説明

インクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法

【課題】不吐出補完処理によって生じるおそれがある局所的な濃度変化の発生を抑えて、高品位な画像を記録することができるインクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】第1の色のインクを吐出する記録ヘッドに対して不吐出補完処理を実施した場合、その不吐出補完処理に関与するノズルに応じて、第2の色のインクを吐出する記録ヘッドにおけるノズルの記録濃度の補正値を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出可能な記録ヘッドを用いて画像を記録するインクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、非接触で記録できるという特性から、多彩な記録媒体に高速で記録することができる。インクジェット記録装置の中でも、特に、記録領域の幅に対応した長尺な記録ヘッドを用いて、記録媒体を連続的に搬送させつつ記録を行うフルライン型の記録装置は、記録の一層の高速化が可能であることから、広く使用されつつある。
【0003】
一般に、インクジェット記録装置は、記録ヘッドに形成された複数の吐出口(ノズル)から、記録剤であるインクを吐出することにより、記録媒体に画像を記録する。ノズルに連通するインク流路の形状の微妙なばらつきや、インクを吐出するためにノズルに設けられている吐出エネルギー発生素子(電気熱変換素子(ヒータ)や圧電素子など)の特性のばらつきにより、ノズル毎にインクの吐出量が微妙に異なることがある。そのため、同一の記録データに基づいて画像を記録しても、記録画像中に、記録に用いるノズルの記録特性に依存した斑が発生する場合がある。特に、フルライン型の記録装置に用いられる記録ヘッドは、その記録方法のために長尺化する傾向があり、記録領域を広くした高速記録ではその傾向が顕著となり、記録画像中の斑も目立ちやすい。
【0004】
このようなノズル毎に異なる記録特性により生じる斑は、濃度斑もしくは記録斑と称されており、このような濃度斑を目立たなくする補正方法としては、ヘッドシェーディング処理(以下、HS処理)が既に知られている。特許文献1には、フルライン型のインクジェット記録装置においてHS処理を適用することが記載されている。HS処理は、記録ヘッドのノズルからインクを吐出してテストパターンを記録し、その記録結果に基づいて画像データを補正することにより、各ノズルでの記録密度を調整するための処理である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−000767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特にフルライン型のインクジェット記録装置において、不吐出補完処理を実施して画像を記録した場合、ノズルから吐出されたインクによって形成されるドットの密度が局所的に変化するおそれがある。例えば、複数の記録ヘッドから吐出される異なる色のインクを重ねて画像を記録する場合に、濃淡や明度の差が発生するおそれがある。すなわち、不吐出補完処理されていないノズルから吐出されたインクと、他の異なるインクと、が重なる部分と、不吐出補完処理されたノズルから吐出されたインクと、他の異なるインクと重なる部分と、の間に濃淡や明度の差が発生するおそれがある。
また、記録装置本体の出荷時や記録ヘッドの出荷時に、予めHS処理のための濃度情報の取得を実施した場合には、それらの出荷後に不吐出補完処理を行うこと、つまり濃度情報取得の後に不吐出補完処理を行うことになる。そのため、上記のような記録画像における局所的な濃度変化の発生が避けられなくなるおそれがある。或いは再度濃度情報の取得をしなければならず、さらに時間を要することになる。
【0007】
本発明の目的は、不吐出補完処理によって生じるおそれがある局所的な濃度変化の発生を抑えて、高品位な画像を記録することができるインクジェット記録装置、インクジェット記録システム、およびインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録装置は、インクを吐出可能なノズルが複数形成された記録ヘッドを複数用い、記録データに基づいて、前記複数の記録ヘッドから異なる色のインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット記録装置において、前記ノズル毎の記録濃度の補正値に基づいて、前記ノズル毎の記録密度を調整するHS処理手段と、第1の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、インクの吐出が不可能な不吐出ノズルに対応する記録データを、前記不吐出ノズルと隣接する隣接ノズルに振り分ける不吐出補完処理手段と、前記第1の色のインクと異なる第2の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、前記不吐出ノズルと前記隣接ノズルに対応するノズルの前記記録濃度の補正値を変更する変更手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、第1の色のインクを吐出する記録ヘッドに対する不吐出補完処理に関連して、第2の色のインクを吐出する記録ヘッドの記録濃度の補正値を変更することにより、局所的な濃度変化の発生を抑えることができる。すなわち、複数色のインクを重ねた場合に、不吐出補完処理に関与するノズルによって記録される部分と、それ以外の部分と、の間に生じるおそれがある局所的な濃度変化(明度斑)の発生を抑えて、高品位な画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る実施形態のインクジェット記録装置の概略構成図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置における制御系のブロック構成図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置におけるインク供給系の構成図である。
【図4】(a),(b)は、図1のインクジェット記録装置の回復動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】図1のインクジェット記録装置とコンピュータ装置との通信形態を説明するためのブロック図である。
【図6】(a)は、図1のインクジェット記録装置によって記録されるHS補正用のテストパターン301の説明図、(b)は、そのテストパターンの階調特性を説明するためのグラフである。
【図7】(a)は、図1のコンピュータ装置側におけるHS処理を説明するためのフローチャートであり、(b)は、図1のインクジェット記録装置側におけるHS処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】図1のインクジェット記録装置によって記録される不吐出検出用のテストパターンの説明図である。
【図9】図1のインクジェット記録装置における記録濃度の変更処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明のインクジェット記録装置の概略構成図である。本例の記録装置10には、複数のラベルが仮付けされてロール状に巻回されたラベル用紙11が記録媒体として供給され、そのラベル用紙11は、搬送機構26の搬送ベルト26aによって矢印A方向に定速度で搬送される。搬送ベルト26aは、ローラ26c,26cの間に掛け渡されており、搬送モータ26bによって駆動される。ラベル用紙11に仮付けされた複数のラベルの先端部はセンサで検知され、それらが検知された位置を基準として、それら複数のラベルに対して複数のインクジェット記録ヘッド22(22K,22C,22M,22Y)からインクが吐出される。つまり、ラベルが記録ヘッド22の下部を通過するときに、それらの記録ヘッド22に複数形成されたノズルから吐出されるインクによって、ラベルに画像が記録される。記録ヘッド22K,22C,22M,22Yは、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出するための記録ヘッドであり、これらのインクによってカラー画像を記録することができる。記録ヘッド22は、ラベルの最大幅相当の記録幅を有する長尺のラインヘッドであり、それらの下面(吐出口形成面)には、インクを吐出可能な複数のノズルが配列されている。それらのノズルは、矢印Aのラベルの搬送方向と交差する方向(本例の場合は、直交する方向)に沿うノズル列を形成するように配列されている。それぞれのノズルには、後述するサブタンクから供給されるインクをノズル先端の吐出口から吐出するために、電気熱変換素子(ヒータ)や圧電素子などの吐出エネルギー発生素子が配備されている。電気熱変換素子を用いた場合には、その発熱によってノズル内のインクを発泡させ、その発泡エネルギーを利用して吐出口からインクを吐出することができる。
【0012】
記録装置10の下部には、記録ヘッド22(22K,22C,22M,22Y)に対するインクカートリッジ28(28K,28C,28M,28Y)および不図示のサブタンクが備えられている。また、記録ヘッド22の下部には、それぞれの記録ヘッドの吐出口をキャッピング可能なキャッピング機構50が備えられている。記録ヘッド22とキャッピング機構50は、図1中の上下の矢印B方向および同図中の左右方向に相対移動可能である。キャッピング機構50は、記録ヘッドのインクの吐出状態を良好に維持するための回復動作に用いられる。回復動作としては、キャッピング機構50のキャップ内にインクを吐出する予備吐出、記録ヘッド内のインクをノズルからキャップ内に吸引する吸引回復、記録ヘッド内のインクを加圧することによりノズルからキャップ内に排出する加圧回復を含むことができる。
【0013】
図1の例においては、6つのキャッピング機構50が備えられている。しかし、4つの記録ヘッド22K,22C,22M,22Yを備えた場合に使用されるキャッピング機構50は、6つの内の4つである。例えば淡シアン、淡マゼンタ、あるいは特別な色のインクを吐出するための記録ヘッドを追加配備した場合に、それらの記録ヘッドにも対応できるように、さらに2つのキャッピング機構50が予備として設けられている。
【0014】
インクカートリッジ28、サブタンク、記録ヘッド22、およびキャッピング機構50は、それぞれインク色毎に独立したインクチューブによって接続されている。また、記録装置10には、外部のコンピュータ装置(ホスト装置)12が接続されており、そのコンピュータ装置12から入力した記録データに基づいて画像を記録することができる。
【0015】
図2は、図1の記録装置10の制御系のブロック構成図である。記録装置10には、CPU(中央処理装置)、USBインターフェース部、ROM、記録ヘッドを含む記録機構などが備えられている。CPU901は、ROM903に記憶されているプログラムを実行して、記録装置10の各部を制御する。ROM903には、記録装置10を制御するプログラムやデータが格納される。記録装置10の処理は、CPU901がROM903内のプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0016】
コンピュータ装置12から送信された記録データは、記録装置10のインターフェース・コントローラ902によって受信される。記録媒体としてのラベルの枚数、種類、およびサイズ等を指示するコマンドも、インターフェース・コントローラ902により受信されて、解析される。CPU901は、これらのコマンドの解析の他、記録データの受信、記録動作、記録媒体のハンドリング等、記録装置10全般の制御を司るための演算処理を実行する。CPU901の処理は、プログラムROM903に記憶された処理プログラムに基いて実行され、そのプログラムは、後述する図4のフローチャートに示された手順に対応するプログラムを含む。また、CPU901の作業用のメモリとして、ワークRAM905が使用される。EEPROM906は書き換え可能な不揮発性メモリである。このEEPROM906には、前回の回復動作を実施した時刻、複数の記録ヘッドの相互の距離、および搬送方向における記録位置を微調整(縦方向のレジストレーション)するための補正値等、記録装置10に固有のパラメータが記憶される。
【0017】
具体的に、CPU901は、受信したコマンドを解析した後、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ904にビットマップ展開して描画する。また、CPU901は、入出力ポート(I/O)908Aおよびモータ駆動部910を介して、キャッピング機構50を駆動するためのキャッピングモータ(不図示)、および記録ヘッドを移動させるためのヘッドモータ(不図示)を制御する。913は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。記録ヘッド22は、キャッピング機構50によってキャッピングされるキャッピング位置と、画像を記録するための記録位置と、の間にて移動される。
【0018】
画像を記録する際には、記録媒体としてのラベル紙11を給紙するための給紙モータ(不図示)を駆動すると共に、搬送モータ26bにより搬送ベルト26aを駆動して、ラベル紙11を一定の速度で搬送する。この一定速度で搬送されるラベル紙11上のラベルに対する画像の記録タイミングを決定するために、先端検知センサ914によってラベルの先端を検出する。先端検知センサ914の検出信号は、入出力回路(I/O)908Bを介して入力される。搬送モータ26bによるラベル紙11の搬送に同期して、CPU901は、イメージメモリ904から色毎のイメージデータを順次読み出し、記録ヘッド制御回路909を介して、そのイメージデータを対応する記録ヘッド22に転送する。これにより、記録ヘッド22は、イメージデータに基づいてインクを吐出する。
【0019】
後述する加圧ポンプを駆動するための加圧ポンプモータ911、および後述するサブポンプを駆動するためのサブポンプモータ912は、それぞれ、入出力回路(I/O)908Aおよびモータ駆動部910を介して駆動制御される。操作パネル915は入出力回路(I/O)908Cを介して接続され、後述するインク検知センサ817の検知信号はA/Dコンバータ907を介して入力される。
【0020】
図3は、記録装置10における4色のインクそれぞれについて設けられるインク流路系の内の1つを示す図である。
【0021】
本例の場合、記録ヘッド22、キャッピング機構50、サブタンク804、およびインクカートリッジ28の間のインク流路は、5本のチューブ801、814、820、818および819によって形成されている。チューブ801は、インクカートリッジ28と、サブポンプモータ912によって駆動されるサブポンプ803と、を連通する。チューブ820は、サブポンプ803とサブタンク804とを連通する。チューブ818はサブタンク804と記録ヘッド22とを連通し、チューブ819は同様に、サブタンク804と記録ヘッド22とを連通する。チューブ814は、キャッピング機構50とサブポンプ803とを連通する。チューブ801および820は、インクカートリッジ28からサブタンク804にインクを供給するときに用いられる。また、チューブ820は、チューブ814共に、キャッピング機構50からサブタンク804にインクを戻すためにも用いられる。チューブ818は、サブタンク804から記録ヘッド22にインクを供給するときに用いられ、チューブ819は、記録ヘッド22からサブタンク804にインクを還流するときに用いられる。812は大気連通路である。
【0022】
次に、図3のインク流路系の動作を図4(a),(b)のフローチャートにしたがって説明する。図4(a)は、インクカートリッジ28からサブタンク804にインクを供給する供給動作を説明するためのフローチャートである。
【0023】
インクカートリッジ28からサブタンク804にインクを供給する場合には、まず、リサイクル弁815を閉じると共に(ステップS1)、供給弁802を開放する(ステップS2)。これにより、インク供給のためのインク流路がチューブ801,820によって形成される。そして、サブポンプ803の駆動を開始することにより(ステップS3)、インクカートリッジ28からサブタンク804にインクを供給する。本例のインクカートリッジ28は、可撓性の袋816Aの中にインクを収納し、そのインクをニードル816Bを通して供給する構成となっている。また、801Aはフィルターである。
【0024】
サブポンプ803を駆動する間においては、それぞれのインク色毎のサブタンク804内に設けられたインク検知センサ(インク満タン/エンプティセンサ)817によって、全てのサブタンク804が満タンとなったか否かを判定する(ステップS4)。全てのサブタンク804が満タンとなったときは、サブポンプ803の駆動を停止する(ステップS5)。図3に示したインク流路系は、基本的に4種類のインクそれぞれについて形成されている。本例の場合、サブポンプ803を駆動するためのサブポンプモータ912(図2参照)は、インク色毎に対応する4つのサブポンプ803に対して、1つだけ共通に設けられる。インク色毎のサブポンプ803はダイヤフラムポンプの形態であり、これらサブポンプ803は、1つの共通するサブポンプモータ912が同軸のローラを回転させることによって、駆動される。
【0025】
サブポンプ803の駆動を停止した後、供給弁802を閉じ(ステップS6)、リサイクル弁815を開いて(ステップS7)、本処理を終了する。なお、供給弁802およびリサイクル弁815を含む各種の弁は、図示しないソレノイド等によって開閉される。
【0026】
図4(b)は、記録ヘッド22の回復動作を説明するためのフローチャートである。
【0027】
本例の回復動作においては、まず、リサイクル弁815を開放したまま、供給弁802を閉じて(ステップS11)、サブポンプ803の駆動を開始する(ステップS12)。これにより、キャッピング機構50のインク溜まり813内に負圧を導入し、記録ヘッド22の吐出口面808に形成された各吐出口から、インク溜まり813内に向かって、記録ヘッド22内のインクを吸引排出する。801はシール部材であり、吐出口面808に密着するようにキャッピング機構50に備えられている。インク溜まり813内に吸引排出されたインクは、チューブ814によって、リサイクルフィルタ814Aおよびリサイクル弁815を介してサブタンク804内に流入する。
【0028】
その後、回復弁811を閉じて(ステップS13)、加圧ポンプ805を駆動する(ステップS14)。これにより、サブタンク804内のインクは、チューブ818を通して記録ヘッド22の共通液室807内に送られる。しかし、回復弁811が閉じているため、共通液室807内のインクは加圧され、記録ヘッド22の各吐出口から比較的大量に押し出される。これにより、記録ヘッド22の吐出口およびその吐出口に連通するインク流路によって形成されるノズル内の増粘インクなどが強制的に排出され、インクの吐出状態を良好に保つことができる。
【0029】
記録ヘッド22の吐出口からキャッピング機構50のインク溜まり813内に排出されたインクは、リサイクル弁815を開放しかつ供給弁802を閉じた状態でサブポンプ803を駆動しているため、サブタンク804内に戻される。すなわち、インク溜まり813内に排出されたインクは、リサイクルフィルタ814Aによってフィルタリングされた後、リサイクル弁815を経由してサブタンク804内に戻される。したがって、回復動作により記録ヘッド22から排出されたインクは、無駄なくリサイクルされることになる。
【0030】
このような回復動作を一定時間継続した後(ステップS15)、加圧ポンプ805を停止し(ステップS16)、回復弁811を開く(ステップS17)。その後、一定時間の経過を待ってから(ステップS18)、サブポンプ803を停止して(ステップS19)、本処理を終了する。加圧ポンプ805を停止させた後に、サブポンプ803の動作を一定時間継続させる理由は、キャッピング機構50のインク溜まり813内に排出された比較的大量のインクを確実にサブタンク804内に戻すためである。回復動作としては、図示しないワイパブレードによって記録ヘッド22の吐出口面808のワイピング動作、およびサブタンク804と記録ヘッド22との間のインク循環等、種々の動作を行なうこともできる。
【0031】
画像を記録する場合、CPU901は受信した記録コマンドを解析した後、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ904にビットマップ展開して描画する。CPU901は、イメージメモリ904から各色成分毎のイメージデータを順次読み出す。ASIC913は、後述する不吐出補完処理のための記録パラメータを含むパラメータを調整し、記録ヘッド制御回路909を介して記録ヘッド22に記録データを転送する。記録ヘッド22は、記録データに基づいて吐出口からインクを吐出する。
【0032】
図5は、特に、記録装置10およびコンピュータ装置12における記録データの処理機能を説明するための要部のブロック構成図である。
【0033】
コンピュータ装置12には、記録装置10に対する記録データおよび制御データを生成するプリンタドライバがインストールされており、そのプリンタドライバによって生成された記録データおよび制御データの転送と、HS処理と、を実行する。本例のコンピュータ装置12は、パーソナルコンピュータ等のスタンドアロン型であり、その装置全体を制御する中央演算処理部としてのCPU12Aが備えられている。RAM12Bは、CPU12Aのワーク領域、およびCPU12の動作中に各種データの一時的に格納する領域として使用される。ROM12Cには、前述した図4(a),(b)の処理に対応するプログラム、各種制御プログラム、および固定データが格納される。12Dは、キーボードやディスプレイ等の入出力機器を制御するための標準入出力部、12Eはハードディスク等のメモリ(記憶領域)、12Fは、外部機器との通信を行うためのインターフェース部102である。
【0034】
本例の記録装置10は、前述したようにフルライン型の記録装置であり、記録媒体としてのラベル用紙11の記録領域の幅に対応した長さのノズル列が形成された記録ヘッド22を用いて、画像を記録する。すなわち記録装置10は、コンピュータ装置12から転送された記録データおよび制御データにしたがって、ラベル用紙11を搬送させつつ記録ヘッド22からインクを吐出することにより、画像を記録する。記録装置10の制御系は、その装置全体を制御する中央演算処理部としてのCPU901を中心にして構成されている。104は、コンピュータ装置12との間のデータ通信を行うインターフェース部であり、図2中のインターフェース・コントローラ902を含む。102は、CPU901のワーク領域、およびCPU901の動作中に各種データを一時的に格納する領域として使用されるRAMであり、図2中のワークRAM905を含む。103は、前述した図4(a),(b)の処理に対応するプログラム、および各種制御プログラムや固定データを格納するためのROMであり、図2中のプログラムROM903を含む。106は、記録媒体としてのラベル用紙11に画像記録を行うための記録機構であり、記録ヘッド22、インクの供給機構、およびラベル用紙11の搬送機構などを含む。105は、後述するHS補正データを記憶する消去/書き込み可能なメモリ105であり、図2中のEEPROM906などを含む。
【0035】
コンピュータ装置12のインターフェース部12F、および記録装置10のインターフェース部104は、例えば、USB、IEEE1394等の所定の規格のインターフェースであり、その規格に応じたケーブル108が使用される。また、それらのインターフェースは、ケーブル108を用いた有線接続に限られず、例えば、ブルートゥースやIrDA等の規格に準拠した無線を介して接続される構成であってもよい。また、コンピュータ装置12としては、スタンドアロン型のパーソナルコンピュータに限定されず、メインフレーム端末に代表される記憶領域を自ら持たずに、ネットワークを通して共有される記憶領域を持つような構成であってもよい。
【0036】
HS処理に関しては、記録装置10内のメモリ105に保持されたHS処理用のHS補正データをコンピュータ装置12に転送し、そのコンピュータ装置12においてHS処理を行う既知の方法を採用してもよい。あるいは、コンピュータ装置12のメモリ12EにHS補正データを管理する既知の方法を採用してもよい。
【0037】
記録媒体としてのラベル用紙11において、記録ヘッド22によって画像が記録される記録領域の大きさは、コンピュータ装置12にインストールされたプリンタドライバによって、記録媒体のサイズに応じて設定される。記録領域の横方向(搬送方向と直交する方向)の大きさは、記録媒体の横方向のサイズが記録ヘッドのノズル列よりも短い場合においても、記録媒体の横方向と同等若しくは小さくなる。
【0038】
図6(a)は、HS補正データを取得するために記録されるHS補正用のテストパターン301、図6(b)は、そのテストパターン301の階調特性を説明するためのグラフである。そのテストパターン301は、全てのノズルを使用して記録されるパターンであり、本例の場合は、記録濃度が次第に濃くなるようなグラデーションパターンである。コンピュータ装置12から記録装置10に送信されるテストパターン301の階調特性は、記録装置10に送信する記録データを生成するプリンタドライバの画像処理により、図6(b)のように、入力濃度値に対して出力濃度値が線形となる。インクジェット方式の記録ヘッド22は、記録媒体にインクを付与するか否かの2値の信号によって制御されるため、記録データは2値化処理により、記録媒体の単位面積当たりのインク付与率によって階調(濃度値)を表現するように変換される。本例では、入力濃度値が8ビット(0〜255)で表されるものして説明する。
【0039】
本例のHS補正データは記録ヘッド22毎に管理される。そのため、4つの記録ヘッド22に対応した4つのHS補正データが存在する。記録ヘッド22の各ノズル毎における出力濃度補正値であるHS補正データの格納領域は、記録装置10のメモリ105に設定される。HS処理時には、HS補正データの補正値を参照することにより、ノズル単位の出力濃度を補正する。
【0040】
次に、図7(a),(b)を参照してHS処理について説明する。図7(a)は、コンピュータ装置12側の処理を説明するためのフローチャート、図7(b)は、記録装置10側の処理を説明するためのフローチャートである。
【0041】
コンピュータ装置12において、CPU12Aは、プリンタドライバを起動してHS処理の実行を指示し、HS補正データ取得用のテストパターンの記録データを作成して、そのテストパターンを記録するように記録装置に要求する(ステップS21)。次に、コンピュータ装置12は、記録装置10によって記録されたテストパターンをコンピュータ装置12に接続されたイメージスキャナ等の読取り装置を用いて読み取り、そのテストパターンの記録濃度値をコンピュータに取り込む(ステップS22)。実際には、ステップS21とS22との間において、読取り装置が起動され、テストパターンの読取り指示がチェックされる。テストパターンの記録濃度値は、RAM12Bの所定エリアに記憶される。そして、その濃度値に基づいて、各記録ヘッドのノズル毎の記録濃度特性を算出し、それらノズル毎の濃度値を均一とするようなノズル毎の濃度補正値を算出してRAM12Bに記憶する(ステップS23)。その後、その濃度補正値に基づいてHS補正データの補正率を設定し、入力濃度値に対して出力濃度値が線形特性になるようなノズル毎のHS補正データを作成する(ステップS24)。このように作成したHS補正データは、コンピュータ装置12から記録装置10に送信される(ステップS25)。これにより、コンピュータ装置12側におけるHS処理が終了する。
【0042】
一方、記録装置10は、コンピュータ装置12からテストパターンの記録要求を受信するまで待機する(ステップS31)。そして、テストパターンの記録要求を受信したら、コンピュータ装置12から送信されたデータに基づいてテストパターンを記録する(ステップS32)。その後、コンピュータ装置12からHS補正データを受信するまで待機し(ステップS34)、そのHS補正データを受信したら、各ノズル毎に対応するHS補正データをメモリ105の所定の領域に格納する(ステップS35)。このようなHS補正データに基づくHS処理により、各ノズル毎の記録濃度が均一となるように、記録密度が調整される。
【0043】
不吐出補完処理のためには、インクの吐出が不可能な不吐出ノズルを検出する必要がある。記録装置10は、不吐出ノズルを検出するために、図8のような不吐出ノズル検出用のテストパターン600を記録する。本例のテストパターン600は、ノズル毎に対応する複数の縦罫線601を組み合わせたものであり、搬送方向Aに並ぶ1,2,3…の番号と、搬送方向Aと交差する方向(本例の場合は、直交する方向)に並ぶ1,2,3…の番号も記録される。それらの番号の組み合わせにより、ノズルの位置(座標)が特定できるようになっている。例えば、図のように縦罫線602が記録されなかった場合、その縦罫線602に対応する不吐出ノズルの位置は座標(2,2)となる。ユーザーは、このようなテストパターン600の記録結果から、インクの不吐出により画像(縦罫線)が欠けた位置と、それに対するに吐出ノズルの位置(座標)と、を読取って、それらの情報をコンピュータ装置12に入力する。不吐出ノズルは、インクが吐出できないために画像としての縦罫線が形成できない。したがって、このように複数の罫線を組み合わせたテストパターンを記録することにより、不吐出ノズルに対応する罫線の部分と、正常にインクを吐出する正常ノズルに対応する罫線の部分と、が目視により判別できる。
【0044】
記録装置10のASIC913は、コンピュータ装置12から送られた記録データに対して、不吐出ノズルの検出情報に応じた不吐出補完処理を行う。不吐出補完処理としては、記録装置10にて使用される記録媒体の性質などに応じた最適な方法を適用することができる。例えば、不吐出ノズルに対する記録データを、その不吐出ノズルの隣接ノズル(その不吐出ノズルの片側あるいは両側に隣接する正常ノズル)に振り分けるように移動させる方法が適用できる。
【0045】
仮に、複数(本例の場合は、4つ)の記録ヘッド22の内の1つにおいて、不吐出ノズルが検出された場合には、その1つの記録ヘッド22に対して前述した不吐出補完処理が行われることになる。すなわち、その1つの記録ヘッド22において、不吐出ノズルに対する記録データは、隣接ノズルに対して移動される。このように、不吐出ノズルが検出された記録ヘッド22に関しては、その不吐出ノズルに対する記録データを隣接ノズルに移動させる不吐出補完処理を実施する。さらに本実施形態においては、その記録ヘッド22の不吐出ノズルと隣接ノズルとに対応する他の記録ヘッド22の正常ノズルに関して、HS補正データ(記録濃度の補正値)を変更する。
【0046】
図9は、このように、不吐出補完処理が実施される記録ヘッドと関連して、他の記録ヘッドのHS補正データを変更する処理を説明するためのフローチャートである。前者の記録ヘッドは、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの色のインクの内の1つを吐出する記録ヘッド(第1の色のインクを吐出する記録ヘッド)に対応する。後者の記録ヘッドは、それとは異なる記録ヘッド(第1のインクと異なる第2の色のインクを吐出する記録ヘッド)に対応する。
【0047】
まずは、不吐出補完処理対象となる記録ヘッドがあるか否か、つまり不吐出ノズルが検出された記録ヘッドがあるか否かを判定する(ステップS)。不吐出補完処理対象となる記録ヘッドがあるときは、その記録ヘッドにおける不吐出ノズルと、その不吐出ノズルの記録データが移動される隣接ノズルと、に対応する、他の記録ヘッドの正常ノズルに着目する。説明の便宜上、不吐出補完処理対象の記録ヘッドにおいて、不吐出ノズルを「不吐出補完処理対象の不吐出ノズル」とし、その「不吐出補完処理対象の不吐出ノズル」の記録データの移動先となる隣接ノズルを「不吐出補完処理用の隣接ノズル」とする。また、他の記録ヘッドにおいて、「不吐出補完処理対象の不吐出ノズル」に対応する正常ノズルを「第1の濃度変更対象ノズル」とし、「不吐出補完処理用の隣接ノズル」に対応する正常ノズルを「第2の濃度変更対象ノズル」とする。不吐出補完処理対象の記録ヘッドにおける「不吐出補完処理対象の不吐出ノズル」のノズル番号と、他の記録ヘッドにおける「第1の濃度変更対象ノズル」のノズル番号と、は基本的に同じである。同様に、不吐出補完処理対象の記録ヘッドにおける「不吐出補完処理用の隣接ノズル」ノズル番号と、他の記録ヘッドにおける「第2の濃度変更対象ノズル」のノズル番号と、は基本的に同じである。
【0048】
他の記録ヘッドにおける「第1の濃度変更対象ノズル」および「第2の濃度変更対象ノズル」に関しては、それらのHS補正データを変更する。具体的に、「第1の濃度変更対象ノズル」に対しては、その記録濃度が高くなるようにHS補正データを変更し、「第2の濃度変更対象ノズル」に対しては、その記録濃度が低くなるようにHS補正データを変更する。例えば、「第1の濃度変更対象ノズル」に対しては、記録濃度が変更前の150%となるようにHS補正データを変更し、「第2の濃度変更対象ノズル」に対しては、記録濃度が変更前の50%となるようにHS補正データを変更する。この結果、不吐出補完処理に関与するノズルによって記録される画像部分と、不吐出補完処理に関与しないノズルによって記録される画像部分と、の間における明度差を軽減することができる。不吐出補完処理に関与するノズルは、「不吐出補完処理対象の不吐出ノズル」と「不吐出補完処理用の隣接ノズル」である。
【0049】
このようなHS補正データの変更は、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの色のインクを吐出する4つの記録ヘッドにおいて互いに関連的に実施される。すなわち、ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの色のインクの内の1つを吐出する記録ヘッドに対して不吐出補完処理が実施された場合、他の色のインクを吐出する記録ヘッドのそれぞれにおいて対応するノズルのHS補正データを変更する。ブラック,シアン,マゼンタ,イエローの色の1つを第1の色とした場合、その第1の色以外のインクを吐出する複数の記録ヘッドのそれぞれにおいて、吐出するインクの色毎に、HS補正データの変更の程度を異ならせることができる。
【0050】
また、このようなHS補正データの変更は、ブラック以外のインクを吐出する記録ヘッドを対象とすることがより効果的である。その理由は、ブラックインクは単独で用いられる場合が多く、他の色のインクと重ねられることが少ないこと、および、他の色のインクと重ねられた場合でも、他の色のインク吐出用のノズルのHS補正データを変更しても効果が比較的小さいからである。
【0051】
ところで、記録ヘッドの取り付け位置のずれなどに応じて、搬送方向と直交する方向に記録位置を微調整(横方向のレジストレーション)した場合、記録位置とノズル番号との関係にずれが生じる。このような場合には、その横方向の記録位置の調整値を反映して、HS補正データの変更対象となるノズルの番号を指定する。横方向の記録位置の調整値は、記録装置本体に記憶されていて、記録ヘッドを交換しない限りは変更する必要がない。そのため、HS補正データが変更された後に、横方向の記録位置の調整値を変更することは稀である。その場合には、その調整値に基づく横方向のレジストレーションの後に、その調整値を反映させてHS補正データを再調整する。
【0052】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、HS補正データを記録装置内のメモリ105に格納するものとした。しかし、HS補正データをコンピュータ装置や記録ヘッド内の不揮発性記憶媒体に格納するようにしてもよい。また、上述した実施形態においては、コンピュータ装置がHS補正データの生成およびテストパターンのデータの生成機能を果たす。しかし、これらと同様の機能を記録装置が果たすようにしてもよく、この場合には、記録装置と、これに接続されるイメージスキャナと、によってインクジェット記録システムを構成とすることができる。
【0053】
本発明は、フルライン型のインクジェット方式の記録装置のみならず他の方式の記録装置にも適用することができる。特に、インク等の液状の記録剤を用いる方式の記録装置に適用すると一層効果的である。インクジェット記録方式の中でも、特に、インクの吐出エネルギーの発生素子として、熱エネルギーを発生する手段(例えば、電気熱変換素子(ヒータ)やレーザ光等)を備え、その熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式が効果的である。この記録方式によれば、記録の高密度化および高精細化が達成できる。
【0054】
また本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ,インターフェース機器,リーダ,プリンタなど)から構成されるインクジェット記録システム、および1つの機器からなる装置(例えば、複写機,ファクシミリ装置など)に対しても適用することができる。本発明は、異なるインクを吐出可能な記録ヘッドを複数用いるインクジェット記録装置と、その記録装置に画像データを供給可能なホスト装置と、を含む記録システムとして構成することができる。その場合、前述したHS処理、不吐出補完処理、および記録濃度の補正値の変更処理の機能は、インクジェット記録装置とホスト装置の一方、あるいは両方に分散して備えることができる。
【0055】
また、記憶媒体に、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶してもよい。この場合には、その記憶媒体に記憶したプログラムコードを記録システムあるいは記録装置に供給し、その記録システムあるいは記録装置のコンピュータ(または、CPUやMPU)が記憶媒体に記憶されたプログラムコードを読出し実行することができる。本発明の目的は、このような構成によっても達成できる。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。そのような記憶媒体に本発明を適用する場合、その記憶媒体には、前述したフローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0056】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピーディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,BD−R,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどを用いることができる。コンピュータは、読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能を実現することができる。さらに、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現することもできる。
【0057】
また、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに、記憶媒体から読出されたプログラムコードを読み込んでもよい。その場合、その読み込まれてプログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能を実現することもできる。
【符号の説明】
【0058】
10 インクジェット記録装置
12 コンピュータ装置(ホスト装置)
22 記録ヘッド
102 RAM
103 ROM
106 記録機構
901 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出可能なノズルが複数形成された記録ヘッドを複数用い、記録データに基づいて、前記複数の記録ヘッドから異なる色のインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット記録装置において、
前記ノズル毎の記録濃度の補正値に基づいて、前記ノズル毎のインクの吐出量を調整するHS処理手段と、
第1の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、インクの吐出が不可能な不吐出ノズルに対応する記録データを、前記不吐出ノズルと隣接する隣接ノズルに振り分ける不吐出補完処理手段と、
前記第1の色のインクと異なる第2の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、前記不吐出ノズルと前記隣接ノズルに対応するノズルの前記記録濃度の補正値を変更する変更手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記不吐出ノズルに対応する前記ノズルの前記記録濃度の補正値は、小さくするように変更し、前記隣接ノズルに対応する前記ノズルの前記記録濃度の補正値は、大きくするように変更することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録濃度の補正値は、テストパターンの記録結果に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第2の色のインクを吐出する前記記録ヘッドは、ブラック以外のインクを吐出する記録ヘッドであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記変更手段は、前記第2の色を含む前記第1の色以外の複数の色のインクを吐出する複数の記録の記録ヘッドのそれぞれにおいて、前記不吐出ノズルと前記隣接ノズルに対応するノズルの前記記録濃度の補正値を変更し、その変更の程度は前記記録ヘッドが吐出するインクの色毎に異なることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
インクを吐出可能なノズルが複数形成された記録ヘッドを複数用い、記録データに基づいて、前記複数の記録ヘッドから異なる色のインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット記録装置と、前記インクジェット記録装置に前記記録データを供給可能なホスト装置と、を含む記録システムにおいて、
前記ノズル毎の記録濃度の補正値に基づいて、前記ノズル毎のインクの吐出量を調整するHS処理手段と、
第1の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、インクの吐出が不可能な不吐出ノズルに対応する記録データを、前記不吐出ノズルと隣接する隣接ノズルに振り分ける不吐出補完処理手段と、
前記第1の色のインクと異なる第2の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、前記不吐出ノズルと前記隣接ノズルに対応するノズルの前記記録濃度の補正値を変更する変更手段と、
を含み、
前記HS処理手段、前記不吐出補完処理手段、および前記変更手段は、前記インクジェット記録装置および前記ホスト装置の少なくとも一方に備わることを特徴とするインクジェット記録システム。
【請求項7】
インクを吐出可能なノズルが複数形成された記録ヘッドを複数用い、記録データに基づいて、前記複数の記録ヘッドから異なる色のインクを吐出することにより画像を記録するインクジェット記録方法において、
前記ノズル毎の記録濃度の補正値に基づいて、前記ノズル毎のインクの吐出量を調整するHS処理工程と、
第1の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、インクの吐出が不可能な不吐出ノズルに対応する記録データを、前記不吐出ノズルと隣接する隣接ノズルに振り分ける不吐出補完処理工程と、
前記第1の色のインクと異なる第2の色のインクを吐出する記録ヘッドにおいて、前記不吐出ノズルと前記隣接ノズルに対応するノズルの前記記録濃度の補正値を変更する変更工程と、
を含むことを特徴とするインクジェット記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−67044(P2013−67044A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205832(P2011−205832)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】