説明

アントラキノン消光色素、それらの製造方法及び使用

本発明は、蛍光の広域スペクトル消光物質として有用である新規アントラキノン組成物を提供し、並びにそれらを製造及び使用する方法を提供する。アントラキノン消光物質は、脂質、核酸、ポリペプチド、及びより詳細に述べると抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物質、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖質、及びそれらのアナログを含む、様々な生物学的関連化合物と複合することができる。本発明は、1個又はそれよりも多い容器中の、少なくとも1種の本発明のアントラキノン消光物質色素組成物、及びその組成物の使用に関する取扱い説明書を備えるキットも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年9月20日に出願された仮特許出願である米国特許出願第60/412,215号の優先権を請求するものである。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、蛍光の広域スペクトル消光物質(quenchers)として有用であるアントラキノン組成物(composition)、並びにそれらを製造及び使用する方法に関する。本発明は、少なくとも1種の開示されたアントラキノン消光色素(quencher dye)組成物を含むキットも提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
蛍光を消光する化学的部分は、蛍光エネルギー転移(FRET)プロセス及び基底状態消光を含む、様々な機構を介して機能する。FRETは、蛍光消光の最も一般的な機構のひとつであり、並びに蛍光ドナーの放出スペクトルが、消光物質の吸収スペクトルと重複する場合、及びドナー及び消光物質がフォルスター距離(Forster distance)として公知である十分な距離内にある場合に生じ得る。消光物質により吸収されたエネルギーは、引き続きその消光物質の化学的性質に応じて、様々な機構を通じて、実質的に放出され得る。捕獲されたエネルギーは、蛍光機構を通じて、又は電荷移動及び衝突機構もしくはそのような機構の組合せを含む、非蛍光機構を通じて放出され得る。消光物質が、非蛍光機構を通じて捕獲されたエネルギーを放出する場合、FRETは、単純に蛍光ドナーの蛍光放出の低下として観察される。
【0004】
FRETは消光の最も一般的な機構であるが、分子配向及び消光を生じるスペクトル合致度は、本発明の化合物による消光に関して有用な機構である。例えば、発蛍光団と消光物質が共に十分に近傍にあり基底状態複合体を形成するならば、スペクトルの重複が存在せずに、基底状態の消光を生じることができる。
それらの空間的関係の変化としてふたつの色素の相互作用に頼る消光プロセスは、ヌクレオチド配列及び他の生物学的現象の検出及び/又は同定のために、都合良く使用することができる。例えば、ふたつのオリゴヌクレオチド(一方はドナーを含み及び一方は消光物質を含む)は互いにハイブリダイゼーションを介し結合するので、蛍光ドナー又は消光物質の蛍光の変化はモニタリングすることができる。有利なことに、この結合は、ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドからハイブリダイズされていないものを分離せずに検出することができる。
【0005】
あるいは、ドナー及び消光物質は、単独のオリゴヌクレオチドに連結することができ、その結果このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズしない場合に、それがその相補配列とハイブリダイズする場合と比べ、検出可能な蛍光の差異が存在する。例えば、ヘアピンを形成するようにデザインされた自己相補的オリゴヌクレオチドは、一端を蛍光ドナーで、及び他端を消光物質で標識することができる。分子内アニーリングは、ドナー及び消光物質を、FRET及び蛍光消光が発生するのに十分な近傍にもたらし得る。このようなオリゴヌクレオチドの標的配列への分子間アニーリングは、ヘアピンを破壊し、これによりドナーと消光物質の間の距離を増大し、その結果ドナーの蛍光シグナルの増加を生じる。
【0006】
同様の方法で標識されたオリゴヌクレオチドは、PCR増幅の速度論をモニタリングするために使用することもできる。この方法のひとつの型において、オリゴヌクレオチドは、増幅プライマーの3'側(「下流」)にハイブリダイズするようにデザインされ、その結果ポリメラーゼの5'-3'エキソヌクレアーゼ活性はそのプローブの5'末端を消化し、及び色素(ドナー発蛍光団又は消光物質のいずれか)をその末端から切断する。増幅の進行時に、プローブは消化されるので、試料の蛍光強度は増加し及びモニタリングすることができる。
同様のオリゴヌクレオチド組成物は、他の分子/細胞生物学的アッセイ及び診断アッセイ、例えばエンドポイントPCR、in situハイブリダイゼーション、in vivoにおけるDNA及びRNA種検出、一塩基多型(SNP)解析、酵素アッセイ、並びにin vivo及びin vitroにおける全細胞アッセイなどにおける用途が見いだされている。
【0007】
先に記したように、エネルギー転移プロセスは、蛍光ドナーの放出スペクトルと消光物質の吸収スペクトルの間に重複を必要とする。このことは、全ての可能性のある消光物質/ドナー対を使用することはできないので、プローブのデザインを複雑にしている。例えば、消光物質BHQ-1は、波長範囲約500-550nmで光を最大吸収するが、これは波長約520nmを有する発蛍光団フルオレセインから放出された蛍光を消光することができる。対照的に、消光物質BHQ-3は、波長範囲約650-700nmの光を最大吸収するが、これはフルオレセインの蛍光を消光する効率は低いが、約670nmに蛍光を発する発蛍光団Cy5の蛍光の消光には極めて有効である。所定のプローブの精製は結合された消光物質の性質に大きく左右されるので、多様な消光物質の使用は、アッセイ開発を複雑にしている。
多くの消光物質は、蛍光を介してエネルギーを放出し、それらを含むプローブのシグナル対ノイズ比及びそれらを利用するアッセイの感度を低下する。このような消光物質は、類似した波長範囲で蛍光を発する発蛍光団の使用と干渉する。このことは、このような消光物質と共に使用することができる発蛍光団の数を制限し、これにより、全て単独の消光物質を含む個別のプローブにおける個別の発蛍光団の使用に頼る多重アッセイ(multiplexed assay)におけるそれらの有用性を制限する。
【0008】
従って新規組成物は、単独の消光物質を広い範囲の発蛍光団と共に使用することができるように、波長の広域スペクトルにわたり蛍光を消光することが必要である。理想的には、このような消光物質は蛍光を発さず、その結果プローブのバックグラウンド蛍光は最小化され、このようなプローブが、多重アッセイにおいてより感度がよく及びより有用である可能性をもたらす。理想的な消光物質は、それらの精製及びそれらが組込まれたプローブの精製を促進する物理特性も有さなければならない。このような消光物質は、生物学的プローブに組込まれ及び著しく分解することなくアッセイにおいて使用することができるように、化学的安定性も有さなければならない。理想的には、このようなプローブは、DNAオリゴマーの合成における直接使用に適しており、従って消光物質をオリゴヌクレオチドの合成後(postsynthetically)にそれに化学的に追加するのとは対照的に、それらを含むオリゴヌクレオチドを合成することができる。しかしながら、これらの消光物質は、脂質、核酸、ポリペプチド、及びより具体的には抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物質、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖質などのような生物学的関連化合物への、それらの都合の良い組込みを提供するのに適した反応部分を含まなければならない。最後に、ほとんどの有用な本組成物は、容易に製造されなければならない。
【0009】
本発明は、驚くほど広い波長範囲にわたり機能する強力な蛍光消光特性を伴う、蛍光を発さない組成物を提供する。結果的に、明らかにされた組成物は、ある波長で光を消光し及び近傍の波長で蛍光を放出する消光物質よりもより低い蛍光のバックグラウンドを示す。更に本発明のアントラキノン消光物質は、容易に製造及び精製することができる。これらの組成物は、生物学的関連化合物に組込むことができ、及び多くの場合、これらの化合物に有用な精製特性を付与する。これら及び他の本発明の利点に加え、追加の発明的特徴は、本願明細書に提供された本発明の説明により明らかであろう。
【発明の開示】
【0010】
発明の簡単な概要
本発明は、蛍光の広域スペクトル消光物質として有用である新規アントラキノン組成物、並びにそれらの製造及び使用法を提供する。このアントラキノン消光物質は、脂質、核酸、ポリペプチド、及びより具体的には抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物質、アミノ酸、ペプチド、蛋白質、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖質、及びそれらのアナログを含む、様々な生物学的関連化合物と複合することができる。本発明は、1個又はそれよりも多い容器、少なくとも1種の本発明のアントラキノン消光物質色素組成物、及びその組成物を使用するための取扱い説明書を備えるキットも提供する。
【0011】
発明の詳細な説明
本発明はひとつには、1,4-ジアミノアントラキノン化合物を含む分子のアントラキノンの種類は、驚くほど強力な消光特性を有するという発見に始まる。これらの消光物質は、放出された蛍光の驚くほど広い波長範囲の蛍光と重複し及び効率的に消光する。有利なことに、これらは蛍光を発さない。結果的に、これらは一般に、ある波長で光を消光し、及びリポーター色素の蛍光波長範囲へブリードする波長範囲にわたり蛍光を放出する消光物質よりも、より低い蛍光バックグラウンドを示す。
本発明のアントラキノン消光物質は、容易に精製される。ある事例において、逆相HPLCクロマトグラフィーを用いる単回の精製が、高度に純粋な化合物を提供する。例えば、本消光物質は、オリゴヌクレオチドプローブへ導入し、並びに例えばPCR適用及びRNase検出並びに様々な核酸結合アッセイを含む、様々な適用において使用することができる。
【0012】
【化1】

【0013】
本発明の組成物は、式(1)のアントラキノン化合物を含む(式中、基R7、R8、R9、及びR10は、水素又は電子求引基を含むことができ;基R1、R14、及びR15は、水素又は電子供与基を含むことができ;R6は、窒素に共有結合することができるアセチル以外の基であることができ;Xは、固形支持体、生物学的関連分子、又はこの組成物が別の分子へ結合するために使用することができる連結基である。)。加えて、R7-15の隣接R基は、芳香環又は芳香環システムの一部であることができる。
多くの電子求引基が当該技術分野において公知であり、及び使用することができる。電子求引基の例は、ニトロ、シアノ、カルボキシレート、スルホニル、スルファモイル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ビアリール、ビアルケニル、ビアルキニル、アルコキシカルボニル、カルバモイル、一-もしくは二-置換されたアミノ基、又は実質的に消光を減衰しない類似基である。ひとつの態様において、下記式(1a)において示されたように、R1は窒素であり、及びR14はヘテロ環式基である。
【0014】
【化2】

【0015】
多くの電子供与基が当該技術分野において公知であり、及び使用することができる。電子供与基の例は、アルコキシ、アルキル、アルキルアミン、アリールアミン、シクロアルキル、ヘテロアルコキシ、ヘテロアルキル、又は消光を実質的に減衰しない類似基である。
式(1)において、Xは、生物学的関連分子であり、及びR1は、-NR16R17であることができる(式中、R16及びR17は、独立して、水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルキル基などである。)。別の態様において、Xは、生物学的関連分子を含み、及びR1は、-NR16R17であることができる(式中、R16及びR17の一方は水素であり、及び他方はフェニル又は他の基であることができる。)。
【0016】
ひとつの好ましい態様において、R1は、窒素を介してアントラキノンに結合されているアニリンであることができる。別の態様において、R1は、先に定義され、及びR6、R7、R8、R9又はR10は、各々水素である。式(1)の組成物の別の態様において、Xは、生物学的関連分子を含み、及びR1は、-NR16R17であり(式中、R16及びR17は、独立して、水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルキル基などであることができる。)、並びにR6、R7、R8、R9、及びR10は、各々水素である。別の態様において、Xは、生物学的関連分子であり、及びR1は、一-又は二-置換されたアミンであり、ここでこの置換基は独立して、アルキル又はアリールであり、好ましくはメチル又はフェニルであり;並びに、R6、R7、R8、R9又はR10は、各々水素である。
【0017】
ある態様において、Xは、式(2)の構造を有することができる(式中、式2のリンは、+3又は+5の酸化状態を有することができる。)。
【化3】


式(2)において、Zは、連結基又は結合であることができ、並びにR2、R3、及びR4は、電子対、連結基、酸素、水素、イオウ、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルコキシ、又は-NR11R12もしくは-OR13であることができ、但しここで1個を超えないR2-4は電子対であることができ、並びに、R11、R12、及びR13は各々、水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、又はヘテロアルキル基などのいずれかであることができる。ひとつの態様において、少なくとも1個のR2-4は、リンを、ヌクレオチド、ヌクレオチド前駆体、又はヌクレオチドのホスホロアミダイト型を含むヌクレオチドアナログにつなぐリンカーである。式2の好ましい態様のひとつは、式(3)で示される。
【0018】
【化4】

【0019】
式(1)及び(1a)のある態様において、Xは、式(2)の化合物であることができ、並びにR2、R6、R7、R8、R9、及びR10の各々は、水素であることができる。別の式(1)の態様において、R1は、-NR16R17であり(式中、R16は水素であり、及びR17はフェニル又は他の基であることができる。);並びに、Xは、式(3)の化合物であることができる。
式(1)及び(1a)のある態様において、Xは、式(2)であることができ、及びR4は、式(4)の化合物であることができ、PG1は、当該技術分野において公知であるような保護基であるか、又は公知である固形支持体であることができ、並びにPG2は、いずれか適当な保護基であるか、又は核酸、蛋白質、それらの前駆体もしくはアナログなどの生物学的関連分子により置換することができる。





【0020】
【化5】

【0021】
式(1)及び(1a)のある態様において、Xは、式(3)の基であることができ、並びにR1は、一-又は二-置換されたアミンであることができ、ここでこの置換基は、独立して、水素、アルキル又はアリールであり、好ましくはメチル又はフェニルであり;並びに、R6、R7、R8、R9、及びR10は各々、水素である。好ましくはR1は、一-又は二-置換されたアミンであり、ここでひとつの好ましい置換は、フェニル基である。
式(1)及び(1a)のある態様において、Xは、式(2)の基であることができ、ここでR4は、リンカーを介してリン酸に結合することができる核酸もしくはヌクレオシド又はそれらのアナログを含む。
式(1)及び(1a)のある態様において、Xは、式(2)の基であることができ、ここでR4は、リンカーを介してリン酸に結合することができる核酸もしくはヌクレオシド又はそれらのアナログを含み、並びにR1は、一-又は二-置換されたアミンであり、ここでアミン置換基は独立して、水素、アルキル、又はアリール基であることができる。ひとつの好ましい態様において、R4は、式(2)の基であることができ、ここでR4は、式(4)であることができ、及びPG2は、核酸もしくはヌクレオシド又はそれらのアナログであることができる。
【0022】
用語「連結基」及び「リンカー」は、互換的に使用され、並びに例えばヌクレオシド又はヌクレオチド又は核酸の酸素に対する、試薬の「相補的官能基」と反応し、及びアントラキノン消光化合物をこの試薬へ結合する連結を形成することが可能である化学基を意味する。この連結基を使用し、アントラキノン化合物を試薬へ、好ましくは共有結合により、連結することができる。相補的官能基がアミンである場合、好ましい連結基は、イソチオシアネート、塩化スルホニル、4,6-ジクロロトリアジニル、カルボキシレート、スクシンイミジルエステル、他の活性カルボキシレート、例えば-C(O)ハロゲン、-C(O)OC1-4アルキル、又は-C(O)OC(O)C1-4アルキル、アミン、低級アルキルカルボキシ又は-(CH2)mN+(CH3)2(CH2)mCOOH(式中、mは、2〜12の整数である。)のような基を含む。典型的には、相補的官能基がアミンである場合、連結基は、N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステルである。相補的官能基が酸素である場合、連結基は、式(4)であることができる(式中、PG1は、酸素-保護基又は固形支持体であり、及びPG2はヌクレオチドであることができる。)。相補性官能性がスルフヒドリルである場合、連結基は、好ましくはマレイミド、ハロアセチル、又はヨードアセトアミドである。多くの色素及びそれらを様々な化合物に複合する様式を明らかにしている、R. 35 Haugland (1992) 「Molecular Probes Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」(Molecular Probes社)を参照し、この項は本願明細書に参照として組入れられている。
【0023】
明らかにされたアントラキノン消光組成物は、それらの消光もしくはスペクトル特性、又は多くの場合は試薬の生物学的活性を変更することなく、様々な分子及び物質に連結することができる。1-(メチルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノンとして公知であるアントラキノン消光部分は、UQ1と略される。1-(フェニルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノンとして公知であるアントラキノン消光部分は、UQ2と略される。
用語「保護基」は、PGと記号化され、引き続きの反応(複数)においてその部分を安定にし、及び一旦その保護目的が利用されたならば、選択的に切断され、その部分を再生することができるような部分に可逆的に結合した基を意味する。例えば、多くのヒドロキシ-保護基が当該技術分野において公知であり、及び使用することができる。多くのこのような基は、Greene, T. W.、「Protective Groups in Organic Synthesis」第3版、17-237(1999)に説明されており、これは本願明細書に参照として組入れられている。好ましくは、ヒドロキシ-保護基は、塩基性反応媒体において安定しており、及び酸により切断することができる。本発明における使用に適している適当な塩基で-安定し、酸で-不安定なヒドロキシ-保護基の例は、エーテル、例えば、メチル、メトキシメチル、メチルチオメチル、メトキシエトキシメチル、ビス(2-クロロエトキシ)メチル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラニドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、t-ブチル、アリル、ベンジル、o-ニトロベンジル、トリフェニルメチル、α-ナフチルジフェニルメチル、p-メトキシフェニルジフェニルメチル、9-(9-フェニル-10-オキソ)アントラニル、トリメチルシリル、イソプロピルジメチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、及びトリイソプロピルシリル;並びに、エステル、例えば、ピバル酸エステル、アダマンタンカルボン酸エステル(adamantoate)、及び2,4,6-トリメチル安息香酸エステルである。特にリボース又はデオキシリボースのC-5炭素の、ヒドロキシル基にとって好ましい保護基は、ジメトキシトリチル基であり、その使用は当該技術分野において周知である。
【0024】
本発明は、明らかにされた組成物を作製する方法も含む。例えば、式(1)の化合物(式中、Xは式(2)の基である。)は、ハロゲン化物イオン(HAL)の置換に適した条件下で、式(5)の化合物を式(6)の化合物と接触することにより調製することができる。基R2-5は、先に説明されたものであり、例えば、R2は電子対であり、並びにR3及びR4は、ジイソプロピルアミノ基であることができる。ひとつの方法において、式(5)の化合物が、0℃で式(6)の化合物に添加され、並びにこの反応混合液を、攪拌しながら室温に温め、式(7)の化合物を形成する。
【0025】
【化6】

【0026】
R10はR7と同じでなく、R9はR8と同じではなく、及び/又はR14はR15と同じではない場合、この合成はほぼ等しい蛍光消光特性を有する異性体を生じるであろう。
【0027】
その後この生成物を、(OH)-L-O-PGのような化合物と、R4での-O-L-O-PGの付加に適した条件下で反応させることにより、リンカーを得られる化合物に追加することができる。その後保護基(PG)が、例えば、酸及び核酸などの生物学的関連化合物と反応したリンカーLとの反応などにより取り除くことができ、その結果これは、先に定義したように、リンカーLを介してアントラキノンに共有結合し始める。
【0028】
【化7】

【0029】
生物学的関連化合物は、ペプチド、ポリペプチド、蛋白質(例えば抗体)、核酸(例えば、オリゴヌクレオチド、ヌクレオシド、デオキシ又はリボヌクレオチドのいずれか、及びそれらのアナログを含む)、多糖、及び脂質などの化合物の種類を含む。
本発明の化合物は、それらの化学構造及び/又は化学名により本願明細書において同定されている。化合物が化学構造及び化学名の両方により言及され、並びに化学構造及び化学名が矛盾する場合は、化学構造が化合物のアイデンティティを決定する。
本発明により包含される別の種類の試薬は、式(1)のアントラキノンを組込んでいるホスホロアミダイト化合物を含む。これらの化合物は、式(1)の共有結合したアントラキノン化合物による、核酸ポリマーの自動化された化学合成に特に有用である。このようなホスホロアミダイト試薬が、ヒドロキシル基、例えばヌクレオシド又はヌクレオチド又は核酸の5'-ヒドロキシル基のような求核体と反応する場合は、これは、公知の方法によりリン酸エステル連結に酸化され得るような亜リン酸エステル連結を形成する。このホスホロアミダイト試薬は、ヌクレオシド性又は非ヌクレオシド性であることができる。
【0030】
本発明は、明らかにされたアントラキノン組成物を含む核酸組成物も提供する。例えば、明らかにされたアントラキノン消光物質を含むオリゴヌクレオチドが、そのようなオリゴヌクレオチドの合成に使用するためのヌクレオチド前駆体と共に企図されている。オリゴヌクレオチドの態様は、内部相補性を伴う領域を含むことができる。加えて、1種又はそれよりも多いヌクレオチドは、リボヌクレオチド(複数)であることができるか、又はヌクレオチドのアナログであることができる。
アントラキノン-含有オリゴヌクレオチドを調製する方法は一般に、アントラキノンホスホロアミダイト前駆体又はオリゴヌクレオチド自動合成装置と組合せて都合良く使用することができるアントラキノン誘導体化された固形支持体の使用に関連している。このような前駆体も本発明により企図されている。あるいは、ある種のオリゴヌクレオチドが、後に適当なアントラキノン組成物と一緒に使用することができる反応基を有するために、これらを調製することができる。
【0031】
本発明は、明らかにされたアントラキノン消光物質に加え、適当な波長の光に曝露された時に蛍光を放出する蛍光色素を含有する核酸組成物も提供する。この消光物質が、オリゴヌクレオチド上の発蛍光団の蛍光を消光する場合、適当な色素対は、明らかにされたアントラキノン消光組成物の少なくとも1種及び、消光物質の吸収スペクトル内に蛍光を発する少なくとも1種の対応する蛍光リポーター色素を含み、その結果この蛍光を消光することができる。
ある態様において、色素対は、少なくとも1種の明らかにされたアントラキノン消光分子、及びオリゴヌクレオチドなどの単独の化合物に結合した少なくとも1種の対応する蛍光のリポーター色素を含み、その結果アントラキノン消光物質は、発蛍光団とその蛍光を消光するのに十分に近い距離内にある。別の態様において、蛍光リポーター色素及びアントラキノン消光物質は、異なる分子上にあることができる。
【0032】
本発明のアントラキノン又は色素対を含むオリゴヌクレオチドは、いずれか適当な方法により精製することができる。例えば、これらは、逆相HPLCにより精製することができる。特にアントラキノンで修飾されたオリゴヌクレオチドを含有する試料は、Hamilton PRP-1カラム(1cmx25cm)のような逆相カラムに負荷し、及び5%から50%までのアセトニトリル直線勾配で40分間かけて溶離することができる。望ましい色素-標識したオリゴヌクレオチド種に相当する溶出液の一部を、収集し及び凍結乾燥することができる。明らかにされたアントラキノン消光物質は比較的疎水性であるので、この方法は、疎水性が増加するであろう修飾されたオリゴヌクレオチドの精製において有利に使用することができる。その後凍結乾燥されたオリゴヌクレオチドは、水に溶解され、及び例えばアセトンを溶媒とする2%過塩素酸リチウムで沈殿され、その後例えば10,000gで10分間遠心分離される。沈殿は、10%アセトン水溶液で洗浄することができる。
オリゴヌクレオチドは、イオン交換HPLCにより精製することもできる。例えば、これらのオリゴヌクレオチドを、5x10 Source(商標)カラム(Amersham Pharmacia Biotech社、ピスカタウェイ、NJ)に負荷し、及びpH約8.0を有する0.1M Tris緩衝液中の1M LiClの0から50%の直線勾配を用い、溶離することができる。このオリゴヌクレオチド種に対応する溶出液の一部は、収集され、及びアセトンを溶媒とする2%過塩素酸リチウムにより沈殿され、及び凍結乾燥される。
【0033】
多種多様な反応性蛍光のリポーター色素が、文献において公知であり、及び本発明の対応する消光物質色素により消光される限りはこれらを使用することができる。典型的には、発蛍光団は、芳香族又はヘテロ芳香族化合物であり、並びにピレン、アントラセン、ナフタレン、アクリジン、スチルベン、インドール、ベンズインドール、オキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、シアニン、カルボシアニン、サリチル酸エステル、アントラニル酸エステル、クマリン、フルオレセイン、ローダミンなどの化合物であることができる。適当な蛍光リポーターは、キサンテン色素、例えば5-カルボキシフルオレセイン(FAM)、2'7'-ジメトキシ-4'5'-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、テトラクロロフルオレセイン(TET)、6-カルボキシローダミン(R6G)、N,N,N;N'-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)を含む、フルオレセイン又はローダミン色素である。適当な蛍光リポーターは同じく、α又はβ位にアミノ基を有するナフチルアミン色素も含む。例えば、ナフチルアミノ化合物は、1-ジメチルアミノナフチル-5-スルホネート、1-アニリノ-8-ナフタレンスルホネート及び2-p-トルイジニル-6-ナフタレンスルホネート、5-(2'-アミノエチル)アミノナフタレン-1-スルホン酸(EDANS)を含む。他の蛍光リポーター色素は、クマリン、例えば3-フェニル-7-イソシアナトクマリン;アクリジン、例えば9-イソチオシアナトアクリジン及びアクリジンオレンジ;N-(p-(2-ベンズオキサゾールイル)フェニル)マレイミド;シアニン、例えばインドジカルボシアニン3(Cy3)、インドジカルボシアニン5(Cy5)、インドジカルボシアニン5.5(Cy5.5)、3-(-カルボキシ-ペンチル)-3'-エチル-5,5'-ジメチルオキサカルボシアニン(CyA);1H,5H,11H,15H-キサンテノ[2,3,4-ij:5,6,7-i'j']ジキノリジン-18-イウム、9-[2(又は4)-[[[6-[2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル]オキシ]-6-オキソヘキシル]アミノ]スルホニル]-4(又は2)-スルホフェニル]-2,3,6,7,12,13,16,17-オクタヒドロ-分子内塩(TR又はTexas Red);BODIPY(商標)色素;ベンズオキサジアゾール;スチルベン;ピレン;などを含む。ある種のリポーター色素の蛍光の放出を以下に記す。
【0034】

【0035】
これらの蛍光化合物の多くの適当な形が利用可能であり、及び状況に応じて使用することができる。キサンテン化合物により、置換基は、様々な試薬との結合、例えばオリゴヌクレオチドとの結合のために、キサンテン環に結合することができる。フルオレセイン及びローダミン色素について、オリゴヌクレオチドへの結合のための適当な連結法も説明されている。例えば、Khannaら、米国特許第4,439, 356号;Marshall、Histochemical J.、7:299-303 (1975);Menchenら、米国特許第5,188,934号;Menchenら、欧州特許出願第87310256.0号;及び、Bergotら、国際特許出願PCT/U590/05565号参照。
好ましくは、リポーター色素がアントラキノン消光物質色素により効果的に消光されるような立体配置に色素対がある場合、その蛍光は、消光が存在しな場合のその蛍光と比較して、少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、90%、95%、もしくは98%という因数で低下する。
【0036】
高いシグナル対ノイズ比を有するプローブは、高感受性のアッセイを開発するために望ましい。シグナル対ノイズ比の測定のために、消光物質及び発蛍光団がフォルスター距離内にある立体配置における相対蛍光が測定され、並びに発蛍光団が最大消光され(バックグラウンド蛍光又は「ノイズ」)及び発蛍光団と消光物質が消光非存在下で分離される場合に測定された蛍光(「シグナル」)と比較される。本発明の色素対のシグナル対ノイズ比は、一般に少なくとも約2:1であるが、概してより高い。シグナル対ノイズ比約5:1、10:1、20:1、40:1及び50:1が好ましい。比60:1、70:1及び更には100:1も、並びにそれよりも高い比も場合によっては得ることができる。中間のシグナル対ノイズ比も、企図されている。
【0037】
明らかにされたアントラキノン消光化合物は、蛍光を驚くほど広範な波長にわたり効果的に消光する。一部のアントラキノン組成物について、吸収スペクトルは、約400〜800nmの範囲であり、より典型的には消光組成物は約500〜700nmの範囲に吸収スペクトルを有する。先に示したように、適当なアントラキノン消光物質の吸収範囲は、適当な色素対の発蛍光団の蛍光放出と重複しなければならない。消光組成物の効果的吸収範囲を測定する方法は、公知であり、及びいずれか適当な方法を使用することができる。
適当な色素対を、多くの立体配置において使用することができ、例えば、色素の組合せは、核酸オリゴマー及びポリマーで交換することができる。例えば、色素対は、ヘアピン構造を有するオリゴマー上に置くことができ、その結果この発蛍光団及び消光物質は、フォルスター距離内にあり、及びFRETが生じる。あるいは、色素対を、ランダムコイルコンホメーションを採用することができるオリゴマー上に配置することができ、その結果蛍光は、そのオリゴヌクレオチドが二重鎖核酸ポリマーの一部となり始める時のように、延長されたコンホメーションを採用するまで、消光される。一般に個々の色素部分は、使用の必要要件に応じて、核酸のいずれかの位置に置くことができる。
【0038】
本発明の色素対を含む核酸オリゴマー及びポリマーを使用し、標的核酸を検出することができる。ひとつの方法において、色素対の個々の成分は、オリゴヌクレオチドの反対側のアニーリング可能な自己-相補性セグメント上にあり、その結果外来配列の非存在下でこのオリゴヌクレオチドがそれ自身にアニーリングする場合は、FRETが生じる。このオリゴヌクレオチドは、これが十分な相補性を有する核酸ポリマーにハイブリダイズする時に、内部アニーリングが破壊され、及び蛍光が観察され得るように構築される。このようなオリゴヌクレオチドを使用し、そのオリゴヌクレオチドに結合する配列を有する核酸ポリマーを迅速に検出することができる。別の態様において、このような組成物は、ふたつの生体分子、例えば、そのひとつはリポーター色素に結合され、及び他方はアントラキノン消光物質色素に結合されているようなオリゴヌクレオチドを含む。
【0039】
自己-相補性を欠いているオリゴヌクレオチドプローブも、同様の方法で利用することができる。例えば、アントラキノン消光物質及び発蛍光団は、自己-アニーリング特性を欠いているオリゴヌクレオチド上に置くことができ、その結果オリゴヌクレオチドのランダム-コイルコンホメーションが、蛍光消光に適した距離内に発蛍光団及び消光物質を維持する。このようなオリゴヌクレオチドは、それらが望ましい標的核酸ポリマーにアニーリングする場合に、発蛍光団及び消光物質がより分離され並びに発蛍光団のスペクトル特性がより明らかになるようにデザインすることができる。
他のDNA結合形式も可能である。例えば、ふたつのオリゴヌクレオチドは、核酸ポリマーの相接する長さ(contiguous length)上に互いに隣接してアニーリングすることができるようにデザインすることができる。ふたつのプローブは、それらがそのような核酸ポリマーにアニーリングされる場合に、一方のオリゴヌクレオチド上のアントラキノン消光物質は、FRETを生じるように他方のオリゴヌクレオチド上の発蛍光団と十分近接しているように、デザインすることができる。オリゴヌクレオチドの核酸ポリマーへの結合は、発蛍光団の蛍光の減少として追跡することができる。
【0040】
あるいは、アントラキノン消光物質及び発蛍光団のような、互いにアニーリングするオリゴヌクレオチドのセットは、これらがフォルスター距離内であるように、反対側のオリゴヌクレオチド上に位置付けることができる。このようなオリゴヌクレオチド二重鎖の、オリゴヌクレオチドの一方又は両方の結合と競合する核酸ポリマーとのインキュベーションは、このオリゴヌクレオチド二重鎖の正味の分離(net separation)を引き起こし、リポーター色素の蛍光シグナルの増加につながるであろう。ポリマー鎖への結合に有利であるように、オリゴヌクレオチドの一方は、より長くなるか、又はミスマッチがオリゴヌクレオチド二重鎖内に組込まれる。
これらのアッセイ形式は、個別のオリゴヌクレオチドの混合物が、個別のスペクトル分解可能な放出を伴う発蛍光団を有するようなマルチ-リポーターシステムに容易に拡大することができる。次に個々のオリゴヌクレオチドの結合を、試料から放出される蛍光の波長を決定することにより検出することができる。このようなマルチ-リポーターシステムは、単独の反応体積において複数のハイブリダイゼーション事象の分析が必要であるような適用において有利である。
【0041】
オリゴヌクレオチドは、明らかにされたアントラキノン消光物質と共に構成することもでき、その結果これらはPCR反応混合物を操作することなく(すなわち、閉鎖式チューブ形式において)、PCR反応の進行をモニタリングするために使用することができる。このアッセイは、蛍光が実質的に消光される立体配置において発蛍光団及びアントラキノン消光物質で標識されたオリゴヌクレオチドを利用する。このオリゴヌクレオチドは、増幅産物に特異的にハイブリダイズするために、増幅された核酸の領域に対する十分な相補性を有するようにデザインされる。ハイブリダイズされたオリゴヌクレオチドは、DNA合成の引き続きのラウンドにおけるTaq(商標)ポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性により分解される。オリゴヌクレオチドは、オリゴマーが分解される時、色素対のメンバーのひとつが放出され、発蛍光団から蛍光が観察され得るようにデザインされる。試料の蛍光強度の増加は、増幅産物の蓄積を示す。
【0042】
リボ核酸ポリマーも、発蛍光団及びアントラキノン消光物質と共に構成し、並びにRNaseを検出するために使用することができる。例えば色素対は、発蛍光団の蛍光が消光されるように、RNase基質中のRNase切断部位の反対側に配置することもできる。適当な基質は、切断され得る1本鎖領域を有する核酸分子、並びにアデノシン残基のすぐ3'側に少なくとも1個のヌクレオチド間(internucleotide)連結、シトシン残基のすぐ3'側に少なくとも1個のヌクレオチド間連結、グアノシン残基のすぐ3'側に少なくとも1個のヌクレオチド間連結、及びウリジン残基の隣に少なくとも1個のヌクレオチド間連結を有し、並びに任意にデオキシリボヌクレアーゼで切断可能なヌクレオチド間連結を欠くことができる核酸分子を含む。アッセイを行うために、この基質を、被験試料と共に、リボヌクレアーゼ酵素が試料中に存在する場合にこれにより基質が切断されるのに十分な時間インキュベーションする。この基質は、内部位置に少なくとも1種のリボヌクレオチド残基を含む1本鎖核酸分子であることができる。内部リボヌクレオチド残基の切断時に、その放出がアントラキノン消光物質により消光されるリポーター色素の蛍光は、検出可能になる。蛍光の出現は、リボヌクレアーゼ切断事象が発生し、その結果試料は、リボヌクレアーゼ活性を含むことを示す。この試験は、既知量のリボヌクレアーゼを含む対照試料と基質をインキュベーションし、適当な時間長の後に得られるシグナルを測定し、及びこのシグナルを被験試料において得られたシグナルと比較することにより、リボヌクレアーゼ活性のレベルを定量するように適合することができる。
【0043】
一般に、説明されたあらゆるアッセイは、このアッセイが適切に機能していたかどうかを示すために使用することができる陽性対照と共に実行することができる。
本発明は、1個又はそれよりも多い容器、少なくとも1種の明らかにされたアントラキノン消光色素組成物及びその使用に関する取扱い説明書を含むキットも提供する。このようなキットは、説明された方法の実践において、又は説明された組成物の合成のための材料を提供するために有用であることができる。本発明の化合物を使用する具体的用途に応じて、追加の成分を、キットに含むことができる。例えば、キットがPCR反応の進行を測定するように指示される場合、これは、DNAポリメラーゼを含んでもよい。キットによるRNase検出アッセイの実践が意図される場合、RNase-非含有水が含まれる。キットは、陰性対照及び/又は陽性対照及び緩衝液を含むこともできる。
下記実施例は更に本発明を例証するが、当然、いかなる意味においてもその範囲を制限するように構築されるものではない。特に下記実施例は、本発明の化合物を得るための合成法を明らかにしている。本発明の化合物及びそれらの中間体の調製に有用な出発材料は、市販されているか、又は公知の合成法及び試薬を用い市販されている材料から調製することができる。
【0044】
実施例1
本実施例は、反応式1に示されたような、アントラキノン化合物1の1,4-ヒドロキシル基の脱離基への転換を具体的に示す。化合物2の「E」は、いずれか適当な脱離基であることができる。多くの適当な脱離基が当該技術分野において公知であり、並びに例えば、ハロゲン化物、アリールアルキルスルホニルオキシ、置換されたアリールスルホニルオキシ(例えば、トシルオキシ又はメシルオキシ)、置換されたアルキルスルホニルオキシ(例えば、ハロアルキルスルホニルオキシ)、フェノキシ又は置換されたフェノキシ、及びアシルオキシ基を使用することができる。1型の化合物は、市販されている(例えば、Aldrich Chemical社、ミルウォーキー、WI)。この反応は、pKaが約10又はそれよりも大きい塩基を含む適当な塩基が必要である。適当な塩基は、トリエチルアミン、ジプロピルアミンなどの、アルキルアミン塩基;リチウムアミド、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムテトラメチルピペリジン、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、ナトリウムヘキサメチルジシルアジド、及びリチウムヘキサメチルジシルアジドを含む、金属アミド塩基;水素化ナトリウム及び水素化カリウムを含む、水素化物塩基を含む。トリエチルアミンのようなアルキルアミン塩基が好ましい。
【0045】
【化8】

【0046】
化合物1を化合物2に転換するために、アルゴンなどの不活性大気下、適当な有機溶媒中の化合物1の攪拌溶液に、約1〜約1.2当量の適当な塩基の溶液を添加した。適当な有機溶媒は、中等度の極性非プロトン性溶媒である。この溶液を、約-100℃又はそれよりも高くからほぼ室温の間、より好ましくは約-80℃〜約20℃の間の定温で維持した。この塩基は、添加前に適当な有機溶媒に希釈し、及びこの反応液を過加熱することを避けるために十分ゆっくり添加した。化合物1の化合物2への転換に適した有機溶媒は、これらの反応物及び生成物が溶解するような溶媒を含み、並びにジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、炭化水素溶媒(例えば、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタン)、及びそれらの混合物を含む。この塩基の添加後、反応混合液を、約1〜4時間攪拌し、反応-混合液温度を、開始温度の数度以内に維持した。その後この温度を、約-20℃〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温に調節し、この反応液を、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより、実質的に完了したと分析的に決定されるまで攪拌した。その後、反応混合液を反応停止し、及び常法により、化合物2を単離した。
【0047】
実施例2
本実施例は、反応式2に従う、化合物2の1,4-脱離基の1-置換されたアミノ-4-β-ヒドロエチルアミノアントラキノン4への転換を具体的に示す。
化合物2の約1当量の溶液を、不活性大気下で、適当な有機溶媒に溶解した。適当な溶媒は、化合物2が溶解したジメチルホルムアミド、アセトニトリル、及びジメチルスルホキシドなどの、極性非プロトン性溶媒である。この溶液を、約10当量の置換されたアミンを添加する間、室温で維持し、及び薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより、反応が実質的に完了したと分析的に決定されるまで、温度約150℃で約1時間〜4時間攪拌した。その後この反応混合液を、室温に冷却し、反応停止し、化合物3及び3'を得た。化合物3及び3'は、フラッシュクロマトグラフィー又はHPLCにより分離し、化合物3を得た。あるいは、化合物3及び3'を、エタノールアミンで処理し、分離前に化合物4を調製した。
【0048】
【化9】

【0049】
化合物4を得るために、約1当量の化合物3の溶液を、本実施例において先に定義したような適当な有機溶媒中に、不活性大気下で溶解した。約250当量のエタノールアミンを、1回の添加で添加し、この反応混合液を、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより、反応が実質的に完了したと分析的に決定されるまで、約1〜約3時間、好ましくは2時間、約100℃で攪拌した。その後この反応混合液を、室温に冷却し、反応停止し、化合物4を得、これは分取高速液体クロマトグラフィー又はフラッシュクロマトグラフィーを含む、様々な周知の技術により更に精製することができた。
【0050】
実施例3
本実施例は、反応式3に示されたような、1-置換されたアミノ-4-(2-シアノエチル-ホスホロアミダイト-エチルアミノ)-アントラキノンの合成を具体的に示す。トリエチルアミン中のアントラキノン4の2M溶液を調製した。この溶液を約0℃に冷却し、ホスホン酸クロリド化合物約1〜2当量を添加した。この反応混合液を、室温に温め、この反応が実質的に完了したと分析的に決定されるまで、約4時間攪拌させた。この反応混合液を、反応停止させ、及び化合物5を常法により単離した。

【0051】
【化10】

【0052】
この方法を使用し、R16、R17、及びR7-10の出現が各々、独立して水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルキル基などである、アントラキノンホスホロアミダイト化合物を合成することができる。R2-5は、独立して、電子対、酸素、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルバモイル、もしくは同様の置換基、又は先に定義されたような一-もしくは二-置換されたアミンであり;並びに、HALは、ハロゲン原子、典型的には塩素を表している。
【0053】
実施例4
本実施例は、反応式4に示されたような、リンカー(L)に共有的に連結したアントラキノン消光物質の合成を具体的に示す。アントラキノン化合物5は、実施例2のように、適当な有機溶媒中、不活性大気下で、ヒドロキシ-含有リンカー化合物(HO-L)及びエチルチオテトラゾールと共に、約0.5時間混合した。Lは、ヌクレオチド又は核酸ポリマーであることができる。その後アセトニトリル及びエチルチオテトラゾール中の化合物5の第二の溶液を添加し、及び反応混合液を、更に0.5時間攪拌した。反応混合液を、アセトニトリルで洗浄し、THF/ピリジン(8:1)中で10容量%メチルイミダゾールにより、不活性大気下で、約0.5時間処理した。この反応生成物を分離し、アセトニトリルで洗浄し、及びTHF/ピリジン/H2O(78:20:2)中の0.02Mヨウ素を5分間かけてゆっくり添加し、これで処理した。反応混合液を単離し、及び減圧下で一晩乾燥し、化合物6を得た。Lは、遊離ヒドロキシル基を伴うヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドであることができる。











【0054】
【化11】

【0055】
実施例5
本実施例は、反応式6に示されたような、アントラキノンの単独のヒドロキシル基の脱離基への転換を具体的に示す。適当な脱離基は、先に実施例1において定義されたものである。
化合物8から化合物9へ転換するために、約1〜約1.2当量の適当な塩基の溶液を、有機溶媒中のモノヒドロキシ-アントラキノン8の攪拌溶液に、不活性大気下で添加した。この溶液を、約-100℃〜ほぼ室温、より好ましくは約-80℃〜約20℃の間の定温で維持した。塩基を、実施例2に説明したように、添加前に適当な有機溶媒に希釈し、及びこの反応混合液を過加熱することを避けるように添加した。この塩基の添加後、反応混合液を、約1〜4時間攪拌し、その温度を、開始温度の数度以内に維持した。その後この温度を、約-20℃〜ほぼ室温、好ましくはほぼ室温、好ましくはほぼ室温に調節し、この反応液を、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより、実質的に完了したと分析的に決定されるまで攪拌した。この反応混合液を反応停止し、及び常法により、化合物9を単離した。
【0056】
【化12】

【0057】
実施例6
本実施例は、アントラキノン化合物9の脱離基の、対応するアミノ-4-β-ヒドロキシエチルアミノアントラキノン10への転換に有用な方法を具体的に示す。
【化13】

【0058】
約1当量の化合物9の溶液を、先に説明されたような適当な有機溶媒に、不活性大気下で溶解した。エタノールアミン約250当量をこの溶液に、1回のアリコートで添加した。反応混合液を、攪拌速度に応じて、約1〜約3時間攪拌し、好ましくは約100℃で温度を維持する速度で攪拌しながら、約100度で2時間攪拌した。攪拌は、薄層クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーなどにより、反応が実質的に完了したと分析的に決定されるまで継続した。その後この反応混合液を室温に冷却し、反応停止し、化合物10を得、これは、分取HPLC又はフラッシュクロマトグラフィーなどの公知の技術により精製することができる。
【0059】
実施例7
本実施例は、反応式8に示されたような、1-置換されたアミノ-4(2-シアノエチルホスホロアミダイト-エチルアミノ)-アントラキノンの合成を具体的に示す。アントラキノン化合物10の2M溶液を、トリエチルアミン中で調製した。この溶液を0℃に冷却し、ホスホン酸クロリド化合物約1〜2当量を添加した。この反応混合液を室温に温め、実質的に完了したと分析的に決定されるまで、約4時間攪拌した。反応混合液を、反応停止し、化合物11を常法により単離した。
【0060】
【化14】

【0061】
実施例8
本実施例は、反応式9に示されたような、リンカー(L)に共有結合したアントラキノン消光物質の合成を具体的に示す。アントラキノン化合物11は、アセトニトリルのような、有機溶媒に、不活性大気下で、エチルチオテトラゾール及びHO-Lと共に溶解した。Lは、ヌクレオチド又は核酸ポリマーであることができる。この溶液を、室温で維持し、約0.5時間攪拌した。アセトニトリル及びエチルチオテトラゾール中の化合物11の第二の溶液を、この反応混合液に添加し、更に0.5時間攪拌した。反応混合液を、アセトニトリルで洗浄し、THF中の10容量%無水酢酸溶液で処理し、等量のTHF/ピリジンの8:1混合液中の10容量%メチルイミダゾールと混合し、全て不活性大気下で行った。約30分後、この反応混合液をアセトニトリルで洗浄し、及びTHF/ピリジン/H2O(78:20:2)中の0.02Mヨウ素を5分間かけてゆっくり添加し、これを処理した。反応混合液を単離し、及び減圧下で一晩乾燥し、化合物12を得た。
【0062】
【化15】

【0063】
実施例9
本実施例は、以下に説明されるような1-(メチルアミノ)-4-(2-シアノエチルホスホロアミダイト-エチルアミノ)-アントラキノン14の合成を具体的に示す。N,N-ジイソプロピルアミノシアノエチル-ホスホンアミドクロリド(0.10mL, 0.51mmol)を、0℃で、1-(メチルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノン(100mg, 0.34mmol)及びトリエチルアミン(TEA)(0.12mL, 0.68mmol)の溶液に滴下した。この混合液を、室温で4時間攪拌した。溶媒を除去し、残基を酢酸エチル(EtOAc)(2mL)に溶解した。生成物を、EtOAc/石油エーテル(PE)/TEA:40/50/10による、シリカ上のフラッシュクロマトグラフィーにより単離した。1H NMR (CDCl3)δ10.83 (t, J=5Hz, 1H), 10.57 (d, J=5Hz, 1H), 8.29-8.34 (m, 2H), 7.65-7.70 (m, 2H), 7.28 (d, J=10, 1H), 7.20 (d, J=10, 1H), 3.90-4.00 (m, 2H), 3.80-3.90 (m, 2H), 3.58-3.67 (m, 4H), 3.08 (d, J=5, 3H), 2.65 (t, J=6, 2H), 1.18 (t, J=6, 12H)。MS (FAB') [M+]:C26H33N404Pの計算値、m/z 496.54;実測値、m/z 512。













【0064】
【化16】

【0065】
実施例10
【化17】

【0066】
本実施例は、以下に説明されるような1-(フェニルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノン15の合成を具体的に示す。アニリン(49.8mL, 547mmol)を、DMSO(120mL)中の1,4-ビス(トシルオキシ)アントラキノン(Zielake、J. Org. Chem.、52:1305-1309 (1987)参照)(3g, 5.47mmol)に添加し、150℃で2時間加熱した。この反応液を、室温に冷却し、15%HCl溶液(1.5L)に注ぎ、濾過し、水で洗浄し、赤みを帯びた固形物を得た。この固形物は、1-(フェニルアミノ)-4-(トシルオキシ)アントラキノン(TLC上で赤色、Rf 0.65、20%EtOAc/PE)及び1,4-ビス-(フェニルアミノ)アントラキノン(TLC上で青色、Rf 0.75、20%EtOAc/PE)からなった。この固形物を、減圧下で一晩乾燥し、赤みを帯びた固形物2.2gを得た。エタノールアミン(72mL, 1173mmol)を、DMSO(30mL)中の赤みを帯びた固形物(2.2g, 4.69mmol)に添加した。この混合物を、100℃で2時間加熱した。反応液を室温とし、10%HCl(1.5L)に注ぎ、CH2Cl2(3X)で抽出した。有機相を、水(1X)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、蒸発させた。シリカ上の50〜100%EtOAc/PEによるフラッシュクロマトグラフィーは、青色固形物(0.6g, 収率42%)を得た。TLC:Rf 0.45、30%EtOAc/PE。1H NMR (CDCl3)δ12.09 (s, 1H), 10.81 (s, 1H), 8.26-8.32 (m, 2H), 7.74-7.76 (m, 1H), 7.67-7.71 (m, 2H), 7.52 (d, J=10Hz, 1H), 7.37-7.42 (m, 2H), 7.31 (d, J=8Hz, 1H), 7.24-7.26 (m, 1H), 7.13-7.19 (m, 2H), 3.96 (t, J=5Hz, 2H), 3.59 (q, J=5Hz, 2H)。MS (FAB') [M+]:C22H18N2O3の計算値:m/z 358.39;実測値、m/z 358。
【0067】
実施例11
本実施例は、以下に説明されるような1-(フェニルアミノ)-4-(2-シアノエチルホスホロアミダイト-エチルアミノ)-アントラキノン16の合成を具体的に示す。
【化18】

【0068】
N,N-ジイソプロピルアミノ-シアノエチルホスホンアミドクロリド(0.93mL, 4.19mmol)を、1-(フェニルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノン(1g, 2.79mmol)及びTEA(0.8mL, 5.58mmol)の溶液に0℃で滴下した。この混合液を、室温で3時間攪拌した。溶媒を除去し、残基をEtOAc(3mL)に溶解した。シリカ上のEtOAc/PE/TEA:5/85/10-50/40/10によるフラッシュクロマトグラフィーは、青色固形物(1.28g, 収率82%)を得た。TLC:Rf 0.70, EtOAc/PE/TEA:40/50/10。1H 30 NMR (CDCl3)δ12.16 (s, 1H), 10.88 (t, J=5Hz, 1H), 8.34 (dt, J=7,2,2Hz, 2H), 7.69-7.75 (m, 2H), 7.60 (d, J=10Hz, 1H), 7.39 (t, J=7Hz, 2H), 7.26 (t, J=4Hz, 2H), 7.15-7.20 (m, 2H), 3.92-4.00 (m, 2H), 3.82-3.90 (m, 2H), 3.60-3.69 (m, 4H), 2.67 (t, J=6Hz, 2H), 1.19 (t, J=7Hz, 12H)。MS (FAB') [M+]:C31H35N404Pの計算値、m/z 558.61;実測値、m/z 558。
【0069】
実施例12
本実施例は、示されたように、UQ2としても知られている1-(フェニルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノン-DMT-CPG 17の合成を具体的に示す。
【化19】

【0070】
誘導体化されたコントロールドポーラスガラス(CPG)支持体18の2gを、ジクロロメタンを溶媒とする3容量%ジクロロ酢酸10mLで3回に分けて処理し、アセトニトリル5x10mlで洗浄し、化合物18を得た。
【0071】
【化20】





【0072】
【化21】

【0073】
無水アセトニトリル5mL及び0.45Mエチルチオテトラゾール5mL中のモノDMT-グリセロールホスホロアミダイト(17a)0.5gの溶液を、アルゴン大気下で化合物18に添加した。20分後、反応混合物を単離し、CPGを、アセトニトリル5x10mLで洗浄し、引き続きTHF中の10容量%無水酢酸溶液10mL、THF/ピリジン8:1中の10容量%メチルイミダゾール含有溶液10mLで洗浄し、全てアルゴン大気下で行った。30分後、反応混合物を除去し、誘導体化されたCPGを、アセトニトリル5x10mL、その後THF/ピリジン/H2O (78:20:2)溶液中の0.02Mヨウ素10mLをCPGと5分間反応させた。処理したCPGを単離し、アセトニトリル5x10mLで洗浄した。酢酸/ピリジン1:8中の0.5Mヒドラジン水和物の溶液を、アルゴン大気下でCPGと混合し、この混合物を30分間反応させた。その後CPG材料を単離し、アセトニトリル5x10mLで洗浄した。無水アセトニトリル5mL及び0.45Mエチルチオテトラゾール5mL中のホスホロアミダイト16の0.3gの溶液を、アルゴン大気下で得られたCPGに添加した。20分後、この反応混合物を除去し、無水アセトニトリル5mL及び0.45Mエチルチオテトラゾール5mL中の0.3gのホスホロアミダイト16の新たな溶液を、得られたCPGにアルゴン下で添加し、更に20分間反応させた。(72mL, 1173mmol)。この反応混合物を除去し、CPGを、アセトニトリル5x10mLで洗浄した。THF中の10容量%無水酢酸溶液の10mL溶液及びTHF/ピリジン8:1混合液中の10容量%メチルイミダゾール10mLに、アルゴン下で、得られたCPGを添加した。30分後、反応混合物を除去し、CPGをアセトニトリル5x10mLで洗浄した。THF/ピリジン/H2O(78:20:2)中の0.02Mヨード10mLによる5分間の処理により、亜リン酸を酸化し、リン酸とした。反応混合物を除去し、誘導体化されたCPGを、アセトニトリル5x10mL、引き続きジクロロメタン2x10mLで洗浄し、減圧下で一晩乾燥し、誘導体化されたCPG生成物2.2gを得た。
【0074】
実施例13
本実施例は、本発明のビス-1,4-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノン(19)の合成法を具体的に示す。
出発材料4-フェネチルアミノアルコール(1.25g, 9.1mmol)を、DMSO(2mL)中の1,4-ビス(トシルオキシ)アントラキノン(0.5g, 0.91mmol)と混合し、この混合物を180℃で16時間加熱した。その後1M HCl溶液を混合し、この反応物を濾過し、水ですすぎ、青色固形物を得た。この固形物を減圧下で乾燥し、酢酸エチル(3mL)中に溶解を促進するために加熱しながら再度溶解した。酢酸エチルにおけるフラッシュクロマトグラフィーによる生成物の精製は、2種の固形化合物を生じ、その一方は青色であり、他方は緑色であった。NMR解析を用い、緑色化合物が所望の生成物であることを確認した(0.19g)。1H NMR (CDCl3)δ12.23 (s, 1H), 8.36-8.40 (m, 2H), 7.73-7.77 (m, 2H), 7.48 (s, 2H), 7.21-7.27 (m, 9H), 3.89 (t, J=7Hz, 4H), 2.89 (t, J=7Hz, 4H), 1.48 (bs, 3H)。
【0075】
前記反応を、大規模化したが同一条件を用い(すなわち、30mLのDMSO中の1,4-ビス(トシルオキシ)-アントラキノン15g、4-フェネチルアミノアルコール18.75g(5当量))、より大規模に繰り返した。粗固形物の半分を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製し、ビス-1,4-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノン1gを得た。


【0076】
【化22】

これらの結果は、拡張可能であるビス-1,4-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノンの調製法を明らかにしている。
【0077】
実施例14
本実施例は、本発明の1-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-4-(DMT-4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノン(20)の合成法を具体的に示す。
無水ピリジン(15mL)中に溶解した塩化ジメトキシトリチル(DMTCI)(0.3g, 0.89mmol)を、ピリジン(15mL)中のビス-1,4-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノンの溶液に滴下し、一晩反応させた。反応生成物の薄層クロマトグラフィーによる分析は、2種の新規生成物を示した。
【0078】
ピリジンを反応混合物から減圧下で除去し、生成物を酢酸エチルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、出発材料と共に、Rf値が0.5及び0.8である2種の生成物を得た。1H NMRを用い、酢酸エチル中でRf 0.5を有する化合物が所望の生成物であることを確認した。1H NMR (CDCl3)δ12.28 (s, 1H), 8.40-8.44 (m, 2H), 7.77-7.81 (m, 2H), 7.50 (s, 2H), 7.40-7.42 (m, 2H), 7,20-7.33 (m, 18H), 6.81-6.88 (m, 4H), 3.92 (t, J=6Hz, 2H), 3.81 (s, 6H), 3.33 (t, J=7Hz, 2H), 2.92 (t, J=7Hz, 4H)。








【0079】
【化23】

【0080】
実施例15
本実施例は、本発明の1-(β-シアノエチルホスホロアミダイト-4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-4-(DMT-4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノン(21)の合成を明らかにしている。
【化24】

【0081】
β-シアノエチルN,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(0.81mL, 1.79mmol)及び0.5当量のジイソプロピルアミン1H-テトラゾール(60mg, 0.64mmol)を、THF(10ml)中の1-(4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-4-(DMT-4-ヒドロキシエチル-フェニルアミノ)-アントラキノン(0.53g, 1.28mmol)の溶液に混合した。12時間後、固形物質を濾過により除去し、溶媒を減圧下で除去した。残留している油状残渣を、酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン(40/45/5)を含んだ溶媒に溶解し、並びに酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン:20/75/5から40/45/5におけるフラッシュクロマトグラフィーのためのシリカカラムに負荷し、青色油状物を得(0.32g, 収率26%)、これは、酢酸エチル/石油エーテル/トリエチルアミン40/45/5で発色したシリカ薄層クロマトグラフィープレートにおいてRf 0.75を有した。
【0082】
実施例16
本実施例は、アントラキノン消光物質色素を含むオリゴヌクレオチドの合成及びいくつかのアントラキノン消光物質の吸光スペクトルの測定を明らかにしている。
本発明のある種のアントラキノン消光物質(UQ2)を持つオリゴヌクレオチドを合成した;その吸光スペクトルを特徴付け、及び他の代表的ダーククエンチャー(dark quencher)であるダブシル、及びQSY7の吸光スペクトルと比較した。
下記オリゴヌクレオチドを合成した:
配列番号:1:CAGAGTACCTGA-UQ2
配列番号:2:CAGAGTACCTGA-QSY7
配列番号:3:CAGAGTACCTGA-ダブシル
【0083】
全ての配列について、A、C、G、Tは、デオキシヌクレオチド(DNA)を表し、並びにオリゴヌクレオチド配列は、特に記さない限りは、左側が5'末端及び右側が3'末端で記されている。オリゴヌクレオチド基質を、Applied Biosystems Model 394 DNA/RNA合成装置上で、標準のホスホロアミダイト化学を用い、アントラキノン消光物質UQ2、QSY7、及びダブシルを伴い合成した。配列番号:1及びUQ2を含む全てのオリゴヌクレオチドの合成のためには、特に記さない限りは、実施例12で調製したCPG結合したアントラキノン前駆体を使用した。この合成は、1μmol規模で行った。従って、支持体上に1μmol反応部位を含んだUQ2誘導体化された固形支持体出発材料を、合成チャンバー内に置き、及びホスホロアミダイトヌクレオチドを、標準の化学法により添加した。
合成後、固形支持体を、2ml微量遠心管に移し、そこでオリゴヌクレオチドを、標準の方法により固形支持体から切断した。
【0084】
オリゴヌクレオチドは、pH7.2の0.1Mトリエチル-酢酸アンモニウム(TEAAc)中での40分間かけた5から50%アセトニトリルの直線勾配を使用するHamilton PRP-1カラム(1.0cmx25cm)による逆相HPLCにより精製した。試料は、260nm及び494nmでモニタリングし、及び蛍光-標識したオリゴヌクレオチド種に対応するピークを収集し、プールし、及び凍結乾燥した。
オリゴヌクレオチド試料を、滅菌水200μlに溶解し、及び2%LiClO4の1mlの添加、それに続く10,000gで10分間の遠心分離により精製した。上清をデカントし、ペレットを、10%アセトン水溶液で洗浄した。
オリゴヌクレオチドを、0.1M TRIS緩衝液中の0%から50%の1M LiClの40分間かけた直線勾配を使用する、イオン交換HPLCにより精製した。試料を、260nm及び494nmでモニタリングし、二重-標識したオリゴヌクレオチド種に対応するピークを収集し、プールし、2%LiClO4で沈殿し、凍結乾燥した。
【0085】
化合物のアイデンティティは、公知の方法によるVoyager-DE BioSpectrometryワークステーションを用いる質量分析により証明した。
これらのオリゴヌクレオチドを、HPLC用水中に400nMの濃度で懸濁した。吸光スペクトルを、10mM Tris(pH8.0)、1mM EDTA(TE緩衝液)中で、Hewlett Packard Model 8453分光光度計(Hewlett Packard社、パロアルト、CA)において、1cm光路長を有する1マイクロ未満(sub-micro)の石英キュベットを用い測定した。光学密度・吸光度を、各オリゴヌクレオチドについて200〜750nmで記録した。個々の吸光スペクトルを図1に示した。
本実施例のデータは、アントラキノン(UQ2)吸収スペクトルは広範であり、約500〜約700nmの範囲であることを示している。この吸収範囲は、分子生物学的用途において一般に使用される多くの発蛍光団の蛍光放出範囲と重複している。UQ2を使用し、少なくとも下記色素の蛍光を消光することができる:フルオレセイン、テトラクロロフルオレセイン、ヘキサクロロフルオレセイン、Cy3、テトラメチルローダミン、Cy3.5、カルボキシ-x-ローダミン、Texas Red、CY5、Cy5.5。
【0086】
実施例17
本実施例は、PCR増幅されたDNAを検出するための、アントラキノン-消光された蛍光プローブの使用を明らかにしている。
フルオレセイン-消光したプローブを用い、PCR反応時に、増幅した標的核酸配列を検出することができる。このアッセイにおいて、増幅プライマーの3'側にアニーリングする蛍光-消光したプローブは、重合ラウンド期間にTaq DNAポリメラーゼのヌクレアーゼ活性により分解される。その後プローブは分解され並びに消光物質及び発蛍光団は分離されるので、フルオレセインがPCR反応時に検出される。
オリゴヌクレオチドプライマー及びプローブを、Cy5含むプローブを用い、脱保護が、1:1:2のt-BuNH2:MeOH:H2Oにより行われ、及び試料を65℃で4時間インキュベーションしたこと以外は、実施例16のように合成した。上清を除去し、CPGを1mlのH2Oで洗浄し、上清をプール及び乾燥した。常法により、発蛍光団を、ヌクレオチド5'側に追加した。プライマー、プローブ、及び標的核酸を下記表1に示した。使用したプローブは、配列番号:4、5、6、7及び8であった。使用したプライマーは、配列番号:9及び10であった。標的核酸は、配列番号:11であり、これはマウスのbHLH蛋白質Ptfl-p48遺伝子(Genbank寄託番号AF298116)由来の220塩基対(bp)アンプリコンが、pCRII-TOPOベクター(Invitrogen社、カールスバッド、CA)にクローニングされており、以後「p48-遺伝子標的」と称した。
【0087】
表1
プローブ:
6FAM-ACCCGTTCACCCTCCCCCAG-UQ2 配列番号:4
6FAM-ACCCGTTCACCCTCCCCCAG-6Tamra 配列番号:5
6FAM-ACCCGTTCACCCTCCCCCAG-QSY7 配列番号:6
TR-ACCCGTTCACCCTCCCCCAG-UQ2 配列番号:7
Cy5-ACCCGTTCACCCTCCCCCAG-UQ2 配列番号:8
フォワードプライマー:MP48 F968
CAGAAGGTTATATCTGCCATCG 配列番号:9
リバースプライマー:MP48 R1187
CTCAAAGGGTGGTTCGTTCTCT 配列番号:10
【0088】
標的アンプリコン
フォワードプライマーF968 プライマー
CAGAAGGTTATCATCTGCCATCGAGGCACCCGTTCACCCTCCCCCAGTGACCCGGATT ATGGTCTCCCTCCTCTTGCAGGGCACTCTCTTTCCTGGACTGATGAAAAACAGCTCAAA GAACAAAATATCATCCGTACAGCTAAAGTGTGGACCCCAGAGGACCCCAGAAAACTC AACAGTCAAATCTTTCGACAACATAGAGAACGAACCACCCTTTGAG
リバースプライマーR1187(配列番号:11)
【0089】
Stratagene社(ラホヤ、CA)のBrilliant Plus Quantitative PCR core Reagent Kitを製造業者の指示に従い使用し、PCR増幅を行った。反応は、25μL容量で行い、これは増幅プライマー及び蛍光消光したプローブ各200nM並びに約1000コピーの標的DNAで構成された。サイクリング条件は、50℃で2分間、95℃で10分間、その後、95℃で15秒間及び60℃で1分間の2-工程PCRを40サイクルであった。ABI Prism(商標)7700 Sequence Detector (Applied Biosystems社、フォスターシティ、CA)を用い、PCR及び蛍光測定を行った。全てのデータ点は、3つ組で行った。異なるプローブに関する結果を、下記表2に示した。サイクル閾値(Ct)は、バックグラウンドを上回る蛍光の統計学的に有意な増加が検出されるサイクルとして定義した。典型的には、より低いCt値は、標的DNAのより高い濃度の指標である。しかし、標的DNAの量が一定に維持される本実施例においては、所定のオリゴヌクレオチドのCt値は、プローブ感度の指標である。アッセイは、同量の投入標的DNAを用いて行った(p48-遺伝子標的プラスミドの1x103コピー)。表2は、全てのオリゴヌクレオチドが同様のCt値を提供し、従って同様の機能を提供することを示している。
【0090】
表2:PCRアッセイに関するCt値

【0091】
各プローブについてPCR時に収集された相対蛍光レベルは、サイクル数に対してグラフにプロットし、及び図2に示した。全ての曲線が重なり、及び識別できず、このことは試験した3種の消光基が各々、フルオレセイン(6FAM)リポーター色素にとって適当な消光物質であることを示している。本実施例は、本発明の新規アントラキノン消光物質を含むプローブ組成物は、定量的実時間PCRアッセイにおいてよく機能し、及び他の消光物質部分を含むプローブと機能的に同等であることを明らかにしている。
Texas Red(TR)リポーター色素(配列番号:7)及びCy5リポーター色素(配列番号:8)並びにアントラキノン消光物質を有する追加の蛍光-消光したプローブを合成した。6TamraはTRリポーター色素を消光しないので、Texas Redプローブは、6Famプローブ(配列番号:5)について先に行ったように、6Tamra消光物質を用い作成することはできない。Cy5プローブは、6Tamra又はQSY7消光物質のいずれかを用いて作成することができず、いずれの基もCy5リポーター色素を消光しない。
【0092】
PCR反応を、標的(配列番号:11)の複数の濃度をアッセイし及び単独のプローブのみ(配列番号:7又は8)を所定の実験において試験した以外は、先に説明したように行った。連続希釈した投入標的DNAは、1x108、1x107、1x106、1x104、及び1x102コピーの標的を含んだ。全てのデータ点は、3つ組で行った。使用したサイクリング条件は、以下であった:50℃で2分間及び95℃で10分間、それに続く、95℃で15秒間及び60℃で1分間の2-工程PCRを40サイクル。PCR及び蛍光測定は、BioRad ICYCLER IQ(商標)Real-time PCR Detection System (Bio-Rad Laboratories社、ハーキュレス、CA)を用いて行った。Texas Redプローブについて、575nm(30nmバンドパス)励起フィルター及び625nm(30nmバンドパス)検出フィルターを使用した。Texas Redプローブ(配列番号:7)に関する結果を図3に示した。Cy5プローブに関して、635nm(30nmバンドパス)励起フィルター及び680nm(30nmバンドパス)検出フィルターを使用した。Cy5プローブ(配列番号:8)に関する結果は図4に示した。
【0093】
これらの結果は、新規アントラキノン消光物質は赤色素(Texas Red、放出610nm)及び遠赤色素(Cy5、放出667nm)で有用であることを明らかにしている。更に、遠赤の範囲の蛍光色素は、他の存在する消光物質群による線状のプローブの立体配置においては、効果的に消光しないので、アントラキノン消光物質の使用は、Cy5のような遠赤リポーター色素の使用を可能にしている。
本願明細書に引用された刊行物、特許出願、及び特許を含む全ての参考文献は、各々の参考文献が個別かつ具体的に参照として組入れられ及び本願明細書においてその全体が言及されていることと同じ適度に、本明細書に参照として組入れられている。
本発明を説明する本文中の用語の冠詞(「a」及び「an」及び「the」)及び同様の関係項(referent)の使用(特に「特許請求の範囲」の文中において)は、本願明細書において特に指摘しないか又は本文と明らかに矛盾しない限りは、単数及び複数の両方を対象とするように構成される。用語「からなる」、「有する」、「含む」及び「含有する」は、特に記さない限りは、制限のない用語(すなわち、「含むが、これらに限定されるものではない」)として構成される。本願明細書における値の範囲の詳述は、その範囲内に収まる各個別の値を個々に言及する簡便な方法として利用されることのみが意図されており、並びに各個別の値はそれが個別に本願明細書に引用されるように本願明細書に組込まれている。本願明細書に説明された全ての方法は、本願明細書に特に記されないか又は本文と明らかに矛盾しない限りは、適当な順番で行うことができる。いずれか及び全ての実施例の使用、又は本願明細書に提供された例証的表記(例えば「など(such as)」)は、本発明をより良く説明することのみを意図し、他に請求しない限りは、本発明の範囲を限定することはしない。本願明細書の表記は、本発明の実践に必須であるとして請求されない要素を示すように構成されるものではない。
【0094】
本発明の好ましい態様が本願明細書において説明されており、これは本発明者らがわかっている本発明を実践するための最良の様式を含む。これらの好ましい態様の変更は、当業者には、前記説明を読解することで明らかであろう。本発明者らは、このような変更を適宜使用することを当業者に期待し、及び本発明者らは、本発明について本願明細書に詳細に説明されたもの以外が実践されることを意図する。従って本発明は、適用法の許す限りは、添付された「特許請求の範囲」において列挙された本件の全ての修飾物及び同等物を含む。更に、本願明細書に特に記さないか又は本文と明らかに矛盾しない限りは、それらの全ての可能性のある変更における前述の要素の組合せが、本発明に包含されている。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、3'末端に複合した消光物質を含む理想的12ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドの吸収スペクトルを示す。アントラキノン消光物質UQ2(配列番号:1)、及び消光物質QSY7(配列番号:2)、及びDABCYL(配列番号:3)を含むオリゴヌクレオチドは、実施例16に説明したように合成した。
【図2】図2は、オリゴヌクレオチドプローブが、複合された6-カルボキシフルオレセイン(6FAM)リポーター色素及び様々な消光物質を含んだPCRサイクルの関数としてプロットされた蛍光曲線を示している。1-(フェニルアミノ)-4-(2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-アントラキノン(UQ2)(配列番号:4)、6-カルボキシテトラメチルローダミン(6Tamra)(配列番号:5)、及びN,N'-ジメチル-N,N'-ジフェニル-4-((5-t-ブトキシカルボニルアミノペンチル)アミノカルボニル)ピペリジニルスルホンローダミン(QSY7)(配列番号:6)により蛍光-消光したプローブを、約103種の標的DNA分子を含む反応において比べた。相対蛍光単位の対数(Y-軸)を、PCRサイクル数(X-軸)に対してプロットした。これらの曲線は識別不能であり、及び個別には標識しなかった。
【図3】図3は、1H,5H,11H,15H-キサンテノ[2,3,4-ij: 5,6,7-i'j']ジキノリジン-18-イウム、9-[2(又は4)-[[[6-[2,5-ジオキソ-1-ピロリジニル]オキシ]-6-オキソヘキシル]アミノ]スルホニル]-4(又は2)-スルホフェニル]-2,3,6,7,12,13,16,17-オクタヒドロ-分子内塩(Texas Red(TR))リポーター色素及びUQ2アントラキノン消光物質を用いて作成した蛍光曲線を示す。プローブ(配列番号:7)は、記したような変動量で投入する標的DNA分子と共に使用した。相対蛍光単位(Y-軸)を、PCRサイクル数(X-軸)に対しプロットした。
【図4】図4は、図3のように、インドジカルボシアニン5(Cy5)リポーター色素及びUQ2消光物質を用い作成された、蛍光曲線を示す。プローブ(配列番号:8)を、記したように変動する投入標的DNA分子と共に用いた。相対蛍光単位(Y-軸)を、PCRサイクル数(X-軸)に対してプロットした。
【配列表】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)のアントラキノン組成物を含有する化学組成物:
【化1】

(式中、基R7、R8、R9、及びR10は、独立して水素又は電子求引基を含み;基R1、R14、及びR15は、独立して水素又は電子供与基を含み;R6は、窒素に共有結合することができるアセチル以外の基を含み;Xは、固形支持体、生物学的関連分子、又はこの組成物が別の分子へ結合するための連結基である。)。
【請求項2】
Xが式(2)の化学組成物を含む、請求項1記載の組成物:
【化2】

(式中、Zは、アントラキノンとの連結基又は結合を含み;R2、R3、及びR4は、独立して電子対、リンカー、酸素、水素、イオウ、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルコキシ、又は-NR11R12もしくは-OR13を含み、ここで1個を超えないR2、R3、及びR4は、電子対であり;並びにR11、R12、及びR13は、独立して水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、又はヘテロアルキル基を含む。)。
【請求項3】
更に抗原、ステロイド、ビタミン、薬物、ハプテン、代謝産物、毒素、環境汚染物質、アミノ酸、蛋白質、ヌクレオシドもしくはヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、核酸ポリマー、糖質、固形支持体、リンカー、又は脂質からなる群より選択される、式(1)の化合物に連結された物質を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
式(1)の化合物に連結された物質が更に、発蛍光団を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
式(1)の化合物は更に、ホスホロアミダイト基を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
式(1)の化合物に連結された物質の群が更に、オリゴヌクレオチドを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
式(1)の化合物は、オリゴヌクレオチドの3'-末端への連結を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
式(1)の化合物は、オリゴヌクレオチドの5'-末端への連結を含む、請求項6記載の組成物。
【請求項9】
式(1)の化合物に連結された物質は、オリゴヌクレオチド合成に適している固形支持体を含む、請求項3記載の組成物。
【請求項10】
R1は、アニリン(analine)である、請求項1記載の組成物。
【請求項11】
R7、R8、R9、及びR10は、水素である、請求項1記載の組成物。
【請求項12】
R7、R8、R9、及びR10は、電子求引基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項13】
電子求引基は、ニトロ、シアノ、カルボキシレート、スルホニル、スルファモイル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキルアリール、アルコキシカルボニル、及びカルバモイル、一-及び二-置換されたアミン基からなる群より独立して選択される、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
R1、R14、R15は水素である、請求項1記載の組成物。
【請求項15】
R1、R14、R15は、電子供与基を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項16】
電子供与基は、アルコキシ、アルキル、アルキルアミン、アリールアミン、シクロアルキル、ヘテロアルコキシ、及びヘテロアルキル基からなる群より独立して選択される、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
Zは、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、スルホニル、スルファモイル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、又はヘテロアルコキシ基からなる群より選択される、請求項2記載の組成物。
【請求項18】
Zは、アルキル基を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項19】
Zは、エチル基を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項20】
少なくとも1個のR2、R3、及びR4は、シアノエトキシ基を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項21】
Xは、式(3)の化学組成物を含む、請求項2記載の組成物:
【化3】

【請求項22】
Xは、式(3a)の化学組成物を含む、請求項2記載の組成物:
【化4】

【請求項23】
蛍光色素及び式(1)の構造を有する請求項1記載の化学組成物を含む色素対を含有する組成物であり、ここで組成物が、この蛍光色素の蛍光を約50%又はそれよりも多く消光する、組成物。
【請求項24】
組成物が、蛍光色素の蛍光を約70%又はそれよりも多く消光する、請求項23記載の色素対を含有する組成物。
【請求項25】
組成物が、蛍光色素の蛍光を約80%又はそれよりも多く消光する、請求項24記載の色素対を含有する組成物。
【請求項26】
組成物が、蛍光色素の蛍光を約90%又はそれよりも多く消光する、請求項25記載の色素対を含有する組成物。
【請求項27】
組成物が、蛍光色素の蛍光を約95%又はそれよりも多く消光する、請求項26記載の色素対を含有する組成物。
【請求項28】
組成物が、蛍光色素の蛍光を約98%又はそれよりも多く消光する、請求項27記載の色素対を含有する組成物。
【請求項29】
請求項1記載の組成物を含む容器及びその取扱い説明書を備えるキット。
【請求項30】
核酸ポリマーをハイブリダイズする方法であり:
a)第一の核酸ポリマーを、式(1)の消光物質組成物を含む第二の核酸ポリマーと共にインキュベーションし、ここでこれら2種の核酸プライマーの少なくとも一方は、式(1)の消光物質組成物により消光され得る蛍光を伴う発蛍光団を含む工程、及び
b)第一及び第二の核酸ポリマーの蛍光を測定する工程を含む。方法。
【請求項31】
更に、発蛍光団と消光物質の間の空間的関係を変更することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
発蛍光団と消光物質の間の空間的関係の変更が、第一及び第二の核酸ポリマーのハイブリダイゼーションの結果である、請求項30記載の方法。
【請求項33】
発蛍光団及び消光物質組成物が、単独の核酸ポリマーに連結されている、請求項30記載の方法。
【請求項34】
更に第一及び第二の核酸ポリマーが互いにハイブリダイズすること、並びにハイブリダイズされた構造から発蛍光団又は消光物質組成物を放出することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項35】
式(7)の組成物を調製する方法であり:
【化5】

a)式(5)の化合物を、式(6)の化合物と、式(6)の組成物のハロゲン化物イオン(HAL)が、式(5)の組成物のヒドロキシル基により置換されるような条件下で接触する工程;及び
【化6】

b)式(7)の組成物を単離する工程を含み、
ここで、基R7、R8、R9及びR10は、同じ又は異なり、並びに水素又は電子求引基であり;基R1、R14、及びR15は、同じ又は異なり、並びに水素又は電子供与基であることができ;R6は、窒素に共有結合し得るアセチル以外の基であり;並びに、R2、R3、及びR4は、独立して電子対、リンカー、酸素、水素、イオウ、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルコキシ、又は-NR11R12もしくは-OR13であり、ここで1個を超えないR2、R3、及びR4は、電子対であり、並びにR11、R12、及びR13は、独立して水素、アルキル、アルキニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロアルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、カルボニル、カルバモイル、アルキルアリール、ヘテロアルキル基である、方法。
【請求項36】
式(7)の組成物を調製する方法であり:
a)式(5)の化合物を、β-シアノエチルN,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロジアミダイトと接触する工程、及び
b)式(7)の組成物を単離する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−500408(P2006−500408A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−537958(P2004−537958)
【出願日】平成15年9月19日(2003.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/029324
【国際公開番号】WO2004/026804
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(505104065)インテグレイテッド ディーエヌエイ テクノロジーズ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】