アンテナ
【課題】偏平なケース12に収納され、耐振性に優れ、しかも軽量化が図れるアンテナを提供する。
【解決手段】偏平な容器状のケース12に導電体からなる地板14を配設し、ケース12の容器状の底面にポスト30を地板14を貫通させて、絶縁樹脂によりケース12と一体形成して立設する。このポスト14の先端部に、アンテナエレメント18を熱溶着により固定して、地板14から離れた表側で略平行に配設する。同軸ケーブル28の中心導体28aをアンテナエレメント18に電気的接続し、外部導体28bを地板14に電気的接続する。
【解決手段】偏平な容器状のケース12に導電体からなる地板14を配設し、ケース12の容器状の底面にポスト30を地板14を貫通させて、絶縁樹脂によりケース12と一体形成して立設する。このポスト14の先端部に、アンテナエレメント18を熱溶着により固定して、地板14から離れた表側で略平行に配設する。同軸ケーブル28の中心導体28aをアンテナエレメント18に電気的接続し、外部導体28bを地板14に電気的接続する。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ETC(Electronic Toll Collection、道路自動料金収受システム)などの円偏波信号を送受信するためのアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ETCが日本でも実現されつつある。なお、諸外国ではこのETCが既に実現されている。従来のETCの円偏波信号を送受信するためのアンテナの一例を、図9ないし図13を参照して説明する。
【0003】図9は、従来のアンテナの外観斜視図である。図10は、図9の上蓋を外した斜視図である。図11R>1は、従来のアンテナの構造を示す縦断面図である。図1212は、従来のアンテナで地板にアンテナエレメントを固定する構造を示す図である。図13は、従来のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【0004】図において、ETCの円偏波信号を送受信するアンテナは、車のダッシュボードの上や屋根などに配設するのに便利なように、略偏平な容器状に構成されている。そして、上蓋10は、電磁波を通過させる適宜な誘電率を有する絶縁樹脂からなり、レドームとして作用するとともに内部に雨水の浸入を防止している。また、この上蓋10が被せられる容器状のケース12は、絶縁樹脂からなり、その内部に矩形の導電体からなる地板14が配設される。この地板14は、その縁部がケース12の縁部にビス止めされている。さらに、地板14に絶縁スペーサ16,16…を介して矩形のアンテナエレメント18が固定される。地板14から離れて表側で略平行にアンテナエレメント18が配設される。このアンテナエレメント18は、絶縁スペーサ16,16…を貫通する樹脂ビス20,20…とこれに螺合するナット22,22…により固定される。さらに、アンテナエレメント18の適宜の位置に地板14を貫通する給電端子24が半田付けにより立設され、この給電端子24の挿通される誘電部材26がアンテナエレメント18と地板14の間に介装される。そして、地板14の裏面側に突出した給電端子24に同軸ケーブル28の中心導体28aが適宜に半田付け固定される。なお、かかるアンテナにあっては、地板14とアンテナエレメント18の間の突気層が誘電体として作用する。そこで、地板14とアンテナエレメント18の間に誘電板を介装してアンテナエレメント18を地板14に固定することも考えられるが、誘電率の高い誘電板を介装することで、アンテナの寸法が小さくなり、それだけアンテナ利得が低下する不具合が生じ、またアンテナエレメント18の寸法のばらつきによる共振周波数の変動も大きくなり、高い寸法精度が要求される。もって、上述のごとき空気層を介する構造が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来のアンテナの構造では、アンテナエレメント18を加えた重量を地板14が支承することとなる。そこで、地板14自体をその厚みを大とするなどして機械的な剛性を大きくするとともに、地板14をケース12に固定する構造も強固なものが要求され、全体として重量が大きくなる傾向にある。そして、これらの構造を軽量化するならば、耐振動性が不充分なものとなる。
【0006】また、ケース12の容器状の底面と地板14の間に配設された同軸ケーブル28の中心導体28aをアンテナエレメント18に接続するために、従来構造では、アンテナエレメント18に給電端子24を設け、これに中心導体28aが半田付けされている。これは以下の理由による。ケース12が偏平であり、底面と地板14との間の寸法が極めて狭い。そこで、同軸ケーブル28は地板14の裏面に接するように配設される。そして、中心導体28aを絶縁被覆を設けたままでアンテナエレメント18に接続すべく小さな曲率で曲げることできず、ましてや外部導体28bを残したままで曲げることはできない。このため、給電端子24を設ける構造を採用せざるを得なかった。かかる事情から、信号経路の半田付け箇所が多くなり、それだけ信号経路の抵抗が増加する、という不具合があった。しかも、同軸ケーブル28の先端部の外部導体28bが取り除かれた箇所から、剥き出しとされた中心導体28aおよび給電端子24の間は、同軸構造となっておらず、その間の信号経路のインピーダンスが50Ωとならず、整合が図りづらい。
【0007】本発明は、上述のごとき従来のアンテナの構造を改善すべくなされたもので、耐振性に優れ、しかも軽量化が図れるアンテナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明のアンテナは、略偏平な容器のケースに導電体からなる地板を配設し、前記ケースの容器状の底面に絶縁樹脂からなるポストを前記地板を貫通して立設し、このポストの先端部にアンテナエレメントを固定して前記地板から離れた表側で略平行に配設し、同軸ケーブルの中心導体を前記アンテナエレメントに電気的接続するとともに外部導体を前記地板に電気的接続して構成されている。
【0009】そして、前記ケースとポストを絶縁樹脂で一体成形して構成しても良い。
【0010】また、前記ケースの容器状の底面に設けたネジに、前記ポストの一端部を螺合させて立設するように構成することもできる。
【0011】さらに、前記ポストの先端部に、熱溶着により前記アンテナエレメントを固定して構成することも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1ないし図8を参照して説明する。図1は、本発明のアンテナの構造を示す縦断面図である。図2は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する構造を示す図であり、(a)は熱溶着前の構造を示し、(b)は熱溶着後の構造を示す。図3は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する他の構造を示す図である。図4は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定するさらに別の構造を示す図である。図5R>5は、本発明のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。図6は、図5の誘電部材を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は底面図であり、(d)は(a)のA−A断面矢視図である。図7は、図5R>5のシールドカバーを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は右側面図である。図8は、シールドカバーを地板に固定する構造を説明する図である。図1ないし図8において、図9ないし図13と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明は省略する。
【0013】本発明のアンテナにあっても、外観図ならびに上蓋を取り外した斜視図は、従来のアンテナの図9および図10と全く同じである。しかし、後述するごとく、アンテナエレメントを固定する構造およびアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造が、従来のアンテナと相違している。
【0014】まず、アンテナエレメント18を固定する構造にあっては、図1および図2に示すごとく、偏平な容器状のケース12に地板14が従来例と同様に固定される。そして、ケース12の底面から地板14を貫通させてポスト30,30…が立設され、その先端部に段差部を設けて径小部30aとされる。なお、ポスト30,30…に臨んで地板14には貫通孔が適宜に穿設されることは勿論である。さらに、アンテナエレメント18には、ポスト30,30…に臨んで径小部30a,30a…が挿通でき段差部は通過し得ない孔が穿設される。そして、ポスト30,30…の段差部で支持されるようにアンテナエレメント18を図2(a)の状態に配置し、アンテナエレメント18の表側に突出する径小部30a,30a…を熱溶着で変形30bさせて、図2(b)のごとき状態として、アンテナエレメント18をポスト30,30…の先端部に固定する。ここで、アンテナエレメント18は、地板14から離れた上方の表側で略平行に配設される。
【0015】上述の図1および図2に示す構造は、ケース12とポスト30,30…を絶縁樹脂により一体成形したものであるが、ケース12とポストを別部材で構成しても良い。図3に示す他の構造にあっては、ケース12の底面にネジ12aを設け、このネジ12aに絶縁樹脂からなるポスト32の一端部を螺合させて固定して立設させている。そして、ポスト32の他端部は、径小部32aが形成され、アンテナエレメント18が熱溶着されて固定される。また、図4に示すさらに別の構造は、ケース12の底面にネジ12aを設け、このネジ12aに絶縁樹脂からなるポスト34の一端部を螺合させてこていして立設させ、ポスト34の他端部にアンテナエレメント18が樹脂ネジ36により固定される。図3および図4に示す構造では、ポスト32,34とケース12は別部材であり、ケース12としていかなる材質を用いて形成することも可能である。また、ケース12のネジ12aは、雌ネジが図示されるが、雄ネジを設けてポスト32,34側に雌ネジを形成しても良いことは勿論である。
【0016】次に、アンテナエレメント18に同軸ケーブル28の中心導体を接続する構造につき説明する。図5R>5に示すごとく、同軸ケーブル28の中心導体28aを絶縁被覆を剥がして、剥き出し状態として小さな曲率で90度折り曲げて、その先端をアンテナエレメント18に半田付け固定する。そして、剥き出しとされた中心導体28aは、図6に示すごとき形状の誘電部材38に挿通されて、中心導体28aが地板14に接触するのが阻止される。この誘電部材38は、略円筒状でその外周の軸方向中間部に段差38aが設けられ、地板14に対してこの段差38aにより位置決めされる。また、底面側から内孔と外周を連通するスリット38bが軸方向中間位置まで設けられ、誘電部材38の中間位置からその内孔に同軸ケーブル28の中心導体28aが挿通できるように構成されている。なお、地板14には、誘電部材38が挿通される孔が適宜に穿設されることは勿論である。
【0017】さらに、中心導体28aの折り曲げ部分および誘電部材38は、地板14の裏側でシールドカバー40が被せられる。このシールドカバー40は、誘電部材38の地板14から裏側に配設される部分を収容できる収容部40aとこれに接続して同軸ケーブル28の外部導体28bに被せて半田付けする被覆部40bが設けられる。さらに、地板14の挿通孔に挿通される突起爪40c,40c…が設けられ、また、被覆部40bに半田付け用の穴40dが穿設される。なお、地板14には、突起爪40c,40c…に臨んで挿通孔が適宜に穿設されることは勿論である。
【0018】そこで、同軸ケーブル28の中心導体28aを被覆を剥がして小さな曲率で適宜に折り曲げ、この折り曲げ部を誘電部材38の内孔に挿通させ、さらにシールドカバー40を誘電部材38と同軸ケーブル28の外部導体28bに被せる。そして、この組み立て体を地板14の裏側に組み付け、地板14を貫通した突起爪40a,40a…を、図8のごとく折り曲げて半田付け固定する。また、シールドカバー40の穴40dに半田を流してシールドカバー40を外部導体28bに半田付けする。さらに、同軸ケーブル28と誘電部材38およびシールドカバー40が組み付けられた地板14をケース12に組み付け、その後ポスト30,30…にアンテナエレメント18を固定するとともに中心導体28aをアンテナエレメント18に半田付け固定する。
【0019】かかる構成からなる本発明のアンテナにあっては、アンテナエレメント18はケース12にポスト30,32,34を介して直接的に固定される。そこで、地板14に従来のごときアンテナエレメント18の重量が加わらず、それだけ地板14の機械的強度が少なくても耐振性が向上する。これは、地板14を薄くし、また地板14の固定を簡単な構造とすることができ、それだけ軽量化が図れる。また、中心導体28aを折り曲げて直接にアンテナエレメント18に半田付け固定するので、信号経路の半田付け箇所を少なくでき、それだけ信号経路の抵抗値が小さく、効率良く信号を伝送し得る。さらに、地板14の裏側にあっては、中心導体28aは誘電部材38を介してシールドカバー40が被せられることとなり、いわゆる同軸構造が形成され、信号経路のインピーダンスの整合が図られる。この点からも効率良く信号を伝送し得る。
【0020】なお、本発明のアンテナにあっては、ケース12の容器状の底面に立設したポストにアンテナエレメント18が固定されれば良く、ケース12にポストを立設する構造およびポストの先端部にアンテナエレメント18を固定する構造は上記実施例に限られるものでない。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアンテナは構成されているので、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0022】請求項1記載のアンテナにあっては、アンテナエレメントがケースに立接したポストに固定されるので、従来のごとく地板がアンテナエレメントの重量を支承する必要がなく、それだけ耐振性に優れ、また地板およびそれを固定する機械的強度を小さくすることで軽量化が図れる。
【0023】請求項2記載のアンテナにあっては、ケースとポストを一体成形するので、部品点数が少なく、量産に好適である。
【0024】請求項3記載のアンテナにあっては、ケースに別部材のポストを立設するので、ケースをいかなる材質で形成することも可能である。
【0025】請求項4記載のアンテナにあっては、ポストの先端部に、熱溶着してアンテナエレメントを固定するので、この固定のためにアンテナエレメントに穿設すべき孔の径は小さくて足り、それだけアンテナエレメントの実質的な面積が小さくなることがなく、面積の減少に伴う利得の低下がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナの構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する構造を示す図であり、(a)は熱溶着前の構造を示し、(b)は熱溶着後の構造を示す。
【図3】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する他の構造を示す図である。
【図4】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定するさらに別の構造を示す図である。
【図5】本発明のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【図6】図5の誘電部材を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は底面図であり、(d)は(a)のA−A断面矢視図である。
【図7】図5のシールドカバーを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は右側面図である。
【図8】シールドカバーを地板に固定する構造を説明する図である。
【図9】従来のアンテナの外観斜視図である。
【図10】図9の上蓋を外した斜視図である。
【図11】従来のアンテナの構造を示す縦断面図である。
【図12】従来のアンテナで地板にアンテナエレメントを固定する構造を示す図である。
【図13】従来のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【符号の説明】
12 ケース
14 地板
18 アンテナエレメント
28 同軸ケーブル
28a 中心導体
28b 外部導体
30,32,34 ポスト
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ETC(Electronic Toll Collection、道路自動料金収受システム)などの円偏波信号を送受信するためのアンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ETCが日本でも実現されつつある。なお、諸外国ではこのETCが既に実現されている。従来のETCの円偏波信号を送受信するためのアンテナの一例を、図9ないし図13を参照して説明する。
【0003】図9は、従来のアンテナの外観斜視図である。図10は、図9の上蓋を外した斜視図である。図11R>1は、従来のアンテナの構造を示す縦断面図である。図1212は、従来のアンテナで地板にアンテナエレメントを固定する構造を示す図である。図13は、従来のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【0004】図において、ETCの円偏波信号を送受信するアンテナは、車のダッシュボードの上や屋根などに配設するのに便利なように、略偏平な容器状に構成されている。そして、上蓋10は、電磁波を通過させる適宜な誘電率を有する絶縁樹脂からなり、レドームとして作用するとともに内部に雨水の浸入を防止している。また、この上蓋10が被せられる容器状のケース12は、絶縁樹脂からなり、その内部に矩形の導電体からなる地板14が配設される。この地板14は、その縁部がケース12の縁部にビス止めされている。さらに、地板14に絶縁スペーサ16,16…を介して矩形のアンテナエレメント18が固定される。地板14から離れて表側で略平行にアンテナエレメント18が配設される。このアンテナエレメント18は、絶縁スペーサ16,16…を貫通する樹脂ビス20,20…とこれに螺合するナット22,22…により固定される。さらに、アンテナエレメント18の適宜の位置に地板14を貫通する給電端子24が半田付けにより立設され、この給電端子24の挿通される誘電部材26がアンテナエレメント18と地板14の間に介装される。そして、地板14の裏面側に突出した給電端子24に同軸ケーブル28の中心導体28aが適宜に半田付け固定される。なお、かかるアンテナにあっては、地板14とアンテナエレメント18の間の突気層が誘電体として作用する。そこで、地板14とアンテナエレメント18の間に誘電板を介装してアンテナエレメント18を地板14に固定することも考えられるが、誘電率の高い誘電板を介装することで、アンテナの寸法が小さくなり、それだけアンテナ利得が低下する不具合が生じ、またアンテナエレメント18の寸法のばらつきによる共振周波数の変動も大きくなり、高い寸法精度が要求される。もって、上述のごとき空気層を介する構造が採用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来のアンテナの構造では、アンテナエレメント18を加えた重量を地板14が支承することとなる。そこで、地板14自体をその厚みを大とするなどして機械的な剛性を大きくするとともに、地板14をケース12に固定する構造も強固なものが要求され、全体として重量が大きくなる傾向にある。そして、これらの構造を軽量化するならば、耐振動性が不充分なものとなる。
【0006】また、ケース12の容器状の底面と地板14の間に配設された同軸ケーブル28の中心導体28aをアンテナエレメント18に接続するために、従来構造では、アンテナエレメント18に給電端子24を設け、これに中心導体28aが半田付けされている。これは以下の理由による。ケース12が偏平であり、底面と地板14との間の寸法が極めて狭い。そこで、同軸ケーブル28は地板14の裏面に接するように配設される。そして、中心導体28aを絶縁被覆を設けたままでアンテナエレメント18に接続すべく小さな曲率で曲げることできず、ましてや外部導体28bを残したままで曲げることはできない。このため、給電端子24を設ける構造を採用せざるを得なかった。かかる事情から、信号経路の半田付け箇所が多くなり、それだけ信号経路の抵抗が増加する、という不具合があった。しかも、同軸ケーブル28の先端部の外部導体28bが取り除かれた箇所から、剥き出しとされた中心導体28aおよび給電端子24の間は、同軸構造となっておらず、その間の信号経路のインピーダンスが50Ωとならず、整合が図りづらい。
【0007】本発明は、上述のごとき従来のアンテナの構造を改善すべくなされたもので、耐振性に優れ、しかも軽量化が図れるアンテナを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために、本発明のアンテナは、略偏平な容器のケースに導電体からなる地板を配設し、前記ケースの容器状の底面に絶縁樹脂からなるポストを前記地板を貫通して立設し、このポストの先端部にアンテナエレメントを固定して前記地板から離れた表側で略平行に配設し、同軸ケーブルの中心導体を前記アンテナエレメントに電気的接続するとともに外部導体を前記地板に電気的接続して構成されている。
【0009】そして、前記ケースとポストを絶縁樹脂で一体成形して構成しても良い。
【0010】また、前記ケースの容器状の底面に設けたネジに、前記ポストの一端部を螺合させて立設するように構成することもできる。
【0011】さらに、前記ポストの先端部に、熱溶着により前記アンテナエレメントを固定して構成することも可能である。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図1ないし図8を参照して説明する。図1は、本発明のアンテナの構造を示す縦断面図である。図2は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する構造を示す図であり、(a)は熱溶着前の構造を示し、(b)は熱溶着後の構造を示す。図3は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する他の構造を示す図である。図4は、本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定するさらに別の構造を示す図である。図5R>5は、本発明のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。図6は、図5の誘電部材を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は底面図であり、(d)は(a)のA−A断面矢視図である。図7は、図5R>5のシールドカバーを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は右側面図である。図8は、シールドカバーを地板に固定する構造を説明する図である。図1ないし図8において、図9ないし図13と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複する説明は省略する。
【0013】本発明のアンテナにあっても、外観図ならびに上蓋を取り外した斜視図は、従来のアンテナの図9および図10と全く同じである。しかし、後述するごとく、アンテナエレメントを固定する構造およびアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造が、従来のアンテナと相違している。
【0014】まず、アンテナエレメント18を固定する構造にあっては、図1および図2に示すごとく、偏平な容器状のケース12に地板14が従来例と同様に固定される。そして、ケース12の底面から地板14を貫通させてポスト30,30…が立設され、その先端部に段差部を設けて径小部30aとされる。なお、ポスト30,30…に臨んで地板14には貫通孔が適宜に穿設されることは勿論である。さらに、アンテナエレメント18には、ポスト30,30…に臨んで径小部30a,30a…が挿通でき段差部は通過し得ない孔が穿設される。そして、ポスト30,30…の段差部で支持されるようにアンテナエレメント18を図2(a)の状態に配置し、アンテナエレメント18の表側に突出する径小部30a,30a…を熱溶着で変形30bさせて、図2(b)のごとき状態として、アンテナエレメント18をポスト30,30…の先端部に固定する。ここで、アンテナエレメント18は、地板14から離れた上方の表側で略平行に配設される。
【0015】上述の図1および図2に示す構造は、ケース12とポスト30,30…を絶縁樹脂により一体成形したものであるが、ケース12とポストを別部材で構成しても良い。図3に示す他の構造にあっては、ケース12の底面にネジ12aを設け、このネジ12aに絶縁樹脂からなるポスト32の一端部を螺合させて固定して立設させている。そして、ポスト32の他端部は、径小部32aが形成され、アンテナエレメント18が熱溶着されて固定される。また、図4に示すさらに別の構造は、ケース12の底面にネジ12aを設け、このネジ12aに絶縁樹脂からなるポスト34の一端部を螺合させてこていして立設させ、ポスト34の他端部にアンテナエレメント18が樹脂ネジ36により固定される。図3および図4に示す構造では、ポスト32,34とケース12は別部材であり、ケース12としていかなる材質を用いて形成することも可能である。また、ケース12のネジ12aは、雌ネジが図示されるが、雄ネジを設けてポスト32,34側に雌ネジを形成しても良いことは勿論である。
【0016】次に、アンテナエレメント18に同軸ケーブル28の中心導体を接続する構造につき説明する。図5R>5に示すごとく、同軸ケーブル28の中心導体28aを絶縁被覆を剥がして、剥き出し状態として小さな曲率で90度折り曲げて、その先端をアンテナエレメント18に半田付け固定する。そして、剥き出しとされた中心導体28aは、図6に示すごとき形状の誘電部材38に挿通されて、中心導体28aが地板14に接触するのが阻止される。この誘電部材38は、略円筒状でその外周の軸方向中間部に段差38aが設けられ、地板14に対してこの段差38aにより位置決めされる。また、底面側から内孔と外周を連通するスリット38bが軸方向中間位置まで設けられ、誘電部材38の中間位置からその内孔に同軸ケーブル28の中心導体28aが挿通できるように構成されている。なお、地板14には、誘電部材38が挿通される孔が適宜に穿設されることは勿論である。
【0017】さらに、中心導体28aの折り曲げ部分および誘電部材38は、地板14の裏側でシールドカバー40が被せられる。このシールドカバー40は、誘電部材38の地板14から裏側に配設される部分を収容できる収容部40aとこれに接続して同軸ケーブル28の外部導体28bに被せて半田付けする被覆部40bが設けられる。さらに、地板14の挿通孔に挿通される突起爪40c,40c…が設けられ、また、被覆部40bに半田付け用の穴40dが穿設される。なお、地板14には、突起爪40c,40c…に臨んで挿通孔が適宜に穿設されることは勿論である。
【0018】そこで、同軸ケーブル28の中心導体28aを被覆を剥がして小さな曲率で適宜に折り曲げ、この折り曲げ部を誘電部材38の内孔に挿通させ、さらにシールドカバー40を誘電部材38と同軸ケーブル28の外部導体28bに被せる。そして、この組み立て体を地板14の裏側に組み付け、地板14を貫通した突起爪40a,40a…を、図8のごとく折り曲げて半田付け固定する。また、シールドカバー40の穴40dに半田を流してシールドカバー40を外部導体28bに半田付けする。さらに、同軸ケーブル28と誘電部材38およびシールドカバー40が組み付けられた地板14をケース12に組み付け、その後ポスト30,30…にアンテナエレメント18を固定するとともに中心導体28aをアンテナエレメント18に半田付け固定する。
【0019】かかる構成からなる本発明のアンテナにあっては、アンテナエレメント18はケース12にポスト30,32,34を介して直接的に固定される。そこで、地板14に従来のごときアンテナエレメント18の重量が加わらず、それだけ地板14の機械的強度が少なくても耐振性が向上する。これは、地板14を薄くし、また地板14の固定を簡単な構造とすることができ、それだけ軽量化が図れる。また、中心導体28aを折り曲げて直接にアンテナエレメント18に半田付け固定するので、信号経路の半田付け箇所を少なくでき、それだけ信号経路の抵抗値が小さく、効率良く信号を伝送し得る。さらに、地板14の裏側にあっては、中心導体28aは誘電部材38を介してシールドカバー40が被せられることとなり、いわゆる同軸構造が形成され、信号経路のインピーダンスの整合が図られる。この点からも効率良く信号を伝送し得る。
【0020】なお、本発明のアンテナにあっては、ケース12の容器状の底面に立設したポストにアンテナエレメント18が固定されれば良く、ケース12にポストを立設する構造およびポストの先端部にアンテナエレメント18を固定する構造は上記実施例に限られるものでない。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のアンテナは構成されているので、以下のごとき格別な効果を奏する。
【0022】請求項1記載のアンテナにあっては、アンテナエレメントがケースに立接したポストに固定されるので、従来のごとく地板がアンテナエレメントの重量を支承する必要がなく、それだけ耐振性に優れ、また地板およびそれを固定する機械的強度を小さくすることで軽量化が図れる。
【0023】請求項2記載のアンテナにあっては、ケースとポストを一体成形するので、部品点数が少なく、量産に好適である。
【0024】請求項3記載のアンテナにあっては、ケースに別部材のポストを立設するので、ケースをいかなる材質で形成することも可能である。
【0025】請求項4記載のアンテナにあっては、ポストの先端部に、熱溶着してアンテナエレメントを固定するので、この固定のためにアンテナエレメントに穿設すべき孔の径は小さくて足り、それだけアンテナエレメントの実質的な面積が小さくなることがなく、面積の減少に伴う利得の低下がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアンテナの構造を示す縦断面図である。
【図2】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する構造を示す図であり、(a)は熱溶着前の構造を示し、(b)は熱溶着後の構造を示す。
【図3】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定する他の構造を示す図である。
【図4】本発明のアンテナでケースにアンテナエレメントを固定するさらに別の構造を示す図である。
【図5】本発明のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【図6】図5の誘電部材を示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は底面図であり、(d)は(a)のA−A断面矢視図である。
【図7】図5のシールドカバーを示す図であり、(a)は正面図であり、(b)は平面図であり、(c)は右側面図である。
【図8】シールドカバーを地板に固定する構造を説明する図である。
【図9】従来のアンテナの外観斜視図である。
【図10】図9の上蓋を外した斜視図である。
【図11】従来のアンテナの構造を示す縦断面図である。
【図12】従来のアンテナで地板にアンテナエレメントを固定する構造を示す図である。
【図13】従来のアンテナでアンテナエレメントに同軸ケーブルの中心導体を接続する構造を示す図である。
【符号の説明】
12 ケース
14 地板
18 アンテナエレメント
28 同軸ケーブル
28a 中心導体
28b 外部導体
30,32,34 ポスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】 偏平な容器状のケースに導電体からなる地板を配設し、前記ケースの容器状の底面に絶縁樹脂からなるポストを前記地板を貫通させて立設し、このポストの先端部にアンテナエレメントを固定して前記地板から離れた表側で略平行に配設し、同軸ケーブルの中心導体を前記アンテナエレメントに電気的接続するとともに外部導体を前記地板に電気的接続して構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】 請求項1記載のアンテナにおいて、前記ケースとポストを絶縁樹脂で一体成形して構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項3】 請求項1記載のアンテナにおいて、前記ケースの容器状の底面に設けたネジに、前記ポストの一端部を螺合させて立設するように構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項4】 請求項1ないし3記載のいずれかのアンテナにおいて、前記ポストの先端部に、熱溶着により前記アンテナエレメントを固定して構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項1】 偏平な容器状のケースに導電体からなる地板を配設し、前記ケースの容器状の底面に絶縁樹脂からなるポストを前記地板を貫通させて立設し、このポストの先端部にアンテナエレメントを固定して前記地板から離れた表側で略平行に配設し、同軸ケーブルの中心導体を前記アンテナエレメントに電気的接続するとともに外部導体を前記地板に電気的接続して構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】 請求項1記載のアンテナにおいて、前記ケースとポストを絶縁樹脂で一体成形して構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項3】 請求項1記載のアンテナにおいて、前記ケースの容器状の底面に設けたネジに、前記ポストの一端部を螺合させて立設するように構成したことを特徴とするアンテナ。
【請求項4】 請求項1ないし3記載のいずれかのアンテナにおいて、前記ポストの先端部に、熱溶着により前記アンテナエレメントを固定して構成したことを特徴とするアンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2003−46323(P2003−46323A)
【公開日】平成15年2月14日(2003.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−227974(P2001−227974)
【出願日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成15年2月14日(2003.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】
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