、10mmでなければならない。
【0004】
加えて、各フィードホーンは、低雑音増幅器(LNAs)及びミキサーのような信号処理部を備えている。これらの構成要素は、フィードホーンが十分に密に集められたサンプル・ビームと一緒に十分に密に配置されるように、十分に小さくする必要はない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、これらの問題に解消することを意図する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、アンテナによって受け取られる電磁場を、分離されたビームに対応する複数の部分に分割し、複数の検出器による検出のために前記複数の部分の方向を変える(redirecting)1つ以上のブレードを備えるアンテナシステムのための装置が提供される。
【0007】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、前記ブレード上における電磁場の入射領域に基づいた方向に、前記電磁場の一部の方向を変えることが好ましい。前記ブレードが、第一表面及び第二表面を含み、前記ブレードは、前記第一表面に入射する前記電磁場の一部の方向を第一方向に変えると共に、前記第二表面に入射する前記電磁場の一部の方向を前記第一方向と異なる第二方向に変えることが好ましい。
【0008】
前記装置が、前記電磁場を連続したより小さい部分へと分割するための複数のブレードを備えることが好ましい。
【0009】
結果として、本願発明は、ガウスビームを自由区間で切断し又は切り取り、接近しているビームが用いられている典型的なガウスホーンより小さな間隔で分離されることを可能とする。本発明は、フィードホーンが焦点領域から離れて位置することを可能とする。結果として、求められるビームを生成するのに十分に大きなフィードホーンが密に集められたビームをサンプリングするために用いられ得る。
【0010】
前記1つ以上のブレードが、プリズム状ブレードを備えることが好ましい。前記1つ以上のブレードが、代替的に又は追加的に反射性ブレードを備えることが好ましい。前記反射性ブレードが、ある角度で接合された2つの反射面を備えることが好ましい。
【0011】
前記1つ以上のブレードが、2つ以上のブレードを備え、前記2つ以上のブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記電磁場の前記複数の部分を歪ませて前記2つ以上のブレードのうちの他方が前記電磁場の前記複数の部分をより効果的に切断するように形成されていることが好ましい。前記2つの反射面は、前記電磁場の前記部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように形成されていることが好ましい。
【0012】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを検出器の方へ集光させるように形成されていることが好ましい。代替的に又は追加的に、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、前記ブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記2つ以上のブレードのうちの他方へ前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを集光させるように形成されていることが好ましい。前記2つの反射面は、円筒状ミラーを備えることが好ましい。
【0013】
前記装置は、前記1つ以上のブレード上へ前記電磁場の前記複数の部分を反射する予歪ミラーを更に備え、前記予歪ミラーが、密に集められたビームが分離されるように、前記電磁場の前記複数の部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように構成されていることが好ましい。
【0014】
前記1つ以上のブレードは、2つ以上のブレードを備え、前記装置が、前記電磁場の前記複数の部分の1つを前記2つ以上のブレードのうちの一方から前記2つ以上のブレードのうちの他方上へ集光させる集光手段を更に備えることが好ましい。代替的に又は追加的に、前記装置は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの少なくとも1つを検出器の上に集光させる集光手段を更に備えることが好ましい。前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、前記電磁場の前記複数の部分を円形のビームに再形成させることが好ましい。前記電磁場の方向が変えられた前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、ミラー及び/又はレンズを備えることが好ましい。
【0015】
一実施形態において、前記1つ以上のブレードが複数の金属反射性ブレードを含み、前記集光手段が、複数の反射性金属ミラーを含み、前記複数の金属反射性ブレード及び前記複数の反射性金属ミラーが、金属の単一のブロックから切り出されることが好ましい。
単一のユニット又は幾つかの分離されたユニットとして前記装置を製造すると、前記電磁場の切断及び検出に要求される構成要素の数を低減させることができ、デザインを機械的により安定させることができる。
【0016】
また、本発明によれば、それぞれの層が上述の何れかの装置と放射を受光するための開口部とを有する複数の層を備えるデバイスであって、前記デバイスが、前記放射の少なくとも1つのパラメータに基づいて入って来る放射を複数の部分に分割する手段と、放射の複数の部分のそれぞれの部分を前記開口部を介してそれぞれの層に向かせる手段と、を更に備えるデバイスが提供される。
【0017】
前記少なくとも1つのパラメータが前記放射の偏光を含むことが好ましい。前記少なくとも1つのパラメータが前記放射の周波数を含むことが好ましい。
【0018】
また、本発明によれば、上述した装置と、前記電磁場の方向が変えられた部分を受光する複数のフィードホーンと、を備えるアンテナシステムが提供される。
【0019】
追加的に、本発明によれば、複数のビームを生成する複数のフィードホーンと、前記ビームの方向をアンテナシステムの焦点領域の方へ変えて該アンテナシステムによる伝送のための一群の密に集められたビームを形成する複数の素子と、を備えるアンテナシステムが提供される。
【0020】
前記複数の素子が、複数の入射ビームを反射又は屈折させて一組の隣接するビームを生成するように配置されている素子を備えることが好ましい。前記アンテナシステムが前記一組の隣接するビームを前記複数の素子の他の素子上へ集光させる集光素子を更に備えることが好ましい。
【0021】
前記複数の素子が、複数の反射性ブレード又は複数のプリズム状ブレードを備えることが好ましい。以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るビームカッターを備えるアンテナシステムの概要図である。
【図2】図1におけるビームカッターを更に詳細に示す図である。
【図3】ビームカッターの構成要素の変形例を示す図である。
【図4】ビームカッターの他の構成要素の変形例を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るビームカッターの一部を示す図である。
【図6】本発明の別の実施形態に係るビームカッターの一部を示す図である。
【図7】フィールドが図6のビームカッターの構成要素にどのように入射されるかを示す概要図である。
【図8】その(a)〜(d)は、図6のビームカッターを通過するビームの形状を示す図である。
【図9】ビームカッターの構成要素の更なる変形例を示す図である。
【図10】金属の単一ユニットとして設けられているビームカッターを示す図である。
【図11】図9のビームカッター側面図を示す図である。
【図12】ビームカッターがどのように積み重なるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示されているように、反射器アンテナシステムは、入って来る放射を受けて集光させる主反射器(main reflector)2及び副反射器3と、システムの焦点領域でニアフィールドを分割するビームカッター4と、付随する処理ユニット6を有する複数のフィードホーン5と、信号処理器7と、コントローラ8と、メモリ9とを備える。反射器アンテナシステムは、例えば、放射測定、電波天文学、又は地球リモートセンシングに用いられることが可能である。この種のアプリケーションにおいて、入って来る放射は、典型的にサブミリ波又はマイクロ波の放射である。放射の周波数は、制限されないが、50GHzと3THzとの範囲内でありえる。反射器アンテナシステムが、通信システムにおいて、用いられることもできる。
【0024】
主反射器2は、凹型の放物線状の反射器でもよい。副反射器3は、2つの焦点を有する凸型の双曲線の反射器でもよい。反射器は、入射エネルギーを集束させるため、他の形状であってもよい。主反射器2は、焦点に対して軸対称に平行するすべての入射ビーム又はエネルギーを反射する。その焦点も、副反射器3の2つの焦点のうちの何れか1つであってもよい。副反射器3は、その後主反射器からビームカッター4が位置する第二の焦点に、ビーム又はエネルギーを反射する。
【0025】
ビームカッター4は、入って来る放射を複数の部分に分割する準光学的装置であり、適切なフィードホーン5が配置された位置にエネルギーをリダイレクト(redirect)して、必要な走査ビームを形成する。従って、ビームカッターは、反射器のファーフィールドにおいて、走査された放射パターンを生成するために、焦点領域のホーンの線形配列を置き換える。通常、フィードホーンが副反射器の焦点領域に配置されるまで、アンテナのファーフィールドにビームが存在しないことに注意されたい。そのかわりに、二アーフィールドが、ビームを形成するためのポテンシャルをもって焦点に存在する。本発明は、そこに配置されるホーンを使用するよりは、むしろこのフィールドをサンプリングするためにビームカッターを使用する。
【0026】
ホーン5は、低いサイドローブ(sidelobes)を有する必要なガウスビームのようなビームを生成するために、かなり大きな直径を有する。直径は、6〜10波長の程度でありえる。250GHzの周波数の信号は、10mmの直径を意味できる。ホーンは、コルゲート型、又はポット状の階段型ホーンでありえる。各フィードホーンは、付随する処理ユニット6、例えば、信号を増幅する低雑音増幅器(LNA)と、高周波信号を低周波信号にする低周波変換するミキサーとを備える。変換信号は、更なる信号処理のために中心信号処理器7に供給される。中央の信号処理器7が単一の構成要素として図1に示されているが、複数の分離された構成要素から成ることができることを理解されたい。コントローラ8は、メモリ9におけるデータの受信及び格納を制御する。コントローラ8は、信号処理器7を制御することもできる。メモリ9は、信号処理器7から又は地上ステーションからデータを受信できる。反射器アンテナシステム1は、受信データを地上ステーションに送信する送信アンテナを更に備えることができる。更に、反射器アンテナシステム1は、指示を地上ステーションから受け入れる別の受信アンテナシステムを備えても良い。
【0027】
本発明に係るビームカッター4の一実施形態は、図2において、更に詳細に示されている。図2のビームカッター4は、アンテナによって、受け取られる電磁場におけるエネルギーを6つの異なるフィードホーン5a―5fにより検出される、6つの異なるビームに分割する。ビームカッターは、二アーフィールドをより小さい部分に連続して切断するための複数のフィールド切断素子を備えている。ビームカッター4は、フィールドが切断された後に、フィールドのエネルギーを集束させる複数の別々の集光素子を有することもできる。図2において、フィールド切断素子及び集光素子は同じ平面に集められる。ビームカッターの全ての素子は、ハウジング内に位置できる。フィールド切断素子は、フィールドを同じ情報の2つの複写に分割せず、フィールドを2つの互いに異なる情報に分けることに注目したい。フィールド切断素子は、フィールド切断素子上の入射点の位置に基づいて、フィールドを分割する。同様に、同じ画像の2つの半分が考慮され得る。
【0028】
図2において、フィールド切断素子は、反射性のブレード10a〜10fの形で設けられており、集光素子は、レンズ11a〜11jの形で設けられている。第一反射性ブレード10aは、システムの焦点領域に位置しており、そこは、潜在的ファーフィールドのビームが小さい領域に集光される位置である。第一反射性ブレード10aは、二アーフィールドを2つの部分A及びBに分割する。第一部分Aは、第一フィールドレンズ11aによって、再度集光され、第二ブレード10bによって、部分A1及びA2に分割される。部分A1は、第二フィールドレンズ11bによって、再集光されて、ホーン5aにより検出される。他の部分は、ブレード10cによって、更に分割され、2つの部分A2’及びA2”に分割される。2つの部分A2’及びA2”はそれぞれ、フィールドレンズ11d及び11eによって、再集光され、それぞれホーン5b及び5cにより検出される。同様に、二アーフィールドBの第二部分は、フィールドレンズ11fによって、再集光され、第4のブレード10dによって、2つの部分B1及びB2に分割される。1つの部分B1は、再集光され、ブレード10eによって、2つの部分B1’及びB1”に分割される。2つの部分B1’及びB1”は、フィールドレンズ11i及び11jによって、再集光されて、ホーン5d及び5eにより検出される。他の部分B2は、レンズ11hによって、再集光され、更に分割されずにホーン5fによって、更に検出される。
【0029】
入射フィールドの角度依存性が、反射器アンテナシステムの焦点において、分布されたフィールドをもたらすことに注目されたい。分布されたフィールドは、第一ブレード10aにより切断される。第一ブレードの後に、これらがグループで扱われるか又は単独で扱われるかにかかわらず、反射及びビーム修正は、すべてのビームの角依存を変え、更にビームを分割する。
【0030】
各ブレード10a〜10eは、2つのミラーのような2つの反射面からなり、放射に対面している端に接している。ブレードの2つの反射面の中で第一反射面(例えば図2において、ブレード10aの上側表面)に入射する光は、2つの反射面のうちの第一反射面により反射され、それにより、第一の方向(図2のビームカッター4における上側領域の方へ)に方向変換(redirect)される。ブレードの2つの反射面の中で第二反射面(例えば図2において、ブレード10aの下側表面)に入射する光は、2つの反射面のうちの第二反射面により反射され、それにより、第一方向とは異なる第二の方向(図2のビームカッター4における下側領域の方へ)に方向変換される。2つの反射面の間の角度及び入射する放射に対する2つの反射面の方向は、ビームが反射される方向を決定する。結果として生じる分割されたビームは、元フィールドの異なる部分に対応し、従って、元のフィールドにおける異なる情報に対応する。放射は、その端のわずかに前方に又はその端の向こうに集光される。反射面は、無線周波数(radio frequency)伝導材料により形成されている。例えば、ブレードは、アルミニウムを含む金属から形成されていることができるが、これに限定されることはない。更に詳細には、ブレードが、1つの曲がった金属のシート又は金属の固体ブロックで製造されることができる。その表面は、例えば、研磨されることができ、銀で被覆されていることができ、又は金で被覆されていることができる。ブレードは、プラスチック又は他のいかなる適切な材料でできていることができ、反射コーティング層を有することができる。
【0031】
ブレードの先端(leading edge)は、過剰な回折を生じないように、及びビームを損なわないように鋭い。例えば、先端は、波長の1/100、又はおよそ0.01mmでありえる。ブレードの2つの反射面間の角度θは、10〜45度でありえる。しかしながら、正確な角度は用途に依存する。角度は、適切である場合、45度より大きくてもよい。サブミリ波の用途では、ブレードの各反射面の長さが、20mmの程度であってもよい。ブレードは、反射エネルギー又は屈折エネルギーが都合よく次のブレード又は集光素子に向けられるように角度づけられる。ブレードは、フィールドを必ずしも2つの等しい部分に切る必要があるというわけではない。例えば、ブレード10b及び10dが、部分A1及びB2が部分A2’、A2”、B1’及びB1”として元のフィールドを同じ比率を含むように切ることができる。
【0032】
レンズは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなプラスチックでできていてもよい。代替的に、レンズは、ガラスからなることができる。一実施形態において、レンズは、効率を改善するために同心状の溝を有する双曲線の形状を有することができ、それによって、フィールドがレンズを通過する。レンズは、次のブレードの先端周囲の領域又はフィードホーンの焦点領域に、エネルギーを再集光させる。フィードホーンの焦点領域が、ホーン内部に僅かにフィードホーンの開口を越えて位置する。再びフィールドを切る前に、又はフィードホーンにより検出される前に、フィールドを必ずしも再集光させる必要はないことを理解されたい。レンズは、2つのブレードの間に又はブレードの間に配置され、フィードホーンはビームカッターの特定の設計に依存する。
【0033】
ビーム効率上の問題により、フィードホーン5a〜5fは、円形のビームを生成するため、円筒状ホーンに概して選択される。しかしながら、楕円ビームを生成する楕円開口を有するコルゲート型ホーン、又は矩形のホーンを有するのも可能であることに注目されたい。フィールドのカットは、ビームの形状をより楕円形状に変える。電磁場は、角度において、延長される成分を有する。フィールドが切られるときに、ブレードの存在によって、防がれるより高い角度成分が若干損失する。従って、結果として生じる形状は、楕円となる。従って、非常に最も近いビームのために形成されるファーフィールドにおけるパターンの品質は、ブレードの近くにおいて劣化する。従って、これらのビームのいくつかは、より良く円筒状ホーンにマッチするために再形成(reshaping)を必要とする。アナモルフィック(anamorphic)レンズのような適切な形のレンズを用いることで、ビームは再形成されることができ、品質が改善できる。
【0034】
図3に関して、フィールド切断素子に対する図2の反射性のブレードの変形例が示されている。この場合、フィールド切断素子は、プリズム状ブレード12を用いて生成される。プリズムを使用するときに、ビームの分離は、反射によって、よりもむしろ屈折により行われる。エネルギーは、プリズム状ブレード12上のレンズ11aにより集光され、2つのビームに屈折する。プリズムの第一表面に入射するビームは、第一の方向に屈折し、プリズムの第二表面に入射するビームは第二の方向に屈折する。図3に示すように、ビームはプリズムにおいて、交差する。2つのビームの各々はそれぞれ、レンズ11b、11cによって、ホーン5a、5bに再度集光される。内面反射は、プリズムおいて発生する場合があり、金属箔(図示せず)は、プリズムの中心線の下側に含まれることができ、ビーム間の隔離を提供する。また、入射光に向かうプリズムの表面の角度は、10〜45度でもよい。しかしながら、正確な角度は、用途に依存する。適切である場合、角度は、45度より大きい場合もある。
【0035】
図4に関して、集光素子のための図2のレンズの変形例が示されている。本実施例において、集光素子は、フィールドレンズの代わりにミラー13によって、設けられている。エネルギーは、ブレード10の上のレンズ11aにより集光され、2つのビームに屈折する。各ビームはそれぞれ、ミラー13a、13cによって、ホーン5a、5bの方へ反射される。示されているように、ミラーを使用するときに、ホーンに供給されるときに、ビームは交差する。ミラーは、制限されないが、磨かれたアルミニウムのような金属で製造されることができる。
【0036】
ビームカッターの幾つかの実施形態において、フィールド切断素子及び集光素子は、単一の要素として結合されることができる。端に沿って接続される2つの平坦なミラーから形成されるフィールド切断素子の代わりに、2つのミラーは、形づくられたミラーでもよい。接続している端に沿ったミラーの湾曲は小さくて端に沿ってざっと同一の厚みを保つことが好ましく、その結果、接続している端で回折を減らす。フィールド切断素子は、分離されたフィールドを再び集光させ、結果として生じるビームのビームウェストを制御する。従って、フィールド切断素子が、フィールドを分割し、エネルギーを再び集光させる。形づくられたミラーは、例えばミラーの各々のシリンダ軸に平行な線に沿った、鋭い端ブレードに沿って接合された円筒形ミラーでもよい。このようなブレードは、1つの平面において、ビームを再集光させる。また、形づくられたミラーは、楕円又は双曲線の形状或いは最適化ために選択される任意の形状のような他のいかなる円錐曲線に対応する形状をも有することができる。
【0037】
反射性ブレード10、プリズム12、レンズ11及びミラー13の組合せは、ビームカッター4を形成するために用いてもよいことを理解されたい。図5において、二アーフィールドの8つの部分を生成するビームカッター4の半分が示されている。ビームカッターは、プリズム状ブレード12及びフィールドを切るための反射性ブレード10の両方を備える。ビームカッター4を通過する単一ビームの経路が示されている。入射エネルギーは、ミラー14によって、第一反射性ブレード10a上へ反射される。第一反射性ブレード10aは、フィールドの第一回のレベル分割を行う。第二回のレベル分割は、他の反射性ブレード10bで実行される。他の反射性ブレード10bは、2つのビームの2つのグループを形成する。残りのビームがプリズム状ブレード12で分割される間に、第一対のビームは、更なる反射性ブレード10cで再分割される。結果として生じるビームは、再集光されてフィードホーン5a〜5dにより受信される。各々の部分の間で、フィールドは、単純なフィールドレンズ11a〜11gによって、次のブレード又はホーンに再び集光する。ミラーがレンズの代わりに使うことができることを理解されたい。
【0038】
本発明の幾つかの実施形態において、ビームの分離を改善するためにフィールドを分割する前に、予歪が、フィールドの部分に対応するビームの形状に導入される。ビーム歪みは、図6で示すフィールド経路において、フィールド切断素子12の前に配置されているオフセットミラー15により提供されることができる。オフセット予歪(offset pre−distortion)ミラー15は、ブレードの断面に平行する平面のフィールドを延長するように設計されており、ブレードが過度の散乱なしでより密接にビームに接近させることを可能にすると共に、互いに近いビームを分離する。予歪ミラーでの幾つかの入射角のために、ビームに対応するフィールドの部分の断面は、放射に直面しているブレードの端に平行する長軸を有する、平坦化された楕円に類似する形状に引き延ばされている。予歪ミラー15が、オフセット円錐断面ミラーであってもよい。ミラーは、例えば、楕円体又は球体の一部の形状を有することができる。
【0039】
図6において、更に示すように、予歪ミラー15に対して対応するオフセットパラメータを有する修正ミラー16は、切られたフィールドを反射するように形成されることができる。第二ミラー16は、第一ミラー15により誘導された歪みを修正する。それは、反射ビームを集光させることもできる。例えば、修正ミラー16は、ホーンにマッチさせるために、ビームの断面を所望の円形形状にすることができる。予歪ミラーによって、導かれたビーム歪みの程度は、フィールドの入射角に依存し、従って、1つのビーム角度から他のビーム角度まで変化する。
【0040】
図6を更に参照すると、歪曲ミラー15は、フィールドが高い入射角(表面の法線から間隔をおいて配置される)でミラーに接近するように配置されている。その結果、ミラーの第二焦点領域におけるビーム挙動は、反射器の表面に向けてフィールドの鋭い図形を有するコースティック(caustic)性を有する。ビームの歪みの程度は、ミラー面での反射角に依存する。入射角が大きい程、すなわち、表面に対する法線から離れる程、ビームの歪みは、より大きくなる。予歪ミラー(pre−distortion mirror)上の入射ビームがミラー面に対して傾いていると、ビームは、ミラー面の法線で入射するフィールドよりも歪む。換言すれば、入射ビームが、ミラーの第一焦点から離れているミラーに接近する場合、歪みはより大きくなる。
【0041】
ビームがミラーから離れて進むにつれて、ビーム断面は入射フィールドに対して直交する平面において、細長くなり、フィールド切断素子のブレード10の端に平行するようになる。ブレード10は、フィールドが、フィールド及びブレード(両方の線)の共通の幾何形状(common geometry)を利用するように、線状(コースティック)に延長され位置に配置されることができ、効率的にフィールドを分割する。ビーム形状の歪みによって、フィールドがブレードの後方に通過するより少ないエネルギーで切断されることができ、切断効率が改善される。更に、予歪ミラー15とそれに続くブレード10および反射器との間のコースティック(caustic)な領域が、ブレード10の後縁(trailing edges)上のビームに関するフィールドを減らし、その結果、ブレード10のこれらの2つの端の間における還元的な回折効果を減少させる。
【0042】
図6は、反射性ブレード10を示しているが、フィールド切断端部はプリズム状ブレード12でありえる。図6に示すように、ビームのうちの1つは、フィールド切断素子10によって、他のビームから切り離される一方、他のビームが途中で各々を交差してブレードから修正ミラー16の方へ反射される。修正ミラーが、歪んだ断面を円形断面に修正する。その後、ビームは、更に反射されることができ、又はホーンへ向けられることができ、又は更なるフィールド切断素子10、12(図示せず)によって、更に切断される。図6に示されているブレード10で切断されるビームは、他の修正ミラー(図示せず)により修正されて、フィードホーンに対する良好な一致を提供する。
【0043】
図6に示されている画像1〜4のビームの形状は、図8(a)〜図8(d)に関して下で更に詳細に記載されている。
【0044】
幾つかの実施形態において、図4に関して記載されているように、修正ミラー16は、フィールド部を集光させるためにミラー13と結合されることができる。ビームが高い角度で入射するように配置されたオフセット楕円ミラーは、いかなる歪んだビームを修正できると共に、ホーンをフィードするために適切な形状にビームを再集光させることができる。さらに、実施形態によっては、レンズ(図示せず)が、第一オフセットミラーの第一焦点に入射ビームを置くために使うことができる。
【0045】
図7は、歪んだビームが、どのようにブレード上に入射するか図式的に示している。ビームの断面は、ビームの一方の側面上において、平坦化された楕円の形状を有する。ビームの断面は、ブレード10の先端に平行する方向において、細長い。ビームの歪みの程度は、ミラー面から離れた反射角に依存し、ミラー面に対して入射ビームが近いほど歪みが大きいので、ブレード縁部の正面から遠いビームであるほど、ブレード縁部の正面に近いビームよりも平坦化されない。図7の若干の範囲において、ビームの歪みは、誇張されている。小さな入射角を有するビームは、図7に示されるビームより歪みが少ない。
【0046】
図8(a)〜図8(d)は、図6のビームカッターにおける予歪ミラー及び修正ミラーの効果のシミュレーション結果を示す。図は、光路における四つの異なるステージで大きさ10mm×10mmの領域におけるビーム強度(整合的な発光)を平方メートル当たりのワット(W/m2)で示している。ビーム強度範囲は、0〜−50dBの範囲に対応する。図8(a)に示されるように、フィールドは、四つの密に集められたビームとして始まる(図6の画像1)。図8(b)は、四つのビームがフィールド切断素子10(図6の画像2)から反射されて離れる直前のビームの形状を示す。図8(c)は、三つの残りのビームが切断素子により反射されて修正ミラー(図6の画像3)に向かった直後のビームの形状を示す。切断素子10の直前及び直後において、ビームは切断されたように見られることができ、ビームのいくつかが垂直形状に歪められている。形状は、予歪ミラー15上の入射角とフィールド経路における画像の位置とに依存する。図8(d)は、フィールドが修正された後のビームの形状を示す(図6の画像4)。図示されているように、修正の後、軸に最も近いビームは、今はほぼ円形である。他のビームは、軸に沿ったわずかに異なる位置で円形となる。
【0047】
フィールドをより効果的に切断するために歪みが導入されたビームカッターでは、各フィールド切断素子10の後に修正ミラーが必要ではないことを理解されたい。ブレードに対するフィールドの方向が満たされている(十分に平行である)場合、フィールドは、修正なしで再び切断されることができる。特定のビームが切断されるとき、フィードホーンの前に修正ミラーが用いられて、フィードホーンにマッチするためにビームを円形状断面に修正する。
【0048】
図9に示されているように、実施形態によっては、予歪効果、修正効果及び集光効果が、全てブレード自体により提供される。図9は、三つのブレード10a’、10b’及び10間において、ホーン5の方に反射された単一ビームを示す。第一ブレード10a’と最後のフレード10b’の表面は湾曲している。一実施形態において、湾曲は球体の曲率に一致するが、他の形状も可能である。2つ目のブレードは、平面ブレードである。第一ブレード10’の湾曲した面は、ビームを歪めるように設計されており、最後のブレード10b’の湾曲した表面は、そのビームに対して対応する修正を提供すると共に、ビームを丸いビームに集光させるように設計されている。平面状の第二のブレード10は、2つの湾曲ミラーの間において、フィールドを遮断すると共に、再度フィールドを切断するために設けられている。
【0049】
図9に示されているように、ビームは入射して、第一ブレード10a’により反射される。第一ブレードは、更にフォーカスすると共にビームを歪め、ビームが次のブレードでより容易に切断されることを可能にする。換言すれば、切断及び次のブレードのための予歪は、第一ブレードによって、1つの試行にて実行される。その後に、ビームは、平坦な第二ブレード10の側から反射され、湾曲された最後のブレード10b’により修正されると共に再度フォーカスされて、ホーン5に入射される。平面ブレード10は、図9に示されるビームのための反射器として作用するだけである。結果的に、特定の用途及び入射するフィールドのためには、平面ブレード10はミラーで代替されることができる。
【0050】
しかしながら、平面ブレード10の角度方位とフィールドとが第一湾曲ブレードに入射する位置とによっては、平面ブレードがビーム切断素子として用いられることもできる。同様に、最後湾曲ブレード10b’は、その角度方位を変えることによって、図9に示されているビームのための反射器として機能できる。湾曲ブレード10b’が、更にビームを切断するために使うことができる。湾曲ブレードの使用によって、異なるビーム間の回折が最小化されると共に、フィールドがより効率的に切断される。湾曲ブレードの軸から更に離れたビームは、軸により近いビームほど歪められず、それらは、再び同じ技術、すなわち他の湾曲ブレードによって、切断できる。結果的に、実施形態によっては、平面ブレードは、第三湾曲ブレードと置き換えられることが可能である。または、上記したように、最後の湾曲ブレードの角度方位は、更にフィールドを切断するために変更されることができる。湾曲ブレードが両側に異なる曲率を有することができると理解されなければならない。湾曲ブレードが、ブレードの異なる位置に入射するビームの形状における差を補正するために、両側に異なる曲率を有することができる。
【0051】
例えばアンプ及びミキサーを備える処理ユニット6は、明確化のために、図3、図4、図5、図6及び図9に示されていない。しかしながら、各々のフィードホーンは、様々な信号処理部に接続され得ることを理解されたい。図3〜図6中のブレードの近くに示されている線と面は、反射ブレードに対する入射放射に垂直、及び屈折ブレードに対する入射放射に平行なフィールドの線であり、ブレードの一部ではないことを理解されたい。
【0052】
図10及び図11は、金属ブレードから成るフィールド切断素子10、12と、オフセット金属ミラーを含む集光素子とを備える、ビームカッター4の実施形態を例示する。金属ブレード及び金属ミラーを選択することによって、ビームカッター、又はビームカッターの少なくともほとんどの構成要素は、完全に金属から作られることが可能である。図10及び図11の実施形態において、ビームカッター4は、金属18の単一の機械加工されたブロックから作り上げられており、蓋19が付けられている、単一ユニット17として設けられている。代替的に、ビームカッター4は、金属の単一のブロックから切り出されるかのように、アセンブリを形成する複数の構成要素から製造され得る。ユニットは、例えば、任意の必要なプラスチックレンズ又は別に製造される歪像ミラーのような任意の別々の構成要素を受けるためのスロットを有することができる。ブレードは、平坦ブレード又は湾曲ブレードでありえる。デザインは、コンパクトであり、単一の平面にその構成要素を有し、フィードホーンのための複数の空間と、例えばミキサー・ブロック及び低雑音増幅器6のような、それらに付随する検出器コンポーネントとを提供する。
【0053】
図10に示すように、放射は、ブロック内の3〜5mm領の域にフォーカスするために、ブロックにおける開口20を介して受信される。第一レベルのブレード10aは、放射を2つの断面に分割する焦点領域に設けられている。一対の第二レベルのブレード10b、10cは、2つの断面の各々を2つの部分に切断して2つの部分の2組を形成するために設けられている。本実施形態において、第一レベルのブレードと第二レベルのブレードとの間に、如何なる分離ミラーも用いられていない。第一レベルのブレードの反射面は、平坦ミラーであってもよく、第二ブレードの方へ、エネルギーを再集中させる円筒状又は球形状ミラーでもよい。ブロックの内壁は、フィールドを他のブレード又はフィードホーンの方へ、反射して再集光させるためのミラーとして機能するように機械形成され、研磨されている。壁は、銀メッキ又は金メッキでもよい。2つの部分の2つのセットは、第三レベルのブレード10d〜10g上へ反射される。第三レベルのブレード10d〜10gは、放射を8つの部分に分割し、ホーンによって、順番に検出される。
【0054】
上記したように、図10のブレード10e〜10gの1つ以上は、図9に関して記載されていると共に、分離されたビームがより密に集められるように、歪みを導くため又は対応する修正を提供するために、湾曲面を更に有することができる。代替的に、又は付加的に、図10に示されていないが、より切断効率を改善するために図6に記載されている、単一ユニット17は、予歪ミラー15及び/又は修正ミラー16を含むように設計されることができる。
【0055】
図11は、フィードホーンのない側からの、ビームカッター・ブロック17を示す。
図10のフィードホーン5a〜5dを受けるための穴21a〜21dは、ビームカッターの側に沿って位置する。
一例として、300GHzの放射を有する用途のために、蓋を含むブロックの高さは、およそ20mmでありえる。
【0056】
図10及び図11に関連して記載されているブロック17の2つ以上は、積み重ねられていることができ、二重線形分極化及び操作の更なる幅を提供する。四つのブロックビームカッター・ユニットのブロック線図が図12に示されている。アンテナシステムの焦点領域において、偏光板22が、二アーフィールドを2つの異なる偏光に分離するために設けられている。その後、二アーフィールドエネルギーの各部分は、例えば周波数選択性表面(FSS)又は二色性フィルタ23a、23bによって、2つのフィールド部分の2つのグループを提供する2つの異なる周波数に分離される。結果として生じるフィールド部は、必要に応じてミラー24a、24bを使用することで各ブロックの第一ブレード17a〜17dの上に集光され、分割され、フィードホーンに向けられる(図12に示されていない)。各ブロックが8つのビームを生成すると、ユニットは、周波数及び偏光において、共に公認された(co−registered) ビームを有する8つのビームのステアリング(staring)アレイを生成する。もちろん、付加的な周波数選択性表面が、フィールドをより小さな周波数ビン(frequency bins)に分割するように設けられ得る。偏光及び周波数に基づく分割は単なる例であり、放射の他の特性に基づく分割も考慮できることを理解されたい。
【0057】
図10、図11及び図12は、単一の平面における各ビームカッター・ブロックの構成要素を示すが、用途によって、必要とされる場合には、ビームカッター・ブロックごとの構成要素が小さな3D空間内の異なる平面に取り付けられることが可能であると考えられる。
【0058】
ブレード及び集光素子は、送信アンテナにおいて、使われることも可能であり、アンテナによる伝送のために密に集められたビームを修正することを理解されたい。その際、ビームカッター4は、その換わりにビーム・コンバイナ(combiner)を提供する。送信アンテナにおいて、フィードホーンは、切断素子の方向へ送信される異なるビームを生成する。切断素子10、12の各々は、複数の入射ビームを反射し、又は屈折させ、一組の密に集められた隣接するビームを生成する。集光素子11、13は、密に集められたビームのセットを再び集光させ又は再形成させる。フィードホーンに最も近い切断素子は、2つのビームを一組の2つの隣接するビームに反射、又は屈折させる。一方、フィードホーンから更に離れている切断素子は、2組の隣接するビーム、又は1組の隣接するビーム及び単一のビームを、隣接するビームの新たなセットに反射する。切断素子は、少なくとも2つのビームが異なる方向から切断素子上に入射するが、反射又は屈折する以外の方向であるが、実質的に同一の方向に配置される。切断要素は、図6〜図9に関して記載されているように、ビームを歪ませる又は修正する湾曲面を有しており、より密に集められたビームを発生させるように設計されることができる。代替的に、又は、付加的に、予歪ミラー15及び修正ミラー16が含まれることができ、その効率を更に改善する。その効率によって、ビームが結合される。ビーム・コンバイナは、例えば、密に集められたビームが必要とされるレーダー通信システムまたは電気通信システムに用いられ得る。送信システムにおいて、フィードホーンは焦点領域の外側に位置し、しかしアンテナシステムによって、ブレード、ミラー及びレンズは、伝送のためにフィードホーンから焦点領域までビームの方向を変え、その結果、フィードホーンが焦点領域にあった場合よりも更に密に集められたビームを生成できる。送信アンテナにおける反射器の配置に応じて、焦点領域は、単一の反射器の焦点又は副反射器の焦点に一致する。
【0059】
送信アンテナは、受信アンテナに対して図1〜図12を考慮して述べたような構成要素と同じ配置を有することができる。しかし、放射の方向は、上述した図において、記載された方向と反対方向であることもできる。例えば、図2において、ビームが、フィードホーン6a〜6fにより生成され、レンズ11b、11d、11e、11h、11i及び11jにより集光され、連続的にブレード10a〜10jにより結合されて、一組の密に集められたビームを形成する。その際、図1において、一組のビームは、副反射器3によって、主反射器2の方向へ反射されて、アンテナシステム1から離れる。
【0060】
以上、本発明の具体例が記載されているが、本発明の範囲は、実施形態に限定されず、添付の請求の範囲によって、定められる。従って、本発明は、当業者によって、認められるように、他の方法で行うことができる。
【0061】
例えば、ビームカッターの幾つかの構成要素がミラーとして分類され、他の構成要素がブレードと分類された場合であっても、ブレードはフィールドを反射及び切断することの両方に利用できることを理解されたい。従って、ミラーは、ブレードと置き換えられることができ、反射機能を提供するだけであるブレードは、ミラーと置き換えられることが可能である。更に、ビームカッターにおいて、使用されるブレードの数は、用途に依存する。幾つかの実施形態では、単一のブレードが用いられる一方、他の実施形態においては、複数のブレードが用いられる。
【0062】
更に、ビームカッターは、アンテナシステムの二アーフィールドを切断するように記載されていたが、ビームカッターによって、切られる電磁場がアンテナの二アーフィールドに制限されないことを理解すべきである。ビームカッターは、如何なる電磁場を切断するために用いられることが可能である。電磁場はシステムの幾つかの構成要素のファーフィールドであることができ、ビームカッターは、その際、その構成要素のファーフィールドを分割するために用いられ得る。更に、図1のアンテナシステムが、入射する放射又は透過する出射する放射に対する主反射器及び副反射器の特定の構成を有するように記載されているが、アンテナシステムはいかなる適切な反射器の配列も備えることができる。
【符号の説明】
【0063】
2・・・主反射器
3・・・副反射器
4・・・ビームカッター
5・・・複数のフィードホーン
6・・・処理ユニット
7・・・信号処理器
8・・・コントローラ
9・・・メモリ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナによって受け取られる電磁場を、分離されたビームに対応する複数の部分に分割し、複数の検出器による検出のために前記複数の部分の方向を変える1つ以上のブレードを備える、アンテナシステムのための装置。
【請求項2】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、前記ブレードに入射する位置に基づいた方向に、前記電磁場の一部の方向を変える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、第一表面及び第二表面を含み、
前記ブレードは、前記第一表面に入射する前記電磁場の一部の方向を第一方向に変えると共に、前記第二表面に入射する前記電磁場の一部の方向を前記第一方向と異なる第二方向に変える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電磁場を連続したより小さい部分へと分割するための複数のブレードを備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上のブレードのうちの少なくとも1つが、プリズム状ブレードを備える、請求項1〜4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のブレードのうちの少なくとも1つが、反射性ブレードを備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記反射性ブレードが、ある角度で接合された2つの反射面を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
2つ以上のブレードを備え、
前記2つ以上のブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、
前記2つの反射面が、前記電磁場の前記複数の部分を歪ませて前記2つ以上のブレードのうちの他方が前記電磁場の前記複数の部分をより効果的に切断するように形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように形成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを検出器の方へ集光させるように形成されており、
又は、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、
前記ブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記2つ以上のブレードのうちの他方へ前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを集光させるように形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上のブレード上へ前記電磁場の前記複数の部分を反射する予歪ミラーを更に備え、
前記予歪ミラーが、密に集められたビームが分離されるように、前記電磁場の前記複数の部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように構成されている、請求項1〜10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電磁場の前記複数の部分のうちの少なくとも1つを検出器の上に集光させる集光手段を更に備え、
又は、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、前記装置が、前記電磁場の前記複数の部分の1つを前記2つ以上のブレードのうちの一方から前記2つ以上のブレードのうちの他方上へ集光させる集光手段を更に備える、請求項1〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、前記電磁場の前記複数の部分を円形のビームに再形成させる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、ミラー及びレンズのうちの少なくとも1つを備える、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上のブレードが複数の金属反射性ブレードを含み、
前記集光手段が、複数の反射性金属ミラーを含み、
前記複数の金属反射性ブレード及び前記複数の反射性金属ミラーが、金属の単一のブロックから切り出される、請求項12〜14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
それぞれの層が請求項1〜15の何れか一項に記載の装置と放射を受光するための開口部とを有する複数の層を備えるデバイスであって、
前記デバイスが、
前記放射の少なくとも1つのパラメータに基づいて入って来る放射を分割する手段と、
前記開口部を通過して前記分割された放射を別々の層に向かせる手段と、
を更に備えるデバイス。
【請求項17】
前記入って来る放射を分割する手段が、前記放射の周波数の偏光に基づいて該放射を分割するスプリッタを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の装置又はデバイスと、前記電磁場の方向が変えられた部分及び前記電磁場の再集光された部分を受光する複数のフィードホーンと、を備えるアンテナシステム。
【請求項19】
複数のビームを生成する複数のフィードホーンと、
前記ビームの方向をアンテナシステムの焦点領域の方へ変えて該アンテナシステムによる伝送のための一群の密に集められたビームを形成する複数の素子と、
を備えるアンテナシステム。
【請求項20】
前記複数の素子が、複数の入射ビームを反射又は屈折させて一組の隣接するビームを生成するように配置されている素子を備え、
前記アンテナシステムが前記一組の隣接するビームを前記複数の素子の他の素子上へ集光させる集光素子を更に備える、請求項19に記載のアンテナシステム。
【請求項21】
前記複数の素子が、複数の反射性ブレード又は複数のプリズム状ブレードを備える、請求項18又は19に記載のアンテナシステム。
【請求項1】
アンテナによって受け取られる電磁場を、分離されたビームに対応する複数の部分に分割し、複数の検出器による検出のために前記複数の部分の方向を変える1つ以上のブレードを備える、アンテナシステムのための装置。
【請求項2】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、前記ブレードに入射する位置に基づいた方向に、前記電磁場の一部の方向を変える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記1つ以上のブレードのそれぞれが、第一表面及び第二表面を含み、
前記ブレードは、前記第一表面に入射する前記電磁場の一部の方向を第一方向に変えると共に、前記第二表面に入射する前記電磁場の一部の方向を前記第一方向と異なる第二方向に変える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電磁場を連続したより小さい部分へと分割するための複数のブレードを備える、請求項1〜3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記1つ以上のブレードのうちの少なくとも1つが、プリズム状ブレードを備える、請求項1〜4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記1つ以上のブレードのうちの少なくとも1つが、反射性ブレードを備える、請求項1〜5の何れか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記反射性ブレードが、ある角度で接合された2つの反射面を備える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
2つ以上のブレードを備え、
前記2つ以上のブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、
前記2つの反射面が、前記電磁場の前記複数の部分を歪ませて前記2つ以上のブレードのうちの他方が前記電磁場の前記複数の部分をより効果的に切断するように形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように形成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記2つの反射面は、前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを検出器の方へ集光させるように形成されており、
又は、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、
前記ブレードのうちの一方が前記2つの反射面を備え、前記2つの反射面が、前記2つ以上のブレードのうちの他方へ前記電磁場の前記複数の部分のうちの1つを集光させるように形成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項11】
前記1つ以上のブレード上へ前記電磁場の前記複数の部分を反射する予歪ミラーを更に備え、
前記予歪ミラーが、密に集められたビームが分離されるように、前記電磁場の前記複数の部分に対応する前記ビームの断面を引き延ばすように構成されている、請求項1〜10の何れか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記電磁場の前記複数の部分のうちの少なくとも1つを検出器の上に集光させる集光手段を更に備え、
又は、前記装置は、2つ以上のブレードを備え、前記装置が、前記電磁場の前記複数の部分の1つを前記2つ以上のブレードのうちの一方から前記2つ以上のブレードのうちの他方上へ集光させる集光手段を更に備える、請求項1〜11の何れか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、前記電磁場の前記複数の部分を円形のビームに再形成させる、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記電磁場の前記複数の部分を集光させる前記集光手段が、ミラー及びレンズのうちの少なくとも1つを備える、請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記1つ以上のブレードが複数の金属反射性ブレードを含み、
前記集光手段が、複数の反射性金属ミラーを含み、
前記複数の金属反射性ブレード及び前記複数の反射性金属ミラーが、金属の単一のブロックから切り出される、請求項12〜14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
それぞれの層が請求項1〜15の何れか一項に記載の装置と放射を受光するための開口部とを有する複数の層を備えるデバイスであって、
前記デバイスが、
前記放射の少なくとも1つのパラメータに基づいて入って来る放射を分割する手段と、
前記開口部を通過して前記分割された放射を別々の層に向かせる手段と、
を更に備えるデバイス。
【請求項17】
前記入って来る放射を分割する手段が、前記放射の周波数の偏光に基づいて該放射を分割するスプリッタを備える、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
請求項1〜17の何れか一項に記載の装置又はデバイスと、前記電磁場の方向が変えられた部分及び前記電磁場の再集光された部分を受光する複数のフィードホーンと、を備えるアンテナシステム。
【請求項19】
複数のビームを生成する複数のフィードホーンと、
前記ビームの方向をアンテナシステムの焦点領域の方へ変えて該アンテナシステムによる伝送のための一群の密に集められたビームを形成する複数の素子と、
を備えるアンテナシステム。
【請求項20】
前記複数の素子が、複数の入射ビームを反射又は屈折させて一組の隣接するビームを生成するように配置されている素子を備え、
前記アンテナシステムが前記一組の隣接するビームを前記複数の素子の他の素子上へ集光させる集光素子を更に備える、請求項19に記載のアンテナシステム。
【請求項21】
前記複数の素子が、複数の反射性ブレード又は複数のプリズム状ブレードを備える、請求項18又は19に記載のアンテナシステム。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図6】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1】
【図6】
【公表番号】特表2011−529284(P2011−529284A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519192(P2011−519192)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059687
【国際公開番号】WO2010/010200
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(508330939)アストリウム・リミテッド (28)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059687
【国際公開番号】WO2010/010200
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(508330939)アストリウム・リミテッド (28)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]