説明

アンテナ装置及び無線伝送システム

【課題】 無線伝送システムの仕様数を減少させ、かつ無線伝送システムの通信可能範囲を拡大する。
【解決手段】 アンテナ利得を変化させることが可能なアンテナ2の受信信号が供給されている高周波受信回路6の出力信号を、受信品質判定回路12に供給する。受信品質判定回路12は、アンテナ2の受信信号の受信品質を判定し、アンテナ利得切換装置4を介してアンテナ2の利得を調整する。受信品質判定回路12は、受信信号のC/Nを測定して、受信品質を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置及びこのアンテナ装置を使用した無線伝送システムに関し、特にアンテナ装置のアンテナ利得を調整することが可能なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばミリ波帯の電波を長距離伝送する場合、高利得アンテナを使用して電波を受信することがある。ミリ波帯の高利得アンテナとしては、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−278976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、高利得アンテナを受信に使用したまま、無線通信で短距離伝送を行った場合、高利得アンテナに接続された受信機が過入力となり、受信機において信号歪みが発生し、受信品質が劣化していた。従って、希望無線伝送距離に応じて、高利得アンテナと低利得アンテナとを使い分けており、無線伝送システムの仕様数が増加していた。
【0005】
また、同じ伝送距離を伝送させる場合でも、晴天時と雨天時とでは空間での電波減衰量が異なり、必要とされるアンテナ利得が異なる。例えば、晴天時に最良のアンテナ利得を有するアンテナを設置した場合、雨天時には電波減衰量が大きく、充分な電界強度が受信アンテナで得られず、受信品質が劣化する。また、雨天時に最良のアンテナ利得を有するアンテナを設置した場合、晴天時には電波減衰量が小さく、電界強度が受信アンテナで大きくなり、受信機が過入力となり、信号歪みが発生し、受信品質が劣化する。無線通信システムとしては、天候に拘わらず、良好な通信をすることが必須であり、従って、アンテナ利得が固定されている場合には、晴天でも雨天でも良好に通信が可能な距離に通信距離が制限されていた。
【0006】
本発明は、無線伝送システムの仕様数を減少させ、かつ無線伝送システムの通信可能距離範囲を拡大することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様のアンテナ装置は、アンテナ利得を変化させることが可能なアンテナを有している。このアンテナとしては、利得が異なる複数のアンテナ素子からなるものを使用することができる。このアンテナの受信信号の受信品質を判定手段が判定し、前記アンテナの利得を調整する。判定手段は、例えば受信信号のC/Nを測定して、受信品質を判定することができる。利得が異なる複数のアンテナ素子からアンテナが構成される場合には、前記判定手段の判定結果に従って、前記複数のアンテナ素子が切り換えられる。
【0008】
このように構成されたアンテナ装置では、アンテナの利得を調整することができるので、天候が変化して、電波減衰量が変化しても、その電波減衰量に対応した利得にアンテナを自動的に調整することができるので、1台の無線伝送システムで、長い伝送距離範囲を確保することができる。また、長距離伝送用及び短距離伝送用いずれの無線伝送システムにも同一の構成のアンテナ装置を使用することができる。
【0009】
前記複数のアンテナ素子は、ミリ波帯用の電波レンズと、この電波レンズを介して伝搬されたミリ波帯の電波を受信するアンテナ部とを、それぞれが有するレンズアンテナとすることができる。この場合、レンズアンテナは、前記アンテナ部が前記電波レンズの焦点位置に位置するものと、前記アンテナ部が前記電波レンズの焦点位置以外の位置に位置するものとを、含んでいる。このように構成すると、電波レンズの焦点位置にアンテナ部を配置させることによって高利得のアンテナ素子を構成することができ、電波レンズの焦点位置以外の位置にアンテナ部を配置させることによって低利得のアンテナ素子を構成することができる。
【0010】
また、上述したいずれかのアンテナ装置は、ミリ波帯信号を送信する送信機と、この送信機から離れて配置され、送信機から送信されたミリ波帯信号を受信する受信機とを備えた無線伝送システムにおいて、前記受信機の受信アンテナとして使用することができる。このように構成した無線伝送システムでは、どのような天候状態でも無線伝送可能な距離を伸ばすことができるし、また様々な伝送距離に対しても1台の無線伝送システムを使用することができ、無線伝送システムの仕様数を減少させることができる。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によるアンテナ装置を使用することによって、無線伝送システムの仕様数を減少させ、かつ無線伝送システムの通信可能距離範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態のアンテナ装置のブロック図である。
【図2】図1のアンテナ装置のアンテナ及びアンテナ切換装置の詳細なブロック図である。
【図3】図1のアンテナ装置を受信アンテナとして使用した無線伝送システムのブロック図である。
【図4】図1のアンテナ装置と従来のアンテナ装置との使用可能距離を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のアンテナ装置のブロック図である。
【図6】図5のアンテナ装置のアンテナ素子の詳細な構成を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施形態のアンテナ装置は、図3に示すような無線伝送システムに使用されている。この無線伝送システムは、予め定めた距離を隔てて配置された送信機1aと、受信機1bとから構成されている。これら送信機1a及び受信機1bは、例えばミリ波帯の信号を送受信するものである。送信機1aは、送信アンテナ2aからミリ波帯の信号を送信し、受信機1bは、受信アンテナ2bによって、このミリ波帯の信号を受信する。この受信アンテナ2bに、本発明の第1の実施形態のアンテナ装置が使用されている。
【0014】
本発明の第1の実施形態のアンテナ装置は、図1に示すように、ミリ波帯受信用の利得可変アンテナ3を有している。この利得可変アンテナ3は、アンテナ利得切換装置4によって、その利得が、複数段階、例えば3段階に切り換えられる。この利得可変アンテナ3は、送信機1aの送信アンテナ2aから送信された例えばデジタル信号で変調されたミリ波帯の送信信号を受信し、この送信信号に対応した受信信号を出力する。この受信信号は、高周波(RF)受信回路6に供給され、増幅及び中間周波信号への周波数変換等の信号処理が行われる。この高周波受信回路6の出力は、復調回路8に供給され、ここでデジタル信号に復調される。復調されたデジタル信号は誤り訂正回路10で誤り訂正が行われ、後続の処理回路に供給される。
【0015】
アンテナ利得切換装置4によりアンテナ切換を行うために、高周波受信回路6の出力が、受信品質判定回路12に供給される。受信品質判定回路12は、高周波受信回路6の出力の受信品質を判定する。受信品質判定回路12は、例えばこの出力のC/Nを測定し、これを予め定めた基準値と比較し、C/Nが基準値以上の場合には、アンテナ利得切換装置4によって現在の利得が維持される。C/Nが基準値よりも小さい場合には、過入力となっているか若しくは受信信号が低下している可能性があるので、C/Nが最も大きくなるようにアンテナ利得切換装置4によって利得可変アンテナ3の利得が調整される。
【0016】
図2に、利得可変アンテナ3とアンテナ利得切換装置4の詳細な構成を示す。利得可変アンテナ3は、例えば絶対利得が45dBiの高利得アンテナ素子3aと、絶対利得が30dBiの中利得アンテナ素子3bと、絶対利得が20dBiの低利得アンテナ素子3cとからなる。アンテナ利得切換装置4は、各アンテナ素子3a、3b、3cの受信信号のうち1つを選択して、高周波受信回路6に供給する切換スイッチである。このアンテナ利得切換装置4によるアンテナの切換は、受信品質判定回路12の指示によって行われる。そのため、上述したように高周波受信回路6の出力が受信品質判定回路12に供給されている。そして、受信品質判定回路12によって測定されたC/Nと予め定めた基準値との比較が行われる。
【0017】
例えば、このアンテナ装置を受信アンテナ2bとした受信機1bと、送信機1aとが予め定めた距離をおいて設置されている場合、その距離が比較的長くて、アンテナ利得が小さいアンテナ素子3cがアンテナ利得切換装置4によって選択されているとすると、C/Nが予め定めた基準値よりも小さくなる。この場合、アンテナ素子3cからアンテナ素子3bに高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、受信品質判定回路12の指示によってアンテナ利得切換装置4が切り換える。この切換によって、C/Nが予め定めた基準値以上であれば、アンテナ素子3bが高周波受信回路6に接続された状態が維持される。しかし、アンテナ素子3bを高周波受信回路6に接続しても、C/Nが予め定めた基準値よりも小さい場合、アンテナ素子3bからアンテナ素子3aに高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、受信品質判定回路12の指示によってアンテナ利得切換装置4が切り換える。
【0018】
逆に、このアンテナ装置を受信アンテナ2bとした受信機1bと、送信機1aとの距離が比較的短い場合であって、アンテナ素子3aがアンテナ利得切換装置4によって選択されているとする。この場合、高周波受信回路6が過入力となり、歪みが発生し、C/Nが予め定めた基準値よりも小さくなる。この場合、アンテナ素子3aからアンテナ素子3bに、高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、受信品質判定回路12の指示によってアンテナ利得切換装置4が切り換える。この切換によって、C/Nが予め定めた基準値以上であれば、アンテナ素子3bが高周波受信回路6に接続された状態が維持される。しかし、アンテナ素子3bを高周波受信回路6に接続しても、過入力による歪みが発生し、C/Nが予め定めた基準値よりも小さい場合、アンテナ素子3bからアンテナ素子3cに高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、受信品質判定回路12の指示によってアンテナ利得切換装置4が切り換える。
【0019】
このように、このアンテナ装置を使用することによって、長い無線伝送距離であっても、短い無線伝送距離であっても、1台のアンテナ装置を使用することができ、このアンテナ装置の使用可能距離に幅を持たせることができ、この幅は、従来の1つのアンテナのみを使用していた場合に可能な使用可能距離よりも格段に広い。
【0020】
このアンテナ装置を受信アンテナ2bとした受信機1bと、送信機1aとが予め定めた距離をおいて野外に設置されている場合を考える。この状態で、天候が悪化して、空間での電波減衰量が大きくなった場合、例えばアンテナ素子3cがアンテナ利得切換装置4によって選択されていると、C/Nが基準値よりも小さくなる。この場合、アンテナ利得切換装置4が、受信品質判定回路12からの指示によって、アンテナ素子3cからアンテナ素子3bに、高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を切り換える。この切換によって、C/Nが基準値以上であれば、アンテナ素子3bが高周波受信回路6に接続される状態が維持される。しかし、アンテナ素子3bを高周波受信回路6へ接続しても、C/Nが基準値よりも小さい場合、アンテナ利得切換装置4が、受信品質判定回路12からの指示によって、アンテナ素子3bからアンテナ素子3aに、高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を切り換える。
【0021】
このように悪天候で、高利得のアンテナ素子3aが高周波受信回路6に接続されている状態から、天候が回復して、空間電波減衰量が小さくなると、受信機が過入力となり、歪みが発生し、C/Nが基準値よりも小さくなる。この場合、高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、アンテナ素子3aからアンテナ素子3bに、アンテナ利得切換装置4が受信品質判定回路12からの指示によって切り換える。この切換によって、C/Nが基準値以上であれば、アンテナ素子3bが高周波受信回路6に接続される状態が維持される。しかし、アンテナ素子3bを高周波受信回路6へ接続しても、過入力により歪みが発生し、C/Nが基準値よりも小さい場合、高周波受信回路6に接続されるアンテナ素子を、アンテナ素子3bからアンテナ素子3cに、アンテナ利得切換装置4が受信品質判定回路12からの指示によって切り換える。
【0022】
なお、受信品質判定回路12において基準値を2つ使用することもできる。この場合、1つの基準値は、上述したのと同様に、C/Nを判断するのに使用するためのC/N用の基準値である。もう1つの基準値は、送信される送信信号のレベルを判断するのに使用するレベル用の基準値である。C/NがC/N用の基準値よりも小さく、送信信号のレベルがレベル用の基準値よりも小さいと受信品質判定回路12において判定された場合、現在選択されているアンテナ素子よりも利得の大きいアンテナ素子を高周波受信回路6に接続するように受信品質判定回路12がアンテナ利得切換回路4に指示する。これによってC/NがC/N用の基準値よりも大きくなると、現在選択されているアンテナ素子が高周波受信回路6に接続されている状態が維持される。しかし、C/NがC/N用基準値よりもまだ小さい場合と受信品質判定回路12において判定されると、さらに利得が大きいアンテナ素子を高周波受信回路6に接続するようにアンテナ利得切換回路4に受信品質判定回路12から指示する。また、C/NがC/N用の基準値よりも小さく、送信信号のレベルがレベル用の基準値よりも大きいと受信品質判定回路12が判定すると、現在選択されているアンテナ素子よりも利得の小さいアンテナ素子を高周波受信回路6に接続するようにアンテナ利得切換回路4に受信品質判定回路12から指示する。これによってC/NがC/N用の基準値よりも大きくなると、現在選択されているアンテナ素子が高周波受信回路6に接続されている状態が維持される。しかし、C/NがC/N用基準値よりもまだ小さい場合には、さらに利得が小さいアンテナ素子を高周波受信回路6に接続するようにアンテナ利得切換回路4に受信品質判定回路12から指示する。
【0023】
図4(a)に示すように、例えば従来のように1つのアンテナのみを使用していた場合、晴天時に、この1つのアンテナによって受信できる範囲が、送信機に近い受信点d1から、送信機から遠い受信点d2までの範囲であるとする。なお送信機から受信点d1までの距離よりも送信機からの距離が短い受信点では、上述したように高周波受信回路6が過入力となり受信品質が低下する。送信機から受信点d2までの距離よりも送信機からの距離が長い受信点では、受信レベルが低く受信品質が低下する。また、雨天時に、この1つのアンテナによって受信できる範囲が、送信機からの距離が短い受信点d3から受信機からの距離が長い受信点d4であるとする。この場合、送信機から受信点d3までの距離は送信機から受信点d1までの距離よりも短く、送信機から受信点d4までの距離は送信機から受信点d2までの距離よりも短い。従って、晴天でも雨天でも(全天候で)良好に1つのアンテナで受信できる範囲(使用可能距離範囲)は受信点d1から受信点d4までの範囲となる。
【0024】
これに対し、晴天時に第1の実施形態のアンテナ装置で受信できる距離範囲は、同図(b)に示すように、送信機からの距離が短い受信点D1から、送信機からの距離が長い受信点D2までであるとする。この場合、送信機から受信点D1までの距離は送信機から受信点d1までの距離より短い。これは、アンテナ利得を低下させることによって過入力を防止できるからである。また送信機から受信点D2までの距離は送信機から受信点d2までの距離よりも長い。これは、アンテナ利得を大きくすることによって受信品質の低下を防止できるからである。同様に雨天時に第1の実施形態のアンテナ装置で受信できる範囲は、送信機からの距離が短い受信点D3から、送信機からの距離が長い受信点D4までの範囲である。送信機から受信点D3までの距離は、送信機から受信点d3までの距離よりも短く、送信機から受信点D4までの距離は送信機から受信点d4よりも長い。従って、晴天でも雨天でも(全天候で)第1の実施形態のアンテナ装置で受信できる距離範囲(使用可能距離範囲)は受信点D1から受信点D4までとなる。これは、図4(a)、(b)の比較から明らかなように、従来の1つのアンテナを使用する場合よりも長い距離範囲となる。従って、このアンテナ装置を使用すると、雨天及び晴天を考慮して、いずれの場合でも使用できる伝送距離範囲を従来のものよりも広げることができる。
【0025】
なお、低利得の1つのアンテナを設置し、高周波受信回路6を自動利得制御回路を備えたものとすることも考えられるが、この場合、低利得アンテナでの受信信号が低レベルであると、高周波受信回路において大きな利得で増幅されるが、その際にノイズも大きく増幅され、その結果C/Nが低下するので、1つの低利得アンテナと自動利得制御回路との組合せの使用は望ましくない。また高利得の1つのアンテナを設置し、このアンテナと高周波受信回路6との間に可変減衰器を備え、この可変減衰器の減衰量を例えば受信品質判定回路12の判定結果に従って調整することも考えられるが、例えば高利得アンテナの受信レベルが大きい場合に、可変減衰器によって減衰させることによって波形が歪むことがあり、この場合、受信品質が低下するので、1つの高利得アンテナの使用は望ましくない。
【0026】
本発明の第2の実施形態のアンテナ装置を図5及び図6に示す。この実施形態のアンテナ装置では、図5に示すように、アンテナ20が複数、例えば3台のミリ波帯アンテナ素子20a、20b、20cによって構成されている。これらアンテナ素子20a、20b、20cの出力のうち、アンテナ切換装置4によって選択された1つが高周波受信回路6に供給されている。また、各アンテナ素子20a、20b、20cの出力が受信品質判定回路12aに供給されている。受信品質判定回路12aでは、各アンテナ素子20a、20b、20cの出力それぞれについてC/Nを測定し、最も良好なC/Nを持つアンテナ素子の出力が高周波受信回路6に供給されるように、受信品質判定回路12aがアンテナ切換装置4を切り換える。
【0027】
ミリ波帯アンテナ素子20a、20b、20cは、図6に示すように、同一構造のレンズアンテナである。これらミリ波帯アンテナ素子20a、20b、20cは、筒状体、例えば外円筒部28を有している。この外円筒部28の中心軸線上に、受信部、例えばパッチアンテナ30が位置している。このパッチアンテナ素子30は、基板32に支持されている。この外円筒部28の先端部は開口され、その先端部の内周面には、雌ねじ34が形成されている。この外円筒部28の先端部の開口から突出するように、誘電体レンズ36が配置されている。この誘電体レンズ36の後部に一体に筒状部、例えば内円筒部38が形成されている。この内円筒部38は、外円筒部28内に進入している。この誘電体レンズ36、内円筒部38及び外円筒部28の中心軸は、それぞれ一致している。内円筒部38の外周面には、雄ねじ40が形成され、この雄ねじ40は、雌ねじ34に螺合している。従って、雄ねじ40の雌ねじ34への螺合位置を調整することによって、誘電体レンズ36とパッチアンテナ30との距離を調整することができる。
【0028】
この距離の調整により、ミリ波アンテナ素子20aでは、誘電体レンズ36の焦点位置がパッチアンテナ30上に位置させられ、高利得のミリ波帯アンテナ素子とされている。同様に、ミリ波帯アンテナ素子20bでは、誘電体レンズ36の焦点位置がパッチアンテナ素子30の幾分前方に位置させられ、中利得のミリ波帯アンテナ素子とされている。ミリ波帯アンテナ素子20cでは、誘電体レンズ36の焦点位置がミリ波帯アンテナ素子20bの焦点位置よりもさらにパッチアンテナ素子30の前方に位置させられ、低利得のミリ波帯アンテナ素子とされている。このように焦点位置の調整によって、様々な異なる利得を有するミリ波帯アンテナ素子を容易に得ることができる。
【0029】
なお、符号42で示すのは、内円筒部38の固定用ネジ、符号44で示すのは、電波通過用の窓である。このアンテナ装置も、第1の実施形態のアンテナ装置と同様に使用される。
【0030】
第1の実施形態では、高周波受信回路6の出力を受信品質判定回路12に供給するように構成したが、第2の実施形態と同様に、各アンテナ素子3a、3b、3cの出力を受信品質判定回路12aに供給するように構成することもできる。また、逆に、第2の実施形態において、高周波受信回路6の出力を受信品質判定回路12に供給するように構成することもできる。上記の両実施形態では、受信品質の判定にC/Nを使用したが、これに限ったものではなく、例えば復調回路8の出力から各アンテナ素子に対応するビットエラーレートを算出し、算出されたビットエラーレートが許容基準範囲内であれば、アンテナの現在の状態を維持し、許容基準範囲外であれば、ビットエラーレートが許容基準範囲内になるようにアンテナを切り換えるようアンテナ利得切換装置4を制御する受信品質判定回路を使用することもできる。或いは各アンテナの受信レベルを検出し、各受信レベルのうち最大のものに対応するアンテナ素子を選択するようにアンテナ利得切換装置4を制御する受信品質判定回路を使用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
2 20 利得可変アンテナ
2a 2b 2c 20a 20b、20c アンテナ素子
12 12a 受信品質判定回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ利得を変化させることが可能なアンテナと、
このアンテナの受信信号の受信品質を判定し、前記アンテナの利得を調整する判定手段とを、
具備するアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1記載のアンテナ装置において、前記アンテナは、利得が異なる複数のアンテナ素子からなり、前記判定手段の判定結果に従って、前記複数のアンテナ素子が切り換えられるアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2記載のアンテナ装置において、前記複数のアンテナ素子は、ミリ波帯用の電波レンズと、この電波レンズを介して伝搬されたミリ波帯の電波を受信するアンテナ部とを、それぞれが有するレンズアンテナであって、前記アンテナ部が前記電波レンズの焦点位置に位置するものと、前記アンテナ部が前記電波レンズの焦点位置以外の位置に位置するものとを、含むアンテナ装置。
【請求項4】
ミリ波帯信号を送信する送信機と、この送信機から離れて配置され、前記ミリ波帯信号を受信する受信機とを、具備し、前記受信機は、請求項1乃至3いずれか記載のアンテナ装置を、受信アンテナとして備える無線伝送システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−147135(P2012−147135A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2506(P2011−2506)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000109668)DXアンテナ株式会社 (394)
【Fターム(参考)】