インキュベータ、スケジュール管理方法およびプログラム
【課題】 インキュベータでの試料観察におけるスケジュールの重複を未然に防止できる手段を提供する。
【解決手段】 インキュベータの入力部は、観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、観察シーケンスでの指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける。演算部は、上記の撮像条件に応じて、培養容器の搬送時間に関する第1データと、撮像動作の所要時間に関する第2データとから指定培養容器の観察所要時間を演算する。スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、指定培養容器の観察シーケンスを既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出し、登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う。
【解決手段】 インキュベータの入力部は、観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、観察シーケンスでの指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける。演算部は、上記の撮像条件に応じて、培養容器の搬送時間に関する第1データと、撮像動作の所要時間に関する第2データとから指定培養容器の観察所要時間を演算する。スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、指定培養容器の観察シーケンスを既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出し、登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の培養に適した環境条件を維持可能な恒温室を備えたインキュベータとその周辺技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の微生物や細胞などの試料を培養するために恒温室を備えたインキュベータが一般的に用いられている。かかる恒温室内では、複数の培養容器で試料を同時培養することが一般的である。
【0003】
一方、インキュベータについては、培養容器の試料に対する自動観察機能を付加することも提案されている。一例として、特許文献1には、試料のタイムラプス観察を自動的に実行する培養顕微鏡の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−11415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インキュベータ内での試料の観察を自動化する場合には、観察スケジュールの管理が非常に重要となる。特に複数の培養容器の観察スケジュールが重複すると、ユーザーの希望する時間帯および観察回数での試料の記録が残せなくなる可能性が高まり、装置の有用性が著しく低下することとなる。上記の特許文献1では、観察スケジュールの重複防止については十分な検討がされておらず、この点でなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためのものである。本発明の目的は、インキュベータでの試料観察におけるスケジュールの重複を未然に防止できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のインキュベータは、恒温室と、撮像部と、搬送機構と、制御部と、第1メモリと、第2メモリと、入力部と、演算部と、スケジュール管理部とを備える。恒温室は、複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能である。撮像部は、恒温室内において培養容器内の試料の状態を撮像する。搬送機構は、収納部および撮像部の間で培養容器を移動させる。制御部は、撮像部および搬送機構を制御して培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する。第1メモリは、搬送機構による培養容器の搬送時間に関する第1データと、撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録する。第2メモリは、スケジュールデータを記録する。このスケジュールデータには、観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールが、各々の培養容器と対応付けて登録されている。入力部は、観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、観察シーケンスでの指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける。演算部は、上記の撮像条件に応じて、第1データおよび第2データから指定培養容器の観察所要時間を演算する。スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、指定培養容器の観察シーケンスを既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する。また、スケジュール管理部は、登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、スケジュール管理部は、ユーザーの入力に基づいて指定培養容器の観察スケジュールをスケジュールデータに登録するとともに、登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を不能化する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、演算部は、観察スケジュールの登録後に撮像条件の変更入力があったときに指定培養容器の観察所要時間を再び演算する。また、スケジュール管理部は、観察所要時間の増加によって観察スケジュールの重複が発生するときに、ユーザーに対して注意を促す報知出力を行う。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、搬送機構は、ユーザーの入力に応じて培養容器を恒温室から搬出する。また、スケジュール管理部は、搬出対象となる培養容器の観察シーケンスが実行されているときに、ユーザーに注意を促す報知出力を搬出に先立って行う。
【0010】
第5の発明は、第1の発明において、スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、任意の培養容器に関する観察スケジュールの登録状態を表示出力する。
【0011】
第6の発明は、第1の発明において、外部のコンピュータと通信可能な通信部をインキュベータがさらに備える。そして、通信部は、第1の入力および第2の入力をコンピュータから受信するとともに、登録可能時間帯を示す表示出力をコンピュータに送信する。
【0012】
第7の発明は、第1の発明において、入力部は、指定培養容器のタイムラプス観察の条件を規定する第3の入力をさらに受け付ける。また、スケジュール管理部は、タイムラプス観察の条件に応じて各々の観察時期が異なる指定培養容器の観察スケジュールを複数設定する。そして、スケジュール管理部は、タイムラプス観察による各々の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する。
【0013】
第8の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、タイムラプス観察での登録可能時間帯として、タイムラプス観察の初回分の時間帯を表示出力する。
【0014】
第9の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、登録可能時間帯を抽出できないときに、登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の条件の提示出力および警告出力の少なくとも一方を行う。
【0015】
第10の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、登録可能時間帯を抽出できないときに、タイムラプス観察による観察スケジュールのいずれかをシフトさせる。
【0016】
なお、上記の各発明の内容を、培養容器の観察に関するスケジュール管理方法やコンピュータプログラムなどに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像条件に応じた観察所要時間に基づき、既登録の観察スケジュールと重複しない登録可能時間帯がユーザーに提示され、スケジュールの重複が未然に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(本実施形態のインキュベータの構成)
以下、図面を参照しつつ本実施形態のインキュベータの構成を詳細に説明する。図1は、本実施形態のインキュベータのブロック図である。また、図2,図3は、本実施形態のインキュベータの正面図である。
【0019】
本実施形態のインキュベータ11は、試料の培養を行う第1筐体12と、制御ユニット14を収納する第2筐体13とを有している。インキュベータ11の組立状態において、第1筐体12は第2筐体13の上に配置される。
【0020】
まず、第1筐体12の構成の概要を説明する。
【0021】
第1筐体12の内部には、断熱材で覆われた恒温室15が形成されている。この恒温室15は、第1筐体12の正面に形成された正面開口16と、図2,図3において第1筐体12の左側面に形成された搬出入口17とによって外部と連絡している。第1筐体12の正面開口16は、観音開きの正面扉18によって開閉可能に閉塞される。また、第1筐体12の搬出入口17は、スライド式の自動扉19によって開閉可能に閉塞される。なお、搬出入口17の大きさは培養容器(30)が通過可能なサイズに設定されている。一方、第1筐体12の底面には、正面側からみて右寄りの位置に開口20が形成されている。なお、後述する観察ユニット(28)は、上記の開口20を介して恒温室15内に配置される。
【0022】
また、図4は、第1筐体12の恒温室15の内部を示す図である。恒温室15の壁面には、温度調整装置21と、噴霧装置22と、ガス導入部23と、環境センサユニット24とがそれぞれ内蔵されている。
【0023】
温度調整装置21はペルチェ素子を有しており、ペルチェ効果によって恒温室15の加熱または冷却を行う。噴霧装置22は、恒温室15内に噴霧を行って恒温室15内の湿度を調整する。ガス導入部23は二酸化炭素ボンベ(不図示)と接続されている。このガス導入部23は恒温室15に二酸化炭素を導入することで、恒温室15内の二酸化炭素濃度を調整する。環境センサユニット24は、恒温室15内における温度、湿度、二酸化炭素濃度をそれぞれ検出する。
【0024】
図2,図3に戻って、インキュベータ11の組立状態において、恒温室15の内部には、ストッカー25と、容器搬出入機構26と、容器搬送機構27と、観察ユニット28の一部とがそれぞれ配置される。
【0025】
ストッカー25は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の左側に配置される。図5は、筐体側面方向からみたストッカー25を示す図である。ストッカー25は複数の棚を有しており、各々の棚には、培養容器30を収納することができる。ここで、図6に試料の培養を行う培養容器30の構成の一例を示す。本実施形態の培養容器30としては、ウェルプレート、フラスコ、ディッシュなどが用いられる。各々の培養容器30には、液体培地とともに培養対象の試料(細胞など)が収納される。また、上記の培養容器30は、透明なトレー状のホルダー31に載置されて取り扱われる。このホルダー31の両側面にはそれぞれ支持片32が外向きに形成されている。なお、培養容器30によっては複数の小容器を有するものもあり、この場合には1つのホルダー31上で小容器ごとにそれぞれ試料を培養できる。
【0026】
また、インキュベータ11の組立状態において、ストッカー25の最下段は第1筐体12の搬出入口17の位置に対応する。そして、ストッカー25の最下段のスペースには、培養容器30を搬出入するための容器搬出入機構26が設置される。この容器搬出入機構26は、培養容器30およびホルダー31を載置可能な搬送テーブル26aと、搬送テーブル26aを搬出入口17の外部へ往復動させるモータユニット26bとを有している。
【0027】
容器搬送機構27は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の中央に配置される。図7から図9は容器搬送機構27の構成を示す図である。この容器搬送機構27は、長方形状の基台41と、垂直フレーム42と、搬送アーム部43とを有している。なお、容器搬送機構27の各部は、基台41などに内蔵されたモータ(不図示)によって駆動する。また、容器搬送機構27の各部の位置は、エンコーダなどで制御ユニット14にモニタされる。
【0028】
基台41には、垂直フレーム42が前後方向(図中のY方向)に移動可能に取り付けられている。垂直フレーム42は上下方向に延長する一対のガイドレールで構成されている。この垂直フレーム42の間には、搬送アーム部43が上下方向(図中のZ方向)に移動可能に取り付けられている。
【0029】
また、搬送アーム部43は、容器支持部44と、摺動機構部45とを有している。容器支持部44の本体は、ホルダー31の全体の幅よりも若干幅広に設定されている。この容器支持部44の両側縁には、下向きに1組の引掛爪46が形成されている。そして、ホルダー31の支持片32と引掛爪46との係合により、容器支持部44はホルダー31を支持できるように構成されている。一方、摺動機構部45は容器支持部44の上面側に配置されており、容器支持部44を左右方向(図中のX方向)に摺動させる。かかる摺動機構部45の動作により、ストッカー25、容器搬出入機構26、観察ユニット28のいずれかと、容器搬送機構27との間で培養容器30を載置したホルダー31の受け渡しが可能となる。
【0030】
観察ユニット28は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット28は第1筐体12の底面の開口20に嵌め込まれて配置される。この観察ユニット28は、試料台47と、試料台47の上方に張り出したアーム48と、本体部分49とを有している。そして、試料台47およびアーム48は第1筐体12の恒温室15内に配置される一方で、本体部分49は第2筐体13に収納される。
【0031】
図10は観察ユニット28の構成を示す概略図である。観察ユニット28は、試料台47と、第1照明部51および第2照明部52と、顕微観察部53と、容器観察部54と、画像処理部55とを有している。
【0032】
試料台47は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器30がホルダー31ごと載置される。この試料台47は水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されており、顕微観察部53および容器観察部54に対してホルダー31の位置を調整することができる。
【0033】
また、第1照明部51はアーム48内に配置されており、試料台47の上側から培養容器30を照明する。一方、第2照明部52は本体部分49に内蔵されており、試料台47の下側から培養容器30を照明する。
【0034】
顕微観察部53は本体部分49に内蔵されており、顕微光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この顕微観察部53は、第1照明部51の照明光によって試料を顕微鏡観察した画像(顕微観察画像)を撮像する。
【0035】
容器観察部54はアーム48に収納されており、撮影光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この容器観察部54は、第2照明部52の照明光によって培養容器30の全体観察画像を撮像する。
【0036】
画像処理部55は、顕微観察部53および容器観察部54からの画像出力をA/D変換するとともに、顕微観察画像または全体観察画像のデータをそれぞれ生成する。
【0037】
次に、第2筐体13の構成の概要を説明する。第2筐体13には、上記の観察ユニット28の本体部分49と、制御ユニット14とが格納される。また、第2筐体13の前面には、モニタ56aおよび入力釦56bを備えた操作パネル56が配置されている。なお、制御ユニット14には、通信回線57を介してコンピュータ58を接続することも可能である。
【0038】
ここで、制御ユニット14は、自動扉19の扉開閉機構19a、温度調整装置21、噴霧装置22、ガス導入部23、環境センサユニット24、容器搬出入機構26、容器搬送機構27、観察ユニット28、操作パネル56のモニタ56aおよび入力釦56bとそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット14は、所定のプログラムに従ってインキュベータ11の各部を統括的に制御する。
【0039】
一例として、制御ユニット14は、温度調整装置21、噴霧装置22、ガス導入部23、環境センサユニット24をそれぞれ制御して恒温室15内を所定の環境条件に維持する。また、制御ユニット14は、ユーザーの設定した観察スケジュールに基づいて、観察ユニット28および容器搬送機構27を制御して、培養容器30の観察シーケンスを自動的に実行する。
【0040】
ここで、制御ユニット14は、通信部61と、データベース部62と、第1メモリ63および第2メモリ64と、CPU65とを有している。なお、通信部61、データベース部62、第1メモリ63および第2メモリ64はそれぞれCPU65と接続されている。
【0041】
通信部61は、無線または有線の通信回線57を介して、インキュベータ11の外部にあるコンピュータ58とのデータ送受信を実行する。
【0042】
データベース部62は、ストッカー25に収納された各々の培養容器30に関する管理データが記録される。上記の管理データには、例えば、培養容器30およびホルダー31の識別情報、培養容器30の種類および形状、ストッカー25上での培養容器30の収納位置などが含まれる。
【0043】
また、データベース部62には、顕微観察画像および全体観察画像のデータファイルや、恒温室15内での環境条件(温度、湿度、二酸化炭素濃度)の履歴情報などを記録する記録領域が設けられている。なお、上記のデータファイルでは、撮像された培養容器30の識別情報、撮影日時、撮影条件などを示すメタデータが、画像のデータに対応付けされている。
【0044】
第1メモリ63には、上記の観察シーケンスでの観察所要時間を演算するための各種データが記録されている。例えば、第1メモリ63には、培養容器30の搬送時間に関する第1データと、観察ユニット28による撮像動作の所要時間に関する第2データとがそれぞれ記録されている。
【0045】
より具体的には、第1データの搬送時間は、ストッカー25から観察ユニット28まで容器搬送機構27が培養容器30を搬送するときの所要時間と、その誤差分の時間とを合計して求められる。なお、培養容器30の搬送時間はストッカー25上での収納位置に応じて変化するが、本実施形態では、培養容器30が観察ユニット28から最も遠い位置にある場合(各々の搬送時間のうちの最大値)を基準として上記の搬送時間が決定される。
【0046】
また、第2データには、観察ユニット28に関する動作のパラメータと、そのパラメータに対応する所要時間との対応関係がテーブル化されて記録されている。
【0047】
一例として、本実施形態の第2データには、(1)容器観察部54による全体観察画像の撮像時間、(2)培養容器30を所定の撮像位置に導くための位置調整時間、(3)顕微観察部53および容器観察部54のAF動作時間、(4)顕微観察部53の対物レンズの倍率を変更するときの所要時間、(5)顕微観察部53と試料との高さ方向の位置を変化させて複数フレームを撮像する場合の撮像時間、などの項目が含まれる。そして、上記(1)から(5)までの第2データの各項目については、撮像条件、装置の構成、培養容器30の形状などのパラメータに応じた所要時間の値がそれぞれ設定されている。
【0048】
第2メモリ64には、上記の観察シーケンスのスケジュールデータが記録される。このスケジュールデータには、各々の観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールが、各々のホルダー31の識別情報と対応付けて登録されている。なお、各々の観察スケジュールには、観察シーケンスにおいて観察ユニット28の撮像条件を規定するデータなどが対応付けされている。
【0049】
CPU65は、制御ユニット14の各種の演算処理を実行するプロセッサである。このCPU65は、後述する観察スケジュールの登録処理において、培養容器30の観察所要時間の演算を行う演算部66や、観察スケジュールの登録処理を行うスケジュール管理部67として機能する。さらに、CPU65は、観察スケジュールを管理するためのタイマ68としても機能する。
【0050】
(観察スケジュールの登録処理の説明)
以下、図11の流れ図に沿って、観察スケジュールの登録処理におけるCPU65の動作を説明する。なお、培養容器30の観察スケジュールの登録の操作は、インキュベータ11の操作パネル56またはインキュベータ11に接続されたコンピュータ58からユーザーが実行する。
【0051】
ステップ101:制御ユニット14のCPU65は、ユーザーの操作に応じて観察スケジュールの登録処理を立ち上げる。このとき、CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、「観察スケジュールの新規登録」と、「既登録の観察スケジュールの変更」と、「登録処理の終了」との選択を促す表示を行う。そして、CPU65は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から上記の項目のいずれかの選択入力を受け付けるとS102に移行する。
【0052】
ステップ102:CPU65は、「登録処理の終了」の入力を受け付けたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、CPU65は観察スケジュールの登録処理を終了する。一方、他の選択項目の入力を受け付けた場合(NO側)には、CPU65はS103に移行する。
【0053】
ステップ103:CPU65は、「観察スケジュールの新規登録」の入力を受け付けたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、CPU65はS104に移行する。一方、「既登録の観察スケジュールの変更」の入力を受け付けた場合(NO側)には、CPU65はS113に移行する。
【0054】
ステップ104:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、観察スケジュールを設定する培養容器30を選択させる選択画面を表示する。
【0055】
ここで、S104における選択画面の一例を図12に示す。この選択画面では、観察スケジュールの設定対象となる培養容器30がGUI(Graphical User Interface)形式のアイコンで表示される。選択画面上でのアイコンの配置は、ストッカー25の培養容器30の配置と対応する。そして、ユーザーは、上記のアイコンを選択入力することで、観察スケジュールの設定対象となる培養容器30をCPU65に指示できる。なお、CPU65は、S104で培養容器30の選択入力を受け付けるとS105に移行する。
【0056】
図12の選択画面において、各々のアイコンには培養容器30の種類を示す種別マークが表示される。さらに、スケジュールデータに観察スケジュールの登録がある培養容器30のアイコンには、カメラ型のマークが表示される。また、複数のユーザーでインキュベータ11を使用するときには、各々の培養容器30にユーザーのID登録を行うこともできる。この場合において、図12の選択画面では、そのユーザーのIDに対応する培養容器30のみが観察スケジュールの設定対象となる。なお、選択画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0057】
ステップ105:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、撮像条件の詳細設定画面を表示する。
【0058】
ここで、S105における撮像条件の詳細設定画面の一例を図13に示す。この撮像条件の詳細設定画面では、画面の左半分に培養容器30の形状を示すアイコンが表示される。また、詳細設定画面の右半分には、撮像条件を指定するためのアイコンが表示されている。
【0059】
培養容器30の形状を示すアイコンでは、ホルダー31上に複数の容器があるときに、いずれの容器を撮像するかをユーザーがCPU65に指示できる。
【0060】
一方、詳細設定画面の右半分のアイコンでは、(1)顕微観察部53の対物レンズの倍率(2倍,4倍,10倍,20倍)の指定と、(2)容器内の観察地点の指定とを、CPU65に対してユーザーが行うことができる。また、図13のデフォルトの項目をユーザーが選択すると、初期設定の撮影条件(例えば、10倍および20倍の対物レンズによる5点観察など)がCPU65に入力されることとなる。なお、観察地点については、ユーザーがカスタマイズを行うことも可能である。
【0061】
また、撮像条件の詳細設定画面が表示されているときに、ユーザーは、顕微観察部53で撮像する顕微観察画像のフレーム数も同時に設定することができる。なお、撮像条件の詳細設定画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0062】
ステップ106:CPU65は、培養容器30の観察所要時間を演算する。
【0063】
具体的には、CPU65は、観察シーケンスにおける培養容器30の往復分の搬送時間を第1メモリ63の第1データから求める。また、CPU65は、S105で設定された撮像条件に基づいて、撮像条件のパラメータに対応する所要時間を第1メモリ63の第2データから求める。そして、CPU65は第1データおよび第2データから求めた各々の所要時間を合計する。その後、CPU65は、上記の所要時間の合計値を、スケジュールデータの単位時間(例えば10分)の倍数となるように端数を切り上げて、最終的な観察所要時間を取得する。
【0064】
ステップ107:CPU65は、登録可能時間帯の抽出を行う。具体的には、まず、CPU65は、第2メモリ64のスケジュールデータから、観察スケジュールの登録がない空き時間をすべて抽出する。そして、CPU65は、上記の空き時間のうちから、観察所要時間(S106で求めたもの)以上の時間帯を登録可能時間帯として抽出する。
【0065】
なお、ホルダー31が共通する培養容器30の観察スケジュールを連続して登録する場合、2つの観察スケジュールの間で培養容器30をストッカー25に搬出入する処理が不要となる。そのため、上記の場合には、CPU65は一方の観察スケジュールにおける搬送時間の分を予め差し引いてから登録可能時間帯を演算する。
【0066】
ステップ108:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、S107で求めた登録可能時間帯を表示する。
【0067】
ここで、S108での登録可能時間帯の表示画面の一例を図14に示す。この登録可能時間帯の表示画面では、既登録の観察スケジュールと、上記の登録可能時間帯とが一覧表示される。なお、図14では、既登録の観察スケジュールをハッチングで示し、登録可能時間帯を空欄部分として示す。
【0068】
そして、ユーザーは登録可能時間帯のうちから所望の時間帯を指定して、第2メモリ64に観察スケジュールを登録することができる。なお、登録可能時間帯の表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0069】
ここで、上記の登録可能時間帯の表示画面において、CPU65は登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を予め不能化する。すなわち、登録可能時間帯の表示画面では、既登録の観察スケジュールと重複する時間帯に新規の観察スケジュールが登録できないようになっている。
【0070】
ステップ109:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、観察スケジュールの登録の入力(例えば、図14での登録ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。観察スケジュールが登録された場合(YES側)には、CPU65はS110に移行する。一方、観察スケジュールの登録がない場合(NO側)には、CPU65はS111に移行する。
【0071】
ステップ110:CPU65は、観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに登録する。なお、CPU65は、ユーザーの操作に応じて、任意の培養容器30に関する観察スケジュールの登録状態の一覧表を操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に表示することもできる(図15参照)。この観察スケジュールの一覧表示によってユーザーは培養容器30の観察スケジュールを一層把握しやすくなり、装置の利便性がより向上することとなる。
【0072】
ステップ111:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、撮像条件の再設定の入力(例えば、図14での撮像条件変更ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。撮像条件の再設定の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS105に戻って上記動作を繰り返す。一方、撮像条件の再設定の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS112に移行する。
【0073】
ステップ112:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、登録終了の入力(例えば、図14での終了ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。登録終了の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS102に戻って上記動作を繰り返す。
【0074】
一方、登録終了の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS109に戻って上記動作を繰り返す。すなわち、この場合(S112のNO側)には、S108の表示画面において、ユーザーは、同一の培養容器30に関する観察スケジュールをCPU65に対して逐次登録することが可能となる。
【0075】
ステップ113:CPU65は、変更対象となる観察スケジュールの選択を受け付ける画面を操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に表示する。一例として、S113でのCPU65は、観察スケジュールの一覧表示画面(図14とほぼ同様の画面)を表示して、ユーザーに変更対象となる観察スケジュールを直接指定させる。
【0076】
なお、S113でのCPU65は、図12の選択画面で培養容器30をユーザーに選択させて既登録の観察スケジュールを絞り込み、その後に変更対象となる観察スケジュールをさらに指定させてもよい。
【0077】
ステップ114:CPU65は、観察スケジュールの変更中止の入力を受け付けたか否かを判定する。変更中止の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS102に戻って上記動作を繰り返す。一方、変更対象の観察スケジュールの指定の入力があった場合(NO側)には、CPU65はS115に移行する。
【0078】
ステップ115:S113で変更対象の観察スケジュールの指定が行われると、CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、撮像条件の詳細設定画面を表示する。そして、ユーザーは撮像条件の詳細設定画面において、その観察スケジュールにおける撮像条件の変更を行う。なお、S115でのCPU65の動作は、上記のS105と共通するので重複説明を省略する。
【0079】
ステップ116:CPU65は、S115での撮像条件の変更に応じて、培養容器30の観察所要時間を再び演算する。なお、S116でのCPU65の動作は、上記のS106と共通するので重複説明を省略する。
【0080】
ステップ117:CPU65は、S116で求めた観察所要時間が変更前よりも増加しているか否かを判定する。観察所要時間が増加している場合(YES側)には、CPU65はS118に移行する。一方、観察所要時間が変更前と変わらないか、または減少している場合(NO側)には、CPU65はS120に移行する。
【0081】
ステップ118:CPU65は、変更対象の観察スケジュールの観察所要時間の増加によって、前後の時間帯に設定された他の観察スケジュールとの重複が発生するか否かを判定する。観察スケジュールの重複が発生する場合(YES側)には、CPU65はS119に移行する。一方、観察スケジュールの重複が発生しない場合(NO側)には、CPU65はS120に移行する。
【0082】
ステップ119:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、スケジュールの重複が発生する旨の警告を表示する。その後、CPU65は、変更後の観察スケジュールを登録することなくS114に戻る。この場合には、ユーザーは、観察スケジュールの変更を中止するか、あるいは撮像条件を再び設定し直すこととなる。
【0083】
ステップ120:CPU65は、変更後の観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに上書きして登録する。すなわち、この場合には、観察スケジュールの重複が発生しないため、CPU65は変更後の観察スケジュールをそのまま登録する。その後、CPU65は、S102に戻って上記動作を繰り返す。以上で、図11の流れ図の説明を終了する。
【0084】
本実施形態では、ユーザーの指定した撮像条件に応じてCPU65が培養容器30の観察所要時間を演算する。そして、CPU65は、既登録の観察スケジュールと重複せずに観察シーケンスを実行できる登録可能時間帯を抽出し、その結果をモニタに表示する。そのため、ユーザーが登録可能時間帯から観察シーケンスを実行する時間を選択することで、培養容器30の観察スケジュールの重複が未然に防止される。特に、本実施形態でのCPU65は、登録可能時間帯以外での観察スケジュールを予め不能化するので、より確実に観察スケジュールの重複を防止できる。
【0085】
また、本実施形態でのCPU65は、既登録の観察スケジュールを変更するときに、観察所要時間の増加によって他の観察スケジュールとの重複が生じる場合に警告を行うので、培養容器30の観察スケジュールの重複をより確実に防止できる。
【0086】
なお、本実施形態では、インキュベータ11に通信回線57を介して接続された遠隔地のコンピュータ58からでもユーザーは観察スケジュールの登録を行うことができるので、装置の利便性がより向上する。
【0087】
(観察シーケンスの動作の説明)
次に、図16の流れ図に沿って、上記の観察シーケンスでのCPU65の動作を説明する。
【0088】
ステップ201:CPU65は、第2メモリ64の観察スケジュールと現在日時とを比較して、培養容器30の観察開始時間が到来したか否かを判定する。観察開始時間となった場合(YES側)にはS202に移行する。一方、培養容器30の観察時間ではない場合(NO側)には、CPU65は次の観察スケジュールの時刻まで待機する。
【0089】
ステップ202:CPU65は、観察スケジュールに対応する培養容器30の搬送を容器搬送機構27に指示する。そして、容器搬送機構27は、指示された培養容器30をストッカー25から搬出して観察ユニット28の試料台47に載置する。
【0090】
ステップ203:CPU65は、観察ユニット28に対して全体観察画像の撮影を指示する。観察ユニット28は、第2照明部52を点灯させて培養容器30を照明するとともに、容器観察部54の撮像素子で培養容器30の全体観察画像を撮像する。
【0091】
ステップ204:CPU65は、観察ユニット28に対して顕微観察画像の撮影を指示する。観察ユニット28は、第1照明部51を点灯させて培養容器30を照明するとともに、顕微観察部53の撮像素子で培養容器30の顕微観察画像を撮像する。このとき、観察ユニット28は、第2メモリ64に登録された観察スケジュールのデータに基づいて、ユーザーの設定した撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点、フレーム数など)で顕微観察画像を撮像する。
【0092】
ステップ205:CPU65は、顕微観察画像の終了後に、培養容器30の搬送を容器搬送機構27に指示する。そして、容器搬送機構27は、指示された培養容器30を観察ユニット28の試料台47からストッカー25の所定の収納位置に搬送し、観察シーケンスを終了してS201に戻る。以上で、図16の流れ図の説明を終了する。
【0093】
このように、本実施形態のインキュベータ11では、観察スケジュールに基づいて培養容器30の試料の自動観察を実行することができる。
【0094】
(培養容器の搬出時の動作説明)
次に、図17の流れ図に沿って、培養容器30の搬出時におけるCPU65の動作を説明する。
【0095】
ステップ301:CPU65は、操作パネル56の入力釦56bから培養容器30の搬出指示入力を受け付けたか否かを判定する。搬出指示入力を受け付けた場合(YES側)には、CPU65はS302に移行する。一方、搬出指示入力がない場合(NO側)には、CPU65は搬出指示入力を待機する。
【0096】
ステップ302:CPU65は、S301の搬出指示入力で搬出対象となった培養容器30が観察シーケンスの実行状態か否かを判定する。このS302の判定において、CPU65はスケジュールデータを参照し、一定時間以内に観察シーケンスが開始される場合も上記の実行状態とみなしてもよい。
【0097】
搬出対象が観察シーケンスの実行状態である場合(YES側)には、CPU65はS303に移行する。一方、搬出対象が観察シーケンスの実行状態にない場合(NO側)には、CPU65はS304に移行する。
【0098】
ステップ303:CPU65は、搬出対象が観察シーケンスの実行状態にある旨の警告表示を操作パネル56のモニタ56aに表示する。また、警告表示を行ったときには、CPU65は、観察シーケンスの実行状態にある培養容器30を搬出するか否かの確認入力をユーザーに要求する。そして、CPU65は、上記の確認入力で、培養容器30の搬出をユーザーが選択した場合のみ、後述のS304とほぼ同様の工程で培養容器30を恒温室15の外に搬出する。
【0099】
かかる警告表示および確認入力の要求によって、観察シーケンスの実行中にユーザーが誤って培養容器30を搬出するおそれは著しく軽減することとなる。
【0100】
ステップ304:CPU65は、容器搬出入機構26および容器搬送機構27に対して、搬出対象の培養容器30を恒温室15外へ排出する指示を指示を行う。容器搬送機構27は、指示された培養容器30をストッカー25から容器搬出入機構26に受け渡す。そして、CPU65は搬出入口17の自動扉19を開放するとともに、容器搬出入機構26に培養容器30を恒温室15外に排出させる。以上で、図17の流れ図の説明を終了する。
【0101】
(観察スケジュールの登録処理の変形例の説明)
また、図18は、観察スケジュールの登録処理の変形例を示している。なお、図18の動作例でのインキュベータの構成は、上記実施形態と共通であるので重複説明は省略する。
【0102】
図18の例では、CPU65がタイムラプス観察の観察スケジュールの一括登録を実行できる。なお、図18の例では、簡単のため、「観察スケジュールの新規登録」を行う場合を前提として説明を行う。
【0103】
ステップ401:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、観察スケジュールを設定する培養容器30を選択させる選択画面を表示する。なお、S401での処理は、図11のS104と共通するので重複説明を省略する。
【0104】
ステップ402:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に撮像条件の詳細設定画面を表示する。なお、S402での処理は、図11のS105と共通するので重複説明を省略する。
【0105】
ステップ403:CPU65は、S401およびS402の入力に基づいて、タイムラプス観察の1回分の観察所要時間を演算する。なお、S403での処理は、図11のS106と共通するので重複説明を省略する。
【0106】
ステップ404:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、タイムラプス観察の条件入力を受け付ける表示画面を表示する。
【0107】
ここで、S404における表示画面の一例を図19に示す。この表示画面(図19の画面左側)では、タイムラプス観察の条件として、タイムラプス観察の間隔(インターバル)と、タイムラプス観察の回数と、タイムラプス観察の期間とを入力することができる。そして、(1)タイムラプス観察の間隔および回数が入力された状態で画面上の確定釦(SET)が押圧されるか、(2)タイムラプス観察の間隔および期間が入力された状態で画面上の確定釦(SET)が押圧されると、CPU65はS405に処理を移行する。なお、表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0108】
ステップ405:CPU65は、タイムラプス観察の条件(S404)に基づいて、タイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出する。具体的には、S405でのCPU65は、以下の(1)から(4)の処理を実行する。
【0109】
(1)CPU65は、第2メモリ64のスケジュールデータから、観察スケジュールの登録がなく、かつ観察所要時間(S403で求めたもの)以上となる空き時間を抽出する。
【0110】
(2)CPU65は、上記(1)の空き時間のうちで任意の時点を開始点として、タイムラプス観察の条件(S404)による時間間隔および回数(または期間)に従って、培養容器30の複数の観察スケジュールを仮設定する。なお、仮設定における観察スケジュールの1回分の時間は、S403で求めた観察所要時間に対応する。
【0111】
(3)CPU65は、上記(2)で仮設定された各々の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複するか否かを判定する。そして、仮設定の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複する場合、CPU65は、仮設定の観察スケジュールでタイムラプス観察ができないと判定する。一方、仮設定の観察スケジュールがいずれも既登録の観察スケジュールと重複しない場合、CPU65は、上記の仮設定の観察スケジュールでタイムラプス観察が可能であると判定するとともに、この仮設定の観察スケジュールをタイムラプス観察の登録可能時間帯として抽出する。
【0112】
(4)CPU65は、タイムラプス観察開始点の時刻を変更して、上記(2)から(3)の動作を繰り返す。これにより、CPU65は、上記(1)の空き時間において、指定された培養容器30のタイムラプス観察が可能か否かを判定する。
【0113】
ステップ406:CPU65は、S405においてタイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出できたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)にはS407に移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)にはS413に移行する。
【0114】
ステップ407:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、タイムラプス観察の登録可能時間帯(S405)を表示する。
【0115】
ここで、S407での登録可能時間帯の表示例を図19に示す。図19では、上記の登録可能時間帯が画面右側に一覧表示されている。このとき、CPU65は、タイムラプス観察の初回分を基準として登録可能時間帯の表示を行う。すなわち、既登録の観察スケジュールが存在しない時間帯であっても、その時間帯を起点としてタイムラプス観察を行うと観察スケジュールが重複する場合には、図19の表示画面では登録不能の時間帯として表示される。そして、図19の表示画面において、CPU65は登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を予め不能化する。なお、図19では、タイムラプス観察の登録可能時間帯を空欄で示し、タイムラプス観察が登録できない時間帯をハッチングで示す。
【0116】
そして、ユーザーは登録可能時間帯のうちから所望の時間帯を指定して、第2メモリ64にタイムラプス観察の観察スケジュールを登録できる。このとき、ユーザーが指定した時間帯は、タイムラプス観察における初回分の観察スケジュールに対応する。なお、この登録可能時間帯の表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0117】
ステップ408:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、観察スケジュールの登録の入力(例えば、図19での登録ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。観察スケジュールが登録された場合(YES側)には、CPU65はS409に移行する。一方、観察スケジュールの登録がない場合(NO側)には、CPU65はS410に移行する。
【0118】
ステップ409:CPU65は、タイムラプス観察の複数の観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに一括して登録する。その後、CPU65は、タイムラプス観察の観察スケジュールの登録処理を終了する。
【0119】
ステップ410:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、タイムラプス観察の条件の変更操作を受け付けたか否かを判定する。タイムラプス観察の条件の変更操作があった場合(YES側)には、CPU65はS404に戻って上記動作を繰り返す。一方、タイムラプス観察の条件の変更操作がない場合(NO側)には、CPU65はS411に移行する。
【0120】
ステップ411:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、撮像条件の再設定の入力(例えば、図19での撮像条件変更ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。撮像条件の再設定の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS402に戻って上記動作を繰り返す。一方、撮像条件の再設定の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS412に移行する。
【0121】
ステップ412:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、登録終了の入力(例えば、図19での終了ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。登録終了の入力があった場合(YES側)には、CPU65はタイムラプス観察の観察スケジュールの登録処理を終了する。一方、登録終了の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS408に戻って上記動作を繰り返す。
【0122】
ステップ413:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、登録可能時間帯を抽出できない旨の警告表示を出力する(なお、警告表示の画面の図示は省略する)。そして、CPU65は、S404に戻ってタイムラプス観察の条件の入力を再び受け付ける。
【0123】
ここで、S413の警告表示のときに、CPU65は、登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の推奨条件(タイムラプス観察の間隔、タイムラプス観察の回数または期間)を一覧表示するようにしてもよい。これにより、タイムラプス観察のスケジュール登録ができる条件をユーザーが容易に認識でき、インキュベータの利便性がより向上する。
【0124】
一例として、CPU65は、タイムラプス観察の回数(または期間)を入力値よりも短く設定し、S405と同様の演算によってタイムラプス観察の登録可能時間帯を求める。また、他の例として、CPU65は、タイムラプス観察の間隔を入力値と異なる値に設定し、S405と同様の演算によってタイムラプス観察の登録可能時間帯を求める。そして、上記の処理によってタイムラプス観察の登録可能時間帯が抽出できた場合には、CPU65は、上記のタイムラプス観察の推奨条件のパラメータと、この推奨条件で登録可能な時間帯とをモニタ56a等に表示する。以上で、図18の流れ図の説明を終了する。
【0125】
図18に示す変形例では、既登録の観察スケジュールと重複せずにタイムラプス観察ができる登録可能時間帯をCPU65が提示する。そして、登録可能時間帯からタイムラプス観察のスケジュールをユーザーが選択することで、観察スケジュールの重複を未然に防止できる。
【0126】
(実施形態の補足事項)
(1)本発明のインキュベータ11の各部構成は上記実施形態に限定されることはない。例えば、本発明は、二酸化炭素濃度に加えて、酸素濃度および窒素濃度の少なくとも一方を調整可能なマルチガスインキュベータにも応用することが可能である。また、本発明では、加湿水を貯溜する加湿皿と、加湿皿の水温を制御する温度調整装置とで湿度の調整を行うようにしてもよい。さらに、上記実施形態での温度調整装置21は、例えば、ヒータユニットと冷媒循環システムの組み合わせ等の公知の構成で代替してもよい(なお、いずれの場合も図示を省略する)。
【0127】
(2)上記実施形態において、第1データおよび第2データの時間の値や、スケジュールデータの単位時間などは適宜変更することができる。また、上記実施形態では、第1データの搬送時間を1つの値としているが、例えば、第1データの搬送時間として複数の値を第1メモリ63に登録し、ストッカー25上での位置に応じて搬送時間を変化させるようにしてもよい。
【0128】
(3)上記実施形態において、ユーザーに対するインキュベータ11の警告手段は、例えば、ブザー(不図示)による音声出力などで代替してもよい。
【0129】
(4)図18の変形例において、タイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出できないとき(S406のNO側)に、CPU65は、タイムラプス観察の観察スケジュールのうちで重複が発生している時間帯をシフトさせることで、既登録の観察スケジュールとの重複を解消してもよい。
【0130】
なお、本発明は、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本実施形態のインキュベータのブロック図
【図2】本実施形態のインキュベータの正面図
【図3】図2において正面扉を開いた状態を示す図
【図4】第1筐体の恒温室の内部を示す図
【図5】筐体側面方向からみたストッカーを示す図
【図6】試料の培養を行う培養容器の一例を示す図
【図7】(a)容器搬送機構を筐体正面方向から示す図、(b)容器搬送機構を筐体平面方向から示す図
【図8】搬送アーム部の構成を示す正面図
【図9】搬送アーム部の構成を示す側面図
【図10】観察ユニットの構成を示す概略図
【図11】観察スケジュールの登録処理におけるCPUの動作を説明する流れ図
【図12】S104における選択画面の一例を示す図
【図13】S105における撮像条件の詳細設定画面の一例を示す図
【図14】S108での登録可能時間帯の表示画面の一例を示す図
【図15】所定の培養容器に関する観察スケジュールの登録状態の表示画面を示す図
【図16】観察シーケンスでのCPUの動作を説明する流れ図
【図17】培養容器の搬出時におけるCPUの動作を説明する流れ図
【図18】観察スケジュールの登録処理の変形例を示す流れ図
【図19】タイムラプス観察に関する表示画面の一例を示す図
【符号の説明】
【0132】
11…インキュベータ、14…制御ユニット、15…恒温室、21…温度調整装置、22…噴霧装置、23…ガス導入部、24…環境センサユニット、25…ストッカー、26…容器搬出入機構、27…容器搬送機構、28…観察ユニット、30…培養容器、56…操作パネル、56a…モニタ、56b…入力釦、58…コンピュータ、61…通信部、63…第1メモリ、64…第2メモリ、65…CPU、66…演算部、67…スケジュール管理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料の培養に適した環境条件を維持可能な恒温室を備えたインキュベータとその周辺技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の微生物や細胞などの試料を培養するために恒温室を備えたインキュベータが一般的に用いられている。かかる恒温室内では、複数の培養容器で試料を同時培養することが一般的である。
【0003】
一方、インキュベータについては、培養容器の試料に対する自動観察機能を付加することも提案されている。一例として、特許文献1には、試料のタイムラプス観察を自動的に実行する培養顕微鏡の構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−11415号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インキュベータ内での試料の観察を自動化する場合には、観察スケジュールの管理が非常に重要となる。特に複数の培養容器の観察スケジュールが重複すると、ユーザーの希望する時間帯および観察回数での試料の記録が残せなくなる可能性が高まり、装置の有用性が著しく低下することとなる。上記の特許文献1では、観察スケジュールの重複防止については十分な検討がされておらず、この点でなお改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記従来技術の課題を解決するためのものである。本発明の目的は、インキュベータでの試料観察におけるスケジュールの重複を未然に防止できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明のインキュベータは、恒温室と、撮像部と、搬送機構と、制御部と、第1メモリと、第2メモリと、入力部と、演算部と、スケジュール管理部とを備える。恒温室は、複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能である。撮像部は、恒温室内において培養容器内の試料の状態を撮像する。搬送機構は、収納部および撮像部の間で培養容器を移動させる。制御部は、撮像部および搬送機構を制御して培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する。第1メモリは、搬送機構による培養容器の搬送時間に関する第1データと、撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録する。第2メモリは、スケジュールデータを記録する。このスケジュールデータには、観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールが、各々の培養容器と対応付けて登録されている。入力部は、観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、観察シーケンスでの指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける。演算部は、上記の撮像条件に応じて、第1データおよび第2データから指定培養容器の観察所要時間を演算する。スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、指定培養容器の観察シーケンスを既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する。また、スケジュール管理部は、登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、スケジュール管理部は、ユーザーの入力に基づいて指定培養容器の観察スケジュールをスケジュールデータに登録するとともに、登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を不能化する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明において、演算部は、観察スケジュールの登録後に撮像条件の変更入力があったときに指定培養容器の観察所要時間を再び演算する。また、スケジュール管理部は、観察所要時間の増加によって観察スケジュールの重複が発生するときに、ユーザーに対して注意を促す報知出力を行う。
【0009】
第4の発明は、第1の発明において、搬送機構は、ユーザーの入力に応じて培養容器を恒温室から搬出する。また、スケジュール管理部は、搬出対象となる培養容器の観察シーケンスが実行されているときに、ユーザーに注意を促す報知出力を搬出に先立って行う。
【0010】
第5の発明は、第1の発明において、スケジュール管理部は、スケジュールデータに基づいて、任意の培養容器に関する観察スケジュールの登録状態を表示出力する。
【0011】
第6の発明は、第1の発明において、外部のコンピュータと通信可能な通信部をインキュベータがさらに備える。そして、通信部は、第1の入力および第2の入力をコンピュータから受信するとともに、登録可能時間帯を示す表示出力をコンピュータに送信する。
【0012】
第7の発明は、第1の発明において、入力部は、指定培養容器のタイムラプス観察の条件を規定する第3の入力をさらに受け付ける。また、スケジュール管理部は、タイムラプス観察の条件に応じて各々の観察時期が異なる指定培養容器の観察スケジュールを複数設定する。そして、スケジュール管理部は、タイムラプス観察による各々の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する。
【0013】
第8の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、タイムラプス観察での登録可能時間帯として、タイムラプス観察の初回分の時間帯を表示出力する。
【0014】
第9の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、登録可能時間帯を抽出できないときに、登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の条件の提示出力および警告出力の少なくとも一方を行う。
【0015】
第10の発明は、第7の発明において、スケジュール管理部は、登録可能時間帯を抽出できないときに、タイムラプス観察による観察スケジュールのいずれかをシフトさせる。
【0016】
なお、上記の各発明の内容を、培養容器の観察に関するスケジュール管理方法やコンピュータプログラムなどに変換して表現したものも本発明の具体的態様として有効である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮像条件に応じた観察所要時間に基づき、既登録の観察スケジュールと重複しない登録可能時間帯がユーザーに提示され、スケジュールの重複が未然に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(本実施形態のインキュベータの構成)
以下、図面を参照しつつ本実施形態のインキュベータの構成を詳細に説明する。図1は、本実施形態のインキュベータのブロック図である。また、図2,図3は、本実施形態のインキュベータの正面図である。
【0019】
本実施形態のインキュベータ11は、試料の培養を行う第1筐体12と、制御ユニット14を収納する第2筐体13とを有している。インキュベータ11の組立状態において、第1筐体12は第2筐体13の上に配置される。
【0020】
まず、第1筐体12の構成の概要を説明する。
【0021】
第1筐体12の内部には、断熱材で覆われた恒温室15が形成されている。この恒温室15は、第1筐体12の正面に形成された正面開口16と、図2,図3において第1筐体12の左側面に形成された搬出入口17とによって外部と連絡している。第1筐体12の正面開口16は、観音開きの正面扉18によって開閉可能に閉塞される。また、第1筐体12の搬出入口17は、スライド式の自動扉19によって開閉可能に閉塞される。なお、搬出入口17の大きさは培養容器(30)が通過可能なサイズに設定されている。一方、第1筐体12の底面には、正面側からみて右寄りの位置に開口20が形成されている。なお、後述する観察ユニット(28)は、上記の開口20を介して恒温室15内に配置される。
【0022】
また、図4は、第1筐体12の恒温室15の内部を示す図である。恒温室15の壁面には、温度調整装置21と、噴霧装置22と、ガス導入部23と、環境センサユニット24とがそれぞれ内蔵されている。
【0023】
温度調整装置21はペルチェ素子を有しており、ペルチェ効果によって恒温室15の加熱または冷却を行う。噴霧装置22は、恒温室15内に噴霧を行って恒温室15内の湿度を調整する。ガス導入部23は二酸化炭素ボンベ(不図示)と接続されている。このガス導入部23は恒温室15に二酸化炭素を導入することで、恒温室15内の二酸化炭素濃度を調整する。環境センサユニット24は、恒温室15内における温度、湿度、二酸化炭素濃度をそれぞれ検出する。
【0024】
図2,図3に戻って、インキュベータ11の組立状態において、恒温室15の内部には、ストッカー25と、容器搬出入機構26と、容器搬送機構27と、観察ユニット28の一部とがそれぞれ配置される。
【0025】
ストッカー25は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の左側に配置される。図5は、筐体側面方向からみたストッカー25を示す図である。ストッカー25は複数の棚を有しており、各々の棚には、培養容器30を収納することができる。ここで、図6に試料の培養を行う培養容器30の構成の一例を示す。本実施形態の培養容器30としては、ウェルプレート、フラスコ、ディッシュなどが用いられる。各々の培養容器30には、液体培地とともに培養対象の試料(細胞など)が収納される。また、上記の培養容器30は、透明なトレー状のホルダー31に載置されて取り扱われる。このホルダー31の両側面にはそれぞれ支持片32が外向きに形成されている。なお、培養容器30によっては複数の小容器を有するものもあり、この場合には1つのホルダー31上で小容器ごとにそれぞれ試料を培養できる。
【0026】
また、インキュベータ11の組立状態において、ストッカー25の最下段は第1筐体12の搬出入口17の位置に対応する。そして、ストッカー25の最下段のスペースには、培養容器30を搬出入するための容器搬出入機構26が設置される。この容器搬出入機構26は、培養容器30およびホルダー31を載置可能な搬送テーブル26aと、搬送テーブル26aを搬出入口17の外部へ往復動させるモータユニット26bとを有している。
【0027】
容器搬送機構27は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の中央に配置される。図7から図9は容器搬送機構27の構成を示す図である。この容器搬送機構27は、長方形状の基台41と、垂直フレーム42と、搬送アーム部43とを有している。なお、容器搬送機構27の各部は、基台41などに内蔵されたモータ(不図示)によって駆動する。また、容器搬送機構27の各部の位置は、エンコーダなどで制御ユニット14にモニタされる。
【0028】
基台41には、垂直フレーム42が前後方向(図中のY方向)に移動可能に取り付けられている。垂直フレーム42は上下方向に延長する一対のガイドレールで構成されている。この垂直フレーム42の間には、搬送アーム部43が上下方向(図中のZ方向)に移動可能に取り付けられている。
【0029】
また、搬送アーム部43は、容器支持部44と、摺動機構部45とを有している。容器支持部44の本体は、ホルダー31の全体の幅よりも若干幅広に設定されている。この容器支持部44の両側縁には、下向きに1組の引掛爪46が形成されている。そして、ホルダー31の支持片32と引掛爪46との係合により、容器支持部44はホルダー31を支持できるように構成されている。一方、摺動機構部45は容器支持部44の上面側に配置されており、容器支持部44を左右方向(図中のX方向)に摺動させる。かかる摺動機構部45の動作により、ストッカー25、容器搬出入機構26、観察ユニット28のいずれかと、容器搬送機構27との間で培養容器30を載置したホルダー31の受け渡しが可能となる。
【0030】
観察ユニット28は、第1筐体12の正面からみて恒温室15の右側に配置される。この観察ユニット28は第1筐体12の底面の開口20に嵌め込まれて配置される。この観察ユニット28は、試料台47と、試料台47の上方に張り出したアーム48と、本体部分49とを有している。そして、試料台47およびアーム48は第1筐体12の恒温室15内に配置される一方で、本体部分49は第2筐体13に収納される。
【0031】
図10は観察ユニット28の構成を示す概略図である。観察ユニット28は、試料台47と、第1照明部51および第2照明部52と、顕微観察部53と、容器観察部54と、画像処理部55とを有している。
【0032】
試料台47は透光性の材質で構成されており、その上に培養容器30がホルダー31ごと載置される。この試料台47は水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されており、顕微観察部53および容器観察部54に対してホルダー31の位置を調整することができる。
【0033】
また、第1照明部51はアーム48内に配置されており、試料台47の上側から培養容器30を照明する。一方、第2照明部52は本体部分49に内蔵されており、試料台47の下側から培養容器30を照明する。
【0034】
顕微観察部53は本体部分49に内蔵されており、顕微光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この顕微観察部53は、第1照明部51の照明光によって試料を顕微鏡観察した画像(顕微観察画像)を撮像する。
【0035】
容器観察部54はアーム48に収納されており、撮影光学系および撮像素子(いずれも不図示)を有している。この容器観察部54は、第2照明部52の照明光によって培養容器30の全体観察画像を撮像する。
【0036】
画像処理部55は、顕微観察部53および容器観察部54からの画像出力をA/D変換するとともに、顕微観察画像または全体観察画像のデータをそれぞれ生成する。
【0037】
次に、第2筐体13の構成の概要を説明する。第2筐体13には、上記の観察ユニット28の本体部分49と、制御ユニット14とが格納される。また、第2筐体13の前面には、モニタ56aおよび入力釦56bを備えた操作パネル56が配置されている。なお、制御ユニット14には、通信回線57を介してコンピュータ58を接続することも可能である。
【0038】
ここで、制御ユニット14は、自動扉19の扉開閉機構19a、温度調整装置21、噴霧装置22、ガス導入部23、環境センサユニット24、容器搬出入機構26、容器搬送機構27、観察ユニット28、操作パネル56のモニタ56aおよび入力釦56bとそれぞれ接続されている。そして、制御ユニット14は、所定のプログラムに従ってインキュベータ11の各部を統括的に制御する。
【0039】
一例として、制御ユニット14は、温度調整装置21、噴霧装置22、ガス導入部23、環境センサユニット24をそれぞれ制御して恒温室15内を所定の環境条件に維持する。また、制御ユニット14は、ユーザーの設定した観察スケジュールに基づいて、観察ユニット28および容器搬送機構27を制御して、培養容器30の観察シーケンスを自動的に実行する。
【0040】
ここで、制御ユニット14は、通信部61と、データベース部62と、第1メモリ63および第2メモリ64と、CPU65とを有している。なお、通信部61、データベース部62、第1メモリ63および第2メモリ64はそれぞれCPU65と接続されている。
【0041】
通信部61は、無線または有線の通信回線57を介して、インキュベータ11の外部にあるコンピュータ58とのデータ送受信を実行する。
【0042】
データベース部62は、ストッカー25に収納された各々の培養容器30に関する管理データが記録される。上記の管理データには、例えば、培養容器30およびホルダー31の識別情報、培養容器30の種類および形状、ストッカー25上での培養容器30の収納位置などが含まれる。
【0043】
また、データベース部62には、顕微観察画像および全体観察画像のデータファイルや、恒温室15内での環境条件(温度、湿度、二酸化炭素濃度)の履歴情報などを記録する記録領域が設けられている。なお、上記のデータファイルでは、撮像された培養容器30の識別情報、撮影日時、撮影条件などを示すメタデータが、画像のデータに対応付けされている。
【0044】
第1メモリ63には、上記の観察シーケンスでの観察所要時間を演算するための各種データが記録されている。例えば、第1メモリ63には、培養容器30の搬送時間に関する第1データと、観察ユニット28による撮像動作の所要時間に関する第2データとがそれぞれ記録されている。
【0045】
より具体的には、第1データの搬送時間は、ストッカー25から観察ユニット28まで容器搬送機構27が培養容器30を搬送するときの所要時間と、その誤差分の時間とを合計して求められる。なお、培養容器30の搬送時間はストッカー25上での収納位置に応じて変化するが、本実施形態では、培養容器30が観察ユニット28から最も遠い位置にある場合(各々の搬送時間のうちの最大値)を基準として上記の搬送時間が決定される。
【0046】
また、第2データには、観察ユニット28に関する動作のパラメータと、そのパラメータに対応する所要時間との対応関係がテーブル化されて記録されている。
【0047】
一例として、本実施形態の第2データには、(1)容器観察部54による全体観察画像の撮像時間、(2)培養容器30を所定の撮像位置に導くための位置調整時間、(3)顕微観察部53および容器観察部54のAF動作時間、(4)顕微観察部53の対物レンズの倍率を変更するときの所要時間、(5)顕微観察部53と試料との高さ方向の位置を変化させて複数フレームを撮像する場合の撮像時間、などの項目が含まれる。そして、上記(1)から(5)までの第2データの各項目については、撮像条件、装置の構成、培養容器30の形状などのパラメータに応じた所要時間の値がそれぞれ設定されている。
【0048】
第2メモリ64には、上記の観察シーケンスのスケジュールデータが記録される。このスケジュールデータには、各々の観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールが、各々のホルダー31の識別情報と対応付けて登録されている。なお、各々の観察スケジュールには、観察シーケンスにおいて観察ユニット28の撮像条件を規定するデータなどが対応付けされている。
【0049】
CPU65は、制御ユニット14の各種の演算処理を実行するプロセッサである。このCPU65は、後述する観察スケジュールの登録処理において、培養容器30の観察所要時間の演算を行う演算部66や、観察スケジュールの登録処理を行うスケジュール管理部67として機能する。さらに、CPU65は、観察スケジュールを管理するためのタイマ68としても機能する。
【0050】
(観察スケジュールの登録処理の説明)
以下、図11の流れ図に沿って、観察スケジュールの登録処理におけるCPU65の動作を説明する。なお、培養容器30の観察スケジュールの登録の操作は、インキュベータ11の操作パネル56またはインキュベータ11に接続されたコンピュータ58からユーザーが実行する。
【0051】
ステップ101:制御ユニット14のCPU65は、ユーザーの操作に応じて観察スケジュールの登録処理を立ち上げる。このとき、CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、「観察スケジュールの新規登録」と、「既登録の観察スケジュールの変更」と、「登録処理の終了」との選択を促す表示を行う。そして、CPU65は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から上記の項目のいずれかの選択入力を受け付けるとS102に移行する。
【0052】
ステップ102:CPU65は、「登録処理の終了」の入力を受け付けたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、CPU65は観察スケジュールの登録処理を終了する。一方、他の選択項目の入力を受け付けた場合(NO側)には、CPU65はS103に移行する。
【0053】
ステップ103:CPU65は、「観察スケジュールの新規登録」の入力を受け付けたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)には、CPU65はS104に移行する。一方、「既登録の観察スケジュールの変更」の入力を受け付けた場合(NO側)には、CPU65はS113に移行する。
【0054】
ステップ104:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、観察スケジュールを設定する培養容器30を選択させる選択画面を表示する。
【0055】
ここで、S104における選択画面の一例を図12に示す。この選択画面では、観察スケジュールの設定対象となる培養容器30がGUI(Graphical User Interface)形式のアイコンで表示される。選択画面上でのアイコンの配置は、ストッカー25の培養容器30の配置と対応する。そして、ユーザーは、上記のアイコンを選択入力することで、観察スケジュールの設定対象となる培養容器30をCPU65に指示できる。なお、CPU65は、S104で培養容器30の選択入力を受け付けるとS105に移行する。
【0056】
図12の選択画面において、各々のアイコンには培養容器30の種類を示す種別マークが表示される。さらに、スケジュールデータに観察スケジュールの登録がある培養容器30のアイコンには、カメラ型のマークが表示される。また、複数のユーザーでインキュベータ11を使用するときには、各々の培養容器30にユーザーのID登録を行うこともできる。この場合において、図12の選択画面では、そのユーザーのIDに対応する培養容器30のみが観察スケジュールの設定対象となる。なお、選択画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0057】
ステップ105:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、撮像条件の詳細設定画面を表示する。
【0058】
ここで、S105における撮像条件の詳細設定画面の一例を図13に示す。この撮像条件の詳細設定画面では、画面の左半分に培養容器30の形状を示すアイコンが表示される。また、詳細設定画面の右半分には、撮像条件を指定するためのアイコンが表示されている。
【0059】
培養容器30の形状を示すアイコンでは、ホルダー31上に複数の容器があるときに、いずれの容器を撮像するかをユーザーがCPU65に指示できる。
【0060】
一方、詳細設定画面の右半分のアイコンでは、(1)顕微観察部53の対物レンズの倍率(2倍,4倍,10倍,20倍)の指定と、(2)容器内の観察地点の指定とを、CPU65に対してユーザーが行うことができる。また、図13のデフォルトの項目をユーザーが選択すると、初期設定の撮影条件(例えば、10倍および20倍の対物レンズによる5点観察など)がCPU65に入力されることとなる。なお、観察地点については、ユーザーがカスタマイズを行うことも可能である。
【0061】
また、撮像条件の詳細設定画面が表示されているときに、ユーザーは、顕微観察部53で撮像する顕微観察画像のフレーム数も同時に設定することができる。なお、撮像条件の詳細設定画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0062】
ステップ106:CPU65は、培養容器30の観察所要時間を演算する。
【0063】
具体的には、CPU65は、観察シーケンスにおける培養容器30の往復分の搬送時間を第1メモリ63の第1データから求める。また、CPU65は、S105で設定された撮像条件に基づいて、撮像条件のパラメータに対応する所要時間を第1メモリ63の第2データから求める。そして、CPU65は第1データおよび第2データから求めた各々の所要時間を合計する。その後、CPU65は、上記の所要時間の合計値を、スケジュールデータの単位時間(例えば10分)の倍数となるように端数を切り上げて、最終的な観察所要時間を取得する。
【0064】
ステップ107:CPU65は、登録可能時間帯の抽出を行う。具体的には、まず、CPU65は、第2メモリ64のスケジュールデータから、観察スケジュールの登録がない空き時間をすべて抽出する。そして、CPU65は、上記の空き時間のうちから、観察所要時間(S106で求めたもの)以上の時間帯を登録可能時間帯として抽出する。
【0065】
なお、ホルダー31が共通する培養容器30の観察スケジュールを連続して登録する場合、2つの観察スケジュールの間で培養容器30をストッカー25に搬出入する処理が不要となる。そのため、上記の場合には、CPU65は一方の観察スケジュールにおける搬送時間の分を予め差し引いてから登録可能時間帯を演算する。
【0066】
ステップ108:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、S107で求めた登録可能時間帯を表示する。
【0067】
ここで、S108での登録可能時間帯の表示画面の一例を図14に示す。この登録可能時間帯の表示画面では、既登録の観察スケジュールと、上記の登録可能時間帯とが一覧表示される。なお、図14では、既登録の観察スケジュールをハッチングで示し、登録可能時間帯を空欄部分として示す。
【0068】
そして、ユーザーは登録可能時間帯のうちから所望の時間帯を指定して、第2メモリ64に観察スケジュールを登録することができる。なお、登録可能時間帯の表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0069】
ここで、上記の登録可能時間帯の表示画面において、CPU65は登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を予め不能化する。すなわち、登録可能時間帯の表示画面では、既登録の観察スケジュールと重複する時間帯に新規の観察スケジュールが登録できないようになっている。
【0070】
ステップ109:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、観察スケジュールの登録の入力(例えば、図14での登録ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。観察スケジュールが登録された場合(YES側)には、CPU65はS110に移行する。一方、観察スケジュールの登録がない場合(NO側)には、CPU65はS111に移行する。
【0071】
ステップ110:CPU65は、観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに登録する。なお、CPU65は、ユーザーの操作に応じて、任意の培養容器30に関する観察スケジュールの登録状態の一覧表を操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に表示することもできる(図15参照)。この観察スケジュールの一覧表示によってユーザーは培養容器30の観察スケジュールを一層把握しやすくなり、装置の利便性がより向上することとなる。
【0072】
ステップ111:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、撮像条件の再設定の入力(例えば、図14での撮像条件変更ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。撮像条件の再設定の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS105に戻って上記動作を繰り返す。一方、撮像条件の再設定の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS112に移行する。
【0073】
ステップ112:CPU65は、S108の表示画面が表示された状態で、登録終了の入力(例えば、図14での終了ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。登録終了の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS102に戻って上記動作を繰り返す。
【0074】
一方、登録終了の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS109に戻って上記動作を繰り返す。すなわち、この場合(S112のNO側)には、S108の表示画面において、ユーザーは、同一の培養容器30に関する観察スケジュールをCPU65に対して逐次登録することが可能となる。
【0075】
ステップ113:CPU65は、変更対象となる観察スケジュールの選択を受け付ける画面を操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に表示する。一例として、S113でのCPU65は、観察スケジュールの一覧表示画面(図14とほぼ同様の画面)を表示して、ユーザーに変更対象となる観察スケジュールを直接指定させる。
【0076】
なお、S113でのCPU65は、図12の選択画面で培養容器30をユーザーに選択させて既登録の観察スケジュールを絞り込み、その後に変更対象となる観察スケジュールをさらに指定させてもよい。
【0077】
ステップ114:CPU65は、観察スケジュールの変更中止の入力を受け付けたか否かを判定する。変更中止の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS102に戻って上記動作を繰り返す。一方、変更対象の観察スケジュールの指定の入力があった場合(NO側)には、CPU65はS115に移行する。
【0078】
ステップ115:S113で変更対象の観察スケジュールの指定が行われると、CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、撮像条件の詳細設定画面を表示する。そして、ユーザーは撮像条件の詳細設定画面において、その観察スケジュールにおける撮像条件の変更を行う。なお、S115でのCPU65の動作は、上記のS105と共通するので重複説明を省略する。
【0079】
ステップ116:CPU65は、S115での撮像条件の変更に応じて、培養容器30の観察所要時間を再び演算する。なお、S116でのCPU65の動作は、上記のS106と共通するので重複説明を省略する。
【0080】
ステップ117:CPU65は、S116で求めた観察所要時間が変更前よりも増加しているか否かを判定する。観察所要時間が増加している場合(YES側)には、CPU65はS118に移行する。一方、観察所要時間が変更前と変わらないか、または減少している場合(NO側)には、CPU65はS120に移行する。
【0081】
ステップ118:CPU65は、変更対象の観察スケジュールの観察所要時間の増加によって、前後の時間帯に設定された他の観察スケジュールとの重複が発生するか否かを判定する。観察スケジュールの重複が発生する場合(YES側)には、CPU65はS119に移行する。一方、観察スケジュールの重複が発生しない場合(NO側)には、CPU65はS120に移行する。
【0082】
ステップ119:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、スケジュールの重複が発生する旨の警告を表示する。その後、CPU65は、変更後の観察スケジュールを登録することなくS114に戻る。この場合には、ユーザーは、観察スケジュールの変更を中止するか、あるいは撮像条件を再び設定し直すこととなる。
【0083】
ステップ120:CPU65は、変更後の観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに上書きして登録する。すなわち、この場合には、観察スケジュールの重複が発生しないため、CPU65は変更後の観察スケジュールをそのまま登録する。その後、CPU65は、S102に戻って上記動作を繰り返す。以上で、図11の流れ図の説明を終了する。
【0084】
本実施形態では、ユーザーの指定した撮像条件に応じてCPU65が培養容器30の観察所要時間を演算する。そして、CPU65は、既登録の観察スケジュールと重複せずに観察シーケンスを実行できる登録可能時間帯を抽出し、その結果をモニタに表示する。そのため、ユーザーが登録可能時間帯から観察シーケンスを実行する時間を選択することで、培養容器30の観察スケジュールの重複が未然に防止される。特に、本実施形態でのCPU65は、登録可能時間帯以外での観察スケジュールを予め不能化するので、より確実に観察スケジュールの重複を防止できる。
【0085】
また、本実施形態でのCPU65は、既登録の観察スケジュールを変更するときに、観察所要時間の増加によって他の観察スケジュールとの重複が生じる場合に警告を行うので、培養容器30の観察スケジュールの重複をより確実に防止できる。
【0086】
なお、本実施形態では、インキュベータ11に通信回線57を介して接続された遠隔地のコンピュータ58からでもユーザーは観察スケジュールの登録を行うことができるので、装置の利便性がより向上する。
【0087】
(観察シーケンスの動作の説明)
次に、図16の流れ図に沿って、上記の観察シーケンスでのCPU65の動作を説明する。
【0088】
ステップ201:CPU65は、第2メモリ64の観察スケジュールと現在日時とを比較して、培養容器30の観察開始時間が到来したか否かを判定する。観察開始時間となった場合(YES側)にはS202に移行する。一方、培養容器30の観察時間ではない場合(NO側)には、CPU65は次の観察スケジュールの時刻まで待機する。
【0089】
ステップ202:CPU65は、観察スケジュールに対応する培養容器30の搬送を容器搬送機構27に指示する。そして、容器搬送機構27は、指示された培養容器30をストッカー25から搬出して観察ユニット28の試料台47に載置する。
【0090】
ステップ203:CPU65は、観察ユニット28に対して全体観察画像の撮影を指示する。観察ユニット28は、第2照明部52を点灯させて培養容器30を照明するとともに、容器観察部54の撮像素子で培養容器30の全体観察画像を撮像する。
【0091】
ステップ204:CPU65は、観察ユニット28に対して顕微観察画像の撮影を指示する。観察ユニット28は、第1照明部51を点灯させて培養容器30を照明するとともに、顕微観察部53の撮像素子で培養容器30の顕微観察画像を撮像する。このとき、観察ユニット28は、第2メモリ64に登録された観察スケジュールのデータに基づいて、ユーザーの設定した撮像条件(対物レンズの倍率、容器内の観察地点、フレーム数など)で顕微観察画像を撮像する。
【0092】
ステップ205:CPU65は、顕微観察画像の終了後に、培養容器30の搬送を容器搬送機構27に指示する。そして、容器搬送機構27は、指示された培養容器30を観察ユニット28の試料台47からストッカー25の所定の収納位置に搬送し、観察シーケンスを終了してS201に戻る。以上で、図16の流れ図の説明を終了する。
【0093】
このように、本実施形態のインキュベータ11では、観察スケジュールに基づいて培養容器30の試料の自動観察を実行することができる。
【0094】
(培養容器の搬出時の動作説明)
次に、図17の流れ図に沿って、培養容器30の搬出時におけるCPU65の動作を説明する。
【0095】
ステップ301:CPU65は、操作パネル56の入力釦56bから培養容器30の搬出指示入力を受け付けたか否かを判定する。搬出指示入力を受け付けた場合(YES側)には、CPU65はS302に移行する。一方、搬出指示入力がない場合(NO側)には、CPU65は搬出指示入力を待機する。
【0096】
ステップ302:CPU65は、S301の搬出指示入力で搬出対象となった培養容器30が観察シーケンスの実行状態か否かを判定する。このS302の判定において、CPU65はスケジュールデータを参照し、一定時間以内に観察シーケンスが開始される場合も上記の実行状態とみなしてもよい。
【0097】
搬出対象が観察シーケンスの実行状態である場合(YES側)には、CPU65はS303に移行する。一方、搬出対象が観察シーケンスの実行状態にない場合(NO側)には、CPU65はS304に移行する。
【0098】
ステップ303:CPU65は、搬出対象が観察シーケンスの実行状態にある旨の警告表示を操作パネル56のモニタ56aに表示する。また、警告表示を行ったときには、CPU65は、観察シーケンスの実行状態にある培養容器30を搬出するか否かの確認入力をユーザーに要求する。そして、CPU65は、上記の確認入力で、培養容器30の搬出をユーザーが選択した場合のみ、後述のS304とほぼ同様の工程で培養容器30を恒温室15の外に搬出する。
【0099】
かかる警告表示および確認入力の要求によって、観察シーケンスの実行中にユーザーが誤って培養容器30を搬出するおそれは著しく軽減することとなる。
【0100】
ステップ304:CPU65は、容器搬出入機構26および容器搬送機構27に対して、搬出対象の培養容器30を恒温室15外へ排出する指示を指示を行う。容器搬送機構27は、指示された培養容器30をストッカー25から容器搬出入機構26に受け渡す。そして、CPU65は搬出入口17の自動扉19を開放するとともに、容器搬出入機構26に培養容器30を恒温室15外に排出させる。以上で、図17の流れ図の説明を終了する。
【0101】
(観察スケジュールの登録処理の変形例の説明)
また、図18は、観察スケジュールの登録処理の変形例を示している。なお、図18の動作例でのインキュベータの構成は、上記実施形態と共通であるので重複説明は省略する。
【0102】
図18の例では、CPU65がタイムラプス観察の観察スケジュールの一括登録を実行できる。なお、図18の例では、簡単のため、「観察スケジュールの新規登録」を行う場合を前提として説明を行う。
【0103】
ステップ401:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、観察スケジュールを設定する培養容器30を選択させる選択画面を表示する。なお、S401での処理は、図11のS104と共通するので重複説明を省略する。
【0104】
ステップ402:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に撮像条件の詳細設定画面を表示する。なお、S402での処理は、図11のS105と共通するので重複説明を省略する。
【0105】
ステップ403:CPU65は、S401およびS402の入力に基づいて、タイムラプス観察の1回分の観察所要時間を演算する。なお、S403での処理は、図11のS106と共通するので重複説明を省略する。
【0106】
ステップ404:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、タイムラプス観察の条件入力を受け付ける表示画面を表示する。
【0107】
ここで、S404における表示画面の一例を図19に示す。この表示画面(図19の画面左側)では、タイムラプス観察の条件として、タイムラプス観察の間隔(インターバル)と、タイムラプス観察の回数と、タイムラプス観察の期間とを入力することができる。そして、(1)タイムラプス観察の間隔および回数が入力された状態で画面上の確定釦(SET)が押圧されるか、(2)タイムラプス観察の間隔および期間が入力された状態で画面上の確定釦(SET)が押圧されると、CPU65はS405に処理を移行する。なお、表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0108】
ステップ405:CPU65は、タイムラプス観察の条件(S404)に基づいて、タイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出する。具体的には、S405でのCPU65は、以下の(1)から(4)の処理を実行する。
【0109】
(1)CPU65は、第2メモリ64のスケジュールデータから、観察スケジュールの登録がなく、かつ観察所要時間(S403で求めたもの)以上となる空き時間を抽出する。
【0110】
(2)CPU65は、上記(1)の空き時間のうちで任意の時点を開始点として、タイムラプス観察の条件(S404)による時間間隔および回数(または期間)に従って、培養容器30の複数の観察スケジュールを仮設定する。なお、仮設定における観察スケジュールの1回分の時間は、S403で求めた観察所要時間に対応する。
【0111】
(3)CPU65は、上記(2)で仮設定された各々の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複するか否かを判定する。そして、仮設定の観察スケジュールが既登録の観察スケジュールと重複する場合、CPU65は、仮設定の観察スケジュールでタイムラプス観察ができないと判定する。一方、仮設定の観察スケジュールがいずれも既登録の観察スケジュールと重複しない場合、CPU65は、上記の仮設定の観察スケジュールでタイムラプス観察が可能であると判定するとともに、この仮設定の観察スケジュールをタイムラプス観察の登録可能時間帯として抽出する。
【0112】
(4)CPU65は、タイムラプス観察開始点の時刻を変更して、上記(2)から(3)の動作を繰り返す。これにより、CPU65は、上記(1)の空き時間において、指定された培養容器30のタイムラプス観察が可能か否かを判定する。
【0113】
ステップ406:CPU65は、S405においてタイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出できたか否かを判定する。上記要件を満たす場合(YES側)にはS407に移行する。一方、上記要件を満たさない場合(NO側)にはS413に移行する。
【0114】
ステップ407:CPU65は操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、タイムラプス観察の登録可能時間帯(S405)を表示する。
【0115】
ここで、S407での登録可能時間帯の表示例を図19に示す。図19では、上記の登録可能時間帯が画面右側に一覧表示されている。このとき、CPU65は、タイムラプス観察の初回分を基準として登録可能時間帯の表示を行う。すなわち、既登録の観察スケジュールが存在しない時間帯であっても、その時間帯を起点としてタイムラプス観察を行うと観察スケジュールが重複する場合には、図19の表示画面では登録不能の時間帯として表示される。そして、図19の表示画面において、CPU65は登録可能時間帯以外での観察スケジュールの登録を予め不能化する。なお、図19では、タイムラプス観察の登録可能時間帯を空欄で示し、タイムラプス観察が登録できない時間帯をハッチングで示す。
【0116】
そして、ユーザーは登録可能時間帯のうちから所望の時間帯を指定して、第2メモリ64にタイムラプス観察の観察スケジュールを登録できる。このとき、ユーザーが指定した時間帯は、タイムラプス観察における初回分の観察スケジュールに対応する。なお、この登録可能時間帯の表示画面でのユーザーの入力は、操作パネル56の入力釦56b(またはコンピュータ58の入力装置)から行われる。
【0117】
ステップ408:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、観察スケジュールの登録の入力(例えば、図19での登録ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。観察スケジュールが登録された場合(YES側)には、CPU65はS409に移行する。一方、観察スケジュールの登録がない場合(NO側)には、CPU65はS410に移行する。
【0118】
ステップ409:CPU65は、タイムラプス観察の複数の観察スケジュールを第2メモリ64のスケジュールデータに一括して登録する。その後、CPU65は、タイムラプス観察の観察スケジュールの登録処理を終了する。
【0119】
ステップ410:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、タイムラプス観察の条件の変更操作を受け付けたか否かを判定する。タイムラプス観察の条件の変更操作があった場合(YES側)には、CPU65はS404に戻って上記動作を繰り返す。一方、タイムラプス観察の条件の変更操作がない場合(NO側)には、CPU65はS411に移行する。
【0120】
ステップ411:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、撮像条件の再設定の入力(例えば、図19での撮像条件変更ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。撮像条件の再設定の入力があった場合(YES側)には、CPU65はS402に戻って上記動作を繰り返す。一方、撮像条件の再設定の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS412に移行する。
【0121】
ステップ412:CPU65は、S407の表示画面が表示された状態で、登録終了の入力(例えば、図19での終了ボタンの入力)を受け付けたか否かを判定する。登録終了の入力があった場合(YES側)には、CPU65はタイムラプス観察の観察スケジュールの登録処理を終了する。一方、登録終了の入力がない場合(NO側)には、CPU65はS408に戻って上記動作を繰り返す。
【0122】
ステップ413:CPU65は、操作パネル56のモニタ56a(またはコンピュータ58のモニタ)に、登録可能時間帯を抽出できない旨の警告表示を出力する(なお、警告表示の画面の図示は省略する)。そして、CPU65は、S404に戻ってタイムラプス観察の条件の入力を再び受け付ける。
【0123】
ここで、S413の警告表示のときに、CPU65は、登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の推奨条件(タイムラプス観察の間隔、タイムラプス観察の回数または期間)を一覧表示するようにしてもよい。これにより、タイムラプス観察のスケジュール登録ができる条件をユーザーが容易に認識でき、インキュベータの利便性がより向上する。
【0124】
一例として、CPU65は、タイムラプス観察の回数(または期間)を入力値よりも短く設定し、S405と同様の演算によってタイムラプス観察の登録可能時間帯を求める。また、他の例として、CPU65は、タイムラプス観察の間隔を入力値と異なる値に設定し、S405と同様の演算によってタイムラプス観察の登録可能時間帯を求める。そして、上記の処理によってタイムラプス観察の登録可能時間帯が抽出できた場合には、CPU65は、上記のタイムラプス観察の推奨条件のパラメータと、この推奨条件で登録可能な時間帯とをモニタ56a等に表示する。以上で、図18の流れ図の説明を終了する。
【0125】
図18に示す変形例では、既登録の観察スケジュールと重複せずにタイムラプス観察ができる登録可能時間帯をCPU65が提示する。そして、登録可能時間帯からタイムラプス観察のスケジュールをユーザーが選択することで、観察スケジュールの重複を未然に防止できる。
【0126】
(実施形態の補足事項)
(1)本発明のインキュベータ11の各部構成は上記実施形態に限定されることはない。例えば、本発明は、二酸化炭素濃度に加えて、酸素濃度および窒素濃度の少なくとも一方を調整可能なマルチガスインキュベータにも応用することが可能である。また、本発明では、加湿水を貯溜する加湿皿と、加湿皿の水温を制御する温度調整装置とで湿度の調整を行うようにしてもよい。さらに、上記実施形態での温度調整装置21は、例えば、ヒータユニットと冷媒循環システムの組み合わせ等の公知の構成で代替してもよい(なお、いずれの場合も図示を省略する)。
【0127】
(2)上記実施形態において、第1データおよび第2データの時間の値や、スケジュールデータの単位時間などは適宜変更することができる。また、上記実施形態では、第1データの搬送時間を1つの値としているが、例えば、第1データの搬送時間として複数の値を第1メモリ63に登録し、ストッカー25上での位置に応じて搬送時間を変化させるようにしてもよい。
【0128】
(3)上記実施形態において、ユーザーに対するインキュベータ11の警告手段は、例えば、ブザー(不図示)による音声出力などで代替してもよい。
【0129】
(4)図18の変形例において、タイムラプス観察の登録可能時間帯を抽出できないとき(S406のNO側)に、CPU65は、タイムラプス観察の観察スケジュールのうちで重複が発生している時間帯をシフトさせることで、既登録の観察スケジュールとの重複を解消してもよい。
【0130】
なお、本発明は、その精神またはその主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明は、特許請求の範囲によって示されるものであって、本発明は明細書本文にはなんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本実施形態のインキュベータのブロック図
【図2】本実施形態のインキュベータの正面図
【図3】図2において正面扉を開いた状態を示す図
【図4】第1筐体の恒温室の内部を示す図
【図5】筐体側面方向からみたストッカーを示す図
【図6】試料の培養を行う培養容器の一例を示す図
【図7】(a)容器搬送機構を筐体正面方向から示す図、(b)容器搬送機構を筐体平面方向から示す図
【図8】搬送アーム部の構成を示す正面図
【図9】搬送アーム部の構成を示す側面図
【図10】観察ユニットの構成を示す概略図
【図11】観察スケジュールの登録処理におけるCPUの動作を説明する流れ図
【図12】S104における選択画面の一例を示す図
【図13】S105における撮像条件の詳細設定画面の一例を示す図
【図14】S108での登録可能時間帯の表示画面の一例を示す図
【図15】所定の培養容器に関する観察スケジュールの登録状態の表示画面を示す図
【図16】観察シーケンスでのCPUの動作を説明する流れ図
【図17】培養容器の搬出時におけるCPUの動作を説明する流れ図
【図18】観察スケジュールの登録処理の変形例を示す流れ図
【図19】タイムラプス観察に関する表示画面の一例を示す図
【符号の説明】
【0132】
11…インキュベータ、14…制御ユニット、15…恒温室、21…温度調整装置、22…噴霧装置、23…ガス導入部、24…環境センサユニット、25…ストッカー、26…容器搬出入機構、27…容器搬送機構、28…観察ユニット、30…培養容器、56…操作パネル、56a…モニタ、56b…入力釦、58…コンピュータ、61…通信部、63…第1メモリ、64…第2メモリ、65…CPU、66…演算部、67…スケジュール管理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける入力部と、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を演算する演算部と、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出し、前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行うスケジュール管理部と、
を備えることを特徴とするインキュベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、ユーザーの入力に基づいて前記指定培養容器の前記観察スケジュールを前記スケジュールデータに登録するとともに、前記登録可能時間帯以外での前記観察スケジュールの登録を不能化することを特徴とするインキュベータ。
【請求項3】
請求項2に記載のインキュベータにおいて、
前記演算部は、前記観察スケジュールの登録後に前記撮像条件の変更入力があったときに前記指定培養容器の観察所要時間を再び演算し、
前記スケジュール管理部は、前記観察所要時間の増加によって前記観察スケジュールの重複が発生するときに、ユーザーに対して注意を促す報知出力を行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項4】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記搬送機構は、ユーザーの入力に応じて前記培養容器を前記恒温室から搬出し、
前記スケジュール管理部は、搬出対象となる前記培養容器の前記観察シーケンスが実行されているときに、ユーザーに注意を促す報知出力を前記搬出に先立って行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項5】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記スケジュールデータに基づいて、任意の前記培養容器に関する前記観察スケジュールの登録状態を表示出力することを特徴とするインキュベータ。
【請求項6】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
外部のコンピュータと通信可能な通信部をさらに備え、
前記通信部は、前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信するとともに、前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするインキュベータ。
【請求項7】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記入力部は、前記指定培養容器のタイムラプス観察の条件を規定する第3の入力をさらに受け付け、
前記スケジュール管理部は、前記タイムラプス観察の条件に応じて各々の観察時期が異なる前記指定培養容器の前記観察スケジュールを複数設定するとともに、前記タイムラプス観察による各々の前記観察スケジュールが既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出することを特徴とするインキュベータ。
【請求項8】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記タイムラプス観察での前記登録可能時間帯として、前記タイムラプス観察の初回分の時間帯を表示出力することを特徴とするインキュベータ。
【請求項9】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記登録可能時間帯を抽出できないときに、前記登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の条件の提示出力および警告出力の少なくとも一方を行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項10】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記登録可能時間帯を抽出できないときに、前記タイムラプス観察による前記観察スケジュールのいずれかをシフトさせることを特徴とするインキュベータ。
【請求項11】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
ユーザーからの入力を受け付ける入力部と、
を備えたインキュベータに関するスケジュール管理方法であって、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とを前記制御部が受け付ける第1ステップと、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を前記制御部が演算する第2ステップと、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を前記制御部が抽出する第3ステップと、
前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を前記制御部が行う第4ステップとを含むことを特徴とするスケジュール管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載のスケジュール管理方法において、
前記インキュベータにはコンピュータが接続され、
前記第1ステップにて、前記制御部は前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信し、
前記第4ステップにて、前記制御部は前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするスケジュール管理方法。
【請求項13】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
ユーザーからの入力を受け付ける入力部と、
を備えたインキュベータに関するプログラムであって、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とを受け付ける第1ステップと、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を演算する第2ステップと、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する第3ステップ
と、
前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う第4ステップと、
を前記制御部に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記インキュベータにはコンピュータが接続され、
前記第1ステップにて、前記制御部は前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信し、
前記第4ステップにて、前記制御部は前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とをユーザーから受け付ける入力部と、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を演算する演算部と、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出し、前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行うスケジュール管理部と、
を備えることを特徴とするインキュベータ。
【請求項2】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、ユーザーの入力に基づいて前記指定培養容器の前記観察スケジュールを前記スケジュールデータに登録するとともに、前記登録可能時間帯以外での前記観察スケジュールの登録を不能化することを特徴とするインキュベータ。
【請求項3】
請求項2に記載のインキュベータにおいて、
前記演算部は、前記観察スケジュールの登録後に前記撮像条件の変更入力があったときに前記指定培養容器の観察所要時間を再び演算し、
前記スケジュール管理部は、前記観察所要時間の増加によって前記観察スケジュールの重複が発生するときに、ユーザーに対して注意を促す報知出力を行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項4】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記搬送機構は、ユーザーの入力に応じて前記培養容器を前記恒温室から搬出し、
前記スケジュール管理部は、搬出対象となる前記培養容器の前記観察シーケンスが実行されているときに、ユーザーに注意を促す報知出力を前記搬出に先立って行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項5】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記スケジュールデータに基づいて、任意の前記培養容器に関する前記観察スケジュールの登録状態を表示出力することを特徴とするインキュベータ。
【請求項6】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
外部のコンピュータと通信可能な通信部をさらに備え、
前記通信部は、前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信するとともに、前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするインキュベータ。
【請求項7】
請求項1に記載のインキュベータにおいて、
前記入力部は、前記指定培養容器のタイムラプス観察の条件を規定する第3の入力をさらに受け付け、
前記スケジュール管理部は、前記タイムラプス観察の条件に応じて各々の観察時期が異なる前記指定培養容器の前記観察スケジュールを複数設定するとともに、前記タイムラプス観察による各々の前記観察スケジュールが既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出することを特徴とするインキュベータ。
【請求項8】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記タイムラプス観察での前記登録可能時間帯として、前記タイムラプス観察の初回分の時間帯を表示出力することを特徴とするインキュベータ。
【請求項9】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記登録可能時間帯を抽出できないときに、前記登録可能時間帯を抽出できるタイムラプス観察の条件の提示出力および警告出力の少なくとも一方を行うことを特徴とするインキュベータ。
【請求項10】
請求項7に記載のインキュベータにおいて、
前記スケジュール管理部は、前記登録可能時間帯を抽出できないときに、前記タイムラプス観察による前記観察スケジュールのいずれかをシフトさせることを特徴とするインキュベータ。
【請求項11】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
ユーザーからの入力を受け付ける入力部と、
を備えたインキュベータに関するスケジュール管理方法であって、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とを前記制御部が受け付ける第1ステップと、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を前記制御部が演算する第2ステップと、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を前記制御部が抽出する第3ステップと、
前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を前記制御部が行う第4ステップとを含むことを特徴とするスケジュール管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載のスケジュール管理方法において、
前記インキュベータにはコンピュータが接続され、
前記第1ステップにて、前記制御部は前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信し、
前記第4ステップにて、前記制御部は前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするスケジュール管理方法。
【請求項13】
複数の培養容器を収容可能な収納部を有するとともに、内部を所定の環境条件に維持可能な恒温室と、
前記恒温室内において前記培養容器内の試料の状態を撮像する撮像部と、
前記収納部および前記撮像部の間で前記培養容器を移動させる搬送機構と、
前記撮像部および前記搬送機構を制御して前記培養容器の観察シーケンスを自動的に実行する制御部と、
前記搬送機構による前記培養容器の搬送時間に関する第1データと、前記撮像部の撮像動作の所要時間に関する第2データとを記録した第1メモリと、
前記観察シーケンスの開始時刻および観察所要時間を示す観察スケジュールを、各々の前記培養容器と対応付けて登録したスケジュールデータを記録する第2メモリと、
ユーザーからの入力を受け付ける入力部と、
を備えたインキュベータに関するプログラムであって、
前記観察スケジュールを登録する指定培養容器を選択する第1の入力と、前記観察シーケンスでの前記指定培養容器の撮像条件を指定する第2の入力とを受け付ける第1ステップと、
前記撮像条件に応じて、前記第1データおよび前記第2データから前記指定培養容器の観察所要時間を演算する第2ステップと、
前記スケジュールデータに基づいて、前記指定培養容器の前記観察シーケンスを既登録の前記観察スケジュールと重複せずに実行できる登録可能時間帯を抽出する第3ステップ
と、
前記登録可能時間帯をユーザーに提示するための表示出力を行う第4ステップと、
を前記制御部に実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記インキュベータにはコンピュータが接続され、
前記第1ステップにて、前記制御部は前記第1の入力および前記第2の入力を前記コンピュータから受信し、
前記第4ステップにて、前記制御部は前記登録可能時間帯を示す表示出力を前記コンピュータに送信することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−241699(P2008−241699A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44315(P2008−44315)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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