説明

イオン基を含むホットメルト接着剤

発明は、ホットメルト接着剤に基づき30重量%を越える、少なくとも1種の放射線重合性の反応性基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、任意に他の助剤物質とを含有する放射線により架橋し得るホットメルト接着剤であって、該ポリウレタンポリマーは、a)1分子当たり2個あるいは3個のNCO基と少なくともの1個のカルボキシル基あるいは第3級アミノ基を有し、i)200〜5000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールから選択される少なくとも1種の2官能性あるいは3官能性ポリオールと、さらにカルボキシル基か第3級アミノ基を有するジオール成分との混合物と、ii)過剰量の、500g/mol未満の分子量を有する少なくとも1種のジ−あるいはトリイソシアネートと、を反応させて製造された反応性PUプレポリマー(A)、b)20〜98モル%の、フリーラジカル重合性二重結合およびNCO基と反応する基を含む少なくとも1種の低分子量化合物(B)、c)0〜50モル%の、NCO基に反応性の少なくとも1つの基を有するが、フリーラジカル条件下で重合することができる基を有さない、32〜5000g/molの分子量を有する少なくとも1種の化合物(C)、および、 d)2〜50モル%の、第1級または第2級のOH基を含む少なくとも1種のラジカル光開始剤(D)、の反応によって製造され、ここで、上記データはPUプレポリマーのNCO基に基づき、B、CおよびDの合計は100モル%である、ホットメルト接着剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は反応性ポリウレタンに基づく放射線硬化性ホットメルト接着剤であって、例えば、フィルムを様々な基材上に結合するために使用することができる接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線硬化性接着剤は一般に知られている。例えば、易流動性の、多くの場合低粘度の接着剤は、フリーラジカルあるいはカチオン重合によって硬化され、触圧接着剤あるいは堅く結合した層が形成される。良好な接着を確実とするため、ポリマーは基材表面に適したものでなければならない。
【0003】
ボトルや缶などの包装材料へプラスチックラベルを接合するための接着剤は、1つの適用領域である。基材への良好な接着を確実とするために、スリーブ様のシュリンクラベルが使用されることが多い。回転対称物上にこのタイプの胴巻ラベルを適用するための機械や方法が知られている。これらのラベルは、その後に接合させることによって製造される。この場合、主に薄い接着剤層が適用される。
【0004】
放射線硬化性ホットメルト接着剤は、例えば、DE 4041753 A1あるいはWO 02/34858に知られている。この文献には、2段階で重合し得るウレタン系被覆組成物が記載されており、該組成物は、第1硬化段階におけるUV-重合可能なアクリレート基の含有量によって規定され、引き続く第2段階では、イソシアネート基によって不可逆の架橋が起こる。粘度を低下させるために、反応性希釈剤として単官能性アクリレートが接着剤に添加される。しかしながら、イソシアネート含有接着剤は健康に有害な場合がある。
【0005】
EP 1262502には、ポリエステル骨格を有し、鎖の一方の末端に不飽和二重結合、および他方の末端に反応したアルコールを含む線状重合体が記載されている。ここで、ベースポリマー上に反応させた開始剤基を有する接着剤は何ら記載がない。
【0006】
DE 102007015801には、ラベルを接合するための接着剤として使用することができる接着剤が記載されている。同文献には、ポリエーテルあるいはポリエステルポリウレタンプレポリマーに基づいて製造される放射線硬化性プレポリマーも記載されている。従来のポリオールだけが記載されており、アニオン性基またはカチオン性基を含んでなるポリマー鎖の標的化合成の記載はなされていない。
【0007】
UV硬化性接着剤は、WO 2005/105857にも知られている。同文献には、ポリエステルジオールおよびポリエーテルポリオールとポリイソシアネートと反応するOH官能性アクリレートとの反応生成物が記載されている。これらのプレポリマーは、アクリレートモノマーおよび開始剤と混合されて、反応性接着剤として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第4041753号
【特許文献2】国際特許公開第02/34858号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1262502号
【特許文献4】ドイツ特許第102007015801号
【特許文献5】国際特許公開第2005/105857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、既知の放射線硬化性接着剤には、そのプラスチック基材への接着が改善され得るという不都合がある。異なる環境影響が接合部位に規則的に作用する場合、例えば、毎日の風化作用に暴露され得る部位では、その接合はさらに改善され得る。更に、ラベル接合にとっては薄層でのみ接着剤を塗布することが一般的である。良好な接着剤強度を有する厚い層での硬化と弾性接着を達成することは、多くの場合不可能である。
【0010】
したがって、本発明の課題は、硬化後の接着は変動する熱応力下でさえ不変荷重を許容し、プラスチック表面への良好な接着によって区別される放射線硬化性接着剤を提供することである。さらに、該接着剤は、比較的厚い層中でさえ塗布および硬化できるべきものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、特許請求の範囲に記載された放射線硬化性ホットメルト接着剤を提供することによって達成される。本発明は、ホットメルト接着剤に基づき30重量%を越える、少なくとも1種の放射線重合性の反応性基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、任意に他の助剤物質とを含有する放射線硬化性ホットメルト接着剤であって、該ポリウレタンポリマーは、
a)1分子当たり2個あるいは3個のNCO基と少なくともの1個のカルボキシル基あるいは第3級アミノ基を有し、
i)200〜5000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールから選択される少なくとも1種の2官能性あるいは3官能性ポリオールと、さらにカルボキシル基か第3級アミノ基を有するジオール成分との混合物と、
ii)過剰量の、500g/mol未満の分子量を有する少なくとも1種のジ−あるいはトリイソシアネートと、
を反応させて製造された反応性PUプレポリマー(A)、
b)20〜98モル%の、フリーラジカル重合性二重結合およびNCO基と反応する基を含む少なくとも1種の低分子量化合物(B)、および、
c)0〜50モル%の、NCO基に反応性の少なくとも1つの基を有するが、フリーラジカル条件下で重合することができる基を有さない、32〜5000g/molの分子量を有する少なくとも1種の化合物(C)、および、
d)2〜50モル%の、第1級または第2級のOH基を有する少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤(D)、
の反応によって製造され、ここで、上記データはPUプレポリマーのNCO基に基づき、B、CおよびDの合計は100モル%である、ホットメルト接着剤を提供するものである。
【0012】
本発明は、放射硬化性の官能基を有するそのようなホットメルト接着剤の、鉱物表面上にフィルムを接合するための使用をも提供する。本発明は、そのようなホットメルト接着剤の、プラスチック表面上に接合するための使用をも提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明によるホットメルト接着剤は、末端で放射線硬化性の反応性二重結合を有するPUポリマーから実質的に構成される。更に、該PUポリマーは化学結合した開始剤を含むものである。そのポリマー骨格は、さらにイオン基またはイオン基に変換され得る基を含んでいなければならない。別の実施形態では、該PUプレポリマーは遊離の非架橋性ポリマー鎖末端をさらに含む。該PUポリマーは、NCO反応性のポリウレタンプレポリマーから製造されるものである。
【0014】
さらに反応するための基礎としてのポリウレタンプレポリマーA)は、ジオール構成単位および/またはトリオール構成単位をジイソシアネート化合物あるいはトリイソシアネート化合物と反応させることによって製造される。 ここで、末端NCO官能化プレポリマーが得られるように量比を選択する。さらなる構成単位として、第3級アミノ基あるいはカルボン酸基またはスルホン酸基をさらに有するジオール化合物を含有すべきである。特に、該PUプレポリマーは直鎖状、即ち、ジオールおよびジイソシアネートから主に製造されたものであるべきである。3官能性ポリオールあるいはイソシアネートを少ない割合でさらに使用することは可能である。該プレポリマーの合成に使用することができるポリオールおよびポリイソシアネートは、当業者に知られている。
【0015】
これらは接着剤用途で既知であるジイソシアネートあるいはトリイソシアネートのモノマーである。適当なポリイソシアネートモノマーとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、2,2'-、2,4-および/または4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI(H12MDI)、MDIのアロファネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ジ-およびテトラアルキレンジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート(TDI)の異性体、1-メチル-2,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ジイソシアナト-2,4,4-トリメチルヘキサン、1-イソシアナトメチル-3-イソシアナト-1,5,5-トリメチルシクロヘキサン(IPDI)、塩素化および臭素化ジイソシアネート、リン含有ジイソシアネート、4,4'-ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、テトラメトキシブタン1,4-ジイソシアネート、ブタン1,4-ジイソシアネート、ヘキサン1,6-ジイソシアネート(HDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、フタル酸ビスイソシアナトエチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-ジイソシアナトブタン、1,12-ジイソシアナトドデカンおよびダイマー脂肪酸ジイソシアネートが挙げられる。脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、ウンデカン-、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサン-2,3,3-トリメチル-ヘキサメチレン、1,3-または1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-または1,4-テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4-ジシクロヘキシルメタン-、リシンエステルジイソシアネートまたはテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)は、特に適当である。
【0016】
3官能性イソシアネートとしては、ジイソシアネートの三量化あるいはオリゴマー化によって形成されたポリイソシアネート、またはジイソシアネートとヒドロキシル基あるいはアミノ基を含む多官能性化合物との反応によって形成されたポリイソシアネートが適当である。三量体の製造に適したイソシアネートは、既述のジイソシアネートであり、HDI、TMXDIあるいはIPDIの三量化生成物が特に好ましい。
【0017】
特定の実施形態では、ウレットジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ビウレット、イミノオキサチアジンジオンおよび/またはオキサジアジントリオン構造を有するポリイソシアネートを含有することもできる。脂肪族あるいは脂環式ポリイソシアネートに基づくPUプレポリマー、またはHDI、IPDIおよび/または2、4'-あるいは4,4'-ジイソシアナトジシクロヘキシルメタンに基づくオリゴマーは、好適である。
【0018】
2官能性あるいは3官能性ポリオールとしては、20000g/mol以下の分子量を有する既知のポリオールを選択することができる。これらは例えば、ポリエーテル、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレートまたはポリアミドに基づいて選択されるべきであり、これらのポリマーはOH基をさらに含有しなければならない。末端OH基を有するポリオールが好適である。
【0019】
本発明では、PUプレポリマーを製造するためのポリオールとして適当なポリエステルは、酸成分とアルコール成分の重縮合によって得ることができ、特に、ポリカルボン酸あるいは2以上のポリカルボン酸混合物とポリオールあるいは2以上のポリオール混合物との重縮合によって得ることができる。適当なポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族あるいはヘテロ環式の母体を有するものである。必要に応じて、遊離カルボン酸に代えて、酸無水物あるいはそのC1-5モノアルコールによるエステルも、重縮合に使用することができる。
【0020】
ポリカルボン酸と反応するジオールとしては、様々なポリオールを使用することができる。例えば、1分子あたり2〜4個の第1級あるいは第2級OH基と2〜20個の炭素原子を有する脂肪族ポリオールが適当である。比較的高い官能価のアルコールをある割合で使用することも可能である。他のポリエステルポリオールは、ポリカプロラクトンに基づいて製造することができる。そのようなポリエステルポリオールを製造する方法は、当業者に知られており、これらの製品は市販されている。本発明の特定の実施形態では、PUプレポリマーの合成において、さらにカルボキシル基を含有するポリエステルジオールを使用する。
これらのポリエステルは、例えば、上記合成において少量のトリカルボン酸を使用することによって得ることができる。
【0021】
更に、ポリエーテルポリオールをポリオールとして使用することができる。ポリエーテルポリオールは、低分子量ポリオールとアルキレンオキシドとの反応によって得ることが好ましい。アルキレンオキシドは、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する。適当な具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコールあるいは異性体ブタンジオールとエチレンオキシド、プロピレンオキシドあるいはブチレンオキシドとの反応生成物が挙げられる。多官能性アルコール、例えばグリセロール、トリメチロールエタンあるいはトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールあるいは糖アルコールと前述のアルキレンオキシドとの反応生成物によってポリエーテルポリオールを形成することも、適当である。これらはランダムポリマーあるいはブロックコポリマーであり得る。上記反応によって得られ約200〜約20000g/mol、好ましくは約400〜約6000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオールは、特に適当である。
【0022】
他の適当なポリオールは、ポリアクリレートに基づいて製造することができる。これらはポリ(メタ)アクリル酸エステルの重合によって製造されるポリマーである。他の共重合性モノマーが、任意に少量含まれていてもよい。本発明によれば、アクリレートは2つのOH基を有しているべきである。これらはポリマー中で末端に存在することが好ましい場合がある。そのようなOH官能性ポリ(メタ)アクリレートは当業者に知られている。
【0023】
OH官能化ポリオレフィンは、別の適当な種類のポリオールである。ポリオレフィンは当業者に知られており、多くの分子量に製造することができる。そのようなエチレン、プロピレンあるいはより長鎖のα-オレフィンに基づくホモポリマーあるいはコポリマーとしてのポリオレフィンは、官能基を含むモノマーの共重合によるか、グラフト反応によって官能化することができる。別の可能性として、これらのベースポリマーにOH官能基を例えば酸化によって付与することが挙げられる。別の実施形態では、ポリオレフィンはさらにCOOH基を有する。例えば、共重合、あるいは無水マレイン酸でグラフトすることによって、これらをポリマー中へ反応させることができる。
【0024】
PUプレポリマーを製造するための本発明によって適当であるポリオールは、200〜20000g/molの分子量を有するべきである。特に、分子量は12000g/mol未満であるべきである。ポリエーテルポリオールの場合には、分子量は特に400〜12000g/molの間にあるべきである。ポリエステルポリオールの場合には、好ましくは、分子量は600〜2500g/mol(数平均分子量、MN、GPC、ポリスチレン標準によって測定可能)の間にあるべきである。直鎖状のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールあるいはそれらの混合物は、特に適当である。
【0025】
本発明によれば、前述のポリオールと共に、さらに2つのイソシアネート反応性基を有する低分子量化合物を使用することが必要であり、これは少なくとも1つのイオン基あるいはイオン基に変換可能な基をさらに含む。これらは、およそ90〜1000g/molの、特に500g/mol未満の分子量を有する化合物であり得る。好ましくは、2つのOH基が含まれているべきである。更なる実施形態では、2つのNRH基が含まれる。さほど好ましい実施形態ではないが、SH基も含むことができる。これらが第1級の、例えばOH基である場合には有利である。
【0026】
イオン基あるいはイオン基に変換することができる基としては、tert.アミノ基あるいはカルボキシル基、ホスホン酸基、リン酸基あるいはスルホン酸基が適当である。1〜3つの基、好ましくは1つの基、特にカルボキシル基が存在することができる。そのような化合物の例としては、ヒドロキシアルカンカルボン酸、例えばヒドロキシ酢酸、2-または3-ヒドロキシプロパン酸、マンデル酸、2-、3-または4-ヒドロキシブタン酸、ヒドロキシイソブタン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシイソペンタン酸、ヒドロキシヘキサン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸あるいはリシノール酸が挙げられる。また、ジメチロールプロピオン酸(DMPA)などのジヒドロキシアルカンカルボン酸も可能である。DMPAは特に好適である。また、ジヒドロキシ安息香酸あるいはジヒドロキシジカルボン酸、例えば酒石酸など、2つのフェノール性OH基を有するカルボン酸も可能である。また、スルホン酸、例えば3-アミノプロパンスルホン酸、N-3-(2-アミノエチル)アミノプロピルスルホン酸、2,5-ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、4,5-ジヒドロキシ-1,3-ベンゼンジスルホン酸あるいはその塩、ホスホン酸、例えば3-アミノプロパンホスホン酸、1-ヒドロキシエチリデンジホスホン酸あるいはN-(2-ヒドロキシ酸エチル)イミノビス-メチルホスホン酸も可能である。また、アルキルジアルカノールアミン、例えばアルキルジメタノールアミン、アルキルジエタノールアミン、アルキルジプロパノールアミンも可能であり、その具体例としては、N-メチルジエタノールアミン、N-メチルジプロパノールアミンおよびN-(2,3-ジヒドロキシプロピル)ピペリジンが挙げられる。N-アルキルジアルカノールアミンを用いることが好ましく、特にジヒドロキシカルボン酸を用いることが好ましい。1つのタイプのイオン基だけが存在し、好ましくは1つの化合物のみを反応させる。化合物および反応条件の選択によって、本質的に、OH基かNHRグループだけがイソシアネートと反応することが確実となる。
【0027】
追加的なイオン基の量は、得られるプレポリマー中に、0.05〜1mmol/g、好ましくは0.07〜0.7mmol/g、特に好ましくは0.1〜0.5mmol/gの酸基またはtert.アミノ基が含まれるように選択する。本発明のある実施形態では、プレポリマーの合成において、イオン基を含む化合物を混合物中でポリオールと反応させるように操作する。別の実施形態では、まずプレポリマーを製造し、これを更なる反応段階で引き続き、更なる酸基またはアミノ基を有する2官能性化合物と反応させ、鎖を延長させる。
【0028】
好ましくは、前述ポリイソシアネートとポリエーテルおよび/またはポリエステルジオールに基づくポリオールとのプレポリマーを製造する。特に、2つのタイプのポリオールの混合物を、合成において使用すべきである。ある実施形態では、鎖中に第3級アミノ基を含有し、別の好ましい実施形態ではカルボキシル基を含有する。得られる反応性PUプレポリマーA)は、NCO反応性であって、3つあるいは好ましくは2つのイソシアネート基を有する。
【0029】
ポリオールとポリイソシアネートとの反応は、例えば、溶媒の存在下で行うことができるが、溶媒を含有しない形態で行うことが好ましい。反応を加速するため、通常、例えば30〜130°C、好ましくは35〜100°C、特に40〜80°Cに、温度を上昇させる。反応を加速するため、ポリウレタン化学における通常の触媒を、任意に反応混合物へ添加することができる。ジブチル錫ジラウレート、ジメチル錫ジネオデカノエートあるいはジアザビシクロオクタン(DABCO)を添加することが好ましい。ここでの量は、プレポリマーの約0.001重量%〜約0.1重量%であるべきである。
【0030】
別の反応では、NCO基を、イソシアネートと反応することができる官能基と、更なる官能基として、フリーラジカル重合によって架橋し得る二重結合とを有する化合物B)と、部分的に反応させる。典型的には、これらは1500g/mol未満の分子量を有する。
【0031】
そのような化合物の例としては、α,β-不飽和カルボン酸の、アルキル基中に更にOH基を有する低分子で特に脂肪族のアルコールによるエステルが挙げられる。そのようなカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸セミエステルおよびマレイン酸セミエステルが挙げられる。(メタ)アクリル酸の対応するOH基含有エステルは、例えば、 2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2-ヒドロキシエチル (メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル (メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリシジルエーテルあるいはエステルとアクリル酸あるいはメタクリル酸との反応生成物、例えば、バーサチック酸グリシジルエステルとアクリル酸あるいはメタクリル酸との反応生成物、(メタ)アクリル酸へのエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物、ヒドロキシルアクリレートとε-カプロラクトンとの反応生成物、またはペンタエリスリトール、グリセロールあるいはトリメチロールプロパンなどのポリアルコールと(メタ)アクリル酸との部分エステル交換生成物である。
【0032】
フリーラジカル重合可能な二重結合を有するOH官能性化合物の量は、PUプレポリマーのNCO基に基づき20〜98モル%、特に22〜90モル%、好ましくは25〜85モル%を使用するように選択する。好ましい実施形態では、特にアクリレートの割合が混合物の少なくとも20モル%、特に少なくとも25モル%を構成する、メタクリレートおよびアクリレートエステルの混合物を使用する。
【0033】
更に、NCO反応性PUプレポリマーは、少なくとも1つのイソシアネート反応性基を有し、それとは別にフリーラジカル条件下で重合することができる他の基を有さない、少なくとも1種の化合物C)と反応することが可能である。そのようなイソシアネート反応性基の具体例としては、OH基、SH基あるいはNHR基が挙げられる。これらの化合物C)は、32〜10000g/mol、特に40〜4000g/molの間の分子量を有するべきである。
【0034】
適当な単官能性化合物は、例えば、 1〜36個の炭素原子を有するアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、および高級同族体、ならびに対応するチオ化合物であって、例えば40〜1000 g/molの分子量を有するものである。更に、10000g/mol未満、特に1000〜4000g/molの分子量を有するモノヒドロキシ官能性あるいはモノアミノ官能性ポリマーを使用することもできる。低分子量のポリマー構成単位の混合物も可能である。
特に、官能基はOH基であるべきである。
【0035】
高官能性化合物も適当である。その具体例は、ジオール、トリオールまたはポリオール、好ましくはジオールまたはトリオール、特にジオールである。適当な化合物は、例えば2〜44個の炭素原子を有するポリオール、例えばエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールおよび高級同族体、ならびに対応するチオ化合物である。これらのポリオールの量は、この実施形態では、この反応性の官能価が適当なモル過剰でNCO基に対して存在するように選択する。NCOプレポリマーの鎖延長が起こり得るが、好ましくは、1つのOH基のみを反応させるべきであり、遊離のOH基が得られる。高官能性化合物C)の分子量は、10000g/mol以下、特に200〜3000g/molであるべきであり。SHポリマーまたはNHポリマーを使用することも可能である。成分C)の量は、0〜50モル%、特に2〜35モル%であるべきである。
【0036】
プレポリマー上に反応する別の必要な成分として、約215nm〜約480nmの波長を有する光で照射するとオレフィン性不飽和二重結合のフリーラジカル重合を開始し得る光開始剤(D)を使用する。本発明では、原則として、本発明のホットメルト接着剤に適合する市販のあらゆる光開始剤が適当である。
【0037】
例えば、これらは全てノリッシュI型開裂およびノリッシュII型の物質である。これらの例は、Kayacureシリーズ(日本化薬製)の光開始剤、Trigonal 14 (製造業者: Akzo)、Irgacure(登録商標)シリーズおよびDarocure(登録商標)シリーズ(製造業者: Ciba-Geigy)、Speedcure(登録商標)シリーズ(製造業者 Lambson)、Esacureシリーズ(製造業者: Fratelli Lamberti)またはFi-4(製造業者 Eastman)の光開始剤である。
【0038】
これらの開始剤から、少なくとも1つのNCO反応性OH基、例えば第1級または第2級のOH基、特に脂肪族OH基を、本発明に従って選択する。このOH基は、PUプレポリマーのNCO基のいくらかと反応するべきであり、ポリマーと結合すべきである。反応性開始剤の量は、PUプレポリマーのNCO基に基づいて、少なくとも1モル%、特に4〜50モル%、好ましくは10〜30モル%である。
【0039】
選択した開始剤はポリマー合成中で添加され、その場合、成分B、CおよびDの合計は、PUプレポリマーのNCO基に基づいて100モル%とすべきである。反応性PUプレポリマーを反応させる反応方法は、当業者に知られている。反応は混合物中で行うことができ、あるいは、構成成分を逐次的に反応させることができる。反応後、ランダムに官能化されたPUポリマーが得られる。
【0040】
PUポリマーは、200000g/mol未満、特に1000〜100000g/mol、好ましくは2000〜50000g/mol、特に20000g/mol未満の分子量を有するべきである。PUポリマーは、イソシアネート基を実質的に含有すべきでなく、即ち、転化反応後はごく少量の未反応NCO基しか含まれてはいけない。その量は、0.1%(プレポリマーに基づく)より少量、特に好ましくは0.05%未満であるべきである。
【0041】
さらに、ホットメルト接着剤はある割合の反応性希釈剤を含むこともできる。反応性希釈剤として適当なものは、特に、UV光あるいは電子ビームの照射によって重合し得る一以上の反応性官能基を有する化合物である。
【0042】
特に、2官能性あるいはより高官能性のアクリレートまたはメタクリレートのエステルが適当である。これらのアクリレートあるいはメタクリレートエステルとしては、例えば、芳香族、脂肪族あるいは脂環式ポリオールによるアクリル酸かメタクリル酸のエステル、またはポリエーテルアルコールのアクリレートエステルが挙げられる。
【0043】
他の適当な化合物は、例えば、芳香族、脂環式、脂肪族、直鎖状または分枝状のC4-20モノアルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステル、または対応するエーテルアルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルである。そのような化合物の例としては、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレートまたは2-メトキシプロピルアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびソルビトールおよび他の糖アルコールの(メタ)アクリレートエステルが挙げられる。脂肪族あるいは脂環式ジオールのこれらの(メタ)アクリレートエステルは、任意に脂肪族エステルあるいはアルキレンオキシドで変性することができる。脂肪族エステルによって変性したアクリレートとしては、例えば、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバル酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバル酸ジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。アルキレンオキシド変性アクリレート化合物としては、例えば、エチレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド-変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートあるいはプロピレンオキシド変性1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。3官能性およびより高官能性のアクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ-およびテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリルオキシエチル] イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリルオキシエチル] イソシアヌレートまたはトリメチロールプロパン テトラ(メタ)アクリレート、またはこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0044】
反応性希釈剤として、3〜6個の(メタ)アクリル酸基を含む(メタ)アクリル酸エステルは、特に適当なである。その量は、0〜10重量%、特に0.1重量%を越える量、好ましくは2〜5重量%であり得る。これらの物質によって、本発明によるこのホットメルト接着剤の密着性が増加する。
【0045】
本発明のホットメルト接着剤においてさらに使用することができる助剤物質および添加剤としては、例えば、可塑剤、安定剤、抗酸化剤、接着促進剤、樹脂、ポリマー、染料または充填剤が挙げられる。
【0046】
ある実施形態では、本発明のホットメルト接着剤は少なくとも1種の粘着付与樹脂を含有する。該樹脂はさらにタックを付与する。原則として、ホットメルト接着剤に適合する、即ち大部分が均一の混合物が生じる、全ての樹脂を使用することができる。
【0047】
これらは特に、70〜140°Cの軟化点(環球法、DIN 52011)を有する樹脂である。これらは例えば、芳香族、脂肪族または脂環式炭化水素樹脂、およびそれを変性あるいは水素化したものである。これらの例は、脂肪族あるいは脂環式石油炭化水素樹脂、およびその水素化誘導体である。本発明において使用することができる他の樹脂としては、例えばヒドロアビエチルアルコールおよびそのエステル、特にテレフタル酸とフタル酸などの芳香族カルボン酸のエステル;変性天然樹脂、ガムロジン、トール油ロジンあるいはウッドロジンに由来するロジン酸、例えば、部分的にあるいは完全に鹸化されたガムロジン;任意に部分的に水素化された低軟化点のロジンのアルキルエステル、例えばメチル、ジエチレングリコール、グリセロールおよびペンタエリスリトールエステル;テルペン樹脂、特にテルペンの三元重合体またはコポリマー、例えばスチレンテルペン、α-メチルスチレンテルペン、フェノール変性テルペン樹脂およびこれらの水素化誘導体;アクリル酸コポリマー、好ましくはスチレン-アクリル酸コポリマーおよび官能性炭化水素樹脂に基づく樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、一般的には低い分子量を有している。それらは化学的に不活性であってよく、あるいは、二重結合またはOH基などの官能基を有することもできる。これらの樹脂は、ホットメルト接着剤に基づいて、0〜50重量%、好ましくは10〜40 重量%の量で使用することができる。
【0048】
本発明による接着剤は、任意にある割合で接着促進剤を含有してもよい。これらは例えば、加水分解性基を有するシラン化合物、例えば、アルコキシ基、アセトキシ基およびハロゲン基、および有機置換基であり、これらはさらに官能基を有していてもよい。これらの具体例としては、ヒドロキシ官能性、(メタ)アクリルオキシ官能性、メルカプト官能性、アミノ官能性またはエポキシ官能性のシラン、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、またはこれらのアルキルジアルコキシ類似体、特にメトキシまたはエトキシ基が挙げられる。
【0049】
可塑剤としては、例えば薬効のあるホワイトオイル、ナフテン系鉱油、パラフィン系炭化水素油、フタレート、アジペート、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソプレンオリゴマー、水素化ポリイソプレンおよび/またはポリブタジエンオリゴマー、ベンゾアートエステル、植物油あるいは動物油、およびこれらの誘導体が使用される。使用し得る安定剤または抗酸化剤としては、フェノール、高分子量の立体障害フェノール、多官能性フェノール、硫黄およびリン含有フェノールあるいはアミンを選択することができる。顔料としては、例えば二酸化チタン、タルク、クレーなどを選択することができる。任意に、ワックスをホットメルト接着剤に添加することができる。その量は、接着に悪影響が及ぼされないように計算すべきである。ワックスは、天然または合成由来のものであってよい。
【0050】
更に、光増感剤をさらに使用することができる。光増感剤の使用を通じて、光重合開始剤の吸収をより短波長および/またはより高波長まで拡大することができ、このような方法で、硬化を促進することが可能である。それらに吸収された放射線の特定波長は、エネルギーとして光重合開始剤に伝達される。本発明では、例えばアセトフェノン、チオキサンタン、ベンゾフェノンおよびフルオレセインおよびこれらの誘導体を、光増感剤として使用することができる。
【0051】
任意に、熱可塑性ポリマーがある割合で、本発明の接着剤中に存在することができ、例えば、1000g/molを超える分子量のポリマーであってよい。これらは反応性基を含んでおらず、別の実施形態では、これらのポリマーはビニル性不飽和基を有し得る。例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレートの群からのポリマーおよびそれらのコポリマー、エチレン-n-ブチルアクリレートコポリマー、エチレン-(メタ)アクリル酸コポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリエチルオキサゾリン、ポリアミド、澱粉またはセルロースエステル、非晶質ポリオレフィン、例えばポリプロピレンホモポリマー、プロピレン-ブテンコポリマー、プロピレン-ヘキサンコポリマー、特に非晶質ポリα-オレフィンコポリマー(APAO)であって、メタロセン触媒によって製造されるもの、が含まれる。
【0052】
これらの追加のポリマー成分は、本発明のホットメルト接着剤中に0〜30重量%、特に2〜25重量%の量で含有させることができる。分子量は一般に1000g/molより大きく、好ましくは10000g/molより大きい。熱可塑性ポリマーの選択および特性は、当業者に知られている。接着剤成分の量は、合計で100%となるべきである。
【0053】
前述のホットメルト接着剤は溶媒を含まず、既知の手順で製造することができる。これらは、プラスチック基材を接合する本発明による使用に特に適している。
【0054】
好ましい実施形態では、例えば以下のような追加の構成成分が選択される。
- イソシアネート基を実質的に含まないホットメルト接着剤、
- N -メチルあるいはN -エチルジエタノールアミンまたはジメチロールプロピオン酸または酒石酸を反応させたホットメルト接着剤、
- ビニル基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリアミドまたはポリオレフィンに基づくポリマーをさらに含み、ウレタン基を含まないホットメルト接着剤、
- 助剤物質、例えば樹脂、安定剤、可塑剤および他の光開始剤をさらに含むホットメルト接着剤、
- 顔料または充填剤を含まないホットメルト接着剤、
- 適用温度での粘度が2000〜20000 mPasであって、特に130°Cで測定されたものであるホットメルト接着剤、
- 3〜6官能性の(メタ)アクリル酸エステル0.1〜10重量%をさらに含有するホットメルト接着剤。
この実施形態は、個々にあるいは組み合わせて存在してよい。
【0055】
本発明による放射線硬化性ホットメルト接着剤は、特にガラス、金属、繊維製品、セラミックあるいはプラスチックの基材を有するシート様基材を接合するために、特に適している。ここで、シート様基材としては、ラベル、フィルム、プラスチック片、編地表面あるいは同様の材料を挙げることができる。フィルム基材の支持材は、通常薄く、軟質であり、任意に弾性でもあってよい。これらは例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルあるいはセロハンなどの熱可塑性ポリマーのフィルムであってよい。
【0056】
本発明において適当なホットメルト接着剤を使用する場合、それらは支持材上に溶融状態で塗布され、引き続くプロセス段階において放射によって硬化する。問題なく加工するため、本発明のホットメルト接着剤は、照射前に適切に低い粘度を有するべきであり、130°Cでは、粘度は通常500 mPas〜100000 mPas、特に5000 mPas以下(EN ISO 2555に準じ、ブルックフィールド粘度計DV 2+、スピンドル27、指示温度で測定)であるべきである。
【0057】
本発明のホットメルト接着剤は、例えば温度感受性基材上に使用するために所望されるように、低い加工温度の際に求められる低い粘度を有している。そのような加工温度は、50°C〜150°Cの範囲、好ましくは70°C〜130°Cの範囲である。そのような加工は、それ自体既知の装置を使用して実施される。
【0058】
本発明のホットメルト接着剤を塗布後、接着剤層が硬化されて適切な機械的安定性および密着性が得られるように、本発明のホットメルト接着剤を十分なUVか電子ビーム線量で照射する。ここで、UV-Cフラクションに基づくUV線量は、10 mJ/cm2より大きく、特に20 mJ/cm2より大きく、好ましくは30mJ/cm2より大きくすべきである。
【0059】
粘着性(タック)は非反応性の鎖末端量によって影響され得る。硬化した接着剤の密着性は、不飽和基量の影響を受ける。これは、多官能性反応性希釈剤の添加によって高めることができる。
【0060】
本発明のホットメルト接着剤の好ましい使用形式は、接着剤層を有するプラスチックフィルムを含んでなる自己接着性のフィルム、テープあるいはラベルのコーティングである。この場合、例えばポリオレフィンまたはポリエステルに基づくテープまたはフィルムは、本発明に従い適当なホットメルト接着剤によって被覆され、これを放射線によって硬化する。この場合、適切な接着剤を選択することによって、永久感圧性の接着剤層が得られる。その後、これらの材料を組み立てることができる。このような方法で、永久粘着性のフィルム、ラベルおよびストリップを製造することができる。このように得られた自己接着性表面は、後の使用時に取り外される接着防止用の被覆支持フィルムによって任意にカバーすることができる。
【0061】
別の実施形態では、建設産業においてフィルムを接合するために本発明の接着剤を使用する。この場合、より大きい膜厚で接着剤層を塗布することが必要である。これらは50〜500μmであり得る。この厚さでさえ、放射線による硬化が行われ得る。高い接着強度の自己接着性コーティングが得られる。例えば、このような方法で、屋根コーティング用の自己接着性フィルムを製造することができる。
【0062】
この塗布方法の好ましい実施形態として、下記を挙げることができる。
- PE、PP、PVC、ポリエステルあるいはポリアミドのフィルムを接合するための上記ホットメルト接着剤の使用、
- ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロンなどの非極性プラスチックでできた基材に接合するための、本発明によるホットメルト接着剤の使用、
- 本発明の接着剤の1種を含む感圧性接着剤層を有する、片面コートされたフィルム基材、
- 基材に面した両側の被接着面上に接着剤層を付与したフィルム基材の、二重接合のための使用。
【0063】
本発明による溶媒を含有しないホットメルト接着剤によって、硬化後に自己接着性層が生成する。これは貯蔵安定であって、その後に接合することができる。それは高い接着強度を有している。得られるネットワークは均一に構築され、広い温度範囲にわたり接着性と密着性が向上する。また、化学結合した開始剤の結果として、これが接着剤中で移行せず分離し得ないことも有利である。本発明の接着剤は、厚い層にさえ使用することができ、密着力があり安定した接着を得ることができる。
【実施例】
【0064】
本発明の主題を、以下の実施例によって、より詳細に説明する。
【0065】
実施例1(比較):
装置:
撹拌機、熱電対、N2パイプを備えた1リットルの4ツ口フラスコ;高さ調整可能な油浴、窒素充填冷却トラップを備えた真空ポンプ。

バッチ:

【0066】
試験手順:
1、2および3を投入し、約120°Cに加熱した。その後、真空にし、10mbar未満で1時間水分を除去し、次いで混合物を窒素で通気した。温度を99°Cに下げ、4を添加し、次いで混合物を10分間均質化した。その後、5を添加した。温度を上昇させた。45分後、NCO価を測定した(およそ2.47%)。その後、混合物を乾燥空気で通気した。
【0067】
6を添加し、混合物を均質化し、次いで100°Cで撹拌しながら7を添加した。8と9を添加し、1時間後にNCO価および粘度を測定した。
溶融粘度 120°Cで500 mPas;120°Cで48時間の貯蔵後、粘度は460 mPasであった;NCO=0.025%。
剥離試験(ASTM D 1876):2.3 N
【0068】
実施例2:
装置:実施例1と同様


【0069】
試験手順:
1、2、3および10を投入し、約120°Cに加熱した。その後、真空にし、10mbar未満で1時間水分を除去し、次いで混合物を窒素で通気した。温度を99°Cに下げ、4を添加し、混合物を10分間均質化した。その後、5を添加し、温度を上昇させた。60分後、NCO価を測定した(およそ2.0%)。その後、混合物を乾燥空気で通気した。
【0070】
6を添加し、混合物を均質化し、次いで100°Cで撹拌しながら7を添加した。30分後、8と9を添加し、1時間後にNCO価および粘度を測定した。
溶融粘度 120°Cで1500 mPas;120°Cで48時間の貯蔵後、粘度は1850 mPasであった;NCO=0.03%。
【0071】
実施例3:
装置:実施例1と同様


【0072】
試験手順:
1、2、3および10を投入し、約120°Cに加熱した。その後、真空にし、10mbar未満で1時間水分を除去し、次いで混合物を窒素で通気した。温度を92°Cに下げ、4を添加し、混合物を10分間均質化した。その後、5を添加し、温度を上昇させた。60分後、NCO価を測定した(およそ0.3%)。その後、混合物を乾燥空気で通気した。
【0073】
6を添加し、混合物を均質化し、次いで100°Cで撹拌しながら7を添加した。30分後、8と9を添加し、1時間後にNCO価および粘度を測定した。
溶融粘度 120°Cで1600 mPas;120°Cで48時間の貯蔵後、粘度は1850 mPasであった;NCO=0.0%。
【0074】
PET(50μm)のフィルムを接着剤で被覆し、次いで、照射した(UVランプ、ロックタイトUVALOC 1000、硬化室、UV-I線量90 mJ/cm2)。
【0075】
接着剤の塗布厚は50μmであった。
【0076】
定義されたローリングで示された基材の固体試験片上に、試料を接合した。24時間後、試料を測定した。
【表1】

【0077】
ループタックは、FINAT試験法9に従って決定する。
【0078】
剪断強度は、FINAT試験法8に従って決定する。
【0079】
剥離値180°は、FINAT試験法1によって決定する。
【0080】
比較例の接着剤より本発明の接着剤の方が、接合が良好であることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホットメルト接着剤に基づき30重量%を越える、少なくとも1種の放射線重合性の反応性基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーと、任意に他の助剤物質とを含有する放射線硬化性ホットメルト接着剤であって、該ポリウレタンポリマーは、
a)1分子当たり2個あるいは3個のNCO基と少なくともの1個のカルボキシル基あるいは第3級アミノ基を有し、
i)200〜5000g/molの分子量を有するポリエーテルポリオールあるいはポリエステルポリオールから選択される少なくとも1種の2官能性あるいは3官能性ポリオールと、さらにカルボキシル基か第3級アミノ基を有するジオール成分との混合物と、
ii)過剰量の、500g/mol未満の分子量を有する少なくとも1種のジ−あるいはトリイソシアネートと、
を反応させて製造された反応性PUプレポリマー(A)、
b)20〜98モル%の、フリーラジカル重合性二重結合およびNCO基と反応する基を含む少なくとも1種の低分子量化合物(B)、および、
c)0〜50モル%の、NCO基に反応性の少なくとも1つの基を有するが、フリーラジカル条件下で重合することができる基を有さない、32〜5000g/molの分子量を有する少なくとも1種の化合物(C)、および、
d)2〜50モル%の、第1級または第2級のOH基を有する少なくとも1種のフリーラジカル光開始剤(D)、
の反応によって製造され、ここで、上記データはPUプレポリマーのNCO基に基づき、B、CおよびDの合計は100モル%である、ホットメルト接着剤。
【請求項2】
脂肪族イソシアネートをイソシアネート(a ii)として使用する、請求項1に記載のホットメルト接着剤。
【請求項3】
低分子量化合物B)は1500g/mol以下の分子量を有し、特にOH官能性(メタ)アクリル酸エステルを使用する、請求項1〜2のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項4】
単官能性あるいは2官能性アルコール2〜35モル%を化合物(C)として使用する、請求項1〜3のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項5】
N-アルキルジアルカノールアミンあるいはジヒドロキシカルボン酸をジオール成分として含む、請求項1〜4のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項6】
第1級OH基を有するフリーラジカル光開始剤(D)4〜40モル%を使用する、請求項1〜5のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項7】
放射硬化性PUプレポリマーは0.05〜1mmol/gのCOOH基あるいは第3級アミノ基を含む、請求項1〜6のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項8】
3官能性ないし6官能性の(メタ)アクリル酸エステル0.1〜10重量%をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項9】
ビニル基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリアミドあるいはポリオレフィンに基づき、ウレタン基を含まないポリマーをさらに含む、請求項1〜8のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項10】
塗布温度での粘度は、特に130°Cで測定して、2000〜20000mPasである、請求項1〜9のいずれかに記載のホットメルト接着剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載のホットメルト接着剤の、プラスチックフィルムへの感圧接着剤層を製造するための使用。
【請求項12】
PE、PP、PVC、ポリエステルあるいはポリアミドのフィルムを接合するための、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
鉱物表面あるいはプラスチック基材へフィルム基材を接合するための、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
500μmまでの塗布厚にホットメルト接着剤を塗布する、請求項11〜13のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2013−521366(P2013−521366A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555426(P2012−555426)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053192
【国際公開番号】WO2011/107546
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(391008825)ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】