説明

アンテナ構造体及び携帯通信端末

【課題】適切な無線性能が得られるアンテナ構造体を提供する。
【解決手段】アンテナ構造体は、第1の導電部材(103)と、前記第1の導電部材と並行する状態で配置された絶縁部材(102)と、前記絶縁部材に設けられた複数の第1の開口(106)と、前記複数の第1の開口のいずれかに一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材及び前記絶縁部材に挟持され、挟持されている第1の開口から露出する部分を有する第2の導電部材(104)とを備える。アンテナ構造体は、第2の導電部材の第1の開口から露出する部分を給電点とし、第1の導電部材を励振端として作用させることで、アンテナとして機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ構造体及びアンテナ構造体を搭載する携帯通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末の一形態として一般に普及している携帯電話機の設計においては、通信に用いるアンテナは、使用する通信周波数帯や携帯電話機の形状、積載容量などの各種の条件に応じて、携帯電話機毎に最適な無線性能が得られる形状のものをその都度設計している。
より好適な通信環境が得られるよう、アンテナが筐体外部で伸縮自在になっているロッドアンテナを備える携帯電話機もあるが、デザイン性やアンテナが筐体外部に露出する構造に伴う耐久性の低下等を鑑みて、近年では、内蔵アンテナを用いるのが主流となっている。
【0003】
また、特許文献1では、アンテナエレメントとして給電される導電体のパッチにおける接地箇所を変更することでアンテナ性能を調整できる平面アンテナが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−22024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、新たな携帯電話機を設計する都度、その携帯電話機に適した無線性能が得られるアンテナを設計することは開発の負担が増加する、つまり開発に時間がかかるという問題がある。
また、上記特許文献1に示す接地箇所の変更技術だけでは、ロッドアンテナのようにアンテナ長の変更が行えるわけではないため、十分なアンテナ性能の調整を行えないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、適切な無線性能が得られるアンテナ構造体及び当該アンテナ構造体を備えた携帯通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るアンテナ構造体は、第1の導電部材と、前記第1の導電部材と並行する状態で配置された絶縁部材と、前記絶縁部材に設けられた複数の第1の開口と、前記複数の第1の開口のいずれかに一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材及び前記絶縁部材に挟持され、挟持されている第1の開口から露出する部分を有する第2の導電部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る携帯通信端末は、上記アンテナ構造体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
これにより、本発明に係るアンテナ構造体は、適切な無線性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)アンテナ構造体100の斜視図である。(b)アンテナ構造体100を図1(a)とは別方向から見た場合の斜視図である。
【図2】(a)アンテナ構造体100の正面図である。(b)アンテナ構造体100の側面図である。
【図3】アンテナ構造体100の内部構造図である。
【図4】アンテナ構造体100の分解斜視図である。
【図5】(a)アンテナ構造体100を図1(a)のC-C’線で分割した場合の断面図である。(b)アンテナ構造体100を図2(a)のD-D’線で分割した場合の断面図である。
【図6】アンテナ構造体100の製造手法を示す図である。
【図7】(a)アンテナ構造体100を使用する通信機器における基板との接続状態を示す図である。(b)アンテナ構造体100を使用する通信機器において実際に使用される回路構成を示す図である。
【図8】アンテナ構造体100の各種使用形態を示す図である。
【図9】アンテナ構造体100を搭載する携帯電話機1000の外観図である。
【図10】アンテナ構造体100を搭載する携帯電話機1000の外観図である。
【図11】携帯電話機1000の分解斜視図である。
【図12】金属板103の別形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態1>
<構成>
以下、本発明の一実施形態であるアンテナ構造体及びアンテナ構造体を搭載する携帯通信端末について図面を用いて説明する。
まず、アンテナ構造体100の構造を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0012】
図1(a)は、アンテナ構造体100の斜視図であり、図1(b)は、図1(a)とは別の方向から見た場合のアンテナ構造体の斜視図である。また、図2(a)は、図1(a)に示したアンテナ構造体100をA方向から見た場合の正面図であり、図2(b)は、図1(a)に示したアンテナ構造体100をB方向から見た場合の側面図である。図3は、アンテナ構造体100の筐体の外壁面の一部を切り欠いて内部を露出された状態を示すものであって、アンテナ構造体100の内部の状態を示す内部構造図である。図4は、アンテナ構造体100の分解斜視図であり、アンテナ構造体100が第1筐体101と第2筐体102とから構成されていることを示す図である。そして、図5(a)は、アンテナ構造体100を図1(a)に示すC-C’線で切断した場合の断面図であり、図5(b)は、アンテナ構造体100を図2(a)に示すD-D’線で切断した場合の断面図である。
【0013】
図1に示すように、アンテナ構造体100は、第1筐体101と第2筐体102とからなる長方体の筐体を有し、励振端として作用する金属板103を備える。第1筐体101及び第2筐体102は、共に非導電性の樹脂、例えば、強化プラスチックからなる。アンテナ構造体100は、例えば、4mm×35mm×4mm程度の長方体である。
図3に示すように、アンテナ構造体100は、その内部が中空になっており、金属板103は、アンテナ構造体100の外壁面に貼着されるとともに、アンテナ構造体100の一外壁面を貫通して、その内部にまで延伸されている。
【0014】
図3に示すように、アンテナ構造体100の内部部分で、金属板103には、複数の円形の開口部107が直列に設けられている。また、図3及び図4に示すように、第2筐体102にも複数の円形の開口部106が設けられている。そして、金属板103の開口部107と、第2筐体102の開口部106とは互いに1対1に対向するように構成されている。
【0015】
図3や図5に示すように、アンテナ構造体100は、金属板103のいずれかの開口部107(図3では、開口部107a)と、それに対向する第2筐体102の開口部106(図3では、開口部106a)とで挟み込まれる金属球104を備える。金属球104の直径は2mm程度である。
金属球104は、開口部106と開口部107とで、挟み込まれて固定される必要があるため、開口部106及び開口部107のそれぞれは、金属球104の半径よりも短い半径を有する円形となっている。また、金属球104は、金属板103と同じ材質の部材、例えば、リン青銅からなる。金属板103と金属球104とを同じ材質にすることにより、金属板103と金属球104との間の信号伝達を大きなロスなく行うことができる。
【0016】
図3に示すように金属板103のアンテナ構造体100内にある端部は、金属板103の短尺方向に一部延伸され、溝部108に嵌め込まれて固定される。金属板103は、金属球104の配置箇所(例えば、アンテナ構造体100の両端部側の開口部部分)によっては、中央付近の開口部に金属球104を配した場合に比して挟み込みにくくなることも考えられるため、金属板103は、弾力性のある金属、例えば、リン青銅からなる。これにより、金属板103は多少の撓みを許容することとなり、金属球104を両端部側の開口部で挟み込み易くなるとともに、その弾力性により、金属板103は、第2筐体102側に金属球104を押さえ込むことができる。また、図3に示されるように更に金属球104を挟み込み易くするために、金属板103を嵌め込む溝部108には、若干の遊びが設けられている。なお、図3には図示していないが、溝部108は当然に反対側の壁面にも設けられている。
【0017】
第2筐体102の開口部106の各々には、金属板103に対向する側に、金属球104を容易に横滑りさせないための、リブ105が設けられている。リブ105は、例えば、ゴム性のリングを開口部106に接着して形成することとしてもよいし、第2筐体102の一部として樹脂で形成することとしてもよい。
金属球104は、金属板103の開口部107で押さえ込まれることにより、図2や図5などに示すように、その一部がアンテナ構造体100の外部に露出する構造となっている。そして、当該露出部分と、回路基板に設けられた通信回路(電源ユニット)と接続されている金属パッドと接触させることで、金属球104は、アンテナ構造体100の給電点として作用する。
【0018】
図4に示すように、第2筐体102は、第1筐体101から着脱自在な部材であり、第1筐体101を台部とすれば、蓋部として作用する。即ち、アンテナ構造体100の筐体は、第1筐体101と第2筐体102との2つで一つの長方体の筐体を形成するものである。第1筐体101の側面には、溝が設けられており、当該溝に、第2筐体102の爪が係合することにより、第2筐体102は第1筐体101に固定された状態が維持される。当該構成により、金属球104の配置位置の変更が容易となっており、アンテナ長の調整の容易さにつながる。
【0019】
アンテナ構造体100の製造方法について簡単に説明すると、アンテナ構造体100は、図6に示すようにして形成される。図6(a)から図6(b)に示すように、スリットを設けた第1筐体101に、係合部103aが溝部108に係合するまで、複数の開口部を直列に設けた金属板103を挿入する。そして、図6(b)から図6(c)に示すように、金属板103が第1筐体101の壁面を貫通して、スリット109から突出した部分から折り曲げて、アンテナ構造体100の外壁面に金属板103を貼着する。そして、図6(c)に示すように、壁面110を溶接してアンテナ構造体100が形成される。なお、ここで、図6(a)及び図6(b)では、その内部を見易くするために、外壁面の一部を切り欠いた状態を示しており、また、第1筐体101と第2筐体102とが接続されている状態を示している。
<アンテナ構造体100の金属球の配置位置の決定方法>
アンテナ構造体100の金属球の配置位置を決定する方法を、図7を用いて説明する。
【0020】
アンテナ構造体100における金属球の配置位置を決定するに当たり、アンテナ構造体100を搭載する機器の基板に図7(a)に示す構成を形成する。即ち、各開口部に対向するように金属パッド111が位置し、各金属パッド111には、グランド層に接地されている配線と、通信回路(図では、電力も電源ユニットから供給されることを鑑みて交流電源の回路記号で図示している)に接続されている配線とが接続された構成の基板を用意する。そして、アンテナ構造体100を使用する機器の当該基板とアンテナ構造体100とは、金属パッド111と金属球104の露出している部分とが接触するように構成する。
【0021】
そして、各開口部で金属球104を挟み込んだ場合それぞれの電波を受信しての受信電界強度や、通信回路からアンテナ構造体100を通して電波を送信させた際に発生する磁界強度等を実際に測定し、好適な送受信性能が得られる位置を金属球の配置位置として決定する。
金属球の配置位置が定まった場合には、それ以外の金属パッドは必要なくなるので、製品として用いる通信機器には、図7(b)に示すように、金属球が配される位置にのみ金属パッドが対抗するように構成された基板を用いることとなる。なお、図7において各金属パッド111の下に示す四角はジャンパである。
<アンテナ構造体100の各種のアンテナとしての利用方法>
図8にアンテナ構造体100が採りうる様々なアンテナ形状の例を示す。
【0022】
図8(a)は、金属球を側壁110に近い開口部106及び開口部107で挟み込んだ場合を示しており、この場合、金属板の、金属球との接点から外部に延伸されている部分までが励振端となり、アンテナ構造体100は、モノポールアンテナとして作用する。
図8(b)は、金属球を2つ使用し、1つの金属球を1組の対向する開口部106と開口部107とで挟み込み、他の金属球を他の対向する開口部106と開口部107とで挟み込む構成としたアンテナ構造体100を示している。そして、一方の金属球が接触する金属パッド111aを給電点として用い、他方の金属パッド111bを接地する。この場合、アンテナ構造体100は、逆F型アンテナとして作用する。
【0023】
図8(c)は、金属板103のスリットに近いほうの開口部107とその対向する開口部106で金属球を挟み込んだアンテナ構造体100の構成を示している。この場合金属板103は、金属球104で2分する形状となり、金属球と接する部分から、溝部108側までで形成される第1アンテナと、その反対側の端部までで形成される第2アンテナとからなる分岐アンテナとして作用する。
【0024】
なお、図8に示したもの以外にも、スリット109に近接している開口部で1つの金属球を挟み込み、溝部108に近接している開口部で別の金属球を挟み込み、両金属球が接触する金属パッドを基板上で電気的に接続するとともに、通信回路に接続すれば、アンテナ構造体100をループアンテナとして機能させることもできる。
<アンテナ構造体100の実際の使用形態>
ここから、アンテナ構造体100の一使用形態として、通信機器に搭載する例を説明する。
【0025】
アンテナ構造体100は小型の携帯通信機器、例えば、図9に示すような携帯電話機1000に搭載される。
図9及び図10は、携帯電話機1000の外観図である。図9及び図10に示されるように、携帯電話機1000は、第1筐体1001と第2筐体1002とがヒンジ部1005を介して接続された横開きする折畳み型携帯電話機である。
【0026】
図9に示すように、第1筐体1001の一主面には、表示画面2001とタッチパネル2002とが配されており、携帯電話機1000は、タッチパネル2002を介したユーザからの入力を受け付ける構成になっている。また、第1筐体1001の裏面には、図10に示すように、表示画面2100が配されている。第2筐体1002には、ハードキー(例えば、QWERTYキー)2200が配されており、ユーザからの入力を受け付ける。
【0027】
このような携帯電話機1000において、図11に示すように、アンテナ構造体1000は、通信回路を搭載している基板が配される側の筐体である第2筐体1002に内蔵される。
第2筐体1002は、図11に示すように、カバー1002aとカバー1002bとからなり、その内部に基板1200とアンテナ構造体100を備える。図に示すように、アンテナ構造体100から露出した金属球104は、基板1200の金属パッド(図面には図示していないが、図面に見えている基板1200の裏側に設けられている)と接触するように構成されており、その金属パッドは、基板1200上に配されている通信回路に接続されている。金属球104の配置位置は、図7を用いて説明した手法に従って決定される。
【0028】
このように、アンテナ構造体100は、携帯通信端末として、例えば、携帯電話機用の内蔵アンテナとして用いることができる。
<まとめ>
上記実施の形態に示したアンテナ構造体100は、第2筐体(樹脂板)102と金属板103との対向する開口部106と開口部107とで金属球104を挟み込む位置を変更するだけで、アンテナ長を変更することができる。また、金属球の配置位置や、配置個数、給電点として作用させるか、接地点として作用させるかに応じて、各種の様々な形態のアンテナ(例えば、モノポールアンテナや、逆F型アンテナ等)を実現できる。従って、適宜、使用する機器に応じて、適切な位置で金属球104を挟み込めば所望の無線性能を有するアンテナを得ることができる。
<補足1>
上記実施の形態において、本発明を説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限られないことは勿論である。以下、上記実施の形態以外に本発明の思想として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態に示したアンテナ構造体100は長方体状の筐体であるとして説明したが、アンテナ構造体100は複数の円形の開口部が直列に設けられた樹脂板が筐体の一壁面に形成され、複数の円形の開口部が直列に設けられた金属板とが、互いに対向し、かつ、金属球を挟み込む構成を有するのであれば、長方体以外の形状の筐体であってもよい。
(2)上記実施の形態に示した携帯電話機1000は一例であり、携帯電話機1000は、アンテナ構造体100を搭載し、当該アンテナ構造体100を用いて通信を行う構成になっていればよく、その他の形状の携帯電話機、例えば、ストレートタイプ、縦開き型の折畳み型携帯電話機、スライド型携帯電話機、サイクロイド型携帯電話機などであってもよい。
【0029】
また、携帯電話機以外の通信機器、例えば、PDA等に搭載して通信を実行することとしてもよい。
(3)上記実施の形態においては、開口部106、107は円形であるとして説明したが、これは金属球104がその固定位置が振動等により変更されない程度に保持できるものであれば正円である必要はなく、楕円であってもよい。また、開口部の形状としては金属球104を通さない程度の大きさでかつ、金属球104が横滑りしないような形状であれば別の形状であってもよく、例えば、長方形や正八角形などの多角形の開口であってもよい。
【0030】
但し、金属球104の保持しやすさや、横滑りの防止のしやすさを鑑みれば、開口部は正円形であるのが望ましい。
(4)上記実施の形態においては、金属板103は、直線状の板として説明したが、これは、アンテナ長を調整するために、他の形状になってもよい。また、金属板103は、複数の外壁面に跨る構造となっていてもよい。例えば、金属板103に代えて、板形状ではなく、アンテナ構造体100の長手方向に沿って湾曲する少なくとも1以上の湾曲部分を有する形状の部材などその他の形状であってもよい。金属板103に代わる部材が、このような湾曲部分を有する形状の部材であれば、アンテナ構造体100の短手方向の折り曲がり力に対する耐久性が向上する。また、例えば、図12(a)に示す金属板103aのように、フック状にして、別の面に沿わせることで、金属板103よりもアンテナ長を長くした形状や、図12(b)に示す金属板103bのように、別の面に沿わせて波型のような金属板103aよりもアンテナ長を長くした形状にしてもよい。また、図12では、金属板103は、2面にのみ形成しているが、3面を用いてもよい。
(5)上記実施の形態においては、第2筐体102は、第1筐体101から着脱自在であるとして説明したが、これは、一部のみが着脱可能な箱の蓋のような構造、即ち、第2筐体102の一辺が第1筐体101の一辺に接続されているように形成されることとしてもよい。
【0031】
また、第2筐体102は、図4等に示されるような形状に限定されるものではなく、例えば、アンテナ構造体100の長手方向に沿って湾曲する少なくとも1以上の湾曲部分を有する形状の部材などその他の形状であってもよい。第2筐体102が、このような湾曲部分を有する形状の部材であれば、アンテナ構造体100の短手方向の折り曲がり力に対する耐久性が向上する。
(6)上記実施の形態における第2筐体102の開口部106と、金属板103の開口部107とは、共に、金属球104を通さない程度の大きさしか有さないものであればよく、その半径が一致している必要はない。
(7)上記実施の形態において、金属板103は、アンテナ構造体100の外壁面に貼着することとしたが、金属板103を固定できるのであれば、必ずしも貼着する必要はなく、例えば、金属板103の外壁面側の端部に爪を設け、その爪をアンテナ構造体100の外壁面に溝を設けて、当該溝に爪を噛み合わせる形で固定することとしてもよい。
(8)上記実施の形態において、金属板103は、導電性を有する部材であればよく、金属以外の導体であってもよい。
(9)上記実施の形態において、第2筐体102は、樹脂であるとしたが、第2筐体102は、絶縁性の部材であればよく、例えば、ゴムや磁器等からなることとしてもよい。
(10)上記実施の形態における金属球104は、第2筐体102の開口部106から露出し、当該開口と金属板103とで挟持された状態が維持できる形状であり導電性の部材であれば、球である必要はなく、立法体や楕円球、三角錐などであってもよい。その際、開口部106や開口部107は、円形以外でもそのときの形状に応じた開口形状を備えることとしてもよい。
(11)上記実施の形態において、金属球104は、第2筐体102の開口部106と、金属板103の開口部107とで挟持される構成にしたが、第2筐体102の開口部106に金属球104を嵌め込み、その上から金属板103で押さえ込むことで金属球104を保持できるのであれば、金属板103には開口部107を設けない構成としてもよい。
(12)上記実施の形態において、複数の開口部106及び開口部107は、直列状に設けられることとしたが、金属球104の金属板103への接触点が異なることにより金属板103のアンテナ長が変更できるのであれば、直列状に設けずともよい。
(13)上記実施の形態において示したアンテナ構造体100の寸法及び勤続球104の寸法は一例であり、使用する通信機器内に収まる寸法であればその他の寸法であってもよい。
(14)上記実施の形態及び<補足1>に示す各種の変形例を組み合わせることとしてもよい。
<補足2>
以下、本発明の一実施形態としての携帯通信端末の構成及びその変形例と効果について説明する。
(a)本発明の一実施形態に係るアンテナ構造体は、第1の導電部材(103)と、前記第1の導電部材と並行する状態で配置された絶縁部材(102)と、前記絶縁部材に設けられた複数の第1の開口(106)と、前記複数の第1の開口のいずれかに一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材及び前記絶縁部材に挟持され、挟持されている第1の開口から露出する部分を有する第2の導電部材(104)とを備えることを特徴とする。
【0032】
当該アンテナ構造体は、第2の導電部材の第1の開口から露出する部分を給電点とし、第1の導電部材を励振端として作用させることで、アンテナとして機能させることができる。
この構成により、第2の導電部材の配置位置、即ち、第1の導電部材と絶縁部材の第1の開口とで挟んで固定される位置を変更するだけで、アンテナ長を変更することができるので、新たなアンテナ構造体を設計せずとも適切な無線性能が得られる。また、アンテナ構造体は、接地箇所のみならず給電箇所の変更も行えるので、より自由度の高いアンテナ性能の調整を行うことができる。
(b)また、上記アンテナ構造体において、前記第1の導電部材は、前記複数の第1の開口と対向する複数の第2の開口(107)を備え、前記第2の導電部材は、対向する第1の開口と第2の開口のうちいずれか一組にその一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材と前記絶縁部材とに挟持されることとしてもよい。
【0033】
これにより、第1の導電部材に設けられた第2の開口で、第2の導電部材を更に挟持しやすくなる。
(c)また、上記アンテナ構造体において、前記アンテナ構造体は、長方体状の筐体を有し、前記筐体は、前記筐体の短手方向に2分される、台部(101)と、前記台部に着脱自在な蓋部(102)とからなり、前記絶縁部材は、前記蓋部の一部であり、前記第1の導電部材は長尺状の板体であり、前記筐体内部に配され、その長手方向における一端が前記台部の長手方向における一端に保持され、前記台部の他端に前記第1の導電部材の他端側が保持されることとしてもよい。
【0034】
これにより、絶縁部材を、アンテナ構造体を構成する筐体の一部として構成することができるので、アンテナ構造体の作成が簡素化する。
(d)また、上記アンテナ構造体において、前記第1の導電部材の一端が前記台部の壁面を貫通させて延伸され、前記第1の導電部材の延伸された部分が前記筐体外部に沿って折曲されていることとしてもよい。
【0035】
これにより、アンテナ構造体外部に第1の導電部材が露出することになるので、電波を送受信しやすくなると共に、外部に延伸されている部分の第1の導電部材の長さを調整すれば、アンテナ長を調整することも可能となる。
(e)また、上記アンテナ構造体において、前記第1の導電部材は、弾力性のある金属からなることとしてもよい。
【0036】
これにより、第1の導電部材として弾力性のある金属を用いることにより、第2の導電部材を挟み込みやすくすると共に、当該弾力性により、第2の導電部材を開口部に押さえ込んで、第2の導電部材が横滑りしたりしないようにすることができる。
(f)また、上記アンテナ構造体において、前記第2の導電部材は、前記第1の導電部材と同じ金属材料からなることとしてもよい。
【0037】
これにより、第2の導電部材から第1の導電部材への信号の伝達のしやすさ、第1の導電部材から第2の導電部材への信号の伝達のしやすさを増すことができる。
(g)また、上記アンテナ構造体において、前記絶縁部材の開口それぞれには、前記第1の導電部材に対向する側に、前記第2の導電部材を保持するリブが設けられていることとしてもよい。
【0038】
これにより、第2の導電部材が意図せずに横滑りして別の開口に移ることを防ぐことができる。
(h)また、上記アンテナ構造体において、前記第2の導電部材は、球体であり、前記第1の開口は円形であることとしてもよい。
第2の導電部材を球とし、第1の開口を円形とすることにより、第2の導電部材の挟持しやすさを増すことができる。
(i)また、上記アンテナ構造体において、前記複数の第1の開口は前記絶縁部材に列設されていることとしてもよい。
【0039】
第1の開口が列状に設けられることにより、アンテナ長の長短が分かりやすくなるため、アンテナ長の調整がしやすくなる。
(j)また、本発明に係る携帯通信端末は、上記アンテナ構造体を備えることを特徴とする。
また、上記携帯通信端末において、前記携帯通信端末は、その筐体内に基板を備え、前記基板は、前記第2の導電部材に接触する金属パッドを備え、前記金属パッドは、通信回路に接続されていることとしてもよい。
【0040】
これにより、アンテナ長が可変なアンテナ構造体を用いた携帯通信端末を構成することができ、携帯通信端末ごとにアンテナ構造体を設計する必要がなくなる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係るアンテナ構造体は、可変長のアンテナを有する内蔵型のアンテナ構造体であって、通信機器のアンテナ設計の開発コストの軽減に貢献する。
【符号の説明】
【0042】
100 アンテナ構造体
101 第1筐体(台部)
102 第2筐体(絶縁部材、蓋部)
103 金属板(第1の導電部材)
103a 係合部
104 金属球(第2の導電部材)
105、105a リブ
106、106a 開口部(第1の開口)
107、107a 開口部(第2の開口)
108 溝部
109 スリット
110 側壁
111 金属パッド
112 通信回路
1000 携帯通信端末
1001 第1筐体
1002 第2筐体
1002a、1002b カバー
1005 ヒンジ
2001 表示画面
2002 タッチパネル
2100 表示画面
2200 ハードキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電部材と、
前記第1の導電部材と並行する状態で配置された絶縁部材と、
前記絶縁部材に設けられた複数の第1の開口と、
前記複数の第1の開口のいずれかに一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材及び前記絶縁部材に挟持され、挟持されている第1の開口から露出する部分を有する第2の導電部材と、
を備えることを特徴とするアンテナ構造体。
【請求項2】
前記第1の導電部材は、前記複数の第1の開口と対向する複数の第2の開口を備え、
前記第2の導電部材は、対向する第1の開口と第2の開口のうちいずれか一組にその一部が嵌まり込む状態で前記第1の導電部材と前記絶縁部材とに挟持される
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項3】
前記アンテナ構造体は、長方体状の筐体を有し、
前記筐体は、前記筐体の短手方向に2分される、台部と、前記台部に着脱自在な蓋部とからなり、
前記絶縁部材は、前記蓋部の一部であり、
前記第1の導電部材は長尺状の板体であり、前記筐体内部に配され、その長手方向における一端が前記台部の長手方向における一端に保持され、前記台部の他端に前記第1の導電部材の他端側が保持される
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項4】
前記第1の導電部材の一端が前記台部の壁面を貫通させて延伸され、前記第1の導電部材の延伸された部分が前記筐体外部に沿って折曲されている
ことを特徴とする請求項3記載のアンテナ構造体。
【請求項5】
前記第1の導電部材は、弾力性のある金属からなる
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項6】
前記第2の導電部材は、前記第1の導電部材と同じ金属材料からなる
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項7】
前記絶縁部材の開口それぞれには、前記第1の導電部材に対向する側に、前記第2の導電部材を保持するリブが設けられている
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項8】
前記第2の導電部材は、球体であり、
前記第1の開口は円形である
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項9】
前記複数の第1の開口は前記絶縁部材に列設されている
ことを特徴とする請求項1記載のアンテナ構造体。
【請求項10】
請求項1〜9記載の何れか1項に記載されたアンテナ構造体を備えた携帯通信端末。
【請求項11】
前記携帯通信端末は、その筐体内に基板を備え、
前記基板は、前記第2の導電部材に接触する金属パッドを備え、
前記金属パッドは、通信回路に接続されている
ことを特徴とする請求項10記載の携帯通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−114832(P2012−114832A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264043(P2010−264043)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】