説明

イベントデータレコーダ、自動二輪車及び情報記録方法

【課題】イベントデータレコーダの作動精度を向上させることができるようにする。
【解決手段】本発明のイベントデータレコーダ20は、自動二輪車1に搭載された各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を保存するための記録装置25と、運転者が携帯する電子キー30と、自動二輪車1に搭載されて電子キー30と走行中に無線通信する電子キー車載機31と、電子キー車載機31からの情報に基づいて運転者が走行中に自動二輪車1から離れたことを判定する離脱判定部33と、離脱判定部33の判定に基づいて記録装置25の記録動作を制御するデータ出力制御部35とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故等の際に各種機器の出力を保存して事故状況等の解析を可能とするためのイベントデータレコーダ、自動二輪車及び情報記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、交通事故に関する情報を記録するために自動車に搭載されるイベントデータレコーダ(EDR)が知られている(例えば、特許文献1参照)。イベントデータレコーダは、加速度センサにより事故時の衝撃を検知し、自動車に搭載された各種機器の衝撃検知前後における出力をROM(メモリ)に記録する。よって、事故後にイベントデータレコーダを解析することで、事故時におけるブレーキの使用や車速等のような自動車の挙動を把握することが可能となる。
【特許文献1】特開平7−37133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加速度センサの出力をトリガーとしたイベントデータレコーダが、自動二輪車や小型ジェット推進艇(Personal WaterCraft:PWC)や乗鞍式不整地走行車などのようなライトビークルに適用された場合には、事故時以外に生じる衝撃がイベントデータレコーダを必要時以外で作動させることが考えられる。また、自動二輪車が地面を滑るように転倒してどこにも衝突しなかった場合には、事故時に車体に加わる衝撃が小さく、イベントデータレコーダが作動しないことも考えられる。
【0004】
そこで、本発明は、イベントデータレコーダの作動精度を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上述のような事情に鑑みてなされたものであり、第1の発明に係るイベントデータレコーダは、乗り物に搭載された機器の出力を保存するための記録装置と、運転者が乗り物から離れたことを判定する離脱判定装置と、前記離脱判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0006】
前記構成によれば、イベントデータレコーダは事故時に運転者が乗り物から離れたことをトリガーとして制御されるので、事故以外の衝撃がイベントデータレコーダを作動させるのを抑止できるとともに、衝撃が小さい事故でも機器の出力を記録装置に保存させることができる。したがって、乗り物に搭載されるイベントデータレコーダの作動精度を向上させることが可能となる。
【0007】
前記離脱判定装置は、運転者が携帯する運転者所持体と、前記運転者所持体が乗り物に対して予め定める近接範囲に存在することを走行中に非接触で判断する車載機と、前記車載機からの情報に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有していてもよい。
【0008】
前記構成によれば、運転者所持体が前記近接範囲の外に出たと車載機が走行中に判断すれば、運転者が走行中に乗り物から離れたと考えることができ、容易に離脱判定を行うことが可能となる。
【0009】
前記運転者所持体は、電子キーであり、前記車載機は、前記電子キーと走行中に無線通信する電子キー車載機であってもよい。
【0010】
前記構成によれば、電子キーシステムを有する乗り物において、電子キー車載機との通信が不成立となる通信エリア外に電子キーが走行中に離れたことが検出されることで、離脱判定部は運転者が走行中に乗り物から離れたことを簡単に判別することができる。
【0011】
前記離脱判定装置は、運転者の身体に取り付ける体固定具と、前記体固定具に一端部が接続された連結体と、前記連結体の他端部に設けられたコネクタと、乗り物に設けられて前記コネクタが着脱可能に装着される被コネクタと、前記コネクタが走行中に前記被コネクタから離脱した場合に運転者が乗り物から離れたと判定する離脱判定部とを有していてもよい。
【0012】
前記構成によれば、運転者が走行中に乗り物から離れると、その運転者とともに移動する体固定具により連結体を介してコネクタが引っ張られて被コネクタから離脱されることとなる。よって、コネクタと被コネクタとの離脱が走行中に検出されることで、離脱判定部は、運転者が走行中に乗り物から離脱したと判別することができる。
【0013】
前記離脱判定装置は、運転者が乗り物のシートに着座していることを検出するシート感圧センサと、前記シート感圧センサの出力に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有していてもよい。
【0014】
前記構成によれば、例えば、シート感圧センサの出力が走行中に継続して所定値以下となった場合に、運転者が走行中に継続して着座しておらず乗り物から離れたと簡単に判別することが可能となる。
【0015】
前記離脱判定装置は、運転者が乗り物のハンドルのグリップを握っていることを検出するグリップ感圧センサと、前記グリップ感圧センサの出力に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有していてもよい。
【0016】
前記構成によれば、例えば、グリップ感圧センサの出力が走行中に継続して所定値以下となった場合に、運転者が走行中に継続してハンドルグリップを握っておらず乗り物から離れたと簡単に判別することが可能となる。
【0017】
乗り物の運転者が操作可能な入力装置を備え、前記制御装置は、前記入力装置の操作に応じて前記記録装置の記録動作を制御する構成であってもよい。
【0018】
前記構成によれば、乗り物に搭載された機器の出力を運転者の好きなときに記録装置に保存させて、転倒時以外でも運転状況を記録することができる。よって、運転者はその記録された情報を参照して乗り物の各種セッティング等を行うこともでき、利便性が向上する。
【0019】
第2の発明に係る自動二輪車は、イベントデータレコーダを備え、前記イベントデータレコーダは、車載された機器の出力を保存するための記録装置と、運転者が車体から離れたことを判定する離脱判定装置と、前記離脱判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する制御装置とを有していることを特徴とする。
【0020】
前記構成によれば、イベントデータレコーダは運転者が自動二輪車から離脱することをトリガーとして制御されるので、事故以外の振動がイベントデータレコーダを作動させるのを抑止できるとともに、地面を滑るように転倒したときのように衝撃が小さい場合でも機器の出力を記録装置に保存させることができる。したがって、自動二輪車に搭載されるイベントデータレコーダの作動精度を向上させることが可能となる。
【0021】
前記車体のバンク角を検出するバンク角検知装置をさらに備え、前記記録装置は、前記バンク角検知装置の出力を保存する構成であってもよい。
【0022】
前記構成によれば、自動二輪車の事故時における車体のバンク角の遷移が記録装置に保存されるので、事故発生時における車体の姿勢を解析することができる。
【0023】
前記車体に搭載されて走行駆動源となるエンジンをさらに備え、前記記録装置は、前記エンジンのシリンダ部の後ろに配置されていてもよい。
【0024】
前記構成によれば、自動二輪車に対する前方からの衝撃からエンジンのシリンダ部がイベントデータレコーダの記録装置を保護するため、事故が発生しても記録内容をより確実に保存することが可能となる。
【0025】
また、本発明の情報記録方法は、運転者が乗り物から離れたことを判定する離脱判定工程と、乗り物が走行状態であることを判定する走行状態判定工程と、走行状態において運転者の離脱が判定されると、少なくとも離脱前に、乗り物に搭載された機器から出力された出力情報を記録する記録工程とを備えていることを特徴とする。
【0026】
前記方法によれば、運転者の離脱をトリガーとして機器の出力情報が記録されるので、乗り物に生じる衝撃の大小に拘わらず、機器の出力を記録できる。たとえば事故以外の衝撃により記録工程が実施されるのを抑止できるとともに、衝撃が小さい事故でも機器の出力をより確実に記録させることができる。
【発明の効果】
【0027】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、イベントデータレコーダの作動精度を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、自動二輪車に搭乗した運転者から見た方向を基準とする。
【0029】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る自動二輪車1の左側面図である。図1に示すように、自動二輪車1は前輪2と後輪3とを備え、前輪2は略上下方向に延びるフロントフォーク4の下端部にて回転自在に支持され、該フロントフォーク4は、その上端部に設けられたアッパーブラケット(図示せず)と該アッパーブラケットの下方に設けられたアンダーブラケット(図示せず)とを介してステアリングシャフト(図示せず)に支持されている。該ステアリングシャフトはヘッドパイプ5によって回動自在に支持されている。該アッパーブラケットには左右へ延びるバー型のハンドル6が取り付けられている。即ち、運転者はハンドル6を回動操作することにより、前記ステアリングシャフトを回動軸として前輪2を所望の方向へ転向させることができる。
【0030】
運転者の右手により把持されるハンドル6のグリップは、手首のひねりにより回動させて走行速度を調節するスロットルグリップ(図示せず)となっている。運転者の左手により把持されるハンドル6のグリップの前方にはクラッチレバー8が設けられている。ハンドル6の前方には、走行速度やエンジン回転数を表示すると共に後述する入力装置24(図3)を有するメータユニット9が配設されている。
【0031】
ヘッドパイプ5からは左右一対のメインフレーム10が若干下方に傾斜しながら後方へ延びており、このメインフレーム10の後部に左右一対のピボットフレーム11が接続されている。このピボットフレーム11には略前後方向に延びるスイングアーム12の前端部が枢支されており、このスイングアーム12の後端部に駆動輪である後輪3が回転自在に軸支されている。ハンドル6の後方には燃料タンク13が設けられており、この燃料タンク13の後方に運転者騎乗用のシート14が設けられている。
【0032】
前輪2と後輪3の間では、エンジンEがメインフレーム10及びピボットフレーム11に支持された状態で搭載されている。このエンジンEの吸気ポート(図示せず)にはメインフレーム10の内側に配置されたスロットル装置15が接続されている。スロットル装置15の上流側には燃料タンク13の下方に配置されたエアクリーナボックス16が接続されており、前方からの走行風圧を利用して外気を取り込む構成となっている。車体前部から車体両側にかけてエンジンEなどを覆うようにカウリング17が設けられている。シート14の下方の内部空間には、各種制御を行うECU18(電子制御ユニット)が収容されている。そして、エンジンEのシリンダ部Esのすぐ後ろには、メインフレーム10に対してブラケット(図示せず)を介して固定された後述する記録装置25が配置されている。また、シート14の下方の内部空間には、無線送受信部(図示せず)を有する電子キー車載機31も収容されている。この電子キー車載機31は、運転者が携帯する電子キー30との間で無線通信して認証等を行う電子キーシステムを構成している。
【0033】
電子キーシステムでは、電子キー30を携帯した運転者が自動二輪車1に近づくとエンジン始動が可能となるように自動的にアンロックがなされ、電子キー30を携帯する運転者が自動二輪車1から遠ざかるとエンジン始動が不可能となるように自動的にロックされる。電子キー車載機31は要求信号を間欠的に送信しており、電子キー30がその要求信号の受信可能エリア内に入ることで、電子キー30からIDコード等の応答信号が無線送信される。電子キー車載機31は、その応答信号を受信するとIDコードの認証を行い、認証が成立すればアンロックがなされる。さらに、運転者が自動二輪車1に騎乗してエンジンEを始動した後においても、電子キー30が所定のエリア内に存在するか否かの確認を行うべく、電子キー30と電子キー車載機31との間で通信を定期的に行う。
【0034】
図2は図1に示す自動二輪車1に搭載されたイベントデータレコーダ20を説明するブロック図である。図2に示すように、イベントデータレコーダ20は、ECU18、電子キー30、電子キー車載機31、各種センサ22(機器)、各種スイッチ23(機器)、入力装置24、記録装置25及びメータユニット9を備えている。なお、速度センサ32は各種センサ22に含まれるものであるが、説明の都合のために分けて表示している。
【0035】
ECU18には、電子キー車載機31と、速度センサ32を含む各種センサ22と、各種スイッチ23と、運転者により操作される入力装置24とが接続されている。また、ECU18には、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を保存するための記録装置25と、外部記録媒体27への書込/読取を可能とするメータユニット9とが接続されている。
【0036】
各種センサ22としては、速度センサ32の他に、エンジン回転数センサ、スロットルポジションセンサ、ギヤポジションセンサ、加速度センサ、ジャイロセンサ(バンク角検知装置)、GPSセンサ、サスペンションストロークセンサ、タイヤ空気圧センサ、グリップ感圧センサ、水温センサ、油圧センサ、運転者監視センサ、二人乗り検知センサなどが設けられている。
【0037】
速度センサ32は、単に自動二輪車1の走行速度を検出ためのみならず、自動二輪車1が走行中であるか否かを検出する手段としても利用されるものである。エンジン回転数センサは、エンジンEのクランク軸の回転数を検出する。スロットルポジションセンサは、スロットル装置15のスロットル弁の開度を検出する。ギヤポジションセンサは、変速装置の変速段を検出する。加速度センサは、自動二輪車1の走行加速度を検出する。ジャイロセンサは、車体の姿勢を検出可能であり、車体の左右方向の傾斜の角速度を検出することにより、車体のバンク角を検出可能とする。GPSセンサは、GPS(global positioning system)に接続して自動二輪車1の位置情報を取得する。サスペンションストロークセンサは、自動二輪車1の衝撃吸収を行うサスペンションの伸縮状態を検出し、例えば、サスペンションの上端部と下端部との間の距離を検出可能な変位センサであるとよい。
【0038】
タイヤ空気圧センサは、前輪2及び後輪3のタイヤ空気圧を検出する圧力センサとしての機能を有する。グリップ感圧センサは、ハンドル6の左右のグリップを運転者が把持している圧力を検出する。水温センサは、冷却水の温度を検出する。油圧センサは、各種油圧ラインの圧力を検出する。運転者監視センサは、運転者のまばたき等の挙動を把握する公知のセンサである。二人乗り検知センサは、シート14に負荷される圧力分布を検知するセンサ、リヤサスペンションの収縮量がフロントサスペンションに比べて所定値以上大きいことを検知するセンサ、又は、同乗者用の足置きステップへの負荷を検知するセンサである。
【0039】
各種スイッチ23としては、ブレーキスイッチ、クラッチスイッチ、スタンドスイッチなどが設けられている。ブレーキスイッチは、ブレーキ操作の有無を検出する。クラッチスイッチは、クラッチ操作の有無を検出する。スタンドスイッチは、駐車する際に車体が若干傾斜した状態で地面に当てて車体を支持するサイドスタンドの降下/上昇を検出する。
【0040】
記録装置25は、自動二輪車1に搭載された各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を電源ONの間は常に時系列的に保存し、その記憶容量を超える分については最も古いデータの領域から上書き保存していく機能を有する。また、記録装置25には、メンテナンス会社等においてパソコン等を接続して記録装置25内のデータをダウンロードするための診断用コネクタ26が設けられている。
【0041】
ECU18は、離脱判定部33、トリガ生成部34、データ出力制御部35及び時刻生成部36を有している。離脱判定部33は、電子キー車載機31及び速度センサ32からの情報に基づいて運転者が自動二輪車1から離れたか否かを判定する。具体的には、離脱判定部33は、電子キー車載機31から電子キー30が所定のエリア内に存在しなくなった旨の通知を受信し、かつ、その受信時における速度センサ32で検出される走行速度がゼロでない場合には、走行中に運転者が自動二輪車1から投げ出されて離脱したと判定する。即ち、電子キー30、電子キー車載機31、速度センサ32及び離脱判定部33により離脱判定装置が構成されている。
【0042】
トリガ生成部31は、離脱判定部33により運転者が走行中に自動二輪車1から離脱したと判定された場合に、データ出力制御部35にトリガーを送信する。データ出力制御部35は、トリガ生成部34からトリガーを受信した際に、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に上書不可能に保存させる。即ち、トリガ生成部34とデータ出力制御部35とにより制御装置が構成されている。また、データ出力制御部35は、後述する入力装置24の記録開始入力部44(図3)が操作されると、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に保存させ、入力装置24の記録終了入力部45(図3)が操作されると、その保存動作を終了させる機能も有する。時刻生成部36は、現在時刻をデータ出力制御部35に適宜送信する機能を有する。
【0043】
図3は図1に示す自動二輪車1のメータユニット9を表した平面図である。図3に示すように、メータユニット9は、速度計40、エンジン回転数計41、表示パネル42、入力装置24及び外部記録媒体装着部46を備え、メータユニット9の内部には所要の演算装置(図示せず)が設けられている。即ち、入力装置24はメータユニット9の一部に設けられたものである。具体的には、入力装置24は、運転者が操作する記録開始入力部44及び記録終了入力部45を有している。外部記録媒体装着部46は、メモリカード等の外部記録媒体27を装着可能なスロットを有し、外部記録媒体27へのデータの書込/読取を可能としている。
【0044】
次に、イベントデータレコーダ20の動作について説明する。図4は図2に示すイベントデータレコーダの動作を説明するフローチャートである。図2及び図4に示すように、まず、運転者が電源をONすると、ECU18のデータ出力制御部35は、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に常時保存させ、所定の記憶容量を超える分については最も古いデータの領域から順に上書き保存させていく。そして、例えば速度センサの出力を参照すること等により自動二輪車が走行状態であるか否かが判断される(ステップS1:走行状態判定工程)。Noの場合は、ステップS1に戻る。Yesの場合は、運転中の事故により、運転者が投げ出されて自動二輪車1から離脱したか否かが離脱判定部33により判断される(ステップS2:離脱判定工程)。具体的には、運転者が携帯する電子キー30が通信エリア外に出ることで、電子キーと電子キー車載機31との間の通信が不成立となるので、離脱判定部33は、この通信不成立状態である旨を電子キー車載機31から受信すると、運転者が自動二輪車1から離脱したと判定する。Noの場合には、ステップS1に戻る。Yesの場合には、トリガ生成部34は、この離脱判定を受けてデータ出力制御部35にトリガーを送信する。そうすると、データ出力制御部35は、トリガー受信時点の前後の所定時間(例えば、前後30秒)にわたって、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に上書不可能に保存する。その際、データ出力制御部35は、少なくともトリガー受信時点から所定時間前までの出力情報を記録装置25に保存する(ステップS3:記録工程)。なお、前記走行状態判定工程、離脱判定工程及び記録工程は、ECU18内に保存されたプログラムにより実行される。
【0045】
記録装置25に保存される二輪車特有の出力事項としては、ジャイロセンサ(バンク角検知装置)により出力される車体のバンク角や、グリップ感圧センサにより出力される運転者のグリップ把持圧力などが挙げられる。バンク角については、事故時における自動二輪車1のバンク角の遷移が記録装置25に保存されることで、事故発生前後における車体の姿勢を解析することができる。グリップ把持圧力については、事故時におけるグリップ把持圧力の遷移が記録装置25に保存されることで、事故発生前後における運転者の手がハンドルから離れるタイミングを解析することができる。この他、自動二輪車の重心を通過する鉛直線まわりの姿勢、重心を通過して前後方向に垂直な水平線まわりの姿勢を出力してもよい。
【0046】
また、離脱判定部33により運転者が自動二輪車1から離脱したと判定されていない場合であっても、運転者が入力装置24の記録開始入力部44を操作した時点から、データ出力制御部35は、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に上書不可能に保存する。そして、運転者により記録終了入力部45が操作された時点で、データ出力制御部35は、各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に上書不可能に保存することを停止する。
【0047】
また、これらの事項とは別に、データ出力制御部35は以下の各種分析データも記録装置25に保存している。
【0048】
図5は図2に示すイベントデータレコーダ20の記録装置25に保存される最新故障情報を説明する図面である。図6は図2に示すイベントデータレコーダ20の記録装置25に保存されるエンジン回転数毎の累積時間を説明する図面である。図7は図2に示すイベントデータレコーダ20の記録装置25に保存される故障回数情報を説明する図面である。
【0049】
図5に示すように、データ出力制御部35は、各種センサ22及び各種スイッチ23のうち過去に故障した部位と、その故障日時に関する情報を最新日時のものから並べたものをデータとして記録装置25に保存している。また、図6に示すように、データ出力制御部35は、エンジン回転数センサの出力を新車時から累積し、エンジン回転数ごとに分類して使用時間を累積保存している。さらに、図7に示すように、データ出力制御部35は、各種センサ22及び各種スイッチ23の過去の故障回数を部位毎にデータとして記録装置25に保存している。
【0050】
また、メンテナンス会社等において記録装置25の診断用コネクタ26にパソコン等を接続することで、記録装置25のデータをパソコンにダウンロードすることができる。さらに、運転者により外部記録媒体27をメータユニット9の外部記録媒体装着部46に装着することで、記録装置25のデータを外部記録媒体27にダウンロードすることもできる。そして、記録装置25に保存されたデータは、電源OFF時には最新の数分間のものが保持されるようになっている。なお、電源OFF時に最新の数分間のデータを外部記録媒体27に書き出すようにして、そのデータは電源ON時にクリアされるようにしてもよい。
【0051】
以上の構成とすれば、運転者が走行中に自動二輪車1から離脱したことをトリガーとしてイベントデータレコーダ20が制御されるので、事故以外の振動でイベントデータレコーダ20が誤作動するのを防止できるとともに、地面を滑るように衝撃の小さい転倒をした場合でも各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を確実に記録装置25に上書不可能に保存することができる。したがって、自動二輪車1に搭載されるイベントデータレコーダ20の作動精度を向上させることが可能となる。
【0052】
また、運転者が操作する入力装置24が設けられており、運転者の好きなときに各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を記録装置25に保存させて、転倒時以外でも運転状況を記録することができる。よって、ユーザはその記録された情報を参照して自動二輪車1の各種セッティング等を行うこともでき、利便性が向上する。さらに、記録装置25は、エンジンEのシリンダ部Esのすぐ後ろに配置されているので、自動二輪車1が事故で衝突して前方からの衝撃が発生しても、エンジンEのシリンダ部Esが記録装置25を衝撃から保護し、記録内容を確実に保存することも可能となる。
【0053】
なお、本実施形態では、電子キーシステムを利用しているが、運転者が所持する携帯情報通信装置(例えば、携帯電話)が常時発信する電波の強度を検出することで、運転者が自動二輪車から離れたことを検出するようにしてもよい。また、運転者所持体が自動二輪車から離反したことを電気的または磁気的に判断する車載機を設けてもよい。その際、運転者所持体はICタグとし、車載機はICタグ読取機としてもよい。また、運転者所持体は磁性体とし、車載機は磁性体を走行中に検知可能な磁気センサとしてもよい。さらに、運転者の体が所定位置(ドライバーズポジョション)に存在することを検出する近接センサ又は測位センサからの情報に基づいて運転者が走行中に自動二輪車から離れたことを検出するようにしてもよい。その際のセンサとしては、赤外線センサ、光学センサ又は超音波センサ等が用いられるとよい。
【0054】
(第2実施形態)
図8は本発明の第2実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダ50を説明するブロック図である。図8に示すように、イベントデータレコーダ50は、運転者の身体に固定するアームバンド等のような体固定具51と、体固定具51に一端が固定された紐などの連結体52と、連結体52の他端のコネクタ53と、車体に設けられてコネクタ53が着脱可能に接続される被コネクタ54とを備えている。コネクタ53と被コネクタ54とは走行中は互いに嵌合接続されており、体固定具51が被コネクタ54から所定距離以上離れて連結体52に所定値以上の引張力が負荷されることで、連結体52のコネクタ53が被コネクタ54より離脱する構成となっている。被コネクタ54には、嵌合検知部(図示せず)が設けられており、コネクタ53が被コネクタ54に嵌合接続されているか否かが検出できる構成となっている。嵌合検知部(図示せず)の例としては、嵌合状態でコネクタ53に押圧されてオフとなり、非嵌合状態でコネクタ53からの負荷が無くなりオンとなる嵌合検知スイッチなどが挙げられる。
【0055】
被コネクタ54はECU55に接続されている。また、自動二輪車が走行中であるか否かを検出する手段として自動二輪車の走行速度を検出する速度センサ32がECU55に接続されている。ECU55には、被コネクタ54及び速度センサ32からの情報に基づいて運転者が自動二輪車から離れたか否かを判定する離脱判定部56を有している。即ち、体固定具51、連結体52、コネクタ53、被コネクタ54、速度センサ32及び離脱判定部56により離脱判定装置が構成されている。
【0056】
具体的には、離脱判定部56は、コネクタ53が被コネクタ54より離脱したことを検知し、かつ、その受信時における速度センサ32で検出される走行速度がゼロでない場合には、走行中に運転者が自動二輪車から投げ出されて離れたと判定する。トリガ生成部34は、離脱判定部56により運転者が自動二輪車から離脱したと判定された場合に、データ出力制御部35にトリガーを送信する。このような構成によれば、簡素かつ安価な構成で自動二輪車の事故を検出することが可能となる。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0057】
(第3実施形態)
図9は本発明の第3実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダ60を説明するブロック図である。図9に示すように、イベントデータレコーダ60は、運転者がシート14(図1)に着座していることを検出するシート感圧センサ61と、運転者がハンドル6(図1)のグリップを握っていることを検出するグリップ感圧センサ62とを備えている。シート感圧センサ61及びグリップ感圧センサ62はECU63に接続されている。また、自動二輪車が走行中であるか否かを検出する手段として自動二輪車の走行速度を検出する速度センサ32がECU63に接続されている。ECU63は、シート感圧センサ61、グリップ感圧センサ62及び速度センサ32の出力に基づいて運転者が自動二輪車から離れたか否かを判定する離脱判定部64を有している。即ち、シート感圧センサ61、グリップ感圧センサ62、速度センサ32及び離脱判定部64により離脱判定装置が構成されている。
【0058】
具体的には、離脱判定部64は、シート感圧センサ61の出力が所定時間以上にわたって継続して所定値以下(シート14への負荷が所定値以下)となり、グリップ感圧センサ62の出力が所定時間以上にわたって継続して所定値以下(ハンドル6のグリップへの負荷が所定値以下)となり、かつ、速度センサ32で検出される走行速度がゼロでない場合には、運転者の手がハンドル6(図1)から離れ且つ運転者がシート14(図1)から離れ、走行中に運転者が自動二輪車から投げ出されて離脱したと判定する。トリガ生成部34は、離脱判定部64により運転者が走行中に自動二輪車から離脱したと判定された場合に、データ出力制御部35にトリガーを送信する。このような構成によれば、簡素かつ安価な構成でありながら自動二輪車の事故を検出することが可能となる。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。また、転倒センサは、本実施形態で示した以外の他の公知技術を用いてもよく、例えば、ジャイロセンサ又は加速度センサを転倒センサとして利用してもよい。
【0059】
(第4実施形態)
第4実施形態のイベントデータレコーダは、乗り物の転倒を判定する転倒判定装置を備え、制御装置が、前記転倒判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する構成である。図10は本発明の第4実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダ70を説明するブロック図である。図10に示すように、イベントデータレコーダ70は、自動二輪車1が左右方向に所定角度以上に傾倒したことを検知する転倒センサ71を備えている。ECU72は、転倒センサ71の出力に基づいて自動二輪車が転倒状態であるか否かを判定する転倒判定部73を有している。即ち、転倒センサ71と転倒判定部73とにより転倒検知装置が構成されている。なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0060】
図11は図10に示すイベントデータレコーダ70の転倒センサ71の正面からみた断面図である。図12は図11に示す転倒センサ71の側方からみた断面図である。図11及び図12に示すように、転倒センサ71は、そのケース80内に、振子式の着磁されたムーブメント81が回転軸82に回動自在に支持されている。ケース80は、下ケース83と上ケース84とからなり、下ケース83にはピボットフレーム11又はメインフレーム10(図1)に固定するための取付座83aが設けられている。上ケース84の内部には回路基板86が設けられており、回路基板86にはムーブメント81の所定角度以上の回動状態を検知するホールIC85が設けられている。回路基板86は、ホールIC85が検知状態となったときに検知信号を出力する検知回路を有している。
【0061】
上ケース84には、回路基板86に接続される電源、アースおよび検知信号出力のための各端子を収容するコネクタ部84aが形成されている。ムーブメント81は、その上部に基凖位置に対して左右対称となるように所定の開き角度をもった切欠部81aを有し、その下部には切欠部81aに対して回転軸82を基準に点対称となる位置に配置された錘部81bを有している。ホールIC85は、ユニポーラ感応タイプであり、ムーブメント81が回動し、そのムーブメント81の所定位置に着磁されたS極が対向したときに検知状態となる構成である。
【0062】
以上の構成とすれば、自動二輪車の転倒をトリガーとしてイベントデータレコーダ70が制御されるので、事故以外の振動でイベントデータレコーダ70が誤作動するのを防止できるとともに、地面を滑るように衝撃の小さい転倒をした場合でも各種センサ22及び各種スイッチ23の出力を確実に記録装置25に上書不可能に保存することができる。したがって、イベントデータレコーダ70の作動精度を向上させることが可能となる。なお、本実施形態では第1実施形態の離脱判定装置の代わりに転倒判定装置を用いているが、離脱判定装置と転倒判定装置と合わせて自動二輪車に搭載し、離脱及び/又は転倒が検知された場合にトリガ生成部34がデータ出力制御部35にトリガーを送信する構成にしてもよい。
【0063】
(第5実施形態)
図13は本発明の第5実施形態に係る自動二輪車90の正面図である。図14は図13に示す自動二輪車90に搭載された転倒センサ92を説明する正面からみた模式図である。図13に示すように、本実施形態の転倒センサ92は、MEMS技術によりチップ化されてECU91に組み込まれており、加速度検知方向を左右方向に向けた加速度センサが用いられている。詳しくは、図14に模式的に示すように、転倒センサ92は、固定部93と、固定部93に一端が接続されて伸縮方向が左右方向であるバネ部94と、バネ部94の他端に接続された錘部95と、固定部93との相対距離が不変となるように固定配置され、錘部95との左右方向の相対距離を検出する変位計96とを備えている。
【0064】
自動二輪車90が走行やジャンプ等している通常時には、車体に対して左右方向の加速度が大きく加わることはないので、バネ部94の左右方向の伸縮量は所定値以上にはならず、錘部95と変位計96との距離はおおむねLとなる。車体が右側に転倒した場合には、錘部95にバネ部94の伸長方向に重力が加わることになるので、錘部95と変位計96との距離はL−ΔLとなる。一方、車体が左側に転倒した場合には、錘部95にバネ部94の収縮方向に重力が加わることになるので、錘部95と変位計96との距離はL+ΔLとなる。即ち、錘部95と変位計96との距離がL−ΔL又はL+ΔLとなった場合に、自動二輪車90が転倒状態であるとECU91により判定される。
【0065】
以上の構成によれば、転倒センサ92がECU91に組み込まれているため、センサとECUとを繋ぐケーブルが不要となり、断線等によるエラーを防止することが可能となる。なお、他の構成は第4実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
(第6実施形態)
第6実施形態のイベントデータレコーダは、乗り物の最前端で露出した前輪のタイヤ空気圧を検出するタイヤ空気圧センサと、前記タイヤ空気圧センサの出力に基づいて乗り物の衝突を判定する衝突判定装置とを備え、制御装置は、前記衝突判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する構成である。
【0067】
図15は本発明の第6実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダ100を説明するブロック図である。図15に示すように、イベントデータレコーダ100は、前輪のタイヤ空気圧を微小時間間隔で検出するタイヤ空気圧センサ101を備えている。なお、前輪は図1に示すように車体の最前端で露出して設けられている。タイヤ空気圧センサ101はECU102に接続されている。ECU102は、タイヤ空気圧センサ101の出力に基づいて自動二輪車が衝突を起こしたか否かを判定する衝突判定部103を有している。即ち、タイヤ空気圧センサ101と衝突判定部103とにより衝突判定装置が構成されている。具体的には、衝突判定部103は、タイヤ空気圧センサ101から受信する圧力が所定値以上に高くなった場合に、前輪から物体に衝突したと判定する。トリガ生成部34は、衝突判定部103により自動二輪車が衝突したと判定された場合に、データ出力制御部35にトリガーを送信する。このような構成によれば、衝突検知専用の加速度センサなどを用いることなく、自動二輪車の物体に対する衝突を検出することができ、部品点数を削減することができる。
【0068】
なお、他の構成は第1実施形態と同様であるため同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態では第1〜第3実施形態の離脱判定装置又は第4及び第5実施形態の転倒判定装置の代わりに衝突判定装置を用いているが、離脱判定装置及び/又は転倒判定装置と衝突判定装置と合わせて自動二輪車に搭載し、離脱、転倒及び/又は衝突が検知された場合にトリガ生成部34がデータ出力制御部35にトリガーを送信する構成にしてもよい。
【0069】
なお、第1〜第3実施形態の離脱判定装置のうちから複数が設けられてもよい。この際、複数の離脱判定装置がともに転倒状態であると夫々判定した場合に最終的に転倒状態である決定する構成とすることで、誤検出を防ぐことができる。また、複数のうち少なくとも1つの離脱判定装置が転倒状態を判定した場合に転倒状態である決定すれば、転倒状態を可及的速やかに検知できる。さらに、前記各実施形態では自動二輪車を例に説明したが、本発明に係るイベントデータレコーダは、自動二輪車に限らず小型滑走艇(Personal Water Craft:PWC)や乗鞍式不整地走行車両など他の乗り物にも適用することができる。また、本発明に係るイベントデータレコーダは、前述した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲でその構成を変更、追加、又は削除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明に係るイベントデータレコーダ、自動二輪車及び情報記録方法は、イベントデータレコーダの作動精度を向上させることができる優れた効果を有し、この効果の意義を発揮できる自動二輪車等の乗り物に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る自動二輪車の左側面図である。
【図2】図1に示す自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダを説明するブロック図である。
【図3】図1に示す自動二輪車のメータユニットを表した平面図である。
【図4】図2に示すイベントデータレコーダの動作を説明するフローチャートである。
【図5】図2に示すイベントデータレコーダの記録装置に保存される最新故障情報を説明する図面である。
【図6】図2に示すイベントデータレコーダの記録装置に保存されるエンジン回転数毎の累積時間を説明する図面である。
【図7】図2に示すイベントデータレコーダの記録装置に保存される故障回数情報を説明する図面である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダを説明するブロック図である。
【図9】本発明の第3実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダを説明するブロック図である。
【図10】本発明の第4実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダを説明するブロック図である。
【図11】図10に示すイベントデータレコーダの転倒センサの正面からみた断面図である。
【図12】図11に示す転倒センサの側方からみた断面図である。
【図13】本発明の第5実施形態に係る自動二輪車の正面図である。
【図14】図13に示す自動二輪車に搭載された転倒センサを説明する正面から見た模式図である。
【図15】本発明の第6実施形態に係る自動二輪車に搭載されたイベントデータレコーダを説明するブロック図である。
【符号の説明】
【0072】
1 自動二輪車
20,50,60,70,100 イベントデータレコーダ
22 各種センサ(機器)
23 各種スイッチ(機器)
24 入力装置
25 記録装置
30 電子キー
31 電子キー車載機
33,56,64 離脱判定部
35 データ出力制御部
51 体固定具
52 連結体
53 コネクタ
54 被コネクタ
61 シート感圧センサ
62 グリップ感圧センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物に搭載された機器の出力を保存するための記録装置と、
運転者が乗り物から離れたことを判定する離脱判定装置と、
前記離脱判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する制御装置と
を備えていることを特徴とするイベントデータレコーダ。
【請求項2】
前記離脱判定装置は、運転者が携帯する運転者所持体と、前記運転者所持体が乗り物に対して予め定める近接範囲に存在することを走行中に非接触で判断する車載機と、前記車載機からの情報に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有している請求項1に記載のイベントデータレコーダ。
【請求項3】
前記運転者所持体は、電子キーであり、
前記車載機は、前記電子キーと走行中に無線通信する電子キー車載機である請求項2に記載のイベントデータレコーダ。
【請求項4】
前記離脱判定装置は、運転者の身体に取り付ける体固定具と、前記体固定具に一端部が接続された連結体と、前記連結体の他端部に設けられたコネクタと、乗り物に設けられて前記コネクタが着脱可能に装着される被コネクタと、前記コネクタが走行中に前記被コネクタから離脱した場合に運転者が乗り物から離れたと判定する離脱判定部とを有している請求項1乃至3のいずれかに記載のイベントデータレコーダ。
【請求項5】
前記離脱判定装置は、運転者が乗り物のシートに着座していることを検出するシート感圧センサと、前記シート感圧センサの出力に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有している請求項1乃至4のいずれかに記載のイベントデータレコーダ。
【請求項6】
前記離脱判定装置は、運転者が乗り物のハンドルのグリップを握っていることを検出するグリップ感圧センサと、前記グリップ感圧センサの出力に基づいて運転者が走行中に乗り物から離れたことを判定する離脱判定部とを有している請求項1乃至5のいずれかに記載のイベントデータレコーダ。
【請求項7】
乗り物の運転者が操作可能な入力装置を備え、
前記制御装置は、前記入力装置の操作に応じて前記記録装置の記録動作を制御する構成である請求項1乃至6のいずれかに記載のイベントデータレコーダ。
【請求項8】
イベントデータレコーダを備え、
前記イベントデータレコーダは、車載された機器の出力を保存するための記録装置と、運転者が車体から離れたことを判定する離脱判定装置と、前記離脱判定装置の判定に基づいて前記記録装置の記録動作を制御する制御装置とを有していることを特徴とする自動二輪車。
【請求項9】
前記車体のバンク角を検出するバンク角検知装置をさらに備え、
前記記録装置は、前記バンク角検知装置の出力を保存する構成である請求項8に記載の自動二輪車。
【請求項10】
前記車体に搭載されて走行駆動源となるエンジンをさらに備え、
前記記録装置は、前記エンジンのシリンダ部の後方に配置されている請求項8又は9に記載の自動二輪車。
【請求項11】
乗り物が走行状態であることを判定する走行状態判定工程と、
運転者が乗り物から離れたことを判定する離脱判定工程と、
走行状態において運転者の離脱が判定されると、少なくとも離脱前に、乗り物に搭載された機器から出力された出力情報を記録する記録工程とを備えていることを特徴とする情報記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−310766(P2008−310766A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160598(P2007−160598)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】