イア・バイオメトリックス(EARBIOMETRICS)を使用してアクセスとプレゼンス情報(PRESENCEINFORMATION)を制御する方法および装置
【課題】イア・バイオメトリックスを使用してアクセスとプレゼンス情報を制御する方法および装置を提供すること。
【解決手段】方法および装置は、オーディオ・デバイスによってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答してオーディオ・デバイスの動作を制御することによってオーディオ・デバイスの動作を制御する。また方法および装置は、オーディオ・デバイスからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、別のシステムに制御メッセージを送信することによって外部のデータベースの動作を制御する。
【解決手段】方法および装置は、オーディオ・デバイスによってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答してオーディオ・デバイスの動作を制御することによってオーディオ・デバイスの動作を制御する。また方法および装置は、オーディオ・デバイスからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、別のシステムに制御メッセージを送信することによって外部のデータベースの動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムへのアクセスを制御すること、およびプレゼンス情報を通信システムに提供することに関し、特に、個人の識別情報(identification)を決定するためのイア・バイオメトリックスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の範囲内でよく知られている問題は、IPテレフォニー(IP telephony)を経由した音声情報の通信に使用する通信デバイス(たとえば、電話、携帯電話、またはパーソナル・コンピュータなど)のユーザーを識別することである。先行技術のソリューションでは、通信デバイスのユーザーは発信者IDとして通信デバイスに割り当てられた人物であることを想定している。これが常に真実であるとは限らないことは明らかである。さらに、先行技術の範囲内では、会議システム(conferencing systems)に関してユーザーの音声識別を利用していることが知られている。このシステムでの問題は、ユーザーが言葉を発するまでユーザーが識別されないことである。
【0003】
プレゼンス・システム(presence systems)では、ユーザーを識別することが重要である。これは、ユーザーは通信デバイスに割り当てられた人物であると想定することによって実行できるが、そうでない可能性もある。
【特許文献1】米国特許7,065,232号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0140453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話または移動電話(cellular telephones or mobile telephones)に関してよく知られている問題は、権限のないユーザーがこうした電話で通話しないようにすることである。携帯電話および移動電話は紛失したり盗難されたりしやすいため、こうした電話の場合にこの問題は特に深刻である。携帯電話または移動電話の紛失または盗難が発生した場合は、常に不正利用(fraudulent use)やなりすまし(identity theft)の可能性がある。先行技術では、パスワード保護を利用することによってこの問題を解決しようとしてきたが、うまく機能していない。ほとんどのユーザーにとって、通信の開始を希望するたびにパスワードを入力しなければならないことによって煩わされるのを望まないためである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法および装置は、オーディオ・デバイス(audio device)によってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答してオーディオ・デバイスの動作を制御することによってオーディオ・デバイスの動作を制御する。
【0006】
方法および装置は、オーディオ・デバイスからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらに別のシステムに制御メッセージを送信することによって外部のデータベースの動作を制御する。
【0007】
方法および装置は、通信セットからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答して通信システムの動作を制御することによって通信システムの動作を制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1つの実施形態では、イア・バイオメトリックスを使用して電話で話している個人を識別する。この実施形態では、識別を行うために視覚または音響の技術を利用できる。または、これらの組合せを使用してもよい。電話はイア・バイオメトリックスを取得し、取得したイア・バイオメトリックスを電話に内蔵のデータベースに格納されたデータと比較することによって、個人の識別情報(identity)を確認する。電話は、有線電話でも、無線電話(たとえば、移動電話、携帯電話、コードレス電話、送受信兼用の無線機、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、または任意のハンドヘルド・オーディオ・デバイス)でもよい。さらに、この電話では、ビデオおよびオーディオを含むがこれらに限定はされないさまざまなメディアを使用することができる。有線電話は、物理的な配線によって公衆交換電話網(PSTN:public switched telephone network)または構内電話交換(private telephone exchange)に接続できる。または、インターネットなどのデータ交換網を経由した接続を利用してもよい。
【0009】
別の実施形態では、電話は個人の識別情報を使用してその個人が電話の使用を許可されるかどうかを判定する。個人が電話の使用を許可される個人として指定されていない場合は、この個人による電話の使用は許可されない。
【0010】
別の実施形態では、電話は現在電話が使用されている通信のエンドポイントに個人の識別情報を送信する。個人の識別情報の確認とこの識別情報の送信は、エンドポイントに対して定期的に実行できる。これで、エンドポイントは電話のユーザーの識別情報を連続的に受信できる。
【0011】
エンドポイントが会議システムの場合は、識別情報を定期的に送信することによって、会議システムは、電話会議の間に別のユーザーに電話が手渡された場合でも、他のすべての参加者に対してユーザーの識別情報を表示できる。さらに、エンドポイントが音声メッセージング・システムの場合には、個人の識別情報はユーザーがユーザーの音声メッセージへのアクセスを許可するために利用できる。
【0012】
別の実施形態では、電話でユーザーの識別情報をプレゼンス・システムに送信することもできる。ただし、電話は接続された通信交換システム(telecommunication switching system)に識別情報を送信でき、さらに通信交換システムはプレゼンス・システムに識別情報を送信することに留意されたい。
【0013】
別の実施形態では、電話で取得したイア・バイオメトリックス情報は、外部の識別データベースを利用して個人を識別する外部のシステムに電話から送信される。外部のシステムが有線または無線の通信交換システムである場合は、外部のシステムで識別情報を使用して電話からのコールを許可または拒否することができる。さらに、外部のシステムはこの識別情報を、エンドポイントに送信される発信者(caller)の識別情報として利用することができる。たとえば、外部のシステムが電話を会議システムに相互接続している場合には、外部のシステムはこの識別情報を発信者ID情報として会議システムに連続的に送信するので、会議システムはユーザーの正しい識別情報を表示することができる。
【0014】
別の実施形態では、外部のシステム(たとえば有線または無線の通信交換システム)は、電話しているユーザーが自らが割り当てられた電話を利用していない場合でも、この識別情報を利用してそのユーザーに請求することができる。さらに、電話に対してユーザーが毎日ランダムに割り当てられる場合は、外部のシステムは識別情報を利用してユーザーを識別するだけでなく、イア・バイオメトリックス情報が取得された後に、着信する通話(telephone calls)をこのユーザーに転送する。さらに、通話中に別のユーザーが電話を使用していると識別された場合は、外部のシステムは通話を終了することによってプライバシーを保証することができる。
【0015】
図1は、電話(電話103など)の内部に識別データベースが格納されている場合に個人を識別するための実施形態を示している。電話103を使用して図1に示す実施形態の動作を説明しているが、他の電話104〜107およびハンドセット(handset)116を伴うPC 114も同じタイプの動作を実行できる。電話103は無線システム101、PSTN 102、またはWAN 109に接続できるので、電話103は無線、有線、VoIPのいずれの電話でもよい。WAN 109は、インターネットなどのデータ交換網でもよい。ただし、電話103が有線電話の場合に、図1に示す電話103の一部は電話103のハンドセットの部分だけでよいことを当業者は直ちに理解するであろうことに留意されたい。
【0016】
プレゼンス・システム113は、無線システム101および有線交換システム102にWAN 109を経由して相互接続されるように図示されている。プレゼンス・システム113は、その他のいかなる同様のシステムにも組み込むことができること、あるいはその他のパスを経由してこうしたシステムに相互接続できることを、当業者は理解するであろう。プレゼンス・システムの利用は、当業者には周知である。
【0017】
会議システム112、音声応答システム110、および音声メッセージング・システム111は、有線交換システム102に接続されるように図示されている。こうしたシステムは、無線システム101およびプレゼンス・システム113にWAN 109を経由して相互接続できること、または無線システム101もしくは有線システム102は、音声応答システム110、会議システム112、および音声メッセージング・システム111を内部に組み込むことができることを当業者は理解するであろう。
【0018】
サーバー117はさまざまな機能を実行できる。このような機能の1つは、PC 114からその他の通信デバイス(たとえば電話103)への通信コール(telecommunication call)のルーティング情報を提供することである。
【0019】
電話(たとえば電話103)からの識別情報は、電話103が相互接続されている交換システム(たとえば、電話103の電話のタイプによって、WAN 109、無線システム101、または有線交換システム102)を経由してシステム110〜113に伝達できる。
【0020】
実施形態が視覚的な技術を利用し、着信または発信の通話が開始されたときに、イア・バイオメトリックスを使用して個人を識別する場合に、電話103はそのイメージング機能を利用し、電話103が耳に当てられたときに個人の耳を識別することによって個人を識別する。電話103が耳に当たるタイミングを判定するために、電話103は視覚、熱、加速度(acceleration)のいずれかの技術を利用できる。また、オーディオ技術を使用することもできる。たとえば、ユーザーが送話口(mouthpiece)で話すのが聞こえたときに電話103はユーザーの耳に当たったと仮定してもよい。電話103は、取得したイア・バイオメトリックス情報を利用して電話103に内蔵のデータベースから個人を確認することによって個人を識別する。
【0021】
実施形態が音響技術を利用して耳を識別する(オーディオ技術を利用して識別プロセスを開始するのではない)場合は、着信または発信の通話が開始されるときに、電話103は電話103が耳に当てられるまで待機してから、音響技術を利用して耳を識別する。電話103が耳に当たるタイミングを判定するために、電話103は音響、視覚、熱、加速度のいずれかの技術を利用できる。電話103は、取得したイア・バイオメトリックス情報を利用して電話103に内蔵のデータベースから個人を確認することによって個人を識別する。また、電話103は識別の動作を定期的に実行する。
【0022】
図2に示す実施形態は、識別データベースが個々の電話(たとえば電話103)の内部に保持されるのではなく、識別情報が外部のデータベース(たとえば識別データベース118)に保持されることを除いて、図1に示す実施形態と同様である。識別データベース118は、無線システム101または有線交換システム102に組み込むことができることを当業者は理解するであろう。さらに、識別データベース118は、無線システム101および有線交換システム102にWAN 109以外の相互接続メカニズムを使用して相互接続することもできる。
【0023】
電話(電話103)が現在のユーザーの3−Dイメージまたは音響情報を取得したときに、電話はユーザーの識別情報を確認する識別データベース118にこの情報を送信する(電話は、2−Dイメージのみを識別データベース118に送信して処理してもよい)。ただし、識別データベース118は、無線システム101または有線交換システム102にこの情報を送信でき、あるいは、必要に応じてプレゼンス・システム113に定期的にこの情報を送信することもできることに留意されたい。さらに、識別データベース118はシステム101または102のいずれかの一体化部分(integral part)でもよい。
【0024】
図3は、視覚的な技術を利用し、イア・バイオメトリックス情報を使用して個人の識別情報を確認する電話を示すブロック図である。コンピュータ303(図5でより詳細に示す)は、電話の動作を制御する。電話が無線電話の場合に電話はブロック301および302を備えており、電話が有線電話の場合に電話はブロック309を備えているのに対して、電話がVoIP電話の場合に電話はブロック314を備えている。無線電話の場合には、コンピュータ303はRF回路302を制御することによってオーディオ情報および制御情報の両方について無線信号を送信および受信する。RF回路302は、アンテナ301を経由してRF信号を送信および受信する。電話が有線電話の場合には、コンピュータ303は電話回線インターフェイス309を制御する。電話がVoIP電話の場合には、コンピュータ303はWANインターフェイス314を制御する。ユーザー・インターフェイス304は、ユーザーに視覚情報を送信し、ユーザーからキーおよびボタンの作動情報を受信する機能を提供する。ユーザー・インターフェイス304は、コンピュータ303に制御されている。イメージング・モジュール(imaging module)308は、コンピュータ303が視覚情報を受信できるようにする。電話は、耳の熱を使用して耳の接近(proximity)を検知するためのセンサー307を備えていてもよい。さらに、電話は耳が電話に当てられたかその動作の途中であるかを判定するための加速度計(accelerometer)308を備えることができる。
【0025】
イメージング・モジュール308には、レンズ、レンズの焦点調整メカニズム(lense(s) focusing mechanism)、イメージ・キャプチャ回路(image capturing circuitry)、および耳を照らすための光源が含まれるがこれらに限定はされない。コンピュータ303は、イメージング・モジュール308から受信した生のイメージ情報を処理して使用可能な視覚情報に変換し、個人の耳の識別情報によって個人を識別するために必要な分析を実行する。当業者には周知のデジタル・カメラの技術を利用することにより、コンピュータ303はイメージング・モジュール308を使用して一連の写真を調べることによって動きと加速度を決定することができる。
【0026】
コンピュータ303は、受信機(receiver)313とインターフェイス312を使用してユーザーからオーディオ情報を受信する。コンピュータ303は、送信機(transmitter)311およびインターフェイス309を使用してユーザーにオーディオ情報を送信する。
【0027】
動作中に、コンピュータ303はイメージング・モジュール306を以下のように利用し、電話に接近しているユーザーの耳を識別することによって個人を識別する。電話が動作の途中にあることをコンピュータ303が検知すると、コンピュータ303はイメージング・モジュール306に対して一連の2−Dイメージの写真を撮影するように指示する。コンピュータ303は、有効な光の量を監視し、必要に応じてイメージング・モジュール306の光源を有効にする。コンピュータ303は、さらにイメージング・モジュール306のレンズの焦点調整を制御する。コンピュータ303は、次にイメージング・モジュール306から収集されている2−Dイメージから3−Dイメージを生成する。コンピュータ303は、2−Dイメージのみを利用してもよい。
【0028】
コンピュータ303は、ここで内蔵の識別データベースを利用して個人を識別する。耳の識別データベースには、自らの耳を認識するように電話をトレーニングした個人の耳の識別情報が含まれている。識別データベースはコンピュータ303の内部に格納することも、コンピュータ303の外部に格納することもできる。データベースが内部に格納される場合は、データベースから取得した情報に基づいて、コンピュータ303はいずれ(右または左)の耳を識別でき、その耳がだれのものであるかを識別できる。データベースが外部に格納されている場合には、コンピュータ303は外部のデータベースに3−Dイメージを送信し、ここで個人の識別情報を確認する。2−Dイメージから3−Dイメージを生成する動作と、3−Dイメージを使用してデータベースから識別情報を取得する動作は、米国特許7,065,232号および米国特許出願第2006/0140453号に説明されている。前述の特許および特許出願で説明されているデータベースは、指定された個人に関して電話をトレーニングすることによって組み立てられた耳の識別データベースで置き換えられる。
【0029】
図4は、音響技術を利用して耳の情報を判定する電話を示すブロック図である。ブロック401と402は、存在する場合に、図3に示すブロック301と302に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。この機能は、図9により詳細に示されている。存在する場合には、ブロック406と418は図3に示すブロック309と314に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。ユーザー入力インターフェイス404は、図3に示すユーザー・インターフェイス304と同じ機能を提供する。
【0030】
送信機セクション418はユーザーが電話の送信機を関連付ける電話の物理的な部分を備えており、受信機セクション417はユーザーが電話の受信機を関連付ける電話の物理的な部分を備えている。コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機408とインターフェイス407を使用して、ユーザーに音声情報およびその他の音響信号(audible signals)を送信する。しかし、コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機412およびインターフェイス413を使用して、さらにユーザーの耳の共振周波数(resonant frequencies)を決定するための超音波周波数(ultrasonic frequencies)をユーザーの耳に送信する。コンピュータ403は、送信機セクション418の受信機414とインターフェイス416を使用して、超音波周波数に応答してユーザーの耳から返される情報を受信し、ユーザーの耳の共振周波数を決定する。コンピュータ403は、受信機セクション417の受信機409とインターフェイス411を使用して、ユーザーから音声情報を受信する。
【0031】
電話で個人を識別する間に、コンピュータ403は送信機412とインターフェイス413を使用して周波数が超音波の範囲内にある信号を生成する。こうした範囲は、20kHz〜60kHzの範囲内でもよいが、この特定の範囲には限定されず、当業者はこれ以外の周波数の範囲を利用することを容易に想定できる。このような周波数は人間には聞こえないので、こうした周波数のオーディオ情報は電話での会話を妨害しない。ユーザーの外耳道(ear canal)は、こうした周波数に応答してさまざまな周波数で共振する。受信機414およびインターフェイス416は、耳から返されるエコー(echoes)(反射信号(reflected signals)とも呼ばれる)を受信し、コンピュータ403はこのエコーを利用して外耳道の共振周波数または非共振周波数(与えられた周波数の位相(phase)から180°ずれる)を決定する。
【0032】
識別データベースがコンピュータ403の内部に格納されている場合に、コンピュータ403は識別データベースを利用して耳(右または左)を識別し、エコー情報(反射信号とも呼ばれる)を使用してユーザーを識別する。データベースは、電話を利用する見込みのあるすべてのユーザーによって構築されており、それによってユーザーの耳に関して電話をトレーニングする。識別データベースがコンピュータ403の外部に格納される場合に、コンピュータ403は外部のデータベースにエコー情報を送信し、ここで個人を識別する。
【0033】
図5はコンピュータ500を示すブロック図である(図3に示すコンピュータ303でも、図4に示すコンピュータ403でもよい)。図3で、デバイス302、304、306、307、および308は、当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。図4で、デバイス402、404、406、418、および417も当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。プロセッサ501は、メモリ502に格納されたルーチンを実行することにより、インターフェイス503を経由してこうしたデバイスを制御する。
【0034】
インターフェイス・ルーチン512は、プロセッサ501によって実行され、メモリ502に格納されたその他のルーチンによって行われた判定に基づいて、インターフェイス503を経由して前述のデバイスを直接制御する。
【0035】
オペレーティング・システム504は、データ506に格納された情報を利用して、コンピュータ500の全体的な制御を提供する。
【0036】
通信制御ルーチン507は、インターフェイス・ルーチン512とデータ506に格納された情報を利用して、電話の標準的な通信動作を制御する。
【0037】
図8または図9で説明するトレーニングの動作は、トレーニング・ルーチン509によって実行される。トレーニング・ルーチン509は、耳と個人の識別情報を耳の識別データベース508に格納したり、こうした識別情報と3−Dイメージまたはエコー情報を外部のデータベースに送信したりする。外部のデータベースに格納される情報は、図8または9で説明するトレーニングの動作以外の手段でも収集できることを、当業者は理解するであろう。たとえば、3−Dイメージは専用のカメラを使用して取得することもできる。また、エコー情報は、電話以外のオーディオ設備を使用して取得することもできる。
【0038】
耳識別ルーチン511は、図6または図7に関連して説明する動作を実行する。耳識別ルーチン511は、耳識別データベース508に格納されたデータを利用して個人を識別する。個人の識別が外部のシステムで実行される場合は、ルーチン511はメモリ502内には存在しない。
【0039】
電話を使用している個人が識別されると、図10に関連して説明されているように、識別の動作513が実行される。
【0040】
図6は、図3に示す視覚的な技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。ブロック601で開始された後に、意志決定ブロック(decision block)602で電話のユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングかどうかを判定する。意志決定ブロック602で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック602が再実行される。意志決定ブロック602で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック605に制御が移行する。ユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングであるかどうかの判定は、着信または発信の通話があるという事実によって決定できる。さらに、通話中に別のユーザーの耳に電話が移動したことによってこうした判定が行われてもよい。ただし、別のユーザーの耳に移動しなかった場合でも、ブロック605〜611が実行されるように意志決定ブロック602で定期的に要求してもよいことに留意されたい。ブロック607で送信された3−D写真の一致を外部のデータベースで検出できない場合に、外部のデータベースは再度識別情報がチェックされるように要求することもできる(意志決定ブロック605とブロック610で実行される)。外部のデータベースは、識別情報のチェックを要求することによって、2−Dイメージと3−Dイメージが電話により正しく収集されており、ユーザーの移行によって識別誤りまたは識別漏れ(no identification)が発生し、不正なイメージが作成されていないことを確認する。
【0041】
意志決定ブロック605は、意志決定ブロック602から制御を受け取ると、外部のデータベースからの要求があるかどうかを確認する。このような要求は、データベースがブロック607でデータベースに送信された情報に基づいて個人を識別できなかった場合にのみ行われる。意志決定ブロック605の回答がno(いいえ)の場合は、ブロック603に制御が移行する。意志決定ブロック605で回答がyes(はい)の場合は、ブロック610でユーザーが識別手順を実行するように要求し、ブロック603で耳の2−Dイメージの取得を開始できるようにする。ブロック610が実行された後に、ブロック603に制御が移行する。
【0042】
ブロック603で、図3に示すイメージング・モジュール306とコンピュータ303を利用して、2−Dイメージをキャプチャする。次に、意志決定ブロック606に制御が移行する前に、ブロック604で2−Dイメージを処理して3−Dイメージを生成する。ただし、2−Dイメージのみが利用される場合は、ブロック604が存在しないことに留意されたい。
【0043】
意志決定ブロック606で、識別データベースが電話の内部に格納されているかまたは外部に格納されているかを確認する。識別データベースが内部に格納されている場合は、ブロック608に制御が移行し、生成された3−Dイメージを使用して、電話を使用しているユーザーの耳の識別情報を含む内蔵の識別データベースを検索する。ブロック608が実行された後に、意志決定ブロック609に制御が移行する。意志決定ブロック609で、ブロック608のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック603に制御が返される。意志決定ブロック609で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック602に制御が返される前に、ブロック611で個人の耳の識別情報によって個人が識別されたときにさまざまな実施形態で実行されるべき動作を実行する。
【0044】
意志決定ブロック606に戻り、外部のデータベースが利用される場合は、ブロック607に制御が移行し、意志決定ブロック602に制御が戻る前に、ブロック607で3−D写真を外部のデータベースに送信する。
【0045】
図7は、図4に示す音響技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。ブロック701で開始された後に、意志決定ブロック702で電話のユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングかどうかを判定する。意志決定ブロック702で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック702が再実行される。意志決定ブロック702で回答がyes(はい)の場合は、ブロック703に制御が移行する。ユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングであるかどうかの判定は、着信または発信の通話があるという事実によって決定される。また、通話中に定期的にこうした判定が行われてもよい。さらに、外部のデータベースはユーザーの識別情報がチェックされるように要求する。たとえば、ブロック707で送信されたエコー情報に関する一致を外部のデータベースで検出できない場合に、外部のデータベースは識別情報が再度チェックされるように要求することができる。
【0046】
意志決定ブロック703で、電話がユーザーの耳に接近しているかどうかを判定する。これは、超音波信号を送信するために必要である。意志決定ブロック703で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック703が再実行される。意志決定ブロック703で回答がyes(はい)の場合は、ブロック704に制御が移行する。
【0047】
意志決定ブロック706に制御が移行する前に、ブロック704で外耳道に超音波周波数を送信し、返された反射信号(エコー情報とも呼ばれる)を処理する。
【0048】
意志決定ブロック706で、識別データベースが電話の内部に格納されているかまたは外部に格納されているかを確認する。識別データベースが内部に格納されている場合は、ブロック708に制御が移行し、処理されたエコー情報を使用して電話を使用しているユーザーの耳の識別情報を含む内蔵のデータベースを検索する。ブロック708が実行された後に、意志決定ブロック709に制御が移行する。意志決定ブロック709で、ブロック708のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック703に制御が返される。意志決定ブロック709で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック702に制御が返される前に、ブロック711で個人の耳の識別情報によって個人が識別されたときにさまざまな実施形態で実行されるべき動作を実行する。
【0049】
意志決定ブロック706に戻り、外部のデータベースが利用される場合は、ブロック707に制御が移行し、意志決定ブロック702に制御が戻る前に、ブロック707でエコー情報を外部のデータベースに送信する。
【0050】
図8は、視覚的な技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするある実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。ブロック801で開始された後に、ブロック802で個人の識別情報といずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック802で電話番号を取得する。コンピュータ303は、ユーザー・インターフェイス304を使用してこの情報を取得できる。次に、ブロック803で、個人が電話を最初の位置から最終的な位置(つまり、電話が耳に当てられたとき)への移動を開始するように要求する。
【0051】
移動が開始されると、ブロック804〜809であらかじめ定義された数の3−Dイメージを、後で耳と個人を識別するときに使用できるようにデータベースに格納しようとする。第1に、ブロック804であらかじめ定義された数の2−Dイメージをキャプチャし、意志決定ブロック807に制御が移行する前に、ブロック806でこうした2−Dイメージを処理して3−Dイメージを生成する。
【0052】
意志決定ブロック807で、電話の位置が適切でない可能性があるので、3−Dイメージが有効な耳の写真であるかどうかを判定する。意志決定ブロック807で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック814に制御が移行する。
【0053】
意志決定ブロック814で、データベースが電話の内部にあるか外部にあるかを確認する。データベースが外部にある場合は、ブロック816に制御が移行し、意志決定ブロック809に制御が移行する前に、ブロック816で3−D写真と個人の識別情報(たとえば、個人の名前、個人の従業員番号(personnel number)、および電話番号など)を外部のデータベースに送信する。
【0054】
意志決定ブロック814で回答が内部のデータベースである場合は、ブロック808に制御が移行する。意志決定ブロック809に制御が移行する前に、ブロック808でこの3−Dイメージを耳の識別データベースに格納する。
【0055】
意志決定ブロック809で、あらかじめ定義された数の3−Dイメージが識別データベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック809で回答がyes(はい)の場合は、ブロック811に制御が移行し、処理が完了する。
【0056】
意志決定ブロック807に戻り、意志決定ブロック807で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック812に進み、電話から取得された無効な写真の数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック812で回答がyes(はい)の場合は、ブロック813に制御が移行し、ブロック811に制御が移行する前に、ブロック813でエラーの信号を送信する。
【0057】
図9は、音響技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするある実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。ブロック901で開始された後に、ブロック902で個人の識別情報といずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック902で電話番号を取得する。コンピュータ403は、図4に示すユーザー・インターフェイス404を使用してこの情報を取得できる。次に、ブロック903で、個人が電話をユーザーの耳に接近させるように要求する。
【0058】
次に、意志決定ブロック904で、電話が実際にユーザーの耳に接近しているかどうかを判定する。意志決定ブロック904で回答がno(いいえ)の場合は、ブロック903に制御が返される。意志決定ブロック904で回答がyes(はい)の場合は、ブロック906に制御が移行する。意志決定ブロック907に制御が移行する前に、ブロック906でコンピュータ403によって送信機セクション418を使用してエコー情報を取得する。
【0059】
意志決定ブロック907で、ブロック906で取得されたエコー情報が有効であるかどうかを判定する。意志決定ブロック907で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック914に制御が移行する。
【0060】
意志決定ブロック914で、データベースが電話の内部にあるかまたは外部にあるかを確認する。意志決定ブロック914で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック909に制御が移行する前に、ブロック916で個人のエコー情報と識別情報(たとえば、個人の名前、個人の従業員番号、および電話番号など)を外部のデータベースに送信する。意志決定ブロック914で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック909に制御が移行する前に、ブロック908でエコー情報をデータベースに格納する。
【0061】
意志決定ブロック909で、あらかじめ定義されたエコー情報のサンプルがデータベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック909で回答がyes(はい)の場合は、ブロック911に制御が移行し、処理が完了する。
【0062】
意志決定ブロック907に戻り、意志決定ブロック907で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック912に進み、電話から取得された無効なエコー情報のサンプルの数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック912で回答がyes(はい)の場合は、ブロック913に制御が移行し、ブロック911に制御が移行する前に、ブロック913でエラーの信号を送信する。
【0063】
図10は、個人を識別するときに、それぞれ図6に示すブロック611または図7に示すブロック711で実行される動作を示す流れ図である。意志決定ブロック1001で、識別されたユーザーが電話の使用を許可されているかどうかを確認する。このことは、携帯電話や移動電話の場合には特に重要である。意志決定ブロック1001で回答がno(いいえ)の場合は、それぞれ図6に示す意志決定ブロック602と図7に示す意志決定ブロック702のいずれかに制御を返す前に、電話が自らを無効化する。意志決定ブロック1001で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1003に制御が移行する。
【0064】
意志決定ブロック1003で、内部に格納されたデータから、電話が通信しているエンドポイントに個人の識別情報が送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1006に制御が移行する前に、ブロック1004でこのエンドポイントに識別情報を送信する。意志決定ブロック1003で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1006に制御が移行する。エンドポイントが会議システムの場合には、会議システムは受信した識別情報を会議の他の参加者に向けて表示できる。エンドポイントが音声メッセージング・システムまたは自動アテンダント・システム(automated attendant system)の場合は、エンドポイントで受信した識別情報を使用して電話から要求された操作を許可できる。
【0065】
意志決定ブロック1006で、電話が接続する交換システムに確認情報(verification)が送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1008に制御が移行する前に、ブロック1007で交換システムに識別情報を送信する。意志決定ブロック1006で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1008に制御が移行する。交換システムは、受信された識別情報を利用して、請求の動作を実行したり、発信者ID情報を生成したりすることができる。
【0066】
意志決定ブロック1008で、識別情報がプレゼンス・システムに送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、ブロック1009で識別情報と電話の識別情報(電話番号でもよい)をプレゼンス・システムに送信する。ブロック1009が実行された後に、それぞれ図6に示すブロック602または図7に示すブロック702に制御が移行する。意志決定ブロック1008で回答がno(いいえ)の場合は、それぞれ図6に示すブロック602または図7に示すブロック702に制御が移行する。
【0067】
図11は、外部の識別データベースで実行される動作1100を示す流れ図である。ブロック1101で開始された後に、意志決定ブロック1102で、新しい個人に関してデータベースをトレーニングするための情報が電話から受信されるかどうかを判定する。前述のように、識別データベース内に格納される識別情報は、これ以外のソースから受信することもできる。意志決定ブロック1102で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される前に、ブロック1103で個人のイア・バイオメトリックス情報と名前、電話番号などを定義する情報とを受信して処理する。意志決定ブロック1102で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1104に制御が移行する。イア・バイオメトリックス情報は、3−D写真でもエコー情報でもよい。
【0068】
意志決定ブロック1104で、既知の個人に関する新しいイア・バイオメトリックス情報が受信されるかどうかを確認する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1107に制御が移行する前に、ブロック1106でイア・バイオメトリックス情報を使用してデータベースを検索する。意志決定ブロック1107で、ブロック1106で耳が識別されたかどうか、したがって個人が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が戻る前に、ブロック1108で電話に対してさらなるイア・バイオメトリックス情報を提供するように要求する。意志決定ブロック1107で回答がyes(はい)の場合は、ブロック1109で耳が識別された場合に実行されるべき動作を実行する。
【0069】
意志決定ブロック1104に戻り、回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1111に制御が移行し、ここで外部のシステムから識別情報が要求されているかどうかを確認する。このような要求は、図2に示すシステム101、102、110〜113から実行できる。意志決定ブロック1111で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1101に制御が返される前に、ブロック1112で情報の送信リストにこのシステムを追加する。意志決定ブロック1111で回答がno(いいえ)の場合は、さらにユーザーの名前、電話番号なども送信リストに追加され、意志決定ブロック1113に制御が移行する。
【0070】
意志決定ブロック1113で、送信リストに含まれる外部のシステムに識別情報を送信すべきタイミングであるかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される。意志決定ブロック1113で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される前に、ブロック1114で送信リストに含まれる外部のシステムに識別情報を送信する。
【0071】
図12は、通信システムを示すブロック図である。これは、無線システム101または有線交換システム102のようなシステムでよい。さらに、交換ネットワーク1216と通信インターフェイス1217が存在しなかった場合には、図12はサーバー117のブロック図と言ってもよい。さらに、カンフェレンス・ブリッジ(conference bridge)1214と通信インターフェイス1217が存在しなかった場合は、または識別データベース118のブロック図と言ってもよい。コンピュータ1200は、システム全体の制御を行い、カンフェレンス・ブリッジ1214、交換ネットワーク1216、通信インターフェイス1217、およびWANインターフェイス1218にインターフェイス1203を経由して制御情報を伝達する。また、コンピュータ1200は、交換ネットワーク1216を制御して、通信インターフェイス1217およびWAN 109を経由するWANインターフェイス1218に接続された通信セット間のコールをセットアップする。コンピュータ1200は、インターフェイス1203と交換ネットワーク1216を経由して制御メッセージを送信することによってカンフェレンス・ブリッジ1214を制御する。コンピュータ1200は、通信インターフェイス1217とWANインターフェイス1218を経由して通信セットと通信する。
【0072】
コンピュータ1200内で、プロセッサ1201は、メモリ1202に格納されたルーチンを実行することにより、インターフェイス1203を経由してこうしたデバイスを制御する。
【0073】
インターフェイス・ルーチン1212は、プロセッサ1201によって実行され、メモリ1202に格納されたその他のルーチンによって行われた判定に基づいて、インターフェイス1203を経由して前述のデバイスを直接制御する。
【0074】
オペレーティング・システム1204は、データ1206に格納された情報を利用してコンピュータ1200の全体的な制御を提供する。
【0075】
通信制御ルーチン1207は、インターフェイス・ルーチン1212とデータ1206に格納された情報を利用して通信セットの標準的な通信動作を制御する。ただし、図12に示すシステムが識別データベースであった場合に、通信制御ルーチン1207はデータベースの標準的な動作を制御するためのルーチンであることに留意されたい。
【0076】
図13で説明するようなトレーニングの動作は、トレーニング・ルーチン1209によって実行される。トレーニング・ルーチン1209は、通信セットから受信したイア・バイオメトリックス情報を使用して、耳と個人の識別情報を耳の識別データベース1208に格納する。システムに格納される情報はトレーニングの動作以外の手段でも収集できることを当業者は理解するであろう。たとえば、3−Dイメージは専用のカメラを使用して取得することもできる。エコー情報は、通信セット以外のオーディオ設備を使用して取得することもできる。
【0077】
耳識別ルーチン1211は、図13に関連して説明する動作を実行する。耳識別ルーチン1211は、耳識別データベース1208に格納されたデータを利用して耳を識別する。個人の識別が外部のシステムで実行される場合に、ルーチン1211はメモリ1202内には存在しない。
【0078】
電話を使用している個人が識別されると、図13に関連して説明されているように、識別の動作1213が実行される。
【0079】
図13は、通信システムで実行される動作1300を示す流れ図である。ブロック1301で開始された後に、意志決定ブロック1302で新しい個人に関してデータベースをトレーニングするための情報が通信セットから受信されるかどうかを判定する。前述のように、通信システム内に格納される識別情報は、これ以外のソースから受信することもできる。意志決定ブロック1302で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1302に制御が返される前に、ブロック1303で個人のイア・バイオメトリックス情報と、名前、電話番号などを定義する情報とを受信して処理する。意志決定ブロック1302で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1304に制御が移行する。イア・バイオメトリックス情報は、3−D写真でもエコー情報でもよい。
【0080】
意志決定ブロック1304で、新しいイア・バイオメトリックス情報が新しい通信コールに関して受信されたか既存の通信コールに関して受信されたかを確認する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1307に制御が移行する前に、ブロック1306でイア・バイオメトリックス情報を使用してデータベースを検索する。意志決定ブロック1307で、ブロック1306で耳が識別されたかどうか、したがって個人が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1302に制御が戻る前に、ブロック1308で通信セットに対してさらなるイア・バイオメトリックス情報を提供するように要求する。意志決定ブロック1307で回答がyes(はい)の場合は、ブロック1309で耳の識別によって個人が識別された場合に実行されるべき動作を実行する。
【0081】
意志決定ブロック1304に戻り、回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1301に制御が返される。
【0082】
コンピュータの動作がソフトウェアに実装されると、ソフトウェアは任意のコンピュータ可読媒体に格納され、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用することができる。本明細書のコンテクストでは、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用するためのコンピュータ・プログラムを含むまたは格納できる電子的、磁気的、光学的、またはその他の物理的なデバイスまたは手段である。コンピュータは、任意のコンピュータ可読媒体として具体化でき、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチして命令を実行できる命令実行システム、装置、またはデバイス(たとえば、コンピュータベースのシステム、プロセッサを備えるシステム、またはその他のシステム)によって、あるいはこうしたシステムに接続して使用することができる。本明細書のコンテクストでは、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用されるかまたはこれらに接続して使用されるプログラムを格納、伝達、伝搬、または搬送できる任意の手段でよい。たとえば、コンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体によるシステム、装置、またはデバイスでもよいが、これらに限定はされない。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(限定的なリスト)には、1つまたは複数の配線を伴う電気接続(電子)、ポータブル・コンピュータ・ディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)(電子)、読み出し専用メモリ(ROM:read−only memory)(電子)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM:erasable programmable read−only memoryまたはフラッシュメモリ)(電子)、光ファイバ(光)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM:compact disc read−only memory)(光学)などが含まれる。
【0083】
代わりとなる実施形態では、コンピュータがハードウェア(電話セット)に実装されているが、制御コンピュータまたはサーバーは、それぞれ当業者には周知の技術、すなわちデータ信号に関する論理機能を実装するための論理ゲートを備える分散型論理回路、適切な組合せ論理ゲートを備える特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA:programmable gate array)(1つまたは複数)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)の任意のもの、またはその組合せで実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】通信デバイスの内部に識別データベースが格納されている、個人を識別するための実施形態を示す図である。
【図2】通信デバイスの外部に識別データベースが格納されている、個人を識別するための実施形態を示す図である。
【図3】視覚的な技術を利用して個人を識別する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図4】音響技術を利用して個人を識別する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図3および4で利用できるコンピュータを示すブロック図である。
【図6】図3に示す視覚的な技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。
【図7】図4に示す音響技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。
【図8】視覚的な技術を利用して個人を識別するように電話をトレーニングする(train)ために、1つの実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。
【図9】音響技術を利用して個人を識別するように電話をトレーニングするために、1つの実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。
【図10】個人を識別するときに電話で実行される動作を示す流れ図である。
【図11】外部の識別データベースで実行される動作1100を示す流れ図である。
【図12】通信システムを示すブロック図である。
【図13】通信システムで実行される動作1300を示す流れ図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は通信システムへのアクセスを制御すること、およびプレゼンス情報を通信システムに提供することに関し、特に、個人の識別情報(identification)を決定するためのイア・バイオメトリックスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
先行技術の範囲内でよく知られている問題は、IPテレフォニー(IP telephony)を経由した音声情報の通信に使用する通信デバイス(たとえば、電話、携帯電話、またはパーソナル・コンピュータなど)のユーザーを識別することである。先行技術のソリューションでは、通信デバイスのユーザーは発信者IDとして通信デバイスに割り当てられた人物であることを想定している。これが常に真実であるとは限らないことは明らかである。さらに、先行技術の範囲内では、会議システム(conferencing systems)に関してユーザーの音声識別を利用していることが知られている。このシステムでの問題は、ユーザーが言葉を発するまでユーザーが識別されないことである。
【0003】
プレゼンス・システム(presence systems)では、ユーザーを識別することが重要である。これは、ユーザーは通信デバイスに割り当てられた人物であると想定することによって実行できるが、そうでない可能性もある。
【特許文献1】米国特許7,065,232号
【特許文献2】米国特許出願第2006/0140453号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯電話または移動電話(cellular telephones or mobile telephones)に関してよく知られている問題は、権限のないユーザーがこうした電話で通話しないようにすることである。携帯電話および移動電話は紛失したり盗難されたりしやすいため、こうした電話の場合にこの問題は特に深刻である。携帯電話または移動電話の紛失または盗難が発生した場合は、常に不正利用(fraudulent use)やなりすまし(identity theft)の可能性がある。先行技術では、パスワード保護を利用することによってこの問題を解決しようとしてきたが、うまく機能していない。ほとんどのユーザーにとって、通信の開始を希望するたびにパスワードを入力しなければならないことによって煩わされるのを望まないためである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
方法および装置は、オーディオ・デバイス(audio device)によってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答してオーディオ・デバイスの動作を制御することによってオーディオ・デバイスの動作を制御する。
【0006】
方法および装置は、オーディオ・デバイスからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらに別のシステムに制御メッセージを送信することによって外部のデータベースの動作を制御する。
【0007】
方法および装置は、通信セットからユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を受信し、このバイオメトリックス情報を処理してユーザーを識別し、さらにこのユーザー識別情報に応答して通信システムの動作を制御することによって通信システムの動作を制御する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
1つの実施形態では、イア・バイオメトリックスを使用して電話で話している個人を識別する。この実施形態では、識別を行うために視覚または音響の技術を利用できる。または、これらの組合せを使用してもよい。電話はイア・バイオメトリックスを取得し、取得したイア・バイオメトリックスを電話に内蔵のデータベースに格納されたデータと比較することによって、個人の識別情報(identity)を確認する。電話は、有線電話でも、無線電話(たとえば、移動電話、携帯電話、コードレス電話、送受信兼用の無線機、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、または任意のハンドヘルド・オーディオ・デバイス)でもよい。さらに、この電話では、ビデオおよびオーディオを含むがこれらに限定はされないさまざまなメディアを使用することができる。有線電話は、物理的な配線によって公衆交換電話網(PSTN:public switched telephone network)または構内電話交換(private telephone exchange)に接続できる。または、インターネットなどのデータ交換網を経由した接続を利用してもよい。
【0009】
別の実施形態では、電話は個人の識別情報を使用してその個人が電話の使用を許可されるかどうかを判定する。個人が電話の使用を許可される個人として指定されていない場合は、この個人による電話の使用は許可されない。
【0010】
別の実施形態では、電話は現在電話が使用されている通信のエンドポイントに個人の識別情報を送信する。個人の識別情報の確認とこの識別情報の送信は、エンドポイントに対して定期的に実行できる。これで、エンドポイントは電話のユーザーの識別情報を連続的に受信できる。
【0011】
エンドポイントが会議システムの場合は、識別情報を定期的に送信することによって、会議システムは、電話会議の間に別のユーザーに電話が手渡された場合でも、他のすべての参加者に対してユーザーの識別情報を表示できる。さらに、エンドポイントが音声メッセージング・システムの場合には、個人の識別情報はユーザーがユーザーの音声メッセージへのアクセスを許可するために利用できる。
【0012】
別の実施形態では、電話でユーザーの識別情報をプレゼンス・システムに送信することもできる。ただし、電話は接続された通信交換システム(telecommunication switching system)に識別情報を送信でき、さらに通信交換システムはプレゼンス・システムに識別情報を送信することに留意されたい。
【0013】
別の実施形態では、電話で取得したイア・バイオメトリックス情報は、外部の識別データベースを利用して個人を識別する外部のシステムに電話から送信される。外部のシステムが有線または無線の通信交換システムである場合は、外部のシステムで識別情報を使用して電話からのコールを許可または拒否することができる。さらに、外部のシステムはこの識別情報を、エンドポイントに送信される発信者(caller)の識別情報として利用することができる。たとえば、外部のシステムが電話を会議システムに相互接続している場合には、外部のシステムはこの識別情報を発信者ID情報として会議システムに連続的に送信するので、会議システムはユーザーの正しい識別情報を表示することができる。
【0014】
別の実施形態では、外部のシステム(たとえば有線または無線の通信交換システム)は、電話しているユーザーが自らが割り当てられた電話を利用していない場合でも、この識別情報を利用してそのユーザーに請求することができる。さらに、電話に対してユーザーが毎日ランダムに割り当てられる場合は、外部のシステムは識別情報を利用してユーザーを識別するだけでなく、イア・バイオメトリックス情報が取得された後に、着信する通話(telephone calls)をこのユーザーに転送する。さらに、通話中に別のユーザーが電話を使用していると識別された場合は、外部のシステムは通話を終了することによってプライバシーを保証することができる。
【0015】
図1は、電話(電話103など)の内部に識別データベースが格納されている場合に個人を識別するための実施形態を示している。電話103を使用して図1に示す実施形態の動作を説明しているが、他の電話104〜107およびハンドセット(handset)116を伴うPC 114も同じタイプの動作を実行できる。電話103は無線システム101、PSTN 102、またはWAN 109に接続できるので、電話103は無線、有線、VoIPのいずれの電話でもよい。WAN 109は、インターネットなどのデータ交換網でもよい。ただし、電話103が有線電話の場合に、図1に示す電話103の一部は電話103のハンドセットの部分だけでよいことを当業者は直ちに理解するであろうことに留意されたい。
【0016】
プレゼンス・システム113は、無線システム101および有線交換システム102にWAN 109を経由して相互接続されるように図示されている。プレゼンス・システム113は、その他のいかなる同様のシステムにも組み込むことができること、あるいはその他のパスを経由してこうしたシステムに相互接続できることを、当業者は理解するであろう。プレゼンス・システムの利用は、当業者には周知である。
【0017】
会議システム112、音声応答システム110、および音声メッセージング・システム111は、有線交換システム102に接続されるように図示されている。こうしたシステムは、無線システム101およびプレゼンス・システム113にWAN 109を経由して相互接続できること、または無線システム101もしくは有線システム102は、音声応答システム110、会議システム112、および音声メッセージング・システム111を内部に組み込むことができることを当業者は理解するであろう。
【0018】
サーバー117はさまざまな機能を実行できる。このような機能の1つは、PC 114からその他の通信デバイス(たとえば電話103)への通信コール(telecommunication call)のルーティング情報を提供することである。
【0019】
電話(たとえば電話103)からの識別情報は、電話103が相互接続されている交換システム(たとえば、電話103の電話のタイプによって、WAN 109、無線システム101、または有線交換システム102)を経由してシステム110〜113に伝達できる。
【0020】
実施形態が視覚的な技術を利用し、着信または発信の通話が開始されたときに、イア・バイオメトリックスを使用して個人を識別する場合に、電話103はそのイメージング機能を利用し、電話103が耳に当てられたときに個人の耳を識別することによって個人を識別する。電話103が耳に当たるタイミングを判定するために、電話103は視覚、熱、加速度(acceleration)のいずれかの技術を利用できる。また、オーディオ技術を使用することもできる。たとえば、ユーザーが送話口(mouthpiece)で話すのが聞こえたときに電話103はユーザーの耳に当たったと仮定してもよい。電話103は、取得したイア・バイオメトリックス情報を利用して電話103に内蔵のデータベースから個人を確認することによって個人を識別する。
【0021】
実施形態が音響技術を利用して耳を識別する(オーディオ技術を利用して識別プロセスを開始するのではない)場合は、着信または発信の通話が開始されるときに、電話103は電話103が耳に当てられるまで待機してから、音響技術を利用して耳を識別する。電話103が耳に当たるタイミングを判定するために、電話103は音響、視覚、熱、加速度のいずれかの技術を利用できる。電話103は、取得したイア・バイオメトリックス情報を利用して電話103に内蔵のデータベースから個人を確認することによって個人を識別する。また、電話103は識別の動作を定期的に実行する。
【0022】
図2に示す実施形態は、識別データベースが個々の電話(たとえば電話103)の内部に保持されるのではなく、識別情報が外部のデータベース(たとえば識別データベース118)に保持されることを除いて、図1に示す実施形態と同様である。識別データベース118は、無線システム101または有線交換システム102に組み込むことができることを当業者は理解するであろう。さらに、識別データベース118は、無線システム101および有線交換システム102にWAN 109以外の相互接続メカニズムを使用して相互接続することもできる。
【0023】
電話(電話103)が現在のユーザーの3−Dイメージまたは音響情報を取得したときに、電話はユーザーの識別情報を確認する識別データベース118にこの情報を送信する(電話は、2−Dイメージのみを識別データベース118に送信して処理してもよい)。ただし、識別データベース118は、無線システム101または有線交換システム102にこの情報を送信でき、あるいは、必要に応じてプレゼンス・システム113に定期的にこの情報を送信することもできることに留意されたい。さらに、識別データベース118はシステム101または102のいずれかの一体化部分(integral part)でもよい。
【0024】
図3は、視覚的な技術を利用し、イア・バイオメトリックス情報を使用して個人の識別情報を確認する電話を示すブロック図である。コンピュータ303(図5でより詳細に示す)は、電話の動作を制御する。電話が無線電話の場合に電話はブロック301および302を備えており、電話が有線電話の場合に電話はブロック309を備えているのに対して、電話がVoIP電話の場合に電話はブロック314を備えている。無線電話の場合には、コンピュータ303はRF回路302を制御することによってオーディオ情報および制御情報の両方について無線信号を送信および受信する。RF回路302は、アンテナ301を経由してRF信号を送信および受信する。電話が有線電話の場合には、コンピュータ303は電話回線インターフェイス309を制御する。電話がVoIP電話の場合には、コンピュータ303はWANインターフェイス314を制御する。ユーザー・インターフェイス304は、ユーザーに視覚情報を送信し、ユーザーからキーおよびボタンの作動情報を受信する機能を提供する。ユーザー・インターフェイス304は、コンピュータ303に制御されている。イメージング・モジュール(imaging module)308は、コンピュータ303が視覚情報を受信できるようにする。電話は、耳の熱を使用して耳の接近(proximity)を検知するためのセンサー307を備えていてもよい。さらに、電話は耳が電話に当てられたかその動作の途中であるかを判定するための加速度計(accelerometer)308を備えることができる。
【0025】
イメージング・モジュール308には、レンズ、レンズの焦点調整メカニズム(lense(s) focusing mechanism)、イメージ・キャプチャ回路(image capturing circuitry)、および耳を照らすための光源が含まれるがこれらに限定はされない。コンピュータ303は、イメージング・モジュール308から受信した生のイメージ情報を処理して使用可能な視覚情報に変換し、個人の耳の識別情報によって個人を識別するために必要な分析を実行する。当業者には周知のデジタル・カメラの技術を利用することにより、コンピュータ303はイメージング・モジュール308を使用して一連の写真を調べることによって動きと加速度を決定することができる。
【0026】
コンピュータ303は、受信機(receiver)313とインターフェイス312を使用してユーザーからオーディオ情報を受信する。コンピュータ303は、送信機(transmitter)311およびインターフェイス309を使用してユーザーにオーディオ情報を送信する。
【0027】
動作中に、コンピュータ303はイメージング・モジュール306を以下のように利用し、電話に接近しているユーザーの耳を識別することによって個人を識別する。電話が動作の途中にあることをコンピュータ303が検知すると、コンピュータ303はイメージング・モジュール306に対して一連の2−Dイメージの写真を撮影するように指示する。コンピュータ303は、有効な光の量を監視し、必要に応じてイメージング・モジュール306の光源を有効にする。コンピュータ303は、さらにイメージング・モジュール306のレンズの焦点調整を制御する。コンピュータ303は、次にイメージング・モジュール306から収集されている2−Dイメージから3−Dイメージを生成する。コンピュータ303は、2−Dイメージのみを利用してもよい。
【0028】
コンピュータ303は、ここで内蔵の識別データベースを利用して個人を識別する。耳の識別データベースには、自らの耳を認識するように電話をトレーニングした個人の耳の識別情報が含まれている。識別データベースはコンピュータ303の内部に格納することも、コンピュータ303の外部に格納することもできる。データベースが内部に格納される場合は、データベースから取得した情報に基づいて、コンピュータ303はいずれ(右または左)の耳を識別でき、その耳がだれのものであるかを識別できる。データベースが外部に格納されている場合には、コンピュータ303は外部のデータベースに3−Dイメージを送信し、ここで個人の識別情報を確認する。2−Dイメージから3−Dイメージを生成する動作と、3−Dイメージを使用してデータベースから識別情報を取得する動作は、米国特許7,065,232号および米国特許出願第2006/0140453号に説明されている。前述の特許および特許出願で説明されているデータベースは、指定された個人に関して電話をトレーニングすることによって組み立てられた耳の識別データベースで置き換えられる。
【0029】
図4は、音響技術を利用して耳の情報を判定する電話を示すブロック図である。ブロック401と402は、存在する場合に、図3に示すブロック301と302に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。この機能は、図9により詳細に示されている。存在する場合には、ブロック406と418は図3に示すブロック309と314に関して説明されたのと同じ機能を提供するが、コンピュータ403に制御されている。ユーザー入力インターフェイス404は、図3に示すユーザー・インターフェイス304と同じ機能を提供する。
【0030】
送信機セクション418はユーザーが電話の送信機を関連付ける電話の物理的な部分を備えており、受信機セクション417はユーザーが電話の受信機を関連付ける電話の物理的な部分を備えている。コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機408とインターフェイス407を使用して、ユーザーに音声情報およびその他の音響信号(audible signals)を送信する。しかし、コンピュータ403は、送信機セクション418の送信機412およびインターフェイス413を使用して、さらにユーザーの耳の共振周波数(resonant frequencies)を決定するための超音波周波数(ultrasonic frequencies)をユーザーの耳に送信する。コンピュータ403は、送信機セクション418の受信機414とインターフェイス416を使用して、超音波周波数に応答してユーザーの耳から返される情報を受信し、ユーザーの耳の共振周波数を決定する。コンピュータ403は、受信機セクション417の受信機409とインターフェイス411を使用して、ユーザーから音声情報を受信する。
【0031】
電話で個人を識別する間に、コンピュータ403は送信機412とインターフェイス413を使用して周波数が超音波の範囲内にある信号を生成する。こうした範囲は、20kHz〜60kHzの範囲内でもよいが、この特定の範囲には限定されず、当業者はこれ以外の周波数の範囲を利用することを容易に想定できる。このような周波数は人間には聞こえないので、こうした周波数のオーディオ情報は電話での会話を妨害しない。ユーザーの外耳道(ear canal)は、こうした周波数に応答してさまざまな周波数で共振する。受信機414およびインターフェイス416は、耳から返されるエコー(echoes)(反射信号(reflected signals)とも呼ばれる)を受信し、コンピュータ403はこのエコーを利用して外耳道の共振周波数または非共振周波数(与えられた周波数の位相(phase)から180°ずれる)を決定する。
【0032】
識別データベースがコンピュータ403の内部に格納されている場合に、コンピュータ403は識別データベースを利用して耳(右または左)を識別し、エコー情報(反射信号とも呼ばれる)を使用してユーザーを識別する。データベースは、電話を利用する見込みのあるすべてのユーザーによって構築されており、それによってユーザーの耳に関して電話をトレーニングする。識別データベースがコンピュータ403の外部に格納される場合に、コンピュータ403は外部のデータベースにエコー情報を送信し、ここで個人を識別する。
【0033】
図5はコンピュータ500を示すブロック図である(図3に示すコンピュータ303でも、図4に示すコンピュータ403でもよい)。図3で、デバイス302、304、306、307、および308は、当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。図4で、デバイス402、404、406、418、および417も当業者に周知の方法でインターフェイス503に接続されている。プロセッサ501は、メモリ502に格納されたルーチンを実行することにより、インターフェイス503を経由してこうしたデバイスを制御する。
【0034】
インターフェイス・ルーチン512は、プロセッサ501によって実行され、メモリ502に格納されたその他のルーチンによって行われた判定に基づいて、インターフェイス503を経由して前述のデバイスを直接制御する。
【0035】
オペレーティング・システム504は、データ506に格納された情報を利用して、コンピュータ500の全体的な制御を提供する。
【0036】
通信制御ルーチン507は、インターフェイス・ルーチン512とデータ506に格納された情報を利用して、電話の標準的な通信動作を制御する。
【0037】
図8または図9で説明するトレーニングの動作は、トレーニング・ルーチン509によって実行される。トレーニング・ルーチン509は、耳と個人の識別情報を耳の識別データベース508に格納したり、こうした識別情報と3−Dイメージまたはエコー情報を外部のデータベースに送信したりする。外部のデータベースに格納される情報は、図8または9で説明するトレーニングの動作以外の手段でも収集できることを、当業者は理解するであろう。たとえば、3−Dイメージは専用のカメラを使用して取得することもできる。また、エコー情報は、電話以外のオーディオ設備を使用して取得することもできる。
【0038】
耳識別ルーチン511は、図6または図7に関連して説明する動作を実行する。耳識別ルーチン511は、耳識別データベース508に格納されたデータを利用して個人を識別する。個人の識別が外部のシステムで実行される場合は、ルーチン511はメモリ502内には存在しない。
【0039】
電話を使用している個人が識別されると、図10に関連して説明されているように、識別の動作513が実行される。
【0040】
図6は、図3に示す視覚的な技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。ブロック601で開始された後に、意志決定ブロック(decision block)602で電話のユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングかどうかを判定する。意志決定ブロック602で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック602が再実行される。意志決定ブロック602で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック605に制御が移行する。ユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングであるかどうかの判定は、着信または発信の通話があるという事実によって決定できる。さらに、通話中に別のユーザーの耳に電話が移動したことによってこうした判定が行われてもよい。ただし、別のユーザーの耳に移動しなかった場合でも、ブロック605〜611が実行されるように意志決定ブロック602で定期的に要求してもよいことに留意されたい。ブロック607で送信された3−D写真の一致を外部のデータベースで検出できない場合に、外部のデータベースは再度識別情報がチェックされるように要求することもできる(意志決定ブロック605とブロック610で実行される)。外部のデータベースは、識別情報のチェックを要求することによって、2−Dイメージと3−Dイメージが電話により正しく収集されており、ユーザーの移行によって識別誤りまたは識別漏れ(no identification)が発生し、不正なイメージが作成されていないことを確認する。
【0041】
意志決定ブロック605は、意志決定ブロック602から制御を受け取ると、外部のデータベースからの要求があるかどうかを確認する。このような要求は、データベースがブロック607でデータベースに送信された情報に基づいて個人を識別できなかった場合にのみ行われる。意志決定ブロック605の回答がno(いいえ)の場合は、ブロック603に制御が移行する。意志決定ブロック605で回答がyes(はい)の場合は、ブロック610でユーザーが識別手順を実行するように要求し、ブロック603で耳の2−Dイメージの取得を開始できるようにする。ブロック610が実行された後に、ブロック603に制御が移行する。
【0042】
ブロック603で、図3に示すイメージング・モジュール306とコンピュータ303を利用して、2−Dイメージをキャプチャする。次に、意志決定ブロック606に制御が移行する前に、ブロック604で2−Dイメージを処理して3−Dイメージを生成する。ただし、2−Dイメージのみが利用される場合は、ブロック604が存在しないことに留意されたい。
【0043】
意志決定ブロック606で、識別データベースが電話の内部に格納されているかまたは外部に格納されているかを確認する。識別データベースが内部に格納されている場合は、ブロック608に制御が移行し、生成された3−Dイメージを使用して、電話を使用しているユーザーの耳の識別情報を含む内蔵の識別データベースを検索する。ブロック608が実行された後に、意志決定ブロック609に制御が移行する。意志決定ブロック609で、ブロック608のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック603に制御が返される。意志決定ブロック609で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック602に制御が返される前に、ブロック611で個人の耳の識別情報によって個人が識別されたときにさまざまな実施形態で実行されるべき動作を実行する。
【0044】
意志決定ブロック606に戻り、外部のデータベースが利用される場合は、ブロック607に制御が移行し、意志決定ブロック602に制御が戻る前に、ブロック607で3−D写真を外部のデータベースに送信する。
【0045】
図7は、図4に示す音響技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。ブロック701で開始された後に、意志決定ブロック702で電話のユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングかどうかを判定する。意志決定ブロック702で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック702が再実行される。意志決定ブロック702で回答がyes(はい)の場合は、ブロック703に制御が移行する。ユーザーの識別情報をチェックすべきタイミングであるかどうかの判定は、着信または発信の通話があるという事実によって決定される。また、通話中に定期的にこうした判定が行われてもよい。さらに、外部のデータベースはユーザーの識別情報がチェックされるように要求する。たとえば、ブロック707で送信されたエコー情報に関する一致を外部のデータベースで検出できない場合に、外部のデータベースは識別情報が再度チェックされるように要求することができる。
【0046】
意志決定ブロック703で、電話がユーザーの耳に接近しているかどうかを判定する。これは、超音波信号を送信するために必要である。意志決定ブロック703で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック703が再実行される。意志決定ブロック703で回答がyes(はい)の場合は、ブロック704に制御が移行する。
【0047】
意志決定ブロック706に制御が移行する前に、ブロック704で外耳道に超音波周波数を送信し、返された反射信号(エコー情報とも呼ばれる)を処理する。
【0048】
意志決定ブロック706で、識別データベースが電話の内部に格納されているかまたは外部に格納されているかを確認する。識別データベースが内部に格納されている場合は、ブロック708に制御が移行し、処理されたエコー情報を使用して電話を使用しているユーザーの耳の識別情報を含む内蔵のデータベースを検索する。ブロック708が実行された後に、意志決定ブロック709に制御が移行する。意志決定ブロック709で、ブロック708のデータベース検索によって耳が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック703に制御が返される。意志決定ブロック709で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック702に制御が返される前に、ブロック711で個人の耳の識別情報によって個人が識別されたときにさまざまな実施形態で実行されるべき動作を実行する。
【0049】
意志決定ブロック706に戻り、外部のデータベースが利用される場合は、ブロック707に制御が移行し、意志決定ブロック702に制御が戻る前に、ブロック707でエコー情報を外部のデータベースに送信する。
【0050】
図8は、視覚的な技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするある実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。ブロック801で開始された後に、ブロック802で個人の識別情報といずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック802で電話番号を取得する。コンピュータ303は、ユーザー・インターフェイス304を使用してこの情報を取得できる。次に、ブロック803で、個人が電話を最初の位置から最終的な位置(つまり、電話が耳に当てられたとき)への移動を開始するように要求する。
【0051】
移動が開始されると、ブロック804〜809であらかじめ定義された数の3−Dイメージを、後で耳と個人を識別するときに使用できるようにデータベースに格納しようとする。第1に、ブロック804であらかじめ定義された数の2−Dイメージをキャプチャし、意志決定ブロック807に制御が移行する前に、ブロック806でこうした2−Dイメージを処理して3−Dイメージを生成する。
【0052】
意志決定ブロック807で、電話の位置が適切でない可能性があるので、3−Dイメージが有効な耳の写真であるかどうかを判定する。意志決定ブロック807で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック814に制御が移行する。
【0053】
意志決定ブロック814で、データベースが電話の内部にあるか外部にあるかを確認する。データベースが外部にある場合は、ブロック816に制御が移行し、意志決定ブロック809に制御が移行する前に、ブロック816で3−D写真と個人の識別情報(たとえば、個人の名前、個人の従業員番号(personnel number)、および電話番号など)を外部のデータベースに送信する。
【0054】
意志決定ブロック814で回答が内部のデータベースである場合は、ブロック808に制御が移行する。意志決定ブロック809に制御が移行する前に、ブロック808でこの3−Dイメージを耳の識別データベースに格納する。
【0055】
意志決定ブロック809で、あらかじめ定義された数の3−Dイメージが識別データベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック809で回答がyes(はい)の場合は、ブロック811に制御が移行し、処理が完了する。
【0056】
意志決定ブロック807に戻り、意志決定ブロック807で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック812に進み、電話から取得された無効な写真の数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック804に制御が返される。意志決定ブロック812で回答がyes(はい)の場合は、ブロック813に制御が移行し、ブロック811に制御が移行する前に、ブロック813でエラーの信号を送信する。
【0057】
図9は、音響技術を利用して耳を識別するように電話をトレーニングするある実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。ブロック901で開始された後に、ブロック902で個人の識別情報といずれの耳がテストされるかを確認する。ただし、テストされるのは唯一の個人でもよいことに留意されたい。さらに、ブロック902で電話番号を取得する。コンピュータ403は、図4に示すユーザー・インターフェイス404を使用してこの情報を取得できる。次に、ブロック903で、個人が電話をユーザーの耳に接近させるように要求する。
【0058】
次に、意志決定ブロック904で、電話が実際にユーザーの耳に接近しているかどうかを判定する。意志決定ブロック904で回答がno(いいえ)の場合は、ブロック903に制御が返される。意志決定ブロック904で回答がyes(はい)の場合は、ブロック906に制御が移行する。意志決定ブロック907に制御が移行する前に、ブロック906でコンピュータ403によって送信機セクション418を使用してエコー情報を取得する。
【0059】
意志決定ブロック907で、ブロック906で取得されたエコー情報が有効であるかどうかを判定する。意志決定ブロック907で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック914に制御が移行する。
【0060】
意志決定ブロック914で、データベースが電話の内部にあるかまたは外部にあるかを確認する。意志決定ブロック914で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック909に制御が移行する前に、ブロック916で個人のエコー情報と識別情報(たとえば、個人の名前、個人の従業員番号、および電話番号など)を外部のデータベースに送信する。意志決定ブロック914で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック909に制御が移行する前に、ブロック908でエコー情報をデータベースに格納する。
【0061】
意志決定ブロック909で、あらかじめ定義されたエコー情報のサンプルがデータベースにすでに格納されているかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック909で回答がyes(はい)の場合は、ブロック911に制御が移行し、処理が完了する。
【0062】
意志決定ブロック907に戻り、意志決定ブロック907で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック912に進み、電話から取得された無効なエコー情報のサンプルの数があらかじめ定義された数を超えているかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、ブロック906に制御が返される。意志決定ブロック912で回答がyes(はい)の場合は、ブロック913に制御が移行し、ブロック911に制御が移行する前に、ブロック913でエラーの信号を送信する。
【0063】
図10は、個人を識別するときに、それぞれ図6に示すブロック611または図7に示すブロック711で実行される動作を示す流れ図である。意志決定ブロック1001で、識別されたユーザーが電話の使用を許可されているかどうかを確認する。このことは、携帯電話や移動電話の場合には特に重要である。意志決定ブロック1001で回答がno(いいえ)の場合は、それぞれ図6に示す意志決定ブロック602と図7に示す意志決定ブロック702のいずれかに制御を返す前に、電話が自らを無効化する。意志決定ブロック1001で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1003に制御が移行する。
【0064】
意志決定ブロック1003で、内部に格納されたデータから、電話が通信しているエンドポイントに個人の識別情報が送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1006に制御が移行する前に、ブロック1004でこのエンドポイントに識別情報を送信する。意志決定ブロック1003で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1006に制御が移行する。エンドポイントが会議システムの場合には、会議システムは受信した識別情報を会議の他の参加者に向けて表示できる。エンドポイントが音声メッセージング・システムまたは自動アテンダント・システム(automated attendant system)の場合は、エンドポイントで受信した識別情報を使用して電話から要求された操作を許可できる。
【0065】
意志決定ブロック1006で、電話が接続する交換システムに確認情報(verification)が送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1008に制御が移行する前に、ブロック1007で交換システムに識別情報を送信する。意志決定ブロック1006で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1008に制御が移行する。交換システムは、受信された識別情報を利用して、請求の動作を実行したり、発信者ID情報を生成したりすることができる。
【0066】
意志決定ブロック1008で、識別情報がプレゼンス・システムに送信されるべきかどうかを判定する。回答がyes(はい)の場合は、ブロック1009で識別情報と電話の識別情報(電話番号でもよい)をプレゼンス・システムに送信する。ブロック1009が実行された後に、それぞれ図6に示すブロック602または図7に示すブロック702に制御が移行する。意志決定ブロック1008で回答がno(いいえ)の場合は、それぞれ図6に示すブロック602または図7に示すブロック702に制御が移行する。
【0067】
図11は、外部の識別データベースで実行される動作1100を示す流れ図である。ブロック1101で開始された後に、意志決定ブロック1102で、新しい個人に関してデータベースをトレーニングするための情報が電話から受信されるかどうかを判定する。前述のように、識別データベース内に格納される識別情報は、これ以外のソースから受信することもできる。意志決定ブロック1102で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される前に、ブロック1103で個人のイア・バイオメトリックス情報と名前、電話番号などを定義する情報とを受信して処理する。意志決定ブロック1102で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1104に制御が移行する。イア・バイオメトリックス情報は、3−D写真でもエコー情報でもよい。
【0068】
意志決定ブロック1104で、既知の個人に関する新しいイア・バイオメトリックス情報が受信されるかどうかを確認する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1107に制御が移行する前に、ブロック1106でイア・バイオメトリックス情報を使用してデータベースを検索する。意志決定ブロック1107で、ブロック1106で耳が識別されたかどうか、したがって個人が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が戻る前に、ブロック1108で電話に対してさらなるイア・バイオメトリックス情報を提供するように要求する。意志決定ブロック1107で回答がyes(はい)の場合は、ブロック1109で耳が識別された場合に実行されるべき動作を実行する。
【0069】
意志決定ブロック1104に戻り、回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1111に制御が移行し、ここで外部のシステムから識別情報が要求されているかどうかを確認する。このような要求は、図2に示すシステム101、102、110〜113から実行できる。意志決定ブロック1111で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1101に制御が返される前に、ブロック1112で情報の送信リストにこのシステムを追加する。意志決定ブロック1111で回答がno(いいえ)の場合は、さらにユーザーの名前、電話番号なども送信リストに追加され、意志決定ブロック1113に制御が移行する。
【0070】
意志決定ブロック1113で、送信リストに含まれる外部のシステムに識別情報を送信すべきタイミングであるかどうかを確認する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される。意志決定ブロック1113で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1102に制御が返される前に、ブロック1114で送信リストに含まれる外部のシステムに識別情報を送信する。
【0071】
図12は、通信システムを示すブロック図である。これは、無線システム101または有線交換システム102のようなシステムでよい。さらに、交換ネットワーク1216と通信インターフェイス1217が存在しなかった場合には、図12はサーバー117のブロック図と言ってもよい。さらに、カンフェレンス・ブリッジ(conference bridge)1214と通信インターフェイス1217が存在しなかった場合は、または識別データベース118のブロック図と言ってもよい。コンピュータ1200は、システム全体の制御を行い、カンフェレンス・ブリッジ1214、交換ネットワーク1216、通信インターフェイス1217、およびWANインターフェイス1218にインターフェイス1203を経由して制御情報を伝達する。また、コンピュータ1200は、交換ネットワーク1216を制御して、通信インターフェイス1217およびWAN 109を経由するWANインターフェイス1218に接続された通信セット間のコールをセットアップする。コンピュータ1200は、インターフェイス1203と交換ネットワーク1216を経由して制御メッセージを送信することによってカンフェレンス・ブリッジ1214を制御する。コンピュータ1200は、通信インターフェイス1217とWANインターフェイス1218を経由して通信セットと通信する。
【0072】
コンピュータ1200内で、プロセッサ1201は、メモリ1202に格納されたルーチンを実行することにより、インターフェイス1203を経由してこうしたデバイスを制御する。
【0073】
インターフェイス・ルーチン1212は、プロセッサ1201によって実行され、メモリ1202に格納されたその他のルーチンによって行われた判定に基づいて、インターフェイス1203を経由して前述のデバイスを直接制御する。
【0074】
オペレーティング・システム1204は、データ1206に格納された情報を利用してコンピュータ1200の全体的な制御を提供する。
【0075】
通信制御ルーチン1207は、インターフェイス・ルーチン1212とデータ1206に格納された情報を利用して通信セットの標準的な通信動作を制御する。ただし、図12に示すシステムが識別データベースであった場合に、通信制御ルーチン1207はデータベースの標準的な動作を制御するためのルーチンであることに留意されたい。
【0076】
図13で説明するようなトレーニングの動作は、トレーニング・ルーチン1209によって実行される。トレーニング・ルーチン1209は、通信セットから受信したイア・バイオメトリックス情報を使用して、耳と個人の識別情報を耳の識別データベース1208に格納する。システムに格納される情報はトレーニングの動作以外の手段でも収集できることを当業者は理解するであろう。たとえば、3−Dイメージは専用のカメラを使用して取得することもできる。エコー情報は、通信セット以外のオーディオ設備を使用して取得することもできる。
【0077】
耳識別ルーチン1211は、図13に関連して説明する動作を実行する。耳識別ルーチン1211は、耳識別データベース1208に格納されたデータを利用して耳を識別する。個人の識別が外部のシステムで実行される場合に、ルーチン1211はメモリ1202内には存在しない。
【0078】
電話を使用している個人が識別されると、図13に関連して説明されているように、識別の動作1213が実行される。
【0079】
図13は、通信システムで実行される動作1300を示す流れ図である。ブロック1301で開始された後に、意志決定ブロック1302で新しい個人に関してデータベースをトレーニングするための情報が通信セットから受信されるかどうかを判定する。前述のように、通信システム内に格納される識別情報は、これ以外のソースから受信することもできる。意志決定ブロック1302で回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1302に制御が返される前に、ブロック1303で個人のイア・バイオメトリックス情報と、名前、電話番号などを定義する情報とを受信して処理する。意志決定ブロック1302で回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1304に制御が移行する。イア・バイオメトリックス情報は、3−D写真でもエコー情報でもよい。
【0080】
意志決定ブロック1304で、新しいイア・バイオメトリックス情報が新しい通信コールに関して受信されたか既存の通信コールに関して受信されたかを確認する。回答がyes(はい)の場合は、意志決定ブロック1307に制御が移行する前に、ブロック1306でイア・バイオメトリックス情報を使用してデータベースを検索する。意志決定ブロック1307で、ブロック1306で耳が識別されたかどうか、したがって個人が識別されたかどうかを判定する。回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1302に制御が戻る前に、ブロック1308で通信セットに対してさらなるイア・バイオメトリックス情報を提供するように要求する。意志決定ブロック1307で回答がyes(はい)の場合は、ブロック1309で耳の識別によって個人が識別された場合に実行されるべき動作を実行する。
【0081】
意志決定ブロック1304に戻り、回答がno(いいえ)の場合は、意志決定ブロック1301に制御が返される。
【0082】
コンピュータの動作がソフトウェアに実装されると、ソフトウェアは任意のコンピュータ可読媒体に格納され、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用することができる。本明細書のコンテクストでは、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ関連のシステムまたは方法によって、あるいはこうしたシステムまたは方法に接続して使用するためのコンピュータ・プログラムを含むまたは格納できる電子的、磁気的、光学的、またはその他の物理的なデバイスまたは手段である。コンピュータは、任意のコンピュータ可読媒体として具体化でき、命令実行システム、装置、またはデバイスから命令をフェッチして命令を実行できる命令実行システム、装置、またはデバイス(たとえば、コンピュータベースのシステム、プロセッサを備えるシステム、またはその他のシステム)によって、あるいはこうしたシステムに接続して使用することができる。本明細書のコンテクストでは、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用されるかまたはこれらに接続して使用されるプログラムを格納、伝達、伝搬、または搬送できる任意の手段でよい。たとえば、コンピュータ可読媒体は、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、または半導体によるシステム、装置、またはデバイスでもよいが、これらに限定はされない。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(限定的なリスト)には、1つまたは複数の配線を伴う電気接続(電子)、ポータブル・コンピュータ・ディスケット(磁気)、ランダムアクセスメモリ(RAM:random access memory)(電子)、読み出し専用メモリ(ROM:read−only memory)(電子)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM:erasable programmable read−only memoryまたはフラッシュメモリ)(電子)、光ファイバ(光)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CDROM:compact disc read−only memory)(光学)などが含まれる。
【0083】
代わりとなる実施形態では、コンピュータがハードウェア(電話セット)に実装されているが、制御コンピュータまたはサーバーは、それぞれ当業者には周知の技術、すなわちデータ信号に関する論理機能を実装するための論理ゲートを備える分散型論理回路、適切な組合せ論理ゲートを備える特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA:programmable gate array)(1つまたは複数)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)の任意のもの、またはその組合せで実装できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】通信デバイスの内部に識別データベースが格納されている、個人を識別するための実施形態を示す図である。
【図2】通信デバイスの外部に識別データベースが格納されている、個人を識別するための実施形態を示す図である。
【図3】視覚的な技術を利用して個人を識別する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図4】音響技術を利用して個人を識別する電話の実施形態を示すブロック図である。
【図5】図3および4で利用できるコンピュータを示すブロック図である。
【図6】図3に示す視覚的な技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作600を示す流れ図である。
【図7】図4に示す音響技術を利用して個人を識別する実施形態で実行される動作700を示す流れ図である。
【図8】視覚的な技術を利用して個人を識別するように電話をトレーニングする(train)ために、1つの実施形態で実行される動作800を示す流れ図である。
【図9】音響技術を利用して個人を識別するように電話をトレーニングするために、1つの実施形態で実行される動作900を示す流れ図である。
【図10】個人を識別するときに電話で実行される動作を示す流れ図である。
【図11】外部の識別データベースで実行される動作1100を示す流れ図である。
【図12】通信システムを示すブロック図である。
【図13】通信システムで実行される動作1300を示す流れ図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーディオ・デバイスの動作を制御する方法であって、
前記オーディオ・デバイスによってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得する処理と、
前記バイオメトリックス情報を処理することによって前記ユーザーを識別する処理と、
前記ユーザーの前記識別情報に応答して前記オーディオ・デバイスの前記動作を制御する処理と、を含む方法。
【請求項2】
前記制御する処理が、前記識別されたユーザーが前記オーディオ・デバイスの使用を許可されていない場合に、前記オーディオ・デバイスの動作を無効化する処理から成る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーディオ・デバイスは、少なくとも有線電話、携帯電話、移動電話、送受信兼用の無線機、または電話ヘッドセットの1つである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御する処理が、前記ユーザーの前記識別情報をエンドポイントに送信する処理から成る請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エンドポイントは、少なくとも通信交換システム、通信セット、音声メッセージング・システム、会議システム、自動応答システム、またはプレゼンス・システムの1つである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別する処理が、前記オーディオ・デバイスで取得した前記バイオメトリックス情報を分析する処理と、
前記分析され、取得されたバイオメトリックス情報から前記ユーザーの前記識別情報を決定する処理とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
音声情報をユーザーに伝達するための送信機と、
前記ユーザーからの音声情報を受信するための受信機と、
前記ユーザーの耳の外耳道に超音波信号を送信するための超音波送信機と、
前記送信された超音波信号から得られる前記外耳道からの反射超音波信号を受信するための超音波受信機と、
前記外耳道からの前記反射超音波信号を処理して前記耳の前記識別情報を決定するためのコンピュータと、
前記耳の前記識別情報に応答して前記ユーザーを識別するための前記コンピュータと、
前記ユーザーの前記識別情報に応答して前記オーディオ・デバイスの動作を制御するための前記コンピュータとを備えるオーディオ・デバイス。
【請求項8】
前記制御することは、前記識別されたユーザーが前記オーディオ・デバイスの使用を許可されていない場合に、前記コンピュータが前記オーディオ・デバイスの前記動作を無効化することを備える請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【請求項9】
前記オーディオ・デバイスは、少なくとも有線電話、携帯電話、移動電話、送受信兼用の無線機、または電話ハンドセットの1つである請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【請求項10】
前記制御することは、前記コンピュータが前記ユーザーの前記識別情報をエンドポイントに送信することを備える請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【請求項1】
オーディオ・デバイスの動作を制御する方法であって、
前記オーディオ・デバイスによってユーザーの耳に関するバイオメトリックス情報を取得する処理と、
前記バイオメトリックス情報を処理することによって前記ユーザーを識別する処理と、
前記ユーザーの前記識別情報に応答して前記オーディオ・デバイスの前記動作を制御する処理と、を含む方法。
【請求項2】
前記制御する処理が、前記識別されたユーザーが前記オーディオ・デバイスの使用を許可されていない場合に、前記オーディオ・デバイスの動作を無効化する処理から成る請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記オーディオ・デバイスは、少なくとも有線電話、携帯電話、移動電話、送受信兼用の無線機、または電話ヘッドセットの1つである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記制御する処理が、前記ユーザーの前記識別情報をエンドポイントに送信する処理から成る請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記エンドポイントは、少なくとも通信交換システム、通信セット、音声メッセージング・システム、会議システム、自動応答システム、またはプレゼンス・システムの1つである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記識別する処理が、前記オーディオ・デバイスで取得した前記バイオメトリックス情報を分析する処理と、
前記分析され、取得されたバイオメトリックス情報から前記ユーザーの前記識別情報を決定する処理とを含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
音声情報をユーザーに伝達するための送信機と、
前記ユーザーからの音声情報を受信するための受信機と、
前記ユーザーの耳の外耳道に超音波信号を送信するための超音波送信機と、
前記送信された超音波信号から得られる前記外耳道からの反射超音波信号を受信するための超音波受信機と、
前記外耳道からの前記反射超音波信号を処理して前記耳の前記識別情報を決定するためのコンピュータと、
前記耳の前記識別情報に応答して前記ユーザーを識別するための前記コンピュータと、
前記ユーザーの前記識別情報に応答して前記オーディオ・デバイスの動作を制御するための前記コンピュータとを備えるオーディオ・デバイス。
【請求項8】
前記制御することは、前記識別されたユーザーが前記オーディオ・デバイスの使用を許可されていない場合に、前記コンピュータが前記オーディオ・デバイスの前記動作を無効化することを備える請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【請求項9】
前記オーディオ・デバイスは、少なくとも有線電話、携帯電話、移動電話、送受信兼用の無線機、または電話ハンドセットの1つである請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【請求項10】
前記制御することは、前記コンピュータが前記ユーザーの前記識別情報をエンドポイントに送信することを備える請求項7に記載のオーディオ・デバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−65670(P2009−65670A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−227686(P2008−227686)
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(506079711)アバイア テクノロジー エルエルシー (45)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月5日(2008.9.5)
【出願人】(506079711)アバイア テクノロジー エルエルシー (45)
【Fターム(参考)】
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