説明

アンテナ用チルト金具

【課題】所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定し、さらには部品点数をなるべく減少させる。
【解決手段】電柱等の支柱7に取り付けられる基部金具1と、基部金具1に取付けられると共に、アンテナ3が固定される調整部金具2とを上下2箇所それぞれに上側金具Uおよび下側金具Dとして配置する。調整部金具2には、下側金具Dとして使用した際、上側金具Uの角度設定ボルト孔を中心として取付け間隔を半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列と、上側金具Uとして使用した際、下側金具Dの角度設定ボルト孔を中心として取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列とを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セクタアンテナ等のアンテナの仰角を調整して支柱に取付けるアンテナ用チルト金具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、アンテナ支持体の上部と下部に所定の間隔をあけて下部支持部材及び上部支持部材を取付け、下部支持部材には回動支持機構を設けて、アンテナの下部側を回動可能に支持する一方、上部支持部材には仰角調整機構を設け、アンテナ上部を支持し、アンテナの仰角を調整するようにしたアンテナ用チルト金具がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−223106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記アンテナ用チルト金具では、仰角調整機構が無段階で仰角を調整するため、所定角度毎の仰角を設定する場合には、精度が劣る、という課題があった。
【0005】
また、上記アンテナ用チルト金具では、上側金具および下側金具として異なる機構、すなわち下側金具として回動支持機構、上側金具として仰角調整機構を設ける必要があるため、部品点数が増える、という課題もあった。
【0006】
そこで、本発明は、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができ、さらには部品点数をなるべく減少させることができる、アンテナ用チルト金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明のアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱における所定間隔を空けた上下2箇所の少なくとも一方に上側金具または下側金具として設けられ、前記支柱に対しアンテナの仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具であって、調整部金具と、基部金具と、からなり、前記調整部金具には、前記下側金具として使用した際、前記上側金具の回転中心を中心とした前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記下側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列が形成されていると共に、前記上側金具として使用した際、前記下側金具の回転中心を中心として前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記上側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列が形成されている一方、前記基部金具には、前記調整部金具の前記下側金具用角度設定ボルト孔列および前記上側金具用角度設定ボルト孔列にボルトにより連結される連結ボルト孔が形成されている、アンテナ用チルト金具である。
ここで、前記基部金具と、前記調整部金具と、の2組を、上側金具および下側金具として使用するようにしても良い。
また、前記下側金具用角度設定ボルト孔列と、前記上側金具用角度設定ボルト孔列とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔は共通とし、それぞれの所定角度毎の複数の角度設定ボルト孔は一体で形成されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明のアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱における所定間隔を空けた上下2箇所の少なくとも一方に上側金具または下側金具として設けられ、前記支柱に対しアンテナの仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具であって、調整部金具と、基部金具と、からなり、前記調整部金具には、前記下側金具として使用した際、前記上側金具の回転中心を中心とした前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記下側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列が形成されていると共に、前記上側金具として使用した際、前記下側金具の回転中心を中心として前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記上側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列が形成されている一方、前記基部金具には、前記調整部金具の前記下側金具用角度設定ボルト孔列および前記上側金具用角度設定ボルト孔列にボルトにより連結される連結ボルト孔が形成されているので、上側金具としても、下側金具としても上下逆にせずにそのまま使用することができ、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができる。
特に、前記基部金具と、前記調整部金具と、の2組を、上側金具および下側金具として使用するようにした場合、同一のアンテナ用チルト金具を上下に使用することができ、部品点数が増えず、かつ、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができる。
また、前記下側金具用角度設定ボルト孔列と、前記上側金具用角度設定ボルト孔列とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔は共通とし、それぞれの所定角度毎の複数の角度設定ボルト孔は一体で形成するようにした場合、基部金具および調整部金具の高さを抑えることができ、全体として、基部金具および調整部金具を小型化することができると共に、軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)〜(c)それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態の使用態様の一例を示す全体図である。
【図2】実施形態の1組のアンテナ用チルト金具を構成する基部金具1の一例を示している。
【図3】実施形態の1組のアンテナ用チルト金具を構成する調整部金具の一例を示している。
【図4】基部金具と調整部金具とからなるアンテナ用チルト金具を上側金具として使用している基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図5】基部金具と調整部金具とからなるアンテナ用チルト金具を下側金具として使用している基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図6】実施形態の1組のアンテナ用チルト金具を下側金具として使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図7】実施形態の1組のアンテナ用チルト金具を上側金具として使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具と調整部金具の連結状態を示す図である。
【図8】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列の他の例を示す側面図である。
【図9】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列のさらに他の例を示す側面図である。
【図10】調整部金具の側面に形成した下側金具用角度設定ボルト孔列と上側金具用角度設定ボルト孔列のさらに他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかるアンテナ用チルト金具の実施形態について説明する。なお、本実施形態では、本発明にかかる同一のアンテナ用チルト金具を2組利用し、上側金具Uおよび下側金具Dとして使用する場合について説明するが、本発明では、これに限らず、本発明にかかるアンテナ用チルト金具を、上側金具Uまたは下側金具Dのいずれか一方として使用し、それぞれ対応する下側金具Dまたは上側金具Uとして、本発明にかかるアンテナ用チルト金具ではなく、別の金具を使用してもよい。
【0011】
図1(a)〜(c)は、それぞれ、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態の使用態様の一例を示す全体図である。
【0012】
図1(a)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態を使用し、支柱に対し−5度の仰角を設定した状態を示す図、図1(b)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態を使用し、0度の仰角を設定した状態を示す図、図1(c)は、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態を使用し、支柱に対し+5度の仰角を設定した状態を示す図である。
【0013】
つまり、図1(a)〜(c)に示すように、本発明のアンテナ用チルト金具の実施形態は、アンテナ3を電柱等の支柱7に所定間隔を空けた上下2箇所で支持し、かつ、支柱7に対するアンテナ3の仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具である。
【0014】
このアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱7に取り付けられる基部金具1と、基部金具1に取り付けられると共に、アンテナ3が固定される調整部金具22とからなるアンテナ用チルト金具を2組、上下2箇所それぞれに上側金具Uおよび下側金具Dとして配置し、アンテナ3を支柱7に対し所定の角度毎に設定して取り付けている。
【0015】
ここで、本実施形態では、支柱7に対するアンテナ3の仰角は、図1(a)〜(c)に示すように、最大−5度〜+5度まで、1度毎、すなわち1度刻みで角度を設定可能である。ただし、これは一例であり、最大−5度〜+5度でなく、最大−10度〜+10度でも、1度刻みでなく、0.5度刻み、2度刻みでも勿論よい。
【0016】
また、本実施形態では、アンテナ3は、例えば、セクタアンテナ等の棒状のアンテナを対象にしているが、これに限定されるものではない。
【0017】
なお、本発明および本実施例では、基部金具1および調整部金具2からなる同一のアンテナ用チルト金具1を2組用いているので、以後の説明では、1組のアンテナ用チルト金具1を構成する基部金具1および調整部金具2にて説明する。
【0018】
図2は、1組のアンテナ用チルト金具を構成する基部金具1の一例を示している。
【0019】
具体的には、図2(a)は基部金具1の外観を示す斜視図、同(b)は、基部金具1を上から見た平面図、同(c)は、基部金具1を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(d)は、基部金具1を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、基部金具1を右側面(図上下方)から見た右側面図と、基部金具1を前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図2(c),(d)と同じであるので、省略する。
【0020】
図2から明らかなように、基部金具1は、断面コ字状の金具であり、底面11と、両側面22a,22bとを有している。
【0021】
基部金具1の底面11には、図2(a),(b)に示すように、支柱7側の取付金具に任意の方位角で取り付けるため、支柱7側の金具先端とボルト締めされる回転中心孔111と、回転中心孔111を中心とする所定半径上に支柱7に対する方位角を、例えば、20度ずつ調整するための方位角調整孔112a〜112gが7個形成されている。なお、方位角調整孔112a〜112gの20度刻みや、7個はあくまで一例である。
【0022】
また、基部金具1の底面11には、図2(a),(b)に示すように、後述する脱落防止ボルト321が挿通される脱落防止用大長孔113が形成されている。
【0023】
また、基部金具1の両側面22a,22bには、図2(a),(c)に示すように、調整部金具2とボルトにより連結するための連結ボルト孔12a1,12b1が形成されている。なお、この角度設定ボルト孔12a1,12b1は、後述すように、基部金具1が下側金具Dとして使用した際、および上側金具Uとして使用した際も、角度設定ボルト孔12a1,12b1が回転中心となる。なお、調整部金具2と連結するためのボルトは、ネジ溝が切られていないピン等でもあっても良い。
【0024】
図3は、1組のアンテナ用チルト金具1を構成する調整部金具2の一例を示している。
【0025】
具体的には、図3(a)は調整部金具2の外観を示す斜視図、同(b)は、調整部金具2を上から見た平面図、同(c)は、調整部金具2を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(d)は、調整部金具2を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、調整部金具2を右側面(図上下方)から見た右側面図と、調整部金具2を前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図3(c),(d)と同じであるので、省略する。
【0026】
図3から明らかなように、調整部金具2は、基部金具1と同様に、断面コ字状の金具であり、底面21と、両側面22a,22bとを有している。
【0027】
調整部金具2の底面21には、図3(a),(b)に示すように、基部金具1の脱落防止用大長孔113と出合い、脱落防止ボルトが挿通される脱落防止用小長孔211と、重量を軽くするための開口部212が形成されている。なお、開口部212は、省略しても良いし、複数設けるようにしても、長方形状でなくても良い。
【0028】
また、調整部金具2の両側面22a,22bの後端には、図3(a),(c)に示すように、アンテナ3側に設けられたアンテナ側金具31と連結するためのアンテナ側連結ボルト孔22a1,22a2、22b1,22b2が2個ずつ上下に形成されている。
【0029】
そして、調整部金具2の両側面22a,22bの先端から中央には、図3(a),(c)に示すように、図1に示すように、下側金具Dとして使用した際、上側金具Uとして使用している基部金具1の角度設定ボルト孔12a1,12b1を中心として、下側金具Dと上側金具Uとの間の取付け間隔(ここでは、例えば1680mmとする。)をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、下側金具D用の複数の角度設定ボルト孔を1度ずつずらして5度まで並べて下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10を形成している一方、上側金具Uとして使用した際、下側金具Aとして使用している基部金具1の角度設定ボルト孔12a1,12b1を中心として、上記取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、上側金具U用の複数の角度設定ボルト孔を1度ずつずらして5度まで並べた上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20が形成されている。
【0030】
ただし、本実施形態の場合、図3(a),(c)に示すように(ここでは、右側面22bのみ図示しているが、左側面22aも同様である。)、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は共通としているので、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、重なって、すなわち繋がって一体で形成された複数の角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8より構成されている。
【0031】
つまり、本実施形態では、調整部金具2の右側面12bには、図3(a),(c)に示すように、下側金具用角度設定ボルト孔列22b10および上側金具用角度設定ボルト孔列22b20の双方として機能する±5度調整用の複数の角度設定ボルト孔22b3〜22b8が形成されている一方、左側面12aには、図3(a)に示すように、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10および上側金具用角度設定ボルト孔列22a20の双方として機能する±5度調整用の複数の角度設定ボルト孔22a3〜22a8が形成されている。
【0032】
このため。これら角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8は、図(a),(c)から明らかなように、0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は、ほぼ真円だが、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10および上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20の双方として機能するため、±1度、±2度、±3度、±4度、±5度と1度ずつ増減していく毎に、角度設定ボルト孔22b4〜22b8、22a4〜22a8は、図上、上下に拡がった形状になっている。
【0033】
図4(a)〜(c)は、基部金具1と調整部金具2とからなるアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用している基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0034】
具体的には、図4(a)は、基部金具1と調整部金具2の連結状態を上から見た平面図、同(b)は、その連結状態を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(c)は、その連結状態を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、その連結状態を右側面(図上下方)から見た右側面図と、前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図4(b),(c)と同じであるので、省略する。
【0035】
ここで、基部金具1と調整部金具2との連結は、連結ボルト32a3,32b3により行われている一方、調整部金具2とアンテナ側金具31(図1参照)との接続は、連結ボルト32a1,32a2,32b1,32b2により行っている。
【0036】
そして、基部金具1と調整部金具2とを上側金具Uとして使用する場合、アンテナ3の脱落を防止する脱落防止ボルト321を取り付けている。ここで、脱落防止ボルト321は、図4(b),(c)に示すように、基部金具1と調整部金具2とを完全に締め付けないで、上下に余裕を持たせている。
【0037】
図5(a)〜(c)は、基部金具1と調整部金具2とからなるアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用している基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0038】
具体的には、図5(a)は、基部金具1と調整部金具2の連結状態を上から見た平面図、同(b)は、その連結状態を左側面(図上上方)から見た左側面図、同(c)は、その連結状態を後方(図上右方向)から見た後面図である。なお、その連結状態を右側面(図上下方)から見た右側面図と、前方(図上左方向)から見た前面図は、それぞれ、図5(b),(c)と同じであるので、省略する。
【0039】
ここで、基部金具1と調整部金具2との連結は、図4に示す上側金具Uとして使用する場合とほぼ同様であるが、下側金具Dとして使用する場合には、脱落防止ボルト321を省略している。勿論、下側金具Dとして使用する場合にも、脱落防止ボルト321を使用しても勿論よい。
【0040】
図6は、図1(a)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0041】
具体的には、図6(a)は−1度で角度設定ボルト孔22b4を使用しており、図6(b)は−2度で角度設定ボルト孔22b5を使用し、図6(c)は−3度で角度設定ボルト孔22b6を使用し、図6(d)は−4度で角度設定ボルト孔22b7を使用し、図6(e)は−5度で角度設定ボルト孔22b8を使用することにより、−1度〜―5度の1度刻みの仰角を設定している。
【0042】
つまり、図1(a)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を下側金具Dとして使用する場合、図6に示すように、角度設定ボルト孔22b3〜22b8の上側を利用した下側金具用角度設定ボルト孔列22b10を使用することになる。
【0043】
図7は、図1(c)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用した際に仰角を所定角度に設定する場合の基部金具1と調整部金具2の連結状態を示す図である。
【0044】
具体的には、図6(a)は+1度で角度設定ボルト孔22b4を使用しており、図6(b)は+2度で角度設定ボルト孔22b5を使用し、図6(c)は+3度で角度設定ボルト孔22b6を使用し、図6(d)は+4度で角度設定ボルト孔22b7を使用し、図6(e)で角度設定ボルト孔22b8を使用することにより、+1度〜+5度の1度刻みの仰角を設定している。
【0045】
つまり、図1(c)に示すように1組のアンテナ用チルト金具を上側金具Uとして使用する場合、図7に示すように、角度設定ボルト孔22b3〜22b8の下側を利用した上側金具用角度設定ボルト孔列22b20を使用することになる。
【0046】
従って、本実施形態のアンテナ用チルト金具は、電柱等の支柱7に取り付けられる基部金具1と、基部金具1に取り付けられると共に、アンテナ3が固定される調整部金具2と、からなるアンテナ用チルト金具を上下2箇所それぞれに上側金具Uおよび下側金具Dとして配置し、基部金具1には、調整部金具2をボルトにより連結するための連結ボルト孔12a1,12b1が形成されている一方、調整部金具2には、下側金具Dとして使用した際、上側金具Uの角度設定ボルト孔を中心として、下側金具Dと上側金具Uとの間の取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、下側金具D用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10が形成されている一方、上側金具Uとして使用した際、下側金具Dの角度設定ボルト孔を中心とし取付け間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、上側金具U用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20が形成されているので、上下2箇所でアンテナ3を支持する場合でも、同一の基部金具1と調整部金具2からなるアンテナ用チルト金具を上側金具Uとしても、下側金具Dとしても上下逆にせずにそのまま使用することができ、部品点数が増えず、かつ、所定角度毎の仰角を簡単かつ精度良く設定することができる。
【0047】
特に、本実施形態では、下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と、上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔22a3,22b3は共通とし、所定角度毎の複数の角度設定ボルト孔は一体にした角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8を形成したので、調整部金具2の側面22a1,22bの高さを抑えることができ、全体として、基部金具1および調整部金具2を小型化することができると共に、軽量化することができる。
【0048】
なお、上記実施形態の説明では、本発明にかかる同一のアンテナ用チルト金具を2組利用し、上側金具Uおよび下側金具Dとして使用する場合について説明したが、本発明では、これに限らず、本発明にかかるアンテナ用チルト金具を、上側金具Uまたは下側金具Dのいずれか一方として使用し、その際、それぞれ対応する下側金具Dまたは上側金具Uとしては、本発明にかかるアンテナ用チルト金具ではなく、別の金具を使用しても勿論よい。
【0049】
また、本実施形態の説明では、アンテナ3側に調整部金具2を設ける一方、支柱7側に基部金具1を設けて説明したが、本発明では、これに限らず、アンテナ3側に基部金具1を設ける一方、支柱7側に調整部金具2を設けるようにしても勿論よい。
【0050】
また、上記実施形態の説明では、図3等に示すように、調整部金具2の側面22a,22bに設ける下側金具用角度設定ボルト孔列22a10,22b10と上側金具用角度設定ボルト孔列22a20,22b20とを一体形成し、調整部金具2の先端に行くほど孔幅が拡がる角度設定ボルト孔22a3〜22a8,22b3〜22b8により説明したが、本発明では、これに限らず、例えば、図8に示す左側面42bのように、調整部金具2の基部に行くほど孔の長さが拡がる角度設定ボルト孔42b3〜42b8や、図9や図10の左側面52b,62bのように、上側角度設定ボルト52b32〜52b83,62b32〜62b83と、下側角度設定ボルト孔52b31〜52b81,62b31〜62b81とを独立して設け、下側金具用角度設定ボルト孔列52b10,62b10、上側金具用角度設定ボルト孔列52b20,62b20を形成するようにしても勿論よい。
【符号の説明】
【0051】
1 基部金具
12a1,12ab1 連結ボルト孔
2 調整部金具
22a3〜22a8,22b3〜22b8 角度設定ボルト孔
22a10,22b10 下側金具用角度設定ボルト孔列
22a20,22b20 上側金具用角度設定ボルト孔列
3 アンテナ
7 支柱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱等の支柱における所定間隔を空けた上下2箇所の少なくとも一方に上側金具または下側金具として設けられ、前記支柱に対しアンテナの仰角を所定角度ずつずらし取付けるアンテナ用チルト金具であって、
調整部金具と、基部金具と、からなり、
前記調整部金具には、
前記下側金具として使用した際、前記上側金具の回転中心を中心とした前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記下側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた下側金具用角度設定ボルト孔列が形成されていると共に、前記上側金具として使用した際、前記下側金具の回転中心を中心として前記所定間隔をほぼ半径とする円周上の所定角度ずつずらした位置に、前記上側金具用の複数の角度設定ボルト孔が並べられた上側金具用角度設定ボルト孔列が形成されている一方、
前記基部金具には、
前記調整部金具の前記下側金具用角度設定ボルト孔列および前記上側金具用角度設定ボルト孔列にボルトにより連結される連結ボルト孔が形成されている、アンテナ用チルト金具。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ用チルト金具において、
前記調整部金具と前記基部金具との2組を、上側金具および下側金具として使用する、アンテナ用チルト金具。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のアンテナ用チルト金具において、
前記下側金具用角度設定ボルト孔列と、前記上側金具用角度設定ボルト孔列とは、基準とする0度の角度設定ボルト孔は共通とし、それぞれの所定角度毎の複数の角度設定ボルト孔は一体で形成される、アンテナ用チルト金具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−71618(P2011−71618A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−218939(P2009−218939)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(592157076)イワブチ株式会社 (80)
【Fターム(参考)】