説明

アンテナ装置及び携帯電話機

【課題】省スペースで良好な整合状態が確保できるアンテナ装置及び携帯電話機を提供する。
【解決手段】基板金属2を有する。そして、スロット3が、基板金属2の端部近傍に開口部31を有し、屈曲した形状を有するように、基板金属2に設けられている。また、半島部21は、スロット3の両脇にある基板金属2の2つの領域のいずれかの領域に切込みを有することで形成される、屈曲した帯状である。また、逆Lアンテナ1は、半島部21の先端部近傍に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及び携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの電子機器には、高い指向性利得を得るために逆Lアンテナなどが使用されることが増えてきている。一方、近年の電子機器の薄型化により、アンテナの高さを低くする要請が強くなってきている。このような要請は逆Lアンテナを用いる場合でも同様であり、逆Lアンテナの高さを低くすることが望まれている。
【0003】
従来、電子機器の薄型化の要望にこたえるために、マルチバンド対応のメアンダ状逆Fアンテナとアンテナを設置する基板金属のスロットを組み合わせたアンテナ装置が提案されている。また、基板金属にスロットを設け、スロットの開口部の脇から無給電素子を伸ばし、さらに開口部に給電点を設けることで、薄型で広帯域なアンテナ装置が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2005−531177号公報
【特許文献2】特開2004−128660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、逆Lアンテナの高さを低くしすぎると、特性インピーダンスの整合状態からかけ離れてしまうおそれがある。このような場合、特性インピーダンスの整合を取るために、コイル又はコンデンサなどの整合素子を使うことが考えられる。しかしながら、整合素子を用いた場合、回路規模が大きくなり、電子機器の薄型化や小型化の妨げとなる。
【0006】
この点、メアンダ状逆Fアンテナとスロットを組み合わせた従来技術を用いた場合、アンテナの設置面積を更に小さくすることができない。また、スロットの開口部の脇から無給電素子を伸ばし、さらに開口部に給電点を設けた従来技術も、アンテナの設置面積を更に小さくすることはできない。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、省スペースで良好な整合状態が確保できるアンテナ装置及び携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示するアンテナ装置及び携帯電話機は、一つの態様において、基板を有する。さらに、スロットは、前記基板の端部近傍の縁に開口部を有し、曲がった形状を有するように、前記基板に設けられる。また、導体部は、前記スロットが挟む前記基板の領域に切込みを有する。また、アンテナは、前記半島部の先端部近傍に配置され、前記基板面に対して並行となる。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示するアンテナ装置及び携帯電話機の一つの態様によれば、逆Lアンテナを用いて小型化を図りつつ整合状態が確保できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係るアンテナ装置の分解斜視図である。
【図2】図2は、実施例1と共振周波数及び整合を比較するためのアンテナ装置の分解斜視図である。
【図3】図3は、アンテナ装置10及び実施例1のアンテナ装置の共振周波数を説明するための図である。
【図4】図4は、アンテナ装置10及び実施例1のアンテナ装置のスミスチャートである。
【図5A】図5Aは、実施例1に係るアンテナ装置を内蔵した携帯電話機の概観斜視図である。
【図5B】図5Bは、実施例1に係るアンテナ装置を内蔵した携帯電話機の透視斜視図である。
【図6A】図6Aは、実施例1に係るアンテナ装置の変形例を示す図である。
【図6B】図6Bは、実施例1に係るアンテナ装置の変形例の他の例を示す図である。
【図7A】図7Aは、実施例2に係るアンテナ装置が設けられた基板金属全体の斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのアンテナ装置部分を拡大した図である。
【図8】図8は、実施例2に係るアンテナ装置のスミスチャートである。
【図9】図9は、実施例2に係るアンテナ装置の共振周波数を表す図である。
【図10】図10は、逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の一例の図である。
【図11】図11は、フォールデッド逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の一例の図である。
【図12A】図12Aは、図10及び図11で示すアンテナ装置の共振周波数を示す図である。
【図12B】図12Bは、図10及び図11で示すアンテナ装置のスミスチャートである。
【図13】図13は、逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の他の例の図である。
【図14A】図14Aは、図13及び図11で示すアンテナ装置の共振周波数を示す図である。
【図14B】図14Bは、図13及び図11で示すアンテナ装置のスミスチャートである。
【図15】図15は、実施例2の変形例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図16A】図16Aは、図15のアンテナ装置の共振周波数を表す図である。
【図16B】図16Bは、図15のアンテナ装置のスミスチャートである。
【図17A】図17Aは、実施例3に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図17B】図17Bは、実施例3に係るアンテナ装置の透視斜視図である。
【図18】図18は、スロットを設けないアンテナ装置の図である。
【図19A】図19Aは、アンテナ装置400及びアンテナ装置410の共振周波数を表す図である。
【図19B】図19Bは、アンテナ装置400及びアンテナ装置410のスミスチャートである。
【図20A】図20Aは、実施例3の変形例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図20B】図20Bは、実施例3の変形例に係るアンテナ装置の透視斜視図である。
【図21A】図21Aは、アンテナ装置450の共振周波数を表す図である。
【図21B】図21Bは、アンテナ装置450のスミスチャートである。
【図22】図22は、実施例4に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図23】図23は、スロットL2及びアンテナL1の長さを変化させた場合の共振周波数を示す図である。
【図24】図24は、図23に対応するスミスチャートである。
【図25】図25は、アンテナ長さとスロットの深さと入力インピーダンスとの関係を表す図である。
【図26】図26は、実施例5に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図27】図27は、スロットL3を変化させた場合の共振周波数を表す図である。
【図28】図28は、図27に対応するスミスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示するアンテナ装置及び携帯電話機の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例により本願の開示するアンテナ装置及び携帯電話機が限定されるものではない。
【実施例1】
【0012】
図1は、実施例1に係るアンテナ装置の分解斜視図である。図1に示すように、本実施例に係るアンテナ装置は、逆Lアンテナ1、基板金属2、基板金属2に設けられた切込みであるスロット3及び給電点4を有している。本実施例では、基板金属2は、板状であり表面が長方形の形状を有している。
【0013】
スロット3は、基板金属2の端部近傍に切込みの開始位置である開口部31を有している。さらに、スロット3は、メアンダ状の形状を有している。この開口部31が「切込口」の一例にあたる。
【0014】
基板金属2は、スロット3の両脇部分に領域を有する。そして、基板金属2は、スロット3によって仕切られた領域のうち面積が小さい方の領域である半島部21を有する。この半島部21が「導体部」の一例にあたる。さらに、半島部21は、外延部からの切込22a及び22bが設けられている。これにより、半島部21は、帯状であり、且つメアンダ状の形状となっている。
【0015】
また、半島部21の先端部近傍には、給電点4が設けられている。
【0016】
逆Lアンテナ1は、給電点4に接続され、給電点4を介して基板金属2の半島部の先端部近傍に接続されている。本実施例では、逆Lアンテナの基板金属2からの高さは3mmである。ただし、逆Lアンテナ1のサイズや形状は、自由であり、逆Fアンテナなどであってもよい。
【0017】
距離Pは、基板金属2においてスロット3及び半島部21が占める領域(以下では、「設置領域」と呼ぶ。)の長辺の長さを表しており、本実施例では、距離Pは、17mmである。また、距離Qは、設置領域の短辺の長さを表しており、本実施例では、距離Qは、6mmである。これにたいして、スロット3及び半島部21が直線の場合に、本実施例と同じ共振周波数を有するようにするには、設置領域の長辺の長さを26.4mmにしなければいけない。すなわち、スロット3及び半島部21をメアンダ状にすることで、設置領域の長辺を短くすることができる。このため、設置領域として長い領域を確保する必要がなくなり、アンテナ装置全体をコンパクトにすることができる。
【0018】
図2は、実施例1と共振周波数及び整合を比較するためのアンテナ装置の分解斜視図である。図2のアンテナ装置10は、実施例1と同じ形状のスロット3を有し、且つ半島部21に切込みを設けない構成となっている。なお、アンテナ装置10の共振周波数を実施例1の共振周波数と合わせるための微調整はしていないので、その他の値は同じである。
【0019】
図3は、アンテナ装置10及び実施例1のアンテナ装置の共振周波数を説明するための図である。図3は、縦軸を反射係数(リターンロス)、横軸を周波数としている。グラフ101は、各周波数における実施例1のアンテナ装置の反射係数を表している。また、グラフ102は、各周波数におけるアンテナ装置10の反射係数を表している。実施例1のアンテナ装置による共振周波数は、グラフ101のピークであり、2.14GHzとなっている。また、アンテナ装置10の共振周波数は、グラフ102のピークであり、2.348GHzとなっている。例えば、携帯電話機における下りの周波数帯域は、2.11〜2.17GHzなどとされている。そのため、実施例1のアンテナ装置を携帯電話機に用いた場合、アンテナ装置10を用いた場合は共振周波数を低くするためにサイズ拡大が必要となるので、実施例1のアンテナの方がコンパクトになる。
【0020】
また、図4は、アンテナ装置10及び実施例1のアンテナ装置のスミスチャートである。図4におけるグラフ103が実施例1のアンテナ装置の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ104がアンテナ装置10の各周波数における入力インピーダンスを表している。
【0021】
グラフ103における点105が、周波数が2.140GHzのときの入力インピーダンスを表している。そして、点105における入力インピーダンスは、実部の値が48.9Ωであり虚部の値が−0.83Ωである。また、グラフ104における点106が、周波数が2.348GHzのときの入力インピーダンスを表している。そして、点106における入力インピーダンスは、実部の値が63.2Ωであり虚部の値が−5.6Ωである。ここで、整合が最も取れた状態がスミスチャートの中心であり、実部が50Ωであり、虚部が0Ωである。そして、点105の方が、点106よりもより中心に近いことが分かる。すなわち、実施例1のアンテナ装置は、アンテナ装置10に比べて整合がとれている。なお、スミスチャートには定抵抗延があり、それぞれの定抵抗円は右端の部分を共有している。以降の説明で、スミスチャートの外側に移動することはより抵抗(インピーダンスの実部)が小さくなることを意味し、内側に移動することはより抵抗が大きくなることを意味する。逆Lアンテナを高さ一定のままで長くするとスミスチャートでの位置を外側に移動させることができ、スロットを長くするとスミスチャートでの位置を内側に移動させることができる。ここで、実施例1のアンテナ装置はアンテナ装置10に比べて、半島部21の実質的な長さを長く見せることができる。逆Lアンテナ1と半島部21とを加えたものがアンテナの役割を果たすことになるため、半島部21を長くした実施例1のアンテナ装置はアンテナ装置10よりもスミスチャートでの位置は外側に移動する。アンテナ装置10では、スミスチャートでの位置が中心よりも内側にあるので、実施例1のアンテナ装置とすることでスミスチャートでの位置は外側に移動し、整合状態になっている。ここで、アンテナ装置10について、共振周波数を実施例1のアンテナ装置と合わせるには、サイズ拡大が必要となるので、実施例1のアンテナ装置の方がコンパクトになる。
【0022】
このように、単にスロット3をメアンダ状にした場合よりも、半島部21もメアンダ状にした場合の方が、同じ設置領域を有していても共振周波数を低くすることができる。または、同じ共振周波数でもサイズをコンパクトにすることができる。
【0023】
図5Aは、実施例1に係るアンテナ装置を内蔵した携帯電話機の概観斜視図である。また、図5Bは、実施例1に係るアンテナ装置を内蔵した携帯電話機の透視斜視図である。
【0024】
実施例1に係るアンテナ装置は、例えば、図5Aに示すようなスマートフォン100に内蔵される。実施例1に係るアンテナ装置は、スマートフォン100に図5Bのアンテナ装置110に示すように筐体内に内蔵される。スマートフォン100は、図示しない無線通信部や信号処理部を有している。そして、無線通信部は、アンテナ装置110を介して無線信号を受信する。また、無線通信部は、信号処理部から受信した信号をアンテナ装置110を介して送出する。信号処理部は、無線通信部から受信した信号に対して処理を施し、操作者に提供する。また、信号処理部は、操作者から入力されたデータに対して処理を施し、無線通信部へ出力する。
【0025】
ここでは、実施例1に係るアンテナ装置がスマートフォンに内蔵される場合を例に説明しているが、これは他の形状の携帯電話機でもよく、また携帯電話機以外の無線装置でも良い。
【0026】
(変形例)
図6Aは、実施例1に係るアンテナ装置の変形例を示す図である。また、図6Bは、実施例1に係るアンテナ装置の変形例の他の例を示す図である。
【0027】
設置領域の長辺を短くするためには、スロットを曲げればよい。また、半島部を長くするには、半島部も曲がった帯状にすればよい。そこで、実施例1に示したようなメアンダ状のスロット及び半島部だけではなく、他の曲がった形状のスロット及び半島部でもよい。
【0028】
例えば、図6Aの基板金属11のように、スロット及び半島部をらせん状にしてもよい。この場合にも、直線のスロットの場合に比べて、同じ共振周波数で設置領域の長辺を短くすることができる。または、同じ設置領域で整合がとれた状態での共振周波数を低くできる。
【0029】
また、他の例としては、図6Bの基板金属12のように、半島部のみをメアンダ状にしたものでもよい。基板金属12のように、半島部が長くなればアンテナの実質的な長さを長くすることができるため、スロット及び半島部が直線の場合よりも、整合のとれた状態での共振周波数を低くすることができる。
【0030】
以上に説明したように、本実施例及び変形例に係るアンテナ装置及び携帯電話機は、基板金属の端部に開口部を有するスロット及びその先端に逆Lアンテナを有する半島部を曲げた構造を備えている。これにより、基板金属における設置領域をコンパクトにすることができ、アンテナ装置の省スペース化を図ることができる。さらに、アンテナ装置を用いた携帯電話機などの装置の小型化に寄与することができる。また、同じスロットの状態でも、整合のとれた状態で、より共振周波数を低くすることができる。
【実施例2】
【0031】
図7Aは、実施例2に係るアンテナ装置が設けられた基板金属全体の斜視図である。また、図7Bは、図7Aのアンテナ装置部分を拡大した図である。
【0032】
本実施例に係るアンテナ装置は、図7A及び図7Bにしめすように、実施例1に係るアンテナ装置における逆Lアンテナをフォールデッド逆Lアンテナにしたものである。これにより、スミスチャートでの位置はより内側になるので、より短いスロット長で整合状態に調製可能になる。逆Lアンテナの場合ではスロットが設置領域の大半を占めるので、フォールデッド逆Lアンテナとすることで設置領域を小さくすることができる。
【0033】
本実施例に係るアンテナ装置も、実施例1と同様に、基板金属202の端部付近に開口部を有するスロット203が基板金属202に設けられている。さらに、スロット203の両脇の領域のうち小さい方の基板金属202の領域に切込みを入れた、曲がった帯状の半島部221が形成されている。そして、スロット203及び半島部221ともにメアンダ状になっている。
【0034】
アンテナ201は、一端211から伸び、その後折り返して他端212に戻ってくるフォールデッド逆Lアンテナとなっている。そして、アンテナ201の一端は給電点204を介して半島部221の先端付近に設置されている。さらに、アンテナ201の他端は、半島部221の先端部付近に直接設置されている。
【0035】
そして、本実施例におけるスロット203と半島部221とで形成される設置領域は、長辺P1が14.3mm、短辺Q1が4mmである。さらに、アンテナ201の基板金属202からの高さが3mmである。また、アンテナ201における長さP2は、14.5mm、幅Q2は、4mmである。
【0036】
図8は、実施例2に係るアンテナ装置のスミスチャートである。グラフ205が、本実施例に係るアンテナ装置の入力インピーダンスを表している。グラフ205における点206が2.14GHzにおける入力インピーダンスを表しており、実部が53.888735Ω、虚部が1.046130Ωとなっている。すなわち、本実施例に係るアンテナ装置は、2.14GHzにおいてほぼスミスチャートの中心に位置している。すなわち、本実施例に係るアンテナ装置は、整合状態が良い。
【0037】
また、図9は、実施例2に係るアンテナ装置の共振周波数を表す図である。図9は、縦軸を反射係数、横軸を周波数としている。グラフ207は、各周波数における実施例2に係るアンテナ装置の反射係数を表している。そして、グラフ207におけるピーク208が、実施例2に係るアンテナ装置の共振周波数である。実施例2に係るアンテナ装置の共振周波数は、2.14GHzとなっている。すなわち、実施例2に係るアンテナ装置の共振周波数は、携帯電話機の周波数帯域の一例である2.11〜2.17に含まれる。したがって、実施例2に係るアンテナ装置は、携帯電話機に用いた場合、高感度となる。
【0038】
ここで、図10〜図14Bを用いて、逆Lアンテナを用いた場合とフォールデッド逆Lアンテナを用いた場合とのアンテナ装置の比較について説明する。
【0039】
図10は、逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の一例の図である。また、図11は、フォールデッド逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の一例の図である。また、図12Aは、図10及び図11で示すアンテナ装置の共振周波数を示す図である。また、図12Bは、図10及び図11で示すアンテナ装置のスミスチャートである。また、図13は、逆Lアンテナを用いた場合のアンテナ装置の他の例の図である。また、図14Aは、図13及び図11で示すアンテナ装置の共振周波数を示す図である。また、図14Bは、図13及び図11で示すアンテナ装置のスミスチャートである。
【0040】
図10に示すアンテナ装置251におけるスロット252は、幅0.5mmであり、長さ20mmである。また、基板金属253は、幅50mm(スロット252における長さ方向)であり、長さ100mm(スロット252における幅方向)である。さらに、半島部254は、幅3.5mmであり、長さ20mmである。また、逆Lアンテナ255は、長さ16.2mmである。また、図11に示すアンテナ装置261におけるスロット262、基板金属263及び半島部264は、図10のスロット252、基板金属253及び半島部254と同じサイズである。そして、フォールデッド逆Lアンテナ265は、直線265Aの長さが20mm、直線265Bの長さが4mm、直線265Cの長さが8mmとなっている。すなわち、アンテナの形状以外は、アンテナ装置251とアンテナ装置261とは同じである。
【0041】
図12Bにおいて、グラフ273がアンテナ装置251の各周波数における入力インピーダンスを表しており、グラフ274がアンテナ装置261の各周波数における入力インピーダンスを表している。そして、グラフ273における点276は、2.83GHzにおける入力インピーダンスであり、実部が51.89Ω、虚部が−2.06Ωである。また、グラフ274における点275は、2.14GHzにおける入力インピーダンスであり、実部が49.30Ω、虚部が−2.22Ωである。この場合、図12Bに示すように、アンテナ装置251及びアンテナ装置261のインピーダンスは、いずれもほぼスミスチャートの中心に位置している。すなわち、この場合、アンテナ装置251及びアンテナ装置261のいずれも整合状態は良い。
【0042】
また、図12Aにおける、グラフ271は、各周波数におけるアンテナ装置251の反射係数を表している。また、グラフ272は、各周波数におけるアンテナ装置261の反射係数を表している。図12Aに示すように、アンテナ装置251の共振周波数であるグラフ271のピークは、2.83GHzである。これに対して、アンテナ装置261の共振周波数であるグラフ272のピークは、2.14GHzである。
【0043】
これに対して、図13で示すアンテナ装置281は、スロット282、基板金属283及び半島部284のサイズは、図10のアンテナ装置251と同様とし、逆Lアンテナ285の長さを28.9mmとしている。
【0044】
図14Aにおける、グラフ291は、各周波数におけるアンテナ装置281の反射係数を表している。また、グラフ292は、各周波数におけるアンテナ装置261の反射係数を表している。図14Aに示すように、アンテナ装置281の共振周波数であるグラフ291のピーク及びアンテナ装置261の共振周波数であるグラフ292のピークは、ともに、2.14GHzであり、同じ共振周波数となっている。
【0045】
また、図14Bにおいて、グラフ293がアンテナ装置281の各周波数における入力インピーダンスを表しており、グラフ294がアンテナ装置261の各周波数における入力インピーダンスを表している。この場合、グラフ293の点295に示すように、アンテナ装置281の2.14GHzにおける入力インピーダンスは実部が10.66Ωであり、虚部が14.00Ωである。これに対して、グラフ294の点296に示すように、アンテナ装置261の2.14GHzにおける入力インピーダンスは実部が49.30Ωであり、虚部が−2.22Ωである。すなわち、アンテナ装置261の方がアンテナ装置281に比べて整合状態がより良い。
【0046】
したがって、スロット長を同じ長さにした場合、フォールデッド逆Lアンテナ265を用いたアンテナ装置261の方が、逆Lアンテナ285を用いたアンテナ装置281に比べて、整合が良い状態で共振周波数を低くすることができる。
【0047】
また、設置面積の短辺を4mmとしてアンテナの高さを3mmとした場合に、共振周波数を2.14GHzにしようとすると、逆Lアンテナでは、スロット長は、26.4mmとなる。これに対して、同じ条件をフォールデッド逆Lアンテナで満たす場合、スロット長は、20.0mmとなる。
【0048】
このように、フォールデッド逆Lアンテナを用いた場合、逆Lアンテナを用いた場合よりも、スロットを短くすることができる。
【0049】
以上に説明したように、実施例2のようにフォールデッド逆Lアンテナを用いたアンテナ装置は、実施例1の場合よりも、設置領域をコンパクトにすることができ、省スペース化を図ることができる。さらに、アンテナ装置を用いた装置の筐体の小型化や薄型化に寄与することができる。
【0050】
(変形例)
半島部分やフォールデッド逆Lアンテナのサイズや形状は、以上の実施例2で説明したもの以外でもよい。図15は、実施例2の変形例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【0051】
図15に示すアンテナ装置は、半島部321及びスロット303を合せた設置領域の長辺P3が11mm、短辺Q3が4mmである。また、アンテナ301の長さP4が15.9mmであり、幅Q4が3.5mmであり、基板金属302からの高さが3mmである。さらに、図15に示すアンテナ装置は、半島部321がメアンダ状であり、スロット303が、直線のスロットの横方向に数箇所切込みを入れた形状になっている。さらに、図15に示すアンテナ装置は、給電点304を有している。
【0052】
図16Aは、図15のアンテナ装置の共振周波数を表す図である。また、図16Bは、図15のアンテナ装置のスミスチャートである。
【0053】
図16Aのグラフ351は、図15のアンテナ装置の各周波数における反射係数を表している。そして、図15のアンテナ装置の周波数帯域であるグラフ351のピークは、2.14GHzとなっている。これは、携帯電話機における下りの周波数帯域の一例である、2.11〜2.17GHzに収まっている。すなわち、図15のアンテナ装置を携帯電話機に用いた場合、高感度となる。
【0054】
また、図16Bのスミスチャートにおけるグラフ352は、図15のアンテナ装置の各周波数における入力インピーダンスを表している。そして、グラフ352上の点353が、図15のアンテナ装置の2.14GHzにおける入力インピーダンスであり、実部が48.323383Ωであり、虚部が0.413102となっている。これは、スミスチャートのほぼ中心に位置する。したがって、図15のアンテナ装置は整合状態が良い。
【0055】
このように、フォールデッド逆Lアンテナを用いた場合に、半島部及びスロットの両方がメアンダ状でない形状でも、高感度且つ整合状態が良いアンテナ装置とすることができる。この場合も、フォールデッド逆Lアンテナを用いているので、逆Lアンテナを用いた場合よりも、設置領域をコンパクトにすることができ、筐体の小型化や薄型化が容易となる。また、スロット長が同じ場合には、整合状態で、より共振周波数を低くすることができ、感度を向上させることができ、逆Lアンテナの場合にスミスチャートの外側であったならば、より整合状態に近づけることができる。
【実施例3】
【0056】
図17Aは、実施例3に係るアンテナ装置の斜視図である。また、図17Bは、実施例3に係るアンテナ装置の透視斜視図である。
【0057】
本実施例に係るアンテナ装置は、図17A及び図17Bに示すように、基板402の両面にアンテナのパターンを設けた構造を有している。ここで、図17Bに示すアンテナ装置をアンテナ装置400とする。本実施例のアンテナ装置400は、フォールデッド逆Lアンテナを用いている。
【0058】
ここで、本実施例では、基板402は、プラスチック製の板状の誘電体を金属板で挟んだ構造を有している。この、基板402の両側に設けられた金属板が以上の各実施例で説明した基板金属にあたる。そして、基板402は、厚さ1mmである。また、基板402のプラスチック部分の比誘電率は4.2である。なお、基板金属の位置は、プラスチック表面に限定せず、プラスチックの中でもよい。また、多層基板であってもよい。
【0059】
そして、基板402の一方の金属面を削りだしスロット403及び半島部421のパターンを形成する。また、半島部421の先端部分に給電点404を配置する。さらに、給電点404に、フォールデッド逆Lアンテナ401の一端を接続する。そして、フォールデッド逆Lアンテナ401は、基板402の側面に沿って伸び、他方の金属面に達すると曲がり、他方の金属面上においてさらに延びて折れ曲がり、戻ってきて半島部に他端が接触するように金属が削りだされることでフォールデッド逆Lアンテナとして形成されている。なお、フォールデッド逆Lアンテナの側面部分については、側面でなくてもよく、ビアのようなものであってもよい。
【0060】
本実施例では、半島部421及びスロット403が形成する配置領域の長辺が15.5mm、短辺が4mmである。また、アンテナ401の長さは8mmであり、幅が3.35mmである。
【0061】
図18は、スロットを設けないアンテナ装置の図である。図18に示すように、アンテナ装置410は、金属基板の一方の面にフォールデッド逆Lアンテナのパターンを設け、他方の面にはスロットを設けない形状を有している。なお、本実施例では、共振周波数を合わせるため、アンテナ長17.5mm、幅3.5mmとしている。
【0062】
図19Aは、アンテナ装置400及びアンテナ装置410の共振周波数を表す図である。また、図19Bは、アンテナ装置400及びアンテナ装置410のスミスチャートである。
【0063】
図19Aのグラフ441は、アンテナ装置410の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ442は、アンテナ装置400の各周波数における反射係数を表している。そして、アンテナ装置410の共振周波数であるグラフ441のピークは、2.14GHzとなっている。また、アンテナ装置400の共振周波数であるグラフ442のピークは、2.14GHzとなっている。すなわち、アンテナ装置410とアンテナ装置420とは同じ共振周波数を有している。
【0064】
図19Bのスミスチャートにおけるグラフ443は、アンテナ装置410の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ444は、アンテナ装置400の各周波数におけるインピーダンスを表している。そして、グラフ443上の点445が、アンテナ装置410の2.14GHzにおける入力インピーダンスであり、実部が1.545Ωであり、虚部が2.70Ωである。これに対して、グラフ444上の点446が、アンテナ装置400の2.14GHzにおける入力インピーダンスであり、実部が52.55Ωであり、虚部が1.88Ωである。すなわち、アンテナ装置400のインピーダンスはスミスチャートのほぼ中心に位置しているが、アンテナ装置410のインピーダンスはスミスチャートの中心から大きく外れている。したがって、アンテナ装置400は、アンテナ装置410に比べて整合状態が良い。
【0065】
このように、基板金属の両面にアンテナ、スロット及び半島部のパターンを形成したアンテナ装置においても、曲がった帯状のスロット及び半島部を設けた方が、スロットや半島を設けない場合に比べて、共振周波数を低くし且つ整合状態をよくすることができる。
【0066】
すなわち、実施例3のように基板金属の両面にアンテナ、スロット及び半島部のパターンを形成したアンテナ装置においても、共振周波数を低くすると共に整合状態をよくすることができる。また、実施例1の場合よりも、設置領域をコンパクトにすることができ、筐体の小型化や薄型化が容易となる。そして、基板金属の両面のパターンとすることで、例えば携帯電話機に用いた場合の部品数を減らすことができる。なお、多層基板や、金属が誘電体で覆われている状態でも利用できる。さらに、携帯電話機の薄型化や小型化に寄与することができる。
【0067】
ここで、以上の実施例3では、半島部がメアンダ状であり、スロットの形状が直線のスロットの横に切込みを入れた形状である場合で説明したが、半島部及びスロットの形状はこれに限らない。例えば、実施例1で示した半島部及びスロットのいずれもがメアンダ状でもよく、また、半島部とスロットがらせん状になっていてもよい。
【0068】
また、以上の実施例3では、アンテナをフォールデッド逆Lアンテナを用いた場合で説明したが、このアンテナは逆Lアンテナでもよい。そこで以下に実施例3に係る変形例を説明する。
【0069】
(変形例)
図20Aは、実施例3の変形例に係るアンテナ装置の斜視図である。また、図20Bは、実施例3の変形例に係るアンテナ装置の透視斜視図である。
【0070】
本変形例に係るアンテナ装置も、図20A及び図20Bに示すように、基板452の両面にアンテナのパターンを設けた構造を有している。以下では、図20Bで表されるアンテナ装置をアンテナ装置450と呼ぶ。
【0071】
ここで、本変形例では、基板452は、50×50×1mmの形状を有している。また、基板452は、プラスチック製の板状の誘電体を金属板で挟んだ構造を有しており、プラスチック部分の比誘電率が4.2である。
【0072】
そして、基板452の一方の金属面を削りだしスロット453及び半島部455のパターンを形成する。また、半島部455の先端部分に給電点454を配置する。さらに、給電点454に、逆Lアンテナ451の一端を接続する。そして、逆Lアンテナ451は、基板452の側面に沿って伸び、他方の金属面に達すると曲がり、他方の金属面上を延びるように他方の金属面を削りだすことで逆Lアンテナとして形成されている。
【0073】
図21Aは、アンテナ装置450の共振周波数を表す図である。また、図21Bは、アンテナ装置450のスミスチャートである。
【0074】
図21Aのグラフ461は、アンテナ装置450の各周波数における反射係数を表している。そして、アンテナ装置450の共振周波数であるグラフ461のピークは、2.088GHzとなっている。これは、携帯電話機で用いられる共振周波数としては十分な値である。すなわち、図20のアンテナ装置を携帯電話機に用いた場合、アンテナ装置は高感度となる。
【0075】
また、図21Bのスミスチャートにおけるグラフ462は、アンテナ装置450の各周波数における入力インピーダンスを表している。そして、グラフ462上の点463が、2.088GHzにおけるインピーダンスであり、実部が50.277166Ωであり、虚部が−1.725353Ωとなっている。これは、スミスチャートのほぼ中心に位置する。したがって、アンテナ装置450は整合状態が良い。
【0076】
したがって、本変形例のように基板金属の両面にアンテナ、スロット及び半島部のパターンを形成したアンテナ装置においても、共振周波数を低くすると共に整合状態をよくすることができる。そして、実施例1の場合よりも、設置領域をコンパクトにすることができ、筐体の小型化や薄型化が容易となる。そして、基板金属の両面のパターンとすることで、例えば携帯電話機に用いた場合の部品数を減らすことができる。なお、多層基板や、金属が誘電体で覆われている状態でも利用できる。さらに、携帯電話機の薄型化や小型化に寄与することができる。
【実施例4】
【0077】
次に、図22を参照して、実施例4に係るアンテナ装置について説明する。図22は、実施例4に係るアンテナ装置の一例の斜視図である。
【0078】
アンテナ装置500は、基板金属502上に直線のスロット503が設けられている。本実施例では、基板金属502は、長さ100mm、幅50mmである。また、スロット503の基板金属502の端部からの距離S5は、3mmである。また、スロット503の幅S6は、0.5mmである。さらに、スロット503の長さをL2とする。
【0079】
また、基板金属502のスロット503によって分けられた領域の小さい方の領域である半島部の先端部から距離λ/10(λは共振周波数の波長を表す。)以内に給電点504が設けられている。例えば、共振周波数が2.14GHzの場合、λ=140mmである。本実施例では、給電点504は、半島部の先端で且つ基板金属502の端部からの距離S3が1.5mm、スロット503までの距離S4が1.5mmの位置に配置されている。
【0080】
また、逆Lアンテナ501は、給電点504を介して基板金属502に接続している。本実施例では、逆Lアンテナ501の基板金属502からの高さS1は、3mmである。また、逆Lアンテナ501の幅S2は、0.5mmである。さらに、逆Lアンテナ501の長さをL1とする。
【0081】
ここで、図23は、スロット及びアンテナの長さを変化させた場合の共振周波数を示す図である。そして、グラフ511aは、(L2,L1)=(0,30.80)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ512aは、(L2,L1)=(5,30.33)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ513aは、(L2,L1)=(10,29.52)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ514aは、(L2,L1)=(15,28.33)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ515aは、(L2,L1)=(20,26.42)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ516aは、(L2,L1)=(25,22.41)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ517aは、(L2,L1)=(28,16.80)の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ518aは、(L2,L1)=(30,10.12)の場合の各周波数における反射係数を表している。
【0082】
図23に示すように、グラフ511a〜518aのいずれもピークは2.14GHzである。すなわち、(L2,L1)=(0,30.80)、(5,30.33)、(10,29.52)、(15,28.33)、(20,26.42)、(25,22.41)、(28,16.80)、(30,10.12)いずれの場合も共振周波数は同じである。
【0083】
図24は、図23におけるスロット及びアンテナの長さを変化させた場合に対応するスミスチャートである。すなわち、グラフ511bは、(L2,L1)=(0,30.80)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ512bは、(L2,L1)=(5,30.33)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ513bは、(L2,L1)=(10,29.52)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ514bは、(L2,L1)=(15,28.33)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ515bは、(L2,L1)=(20,26.42)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ516bは、(L2,L1)=(25,22.41)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ517bは、(L2,L1)=(28,16.80)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ518bは、(L2,L1)=(30,10.12)の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。
【0084】
そして、グラフ511bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が6.696259Ω、虚部が−0.369123Ωである。また、グラフ512bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が6.854880Ω、虚部が0.020841Ωである。また、グラフ513bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは実部が6.6998016Ω、虚部が0.150937Ωである。また、グラフ514bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が8.132561Ω、虚部が−0.170008Ωである。また、グラフ515bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が11.071769Ω、虚部が−0.309638Ωである。また、グラフ516bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が20.644352Ω、虚部が−0.103293Ωである。また、グラフ517bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が50.069075Ω、虚部が−0.717366Ωである。また、グラフ518bの2.14GHzにおける入力インピーダンスは、実部が153.526092Ω、虚部が−0.383727Ωである。
【0085】
図25は、アンテナ長さとスロットの深さと入力インピーダンスとの関係を表す図である。図25は、紙面に向かって左側の縦軸を長さとしている。また、紙面に向かって右側の縦軸を入力インピーダンスの実部としている。さらに、横軸をスロットの深さとしている。グラフ521は、アンテナ長を表している。また、グラフ522は、スロットの深さにアンテナ長を加えた長さを表している。そして、グラフ523が入力インピーダンスの実部を表している。
【0086】
図25で示すように、スロットの長さがλ/10(≒14mm)から入力インピーダンスの実部が大きく上昇し始めている。すなわち、スロットの長さをλ/10以上とすることで、入力インピーダンスの実部を増加させることができる。
【0087】
また、元々の放射抵抗(入力インピーダンスの実部)が低い場合、整合を取るためにスロット深さをより長くする必要がある。すなわち、アンテナ装置が有する放射抵抗によって、用いるスロットの深さが異なるものであり、スロットの長がλ/10であっても十分に整合を取ることができる場合もある。
【0088】
すなわち、図22におけるアンテナ装置500のような、基板金属の端部付近に開口を有する直線のスロットを有し、半島部の先端付近に逆Lアンテナを設けたアンテナ装置では、スロットの長さをλ/10以上の適切な値にすることが好ましい。
【0089】
以上に説明したように、基板金属の端部付近に開口を有する直線のスロットを有し、半島部の先端付近に逆Lアンテナを設けたアンテナ装置において、スロット長さをλ/10以上の適切な値にすることで、良い整合状態を確保できる。
【実施例5】
【0090】
次に、図26を参照して、実施例5に係るアンテナ装置について説明する。図26は、実施例5に係るアンテナ装置の斜視図である。
【0091】
アンテナ装置600は、基板金属602の端部付近に開口部を有するスロット603を有している。スロット603は直線である。そして、設置領域の短辺Q5は、4.0mmである。また、設置領域の長辺、言い換えればスロット長さをL3とする。
【0092】
また、アンテナ601は、フォールデッド逆Lアンテナである。そして、アンテナ601の一端は給電点604を介して基板金属602に接続している。また、長さP6は、17.5mmであり、幅Q6は、3.5mmである。また、アンテナ601の基板金属602からの高さは1.0mmである。
【0093】
図27は、L3を変化させた場合の共振周波数を表す図である。グラフ611aは、L=0の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ612aは、L=5の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ613aは、L=10の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ614aは、L=15の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ615aは、L=20の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ616aは、L=25の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ617aは、L=30の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ618aは、L=35の場合の各周波数における反射係数を表している。また、グラフ619aは、L=40の場合の各周波数における反射係数を表している。
【0094】
図28は、図27におけるL3を変化させた場合に対応するスミスチャートである。すなわち、グラフ611bは、L3=0の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ612bは、L3=5の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ613bは、L3=10の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ614bは、L3=15の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ615bは、L3=20の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ616bは、L3=25の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ617bは、L3=30の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ618bは、L3=35の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。また、グラフ619bは、L3=40の場合の各周波数における入力インピーダンスを表している。各グラフ上の点が、図27で求まるそれぞれのスロット長に対応した共振周波数における入力インピーダンスを表している。
【0095】
そして、図28に示すように、スロット長が10mm以上のときに整合状態が良くなっている。さらに詳しくは、スロット長が15〜20mmの間において、より適切な整合状態となっている。
【0096】
この場合、2.9GHzにおいて、λ≒103.45mmであることを用いて規格化すると、スロット長がおおよそλ/10を超えると、入力インピーダンスの実部が大きくなり始める。さらに、スロット長がおおよそ(3/20)λ〜(1/5)λにおいてより適切な整合状態となる。
【0097】
したがって、基板金属の端部付近に開口部を有する直線のスロットを基板金属に設け、半島の先端付近にフォールデッド逆Lアンテナを設置したアンテナ装置では、スロットの長さをλ/10以上の適切な値にすることで、良い整合状態を確保できる。
【0098】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0099】
(付記1)基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、曲がった形状を有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域に切込みを有する導体部と、
前記導体部の先端部近傍に配置され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【0100】
(付記2)前記アンテナと前記導体部との間に給電点が設けられていることを特徴とする付記1に記載のアンテナ装置。
【0101】
(付記3)前記導体部は、前記スロットを挟む前記基板の2つの領域のうち面積が小さい領域に切込みを入れることで形成されることを特徴とする付記1又は付記2に記載のアンテナ装置。
【0102】
(付記4)前記スロットは、メアンダ状であることを特徴とする付記1〜3のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【0103】
(付記5)前記導体部は、メアンダ状であることを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【0104】
(付記6)前記アンテナは、フォールデッド逆Lアンテナであることを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【0105】
(付記7)板状の誘電体をさらに有し、
前記基板は、前記誘電体の一方の面に配置され、
前記アンテナは前記基板に接続した点から延出し、さらに前記誘電体の他方の面上に接するように延出している、
または、ビアなどで基板と前記アンテナを接続している、
または、それらの全体が誘電体で覆われている
ことを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【0106】
(付記8)前記逆Lアンテナは、前記金属基板に接続した2つの点から延出し、さらに前記誘電体の他方の面上に接するように延出して交わっているフォールデッド逆Lアンテナであることを特徴とする付記7に記載のアンテナ装置。
【0107】
(付記9)基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、曲がった形状を有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域に切込みを有する導体部と、
前記導体部の先端部近傍に配置され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して無線信号を送受信する無線通信部と、
前記無線通信部で受信した信号及び前記無線通信部から送信する信号を処理する信号処理部と
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【0108】
(付記10)基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、共振周波数の波長の10分の1以上の長さを有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域の先端付近から共振周波数の波長の10分の1以内の距離に配置された給電点と、
前記給電点を介して前記基板に接続され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【0109】
(付記11)基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有するように前記基板に設けられた共振周波数の波長の10分の1以上の長さを有するスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域の先端付近に配置されたフォールデッド逆Lアンテナと
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【符号の説明】
【0110】
1 逆Lアンテナ
2 基板金属
3 スロット
4 給電点
21 半島部
22a、22b 切込
31 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、曲がった形状を有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域に切込みを有する導体部と、
前記導体部の先端部近傍に配置され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナと前記導体部との間に給電点が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記導体部は、前記スロットを挟む前記基板の2つの領域のうち面積が小さい領域に切込みを入れることで形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記スロットは、メアンダ状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記導体部は、メアンダ状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナは、フォールデッド逆Lアンテナであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項7】
板状の誘電体をさらに有し、
前記基板は、前記誘電体の一方の面に配置され、
前記アンテナは前記基板に接続した点から延出し、さらに前記誘電体の他方の面上に接するように延出している
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のアンテナ装置。
【請求項8】
基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、曲がった形状を有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域に切込みを有する導体部と、
前記導体部の先端部近傍に配置され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して無線信号を送受信する無線通信部と、
前記無線通信部で受信した信号及び前記無線通信部から送信する信号を処理する信号処理部と
を備えたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項9】
基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有し、共振周波数の波長の10分の1以上の長さを有するように、前記基板に設けられたスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域の先端付近から共振周波数の波長の10分の1以内の距離に配置された給電点と、
前記給電点を介して前記基板に接続され、前記基板面に対して並行となるアンテナと
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板の端部近傍の縁に切込口を有するように前記基板に設けられた共振周波数の波長の10分の1以上の長さを有するスロットと、
前記スロットが挟む前記基板の領域の先端付近に配置されたフォールデッド逆Lアンテナと
を備えたことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−70363(P2013−70363A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−183650(P2012−183650)
【出願日】平成24年8月22日(2012.8.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】