説明

インクジェット記録装置

【課題】 厚紙被記録媒体を記録装置へ下流側から挿入する際に、従動ローラーやその保持部材、記録ヘッドなどに衝突し記録装置本体の損傷や厚紙被記録媒体自身の損傷を招くことのないインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】 厚紙被記録媒体印字時には排紙従動ローラーをリリースする機構を有し、また搬送ローラーとその従属ローラーを必要に応じて離間および圧接する機構を有し、さらにキャリッジ昇降機構を有し、厚紙被記録媒体を必要以上挿入させることを防止するロック機構を上記キャリッジの下流側に有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、厚みが厚く、曲げ剛性の高い厚紙被記録媒体に記録を行うための機構と厚紙被記録媒体の端部を検知する手段とを備えたインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置等の記録装置において厚みが厚く、曲げ剛性の高い厚紙被記録媒体に記録を行うための構成として、いくつかの方式のものが実施あるいは提案されている。上記のような厚紙被記録媒体は、通常の薄く剛性が低い被記録媒体の経路を同様に利用することは困難であるため、ストレートな形状の被記録装置媒体通過パスを設け、通常の厚さの被記録媒体を通過するのと同じ搬送ローラーを使用して、被記録媒体の搬送を行うものである。また通常被記録媒体と同等の印字品質を保てるように、厚紙被記録媒体を挿入する際には、排紙従動ローラーによる厚紙被記録媒体への傷、剥がれ、ホジレが生じないように排紙従動ローラー保持部材をリリースして隙間を設ける。
【0003】
厚紙被記録媒体を搬送ローラー対に噛み込ませる際には、通常の被記録媒体のように容易に突入することは困難であるので、搬送ローラー対を手動あるいは自動で離間させ、厚紙被記録媒体を引き込めるような隙間を設けるか、先端部に薄いシート状部材を固着し徐々に厚みを持つようなテーパを持った厚紙被記録媒体専用トレイ(以下搬送トレイ)を用いている。
【0004】
また、印字の際にはキャリッジの昇降機構を有し、厚紙被記録媒体と記録ヘッドの距離を被記録媒体の厚みに応じて変化させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−042372号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来例においては、挿入を規制する手段が無く、また厚紙被記録媒体が記録装置内部へ挿入される際のリアルタイム検知手段も無い。このため、搬送ローラ−対の離間やキャリッジの上昇のタイミングはあらかじめプリセットされたものとしなければならないため次のような課題があった。
【0006】
(1)搬送ローラー対を離間して印字命令を待つ場合、記録装置内に厚紙被記録媒体を制止するものがないため、利用者が無理に奥まで挿入し装置や厚紙被記録媒体を破損する恐れがある。また、搬送ローラー対を離間している時間が長くなるとクリープが発生する恐れがある。
【0007】
(2)搬送ローラー対を圧接した状態で印字命令を待つ場合、利用者が無理に奥まで挿入しようとすると、従動ローラー保持部材や従動ローラーに厚紙被記録媒体の先端が衝突し、記録装置を破損したり、厚紙被記録媒体自身を破損させたりする恐れがある。
【0008】
(3)キャリッジをどのタイミングで上昇すればよいか定かでないため、ヘッドの定期クリーニングなどでキャリッジが低いポジションでプラテン上に退避していた際に厚紙被記録媒体を挿入した場合、記録ヘッドに衝突して記録ヘッドあるいは厚紙被記録媒体自身が破損する恐れがある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上記従来技術の課題を解決し、厚紙被記録媒体が記録装置本体へ無理に挿入することを防止する機構を備え、厚紙被記録媒体が記録装置本体へ挿入されているか否かを検知する手段をキャリッジの下流側に有することで、厚紙被記録媒体を記録装置へ下流側から挿入する際に、従動ローラーやその保持部材、記録ヘッドなどに衝突し記録装置本体の損傷や厚紙被記録媒体自身の損傷を招くことのないインクジェット記録装置を提供し、また搬送ローラー対の離間および圧接やキャリッジ昇降のタイミングを最適化することが可能となり、厚紙被記録媒体への円滑な印字を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために本発明は、記録媒体を搬送する手段と、この記録媒体に記録を行う記録手段とを備え、用紙搬送部下流側から厚紙被記録媒体を挿入可能にする厚紙ガイド手段をセット可能であり、また厚みの異なる様々な被記録媒体が同じ搬送ローラーを使用して記録を行うインクジェット記録装置において、
厚紙被記録媒体印字時には排紙従動ローラーをリリースする機構を有し、また搬送ローラーとその従属ローラーを必要に応じて離間および圧接する機構を有し、さらにキャリッジ昇降機構を有し、厚紙被記録媒体を必要以上挿入させることを防止するロック機構を上記キャリッジの下流側に有することを特徴とする。
【0011】
また、厚紙被記録媒体の挿入有無を検知する手段を上記キャリッジの下流側に有することを特徴とする。
【0012】
また、上記厚紙ガイド手段が記録装置本体と着脱可能であることを特徴とする。
【0013】
あるいは、上記厚紙ガイド手段を記録装置本体内蔵とし、上記厚紙ガイド部が厚紙被記録媒体印字時と他の被記録媒体印字時とで形態を変えることを特徴としてもよい。
【0014】
また、上記厚紙ガイド上に、様々な幅の記録媒体に対応できるように幅方向を規制する手段を有してもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、厚紙被記録媒体が記録装置本体へ無理に挿入することを防止する機構を備え、厚紙被記録媒体が挿入されているか否かを検知する手段をキャリッジの下流側に有することで、厚紙被記録媒体を記録装置へ下流側から挿入する際に、従動ローラーやその保持部材、記録ヘッドなどに衝突し記録装置本体の損傷や厚紙被記録媒体自身の損傷を招くことのない記録装置を提供し、また搬送ローラー対の離間および圧接やキャリッジ昇降のタイミングを最適化することが可能となり、厚紙被記録媒体への円滑な印字を可能とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施する為の最良の形態について、以下に図面を参照して説明する。
【0017】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態を図1〜図15に沿って説明する。図1、図2は本発明の第1の実施形態における記録装置の斜視図、図3、4は本発明の第1の実施形態における記録装置の機構部の斜視図、図5は本発明の第1の実施形態における断面図、図6〜図15は本発明に関わる図である。
【0018】
本発明の記録装置は、記録装置1、給紙装置2、送紙部3、キャリッジ部5、排紙部4、Uターン・自動両面搬送部8、クリーニング部6、記録ヘッド7、外装・電気部9、CD−R搬送部10から構成されている。そこで、これらを項目に分けて概略を順次述べていく。
【0019】
(A)給紙部
給紙部2はシート材Pを積載する圧板21、シート材Pを給紙する給紙ローラー28、シート材Pを分離する分離ローラー241、シート材Pを積載位置に戻す為の戻しレバー22、等がベース20に取り付けられる構成となっている。
【0020】
積載されたシート材Pを保持する為の給紙トレイ26が、ベース20または外装に取り付けられている。給紙トレイ26は多段式で使用時は引き出して用いる。
【0021】
給紙ローラー28は断面円弧の棒状をしている。用紙基準よりに1つの分離ローラーゴムが設けられており、これによってシート材を給紙する。給紙ローラー28への駆動は、給紙部2に設けられたクリーニング部と共用のモーター(以後APモーター)273から駆動伝達ギア271、遊星ギア272によって伝達される。
【0022】
前記圧板21には可動サイドガイド23が移動可能に設けられて、シート材Pの積載位置を規制している。圧板21はベース20に結合された回転軸を中心に回転可能で、圧板バネ212により給紙ローラー28に付勢される。給紙ローラー28と対向する圧板21の部位には、積載最終近くののシート材Pの重送を防止する人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離シート213が設けられている。圧板21は圧板カム241によって、給紙ローラー28に、当接、離間できるように構成されている。
【0023】
さらに、ベース20には、シート材Pを一枚ずつ分離するための分離ローラー241を取り付けた分離ローラーホルダー24が分離ベース20に設けられた回転軸を中心に回転可能で、分離ローラーバネ242により給紙ローラー28に付勢される。分離ローラー241は、クラッチバネ243が取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラー241が取り付けられた部分が、回転できる構成になっている。分離ローラー241は分離ローラーリリースシャフト242とコントロールカム25によって、給紙ローラー28に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板21、戻しレバー22、分離ローラー241の位置はASFセンサー29によって検知されている。
【0024】
また、シート材Pを積載位置に戻す為の戻しレバー25は、回転可能にベース20に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネ221で付勢されている。シート材Pを戻す時は、前記コントロールカム25によって回転するように構成されている。
【0025】
通常の待機状態では、圧板28は圧板カム214でリリースされ、分離ローラー241はコントロールカム25でリリースされ、戻しレバー22はシート材Pを戻し、積載時にシート材Pが奥に入らないように、積載口を塞ぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モーター駆動によって、まず、分離ローラー241が給紙ローラー28に当接する。そして、戻しレバー22がリリースされ、圧板21が給紙ローラー28に当接する。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pはベース20に設けられた前段分離部201で制限され、シート材Pの所定枚数のみが給紙ローラー28と分離ローラー241から構成されるニップ部に送られる。送られたシート材Pはこのニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送される。
【0026】
シート材Pが、後述の搬送ローラー36、ピンチローラー37まで到達すると、圧板21は圧板カム213によって、分離ローラー28はコントロールカム25によって、リリースされる。戻しレバー22はコントロールカム25によって、積載位置に戻る。この時、給紙ローラー28と分離ローラー241から構成されるニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで、戻すことができる。
【0027】
(B)送紙部
曲げ起こした板金からなるシャーシ11に送紙部3が取り付けられている。送紙部3はシート材Pを搬送する搬送ローラー36とPEセンサー32を有している。搬送ローラー36は金属軸の表面にセラミックの微小粒をコーティングした構成であり、両軸の金属部分を軸受け38で受け、シャーシ11に取り付けられている。搬送ローラー36には回転時の負荷を与え安定した搬送が行えるために軸受け38と搬送ローラー36の間に搬送ローラーテンションバネ381が設けられて、搬送ローラー36を付勢することで所定の負荷を与えている。
【0028】
搬送ローラー36には従動する複数のピンチローラー37が当接して設けられている。ピンチローラー37はピンチローラーホルダ30に保持され、ピンチローラーバネ31で付勢することで、ピンチローラー37が搬送ローラー36に圧接し、シート材Pの搬送力を生み出している。この時、ピンチローラーホルダ30の回転軸がシャーシ8の軸受けに取り付けられ、そこを中心に回転する。さらに、シート材Pが搬送されてくる送紙部3の入口にはシート材Pをガイドするペーパーガイドフラッパー33及びプラテン34が配設されている。また、ピンチローラーホルダ30にはシートPの先端、後端検出をPEセンサ−32に伝えるPEセンサーレバー321が設けられている。プラテン34はシャーシ11に取り付けられ、位置決めされる。ペーパーガイドフラッパー33は、搬送ローラー36と勘合し、摺動する軸受け部331を中心に回転可能で、シャーシ11に当接することで位置決めされる。
【0029】
上記構成において、送紙部3に送られたシート材Pはピンチローラーホルダ30及びペーパーガイドフラッパー33に案内されて、搬送ローラー36とピンチローラー37とのローラー対に送られる。この時、PEセンサ−レバ−35搬送されてきたシート材Pの先端を検知して、これによりシート材Pの印字位置を求めている。また、シート材Pは搬送モーター35によりローラー対36、37が回転することでプラテン34上を搬送される。プラテン34上には、搬送基準面になるリブが形成されており、記録ヘッド7とのギャップを管理しているのと、後述の排紙部と合わせて、シート材Pの浪打を制御することで、浪打が大きくならないように構成されている。
【0030】
搬送ローラー36への駆動は、DCモーターからなる搬送モーター35の回転力をタイミングベルト351で搬送ローラー36の軸上に設けたプーリー361に伝達している。また、搬送ローラー36の軸上には、搬送ローラー36による搬送量を検出する為の150〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードホイール362が設けられており、それを読み取るエンコーダーセンサー363がコードホイール362の隣接する位置のシャーシ11に取り付けられている。
【0031】
また、搬送ローラー36のシート材搬送方向における下流側には、画像情報に基づいて画像を形成する記録ヘッド7が設けられている。記録ヘッド7は各色インクタンク別体の交換可能なインクタンクが搭載されたインクジェット記録ヘッドが用いられている。この記録ヘッド7は、ヒータ等によりインクに熱を与えることが可能となっている。そして、この熱によりインクは膜沸騰し、この膜沸騰による気泡の成長または収縮によって生じる圧力変化によって記録ヘッド7のノズル70からインクが吐出されてシート材P上に画像が形成される。
【0032】
(C)キャリッジ部
キャリッジ部5は、記録ヘッド7を取り付けるキャリッジ50を有している。そしてキャリッジ50は、シート材Pの搬送方向にたいして直角方向に往復走査させるためのガイドシャフト52及びキャリッジ50の後端を保持して記録ヘッド7とシート材Pとの隙間を維持するガイドレール111によって支持されている。なお、このガイドシャフト52はシャーシ11に取り付けられている。ガイドレール111はシャーシ11に一体に形成されている。
【0033】
また、キャリッジ50はシャーシ11に取り付けられたキャリッジモーター54によりタイミングベルト541を介して駆動される。このタイミングベルト541は、アイドルプーリー542によって張設、支持されている。タイミングベルト542はキャリッジ50とゴム等からなるダンパー55を介して結合されており、キャリッジモーター54等の振動を減衰することで、画像ムラ等を低減している。そして、キャリッジ50の位置を検出する為の150〜300lpiのピッチでマーキングを形成したコードストリップ561がタイミングベルト541と平行に設けられている。さらに、それを読み取るエンコーダーセンサー56がキャリッジ50に搭載したキャリッジ基板92に設けられている。このキャリッジ基板92には、記録ヘッド7と電気的な接続を行う為のコンタクト921も設けられている。また、キャリッジ50には、電気基板9から記録ヘッド7ヘッド信号を伝えるためのフレキシブル基板57を備えている。
【0034】
記録ヘッド7をキャリッジ50に固定する為に、キャリッジ50には、位置決めの為の突き当て部501と押し付け、固定する為の押圧手段511が設けられている。押圧手段511はヘッドセットレバー51に搭載され、ヘッドセットレバー51を回転支点中心に回して、セットする際に、記録ヘッド7に作用する構成になっている。
【0035】
また、ガイドシャフト52の両端には偏心カム521が設けられており、クリーニング部6のメインカム63により、ギア列591を介し、偏心カム521まで駆動を伝達することによってガイドシャフト52を上下に昇降させることができる。このことによって、キャリッジ50を昇降させ、厚みの異なるシート材Pに対しても最適なギャップを構成することができる。
【0036】
さらに、キャリッジ50には、記録ヘッド7からの吐出インクの記録シートP上での着弾ズレ自動で補正する為の自動レジ調整センサー59が取り付けられている。センサー59は反射型の光センサーであり、発光素子より発光し、記録シートP上の所定の印字パターンへの反射光を受光することで、最適なレジ調整値を求めることができる。上記自動レジ調整センサー59は、後述のCD印刷用のトレイ103の位置検出用のマーク1026を検出用のセンサーとしても利用される。発光素子より発光し、その反射光を受光することで、トレイ103の位置を検出することができる。
【0037】
上記構成において、シート材Pに画像形成する時は、画像形成する行位置(シート材Pの搬送方向の位置)にローラー対36、37がシート材Pを搬送すると共にキャリッジモーター80によりキャリッジ50を画像形成する列位置(シート材Pの搬送方向と垂直な位置)に移動させて、記録ヘッド7を画像形成位置に対向させる。その後、前述のように、電気基板9からの信号により記録ヘッド7がシート材Pに向けてインクを吐出して画像が形成される。
【0038】
(D)排紙部
排紙部4は、2本の排紙ローラー40、41、排紙ローラー40、41に所定圧で当設、従動して回転可能な如く構成された拍車42、搬送ローラーの駆動を排紙ローラー40、41伝達する為のギア列、等から構成されている。
【0039】
排紙ローラー40、41はプラテン34に取り付けられている。記録シートP搬送方向で下流側の排紙ローラー40は金属軸に、複数のゴム部401を設けている。搬送ローラー36からの駆動がアイドラギアを介し、排紙ローラー40に伝達されることによって駆動される。また、排紙ローラー40の上流側に設けた排紙ローラー41は樹脂の軸にエラストマーの弾性体411を複数取り付けた構成になっている。排紙ローラー41への駆動は、排紙ローラー40からアイドラギアを介して伝達される。
【0040】
拍車42はSUSの薄板で周囲に凸形状を複数設けたものを樹脂部と一体成型され、拍車ホルダー43に取り付けられている。コイルバネを棒状に設けた拍車バネ44によって、拍車42は拍車ホルダー43への取り付けと、排紙ローラー40、41等への押圧を行っている。拍車は前記排紙ローラー40、41のゴム部、弾性体部に対応する位置に設けられ、主にシート材Pの搬送力を生み出す役割のものと、その間の前記排紙ローラー40、41のゴム部401、弾性体部411が無い位置に設け、主にシート材Pが印字される時の浮き上がりを抑える役割のものがある。
【0041】
前記排紙ローラー40、41の間には、シート材Pの両端を持ち上げ、前記排紙ローラー40、41の先でシート材Pを保持し、先出のシート材P上の印字を擦る事でダメージを与えない為の紙端サポート45が設けられている。先端にコロ451が設けられた樹脂部材が紙端サポートバネ452によって付勢され、コロ451を所定圧で、シート材Pに押し付けることで、シート材Pの両端を持ち上げ、こしを作ることで、保持できるように構成されている。
【0042】
以上の構成によって、キャリッジ部5で画像形成されたシート材Pは、前記排紙ローラー41と拍車42とのニップに挟まれ、搬送されて排紙トレイ46に排出される。排紙トレイ46は、フロントカバー95に収納できる構成になっている。使用時は、引き出して使用する。排紙トレイ46は先端に向けて高さが上がり、更にその両端は高さが高く構成され、排出されたシート材Pの積載性向上、印字面の擦れ防止を可能としている。
【0043】
(E)Uターン・自動両面部
装置前面に設けられたカセット81にシート材Pが収納される。このシート材Pを分離給紙する為に、シート材Pを積載し、給紙ローラー821にと当接させる圧板822がカセット81に設けられている。シート材Pを給紙する給紙ローラー821、シート材Pを分離する分離ローラー831、シート材Pを積載位置に戻す為の戻しレバー824、圧板822への加圧・制御手段825、等が本体のUTベース84取り付けられる構成となっている。
【0044】
カセット81は、2段の収縮構成になっており、記録シートPのサイズにより使い分けることができる。小サイズ紙あるいはカセット非使用時には、カセット81は収縮し、本体外装部9内部に収納が可能である。
【0045】
給紙ローラー821は断面円弧の棒状をしている。用紙基準よりに1つの分離ローラーゴムが設けられており、これによってシート材を給紙する。給紙ローラー821への駆動は、Uターン・自動両面部5に設けられたUターン・自動両面用モーター85から駆動伝達ギア851、遊星ギア852、等によって伝達される。
【0046】
前記圧板822には可動サイドガイド827が移動可能に設けられて、シート材Pの積載位置を規制している。圧板822はカセット81に結合された回転軸を中心に回転可能で、UTベース84設けられた、圧板バネ828などからなる加圧・制御手段825により給紙ローラー821に付勢される。給紙ローラー821と対向する圧板822の部位には、積載最終近くののシート材Pの重送を防止する人工皮等の摩擦係数の大きい材質からなる分離シート829が設けられている。圧板822は圧板カム836によって、給紙ローラー821に、当接、離間できるように構成されている。
【0047】
さらに、UTベース83には、シート材Pを一枚ずつ分離するための分離ローラー831を取り付けた分離ローラーホルダー833が分離ベース83に設けられた回転軸を中心に回転可能で、分離ローラーバネ837により給紙ローラー821に付勢される。分離ローラー831は、クラッチバネ834取り付けられ、所定以上の負荷がかかると、分離ローラー831が取り付けられた部分が、回転できる構成になっている。分離ローラー241は分離ローラーリリースシャフト835とコントロールカム836よって、給紙ローラー821に、当接、離間できるように構成されている。これらの圧板822、戻しレバー824分離ローラー831の位置はUTセンサー841によって検知されている。
【0048】
また、シート材Pを積載位置に戻す為の戻しレバー824は、回転可能にUTベース83に取り付けられ、解除方向に戻しレバーバネ823で付勢されている。シート材Pを戻す時は、前記コントロールカム836によって回転するように構成されている。
【0049】
通常の待機状態では、圧板822は圧板カム836でリリースされ、分離ローラー831はコントロールカム836でリリースされ、戻しレバー824はシート材Pを戻し、積載時にシート材Pが奥に入らないように、積載口を塞ぐような積載位置に設けられている。この状態から、給紙が始まると、モーター駆動によって、まず、分離ローラー831給紙ローラー821に当接する。そして、戻しレバー824がリリースされ、圧板822が給紙ローラー821に当接する。この状態で、シート材Pの給紙が開始される。シート材Pはベース83に設けられた前段規制手段838で制限され、シート材Pの所定枚数のみが給紙ローラー821分離ローラー831から構成されるニップ部に送られる。送られたシート材Pはこのニップ部で分離され、最上位のシート材Pのみが搬送される。
【0050】
分離・搬送されたシート材Pが後述のUターン中間ローラー(1)86、Uターンピンチローラー861まで到達すると、圧板822は圧板カム836によって、分離ローラー831はコントロールカム836によって、リリースされる。戻しレバー824はコントロールカム836よって、積載位置に戻る。この時、給紙ローラー821と分離ローラー831から構成されるニップ部に到達していたシート材Pを積載位置まで、戻すことができる。
【0051】
給紙部分より下流側には、給紙・搬送されたシート材を搬送する為の、Uターン中間ローラー(2)87、Uターン中間ローラー(2)87の2本の搬送ローラーが構成されている。これらは、金属軸の芯金の4〜6箇所にゴム硬度40〜80°のEPDMを取り付けたものである。このゴム部に対応した位置に、シート材Pを挟持するための、Uターンピンチローラー861、871がばね軸に取り付けられ、Uターン中間ローラー(1)86、Uターン中間ローラー(2)87に付勢している。また、搬送パスを形成する為に、内側を形成するインナーガイド881、外側を形成するアウターガイド882が構成されている。
【0052】
前述の給紙部2との紙パスの合流点はフラッパー883で構成され、お互いのパスの合流がスムーズに行くように構成されている。記録シートPの先端が、前述の搬送ローラー36とピンチローラー37に送られる際に、停止したローラー対のニップに当接され、レジ取り作業が実施される。
【0053】
前述の搬送ローラー36とピンチローラー37で搬送されながら、印字を施されたシート材Pは、搬送ローラー36とピンチローラー37を抜ける。自動両面印字の際は、シート材Pの後端が再度搬送ローラー36とピンチローラー37に挟み込まれ、搬送される。この時、ピンチローラー37は、昇降機構884により、上昇している部分に、シート材Pが送り込まれるので、スムーズに搬送することができる。上記昇降機構は自動両面印字時のほかCD−RやDVDメディアなどの厚みが厚く、剛性の高い厚紙被記録媒体を印刷する際のトレイ引き込み時にも使用される。
【0054】
再度送り込まれたシート材Pは、両面ローラー891とピンチローラー892に挟持され、搬送される。そして、シート材Pは、ガイド893にガイドされ、搬送される。両面用の紙搬送パスは、所定量を過ぎると、前述のUターン搬送時の紙パスに合流する構成になっている。従って、その後の、紙パスの構成、作用は、上記内容と同一である。
【0055】
(F)クリ−ニング部
クリーニング部6は、記録ヘッド7のクリーニングを行うポンプ60と記録ヘッド7の乾燥を抑えるためのキャップ61、記録ヘッド7のノズル周辺のフェース面をクリーニングするブレード62、などから構成されている。
【0056】
クリーニング部の主な駆動は、前述のAPモーター273から伝達される。基本は、一方向の回転でポンプが作動し、別のもう一方向の回転でブレード62動作、キャップ61昇降動作が作用するようにワンウェイクラッチ691が設けられている。
【0057】
ポンプ60は2本のチューブ67をポンプコロ68でしごくことで負圧を発生させるように構成され、キャップ61から、ポンプ60へは、途中弁65などを介して接続されている。キャップ61を記録ヘッド7密着させた状態でポンプ60を作用させると記録ヘッド7から不要なインク等を吸引するように構成されている。キャップ61部分には、吸引後のヘッド7のフェース面のインク残りを削減する為に、キャップ吸収体611が設けられている。その為、ここにインクが残り固着して弊害が出ないように、キャップ61を開けた状態で、キャップ61に残っているインクを吸引するようにしている。前記ポンプ60で吸引された廃インクは後述の下ケース99に設けられた廃インク吸収体991に吸収・保持される。
【0058】
ブレード62動作、キャップ61昇降動作、等の一連の動作は、軸上に複数のカムを設けたメインカム63で制御される。それぞれの部位のカム、アームがメインカムに作用され、所定の動作を行う。メインカム63の位置は、フォトインタラプタ等の位置検出センサー64で検出することができる。キャップ61の降時に、ブレード62がキャリッジ5走査方向に垂直に移動し、記録ヘッド7のフェース面をクリーニングする。ブレード62は、記録ヘッド7のノズル近傍をクリーニングするものと、フェース面全体をクリーニングするものと、複数設けられている。そして、一番奥に移動した際に、ブレードクリーナー66へ当接することで、ブレード62自身へ付着したインクなどを、除去することができる。
【0059】
弁65の開閉の駆動伝達・制御は排紙ローラー40で行っている。弁65の選択を行うことで、全色の一括吸引と色別の個別吸引を必要に応じて対応することが可能な構成になっている。弁1検出は、弁位置検出センサー651で行っている。
【0060】
(G)外装部
前述までの各ユニットはシャーシ11に組み込まれ、プリンタの機構部分を形成している。その回りを覆うように外装を取り付けている。外装は、主に、下ケース99、上ケース98、アクセスカバー97、コネクタカバー96、フロントカバー95、サイドカバー96、から構成されている。
【0061】
フロントカバー93には、排紙トレイ46が収納可能に構成され、非使用時に排紙口を塞ぐ構成になっている。フロントカバー95の開閉状態は、不図示のセンサーにより、検出できるようになっている。
【0062】
上ケース98には、アクセスカバー97が取り付けられ、回動可能に構成されている。上ケースの上面の一部は開口部を有しており、この位置で、インクタンク71、および記録ヘッド7を交換可能に構成されている。さらに、アクセスカバーの開閉を検知する為の、ドアスイッチレバー981、LEDの光を伝達・表示するLEDガイド982、基板のSWに作用するキースイッチ983等が上ケース98に設けられている。さらに、上ケース98には、給紙トレイ26が回動可能に取り付けられている。給紙部が使われない時は、給紙トレイ26は収納すれば、給紙部のカバーにもなるように構成されている。
【0063】
また、上ケース98と下ケース99は、弾性を持った勘合爪で取り付けられている。その間のコネクタ部分が設けられている部分をコネクタカバー96が覆っている。
【0064】
サイドカバー93は左右から、上ケース98と下ケース99を覆うように取り付けられている。
【0065】
次に本発明に関わるCD搬送部10とそれを用いた場合のCD印刷について詳細について図6〜図15を用いて説明する。
【0066】
図6はプリンタ本体にCD搬送部10を取り付けた斜視図、図7はCD搬送部10の斜視図、図8は下ケース99のCD搬送部取り付け部および取り付け検出部構成図、図9は下ケース99とCD搬送部10フック104の装着の構成説明図、図10はスライドカバー101を移動させた場合のCD搬送部10の斜視図、図11は下ケース99とCD搬送部10フック104の解除の構成説明図、図12スライドカバーを81を移動させた場合のアーム105の構成説明図、図13はトレイ103平面図、図14はキャリッジガイドシャフト昇降機構の作用説明図、図15は厚紙被記録媒体挿入時のロック機構の作用説明図である。
【0067】
図7のように、CD搬送部10を図中記載の矢印Y方向にまっすぐスライドさせると、下ケース99に装着される。この時、図8、図9に示すように、下ケース99の両側に設けたガイドレール993に沿って、トレイガイド102の両端の勘合部1022が挿入されることによって、位置決めが行われる。トレイガイド102の両側にはフック104が回動可能に構成され、一方向に付勢されている。CD搬送部10を所定位置までスライドさせるとこれ以上スライドできないように突き当たる。そして、フック104がガイドレール993のストッパーに作用し、スライドしてきた方向にも戻らないようにロックがかかる。トレイガイド102が装着された状態を検出する為の、トレイガイド検出センサー344がプラテン34に設けられており、トレイガイド102がプリンタ本体に装着されると、トレイガイド102の一部がトレイガイド検出センサー344を押すことで、装着が検知できる構成になっている。
【0068】
次に、図10、12に示すように、スライドカバー101をプリンタ本体方向へ移動させると、スライドカバー101と連動して、アーム105がプリンタ本体方向へ突出する。拍車42を搭載した拍車ホルダー43はプラテン34に上下にスライド可能に構成され、所定圧のバネで付勢している。従って、アーム105が拍車ホルダー43とプラテン34の間に入り込むことで、拍車ホルダー43を上方へ所定量だけ持ち上げる。この際、アーム105の先端に形成された傾斜部によってアーム105はスムーズにプラテン34と拍車ベース43との間に入り込むことができる。このことにより、プラテン34と拍車ホルダー43との間にトレイ103が通過できるスペースを形成することができる。また、アーム105はプラテン34と拍車ホルダー43との間に入った状態で位置が決まるようになっており、トレイガイド102へ収納された状態ではトレイガイド102に対しガタを持った構成となっている。
【0069】
また、当初、スライドカバー101をプリンタ本体方向へ移動させない状態では、開口部1021は閉ざされているため、トレイ103は挿入できないようになっている。そして、スライドカバー101をプリンタ本体方向へ移動さると、スライドカバー101は斜め上方向に移動する構成になっているのでトレイガイド102との間に開口部1021が現れる。この状態で、CDを装填したトレイ103を開口部1021から挿入し、所定位置にセットすることができる。これは、前記拍車ホルダー43が上昇されていない状態でトレイ103が挿入された場合に、トレイ103と拍車42とが干渉してトレイ103先端や拍車42が破損することを防止するためである。
【0070】
図11のように、トレイ103がスライドカバー101を本体から引き出すと、スライドカバー101と連動して、アーム105が拍車ホルダー43から外れ、拍車ホルダー43、拍車44が所定位置に下がる。この時、トレイ103が装着されたままであると、スライドカバー101とトレイガイド102との開口部1021にトレイ103が挟まり、スライドカバー101をそれ以上引けなくなっている。これにより、CDがプリンタ本体に残ったまま、拍車44が下がりCDにダメージを与えるのを防いでいる。さらに、スライドカバー101を引くと、スライドカバー101がフック104に作用に、フック104が下ケース99のガイドレール993から外れることにより、CD搬送部10のプリンタ本体への装着が解除される。
【0071】
トレイ103は、図13に示すように板厚2〜3mm程度の樹脂板に、CD取り付け部1032、トレイの出し入れに操作者が掴む操作部1033、位置検出マーク1034、CD取り出し用穴1035、挿入位置合わせマーク1036、メディア有無検知マーク1038が設けられている。
【0072】
前記位置検出マーク1034はトレイ103のCD取り付け部分の先端側に2個設けている。位置検出マーク1034は3〜10mm程度の正方形に反射性能が高い部材が設けられている。ここでは、ホットスタンプを用いて形成している。
【0073】
CD取り付け部1032は、複数のモールド爪が設けられており、CDが取り付けた場合の位置決めとがた取りを行っている。操作者は、CD中央の穴をCD取り付け部1032に合わせて取り付ける。そして、取り外しの時は、CD取り出し用穴1035を利用し、操作者がCDの外周エッジを持って外せるように構成されている。また、CD取り付け部はそれ以外のトレイ103の面より一段低くなっている。その、低い面に、メディア有無検知マーク1038が設けられている。これは、所定幅のホットスタンプの中に所定幅の穴を設け、この穴幅が検知された場合に、メディア無しと判断するように構成されている。
【0074】
トップローラーカバー81には、左右に押圧コロ1011(図示しない)が設けられており、コロばね1012(図示しない)によって、トレイ103を所定圧で排紙ローラー2 41に押し付けることでトレイ103の搬送力を生み出している。この搬送力によって、印刷開始時にトレイ103をセット位置から搬送ローラー36、ピンチローラー37のニップ部まで搬送できる。さらに、印刷終了時に、操作者が取り出す所定位置までトレイ103を搬送できる。
【0075】
そして、所定位置に搬送されたトレイ103を引き出すことで、トレイガイド102からトレイ103を取り出すことができる。
【0076】
次に、上記構成を用いた場合のCDへの印刷の動作を説明する。
【0077】
CD搬送部10を本体に向けてまっすぐスライドさせると、下ケース99に装着される。この時、トレイガイド検出センサー344により、トレイガイド102がプリンタ本体に装着されたことを検知できる。
【0078】
さらに、スライドカバー101をプリンタ本体方向へ移動させると、スライドカバー101と連動して、アーム105がプリンタ本体方向へ突出する。そして、アーム105が拍車ホルダー43とプラテン34の間に入り込むことで、拍車ホルダー43を上方へ所定量だけ持ち上げる。
【0079】
このように、スライドカバー101をプリンタ本体方向へ移動さると、スライドカバー101は斜め上方向に移動する構成になっているのでトレイガイド102との間に開口部1021が現れる。この状態で、CDを装填したトレイ103を開口部1021から挿入し、所定位置にセットすることができる。
【0080】
そして、CDをトレイ103のCD取り付け部1032に装着する。操作者は操作部1033を持って、位置検出マーク1034がトレイガイド102のトレイセットマーク1026と一致するところまでトレイ103を挿入する。
【0081】
上記トレイセット位置にトレイ103をセットしたところで、図15に示すようなロック機構11によりトレイ103はそれ以上上流側へ挿入できなくなる。このロック機構はトレイガイド検出センサー344に連動しており、通常印字時はプラテン34の溝に収納されており、被記録媒体の搬送に影響を与えないようにしている。トレイガイド102がプリンタ本体に装着されたことが検知されると、プラテン34と拍車ホルダー43との間に形成されたスペースを塞ぐようにロック爪111が現れる。ロック爪111はトレイ検知センサー112と連動しており、トレイセット状態を検知することが出来る。トレイ検知センサーに関しては本実施例では引張ばねの線形性を利用した荷重検知センサーを用いてトレイの先端がロック爪111を押圧する力を検地する方法をとっているが、特に限定したものではなく、例えば光センサーを用いてロック爪111の振れを検知する方法などを用いてもよい。あるいはロック爪111とは独立して、拍車ホルダー43やプラテン34内にセンサーを備え直接厚紙被記録媒体の挿入状態を検地する方法などを用いても良い。
【0082】
この状態で、ホストから印字信号を送ると、印字作業を開始する。また、すでに印字信号が送られている場合には、トレイ検知センサー112がトレイセットを検知することで印字作業を開始する。
【0083】
まず、ロック爪111をプラテン34の溝部に回避させる。次に上記(E)Uターン・自動両面部に記したようにピンチローラーの圧解除を行い、厚みのあるトレイ103が搬送ローラー36にかみこめるように隙間を設ける。
【0084】
次に、搬送ローラー36、排紙ローラー1 40、排紙ローラー2 41が逆転する。押圧コロ1011、コロばね1012によって、トレイ103を所定圧で排紙ローラー1 40、排紙ローラー2 41に押し付けることでトレイ103の搬送力を生み出しているので、排紙ローラー1 40、排紙ローラー2 41が逆転に応じて、トレイ103がプリンタ内部へ搬送される。所定量引き込まれたところで離間していたピンチローラーをトレイ103に圧接させ、トレイ103を搬送ローラー36、ピンチローラー37に挟持させる。
【0085】
次に、キャリッジ50がトレイ103を検出する為に、ホームポジションから印字領域に移動する。この時に、上記(C)キャリッジ部で記したように、ガイドシャフト52を上昇させ、トレイ103に対して最適なギャップを構成することができる(図14にピンチローラーの圧接/離間およびキャリッジの昇降状態を図示する。)。
【0086】
続いてキャリッジ50はトレイ位置検出センサー59をトレイ103の位置検出マーク1034aの位置に合わせて停止する。そして、トレイ103を搬送し、位置検出マーク1034a上端のエッジ位置を検出する。そのまま、搬送を続け、マーク1034a下端エッジを検出する。次に、トレイ位置検出センサー59が位置検出マーク1034aの略中央に来るようにトレイ103戻す。そして、キャリッジ50を左右に移動させ、位置検出マーク1034a右端のエッジ位置、左端のエッジ位置を検出する。以上より、位置検出マーク1034aの中心位置1034acを算出することができる。
【0087】
その後キャリッジ50は位置検出マーク1034bを検出に移動する。位置検出マーク1034aと同様な手順で中心位置bcを算出する。
【0088】
中心位置1034acと1034bcより、トレイ103に搭載したCDの中心の位置を計算によって導出し印刷位置を求めている。以上のように、トレイ自身の位置検出を行うので、検出を行わずにメカ的な精度のみで印刷を行う場合に比べて、部品精度のバラツキ、トレイの状態などによって印刷がずれることがない。
【0089】
トレイ103位置が検出された後に、トレイ103搬送方向に、キャリッジ50のトレイ位置検出センサー59位置とトレイ103のメディア有無検出マーク1038位置が一致するようにトレイ103を搬送する。この時に、メディア有無検出マーク1038の検出穴エッジを検出し、所定幅と一致すると、CDが搭載されていないと判断し、印刷作業を中断し、トレイ103を所定位置まで、排出し、エラーを表示する。ここで、上記メディア有無検出マーク1038が検出できなければ、CDが搭載されていると判断し、印刷作業を継続する。
【0090】
以上の一連の初期動作が終了したところで、トレイ103をプリンタの奥のCD全体を印字できる所定位置まで搬送する。その後、ホストから送られる画像データーに応じて、印字を開始する。画像は、複数走査で画像を形成するいわゆるマルチパス印字を用いることで、搬送精度、ヘッド7の着弾精度によるバンドムラ等を軽減することができる。
【0091】
印刷が終了した後、操作者がトレイガイド102にトレイ103をセットした位置までトレイ103を搬送する。トレイ103がロック爪111上を通過した後、ロック爪は再度現れプラテン34と拍車ホルダー43との間のスペースを塞ぎ、次の印字命令に備える。
【0092】
この状態で、操作者は印刷が行われたCDが搭載されたトレイ103を取り出すことができる。さらに、スライドカバー101を引くことで、アーム105が拍車ホルダー43から解除され、フック104が下ケース99から解除されることで、CD搬送部10が本体プリンタから解除され、取り外すことができる。CD搬送部10の解除が検知されると、ロック爪111はプラテン34の溝に収納される。なお、上記ロック爪の駆動源については特に限定されたものではなく、搬送モーターやUT・両面用モーターなどから駆動を取っても良いし、全く別の駆動源を新たに設けても良い。
【0093】
〈実施例2〉
前記実施例に於ては、CD−RやDVDメディアなどへの印字の際専用搬送トレイ103を用いて印刷する場合に関して述べたが、搬送トレイ通過部のサイズを様々なサイズの厚紙被記録媒体が通過できるような大きさとし、ASFやカセットでも採用しているようなサイドガイドを搬送トレイ通過部に備える構成としても良い。
【0094】
その他の構成、作用については前述した実施形態と同様である。
【0095】
〈実施例3〉
前記2つの実施例に於いては、厚紙被記録媒体の保持部を記録装置本体に着脱可能に分離する構成を用いているが、厚紙被記録媒体保持部は、通常は排紙トレイとして使用し、厚紙被記録媒体印刷時には所定の位置まで引き上げてセットするような構成のものでも良い。あるいは、本体正面部に別の形態で収納しておき開閉することにより厚紙被記録媒体保持部をセットする構成などであってもよい(図省略)。
【0096】
その他の構成、作用については前述した実施形態と同様である。
【0097】
以上により、厚紙被記録媒体が記録装置本体へ無理に挿入することを防止する機構を備え、厚紙被記録媒体が挿入されているか否かを検知する手段をキャリッジの下流側に有することで、厚紙被記録媒体を記録装置へ下流側から挿入する際に、従動ローラーやその保持部材、記録ヘッドなどに衝突し記録装置本体の損傷や厚紙被記録媒体自身の損傷を招くことのない記録装置を提供し、また搬送ローラー対の離間および圧接やキャリッジ昇降のタイミングを最適化することが可能となり、厚紙被記録媒体への円滑な印字を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の第1実施例における記録装置の斜視図
【図2】本発明の第1実施例における記録装置の斜視図
【図3】本発明の第1実施例における記録装置の機構部の斜視図
【図4】本発明の第1実施例における記録装置の機構部の斜視図
【図5】本発明の第1実施例における記録装置の断面図
【図6】本発明の第1実施例における記録装置の斜視図
【図7】本発明の第1実施例におけるCD搬送部の斜視図
【図8】本発明の第1実施例における下ケースのCD搬送部取り付け部および取り付け検出部構成図
【図9】本発明の第1実施例における下ケースとCD搬送部フックの装着の構成説明図
【図10】本発明の第1実施例におけるスライドカバーを移動させた場合のCD搬送部の斜視図
【図11】本発明の第1実施例における下ケースとCD搬送部フックの解除の構成説明図
【図12】本発明の第1実施例におけるスライドカバーを移動させた場合のアームの構成説明図
【図13】本発明の第1実施例におけるトレイの平面図
【図14】本発明の第1実施例におけるキャリッジガイドシャフト昇降機構の作用説明図
【図15】本発明の第1実施例における厚紙被記録媒体挿入時のロック機構の作用説明図
【符号の説明】
【0099】
1 電気部
2 給紙装置
3 送紙部
4 排紙部
5 キャリッジ部
6 クリーニング部
7 記録ヘッド
8 Uターン・自動両面部
9 外装・電気部
10 CD−R搬送部
11 シャーシ
111 ガイドレール
20 ベース
201 前段分離部
21 圧板
211 ローレット部
212 圧板バネ
213 分離シート
214 圧板カム
22 戻しレバー
221 戻しレバーバネ
23 可動サイドガイド
231 シートガイド部
232 ローレット対応部
233 操作部
24 分離ローラーホルダー
241 分離ローラー
242 分離ローラーバネ
243 分離ローラークラッチ
244 分離ローラーリリースシャフト
245 分離ローラー軸
25 コントロールカム
26 給紙トレイ
27 駆動部
271 駆動伝達ギア
272 遊星ギア
273 AP(給紙・クリーニング)モーター
28 給紙ローラー
281 給紙ローラーゴム
29 ASFセンサー
30 ピンチローラーホルダ
31 ピンチローラーバネ
32 PEセンサー
321 PEセンサーレバー
33 イドフラッパー
331 軸受け部
34 プラテン
342 搬送ローラー取り付け部
343 シャーシ取り付け軸
35 搬送モーター
36 搬送ローラー
361 プーリー
362 コードホイール
37 ピンチローラー
38 軸受け
381 ローラーテンションバネ
39 エンコーダーセンサー
40 排紙ローラー1
41 排紙ローラー2
42 拍車
43 拍車ホルダー
44 拍車バネ
45 紙端サポート
451 紙端サポートコロ
452 紙端サポートバネ
46 排紙トレイ
50 キャリッジ
501 突き当て部
51 ヘッドセットレバー
511 ヘッド押圧手段
52 ガイドシャフト
521 偏心カム
54 キャリッジモーター
541 タイミングベルト
542 アイドルプーリー
55 キャリッジダンパー
56 エンコーダーセンサー
561 コードストリップ
57 フレキシブル基板
59 自動レジ調整センサー
60 ポンプ
61 キャップ
611 キャップ吸収体
62 ブレード
63 メインカム
64 位置検出センサー
65 弁
651 弁位置検出センサー
66 ブレードクリーナー
67 チューブ
68 ポンプコロ
69 クリーニングモーター
691 ワンウェイクラッチ
7 記録ヘッド
71 インクタンク
8 Uターン・両面搬送部
81 カセット
821 給紙ローラー
822 圧板
823 戻しレバーばね
824 戻しレバー
825 圧板加圧・制御手段
826 圧板カム
827 サイドガイド
828 圧板ばね
829 分離シート
831 分離ローラー
832 分離ベース
833 分離ローラーホルダー
834 クラッチバネ
835 分離ローラーリリースシャフト
836 コントロールカム
837 分離ローラーばね
838 前段規制手段
84 UTベース
841 UTセンサー
85 UT・両面用モーター
851 駆動ギア
852 遊星ギア
86 Uターン中間ローラー(1)
861 Uターンピンチローラー
87 Uターン中間ローラー(2)
871 Uターンピンチローラー
881 インナーガイド
882 アウターガイド
883 フラッパー
884 ピンチローラー昇降機構
891 両面ローラー
892 両面ピンチローラー
893 両面ガイド
91 メイン基板
92 キャリッジ基板
921 コンタクト
93 サイドカバー
95 フロントカバー
96 コネクタカバー
97 アクセスカバー
98 上ケース
981 ドアスイッチレバー
982 LEDガイド
983 キースイッチ
99 下ケース
991 廃インク吸収体
992 排紙トレイレール
993 CD搬送部ガイドレール
10 CD−R搬送部
101 スライドカバー
1011 押圧コロ
1012 コロばね
102 トレイガイド
1021 開口部
1022 勘合部
1026 トレイセットマーク
103 トレイ
1032 CD取り付け部
1033 操作部
1034 位置検出マーク
1035 CD取り出し用穴
1038 メディア有無検知用マーク
104 フック
105 アーム
11 ロック機構
111 ロック爪
112 トレイ検知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する手段と、この記録媒体に記録を行う記録手段とを備え、用紙搬送部下流側から厚紙被記録媒体を挿入可能にする厚紙ガイド手段をセット可能であり、また厚みの異なる様々な被記録媒体が同じ搬送ローラーを使用して記録を行うインクジェット記録装置において、
厚紙被記録媒体印字時には排紙従動ローラーをリリースする機構を有し、また搬送ローラーとその従属ローラーを必要に応じて離間および圧接する機構を有し、さらにキャリッジ昇降機構を有し、厚紙被記録媒体を必要以上挿入させることを防止するロック機構を上記キャリッジの下流側に有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
厚紙被記録媒体の挿入有無を検知する手段を該キャリッジの下流側に有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記厚紙ガイド手段が記録装置本体と着脱可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記厚紙ガイド手段を記録装置本体内蔵とし、上記厚紙ガイド部が厚紙被記録媒体印字時と他の被記録媒体印字時とで形態を変えることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記厚紙ガイド上に、様々な幅の記録媒体に対応できるように幅方向を規制する手段を有することを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−43891(P2006−43891A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223792(P2004−223792)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】