説明

イメージングユニット

【課題】 現像装置を備えたイメージングユニットにおいて、搬送時に加わる衝撃等によって現像装置の内部に収容された現像剤が外部に漏れ出したりするのを簡単に防止できるようにする。
【解決手段】 感光体21と対向する位置に開口部13が設けられた現像ハウジング11の内部に磁性を有する現像剤12が収容され、上記の開口部の近傍に現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラ14が設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材15が固定して設けられた現像装置10を備えたイメージングユニットにおいて、上記の現像剤と近接した開口部近傍の現像ハウジング内部側におけるマグネット部材の磁極S1と対向する現像ハウジングの位置から、現像ローラの外周を覆うようにして磁性フィルム30を、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極N1近傍の位置まで設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンタ,ファクシミリ、これらの複合機などに使用されるイメージングユニットに係り、特に、感光体と対向する位置に開口部が設けられた現像ハウジングの内部に磁性を有する現像剤が収容され、この現像ハウジングの開口部の近傍に上記の現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラが設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材が固定して設けられた現像装置を備えたイメージングユニットにおいて、搬送時に加わる衝撃等により、現像ハウジングの内部に収容された現像剤が上記の開口部から外部に漏れ出したりのするのを簡単に防止できるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機,プリンタ,ファクシミリ、これらの複合機などの画像形成装置においては、従来より、感光体と対向する位置に開口部が設けられた現像ハウジングの内部に磁性を有する現像剤が収容され、この現像ハウジングの開口部の近傍に上記の現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラが設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材が固定して設けられた現像装置を備えたイメージングユニットを使用したものが存在している。
【0003】
そして、上記のようなイメージングユニットを梱包して搬送する場合等において、このイメージングユニットに衝撃が加わると、現像ハウジング内に収容された現像剤が振動したり、上記の現像ローラが回転したりする等により、現像ハウジング内に収容された現像剤が開口部を通して外部に漏れ出すという問題があった。
【0004】
このため、従来においては、特許文献1に示されるように、現像ハウジングの開口部において現像ローラの外周を覆うようにしてシート部材を取り外し可能に設け、搬送時における衝撃等によって現像ハウジングの内部に収容された現像剤が開口部を通して外部に漏れ出すのを防止する一方、画像形成装置を使用する際に、このシート部材を取り外すようにしたものが提案されている。
【0005】
しかし、このように現像ハウジングの開口部において現像ローラの外周を覆うようにシート部材を設けた場合においても、搬送時における衝撃等によって、現像ハウジングの内部に収容された現像剤が開口部における現像ローラとシート部材との間に導かれ、上記のシート材を取り外した際に、現像ローラとシート部材との間に導かれた現像剤が外部に漏れ出すという問題があった。
【0006】
また、従来においては、特許文献2に示されるように、使用後の現像装置を回収して搬送する際に、現像装置内に残った現像剤が開口部から外部に漏れ出すのを防止するため、現像ローラを保護するカバーを設けると共に、このカバーに磁石を設けたものも提案されている。
【0007】
しかし、このように現像ローラを保護するカバーを設け、このカバーに磁石を設けるようにした場合、そのコストが高くつくと共に、使用前の現像装置において現像剤が開口部から外部に漏れ出すのを十分に防止することができず、また画像形成装置の使用前後において、このようなカバーを取り外したり、取り付けたりする作業が面倒になるという問題があった。
【特許文献1】特開2001−343830号公報
【特許文献2】特開平8−272207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、感光体と対向する位置に開口部が設けられた現像ハウジングの内部に磁性を有する現像剤が収容され、この現像ハウジングの開口部の近傍に上記の現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラが設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材が固定して設けられた現像装置を備えたイメージングユニットにおける上記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0009】
すなわち、本発明は、上記のようなイメージングユニットにおいて、搬送時に加わる衝撃等により、現像ハウジングの内部に収容された現像剤が、現像ハウジングに設けられた開口部から外部に漏れ出したりするのを簡単に防止できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明においては、上記のような課題を解決するため、感光体と対向する位置に開口部が設けられた現像ハウジングの内部に磁性を有する現像剤が収容され、この現像ハウジングの開口部の近傍に上記の現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラが設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材が固定して設けられた現像装置を備えたイメージングユニットにおいて、上記の現像剤と近接した開口部近傍の現像ハウジング内部側におけるマグネット部材の磁極と対向する現像ハウジングの位置から、上記の現像ローラの外周を覆うようにして磁性フィルムを、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍の位置まで設けた。
【0011】
ここで、上記の磁性を有する現像剤は、トナーと磁性キャリアとを含む二成分現像剤であっても、磁性を有する磁性トナーだけのものであってもよい。
【0012】
また、上記のように磁性フィルムを設けるにあたっては、上記の磁性フィルムを、上記の現像ローラの外周を覆うようにして、少なくとも感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極の位置まで設けることが好ましい。
【0013】
また、本発明におけるイメージングユニットにおいては、上記の現像装置と一緒に感光体を設けるようにすることができ、この場合、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍における磁性フィルムの端部が、上記の現像ローラと感光体との間で保持させるようにすることができ、またこのように磁性フィルムの端部を現像ローラと感光体との間で保持させる場合、この磁性フィルムの端部における感光体側の面に弾性部材を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のイメージングユニットにおいては、上記のように現像剤と近接した開口部近傍の現像ハウジング内部側におけるマグネット部材の磁極と対向する現像ハウジングの位置から、上記の現像ローラの外周を覆うようにして磁性フィルムを、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍まで設けたため、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極の磁力線が、この磁性フィルムを通して上記の開口部の近傍におけるマグネット部材の磁極に流れ、この開口部の近傍におけるマグネット部材の磁極と磁性フィルムとの間における磁力線の磁束密度が高くなる。
【0015】
この結果、このイメージングユニットを搬送したりする際において、このイメージングユニットに衝撃が加わって、現像ハウジング内に収容された現像剤が振動したり、現像ローラが回転したりした場合などにおいても、上記の開口部の近傍における磁性を有する現像剤は、開口部の近傍における上記のマグネット部材の磁極と磁性フィルムとの間における磁束密度が高くなった磁力線によって強く拘束されて開口部に導かれるのが防止され、現像剤が開口部から外部に漏れ出すのが防止されると共に、上記の磁性フィルムを取り外した際に、現像ローラと磁性フィルムとの間に導かれた現像剤が外部に漏れ出すということもない。
【0016】
また、上記の磁性フィルムを感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極の位置まで設けると、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極からの磁力線が確実に上記の磁性フィルムを通して開口部の近傍におけるマグネット部材の磁極に流れて、開口部の近傍におけるマグネット部材の磁極と磁性フィルムとの間における磁力線の磁束密度がさらに高くなり、現像剤が開口部から外部に漏れ出すのを一層防止できるようになる。
【0017】
また、本発明におけるイメージングユニットにおいて、上記の現像装置と一緒に感光体を設け、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍における磁性フィルムの端部を、上記の現像ローラと感光体との間で保持させるようにすると、上記の磁性フィルムの端部が現像ローラと感光体との間で確実に保持されるようになる。さらに、この磁性フィルムの端部における感光体側の面に弾性部材を設けると、イメージングユニットに衝撃が加わった場合などにおいて、感光体の表面が傷ついたりするのも防止されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、この発明の実施形態に係るイメージングユニットを添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係るイメージングユニットは、下記の実施形態に示したものに限定されず、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
【0019】
この実施形態に係るイメージングユニットにおいては、図1に示すように、1つの箱体1内に、現像装置10と感光体ユニット20とを収容させるようにしており、上記の感光体ユニット20には、感光体21と、感光体21の表面を帯電させる帯電装置22と、転写後の感光体21の表面に残留するトナーを除去するクリーニング部材23とが設けられている。
【0020】
一方、上記の現像装置10においては、現像ハウジング11の内部にトナーと磁性キャリアとを含む二成分の現像剤12が収容されると共に、この現像ハウジング11において上記の感光体21と対向する部分に開口部13が設けられ、この開口部13の近傍に上記の現像剤12を感光体21と対向する位置に導く現像ローラ14が設けられると共に、この現像ローラ14の内周側にマグネット部材15が固定して設けられ、また上記の現像ローラ14によって感光体21と対向する位置に導く現像剤12の量を規制する規制部材16が設けられている。
【0021】
また、上記の現像装置10においては、上記の現像ハウジング11内に隔壁17を介して第1及び第2の搬送路18a,18bが設けられると共に、この第1及び第2の搬送路18a,18b内に第1及び第2の攪拌搬送部材19a,19bが設けられ、この第1及び第2の攪拌搬送部材19a,19bを回転させて、上記の現像剤12を第1及び第2の搬送路18a,18b内において循環させると共に、上記の現像ローラ14側における第1搬送路18aにおける現像剤12を現像ローラ14に供給させるようになっている。
【0022】
そして、この実施形態のイメージングユニットにおいては、図1及び図2に示すように、現像装置10における現像ローラ14と感光体ユニット20における感光体21とを対向させ、現像ハウジング11内に収容された現像剤12と近接した側の開口部13の近傍において、現像ハウジング11の内部側におけるマグネット部材15の磁極S1と対向するようにして、磁性フィルム30の一方の端部を現像ハウジング11の外周側に貼着させると共に、この磁性フィルム30を現像ローラ14の外周を覆うようにして感光体21と対向する位置におけるマグネット部材15の磁極N1の位置に導き、この磁性フィルム30の他方の端部を上記の現像ローラ14と感光体21との間で挟み込むようにして保持させている。
【0023】
このようにして磁性フィルム30を設けると、図2に示すように、感光体21と対向する位置におけるマグネット部材15の磁極N1からの磁力線がこの磁性フィルム30を通して上記の開口部13の近傍におけるマグネット部材15の磁極S1に流れ、このマグネット部材15の磁極S1と磁性フィルム30との間における磁力線の磁束密度が高くなる。
【0024】
このため、上記のマグネット部材15の磁極S1の近傍における磁性を有する現像剤12が、このマグネット部材15の磁極S1と磁性フィルム30との間における磁束密度が高くなった磁力線により強く拘束されて、このマグネット部材15の磁極S1を越えて開口部13側に移動するのが防止されるようになる。
【0025】
この結果、上記のイメージングユニットを搬送する場合などにおいて、このイメージングユニットに衝撃が加わり、現像ハウジング11内に収容された現像剤12が振動したり、現像ローラ14が回転したりした場合においても、現像剤12が開口部13に導かれて外部に漏れ出すのが防止されると共に、上記の磁性フィルム30を取り外した際に、現像剤12が外部に漏れ出すのも防止されるようになる。
【0026】
また、上記のように磁性フィルム30の端部を現像ローラ14と感光体21との間で挟み込むようにして保持させるにあたり、図3に示すように、この磁性フィルム30の端部における感光体21側の面に弾性部材31を設けると、上記のようにイメージングユニットに衝撃が加わった場合においても、感光体21の表面が傷つくのが防止される。
【0027】
また、この実施形態におけるイメージングユニットにおいては、1つの箱体1内に現像装置10と感光体ユニット20とを収容させて、上記の磁性フィルム30の端部を現像ローラ14と感光体21との間で挟み込むようにして保持させるようにしたが、箱体1内に現像装置10だけを収容させることも可能であり、また上記の磁性フィルム30を強磁性体で構成し、この磁性フィルム30の端部を上記のマグネット部材15の磁極N1からの磁力により現像ローラ14の表面に吸着させて保持させるようにすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係るイメージングユニットを示した概略説明図である。
【図2】同実施形態のイメージングユニットにおいて、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極からの磁力線が磁性フィルムを通して開口部の近傍におけるマグネット部材の磁極に流れる状態を示した概略説明図である。
【図3】同実施形態のイメージングユニットにおいて、現像ローラと感光体との間で挟み込むようにして保持させる磁性フィルムの端部における感光体側の面に弾性部材を設けた状態を示した概略説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 箱体
10 現像装置
11 現像ハウジング
12 現像剤
13 開口部
14 現像ローラ
15 マグネット部材
16 規制部材
17 隔壁
18a 第1搬送路
18b 第2搬送路
19a 第1攪拌搬送部材
19b 第2攪拌搬送部材
20 感光体ユニット
21 感光体
22 帯電装置
23 クリーニング部材
30 磁性フィルム
31 弾性部材
N,S,N1,S1 マグネット部材の磁極
g 磁力線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と対向する位置に開口部が設けられた現像ハウジングの内部に磁性を有する現像剤が収容され、この現像ハウジングの開口部の近傍に上記の現像剤を感光体と対向する位置に導く現像ローラが設けられると共に、この現像ローラの内周側にマグネット部材が固定して設けられた現像装置を備えたイメージングユニットにおいて、上記の現像剤と近接した開口部近傍の現像ハウジング内部側におけるマグネット部材の磁極と対向する現像ハウジングの位置から、上記の現像ローラの外周を覆うようにして磁性フィルムが、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍の位置まで設けられていることを特徴とするイメージングユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のイメージングユニットにおいて、上記の現像剤がトナーと磁性キャリアとを含むことを特徴とするイメージングユニット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のイメージングユニットにおいて、上記の磁性フィルムが、上記の現像ローラの外周を覆うようにして、少なくとも感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極の位置まで設けられていることを特徴とするイメージングユニット。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のイメージングユニットにおいて、上記の現像装置と一緒に感光体が設けられ、感光体と対向する位置におけるマグネット部材の磁極近傍における上記の磁性フィルムの端部が、上記の現像ローラと感光体との間で保持されてなること特徴とするイメージングユニット。
【請求項5】
請求項4に記載のイメージングユニットにおいて、上記の現像ローラと感光体との間で保持される磁性フィルムの端部における感光体側の面に弾性部材が設けられていることを特徴とするイメージングユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−58535(P2009−58535A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−223024(P2007−223024)
【出願日】平成19年8月29日(2007.8.29)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】