説明

インクジェット記録装置

【課題】無機顔料を含むインクをインクジェットヘッドで吐出する際のヘッド寿命を長期化することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェットヘッド50から少なくとも無機顔料を含有する光硬化型インクを吐出するインクジェット記録装置において、インクジェットヘッド50には、有機フィルム上にシランカップリング剤、アルコシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、該シリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレート60を有するとともに、インクには、蛍光増白剤を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特にノズルプレートを有するインクジェットヘッドにより無機顔料を含む光硬化型インクを記録媒体上に打滴することで画像を形成するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のインクジェット技術の進歩により、高画質で高精細な画像を形成することが可能になってきた。
【0003】
しかしながら、長時間吐出しつづけるとインクジェットヘッドの吐出ノズル口が汚れ、吐出するインク滴の方向が曲がったり、吐出量が低下したり、吐出しなくなる等のトラブルが起こり、画像の解像度を低下させてしまうという問題点があった。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、有機フィルム上にシランカップリング剤とアルコキシシラン化合物で形成したシリコンレジン層上にフッ素樹脂とフルオロアルキルシラン化合物を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートによって、ノズル口の周辺のインクによる汚れを少なくし、インクジェットヘッドの耐久性を向上させることが記載されている。更に、特許文献2では、あらかじめ粗面化処理された表面に、フッ素含有化合物またはシラン化合物を原料としたプラズマ重合により膜厚0.5μm以下の撥インク膜(撥液膜)が形成されたノズルプレートを有することを特徴とするインクジェットヘッドが記載されており、特許文献3では、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体からなるフルオロポリマー、およびまたはテトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体からなるフルオロポリマーを含有する撥インク膜を有するインクジェットヘッドが記載されている。
【特許文献1】特開平11−263020号公報
【特許文献2】特開2000−326514号公報
【特許文献3】特開2004−17497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3などの撥インク膜を設けたインクジェットヘッドにおいて、粒子が硬質な無機顔料を含むインクを上記インクジェットヘッドで吐出する場合に、1ノズルあたり5000万回程度吐出し続けるあいだに、無機顔料による磨耗によって、ノズル口が拡大し、徐々に液滴サイズが大きくなる。従って、無機顔料を含むインクの場合には、有機顔料を含むインクに比べてヘッド寿命が短いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、無機顔料を含むインクをインクジェットヘッドで吐出する際のヘッド寿命を長期化することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために請求項1の発明は、インクジェットヘッドから少なくとも無機顔料を含有する光硬化型インクを吐出するインクジェット記録装置において、前記インクジェットヘッドには、有機フィルム上にシランカップリング剤、アルコシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、該シリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートを有するとともに、前記インクには、蛍光増白剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置を提供する。
【0008】
本発明者は、無機顔料を含むインクを上記インクジェットヘッドで吐出する場合に、1ノズルあたり5000万回程度吐出し続けるあいだに、徐々に液滴サイズが大きくなり、有機顔料を含むインクに比べてヘッド寿命が短いという原因を鋭意研究した結果、次の知見を得た。
【0009】
即ち、特定の撥インク膜を設けたノズルプレートを設けるとともに、無機顔料を含むインクに蛍光増白剤を含有させることによりノズルプレートのインク吐出ノズル口が拡大しているのを抑制することができ、ヘッド寿命を長くすることができることを見出した。ノズルプレートは多種多様であるが、有機フィルム上にシランカップリング剤、アルコシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、そのシリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートが良い。
【0010】
本発明の請求項1によれば、インクジェットヘッドに、有機フィルム上にシランカップリング剤、アルコシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、そのシリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートを備えるとともに、インクには蛍光増白剤が含有しているので、ヘッド寿命を長くすることができる。
【0011】
本発明の請求項2は請求項1において、前記蛍光増白剤が、下記一般式(F)であらわされる化合物であることを特徴とする。
【0012】
一般式(F) An−・n(B
(式中Aはアニオン性基を有する基、Bは総炭素数が15以上の有機カチオンを表し、nは1〜9の整数をあらわす。)
請求項2は、好ましい蛍光増白剤を規定したものであり、上記一般式(F)であらわされる化合物である場合に、ヘッド寿命を長くすることができる。
【0013】
本発明の請求項3は請求項1において、前記蛍光増白剤が、下記一般式(W1)〜(W5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする。
【0014】
【化1】

【0015】
【化2】

【0016】
【化3】

【0017】
【化4】

【0018】
【化5】

【0019】
(式中、R1 〜R17 は、それぞれ水素原子または有機性基を表す。)
請求項3は請求項2と同様に、好ましい蛍光増白剤を規定したものであり、蛍光増白剤が上記一般式(W1)〜(W5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である場合に、ヘッド寿命を長くすることができる。
【0020】
本発明の請求項4は請求項1から3のうちの何れか1項において、前記無機顔料が白色無機顔料であることを特徴とする。
【0021】
請求項4は、無機顔料が白色無機顔料であることで、白色インクとして好適に用いることができる。
【0022】
本発明の請求項5は請求項4において、前記白色無機顔料が酸化チタンであることを特徴とする。
【0023】
請求項5は、白色無機顔料が酸化チタンであることで、遮蔽性、着色性、及び分散粒径の観点から好ましい白色インクを提供することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明のインクジェット記録装置によれば、無機顔料を含むインクであってもヘッド寿命を長くすることができるので、高画質で高精細な画像の形成を長時間維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0026】
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成図である。本例に示すインクジェット記録装置10は、記録媒体16上のインク(W,Y,C,M,K)に紫外線(UV光)を照射することでインク(以下、単にインクと記載)を硬化されるインクジェット記録装置である。
【0027】
詳細は後述するが、本例のインクジェット記録装置10に用いられるインクは、少なくとも無機顔料と蛍光増白剤とを含有する光硬化型インクを含有して構成されている。
【0028】
図1に示したように、このインクジェット記録装置10は、白(W),イエロー(Y),シアン(C),マゼンタ(M),黒(K)の各インク(記録液)に対応して設けられた複数のインクジェットヘッド12W,12Y,12C,12M,12K(記録液付着手段)と、ヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kに供給されるインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、記録媒体(記録紙)16を供給する給紙部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部22(移動手段)と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部26と、を備えている。
【0029】
また、インクジェットヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kの後段(紙送り方向の最下流側にあるヘッド12Kの後段)に設けられ、記録媒体16のインクが打滴された領域にUV光を照射してインクを硬化させるUV光源27(輻射線照射手段)を備えている。
【0030】
本例のUV光源27は、印字部12(具体的には、ヘッド12Kの直下(ごく近傍))に設けられ、図2に示すように記録媒体16の最大幅に対応する長さを有している。なお、記録媒体16の最大幅より短い長さを有する短尺のUV光源27を記録媒体16の幅方向に走査させて記録媒体16の最大幅に対応してもよいし、上述した短尺のUV光源27を複数組み合わせて、記録媒体16の最大幅に対応してもよい。
【0031】
インク貯蔵/装填部14は、各色のインクを貯蔵するインク供給タンク14W,14Y,14C,14M,14Kと、を有し、各タンクは所要の管路を介してインクジェットヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0032】
図1では、給紙部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
【0033】
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
【0034】
給紙部18から送り出される記録媒体16はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録媒体16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
【0035】
記録媒体16としてロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター28は、記録媒体16の搬送路幅以上の長さを有する固定刃28Aと、該固定刃28Aに沿って移動する丸刃28Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃28Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃28Bが配置される。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
【0036】
デカール処理後、カットされた記録媒体16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ配設面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0037】
ベルト33は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図1に示したとおり、ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ配設面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録媒体16がベルト33上に吸着保持される。
【0038】
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータの動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録媒体16は図1の右から左へと搬送される。
【0039】
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0040】
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
【0041】
UV光源27の後段側に設けられる印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するための手段であるイメージセンサを含み、該イメージセンサによって読み取った記録画像からノズルの目詰まりその他の吐出異常をチェックする手段として機能する。
【0042】
本例の印字検出部24は、少なくとも各ヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子を有するラインセンサで構成される。このラインセンサは、R(赤)の色フィルタが設けられた光電変換素子(画素)がライン状に配列されたR受光素子列と、緑(G)の色フィルタが設けられたG受光素子列と、青(B)の色フィルタが設けられたB受光素子列と、からなる色分解ラインCCDセンサで構成されている。なお、ラインセンサに代えて、受光素子が2次元配列されて成るエリアセンサを用いることも可能である。
【0043】
印字検出部24は、各色のヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kにより印字されたテストパターン(又は実技画像)を読み取り、各ヘッドの吐出検出を行う。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0044】
こうして生成されたプリント物は排紙部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)48によってテスト印字の部分を切り離す。カッター48は、排紙部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。カッター48の構造は前述した第1のカッター28と同様であり、固定刃48Aと丸刃48Bとから構成される。また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
【0045】
〔印字部の構成〕
図1に示すように、印字部12は、白、シアン、マゼンダ、イエロー、黒のインクに対応したインクジェットヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kと、を含んで構成されている。以降、インクジェットヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kを、単にヘッド12Y,12C,12M,12Kのように記載することがある。
【0046】
印字部12の各ヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体16の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図2参照)。
【0047】
各ヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kは、記録媒体16の送り方向(図2に示す紙送り方向)に沿って上流側から白(W)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の順に配置され、それぞれのヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kが紙送り方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
【0048】
吸着ベルト搬送部22により記録媒体16を搬送しつつ、各ヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録媒体16上にカラー画像を形成し得る。
【0049】
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12W,12Y,12C,12M,12Kを液別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録媒体16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、ヘッドが紙送り方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0050】
なお、本例では、WYCMKの構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクやダークイエローなどのダーク系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0051】
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。インク色ごとに設けられている各印字ヘッド12W、12K、12M、12C、12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
【0052】
図2は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図である。また図3は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中3−3線に沿う断面図)である。
【0053】
記録紙面上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図2に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状(2次元的)に配置させた構造を有し、これにより、印字ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0054】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2参照)、対角線上の両隅部にノズル51と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。
【0055】
印字ヘッド50のノズル面(インク吐出面)50Aは、図3に示すように、ノズル(ノズル孔)51が形成されるノズルプレート60によって構成されている。尚、ノズルプレート60の製造方法については後で詳説する。
【0056】
圧力室52は、供給口54を介して共通流路55と連通している。また、共通流路55は、インク供給源たるインクタンク(不図示)と連通している。インクタンクから供給されるインクは、共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0057】
圧力室52の天面を構成している振動板(共通電極)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なおアクチュエータ58には、ピエゾ素子などの圧電体が好適に用いられる。インク吐出後、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
【0058】
かかる構造を有する多数のインク室ユニット53は、図4に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に配列させた構造になっている。主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなる。
【0059】
すなわち、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0060】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン又は1個の帯状を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0061】
特に、図4に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
【0062】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットからなるライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0063】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク液滴を飛ばす方法が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式には限定されず、ピエゾ方式に代えて、ヒータ等の発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式等でもよい。
【0064】
〔ノズルプレートの製造方法〕
本発明のインクジェットヘッドは、ノズルプレート基材として有機フィルムを用い、該有機フィルム上に、シランカップリング剤、アルコキシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、該シリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートを有することを特徴とする。
【0065】
シリコンレジン層は、少なくともシランカップリング剤、アルコキシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いて形成され、フッ素樹脂層はフッ素樹脂を用いて形成し、フルオロアルキルシラン化合物により、シリコンレジン層は有機フィルム基材と強く接着し、且つ上層に形成されたフッ素樹脂層とも強く接着するので、撥水性が高く、耐久性の高いインクジェットヘッドのノズルプレートを形成することができる。
【0066】
アルコキシシラン化合物は、溶液中の水分や空気中の水分によって部分的に加水分解してシラノール基を形成し、シラノールの脱水縮合や脱アルコール縮合、シランカップリング剤との反応により、相互に結合して強固な被膜を形成することができるものと考えられる。さらに加熱することにより、この反応を促進、完了させることができる。
【0067】
本発明においては、上記の架橋反応の促進及び、フッ素原子やメチル基は疎水性が強いので固体と空気の界面に局在する傾向が強く、加熱してより撥水性の高い被膜表面を形成するために、200〜300℃で加熱処理することが特に好ましい。
【0068】
また、本発明に用いられるフルオロアルキルシラン化合物は、上記2層の何れかの層に添加することにより、本発明のシリコンレジン層とフッ素樹脂層との接着性を著しく向上させる効果を有している。
【0069】
本発明のシリコンレジン層及びフッ素樹脂層の膜厚は、各々0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、前記2層の膜厚の合計は、1〜10μmの範囲であることが好ましい。総膜厚が、1μm未満では被膜強度が十分には得られないことがあり、又10μmを越えると膜厚のむらが生じやすく好ましくない。
【0070】
本発明のインクジェットヘッドのノズルプレートを形成する有機フィルムとしては、ポリイミド、ポリフェニルキノキサリン、ポリサルホン等の200℃以上の耐熱性を持つ樹脂フィルムが挙げられる。有機フィルムの膜厚としては、10〜500μm程度のフィルムを用いることが好ましい。
【0071】
本発明にフッ素樹脂層に用いられる溶剤可溶性非晶質フッ素樹脂としては、デュポン社製テフロンAF、旭ガラス社製サイトップ等を挙げることができる。
【0072】
本発明に用いられるシランカップリング剤としては、下記一般式(1N)で表される化合物が好ましい。
【0073】
一般式(1N)
RSi(X1)(X2)(X3)
式中、X1、X2、X3はアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子の何れかを表し、Rは末端にエポキシ基、ビニル基、アジリジニル基又はアミノ基を有するアルキル基を表す。
【0074】
前記一般式(1N)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0075】
【化6】

【0076】
本発明に用いられるアルコキシシラン化合物としては、下記一般式(2)で表される化合物が好ましい。
【0077】
一般式(2N)
Si(X4)(X5)(X6)(X7)
式中、X4、X5、X6、X7はメチル基、フェニル基、アルコキシ基又はハロゲン原子の何れかを表す。
【0078】
前記一般式(2N)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
2−1 Si(OMe)4
2−2 MeSi(OMe)3
2−3 MeSi(OEt)3
2−4 Me2Si(OEt)2
2−5 PhSi(OMe)3
2−6 Ph2Si(OMe)2
2−7 MeSiCl3
2−8 Me2SiCl2
本発明に用いられるフルオロアルキルシラン化合物としては、下記一般式(3N)で表される化合物が好ましい。
【0079】
一般式(3N)
RfSi(X8)(X9)(X10)
式中、Rfはフッ素含有アルキル基を表す。X8、X9、X10はアルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子の何れかを表す。
【0080】
前記一般式(3N)で表される化合物の具体例を下記に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
3−1 CF3CH2CH2Si(OMe)3
3−2 CF3(CF25CH2CH2Si(OMe)3
3−3 CF3(CF25CH2CH2SiCl3
3−4 CF3(CF27CH2CH2Si(OMe)3
3−5 CF3(CF27CH2CH2(Me)Si(OMe)2
〔インクの説明〕
本発明に係るインクにおいては、無機顔料を用い、インクが蛍光増白剤を含有することを特徴とする。尚、以下のインクの説明は、白色インクに関して説明するが、無機顔料を含むインクであれば良く、各色インクに無機顔料が含まれるものでも良い。
【0081】
本発明に係る蛍光増白剤としては、当業者で従来公知の各種蛍光増白剤を用いることができ、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系を挙げることができ、好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができるが、好ましくは前記一般式(F)で表される化合物、あるいは前記一般式(1)〜(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0082】
前記一般式(F)において、Aで表されるアニオン性基を有する蛍光増白剤成分としては、アニオン性基を有するスチルベン系蛍光増白剤、アニオン性基を有するクマリン系蛍光増白剤、アニオン性基を有するチオフェン系蛍光増白剤が好ましい。アニオン性基を有する蛍光増白剤成分におけるアニオン性基としては、例えば、スルホン酸基、カルボキシル基が挙げられるが、スルホン酸基が特に好ましい。
【0083】
スルホン酸基を有する蛍光増白剤成分としては、スルホン酸基を有するスチルベン系蛍光増白剤、スルホン酸基を有するクマリン系蛍光増白剤、スルホン酸基を有するチオフェン系蛍光増白剤が特に好ましい。
【0084】
Aで表されるアニオン性基を有する蛍光増白剤成分は、例えば、化成品工業会編「蛍光増白剤」、英国特許第920,988号明細書、独特許第1,065,838号明細書、米国特許第2,610,152号明細書等を参考にして容易に合成することができる。
【0085】
Bで表される有機カチオンとしては、総炭素数が15以上のアンモニウムカチオンまたはピリジニウムカチオンが好ましく、特に、総炭素数が15以上のアンモニウムカチオンが好ましい。
【0086】
上記総炭素数が15以上のアンモニウムカチオンは、下記一般式(F−1)で表されるアンモニウムカチオンが好ましい。
【0087】
【化7】

【0088】
また、上記総炭素数が15以上のピリジニウムカチオンは、下記一般式(F−2)で表されるピリジニウムカチオンが好ましい。
【0089】
【化8】

【0090】
上記一般式(F−2)において、R5は炭素数の総計が10以上のアルキル基、フェニル基を表し、R5の炭素数の総計は15以上であることが更に好ましい。
【0091】
本発明に係る一般式(F)で表される蛍光増白効果を有する有機塩化合物は、Aに相当するアニオン性基を有する蛍光増白剤成分とBの有機カチオンを有する化合物とを混合することで、容易に合成することができる。
【0092】
次に、本発明に用いられる一般式(F)で表される蛍光増白効果を有する有機塩化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0093】
【化9】

【0094】
【化10】

【0095】
【化11】

【0096】
【化12】

【0097】
【化13】

【0098】
次いで、前記一般式(W1)〜(W5)で表される化合物について説明する。
【0099】
前記一般式(W1)で表される蛍光増白剤は、ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベン系蛍光増白剤である。
【0100】
前記一般式(W1)において、R1、R2、R3、R4は、それぞれ同一でも異なっていてもよい水素原子または有機性基を表す。有機性基としては、炭素数が1から15までのアルキル基、アルコキシ基、アリール基等が好ましい。また、これら有機性基は更に置換されていてもよい。
【0101】
1、R2、R3、R4として好ましいものとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びtert−オクチル基が挙げられる。
【0102】
前記一般式(W2)で表される蛍光増白剤は、ビス(ベンゾオキサゾリル)ナフタレン系蛍光増白剤である。
【0103】
前記一般式(W2)において、R5、R6、R7、R8は、それぞれ同一でも異なっていてもよい水素原子または有機性基を表す。有機性基としては、炭素数が1から15までのアルキル基、アルコキシ基、アリール基等が好ましい。また、これら有機性基は更に置換されていてもよい。
【0104】
5、R6、R7、R8として好ましいものとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びtert−オクチル基が挙げられる。
【0105】
前記一般式(W3)で表される蛍光増白剤は、ビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン系蛍光増白剤である。
【0106】
前記一般式(W3)において、R9、R10、R11、R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよい水素原子または有機性基を表す。有機性基としては、炭素数が1から15までのアルキル基、アルコキシ基、アリール基等が好ましい。また、これら有機性基は更に置換されていてもよい。
【0107】
9、R10、R11、R12として好ましいものとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びtert−オクチル基が挙げられる。
【0108】
前記一般式(W4)で表される蛍光増白剤は、ピラゾリン系蛍光増白剤である。ピラゾリン系蛍光増白剤にはピラゾリン誘導体とピラゾロン誘導体が含まれる。
【0109】
前記一般式(W4)において、R13、R14、R15は、それぞれ同一でも異なっていてもよい水素原子または有機性基を表す。有機性基としては、炭素数が1から15までのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、スルホンアミド基等が好ましい。また、これら有機性基は更に置換されていてもよい。
【0110】
13、R14、R15として好ましいものとしては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、tert−オクチル基及びフェニル基が挙げられる。
【0111】
前記一般式(W5)で表される蛍光増白剤は、クマリン系蛍光増白剤である。
【0112】
前記一般式(W5)において、R16、R17は、それぞれ同一でも異なっていてもよい水素原子または有機性基を表す。R16としては、トリアジンやトリアゾール環を含む有機性基が好ましく、R17としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基等の有機性基が好ましい。
【0113】
以下に、一般式(W1)〜(W5)で表される蛍光増白剤の具体例を記載するが、本発明で用いることができる蛍光増白剤はこれらの記載によって限定されるものではない。
【0114】
【化14】

【0115】
【化15】

【0116】
【化16】

【0117】
【化17】

【0118】
【化18】

【0119】
本発明係る白色インクにおいて、上記蛍光増白剤は単独で用いても、あるいは2種以上組み合わせて用いても良い。
【0120】
本発明に係る上記各蛍光増白剤の添加量は、白色インクの全質量に対し1.0〜20.0質量%の範囲が好ましく、より好ましくは5.0〜10.0質量%である。蛍光増白剤の添加量が1.0質量%以上であれば、本発明の目的とする明度の高い白色画像を得ることができ、また、20.0質量%以下であれば、硬化感度、射出安定性を損なうことなく良好が白色画像を得ることができる。
【0121】
本発明に係る白色インクにおいては、上記蛍光増白剤と共に着色剤として白色顔料を含有する。
【0122】
本発明に係る白色インクに用いられる白色顔料は、インク組成物を白色にするものであればよく、通常、この分野に用いられる白色顔料を用いることが出来るが、このような白色顔料として、無機白色顔料を用いることが好ましい。
【0123】
無機白色顔料としては、硫酸バリウム等のアルカリ土類金属の硫酸塩、炭酸カルシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩、微粉ケイ酸、合成ケイ酸塩等のシリカ類、ケイ酸カルシウム、アルミナ、アルミナ水和物、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、クレイ等があげられる。本発明においては、特に、酸化チタンが隠蔽性および着色性、分散粒径の観点で好ましい。
【0124】
本発明においては、無機白色顔料に加えて、有機顔料を併用することも可能である。有機白色顔料としては、特開平11−129613号に示される有機化合物塩や特開平11−140365号、特開2001−234093号に示されるアルキレンビスメラミン誘導体が挙げられる。
【0125】
上記白色顔料の具体的な市販品としては、ShigenoxOWP、ShigenoxOWPL、ShigenoxFWP、ShigenoxFWG、ShigenoxUL、ShigenoxU(以上、ハッコールケミカル社製、何れも商品名)などが挙げられる。
【0126】
白色顔料の分散には、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、白色顔料の分散を行う際に分散剤を添加することも可能である。分散剤は高分子分散剤を用いることが好ましい。
【0127】
高分子分散剤としてはZeneca社のSolsperseシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種白色顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、白色顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は溶剤または重合性化合物で行うが、本発明に係る活性光線照射による硬化性を有するインクは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0128】
分散は、平均粒径を0.1〜1.0μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、白色顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定する。この粒径管理によって、記録ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク隠蔽性および硬化感度を維持することが出来る。
【0129】
白色顔料は、インク組成物全体の1〜50質量%、好ましくは2〜30質量%の範囲で含有される。含有量がこれより少ないと隠蔽性が得られず、これより多いとインクジェットによる出射性が悪くなり、目詰まりなどの原因になる。
【0130】
インクセットは、カラーインクと白色インクとで構成されていることが好ましいが、各インクには着色剤と共に、重合性化合物及び光重合開始剤を含有し、記録材料上に射出した後、活性光線を照射して硬化を行う。
【0131】
以下、本発明に係る重合性化合物について説明する。
【0132】
本発明に用いられる重合性化合物の第一の形態としては、オキセタン化合物とエポキシ化合物又はビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0133】
上記オキセタン化合物のインク組成物全体に占める割合が65〜95質量%であることが好ましい。特開2001−220526号において、オキセタン化合物を含有したインクジェット記録方式用のエネルギー線硬化型インク組成物が開示されており、オキセタン化合物のインク組成物全体に占める割合を65〜95質量%とすることが好ましい。
【0134】
本発明で用いることのできるオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物を意味し、例えば、特開2001−220526号、特開2001−310937号に記載されているような、公知のオキセタン化合物を使用することができる。
【0135】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、作製したインクの粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインクのガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0136】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0138】
【化19】

【0139】
一般式(1)において、R1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0140】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0141】
【化20】

【0142】
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0143】
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
【0144】
【化21】

【0145】
一般式(3)において、R4は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0146】
【化22】

【0147】
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、又はC(CH32を表す。
【0148】
【化23】

【0149】
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0150】
【化24】

【0151】
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0152】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0153】
【化25】

【0154】
例示化合物1は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボニル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
【0155】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)のR1と同義である。
【0156】
【化26】

【0157】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
【0158】
【化27】

【0159】
一般式(8)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0160】
【化28】


【0161】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0162】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0163】
【化29】

【0164】
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0165】
【化30】


【0166】
一般式(9)において、R8は前記一般式(6)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0167】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0168】
【化31】


【0169】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison, J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0170】
【化32】


【0171】
次いで、本発明に係るエポキシ化合物について説明する。
【0172】
上記エポキシ化合物は、例えば、特開2001−55507号、特開2001−31892号、特開2001−40068号、特開2001−310938号などに示されている、公知のあらゆるエポキシ化合物が使用できる。
【0173】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールまたはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造される、ジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテルであり、例えば、ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル、及びノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0174】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸化物等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0175】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテルまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0176】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシドおよび脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、オキセタン化合物と共に上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0177】
次いで、本発明に係るビニルエーテル化合物について説明する。
【0178】
本発明に係るビニルエーテル化合物としては、公知のあらゆるビニルエーテル化合物を使用でき、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0179】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジビニルエーテル化合物又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、オキセタン化合物と共に上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0180】
本発明に用いられる重合性化合物の第2の形態としては、ピロールおよび置換ピロール、アニリンおよび置換アニリン、チオフェンおよび置換チオフェンが挙げられる。
【0181】
置換ピロールとしては、N−メチルピロール、N−エチルピロール等のN−アルキルピロール類、N−フェニルピロール等のN−アリールピロール類、2−ニトロフェニルピロール、3−メチルピロール、3−エチルピロール、3−クロルピロール、3,4−ジメチルピロール、3,4−ジクロルピロールなど、置換アニリンとしては、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−ジメチルアニリン、N−ジエチルアニリン、クロルアニリン、ジクロルアニリン、クロル−N−メチルアニリン、クロル−N−ジメチルアニリン、ジクロル−N−アセチルアニリン、フェニレンジアミンなど、置換チオフェンとしては、3−メチルチオフェン、3−エチルチオフェン、3−クロルチオフェン、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジクロルチオフェン、2,2′−ビチオフェンなどがある。
【0182】
本発明に用いられうる重合性化合物の第二の形態として、ラジカル重合性化合物の具体例をあげる。
【0183】
アクリレート類の例
単官能アルキルアクリレート類の例:メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート。
【0184】
単官能含ヒドロキシアクリレート類の例:2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0185】
単官能含ハロゲンアクリレート類の例:2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1H−ヘキフルオロイソプロピルアクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルアクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加アクリレート。
【0186】
単官能含エーテル基アクリレート類の例:2−メトキシエチルアクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、クレジルポリエチレングリコールアクリレート、p−ノニルフェノキシエチルアクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、グリシジルアクリレート。
【0187】
単官能含カルボキシルアクリレート類の例:β−カルボキシエチルアクリレート、こはく酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0188】
その他の単官能アクリレート類の例:N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、モルホリノエチルアクリレート、トリメチルシロキシエチルアクリレート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0189】
二官能アクリレート類の例:1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200ジアクリレート、ポリエチレングリコール#300ジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジアクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールPO(プロピレンオキサイド)変性ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジアクリレート、EO(エチレンオキサイド)変性ビスフェノールAジアクリレート、PO変性ビスフェノールAジアクリレート、水素化ビスフェノールAジアクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールFジアクリレート、EO変性ビスフェノールFジアクリレート、PO変性ビスフェノールFジアクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート。
【0190】
三官能アクリレート類の例:グリセリンPO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリアクリレート、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレートトリプロピオネート。
【0191】
四官能以上のアクリレート類の例:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルテトラアクリレート、トリス(アクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0192】
メタクリレート類の例
単官能アルキルメタクリレート類の例:メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート。
【0193】
単官能含ヒドロキシメタクリレート類の例:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アリルオキシプロピルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート。
【0194】
単官能含ハロゲンメタクリレート類の例:2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1H−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、1H,1H,5H−オクタフルオロペンチルメタクリレート、1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,6−ジブロモ−4−ブチルフェニルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチルメタクリレート、2,4,6−トリブロモフェノール3EO付加メタクリレート。
【0195】
単官能含エーテル基メタクリレート類の例:2−メトキシエチルメタクリレート、1,3−ブチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400メタクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、メトキシトリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタクリレート、フェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、クレジルポリエチレングリコールメタクリレート、p−ノニルフェノキシエチルメタクリレート、p−ノニルフェノキシポリエチレングリコールメタクリレート、グリシジルメタクリレート。
【0196】
単官能含カルボキシルメタクリレート類の例:β−カルボキシエチルメタクリレート、こはく酸モノメタクリロイルオキシエチルエステル、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−メタクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート。
【0197】
その他の単官能メタクリレート類の例:N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、トリメチルシロキシエチルメタクリレート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性−2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート。
【0198】
2官能メタクリレート類の例:1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール#200ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#300ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#400ジメタクリレート、ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#400ジメタクリレート、ポリプロピレングリコール#700ジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールPO変性ジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジメタクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルのカプロラクトン付加物ジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールビス(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル)エーテル、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールジメタクリレートモノベンゾエート、ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性ビスフェノールAジメタクリレート、水素化ビスフェノールAジメタクリレート、EO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、PO変性水素化ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性ビスフェノールFジメタクリレート、PO変性ビスフェノールFジメタクリレート、EO変性テトラブロモビスフェノールAジメタクリレート、トリシクロデカンジメチロールジメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ジメタクリレート。
【0199】
三官能メタクリレート類の例:グリセリンPO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンEO変性トリメタクリレート、トリメチロールプロパンPO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性トリメタクリレート、イソシアヌル酸EO変性ε−カプロラクトン変性トリメタクリレート、1,3,5−トリメタクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレートトリプロピオネート。
【0200】
4官能以上のメタクリレート類の例:ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレートモノプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、オリゴエステルテトラメタクリレート、トリス(メタクリロイルオキシ)ホスフェート。
【0201】
アリレート類の例:アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート。
【0202】
酸アミド類の例:アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、メタクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン。
【0203】
スチレン類の例
スチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシカルボニルスチレン、p−t−ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン。
【0204】
他のビニル化合物の例
酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン等。
上記のラジカル重合性化合物は、以下に示すメーカーの市販品として、容易に入手することができる。例えば、共栄社油脂化学工業社製の「ライトアクリレート」、「ライトエステル」、「エポキシエステル」、「ウレタンアクリレート」および「高機能性オリゴマー」シリーズ、新中村化学社製の「NKエステル」および「NKオリゴ」シリーズ、日立化成工業社製の「ファンクリル」シリーズ、東亞合成化学社製の「アロニックスM」シリーズ、大八化学工業社製の「機能性モノマー」シリーズ、大阪有機化学工業社製の「特殊アクリルモノマー」シリーズ、三菱レイヨン社製の「アクリエステル」および「ダイヤビームオリゴマー」シリーズ、日本化薬社製の「カヤラッド」および「カヤマー」シリーズ、日本触媒社製の「アクリル酸/メタクリル酸エステルモノマー」シリーズ、日本合成化学工業社製の「NICHIGO−UV紫光ウレタンアクリレートオリゴマー」シリーズ、信越酢酸ビニル社製の「カルボン酸ビニルエステルモノマー」シリーズ、興人社製の「機能性モノマー」シリーズ等があげられる。本発明のラジカル重合性化合物は、ただ一種のみ用いても、所望とする特性を向上するために任意の比率で二種以上混合したものを用いてもよい。
【0205】
マレイミド誘導体としては公知の化合物が使用できる。例えば、特開昭61−250064号、特開昭62−64813号、特開昭62−79243号、特開平6−298817号、特開平11−124403号、特開平11−292874号、特開平11−302278号、特開2000−264922号、「Polymer Materials Science and Engineering」第72巻、第470〜472頁(1995年)、「Polymer Preprints」第37巻、第348〜349頁(1996年)、「第4回フュージョンUV技術セミナー」第43〜77頁(1996年)、「Polymer Letters」第6巻、第883〜888頁(1998年)、「第9回フュージョンUV技術セミナー」第5〜20頁(2001年)等に記載された化合物が使用できる。
【0206】
本発明で用いることのできる光重合開始剤の一例としては、公知のあらゆる光酸発生剤を挙げることができる。
【0207】
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメ−ジング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0208】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654-、PF6-、AsF6-、SbF6-、CF3SO3-塩を挙げることができる。
【0209】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0210】
【化33】


【0211】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0212】
【化34】


【0213】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0214】
【化35】


【0215】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0216】
【化36】


【0217】
好ましいラジカル型光重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)芳香族オニウム塩化合物、(c)有機過酸化物、(d)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(e)ケトオキシムエステル化合物、(f)ボレート化合物、(g)アジニウム化合物、(h)メタロセン化合物、(i)活性エステル化合物、(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物、等が挙げられる。
【0218】
前記(a)芳香族ケトン類の好ましい例としては、「RADIATION CURING IN POLYMER SCIENCE AND TECHNOLOGY」J.P.FOUASSIER J.F.RABEK (1993)、p77〜117記載のベンゾフェノン骨格或いはチオキサントン骨格を有する化合物等が挙げられる。より好ましい(a)芳香族ケトン類の例としては、特公昭47−6416号公報記載のα−チオベンゾフェノン化合物、特公昭47−3981号公報記載のベンゾインエーテル化合物、特公昭47−22326号公報記載のα−置換ベンゾイン化合物、特公昭47−23664号公報記載のベンゾイン誘導体、特開昭57−30704号公報記載のアロイルホスホン酸エステル、特公昭60−26483号公報記載のジアルコキシベンゾフェノン、特公昭60−26403号公報、特開昭62−81345号公報記載のベンゾインエーテル類、特公平1−34242号公報、米国特許第4,318,791号、ヨーロッパ特許0284561A1号記載のα−アミノベンゾフェノン類、特開平2−211452号公報記載のp−ジ(ジメチルアミノベンゾイル)ベンゼン、特開昭61−194062号公報記載のチオ置換芳香族ケトン、特公平2−9597号公報記載のアシルホスフィンスルフィド、特公平2−9596号公報記載のアシルホスフィン、特公昭63−61950号公報記載のチオキサントン類、特公昭59−42864号公報記載のクマリン類等を挙げることができる。
【0219】
前記(b)芳香族オニウム塩化合物としては、周期律表の第V、VI及びVII族の元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、またはIの芳香族オニウム塩が含まれる。例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、および同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、および同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有してもよいベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、および特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号、および同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
【0220】
前記(c)「有機過酸化物」としては、分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、3,3’,4,4’−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’4,4’−テトラ−(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
【0221】
前記(d)ヘキサアリールビイミダゾールとしては、特公昭45−37377号公報、特公昭44−86516号公報記載のロフィンダイマー類、例えば2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(o,o’−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−メチルフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(o−トリフルオロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0222】
前記(e)ケトオキシムエステルとしては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−p−トルエンスルホニルオキシイミノブタン−2−オン、2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン等が挙げられる。
【0223】
前記(f)ボレート化合物の例としては、米国特許3,567,453号、同4,343,891号、ヨーロッパ特許109,772号、同109,773号に記載されている化合物が挙げられる。
【0224】
前記(g)アジニウム塩化合物の例としては、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特開昭63−143537号、並びに特公昭46−42363号の各公報に記載のN−O結合を有する化合物群を挙げることができる。
【0225】
前記(h)メタロセン化合物の例としては、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−4705号各公報記載のチタノセン化合物ならびに、特開平1−304453号、特開平1−152109号各公報記載の鉄−アレーン錯体を挙げることができる。
【0226】
前記チタノセン化合物の具体例としては、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−2,6−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル〕チタン、ビス(シクロペンタジエニル)ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(N−ブチルビアロイル−アミノ)フェニル〕チタン等を挙げることができる。
【0227】
前記(i)活性エステル化合物の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、および同0388343号各明細書、米国特許3901710号、および同4181531号各明細書、特開昭60−198538号、および特開昭53−133022号各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、および同0101122号各明細書、米国特許4618564号、同4371605号、および同4431774号各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、および特開平4−365048号各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、および特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等が挙げられる。
【0228】
前記(j)炭素ハロゲン結合を有する化合物の好ましい例としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物等を挙げることができる。
【0229】
また、F.C.Schaefer等によるJ.Org.Chem.29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物等を挙げることができる。ドイツ特許第2641100号に記載されているような化合物、ドイツ特許第3333450号に記載されている化合物、ドイツ特許第3021590号に記載の化合物群、あるいはドイツ特許第3021599号に記載の化合物群、等を挙げることができる。
【0230】
本発明に係るインクは、特開平8−248561号、特開平9−34106号をはじめてとし、既に公知となっている活性光線の照射で発生した酸により新たに酸を発生する酸増殖剤を含有することが好ましい。酸増殖剤を用いることで、吐出安定性向上、記録材料のカール・しわの低減を可能となり好ましい。
【0231】
本発明に係るカラーインクにおいては、上述の活性光線硬化型の各組成物と共に、各種公知の染料または顔料を含有しているが、好ましくは顔料を含有する。
【0232】
本発明で好ましく用いることのできる顔料を、以下に列挙するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
C.I Pigment Yellow−1、3、12、13、14、17、81、83、87、95、109、42、
C.I Pigment Orange−16、36、38、
C.I Pigment Red−5、22、38、48:1、48:2、48:4、49:1、53:1、57:1、63:1、144、146、185、101、
C.I Pigment Violet−19、23、
C.I Pigment Blue−15:1、15:3、15:4、18、60、27、29、
C.I Pigment Green−7、36、
C.I Pigment White−6、18、21、
C.I Pigment Black−7、
本発明のインクにおいては、着色剤濃度としては、インク全体の1〜10質量%であることが好ましい。
【0233】
本発明に係るインクには、必要に応じて、その他の成分を添加することが出来る。
【0234】
線源としてUV光、可視光、赤外光を用いる場合は、それぞれの波長に応じたラジカル重合開始剤、開始助剤、増感色素を添加するのが普通である。これらの量は通常インク全体の1〜10質量部が必要となる。開始剤等は公知の様々な化合物を使用することが出来るが、上記重合性化合物に溶解するものから選択する。具体的な開始剤としては、キサントンまたはチオオキサントン系、ベンゾフェノン系、キノン系、フォスフィンオキシド系が挙げられる。
【0235】
又、保存性を高めるために、重合禁止剤を200〜20000ppm添加することが出来る。本発明のインクは40〜80℃の範囲で加熱、低粘度化して射出することが好ましいので、熱重合による記録ヘッド詰まりを防ぐためにも重合禁止剤を入れることが好ましい。
【0236】
この他に、必要に応じて界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することが出来る。オレフィンやPET等の記録媒体への密着性を改善するためには、重合を阻害しないタッキファイヤーを含有させることが好ましい。
【0237】
具体的には、特開2001−49200号の公報の5〜6頁に記載されている、高分子量の粘着性ポリマー((メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステル、からなる共重合物)や、重合性不飽和結合を持つ低分子量粘着付与性樹脂などである。
【0238】
記録媒体との密着性を改善するため、乾燥性に影響しない極微量の有機溶剤を添加してもよい。この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量は0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%である。
【0239】
又、インク色材による遮光効果のため、感度低下を防ぐ手段として、開始剤寿命の長いカチオン重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0240】
インク組成物の粘度が30℃において10〜500mPa・s、また40℃以上(上限は50℃ぐらい)に加熱することにより7〜30mPa・sになるよう組成比を決めるのが好ましい。
【0241】
その理由は、室温での粘度を上げることにより、吸収性のある記録媒体にもインクの浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、着弾時のドット滲みを抑えることが出来、画質が改善される。また、表面張力の違う基材間でも同じようなドットが形成されるため、同じような画質が得られる。10mPa・s未満では、滲み防止効果が小さい。500mPa・sより大きいと、インク液の供給に問題が生じる。
【0242】
又、安定な出射性を得るためにはインク組成物の40℃以上における粘度が7〜30mPa・sとなることが好ましい。
【0243】
〔記録媒体〕
本発明で用いることのできる記録媒体16としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、PVA、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。
【0244】
これら各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは、素材の特性により大きく異なり、記録媒体によってはインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録媒体に良好な高精細な画像を形成できる。
【0245】
また、包装の費用や生産コスト等の記録材料のコスト、プリントの作製効率、各種のサイズのプリントに対応できる等の点で、長尺(ウェブ)な記録媒体を使用する方が有利である。
【0246】
以上のように構成されたインクジェット記録装置10において、上記無機顔料を含むインクを上記印字ヘッドで長期間打滴し続けても、液滴サイズの変化が小さい。通常、無機顔料を含むインクを長期間打滴し続けると、ヘッドのノズルが広がり、液滴サイズが大きくなってしまう。従って、ヘッドのピエゾアクチュエーターの寿命がつきる前に、ノズルのサイズ変化により、打滴したインクの液滴サイズが変わり使用不能となってしまう。ところが、本発明の蛍光増白剤を含む無機顔料インクを本発明のノズルプレート有するヘッドの組み合わせで、ヘッドのノズルが広がりを顕著に抑制することができるので、液滴サイズの変化を顕著に改善することができる。
【実施例】
【0247】
以下に具体的な実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0248】
〔実施例1〕
<本発明のノズルプレートを有するインクジェットヘッド(ヘッド1)の製作>
(1)厚さ120μmのポリイミド板(宇部興産製ユーピレックス)上に下記塗布液1を乾燥膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーで塗布した。
【0249】
塗布液−1
フルオロシラン化合物(化合物3−2) 5重量%
アルコキシシラン化合物(化合物2−1) 20重量%
カップリング剤(化合物1−4) 5重量%
酢酸 5重量%
水 10重量%
イソプロピルアルコール 55重量%
(2)常温で乾燥した後、120℃で3時間加熱処理を行って、シリコンレジン樹脂層を形成した。
(3)加熱処理した上記試料上に下記、塗布液−2を乾燥膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーにて塗布した。
【0250】
塗布液−2
非晶質パーフルオロポリマー 98重量%
(デュポン社製AF1601 6%溶液)
紫外線吸収剤(サリチル酸p−オクチフェニル) 2重量%
(4)常温で15分間乾燥した後、250℃で30分間加熱処理を行ない、撥液膜を形成した。
(5)エキシマレーザーにより、出口直径30μmのノズル孔あけを行って、64穴のノズルプレートを作成した。
(6)作成したノズルプレートをエポキシ接着剤で接着し、ピエゾ素子とインク室をもつシアモード型インクジェットヘッドを製作した。
【0251】
<比較例のノズルプレートを有するインクジェットヘッド(ヘッド2)の製作>
(1)厚さ120μmのポリイミド板(宇部興産製ユーピレックス)上に下記塗布液1を乾燥膜厚が1μmとなるようにワイヤーバーで塗布した。
【0252】
塗布液−1
フルオロシラン化合物(化合物3−2) 2重量%
非晶質パーフルオロポリマー 96重量%
(デュポン社製AF1601 6%溶液)
紫外線吸収剤(サリチル酸p−オクチフェニル) 2重量%
常温で15分間乾燥させた後、250℃で30分間加熱処理してパーフルオロポリマー層からなる撥液膜を形成した。
【0253】
以下をヘッド1と同様にして、インクジェットヘッド2を製作した。
【0254】
<無機顔料を含有する光硬化型インク(インク−1:比較インク)の調製>
白色顔料分散物1の調製
以下の各組成物を加圧ニーダーにより配合し、次いでロールミルによって練肉・分散を行って酸化チタン分散物1を得た。
【0255】
白色酸化チタン(平均粒径0.15μm) 25重量%
高分子分散剤 1.25重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−221)
73.75重量%
白色インクの調製
白色顔料分散物1 20重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−221)
21重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−211)
24重量%
エポキシ化合物(セロキサイド2021P:ダイセル化学社製)
27重量%
光酸発生剤(スルホニウムのPF6−塩、SP−152旭電化工業社製)
8重量%
上記の各化合物を混合した後、フィルタでろ過して無機顔料として、白色酸化チタンと光重合性化合物と光重合開始剤を含む、光硬化型インクを調整した。
<無機顔料と蛍光増白剤を含有する光硬化型インク(インク−2:本発明インク)の調製>
白色顔料分散物1の調製
以下の各組成物を加圧ニーダーにより配合し、次いでロールミルによって練肉・分散を行って酸化チタン分散物2を得た。
【0256】
白色酸化チタン(平均粒径0.15μm) 25重量%
高分子分散剤 1.25重量%
蛍光増白剤(例示化合物W−1) 5重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−221)
68.75重量%
白色インクの調製
白色顔料分散物2 20重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−221)
21重量%
オキセタン化合物(東亞合成社製アロンオキセタンOXT−211)
24重量%
エポキシ化合物(セロキサイド2021P:ダイセル化学社製)
27重量%
光酸発生剤(スルホニウムのPF6−塩、SP−152旭電化工業社製)
8重量%
上記の各化合物を混合した後、フィルタでろ過して無機顔料として、白色酸化チタンと光重合性化合物と光重合開始剤、および蛍光増白剤を含む、光硬化型インクを調整した。
【0257】
インク−2の調製に用いた蛍光増白剤(例示化合物:W1−1)を、下表に記載した各蛍光増白剤を用いた以外は同様にして、インク−3〜12を調製した。
【0258】
インク−2に使用した白色酸化チタンに代えて、等量の炭酸カルシウムとした以外は同様にしてインク−13を調製した。
【0259】
インク−2に使用した白色酸化チタンに代えて、等量の白色酸化亜鉛とした以外は同様にしてインク−14を調製した。
【0260】
【表1】

【0261】
インクジェットヘッドの長期間吐出後の吐出液滴サイズ測定
上記インク−1〜14を、インクジェットヘッド−1を装備したインクジェット記録装置(図1)に装填した。
【0262】
まず透明PETフィルム(富士ゼロックス社製OHPシート)上に、白色ベタ画像を打滴して白色度を、評価用蛍光灯下で目視にて比較した結果を表2に示す。
【0263】
白色度を白PET(白色酸化チタンを練り込んだPETシート)と比較して、白地に黄ばみを感じないものを○、黄ばみを感じるものを×として評価した。
【0264】
次に、長期間吐出した場合の吐出量の変化を評価した。
【0265】
新品のヘッドを用いて、各ノズルから10万回吐出させて液滴をヘッド下においた容器を採取して重量変化を測定し、インク液の密度とから平均液滴1個当りの体積を求めた。次に、5時間に1回、いったん吐出を止めて吸引回復動作を行いながら、ノズルあたり合計5000万回吐出を行ってから、上記と同様にして、平均液滴1個あたりの体積を求めて、吐出前の液滴との比を求めた。尚、新品のノズルでの液滴の体積を1.00として、表中の長期吐出時液滴量変化を示している。尚、この長期間吐出時液滴量変化は、1.10以下であることが好ましい。
【0266】
さらに、5000万回吐出後のノズルプレートを新品のものと顕微鏡で比較観察し、ノズルプレート上のデポジット(ノズルに付着した汚れ)の様子を評価した。デポジットがあるものを×、ないものを○とした。
【0267】
【表2】

【0268】
白色無機顔料インクは、光重合開始剤に起因する黄ばみが課題であるが、蛍光増白剤を含有させることにより、黄ばみを解決できる利点がある。
【0269】
白色無機顔料を含むインクを長期間打滴し続けると、液滴サイズが大きくなってしまうという問題がある。ヘッドのピエゾアクチュエーターの寿命がつきる前に、液滴サイズ変化により、ドットサイズが変わり使用不能となってしまう。ところが、本発明の蛍光増白剤を含むインクを本発明のノズルプレート有するヘッドの組み合わせで、液滴サイズの変化が顕著に改善される。
【0270】
使用前後のノズルプレートを確認すると、白インク(インク1)で長時間吐出したものは、ノズル周辺が削れていることが分かった。本発明の撥液膜を使用したノズルプレートはほとんど削れは観察されなかった。硬度の高い酸化チタンによるノズル孔の磨耗が、インクに導入した蛍光増白剤と本発明のノズルプレートの表面処理の組み合わせで、顕著に改善されると推測できる。
【0271】
〔実施例2〕
ラジカル型インクの調製
<白色インク−15の調製>
酸化チタン 3.5重量%
ラウリルカウリレート 21重量%
テトラエチレングリコールアクリレート 34重量%
カプロラクタム変性ジペンタエリスリートアクリレート 35重量%
光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ イルガキュア1800) 5重量%
光重合開始剤(チバスペシャリティケミカルズ イルガキュア500) 2重量%
上記の各化合物を混合した後、フィルターでろ過して無機顔料として、白色酸化チタンと光重合性化合物と光重合開始剤、および蛍光増白剤を含む、光硬化型インクを調整した。
【0272】
<白色インク−16の調製>
白色インク−15に蛍光増白剤(例示化合物W−2)を5重量%加えて、カプロラクタム変性ジペンタエリスリートアクリレートを30重量%とした以外は同様にして、白色インク−16を調製した。
【0273】
実施例1と同様に、ヘッド−1と2を用いて、長期間吐出した場合を吐出量の安定性を調べた。実際に上記の組み合わせで、長時間吐出後にノズルプレート上の残留する汚れが顕著に改善されていた。
【0274】
【表3】

【0275】
よって、カチオン型と同様にラジカル型インクでも同様の効果が得られていることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0276】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の概略を示す全体構成図である。
【図2】印字ヘッドの構造例を示す平面透視図である。
【図3】図2中3−3線に沿う断面図である。
【図4】図2に示した印字ヘッドのノズル配置を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0277】
10…インクジェット記録装置、12W,12Y,12C,12M,12K…インクジェットヘッド、16…記録媒体、27…UV硬化光源、50…印字ヘッド、51…ノズル、52…圧力室、53…供給口、58…圧電素子、60…ノズルプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドから少なくとも無機顔料を含有する光硬化型インクを吐出するインクジェット記録装置において、
前記インクジェットヘッドには、有機フィルム上にシランカップリング剤、アルコシシラン化合物及びフルオロアルキルシラン化合物を用いてシリコンレジン層を形成し、該シリコンレジン層上にフッ素樹脂を用いてフッ素樹脂層を形成したノズルプレートを有するとともに、
前記インクには、蛍光増白剤を含有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記蛍光増白剤が、下記一般式(F)であらわされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
一般式(F) An−・n(B+)
(式中Aはアニオン性基を有する基、Bは総炭素数が15以上の有機カチオンを表し、nは1〜9の整数をあらわす。)
【請求項3】
前記蛍光増白剤が、下記一般式(W1)〜(W5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】

(式中、R1 〜R17 は、それぞれ水素原子または有機性基を表す。)
【請求項4】
前記無機顔料が白色無機顔料であることを特徴とする請求項1から3のうちの何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記白色無機顔料が酸化チタンであることを特徴とする、請求項4に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−230061(P2007−230061A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−53948(P2006−53948)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】