アンテナ装置及び通信装置
【課題】複数の無線通信手段のためのカプラ及びループアンテナの配置を提供する。
【解決手段】通信装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを含む。カプラは、電気的に非対称であって、第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【解決手段】通信装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを含む。カプラは、電気的に非対称であって、第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信手段のためのアンテナ装置及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Felica(登録商標)、モバイルFelicaなどの非接触通信手段が提案されている。非接触通信手段は、例えばICカード乗車券、社員証、電子決済などの様々な用途で利用されている。Felicaでは、ICカードなどにループ状のアンテナ(以下、単にループアンテナと称する)が配置される(尚、モバイルFelicaでは、携帯電話機などにループアンテナが配置される)。ICカードには給電部が通常設けられないが、Felicaの通信時にリーダ/ライタから送信されるキャリア(13.56MHz)によって電磁誘導が生じ、ループアンテナにおいて電力が発生する。この電力は、ICカード側のループアンテナに接続された通信部(例えば、CPU)を起動するために使用される。また、モバイルFelicaでは携帯電話機などの基板から直接的にループアンテナに電力が供給される。
【0003】
一方、特許文献1に開示されているように、超近距離無線通信手段も提案されつつある。このような超近距離無線通信手段の1つとして、Transfer JET(登録商標)が規格化作業中である。Transfer JETは、カプラの結合電極によって誘導電界を発生させ、これを利用して通信を行う。Transfer JETは、数cm程度の通信距離が想定されており、セキュリティ面などにおいて様々なメリットを持つ。また、Transfer JETは、伝送速度が高く(最大560Mbps)、コンテンツなどの大容量データの伝送に適している。
【0004】
尚、以降の説明において、説明の簡単化のため、非接触通信手段、Felica、モバイルFelica、超近距離無線通信手段、Transfer JETなどを無線通信手段として総称することもある。即ち、非接触通信手段、Felica及びモバイルFelicaを無線通信手段と呼ぶこともあれば、超近距離無線通信手段及びTransfer JETを無線通信手段と呼ぶこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−182714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後、モバイルFelicaのような非接触通信手段と、Transfer JETのような超近距離無線通信手段とを一緒に利用するシーンが想定される。例えばコンテンツの購入時に、モバイルFelicaによって電子決済を行い、Transfer JETによってデータのダウンロードを行うことが想定される。このような利用シーンに対応するためには、モバイルFelicaのループアンテナ及びTransfer JETのカプラの両方を近接させて通信装置(例えば携帯電話機)の筐体内(または筐体外)に配置する必要がある。しかしながら、カプラ及びループアンテナの形状、位置などを十分に吟味しなければ、例えばカプラがループアンテナを介した無線通信を阻害するなどの好ましくない事態が起こる。
【0007】
従って、本発明は複数の無線通信手段のためのカプラ及びループアンテナの配置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備する通信装置において、前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【0009】
本発明の他の態様に係るアンテナ装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備するアンテナ装置において、前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の無線通信手段のためのカプラ及びループアンテナの配置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、対称図形を形成するループアンテナの一例を示す図である。
【図2】図2は、電気的に対称なカプラの一例を示す図である。
【図3】図3は、図1のループアンテナ及び図2のカプラの配置の一例を示す図である。
【図4】図4は、電気的に非対称なカプラの一例を示す図である。
【図5】図5は、図1のループアンテナ及び図4のカプラの配置の一例を示す図である。
【図6A】図6Aは、第1の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図7A】図7Aは、第1の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図8】図8は、非対称図形を形成するループアンテナの一例を示す図である。
【図9】図9は、図8のループアンテナ及び図4のカプラの配置の一例を示す図である。
【図10A】図10Aは、第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図11】図11は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの実装例を示す図である。
【図12】図12は、図11の断面図である。
【図13】図13は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの実装例を示す図である。
【図14】図14は、第1の実施形態に係る通信装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る通信装置は、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を備える。ここで、第1の無線通信手段は、例えばTransfer JETなどのカプラを利用した無線通信手段である。また、第2の無線通信手段は、例えばFelicaまたはモバイルFelicaなどのループアンテナを利用した無線通信手段である。
【0013】
尚、本実施形態に係る通信装置の態様は特に限定されない。通信装置は、例えば携帯電話機、モバイルPCなどの上記第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段以外の通信手段(例えば、音声通信手段、放送波受信手段)を備えた装置であってもよいし、ポータブルミュージックプレイヤーなどの上記第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段以外の通信手段を備えていない装置でもよい。即ち、通信装置は、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を備える任意の装置であってよい。
【0014】
本実施形態に係る通信装置は、例えば図14に示すような携帯電話機であって、制御部100、カプラ111、信号処理部112、ループアンテナ121、信号処理部122、アンテナ131、無線部132、信号処理部133、マイクロホン134、スピーカ135、記憶部140、入力部150、表示制御部161、表示部162、インタフェース171及びリムーバブルメディア172を有している。
【0015】
制御部100は、第1の無線通信データ処理部110及び第2の無線通信データ処理部120を有する。第1の無線通信データ処理部110は、信号処理部112からの第1の受信データを処理したり、第1の送信データを生成したりする。第2の無線通信データ処理部120は、信号処理部122からの第2の受信データを処理したり、第2の送信データを生成したりする。
【0016】
カプラ111は、第1の無線通信を行って、第1の受信信号を受信したり、第1の送信信号を送信したりする。信号処理部112は、カプラ111からの第1の受信信号を第1の受信データに変換するなどの信号処理を行ったり、第1の無線通信データ処理部110からの第1の送信データを第1の送信信号に変換するなどの信号処理を行ったりする。図14の例において、第1の無線通信データ処理部110、カプラ111及び信号処理部112の一部または全部が第1の無線通信手段に相当する。
【0017】
ループアンテナ121は、第2の無線通信を行って、第2の受信信号を受信したり、第2の送信信号を送信したりする。信号処理部122は、ループアンテナ121からの第2の受信信号を第2の受信データに変換するなどの信号処理を行ったり、第2の無線通信データ処理部120からの第2の送信データを第2の送信信号に変換するなどの信号処理を行ったりする。図14の例において、第2の無線通信データ処理部120、ループアンテナ121及び信号処理部122の一部または全部が第2の無線通信手段に相当する。
【0018】
無線部132は、信号処理部133から出力される送信信号を無線周波数帯にアップコンバートし、アンテナ131を介して図示しない移動通信網に収容される基地局装置に送信したり、上記基地局装置から送信された無線信号をアンテナ131を介して受信してベースバンド信号にダウンコンバートしたりする。
【0019】
信号処理部133は、制御部100からの指示に従って動作し、マイクロホン134から入力された音声信号を送信データに変換し、当該送信データに基づいて搬送波を変調した送信信号を生成したり、無線部132から入力されるベースバンド信号を復調して受信データを得て、当該受信データを復号して得た音声信号をスピーカ135より出力したりする。
【0020】
記憶部140は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどの記憶媒体であって、制御部100の制御プログラムや制御データ、ユーザが作成した種々のデータ、リムーバブルメディア172に関わる制御データなどを記憶する。入力部150は、複数のキースイッチ(例えば、いわゆるテンキー)やタッチパネルなどの入力デバイスを用いて、ユーザからの要求を受理するユーザインタフェースを含む。
【0021】
表示制御部161は、制御部100からの指示に従って、表示部162を駆動制御し、制御部100から与えられる表示データに基づく画像信号を表示部162に表示させる。表示部162は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。インタフェース(I/F)172は、リムーバブルメディア172を物理的及び電気的に接続して、データ交換を行うためのインタフェースであって、制御部100によって制御される。
【0022】
第2の無線通信手段によって用いられるループアンテナは、例えば図1に示すような対称図形を形成する。図1のループアンテナは、概ね矩形を形成している。図1において丸印は、図1のループアンテナを使用した場合における第2の無線通信手段の通信中心として推定される位置を示している。尚、通信中心は、最も通信品質が良好な位置または当該位置を含む通信の有効領域(例えば、Felicaマークなど)を指すものとする。
【0023】
通信中心となる位置を推定するための手法は様々考えられるが、本実施形態ではループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定する。ループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。尚、ここでいう重心は厳密さを必要としない。例えば、ループアンテナの形成する図形を近似した近似図形の重心も、ループアンテナを形成する図形の重心として認められる。また、ここで述べた推定手法は、その他の手法を排斥することを意図していない。当業者が妥当性を認めることのできる任意の推定手法が、本実施形態に係る通信装置における第2の無線通信手段の通信中心を推定するために用いられてよい。
【0024】
図1のループアンテナが形成する図形は矩形なので、この図形の幾何学的な重心は容易に導出可能である。例えば、対角線の交点が幾何学的な重心として導出可能である。矩形の対角線の交点を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。また、図1のループアンテナが形成する図形は楕円形などのその他の対称図形であってもよい。ここでいう楕円形は円を含むものとする。ループアンテナが形成する図形が楕円形の場合には、長軸及び短軸の交点が幾何学的な重心として導出可能である。楕円形の長軸及び短軸の交点を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。また、ループアンテナが点対称図形を形成する場合には、当該点対称図形の対称点を幾何学的な重心として導出可能である。一方、ループアンテナが線対称図形を形成する場合には、当該線対称図形の対称軸上に幾何学的な重心が存在するとみなすことができる。
【0025】
第1の無線通信手段によって一般に用いられるカプラは、例えば図2に示すものである。図2のカプラは、対称形状でありその中心付近に給電部が設けられる。即ち、図2のカプラは、電気的に対称である。第1の無線通信手段の通信中心は、カプラの形状に関わらず給電部の位置に略一致すると考えられる。図2のカプラにおいても、図1と同様に、通信中心と推定される位置(給電部の位置)に丸印が図示されている。
【0026】
ここで、本実施形態に係る通信装置において、第1の無線通信手段に係るカプラと、第2の無線通信手段に係るループアンテナとをどのように配置するかが問題となる。ユーザの利便性を考えると、例えば図3に示すように、両者の通信中心が略一致するように配置することが好適であると考えられる。両者の通信中心が略一致するように配置すれば、カプラ及びループアンテナを小面積に構成すると共に、ユーザがコンテンツ購入時などにおいて第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することが可能となる。第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することとは、両者を単に並行して利用すること、一方の利用からシームレスに(ユーザからの追加操作を必要とせずに)他方の利用に移行することなどを意味する。しかしながら、図3の配置は、第2の無線通信手段の通信中心付近にカプラ(即ち金属板)が配置された状態である。第2の無線通信手段の通信中心付近には磁束が集中しており、この領域に金属板を配置することは周囲の磁束を乱し、第2の無線通信手段の通信品質を劣化させるおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る通信装置では、図2に示すような電気的に対称なカプラではなく、電気的に非対称なカプラを使用する。具体的には、対称形状のカプラの幾何学的な中心からオフセットさせた位置に給電部を設けることにより、電気的に非対称なカプラを構成できる。また、カプラが非対称形状であれば、給電部の位置に関わらず当該カプラは電気的に非対称である。例えば、電気的に非対称なカプラとして、図4に示すような非対称形状のカプラが使用可能である。図4のカプラは、縁部に給電部を備えており、給電部の付近に短絡部が設けられる。前述のように、第1の無線通信手段の通信中心は、カプラの形状に関わらず給電部の位置に略一致すると考えられるため、図4のカプラの場合にも縁部に設けられた給電部の位置が第1の無線通信手段の通信中心であると推定できる。図4においても、この第1の無線通信手段の通信中心に丸印が図示されている。
【0028】
本実施形態に係る通信装置では、図1のループアンテナ及び図4のカプラが、図5に示すように配置される。即ち、図5の配置では、図4のカプラの給電部と、図1のループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心とが略一致するように(即ち、第1の通信手段及び第2の通信手段の通信中心とが略一致するように)配置されている。図3の配置に比べて、図5の配置は第2の通信手段の中心付近の領域を覆うカプラ(即ち金属板)の面積が削減されている。故に、図5の配置は図3の配置に比べて、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響を緩和するものと考えられる。
【0029】
以下、ループアンテナの幾何学的な重心位置付近に金属板を配置することによる第2の通信手段への影響を考察するために2つのシミュレーションを提示する。
まず、第1のシミュレーションでは、図6Aに示す20mm角の矩形(正方形)を形成するループアンテナを対象としている。図6Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。第1のシミュレーションでは、図6Aに示すループアンテナの様々な位置に6mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図6Bにおいて、100はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、101はループアンテナの中心に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、102はループアンテナの中心からx方向に+3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、103はループアンテナの中心からy方向に−3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。ループアンテナに金属板を配置しない場合の共振周波数は約13.68MHzであるが、ループアンテナの中心に金属板を配置した場合の共振周波数は約13.76MHzである。一方、ループアンテナの中心からx方向に+3mmオフセットさせて金属板を配置した場合とy方向に−3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の共振周波数は、夫々約13.74MHz及び約13.68MHzである。第1のシミュレーションから、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。これは、ループアンテナの中心付近を覆う金属板の面積が削減されたことに由来すると考えられる。
【0030】
次に、第2のシミュレーションでは、図7Aに示す33mm角の矩形(正方形)を形成するループアンテナを対象としている。図7Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。第2のシミュレーションでは、図7Aに示すループアンテナの様々な位置に15mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図7Bにおいて、200はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、201はループアンテナの中心に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、202はループアンテナの中心からx方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、203はループアンテナの中心からx方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、204はループアンテナの中心からy方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、205はループアンテナの中心からy方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。第2のシミュレーションでもやはり、第1のシミュレーションの結果と同様に、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。
【0031】
このように、カプラの電気的な対称性が崩れることを許容して第2の無線通信手段の中心を覆うカプラの面積を削減することにより、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響を緩和することが可能となる。ところで、図4のカプラのように、縁部に給電部を設ける(電気的な対称性が最も歪むように給電部を設ける)ことは必ずしも必要でない。即ち、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響とのトレードオフで、カプラの給電部の位置を調整する余地がある。
【0032】
以下に、シミュレーションに基づくカプラの給電部の位置に関する考察を述べる。
第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置すると説明したが、この「一致」の程度についても調整の余地がある。第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部を略一致させることは、カプラ及びループアンテナを小面積に構成しつつ第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用可能とすることを典型的な目的としている。しかしながら、両者を単に十分に近接させることによっても、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を問題なく一緒に利用できる。また、カプラ及びループアンテナの面積への要求は、通信装置の現実の設計次第で変動する。故に、各実施形態にいう、第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置することとは、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用可能な程度に両者を近接させて配置することを意味するものとする。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置では、電気的に非対称なカプラと対称図形を形成するループアンテナとを、ループアンテナが形成する対称図形の幾何学的な重心にカプラの給電部が略一致するように配置している。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、ループアンテナの中心付近を覆う金属板の面積を削減できるためカプラがループアンテナを介した無線通信手段に与える悪影響を緩和することができる。故に、本実施形態に係る通信装置によれば、カプラを介した第1の無線通信手段とループアンテナを介した第2の無線通信手段との通信中心を略一致させて配置できるため、カプラ及びループアンテナを小面積に構成すると共に、ユーザがコンテンツ購入時などにおいて第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る通信装置は、非対称図形を形成するループアンテナを使用する点において、前述した第1の実施形態に係る通信装置と異なる。以降の説明では、本実施形態と第1の実施形態との間で異なる部分を中心に述べ、重複する部分を省略する。
【0035】
本実施形態に係る通信装置において、第2の無線通信手段によって用いられるループアンテナは、例えば図8に示すような非対称図形を形成する。図8において丸印は、図8のループアンテナを使用した場合の第2の無線通信手段の通信中心と推定される位置を示している。通信中心となる位置を推定するための手法は様々であり、前述した第1の実施形態ではループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することを提案している。この推定手法は本実施形態にも適用可能であり、ループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。しかしながら、対称図形に比べて非対称図形の幾何学的な重心を導出することは容易でないという問題がある。故に、本実施形態では、ループアンテナが非対称図形を形成する場合において、幾何学的な重心の簡易な推定手法を提案する。
【0036】
図8のループアンテナが形成する図形は非対称図形であるものの、例えば線分C−Fまたは線分C−Hのような切り出し線によって、夫々、矩形BFGA及び矩形DEGHを切り出すことが可能である。これら矩形BFGA及び矩形DEGHは、対称図形であるから幾何学的な重心を容易に導出できる(例えば、対角線の交点を求めればよい)。本実施形態では、これら切り出された図形の幾何学的な重心を、実際にループアンテナが形成する非対称図形の幾何学的な重心(即ち、第2の無線通信手段の通信中心)として推定することとする。しかしながら、非対称図形から切り出し可能な対称図形は無数に考えられ、いずれの対称図形を切り出すべきかを選択するための指針が必要となる。そこで、本実施形態では、ループアンテナの形成する非対称図形から切り出し可能な対称図形のうち最も面積の大きい図形を切り出すこととする。例えば、図8のループアンテナの場合であれば、切り出し線C−Fによって矩形BFGAを切り出すこととし、切り出し線C−Hまたはその他の切り出し線によって切り出し可能な対称図形を切り出さない。切り出した矩形BFGAの幾何学的な重心(即ち、対角線B−G及び対角線F−Aの交点)が、図8のループアンテナの通信中心として推定される。このように、最も面積が大きくなるように切り出された対称図形の幾何学的な重心(例えば矩形の対角線の交点)を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。そして、例えば図9に示すように、図4において示したような非対称形状のカプラが、図8のループアンテナを介した第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置される。
【0037】
尚、図8の他にも様々な非対称図形を形成するループアンテナに対してこの推定手法は適用可能である。また、切り出し線は、切り出される対称図形次第で、直線、曲線及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0038】
以下、第1の実施形態と同様に、ループアンテナの幾何学的な重心位置付近に金属板を配置することによる第2の通信手段への影響を考察するためのシミュレーションを提示する。
このシミュレーションでは、図10Aに示す非対称図形を形成するループアンテナを対象としている。図10Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。このシミュレーションでは、図10Aに示すループアンテナの様々な位置に15mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図10Bにおいて、300はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、301はループアンテナの中心(前述した推定手法によって推定された通信中心)に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、302はループアンテナの中心からy方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、303はループアンテナの中心からy方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。
【0039】
このシミュレーションでもやはり、第1の実施形態において提示したシミュレーションの結果と同様に、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置では、ループアンテナが形成する非対称図形から切り出し可能な対象図形のうち最も面積の大きい対象図形の幾何学的な重心を、当該ループアンテナを介した無線通信手段の通信中心と推定している。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、ループアンテナが非対称図形を形成する場合にも当該ループアンテナを介した無線通信手段の通信中心を容易に推定し、前述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置(特に、カプラ及びループアンテナ)の実装に関する。前述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、カプラ及びループアンテナの配置について述べている。本実施形態では、これらカプラ及びループアンテナの具体的な実装を提案する。
【0042】
図11及び図12に示すように、カプラ10及びループアンテナ20は、例えばフレキシブルプリント基板30またはフィルム基板上で同一平面に形成されてよい。このようにカプラ10及びループアンテナ20を形成する場合、フレキシブルプリント基板30またはフィルム基板は、通信装置などの筐体(図示しない)と基板50との間に配置される。基板50から給電バネ40を介してカプラ10及びループアンテナ20に対して給電を行うことができる。
【0043】
また、図13に示すように、カプラ10及びループアンテナ20は通信装置などの筐体60に印刷されてもよい。この場合にも、筐体60に対向して配置される基板50から給電バネ40を介して給電を行うことができる。
【0044】
以上説明したように本実施形態に係る通信装置において、カプラ及びループアンテナはフレキシブルプリント基板上で同一平面に形成され、或いは、通信装置の筐体に印刷されている。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態に従って配置されるカプラ及びループアンテナを安価に実装することが可能となる。
【0045】
尚、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0046】
例えば、前述した第1乃至第3の実施形態において通信装置を説明しているが、当業者であれば上記説明に従ってループアンテナ及びカプラを配置することにより、通信装置とは独立のアンテナ装置を構成することも可能である。即ち、上記説明に従って、カプラ及びループアンテナを配置して構成されるアンテナ装置も本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0047】
10・・・カプラ
20・・・ループアンテナ
30・・・フレキシブルプリント基板
40・・・給電バネ
50・・・基板
60・・・筐体
100・・・制御部
110・・・第1の無線通信データ処理部
111・・・カプラ
112・・・信号処理部
120・・・第2の無線通信データ処理部
121・・・ループアンテナ
122・・・信号処理部
131・・・アンテナ
132・・・無線部
133・・・信号処理部
134・・・マイクロホン
135・・・スピーカ
140・・・記憶部
150・・・入力部
161・・・表示制御部
162・・・表示部
171・・・インタフェース
172・・・リムーバブルメディア
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の無線通信手段のためのアンテナ装置及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、Felica(登録商標)、モバイルFelicaなどの非接触通信手段が提案されている。非接触通信手段は、例えばICカード乗車券、社員証、電子決済などの様々な用途で利用されている。Felicaでは、ICカードなどにループ状のアンテナ(以下、単にループアンテナと称する)が配置される(尚、モバイルFelicaでは、携帯電話機などにループアンテナが配置される)。ICカードには給電部が通常設けられないが、Felicaの通信時にリーダ/ライタから送信されるキャリア(13.56MHz)によって電磁誘導が生じ、ループアンテナにおいて電力が発生する。この電力は、ICカード側のループアンテナに接続された通信部(例えば、CPU)を起動するために使用される。また、モバイルFelicaでは携帯電話機などの基板から直接的にループアンテナに電力が供給される。
【0003】
一方、特許文献1に開示されているように、超近距離無線通信手段も提案されつつある。このような超近距離無線通信手段の1つとして、Transfer JET(登録商標)が規格化作業中である。Transfer JETは、カプラの結合電極によって誘導電界を発生させ、これを利用して通信を行う。Transfer JETは、数cm程度の通信距離が想定されており、セキュリティ面などにおいて様々なメリットを持つ。また、Transfer JETは、伝送速度が高く(最大560Mbps)、コンテンツなどの大容量データの伝送に適している。
【0004】
尚、以降の説明において、説明の簡単化のため、非接触通信手段、Felica、モバイルFelica、超近距離無線通信手段、Transfer JETなどを無線通信手段として総称することもある。即ち、非接触通信手段、Felica及びモバイルFelicaを無線通信手段と呼ぶこともあれば、超近距離無線通信手段及びTransfer JETを無線通信手段と呼ぶこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−182714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
今後、モバイルFelicaのような非接触通信手段と、Transfer JETのような超近距離無線通信手段とを一緒に利用するシーンが想定される。例えばコンテンツの購入時に、モバイルFelicaによって電子決済を行い、Transfer JETによってデータのダウンロードを行うことが想定される。このような利用シーンに対応するためには、モバイルFelicaのループアンテナ及びTransfer JETのカプラの両方を近接させて通信装置(例えば携帯電話機)の筐体内(または筐体外)に配置する必要がある。しかしながら、カプラ及びループアンテナの形状、位置などを十分に吟味しなければ、例えばカプラがループアンテナを介した無線通信を阻害するなどの好ましくない事態が起こる。
【0007】
従って、本発明は複数の無線通信手段のためのカプラ及びループアンテナの配置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る通信装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備する通信装置において、前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【0009】
本発明の他の態様に係るアンテナ装置は、第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備するアンテナ装置において、前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の無線通信手段のためのカプラ及びループアンテナの配置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、対称図形を形成するループアンテナの一例を示す図である。
【図2】図2は、電気的に対称なカプラの一例を示す図である。
【図3】図3は、図1のループアンテナ及び図2のカプラの配置の一例を示す図である。
【図4】図4は、電気的に非対称なカプラの一例を示す図である。
【図5】図5は、図1のループアンテナ及び図4のカプラの配置の一例を示す図である。
【図6A】図6Aは、第1の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図7A】図7Aは、第1の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図7B】図7Bは、図7Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図8】図8は、非対称図形を形成するループアンテナの一例を示す図である。
【図9】図9は、図8のループアンテナ及び図4のカプラの配置の一例を示す図である。
【図10A】図10Aは、第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの配置の効果を確認するためのシミュレーション条件の説明図である。
【図10B】図10Bは、図10Aのシミュレーション条件に基づくシミュレーション結果を示すグラフ図である。
【図11】図11は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの実装例を示す図である。
【図12】図12は、図11の断面図である。
【図13】図13は、第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置におけるカプラ及びループアンテナの実装例を示す図である。
【図14】図14は、第1の実施形態に係る通信装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る通信装置は、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を備える。ここで、第1の無線通信手段は、例えばTransfer JETなどのカプラを利用した無線通信手段である。また、第2の無線通信手段は、例えばFelicaまたはモバイルFelicaなどのループアンテナを利用した無線通信手段である。
【0013】
尚、本実施形態に係る通信装置の態様は特に限定されない。通信装置は、例えば携帯電話機、モバイルPCなどの上記第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段以外の通信手段(例えば、音声通信手段、放送波受信手段)を備えた装置であってもよいし、ポータブルミュージックプレイヤーなどの上記第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段以外の通信手段を備えていない装置でもよい。即ち、通信装置は、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を備える任意の装置であってよい。
【0014】
本実施形態に係る通信装置は、例えば図14に示すような携帯電話機であって、制御部100、カプラ111、信号処理部112、ループアンテナ121、信号処理部122、アンテナ131、無線部132、信号処理部133、マイクロホン134、スピーカ135、記憶部140、入力部150、表示制御部161、表示部162、インタフェース171及びリムーバブルメディア172を有している。
【0015】
制御部100は、第1の無線通信データ処理部110及び第2の無線通信データ処理部120を有する。第1の無線通信データ処理部110は、信号処理部112からの第1の受信データを処理したり、第1の送信データを生成したりする。第2の無線通信データ処理部120は、信号処理部122からの第2の受信データを処理したり、第2の送信データを生成したりする。
【0016】
カプラ111は、第1の無線通信を行って、第1の受信信号を受信したり、第1の送信信号を送信したりする。信号処理部112は、カプラ111からの第1の受信信号を第1の受信データに変換するなどの信号処理を行ったり、第1の無線通信データ処理部110からの第1の送信データを第1の送信信号に変換するなどの信号処理を行ったりする。図14の例において、第1の無線通信データ処理部110、カプラ111及び信号処理部112の一部または全部が第1の無線通信手段に相当する。
【0017】
ループアンテナ121は、第2の無線通信を行って、第2の受信信号を受信したり、第2の送信信号を送信したりする。信号処理部122は、ループアンテナ121からの第2の受信信号を第2の受信データに変換するなどの信号処理を行ったり、第2の無線通信データ処理部120からの第2の送信データを第2の送信信号に変換するなどの信号処理を行ったりする。図14の例において、第2の無線通信データ処理部120、ループアンテナ121及び信号処理部122の一部または全部が第2の無線通信手段に相当する。
【0018】
無線部132は、信号処理部133から出力される送信信号を無線周波数帯にアップコンバートし、アンテナ131を介して図示しない移動通信網に収容される基地局装置に送信したり、上記基地局装置から送信された無線信号をアンテナ131を介して受信してベースバンド信号にダウンコンバートしたりする。
【0019】
信号処理部133は、制御部100からの指示に従って動作し、マイクロホン134から入力された音声信号を送信データに変換し、当該送信データに基づいて搬送波を変調した送信信号を生成したり、無線部132から入力されるベースバンド信号を復調して受信データを得て、当該受信データを復号して得た音声信号をスピーカ135より出力したりする。
【0020】
記憶部140は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、ハードディスクなどの記憶媒体であって、制御部100の制御プログラムや制御データ、ユーザが作成した種々のデータ、リムーバブルメディア172に関わる制御データなどを記憶する。入力部150は、複数のキースイッチ(例えば、いわゆるテンキー)やタッチパネルなどの入力デバイスを用いて、ユーザからの要求を受理するユーザインタフェースを含む。
【0021】
表示制御部161は、制御部100からの指示に従って、表示部162を駆動制御し、制御部100から与えられる表示データに基づく画像信号を表示部162に表示させる。表示部162は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどである。インタフェース(I/F)172は、リムーバブルメディア172を物理的及び電気的に接続して、データ交換を行うためのインタフェースであって、制御部100によって制御される。
【0022】
第2の無線通信手段によって用いられるループアンテナは、例えば図1に示すような対称図形を形成する。図1のループアンテナは、概ね矩形を形成している。図1において丸印は、図1のループアンテナを使用した場合における第2の無線通信手段の通信中心として推定される位置を示している。尚、通信中心は、最も通信品質が良好な位置または当該位置を含む通信の有効領域(例えば、Felicaマークなど)を指すものとする。
【0023】
通信中心となる位置を推定するための手法は様々考えられるが、本実施形態ではループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定する。ループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。尚、ここでいう重心は厳密さを必要としない。例えば、ループアンテナの形成する図形を近似した近似図形の重心も、ループアンテナを形成する図形の重心として認められる。また、ここで述べた推定手法は、その他の手法を排斥することを意図していない。当業者が妥当性を認めることのできる任意の推定手法が、本実施形態に係る通信装置における第2の無線通信手段の通信中心を推定するために用いられてよい。
【0024】
図1のループアンテナが形成する図形は矩形なので、この図形の幾何学的な重心は容易に導出可能である。例えば、対角線の交点が幾何学的な重心として導出可能である。矩形の対角線の交点を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。また、図1のループアンテナが形成する図形は楕円形などのその他の対称図形であってもよい。ここでいう楕円形は円を含むものとする。ループアンテナが形成する図形が楕円形の場合には、長軸及び短軸の交点が幾何学的な重心として導出可能である。楕円形の長軸及び短軸の交点を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。また、ループアンテナが点対称図形を形成する場合には、当該点対称図形の対称点を幾何学的な重心として導出可能である。一方、ループアンテナが線対称図形を形成する場合には、当該線対称図形の対称軸上に幾何学的な重心が存在するとみなすことができる。
【0025】
第1の無線通信手段によって一般に用いられるカプラは、例えば図2に示すものである。図2のカプラは、対称形状でありその中心付近に給電部が設けられる。即ち、図2のカプラは、電気的に対称である。第1の無線通信手段の通信中心は、カプラの形状に関わらず給電部の位置に略一致すると考えられる。図2のカプラにおいても、図1と同様に、通信中心と推定される位置(給電部の位置)に丸印が図示されている。
【0026】
ここで、本実施形態に係る通信装置において、第1の無線通信手段に係るカプラと、第2の無線通信手段に係るループアンテナとをどのように配置するかが問題となる。ユーザの利便性を考えると、例えば図3に示すように、両者の通信中心が略一致するように配置することが好適であると考えられる。両者の通信中心が略一致するように配置すれば、カプラ及びループアンテナを小面積に構成すると共に、ユーザがコンテンツ購入時などにおいて第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することが可能となる。第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することとは、両者を単に並行して利用すること、一方の利用からシームレスに(ユーザからの追加操作を必要とせずに)他方の利用に移行することなどを意味する。しかしながら、図3の配置は、第2の無線通信手段の通信中心付近にカプラ(即ち金属板)が配置された状態である。第2の無線通信手段の通信中心付近には磁束が集中しており、この領域に金属板を配置することは周囲の磁束を乱し、第2の無線通信手段の通信品質を劣化させるおそれがある。
【0027】
そこで、本実施形態に係る通信装置では、図2に示すような電気的に対称なカプラではなく、電気的に非対称なカプラを使用する。具体的には、対称形状のカプラの幾何学的な中心からオフセットさせた位置に給電部を設けることにより、電気的に非対称なカプラを構成できる。また、カプラが非対称形状であれば、給電部の位置に関わらず当該カプラは電気的に非対称である。例えば、電気的に非対称なカプラとして、図4に示すような非対称形状のカプラが使用可能である。図4のカプラは、縁部に給電部を備えており、給電部の付近に短絡部が設けられる。前述のように、第1の無線通信手段の通信中心は、カプラの形状に関わらず給電部の位置に略一致すると考えられるため、図4のカプラの場合にも縁部に設けられた給電部の位置が第1の無線通信手段の通信中心であると推定できる。図4においても、この第1の無線通信手段の通信中心に丸印が図示されている。
【0028】
本実施形態に係る通信装置では、図1のループアンテナ及び図4のカプラが、図5に示すように配置される。即ち、図5の配置では、図4のカプラの給電部と、図1のループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心とが略一致するように(即ち、第1の通信手段及び第2の通信手段の通信中心とが略一致するように)配置されている。図3の配置に比べて、図5の配置は第2の通信手段の中心付近の領域を覆うカプラ(即ち金属板)の面積が削減されている。故に、図5の配置は図3の配置に比べて、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響を緩和するものと考えられる。
【0029】
以下、ループアンテナの幾何学的な重心位置付近に金属板を配置することによる第2の通信手段への影響を考察するために2つのシミュレーションを提示する。
まず、第1のシミュレーションでは、図6Aに示す20mm角の矩形(正方形)を形成するループアンテナを対象としている。図6Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。第1のシミュレーションでは、図6Aに示すループアンテナの様々な位置に6mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図6Bにおいて、100はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、101はループアンテナの中心に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、102はループアンテナの中心からx方向に+3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、103はループアンテナの中心からy方向に−3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。ループアンテナに金属板を配置しない場合の共振周波数は約13.68MHzであるが、ループアンテナの中心に金属板を配置した場合の共振周波数は約13.76MHzである。一方、ループアンテナの中心からx方向に+3mmオフセットさせて金属板を配置した場合とy方向に−3mmオフセットさせて金属板を配置した場合の共振周波数は、夫々約13.74MHz及び約13.68MHzである。第1のシミュレーションから、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。これは、ループアンテナの中心付近を覆う金属板の面積が削減されたことに由来すると考えられる。
【0030】
次に、第2のシミュレーションでは、図7Aに示す33mm角の矩形(正方形)を形成するループアンテナを対象としている。図7Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。第2のシミュレーションでは、図7Aに示すループアンテナの様々な位置に15mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図7Bにおいて、200はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、201はループアンテナの中心に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、202はループアンテナの中心からx方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、203はループアンテナの中心からx方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、204はループアンテナの中心からy方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、205はループアンテナの中心からy方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。第2のシミュレーションでもやはり、第1のシミュレーションの結果と同様に、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。
【0031】
このように、カプラの電気的な対称性が崩れることを許容して第2の無線通信手段の中心を覆うカプラの面積を削減することにより、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響を緩和することが可能となる。ところで、図4のカプラのように、縁部に給電部を設ける(電気的な対称性が最も歪むように給電部を設ける)ことは必ずしも必要でない。即ち、カプラが第2の無線通信手段に与える悪影響とのトレードオフで、カプラの給電部の位置を調整する余地がある。
【0032】
以下に、シミュレーションに基づくカプラの給電部の位置に関する考察を述べる。
第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置すると説明したが、この「一致」の程度についても調整の余地がある。第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部を略一致させることは、カプラ及びループアンテナを小面積に構成しつつ第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用可能とすることを典型的な目的としている。しかしながら、両者を単に十分に近接させることによっても、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を問題なく一緒に利用できる。また、カプラ及びループアンテナの面積への要求は、通信装置の現実の設計次第で変動する。故に、各実施形態にいう、第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置することとは、第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用可能な程度に両者を近接させて配置することを意味するものとする。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置では、電気的に非対称なカプラと対称図形を形成するループアンテナとを、ループアンテナが形成する対称図形の幾何学的な重心にカプラの給電部が略一致するように配置している。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、ループアンテナの中心付近を覆う金属板の面積を削減できるためカプラがループアンテナを介した無線通信手段に与える悪影響を緩和することができる。故に、本実施形態に係る通信装置によれば、カプラを介した第1の無線通信手段とループアンテナを介した第2の無線通信手段との通信中心を略一致させて配置できるため、カプラ及びループアンテナを小面積に構成すると共に、ユーザがコンテンツ購入時などにおいて第1の無線通信手段及び第2の無線通信手段を一緒に利用することが可能となる。
【0034】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る通信装置は、非対称図形を形成するループアンテナを使用する点において、前述した第1の実施形態に係る通信装置と異なる。以降の説明では、本実施形態と第1の実施形態との間で異なる部分を中心に述べ、重複する部分を省略する。
【0035】
本実施形態に係る通信装置において、第2の無線通信手段によって用いられるループアンテナは、例えば図8に示すような非対称図形を形成する。図8において丸印は、図8のループアンテナを使用した場合の第2の無線通信手段の通信中心と推定される位置を示している。通信中心となる位置を推定するための手法は様々であり、前述した第1の実施形態ではループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することを提案している。この推定手法は本実施形態にも適用可能であり、ループアンテナの形成する図形の幾何学的な重心を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。しかしながら、対称図形に比べて非対称図形の幾何学的な重心を導出することは容易でないという問題がある。故に、本実施形態では、ループアンテナが非対称図形を形成する場合において、幾何学的な重心の簡易な推定手法を提案する。
【0036】
図8のループアンテナが形成する図形は非対称図形であるものの、例えば線分C−Fまたは線分C−Hのような切り出し線によって、夫々、矩形BFGA及び矩形DEGHを切り出すことが可能である。これら矩形BFGA及び矩形DEGHは、対称図形であるから幾何学的な重心を容易に導出できる(例えば、対角線の交点を求めればよい)。本実施形態では、これら切り出された図形の幾何学的な重心を、実際にループアンテナが形成する非対称図形の幾何学的な重心(即ち、第2の無線通信手段の通信中心)として推定することとする。しかしながら、非対称図形から切り出し可能な対称図形は無数に考えられ、いずれの対称図形を切り出すべきかを選択するための指針が必要となる。そこで、本実施形態では、ループアンテナの形成する非対称図形から切り出し可能な対称図形のうち最も面積の大きい図形を切り出すこととする。例えば、図8のループアンテナの場合であれば、切り出し線C−Fによって矩形BFGAを切り出すこととし、切り出し線C−Hまたはその他の切り出し線によって切り出し可能な対称図形を切り出さない。切り出した矩形BFGAの幾何学的な重心(即ち、対角線B−G及び対角線F−Aの交点)が、図8のループアンテナの通信中心として推定される。このように、最も面積が大きくなるように切り出された対称図形の幾何学的な重心(例えば矩形の対角線の交点)を通信中心と推定することにより、実際にループアンテナの通信中心を決定するための解析を省略することが可能となる。そして、例えば図9に示すように、図4において示したような非対称形状のカプラが、図8のループアンテナを介した第2の無線通信手段の通信中心にカプラの給電部が略一致するように配置される。
【0037】
尚、図8の他にも様々な非対称図形を形成するループアンテナに対してこの推定手法は適用可能である。また、切り出し線は、切り出される対称図形次第で、直線、曲線及びこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0038】
以下、第1の実施形態と同様に、ループアンテナの幾何学的な重心位置付近に金属板を配置することによる第2の通信手段への影響を考察するためのシミュレーションを提示する。
このシミュレーションでは、図10Aに示す非対称図形を形成するループアンテナを対象としている。図10Aのループアンテナは、左辺中央部付近に給電部を有している。このシミュレーションでは、図10Aに示すループアンテナの様々な位置に15mm角の金属板を配置した場合の共振周波数の変動を確認する。図10Bにおいて、300はループアンテナに金属板を配置しない場合の周波数特性を表し、301はループアンテナの中心(前述した推定手法によって推定された通信中心)に金属板を配置した場合の周波数特性を表し、302はループアンテナの中心からy方向に+7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表し、303はループアンテナの中心からy方向に−7.5mmオフセットさせて金属板を配置した場合の周波数特性を表す。
【0039】
このシミュレーションでもやはり、第1の実施形態において提示したシミュレーションの結果と同様に、ループアンテナの中心に金属板を配置する場合に比べて、中心からオフセットさせて金属板を配置する場合の方が共振周波数の変動を緩和できることが読みとれる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る通信装置では、ループアンテナが形成する非対称図形から切り出し可能な対象図形のうち最も面積の大きい対象図形の幾何学的な重心を、当該ループアンテナを介した無線通信手段の通信中心と推定している。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、ループアンテナが非対称図形を形成する場合にも当該ループアンテナを介した無線通信手段の通信中心を容易に推定し、前述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0041】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態は、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態に係る通信装置(特に、カプラ及びループアンテナ)の実装に関する。前述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、カプラ及びループアンテナの配置について述べている。本実施形態では、これらカプラ及びループアンテナの具体的な実装を提案する。
【0042】
図11及び図12に示すように、カプラ10及びループアンテナ20は、例えばフレキシブルプリント基板30またはフィルム基板上で同一平面に形成されてよい。このようにカプラ10及びループアンテナ20を形成する場合、フレキシブルプリント基板30またはフィルム基板は、通信装置などの筐体(図示しない)と基板50との間に配置される。基板50から給電バネ40を介してカプラ10及びループアンテナ20に対して給電を行うことができる。
【0043】
また、図13に示すように、カプラ10及びループアンテナ20は通信装置などの筐体60に印刷されてもよい。この場合にも、筐体60に対向して配置される基板50から給電バネ40を介して給電を行うことができる。
【0044】
以上説明したように本実施形態に係る通信装置において、カプラ及びループアンテナはフレキシブルプリント基板上で同一平面に形成され、或いは、通信装置の筐体に印刷されている。従って、本実施形態に係る通信装置によれば、前述した第1の実施形態及び第2の実施形態に従って配置されるカプラ及びループアンテナを安価に実装することが可能となる。
【0045】
尚、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0046】
例えば、前述した第1乃至第3の実施形態において通信装置を説明しているが、当業者であれば上記説明に従ってループアンテナ及びカプラを配置することにより、通信装置とは独立のアンテナ装置を構成することも可能である。即ち、上記説明に従って、カプラ及びループアンテナを配置して構成されるアンテナ装置も本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0047】
10・・・カプラ
20・・・ループアンテナ
30・・・フレキシブルプリント基板
40・・・給電バネ
50・・・基板
60・・・筐体
100・・・制御部
110・・・第1の無線通信データ処理部
111・・・カプラ
112・・・信号処理部
120・・・第2の無線通信データ処理部
121・・・ループアンテナ
122・・・信号処理部
131・・・アンテナ
132・・・無線部
133・・・信号処理部
134・・・マイクロホン
135・・・スピーカ
140・・・記憶部
150・・・入力部
161・・・表示制御部
162・・・表示部
171・・・インタフェース
172・・・リムーバブルメディア
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備する通信装置において、
前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される通信装置。
【請求項2】
前記ループアンテナは対称図形を形成し、
前記カプラは前記対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記ループアンテナは矩形を形成し、
前記カプラは前記矩形における対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記ループアンテナは楕円形を形成し、
前記カプラは前記楕円形の長軸及び短軸の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
前記ループアンテナは非対称図形を形成し、
前記カプラは前記非対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの対称図形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記対称図形を切り出した場合における当該対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの矩形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記矩形を切り出した場合における当該矩形の対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
前記カプラ及び前記ループアンテナが同じ平面に形成されている請求項1記載の通信装置。
【請求項9】
前記カプラ及び前記ループアンテナが前記通信装置の筐体に印刷されている請求項1記載の通信装置。
【請求項10】
第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備するアンテナ装置において、
前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置されるアンテナ装置。
【請求項11】
前記ループアンテナは対称図形を形成し、
前記カプラは前記対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記ループアンテナは矩形を形成し、
前記カプラは前記矩形における対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記ループアンテナは楕円形を形成し、
前記カプラは前記楕円形の長軸及び短軸の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記ループアンテナは非対称図形を形成し、
前記カプラは前記非対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの対称図形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記対称図形を切り出した場合における当該対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項14記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの矩形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記矩形を切り出した場合における当該矩形の対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項15記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記カプラ及び前記ループアンテナが同じ平面に形成されている請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記カプラ及び前記ループアンテナが前記アンテナ装置の筐体に印刷されている請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項1】
第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備する通信装置において、
前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置される通信装置。
【請求項2】
前記ループアンテナは対称図形を形成し、
前記カプラは前記対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記ループアンテナは矩形を形成し、
前記カプラは前記矩形における対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項2記載の通信装置。
【請求項4】
前記ループアンテナは楕円形を形成し、
前記カプラは前記楕円形の長軸及び短軸の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項2記載の通信装置。
【請求項5】
前記ループアンテナは非対称図形を形成し、
前記カプラは前記非対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項1記載の通信装置。
【請求項6】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの対称図形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記対称図形を切り出した場合における当該対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項5記載の通信装置。
【請求項7】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの矩形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記矩形を切り出した場合における当該矩形の対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項6記載の通信装置。
【請求項8】
前記カプラ及び前記ループアンテナが同じ平面に形成されている請求項1記載の通信装置。
【請求項9】
前記カプラ及び前記ループアンテナが前記通信装置の筐体に印刷されている請求項1記載の通信装置。
【請求項10】
第1の無線通信のためのカプラと、第2の無線通信のためのループアンテナとを具備するアンテナ装置において、
前記カプラは、電気的に非対称であって、前記第2の無線通信の中心位置に給電部が略一致するように配置されるアンテナ装置。
【請求項11】
前記ループアンテナは対称図形を形成し、
前記カプラは前記対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記ループアンテナは矩形を形成し、
前記カプラは前記矩形における対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記ループアンテナは楕円形を形成し、
前記カプラは前記楕円形の長軸及び短軸の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項11記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記ループアンテナは非対称図形を形成し、
前記カプラは前記非対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項15】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの対称図形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記対称図形を切り出した場合における当該対称図形の幾何学的な重心に前記給電部が略一致するように配置される請求項14記載のアンテナ装置。
【請求項16】
前記ループアンテナは、切り出し線によって1つの矩形を切り出し可能な非対称図形を形成し、
前記カプラは、面積が最も大きくなるように前記非対称図形から前記矩形を切り出した場合における当該矩形の対角線の交点に前記給電部が略一致するように配置される請求項15記載のアンテナ装置。
【請求項17】
前記カプラ及び前記ループアンテナが同じ平面に形成されている請求項10記載のアンテナ装置。
【請求項18】
前記カプラ及び前記ループアンテナが前記アンテナ装置の筐体に印刷されている請求項10記載のアンテナ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−66541(P2011−66541A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213623(P2009−213623)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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