説明

アンテナ装置

【課題】指向性が4方向となり、F/B比の大きい、小型のアンテナ装置を実現する。
【解決手段】異なる4方向に対して電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置である。線状アンテナ10は、第1線路11とこの第1線路に平行な第2線路12とから成る線状アンテナ10であって、第1線路と第2線路の根元部に給電/受電点13を有し、第1線路と第2線路の先端部に終端抵抗14で構成されている。給電/受電点から終端抵抗に向かうベクトルをアンテナの配向ベクトルとすると、向かい合う一対の第1組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、向かい合う他の一対の第2組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、第1組のアンテナの配向ベクトルと第2組のアンテナの配向ベクトルの向きは、平行ではないように、4本のアンテナ10、20、30、40が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる4方向に対して電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置に関する。特に、自動車のタイヤ空気圧検出装置に応用できるアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されたアンテナ装置が知られている。このアンテナ装置は、接地導体の中央部に立設された給電アンテナと、その周囲に立設された無給電で、リアクタンスが可変制御できる複数のアンテナとからなるアンテナ装置である。この装置では、周囲のアンテナのリアクタンスを電気的に変化させることで、アンテナの指向性を制御するものである。
【0003】
また、下記特許文献2には、直方体をした筐体の異なる面にループアンテナを設けて、各ループアンテナにおける受信電波を切り換えて受信することで感度を向上させた小型携帯受信装置用のアンテナが開示されている。
【0004】
また、下記特許文献3には、直交する2面にループアンテナを配置して、アンテナを選択して、指向性を切り換えることで、雑音に強い、ワイヤレスマウスのアンテナ装置が開示されている。
【0005】
また、下記特許文献4には、タイヤ空気圧検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−24431
【特許文献2】特開平11−88246
【特許文献3】特開2003−298331
【特許文献4】特開2005−162192
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献1のアンテナ装置は、接地導体上に立設されるアンテナの長さがλ/4、中心の給電アンテナと周辺の無給電アンテナとの間隔がλ/4であり、最低でも、直径、λ/2、高さλ/4の容積が必要である。また、特許文献2、3では、直交する面に、ループ長が1波長のループアンテナを配置する関係上、アンテナ装置が大きくなる。特に、自動車のタイヤ空気圧を検出するシステムの場合には、周波数315MHzの電波が使用されており、この場合には、アンテナの大きさが50cm程度になり、実現性がないものとなっている。タイヤ空気圧検出システムにおいては、4輪から送信されるタイヤ空気圧データを受信するアンテナ装置は、自動車の車室内の天井部に設ける必要があるので、できる限り小型化する必要があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、異なる4方向から到来する電波を選択的に検出することが可能なアンテナ装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置において、第1線路とこの第1線路に平行な第2線路とから成る線状アンテナであって、第1線路と第2線路の根元部に給電/受電点を有し、第1線路と第2線路の先端部に終端抵抗を有したことを特徴とするアンテナ装置である。
【0010】
第2の発明は、異なる4方向に対して電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置において、第1線路とこの第1線路に平行な第2線路とから成る線状アンテナであって、第1線路と第2線路の根元部に給電/受電点を有し、第1線路と第2線路の先端部に終端抵抗を有したアンテナを、前記給電/受電点から前記終端抵抗に向かうベクトルをアンテナの配向ベクトルとすると、向かい合う一対の第1組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、向かい合う他の一対の第2組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、第1組のアンテナの配向ベクトルと前記第2組のアンテナの配向ベクトルの向きは、平行ではないように、4本のアンテナが配置されていることを特徴とするアンテナ装置である。
【0011】
本第1、第2発明は、電波を放射するアンテナであっても、電波を受信するアンテナであっても良い。本明細書においては、放射アンテナの場合には、給電点の用語が用いられ、受信アンテナの場合には、信号を出力する受電点の用語が用いられる。動作原理は、放射アンテナであっても、受信アンテナであっても同一である。したがって、放射アンテナについて説明する。第1発明は、第1線路と第2線路とから成る1本のアンテナであり、第2発明は、4本のアンテナで構成されている。
【0012】
本発明は、給電点から終端抵抗に向けて一方向に給電するもので、インピーダンス整合した終端抵抗に達した電磁界は、終端抵抗で吸収されて、反射されない。すなわち、この線状アンテナには、第1線路と第2線路とを給電点から終端抵抗に向けて光速度で進行波が伝搬し、定在波はたたない。この結果、一つの線状アンテナにおいて、終端抵抗に向かう経路の全ての微小部分で、その位置におけるその時の位相を初期位相として、電波の放射が行われる。この放射電波の初期位相は、終端抵抗に向かうに連れて、進む。また、線状アンテナの各微小部分でその初期位相で放射された電波は、光速度で空間を伝搬して遅延するので、その遅延時間前に放射されている初期位相が遅れている位相の電波と、等位相面を形成する。したがって、電波の等位相面は、線状アンテナに垂直な面となり、その放射電波の進行方向は、線状アンテナの長さ方向で、終端点から給電点に向かう向きとなる。すなわち、線状アンテナの長さ方向であって終端抵抗から給電点に向かう方向の指向性を示すことになる。逆に、給電点から終端抵抗に向かう向きに放射される電波は、等位相面を形成しない。したがって、F/B(前方放射/後方放射)比の大きいアンテナを形成することができる。受信アンテナの場合も同様に、線状アンテナの長さ方向であって、受電点から終端抵抗に向かう向きに、進行する電波を、等位相面で受信することができる。したがって、線状アンテナの長さ方向であって、受電点から終端抵抗に向かう向きに指向性を有したF/B比の大きな受信アンテナとすることができる。
【0013】
終端抵抗を線状アンテナに対してインピーダンス整合させれば、上記のように、線状アンテナの長さ方向で、終端抵抗から給電点に向かう向きに指向性を有し、高F/B比を有したアンテナとなる。この終端抵抗が線状アンテナに対してインピーダンス整合していな場合には、線状アンテナに定在波が生じ、指向性が線状アンテナの長さ方向からずれたものとなる。
【0014】
このように、第1発明では、一方向に対して、F/B比の大きな送信アンテナ又は受信アンテナとすることができる。第2発明では、この特性を有するアンテナが、4つの方向に配設されているので、選択的に、4方向に電波を放射し、4方向から選択的、電波を受信することができる。
【0015】
本発明において、アンテナは、進行波を形成できれば良いので、アンテナの長さに関して、使用する電波の周波数によって決定されるλ/2などの波長条件を満たす必要がない。アンテナの第1線路の長さは、使用電波の波長の1倍以下、1/10以上であることが望ましい。波長以上となると、使用電波の周波数にもよるが、アンテナ装置の寸法が大きくなり過ぎるので、望ましくない。また、1/10以下となると、放射効率又は受電効率が低下するので望ましくない。また、アンテナの第1線路と第2線路との間隔は、第1線路の長さの1/2以下、1/3以上であることが望ましい。1/2より大きくなると、第2線路からの放射が大きくなるので、望ましくない。また、1/3より小さくなると、第2の発明の場合には、第1線路同士が結合するので、望ましくない。
【0016】
第2の発明において、また、第1組のアンテナの配向ベクトルと第2組のアンテナの配向ベクトルの成す角は、45度以上135度以下とすることが望ましい。電波の放射方向、受信すべき電波の到来方向によって、この角度は設定すれば良い。最も望ましいのは90度である。受信アンテナの場合、第1組のアンテナで最大受信レベルで電波を受信しているとき、第2組のアンテナの受信レベルは、最小受信レベルとなるので、到来方向の特定精度を向上させることができる。また、任意の方向からの電波の到来に対して、到来方向を特定する場合にも、90度の場合が望ましい。90度であれば、到来方向のベクトルの直交する2成分を求めることができる。放射アンテナであれば、放射電波の方向の制御性が向上する。第1組のアンテナと、第2組のアンテナの受信アンテナにおいて、2つの配向ベクトルの成す角が、45度以上135度以下の場合には、第1組のアンテナの長さ方向から到来している電波に対して、第2組のアンテナでの受信レベルは、1/2程度に少できるので、到来方向の特定が可能となり、任意方向からの到来に対しても、その方向の特定の精度が高くなる。
【0017】
4つのアンテナは、同一平面上に配設するようにしても良い。これにより、アンテナ装置の高さ方向の寸法を小さくできる。これに対して、第1組のアンテナと、第2組のアンテナは、積層されていても良い。積層することにより、平面上の寸法を減少させることができる。
【0018】
4つのアンテナは、正方形、菱形、長方形、または、平行四辺形の各辺に、配置されることが望ましい。この配置は、平面上に4つのアンテナを配置する場合も、積層する場合にも適用可能である。正方形と菱形の場合には、4つの方向の最大受信レベルや、最大放射電力レベルを等しくすることができる。正方形や長方形の場合には、上記の2つの配向ベクトルを直交させることができるので、到来方向の検出精度を向上でき、放射方向の制御性を向上させることができる。
【0019】
また、4つのアンテナは、放射状に配置されていても良い。また、アンテナの第2線路は、第1線路の平面導体に対する鏡像で構成しても良い。すなわち、平面導体と、この平面導体に対して、間隙(望ましくは平行)を設けて配設された第1線路とで、アンテナを構成することができる。このようにすることで、アンテナ装置の構造を簡単にすることができる。また、平面導体を電波の反射面として用いることで、電波の受信レベルを向上させることができ、また、特定方向への放射電波の電力密度を向上させることができる。また、4つのアンテナに対して、到来電波を反射させる共通の反射板を設けても良い。これにより、電波の受信レベルを向上させることができ、また、特定方向への放射電波の電力密度を向上させることができる。また、アンテナの第2線路と反射板との間隔は、使用電波の波長の1/20以上、1/10以下であることが望ましい。1/20よりも小さいと、アンテナの特性に影響を与え望ましくなく、1/10よりも大きくなると、大きな金属板が必要となるので、望ましくない。
【発明の効果】
【0020】
本第1の発明では、第1線路と第2線路とを有する線状アンテナの第1線路の先端部に終端抵抗を設けて、第2線路に接続しているので、送信アンテナの場合には、線状アンテナの長さ方向であって、給電点から終端抵抗に向かう向きに、F/B比の大きな指向性を得ることができる。また、受信アンテナの場合には、線状アンテナの長さ方向であって、終端抵抗から受電点に向かう向きに、F/B比の大きな指向性を得ることができる。
【0021】
第2の発明では、給電方向が反対で平行な一対のアンテナから成る第1組のアンテナテと、同様な構成の第2組のアンテナとが、平行ではないように配置することで、電波の放射方向を精度良く制御することができる。また、受信アンテナの場合には、最大受電方向が反対で平行な一対のアンテナから成る第1組のアンテナテと、同様な構成の第2組のアンテナとが、平行ではないように配置することで、電波の到来方向を精度良く検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1のアンテナ装置を示した構成図。
【図2】一つの線状アンテナを示した構成図。
【図3】一つの線状アンテナにおける指向性が生じる原理を示した説明図。
【図4】一つの線状アンテナにおけるF/B比を示した特性図。
【図5】実施例1のアンテナ装置の各線状アンテナを選択した場合の指向性を示した特性図。
【図6】実施例1のアンテナ装置において無指向性が得られることを示した特性図。
【図7】第2線路を共通の金属板としたアンテナ装置を示した構成図。
【図8】他のアンテナ装置を示した構成図。
【図9】他のアンテナ装置を示した構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体的な実施例について図を参照に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本実施例1に係る受信アンテナ装置を示した構成図である。
線状アンテナ10は、長方形の各辺で構成され、第1線路11と第2線路12と、これらの線路の根元部に設けられた受電点13と、アンテナの先端部であって、第1線路11と第2線路12との接続点に設けられた終端抵抗14とから構成されている。第1線路11と第2線路12との間隔はL2である。線状アンテナ10に平行に設けられた線状アンテナ20は、同様に、長方形の各辺で構成され、第1線路21と第2線路22と、これらの線路の根元部に設けられた受電点23と、アンテナの先端部であって、第1線路21と第2線路22との接続点に設けられた終端抵抗24とから構成されている。第1線路21と第2線路22との間隔はL2である。この線状アンテナ10と、線状アンテナ20とは、距離L1を隔てて、平行に設けられており、受電点13から終端抵抗14の向きにとった配向ベクトルと、受電点23から終端抵抗24の向きにとった配向ベクトルは、相互に平行で、反対の向きを向いている。これらの線状アンテナ10と線状アンテナ20とで第1組のアンテナが構成されている。
【0025】
線状アンテナ30は、長方形の各辺で構成され、第1線路31と第2線路32と、これらの線路の根元部に設けられた受電点33と、アンテナの先端部であって、第1線路31と第2線路32との接続点に設けられた終端抵抗34とから構成されている。第1線路31と第2線路32との間隔はL2である。線状アンテナ30に平行に設けられた線状アンテナ40は、長方形の各辺で構成され、同様に、第1線路41と第2線路42と、これらの線路の根元部に設けられた受電点43と、アンテナの先端部であって、第1線路41と第2線路42との接続点に設けられた終端抵抗44とから構成されている。第1線路41と第2線路42との間隔はL2である。この線状アンテナ30と、線状アンテナ40とは、距離L1を隔てて、平行に設けられており、受電点33から終端抵抗34の向きにとった配向ベクトルと、受電点43から終端抵抗44の向きにとった配向ベクトルは、相互に平行で、反対の向きを向いている。これらの線状アンテナ30と線状アンテナ40とで第2組のアンテナが構成されている。
【0026】
これらの4つの線状アンテナ10、20、30、40は、高さがz軸方向で、同一平面(xy平面)上に配置されている。また、線状アンテナ10と20から成る第1組のアンテナは、y方向に配設されており、線状アンテナ30と40とから成る第2組のアンテナはx方向に配設されており、それらの長さ方向が、それぞれ、直交している。そして、各受電点13、23、33、43は、合成器50に接続されており、各線状アンテナで受信された電波が合成されたり、合成器50により、各線状アンテナを選択して、何れか一つの線状アンテナで受信された電波のみを出力できるように構成されている。なお、各受電点は、バランを介して、同軸ケーブルに接続されている。バランの機能により、第1線路11、21、31、41と第2線路12、22、32、42は、それぞれ、電流が同一方向に流れるモードで、励振される。
【0027】
そして、これらの4つの線状アンテナ10、20、30、40は、裏面が金属板で構成された反射板51を貼り付けた厚さDの誘電体板52の上に設置されている。一つの線状アンテナ10の構成は、図2に示すものである。この反射板51により、到来電波を反射して、受信信号のレベルを向上させることができる。また、放射アンテナあれば、反対方向に放射した電波をこの反射板51で反射させて、放射電波の電力密度を向上させることができる。この実施例では、L1は、75mm、L2は、30mm、Dは、10mmとした。
【0028】
次に、動作原理について説明する。一つの線状アンテナ10に関する動作は、次のようになる。図3に示すように、第1線路11と第2線路12においては、受信電波の伝搬方向が受電点13から終端抵抗14の向きを正にとる。この時、第1線路11の受電点13側の端点P1での受信電波は、次式で表される。
【0029】
【数1】

また、第1線路12の終端抵抗14側の端点P2での受信電波は、次式で表される。
【数2】

【0030】
ただし、αは、端点P1での位相、βは、端点P1から端点P2へ向かって、第1線路11を進行する受信電波の端点P1に対する端点P2での進み位相である。すなわち、受電点13から終端抵抗14に向かって進行する電波は、端点P2における位相の方が、端点P1における位相によりも、進んでいる。
【0031】
今、到来電波の進行ベクトルV1と、第1線路11における電波の進行ベクトルV2との成す角をθとする。進行ベクトルV1の平面波を受信するとき、端点P1で受信する電波の位相と、第1線路11を進行する電波の位相とが等しいとして、端点P1に到達する電波は、(1)式と同一式で表される。
【0032】
その平面波が端点P2で受信される場合には、端点P1での受信時刻に対して、経路差がLcos(θ) であるので、次式で表されるΔt だけ遅延する。ただし、Lは、第1線路11の長さ、cは光速度である。
【0033】
【数3】

したがって、同一時刻tでみると、端点P2での受信電波は、Δtだけ進んだ時刻の平面波を受信することになるので、時刻tにおける受信電波は、次式で表される。
【0034】
【数4】

【0035】
この電波と、(2) 式で表される、第1線路11を終端抵抗14の方向に伝搬する電波の位相が等しい場合に、第1線路11の各微小部分で受信される同一平面波の電波が重畳して、第1線路11を終端抵抗14に向けて伝搬する電波となる。したがって、次式が成立する。
【0036】
【数5】

(3)式より、
【数6】

βλ=2πLであるので、
【数7】

【0037】
すなわち、θ=0となる。到来電波の進行ベクトルV1と、第1線路11における電波の進行ベクトルV1とが等しい場合に、第1線路11には、θ=0の方向から到来した電波に対して、進行する信号成分が誘起される。他の方向からの到来電波は、進行ベクトルV2方向からのずれが大きくなるほど、位相整合条件が満たされないので、進行波成分は小さくなる。第2線路12についても同様である。
【0038】
このようにして、線状アンテナ10に対する受信電波の指向性が決定される。放射アンテナの場合も同様である。
【0039】
図4は、この線状アンテナ10について、終端抵抗14の抵抗値とF/B比との関係を測定した特性図である。終端抵抗14が650Ωの場合に、F/B比は、23dBが得られていることが分かる。使用電波の周波数は、315MHzである。なお、F/B比は、電波の到来方向が第1伝送路11を伝搬する電波の進行ベクトルV2の向きである場合の受信電力Fと、電波の到来方向が進行ベクトルV2とは逆向きである場合の受信電力Bとの比を表す。
【0040】
次に、全ての終端抵抗を700Ωとして、周波数を315MHzとした実施例装置において、各線状アンテナ10、20、30、40を、選択して受信する場合の指向特性を、図5に示す。
受電点から終端抵抗の向きが+y方向の線状アンテナ10は、+y方向の指向性を示し、受電点から終端抵抗の向きが−y方向の線状アンテナ20は、−y方向の指向性を示し、受電点から終端抵抗の向きが+x方向の線状アンテナ40は、+x方向の指向性を示し、受電点から終端抵抗の向きが−x方向の線状アンテナ30は、−x方向の指向性を示していることが理解される。このような指向性を有することから、+x、−x、+y、−yの方向から到来する電波を精度良く検出することができるので、タイヤの空気圧を検出するシステムのアンテナ装置として用いることができる。
【0041】
また、y方向に配設されている線状アンテナ10と20を用いて、その受信出力を合成した場合の指向特性を図6に示す。この場合には、受信アンテナは、無指向性であることが理解される。
【0042】
上記実施例では、第2線路12、22、32、42を、第1線路11、21、31、41に、それぞれ、平行に設けたが、4つの第2線路は、図7に示すように、共通の金属板(平面導体)55の鏡像で構成しても良い。この場合には、金属板55は、電波の反射板としても機能し、受信電力を放射電力を向上させることができる。
【0043】
線状アンテナ10、20、30、40は、図8に示すように、受電点13、23、33、43を中心部にして、終端抵抗14、24、34、44を外側にして、放射状に配列しても良い。第1線路、第2線路、受電点、終端抵抗などの構成は、実施例1の図1と同一であり、同一構成要素には、同一符号が付されている。この場合においても、電波を反射する反射板を設けても良いし、第2線路は、共通の金属板であっても良い。
【0044】
また、図9に示すようにy軸方向に配設された線状アンテナ10、20を、それぞれを絶縁した状態で、直交するように配置しても良い。第1線路、第2線路、受電点、終端抵抗などの構成は、実施例1の図1と同一であり、同一構成要素には、同一符号が付されている。この場合においても、電波を反射する反射板を設けても良い。また、第1線路と、この第1線路に平行に設けられた共通の金属板とで、アンテナを構成して、第2線路は、この共通の金属板による第1線路の鏡像として構成しても良い。また、y軸方向に配設された線状アンテナ10、20を、z軸方向の上段に、x軸方向に配設された線状アンテナ30、40をz軸方向の下段の2段に分離して、配設するようにしても良い。この場合にも、電波を反射する反射板を設けても良いし、第2線路は、共通の金属板に対する第1線路の鏡像で構成しても良い。
上記実施例において、L1は使用電波の波長λに対して、λ/10以上λ以下が望ましい。また、L1は、L2の2倍以上、3倍以下が望ましい。また、Dは、λ/20以上、λ/10以下が望ましい。
【0045】
以上の実施例や変形例は、第2の発明に関するものであるが、上記の構成から、一対の第1線路と第2線路だけを抽出すれば、第1の発明に対する実施例と変形例となる。したがって、第2の発明の実施例や変形例は、個別的に説明するまでもなく、上記の全ての実施例から読み取ることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、タイヤの内部に配設されたセンサから放射される電波を検出するタイヤ空気圧検出システムにおけるアンテナ装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
10、20、30、40…線状アンテナ
11、21、31、41…第1線路
12、22、32、42…第2線路
13、23、33、43…受電点
14、24、34、44…終端抵抗
51…反射板
55…金属板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置において、
第1線路とこの第1線路に平行な第2線路とから成る線状アンテナであって、第1線路と第2線路の根元部に給電/受電点を有し、
第1線路と第2線路の先端部に終端抵抗を有したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記アンテナの前記第1線路の長さは、使用電波の波長の1倍以下、1/10以上であることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記アンテナの前記第1線路と前記第2線路との間隔は、前記第1線路の長さの1/2以下、1/3以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
異なる4方向に対して電波の放射又は受信を可能としたアンテナ装置において、
第1線路とこの第1線路に平行な第2線路とから成る線状アンテナであって、第1線路と第2線路の根元部に給電/受電点を有し、第1線路と第2線路の先端部に終端抵抗を有したアンテナを、前記給電/受電点から前記終端抵抗に向かうベクトルをアンテナの配向ベクトルとすると、向かい合う一対の第1組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、向かい合う他の一対の第2組のアンテナは、配向ベクトルの向きが反対で平行となり、前記第1組のアンテナの配向ベクトルと前記第2組のアンテナの配向ベクトルの向きは、平行ではないように、4本のアンテナが配置されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナの前記第1線路の長さは、使用電波の波長の1倍以下、1/10以上であることを特徴とする請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナの前記第1線路と前記第2線路との間隔は、前記第1線路の長さの1/2以下、1/3以上であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1組のアンテナの配向ベクトルと前記第2組のアンテナの配向ベクトルの成す角は、45度以上135度以下であることを特徴とする請求項4乃至請求項6の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
4つの前記アンテナは、同一平面上に配設されていることを特徴とする請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記第1組のアンテナと、前記第2組のアンテナは、積層されていることを特徴とする請求項4乃至請求項7の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
4つの前記アンテナは、正方形、菱形、長方形、または、平行四辺形の各辺に、配置されることを特徴とする請求項4乃至請求項9の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項11】
4つの前記アンテナは、放射状に配置されていることを特徴とする請求項4乃至請求項9の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項12】
前記アンテナの前記第2線路は、前記第1線路の平面導体による鏡像で構成することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項13】
前記アンテナに対して、到来電波を反射させる反射板を有することを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項14】
前記アンテナの第2線路と前記反射板との間隔は、使用電波の波長の1/20以上、1/10以下であることを特徴とする請求項13に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−245742(P2010−245742A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90992(P2009−90992)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】