説明

インクジェットヘッド,インクジェットヘッドの製造方法

【課題】 向上したインク吐出速度およびインク吐出周波数を有するインクジェットヘッドおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 チャネルダンパーDを備えたインクジェットヘッドおよびその製造方法であって,インクジェットヘッドは,基板Sと,該基板S上に配置され,インク吐出のための圧力を生成する発熱抵抗器Rとを備える。基板S上に,少なくとも1つの開放部Oを提供するように発熱抵抗器Rを取り囲み,かつ基板Sから第1の高さを有するチャンバー層Cが配置される。開放部Oに,チャンバー層Cと共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲み,かつ第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーDが配置される。そして,発熱抵抗器Rに対応するノズルNを有するノズル層が,チャンバー層Cの上部面に当接するように配置される。かかる構成により,インクの吐出時のインクの逆流現象が減少し,インク吐出周波数およびインク吐出速度が向上される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,インクジェットヘッドおよびその製造方法に関し,特に,チャネルダンパーを備えたインクジェットヘッドおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置(ink jet recording device)は,印刷用インクの微小な液滴を記録媒体上の所望の位置に吐出させ,画像として印刷する装置である。このようなインクジェット記録装置は,価格が安く,多くの種類の色相を有する画像を高解像度で印刷できるので,広範囲に使われている。かかるインクジェット記録装置は,基本的に,インクが実質的に吐出されるインクジェットヘッド(ink jet head)と,インクジェットヘッドと流体連通するインク収納容器とを含む。インクジェット記録装置のインク吐出方式は,電気−熱変換機(electro−thermal transducer)を使用する熱方式と,電気−機械変換機(electro−mechanical transducer)を使用する圧電方式とに分けられる。
【0003】
熱方式のインクジェット記録装置に使われるインクジェットヘッドは,電気−熱変換機として提供される発熱抵抗器(heat−generating resistor)と,記録媒体上に吐出されるインクが臨時的に貯蔵されるインクチャンバーとを含む。インクチャンバーは,発熱抵抗器の周辺に配置されたチャンバー層のようなバリアー構造物(barrier structure)を用いて,その内部に発熱抵抗器を含むように形成される。
【0004】
このような発熱抵抗器の3辺を取り囲むバリアー構造物を有する従来のインクジェットヘッドが,特許文献1に開示されている。ここで,図1は,特許文献1に開示された従来のバリアー構造物を示す平面図である。
【0005】
図1を参照すると,発熱抵抗器1の3辺を取り囲むように,バリアー構造物3が配置される。バリアー構造物3は,発熱抵抗器1の3辺を取り囲み,かつ互いに連結された3つの壁から構成され,発熱抵抗器1の残りの1辺を開放させる。バリアー構造物3により,発熱抵抗器1をその内部に含むインクチャンバーが形成される。バリアー構造物3により開放された部分は,図示しないインク供給口と前記インクチャンバーとを連結するインクチャネル(ink channel)5として提供される。インク供給口を介して流入したインクがインクチャネル5を経て,インクチャンバーに一時的に貯蔵される。
【0006】
インクチャンバーに貯蔵されたインクは,発熱抵抗器1により瞬間的に加熱され,インクの内部にバブルが生成される。このバブルは,インクチャンバー内の圧力を増加させるため,インクチャンバー内のインクが,図示しないノズルを介して液滴の形態で吐出される。この際,インクチャンバー内のインクは,ノズルを介して外部に吐出されると同時に,インクチャネル5を介してインク供給口側に逆流(back flow)するようになる。このような逆流現象は,発熱抵抗器1により発生したバブルが,インクチャネル5を介してインク供給路側に拡張されることに起因する。この逆流現象は,インク吐出に必要な圧力を減少させ,ノズルを介して吐出されるインク液滴の速度および直進性を低下させる。また,インク吐出後,インクチャンバーの内部にインクが再充填される速度を減少させ,インク吐出周波数を減少させる。
【0007】
逆流現状の観点からすると,図1に示されたバリアー構造物を有するインクジェットヘッドは,以下の問題点を有する。すなわち,インクチャネル5が発熱抵抗器1の1辺を全て開放させることによって,インクの吐出時,インクチャネル5を介して多量のインクがインク供給路側に逆流してしまう。その結果,インク液滴の吐出速度および直進性が低下し,吐出周波数が減少するという問題がある。
【0008】
このような問題点を改善するために,インクチャネルの断面積を減少させることを目的にして,バリアー構造物の両端にレストリクター(restrictor)を形成する方法が提案された(例えば,特許文献2)。しかしながら,レストリクターを形成する場合,インクの逆流現象を減少させるが,インクチャネルの断面積が減少するに伴い,インクチャンバーの内部にインクが再充填される速度が減少してしまう。
【0009】
以上より,発熱抵抗器により生成されたバブルがインクチャンバーの外部に拡張されるのを最大限抑制することによって,インク液滴の吐出速度および直進性を向上させることができると同時に,インク吐出後,インクの再充填速度を向上させ,インク吐出周波数を向上させることができるインクジェットヘッドが要求されている。
【0010】
【特許文献1】米国特許第4794410号明細書
【特許文献2】米国特許第4882595号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的は,インク吐出速度およびインク吐出周波数が向上された,新規かつ改良されたインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,チャネルダンパーを備えたインクジェットヘッドが提供される。かかるインクジェットヘッドは,基板と,基板上に配置され,インク吐出のための圧力を生成する発熱抵抗器とを備える。基板上には,少なくとも1つの開放部を提供するように発熱抵抗器を取り囲み,かつ基板から第1の高さを有するチャンバー層が配置される。開放部には,チャンバー層と共に発熱抵抗器を取り囲み,かつ基板から第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーが配置される。そして,発熱抵抗器に対応するノズルを有するノズル層が,チャンバー層の上部面に当接するように配置される。
【0013】
ここで,チャンバー層は,基板から第1の高さを有する単一の樹脂層から形成ことができる。また,チャンバー層は,下部チャンバー層と,該下部チャンバー層を覆う上部チャンバー層とを含んで形成してもよい。この場合,下部チャンバー層は,チャネルダンパーと同じ物質層からなり,同じ高さを有する。すなわち,下部チャンバー層およびチャネルダンパーは,発熱抵抗器を完全に取り囲むように配置された同一の樹脂層であってもよい。
【0014】
チャネルダンパーおよび下部チャンバー層は,発熱抵抗器から所定距離離隔して発熱抵抗器を取り囲み,かつ四角枠の構造をなすように配置することができる。または,チャネルダンパーおよび下部チャンバー層は,発熱抵抗器を取り囲む環状構造をなすように配置することもできる。
【0015】
チャネルダンパーおよび下部チャンバー層が,四角枠の構造を有するように配置される場合,チャネルダンパーが配置される開放部は,発熱抵抗器の少なくとも1辺を開放させて提供することができる。また,開放部は,発熱抵抗器の少なくとも1つの角部を開放させてもよい。これとは異なり,開放部は,発熱抵抗器の1辺および1辺の両端の角部を開放させて提供することができる。また,開放部は,発熱抵抗器の3つの角部および3つの角部間の2辺を開放させてもよい。
【0016】
インクジェットヘッドは,基板を貫通するインク供給路をさらに備えることができる。インク供給路は,発熱抵抗器を取り囲むチャンバー層およびチャネルダンパーの一側部を通るライン形態を有するように配置することができる。また,発熱抵抗器の一側の基板上には,遮断壁が,チャンバー層およびチャネルダンパーから離隔するように配置させることができる。かかる遮断壁は,例えば発熱抵抗器の1辺に平行なバー形状であってもよい。
【0017】
また,本発明の他の観点によれば,インクジェットヘッドの製造方法が提供される。この製造方法は,まず,発熱抵抗器形成段階において,基板上に,インク吐出のための圧力を生成する発熱抵抗器を形成する。次いで,チャンバー層形成段階において,基板上に,少なくとも1つの開放部を備えるように発熱抵抗器を取り囲み,かつ基板から第1の高さを有するチャンバー層を形成する。さらに,チャネルダンパー形成段階において,開放部に,チャンバー層と共に発熱抵抗器を取り囲み,かつ基板から第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーを形成する。その後,ノズル層形成段階において,チャンバー層の上部に,発熱抵抗器に対応するノズルを有するノズル層を形成する。
【0018】
ここで,チャンバー層形成段階,チャネルダンパー形成段階,ノズル層形成段階では,まず,基板上に,発熱抵抗器を取り囲むチャンバー/ダンパー層を形成してもよい。次いで,チャンバー/ダンパー層を有する基板上に上部チャンバー層を形成する。上部チャンバー層の上部面に接触し,ノズルを有するノズル層を形成する。チャネルダンパーは,上部チャンバー層により露出したチャンバー/ダンパー層の所定領域に形成される。
【0019】
また,チャンバー/ダンパー層形成段階は,発熱抵抗器を有する基板上に,チャンバー/ダンパー樹脂層を形成するチャンバー/ダンパー樹脂層形成段階と,チャンバー/ダンパー樹脂層をパターニングして,チャンバー/ダンパー層を形成するパターニング段階と,を含むこともできる。このチャンバー/ダンパー層は,例えば,発熱抵抗器を取り囲むように,四角枠状や環状構造に形成することができる。
【0020】
さらに,基板を貫通するインク供給路を形成するインク供給路形成段階をさらに備えることもできる。
【0021】
また,本発明の他の観点によれば,基板と;基板上に配置された発熱抵抗器と;基板に配置され,基板の上面に対して垂直である第1の方向に第1の高さを有し,基板の上面に対して平行である第2の方向に発熱抵抗器の第1の部分を取り囲むチャンバー層と,発熱抵抗器の前記チャンバー層により取り囲まれていない第2の部分として形成される開放部と,開放部に形成され,第1の高さより小さい第2の高さを有するチャネルダンパーと,を含むバリアー構造物と;チャンバー層上に配置され,チャンバー層と共に発熱抵抗器に対応するインクチャンバーを形成し,インクチャンバーに連通するノズルを含むノズル層と;を備えるインクジェットヘッドが提供される。
【0022】
ここで,チャネルダンパーは,第2の高さに,ノズル層側の基板上に形成され,開放部の面積より小さいインクチャネルを形成することができる。このチャネルダンパーは,ノズル層と共にインクチャネルを形成し,インクチャンバーに貯蔵されたインクがインクチャンバーから吐出される場合,インクチャンバーとインクチャネルとの間に逆流現象が生じることを防止する。また,チャネルダンパーは,インク液滴の体積を基準値以上に維持することによっても,インクチャンバーとインクチャネルとの間に逆流現象が生じることを防止することができる。
【0023】
また,インクチャネルは,第1の高さと第2の高さとの差以下の第3の高さを有することができる。
【0024】
さらに,発熱抵抗器から離隔して基板上に配置された第2発熱抵抗器と;基板に配置され,第1の方向に第1の高さを有し,第2の方向に第2発熱抵抗器の第3の部分を取り囲む第2チャンバー層と,第2発熱抵抗器における第2チャンバー層により取り囲まれていない第4の部分として形成される第2開放部と,第2開放部に形成され,第1の高さより小さい第2高さを有する第2チャネルダンパーと,を含む第2バリアー構造物と;を備えることもできる。
【0025】
また,基板とノズル層との間に形成され,バリアー構造物および第2バリアー構造物各々に対してインクを供給する,第1の流路および第2の流路を提供するインクチャネルと,基板とノズル層との間に形成された側壁と,をさらに備えることもできる。この側壁は,第1の流路および第2の流路を提供するために,例えば,バリアー構造物および第2バリアー構造物から離隔して配置してもよい。
【0026】
さらに,基板とノズル層との間に形成され,開放部と第2開放部を連通する流路を提供するインクチャネルと,基板上に,バリアー構造物と第2バリアー構造物との間のインクチャネル内部に形成され,インクチャネルの流路より狭い第2の流路を提供する遮断壁と,を備えることもできる。この遮断壁は,第2の高さより高い第3の高さに形成することができ,さらに,第2の高さより高く,第1の高さより低い第3の高さに形成することもできる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように本発明によれば,チャネルダンパーを備えたバリアー構造物を形成することにより,インクの吐出時のインクの逆流現象を減少させ,インク吐出周波数およびインク吐出速度を向上させることのできるインクジェットヘッドおよびインクジェットヘッドの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。なお,図面において,層および領域の厚みは,明確性を図るために誇張されたものである。
【0029】
(第1の実施形態)
図2Aは,本実施形態にかかるインクジェットヘッドに使用されるバリアー構造物を示す平面図である。また,図2Bは,図2AのI−I’線に沿う断面図である。さらに,図2Cは,図2Aに示すバリアー構造物の斜視図である。
【0030】
図2A〜図2Cに示すように,基板S上に,発熱抵抗器Rが配置される。この発熱抵抗器Rは,例えば,タンタル(Ta)のような高融点金属または高融点金属を含む合金から形成することができる。また,発熱抵抗器Rは,例えば,平面視で正方形の形状とすることができ,矩形の形状を有する2つのサブ発熱体(sub heat−generating body)から構成して全体的に正方形の形状とすることもできる。
【0031】
インクジェットヘッドは,発熱抵抗器Rを完全に取り囲むバリアー構造物Bを有する。バリアー構造物Bは,少なくとも1つの開放部Oを提供するように,発熱抵抗器Rを部分的に取り囲むチャンバー層Cと,チャンバー層Cにより形成された開放部Oに配置され,チャンバー層Cと共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャネルダンパーDとを含む。チャンバー層Cは,基板Sから第1の高さH1を有し,チャネルダンパーDは,第1の高さH1より低い第2の高さH2を有する。
【0032】
チャンバー層Cの上部面に当接するように,ノズル層NLが配置される。ノズル層NLは,発熱抵抗器Rに対応するノズルNを有する。バリアー構造物Bおよびノズル層NLにより,発熱抵抗器Rの上部空間にインクチャンバーICが形成される。チャンバー層Cによって形成された開放部Oは,インク供給路(図示せず)とインクチャンバーICを連結するインクチャネルIとして提供される。本実施形態にかかるインクチャネルIは,開放部Oに配置されたチャネルダンパーDによってその高さが決定される。すなわち,チャンバー層Cが有する第1の高さH1と,チャネルダンパーDが有する第2の高さH2との差によってインクチャネルIの高さH3が決定される。
【0033】
以下に,バリアー構造物Bについて詳細に説明する。
【0034】
上述したように,バリアー構造物Bは,チャンバー層Cと,チャネルダンパーDとを含む。チャンバー層Cは,基板から第1の高さを有する単一の樹脂層,または,下部チャンバー層LCおよび上部チャンバー層UCを含む2つの樹脂層から形成することができる。チャンバー層Cが下部チャンバー層LCおよび上部チャンバー層UCを含む場合,下部チャンバー層LCおよびチャネルダンパーDは,同じ樹脂層よりなり,基板上から同じ第2の高さを有する。下部チャンバー層LCおよびチャネルダンパーDは,同一の工程段階で同じ物質を使用して,発熱抵抗器Rを取り囲むように形成することができる。
【0035】
以下では,チャンバー層Cが,下部チャンバー層LCおよび上部チャンバー層UCを含む場合について説明する。また,下部チャンバー層LCおよびチャネルダンパーDを共に指す場合,「チャンバー/ダンパー層」という。なお,基板Sは,周知のように,保護層,または発熱抵抗器Rに連結された導電層を含むことができる。
【0036】
チャンバー/ダンパー層は,熱硬化性樹脂またはネガティブ感光性を有する樹脂層であってもよい。また,チャンバー/ダンパー層は,発熱抵抗器Rを取り囲み,かつ,図2Aに示すように,内辺と外辺との間に第1幅W1を有する四角枠の構造を有することができる。上部チャンバー層UCは,チャンバー/ダンパー層を選択的に覆うように配置される。図2Cに示すように,上部チャンバー層UCは,発熱抵抗器Rの4つの角部部分を覆わないように配置することができる。その結果,上部チャンバー層UCにより露出したチャンバー/ダンパー層の部分にチャネルダンパーDが形成され,上部チャンバー層UCによって覆われたチャンバー/ダンパー層の部分に下部チャンバー層LCが形成される。
【0037】
ここで,上部チャンバー層UCは,熱硬化性樹脂またはネガティブ感光性を有する樹脂層であってもよい。上部チャンバー層UCは,下部チャンバー層LCの内辺が発熱抵抗器Rから離隔した距離と同一の距離だけ発熱抵抗器Rから離隔した内辺を有し,その内辺と外辺との間に,第1幅W1以上の第2幅W2を有することができる。図2A〜図2Cに示すように,上部チャンバー層UCは,第1幅W1より大きい幅を有することが,基板Sとの接着性の向上のために好ましい。
【0038】
図2A〜図2Cに示されたバリアー構造物Bは,発熱抵抗器Rの4つの角部部分を開放させる開放部Oを提供するチャンバー層Cと,開放部Oに配置されたチャネルダンパーDとを含む。開放部Oに,チャネルダンパーDによって形成された高さH3を有する4つのインクチャネルIが形成される。そして,インク供給路(図示せず)から提供されたインクがインクチャネルIを介してインクチャンバーICに流入される。流入されたインクは,発熱抵抗器Rにより瞬間的に加熱され,バブルが生成される。本実施形態によれば,例えば,バブルの拡張を,4つのインクチャネルIを介して分散させることができる。その結果,3面バリアー構造物(three sided barrier structure)を有する従来のインクジェットヘッドに比べて,インク吐出時,インクチャンバーICの外部にバブルが拡張されるのを減少させることができる。したがって,インク吐出後,4つのインクチャネルIを介して新しいインクが速く再充填されるようにすることができる。
【0039】
発熱抵抗器Rを取り囲むバリアー構造物Bの形状は,多様な形態に変形することができる。以下に,本実施形態にかかるバリアー構造物の第1〜第12の変形例を示す。ここで,別の説明が付加されない場合,図2A〜図2Cと同一の名称を有する構成要素は,図2A〜図2Cにおける構成要素と同一であるとする。
【0040】
図3A〜図7Bに,本実施形態にかかるバリアー構造物の第1〜第5の変形例を示す。図3A〜図7Bにおいて,図3A,図4A,図5A,図6Aおよび図7Aは,第1〜第5の変形例にかかるバリアー構造物を示す平面図である。また,図3B,図4B,図5B,図6Bおよび図7Bは,各々図3A,図4A,図5A,図6Aおよび図7Aに示すバリアー構造物の斜視図である。
【0041】
図3A〜図7Bに示すように,第1〜第5の変形例にかかるバリアー構造物は,基板Sに形成され,各々発熱抵抗器Rの少なくとも1辺を開放させる開放部O3,O4,O5,O6,O7を提供するチャンバー層C3,C4,C5,C6,C7と,開放部O3,O4,O5,O6,O7に各々配置され,それぞれのチャンバー層C3,C4,C5,C6,C7と共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャネルダンパーD3,D4,D5,D6,D7とを含む。
【0042】
次に,図8A〜図11Bには,本実施形態にかかるバリアー構造物の第6〜第9の変形例を示す。図8A〜図11Bにおいて,図8A,図9A,図10Aおよび図11Aは,第6〜第9の変形例にかかるバリアー構造物を示す平面図である。また,図8B,図9B,図10Bおよび図11Bは,各々図8A,図9A,図10Aおよび図11Aに示すバリアー構造物の斜視図である。
【0043】
図8A〜図11Bに示すように,第6〜第9の変形例にかかるバリアー構造物は,各々発熱抵抗器Rの少なくとも1つの角部を開放させる開放部O8,O9,O10,O11を提供するチャンバー層C8,C9,C10,C11と,開放部O8,O9,O10,O11に各々配置され,それぞれのチャンバー層C8,C9,C10,C11と共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャネルダンパーD8,D9,D10,D11とを含む。本実施形態にかかる発熱抵抗器Rの角部は,例えば発熱抵抗器Rの隣接する2辺の所定部分を含むことができる。
【0044】
さらに,図12A〜図14Bに,本実施形態にかかるバリアー構造物の第10〜第12の変形例を示す。図12A〜図14Bにおいて,図12A,図13A,および図14Aは,第10〜第12の変形例にかかるバリアー構造物を示す平面図である。また,図12B,図13Bおよび図14Bは,各々図12A,図13Aおよび図14Aに示すバリアー構造物を示す斜視図である。
【0045】
図12Aおよび図12Bに示すバリアー構造物は,基板Sに形成され,発熱抵抗器Rの選択された1辺および選択された1辺の両端の角部を開放させる開放部O12を提供するチャンバー層C12と,開放部O12に配置され,チャンバー層C12と共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャネルダンパーD12とを含む。
【0046】
また,図13Aおよび図13Bに示すバリアー構造物は,基板Sに形成され,発熱抵抗器Rの3つの角部および3つの角部間の2辺を開放させる開放部O13を提供するチャンバー層C13と,開放部O13に配置され,チャンバー層C13と共に発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャネルダンパーD13とを含む。
【0047】
さらに,図14Aおよび図14Bに示すバリアー構造物は,発熱抵抗器Rを取り囲む環状構造を有することができる。すなわち,発熱抵抗器Rの選択された領域を開放させる開放部O14を提供するチャンバー層C13と,開放部O14に配置され,チャンバー層C13と共に環状構造を有するように発熱抵抗器を完全に取り囲むチャネルダンパーD14とを含む。図2A〜図2Cで説明したように,チャンバー層C13は,図示しない下部チャンバー層および上部チャンバー層を含むことができる。環状構造において,下部チャンバー層およびチャネルダンパーD14を含むチャンバー/ダンパー層は,発熱抵抗器を取り囲むことができる。図14A〜14Bに示された開放部O14は,同じ間隔を有するが,開放部O14は,互いに異なる間隔を有するように配置することができる。また,バリアー構造物は,楕円形構造又は多角形構造であってもよい。
【0048】
図15は,本実施形態にかかるバリアー構造物を有するインクジェットヘッドを示す一部平面図である。
【0049】
図15に示すように,基板100上に複数の発熱抵抗器Rが配置される。発熱抵抗器Rは,一定の規則を有して基板100上に配列することができる。例えば,発熱抵抗器Rは,インク供給路110を挟んで2列で配置してもよい。また,インク供給路110が適切な位置に配置される場合,マトリックスタイプで配置することもできる。基板100上には,発熱抵抗器R以外に他の層および構造物をさらに配置することができる。例えば,基板100は,シリコン酸化膜のような熱障壁層(thermal barrier layer)で被覆することができ,この場合,発熱抵抗器Rは,熱障壁層上に配置することができる。また,発熱抵抗器Rには,例えば,インク吐出のための電気的信号を提供するための金属配線,または,発熱抵抗器Rおよび金属配線を覆う絶縁性パッシベーション層(passivation layer)を配置することもできる。
【0050】
また,発熱抵抗器Rを取り囲むバリアー構造物Bを備えることもできる。バリアー構造物Bは,基板から第1の高さを有するチャンバー層Cと,第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーDとを含む。バリアー構造物Bによって,発熱抵抗器Rの上部にインクチャンバーICが形成される。バリアー構造物Bは,図2A〜図2Cで説明したような構造を有することができ,図3A〜図14Bにて示したように,多様に変形することができる。
【0051】
インク供給路110は,基板100を貫通するように配置され,バリアー構造物Bの一側部を通るライン形態を有するように配置することができる。チャンバー層C上には,チャンバー層Cの上部面に当接する平板構造のノズル層(図示せず)が配置される。ノズル層は,発熱抵抗器Rの上部に対応する位置に,インク吐出のためのノズルを有する。発熱抵抗器R間の基板100上には,例えばバリアー構造物Bから離隔した遮断壁(blocking layer)105を配置することができる。
【0052】
遮断壁105は,インク吐出および再充填時,隣接したノズル間の干渉(cross talk)を防止するために配置され,発熱抵抗器Rの1辺に平行なバー形状を有することができる。遮断壁105は,チャンバー層C,より詳細には,図2A〜図2Cで説明した上部チャンバー層と同一の工程段階で形成することができる。したがって,上部チャンバー層と同じ物質層で形成することができ,同じ高さに形成することができる。なお,バリアー構造物Bによって隣接ノズル間の干渉が防止される場合,遮断壁105は省略してもよい。
【0053】
基板100上の両側部には,基板100上においてインクの移動通路となる流路の側端を形成する側壁104bを配置することができる。また,側壁104bは,遮断壁105と同様に,上部チャンバー層と同一の工程段階で形成することができる。これにより,上部チャンバー層と同じ物質層で形成することができ,同じ高さを有することができる。
【0054】
次に,図16A〜図16Eに基づいて,本実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法について説明する。ここで,図16A〜16Eは,本実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法を説明するための,図15のII−II’線に沿った断面図である。
【0055】
図16Aに示すように,まず,基板300上に発熱抵抗器Rが形成される。発熱抵抗器Rは,例えば,タンタルのような高融点金属または高融点金属を含む合金で形成することができる。発熱抵抗器Rは,当業者にとって公知の方法にて形成することができ,これについての説明は省略する。そして,発熱抵抗器Rを有する基板300上に,チャンバー/ダンパー樹脂層302を形成する。チャンバー/ダンパー樹脂層302は,例えば,スピンコート法により,インクに対して化学的耐性を有する熱硬化性樹脂またはネガティブ感光性樹脂層から形成することができる。
【0056】
次いで,図16Bに示すように,チャンバー/ダンパー樹脂層302をパターニングして,発熱抵抗器Rを完全に取り囲むチャンバー/ダンパー層302’を形成する。チャンバー/ダンパー層302’は,基板300の上面に平行な面に対して,発熱抵抗器Rの各々取り囲む四角枠の構造となるようにパターニングすることができる。チャンバー/ダンパー樹脂層302は,例えば,フォトリソグラフィ工程または異方性エッチング工程によってパターニングすることができる。また,チャンバー/ダンパー層302’は,基板300の上面に平行な面に対して,発熱抵抗器Rの各々取り囲む環状構造となるように形成することもできる。チャンバー/ダンパー層302’は,図2Bで説明したチャネルダンパー(図2BのD)と同じ高さH2を有するように形成される。
【0057】
さらに,図16Cに示すように,チャンバー/ダンパー層302’を有する基板300上にチャンバー樹脂層(図示せず)を形成する。チャンバー樹脂層は,チャンバー/ダンパー層302’を覆い,基板300から,図2Bで説明したチャンバー層Cと同じ高さH1を有するように形成される。その後,チャンバー樹脂層をパターニングして,チャンバー/ダンパー層302’の所定領域を覆う上部チャンバー層304aを形成する。
【0058】
上部チャンバー層304aは,発熱抵抗器Rの所定部分を開放させるように形成される。または,上部チャンバー層304aは,図15に示すように,発熱抵抗器Rの4つの角部を開放させて形成することもできる。その結果,上部チャンバー層304aにより露出した部分のチャンバー/ダンパー層302’の4つの角部部分にチャネルダンパーが形成され,上部チャンバー層304aに重畳する下部のチャンバー/ダンパー層302’に下部チャンバー層が形成される。
【0059】
上部チャンバー層304aは,チャンバー/ダンパー層302’上のみに形成することができるが,基板300との接着性を向上させるために,図16Cに示すように,基板300に当接して,チャンバー/ダンパー層302より大きい幅を有するように形成することもできる。一方,チャンバー樹脂層をパターニングする工程で,遮断壁(図15の105)を共に形成することもできる。また,基板300上の両側部には,基板300上においてインクの移動通路となる流路のC側端を形成する側壁304bを形成することもできる。
【0060】
その後,図16Dに示すように,上部チャンバー層304aを有する基板300上に犠牲モールド層306’を形成する。犠牲モールド層306’は,チャンバー/ダンパー層302’,上部チャンバー層304aおよび側壁304b間の空き空間を満たし,上部チャンバー層304aと同じ高さを有するように形成される。犠牲モールド層306’は,例えば,溶媒を用いて除去可能なポジティブ感光性樹脂層で形成することができる。その後,犠牲モールド層306’を有する結果物上に,ノズル樹脂層(図示せず)を形成し,ノズル樹脂層をパターニングして,発熱抵抗器Rの上部に対応する位置にノズル308’を有するノズル層308を形成する。ノズル樹脂層は,例えば,ネガティブ感光性樹脂層で形成することができ,フォトリソグラフィ工程によってパターニングすることができる。
【0061】
次いで,図16Eに示すように,基板300の中心部を貫通するインク供給路310を形成する。インク供給路310は,例えば,公知の異方性エッチング工程により形成することができる。その後,例えば,ウェットエッチング工程により犠牲モールド層306’を除去し,犠牲モールド層306’が除去された領域に,インクの移動通路となる流路を最終的に形成する。
【0062】
以上,本実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法について説明した。次に,図17Aおよび図17Bに基づいて,本実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法の変形例を示す。ここで,図17Aおよび図17Bは,他の変形例にかかるインクジェットヘッドの製造方法を説明するための,図15のII−II’線に沿う断面図である。
【0063】
図17Aに示すように,図16Aおよび図16Bで説明した工程を行うことによって,基板500上に,発熱抵抗器Rを取り囲むチャンバー/ダンパー層502’を形成する。その後,チャンバー/ダンパー層502’を有する基板500上にモールド樹脂層506を形成する。モールド樹脂層506は,例えば,ポジティブ感光性樹脂層で形成することができる。これにより,モールド樹脂層506は,図16Cで説明したチャンバー樹脂層と同じ高さを有するように形成される。
【0064】
次いで,図17Bに示すように,例えば,フォトリソグラフィ工程を行うことによって,モールド樹脂層506をパターニングして,犠牲モールド層506’を形成する。犠牲モールド層506’は,図16Dで説明したように,領域を覆うように形成される。犠牲モールド層506’を有する基板500上の全面に,パターニング可能な樹脂層(図示せず),例えば,ネガティブ感光性樹脂層を形成する。その後,樹脂層をパターニングして,上部チャンバー層504a,側壁504b,および発熱抵抗器Rに対応するノズルを有するノズル層508を同時に形成する。その後,図16Eで説明した工程を行うことによって,インクジェットヘッドを製造する。
【0065】
以上,本実施形態にかかるインクヘッドヘッドの製造方法と,その変形例について説明した。次に,本実施形態にかかるバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのインク吐出特性を調べるために,コンピュータシミュレーションを実施した。以下,図18A〜19Fに基づいて,コンピュータシミュレーションによる実施例について説明する。
【実施例】
【0066】
図18Aは,本実施例にかかるインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーションにおいて使用されたバリアー構造物の規格および寸法を示す平面図である。また,図18Bは,図18AのIII〜III’線に沿う断面図である。図18Aおよび図18Bにおいて,バリアー構造物は,図2A〜図2Cに示された構造を有するように設計した。ただし,チャンバー層(図2AのC)の幅W2は,チャネルダンパー(図2AのD)の幅W1と同等に設計した。
【0067】
図19A〜図19Fは,図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション結果を示す図である。ここで,図19A〜図19Fは,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,各々0μsec,2μsec,4μsec,6μsec,9μsecおよび21μsecが経過した後の結果を示す図である。
【0068】
図19A〜図19Fに示すように,まず,2μsecが経過した時点で,インク液滴が吐出し始めた。この時に発生したバブルは,図19Bに示すように,インクチャンバーの外部に拡張される。しかし,このバブルの拡張は,図18Aおよび図18Bに示す4つのインクチャネルIを介して分散して行われ,インクチャンバーICの外部にバブルが拡張されるまでの時間が短縮した。その結果,インク吐出後,インク再充填速度が増加し,約20μsecが経過した後には,インク再充填が完了した。
【0069】
また,インク吐出周波数,インク吐出速度および液滴体積の最大値は,各々30KHz,19.5m/secおよび4.2pLであった。この結果は,従来の3面構造のバリアー構造物を有するインクジェットヘッドの場合,各々約18KHz,約13m/sおよび約4.5pLの値を有することから,インク吐出特性が改善されたことが分かる。すなわち,インク吐出周波数が高いということは,インク吐出後,インクチャンバー内へのインクの再充填が容易になされることを意味し,インク吐出速度が高いということは,高速印刷が可能であることを意味する。また,液滴体積の観点からみれば,従来と同等以上の水準を維持するので,高解像度を維持しながら,高速印刷が可能であることが分かる。
【0070】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は,インクジェットヘッドおよびその製造方法に適用可能であり,特にチャネルダンパーを備えたインクジェットヘッドおよびその製造方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】従来のインクジェットヘッドのバリアー構造物を示す平面図である。
【図2A】本発明の第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドに使用されるバリアー構造物を示す平面図である。
【図2B】図2AのI−I’線に沿う断面図である。
【図2C】図2Aに示すバリアー構造物の斜視図である。
【図3A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第1の変形例を示す平面図である。
【図3B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第1の変形例を示す斜視図である。
【図4A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第2の変形例を示す平面図である。
【図4B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第2の変形例を示す斜視図である。
【図5A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第3の変形例を示す平面図である。
【図5B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第3の変形例を示す斜視図である。
【図6A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第4の変形例を示す平面図である。
【図6B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第4の変形例を示す斜視図である。
【図7A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第5の変形例を示す平面図である。
【図7B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第5の変形例を示す斜視図である。
【図8A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第6の変形例を示す平面図である。
【図8B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第6の変形例を示す斜視図である。
【図9A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第7の変形例を示す平面図である。
【図9B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第7の変形例を示す斜視図である。
【図10A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第8の変形例を示す平面図である。
【図10B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第8の変形例を示す斜視図である。
【図11A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第9の変形例を示す平面図である。
【図11B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第9の変形例を示す斜視図である。
【図12A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第10の変形例を示す平面図である。
【図12B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第10の変形例を示す斜視図である。
【図13A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第11の変形例を示す平面図である。
【図13B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第11の変形例を示す斜視図である。
【図14A】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第12の変形例を示す平面図である。
【図14B】第1の実施形態にかかるバリアー構造物の第12の変形例を示す斜視図である。
【図15】第1の実施形態にかかるバリアー構造物を有するインクジェットヘッドを示す一部平面図である。
【図16A】図15のII−II’線に沿った断面図であり,第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法の発熱抵抗器形成段階およびチャンバー/ダンパー樹脂層段階を示す。
【図16B】図15のII−II’線に沿った断面図であり,第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法のパターニング段階を示す。
【図16C】図15のII−II’線に沿った断面図であり,第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法の上部チャンバー層形成段階および下部チャンバー層形成段階を示す。
【図16D】図15のII−II’線に沿った断面図であり,第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法のノズル層形成段階を示す。
【図16E】図15のII−II’線に沿った断面図であり,第1の実施形態にかかるインクジェットヘッドの製造方法のインク供給路形成段階を示す。
【図17A】図15のII−II’線に沿った断面図であり,インクジェットヘッドの製造方法の他の実施例を示す。
【図17B】図15のII−II’線に沿った断面図であり,インクジェットヘッドの製造方法の他の実施例を示す。
【図18A】本発明の実施例にかかるインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーションに使用されたバリアー構造物を示す平面図である。
【図18B】図18AのIII−III’線に沿った断面図である。
【図19A】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,0μsec経過後を示す。
【図19B】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,2μsec経過後を示す。
【図19C】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,4μsec経過後を示す。
【図19D】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,6μsec経過後を示す。
【図19E】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,9μsec経過後を示す。
【図19F】図18Aおよび図18Bに示すバリアー構造物を有するインクジェットヘッドのコンピュータシミュレーション図であり,発熱抵抗器から熱エネルギーが発生した時点を基準として,21μsec経過後を示す。
【符号の説明】
【0073】
S 基板
R 発熱抵抗器
B バリアー構造物
O 開放部
C チャンバー層
D チャネルダンパー
N ノズル
NL ノズル層
IC インクチャンバー
I インクチャネル
LC 下部チャンバー層
UC 上部チャンバー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板上に配置され,インクを吐出するための圧力を生成する発熱抵抗器と;
前記基板上に配置され,少なくとも1つの開放部を提供するように前記発熱抵抗器を取り囲み,前記基板から第1の高さを有するチャンバー層と;
前記開放部に配置され,前記チャンバー層と共に前記発熱抵抗器を取り囲み,前記基板から前記第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーと;
前記発熱抵抗器に対応するノズルを有し,前記チャンバー層の上部面に当接するノズル層と;
を備えることを特徴とする,インクジェットヘッド。
【請求項2】
前記チャンバー層は,下部チャンバー層と,該下部チャンバー層を覆う上部チャンバー層とを含み,
前記下部チャンバー層は,前記チャネルダンパーと同物質の層からなり,同じ高さを有することを特徴とする,請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記発熱抵抗器は,四角形の形状を有することを特徴とする,請求項2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記チャネルダンパーおよび前記下部チャンバー層は,前記発熱抵抗器から所定距離離隔され,前記発熱抵抗器を取り囲むことを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
前記上部チャンバー層は,前記下部チャンバー層が前記発熱抵抗器から離隔された距離と同じ距離をもって前記発熱抵抗器から離隔され,
前記上部チャンバー層の幅は,前記下部チャンバー層の幅以上であることを特徴とする,請求項4に記載のインクジェットヘッド。
【請求項6】
前記発熱抵抗器の少なくとも1辺は,前記開放部により開放されることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項7】
前記発熱抵抗器の少なくとも1つの角部は,前記開放部により開放されることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項8】
前記発熱抵抗器の1辺および前記1辺の両端の角部は,前記開放部により開放されることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項9】
前記発熱抵抗器の3つの角部および前記3つの角部間の2辺は,前記開放部により開放されることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項10】
前記チャネルダンパーおよび前記下部チャンバー層は,前記発熱抵抗器を取り囲む環状構造に形成されることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項11】
前記基板を貫通して形成され,前記チャンバー層により形成されるインクチャネルに連通するインク供給路をさらに備えることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項12】
前記インク供給路は,前記発熱抵抗器を取り囲む前記チャンバー層および前記チャネルダンパーの一側部を通るライン形態に形成されることを特徴とする,請求項11に記載のインクジェットヘッド。
【請求項13】
前記発熱抵抗器の一側に配置され,前記チャンバー層および前記チャネルダンパーから離隔して前記基板上に形成された遮断壁をさらに備えることを特徴とする,請求項3に記載のインクジェットヘッド。
【請求項14】
前記遮断壁は,前記上部チャンバー層と同物質の層からなり,前記チャンバー層と同じ第1の高さを有することを特徴とする,請求項13に記載のインクジェットヘッド。
【請求項15】
前記遮断壁は,前記発熱抵抗器の1辺に対して平行なバー形状であることを特徴とする,請求項14に記載のインクジェットヘッド。
【請求項16】
基板上に,インクを吐出するための圧力を生成する発熱抵抗器を形成する発熱抵抗器形成段階と;
前記基板上に,少なくとも1つの開放部を提供するように前記発熱抵抗器を取り囲み,前記基板から第1の高さを有するチャンバー層を形成するチャンバー層形成段階と;
前記開放部に,前記チャンバー層と共に前記発熱抵抗器を取り囲み,前記基板から前記第1の高さより低い第2の高さを有するチャネルダンパーを形成するチャネルダンパー形成段階と;
前記チャンバー層の上部に,前記発熱抵抗器に対応するノズルを有するノズル層を形成するノズル層形成段階と;
を備えることを特徴とする,インクジェットヘッドの製造方法。
【請求項17】
前記チャンバー層形成段階と,前記チャネルダンパー形成段階と,前記ノズル層形成段階とは,
前記基板上に前記発熱抵抗器を取り囲むチャンバー/ダンパー層を形成するチャンバー/ダンパー層形成段階と,
前記チャンバー/ダンパー層を有する基板上に,上部チャンバー層を形成する上部チャンバー層形成段階と,
前記上部チャンバー層の上部面に接触し,前記ノズルを有するノズル層を形成する上部チャンバー層ノズル層形成段階と,
を含み,
前記チャネルダンパーは,前記上部チャンバー層より露出した前記チャンバー/ダンパー層の所定領域に形成されることを特徴とする,請求項16に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項18】
前記チャンバー/ダンパー層形成段階は,
前記発熱抵抗器を有する基板上に,チャンバー/ダンパー樹脂層を形成するチャンバー/ダンパー樹脂層形成段階と,
前記チャンバー/ダンパー樹脂層をパターニングして,前記チャンバー/ダンパー層を形成するパターニング段階と,
を含むことを特徴とする,請求項17に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項19】
前記チャンバー/ダンパー層は,前記発熱抵抗器を取り囲む四角枠に形成されることを特徴とする,請求項18に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項20】
前記チャンバー/ダンパー層は,前記発熱抵抗器を取り囲む環状構造に形成されることを特徴とする,請求項18に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項21】
前記基板を貫通するインク供給路を形成するインク供給路形成段階をさらに備えることを特徴とする,請求項17に記載のインクジェットヘッドの製造方法。
【請求項22】
基板と;
前記基板上に配置された発熱抵抗器と;
前記基板に配置され,前記基板の上面に対して垂直である第1の方向に第1の高さを有し,前記基板の上面に対して平行である第2の方向に前記発熱抵抗器の第1の部分を取り囲むチャンバー層と,
前記発熱抵抗器の前記チャンバー層により取り囲まれていない第2の部分として形成される開放部と,
前記開放部に形成され,前記第1の高さより小さい第2の高さを有するチャネルダンパーと,を含むバリアー構造物と;
前記チャンバー層上に配置され,前記チャンバー層と共に前記発熱抵抗器に対応するインクチャンバーを形成し,前記インクチャンバーに連通するノズルを含むノズル層と;
を備えることを特徴とする,インクジェットヘッド。
【請求項23】
前記チャネルダンパーは,前記第2の高さに,前記ノズル層側の前記基板上に形成され,前記開放部の面積より小さいインクチャネルを形成することを特徴とする,請求項22に記載のインクジェットヘッド。
【請求項24】
前記チャネルダンパーは,前記ノズル層と共にインクチャネルを形成し,
前記インクチャンバーに貯蔵されたインクが前記インクチャンバーから吐出される場合,前記インクチャンバーと前記インクチャネルとの間に逆流現象が生じることを防止することを特徴とする,請求項22に記載のインクジェットヘッド。
【請求項25】
前記チャネルダンパーは,インク液滴の体積を基準値以上に維持することによって,前記インクチャンバーと前記インクチャネルとの間に逆流現象が生じることを防止することを特徴とする,請求項24に記載のインクジェットヘッド。
【請求項26】
前記インクチャネルは,前記第1の高さと前記第2の高さとの差以下の第3の高さを有することを特徴とする,請求項24に記載のインクジェットヘッド。
【請求項27】
前記発熱抵抗器から離隔して前記基板上に配置された第2発熱抵抗器と;
前記基板に配置され,前記第1の方向に前記第1の高さを有し,前記第2の方向に前記第2発熱抵抗器の第3の部分を取り囲む第2チャンバー層と,
前記第2発熱抵抗器における前記第2チャンバー層により取り囲まれていない第4の部分として形成される第2開放部と,
前記第2開放部に形成され,前記第1の高さより小さい前記第2高さを有する第2チャネルダンパーと,を含む第2バリアー構造物と;
をさらに備えることを特徴とする,請求項22に記載のインクジェットヘッド。
【請求項28】
前記基板と前記ノズル層との間に形成され,前記バリアー構造物および前記第2バリアー構造物各々に対してインクを供給する,第1の流路および第2の流路を提供するインクチャネルと,
前記基板と前記ノズル層との間に形成された側壁と,
をさらに備えることを特徴とする,請求項27に記載のインクジェットヘッド。
【請求項29】
前記側壁は,前記第1の流路および前記第2の流路を提供するために,前記バリアー構造物および前記第2バリアー構造物から離隔されることを特徴とする,請求項28に記載のインクジェットヘッド。
【請求項30】
前記基板と前記ノズル層との間に形成され,前記開放部と前記第2開放部を連通する流路を提供するインクチャネルと,
前記基板上に,前記バリアー構造物と前記第2バリアー構造物との間の前記インクチャネル内部に形成され,前記インクチャネルの前記流路より狭い第2の流路を提供する遮断壁と,
をさらに備えることを特徴とする,請求項27に記載のインクジェットヘッド。
【請求項31】
前記遮断壁は,前記第2の高さより高く,前記第1の高さより低い第3の高さを有することを特徴とする,請求項30に記載のインクジェットヘッド。
【請求項32】
前記遮断壁は,前記第2の高さより高い第3の高さを有することを特徴とする,請求項30に記載のインクジェットヘッド。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7A】
image rotate

【図7B】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16A】
image rotate

【図16B】
image rotate

【図16C】
image rotate

【図16D】
image rotate

【図16E】
image rotate

【図17A】
image rotate

【図17B】
image rotate

【図18A】
image rotate

【図18B】
image rotate

【図19A】
image rotate

【図19B】
image rotate

【図19C】
image rotate

【図19D】
image rotate

【図19E】
image rotate

【図19F】
image rotate


【公開番号】特開2006−7780(P2006−7780A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187130(P2005−187130)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】