説明

イオンチャネルの調節因子としてのインダン誘導体

【課題】イオンチャネルの阻害剤として有用であり、好ましくは、より高い効力およびより少ない副作用を有するもの化合物の提供。
【解決手段】本発明は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルおよびカルシウムイオンチャネルの阻害剤として有用な、式(I)のインダン誘導体(式中、変数は特許請求の範囲において規定される)に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、および種々の障害においてこの組成物を使用する方法もまた提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、米国仮特許出願第60/688,919号(2005年6月9日出願、発明の名称「INDANE DERIVATIVES AS MODULATORS OF ION CHANNELS」)に対し、米国特許法の下の優先権を主張する。上記の優先権を有する出願の内容全体は、本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、イオンチャネルの阻害剤として有用である化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含む薬学的に受容可能な組成物、および種々の障害の治療においてこれらの組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
Naチャネルは、ニューロンおよび筋細胞などのすべての興奮性細胞における活動電位の生成の中心である。これらは、脳、胃腸管の平滑筋、骨格筋、末梢神経系、脊髄および気道を含む興奮性組織において鍵となる役割を果たす。このようにして、これらは、以下のような種々の疾患状態において鍵となる役割を果たす:てんかん(Moulard,B.およびD.Bertrand(2002)「Epilepsy and sodium
channel blockers」Expert Opin.Ther.Patents 12(1):85−91を参照のこと)、疼痛(Waxman,S.G.,S.Dib−Hajjら(1999)「Sodium channels and pain」Proc Natl Acad Sci U S A 96(14):7635−9およびWaxman,S.G.,T.R.Cumminsら(2000)「Voltage−gated sodium channels and the molecular pathogenesis of pain:a review」J Rehabil Res Dev 37(5):517−28を参照のこと)、筋緊張症(Meola,G.およびV.Sansone(2000)「Therapy in myotonic disorders and in muscle channelopathies」Neurol Sci 21(5):S953−61ならびにMankodi,A.およびC.A.Thornton (2002)「Myotonic syndromes」Curr Opin Neurol 15(5):545−52を参照のこと)、運動失調(Meisler,M.H.,J.A.Kearneyら(2002)「Mutations of voltage−gated sodium channels in movement disorders and epilepsy」Novartis
Found Symp 241:72−81を参照のこと)、多発性硬化症(Black、J.A.,S.Dib−Hajjら(2000)「Sensory neuron−specific sodium channel SNS is abnormally expressed in the brains of mice with experimental allergic encephalomyelitis and humans with multiple sclerosis」Proc Natl Acad Sci U S A 97(21):11598−602、およびRenganathan,M.、M.Gelderblomら(2003)「Expression of Na(v)1.8 sodium channels perturbs the firing patterns of cerebellar purkinje cells」Brain Res 959(2):235−42)、過敏性腸(Su、X.、R.E.Wachtelら(1999)「Capsaicin sensitivity and voltage−gated sodium currents in colon sensory neurons from rat dorsal root ganglia」Am J Physiol 277(6 Pt 1):G1180−8、およびLaird,J.M.,V. Souslovaら(2002)「Deficits in visceral pain and referred
hyperalgesia in Nav1.8(SNS/PN3)−null mice」J Neurosci 22(19):8352−6を参照のこと)、尿失禁および内臓痛(Yoshimura,N.、S.Sekiら(2001)「The involvement of the tetrodotoxin−resistant sodium channel Na(v)1.8(PN3/SNS)in a rat model of visceral pain」J Neurosci 21(21):8690−6を参照のこと)、ならびに不安およびうつ病なとの一連の精神医学的機能障害(Hurley、S.C.(2002)「Lamotrigine update and its use in mood disorders」Ann Pharmacother 36(5):860−73を参照のこと)など。
【0004】
電位依存性Naチャネルは9個の異なるサブタイプ(NaV1.1−NaV1.9)からなる遺伝子ファミリーを含む。表1に示すように、これらのサブタイプは、組織特異的局在化および機能的な違いを示す(非特許文献1を参照のこと)。この遺伝子メンバーの3つのメンバー(NaV1.8、1.9、1.5)は、周知のNaチャネル遮断剤TTXによって遮断されることに対して抵抗性であり、この遺伝子ファミリーの中でのサブタイプの特異性を実証する。変異分析は、TTX結合のための決定的な残基としてグルタミン387を同定した(非特許文献2を参照のこと)。
【0005】
表1(略号:CNS=中枢神経系、PNS=末梢神経系、DRG=後根神経節、TG=三叉神経節):
【0006】
【化2】

一般的に、電位依存性ナトリウムチャネル(NaV)は、正常および異常な痛みの感覚を構成し、かつコード化する電気信号を伝達する、神経系の興奮性組織における活動電位の急速な上昇を開始する原因である。NaVチャネルのアンタゴニストは、これらの痛みのシグナルを緩和することができ、急性、慢性、炎症性および神経障害性の痛みを含むがこれらに限定されない種々の痛みの状態を治療するために有用である。公知のNaVアンタゴニスト、例えば、TTX、リドカイン(Mao,J.およびL.L.Chen(2000)「Systemic lidocaine for neuropathic pain relief」Pain 87(1):7−17を参照のこと)、ブピバカイン、フェニトイン(Jensen,T.S.(2002)「Anticonvulsants in neuropathic pain:rationale and clinical evidence」Eur J Pain 6(補遺A):61−8を参照のこと)、ラモトリジン(Rozen、T.D.(2001)「Antiepileptic drugs in the management of cluster headache and trigeminal neuralgia」Headache 41 補遺1:S25−32およびJensen,T.S.(2002)「Anticonvulsants in neuropathic pain:rationale and clinical evidence」Eur J Pain 6(補遺A):61−8を参照のこと)、およびカルバマゼピン(Backonja,M.M.(2002)「Use of anticonvulsants for treatment of neuropathic pain」Neurology 59(5補遺2):S14−7)は、ヒトおよび動物モデルにおける疼痛を軽減する際に有用であることが示されてきた。
【0007】
組織損傷または炎症の存在下で発生する痛覚過敏症(有痛性の何かに対する極度の感受性)は、少なくとも部分的に、損傷の部位を神経支配する高閾値の一次求心性ニューロンの興奮性の増加を反映する。電位感受性ナトリウムチャネルの活性化は、ニューロン活動電位の生成および伝播のために決定的である。NaV電流の調節は、ニューロンの興奮性を制御するために使用される内因性の機構であることを示す多数の証拠が増大しつつある(非特許文献1)。いくつかの反応速度論的および薬理学的に区別できる電位依存性ナトリウムチャネルは、後根神経節(DRG)神経節において見い出される。TTX抵抗性電流は、マイクロモル濃度のテトロドトキシンに非感受性であり、遅い活性化および不活性化の反応速度論を示し、他の電位依存性ナトリウムチャネルと比較したときに、より脱分極した活性化閾値を示す。TTX−抵抗性ナトリウム電流は、痛覚に関与するらしい感覚ニューロンの亜集団に主として制限される。具体的には、TTX−抵抗性ナトリウム電流は、小さな細胞体直径を有し;かつ小さな直径のゆっくりと作動する軸索を生じ、そしてカプサイシンに応答性であるニューロンの中でほぼ独占的に伝達される。大量の実験的証拠が、TTX−抵抗性ナトリウムチャネルがC繊維上で発現され、脊髄への侵害受容情報の伝達において重要であることを実証している。
【0008】
TTX抵抗性ナトリウムチャネル(NaV1.8)の独特な領域を標的とするアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドのくも膜下腔内投与は、PGE−誘導性痛覚過敏症の有意な減少を生じた(Khasar、S.G.、M.S.Goldら(1998)「A tetrodotoxin−resistant sodium current mediates inflammatory pain in the rat」Neurosci Lett 256(1):17−20を参照のこと)。より最近では、ノックアウトマウス系統がWoodおよび同僚によって生成され、これは機能的なNaV1.8を欠いている。この変異は、炎症剤カラギーナンに対する動物の応答を評価する試験において鎮痛効果を有する(Akopian、A.N.、V.Souslovaら(1999)「The tetrodotoxin−resistant sodium channel SNS has a specialized function in pain pathways」Nat Neurosci 2(6):541−8を参照のこと)。加えて、機械刺激および温度刺激の両方の受容の欠損が、これらの動物において観察された。Nav1.8ノックアウト変異によって示された無痛は、痛覚におけるTTX抵抗性電流の役割に関する観察と一致している。
【0009】
免疫組織化学実験、インサイチュハイブリダイゼーション実験、およびインビトロ電気生理学実験のすべては、ナトリウムチャネルNaV1.8が後根神経節および三叉神経節の小型感覚ニューロンに選択的に局在化する(Akopian、A.N.、L.Sivilottiら(1996)「A tetrodotoxin−resistant voltage−gated sodium channel expressed by sensory neurons」Nature 379(6562):257−62を参照のこと)。これらのニューロンの主要な役割は、痛覚刺激の検出および伝達である。アンチセンスおよび免疫組織化学の証拠もまた、神経障害性の痛みにおけるNaV1.8の役割を支持する(Lai,J.、M.S.Goldら(2002)「Inhibition of neuropathic pain by decreased expression of the tetrodotoxin−resistant sodium channel,NaV1.8」Pain 95(1−2):143−52、およびLai、J.、J.C.Hunterら(2000)「Blockade of neuropathic pain by antisense targeting of tetrodotoxin−resistant sodium channels
in sensory neurons」Methods Enzymol 314:201−13を参照のこと)。NaV1.8タンパク質は、神経損傷に隣接する損傷していないC繊維に沿ってアップレギュレートされる。アンチセンス治療は、神経に沿ったNaV1.8の再分配を予防し、神経障害性の痛みを逆転させる。まとめると、遺伝子ノックアウトおよびアンチセンスのデータは、炎症性および神経障害性の痛みの検出および伝達におけるNaV1.8の役割を支持する。
【0010】
神経障害性の痛みの状態において、Naチャネルの分配およびサブタイプの再構築が存在する。損傷した神経において、NaV1.8およびNaV1.9の発現は大きく減少されるのに対して、TTX感受性サブユニットNaV1.3の発現は、5−10倍アップレギュレートされる(Dib−Hajj、S.D.、J.Fjellら(1999)「Plasticity of sodium channel expression in
DRG neurons in the chronic constriction
injury model of neuropathic pain」Pain 83(3):591−600を参照のこと)。NaV1.3の増加の時間経過は、動物モデルにおける神経損傷に続く異痛症の出現と平行する。NaV1.3チャネルの生物物理学は、これが活動電位に続く不活性化後に非常に速い再初回刺激を示すという点で独特である。このことは、損傷した神経においてしばしば見られるように、高度な炎症の割合の持続を可能にする(Cummins、T.R.、F.Agliecoら(2001)「Nav1.3 sodium channels:rapid repriming and
slow closed−state inactivation display quantitative differences after expression in a mammalian cell line and in spinal
sensory neurons」J Neurosci 21(16):5952−61を参照のこと)。NaV1.3は、ヒトの中枢系および末梢系において発現される。NaV1.9は、これが根神経節および三叉神経節の小型感覚ニューロンに選択的に局在化しているので、NaV1.8に類似している(Fang,X.、L.Djouhriら(2002)「The presence and role of the tetrodotoxin−resistant sodium channel Na(v)1.9(NaN) in nociceptive primary afferent neurons」J Neurosci 22(17):7425−33を参照のこと)。これは、遅い速度の不活性化および活性化のための左にシフトした電位依存性を有する(Dib−Hajj,S.、J.A.Blackら(2002)「NaN/Nav1.9:a sodium channel with unique properties」Trends Neurosci 25(5):253−9を参照のこと)。これらの2つの生物物理学的特性は、侵害受容ニューロンの静止膜電位を確立する際にNaV1.9が役割を果たすことを可能にする。NaV1.9発現細胞の静止膜電位は、大部分の他の末梢ニューロンおよび中枢ニューロンの−65mVと比較して、−55から−50mVの範囲である。この持続性の脱分極は、NaV1.9チャネルの持続する低レベルの活性化に大部分起因する。この脱分極は、侵害刺激に応答して活動電位を発するための閾値にニューロンがより容易に達することを可能にする。NaV1.9チャネルを遮断する化合物は、痛み刺激の検出のためのセットポイントを確立するために重要な役割を果たし得る。慢性的な痛み状態において、神経および神経終末は、膨張されかつ過剰増殖性になり得、これは軽度の刺激または刺激なしさえのより頻繁な活動電位の発生を示す。これらの病的な神経の膨張は神経腫と呼ばれており、これらの中で発現される主要なNaチャネルはNaV1.8およびNav1.7である(Kretschmer,T.、L.T.Happelら(2002)「Accumulation of PN1 and PN3 sodium channels in painful human neuroma−evidence from immunocytochemistry」Acta Neurochir(Wien)144(8):803−10;discussion 810を参照のこと)。NaV1.6およびNaV1.7もまた、後根神経節ニューロンにおいて発現され、これらの細胞において見られる小さなTTX感受性成分に寄与する。NaV1.7は、特に、神経内分泌興奮性におけるその役割に加えて、潜在的な痛みの標的であり得る(Klugbauer,N.、L.Lacinovaら(1995)「Structure and functional expression of a new member of the tetrodotoxin−sensitive voltage−activated sodium channel family from human neuroendocrine cells」Embo J 14(6):1084−90を参照のこと)。
【0011】
NaV1.1(Sugawara,T.、E.Mazaki−Miyazakiら(2001)「Nav1.1 mutations cause febrile seizures associated with afebrile partial seizures」Neurology 57(4):703−5を参照のこと)およびNaV1.2(Sugawara、T.、Y.Tsurubuchiら(2001)「A missense mutation of the Na+ channel alpha II subunit gene Na(v)1.2 in a patient with febrile and afebrile seizures causes channel dysfunction」Proc Natl Acad Sci
U S A 98(11):6384−9を参照のこと)は、熱性発作を含むてんかん状態に関連付けられてきた。熱性発作と関連するNaV1.1における9個を超える遺伝的変異が存在している(Meisler、M.H.、J.A.Kearneyら(2002)「Mutations of voltage−gated sodium channels in movement disorders and epilepsy」Novartis Found Symp 241:72−81を参照のこと)。
【0012】
NaV1.5のアンタゴニストが開発されており、心不整脈を治療するために使用されてきた。電流に対するより大きな不活性化因子ではない成分を生じるNaV1.5の遺伝子欠損は、ヒトにおいて長いQTに関連付けられており、経口的に利用可能な局所的麻酔剤メキシレチンがこの状態を治療するために使用されてきた(Wang、D.W.、K.Yazawaら(1997)「Pharmacological targeting of long QT mutant sodium channels」J Clin
Invest 99(7):1714−20を参照のこと)。
【0013】
いくつかのNaチャネル遮断剤が、てんかん(Moulard,B.およびD.Bertrand(2002)「Epilepsy and sodium channel blockers」Expert Opin. Ther. Patents 12(1):85−91を参照のこと)、急性疼痛(Wiffen、P.、S.Collinsら(2000)「Anticonvulsant drugs for acute and chronic pain」Cochrane Database Syst Rev 3を参照のこと)、慢性疼痛(Wiffen,P.、S.Collinsら(2000)「Anticonvulsant drugs for acute and chronic pain」Cochrane Database Syst Rev 3、およびGuay,D.R.(2001)「Adjunctive agents in the management of chronic pain」Pharmacotherapy 21(9):1070−81を参照のこと)、炎症性疼痛(Gold、M.S.(1999)「Tetrodotoxin−resistant Na+ currents and inflammatory hyperalgesia」Proc
Natl Acad Sci U S A 96(14):7645−9を参照のこと)、および神経障害性疼痛(Strichartz、G.R.、Z.Zhouら(2002)「Therapeutic concentrations of local anaesthetics unveil the potential role of sodium channels in neuropathic pain「Novartis Found Symp 241:189−201、およびSandner−Kiesling,A.、G.Rumpold Seitlingerら(2002)「Lamotrigine monotherapy for control of neuralgia after nerve section」Acta Anaesthesiol Scand 46(10):1261−4を参照のこと);心不整脈(An、R.H.、R.Bangaloreら(1996)「Lidocaine block of LQT−3 mutant human Na+ channels」Circ Res 79(1):103−8、およびWang、D.W.、K.Yazawaら(1997)「Pharmacological targeting of long
QT mutant sodium channels」J Clin Invest
99(7):1714−20を参照のこと)を治療するために;神経防護作用として(Taylor、C.P.およびL.S.Narasimhan(1997)「Sodium channels and therapy of central nervous system diseases」Adv Pharmacol 39:47−98を参照のこと);および麻酔剤として(Strichartz,G.R.、Z.Zhouら(2002)「Therapeutic concentrations of local anaesthetics unveil the potential role of sodium channels in neuropathic pain」Novartis Found Symp 241:189−201を参照のこと)、現在使用されているか、または病院において試験されている。
【0014】
臨床的な意味を有する種々の動物モデルが、多数の痛みの徴候のためのナトリウムチャネル調節因子の研究のために開発されてきた。例えば、悪性慢性疼痛、Kohase,H.ら、Acta Anaesthesiol Scand.2004;48(3):382−3を参照のこと;大腿癌の痛み(Kohase,H.ら、Acta Anaesthesiol Scand.2004;48(3):382−3を参照のこと);非悪性慢性骨痛(Ciocon、J.O.ら、J Am Geriatr Soc.1994;42(6):593−6を参照のこと);関節リウマチ(Calvino、B.ら、Behav Brain Res.1987;24(1):11−29を参照のこと);骨粗鬆症(Guzman,R.E.ら、Toxicol Pathol.2003;31(6):619−24を参照のこと);脊髄狭窄(Takenobu,Y.ら、J Neurosci Methods.2001;104(2):191−8を参照のこと);神経障害性腰痛(Hines,R.ら、Pain Med.2002;3(4):361−5;Massie、J.B.ら、J Neurosci Methods.2004;137(2):283−9を参照のこと);
神経障害性腰痛(Hines,R.ら、Pain Med.2002;3(4):361−5;Massie、J.B.ら、J Neurosci Methods.2004;137(2):283−9を参照のこと);筋筋膜疼痛症候群(Dalpiaz & Dodds、J Pain Palliat Care Pharmacother.2002;16(1):99−104;Sluka KAら、Muscle Nerve.2001;24(1):37−46を参照のこと);線維筋痛(Bennet & Tai、Int J Clin Pharmacol Res.1995;15(3):115−9を参照のこと);顎関節痛(Ime H、Ren K、Brain Res Mol Brain Res.1999;67(1):87−97を参照のこと);腹部を含む慢性内臓痛(Al−Chaer、E.D.ら、Gastroenterology.2000;119(5):1276−85を参照のこと);骨盤/会陰部痛(Wesselmannら、Neurosci Lett.1998;246(2):73−6を参照のこと);膵臓(Vera−Portocarrero,L.B.ら、Anesthesiology.2003;98(2):474−84を参照のこと);IBS痛(Verne,G.N.ら、Pain.2003;105(1−2):223−30;La JHら、World Gastroenterol.2003;9(12):2791−5を参照のこと);慢性頭痛(Willimas & Stark、Cephalalgia.2003;23(10):963−71を参照のこと);片頭痛(Yamamura、H.ら、J Neurophysiol.1999;81(2):479−93を参照のこと);群発性頭痛を含む緊張性頭痛(Costa,A.ら、Cephalalgia.2000;20(2):85−91を参照のこと);ヘルペス後神経痛を含む慢性神経障害性疼痛(Attal,N.ら、Neurology.2004;62(2):218−25;Kim & Chung 1992、Pain 50:355を参照のこと);糖尿病性神経障害(Beidoun Aら、Clin J Pain.2004;20(3):174−8;Courteix,C.ら、Pain.1993;53(1):81−8を参照のこと);HIV関連神経障害(Portegies & Rosenberg、Ned Tijdschr Geneeskd.2001;145(15):731−5;Joseph EKら、Pain.2004;107(1−2):147−58;Oh,S.B.ら、J Neurosci.2001;21(14):5027−35を参照のこと);三叉神経痛(Sato,J.ら、Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod.2004;97(1):18−22;Imamura Yら、Exp Brain Res.1997;116(1):97−103を参照のこと);シャルコー・マリー・ツース神経障害(Sereda,M.ら、Neuron.1996;16(5):1049−60を参照のこと);遺伝性感覚ニューロン障害(Lee、M.J.ら、Hum Mol Genet. 2003;12(15):1917−25を参照のこと);末梢神経損傷(Attal,N.ら、Neurology.2004;62(2):218−25;Kim & Chung
1992、Pain 50:355;Bennett & Xie、1988、Pain 33:87;Decostered,I. & Woolf,C.J.、2000,Pain 87:149;Shir,Y. & Seltzer,Z.1990;Neurosci Lett 115:62を参照のこと);有痛性神経腫(Nahabedian & Johnson、Ann Plast Surg.2001;46(1):15−22;Devor & Raber、Behav Neural Biol.1983;37(2):276−83を参照のこと);異所性近位および遠位排出(Liu,X.ら、Brain Res. 2001;900(1):119−27を参照のこと);神経根障害(Devers & Galer、Clin J Pain. 2000;16(3):205−8;Hayashi Nら、Spine.1998;23(8):877−85を参照のこと);化学療法で誘導される神経障害性疼痛(Aley,K.O.ら、Neuroscience.1996;73(1):259−65を参照のこと);放射線治療で誘導される神経障害性疼痛;
乳腺切除後の痛み(Devers & Galer、Clin J Pain.2000;16(3):205−8を参照のこと);中心性疼痛(Cahana、A.ら、Anesth Analg.2004;98(6):1581−4を参照のこと)、脊髄損傷痛(Hains,B.C.ら、Exp Neurol.2000;164(2):426−37を参照のこと);脳卒中後の痛み;視床痛(LaBuda,C.Jら.、Neurosci Lett.2000;290(1):79−83を参照のこと);複合性局所疼痛症候群(Wallace,M.S.ら、Anesthesiology.2000;92(1):75−83;Xantos Dら、J Pain.2004;5(3補遺2):S1を参照のこと);幻肢痛(phanton pain)(Weber,W.E.、Ned Tijdschr Geneeskd.2001;145(17):813−7;Levitt & Heyback、Pain.1981;10(1):67−73を参照のこと);難治性疼痛(Yokoyama,M.ら、Can J Anaesth.2002;49(8):810−3を参照のこと);急性痛、急性術後疼痛(Koppert、W.ら、Anesth Analg.2004;98(4):1050−5;Brennan、T.J.ら、Pain.1996;64(3):493−501を参照のこと);急性筋骨格系疼痛;関節痛(Gotoh,S.ら、Ann Rheum Dis.1993;52(11):817−22を参照のこと);機械的腰痛(Kehl、L.J.ら、Pain.2000;85(3):333−43を参照のこと);頸痛;腱炎;傷害/運動痛(Sesay、M.ら、Can J Anaesth.2002;49(2):137−43を参照のこと);腹痛;腎盂腎炎;虫垂炎;胆嚢炎;腸閉塞;ヘルニアなどを含む急性内臓痛(Giambernardino、M.A.ら、Pain.1995;61(3):459−69を参照のこと);心臓痛を含む胸痛(Vergona、R.A.ら、Life Sci.1984;35(18):1877−84を参照のこと);骨盤痛、腎疝痛、陣痛を含む急性産科痛(Segal,S.ら、Anesth Analg.1998;87(4):864−9を参照のこと);帝王切開痛;急性炎症性の火傷および外傷の痛み;子宮内膜症を含む急性間欠痛(Cason,A.M.ら、Horm
Behav.2003;44(2):123−31を参照のこと);
急性帯状疱疹痛;鎌状赤血球貧血;急性膵炎(Toma,H;Gastroenterology.2000;119(5):1373−81を参照のこと);突出痛;静脈洞炎痛、歯痛を含む口腔顔面痛(Nusstein,J.ら、J Endod.1998;24(7):487−91;Chidiac,J.J.ら.、Eur J Pain.2002;6(1):55−67を参照のこと);多発性硬化症(MS)痛(Sakurai & Kanazawa、J Neurol Sci.1999;162(2):162−8を参照のこと);うつ病における痛み(Greene B、Curr Med Res Opin.2003;19(4):272−7を参照のこと);ライ病痛;ベーチェット病痛;有痛脂肪症(Devillers & Oranje、Clin Exp Dermatol. 1999;24(3):240−1を参照のこと);静脈炎痛;ギラン・バレー痛;痛む脚と動く足趾;ハグルンド症候群;先端紅痛症痛(Legroux−Crespel,E.ら、Ann Dermatol Venereol.2003;130(4):429−33を参照のこと);ファブリー病痛(Germain、D.P.、J Soc Biol.2002;196(2):183−90を参照のこと);尿失禁を含む膀胱および尿生殖器疾患(Berggren,T.ら.、J Urol.1993;150(5 Pt 1):1540−3を参照のこと);過活動膀胱(Chuang、Y.C.ら、Urology.2003;61(3):664−70を参照のこと);有痛性膀胱症候群(Yoshimura,N.ら、J Neurosci.2001;21(21):8690−6を参照のこと);間質性膀胱炎(IC)(Giannakopoulos& Campilomatos、Arch Ital Urol Nefrol Androl.1992;64(4):337−9;Boucher,M.ら、J
Urol.2000;164(1):203−8を参照のこと);および前立腺炎(Mayersak,J.S.、Int Surg.1998;83(4):347−9;Keith、I.M.ら、J Urol.2001;166(1):323−8を参照のこと)。
【0015】
電位依存性カルシウムチャネルは、膜の脱分極に応答して開口し、細胞外環境からのCaの流入を許容する膜貫通型のマルチサブユニットタンパク質である。カルシウムチャネルは、チャネルの開口の時間および電位依存性に基づいて、ならびに薬理学的な遮断に対する感受性に基づいて、最初に分類された。これらのカテゴリーは、低電位活性化型(主としてT型)および高電位活性化型(L、N、P、QまたはR型)であった。この分類スキームは、表Bに要約されるように、分子サブユニット組成に基づく命名法によって置き換えられた(Hockerman GH、Peterson BZ、Johnson BD、Catterall WA.1997.Annu Rev Pharmacol Toxicol 37:361−96;Striessnig J.1999.Cell Physiol Biochem 9:242−69)。カルシウムチャネルを作っている4つの主要なサブユニット型−α、αβ、βおよびγが存在する(例えば、De Waardら、Structural and functional diversity of voltage−activated calcium channels.Ion Channels所収(T.Narahashi編)41−87(Plenum Press、New York、1996)を参照のこと)。αサブユニットは、薬理学的特性の主要な決定基であり、チャネルポアおよび電位センサーを含む(Hockermanら、1997;Striessnig、1999)。以下の表Iに示すように、αサブユニットの10個のアイソフォームが公知である。αδサブユニットは、主として、細胞外である2つのジスルフィド連結サブユニットα、および膜貫通δサブユニットからなる。αδの4個のアイソフォーム、αδ−1、αδ−2、αδ−3およびαδ−4が公知である。βサブユニットは、α1サブユニットに結合する非グリコシル化細胞質タンパク質である。β〜βと呼ばれる4個のアイソフォームが公知である。γサブユニットは、Ca1チャネルおよびCa2チャネルの成分として生化学的に単離されてきた膜貫通タンパク質である。少なくとも8個のアイソフォームが知られている(γ1〜γ8)[Kang MG、Campbell KP.2003.J Biol Chem 278:21315−8]。電位依存性カルシウムチャネルの命名法は、表Iに示すように、αサブユニットの内容に依存する。αサブユニットの各型は、種々のβサブユニット、αβサブユニットまたはγサブユニットと結合することができ、その結果、各Ca型は多くの異なるサブユニットの組み合わせに対応する。
【0016】
表B
【0017】
【化11】

Ca2電流は、中枢神経系および末梢神経系、ならびに神経内分泌細胞においてほぼ独占的に見い出され、シナプス前電位依存性カルシウム電流の優勢な型を構成する。シナプス前活動電位はチャネル開口を引き起こし、神経伝達物質放出は、引き続くカルシウムの流入に急勾配で依存する。このようにして、Ca2チャネルは、神経伝達物質放出を媒介する際に中心的な役割を果たす。
【0018】
Ca2.1およびCa2.2は、ペプチド毒素ω−コノトキシンMVIICおよびω−コノトキシン−GVIAについての高親和性結合部位をそれぞれ含み、これらのペプチドは、各チャネル型の分布および機能を決定するために使用されてきた。Ca2.2は、後根神経節からのニューロンのシナプス前神経終末、および後角の薄層(lamina)IおよびIIのニューロンにおいて高く発現されている(Westenbroek RE、Hoskins L、Catterall WA.1998. J Neurosci 18:6319−30;Cizkova D、Marsala J、Lukacova N、Marsala M、Jergova Sら.2002.Exp Brain
Res 147:456−63)。Cav2.2チャネルはまた、脊髄中の二次および三次の介在ニューロン間のシナプス前終末においても見い出される。両方の部位の神経伝達が、脳に痛みの情報をリレーする際に非常に重要である。
【0019】
痛みは、3つの異なる型:急性、炎症性、および神経障害性に大まかに分けることができる。急性の痛みは、組織損傷を生じ得る刺激から生物を安全に保つ際の重要な保護的機能を提供する。重篤な熱的、機械的、または化学的な入力は、注意されない場合に、生物に重篤な損傷を引き起こす潜在能力を有する。急性の痛みは、損傷を与える環境から個体を迅速に取り除く役目を行う。急性の痛みは、その本当の性質により、短く続きかつ強烈である。他方、炎症性の痛みは、はるかに長時間続く可能性があり、その強度はより段階的である。炎症は、組織損傷、自己免疫応答、および病原体の侵入を含む多くの理由のために起こり得る。炎症性の痛みは、サブスタンスP、ヒスタミン、酸、プロスタグランジン、ブラジキニン、CGRP、サイトカイン、ATP、および神経伝達物質放出からなる「炎症スープ」によって媒介される。痛みの第3のクラスは神経障害性であり、長年の間続く慢性痛を生じ得る病的な「感作」状態を産生する、ニューロンのタンパク質および回路の再組織化を生じる神経損傷を含む。この型の痛みは、適応できる利点を提供せず、既存の治療を用いて治療することが特に困難である。
【0020】
痛み、特に神経障害性および難治性の痛みは、大きな満たされていない医学的必要性である。何百万人のもの個体が、現在の治療によっては良好に制御されない重篤な痛みに苦しんでいる。痛みを治療するために使用される現在の薬物には、NSAIDS、COX2阻害剤、オピオイド、三環系抗うつ剤、および抗けいれん剤が含まれる。神経障害性の痛みは、これが高用量に達するまでオピオイドに十分に応答しないので、特に治療することが困難であった。ガバペンチンは、現在のところ、神経障害性の痛みの治療のために好ましい治療剤であるが、これが適度な効力を示す場合に、60%の患者においてのみ作用する。しかし、この薬物は、非常に安全性が高くかつ副作用は一般的に耐容性であるが、より高用量では鎮静が1つの問題である。
【0021】
神経障害性の痛みの治療のための標的としてのCav2.2の確証、このチャネルの選択的ペプチド遮断剤であるジコニチド(ω−コノトキシン−MVIIAとしても公知)を用いる研究によって提供される(Bowersox SS、Gadbois T、Singh T、Pettus M、Wang YX、Luther RR.1996.J Pharmacol Exp Ther 279:1243−9;Jain KK.2000.Exp.Opin.Invest.Drugs 9:2403−10;Vanegas H、Schaible H.2000.Pain 85:9−18)。ヒトにおいて、ジコニチドのくも膜下腔内注入は、難治性疼痛、癌の痛み、オピオイド抵抗性の痛み、および神経障害性の痛みの治療のために有効である。この毒素は、ヒトにおける痛みの治療に85%の成功率を有し、モルヒネよりも高い効力を有する。Ca2.2の経口的に利用可能なアンタゴニストは、くも膜下腔内注入の必要なしで同様の効力を有するべきである。Ca2.1およびCa2.3もまた、侵害受容経路のニューロン中にあり、これらのチャネルのアンタゴニストは、痛みを治療するために使用可能であった。
【0022】
Ca2.1、Ca2.2、またはCa2.3のアンタゴニストもまた、過度のカルシウム流入を見かけ上含む、中枢神経系の他の病理を治療するために有用であるべきである。脳虚血および脳卒中は、ニューロンの脱分極に起因する過度のカルシウム流入と関連している。Ca2.2アンタゴニストであるジコニチドは、実験用動物を使用する局所的虚血モデルにおける梗塞のサイズを減少する際に有効であり、Ca2.2アンタゴニストが脳卒中の治療のために使用可能であることを示唆する。同様に、ニューロンへの過度のカルシウム流入を減少させることは、てんかん、外傷性脳損傷、アルツハイマー病、多発性梗塞性認知症および他のクラスの認知症、筋萎縮性側索硬化症、健忘症、または毒もしくは他の毒性物質によって引き起こされるニューロンの損傷の治療のために有用であり得る。
【0023】
Ca2.2はまた、交感神経系のニューロンからの神経伝達物質の放出を媒介し、アンタゴニストは、高血圧症、心不整脈、狭心症、心筋梗塞、およびうっ血性心不全などの循環器疾患を治療するために使用可能であった。
【0024】
不運にも、上記のように、上記の疾患状態のために現在使用されているナトリウムチャネル遮断剤およびカルシウムチャネル遮断剤の効力は、多くの副作用によって広範囲で制限されていた。これらの副作用には、種々のCNS撹乱、例えば、視覚障害、眩暈、悪心、および鎮静、ならびにより強力に生命を脅かす心不整脈および心不全が含まれる。従って、さらなるNaチャネルおよびCaチャネルのアンタゴニスト、好ましくは、より高い効力およびより少ない副作用を有するものを開発する必要性が残っている。不運にも、上記のように、上記の疾患状態のために現在使用されているナトリウムチャネル遮断剤およびカルシウムチャネル遮断剤の効力は、多くの副作用によって広範囲で制限されていた。これらの副作用には、種々のCNS撹乱、例えば、視覚障害、眩暈、悪心、および鎮静、ならびにより強力に生命を脅かす心不整脈および心不全が含まれる。従って、さらなるNaチャネルおよびCaチャネルのアンタゴニスト、好ましくは、より高い効力およびより少ない副作用を有するものを開発する必要性が残っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0025】
【非特許文献1】Goldin,A.L.(2001)「Resurgence of sodium channel research」Annu Rev Physiol 63:871−94
【非特許文献2】Noda、M.,H.、Suzukiら(1989)「A single point mutation confers tetrodotoxin and saxitoxin insensitivity on the sodium channel II」FEBS Lett 259(1):213−6
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0026】
(発明の要旨)
本発明の化合物、およびその薬学的に受容可能な塩が、電位依存性ナトリウムチャネルおよびカルシウムチャネルの阻害剤として有用であることがここで見い出された。これらの化合物は一般式I:
【0027】
【化15−1】

またはその薬学的に受容可能な塩を有する。
【0028】
これらの化合物または薬学的に受容可能な組成物は、急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛(migrane)、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかん、またはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、失調症、内臓痛、変形性関節症の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭頸部痛、重篤または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛、または癌の痛みを含むがこれらに限定されない種々の疾患、障害、または状態の重篤度を治療または軽減するために有用である。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
化学式I:
【化64】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩であって;
ここで、
環Zは、O、S、N、またはNHから選択される少なくとも1つの環のヘテロ原子を有する5−7員不飽和または芳香族環であり、ここで、該環Zは、Rのzの存在で任意に置換され;
zは0−4であり;
はR、R、R、R、またはRから選択され;
Xは、結合、O、NR、またはC(Rであり;
Qは、結合またはC1−C6直鎖もしくは分枝アルキリデン鎖であり、ここで、2つまでの隣接しないQのメチレン単位は、任意にかつ独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO、−SO−、−NR−、−SONR−、NRSO−、−NRSONR−、またはスピロシクロアルキレン部分によって置き換えられ;
は、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する、C1−6脂肪族基、3−8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環、またはO、S、N、またはNHから独立して選択される0−5個のヘテロ原子を有する、8−12員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の二環式系であり;
は、R、R、R、R、またはRから選択される5個までの置換基で任意に選択され;
およびRは独立してRであり;
はオキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは(CH−Yであり;
nは0、1または2であり;
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣接する環原子上の2つのRは、一緒になって、1,2−メチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は水素またはC1−C6脂肪族であり、ここで、各Rは、R、R、またはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され;
は、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、OP(O)(OR、OP(O)(OR、OP(O)(OR)(OR)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR、P(O)(OR、またはP(O)(OR)(OR)であり;
は、3個までのR置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、HまたはC1−C6脂肪族であり、ここで、Rは、R置換基で任意に置換されており;
はC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり、そして各Rは、H、C1−C6脂肪族、または(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され、ここで、mは0−2であり;
Z’は、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、またはO−(C1−C6)脂肪族から選択され;および
はアセチル、C6−C10アリールスルホニル、またはC1−C6アルキルスルホニルであり;
以下の条件:
(i)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、N(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXおよびQが各々結合である場合、Rは、任意に置換されたフェニルまたは6−クロロ−キノリン−8−イル、フルオレン−9−イルエチル、フルオレン−9−イルメチル、インドリン−1−イル、シクロヘキシル、(フェニルチオ)メチル、3−メトキシ−チオフェン−2−イル、フラン−2−イル、(フェノキシ)メチル、3−クロロ−チオフェン−2−イル、(任意に置換されたフェニル)エチル、もしくはブチルではなく;
(ii)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXおよびQが各々結合である場合、Rは2−メチル−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−イルではなく;
(iii)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXが−O−であり、Qが結合である場合、Rはエチルまたはベンジルではなく;および
(iv)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXが−N(Me)−であり、およびQが結合である場合、Rは2−メチルフェニルではない、
である、
化合物またはその薬学的に受容可能な塩。
(項目2)
Zが
【化66】


【化67−1】


から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
zが0−2である、項目1に記載の化合物。
(項目4)
Zが
【化67−2】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目5)
Zが
【化67−3】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目6)
Zが
【化67−4】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目7)
Zが
【化67−5】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目8)
Zが
【化68−1】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目9)
Zが
【化68−2】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目10)
Zが
【化68−3】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目11)
Zが
【化68−4】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目12)
Zが
【化68−5】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目13)
Zが
【化68−6】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目14)
Zが
【化69−1】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目15)
Zが
【化69−2】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目16)
Zが
【化69−3】


から選択される、項目2に記載の化合物。
(項目17)
がR、R、またはRから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目18)
が、水素、ハロ、C1−C6脂肪族、またはC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、もしくはC5−C10ヘテロアリール環から独立して選択される任意に置換された基から選択され;ここで該脂環式、該アリール、該複素環式、または該ヘテロアリールは、R、R、R、またはRから選択される3個までの置換基で任意に置換される、項目17に記載の化合物。
(項目19)
が水素、Cl、C1−C6直鎖または分枝アルキル、C2−C6直鎖または分枝アルケニル、またはC2−C6直鎖または分枝鎖アルキニルである、項目18に記載の化合物。
(項目20)
が水素である、項目1に記載の化合物。
(項目21)
が水素である、項目1に記載の化合物。
(項目22)
Xが、結合、CH、またはOから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目23)
Qが結合またはC1−C6直鎖もしくは分枝アルキリデン鎖から選択され、ここで、該アルキリデンの2個までのメチレン単位がO、S、OCO、NH、N(R)、またはスピロシクロアルキレン基によって独立して置換される、項目1に記載の化合物。
(項目24)
Qが−X−(X−であり、
ここで、
が結合または、R、R、もしくはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC1−C6脂肪族であり;
pは0または1であり;および
はO、S、またはNRである、
項目23に記載の化合物。
(項目25)
が結合、C1−C6アルキル、またはC2−C6アルキリデンであり、該アルキルまたはアルキリデンが、独立してかつ任意にRまたはRで置換される、項目24に記載の化合物。
(項目26)
が、結合、−CH−、−CH−CH−、−(CH−、−C(Me)−、−CH(Me)−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−、−CH(Ph)−、−CH−CH(Me)−、−CH(Et)−、または−CH(i−Pr)−から選択される、項目25に記載の化合物。
(項目27)
がNHまたは−N(C1−C6アルキル)−である、項目24に記載の化合物。
(項目28)
が、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される4個までの置換基で任意に置換される、項目1に記載の化合物。
(項目29)
が任意に置換されたC1−C6脂肪族基である、項目1に記載の化合物。
(項目30)
が、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する、任意に置換された3−8員の飽和、部分飽和、または芳香族の単環である、項目1に記載の化合物。

(項目31)
が、任意に置換された3−8員脂環式環である、項目30に記載の化合物。
(項目32)
が、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルから選択される任意に置換された環である、項目31に記載の化合物。
(項目33)
が任意に置換されたフェニルである、項目30に記載の化合物。
(項目34)
前記フェニルが、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、または C(O)C1−4アルキルから選択される3個までの置換基で任意に置換されている、項目33に記載の化合物。
(項目35)

【化71】


【化72】


から選択される、項目33に記載の化合物。
(項目36)
が任意に置換された3−7員単環式複素環である、項目30に記載の化合物。
(項目37)
が、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する、任意に置換された5−6員の飽和、部分飽和、または芳香族の単環である、項目30に記載の化合物。
(項目38)
が、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルから選択される任意に置換された環である、項目37に記載の化合物。
(項目39)

【化73】


【化74−1】


から選択される任意に置換された環である、項目37に記載の化合物。
(項目40)
が、任意に置換されたフェニル環に任意に縮合される、項目39に記載の化合物。
(項目41)
が、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−5個のヘテロ原子を有する、任意に置換された8−12員の飽和、部分飽和、または完全不飽和の二環式環系である、項目1に記載の化合物。
(項目42)
が任意に置換されたナフチルである、項目41に記載の化合物。
(項目43)
前記ナフチルが、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される5個までの置換基で任意に置換されている、項目42に記載の化合物。
(項目44)
が、任意に置換された8−10員二環式芳香族複素環である、項目41に記載の化合物。
(項目45)
が、任意に置換された8−10員二環式複素環である、項目41に記載の化合物。
(項目46)
が、以下:
【化74−2】


【化75−1】


から選択される、任意に置換された環である、項目41に記載の化合物。
(項目47)
が、ピロリジン−1−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、3−メチル−ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル、4,5−ジメチル−4−モルホリン−1−イル、2,6−ジメチル−モルホリン−4−イル、インドール−1−イル、4−フルオロ−インドール−1−イル、5−クロロ−インドール−1−イル、7−クロロ−インドール−1−イル、テトラヒドロキノリン−1−イル、7−トリフルオロメチル−テトラヒドロキノリン−1−イル、6−メチル−テトラヒドロキノリン−1−イル、6−クロロ−テトラヒドロキノリン−1−イル、テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−クロロ−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−トリフルオロメチル−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−フルオロ−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、6−メチル−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル、ピリジン−3−イル、またはピリジン−4−イルから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目48)
化学式I−A:
【化75−2】


を有し、ここで、環Z、X、Q、およびRは上記に定義される、項目1に記載の化合物。
(項目49)
化学式I−B:
【化76−1】


を有し、ここで、環Z、X、Q、およびRは上記に定義される、項目1に記載の化合物。
(項目50)
表2から選択される化合物。
(項目51)
項目1−50のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物。
(項目52)
(a)患者;または
(b)生物学的試料における、
NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の活性を阻害する方法であって、
該方法は、該患者に化学式I:
【化76−2】


の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を投与する工程、または該生物学的試料を化学式Iの化合物と接触させる工程を包含し、
ここで、
Zは、O、S、N、またはNHから選択される、少なくとも1個の環のヘテロ原子を有する5−7員不飽和または芳香族環であり、ここで、該環ZはRのzの存在で任意に置換され;
zは0−4であり;
はR、R、R、R、またはRから選択され;
Xは結合、O、NR、またはC(Rであり;
Qは、結合またはC1−C6直鎖または分枝アルキリデン鎖であり、ここで、2個までの隣接しないQのメチレン単位が、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO、−SO−、−NR−、−SONR−、NRSO−、−NRSONR−、またはスピロシクロアルキレン部分によって任意にかつ独立して置き換えられ;
は、C1−6脂肪族基、O、S、N、もしくはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する3−8員飽和、部分飽和、もしくは完全不飽和単環、またはO、S、N、もしくはNHから独立して選択される0−5個のヘテロ原子を有する8−12員飽和、部分飽和、もしくは完全不飽和二環系であり;
ここで、RはR、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換され;
およびRは独立してRであり;
はオキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは(CH−Yであり;
nは0、1または2であり;
Yはハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣接する環原子上の2個のRは、一緒になって、1,2−メチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は水素またはC1−C6脂肪族であり、ここで、各Rは、R、R、またはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され;
は、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、OP(O)(OR、OP(O)(OR、OP(O)(OR)(OR)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR、P(O)(OR、またはP(O)(OR)(OR)であり;
は、3個までのR置換基で任意に置換された、C3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、HまたはC1−C6脂肪族であり、ここで、RはR置換基で任意に置換されており;
は、C3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環、またはC5−C10ヘテロアリール環であり、各Rは、H、C1−C6脂肪族、または(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され、ここで、mは0−2であり;
Z’は、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、またはO−(C1−C6)脂肪族から選択され;ならびに
は、アセチル、C6−C10アリールスルホニル、またはC1−C6アルキルスルホニルである、方法。
(項目53)
前記化合物が化学式I、化学式I−A、または化学式I−Bを有する、項目52に記載の方法。
(項目54)
急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかん、またはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、失調症、内臓痛、変形性関節症の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭頸部痛、重篤または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛、脳卒中、双極性障害、または癌の痛みから選択される疾患、障害、または状態の重篤度を治療または軽減する方法であって、化学式I、化学式I−A、または化学式I−Bに従う化合物の有効量を患者に投与する工程を包含する、方法。
(項目55)
前記化合物が項目1−50のいずれか一項に記載されている、項目54に記載の方法。
(項目56)
前記疾患、状態、または障害が電位依存性ナトリウムチャネルの活性化または機能亢進に関与する、項目54に記載の方法。
(項目57)
前記疾患、状態、または障害が、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭部痛、頸部痛、または神経障害である、項目56に記載の方法。
(項目58)
前記疾患、状態、または障害が、重篤または難治性疼痛、急性痛、術後疼痛、背痛、または癌の痛みである、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記疾患、状態、または障害が電位依存性カルシウムチャネルの活性化または機能亢進に関与する、項目54に記載の方法。
(項目60)
前記疾患、状態、または障害が、急性痛、慢性痛、神経障害性の痛み、または炎症性の痛み、炎症性突出痛である、項目59に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(発明の詳細な説明)
1つの実施形態において、本発明は、化学式I:
【0030】
【化15−2】

の化合物またはその薬学的に受容可能な塩を提供し、
ここで、
環Zは、O、S、N、またはNHから選択される少なくとも1つの環のヘテロ原子を有する5−7員不飽和または芳香族環であり、ここで、該環Zは、Rのzの存在で任意に置換され;
zは0−4であり;
はR、R、R、R、またはRから選択され;
Xは、結合、O、NR、またはC(Rであり;
Qは、結合またはC1−C6直鎖もしくは分枝アルキリデン鎖であり、ここで、2つまでの隣接しないQのメチレン単位は、任意にかつ独立して、−CO−、−CS−、−COCO−、−CONR−、−CONRNR−、−CO−、−OCO−、−NRCO−、−O−、−NRCONR−、−OCONR−、−NRNR、−NRNRCO−、−NRCO−、−S−、−SO、−SO−、−NR−、−SONR−、NRSO−、−NRSONR−、またはスピロシクロアルキレン部分によって置き換えられ;
は、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する、C1−6脂肪族基、3−8員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の単環、またはO、S、N、またはNHから独立して選択される0−5個のヘテロ原子を有する、8−12員の飽和、部分飽和、もしくは完全に不飽和の二環式系であり;
は、R、R、R、R、またはRから選択される5個までの置換基で任意に置換され;
およびRは独立してRであり;
はオキソ、=NN(R、=NN(R、=NN(R)、Rまたは(CH−Yであり;
nは0、1または2;
Yは、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SR、S(O)R、SO、NH、NHR、N(R、NR、COOH、COORまたはORであり;あるいは
隣接する環原子上の2つのRは、一緒になって、1,2−エチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシを形成し;
は水素またはC1−C6脂肪族であり、ここで、各Rは、R、R、またはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され;
は、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、OR、OR、OC(O)R、OC(O)R、OC(O)OR、OC(O)OR、OC(O)N(R、OC(O)N(R、OC(O)N(R)、OP(O)(OR、OP(O)(OR、OP(O)(OR)(OR)、SR、SR、S(O)R、S(O)R、SO、SO、SON(R、SON(R、SONR、SO、SO、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(R、C(O)N(R)、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(O)N(OR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、C(NOR)R、N(R、N(R、N(R)、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)OR、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRSO、NRSO、NRSO、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、NRSONR、NRSON(R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、N(OR)R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R)、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR)N(R、P(O)(OR、P(O)(OR、またはP(O)(OR)(OR)であり;
は、3個までのR置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり;
は、HまたはC1−C6脂肪族であり、ここで、Rは、R置換基で任意に置換されており;
はC3−C8脂環式、C6−C10アリール、C3−C8複素環式、またはC5−C10ヘテロアリール環であり、そして各Rは、H、C1−C6脂肪族、または(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換され、ここで、mは0−2であり;
Z’は、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、N((C1−C6)脂肪族)R、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、またはO−(C1−C6)脂肪族から選択され;および
はアセチル、C6−C10アリールスルホニル、またはC1−C6アルキルスルホニルである。
【0031】
1つの実施形態において、以下の化合物は化学式Iの化合物から除外される:
i)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、N(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXおよびQが各々結合である場合、Rは、任意に置換されたフェニルまたは6−クロロ−キノリン−8−イル、フルオレン−9−イルエチル、フルオレン−9−イルメチル、インドリン−1−イル、シクロヘキシル、(フェニルチオ)メチル、3−メトキシ−チオフェン−2−イル、フラン−2−イル、(フェノキシ)メチル、3−クロロ−チオフェン−2−イル、(任意に置換されたフェニル)エチル、もしくはブチルではない;
ii)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXおよびQが各々結合である場合、Rは2−メチル−5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾフラン−7−イルではない;
iii)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXが−O−であり、Qが結合である場合、Rはエチルまたはベンジルではなく;および
iv)環Zが任意に置換されたピリミジン−2−イルであり、スルホニル基が5位に結合され、そしてN(R)C(O)基が2位に結合され、RがHであり、そしてXが−N(Me)−であり、およびQが結合である場合、Rは2−メチルフェニルではない。
【0032】
本発明の目的のために、化学元素はthe Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、75th
Edの周期表に従って同定される。加えて、有機化学の一般的原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999、および「March’s Advanced Organic Chemistry」、5th Ed.、Smith、M.B.およびMarch、J.編、John Wiley & Sons、New
York:2001に記載され、これらの全体の内容は参照により本明細書に援用される。
【0033】
本明細書で使用される場合、本発明の化合物は、1つ以上の置換基で任意に置換され得る。これらの置換基は、例えば、上記に一般的に記載されており、または本発明の特定のクラス、サブクラス、および種によって例示される。「任意に置換される」という語句は、「置換されるか、または置換されない」という語句と交換可能に使用されることが認識される。一般的に、「置換される」という用語は、「任意に」という用語が先行するか否かに関わらず、特定の基を有する所定の構造における水素基の置き換えをいう。他に示さない限り、任意に置換された基は、その基の各々の置換可能な(すなわち、所定の置換基のために利用可能である必須の価数を有する)位置において置換基を有し得、所定の構造における1つよりも多くの位置が、特定の基から選択される1つより多くの置換基で置換され得る場合、その置換基は、すべての位置で同じであってもよいか、または異なっていてもよいかのいずれかである。本発明によって想定される置換基の組み合わせは、好ましくは、安定であるか、または化学的に実行可能である化合物の形成を生じるものである。「安定である」という用語は、本明細書で使用される場合、それらの製造、検出、ならびに好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書に開示された1つ以上の目的のための使用を可能にする条件に供したときに、実質的に変化しない化合物をいう。ある実施形態において、安定な化合物または化学的に実行可能な化合物は、40℃以下の温度で、湿度または他の化学的に反応性の条件の非存在下で、少なくとも1週間保持したときに、実質的に変化しないものである。
【0034】
「脂肪族」または「脂肪族基」という用語は、本明細書で使用される場合、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和単位を含む、直鎖(すなわち、非分枝)または分枝鎖の、置換または非置換炭化水素鎖を意味する。他に特定しない限り、脂肪族基は、1−20個の脂肪族炭素原子を含む。ある実施形態において、脂肪族基は1−10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は1−8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は1−6個の脂肪族炭素原子を含み、そしてなお他の実施形態において、脂肪族基は1−4個の脂肪族炭素原子を含む。適切な脂肪族基には、直鎖状または分枝状の、置換または非置換の、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が含まれるがこれらに限定されない。「脂環式」という用語は、完全に飽和しているか、または1個以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、分子の残りに結合の単一点を有する、単環式、二環式、または三環式の炭化水素を意味する。ある実施形態において、「脂環式」とは、完全に飽和しているか、または1個以上の不飽和単位を含むが、芳香族ではなく、分子の残りに結合の単一点を有する単環式C−C炭化水素または二環式C−C12炭化水素をいい、ここで、二環系における任意の個々の環は3−7員を有する。
【0035】
他に特定されない限り、「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式脂肪族」、または「複素環式」という用語は、本明細書で使用される場合、1つ以上の環メンバーにおける1つ以上の環原子が独立して選択されるヘテロ原子である、非芳香族、単環式、二環式、または三環式の環系をいう。複素環は飽和され得、または1つ以上の不飽和結合を含み得る。ある実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」、または「複素環式」基は、1つ以上の環メンバーが、酸素、硫黄、窒素、またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、環系における各環が3〜7個の環メンバーを含む3〜14個の環メンバーを有する。
【0036】
「ヘテロ原子」という用語は、酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素を意味する(窒素、硫黄、リン、またはケイ素の任意の酸化型;任意の塩基性窒素の四級化型;または複素環の置換可能な窒素、例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中)、NH(ピロリジニル中)またはNR+(N置換ピロリジニル中)を含む)。
【0037】
「不飽和」という用語は、本明細書で使用される場合、1つの部分が1つ以上の不飽和単位を有することを意味する。
【0038】
「アルコキシ」または「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、酸素原子(「アルコキシ」)または硫黄原子(「チオアルキル」)原子を通して主炭素鎖に結合された、以前に定義したようなアルキル基をいう。
【0039】
単独でまたはより大きな部分の一部として、「アラルキル」、「アラルコキシ」、または「アリールオキシアルキル」として使用される「アリール」という用語は、全体で5〜14個の環炭素原子を有する、単環、二環、および三環系をいい、ここで、系における少なくとも1個の環が芳香族であり、系における各環は3〜7個の環炭素原子を含む。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と交換可能に使用され得る。
【0040】
単独でまたはより大きな部分の一部として「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアリールアルコキシ」におけるように使用される「ヘテロアリール」という用語は、全体で5〜14個の環メンバーを有する単環系、二環系、および三環系をいい、ここで、系における少なくとも1個の環が芳香族であり、系における少なくとも1個の環が1個以上のヘテロ原子を含み、そして、系における各環が3〜7個の環メンバーを含む。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語または「ヘテロ芳香族」という用語と交換可能に使用され得る。
【0041】
「アルキリデン鎖」という用語は、完全に飽和されてもよく、または1つ以上の不飽和単位を有してもよく、かつ分子の残りへの2つの結合点を有する、直鎖または分枝鎖の炭素鎖をいう。
【0042】
「スピロシクロアルキレン」とは、同じ炭素原子から、分子の残りへの結合の2つの点を有するシクロ脂肪族環をいう。
【0043】
他に言及しない限り、本明細書に示されるものはまた、構造のすべての異性体(例えば、エナンチオマー性、ジアステレオマー性、および幾何異性体性(または立体配座性))の型、例えば、各不斉中心のR配置およびS配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)立体配座異性体を含むことが意味される。それゆえに、本発明の化合物の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー性、ジアステレオマー性、および幾何異性体性(または立体配座性)混合物は本発明の範囲内にある。他に言及しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体は本発明の範囲内にある。加えて、他に言及しない限り、本明細書に示す構造はまた、1つ以上の同位体が富化された原子の存在においてのみ異なる化合物を含むことが意図される。例えば、重水素もしくはトリチウムによる水素の置き換え、または13C−もしくは14C富化炭素による炭素の置き換え以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内にある。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして有用である。
【0044】
1つの実施形態において、Zは
【0045】
【化21】

から選択される、任意に置換された環である。
【0046】
1つの実施形態において、Zは
【0047】
【化22−1】

から選択され、ここで、Zは、R、R、またはRから選択される2個までの置換基を有する。
【0048】
他の実施形態において、Zは
【0049】
【化22−2】

から選択される。
【0050】
または、Zは化学式a−i−aである。
【0051】
他の実施形態において、Zは
【0052】
【化23−1】

から選択される。
【0053】
本発明の特定の態様において、Zは
【0054】
【化23−2】

から選択される。
【0055】
または、Zは
【0056】
【化23−3】

から選択される。
【0057】
または、Zは
【0058】
【化23−4】

から選択される。
【0059】
特定の態様において、Zは
【0060】
【化23−5】

から選択される。
【0061】
特定の態様において、Zは
【0062】
【化23−6】

から選択される。
【0063】
特定の態様において、Zは
【0064】
【化24−1】

から選択される。
【0065】
他の態様において、Zは
【0066】
【化24−2】

から選択される。
【0067】
他の態様において、Zは
【0068】
【化24−3】

から選択される。
【0069】
特定の態様において、Zは
【0070】
【化24−4】

から選択される。
【0071】
特定の態様において、Zは
【0072】
【化24−5】

から選択される。
【0073】
他の態様において、Zは
【0074】
【化25】

から選択される。
【0075】
化学式(I)の1つの実施形態に従って、RはR、R、またはRから選択される。
【0076】
化学式(I)の1つの実施形態に従って、Zは0−2である。化学式(I)の1つの実施形態に従って、Zは0である。化学式(I)の別の実施形態に従って、Zは1である。化学式(I)のさらに別の実施形態に従って、Zは2である。
【0077】
化学式(I)の1つの実施形態に従って、Rはオキソである。または、Rは、=NN(R、=NN(R、または=NN(R)である。別の実施形態に従って、RはR6である。
【0078】
1つの実施形態に従って、Rは(CH−Yである。または、RはYである。
【0079】
例示的なYには、ハロ、CN、NO、CF、OCF、OH、SH、S(C1−4脂肪族)、S(O)(C1−4脂肪族)、SO(C1−4脂肪族)、NH、NH(C1−4脂肪族)、N(C1−4脂肪族)2、NR(C1−4脂肪族)R、COOH、COO(C1−4脂肪族)またはO(C1−4脂肪族)が含まれる。または、隣接する環原子上の2つのRは、一緒になって、1,2−エチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシを形成する。別の実施形態において、Yは、ハロ、OH、SH、CN、NO2、CF3、OCF3、COOH,またはC(O)O(C1−C4アルキル)である。別の実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、1−ピロリジニル、1−ピペリジニル、1−モルホリニル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される。
【0080】
別の実施形態において、Rは(CH−Yである。1つの実施形態において、nは 0または1である。または、nは2である。1つの実施形態において、Yはハロ、CN、NO、CF、OCF、OR、SR、S(O)R、SO、N(R、NR、またはCOORである。別の実施形態において、Yはハロ、OH、SH、CN、NO、CF、OCF、またはC(O)O(C1−C4アルキル)である。
【0081】
1つの実施形態において、隣接する環原子上の2つのRは、一緒になって、1,2−エチレンジオキシまたは1,2−エチレンジオキシを形成する。
【0082】
化学式(I)の別の実施形態に従って、Rは、2個までのR置換基で任意に置換された直鎖または分枝(C1−C6)アルキルまたは(C2−C6)アルケニルまたはアルキニルである。
【0083】
1つの実施形態において、RはHである。別の実施形態において、RはC1−C6脂肪族である。別の実施形態において、RはC1−C6直鎖または分枝鎖アルキルである。別の実施形態において、R2はC1−C4アルキルである。別の実施形態において、Rは、RまたはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換される。または、Rは、RまたはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換される。
【0084】
1つの実施形態において、Rは、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルが含まれる。別の実施形態において、Rは、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニルまたはナフチルが含まれる。別の実施形態において、Rは、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC3−C8複素環である。例示的な複素環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチオモルホリニルが含まれる。別の実施形態において、Rは、R、R、RまたはRから独立して選択される3個までの置換基で任意に置換されたC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリリニル(naphthylirinyl)、またはプテリジニルが含まれる。
【0085】
1つの実施形態において、Rは、ORまたはORから選択される。または、Rは、OC(O)RまたはOC(O)Rから選択される。別の実施形態において、Rは、C(O)R、C(O)OR、C(O)R、C(O)OR、C(O)N(R、C(O)N(RまたはC(O)N(R)から選択される。なお別の実施形態において、Rは、N(R、N(R、またはN(R)から選択される。または、Rは、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、NRC(O)N(R、NRC(O)N(R、NRC(O)NR、またはNRC(O)N(Rから選択される。
【0086】
1つの実施形態において、Rは、3個までのR置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルが含まれる。別の実施形態において、Rは、3個までのR置換基で任意に置換されたC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニルまたはナフチルが含まれる。別の実施形態において、Rは、3個までのR置換基で任意に置換されたC3−C8複素環である。例示的な複素環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチオモルホリニルが含まれる。別の実施形態において、Rは、3個までのR置換基で任意に置換されたC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリジニル、またはプテリジニルが含まれる。
【0087】
1つの実施形態において、RはHである。別の実施形態において、RはC1−C6脂肪族、好ましくは、C1−C6アルキルである。または、Rは、R置換基で任意に置換されたC1−C6脂肪族である。
【0088】
1つの実施形態において、Rは、H、C1−C6脂肪族、または、mが0−2である(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC3−C8脂環式である。例示的な脂環式には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、またはシクロヘプチルが含まれる。別の実施形態において、Rは、H、C1−C6脂肪族、または、mが0−2である(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC6−C10アリールである。例示的なアリール環には、フェニルまたはナフチルが含まれる。または、Rは、H、C1−C6脂肪族、または、mが0−2である(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC3−C8複素環である。例示的な複素環には、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、またはチオモルホリニルが含まれる。または、Rは、H、C1−C6脂肪族、または、mが0−2である(CH−Z’から独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC5−C10ヘテロアリール環である。例示的なヘテロアリール環には、ピリジル、ピラジル、トリアジニル、フラニル、ピロリル、チオフェニル、オキサゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピリミジニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インドリジニル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、プリニル、シノリニル、フタラジン、キナゾリニル、キナオキサリニル、ナフチリジニル、またはプテリジニルが含まれる。
【0089】
1つの実施形態において、Z’は、ハロ、CN、NO、C(ハロ)、CH(ハロ)、CH(ハロ)、−OC(ハロ)、−OCH(ハロ)、−OCH(ハロ)、OH、S−(C1−C6)脂肪族、S(O)−(C1−C6)脂肪族、SO−(C1−C6)脂肪族、NH、NH−(C1−C6)脂肪族、N((C1−C6)脂肪族)、COOH、C(O)O(−(C1−C6)脂肪族)、またはO−(C1−C6)脂肪族から選択される。
【0090】
1つの実施形態において、Rは水素である。別の実施形態において、Rは水素である。
【0091】
1つの実施形態において、Xは結合である。
【0092】
別の実施形態において、XはOである。または、XはC(Rである。または、XはNRである。
【0093】
1つの実施形態において、XはCHである。または、XはCHMeである。または、XはC(Me)である。
【0094】
1つの実施形態において、XはNMeである。
【0095】
1つの実施形態において、Qは結合である。
【0096】
別の実施形態において、QはO、S、またはNRである。実施形態において、QはOである。または、QはSである。または、QはNRである。または、QはNHまたはN(C1−C6)アルキルである。
【0097】
別の実施形態において、QはC1−C6直鎖または分枝鎖アルキリデン鎖であり、ここで、1個までのQのメチレン単位が、O、S、NH、またはN(C1−C4アルキル)によって置き換えられる。
【0098】
別の実施形態において、QはC1−C6アルキルであり、ここで、1個のメチレン基が、スピロシクロプロピレンなどのスピロシクロアルキレン基によって置き換えられている。
【0099】
別の実施形態において、Qは−X−(X−であって、ここで:
はR、R、またはRから独立して選択される2個までの置換基で任意に置換されたC1−C6脂肪族であり;および
pは0または1であり;および
はO、S、またはNRである。
【0100】
1つの実施形態において、Xは、C1−C6アルキルまたはC2−C6アルキリデンである。または、Xは、RまたはRで任意に置換されたC1−C6アルキルである。1つの実施形態において、Xは、−CH−、−CH−CH−、−(CH−、−C(Me)−、−CH(Me)−、−C(Me)=CH−、−CH=CH−、−CH(Ph)−、−CH−CH(Me)−、−CH(Et)−、または−CH(i−Pr)−から選択される。
【0101】
特定の実施形態において、XはNHである。または、Xは−N(C1−C4アルキル)−である。
【0102】
1つの実施形態において、pは0である。
【0103】
別の実施形態において、pは1であり、XはOである。
【0104】
別の実施形態において、pは1であり、XはSである。
【0105】
別の実施形態において、pは1であり、XはNRである。好ましくは、Rは水素である。
【0106】
1つの実施形態において、RはC1−6脂肪族基であり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換されている。
【0107】
別の実施形態において、Rは、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−3個のヘテロ原子を有する、3−8員の飽和、部分飽和、または芳香族の単環であり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換されている。1つの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される3個までの置換基で任意に置換される。
【0108】
1つの実施形態において、Rは、任意に置換されたフェニルであり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換されている。1つの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される3個までの置換基で任意に置換されたフェニルである。
【0109】
1つの実施形態において、Rは、任意に置換されたナフチルであり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換されている。1つの実施形態において、Rは、ハロ、シアノ、トリフルオロメチル、OH、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、トリフルオロメトキシ、C(O)NH、NH、NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)、NHC(O)C1−4アルキル、またはC(O)C1−4アルキルから選択される5個までの置換基で任意に置換されたナフチルである。
【0110】
または、Rは、任意に置換された3−8員脂環式環であり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換される。1つの実施形態において、Rは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、またはシクロヘキシルから選択される。
【0111】
または、Rは、O、S、N、またはNHから独立して選択される3個までのヘテロ原子を含む、任意に置換された5−6員の単環式、不飽和、部分飽和、または芳香族環である。または、Rは、3−7員単環式、複素環である。
【0112】
1つの実施形態において、Rは、
【0113】
【化30】

から選択される任意に置換された環から選択される。
【0114】
別の実施形態において、Rは、環i−xivまたはxviのいずれかから選択され、ここで、上記環は任意に置換されたフェニル環に縮合される。
【0115】
別の実施形態において、Rは、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、またはピリダジニルから選択される任意に置換された環から選択される。
【0116】
別の実施形態において、Rは、
【0117】
【化31−1】

から選択される任意に置換された環である。
【0118】
別の実施形態において、Rは、上記の環xvii−xxivのいずれか1つであり、ここで、上記環は任意に置換されたフェニル環に縮合される。
【0119】
別の実施形態において、Rは、O、S、N、またはNHから独立して選択される0−5個のヘテロ原子を有する、8−12員の飽和、部分飽和、または完全不飽和の二環式環系であり、ここで、Rは、R、R、R、R、またはRから選択される4個までの置換基で任意に置換される。1つの実施形態において、Rは任意に置換されたナフチルである。または、RQは、任意に置換された8−10員二環式芳香族複素環である。または、RQは、任意に置換された8−10員二環式複素環である。
【0120】
1つの実施形態において、Rは、
【0121】
【化31−2】

から選択される任意に置換された環である。
【0122】
別の実施形態において、Rは、
【0123】
【化32−1】

から選択される任意に置換された環である。
【0124】
別の実施形態において、Rは、
【0125】
【化32−2】

から選択される任意に置換された環である。
【0126】
別の実施形態において、Rは以下から選択される:
【0127】
【化32−3】

【0128】
【化33】

【0129】
【化34−1】


【0130】
別の実施形態において、Rは、ピロリジン−1−イル、3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル、ピペリジン−1−イル、3−メチル−ピペリジン−1−イル、4−メチル−ピペリジン−1−イル、4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル、4,5−ジメチル−4−モルホリン−1−イル、インドール−1−イル、5−クロロ−インドール−1−イル、テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−クロロ−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−トリフルオロメチル−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、7−フルオロ−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、6−メチル−テトラヒドロ−イソキノリン−2−イル、8−トリフルオロメチル−キノリン−4−イル、ピリジン−3−イル、またはピリジン−4−イルから選択される。
【0131】
1つの実施形態において、本発明は、化学式I−A:
【0132】
【化34−2】

の化合物を提供し、ここで、Z、X、Q、およびRは上記に定義した通りである。
【0133】
1つの実施形態において、本発明は、化学式I−B:
【0134】
【化34−3】

の化合物を提供し、ここで、Z、X、Q、およびRは上記に定義した通りである。
【0135】
別の実施形態において、本発明は、以下の表2の化合物を提供する。
【0136】
表2
【0137】
【化36】

【0138】
【化37】

本発明の化合物は、当該分野で公知の方法を使用して容易に調整され得る。スキーム1において以下に図示するものは、本発明の化合物を調製するための1つのこのような方法である。
【0139】
スキーム1:
【0140】
【化38】

使用、処方および投与
薬学的に受容可能な組成物
上記に議論したように、本発明は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルおよび/またはカルシウムチャネルの阻害剤である化合物を提供し、従って、本発明の化合物は、以下を含むがこれらに限定されない疾患、障害、または状態の治療のために有用である:急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかん、またはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、および失調症。従って、本発明の別の局面において、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここで、これらの組成物は、本明細書に記載されるような化合物のいずれかを含み、および任意に薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルを含む。特定の実施形態において、これらの組成物は、さらに任意に、1種以上のさらなる治療剤を含む。
【0141】
特定の本発明の化合物が、治療のために遊離型で、または適切な場合、薬学的に受容可能なその誘導体として存在することができることが認識される。本発明に従って、薬学的に受容可能な誘導体は、薬学的に受容可能な塩、エステル、このようなエステルの塩、または、必要がある患者への投与の際に、その他の点では本明細書に記載されるような化合物、もしくはその代謝物または残渣を、直接的もしくは間接的に提供することが可能である任意の他の付加物もしくは誘導体を含むがこれらに限定されない。
【0142】
本明細書で使用される場合、「薬学的に受容可能な塩」という用語は、過度の毒性、炎症、アレルギー反応などを伴うことなく、ヒトおよび下等動物の組織との接触における使用に適切であり、健全な医学的判断の範囲内にあり、かつ合理的な損益比と釣り合いがとれている塩をいう。「薬学的に受容可能な塩」は、レシピエントへの投与の際に、直接的または間接的のいずれかで、本発明の化合物または阻害的に活性なその代謝物または残渣を提供することが可能である、本発明の化合物の任意の非毒性塩またはエステルの塩を意味する。本明細書で使用される場合、「阻害的に活性なその代謝物または残渣」という用語は、その代謝物または残渣もまた、電位依存性ナトリウムイオンチャネルまたはカルシウムチャネルの阻害剤であることを意味する。
【0143】
薬学的に受容可能な塩は、当該分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に援用される、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1−19において、薬学的に受容可能な塩を詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩には、適切な無機および有機の酸および塩基から誘導されるものが含まれる。薬学的に受容可能な、非毒性酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、もしくはマロン酸などの有機酸と形成したアミノ基の塩、あるいはイオン交換などの当該分野で使用される他の方法を使用することによる塩である。他の薬学的に受容可能な塩には以下が含まれる:アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、カンファー酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩など。適切な塩基から誘導される塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN(C1−4アルキル)塩が含まれる。本発明はまた、本明細書に開示される化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定する。水溶性または油溶性または分散性製品が、このような四級化によって得られてもよい。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に受容可能な塩には、適切な場合、カウンターイオンを使用して形成した、非毒性アンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンのカチオン、例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩、およびアリールスルホン酸塩が含まれる。
【0144】
上記に記載されるように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、薬学的に受容可能なキャリア、アジュバント、またはビヒクルをさらに含み、これは、本明細書で使用される場合、所望される特定の剤形に適合されるように、任意のおよびすべての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、濃厚剤または乳化剤、保存剤、固体結合剤、潤滑剤などが含まれる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、Sixteenth Edition、E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を製剤化する際に使用される種々のキャリア、およびその調製のための公知の技術を開示している。例えば、望ましくない生物学的効果を生じることによる、またはさもなくば薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と、有害な様式で相互作用することによる、任意の従来的なキャリア媒体が本発明の化合物と適合性でない場合を除いて、その使用は本発明の範囲内にあることが意図される。薬学的に受容可能なキャリアとして働くことができる材料のいくつかの例には、以下が含まれるがこれらに限定されない:イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸、グリシン、ソルビン酸、またはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー、ウールファット、糖、例えば、ラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン、例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ;セルロースおよびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース;粉末トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油;ベニバナ油;ゴマ油;オリーブ油;コーン油;およびダイズ油;グリコール;例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;ピロゲンを含まない水;等張性生理食塩水;リンガー液;エチルアルコール、およびリン酸緩衝溶液、ならびに他の非毒性適合性潤滑剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色料、遊離剤、被覆剤、甘味料、香料および芳香剤、保存料および抗酸化剤もまた、製剤者の判断に従って、組成物中に存在することができる。
【0145】
化合物および薬学的に受容可能な組成物の使用
さらに別の局面において、急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかんまたはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、失調症、内臓痛、変形性関節症の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭頸部痛、重篤または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛、または癌の痛みの治療のため、またはその重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物、または化合物を含む薬学的に受容可能な組成物を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。特定の実施形態において、急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛みの治療のため、またはその重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物または薬学的に受容可能な組成物を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。特定の他の実施形態において、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭部痛、または頸部痛の治療のため、またはその重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物または薬学的に受容可能な組成物を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。なお他の実施形態において、重篤または難治性疼痛、急性痛、術後疼痛、背痛、耳鳴りまたは癌の痛みの治療のため、またはその重篤度を軽減するための方法が提供され、この方法は、有効量の化合物または薬学的に受容可能な組成物を、その必要がある被験体に投与する工程を包含する。
【0146】
本発明の特定の実施形態において、化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」は、急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかんまたはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、失調症、内臓痛、変形性関節症の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭頸部痛、重篤または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛、耳鳴り、または癌の痛みの1つ以上の重篤度を治療または軽減するために有効な量である。
【0147】
本発明の化合物および組成物は、本発明の方法に従って、急性、慢性、神経障害性、または炎症性の痛み、関節炎、片頭痛、群発性頭痛、三叉神経痛、ヘルペス性神経痛、一般神経痛、てんかんまたはてんかん状態、神経変性障害、精神障害、例えば、不安およびうつ病、筋緊張症、不整脈、運動障害、神経内分泌障害、運動失調、多発性硬化症、過敏性腸症候群、失調症、内臓痛、変形性関節症の痛み、ヘルペス後神経痛、糖尿病性神経障害、根性痛、坐骨神経痛、背痛、頭頸部痛、重篤または難治性疼痛、侵害受容性疼痛、突出痛、術後疼痛、耳鳴り、または癌の痛みの1つ以上の重篤度を治療または軽減するために有効である任意の投与の経路を使用して投与されてもよい。必要とされる正確な量は、被験体の人種、年齢、および一般的状態、感染の重篤度、特定の薬剤、投与のその様式などに依存して、被験体から被験体で変動する。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、単位剤形で製剤化される。「単位剤形」という表現は、本明細書で使用される場合、治療される患者にとって適切である薬剤の物理的に別々の単位をいう。しかし、本発明の化合物および組成物の全体の日々の使用は、健全な医療的判断の範囲内にある担当医によって決定されることが理解される。任意の特定の患者または生物のための特異的な有効用量レベルは、治療される障害および障害の重篤度;利用される特定の化合物の活性;利用される特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的健康、性別、および食事;利用される特定の化合物の投与の時間、投与の経路、および排出の速度;治療の期間;利用される特定の化合物と組み合わせて、または同時に使用した薬物;ならびに医学分野で周知である同様の要因を含む種々の要因に依存する。「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、動物、好ましくは哺乳動物、および最も好ましくはヒトを意味する。
【0148】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、治療される感染の重篤度に依存して、経口的に、直腸的に、非経口的に、大槽内に、膣内に、腹腔内に、局所的に(散剤、軟膏、またはドロップ剤により)、口腔に(bucally)、経口または鼻スプレーとしてなどで、ヒトまたは他の動物に投与することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日あたり被験体の体重あたりで約0.01mg/kg〜約50mg/kg、好ましくは約1mg/kg〜約25mg/kgの投薬量レベルで、1日に数回投与されてもよい。
【0149】
経口投与のための液体剤形には、例えば、薬学的に受容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが含まれるがこれらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤、および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびその混合物などの、当該分野において一般的に使用される不活性希釈剤を含んでもよい。不活性希釈剤に加えて、経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香料、および芳香剤などのアジュバントを含むことができる。
【0150】
注射用調製物、例えば、滅菌注射用水性または油性懸濁液が、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化されてもよい。滅菌注射調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性で非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の、滅菌注射可能溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。利用されてもよい受容可能なビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンガー液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、滅菌固定油が、溶媒および懸濁媒体として慣用的に利用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意のブランドの固定油を利用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射液の調製において使用される。
【0151】
注射用製剤は、例えば、細菌残留フィルターを通しての濾過によって、または滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に、使用前に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組成物の型で滅菌薬剤を取り込むことによって、滅菌することができる。
【0152】
本発明の化合物の効果を延長するために、皮下注射または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅延させることがしばしば所望される。このことは、乏しい水溶性を有する結晶性またはアモルファス性材料の液体懸濁液の使用によって達成されてもよい。次いで、化合物の吸収の速度は、溶解のその速度に依存し、これは次には、結晶サイズおよび結晶型に依存する可能性がある。代替として、非経口的に投与された化合物型の吸収の遅延は、油ビヒクル中に化合物を溶解または懸濁することによって達成される。注射用デポー型は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生物分解性ポリマー中に化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。ポリマーに対する化合物の比率、および利用される特定のポリマーの性質に依存して、化合物の放出の速度を制御することができる。他の生物分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。デポー注射製剤もまた、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン中に化合物を包接することによって調製される。
【0153】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは、大気温度においては固体であるが、しかし、体温においては液体であり、それゆえに、直腸または膣腔において融解し、活性化合物を放出する適切な非炎症性賦形剤またはキャリア、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤ワックスと、本発明の化合物を混合することによって調製可能である坐剤である。
【0154】
経口投与のための固形剤形には、カプセル、錠剤、丸薬、散剤、および顆粒剤が含まれる。このような固形剤形において、活性化合物は以下と混合される:クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性の薬学的に受容可能な賦形剤もしくはキャリア、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、およびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、およびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ポテトもしくはタピオカスターチ、アルギン酸、特定のケイ酸、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液保持剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収加速剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸着剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、ならびにこれらの混合物。カプセル、錠剤、および丸薬の場合において、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。
【0155】
類似の型の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、ソフトまたはハード充填ゼラチンカプセル中で充填剤として利用されてもよい。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒剤の固形剤形は、腸溶コーティングおよび製剤分野において周知である他のコーティングなどのコーティングおよびシェルとともに調製することができる。これらは、任意に乳白剤を含んでもよく、活性成分のみを放出する組成物であり得、または選択的に、腸管の特定の部分において、任意に、遅延様式で活性成分を放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー性物質およびワックスが含まれる。類似の型の固形組成物はまた、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、ソフトまたはハード充填ゼラチンカプセル中で充填剤として利用されてもよい。
【0156】
活性化合物はまた、上記に記した1種以上の賦形剤を伴うマイクロカプセル化型であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬、および顆粒錠の固形剤形は、腸溶コーティング、放出制御コーティングおよび製剤分野において周知である他のコーティングなどのコーティングおよびシェルとともに調製することができる。このような固形剤形において、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤とともに混合されてもよい。このような剤形はまた、通常の実務として、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースを含んでもよい。カプセル、錠剤、および丸薬の場合において、剤形はまた、緩衝剤を含んでもよい。これらは、任意に乳白剤を含んでもよく、活性成分のみを放出する組成物であり得、または選択的に、腸管の特定の部分において、任意に、遅延様式で活性成分を放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー性物質およびワックスが含まれる。
【0157】
本発明の化合物の局所的投与および経皮投与のための剤形には、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが含まれる。活性成分は、滅菌条件下で、薬学的に受容可能なキャリア、および任意の必要とされる保存剤または必要とされ得る緩衝剤とともに混合される。眼科的製剤、点耳剤、および点眼剤もまた、本発明の範囲内にあるものとして意図される。加えて、本発明は、経皮パッチの使用を意図し、これは、化合物の身体への制御された送達を提供するという付加的な利点を有する。このような剤形は、適切な媒体中に化合物を溶解または分配することによって調製される。吸収増強剤もまた、皮膚を横切る化合物の流入を増大するために使用することができる。その速度は、速度制御メンブレンを提供すること、またはポリマーマトリックスもしくはゲルの中に化合物を分配することのいずれかによって制御することができる。
【0158】
上記に一般的に記載されるように、本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルまたはカルシウムチャネル、好ましくはN型カルシウムチャネルの阻害剤として有用である。1つの実施形態において、本発明の化合物および組成物は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の阻害剤であり、従って、任意の特定の理論に束縛されることはないが、これらの化合物および組成物は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の活性化または機能亢進がその疾患、状態、または障害に関与している疾患、状態、または障害の重篤度を治療または軽減するために特に有用である。NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の活性化または機能亢進が特定の疾患、状態、または障害に関与している場合、疾患、状態、または障害はまた、「NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、またはNaV1.9媒介性の疾患、状態、または障害」または「CaV2.2媒介性状態または障害」と呼ばれてもよい。従って、別の局面において、本発明は、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の活性化または機能亢進が疾患状態に関与している疾患、状態、または障害の重篤度を治療または軽減するための方法を提供する。
【0159】
本発明において、NaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の阻害剤として利用される化合物の活性は、本明細書の実施例において一般的に記載される方法に従って、または当業者に利用可能である方法に従って、アッセイされてもよい。
【0160】
特定の例示的な実施形態において、本発明の化合物は、NaV1.3の阻害剤として有用である。他の実施形態において、本発明の化合物は、NaV1.3およびCaV2.2の阻害剤として有用である。さらに他の実施形態において、本発明の化合物は、CaV2.2の阻害剤として有用である。
【0161】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物が、組み合わせ治療において利用できること、すなわち、化合物および薬学的に受容可能な組成物が、1種以上の他の所望の治療または医学的手順と同時に、その前に、またはその後に投与できることもまた認識される。組み合わせレジメンにおいて利用するための治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療剤および/または手順の適合性、ならびに達成される所望の治療効果を考慮に入れる。利用される治療が、同じ障害について所望の効果所望の効果を達成してもよく(例えば、本発明の化合物は、同じ障害を治療するために使用される別の薬剤と同時に投与されてもよい)、またはこれらの治療は異なる効果(例えば、任意の副作用の制御)を達成してもよいこともまた認識される。本明細書で使用される場合、特定の疾患または状態を治療または予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「治療される疾患または状態のために適切である」として知られている。例えば、例示的なさらなる治療剤には以下が含まれるがこれらに限定されない:非オピオイド性鎮痛薬(エトドラク、インドメタシン、スリンダク、トルメチンなどのインドール;ナブメトンなどのナフチルアルカノン;ピロキシカムなどのオキシカム;アセトアミノフェンなどのパラ−アミノフェノール誘導体;フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジンなどのプロピオン酸;アスピリン、トリサルチル酸コリンマグネシウム、ジフルニサルなどのサリチル酸;メクロフェナム酸、メフェナム酸などのフェナム酸;およびフェニルブタゾンなどのピラゾール);またはオピオイド(麻酔薬)アゴニスト(例えば、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルホン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィン、およびペンタゾシン)。加えて、非薬物的な鎮痛アプローチが、本発明の1つ以上の化合物の投与とともに利用されてもよい。例えば、麻酔学的なアプローチ(髄腔内注入、神経遮断)、脳神経外科アプローチ(CNS経路の神経剥離術)、神経刺激的アプローチ(経皮電気的神経刺激、脊柱刺激)、理学療法的アプローチ(理学療法、矯正装置、透熱療法)、または心理的アプローチ(認識方法−催眠、バイオフィードバック、または行動論的方法)もまた、利用されてもよい。さらなる適切な治療剤またはアプローチは、一般的に、The Merck Manual、Seventeenth Edition、Mark H.BeersおよびRobert Berkow編、Merck Research Laboratories、1999、ならびにthe Food and Drug Administrationのウェブサイト、www.fda.govに記載されており、これらの全体の内容は参照により本明細書に援用される。
【0162】
本発明の組成物中に存在するさらなる治療剤の量は、唯一の活性薬剤として治療剤を含む組成物中で通常投与される量を超えない。好ましくは、現在開示されている組成物中のさらなる治療剤の量は、唯一の活性薬剤として薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0163】
本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物はまた、プロテーゼ、人工弁、血管移植片、ステントおよびカテーテルなどの移植可能な医療デバイスをコーティングするための組成物中に取り込まれてもよい。従って、本発明は、別の局面において、上記に一般的に記載されるような、ならびにそこにおけるクラスおよびサブクラスの本発明の化合物、ならびに移植用デバイスをコーティングするために適切なキャリアを含む、移植用デバイスをコーティングするための組成物を含む。さらに別の局面において、本発明は、上記に一般的に記載されるような、ならびにそこにおけるクラスおよびサブクラスの本発明の化合物、ならびに移植用デバイスをコーティングするために適切なキャリアを含む組成物でコーティングされた移植用デバイスを含む。適切なコーティングおよびコーティングされた移植用デバイスの一般的調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載される。これらのコーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル、およびこれらの混合物などの生体適合性ポリマー材料である。これらのコーティングは、組成物に制御放出特性を付与するために、フルオロシリコーン、ポリサッカリド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはその組み合わせの適切なトップコートによってさらに任意に覆われてもよい。
【0164】
本発明の別の局面は、生物学的サンプルまたは患者におけるNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の活性を阻害することに関し、この方法は、化学式Iの化合物または上記化合物を含む組成物を患者に投与する工程、あるいはこれらの化合物または組成物を上記生物学的サンプルと接触させる工程を包含する。「生物学的サンプル」という用語は、本明細書で使用される場合、細胞培養またはその抽出物;哺乳動物から得られた生検材料またはその抽出物;および血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液またはその抽出物を非限定的に含む。
【0165】
生物学的サンプルにおけるNaV1.1、NaV1.2、NaV1.3、NaV1.4、NaV1.5、NaV1.6、NaV1.7、NaV1.8、NaV1.9、またはCaV2.2の1つ以上の活性の阻害は、当業者に公知である種々の目的のために有用である。このような目的の例には、生物学的または病理学的現象におけるナトリウムイオンチャネルの研究;および新規なナトリウムイオンチャネル阻害剤の比較評価が含まれるがこれらに限定されない。
【実施例】
【0166】
一般的方法。H NMR(400MHz)および13C NMR(100MHz)スペクトルは、重水素置換クロロホルム(CDCl)またはジメチルスルホキシド−D
(DMSO)中の溶液として得た。質量スペクトル(MS)は、Phenomenex
50×4.60mm luna−5 C18カラムを装着したApplied Biosystems API EX LC/MSシステムを使用して得た。LC/MS溶出システムは、4.5分間の直線状グラジエントおよび4.0mL/分の流速を使用する、0.035% v/v トリフルオロ酢酸を含むHO中の10−99%アセトニトリルであった。シリカゲルクロマトグラフィーは、230−400メッシュの粒径を有するシリカゲル−60を使用して実施した。ピリジン、ジクロロメタン(CHCl)、テトラヒドロフラン(THF)は、乾燥窒素下で保持したAldrich Sure−Sealボトルからであった。すべての反応は、他に注記しない限りは磁石で攪拌した。他に特定しない限り、すべての温度は内部反応温度をいう。
【0167】
実施例1
2,2,2−トリフルオロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセトアミド
【0168】
【化50−1】

下で−75℃において、トリフルオロ酢酸を、2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−アミン(HCl塩、8.0g、47.2mmol)、EtN(14.9ml、106.7mmol)およびTHF(160ml)の攪拌溶液に加えた。この溶液を室温まで温めた後、これをHOとDCMの間で分配した。有機層をMgSO上で乾燥し、真空中でエバポレートした。残渣をヘキサン:EtO(1:1)とともに摩砕し、白色固体として生成物を得た(8.9g、収率82%)。H−NMR(400MHz、CDCl3)δ7.28−7.20(m,4H),6.50(s,1H),4.81−4.74(m,1H),3.38(dd、J=16.4,7.1Hz、2H)、2.89(dd,J=16.3,4.2Hz,2H)。
【0169】
実施例2
2−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−スルホニルクロリド
【0170】
【化50−2】

クロロスルホン酸(3.0 ml)を窒素下で−78℃まで冷却後、2,2,2−トリフルオロ−N−(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アセトアミド(500.0mg、2.2mmol)を加え、次いで、室温まで温めた。この溶液を氷冷混液(100.0ml)に注ぎ、続いてEtOAcを用いる抽出を行った。有機層をMgSO上で乾燥し、真空中でエバポレートした。残渣をEtOとともに摩砕し、白色固体として生成物を得た(510.0mg、収率71%)。H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.93−7.91(m,2H),7.51−7.49(m,1H),6.50(s,1H),4.91−4.83(m,1H),3.52(dd,J=16.8,7.3Hz,2H),3.05(dd,J=17.0,4.8Hz,2H)。
【0171】
実施例3
2,2,2−トリフルオロ−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−アセトアミド
【0172】
【化51−1】

2−(2,2,2−トリフルオロアセトアミド)−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−5−スルホニルクロリド(7.0g、21.4mmol)および2−アミノチアゾール(2.2g、21.4mmol)をピリジン中で室温にて2時間攪拌した。この溶液を1N HClおよびDCMの間で分配した。有機層をMgSO上で乾燥し、真空中でエバポレートした。残渣をDCM:EtO(4:1)中に溶解後、形成した沈殿を濾過し、真空乾燥して、白色固体として生成物を得た(3.7g、収率44%)。H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.73(d,J=6.8Hz,1H),7.65−7.62(m,2H),7.38(d,J=7.8Hz,1H),7.25(d,J=4.5Hz,1H),6.82(d,J=4.5Hz,1H),4.64−4.56(m,1H),3.40−3.25(m,2H),2.99−2.92(m,2H)。LC/MS(10−99%CHCN)、M/Z:M+1 obs=392.1;t=2.64分。
【0173】
実施例3
2−アミノ−インダン−5−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド
【0174】
【化51−2】

2,2,2−トリフルオロ−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−アセトアミド(1.0g、2.6mmol)、KOH(430.0mg、7.7mmol)、EtOH(10.0ml)およびHO(2.0ml)を室温で3時間攪拌した。AcOHを滴下して加えてpHを7にしながら、形成した沈殿を迅速に濾過し、MeOHで洗浄し、そして真空下で乾燥して白色固体として生成物を得た(710.0mg、収率94%)。H−NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.60(d,J=4.7Hz,2H),7.27−7.25(m,1H),6.94(d,J=3.9Hz,1H),6.48(d,J=3.9Hz,1H),4.02−3.96(m,1H),3.27−3.20(m,2H),2.92−2.86(m,2H)。LC/MS(10−99% CHCN),M/Z:M+1 obs=296.2;t=0.55分。
【0175】
実施例4
一般的手順1:
【0176】
【化52−1】

下で−78℃において、酸塩化物(0.17mmol)を、2−アミノ−インダン−5−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(50mg、0.17mmol)、EtN(47μl、0.33mmol)およびDCM(0.20ml)の溶液に加えた。この溶液を15分間の時間にわたって室温まで温めた。この反応混液をGilson調製用HPLC(10−99% CHCN−HO)を用いて精製し、所望の生成物を得た。
【0177】
実施例5
2−(3−クロロ−フェノキシ)−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−アセトアミド
【0178】
【化52−2】

一般的手順1に従って合成。LC/MS(10−99% CHCN)、M/Z:M+1 obs=464.3;t=2.98分。
【0179】
実施例6
4−フルオロ−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−ベンズアミド
【0180】
【化53−1】

一般的手順1に従って合成。LC/MS(10−99% CHCN)、M/Z:M+1 obs=418.2;t=2.67分。
【0181】
実施例7
一般的手順2:
【0182】
【化53−2】

カルボン酸(0.17 mmol)、2−アミノ−インダン−5−スルホン酸チアゾール−2−イルアミド(50mg、0.17mmol)、BOP(75mg、0.17mmol)、EtN(25μl)およびDMF(0.3ml)を室温で19時間攪拌した。この反応混液をGilson調製用HPLC(10−99% CHCN−HO)によって精製し、所望の生成物を得た。
【0183】
実施例8
2−インドール−1−イル−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−プロピオンアミド
【0184】
【化54−1】

一般的手順2に従って合成。LC/MS(10−99% CHCN)、M/Z:M+1 obs=467;t=2.92分。
【0185】
実施例9
3−(5−クロロ−インドール−1−イル)−N−[5−(チアゾール−2−イルスルファモイル)−インダン−2−イル]−プロピオンアミド
【0186】
【化54−2】

一般的手順2に従って合成。LC/MS(10−99% CHCN)、M/Z:M+1 obs=501.2;t=2.99分。
【0187】
本発明の例示的な化合物の分析データは表3において以下に示す。
【0188】
表3
【0189】
【化55】

化合物のNaV阻害特性を検出および測定するためのアッセイ
化合物のNaV阻害特性をアッセイするための光学的方法:
本発明の化合物は、電位依存性ナトリウムイオンチャネルのアンタゴニストとして有用である。試験化合物のアンタゴニスト特性は、以下のようにして評価した。目的のNaVを発現している細胞をマイクロタイタープレート上に配置した。インキュベーション時間後、膜電位に感受性である蛍光色素を用いて細胞を染色した。試験化合物をマイクロタイタープレートに加えた。細胞は、遮断されていないチャネルからのNaV依存性膜電位の変化を誘発するための化学的手段または電気的手段のいずれかを用いて刺激し、この変化は膜電位感受性色素を用いて検出および測定した。アンタゴニストは、刺激に対する膜電位の応答の減少として検出した。光学的膜電位アッセイは、GonzalezおよびTsien(Gonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1995)「Voltage sensing by fluorescence resonance energy transfer in single cells」Biophys J 69(4):1272−80、ならびにGonzalez,J.E.およびR.Y.Tsien(1997)「Improved indicators of cell membrane potential that use fluorescence resonance energy transfer」Chem Biol 4(4):269−77を参照のこと)によって記載された電位感受性FRETセンサーを、電位/イオンプローブリーダー(Voltage/Ion Probe Reader)(VIPR(登録商標))(Gonzalez,J.E.、K.Oadesら(1999)「Cell−based assays and instrumentation for screening ion−channel targets」Drug Discov Today 4(9):431−439を参照のこと)などの蛍光変化を測定するための機器と組み合わせて利用した。
【0190】
B)化学的刺激を用いるVIPR(登録商標)光学的膜電位アッセイ法
細胞の取り扱いおよび色素負荷
VIPRでのアッセイの24時間前に、内因性にNaV1.2型電位依存性NaVを発現するCHO細胞は、96ウェルポリリジンコートされたプレート中で、ウェルあたり60,000細胞で播種した。他のサブタイプは、目的のNaVを発現する細胞系統中で、類似の様式で実施する。
1)アッセイの日に、培地を吸引し、細胞を225μLのバス溶液(Bath Solution)#2 (BS#2)で2回洗浄する。
2)15μM CC2−DMPE溶液を、5mMクマリンストック溶液を10% Pluronic 127と1:1で混合すること、および次いで、適切な量のBS#2にこの混合物を溶解することによって調製する。
3)バス溶液を96ウェルプレートから除去した後、細胞に80μLのCC2−DMPE溶液を負荷する。プレートを暗所で30分間、室温にてインキュベートする。
4)細胞をクマリンで染色する一方、BS#2中の15μL オキソノール溶液を調製する。DiSBAC(3)に加えて、この溶液は、0.75mM ABSC1および30μLベラトリジン(10mM EtOHストックから調製、Sigma#V−5754)を含むべきである。
5)30分後、CC2−DMPEを除去し、細胞を225μLのBS#2で2回洗浄する。以前と同様に、残渣体積は40μlであるはずである。
6)バスから取り出す際に、細胞に80μLのDiSBAC(3)溶液を負荷し、その後、DMSOに溶解した試験化合物を加えて、薬物添加プレートから各ウェルに所望の試験濃度を達成し、徹底的に混合した。ウェル中の量はおよそ121μLであるはずである。次いで、細胞を20−30分間インキュベートする。
7)一旦インキュベーションが完了すると、細胞は、ナトリウム加減プロトコールを用いてVIPR(登録商標)上でアッセイされるための準備ができている。120μLのバス溶液#1は、NaV依存性脱分極を刺激するために加える。200μLテトラカインを、NaVチャネルの遮断のためのアンタゴニストポジティブコントロールとして使用した。
【0191】
VIPR(登録商標)データの分析
データは、460nmおよび580nmのチャンネルで測定される、バックグラウンドを差し引いた発光強度の標準化した比率として分析および報告する。次いで、バックグラウンド強度を、各アッセイチャンネルから差し引く。バックグラウンド強度は、細胞が存在しない、同一に処理したアッセイウェルから、同じ時間の間に発光強度を測定することによって得られる。次いで、時間の関数としての応答が、以下の数式を使用して得られる比率として報告される。
【0192】
【化57】

データは、初期比率(R)および最終比率(R)を計算することによってさらに変形される。これらは、刺激前の時間の一部またはすべての間、および刺激時間の間のサンプル点の間の平均比率の値である。次いで、刺激に対する応答R=R/Rを計算する。Na加減分析時間ウィンドウについて、ベースラインは2−7秒であり、最終応答は15−24秒でサンプリングする。
【0193】
コントロール応答は、テトラカインなどの所望の特性を有する化合物の存在下で(ポジティブコントロール)、および薬理学的因子の非存在下で(ネガティブコントロール)、アッセイを実施することによって得る。ネガティブコントロール(N)およびポジティブコントロール(P)に対する応答は上記のように計算する。化合物のアンタゴニスト活性Aは
【0194】
【化58】

として定義され、ここで、Rは試験化合物の応答比率である。
【0195】
溶液[mM]
バス溶液#1:NaCl 160、KCl 4.5、CaCl 2、MgCl 1、HEPES 10、NaOHでpH 7.4にする
バス溶液#2:TMA−Cl 160、CaCl 0.1、MgCl 1、HEPES 10、KOHでpH 7.4にする(最終K濃度〜5mM)
CC2−DMPE:DMSO中の5mMストック溶液として調製し、−20℃で保存
DiSBAC(3):DMSO中の12mMストックとして調製し、−20℃で保存
ABSC1:蒸留HO中の200mMストックとして調製し、室温で保存
細胞培養
CHO細胞は、10% FBS(ウシ胎仔血清、検査済;GibcoBRL #16140−071)および1% Pen−Strep(ペニシリン−ストレプトマイシン;GibcoBRL#15140−122)を補充したDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地;GibcoBRL#10569−010)中で増殖させた。細胞は、通気孔のあるキャップ付きフラスコの中で、90%湿度および10%COで100%コンフルエンスまで増殖させた。これらは、通常、スケジューリングの必要性に依存して、トリプシン処理によって1:10または1:20に分けられ、次の分割前の2−3日間増殖させる。
【0196】
C)電気的刺激を用いるVIPR(登録商標)光学的膜電位アッセイ法
以下は、NaV1.3阻害活性が、いかにして光学的膜電位法#2を使用して測定されるかの例である。他のサブタイプは、目的のNaVを発現する細胞系統において、類似の様式で実施する。
【0197】
NaV1.3を安定に発現するHEK293細胞を、96ウェルマイクロタイタープレートにプレーティングする。適切なインキュベーション時間後、細胞を、以下のように電位感受性色素CC2−DMPE/DiSBAC2(3)を用いて染色する。
【0198】
試薬:
100mg/mL プルロニック(Pluronic)F−127(Sigma#P2443)、乾燥DMSO中
10mM DiSBAC(3)(Aurora#00−100−010)乾燥DMSO中
10mM CC2−DMPE(Aurora#00−100−008)乾燥DMSO中
200mM ABSC1 HO中
ハンクスバランス塩溶液(Hyclone#SH30268.02)、10mM HEPES(Gibco #15630−080)を補充
負荷プロトコール
2×CC2−DMPE=20μM CC2−DMPE:10mM CC2−DMPEを等量の10%プルロニックとともにボルテックスし、続いて、10mM HEPESを含む必要量のHBSS中でのボルテックスを行う。各細胞プレートは、5mLの2×CC2−DMPEを必要とする。50μLの2×CC2−DMPEは、洗浄した細胞を含むウェルに加え、10μM最終染色濃度を生じる。細胞は、暗所にて、30分間、室温で染色する。
【0199】
ABSC1を伴う2×DISBAC(3)=6μM DISBAC(3)および1mM ABSC1:必要量の10mM DISBAC(3)を、50mlコニカルチューブに加え、作製される溶液の各mLについて1μL 10%プルロニックと混合し、そして一緒にボルテックスする。次いで、HBSS/HEPESを加えて、2×溶液を作製する。最後に、ABSC1を加える。
【0200】
2×DiSBAC(3)溶液は、化合物プレートを溶媒和させるために使用することができる。化合物プレートは、2×薬物濃度で作製されることに注意のこと。再度染色プレートを洗浄し、50μLの残渣量を静置する。50μL/ウェルの2×DiSBAC(3)w/ABSC1を加える。30分間、暗所にて室温で染色する。
【0201】
電気的刺激機器および使用の方法は、参照により本明細書に援用される、ION Channel Assay Methods PCT/US01/21652に記載されている。この機器は、マイクロタイタープレートハンドラー、クマリンおよびオキソノールの発光を同時に記録しながらクマリン色素を励起させるための光学システム、波形発生器、電流または電圧制御増幅器、およびウェル中に電極を挿入するためのデバイスを備える。一体型のコンピュータ制御下で、この機器は、マイクロタイタープレートのウェル中の細胞に、ユーザーによってプログラムされた電気的刺激プロトコールを通す。
【0202】
試薬
アッセイ緩衝液#1
140mM NaCl、4.5mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、10mM HEPES、10mM グルコース、pH 7.40、330mOsm
プルロニックストック(1000×):100mg/mL プルロニック127、乾燥DMSO中
オキソノールストック(3333×):10mM DiSBAC(3)、乾燥DMSO中
クマリンストック(1000×):10mM CC2−DMPE、乾燥DMSO中
ABSC1ストック (400X):200mM ABSC1、水中
アッセイプロトコール
1.アッセイされる各ウェルに電極を挿入または使用する。
2.電流制御増幅器を使用して、3秒間刺激波形パルスを送達する。刺激記録前2秒間の記録は、非刺激強度を得るために実施する。刺激後の5秒間の記録は、緩和から静止状態を試験するために実施する。
【0203】
データ分析
データは、460nmおよび580nmのチャンネルで測定される、バックグラウンドを差し引いた発光強度の標準化した比率として分析および報告する。次いで、バックグラウンド強度を、各アッセイチャンネルから差し引く。バックグラウンド強度は、細胞が存在しない、同一に処理したアッセイウェルから、同じ時間の間に発光強度を測定することによって得られる。次いで、時間の関数としての応答が、以下の数式を使用して得られる比率として報告される。
【0204】
【化61−1】

データは、初期比率(R)および最終比率(R)を計算することによってさらに変形される。これらは、刺激前の時間の一部またはすべての間、および刺激時間の間のサンプル点の間の平均比率の値である。次いで、刺激に対する応答R=R/Rを計算する。
【0205】
コントロール応答は、テトラカインなどの所望の特性を有する化合物の存在下で(ポジティブコントロール)、および薬理学的因子の非存在下で(ネガティブコントロール)、アッセイを実施することによって得る。ネガティブコントロール(N)およびポジティブコントロール(P)に対する応答は上記のように計算する。化合物のアンタゴニスト活性Aは
【0206】
【化61−2】

として定義され、ここで、Rは試験化合物の応答比率である。
【0207】
NaV活性および試験化合物の阻害のための電気生理学アッセイ
パッチクランプ電気生理学を、後根神経節ニューロンにおけるナトリウムチャネル遮断剤の効力および選択性を評価するために使用した。ラットニューロンを、後根神経節から単離し、NGF(50ng/ml)の存在下で2〜10日間の培養で維持した(培養培地は、B27、グルタミンおよび抗生物質を補充したNeurobasalAからなった)。小さな直径のニューロン(侵害受容器、直径8−12μm)を目視的に同定し、増幅器(Axon Instruments)に接続した先の細いガラス電極で探索した。「電位固定」モードは、−60mVに細胞を保持する化合物のIC50を評価するために使用した。加えて、「電流固定」モードは、電流注入に応答した活動電位の生成を遮断する際に化合物の効力を試験するために利用した。これらの実験の結果は、化合物の効力プロフィールの決定に寄与した。
【0208】
DRGニューロンにおける電圧固定アッセイ
TTX−抵抗性ナトリウム電流は、パッチクランプ技術の全細胞バリエーションを使用して、DRG細胞体から記録した。記録は、壁の厚いホウケイ酸ガラス電極(WPI;抵抗 3−4MΩ)を用いて、Axopatch 200B増幅器(Axon Instruments)を使用して、室温(〜22℃)で行った。全細胞構成を確立した後、約15分間、記録開始前に細胞内でピペット溶液を平衡させた。電流を、2−5kHzの間のローパスフィルターに通し、10kHzでデジタルサンプリングを行った。直列抵抗を60−70%補正し、実験全体を通して連続的にモニターした。細胞内ピペット溶液の間の液間電位差(−7mV)および外部記録溶液は、データ分析において説明されなかった。試験溶液は、重力駆動型の迅速灌流システム(SF−77;Warner Instruments)を用いて細胞に適用した。
【0209】
用量−応答の関連性は、60秒毎に1回、実験特異的な保持電位から、+10mVの試験電位まで、細胞を反復して脱分極することによって行った電位固定において決定した。遮断効果は、次の試験濃度に進む前に、プラトーに到達させた。
【0210】
溶液
細胞内溶液(mM):Cs−F(130)、NaCl(10)、MgCl2(1)、EGTA(1.5)、CaCl2(0.1)、HEPES(10)、グルコース(2)、pH=7.42、290mOsm。
【0211】
細胞外溶液(mM):NaCl(138)、CaCl2(1.26)、KCl(5.33)、KH2PO4(0.44)、MgCl2(0.5)、MgSO4(0.41)、NaHCO3(4)、Na2HPO4(0.3)、グルコース(5.6)、HEPES(10)、CdCl2(0.4)、NiCl2(0.1)、TTX(0.25×10−3
化合物のNaVチャネル阻害活性についての電流−固定アッセイ
細胞は、Multiplamp 700A増幅器(Axon Inst)を用いて全細胞構成で電流固定を行った。ホウケイ酸ピペット(4−5MOhm)を、以下(mM)で満たした:150 K−グルコン酸、10 NaCl、0.1 EGTA、10 Hepes、2 MgCl(KOHでpH 7.34に緩衝化)。細胞を以下(mM)に浸漬した:140 NaCl、3 KCl、1 MgCl、1 CaCl、および10 Hepes。ピペット電位は、シール形成前にゼロにした;液間電位差は、獲得中に補正しなかった。記録は室温で行った。
【0212】
NaV1.3チャネルに対する選択した化合物の活性データを以下の表4に示す。活性範囲は以下の通りである:
「+++」<2μM<「++」5μM<「+」
表4
【0213】
【化63】

当業者に明らかであるように、本明細書に記載された実施形態の多くの改変およびバリエーションが、本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。本明細書に記載された特定の実施形態は、例示目的のみのために提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【公開番号】特開2012−126745(P2012−126745A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−76707(P2012−76707)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2008−516024(P2008−516024)の分割
【原出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】