説明

イソオキサゾール−ピリダジン誘導体

本発明は、GABA A α5受容体に対して親和性及び選択性を有する式(I)のイソオキサゾール−ピリダジン誘導体、それらの製造、それらを含む医薬組成物及び治療活性物質としてのそれらの使用に関する。本発明の活性化合物は、認識促進剤として、又はアルツハイマー病のような認識障害の治療的及び/又は予防的処置に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GABA A α5受容体に対して親和性及び選択性を有するイソオキサゾール−ピリダジン誘導体、それらの製造、それらを含む医薬組成物及び治療活性物質としてのそれらの使用に関する。
【0002】
技術分野
特に、本発明は、式(I):
【化1】


[式中、置換基は、下記及び特許請求の範囲に記載されたとおりである]で示されるイソオキサゾール−ピリダジン誘導体に関する。
【0003】
主要な抑制性神経伝達物質、γ−アミノ酪酸(GABA)の受容体は、二つの主要なクラス:(1)リガンド開口型イオンチャンネルスーパーファミリーのメンバーであるGABA A受容体及び(2)G−タンパク質結合受容体ファミリーのメンバーであるGABA B受容体に分けられる。膜結合ヘテロ五量体タンパク質ポリマーであるGABA A受容体複合体は、主にα、β及びγサブユニットからなる。
【0004】
背景技術
現在、GABA A受容体の総数21種のサブユニットがクローン化され、配列決定されている。サブユニットの三つの型(α、β及びγ)は、哺乳類の脳細胞から得られる天然GABA A受容体の生物化学的、電気生理学及び薬理学的機能を最も厳密に模倣する、組み換えGABA A受容体の構築に必要である。ベンゾジアゼピン結合サイトが、α及びγサブユニット間に存在することの強い証拠がある。組み換えGABA A受容体のうち、α1β2γ2は古典的なI型BzRサブタイプの多数の作用を模倣するが、一方、α2β2γ2、α3β2γ2及びα5β2γ2イオンチャンネルは、II型BzRと呼ばれる。
【0005】
McNamara及びSkeltonにより、Psychobiology, 1993, 21:101-108において、ベンゾジアゼピン受容体逆アゴニストβ−CCMは、Morrisの水迷路における空間学習を強化することが示されている。しかしながら、β−CCM及び他の従来のベンゾジアゼピン受容体逆アゴニストは、けいれん誘発性又はけいれん性であり、これがヒトにおける認識促進剤としてのそれらの使用を妨げている。加えて、これらの化合物はGABA A受容体サブユニットの中で非選択的であるが、一方で、GABA A α1及び/又はα2及び/又はα3受容体部位での活性が比較的ないGABA A α5受容体の部分的又は完全逆アゴニストは、けいれん誘発作用が減少しているか又はこれがない、認識を促進することに有用である治療活性物質を提供するために使用することができる。GABA A α1及び/又はα2及び/又はα3受容体部位での活性がないわけではないが、α5含有サブユニットに対して機能的に選択的であるGABA A α5逆アゴニストの使用がまた可能である。しかしながら、GABA A α5サブユニットに選択的且つGABA A α1、α2及びα3受容体における活性が相対的にない、逆アゴニストが好ましい。
【0006】
GABA A α5サブユニットと中枢神経系の様々な疾患の治療的及び/又は予防的処置との間の関連を確立するために、Neuroscience Letts., 2005, 381, 108-13、Neuropsychobiology, 2001, 43(3), 141-44、Amer. J. Med. Genetics, 2004, 131B, 51-9、Autism 2007, 11(2): 135-47、Investigacion Clinica, 2007, 48, 529-41、Nature Neuroscience, 2007, 10, 411-13、Neuroscience Letts., 2008, 433, 22-7及びCell 2008, 135, 549-60のような文献が刊行されてきた。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明の目的は、式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及びエステル、上述の化合物の調製、それらを含む医薬及びそれらの製造、ならびにGABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防における、上述の化合物の使用である。本発明の化合物は、好ましくはGABA A α5の逆アゴニストである。
【0008】
本発明の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及びエステルは、単独で又は他の薬剤と組み合わされて、認識促進剤として、又は急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神病性障害、物質誘導精神病性障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠陥障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、神経精神病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経障害性疼痛、卒中及び注意障害の治療又は予防のために用いることができる。
【0009】
本明細書において用いられる以下の一般用語の定義は、問題の用語が単独で又は組み合わされて現れるかにかかわらず適用される。
【0010】
用語「低級アルキル」は、単独で又は他の基と組み合わされて、アルキル基が一般的に1〜6個の炭素原子を含む、直鎖又は単独もしくは複数の枝分かれを有する分枝状であることができる炭化水素基、例えば、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル、イソプロピル(i−プロピル)、n−ブチル、i−ブチル(iso−ブチル)、2−ブチル(sec−ブチル)、t−ブチル(tert−ブチル)などを表す。好ましいアルキル基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。最も好ましいものは、メチル、エチル、イソプロピル、プロピル及びn−ブチルである。
【0011】
表現「〜により置換されている低級アルキル」は、単独で又は他の基と組み合わされて、特定の「〜により置換されている低級アルキル」に対して規定された基、すなわち、例えば、アセトアミジル、アセチル、アセチルアミノ、アミド、アミノ、カルボキシ、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ハロゲン−低級アルキル、ヘテロシクリル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルキル、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ、低級アルキル−S(O)−などより個別に選択される一つ又は複数の置換基、好ましくは1〜5個の置換基で置換されている低級アルキルを表す。好ましい置換基は、ヒドロキシである。好ましい、置換されている低級アルキルは、ヒドロキシ−低級アルキルである。最も好ましいものは、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルである。
【0012】
用語「ハロゲン」は、単独で又は他の基と組み合わされて、塩素(Cl)、ヨウ素(I)、フッ素(F)及び臭素(Br)を意味する。
【0013】
用語「ヘテロシクリル」は、単独で又は他の基と組み合わされて、N、O又はSより個別に選択される1、2又は3個の環ヘテロ原子を含む、4〜8員環を表す。1又は2個の環ヘテロ原子が好ましい。ヘテロシクリルは、二環式スピロ環の一部であることができる。好ましいものは、4〜6員のヘテロシクリルであり、より好ましいものは、5〜6員のヘテロシクリルであり、各々、N、O又はSより選択される1又は2個の環ヘテロ原子を含む。そのようなヘテロシクリル基の例は、ピロリジニル(ピロリジニル)、テトラヒドロフラニル(テトラヒドロフリル)、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピリジル(テトラヒドロピリジニル)、テトラヒドロピラニル(テトラヒドロピリル)、アゼチジル(アゼチジニル)、チアゾリジル(チアゾリジニル)、オキサゾリジル(オキサゾリジニル)、ピペリジル(ピペリジニル)、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、アゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニルなどを含む。好ましいヘテロシクリル基は、テトラヒドロフリル及びテトラヒドロピリルである。
【0014】
表現「〜により置換されているヘテロシクリル」は、単独で又は他の基と組み合わされて、特定の「〜によって置換されているヘテロシクリル」に対して規定されている基より、すなわち、例えばアミノ、アミノ−低級アルキル、シアノ、シアノ−低級アルキル、ハロゲン、ハロゲン−低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルコキシ−低級アルキル、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン−低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、N(低級アルキル,低級アルキル)−低級アルキル、N(低級アルキル,H)−低級アルキル、ニトロ、低級アルキル−S(O)−、カルボキシ、カルボキシ−低級アルキル、低級アルキル−COO−低級アルキル、低級アルキル−COO−、CO−N(低級アルキル,H)−低級アルキル、CO−N(低級アルキル,低級アルキル)−低級アルキル、CO−NH−低級アルキル、低級アルキル−CO−などより個別に選択される置換基により各々の環原子での個別の置換が可能である、一つ又は複数の置換基、好ましくは1〜4個の置換基により置換されているヘテロシクリルを表す。
【0015】
用語「低級アルコキシ」は、単独で又は他の基と組み合わされて、直鎖又は単独もしくは複数の枝分かれを有する分枝状であることができる「−O−アルキル」基を表し、ここでアルキル基は、一般的に1〜6個の炭素原子を含み、例えば、メトキシ(OMe、MeO)、エトキシ(OEt)、プロポキシ、イソプロポキシ(i−プロポキシ)、n−ブトキシ、i−ブトキシ(iso−ブトキシ)、2−ブトキシ(sec−ブトキシ)、t−ブトキシ(tert−ブトキシ)、イソペンチルオキシ(i−ペンチルオキシ)などである。好ましいアルコキシ基は、1〜4個の炭素原子を有する基である。
【0016】
用語「薬学的に許容される塩」は、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒト及び下等動物の組織との接触において使用するのに適切であり、そして妥当なリスク・ベネフィット比に相応した塩を表す。無機及び有機酸との適切な塩の例は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、硫酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などであるが、これらに限定されない。
【0017】
用語「薬学的に許容されるエステル」は、常法によりエステル化された、カルボキシル基を有する化合物を表す。インビボで対応するカルボン酸へと開裂されるエステル基の例(この場合、加水分解される)は、開裂した水素が、場合によりヘテロシクリル、シクロアルキルなどで置換されている低級アルキルで置き換えられている化合物である。置換されている低級アルキルエステルの例は、低級アルキルがピロリジン、ピペリジン、モルホリン、N−メチルピペラジンなどで置換されているものである。さらに、用語「薬学的に許容されるエステル」は、常法によりエステル化された、ヒドロキシ基を有する化合物を表す。ヒドロキシ化合物は、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのような、生物に非毒性の酸である無機又は有機酸を用いて、対応するエステルに変換することができる。
【0018】
用語「薬学的に許容される担体」及び「薬学的に許容される補助物質」は、製剤の他の成分と適合し、その受容者に有害ではない希釈剤又は賦形剤のような、担体及び補助物質を表す。
【0019】
式(I)の化合物は、一つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、ラセミ化合物、ラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマーの混合物及び個別のジアステレオマーとして存在することができる。追加の不斉中心は、分子上の様々な置換基の性質に依存して存在することができる。各々のそのような不斉中心は、独立に二つの光学異性体を生じ、混合物及び純粋な又は部分的に精製した化合物中の全ての可能な光学異性体及びジアステレオマーが本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体を含むことを意味する。これらのジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフ分離は、本明細書において開示されている手順の適切な修正によって、当技術分野において公知のように達成される。これらの絶対立体化学は、必要であれば、公知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて、結晶性生成物又は誘導される結晶中間体のX線結晶構造解析によって決定することができる。所望であれば、化合物のラセミ混合物は、分離することができ、個々の鏡像異性体が単離される。分離は、当技術分野において周知の、化合物のラセミ混合物を鏡像異性体的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオ異性体混合物を形成し、次いで個々のジアステレオマーを分別結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的方法によって分離することのような方法によって実施することができる。
【0020】
二重結合又は環上の置換基は、対応する式(I)の化合物において立体化学が明確に描かれない限り、cis(=Z−)又はtrans(=E−)型で存在することができる。
【0021】
用語「医薬組成物」は、予め定められた量又は割合の特定の成分と、特定の成分を特定の量で混合することによって直接又は間接的に生じる任意の生成物とを含む生成物を包含する。好ましくは、一つ以上の活性成分、及び不活性成分を含む任意の担体、及び任意の二つ以上の成分の組合せ、複合体化もしくは凝集から、又は一つ以上の成分の分離から、又は一つ以上の成分の他の形の反応もしくは相互作用から、直接又は間接的に生じる任意の生成物を含む生成物を包含する。
【0022】
以下の表は、本明細書において使用される略語を記載する。
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N−ジイソプロピルエチルアミン(Hunig塩基)
DMAP N,N−ジメチルアミノ−4−ピリジン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DPPF 1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
EDAC 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩
h 時間
HOBt N−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
LiOH、NaOH 水酸化リチウム、水酸化ナトリウム
MeAl トリメチルアルミニウム
MeOH、EtOH メタノール、エタノール
MS 質量スペクトル
NaCO 炭酸ナトリウム
NADP ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸
NaH 水素化ナトリウム
on 一晩
Pd(OAc) 酢酸パラジウム
rt 室温
セニエット塩 酒石酸カリウムナトリウム
TBD 1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン
TBDMS tert−ブチルジメチルシリル
TBTU O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート
THF テトラヒドロフラン
表1:略語
【0023】
本発明はまた、医薬組成物、使用の方法及び上述の化合物の調製の方法を提供する。
【0024】
本発明をその特定の実施態様を参照して記載してきたが、種々の変更を行ってよく、本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り同等物を置換してよいことが、当業者により理解されるべきである。加えて、多くの変更を、特定の状況、材料、物質の組成、方法、加工工程又は工程が本発明の目的、精神及び範囲に適合するように行ってよい。そのような変更の全ては、本明細書に添付された特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。全ての別々の実施態様は、組み合わせることができる。
【0025】
したがって、本発明はまた、本明細書中に定義されたとおりの化合物ならびに薬学的に許容される担体及び/又は佐剤を含む、医薬組成物に関する。
【0026】
本発明の一つの実施態様は、式(I):
【化2】


[式中、
は、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、(低級アルキル,低級アルキル)N−及び(低級アルキル,H)N−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、H、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、H、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、下記:
i)H、
ii)低級アルキル、
iii)アミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキル;
iv)ヘテロシクリル、及び
v)アミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ハロゲン−低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルキル、低級アルキル、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜4個の置換基により置換されているヘテロシクリル;
からなる群より選択される]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0027】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、低級アルキルである化合物である。
【0028】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、n−ブチルである化合物である。
【0029】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、低級アルキルである化合物である。
【0030】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、メチルである化合物である。
【0031】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、Hである化合物である。
【0032】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、下記:
i)H、
ii)低級アルキル、
iii)1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキル、
iv)ヘテロシクリル
より選択される化合物である。
【0033】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、下記:
i)低級アルキル、
ii)1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキル、
iii)ヘテロシクリル
より選択される化合物である。
【0034】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、低級アルキル、1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキル及びヘテロシクリルより個別に選択される化合物である。
【0035】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、Hである化合物である。
【0036】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、低級アルキルである化合物である。
【0037】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、イソプロピルである化合物である。
【0038】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキルである化合物である。
【0039】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチルである化合物である。
【0040】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルである化合物である。
【0041】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、ヘテロシクリルである化合物である。
【0042】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、テトラヒドロピラニルである化合物である。
【0043】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、テトラヒドロフラニルである化合物である。
【0044】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、H、イソプロピル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロフラニル、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル又は2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルである化合物である。
【0045】
本発明の特定の実施態様の一つは、Rが、イソプロピル、テトラヒドロフラニル、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル又は2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルである化合物である。
【0046】
本発明の特定の実施態様の一つは、下記:
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド及び
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸アミドからなる群より個別に選択される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0047】
本発明の特定の実施態様の一つは、下記:
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド及び
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミドからなる群より個別に選択される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0048】
本発明の特定の実施態様の一つは、(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルである。
【0049】
本発明の特定の実施態様の一つは、式RNH(II)の化合物を、式(III):
【化3】


[式中、任意の置換基及び変数は、本明細書において定義されたとおりの任意の意味を有し、そしてRは、低級アルキル又はHである]で示される化合物と反応させることを含む、本明細書にて定義されたとおりの式(I)の化合物を調製するための方法である。
【0050】
本発明の特定の実施態様の一つは、上記と同義の方法によって調製した場合の、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0051】
本発明の特定の実施態様の一つは、一つの治療活性物質として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0052】
本発明の特定の実施態様の一つは、治療活性物質として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0053】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体により媒介されるか、又はGABA A α5受容体の調節を介して処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のために使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0054】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための治療活性物質として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0055】
本発明の特定の実施態様の一つは、急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のために使用するための、又は認識促進剤として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物である。
【0056】
本発明の化合物を用いる好ましい適応症は、認識障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状及びアルツハイマー病である。最も好ましい適応症は、統合失調症及びアルツハイマー病である。特に好ましい適応症は、アルツハイマー病である。
【0057】
本発明の特定の実施態様の一つは、本明細書にて記載されたとおりの化合物を含む、治療活性物質である。
【0058】
本発明の特定の実施態様の一つは、有効成分としての本明細書にて記載されたとおりの化合物ならびに薬学的に許容される担体及び/又は薬学的に許容される補助物質を含む、医薬組成物である。
【0059】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体により媒介されるか、又はGABA A α5受容体の調節を介して処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のための、本明細書にて記載されたとおりの化合物を含む、医薬組成物である。
【0060】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の製造のための、本明細書にて記載されたとおりの化合物を含む、医薬組成物である。
【0061】
本発明の特定の実施態様の一つは、急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物を含む、医薬組成物である。
【0062】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体によって媒介されるか、又はGABA A α5受容体の調節を介して処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のための医薬を製造するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物の使用である。
【0063】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体に関連する疾患の治療的及び/又は予防的処置のための、本明細書にて記載されたとおりの化合物の使用である。
【0064】
本発明の特定の実施態様の一つは、急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための医薬を製造するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物の使用である。
【0065】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体によって媒介されるか、又はGABA A α5受容体の調節によって処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のための、本明細書にて記載されたとおりの化合物の使用である。
【0066】
本発明の特定の実施態様の一つは、急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための、本明細書にて記載されたとおりの化合物の使用である。
【0067】
本発明の特定の実施態様の一つは、GABA A α5受容体によって媒介されるか、又はGABA A α5受容体の調節を介して処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のための、特に、急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、あるいは認識促進剤として使用するための方法であって、本明細書にて記載されたとおりの化合物を、哺乳類、特にヒトに投与することを含む方法である。
【0068】
反応スキーム
式(I)の化合物は、以下のスキームに従って調製することができる。出発物質は、市販されているか又は公知の方法に従って調製することができる。先に定義したいかなる残基及び変数も、特に断りのない限り、先に定義した意味を有し続ける。
【0069】
式(I)の本化合物及びその薬学的に許容される塩は、以下の工程:
A) 式1の化合物を、エタノール及び水のような適切な溶媒中、水酸化ナトリウム水溶液のような塩基の存在下でヒドロキシルアミン塩酸塩と反応させて、式2の化合物を得て、続いて式2の化合物を、DMFのような適切な溶媒中、N−クロロスクシンイミドのような塩素化試薬と反応させて、式3の化合物を得ること。
【化4】


スキーム1:中間体3の合成
【0070】
B) 式3の化合物は次に、
i)トリエチルアミンのような適切な塩基の存在下、クロロホルムのような適切な溶媒中での式4の化合物との反応、又は
ii)トリエチルアミンのような適切な塩基の存在下、ジエチルエーテルのような適切な溶媒中での式5の化合物との反応、又は
iii)トリエチルアミンのような適切な塩基の存在下、ジエチルエーテルのような適切な溶媒中での式6の化合物との反応によって、式7の化合物へとさらに反応する。
【化5】


スキーム2:中間体7の合成
【0071】
C) 式7の化合物は次に、
i)THFのような適切な溶媒中で、水素化リチウムアルミニウムのような還元剤と反応させて、式9の化合物を得るか、又は
ii-1)THF、MeOH又はEtOH、水のような適切な溶媒中、NaOH又はLiOHのような加水分解試薬と反応させて、式8の化合物を得て、
ii-2)続いて、式8の化合物を、THF又は水のような適切な溶媒中、水素化リチウムアルミニウム又は水素化ホウ素ナトリウムの存在下でのクロロギ酸エチルのような還元剤と反応させることによって、式9の化合物へと反応する。
【化6】


スキーム3:中間体9の合成
【0072】
D) 式9の化合物は次に、THFのような適切な溶媒中、水素化ナトリウムのような適切な塩基の存在下で、式10の化合物と反応して、式11の化合物を与える。
【化7】


スキーム4:中間体11の合成、Y=Cl又はI
【0073】
D) 式11の化合物は次に、通常のアルコキシカルボニル化法によって式12の化合物へと反応する。
【化8】


スキーム5:中間体11の合成、Y=Cl又はIであり、R’=低級アルキルである
【0074】
E) 式12の化合物は、
i-1)ジオキサン、水、THF又はメタノールのような適切な溶媒中、水酸化ナトリウム又は水酸化リチウムのような適切な塩基で処理することができ、式13の化合物を与え、そして
i-2)実施例に記載されたとおりの条件下又は当業者において周知の条件下、例えば、反応は、ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中、室温でHunig塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)及びO−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラートの存在下で実施することができるか、又は反応は、ジメチルホルムアミドのような適切な溶媒中、例えば80℃に昇温して、1,1’−カルボニルジイミダゾールの存在下で実施することができるか、又は反応は、ジクロロメタンのような適切な溶媒中、室温で、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N1−ヒドロキシベンゾトリアゾール及びHunig塩基(N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で実施することができ、式(II)の化合物と、式(I)の化合物へと反応させることができるか、あるいは、
ii)実施例に記載されたとおりの条件下、又は当業者に周知の条件下、例えば、反応はジオキサンのような適切な溶媒中、例えば85〜95℃に昇温して、トリメチルアルミニウム存在下で実施することができるか、又は反応は、トルエンのような適切な溶媒中、例えば50℃に昇温して、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エンの存在下で実施することができ、式(II)の化合物と、直接式(I)の化合物へと反応させることができる。
【化9】


スキーム6:式(I)の化合物の合成、R’=低級アルキル
を含む方法によって調製することができる。
【0075】
薬学的に許容される酸との対応する塩は、当業者に公知の標準的方法、例えば、式(I)の化合物を、ジオキサン又はTHFのような適切な溶媒に溶解し、そして適量の対応する薬学的に許容される酸を加えることによって、得ることができる。生成物は、通常濾過又はクロマトグラフィーによって単離することができる。
【0076】
ヒドロキシ基を有する式(I)の化合物の、薬学的に許容されるエステルへの変換は、例えば、適切なヒドロキシ基を適切なアルコールと、例えばベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムへキサフルオロホスファート(BOP)、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)又はO−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1−ピリジル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート(TPTU)のような縮合剤を用いて処理することによるか、又は適切なアルコールと酸性条件下、例えば塩酸、硫酸などのような強鉱酸の存在下で、直接反応させることによって実施することができる。
【0077】
それらの調製が実施例に記載されていない場合、式(I)の化合物及び全ての中間体生成物は、類似の方法に従うか又は上記方法に従って調製することができる。出発物質は、市販されているか、当技術分野において公知であるか、又は当技術分野において公知の方法もしくはその類似の方法によって調製することができる。
【0078】
本発明の一般式(I)の化合物が官能基において誘導体化され、インビボで再び親化合物に変換されうる誘導体を提供することが理解されるであろう。
【0079】
薬理学試験
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及びエステルは、有用な薬理学的特性を有する。本発明の化合物は、α5サブニユットを含むGABA A受容体のリガンドであり、したがって、認識促進が必要とされる治療に有用であることが見出された。
【0080】
該化合物は、下記に与えられた試験に従って研究した:
膜調製及び結合アッセイ
GABA A受容体サブタイプでの化合物の親和性は、組成α1β3γ2、α2β3γ2、α3β3γ2及びα5β3γ2のラット(安定してトランスフェクトした)又はヒト(一時的にトランスフェクトした)受容体を発現するHEK293細胞への[H]フルマゼニル(85Ci/mmol;Roche)の結合に対する競合により測定した。
【0081】
細胞のペレットは、Krebs−トリス緩衝液(4.8mM KCl、1.2mM CaCl、1.2mM MgCl、120mM NaCl、15mM トリス;pH7.5;結合アッセイ緩衝液)に懸濁させ、氷上で約20秒、ポリトロンを用いてホモジナイズし、そして60分間、4℃で遠心分離した(50000g;Sorvall、ローター:SM24=20000rpm)。細胞のペレットを、Krebs−トリス緩衝液に再懸濁させ、ポリトロンを用いて氷上で約15秒ホモジナイズした。タンパク質を測定し(ブラッドフォード法、Bio-Rad)、1mLのアリコートを調製し、−80℃で貯蔵した。
【0082】
放射性リガンド結合アッセイは、細胞膜を100mL、[H]−フルマゼニルをα1、α2、α3サブユニットには1nM、α5サブユニットには0.5nMの濃度で、及び10〜10−3x10−6M の幅の試験化合物を含有する、200mLの容量(96−ウェルプレート)中で実施した。非特異的結合は、10−5M ジアゼパムにより規定され、典型的には総結合の5%未満に相当した。アッセイ試料は、1時間、4℃で平衡化するまでインキュベートし、Packard採取器を用いて氷冷洗浄緩衝液(50mM トリス;pH7.5)で洗浄する濾過により、GF/Cユニフィルター(Packard)上に集めた。乾燥させた後、フィルターに保持された放射線を、液体シンチレーション計数によって検出した。K値は、Excel-Fit(Microsoft)を用いて計算し、2回の測定の平均とした。
【0083】
付随の実施例の化合物は、上記のアッセイで試験し、好ましい化合物は、ラットGABA A受容体のα5サブユニットからの[H]−フルマゼニルの置換について100nM 以下のK値を有することが見出された。最も好ましいものは、K(nM )<35を有する化合物である。好ましい実施態様では、本発明の化合物は、α1、α2及びα3サブユニットと比較してα5サブユニットに対して選択的に結合する。代表的な試験の結果を、下記の表に示す。
【0084】
【表1】

【0085】
医薬組成物
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及びエステルは、例えば医薬組成物又は組成物の形態で、治療活性物質として用いることができる。本発明の医薬組成物は、経口、舌下、口腔、非経口(皮下、筋肉内、静脈)、直腸、局所、鼻腔及び吸入又は吹送を通してのような、任意の投与経路に対して処方することができ、そして少なくとも一つの式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステルを、任意の薬学的に適切な成分、賦形剤、担体、佐剤又はビヒクルと共に含むことができる。経口の医薬組成物は、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤又は懸濁剤である。直腸の医薬組成物は、たとえば坐剤の形態である。
【0086】
式(I)の化合物ならびにその薬学的に許容される塩及びエステルは、錠剤、コーティング剤、糖衣剤及び硬ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な、無機又は有機賦形剤と共に加工することができる。例は乳糖、トウモロコシデンプン又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などであり、そのような賦形剤として、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤向けに用いることができる。軟ゼラチンカプセル剤に適切な賦形剤は、例えば、植物油、ロウ、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。液剤及びシロップ剤の製造に適切な賦形剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、ブドウ糖などである。注射液に適切な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤に適切な賦形剤は、例えば、天然又は硬化油、ロウ、脂肪、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0087】
医薬組成物は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色料、香味料、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、マスキング剤又は抗酸化剤を含有することができる。それらは、治療上価値のあるその他の物質もさらに含有することができる。
【0088】
投与量は、広い範囲で変えることができ、且つ当然それぞれの特定の症例における個別の要求に適合させなければならない。経口投与の場合、成人への投与量は、1日あたり一般式(I)の化合物の約0.01〜1000mg又は薬学的に許容される塩もしくはエステルの対応する量の範囲内で変化させることができる。1日投与量は、単回投与又は分割投与することができ、加えて、必要であれば上記の上限を超えることもできる。
【0089】
本発明に従う組成物の実施例は、限定されない:
【0090】
実施例A
通常の方法で、以下の組成の錠剤を製造する:
【0091】
【表2】


製造手順
1.品目1、2、3及び4を混合し、精製水で顆粒化する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる。
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.品目5を加え3分間混合する;適切なプレス機で固める。
【0092】
実施例B
以下の組成のカプセル錠を製造する:
【0093】
【表3】


製造手順
1.品目1、2及び3を、適切なミキサー中で30分間混合する。
2.品目4を加え、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
式(I)の化合物、乳糖及びトウモロコシデンプンを、最初にミキサーで、次に微粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、これにタルクを加え、十分に混合する。混合物を機械により硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0094】
実施例C
以下の組成の坐剤を製造する:
【0095】
【表4】


製造手順
坐薬用錬剤は、ガラス又はスチール容器において溶解して、完全に混合し、45℃に冷却する。その後すぐ、これに微粉末状の式(I)の化合物を加え、完全に分散するまで撹拌する。混合物を適切な大きさの坐剤成形型に注ぎ、放置して冷却し、次に坐剤を成形型から取り外し、ワックス紙又は金属箔で個別に包む。
【0096】
実験の部
以下の実施例1〜9を、本発明の例示のために提供する。これらは、本発明の範囲を制限するものと見なされるべきではなく、単に本発明の代表的なものとして見なされるべきである。
【0097】
実施例1
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド
【化10】


a) 3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸エチルエステル
クロロホルム(250mL)中のN−クロロスクシンイミド(16.1g、121mmol)の懸濁液に、室温でピリジン(0.95g、12.0mmol)を加え、次にクロロホルム(250mL)中のペンタナールオキシム(12.2g、121mmol)の溶液を、20分間かけて滴下した。反応混合物を、50℃で2時間撹拌し、次に室温に冷まし、そしてクロロホルム(120mL)中の(E)−3−(1−ピロリジノ)−2−ブテン酸エチル(22.1g、121mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を50℃に温め、クロロホルム(120mL)中のトリエチルアミン(12.2g、121mmol)の溶液を滴下した。15時間後、反応混合物を冷却し、水、次にクエン酸(10% w/w水溶液)で抽出した。合わせた水相をジクロロメタンで抽出し、そして合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜9:1)により精製して、標記化合物(10.9g、43%)を淡黄色の液体として得た。MS: m/e = 232.2 [M+H]+
【0098】
b) (3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−メタノール
THF(100mL)中の3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−カルボン酸エチルエステル(9.8g、46.3mmol)の撹拌した溶液に、アルゴン下、0℃で水素化リチウムアルミニウム(2.03g、53.4mmol)を5分割して加えた。1時間後、反応混合物を、セニエット塩溶液を滴下してクエンチした。反応混合物を濾過し、そして濾液を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物をセニエット塩溶液で洗浄し、次に乾燥させ、濾過し、そして濃縮した。クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン:酢酸エチル=100:0〜4:6)により精製して、標記化合物(7.5g、95%)を黄色の液体として得た。MS: m/e = 170.3 [M+H]+
【0099】
c) 3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−クロロ−ピリダジン及び3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−ヨード−ピリダジン
THF(5mL)中のNaH(鉱油中55%分散液の425mg)の撹拌した懸濁液に、0℃、アルゴン下で、THF(5mL)中の(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−メタノール(1.5g、8.9mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を室温に温めた。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、そしてTHF(5mL)中の3−クロロ−6−ヨード−ピリダジン(2.13g、8.9mmol)の溶液を滴下した。2時間後、反応混合物を室温に温め、次に水でクエンチし、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、次にクロマトグラフィーにより精製して、クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜60%酢酸エチル)による精製の後、標記化合物(2.66g)を〜1:3混合物として、淡黄色の液体として得た。MS: m/e = 282.2/374.2 [M+H]+
【0100】
d) 6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル
メタノール(20mL)中の3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−クロロ−ピリダジン及び3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−ヨード−ピリダジン(〜1:3混合物、2.6g、〜7.0mmol)及び炭酸ナトリウム(738mg、7.0mmol)の懸濁液を、5回、排気してアルゴンで充填した。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(386mg、0.7mmol)及び酢酸パラジウム(II)(156mg、0.7mmol)を加え、次にフラスコを再度排気し、一酸化炭素を充填した。反応混合物を次に50℃に加熱した。15時間後、反応混合物を冷却し、decaliteを通して濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中の0〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(760mg、〜36%)を橙色の固体として得た。MS: m/e = 306.1 [M+H]+
【0101】
e) 6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド
ジオキサン(3mL)中のイソプロピルアミン(85mg、1.44mmol)の撹拌した溶液に、室温、アルゴン下で、トリメチルアルミニウム(トルエン中2M 溶液の0.72mL、1.44mmol)を滴下した。1時間後、ジオキサン(3mL)中の6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(110mg、0.36mmol)の溶液を加え、そして反応混合物を90℃に加熱した。2時間後、反応混合物を氷/水浴で冷却し、そしてセニエット塩溶液(1mL)でクエンチした。得られた混合物を濾過し、フィルターケーキをジクロロメタンで洗浄し、次に合わせた濾液を濃縮し、次にクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜80%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(45mg、38%)を無色の油状物として得た。MS: m/e = 333.4 [M+H]+
【0102】
実施例2
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド
【化11】


実施例1eに記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(110mg、0.36mmol)を、イソプロピルアミンに代えて4−アミノテトラヒドロピランを用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)による精製の後、表記化合物(100mg、74%)を無色の油状物として得た。MS: m/e = 375.4 [M+H]+
【0103】
実施例3
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド
【化12】


実施例1eに記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(100mg、0.33mmol)を、イソプロピルアミンに代えてD−アラニノールを用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)による精製の後、標記化合物(80mg、70%)を明褐色の油状物として得た。MS: m/e = 349.4 [M+H]+
【0104】
実施例4
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−アミド
【化13】


トルエン(0.5mL)中の6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(110mg、0.36mmol)、1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オール(39mg、0.43mmol)及びTBD(15mg、0.11mmol)の混合物を、15時間室温、アルゴン下で撹拌した。反応混合物をシリカ上で濃縮し、次にクロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)により精製して、標記化合物(90mg、69%)を無色の油状物として得た。MS: m/e = 363.3 [M+H]+
【0105】
実施例5
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド
【化14】


実施例4に記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(100mg、0.33mmol)を、1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オールに代えてL−アラニノールを用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)による精製の後、標記化合物(60mg、53%)を明褐色の油状物として得た。MS: m/e = 349.3 [M+H]+
【0106】
実施例6
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド
【化15】


実施例1eに記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(110mg、0.36mmol)を、イソプロピルアミンに代えて(S)−テトラヒドロフラン−3−アミン塩酸塩を用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜3.5%メタノール)による精製の後、標記化合物(100mg、77%)を無色の油状物として得た。MS: m/e = 361.0 [M+H]+
【0107】
実施例7
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド
【化16】


実施例4に記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(100mg、0.33mmol)を、1−アミノ−2−メチル−プロパン−2−オールに代えてrac−2−アミノ−1−プロパノールを用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)による精製の後、標記化合物(105mg、84%)を明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 349.3 [M+H]+
【0108】
実施例8
rac−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド
【化17】


実施例1eに記載されているように、6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸メチルエステル(120mg、0.39mmol)を、イソプロピルアミンに代えてrac−テトラヒドロフラン−3−アミンを用いて変換し、クロマトグラフィー(シリカ、ジクロロメタン中0〜5%メタノール)による精製の後、標記化合物(130mg、92%)を明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 361.5 [M+H]+
【0109】
実施例9
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸アミド
【化18】


a) 3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−クロロ−ピリダジン
THF(9mL)中のNaH(鉱油中55%分散液の258mg)の撹拌した懸濁液に、0℃、アルゴン下で、THF(18mL)中の(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イル)−メタノール(1.0g、5.9mmol)の溶液を滴下した。反応混合物を室温に温めた。30分後、反応混合物を0℃に冷却し、THF(18mL)中の3,6−ジクロロピリダジン(908mg、6.1mmol)の溶液を滴下した。16時間後、反応混合物を室温に温め、次に水でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、濾過し、そして濃縮し、次にクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中10〜60%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(1.31g、66%)を明黄色の液体として得た。MS: m/e = 282.2 [M+H]+
【0110】
b) 6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸エチルエステル
エタノール(20mL)中の3−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−6−クロロ−ピリダジン(1.2g、3.6mmol)及び炭酸ナトリウム(379mg、3.6mmol)の懸濁液を、5回、排気してアルゴンで充填した。1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(198mg、3.6mmol)及び酢酸パラジウム(II)(80mg、0.36mmol)を加え、次にフラスコを再度排気し、そして一酸化炭素で充填した。反応混合物を次に50℃に加熱した。15時間後、反応混合物を冷却し、decaliteを通して濾過し、そして蒸発させた。残留物を、クロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜50%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(1.0g、88%)を明黄色の油状物として得た。MS: m/e = 320.2 [M+H]+
【0111】
c) 6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸
THF(10mL)中の6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸エチルエステル(960mg、3.0mmol)の溶液に、水(10mL)中の水酸化リチウム一水和物(252mg、6.0mmol)の溶液を加え、そして得られた混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を、HCl(1N )を用いてpH1に酸性化し、そして得られた混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、次に水及びブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして蒸発させて、標記化合物(850mg、87%)を赤色ガム状物として得た。MS: m/e = 290.1 [M-H]-
【0112】
d) 6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸アミド
DMF(5mL)中の6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(100mg、0.31mmol)の溶液に、1,1’−カルボニルジイミダゾール(60mg、0.37mmol)を加えた。得られた反応混合物を、1時間60℃で撹拌し、そして次に、水酸化アンモニウム溶液(476μL、3.1mmol)で処理した。2時間後、反応混合物を蒸発させ、そしてクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0〜100%酢酸エチル)により精製して、標記化合物(49mg、55%)をオフホワイトの固体として得た。MS: m/e = 313.2 [M+Na]+

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化19】


[式中、
は、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、(低級アルキル,低級アルキル)N−及び(低級アルキル,H)N−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、H、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、H、低級アルキル又はアミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキルであり;
は、下記:
i)H、
ii)低級アルキル、
iii)アミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ヒドロキシ、低級アルコキシ、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜5個の置換基により置換されている低級アルキル;
iv)ヘテロシクリル、及び
v)アミノ、ハロゲン、ハロゲン−低級アルコキシ、ハロゲン−低級アルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシ−低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルコキシ−低級アルキル、低級アルキル、(低級アルキル,低級アルキル)N−、(低級アルキル,H)N−、ニトロ及び低級アルキル−S(O)−より個別に選択される1〜4個の置換基により置換されているヘテロシクリル;
からなる群より選択される]で示される化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
【請求項2】
が、低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、n−ブチルである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、低級アルキルである、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
が、メチルである、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
が、Hである、請求項1〜5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
が、下記:
i)H、
ii)低級アルキル、
iii)1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキル、及び
iv)ヘテロシクリル
より選択される、請求項1〜6のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
が、下記:
i)低級アルキル、
ii)1〜2個のヒドロキシにより置換されている低級アルキル、及び
iii)ヘテロシクリル
より選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項9】
が、イソプロピル、テトラヒドロフラニル、2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル又は2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピルである、請求項1〜8のいずれかに記載の化合物。
【請求項10】
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド及び
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸アミドからなる群より個別に選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
【請求項11】
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸イソプロピルアミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((R)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド、
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸((S)−2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミド及び
6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(2−ヒドロキシ−1−メチル−エチル)−アミドからなる群より個別に選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
【請求項12】
(S)−6−(3−ブチル−5−メチル−イソオキサゾール−4−イルメトキシ)−ピリダジン−3−カルボン酸(テトラヒドロ−フラン−3−イル)−アミドである、請求項1〜11のいずれかに記載の化合物又はその薬学的に許容される塩もしくはエステル。
【請求項13】
式RNH(II)の化合物を、式(III):
【化20】


[式中、R、R、R及びRは、請求項1に定義されたいずれかの意味を有し、そしてRは、低級アルキル又はHである]で示される化合物と反応させることを含む、請求項1〜12のいずれかに定義された式(I)の化合物を調製するための方法。
【請求項14】
請求項13に定義された方法によって調製した場合の、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項15】
治療活性物質として使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項16】
GABA A α5受容体に関連する疾患の治療又は予防のための、請求項15に記載の使用のための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物。
【請求項17】
有効成分としての請求項1〜12のいずれかに記載の化合物ならびに薬学的に許容される担体及び/又は薬学的に許容される補助物質を含む、医薬組成物。
【請求項18】
GABA A α5受容体に関連する疾患の治療的及び/又は予防的処置のための医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項19】
急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための、請求項18に記載の医薬の製造のための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項20】
GABA A α5受容体に関連する疾患の治療的及び/又は予防的処置のための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項21】
急性神経障害、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項22】
GABA A α5受容体結合サイトにより媒介されるか、又はGABA A α5受容体結合サイトの調節を介して処置することができる障害又は病状の治療的及び/又は予防的処置のための、特に、慢性神経障害、認識障害、アルツハイマー病、記憶障害、統合失調症、統合失調症に関連する陽性、陰性及び/又は認識症状、双極性障害、自閉症、ダウン症、神経線維腫症I型、睡眠障害、概日リズム障害、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、AIDSに起因する認知症、精神障害、物質誘導精神障害、不安障害、全般性不安障害、パニック障害、妄想性障害、強迫性障害、急性ストレス障害、薬物依存、運動障害、パーキンソン病、下肢静止不能症候群、認識欠損障害、多発梗塞性認知症、気分障害、うつ病、精神神経病状、精神病、注意欠陥多動性障害、神経性疼痛、卒中及び注意力障害の治療的及び/又は予防的処置のための、又は認識促進剤として使用するための方法であって、請求項1〜12のいずれかに記載の化合物をヒト又は動物に投与することを含む方法。
【請求項23】
本明細書上記に記載の発明。

【公表番号】特表2012−526068(P2012−526068A)
【公表日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508986(P2012−508986)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055669
【国際公開番号】WO2010/127968
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】